(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114106
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ゴミ収納庫
(51)【国際特許分類】
B65F 1/14 20060101AFI20240816BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20240816BHJP
B65F 1/16 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B65F1/14 Z
B65F1/00 A
B65F1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019545
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】597019311
【氏名又は名称】株式会社ナカノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】弁理士法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆志
【テーマコード(参考)】
3E023
【Fターム(参考)】
3E023AA20
3E023MA09
3E023MB03
(57)【要約】
【課題】
ドアの施錠装置が想定外の取り扱いを受けて破損することを抑制できるほか、激しい接触や異物の入り込みなどから施錠装置を保護することのできるゴミ収納庫の提供。
【解決手段】
正面板11と側面板13、14と天板15などで構成し、その前面にはゴミの出し入れを行う開口部21を設け、開口部21を塞ぐドア31と、ドア31を閉じた状態に維持する施錠装置41と、を備えており、施錠装置41は、操作部43と機器箱44とからなり、側面板14には施錠装置41を取り付けるための切り抜き18を設ける。そして操作部43は、側面板14の表面に沿うように配置することで、その存在を認識することが難しくなり、破損を抑制できる。また機器箱44から突出してドア31を閉じた状態に維持する施錠手段56は、正面板11や天板15の背後に配置することで、接触を防止でき、施錠装置41を保護することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面板(11)と背面板(12)と左右の側面板(13、14)と天板(15)と床板(16)で囲まれたゴミ収納庫であって、その前面にはゴミの出し入れを行うための開口部(21)を設けてあり、該開口部(21)を塞ぐドア(31)と、該ドア(31)を閉じた状態に維持する施錠装置(41)と、を備えており、
前記施錠装置(41)は、解錠操作を受け付ける操作部(43)と、前記ドア(31)を閉じた状態に維持する施錠手段(56)が組み込まれた機器箱(44)と、からなり、
前記ドア(31)は、左右の前記側面板(13、14)を結ぶ方向に移動可能であり、且つ二枚の該側面板(13、14)のうち、該ドア(31)を閉じる方向の先に位置する該側面板(14)には、前記施錠装置(41)を取り付けるための切り抜き(18)を設けてあり、前記操作部(43)は該側面板(14)の表面に沿うように配置するほか、前記機器箱(44)は該側面板(14)の裏面側に配置し、
前記ドア(31)を閉じた際、前記機器箱(44)は該ドア(31)の背後に位置するほか、前記施錠手段(56)は、前記正面板(11)または前記天板(15)のいずれか一方の背後に位置することを特徴とするゴミ収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道端や集合住宅の入り口などに設置され、住居などから排出されたゴミを一時的に集積するためのゴミ収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
住居などから排出されたゴミは、様々な処理施設に輸送するため、決められた場所に持ち込む必要があるが、この場所にゴミが集積することで美観が悪化するほか、鳥獣を引き寄せて様々な問題を引き起こす恐れがあり、その対策としてゴミ収納庫を設置することが多い。このゴミ収納庫の形態は様々だが、近年は景観への配慮や臭気対策などの観点から、金属板を素材とした密閉構造のものも普及している。このようなゴミ収納庫は、ゴミの出し入れを円滑に行えるよう、前面に大形のドアを備えており、このドアを閉じることで内部を完全に覆い隠すことができる。
【0003】
