(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114128
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】経口組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20240816BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240816BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240816BHJP
A23L 2/68 20060101ALI20240816BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240816BHJP
【FI】
A23L5/00 K
A23L2/52
A23L2/00 B
A23L2/00 D
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019637
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142594
【弁理士】
【氏名又は名称】阪中 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100090686
【弁理士】
【氏名又は名称】鍬田 充生
(72)【発明者】
【氏名】坪田 潤
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雅行
(72)【発明者】
【氏名】勝矢 祥平
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE04
4B018LE05
4B018LE06
4B018MD08
4B018ME14
4B035LC01
4B035LC06
4B035LC16
4B035LE01
4B035LE03
4B035LE20
4B035LG04
4B035LK19
4B035LP21
4B117LC03
4B117LC04
4B117LK06
4B117LK08
4B117LL09
(57)【要約】
【課題】1,3-ブタンジオールを含んでいても、嗜好性または服用性に優れる経口組成物を提供する。
【解決手段】経口で摂取するための経口組成物として1,3-ブタンジオールと3-ヒドロキシ酪酸とを組み合わせる。前記3-ヒドロキシ酪酸の割合は、前記1,3-ブタンジオール100質量部に対して1~100質量部であってもよい。前記1,3-ブタンジオールは、R-1,3-ブタンジオールを含んでいてもよい。前記3-ヒドロキシ酪酸は、R-3-ヒドロキシ酪酸を含んでいてもよい。前記経口組成物は、さらに水を含んでいてもよい。前記経口組成物は、液状または半固形状組成物であってもよい。前記経口組成物は、飲料であってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口で摂取するための組成物であって、1,3-ブタンジオールおよび3-ヒドロキシ酪酸を含む、経口組成物。
【請求項2】
前記3-ヒドロキシ酪酸の割合が、前記1,3-ブタンジオール100質量部に対して1~100質量部である請求項1記載の経口組成物。
【請求項3】
前記1,3-ブタンジオールがR-1,3-ブタンジオールを含む請求項1または2記載の経口組成物。
【請求項4】
前記3-ヒドロキシ酪酸がR-3-ヒドロキシ酪酸を含む請求項1または2記載の経口組成物。
【請求項5】
さらに水を含む請求項1または2記載の経口組成物。
【請求項6】
液状または半固形状組成物である請求項1または2記載の経口組成物。
【請求項7】
飲料である請求項1または2記載の経口組成物。
【請求項8】
3-ヒドロキシ酪酸を有効成分とする、矯味剤。
【請求項9】
1,3-ブタンジオールの苦みを低減するための矯味剤である請求項8記載の矯味剤。
【請求項10】
1,3-ブタンジオールに3-ヒドロキシ酪酸を配合し、前記1,3-ブタンジオールの苦みを低減する方法。
【請求項11】
3-ヒドロキシ酪酸の酸味を低減するための矯味剤であって、1,3-ブタンジオールを有効成分とする矯味剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,3-ブタンジオールを含む経口組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
3-ヒドロキシ酪酸(以下、単に「3HB」と称する場合がある)は、人の体内に存在する物質であり、糖質に代わる画期的なエネルギー源として期待されている。また、3HBは、単なるエネルギー源という役割だけでなく、認知機能の改善や、長期持続記憶の向上、アルツハイマー病の予防に有効であることも確認されている。このような3HBは、1,3-ブタンジオールを摂取することにより肝臓で酸化されて生成させることもできる。1,3-ブタンジオールは、天然には存在しない化合物であるが、体内で3HBに変換されるため、栄養組成物としての利用も提案されている。
【0003】
例えば、米国特許第4997976号明細書(特許文献1)には、静脈栄養などの非経口で利用される栄養素として、1,3-ブタンジオールのアセト酢酸エステルを使用することが開示されている。
【0004】
