(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114133
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】農作業用アタッチメント、農作業機、及び、耕地管理方法
(51)【国際特許分類】
A01B 39/18 20060101AFI20240816BHJP
A01B 29/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A01B39/18 A
A01B29/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019667
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】523050173
【氏名又は名称】株式会社オーレックR&D
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】今村 健二
(72)【発明者】
【氏名】柿原 隆宏
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA03
2B034AA07
2B034AA09
2B034BA01
2B034BB02
2B034BC06
2B034BD02
2B034EA08
2B034HA13
2B034HA16
2B034HB14
2B034HB25
2B034HB42
2B034JA23
2B034JB01
2B034JB02
(57)【要約】
【課題】1回の走行で畝間の除草工程と畝の鎮圧工程とを併行することができると共に、走行機進行方向の景色とアタッチメントの進行予定方向のラインを一致させやすく、作業効率が良い、農作業用アタッチメント、農作業機、耕地管理方法を提供する。
【解決手段】農作業機1は、走行機2と、走行機2の進行方向前部に基端側が取り付けられたメインフレーム31、メインフレーム31に設けられた畝間F2の除草が可能な除草部32、及び、メインフレーム31に設けられた畝F1上面を鎮圧可能な鎮圧ローラ部35を有する農作業用アタッチメント3を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機の進行方向前部へ取付可能に設けられた取付部を基端側に有するメインフレームと、
該メインフレームに設けられ、畝間の除草が可能な除草部と、
前記メインフレームに設けられ、畝上面を鎮圧可能な鎮圧ローラ部と、
を備える
農作業用アタッチメント。
【請求項2】
前記メインフレームが走行機の進行方向と交差する方向に配設された横架フレームを有すると共に、該横架フレームの軸方向において複数の前記除草部と複数の前記鎮圧ローラ部とが交互に配設されており、
該鎮圧ローラ部の各々が車輪状であり、その接地部分が同横架フレームよりも狭幅に設けられている
請求項1に記載の農作業用アタッチメント。
【請求項3】
前記鎮圧ローラ部が、その接地部分が鎮圧対象となる畝上面の幅と略同一である
請求項2に記載の農作業用アタッチメント。
【請求項4】
前記鎮圧ローラ部が、使用状態で上下方向に可動する構造であって、ローラ部分を下方へ押し下げる付勢部材が設けられた構造である
請求項2又は請求項3に記載の農作業用アタッチメント。
【請求項5】
前記除草部が、前記横架フレームに取り付けられた除草部取付部材、除草部材、及び、カッターを有し、
前記除草部取付部材は、その長軸方向が前記横架フレームと交差する形状に設けられており、
前記除草部材は、回転可能な円盤状で周縁に切断刃が設けられた第1除草ディスク及び第2除草ディスクを有し、該第1除草ディスク及び該第2除草ディスクは、前記除草部取付部材を挟んで所定間隔を空けて配設されていると共に、同第1除草ディスクが同第2除草ディスクよりも走行機の進行方向前方に位置しており、
前記カッターは、前記第2除草ディスクよりも走行機の進行方向後方に配設されていると共に、同カッターの刈刃が同第1除草ディスク及び同第2除草ディスク間の隙間に位置する構造である
請求項2乃至請求項3のいずれかに記載の農作業用アタッチメント。
【請求項6】
前記第1除草ディスク及び前記第2除草ディスクは、その走行機の進行方向前方側が、前記除草部取付部材の方向へ所定角度で傾斜した構造である
請求項5に記載の農作業用アタッチメント。
【請求項7】
前記除草部取付部材において、前記除草部よりも走行機の進行方向前方となる位置に、走行輪が設けられている
請求項5に記載の農作業用アタッチメント。
【請求項8】
前記除草部が前記メインフレームの先部に配設されていると共に、前記鎮圧ローラ部が前記除草部よりも走行機側となる位置に配設された構造である
請求項1に記載の農作業用アタッチメント。
【請求項9】
走行機と、
該走行機の進行方向前部に基端側が取り付けられたメインフレーム、該メインフレームに設けられた畝間の除草が可能な除草部、及び、前記メインフレームに設けられた畝上面を鎮圧可能な鎮圧ローラ部を有する農作業用アタッチメントと、
を備える
農作業機。
【請求項10】
走行機、及び、メインフレーム、除草部及び鎮圧ローラ部を有し、前記走行機の進行方向前部に取り付けられた農作業用アタッチメントを備えた農作業機を前進させて行われ、
該農作業機が、前記走行機よりも進行方向前部の領域において、前記除草部によって畝間の除草を行う畝間除草工程と前記鎮圧ローラ部によって畝上面を鎮圧する畝鎮圧工程とを併行する
耕地管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業用アタッチメント、農作業機、及び、耕地管理方法に関する。詳しくは、1回の走行で畝間(畝と畝の間。畦ともいう)の除草工程と畝の鎮圧工程とを併行することができると共に、走行機進行方向の景色とアタッチメントの進行予定方向のラインを一致させやすく、作業効率が良い、農作業用アタッチメント、農作業機、及び、耕地管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、畑作において、播種後に畝間の除草作業が行われている。また、麦畑においては、鎮圧ローラによって畝上面を含む耕地の土壌を鎮圧する作業も行われている。
【0003】
このような除草及び耕地の鎮圧(以下、併せて「耕地管理」という)といった作業は人力で行うには大変な重労働であるため、近年はトラクターや管理機等の作業機械に除草や鎮圧を目的とするアタッチメントを取り付けて作業が行われることが多く、このような作業用アタッチメントとしては、例えば、下記の各非特許文献に記載されたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
