(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114114
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】積層構造体、半導体装置、電子機器及びシステム
(51)【国際特許分類】
B32B 9/00 20060101AFI20240816BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20240816BHJP
H01L 29/24 20060101ALI20240816BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20240816BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240816BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240816BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240816BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240816BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20240816BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240816BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240816BHJP
H01L 21/368 20060101ALI20240816BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20240816BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B32B9/00 A
C23C16/40
H01L29/24
H01L29/86 301D
H01L29/86 301E
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 655A
H01L29/86 301F
H01L29/91 K
H01L29/48 D
H01L29/91 F
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L21/205
H01L21/368 Z
H01L29/80 H
H01L29/80 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019595
(22)【出願日】2023-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】723001900
【氏名又は名称】Patentix株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(72)【発明者】
【氏名】金子 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 友紀
(72)【発明者】
【氏名】菊池 瑛嗣
(72)【発明者】
【氏名】服部 太政
(72)【発明者】
【氏名】衣斐 豊祐
【テーマコード(参考)】
4F100
4K030
4M104
5F045
5F053
5F102
【Fターム(参考)】
4F100AA17
4F100AA17A
4F100AA19
4F100AA19A
4F100AA26
4F100AA26B
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4F100GB41
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4K030BA42
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4M104AA10
4M104CC01
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4M104GG18
5F045AA03
5F045AB40
5F045AC14
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5F053AA50
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5F053RR03
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5F102GJ01
5F102GJ10
5F102GL01
5F102GM01
5F102GQ01
5F102HC11
(57)【要約】
【課題】半導体装置等に有用な優れた結晶性を有する積層構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】結晶基板上にGeO
2を含む結晶性酸化物膜が積層されている積層構造体であって、前記結晶基板がM
2O
3(式中Mは周期律表第13族金属を示す)を主成分として含み、前記結晶性酸化物膜が三方晶(Trigonal)の結晶構造を有している積層構造体を用いて、例えば、半導体装置等に適用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶基板上にGeO2を含む結晶性酸化物膜が積層されている積層構造体であって、前記結晶基板がM2O3(式中Mは周期律表第13族金属を示す)を主成分として含むことを特徴とする積層構造体。
【請求項2】
前記結晶性酸化物膜が三方晶(Trigonal)の結晶構造を有している請求項1記載の積層構造体。
【請求項3】
前記結晶基板がAl2O3を主成分とする請求項1記載の積層構造体。
【請求項4】
前記結晶性基板がサファイア基板である請求項1記載の積層構造体。
【請求項5】
前記結晶性酸化物膜が100mm2以上の面積を有する請求項1記載の積層構造体。
【請求項6】
前記面積が、c面である請求項2記載の積層構造体。
【請求項7】
前記結晶性酸化物膜が単結晶膜である請求項1記載の積層構造体。
【請求項8】