また、1,3-ブタンジオールを含むケトン体飲料もHVMN社などから販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1,3-ブタンジオールは、体内で3HBに変換されるため、経口で摂取しても、エネルギー源などの3HBとしての機能が期待できる。しかし、1,3-ブタンジオールやそのエステルは苦味が強いため、経口摂取には適しておらず、飲料などとして利用する場合には、嗜好性または服用性が低い問題点を有していた。一方、3HBは、酸の形態では酸味が極めて強く、経口での摂取が困難であるため、通常、塩の形態で利用される。すなわち、3HBの機能を経口摂取で発現させるためには、1,3-ブタンジオールおよび3HBのいずれにおいても嗜好性または服用性を向上させる必要があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、1,3-ブタンジオールを含んでいても、嗜好性または服用性に優れる経口組成物およびその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、1,3-ブタンジオールと3-ヒドロキシ酪酸とを組み合わせることにより、1,3-ブタンジオールを含んでいても、経口での摂取における嗜好性または服用性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の態様[1]としての経口組成物は、経口で摂取するための組成物であって、1,3-ブタンジオールおよび3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0010】
本発明の態様[2]は、前記態様[1]において、前記3-ヒドロキシ酪酸の割合が、前記1,3-ブタンジオール100質量部に対して1~100質量部である態様である。
【0011】
本発明の態様[3]は、前記態様[1]または[2]において、前記1,3-ブタンジオールがR-1,3-ブタンジオールを含む態様である。
【0012】
本発明の態様[4]は、前記態様[1]~[3]のいずれかの態様において、前記3-ヒドロキシ酪酸がR-3-ヒドロキシ酪酸を含む態様である。
【0013】
本発明の態様[5]は、前記態様[1]~[4]のいずれかの態様の経口組成物が、さらに水を含む態様である。
【0014】
本発明の態様[6]は、前記態様[1]~[5]のいずれかの態様の経口組成物が、液状または半固形状組成物である態様である。
【0015】
本発明の態様[7]は、前記態様[1]~[6]のいずれかの態様の経口組成物が、飲料である態様である。
【0016】
本発明には、態様[8]として、3-ヒドロキシ酪酸を有効成分とする、矯味剤も含まれる。
【0017】
本発明の態様[9]は、前記態様[8]の矯味剤が、1,3-ブタンジオールの苦みを低減するための矯味剤である態様である。
【0018】
本発明には、態様[10]として、1,3-ブタンジオールに3-ヒドロキシ酪酸を配合し、前記1,3-ブタンジオールの苦みを低減する方法も含まれる。
【0019】
本発明には、態様[11]として、3-ヒドロキシ酪酸の酸味を低減するための矯味剤であって、1,3-ブタンジオールを有効成分とする矯味剤も含まれる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、1,3-ブタンジオールと3-ヒドロキシ酪酸とを組み合わせているため、1,3-ブタンジオールを含んでいても、経口での摂取における嗜好性または服用性を向上できる。すなわち、苦味が強い1,3-ブタンジオールに対して、酸味が強い3HBでマスキングし、嗜好性または服用性を向上できるとともに、3HBの配合によって1,3-ブタンジオールの摂取量を抑制できるため、嗜好性または服用性をより向上できる。そのため、経口組成物が飲料である場合は飲み易い飲料を提供できる。さらに、3HBの供給源として酸の形態の3HBおよび1,3-ブタンジオールを用いるため、3HBの塩の摂取量を低減でき、塩分の摂取過多を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施例1~4および比較例1~2で得られた飲料の官能評価結果を示すレーダーチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[経口組成物]
本発明の経口組成物は、1,3-ブタンジオールおよび3-ヒドロキシ酪酸を含み、いずれも生体内で生理活性物質として機能する両者を組み合わせることにより、いずれも嗜好性が極めて低い生理活性物質であるにも拘わらず、それぞれの苦味および酸味を低減して、嗜好性または服用性を向上できる。
【0023】
(1,3-ブタンジオール)
1,3-ブタンジオールは、光学異性体(R体またはS体)であってもよく、ラセミ体であってもよいが、生体内で生体適合性の高いR-3-ヒドロキシ酪酸[以下「(R)3HB」と称する場合がある]を生成できる点から、R体(R-1,3-ブタンジオール)を少なくとも含むのが好ましい。
【0024】
1,3-ブタンジオール中のR体の割合、特に、光学純度(鏡像体または光学異性体過剰率)は、例えば50%e.e.以上(例えば80%e.e.以上)、好ましくは90%e.e.以上(例えば95~100%e.e.)、さらに好ましくは98~100%e.e.(例えば99~100%e.e.)、特に実質的に100%e.e.である。光学純度が低すぎると、生体適合性が低下する虞がある。
【0025】
また、R体と、S体および/またはラセミ体とを組み合わせて使用してもよいが、1,3-ブタンジオール中のR体の質量割合は10質量%以上が好ましく、さらに好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。R体の割合が多いと、生体内で(R)3HBを効率的に生成できる。
【0026】
(3-ヒドロキシ酪酸)