【0006】
特許文献1記載の中耕除草機は、牽引機体の後部ヒッチに対して昇降調整自在に設ける主フレームに、複数の畝間別に作業機フレームを平行リンクによって上下動作可能に連結し、各作業機フレームには、下方向に弾発付勢するバネを調整ロッドによって弾発力を調整可能にそれぞれ設けるとともに、前端側あるいは後端側を狭く配置した左右のディスクによって畝間の土を中耕培土するディスクとディスクの残耕を膨軟にするチゼルとを備え、各作業機フレームには、圃場面に接地転動して高さ位置を規定する転輪によるゲージ輪を設け、その後方に上記ディスクを前後2列構成に配置し、その前後間に上記チゼルを配置するとともに、ゲージ輪と前列のディスクとチゼルは、作業機フレームと別体の補助フレームを介して一体に支持してなることを特徴としており、前述の構造によって、後続する前後のディスクとチゼルとによる中耕培土作業を安定よく行うことができ、土壌の硬軟変動によっても作業深さが一定となり、かつ、並列する畝間のそれぞれの高さが大きく変動しても、それぞれに追従して一定の作業深さを確保して効率よく中耕培土することができる、とされている。
【0007】
特許文献2記載の鎮圧ローラは、農作業機に用いられる鎮圧ローラ部を具備し、上記鎮圧ローラ部の外周面の全域に、該鎮圧ローラ部の直径と同一径又は若干小径の円筒からなる円筒状弾性チューブを接着することなく被覆することにより、上記鎮圧ローラ部の外周面を上記円筒状弾性チューブにて被覆し、かつ上記円筒状弾性チューブの両端部の外周位置をバンドにて締結することにより、上記両端部において上記円筒状弾性チューブと上記鎮圧ローラ部とを締結固定し、上記円筒状弾性チューブは、所定の厚みを有する弾性体シートを円筒状に形成したものであり、かつ上記弾性体シートの一方面には伸縮性のある薄布が上記弾性体シートと一体に形成されているものであることを特徴としており、前述の構造によって、鎮圧ローラの転動中に鎮圧ローラの外表面(円筒状弾性チューブの外表面)に土塊等が付着しても、鎮圧ローラの転動に伴って円筒状弾性チューブの外表面の部位が鎮圧ローラの外周面に沿う任意の方向への伸縮移動することにより、上記円筒状弾性チューブの外表面に付着した土塊等を鎮圧ローラ表面から容易に分離することができ、鎮圧ローラの転動によって土塊等が巻き上げられることがなく、圃場の表面をきれいに整地することが可能となる、とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の中耕除草機は、中耕培土を目的とするものであって、畝間の除草は可能であるものの、畝の鎮圧には特許文献2記載の鎮圧ローラのような別の機材を使用する必要があり、アタッチメントである中耕除草機と鎮圧ローラの付け替えを行い、改めて耕地の走行を行うといった工程を要することから作業効率が良くない。
【0009】
また、特許文献2記載の鎮圧ローラについては、耕地の鎮圧を目的とするものであって、耕地の鎮圧は可能であるものの、畝間の除草は特許文献1記載の中耕除草機のような別の機材を使用する必要があり、アタッチメントである中耕除草機と鎮圧ローラの付け替えを行い、改めて耕地の走行を行うといった工程を要することから、やはり作業効率が良くない。
【0010】
更に、特許文献1記載の中耕除草機及び特許文献2記載の鎮圧ローラは、ともに走行機進行方向に対して後方に取り付けるアタッチメントであって、すなわち走行機により牽引する器具である。このため、これらを使用して行われる作業において、走行機の搭乗者は、走行機進行方向の景色とアタッチメントの進行予定方向のラインが一致させにくく、ディスクやチゼルといった除草手段又は鎮圧ローラの位置が、除草或いは鎮圧を行うべき本来の作業領域を逸脱してしまう可能性がある。
【0011】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、1回の走行で畝間の除草工程と畝の鎮圧工程とを併行することができると共に、走行機進行方向の景色とアタッチメントの進行予定方向のラインを一致させやすく、作業効率が良い、農作業用アタッチメント、農作業機、耕地管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の農作業用アタッチメントは、走行機の進行方向前部へ取付可能に設けられた取付部を基端側に有するメインフレームと、該メインフレームに設けられ、畝間の除草が可能な除草部と、前記メインフレームに設けられ、畝上面を鎮圧可能な鎮圧ローラ部と、を備える。
【0013】
本発明の農作業用アタッチメントは、走行機の進行方向前部に取り付けられるものである。より詳しくは、農作業用アタッチメントは、メインフレームの取付部を介して走行機の進行方向前部に取り付けることができる。
【0014】
農作業用アタッチメントを取り付けた走行機は、除草部が畝間に当接すると共に鎮圧ローラ部が畝上面に当接するように位置させた後、耕作地(特に麦畑)の畝立てされた方向に沿って走行(前進)させると、除草部により畝間に生えた雑草を除草することができ、且つ、鎮圧ローラ部によって畝上面を鎮圧することができる。
【0015】
このとき、農作業用アタッチメントには除草部と鎮圧ローラ部が設けられているので、1回の走行で畝間の除草工程と畝の鎮圧工程とを併行することができ、畝間の除草と畝の鎮圧を別工程で行っていた(少なくとも2回の走行を要する)従来の作業と比較して、作業工程が少なくて済み、農業従事者の作業負担を軽減することができる。
【0016】
更に、本発明の農作業用アタッチメントは、走行機の進行方向前部に取り付けられていることにより、走行機の進行方向後部にアタッチメントを配した特許文献1及び2記載の機体と異なり、走行機進行方向(前進方向)の景色とアタッチメントの進行予定方向のラインを一致させやすく、所望するラインでの作業(畝間の除草及び畝の鎮圧)がしやすい。
【0017】
なお、本発明の農作業用アタッチメントは、播種時乃至発芽の初期生育を良好にするために畝の鎮圧を要する農作物の畑(特に麦畑)での使用に好適である。
【0018】
また、前述の農作業用アタッチメントは、メインフレームが走行機の進行方向と交差する方向に配設された横架フレームを有すると共に、横架フレームの軸方向において複数の除草部と複数の鎮圧ローラ部とが交互に配設されており、鎮圧ローラ部の各々が車輪状であり、その接地部分が横架フレームよりも狭幅に設けられているものであってもよい。
【0019】
