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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114104
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】搬送具
(51)【国際特許分類】
   B65G 7/12 20060101AFI20240816BHJP
   B65G 49/06 20060101ALN20240816BHJP
【FI】
B65G7/12 B
B65G49/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019543
(22)【出願日】2023-02-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電主力電源化推進技術開発/太陽光発電の長期安定電源化技術開発」共同研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】戸浦 洋二
(72)【発明者】
【氏名】一万田 直樹
(57)【要約】
【課題】光電変換モジュールを直接持つことなく搬送可能な搬送具を提供する。
【解決手段】搬送具400は、光電変換モジュール10のフレーム220,230を持ち上げ可能な保持部410を有する。
【選択図】図10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換モジュールのフレームを持ち上げ可能な保持部を有する搬送具。
【請求項2】
前記保持部は、前記フレームを下方から支える下壁部を有する、請求項1に記載の搬送具。
【請求項3】
前記保持部は、前記フレームを受け入れ可能な受け入れ部を有し、
前記受け入れ部は、前記下壁部と、前記下壁部に対向する上壁部と、の間の空間により形成されている、請求項2に記載の搬送具。
【請求項4】
前記下壁部と前記上壁部との間の距離は、3cm以上である、請求項3に記載の搬送具。
【請求項5】
前記上壁部から、前記下壁部又は前記下壁部の延長線上に向かう第1方向に沿って突出した突出部を有する、請求項3又は4に記載の搬送具。
【請求項6】
前記突出部は、前記第1方向に沿って移動可能に構成されている、請求項5に記載の搬送具。
【請求項7】
前記受け入れ部の開放側とは反対側へ延びた持ち手を有する、請求項3に記載の搬送具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換モジュールを搬送する搬送具に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量の削減の施策に伴い、再生可能エネルギーの一つである、太陽電池モジュールのような光電変換モジュールの普及の増加が見込まれている。このような光電変換モジュールとして、屋外の屋根や土地に設置するものが知られている。
【0003】
特許文献1は、作業者の運搬作業に係る負担を軽減する目的で、光電変換モジュールを破損することなく運搬することが可能な運搬装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-197154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光電変換モジュールが短い距離だけ搬送される場合、作業者は、通常、光電変換モジュールを直接持って運べばよい。特許文献1では光電変換モジュールの運搬装置が記載されているが、運搬装置までの光電変換モジュールの搬送は、作業者自身により行われる。
【0006】
本願の発明者は、特別な状況ないし環境下においては、光電変換モジュールを手で直接持つことが困難な場合があるという課題を見出した。したがって、光電変換モジュールを搬送可能な新規な搬送具が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る搬送具は、光電変換モジュールのフレームを持ち上げ可能な保持部を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、光電変換モジュールを直接持つことなく搬送可能な搬送具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一態様に係る光電変換モジュールの斜視図である。
図2図2は、図1の2A-2A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。
図3図3は、光電変換モジュールに含まれる第1フレームの斜視図である。
図4図4は、図1の4A-4A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。
図5図5は、光電変換モジュールに含まれる第2フレームの斜視図である。
図6図6は、図1の領域6Aの拡大図である。
図7図7は、一実施形態に係る搬送具の平面図である。
図8図8は、図7の矢印8A方向から見た搬送具の側面図である。
図9図9は、光電変換モジュールを保持するときにおける搬送具の操作を示す模式図である。
図10図10は、光電変換モジュールを保持した状態における搬送具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0011】
[光電変換モジュール]