前記1,3-ブタンジオールは苦味が強いため、経口での嗜好性または服用性が極めて低い化合物である一方で、3HBは極めて酸味が強く、経口での嗜好性または服用性が極めて低い化合物である。本発明では、このような嗜好性または服用性が低い両化合物を組み合わせることにより、相乗的な効果を発現し、両者を組み合わせた組成物の嗜好性または服用性を向上できる。特に、1,3-ブタンジオールの苦みおよび3HBの酸味をマイルドに低減できるだけでなく、飲料として利用した場合、梅風味のような清涼な風味を有する清涼飲料に変換できる。そのため、本発明では、3HBは、矯味剤として作用し、特に、1,3-ブタンジオールの苦みを低減するための苦味低減剤(矯味剤)として作用する。
【0027】
一方、3HB自身も強い酸味を有するため、1,3-ブタンジオールは、3HBの強い酸味を低減するための酸味低減剤(矯味剤)として作用する。
【0028】
3HB(またはBHB)は、光学異性体(R体またはS体)であってもよく、ラセミ体であってもよいが、生体適合性などの観点から、R体(R-3-ヒドロキシ酪酸)を少なくとも含むのが好ましい。3HBのうち、R体のみが生理活性成分として作用する。
【0029】
3HB中のR体の割合、特に、光学純度(鏡像体または光学異性体過剰率)は、例えば50%e.e.以上(例えば80%e.e.以上)、好ましくは90%e.e.以上(例えば95~100%e.e.)、さらに好ましくは98~100%e.e.(例えば99~100%e.e.)、特に実質的に100%e.e.である。光学純度が低すぎると、生体適合性が低下して、3HBの生理活性機能を発現させるためには、多量の3HBが必要となり、3HB濃度が高まって多量化し易くなる虞がある。
【0030】
また、R体[(R)3HB]と、S体[(S)3HB]および/またはラセミ体とを組み合わせて使用してもよいが、3HB中のR体の質量割合は10質量%以上が好ましく、さらに好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。R体の割合が多いと、生体適合性が高いため、3HBの生理活性機能を効率的に生体内で発現できる。そのため、3HBとしてラセミ体を用いた場合に比べて、組成物中における3HBの濃度を低減できる。
【0031】
3HBとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、化学合成された3HB、微生物により発酵生産した3HBなどが挙げられる。これらのうち、R体の純度が高い点から、発酵生産した3HB(発酵由来の3HB)が好ましく、バイオマス原料(生物由来の資源)を用いて微生物により発酵生産した3HBが特に好ましい。発酵由来の3HBは、発酵過程で生成するアミノ酸や有機酸(乳酸、酢酸、ピルビン酸など)などを含む3HB組成物として経口組成物に配合されてもよい。このような経口組成物は、化学合成された3HBと比べて、R体の割合が増加するだけでなく、味がまろやかになる傾向があり、飲料などの液状経口組成物として摂取し易い。
【0032】
1,3-ブタンジオールと3HBとの質量比は、3HBの割合が、1,3-ブタンジオール100質量部に対して0.1~1000質量部程度の範囲から選択でき、例えば1~100質量部、好ましくは2~50質量部、特に好ましくは3~30質量部、さらに好ましくは5~25質量部、より好ましくは8~25質量部、最も好ましくは13~20質量部である。3HBの割合が少なすぎると、苦味が強く、舌を刺激する不快感が発生する虞があり、逆に多すぎると、酸味が強く、嗜好性または服用性が低下する虞がある。
【0033】
特に、両者の質量比は、苦味を感じず、心地良い酸味を呈し、梅風味などの清涼感を醸し出せる点から、1,3-ブタンジオール/3HB=80/20~65/35が好ましく、75/25~65/35がより好ましく、73/27~67/33が最も好ましい。
【0034】
[経口組成物の形態]
本発明の経口組成物は、1,3-ブタンジオールおよび3-ヒドロキシ酪酸を含み、経口で摂取される組成物であれば、特に限定されず、食品組成物、生理活性組成物(機能性飲料、栄養補助飲料、栄養補助食品、機能性食品組成物など)、医薬組成物のいずれであってもよく、生理活性組成物が好ましい。
【0035】
(A)液状経口組成物
本発明の経口組成物の形態は、液状組成物(液剤)、固形状組成物(固形剤)、半固形状組成物(半固形剤)のいずれであってもよい。これらのうち、嗜好性または服用性に優れる特徴を生かせる点から、液状組成物、半固形状組成物が好ましく、液状組成物が特に好ましい。
【0036】
(1,3-ブタンジオールおよび3HB)
本発明の液状経口組成物は、前述の通り、1,3-ブタンジオールおよび3HBを含む。本発明の経口用液状組成物において、1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計割合は、液状組成物中1~90質量%程度の割合から選択でき、例えば5~80質量%、好ましくは10~70質量%、さらに好ましくは20~60質量%、より好ましくは30~50質量%、最も好ましくは35~45質量%である。両者の合計割合が少なすぎると、摂取量が多くなる虞があり、逆に多すぎると、嗜好性または服用性が低下する虞がある。
【0037】
(水)
本発明の経口用液状組成物は、さらに水を含むのが好ましい。水の割合は、1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計100質量部に対して、例えば10~10000質量部程度の範囲から選択でき、例えば30~1000質量部、好ましくは50~500質量部、さらに好ましくは80~300質量部、より好ましくは100~200質量部、最も好ましくは120~180質量部である。
【0038】
(1,3-ブタンジオールのケトンエステル)
本発明の経口用液状組成物は、さらに1,3-ブタンジオールのケトンエステルを含んでいてもよい。
【0039】