本態様の農作業用アタッチメントは、前述した横架フレームを有することにより、基体として、走行機の進行方向と交差する方向へ複数の除草部と複数の鎮圧ローラ部を配設することができる。そして、横架フレームの軸方向において複数の除草部と複数の鎮圧ローラ部とが交互に配設されていることにより、複数の畝及び畝間に対する作業(畝間の除草及び畝の鎮圧)を同時に行うことができ、作業時間短縮に寄与する。
【0020】
更に、本態様の農作業用アタッチメントは、鎮圧ローラ部の各々が車輪状であり、その接地部分が横架フレームよりも狭幅に設けられていることにより、畝の鎮圧を十分に行うことができると共に、車体の幅方向に亘るか又は幅以上である通常の鎮圧ローラと比較して小型且つ軽量に設けることができるので、移動時及び作業時における走行機への負荷を少なくすることができる。
【0021】
なお、「交互」の表現は、除草部と鎮圧ローラ部とが代わる代わる配置されているものであればよく、例えば、一の除草部と一の鎮圧ローラ部が必ず隣接する態様(除草部-鎮圧ローラ部-除草部-鎮圧ローラ部~(以下同様の組み合わせ)といった組み合わせ)のほか、
・一の鎮圧ローラ部と他の鎮圧ローラ部の間に1又は2以上の除草部が配設される態様(鎮圧ローラ部-除草部-除草部-鎮圧ローラ部-除草部-除草部-鎮圧ローラ部~(以下同様の組み合わせ)といった組み合わせ、あるいは、鎮圧ローラ部-2以上の並設した除草部-鎮圧ローラ部-1つの除草部~、等といった組み合わせ)、
・一の除草部と他の除草部の間に1又は2以上の並設した鎮圧ローラ部が配設される態様(除草部-鎮圧ローラ部-鎮圧ローラ部-除草部~(以下同様の組み合わせ)といった組み合わせ、あるいは、除草部-2以上の並設した鎮圧ローラ部-除草部-1つの鎮圧ローラ部~、等といった組み合わせ)、
といった各種変形例を含む意味で使用している。
【0022】
また、前述の農作業用アタッチメントは、鎮圧ローラ部が、その接地部分が鎮圧対象となる畝上面の幅と略同一であるものであってもよい。
【0023】
本態様の農作業用アタッチメントは、前述した鎮圧ローラ部を有することにより、畝上面の鎮圧を十分に行うことができると共に、車体の幅方向に亘るか又は幅以上である通常の鎮圧ローラと比較して更に小型且つ軽量に設けることができるので、移動時及び作業時における走行機への負荷を更に少なくすることができる。また、前述の通り、鎮圧ローラ部の接地部分の幅が狭いため、前述した横架フレームに配設可能な数を増やすことができ、同時に作業可能となる畝及び畝間の数が増えることで作業時間短縮に更に寄与する。なお、「畝上面の幅と略同一」の表現は、畝上面の幅と完全に同一である態様のほか、畝上面の幅よりも僅かに狭いか又は僅かに広い態様を含む意味で使用している。
【0024】
また、前述の農作業用アタッチメントは、鎮圧ローラ部が、使用状態で上下方向に可動する構造であって、ローラ部分を下方へ押し下げる付勢部材が設けられた構造であるものであってもよい。
【0025】
本態様の農作業用アタッチメントは、前述した鎮圧ローラ部を有することにより、畝の高さに応じて鎮圧ローラ部の高さ調整を手動で行う必要がなくなり、作業時において畝上面に凹凸や高低差がある場合であっても鎮圧ローラ部が付勢された状態で上下動するので、鎮圧ローラ部と畝上面に隙間が生じにくく且つ適切な押圧力で作業が行われ、この結果、畝上面の鎮圧を十分に行うことができる。
【0026】
また、前述の農作業用アタッチメントは、除草部が、横架フレームに取り付けられた除草部取付部材、除草部材、及び、カッターを有し、除草部取付部材は、その長軸方向が前記横架フレームと交差する形状に設けられており、除草部材は、回転可能な円盤状で周縁に切断刃が設けられた第1除草ディスク及び第2除草ディスクを有し、第1除草ディスク及び第2除草ディスクは、除草部取付部材を挟んで所定間隔を空けて配設されていると共に、第1除草ディスクが第2除草ディスクよりも走行機の進行方向前方に位置しており、カッターは、第2除草ディスクよりも走行機の進行方向後方に配設されていると共に、カッターの刈刃が第1除草ディスク及び第2除草ディスク間の隙間に位置する構造であるものであってもよい。
【0027】
本態様の農作業用アタッチメントは、前述した除草部取付部を有することにより、除草部材及びカッターの取付基部となると共に、その長軸方向が横架フレームと交差する形状であることにより、除草部材及びカッターを畝間の形成方向に沿うように一致させることができる。
【0028】
本態様の農作業用アタッチメントは、前述した除草部材が第1除草ディスク及び第2除草ディスクを有することにより、除草作業をスムーズに行うことができる。詳しくは、第1除草ディスク及び第2除草ディスクが回転可能な円盤状で周縁に切断刃が設けられたものであることにより、車輪のように畝間を前方へ走行しながら除草が行われる。このとき、第1除草ディスク及び第2除草ディスクは、除草部取付部材を挟んで所定間隔を空けて配設されていることにより、畝間の左右両方に向けて除草作業を行うことができる。
【0029】
ところで、第1除草ディスクと第2除草ディスクとを横方向において平行且つ対向するように配置した除草部材を試験的に作成し、畝間を走行させたところ、畝間の土壌の粘度が高い場合には、第1除草ディスクと第2除草ディスクの各対向面に付着した土が徐々に増え、更にはこの土に茎や株等の残渣も付着しながら、両除草ディスク間において大きな塊となり、この塊が邪魔をして両除草ディスク周縁の切断刃が土中に入りにくくなり、除草作業を阻害することがある。
【0030】
これに対し、本態様の農作業用アタッチメントは、除草部材が除草部取付部材において第1除草ディスクが第2除草ディスクよりも走行機の進行方向前方に位置している(換言すると、第1除草ディスクと第2除草ディスクの位置が前後方向にずれている)ことにより、第1除草ディスクと第2除草ディスクの間に前述した土の塊が生じないか、又は、土の塊が生じたとしても第1除草ディスクと第2除草ディスクの間からこの塊が自然と外れるようになっている。
【0031】
本態様の農作業用アタッチメントは、前述したカッターを有することにより、畝間において第1除草ディスク及び第2除草ディスク間に生えている雑草をカッターの刈刃で刈り取ることができる。
【0032】
そして、本態様の農作業用アタッチメントは、前述した第1除草ディスク及び第2除草ディスク(除草部材)とカッターが前述の配置で協働することにより、畝間の内壁下部と底面を含む幅方向における雑草をムラなく効率的に除草することができる。
【0033】