多くのゴミ収納庫は、地域住民など、特定の人に限って使用を許可されており、単なる通行人など、不特定の人が勝手に使用することはできない。しかし都市部や幹線道路沿いなどに設置されたゴミ収納庫は、使用を許可されていない人による不法投棄が懸念されることから、何らかの対策が求められており、その例として後記の特許文献のような技術が提案されている。そのうち特許文献1では、外部の者による不法投棄を防止できるほか、地区内住民によるごみ出しを管理可能なごみ集積用囲体が開示されている。このごみ集積用囲体は、箱形の本体の前面に出入扉を備えた構造であり、この出入扉は、施錠可能としてある。なおこの施錠を解除する手段については、識別カードの使用や暗証番号の入力が開示されている。
【0004】
また特許文献2では、居住者以外によるごみ捨てを防止できるほか、捨てられるごみの種別を管理可能なごみ収容装置が開示されている。このごみ収容装置は、ごみを貯める収容部と、収容部に設けた開口部を覆う蓋部と、で構成され、さらにごみを捨てる者を認証する認証手段と、認証された際に蓋部を解錠する解錠手段と、投入されたごみの種別を判別する種別判別手段と、判別された種別と日付に基づいてごみ捨てが適切であるか否かを判定する種別判定手段と、この判定結果が不適切な場合に警告を行う報知手段と、を備えている。したがって、認証された者以外によるごみ捨てを防止できるほか、不適切な種別のごみが捨てられることを抑制できる。なお種別判別手段の具体例については、ごみを収納する袋に識別情報を付与することが開示されている。
【0005】
次の特許文献3では、不法なゴミの投入を効果的に抑制することのできるゴミ投入規制装置が開示されている。この装置は、バーコードリーダーと、その読み取り結果に基づいてゴミの投入が可能か否かを識別する識別部と、ゴミの投入を規制する投入規制部と、を備えており、バーコードリーダーは、ゴミ箱の蓋の近傍に配置してある。また投入規制部の具体例については、蓋のロック機構のほか、視覚や聴覚に訴える手段が開示されている。そしてこの装置では、ゴミを収容する収容体(ゴミ袋など)にバーコードを付けることを前提としており、このバーコードの読み取り結果に基づいて投入規制部が作動することで、不法なゴミの投入を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-222301号公報
【特許文献2】特開2019-77542号公報
【特許文献3】実用新案登録第3179018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
住居などから排出されたゴミを一時的に集積するためのゴミ収納庫は、必然的に不特定の人が接近可能な場所に設置されることが多い。そのため前記の各特許文献のように、ゴミ収納庫の使用を制限することができる施錠装置を導入したいとの要望がある。ただし、不特定の人が接近可能であるため、酔いの勢いや好奇心などにより、施錠装置が想定外の取り扱いを受けて破損する恐れがあり、実際に破損した場合には、修理などで多大な負担が発生することになる。
【0008】
多くのゴミ収納庫は野外に設置され、風雨にさらされるほか、時期によっては大量のゴミが詰め込まれるなど、過酷な条件で使用されることがある。そのためゴミ収納庫に施錠装置を導入する場合についても、人やゴミなどとの激しい接触や、可動部分への異物の入り込みなど、様々な要因に対策を講じ、この装置を保護することが望ましい。
【0009】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、ドアの施錠装置が想定外の取り扱いを受けて破損することを抑制できるほか、激しい接触や異物の入り込みなどから施錠装置を保護することのできるゴミ収納庫の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、正面板と背面板と左右の側面板と天板と床板で囲まれたゴミ収納庫であって、その前面にはゴミの出し入れを行うための開口部を設けてあり、該開口部を塞ぐドアと、該ドアを閉じた状態に維持する施錠装置と、を備えており、前記施錠装置は、解錠操作を受け付ける操作部と、前記ドアを閉じた状態に維持する施錠手段が組み込まれた機器箱と、からなり、前記ドアは、左右の前記側面板を結ぶ方向に移動可能であり、且つ二枚の該側面板のうち、該ドアを閉じる方向の先に位置する該側面板には、前記施錠装置を取り付けるための切り抜きを設けてあり、前記操作部は該側面板の表面に沿うように配置するほか、前記機器箱は該側面板の裏面側に配置し、前記ドアを閉じた際、前記機器箱は該ドアの背後に位置するほか、前記施錠手段は、前記正面板または前記天板のいずれか一方の背後に位置することを特徴とする。
【0011】