前記ケトンエステルは、1,3-ブタンジオールとカルボン酸とのエステルであってもよい。1,3-ブタンジオールとしては、生体適合性の点から、R-1,3-ブタンジオールが好ましい。カルボン酸としては、例えば、酢酸、アセト酢酸、3HBなどが挙げられる。これらのカルボン酸は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、3HBが好ましく、(R)3HBが特に好ましい。前記ケトンエステルは、モノエステルであってもよく、ジエステルであってもよい。前記ケトンエステルとしては、生体適合性の点から、R-1,3-ブタンジオールと(R)3HBとのエステルが好ましい。
【0040】
前記ケトンエステルの割合は、前記1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計100質量部に対して100質量部以下であってもよく、好ましくは50質量部以下(例えば1~50質量部)であってもよく、さらに好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
【0041】
(3HBの塩)
本発明の液状経口組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、さらに3HBの塩を含んでいてもよい。塩の種類としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;アミン塩;塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。これらの3HBの塩は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0042】
3HBの塩の割合は、3HB100質量部に対して50質量部以下(例えば1~50質量部)であってもよく、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下であり、液状経口組成物は、3HBの塩を実質的に含んでいなくてもよく、完全に含んでいなくてもよい。本発明の液状経口組成物では、3HBの供給源として酸の形態の3HBおよび1,3-ブタンジオールを用いるため、3HBの塩の摂取量を低減でき、塩分の摂取過多を抑制できる。
【0043】
(3HBのポリマー)
本発明の液状経口組成物は、さらに3HBのポリマー(または多量体)を含んでいてもよい。3HBポリマーの平均重合度は2以上であればよく、例えば2~100程度の範囲から選択できるが、重合度の低いオリゴマーであってもよい。3HBのオリゴマーの平均重合度は、例えば2~10、好ましくは2~5、より好ましくは2~4.5、最も好ましくは2~4である。3HBのポリマーは、3HBの製造過程などにおいて、不可避的に混入したオリゴマーであってもよい。
【0044】
3HBのポリマーの割合は、3HB100質量部に対して10質量部以下であってもよく、好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、最も好ましくは1質量部以下である。本発明の経口用組成物は、3HBのポリマー(特に、オリゴマー)を実質的に含んでいなくてもよく、3HBのポリマー(特に、オリゴマー)を含んでいないのが特に好ましい。
【0045】
(糖類)
本発明の液状経口組成物は、さらに糖類を含んでいてもよい。糖類としては、例えば、アラビノース、キシロースなどのペントース;ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース、マンノース、ソルボースなどのヘキソース、プシコースに代表される希少糖、蜂蜜などの単糖;ショ糖(例えば、白糖や精製白糖、粉糖、グラニュー糖、きび糖、黒糖、三温糖など)、乳糖(ラクトース)、異性化乳糖(ラクチュロース)、麦芽糖(マルトース)、イソマルトース、トレハロースなどの二糖;マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、澱粉分解物(デキストリン)などのオリゴ糖(三糖以上のオリゴ糖);キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖水飴(マルチトール)、還元澱粉糖化物、還元パラチノース、還元乳糖(ラクチトール)などの糖アルコール類などが挙げられる。
【0046】
これらの糖類は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、グルコース、フルクトースなどの単糖;ショ糖(スクロース)、ラクトースなどの二糖;キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールが好ましい。さらに、主として嗜好性または服用性を改善するために糖類を配合する場合、エリスリトールなどの糖アルコールが好ましく、嗜好性または服用性に加えて、エネルギー源として糖類を配合する場合は、単糖や二糖が好ましい。
【0047】
糖類の割合は、1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計100質量部に対して1000質量部以下であってもよく、例えば10~1000質量部、好ましくは30~500質量部、さらに好ましくは50~300質量部、より好ましくは100~250質量部、最も好ましくは150~200質量部である。
【0048】
(甘味剤)
本発明の液状経口組成物は、甘味剤としても機能する前記糖類に加えてまたは前記糖類に代えて、さらに甘味剤(非糖質甘味料)を含んでいてもよい。
【0049】