図1は、一態様に係る光電変換モジュールの斜視図である。図2は、図1の2A-2A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。図3は、光電変換モジュールに含まれる第1フレームの斜視図である。図4は、図1の4A-4A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。図5は、光電変換モジュールに含まれる第2フレームの斜視図である。図6は、図1の領域6Aの拡大図である。
【0012】
光電変換モジュール10は、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池モジュールであってよい。このような太陽電池モジュールは、例えば、建造物の屋根や壁面のような屋外に設置されていてよい。
【0013】
光電変換モジュール10は、平板状のパネル100と、フレーム構造体200と、を有する。パネル100は、光エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する光電変換素子を含んでいてよい。本実施形態では、パネル100は、パネル100の表面に直交する方向(高さ方向)から見て、略四角形状である。なお、高さ方向は、図のZ方向に相当する。
【0014】
フレーム構造体200は、パネル100の周囲に取り付けられており、パネル100の側部に沿って設けられている。フレーム構造体200は、少なくとも、互いに連結された第1フレーム220と第2フレーム230を有していてよい。第1フレーム220及び第2フレーム230は、それぞれパネル100の縁辺に沿って設けられている。
【0015】
本実施形態では、第1フレーム220は、パネル100の第1縁辺に沿った第1方向(以下、「横方向」と称することもある。)に延びている。なお、横方向は、図のX方向に相当する。
【0016】
第2フレーム230は、パネル100の上記第1縁辺に隣接する第2縁辺に沿った第2方向(以下、「縦方向」と称することもある。)に延びていてよい。ここで、第1方向(横方向)と第2方向(縦方向)は、互いに交差する方向であればよく、好ましくは互いに直交する方向であってよい。なお、本実施形態において、縦方向は、図のY方向に相当する。
【0017】
パネル100は、図1に示す態様では略長方形状であり、一対の第1フレーム220がパネル100の一対の長辺に沿って設けられている。同様に、一対の第2フレーム230がパネル100の一対の短辺に沿って設けられている。
【0018】
第1フレーム220は、第1保持部221、第1脚部222、第1側壁部223、第1フランジ224及び第1パネル受け入れ部225を有していてよい(特に図3参照)。第1側壁部223は、パネル100の縁の外側に位置し、パネル100の表面に交差する方向(Z方向)と横方向(X方向)とによって張られる面において広がっている。第1側壁部223は、第1保持部221と第1フランジ224とを連結されており、これらと一体に成形されていてよい。
【0019】
第1フランジ224は、第1側壁部223の上部から、パネル100の内側の方に向かって突出しており、パネル100の端部の表面を覆っている。第1フランジ224は、パネル100の、横方向に沿って延びる縁に沿って延びていてよい。
【0020】
第1保持部221は、第1側壁部223から、パネル100の内側の方に向かって突出しており、第1フランジ224と対向している。第1保持部221は、パネル100の端部を下方から支えるよう構成されている。第1保持部221は、横方向に沿って延びていてよい。
【0021】
第1パネル受け入れ部225は、第1保持部221と、第1側壁部223と、第1フランジ224とによって構成されていてよい。具体的には、第1パネル受け入れ部225は、第1フレーム220の延在方向(横方向)に直交する断面において、略「C」の字型の形状を有する(図2参照)。これにより、第1パネル受け入れ部225は、パネル100の端部を受け入れ可能に構成されている。
【0022】
第1パネル受け入れ部225の内部には、第1接着材229が充填されていてよい。これにより、第1パネル受け入れ部225は、パネル100の端部を受け入れた状態で、パネル100を保持することができる。言い換えると、第1保持部221は、パネル100に接着され、かつパネル100の端部を支えている。
【0023】
第1接着材229は、横方向において第1パネル受け入れ部225全体に設けられていてもよく、横方向における第1パネル受け入れ部225の一部の領域のみに設けられていてもよい。第1接着材229は、熱可塑性樹脂を含む接着材であってよい。このような接着材として、例えばシリコーン系の接着材やブチルゴム系の接着材などが挙げられる。
【0024】
第1脚部222は、第1保持部221から、パネル100から離れる方に向かって延びていてよい。本実施形態では、第1脚部222は、パネル100の表面に直交する方向に延びた壁部222aと、パネル100から最も遠いところでパネルの表面に沿った方に曲げられた端部222bと、を含んでいてよい。図2及び図3では、第1脚部222の壁部222aは、第1側壁部223と第1保持部221の交点から連続して延びた部分によって構成されている。また、第1脚部222の壁部222aの外面は、第1側壁部223の外面と面一になっている。この代わりに、第1脚部222の壁部222aは、第1保持部221の、第1側壁部223から離れた部分に連結されていてもよい。