なお、前述した「切断刃」の表現は、その周縁端を鋭利に形成した態様、又は、その周縁端を角形又は丸形に形成した態様のいずれも含む意味で使用している。周縁端を鋭利に形成した態様の場合は切断力が高いものとなり、一方、周縁端を角形又は丸形に形成した態様の場合は切断性に起因する事故を抑制できると共に刃毀れが生じにくく、耐久性が向上するものとなる。
【0034】
また、前述の農作業用アタッチメントは、第1除草ディスク及び第2除草ディスクは、その走行機の進行方向前方側が、除草部取付部材の方向へ所定角度で傾斜した構造であるものであってもよい。
【0035】
本態様の農作業用アタッチメントは、第1除草ディスク及び第2除草ディスクが前述した構造であることにより、各除草ディスクが、進行方向前方側で畝間の土を掘り起こすと共に、後方側で各除草ディスクの外側へ掘り起こした土を押しやるように作用し、これにより雑草が根ごと掘り起こされるので、作業後に雑草が再生するような事象を抑制することができる。更に、本態様の農作業用アタッチメントによれば、播種の前後又は苗定植前の平坦な耕地(すなわち、畝が形成される前の平坦な耕地)を走行させることもでき、この場合、播種前等の平坦な耕地に畝と畝間を形成し、且つ、形成された畝上面を鎮圧することもできる。
【0036】
なお、第1除草ディスク及び第2除草ディスクを平行に設けた場合、各除草ディスクに掘り起こした土が付着しやすい上に進行中も外れにくくなり、走行に伴って付着し体積を増した土が走行時における抵抗力を生じさせる部分になりうるが、これに対し、本態様の農作業用アタッチメントによれば、第1除草ディスク及び第2除草ディスクが進行方向に対して所定角度で傾斜した構造であることにより、各除草ディスクと起耕対象となる土との間で生じる摩擦抵抗が増大し、各除草ディスクに付着した土が起耕前の土との摩擦によって削ぎ落とされやすくなっていることで、各除草ディスクに土が付着しにくく、走行時に生じる抵抗力を減じさせることができる。
【0037】
また、前述の農作業用アタッチメントは、除草部取付部材において、除草部よりも走行機の進行方向前方となる位置に、走行輪が設けられているものであってもよい。
【0038】
本態様の農作業用アタッチメントは、前述した走行輪を有することにより、農作業用アタッチメントが前進する際に畝間の形成方向に沿って先行して走行輪が進行することで、進行方向後方に位置する除草部をガイドすることができる。また、走行輪は、前述した位置に設けられていることにより、重量物である農作業用アタッチメントの先部側荷重を支えると共に、農作業用アタッチメントがスムーズに進行できるようにしている。
【0039】
更に、走行輪は、進行方向において除草部よりも前方に設けられていることにより、除草部が除草した畝間の雑草を走行輪で踏まないようにすることができ、これにより、除草した雑草を走行輪で踏まれて雑草の根が再度土に埋まって根が再生するような事象を抑制することができる。
【0040】
また、前述の農作業用アタッチメントは、除草部がメインフレームの先部に配設されていると共に、鎮圧ローラ部が除草部よりも走行機側となる位置に配設された構造であるものであってもよい。
【0041】
本態様の農作業用アタッチメントは、前述した配置で除草部と鎮圧ローラ部が設けられていることにより、農作業用アタッチメントを取り付けた走行機を前進させると、除草部により畝間に生えた雑草を先に除草することができ、その後、鎮圧ローラ部によって畝上面を鎮圧することができる。
【0042】
ところで、鎮圧ローラ部が除草部によりも進行方向前方に設けられている場合、鎮圧ローラ部で雑草が地面に沿って倒れ、除草部で刈り取りにくくなることがあるが、本態様の農作業用アタッチメントによれば、前述した通り、鎮圧ローラ部が畝上面を鎮圧する前に、除草部が畝間に生えた雑草を先に除草するので、除草部で刈り取りにくくなる事象を抑制することができる。
【0043】
上記の目的を達成するために、本発明の農作業機は、走行機と、該走行機の進行方向前部に基端側が取り付けられたメインフレーム、該メインフレームに設けられた畝間の除草が可能な除草部、及び、前記メインフレームに設けられた畝上面を鎮圧可能な鎮圧ローラ部を有する農作業用アタッチメントと、を備える。
【0044】
本発明の農作業機は、走行機を備えることにより、走行機の進行方向前部に取り付けられた農作業用アタッチメントを運用することができる。なお、走行機としては、管理機やトラクター等の乗用走行機が好適に使用されるが、手押し走行型の管理機や耕耘機等を除外するものではない。
【0045】
前述した農作業用アタッチメントを取り付けた走行機は、除草部が畝間に当接すると共に鎮圧ローラ部が畝上面に当接するように位置させた後、耕作地(特に麦畑)の畝立てされた方向に沿って走行(前進)させると、除草部により畝間に生えた雑草を除草することができ、且つ、鎮圧ローラ部によって畝上面を鎮圧することができる。このとき、農作業用アタッチメントには除草部と鎮圧ローラ部とが設けられているので、1回の走行で畝間の除草工程と畝の鎮圧工程とを併行することができ、畝間の除草と畝の鎮圧を別工程で行っていた(少なくとも2回の走行を要する)従来の作業と比較して、作業工程が少なくて済み、農業従事者の作業負担を軽減することができる。
【0046】
更に、本発明の農作業機は、農作業用アタッチメントが走行機の進行方向前部に取り付けられていることにより、走行機進行方向(前進方向)の景色とアタッチメントの進行予定方向のラインを一致させやすく、所望するラインでの作業(畝間の除草及び畝の鎮圧)がしやすい。なお、本発明の農作業機は、播種時乃至発芽の初期生育を良好にするために畝の鎮圧を要する農作物の畑(特に麦畑)での使用に好適である。
【0047】
上記の目的を達成するために、本発明の耕地管理方法は、走行機、及び、メインフレーム、除草部及び鎮圧ローラ部を有し、前記走行機の進行方向前部に取り付けられた農作業用アタッチメントを備えた農作業機を前進させて行われ、該農作業機が、前記走行機よりも進行方向前部の領域において、前記除草部によって畝間の除草を行う畝間除草工程と前記鎮圧ローラ部によって畝上面を鎮圧する畝鎮圧工程とを併行するものである。
【0048】
本発明の耕地管理方法は、前述した農作業機を使用することにより、除草部が畝間に当接すると共に鎮圧ローラ部が畝上面に当接するように位置させた後、耕作地(特に麦畑)の畝立てされた方向に沿って走行(前進)させると、除草部により畝間に生えた雑草を除草することができ、且つ、鎮圧ローラ部によって畝上面を鎮圧することができる。
【0049】