甘味剤としては、例えば、ステビア、カンゾウ、アマチャなどの天然甘味料;サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテームなどの人工甘味料などが挙げられる。これらの甘味剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、嗜好性または服用性を改善し易い点から、アセスルファムカリウム、スクラロースなどの人工甘味料が好ましい。さらに、前記甘味剤は、嗜好性または服用性を調整し易い点から、前記糖類と組み合わせて使用するのが好ましい。
【0050】
甘味剤の割合は、1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計100質量部に対して、例えば0.01~20質量部、好ましくは0.1~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~8質量部、最も好ましくは2~5質量部である。
【0051】
(アミノ酸)
本発明の液状経口組成物は、エネルギー源として作用させたり、矯味性や機能性を付与するために、さらにアミノ酸を含んでいてもよい。
【0052】
アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、トリプトファン、チロシン、グルタミンなどの中性アミノ酸;アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸;リジン、アルギニン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。
【0053】
これらのアミノ酸は、塩の形態であってもよい。塩の種類としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。これらの塩は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0054】
これらのアミノ酸は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのアミノ酸のうち、エネルギー源として機能し、かつ矯味性にも優れる点から、アラニンなどの中性アミノ酸が好ましい。
【0055】
アミノ酸の割合は、1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは5~80質量部、さらに好ましくは10~50質量部、より好ましくは15~40質量部、最も好ましくは20~30質量部である。
【0056】
(香料)
本発明の液状経口組成物は、嗜好性または服用性をさらに向上させるために、さらに香料を含んでいてもよい。香料は、天然香料であってもよく、合成香料であってもよい。
【0057】
天然香料としては、例えば、ストロベリー、ブルーベリー、リンゴ、ウメ(梅)、オレンジ、ライム、バニラ、ペッパーなどの果実系エッセンスまたはオイル;オレンジ、ホワイトグレープ、グレープフルーツ、レモンなどの果皮系エッセンスまたはオイル;ニッキ(シナモン)などの樹皮系エッセンスまたはオイル;シナモンパウダーなどの樹皮系パウダー;ジンジャーなどの根菜系エッセンスまたはオイル;ジンジャーパウダーなどの根菜系パウダー;バニラビーンズ、カカオ末などの種子系パウダー;ペパーミント、スペアミント、ローズマリーなどの枝葉系エッセンスまたはオイル;ペパーミントパウダーなどの枝葉系パウダー;ジャスミン、ラベンダー、ローズ、ローズマリー、ヒヤシンスなどの花系エッセンスまたはオイルなどが挙げられる。
【0058】
合成香料としては、例えば、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、シスジャスミン、シス-3-ヘキセノール、メントールなどが挙げられる。
【0059】
これらの香料は、用途に応じて、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0060】
香料の割合は、1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計100質量部に対して、例えば1~50質量部、好ましくは3~40質量部、さらに好ましくは5~30質量部、より好ましくは8~20質量部、最も好ましくは10~15質量部である。
【0061】
(油脂類)
本発明の液状経口組成物は、さらに油脂類を含んでいてもよい。油脂類は、食用油脂であれば特に限定されず、植物性油脂、動物性油脂、加工油脂のいずれであってもよい。
【0062】
植物性油脂としては、例えば、大豆油、綿実油、あまに油、ひまし油、紅花油、米油、胚芽米油、コーン油、ゴマ油、向日葵油、米糖油、キャノーラ油などの菜種油、落花生油、パーム核油、オリーブ油、グレープシード油などの植物油(サラダ油、白絞油);ヤシ油、カロチーノ油などのパーム油、カカオ脂などの植物脂(植物脂肪)などが挙げられる。
【0063】
動物性油脂としては、例えば、バター、牛脂、乳脂肪、豚脂(ラード)、魚油などの動物脂が挙げられる。
【0064】
加工油脂としては、例えば、マーガリン、ショートニング、ココナッツミルク、C8-10脂肪酸トリグリセリドなどの中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)などが挙げられる。
【0065】
これらの油脂類は、分別油、エステル交換油、水素添加油であってもよい。また、これらの油脂類の形態は、固体または液体のいずれの形態であってもよく、特定の結晶形(例えば、β型油脂)を含んでいてもよい。これらの油脂類は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0066】
油脂類の割合は、1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計100質量部に対して100質量部以下であってもよく、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、最も好ましくは1質量部以下である。