【0025】
第1保持部221、第1脚部222、第1側壁部223及び第1フランジ224は、それぞれ第1フレーム220の延在方向に延びていてよい。第1保持部221、第1脚部222、第1側壁部223及び第1フランジ224は、一体に形成されていてよい。
【0026】
第1脚部222の壁部222aは、横方向における第1フレーム220の両端部のところで、第2フレーム230と当接する(図1及び図6参照)。第1脚部222の壁部222aは、横方向における両端部付近に、ボルトのような締結部材が挿通可能な第1孔部226を有していてよい。本実施形態では、第1孔部226は、高さ方向に2つ並んでいる。この代わりに、第1孔部226は、高さ方向に1つだけ設けられていても良い。第1孔部226は、第2フレーム230を第1フレーム220に連結する締結部材を挿通させるために設けられる。
【0027】
第2フレーム230は、第2保持部231、第2脚部232、第2側壁部233、第2フランジ234及び第2パネル受け入れ部235を有していてよい。第2側壁部233は、パネル100の外側で、パネル100の表面に交差する方向(Z方向)と横方向(Y方向)とによって張られる面において広がっている。第2側壁部233は、第2保持部231と第2フランジ234とを連結しており、これらと一体に成形されていてよい。
【0028】
第2フランジ234は、第2側壁部233の上部から、パネル100の内側の方に向かって突出しており、パネル100の端部の表面を覆っている。第2フランジ234は、パネル100の、縦方向に沿った縁に沿って延びていてよい。
【0029】
第2保持部231は、第2側壁部233から、パネル100の内側の方に向かって突出しており、第2フランジ234と対向している。第2保持部231は、パネル100の端部を下方から支えるよう構成されている。
【0030】
第2パネル受け入れ部235は、第2保持部231と、第2側壁部233と、第2フランジ234とによって構成されていてよい。具体的には、第2パネル受け入れ部235は、第2フレーム230の延在方向(縦方向)に直交する断面において、略「C」の字型の形状を有する(図4参照)。これにより、第2パネル受け入れ部235は、パネル100の端部を受け入れ可能に構成されている。
【0031】
第2パネル受け入れ部235の内部には、第2接着材239が充填されていてよい(図4参照)。これにより、第2パネル受け入れ部235は、パネル100の端部を受け入れた状態で、パネル100を保持することができる。言い換えると、第2保持部231は、パネル100に接着され、かつパネル100の端部を支えている。
【0032】
第2接着材239は、縦方向において第2パネル受け入れ部235全体に設けられていてもよく、縦方向における第2パネル受け入れ部235の一部の領域のみに設けられていてもよい。第2接着材239は、熱可塑性樹脂を含む接着材であってよい。このような接着材として、例えばシリコーン系の接着材やブチルゴム系の接着材などが挙げられる。
【0033】
第2脚部232は、第2保持部231から、パネル100から離れる方に向かって延びていてよい。本実施形態では、第2脚部232は、パネル100の表面に直交する方向に延びた壁部232aと、パネル100から最も遠いところでパネルの表面に沿った方に曲げられた端部232bと、を含んでいてよい。図4及び図5では、第2脚部232の壁部232aは、第2側壁部233と第2保持部231の交点から連続して延びた部分によって構成されている。また、第2脚部232の壁部232aの外面は、第2側壁部233の外面と面一になっている。この代わりに、第2脚部232の壁部232aは、第2保持部231の、第2側壁部233から離れた部分に連結されていてもよい。
【0034】
第2保持部231、第2脚部232、第2側壁部233及び第2フランジ234は、それぞれ第2フレーム230の延在方向に延びていてよい。第2保持部231、第2脚部232、第2側壁部233及び第2フランジ234は、一体に形成されていてよい。
【0035】
第2保持部231、第2脚部232及び後述するC字型の壁部237は、縦方向(Y方向)において第2側壁部233の縁まで達していてよい(図5参照)。これにより、第2保持部231、第2脚部232及び後述するC字型の壁部237は、第1フレーム220の第1脚部222又は第1側壁部223に当接する。
【0036】
第2脚部232の壁部232aは、縦方向における第2フレーム230の両端部のところで、第1フレーム220と当接していてよい(図1及び図6参照)。第2保持部231及び/又は第2脚部232には、ボルトのような締結部材が挿通可能な第2孔部236が形成されていてよい。第2孔部236は、断面視でC字型の壁部237によって囲まれている。本実施形態では、C字型の壁部237は、第2保持部231の下部と、第2脚部232の端部232bの上部とに設けられている。C字型の壁部237は、第2フレーム230の延在方向に沿って延びている。したがって、C字型の壁部237は、略円筒状の形状を有する。
【0037】
第2フレーム230の第2孔部236は、第1フレーム220の第1孔部226と位置合わせされている。ボルトのような締結部材は、第1フレーム220の第1孔部226と第2フレーム230の第2孔部236の両方を通る。これにより、第1フレーム220と第2フレーム230が、互いに締結される。したがって、第1フレーム220及び第2フレーム230は、第1孔部226から第2孔部236に向かって延びる締結部材によって互いに締結されている。
