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  • 特開-制振材及び制振材の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114108
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】制振材及び制振材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/18 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B32B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019548
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】丹下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】安田 賢司
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK01B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB00B
4F100CB03B
4F100DD01B
4F100DJ01B
4F100EJ82B
4F100JH02
(57)【要約】
【課題】従来の制振材に対して、制振性の向上を図ることが可能な制振材が求められている。
【解決手段】発明の一態様は、ベース部材と、前記ベース部材に一方の面が接着材にて固定される発泡樹脂の板状体と、を含む制振材であって、前記発泡樹脂の板状体は、他方の面に凹部を有し、前記凹部の底面と前記ベース部材との間の部分が圧縮された状態で前記接着材により固定されている制振材である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、前記ベース部材に一方の面が接着材にて固定される発泡樹脂の板状体と、を含む制振材であって、
前記発泡樹脂の板状体は、他方の面に凹部を有し、前記凹部の底面と前記ベース部材との間の部分が圧縮された状態で前記接着材により固定されている制振材。
【請求項2】
前記発泡樹脂の板状体には、前記接着材が含浸し、その含浸した部分まで前記凹部が到達している請求項1に記載の制振材。
【請求項3】
前記凹部の深さは、前記発泡樹脂の板状体の厚さの半分以上になっている請求項1又は2に記載の制振材。
【請求項4】
前記ベース部材は、非通気性である請求項1又は2に記載の制振材。
【請求項5】
前記接着材は、ホットメルト接着材である請求項1又は2に記載の制振材。
【請求項6】
ベース部材と、前記ベース部材に一方の面が接着材にて固定される発泡樹脂の板状体と、を含む制振材の製造方法であって、
前記ベース部材と前記発泡樹脂の板状体とが重ねられ、それらの間の前記接着材の固化前に前記発泡樹脂の板状体が他方側から押圧されて凹部が形成され、
前記接着材の固化により、前記凹部の底面と前記ベース部材との間の部分が圧縮された状態で固定される制振材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制振材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制振材として、発泡樹脂を含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-125889(段落[0010]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した制振材に対して、制振性の向上を図ることが可能な制振材が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の一態様は、ベース部材と、前記ベース部材に一方の面が接着材にて固定される発泡樹脂の板状体と、を含む制振材であって、前記発泡樹脂の板状体は、他方の面に凹部を有し、前記凹部の底面と前記ベース部材との間の部分が圧縮された状態で前記接着材により固定されている制振材である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】(A)第1実施形態に係る制振材の断面図、(B)制振材の拡大断面図
図2】(A)他の例の制振材の拡大断面図、(B)他の例の制振材の拡大断面図、(C)他の例の制振材の拡大断面図