本発明によるゴミ収納庫は、ステンレス鋼など、腐食に強い板材を使用した密閉構造の箱形であり、このゴミ収納庫において、ゴミの出し入れを行う前面側を構成する板を正面板と称しており、また正面板の反対面を構成する板を背面板と称しており、この背面板は建物の壁面などと向かい合う。そして、正面板と背面板の側端面同士を結ぶ板を側面板と称しているほか、ゴミを載せる板を床板と称しており、この床板と対向する板を天板と称している。なおゴミ収納庫は、直方体形状に限定される訳ではなく、天板などが傾斜していても構わない。
【0012】
開口部は、ゴミの出し入れを行うために設けられ、正面板や天板の一部を切り抜いて形成する。本発明によるゴミ収納庫は、美観や臭気などに配慮して密閉構造とするため、何らかの開口部が必要になるが、利便性を確保するため、開口部はできるだけ大きくすべきである。そこで開口部は、天板の上部から正面板の下部に到達する形態とすることも可能である。このように開口部を大きくすることで、ゴミを持ち上げることなく床板に載せることができる。なお開口部を上方に限定した場合、大量のゴミが集積された場合でも、その落下を防ぐことができる。
【0013】
ドアは、開口部を塞ぐためのものであり、本発明においては、左右の側面板を結ぶ方向(横方向)に移動可能なスライド構造のものを想定している。そのためドアの周辺には、ドアを支持するガイドレールなどを組み込む。またドアの両側端面のうち、ドアを閉じる際、先頭となる方については、ドアを閉じた後、ゴミ収納庫の側面板とほぼ段差なく並ぶものとする。
【0014】
施錠装置は、ドアを閉じた状態に維持するために組み込まれ、通常はドアを開けることができないが、ゴミ収納庫の使用が許可された人の操作により、ドアを開くことが可能になる。そしてこの施錠装置は、人が操作を行うための操作部と、その背後の機器箱と、で構成され、機器箱には、ドアが閉じた状態を維持する機能を担う施錠手段が組み込まれている。なお操作部の具体的な形態は自在であり、従来から普及している物理的なカギを差し込む方式も可能だが、テンキーなどを組み込んで特定の暗証番号を入力する方式も可能であり、さらに、ICカードやスマートフォンなどの電子機器をカギとして使用する方式もあり得る。また機器箱には、施錠手段のほか、各種部品が組み込まれており、そこに電池も組み込むことで、野外でも電子機器に対応可能になる。
【0015】
施錠装置は、正面板や天板ではなく側面板に取り付ける。そのため側面板には切り抜きを形成し、この切り抜きにより、施錠装置の機器箱を側面板の裏面側に配置する。さらにドアを閉じた際、機器箱はドアの背後に位置するものとする。また施錠装置の操作部は、側面板の表面に沿うように配置する。したがって施錠装置は、正面板と天板のいずれとも離れており、解錠の際は、側面板の表面に沿って手を差し入れることになる。
【0016】
施錠手段の具体例は様々だが、通常は変位可能な部品で構成され、この部品がドアに嵌まり込むことで、ドアが拘束されて閉じた状態を維持する。またこの部品がドアから離れることで、ドアは自在に開閉可能になる。そのため施錠手段の周辺に異物が入り込むと、その変位を妨げる恐れがある。そこで本発明では、施錠手段を正面板や天板の背後に配置しており、これによって施錠手段を保護できるほか、施錠手段の存在が認識されることを抑制している。なおドアは、正面板や天板の表面に沿って移動するため、施錠手段も、正面板や天板と隣接することになる。
【0017】
このように、ドアを備えた密閉構造のゴミ収納庫において、その側面板に施錠装置を取り付けることで、ゴミ収納庫の使用を許可されていない人は、施錠装置の存在を認識することが難しくなる。また施錠装置において、ドアが閉じた状態を維持する施錠手段は、正面板と天板のいずれかの背後に配置することで、正面板や天板で覆い隠された状態になり、人やゴミとの接触などを避けることができる。なお本発明は、ドアが施錠可能であることを活用し、荷物の受け取りなど、他の用途への展開も可能である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明のように、ドアを備えた密閉構造のゴミ収納庫において、その側面板に施錠装置を取り付けることで、ゴミ収納庫の使用を許可されていない人は、施錠装置の存在を認識することが難しくなる。そのため、不特定の人が酔いの勢いや好奇心などで施錠装置に接触することを抑制し、破損など、予期しない不具合の発生を防ぐ。なお施錠装置自体は、ゴミ収納庫の前面側からも視認可能だが、その操作部は側面板の表面に沿うように配置されるため、使用を許可されていない人は、これを施錠装置として認識することが難しい。
【0019】