膜厚が、2μm以上である請求項1記載の積層構造体。
【請求項9】
結晶性酸化物半導体を含む半導体装置であって、前記結晶性酸化物半導体が、GeO2を主成分として含み、かつ三方晶(Trigonal)の結晶構造を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
パワーデバイスである請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
ショットキーバリアダイオード(SBD)、ジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、接合電界効果トランジスタ(JFET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)または発光ダイオード(LED)である請求項9記載の半導体装置。
【請求項12】
半導体装置を含む電子機器であって、前記半導体装置が請求項9記載の半導体装置であることを特徴とする電子機器。
【請求項13】
電子機器を含むシステムであって、前記電子機器が、請求項12記載の電子機器であることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に有用な積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、α-Ga2O3、AlGaN、ダイヤモンドは、将来のパワーエレクトロニクス・デバイスに有望な超ワイドバンドギャップ(UWBG)半導体として活発に研究されている。
【0003】
近年においては、新規なUWBG半導体(バンドギャップが4.44-4.68eV)としてルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO2)が研究されており、また、n型及びp型半導体が実現可能であるため、UWBG半導体として期待されている(非特許文献1)。しかしながら、UWBG半導体は、製造コストが高く、r-GeO2も基板のコスト削減が見込まれているが、結晶性等において、まだまだ満足のいくものではなく、そのため、例えば、安価なサファイア基板で結晶を製造することができるような方策が待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Takane, K. Kaneko, “Establishment of a growth route of crystallized rutile GeO2 thin film (≧ 1 mm/h) and its structural properties” Applied Physics Letters Vol.119, pp.062104(1-6) (2021).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体装置等に有用な優れた結晶性を有する積層構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、結晶基板上にGeO2を含む結晶性酸化物膜が積層されている積層構造体であって、前記結晶基板がM2O3(式中Mは周期律表第13族金属を示す)を主成分として含む積層構造体が、低コストで容易に製造でき、優れた結晶性等を持ち、半導体装置等に有用であることを知見し、このような積層構造体が、上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 結晶基板上にGeO2を含む結晶性酸化物膜が積層されている積層構造体であって、前記結晶基板がM2O3(式中Mは周期律表第13族金属を示す)を主成分として含むことを特徴とする積層構造体。
[2] 前記結晶性酸化物膜が三方晶(Trigonal)の結晶構造を有している前記[1]記載の積層構造体。
[3] 前記結晶基板がAl2O3を主成分とする前記[1]記載の積層構造体。
[4] 前記結晶性基板がサファイア基板である前記[1]記載の積層構造体。
[5] 前記結晶性酸化物膜が100mm2以上の面積を有する前記[1]記載の積層構造体。
[6] 前記面積が、c面である前記[2]記載の積層構造体。
[7] 前記結晶性酸化物膜が単結晶膜である前記[1]記載の積層構造体。
[8] 膜厚が、2μm以上である前記[1]記載の積層構造体。
[9] 結晶性酸化物半導体を含む半導体装置であって、前記結晶性酸化物半導体が、GeO2を主成分として含み、かつ三方晶(Trigonal)の結晶構造を有することを特徴とする半導体装置。
[10] パワーデバイスである前記[9]記載の半導体装置。
[11] ショットキーバリアダイオード(SBD)、ジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、接合電界効果トランジスタ(JFET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)または発光ダイオード(LED)である前記[9]記載の半導体装置。
[12] 半導体装置を含む電子機器であって、前記半導体装置が前記[9]記載の半導体装置であることを特徴とする電子機器。
[13] 電子機器を含むシステムであって、前記電子機器が、前記[12]記載の電子機器であることを特徴とするシステム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層構造体は、半導体装置等に有用であり、優れた結晶性を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明において好適に用いられる成膜装置(ミストCVD)の概略構成図である。
【
図2】試験例におけるXRD解析結果を示す図である。
【
図4】本発明のショットキーバリアダイオード(SBD)の好適な一例を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の高電子移動度トランジスタ(HEMT)の好適な一例を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の好適な一例を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の接合電界効果トランジスタ(JFET)の好適な一例を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)の好適な一例を模式的に示す図である。