図3】(A)成形型にセットされるベース部と板状体の断面図、(B)成形型により成形された制振材の断面図
図4】第2実施形態に係る制振材の断面図
図5】(A)成形型にセットされるベース部と板状体の断面図、(B)成形型により成形された制振材の断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
図1(A)に示すように、第1実施形態に係る制振材10は、振動する制振対象物91に制振材10が宛がわれる制振構造100に備えられ、制振対象物91の振動を低減する。制振材10は、ベース部材11に板状体20が固定されたものであり、制振構造100では、制振対象物91に板状体20が宛がわれるように配置される。
【0008】
本実施形態の例では、ベース部材11が、板状をなしていて(例えば樹脂製であり)、制振材10全体が板状になっている。また、板状体20は、発泡樹脂製である。そして、制振材10では、板状体20の一方の面である第1面20Aと、ベース部材11とが、接着材23(図1(B)参照)により固定されている。
【0009】
なお、制振対象物91は、特に限定されるものではなく、例えば、乗り物(例えば自動車や鉄道等の車両、船舶又は飛行機等)のボディパネル(例えば車両の車体パネル)であってもよいし、建物の壁や床や天井等を構成するパネル材であってもよい。乗り物のボディパネルとしては、例えば、ルーフパネルやフロアパネルやダッシュパネル等が挙げられる。
【0010】
板状体20は、通気性を有していることが好ましい(例えば、連続気泡構造をなしていてもよい)。板状体20が通気性を有することで、後述のように板状体20を圧縮して凹部21を形成する際に、板状体20に接着材を含浸させ易くすることができる。また、板状体20が通気性を有することで、板状体20の吸音性を高めることが可能となる。板状体20を、非通気性のものとすることもできる。板状体20は、熱硬化性樹脂の発泡体であってもよいし、熱可塑性樹脂の発泡体であってもよい。例えば、板状体20は、ポリウレタン樹脂の発泡体(例えばスラブウレタン)であってもよいし、ゴムの発泡体であってもよいし、フェノール樹脂の発泡体であってもよいし、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂の発泡体であってもよい。
【0011】
ベース部材11は、非通気性であることが好ましい。ベース部材11は、樹脂製(例えば非発泡体)であってもよいし、金属製であってもよい。樹脂製のベース部材11を構成する樹脂としては、例えば、エラストマーが挙げられ、例えば、オレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーや、ゴム等が挙げられる。ベース部材11は、積層構造をなしていてもよい。この場合、例えば、ベース部材11は、樹脂層と金属層が積層されたものであってもよい。なお、ベース部材11を、通気性を有する構成とすることもできる。また、例えば、ベース部材11として、板状体20よりも見掛け密度又は目付量が大きいものを使用してもよい。この場合、例えば、制振材10を、制振層としての板状体20と、拘束層としてのベース部材11と、を備える、いわゆる拘束型の制振材として機能させることが可能となる。
【0012】
図1(A)及び図1(B)に示すように、制振材10のうちベース部材11とは反対側の面、即ち、板状体20の他方の面である第2面20Bには、凹部21が形成されている。ここで、制振対象物91として、例えば、車両の車体パネルであって、ビード加工部や補強リブを有するもの等のように、制振材10との対向面が凸部92を有して凹凸形状をなしているものがある。制振効果を高めるためには、制振材10と制振対象物91との接触面積を大きくする必要があると考えられるが、従来のように制振対象物91への対向面が平坦な制振材では、制振対象物91の上記凹凸形状に板状体20を追従させるのが難しいという問題が生じ得る。
【0013】
これに対し、制振構造100では、制振材10を、板状体20の凹部21に、制振対象物91の凸部92が受容されるように配置することで、制振材10の第2面20Bと制振対象物91との接触面積を大きくすることが可能となり、その結果、制振対象物91に対する制振材10の制振性の向上を図ることが可能となる。さらに、制振材10の凹部21の内面が、制振対象物91の凸部92の外面に接触するように、凹部21を形成しておけば、制振材10と制振対象物91との接触面積をさらに大きくすることが可能となり、制振対象物91への制振効果のさらなる向上が期待できる。制振材10の第2面20Bのうち少なくとも凹部21以外の部分は、制振対象物91に全体的に当接することが好ましい。