そのほか施錠装置において、ドアが閉じた状態を維持する施錠手段は、正面板または天板のいずれかの背後に配置することで、正面板や天板で覆い隠されて保護された状態になる。そのため人やゴミとの接触を防止できるほか、風雨などによる異物の到達も難しくなり、信頼性が向上する。加えてドアを閉じた際は、施錠手段がドアでも覆い隠され、二重に保護された状態になり、過激な行為があった場合でも、施錠手段が本来の機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明によるゴミ収納庫の具体例を示す斜視図であり、図の下方には、施錠装置の周辺を拡大した状態を描いてある。
【
図2】
図1のゴミ収納庫のドアが開いた状態を示す斜視図であり、図の下方には、施錠装置の周辺を拡大した状態を描いてある。
【
図3】
図1のゴミ収納庫において、ドアが閉じた状態での施錠装置の周辺を示す斜視図であり、図の下方には、施錠装置と掛け具だけを描いている。
【
図4】
図1のゴミ収納庫において、ドアが開いた状態での施錠装置の周辺を示す斜視図である。
【
図5】
図1とは異なる構成のゴミ収納庫を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明によるゴミ収納庫の具体例を示しており、図の下方には、施錠装置41の周辺を拡大した状態を描いてある。このゴミ収納庫は、ステンレス鋼など、腐食に強い板材を使用した密閉構造になっており、その前面にはゴミの出し入れを行うためのドア31を備えている。そしてこのゴミ収納庫において、ゴミの出し入れを行う前面部分を構成する板を正面板11と称している。
【0022】
背面板12は、正面板11と対向するように配置され、建物の壁面などと向かい合うことになる。さらに正面板11と背面板12の側端面同士は、側面板13、14で結ばれているほか、床板16はゴミ収納庫の底部を塞いでおり、天板15はゴミ収納庫の上部を塞いでいる。なお天板15については、背面板12から正面板11に向かう方向で徐々に下降するような傾斜を設けてある。そのほか床板16の四隅には脚25を取り付けてあり、床板16を地面から浮かせている。
【0023】
正面板11と天板15は、曲面を介して滑らかに接続されているが、正面板11と天板15において、図の右寄りには、ゴミの出し入れを行うため、開口部21を設けてある。開口部21は、天板15の上部から正面板11の下部に到達しており、大きいゴミの出し入れも容易である。なお開口部21は、図の右側の側面板14に到達することはなく、この側面板14と開口部21との間には、正面板11と天板15が帯状に伸びている。
【0024】
開口部21は、ドア31によって完全に塞ぐことができる。そしてこのドア31は、左右の側面板13、14を結ぶ方向に移動可能なスライド構造であり、しかも正面板11と天板15の両方の表面を覆う形状であるため、横から見て「く」の字状に屈曲しているほか、ドア31の上部には、開閉のための持ち手33を取り付けてある。またドア31が円滑に移動できるよう、ドア31の上下にはガイドレール26を組み込んである。
【0025】
ドア31を閉じた状態に維持する施錠装置41は、側面板14に取り付けてある。この施錠装置41は、カードキーで解錠できるほか、暗証番号での解錠も行えるよう、テンキー47を備えている。そして施錠装置41は、大別して操作部43と機器箱44で構成され、操作部43の背後に機器箱44が一体化しており、機器箱44については、各種の部品が詰め込まれている。また操作部43は、解錠操作を受け付ける機能を担い、受信器46とテンキー47で構成され、受信器46によってカードキーの電子情報を読み込むことができ、テンキー47については、保護のため、可動式のカバー49を取り付けてある。
【0026】
左右二枚の側面板13、14において、図の左側の側面板13は、ドア31の施錠に関与しないが、対する図の右側の側面板14には施錠装置41を取り付ける。そのためこの側面板14の前面寄りには、図の右下のように、切り抜き18を設けてあり、そこに機器箱44を嵌め込むことで、施錠装置41がゴミ収納庫と一体化する。その際、操作部43は側面板14の表面に沿うように配置され、ゴミ収納庫の前面側からは、その存在を認識することが難しくなる。なお実際には、施錠装置41を固定するためのボルトなどが必要になるが、ここでは作図を省略している。
【0027】
施錠装置41の施錠手段56は、ドア31が閉じた状態を維持する機能を担う部品であり、この図では、機器箱44の側面から出し入れが可能なカンヌキを想定している。したがって機器箱44から施錠手段56が突出し、これがドア31を構成する部品に嵌まり込むことで、ドア31は移動不能になる。そして図の左下は、ゴミ収納庫の前面側から機器箱44の周辺を斜方向に見た状態であり、側面板14に隣接して正面板11が配置されているが、ここで見えている正面板11は、上下に伸びる帯状であり、その横が開口部21になっている。さらにこの帯状の正面板11の側端面には、美観の向上や身体との接触などを考慮し、内側に向けて突出させた縁板22を設けてある。