このとき、農作業用アタッチメントには除草部と鎮圧ローラ部とが設けられているので、1回の走行で畝間の除草工程と畝の鎮圧工程とを併行することができ、畝間の除草と畝の鎮圧を別工程で行っていた(少なくとも2回の走行を要する)従来の作業と比較して、作業工程が少なくて済み、農業従事者の作業負担を軽減することができる。
【0050】
更に、本発明の耕地管理方法では、農作業用アタッチメントが走行機の進行方向前部に取り付けられていることにより、走行機の進行方向後部にアタッチメントを配した機体を使用した場合と異なり、走行機進行方向(前進方向)の景色とアタッチメントの進行予定方向のラインを一致させやすく、所望するラインでの作業(畝間の除草及び畝の鎮圧)がしやすい。なお、本発明の耕地管理方法は、播種時乃至発芽の初期生育を良好にするために畝の鎮圧を要する農作物の畑(特に麦畑)での使用に好適である。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、1回の走行で畝間の除草工程と畝の鎮圧工程とを併行することができると共に、走行機進行方向の景色とアタッチメントの進行予定方向のラインを一致させやすく、作業効率が良い、農作業用アタッチメント、農作業機、及び、耕地管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の農作業機(第1実施形態)を前方左側から示すと共に、想像線で使用状況を示した斜視図である。
【
図2】
図1に示す農作業用アタッチメントを前方左側から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示す農作業用アタッチメントを前方から示すと共に、想像線で使用状況を示した正面図である。
【
図4】
図1に示す農作業用アタッチメントを後方から示すと共に、想像線で使用状況を示した背面図である。
【
図5】
図1に示す農作業用アタッチメントを下方側から見た斜視図である。
【
図6】
図1に示す農作業用アタッチメントにおける除草部及び鎮圧ローラ部の拡大図である。
【
図7】本発明の農作業機(第2実施形態)を左側から示した斜視図である。
【
図8】
図7に示す農作業機を前方から示した正面図である。
【
図9】
図1に示す農作業機に係る鎮圧ローラ部の変形例(変形例1)を左前側から示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1~
図9を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、以下の説明は、〔第1実施形態〕、〔第2実施形態〕、〔変形例1〕の順序により行う。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。なお、
図1~
図8の一部の図面中に示す矢印に係る符号は説明上の方向を示し、符号Fは「前方向」を、Bは「後方向」を、Rは「右方向」を、Lは「左方向」を、Uは「上方向」を、Dは「下方向」を、それぞれ意味している。
【0054】
〔第1実施形態〕
(農作業機1)
図1を参照する。農作業機1は、走行機2と、走行機2の進行方向前部に取り付けられた農作業用アタッチメント3を備える(
図1参照)。各部については以下詳述する。
【0055】
(走行機2)
本実施形態において、走行機2として、四輪操舵型の乗用型管理機(4WS管理機)を使用しており、走行機2の進行方向前部には昇降機能を有する取付アーム21が設けられている。なお、走行機は、4WS管理機に限定するものではなく、例えば、トラクター等の農場を走行可能な他の作業機械であってもよい。
【0056】
(農作業用アタッチメント3)
図1~6を参照する。農作業用アタッチメント3は、取付アーム21先部に取り付けられ、取付アーム21を介して昇降可能に設けられている。農作業用アタッチメント3は、畑Fにおいて畝F1上面の鎮圧と畝間F2の除草を併行できるものであり、走行機2の進行方向前部に基端側が取り付けられたメインフレーム部31、メインフレーム部31に設けられた畝間F2の除草が可能な除草部32、及び、メインフレーム部31に設けられた畝F1上面を鎮圧可能な鎮圧ローラ部35を有する構造であり、各部分については以下詳述する。
【0057】
<メインフレーム部31>
メインフレーム部31は、アーム取付部311、横架フレーム312、高さ読取部取付部313、及び、高さ読取部314を有する構造である。
【0058】
アーム取付部311は、農作業用アタッチメント3の使用状態において、横架フレーム312の上部略中央となる位置に配設されており、同状態で後方となる部分に支持軸315が設けられている。支持軸315は、前述の使用状態で、アーム取付部311の後方となる部分の内側において左右方向に架け渡された構造であり、支持軸315を介して取付アーム21先部に取り付けられる。なお、前述した「上部略中央」の表現は、上部の完全な中央である態様のほか、中央よりも僅かに左右に外れた態様を含む意味で使用している。
【0059】
横架フレーム312は、走行機2の進行方向と交差する方向(
図1~5における左右方向)に配設されており、走行機2の車幅よりもやや長尺(走行機2の車幅の約1.4倍の長さ)に形成されている。更に詳しくは、横架フレーム312は、車幅程の角柱部分(本実施形態では畝間5つ分の除草部32が取り付け可能な幅)と、角柱部分の長手方向両側に所定長さの角パイプ部分を有し、使用状態において角パイプ部分が角柱部分の左右方向へ伸縮可能な構造に設けられている。
【0060】
高さ読取部取付部313は、農作業用アタッチメント3の使用状態において、アーム取付部311の前方に配設されており、基部が横架フレーム312に取り付けられていると共に、先部が横架フレーム312から所定間隔を空くように設けられている。
【0061】
高さ読取部314は、車輪状に設けられ、高さ読取部取付軸317を介して高さ読取部取付部313の前方に配設されている。高さ読取部取付軸317は、縦軸部分と横軸部分を有するL字状であって、縦軸部分が上下方向へスライド可能に高さ読取部取付部313に取り付けられており、横軸部分の先端が農作業用アタッチメント3の使用状態において前方となる方向へ向いている。そして、高さ読取部314は、高さ読取部取付軸317の横軸部分の先部に、機体進行方向に対して左右方向へ回動可能に取り付けられている。
【0062】
そして、高さ読取部314は、農作業用アタッチメント3全体の高さ制御に使用される部分であって、使用状態において車輪部分に取り付けられたセンサ(図示省略)の信号が走行機2側に送信され、走行機2の運転席等、作業者Hの手元にある調整部のボリュームにより、農作業用アタッチメント3全体の高さを調整可能(5mm単位で微調整可能)に設けられている。