【
図9】本発明の発光素子(LED)の好適な一例を模式的に示す図である。
【
図10】本発明のジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)の好適な一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の積層構造体は、結晶基板上にGeO2を含む結晶性酸化物膜が積層されている積層構造体であって、前記結晶基板がM2O3(式中Mは周期律表第13族金属を示す)を主成分として含んでいれば特に限定されない。前記周期律表第13金属としては、例えば、Al、Ga又はInなどが挙げられる。本明細書においては、「膜」を「層」と読み替えることができる。「積層構造体」とは、一層以上の結晶層を含む構造体であり、結晶層以外の層(例:アモルファス層)を含んでいてもよい。また、結晶層は、単結晶層であることが好ましいが、多結晶層であってもよい。
【0011】
本発明において、前記結晶性酸化物膜が三方晶(Trigonal)の結晶構造を有しているのが好ましい。前記積層構造体の面積が1mm2以上の面積を有しているのが好ましく、100mm2以上の面積を有しているのがより好ましい。前記面積は、本発明の目的を阻害しない限り、結晶面など特に限定されないが、本発明においては、c面であるのが好ましい。本発明において、前記結晶性酸化物膜が単結晶膜であるのが好ましい。また、前記結晶性酸化物膜の膜厚は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、本発明においては、1μm以上であるのが好ましく、2μm以上であるのがより好ましい。これら好ましい範囲によれば、半導体膜として、耐圧をより良好なものとすることができる。
【0012】
前記積層構造体は、好ましくは、三方晶(Trigonal)の結晶構造を有する結晶基板の結晶成長面に、スクラッチ状の凹凸形状を形成し、次いで、ミストCVD法により、GeO2膜及びその混晶を製膜することにより、容易に得ることができる。なお、公知のミストCVD法を用いたドーピングを適宜行うことも可能である。ドーピングされた前記結晶性酸化物膜は、半導体膜又は半導体層として好適に用いることができ、n型ドーパント又はp型ドーパントを酸化半導体における従来のドーピング手段に適用することができる。また、前記結晶基板は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、本発明においてはAl2O3を主成分とする基板であるのが好ましく、また、サファイア基板であるのがより好ましい。このような好ましい範囲によれば、製造容易性をより向上させることができ、より良好な結晶性を有し、また、半導体装置等により容易に適用可能となる。
【0013】
前記積層構造体は、そのままで又は基板の剥離等の公知の加工処理手段が施された後に、公知の手段を用いて、例えば、半導体装置に用いられる。前記半導体装置としては、例えば、ショットキーバリアダイオード(SBD)、ジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、接合電界効果トランジスタ(JFET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)または発光ダイオード(LED)などが挙げられる。また、これら半導体装置が搭載されたモジュール、及びこれら半導体装置を備えた電子機器及びその部品のいずれであってもよく、様々な用途に有用であり、とりわけ、パワーデバイスに適用されるのが好ましい。前記半導体装置は、電極が半導体層の片面側に形成された横型の素子(横型デバイス)と、半導体層の表裏両面側にそれぞれ電極を有する縦型の素子(縦型デバイス)に分類することができ、本発明においては、前記半導体装置を横型デバイスにも縦型デバイスにも好適に用いることができる。
【0014】
以下、本発明において好適に用いられる半導体装置の例を図面を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれら例示に限定されるものではない。なお、前記積層構造体におけるGeO2を主成分として含む結晶性酸化物層を半導体層として用いた場合の好適な例を以下に示す。
【0015】
図4は、n-型半導体層101a、n+型半導体層101b、p型半導体層102、金属層103、絶縁体層104、ショットキー電極105aおよびオーミック電極105bを備えているショットキーバリアダイオード(SBD)の好適な一例を示す。なお、金属層103は、例えばAl等の金属からなり、ショットキー電極105aを覆っている。
【0016】
図5は、バンドギャップの広いn型半導体層121a、バンドギャップの狭いn型半導体層121b、n+型半導体層121c、p型半導体層123、ゲート電極125a、ソース電極125b、ドレイン電極125cおよび基板129を備えている高電子移動度トランジスタ(HEMT)の好適な一例を示す。
【0017】
図6は、n-型半導体層131a、第1のn+型半導体層131b、第2のn+型半導体層131c、p型半導体層132、p+型半導体層132a、ゲート絶縁膜134、ゲート電極135a、ソース電極135bおよびドレイン電極135cを備えている金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の好適な一例を示す。なお、p+型半導体層132aは、p型半導体層であってもよく、p型半導体層132と同じであってもよい。
【0018】
図7は、n-型半導体層141a、第1のn+型半導体層141b、第2のn+型半導体層141c、p型半導体層142、ゲート電極145a、ソース電極145bおよびドレイン電極145cを備えている接合電界効果トランジスタ(JFET)の好適な一例を示す。
【0019】
図8は、n型半導体層151、n-型半導体層151a、n+型半導体層151b、p型半導体層152、ゲート絶縁膜154、ゲート電極155a、エミッタ電極155bおよびコレクタ電極155cを備えている絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)の好適な一例を示す。
【0020】
(LED)
本発明の半導体装置が発光ダイオード(LED)である場合の一例を