【0014】
凹部21の深さは、本実施形態の例では、板状体20の厚さの半分以上(例えば3分の2以上)になっているが、板状体20の厚さの半分未満になっていてもよい。また、凹部21は、第2面20Bに、1つだけ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。例えば、凹部21の形状や個数は、制振対象物91の凸部92に対応して設計される。
【0015】
なお、制振構造100において、凹部21は、制振対象物91の凸部92を受容するものでなくてもよく、例えば、制振対象物91(例えば制振材10との対向面が平坦なもの等)側からの音の防音(例えば吸音)のため等で、制振対象物91との間の一部に隙間を形成するためのものであってもよい。
【0016】
ここで、発泡樹脂の板状体20に凹部21を形成する方法として、例えば板状体20を加熱した状態で、圧縮する成形方法が考えられる。この場合、板状体20が発泡樹脂製で復元力が働くため、凹部21を圧縮された形状に保持するのが難しくなる(例えば圧縮成形後に凹部21が浅くなる)という問題が生じ得る。特に、板状体20が熱硬化性樹脂製である場合、熱成形による賦形が難しくなるという問題が生じ得る。
【0017】
これに対し、本実施形態の制振材10では、図1(B)に示すように、板状体20のうち凹部21の底面21Mとベース部材11との間の部分が、圧縮された状態で接着材23により固定されている。具体的には、本実施形態の例では、板状体20の凹部21の底部分に接着材23が含浸していて、その含浸した接着材23が硬化することで、板状体20が圧縮状態に固定されている。板状体20のうち接着材23が含浸して硬化した部分である含浸部22は、凹部21の底部分以外の部分に形成されていてもよい(含浸部22は、灰色で図示されている)。本実施形態では、含浸部22は、板状体20において凹部21の底部分で最も厚くなっていて、例えば、板状体20のうち圧縮された程度が大きい部分ほど(言い換えれば板状体20の厚みが薄い部分ほど)、含浸部22が厚くなっている。なお、本実施形態の例では、板状体20が圧縮されることで、板状体20において厚み方向から見て凹部21と重なる部分は、凹部21と重ならない部分に比べて、見掛け密度が高くなっている。
【0018】
本実施形態の制振材10では、図2(A)及び図2(B)に示すように、例えば、板状体20は、接着材23が含浸した部分である層状の含浸部22を形成し、凹部21が含浸部22まで到達しているものであってもよい。この場合、図2(A)に示すように、含浸部22が、板状体20のうち凹部21の底面21Mと第1面20Aとの間に形成されていてもよいし、図2(B)に示すように、凹部21の底面21Mよりも第2面20B側まで形成されていてもよい(言い換えれば、凹部21が含浸部22の内部まで到達していてもよい)。なお、図2(C)に示すように、凹部21が、含浸部22まで到達しない浅さであってもよい。この場合でも、板状体20における凹部21の底面と第1面20Aとの間の部分のうち、少なくとも第1面20A側の部分を、含浸した接着材23により圧縮状態に固定することが可能となる。
【0019】
なお、接着材23としては、ホットメルト接着材、熱硬化性接着材(例えば、ウレタン系接着材等)、二液混合型の接着材、湿気硬化型の接着材、嫌気硬化型の接着材、紫外線硬化型の接着材等が挙げられる。
【0020】
本実施形態の制振材10は、例えば、以下のようにして製造される。本実施形態の例では、制振材10は、加熱プレス成形品である。まず、図3(A)に示すように、ベース部材11が用意されると共に、平坦面を両面に有するプレス前の板状体20S(例えばスラブウレタンのカット品等)が用意される。この板状体20Sの一方の面である第1面20Aには、接着材23(例えばホットメルト接着材)が塗布される。そして、板状体20Sの第1面20Aには、ベース部材11が重ねられる。なお、接着材23は、ベース部材11における板状体20との対向面に塗布されてもよい。
【0021】
図3(A)には、加熱プレス成形用の成形型70が示されている。成形型70には、互いに接近、離隔する上型71と下型72とが備えられ、それらが予め温調されている。例えば、上型71の成形面は平坦になっている。また、下型72の成形面には、凹部21を成形するための成形凸部72Tが設けられている。なお、ベース部材11を制振対象物91の形状に合わせて成形する場合は、例えば、ベース部材11を真空成形できるように、上型71に真空引き用の孔が設けられる。