【0067】
(プロテイン)
本発明の液状経口組成物は、さらにプロテインを含んでいてもよい。プロテインとしては、例えば、ホエイプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテイン(大豆プロテイン)、エンドウ豆プロテイン、小麦プロテイン、エッグプロテイン、ライスプロテインなどが挙げられる。これらのプロテインは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0068】
プロテインの割合は、1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計100質量部に対して、例えば3000質量部以下であってもよく、例えば1000質量部以下(例えば1~1000質量部)、好ましくは800質量部以下(例えば10~800質量部)、さらに好ましくは500質量部以下(例えば100~500質量部)である。
【0069】
(慣用の添加剤)
本発明の液状経口組成物は、さらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、健康食品(機能性食品)分野や医薬品分野で利用される慣用の添加剤などが挙げられる。
【0070】
慣用の添加剤としては、例えば、ビタミン類(例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンB12など)、食物繊維(例えば、小麦ふすま、コーンふすま、オーツブラン、コーンファイバー、大豆食物繊維、ビートファイバー、アカシア食物繊維、結晶セルロース、難消化性デキストリン、寒天、キトサン、キチン、ヘミセルロース、リグニン、グルカンなど)、着色料(例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素;食用レーキ色素;ベンガラなど)、調味料[例えば、塩、酢、醤油、魚醤、みりん、料理酒、味噌、ソース、粉末だし(いりこだし、昆布だし、鰹だしなど)、鰹節、洋風だし(コンソメ、ミルポワ、ブイヤベースなど)、香辛料(ニンニク、ショウガ、クローブ、クミン、山椒、ミョウガ、胡椒、唐辛子など)など]、膨張剤または発泡剤(例えば、重曹など)、流動化剤(例えば、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなど)、増粘剤、増粘安定剤または保水乳化安定剤(例えば、ペクチン、セルロースなどの増粘多糖類など)、pH調整剤(例えば、重曹、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどの無機塩など)、保存料(防腐剤、抗菌剤、殺菌剤など)、消泡剤(例えば、シリコーン系消泡剤など)、界面活性剤[例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなど]、乳化剤(例えば、リン脂質類、ショ糖脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類など)、酸化防止剤、光安定剤、酸味剤、醸造用剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0071】
慣用の添加剤の割合(合計割合)は、1,3-ブタンジオールおよび3HBの合計100質量部に対して0.01~100質量部程度の範囲から選択でき、例えば0.01~50質量部、好ましくは0.1~30質量部、さらに好ましくは0.2~10質量部である。
【0072】
(液状経口組成物の特性)
本発明の液状経口組成物の酸度(クエン酸の質量に換算)は、例えば1~20質量%、好ましくは1~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%である。
【0073】
本発明の液状経口組成物としては、例えば、液剤、ドリンク剤(飲料)、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、ゼリー剤、エキス剤、酒精剤、液体スティックなどが挙げられる。液状経口組成物は、慣用の方法でパッキングまたは包装されていてもよい。包装材料についても特に限定されない。液状経口組成物は、パッキングの前後などにおいて、熱処理等の方法により滅菌処理してもよい。
【0074】
液状経口組成物の摂取または投与方法としては、嗜好性の高い特徴を生かせる点からは、ドリンク剤などの形態での経口摂取(投与)方法が好ましい。
【0075】
ドリンク剤としては、種々の飲料、例えば、乳酸菌飲料;乳および乳製品飲料;栄養ドリンク;炭酸飲料、果実飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、豆乳飲料、野菜飲料、スポーツ・機能性飲料、乳性飲料などの清涼飲料;アルコール飲料などが挙げられる。
【0076】
(B)半固形状経口組成物
本発明の半固形状経口組成物(半固形剤)は、1,3-ブタンジオールおよび3HBに加えて、さらにゲル化剤を含んでいてもよい。
【0077】
ゲル化剤としては、例えば、寒天、カラギーナン、アルギン酸、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カードラン、カルボキシメチルセルロースなどの多糖類、ゼラチンなどのタンパク質などの増粘剤;小麦粉由来のグルテン(グリアジンとグルテニンとの複合体);水産練り製品の足を形成するための魚肉タンパク質(筋原繊維タンパク質)などが挙げられる。これらのゲル化剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ゼラチン、グルテン、魚肉タンパク質などが好ましい。