図9に示す。
図9の半導体発光素子は、第2の電極165b上にn型半導体層161を備えており、n型半導体層161上には、発光層163が積層されている。そして、発光層163上には、p型半導体層162が積層されている。p型半導体層162上には、発光層163が発生する光を透過する透光性電極167を備えており、透光性電極167上には、第1の電極165aが積層されている。なお、
図9の半導体発光素子は、電極部分を除いて保護層で覆われていてもよい。
【0021】
透光性電極の材料としては、インジウム(In)またはチタン(Ti)を含む酸化物の導電性材料などが挙げられる。より具体的には、例えば、In2O3、ZnO、SnO2、Ga2O3、TiO2、CeO2またはこれらの2以上の混晶またはこれらにドーピングされたものなどが挙げられる。これらの材料を、スパッタリング等の公知の手段で設けることによって、透光性電極を形成できる。また、透光性電極を形成した後に、透光性電極の透明化を目的とした熱アニールを施してもよい。
【0022】
図9の半導体発光素子によれば、第1の電極165aを正極、第2の電極165bを負極とし、両者を介してp型半導体層162、発光層163およびn型半導体層161に電流を流すことで、発光層163が発光するようになっている。
【0023】
第1の電極165a及び第2の電極165bの材料としては、例えば、Al、Mo、Co、Zr、Sn、Nb、Fe、Cr、Ta、Ti、Au、Pt、V、Mn、Ni、Cu、Hf、W、Ir、Zn、In、Pd、NdもしくはAg等の金属またはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物導電膜、ポリアニリン、ポリチオフェン又はポリピロ-ルなどの有機導電性化合物、またはこれらの混合物などが挙げられる。電極の成膜法は特に限定されることはなく、印刷方式、スプレー法、コ-ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ-ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。
【0024】
図10は、本発明の好適な実施態様の一つであるジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)の主要部を示す。
図10のJBSは、オーミック電極1020、n-型半導体層1010a、n+型半導体層1010b、ショットキー電極1030、電界緩和領域1060を備えている。また、ショットキー電極1030は、金属層1030a、金属層1030bおよび金属層1030cから構成されている。
図10の半導体装置は、第2の電極層としての金属層1030aおよび/または金属層1030bの外端部が、第1の電極層としての金属層1030cの外端部よりも外側に位置している。また、
図10の半導体装置においては、電界緩和領域1060の領域が、前記第2の電極層のうち前記第1の電極層の外端部よりも外側に位置する部分の少なくとも一部、および第2の電極の外端部と、平面らに、少なくとも2以上の電界緩和領域1060を備えている。また、
図10の半導体装置において、前記電界緩和領域1060は、p型半導体で構成されており、n-型半導体層1010aとの間でPN接合を形成している。
【0025】
図10の各層の形成手段は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知の手段であってよい。例えば、真空蒸着法やCVD法、スパッタ法、各種コーティング技術により成膜した後、フォトリソグラフィー法によりパターニングする手段、または印刷技術などを用いて直接パターニングを行う手段などが挙げられる。
【実施例0026】
(実施例1)
図1を用いて、本実施例で用いたCVD装置19を説明する。CVD装置19は、下地基板等の被成膜試料20を載置する試料台21と、キャリアガス3を供給するキャリアガス源22と、キャリアガス源22から送り出されるキャリアガス3の流量を調節するための流量調節弁23と、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる成膜室27と、成膜室27の周辺部に設置されたヒータ28を備えている。試料台21は、石英からなり、被成膜試料20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室27と試料台21をどちらも石英で作製することにより、被成膜試料20上に形成される薄膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。
【0027】
次に、c面サファイア基板の基板表面を溝加工によって凹凸を形成した。被成膜試料20として、1辺が10mmの正方形で厚さ600μmの凹凸c面サファイア基板を試料台21上に設置させ、ヒータ28を作動させて成膜室27内の温度を750℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23を開いてキャリアガス源22からキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5L/minに調節した。キャリアガスとしては、酸素ガスを用いた。
【0028】
次に、超音波振動子26を振動させ、その振動を水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、成膜室27内で反応して、被成膜試料20の成膜面でのCVD反応によって被成膜試料20上に薄膜を形成した。
【0029】
得られた薄膜を、X線回折装置を用いて、薄膜を測定した。
図2にXRD解析結果を示す。
図2から明らかなように、得られた薄膜は三方晶(Trigonal)であるGeO
2結晶膜であり、安価なサファイア基板上に良好な結晶性を有するGeO
2結晶が形成されていた。
【0030】
また、得られた薄膜の表面を、SEMを用いて観察した。
図3にSEM像を示す。
図3から明らかなように、表面平滑性に優れ、良好な結晶性を有するGeO
2結晶が形成されていた。
【0031】
(実施例2)
結晶成長基板として、c面サファイア基板をm面サファイア基板に代えて用いたこと以外、実施例1と同様にして薄膜を形成した。得られた薄膜をXRD解析及びSEMを用いて観察したところ、良好な結晶性を有するGeO2結晶の形成が確認できた。