【0038】
光電変換パネル100は、一般に、光電変換を行う素子を封止する不図示の封止材を有する。このような封止材は、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)やオレフィン系材料のような樹脂材料によって構成されている。
【0039】
光電変換モジュールの構成について図面を参照しつつ説明した。光電変換モジュールの構成は、上述した構成に限らず、以下の解体方法が適用できる限り、種々変更可能であることに留意されたい。
【0040】
[搬送具]
次に、一実施形態に係る搬送具について、図7図10を参照して説明する。図7は、一実施形態に係る搬送具の平面図である。図8は、図7の矢印8A方向から見た搬送具の側面図である。図9は、光電変換モジュールを保持するときにおける搬送具の操作を示す模式図である。図10は、光電変換モジュールを保持した状態における搬送具の側面図である。
【0041】
搬送具400は、光電変換モジュール10のフレーム220,230を持ち上げ可能な保持部410と、持ち手440と、を有する。保持部410は、フレーム220,230を受け入れ可能な受け入れ部420を有していてよい。
【0042】
これにより、作業者は、持ち手440を持って搬送具400の保持部410によって光電変換モジュール10を持ち上げることができる。したがって、作業者は、光電変換モジュール10を直接持つことなく光電変換モジュール10を持ち上げることができる。ここで、「光電変換モジュール10を持ち上げる」とは、光電変換モジュール10全体を積載個所から持ち上げることだけではなく、光電変換モジュール10の一端ないし一辺を積載個所から持ち上げることをも含むものとする。
【0043】
受け入れ部420は、下壁部422、側壁部424及び上壁部426によって形成されていてよい。下壁部422、側壁部424及び上壁部426は、互いに分離不能に一体に形成されていてよい。
【0044】
好ましくは、下壁部422、側壁部424及び上壁部426は、耐熱部材によって構成されていてよい。下壁部422、側壁部424及び上壁部426は、例えば金属部材によって構成されていてよい。
【0045】
下壁部422は、光電変換モジュール10のフレーム220,230を下方から支えるよう構成されていてよい(図9参照)。具体的には、光電変換モジュール10のフレーム220,230は、搬送具400の下壁部422上に載せられた状態で保持され得る。
【0046】
上壁部426は、下壁部422に対向して設けられていてよい。この場合、受け入れ部420は、下壁部422と、下壁部422に対向する上壁部426と、の間の空間により形成される。また、側壁部424は、上壁部426と下壁部422とを連結するよう形成されていてよい。この場合、受け入れ部420は、下壁部422と側壁部424と上壁部426とによって囲まれた空間により形成されていてよい。また、受け入れ部420に受け入れられた光電変換モジュール10のフレーム220,230が延びている方向(図7の矢印8Aと同じ方向)から見たとき、下壁部422、側壁部424及び上壁部426は、全体として略J字形ないし略U字形に形成されていてよい(図8図10参照)。
【0047】
下壁部422と上壁部426との間の距離L1は、光電変換モジュール10のフレーム220,230を受け入れ可能であれば特に制限されない。下壁部422と上壁部426との間の距離L1は、例えば3cm以上、6cm以上又は8cm以上であってよい。この場合、下壁部422と上壁部426との間の距離L1は、現在流通している多くの種類の光電変換モジュール10のフレーム220,230の高さよりも若干大きくなる。そのため、様々な種類の光電変換モジュール10のフレーム220,230を受け入れ可能な汎用的な搬送具400を提供することができる。
【0048】
下壁部422と上壁部426との間の距離L1の上限値は、光電変換モジュール10を保持可能であれば特に制限されない。下壁部422と上壁部426との間の距離L1は、搬送具400の重量等を考慮し、例えば、20cm以下であってよい。
【0049】
搬送具400は、上壁部426から、下壁部422又は下壁部422の延長線上L2に向かう第1方向T1に沿って突出した突出部430を有していてよい。延長線上L2は、下壁部422から、側壁部424から突出している下壁部422の突出方向に沿って延長した線である。これにより、突出部430は、使用時に、受け入れ部420に受け入れられている光電変換モジュール10のパネル100に向かって突出する。ここで、光電変換モジュール10のフレーム220,230が受け入れ部420内に位置した状態で作業者が持ち手440を掴んで持ち手440を上方に持ち上げたとき、光電変換モジュール10に対する搬送具400の角度は変化し得る(図9及び図10参照)。
【0050】
しかしながら、図10に示すように、突出部430が光電変換モジュール10のパネル100に当接するため、光電変換モジュール10に対する搬送具400の角度は所望の位置で固定される。したがって、搬送具400を使用して持ち上げようとしている光電変換モジュール10が、搬送具400から脱離することを抑制することができる。
【0051】
突出部430は、前述した第1方向T1に沿って移動可能に構成されていることが好ましい。これにより、突出部430の先端の位置が、可変になる。したがって、搬送しようとする光電変換モジュール10のフレーム220,230やパネル100の形状ないし厚みに応じて、突出部430の先端の位置を容易に変更することができる。