【0063】
<除草部32>
除草部32は、除草部取付部材321、除草部材330及びカッター343を有する構造である。
【0064】
除草部取付部材321は、取付基部322、付勢構造部323及び付勢部材324を有する構造である。取付基部322は、農作業用アタッチメント3の使用状態において前後となる方向へ所定の長さを有し、その長軸方向が横架フレーム312と交差する態様で取り付けられていると共に、横架フレーム312との間には付勢構造部323が配設されている。付勢構造部322は、使用状態で上下方向に可動する構造であって、取付基部322(及びこれに取り付けられた構造物)を下方へ押し下げる付勢部材324(本実施形態ではバネ)が設けられた構造である。
【0065】
本実施形態では、除草部32は走行輪325を有している。走行輪325は、除草部取付部材321における取付基部322前部側(走行機2の進行方向前方となる位置)に設けられている。走行輪325は、取付軸326を介して取付基部322の前方保持部327に取り付けられている。取付軸326は、走行輪325を保持するフォーク部分及びフォーク部分の上方に設けられた軸部分を有し、前方保持部327に軸部分が挿通されて上下方向へ伸縮する長さを調整し任意の長さで固定可能に設けられている。
【0066】
除草部材330は、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337を有する構造である。第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337は、除草部取付部材321を挟んで所定間隔を空けて配設されており、第1除草ディスク331が第2除草ディスク337よりも走行機2の進行方向前方に位置している(換言すると、第1除草ディスク331と第2除草ディスク337は走行機2の進行方向前方において互い違い(非線対称)に配設されている)。
【0067】
図6を参照して、第2除草ディスク337について説明する。なお、除草部取付部材321を挟んで反対側に位置する第1除草ディスク331は、第2除草ディスク337と同様の構造であるため、説明を省略する。なお、第1除草ディスク331については
図3~
図5に図示している。
【0068】
第2除草ディスク337は、回転軸338を中心に回転可能な円盤状で周縁に切断刃が設けられている。本実施形態では、第2除草ディスク337の周縁は凹凸が連続した形状であって、主に凸部分が切断刃となる構造である(なお凹部分も切断作用を奏することもある)。そして、第2除草ディスク337は、中央部分は平板状であるが、凹凸部分を含む周縁部が中央部分からみて外側(換言すると、除草部取付部材321の長手方向軸線からみて反対方向)へ緩傾斜した形状に形成されている。
【0069】
第2除草ディスク337は、取付アーム339及び取付部340を介して、除草部取付部材321の取付基部322に取り付けられている。
【0070】
取付アーム339は、軸方向中間部分が緩やかに曲げられた形状であって、使用状態において上部及び下部となる部分が軸方向に略平行に設けられている。取付アーム339は、その上端が取付部340に対して軸回転可能に取着され、その下端が第2除草ディスク337の内側の面(換言すると、除草部取付部材321に向いた面)に配設されて回転軸338を軸回転可能に取着している。なお、前述した「軸方向に略平行」の表現は、軸方向において完全に平行である態様のほか、軸方向において僅かに平行ではない(概ね平行な)態様を含む意味で使用している。
【0071】
取付部340は、走行機2の進行方向に対して、後方となる部分に取付アーム339が取着されており、前方となる部分に角度調整部341が設けられている。また、取付部340は、取付基部322への取付箇所が取付基部322の位置と反対方向且つ水平方向へ伸縮可能な構造(本実施形態では、取付基部322の幅方向に形成された穴(符号省略)に取付部340から所定長さで延設された棒体(符号省略)を挿通した構造)に設けられている。
【0072】
角度調整部分341は、第2除草ディスク337の中央部分の径方向軸線と除草部取付部材321の長手方向軸線とが平面視で平行となる位置を0°と規定した際に、第2除草ディスク337の径方向軸線の角度が除草部取付部材321の長手方向軸線側へ最大30°までの範囲内で傾斜可能に設けられている。これにより、角度調整部分341によって第2除草ディスク337に角度を付けた際に、第2除草ディスク337は、その前方側(走行機2の進行方向前方側)が除草部取付部材321に近づき、その後方側(走行機2の進行方向後方側)が除草部取付部材321から離れる態様とすることができる。
【0073】
第2除草ディスク337の外側(換言すると、除草部取付部材321の長手方向軸線からみて反対方向)の面には、スクレーパー342が取り付けられている。スクレーパー342は、基端が取付アーム333に回動不能に固定され、先端が自由端であって、第1除草ディスク331の中央部分(平板部分)の半径と略同じ長さ(第1除草ディスク331の凹凸部分を含む周縁部の傾斜の始点に至らない長さ)に設けられている。なお、前述した「半径と略同じ長さ」の表現は、半径と完全に同じ長さである態様のほか、半径よりも僅かに短いか又は長い態様を含む意味で使用している。
【0074】
カッター343は、第2除草ディスク337よりも走行機2の進行方向後方に配設されており、詳しくは、除草部取付部材321における取付基部322後部側(走行機2の進行方向後方となる位置)に設けられている。カッター343は、取付軸328を介して取付基部322の後方保持部329に取り付けられており、取付軸328は後方保持部329に挿通されて上下方向へ伸縮する長さを調整し任意の長さで固定可能に設けられている。
【0075】
カッター343は、その刈刃が走行機2の進行方向に対して左右方向に伸長しており、使用状態において基部よりも先部が下り傾斜する形状に設けられている。そして、カッター343は、刈刃が第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337間の隙間に位置するように配設されている。
【0076】
<鎮圧ローラ部35>
本実施形態において、鎮圧ローラ部35は、横架フレーム312の軸方向において除草部32の間となる箇所に複数が配設されており、その走行方向が除草部32の進行方向と平行となるように設定されている。鎮圧ローラ部35は、取付基部351、ローラ支持部352、付勢部材353及びローラ354を有する。