【0028】
施錠装置41をゴミ収納庫に取り付けた状態において、施錠手段56は、正面板11の背後に配置される。そのため施錠手段56は正面板11で覆い隠され、ゴミ収納庫の前面側に立つ人は、これを視認することが難しく、しかもゴミを出し入れする際、施錠手段56が人やゴミと接触することも防ぐことができる。またドア31を閉じた際は、施錠手段56が正面板11とドア31で二重に保護されることになる。なお図の右下は、正面板11と側面板14との角部周辺を見た状態である。
【0029】
ドア31の裏面には、施錠手段56と対になる掛け具35を取り付けてあり、掛け具35の先端には施錠手段56が嵌まり込む固定穴36を設けてある。固定穴36は、ドア31を閉じた際、施錠手段56と段差なく並ぶように配置してある。なお掛け具35は、機器箱44と正面板11との間に入り込む必要があり、掛け具35と縁板22との接触を避けるため、縁板22には切り欠き23を設けてある。そのほか機器箱44には、施錠手段56に隣接してセンサー55を備えている。このセンサー55は、磁気などで掛け具35の存在を認識する機能を担い、ドア31が閉じた状態を認識した後に施錠手段56を突出させ、誤作動を防ぐ。
【0030】
図2は、
図1のゴミ収納庫のドア31が開いた状態を示しており、図の下方には、施錠装置41の周辺を拡大した状態を描いてある。ゴミを持ち込んだ際は、まずは施錠装置41の受信器46にカードキーを近づけ、施錠装置41がこれを正規のものと判定すると施錠手段56が後退し、ドア31を開くことが可能になる。その後、持ち手33などを利用して実際にドア31を開くと、大きな開口部21が露出し、内部にゴミを持ち込むことができる。なおゴミを載せた後にドア31を閉じると、それをセンサー55が検知して再び施錠された状態になる。
【0031】
開口部21は、天板15の上部から正面板11の下部に到達しており、ドア31を開くことで背面板12と床板16が視認可能になる。また開口部21の右端は、側面板14に近くなっているが、開口部21と側面板14との間には、正面板11と天板15が細長い帯状に伸びており、これによって機器箱44が覆い隠されている。なお施錠装置41を作動させるため、その内部には電池が組み込まれている。そのため電源の確保を考慮する必要はなく、ゴミ収納庫の設置場所に制約を受けることはない。
【0032】
図3は、
図1のゴミ収納庫において、ドア31が閉じた状態での施錠装置41の周辺を示しており、図の下方には、施錠装置41と掛け具35だけを描いている。ドア31が閉じた状態では、その先端が側面板14と段差なく並んでいるほか、掛け具35は、機器箱44と正面板11との間に入り込み、さらに固定穴36には施錠手段56が嵌まり込んでいる。そのためドア31を開くことができない。なお施錠装置41のセンサー55の信頼性を向上するため、掛け具35に磁石を取り付けることもできる。
【0033】
図4は、
図1のゴミ収納庫において、ドア31が開いた状態での施錠装置41の周辺を示している。施錠手段56を後退させて掛け具35から遠ざけると、ドア31は自在に開閉可能になり、実際にドア31を開くことで開口部21が露出する。なお施錠装置41の取り付け位置は、解錠時の操作性を考慮し、ある程度の高さを確保することが望ましい。その結果、掛け具35の取り付け位置も高くなるため、ゴミとの接触を避けることができる。
【0034】
図5は、
図1とは異なる構成のゴミ収納庫を示している。この図のゴミ収納庫は、天板15が水平方向に展開しているほか、全体の高さを抑制してあるため、持ち手33をドア31の上部に取り付けてある。また施錠装置41は、解錠時の操作性を考慮し、正面板11ではなく天板15に隣接させている。さらにこの図の施錠手段56は、天板15の背後に配置され、上方に突出する。そのほか、この図の施錠装置41は、カードキーのほか、従来から普及している物理的なカギを使用できる形態になっており、その操作部43にはカギ穴48を設けてある。
【符号の説明】
【0035】
11 正面板
12 背面板
13 側面板(施錠装置が取り付けられない方)
14 側面板(施錠装置が取り付けられる方)
15 天板
16 床板
18 切り抜き
21 開口部
22 縁板
23 切り欠き
25 脚
26 ガイドレール
31 ドア
33 持ち手
35 掛け具
36 固定穴
41 施錠装置
43 操作部
44 機器箱
46 受信器
47 テンキー
48 カギ穴
49 カバー
55 センサー
56 施錠手段(カンヌキ)