【0022】
そして、板状体20Sとベース部材11が、ベース部材11が上側になるようにして上型71と下型72の間にセットされ、それらが上型71と下型72によって加熱プレス成形される。このとき、板状体20Sとベース部材11との間の接着材23の固化前に、板状体20Sが第2面20B側から(下側から)押圧されて凹部21が形成され、凹部21を有する板状体20が形成される。また、このとき、固化前の接着材23が、板状体20内に含浸する。そして、接着材23の固化により、板状体20のうち凹部21の底面21Mとベース部材11との間の部分が圧縮された状態で固定されると共に、板状体20とベース部材11とが互いに固定されて一体化し、制振材10が形成される(図3(B)参照)。なお、板状体20Sがプレス成形される際、板状体20Sのうち成形凸部72Tと重なる部分は、成形凸部72Tによって押しつぶされて、他の部分よりも圧縮されることになるので、圧力で接着材23を板状体20Sに含浸させ易くすることが可能となり、含浸部22を厚くすることが可能となる。ここで、粘度が高い接着材23ほど(例えばホットメルト接着材等)、板状体20Sに含浸させ難くなるが、本実施形態の製造方法によれば、成形凸部72Tで押圧することで、このように粘度が高い接着材23でも、含浸部22を容易に形成することが可能となる。なお、例えば、板状体20Sとベース部材11の間の接着材23の塗布量を均一にすると、板状体20においてプレス成形により圧縮される程度が大きい部分ほど(言い換えれば板状体20の厚みが薄くなる部分ほど)、接着材23を含浸させて含浸部22を厚く形成することが可能となる。例えば、このようにすることで、含浸部22の厚みを板状体20のうち凹部21の底部分において他の部分よりも厚くすることが可能となる(図1(B)参照)。
【0023】
なお、上記プレス成形は、加熱しないプレス成形とすることもできる。接着材23に応じて成形温度を設定すればよい。また、制振材10は、制振対象物91における制振材10との対向面に応じた形状に成形されればよく、全体的に、フラットな形状に成形されていてもよいし、湾曲した形状に成形されてもよい。制振材10を湾曲した形状に成形する場合、ベース部材11を加熱して上型で真空成形を行いながら板状体20に固定してもよい。以上が、制振材10の製造方法についての説明である。
【0024】
上述のように、本実施形態の制振材10では、板状体20に凹部21が形成されるので、制振対象物91の凹凸面に制振材10が宛がわれる場合でも、その凹凸面の凸部92が板状体20の凹部21に受容されるように制振材10を配置することで、従来のように制振対象物91への対向面が平坦な板状体を制振対象物91の凹凸面に宛がう場合に比べて、板状体20と制振対象物91との接触面積を大きくすることが可能となる。その結果、制振対象物91への制振材10による制振性能の向上を図ることが可能となる。
【0025】
また、板状体20が発泡樹脂製であるので、板状体20を圧縮させることで凹部を形成する場合に、発泡樹脂の復元力のため、凹部21の形状の保持が難しくなる(例えば凹部21が浅くなる)という問題が生じ得る。これに対し、本実施形態の制振材10では、板状体20のうち凹部21の底面21Mとベース部材11との間の部分が、圧縮された状態で接着材23により固定されている。従って、接着材23により、発泡樹脂の圧縮箇所の復元を抑制することが可能となる。
【0026】
また、板状体20を圧縮状態で固定する接着材23として、板状体20とベース部材11を一体化する接着材23を用いるので、別の接着材を用いる場合よりも、制振材10の製造を容易にすることが可能となる。
【0027】
また、板状体20のうち、凹部21が設けられて周囲よりも薄くなった部分に、接着材23が含浸して硬化していることで、その薄くなった部分の強度の低下を抑制することが可能となる。特に、板状体20のうち、圧縮による潰し量が大きい部分ほど、接着材23が含浸し易くなり、上記薄くなった部分の強度の低下をより抑制可能となる。また、板状体20のうち、上記薄くなる部分には、周囲よりも多めに接着材23を塗布しておいてもよい。
【0028】
[第2実施形態]