【0077】
取付基部351は、基部が横架フレーム312に取り付けられ、横架フレーム312の軸方向と交差する方向且つ走行機2の進行方向へ延設されている。ローラ支持部352は、ローラ354を保持するフォーク部分及びフォーク部分の上方に設けられた軸部分を有し、軸部分の中間が取付基部351の前後方向へ回動可能に軸着されている。
【0078】
付勢部材353は、本実施形態ではつるまきバネであり、ローラ支持部352の軸部分の先部と取付基部351の上部近傍との間に配設されている。ローラ354は、その接地部分の幅が鎮圧対象となる畝F1上面の幅と略同一(換言すると、接地部分の幅が横架フレーム312よりも狭幅である)の車輪状である。
【0079】
鎮圧ローラ部35は、取付基部351、ローラ支持部352及び付勢部材353が協働することによって使用状態で上下方向に可動し、付勢力を以てローラ354を下方へ押し下げることができる構造である。
【0080】
本実施形態において、横架フレーム312は、走行機2の車幅の約1.4倍の長さであるが、これに限定するものではなく、例えば、横架フレーム312の長さは走行機2の車幅の1~2倍の範囲内であることが好ましい。横架フレーム312の長さが走行機2の車幅の1倍未満であると、一行程で処理できる畝間及び畝間の数が少なくなって作業時間の増加を招くため好ましくなく、また、横架フレーム312の長さが走行機2の車幅の2倍を越えると、一行程で処理できる畝間及び畝間の数が多くなり過ぎて(換言すると、畝及び畝間の幅が広くなり過ぎて)農作業機全体に掛かる負荷が増大し安全性の低下も招くおそれがあるため好ましくない。
【0081】
本実施形態において、前述した横架フレーム312の角パイプ部分の「所定長さ」は、1条分の除草部32が取り付け可能な長さであるが、これに限定するものではなく、例えば、畝間9つ分の除草部32を取り付ける仕様の場合は、左右の各角パイプ部分に2条分の除草部32が取り付け可能な長さであってもよい。横架フレーム312は、前述した構造を採用することにより、前述の除草部32(または、6条仕様、8条仕様等の他の態様)に対応することができると共に、農作業機1(または農作業用アタッチメント3)を一般的な農家が導入している1.5トン又は2トンサイズのトラックに積載可能な大きさに設けている。
【0082】
本実施形態において、高さ読取部314は、車輪状に設けられているが、これに限定するものではなく、例えば、進行方向前側が上り傾斜したスキー板状に設けてもよいし、浮舟(フロート)状に設けてもよい。
【0083】
本実施形態において、除草部取付部材321は、取付基部322、付勢構造部323及び付勢部材324を有する構造であるが、これに限定するものではなく、例えば、付勢構造部及び付勢部材を有していない構造を除外するものではない。
【0084】
本実施形態において、付勢部材324及び付勢部材353は、つるまきバネ(引張コイルばね)であるが、これに限定するものではなく、例えば、圧縮コイルばね板バネ等の対象物を下方へ押し下げる付勢力を付加可能な部材であればよい。
【0085】
本実施形態において、除草部32は走行輪325を有しているが、これに限定するものではなく、除草部が走行輪を有していない態様であってもよい。
【0086】
本実施形態において、除草部材328は、前述した形状であるが、これに限定するものではなく、例えば、星形や両先端に刃を設けた直線状の刃を放射状に組み合わせた形状等、その他の形状であってもよい。また、本実施形態において、除草部材328は、1対(2つ)の円盤状の除草ディスクにより構成されているが、これに限定するものではなく、例えば、3つ以上の除草ディスクで構成された態様であってもよい。
【0087】
本実施形態において、角度調整部335及び角度調整部341は、基端側が回動可能に軸支されると共に先端側が自由端で円弧状に移動可能に設けられ、下部に円弧線上に形成された複数(本実施形態では5つ。支点から遠位側に等間隔に3つ、近位側に2つ設け、近位側の孔は前述の3つの孔の間となる配置で形成されている)の孔へピンを挿入して係止する構造であるが、これに限定するものではなく、例えば、ピンの挿入孔が円弧線上に形成された長孔であると共に、ピンの所定位置に上下方向から挟持する挟持部分を設けて長孔周辺を挟み、ピンを長孔の任意の位置で固定可能な構造等であってもよい。
【0088】
(作 用)
図1~6を参照して、農作業機1及び農作業用アタッチメント3の作用効果について説明する。
【0089】
(前準備)
まず、作業前に、農作業用アタッチメント3を、走行機2の進行方向前部に設けられた取付アーム21に取り付ける。詳しくは、取付アーム21の先部を、農作業用アタッチメント3のアーム取付部311に取り付けることで、農作業機1を構成する(
図1参照)。
【0090】
また、畝間の間隔や(除草のみ又は畝方向への土寄せ等の)用途に合わせて、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337を、進行方向前方側が除草部取付部材321の方向へ所定角度(5~20°の範囲内)で外側へ傾斜するように調整する。
【0091】
更に、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337の左右(水平)方向の間隔についても調整を行う。畝F1に生えた作物が小さい時期には第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337の左右方向の間隔を拡げ、回動する各除草ディスクを作物の近くまで寄せることで、作物近くまで除草することができる。一方、畝F1に生えた作物が成長して大きい時期には第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337の左右方向の間隔を狭め、回動する各除草ディスクが作物の近くまで寄らない(離れる)ようにして、除草時に作物及びその根に接触して、作物が傷むことを抑制する。
【0092】
走行輪325についても調整を行う。走行輪325は、前述の構造である取付軸326及び前方保持部327を以て上下方向へ繰り出し長さを調整及び固定し、走行輪325接地部分の対地高さを調整する。なお、走行輪325接地部分の位置を上げた場合は、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337が地面に入り込みやすくなり、走行輪325接地部分の位置を下げた場合は、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337が地面に入り過ぎることが抑制される。