【0078】
ゲル化剤の割合は、半固形状経口組成物全体に対して1~50質量%程度の範囲から選択でき、例えば、2~40質量%、好ましくは3~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%である。
【0079】
本発明の半固形状経口組成物は、さらに前記液状経口組成物の項に記載された成分を含んでいてもよい。
【0080】
本発明の半固形状経口組成物(半固形剤)としては、例えば、ゲル剤、クリーム剤、ゼリー、スラリー、ペースト、シャーベットなどが挙げられる。
【0081】
本発明の半固形状経口組成物は、慣用の方法でパッキングまたは包装されていてもよい。包装材料についても特に限定されない。本発明の半固形状経口組成物は、パッキングの前後などにおいて、熱処理等の方法により滅菌処理してもよい。
【0082】
(C)固形状経口組成物
本発明の固形状経口組成物は、前記液状経口組成物または前記半固形状経口組成物を原料として得られた固形状経口組成物や、前記液状経口組成物または前記半固形状経口組成物を含浸または含有させた固形状経口組成物などであってもよい。
【0083】
本発明の固形状経口組成物(固形剤)は、1,3-ブタンジオールおよび3HBに加えて、さらに賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などを含んでいてもよい。
【0084】
賦形剤は、有機賦形剤であっても無機賦形剤であってもよい。有機賦形剤としては、例えば、結晶セルロース;マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、還元性水飴などの糖アルコール、乳糖(無水乳糖、乳糖水和物を含む)、ショ糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖などの糖類(単糖類または二糖類);オリゴ糖、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプンなどのデンプン類(または多糖類)などが例示できる。無機賦形剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、結晶セルロース、糖類(糖アルコール、単糖類および二糖類)、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウムが好ましい。
【0085】
賦形剤の割合は、固形状経口組成物中0.01~90質量%程度の範囲から選択でき、0.05~80質量%、好ましくは0.1~70質量%、さらに好ましくは0.5~60質量%である。
【0086】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、カルメロースナトリウムなどのセルロースエーテル類;カルボキシメチルデンプン、アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプンなどの可溶性デンプン;デキストリン、プルラン、アラビアゴム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、カンテン、ゼラチンなどの多糖類;ポビドン(ポリビニルピロリドン)、コポリビドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの合成高分子などが挙げられる。これらの結合剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、HPMC、カルメロースナトリウム、ポビドンが好ましい。
【0087】
結合剤の割合は、固形状経口組成物中0.5~20質量%、好ましくは1~15質量%、さらに好ましくは2~10質量%である。
【0088】
崩壊剤としては、例えば、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)などが挙げられる。これらの崩壊剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンが好ましい。
【0089】
崩壊剤の割合は、固形剤中0.5~25質量%、好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは2~15質量%である。
【0090】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、ワックス類、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、マクロゴール6000などが挙げられる。これらの滑沢剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩が好ましい。
【0091】
滑沢剤の割合は、固形状経口組成物中0.1~10質量%、好ましくは0.2~5質量%、さらに好ましくは0.3~2質量%である。
【0092】
本発明の固形状経口組成物は、さらに前記液状経口組成物の項に記載された成分を含んでいてもよい。
【0093】
本発明の固形状経口組成物(固形剤)としては、例えば、ペレット、粉末剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、糖衣錠などの錠剤、フレーク剤、ケーク剤、グミ剤、ヌガー剤、フィルム剤、カプセル剤などが挙げられる。
【0094】
本発明の固形状経口組成物は、慣用の方法でパッキングまたは包装されていてもよい。包装材料についても特に限定されない。本発明の固形状経口組成物は、パッキングの前後などにおいて、熱処理等の方法により滅菌処理してもよい。