【0052】
図示した形態では、突出部430は、ボルト432のような螺子切りを有しており、上壁部426に形成された孔部に挿入されている。突出部430は、一対のナット434に嵌合されることによって上壁部426に取り付けられている。この場合、突出部430は、回転させられることによって、第1方向T1に沿って移動可能である。ただし、突出部430を移動させるための機構は、これに限らず、任意の機構を採用することができることに留意されたい。
【0053】
受け入れ部420に受け入れられているフレーム220,230が延びている方向に直交する方向であって、光電変換モジュール10のパネル100に沿った方向を第2方向T2としたとき、上壁部426は、第2方向T2において、下壁部422よりも長くてよい。この場合、受け入れ部420に受け入れられている光電変換モジュール10のパネル100に直交する方向からみて、突出部430は、下壁部422に重ならない位置に設けられていてよい。これにより、受け入れ部420内に光電変換モジュール10のフレーム220,230を受け入れ易くなるとともに、突出部430は確実に光電変換モジュール10のパネル100に当接することができる。
【0054】
持ち手440は、受け入れ部420の開放側とは反対側へ延びていてよい。この場合、作業者は、光電変換モジュール10から離れた位置で、搬送具400を用いて光電変換モジュール10を持ち上げることができる。
【0055】
搬送具400は、持ち手440、保持部410、及び/又は持ち手440と保持部410の間の部分に、不図示の断熱材を有していてよい。この場合、光電変換モジュール10のフレーム220,230が加熱されていたとしても、持ち手440が熱くなり難くなる。もっとも、持ち手440がそれほど高温にならない場合には、断熱材は設けられていなくてもよい。
【0056】
上記の搬送具400は、光電変換モジュール10を直接手で持って持ち上げることが困難な場合に好適に利用される。例えば、光電変換モジュール10のフレーム220,230が加熱されていた場合、作業者が光電変換モジュール10を直接つかむことは危険が伴う。このような場合に、作業者は、上記の搬送具400を用いて安全に光電変換モジュール10を持ち上げて搬送することができる。なお、作業者は、複数の搬送具400を用いて光電変換モジュール10を搬送してもよい。
【0057】
より具体的には、上記の搬送具400は、光電変換モジュール10のリサイクルないし解体時に利用することができる。光電変換モジュールの解体時に、フレーム220,230はパネル100から剥がされることがある。ここで、フレーム220,230は接着材229,239によってパネル100に接着されている。フレーム220,230とパネル100を容易に分離するため、フレーム220,230とパネル100を分離する前に、光電変換モジュール10の接着材229,239を加熱することが好ましい。これにより、接着材229,239の接着力が低下するため、フレーム220,230とパネル100を容易に分離することができるようになる。
【0058】
光電変換モジュール10を加熱するための作業場所から、フレーム220,230とパネル100を分離するための作業場所へ、光電変換モジュール10を搬送する必要が生じることがある。この場合、作業者は、光電変換モジュール10を直接手でつかむことなく、前述した搬送具400を用いて加熱された光電変換モジュール10を持ち上げて搬送することができる。
【0059】
以上で説明したように、搬送具400は、光電変換モジュール10の解体中に、加熱された光電変換モジュール10を搬送する目的で好適に利用することができる。ただし、搬送具400は、本例に限定されず、様々な状況で使用することができることに留意されたい。
【0060】
前述した説明により、少なくとも以下の付記として記載された発明が本明細書内に明示されていることに留意されたい。
【0061】
[付記1]
光電変換モジュールのフレームを持ち上げ可能な保持部を有する搬送具。
[付記2]
前記保持部は、前記フレームを下方から支える下壁部を有する、付記1に記載の搬送具。
[付記3]
前記保持部は、前記フレームを受け入れ可能な受け入れ部を有し、
前記受け入れ部は、前記下壁部と、前記下壁部に対向する上壁部と、の間の空間により形成されている、付記2に記載の搬送具。
[付記4]
前記下壁部と前記上壁部との間の距離は、3cm以上である、付記3に記載の搬送具。
[付記5]
前記上壁部から、前記下壁部又は前記下壁部の延長線上に向かう第1方向に沿って突出した突出部を有する、付記3又は4に記載の搬送具。
[付記6]
前記突出部は、前記第1方向に沿って移動可能に構成されている、付記5に記載の搬送具。
[付記7]
前記受け入れ部の開放側とは反対側へ延びた持ち手を有する、付記3から6のいずれか1項に記載の搬送具。
【0062】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0063】
10 光電変換モジュール
100 パネル
400 搬送具
410 保持部
420 受け入れ部
422 下壁部
426 上壁部
430 突出部
440 持ち手
L1 距離
T1 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10