図4には、第2実施形態の制振材10が示されている。本実施形態の制振材10では、制振材10におけるベース部材11側の表面のうち、厚み方向で凹部21と重なる部分に、隆起部12が形成されている点が、上記第1実施形態の制振材10と異なっている。また、板状体20の第1面20Aのうち、厚み方向で凹部21と重なる部分も、ベース部材11側に隆起している。このような隆起部12は、図5(A)及び図5(B)に示すように、成形型70の上型71の成形面に、成形凹部71Uを形成しておくことで形成することができる。本実施形態のその他の構成については、上記第1実施形態と同様である。本実施形態の制振材10によっても、上記第1実施形態の制振材10と同様の効果を奏することが可能となる。
【0029】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、接着材23が、板状体20に含浸していたが、例えば、接着材23が板状体20の表面を覆って固化し、板状体20が圧縮された状態に固定されてもよい。
【0030】
(2)上記実施形態では、ベース部材11が板状をなしていたが、これに限定されるものではなく、例えば、直方体状等のようにブロック状をなしていてもよい。
【0031】
<付記>
以下、上記実施形態及び実施例から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0032】
例えば、以下の特徴群は、制振材に関し、「従来の制振材として、発泡樹脂を含むものが知られている(例えば、特開2022-125889(段落[0010]等)。」という背景技術について、「上述した制振材に対して、制振性の向上を図ることが可能な制振材が求められている。」という課題をもって想到されたものと考えることができる。また、従来から、新規な制振技術や新規な制振材、新規な制振材の製造方法が求められている。
【0033】
[特徴1]
ベース部材と、前記ベース部材に一方の面が接着材にて固定される発泡樹脂の板状体と、を含む制振材であって、
前記発泡樹脂の板状体は、他方の面に凹部を有し、前記凹部の底面と前記ベース部材との間の部分が圧縮された状態で前記接着材により固定されている制振材。
【0034】
本特徴では、板状体に凹部が形成されるので、制振対象物の凹凸面に制振材が宛がわれる場合でも、その凹凸面の凸部が板状体の凹部に受容されるように制振材を配置することで、従来のように平坦な板状体を制振対象物の凹凸面に宛がう場合に比べて、板状体と制振対象物との接触面積を大きくすることが可能となる。その結果、制振対象物への制振材による制振性能の向上を図ることが可能となる。また、板状体が発泡樹脂製であるので、板状体を圧縮させることで凹部を形成する場合に、発泡樹脂の復元力のため、凹部の形状の保持が難しくなる(例えば凹部が浅くなる)という問題が生じ得る。これに対し、本特徴では、板状体のうち凹部の底面とベース部材との間の部分が、圧縮された状態で接着材により固定されている。従って、接着材により、発泡樹脂の圧縮箇所の復元を抑制することが可能となる。
【0035】
[特徴2]
前記発泡樹脂の板状体には、前記接着材が含浸し、その含浸した部分まで前記凹部が到達している特徴1に記載の制振材。
【0036】
[特徴3]
前記凹部の深さは、前記発泡樹脂の板状体の厚さの半分以上になっている特徴1又は2に記載の制振材。
【0037】
[特徴4]
前記ベース部材は、非通気性である特徴1から3の何れか1の特徴に記載の制振材。
【0038】
[特徴5]
前記接着材は、ホットメルト接着材である特徴1から4の何れか1の特徴に記載の制振材。
【0039】
[特徴6]
特徴1から5の何れか1の特徴に記載の制振材を備え、振動する部材(制振対象物91)に前記板状体が宛がわれている制振構造。
【0040】
[特徴7]
前記板状体の前記凹部が、前記振動する部材に設けられた凸部を受容している特徴6に記載の制振構造。
【0041】
[特徴8]
ベース部材と、前記ベース部材に一方の面が接着材にて固定される発泡樹脂の板状体と、を含む制振材の製造方法であって、
前記ベース部材と前記発泡樹脂の板状体とが重ねられ、それらの間の前記接着材の固化前に前記発泡樹脂の板状体が他方側から押圧されて凹部が形成され、
前記接着材の固化により、前記凹部の底面と前記ベース部材との間の部分が圧縮された状態で固定される制振材の製造方法。
【0042】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0043】
10 制振材
11 ベース部材
20 板状体
21 凹部
23 接着材
図1
図2
図3
図4
図5