【実施例0095】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例で使用した原料および実施例で調製されたドリンクの官能試験の評価方法は以下の通りである。
【0096】
[原料]
1,3-ブタンジオール:R体[富士フイルム和光純薬(株)製]
3HB40%水溶液:(R)3HBの水溶液[大阪ガスケミカル(株)製「OKETOA(登録商標)」、40質量%濃度、酸の形態]。
【0097】
[官能試験]
実施例および比較例で調製されたドリンクを5人のパネラーが試飲し、苦味、後引き、くせ、刺激、すっきり感の5項目について、以下の基準で評価した。
【0098】
(苦味)
5…苦味を全く感じない
4…苦味を少し感じる
3…苦味を感じる
2…苦味が強くて不味い
1…苦味が強すぎて飲むことが不可または困難。
【0099】
(後引き)
5…後味が良い
4…少し後を引く味を感じるが、問題ないレベル
3…後を引く味を感じる
2…後味が悪い
1…後味が悪くて飲むことが不可または困難。
【0100】
(くせ)
5…くせを全く感じない
4…少しくせを感じるが、問題ないレベル
3…少しくせを感じる
2…くせが強くて不味い
1…くせが強すぎて飲むことが不可または困難。
【0101】
(刺激)
5…刺激を全く感じないか、心地よい刺激
4…刺激を感じるが、問題ないレベル
3…刺激を感じる
2…刺激が強くて不味い
1…舌がピリピリする苦味や強烈な酸味を伴った刺激が強すぎて飲むことが不可または困難。
【0102】
(すっきり感)
5…すっきりした心地良い酸味を感じる
4…すっきりした酸味を感じる
3…すっきり感を若干感じる
2…苦みや酸味が強くすっきり感が殆ど感じられない
1…苦みや酸味が強すぎてすっきり感が全く感じられない。
【0103】
比較例1
1,3-ブタンジオール100質量部のみでドリンクを調製し、5人のパネラーによって評価した結果を表1に示す。
【0104】
【0105】
比較例1で得られたドリンクの合計得点(平均の合計点)は、7.8であり、各パネラーの感想は以下の通りであった。
【0106】
No.1:舌がピリピリするような苦みで飲むのが苦痛
No.2:食べ物として口にしたことがないような味でまずい
No.3:飲み物として違和感があり、飲み込めない
No.4:苦くて舌に刺激がある
No.5:経験のない化学物質のような苦みがあり飲み物として抵抗感がある。
【0107】
実施例1
1,3-ブタンジオール90質量部と、3HB40%水溶液10質量部とを混合したドリンクを調製し、5人のパネラーによって評価した結果を表2に示す。
【0108】
【0109】
実施例1で得られたドリンクの合計得点は、11.0であり、各パネラーの感想は以下の通りであった。
【0110】
No.1:舌がピリピリする苦みはあるが、酸味がカバーしている
No.2:食べ物として口にしたことがないような味でまずい
No.3:飲み物として違和感があるが飲める
No.4:舌への刺激は多くはなく、何とか飲める
No.5:経験のない化学物質のような苦みがあり飲み物として抵抗感がある。
【0111】
実施例2
1,3-ブタンジオール80質量部と、3HB40%水溶液20質量部とを混合したドリンクを調製し、5人のパネラーによって評価した結果を表3に示す。
【0112】
【0113】
実施例2で得られたドリンクの合計得点は、17.6であり、各パネラーの感想は以下の通りであった。
【0114】
No.1:舌がピリピリする苦みはかなり減った。酸味も少ないので飲める
No.2:苦味が強くまずいが、飲めなくはない
No.3:苦みはましだが、薬のイメージ。清涼飲料水としては違和感がある
No.4:苦みはあるが、飲むことはできる
No.5:苦みの強い飲み物。
【0115】
実施例3
1,3-ブタンジオール70質量部と、3HB40%水溶液30質量部とを混合したドリンクを調製し、5人のパネラーによって評価した結果を表4に示す。
【0116】
【0117】
実施例3で得られたドリンクの合計得点は、22.0(最高得点)であり、各パネラーの感想は以下の通りであった。
【0118】
No.1:舌がピリピリする苦みは感じない。心地よい酸味があり飲みやすい
No.2:苦みはない。酸味のバランスもよい
No.3:清涼飲料水として違和感はない
No.4:酸味のせいか苦みはあまり感じない
No.5:梅風味のドリンクのような味。
【0119】
実施例4
1,3-ブタンジオール60質量部と、3HB40%水溶液40質量部とを混合したドリンクを調製し、5人のパネラーによって評価した結果を表5に示す。
【0120】
【0121】
実施例4で得られたドリンクの合計得点は、10.8であり、各パネラーの感想は以下の通りであった。
【0122】
No.1:柑橘系の酸味が強く飲みづらい
No.2:強烈な酸味。ビタミンCの濃度が高いものの感じ
No.3:酸味が強すぎて薄めないと飲めない
No.4:酸っぱすぎて常用には抵抗がある
No.5:酸味が強すぎる。
【0123】
比較例2
3HB40%水溶液100質量部のみでドリンクを調製し、5人のパネラーによって評価した結果を表6に示す。
【0124】
【0125】
比較例2で得られたドリンクの合計得点は、7.2であり、各パネラーの感想は以下の通りであった。
【0126】
No.1:酸っぱくて飲むのが苦痛
No.2:酸味が強すぎて飲めない
No.3:酸っぱすぎる
No.4:飲めない。酸っぱすぎる
No.5:酸味が強すぎる。
【0127】
実施例1~4および比較例1~2の平均点、合計得点および感想をまとめた結果を表7に示し、前記平均点のレーダーチャートを
図1に示す。
【0128】
【0129】
表7および
図1から明らかなように、比較例のドリンクに比べて実施例のドリンクは飲み易く、なかでも実施例3のドリンクが清涼飲料のように美味であり、特に飲み易かった。