【0093】
カッター343についても調整を行う。カッター343は、前述の構造である取付軸328及び後方保持部329を以て上下方向へ繰り出し長さを調整及び固定し、カッター343の対地高さを調整する。なお、カッター343の対地高さを下げた場合は、カッター343が地面に深く入り込むことで除草部32全体が下方(地面方向)へ引き付けられ、畑の土壌が硬い場合であっても第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337が地面に入り込みやすくなる。
【0094】
(畑への進入前後)
前述の前準備にて農作業用アタッチメント3を取り付けた走行機2を運転し、畝F1及び畝間F2が形成された畑へ進入する。このとき、農作業機1は、取付アーム21が昇降機能を有するので、農作業用アタッチメント3を持ち上げた状態で畑へ進入させることができる。また、農作業機1は、農作業後に、農作業用アタッチメント3を持ち上げた状態で畑から退出進入させることができる。これにより、農作業用アタッチメント3が畑の周囲にある道路等の段差に接触して破損したり、接触に起因して車体が転倒したりする可能性を低減している。
【0095】
(除草及び鎮圧作業)
農作業機1は、農作業用アタッチメント3の高さ読取部取付軸317を横架フレーム312の幅方向略中央に位置する畝間F2に配置して畝間F2底面に当接させ、除草部32(特に走行輪325、第1除草ディスク331、第2除草ディスク337及びカッター343)を他の畝間F2に配置して畝間F2底面に当接させると共に、鎮圧ローラ部35のローラ354が畝F1上面に当接するように位置させた後、走行機2を耕作地である畑Fの畝立てされた方向に沿って走行(前進)させると、除草部32により畝間F2に生えた雑草を除草することができ、且つ、鎮圧ローラ部35によって畝F1上面を鎮圧することができる。
【0096】
このとき、農作業用アタッチメント3には除草部32と鎮圧ローラ部35とが設けられているので、1回の走行で畝間F2の除草工程と畝F1の鎮圧工程とを併行することができ、畝間F2の除草と畝F1の鎮圧を別工程で行っていた(少なくとも2回の走行を要する)従来の作業と比較して、作業工程が少なくて済み、農業従事者の作業負担を軽減することができる。
【0097】
更に、農作業機1は、農作業用アタッチメント3が走行機2の進行方向前部に取り付けられていることにより、走行機2の進行方向後部にアタッチメントを配した特許文献1及び2記載の機体と異なり、走行機2の進行方向(前進方向)の景色と農作業用アタッチメント3の進行予定方向のラインを一致させやすく、所望するラインでの作業(畝間F2の除草及び畝F1の鎮圧)がしやすい。
【0098】
農作業用アタッチメント3は、メインフレーム部31が前述したアーム取付部31を有することにより支持軸315を介して取付アーム21先部に上下可動な状態で取り付けられており、畝及び畝間の表面への追従性が高められている。
【0099】
農作業用アタッチメント3は、メインフレーム部31が横架フレーム312を有することにより、基体として、走行機2の進行方向と交差する方向へ複数の除草部32と複数の鎮圧ローラ部35を配設することができる。そして、横架フレーム312の軸方向において複数の除草部32と複数の鎮圧ローラ部35が交互に配設されていることにより、複数の畝及び畝間に対する作業(畝間F2の除草及び畝F1の鎮圧)を同時に行うことができ、作業時間短縮に寄与する。
【0100】
メインフレーム部31は、高さ読取部314を基準となる所定の畝間F2に合わせて走行させると、農作業機1(農作業用アタッチメント3)の走行方向を示す目安とすることができる。そして、高さ読取部314は、前述したセンサ及び調整部等を有する構造であることにより、畝間F2の深さに応じて畝間F2底面に確実に接地できるように、農作業用アタッチメント3全体の高さを調整することができる。
【0101】
また、農作業用アタッチメント3は、除草部32の除草部取付部321が、除草部材330(第1除草ディスク331、第2除草ディスク337等)及びカッター343の取付基部となると共に、除草部材330及びカッター343を畝間F2の形成方向に沿うように一致させることができる。また、除草部取付部材321は、前述した付勢構造部323及び付勢部材324を有する構造であることにより、使用状態で上下動してメインフレーム部31下方に設けた構造物(除草部32、鎮圧ローラ部35等)の畝及び畝間の表面への追従性が向上している。
【0102】
農作業用アタッチメント3は、除草部32が走行輪325を有することにより、農作業用アタッチメント3が前進する際に畝間F2の形成方向に沿って先行して走行輪325が進行することで、進行方向後方に位置する除草部32をガイドすることができる。また、走行輪325は、前述した位置に設けられていることにより、重量物である農作業用アタッチメント3の先部側荷重を支えると共に、農作業用アタッチメント3がスムーズに進行できるようにしている。
【0103】
更に、走行輪325は、進行方向において除草部32よりも前方に設けられていることにより、除草部32が除草した畝間F2の雑草を走行輪325で踏まないようにすることができ、これにより、除草した雑草を走行輪325で踏まれて雑草の根が再度土に埋まって根が再生するような事象を抑制することができる。更にまた、走行輪325は、取付軸326を介して上下方向へ伸縮させて長さを調整することができるので、畝間F2底面との接地性を高めて走行性が向上している
【0104】
農作業用アタッチメント3は、除草部材330として第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337を有することにより、畝間F2の除草作業をスムーズに行うことができる。詳しくは、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337は、前述した構成であることにより、車輪のように畝間F2を前方へ走行しながら除草が行われる。
【0105】
このとき、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337は、除草部取付部材321を挟んで所定間隔を空けて配設されていることにより、畝間F2の左右両方に向けて除草作業を行うことができる。そして、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337は、進行方向に対して前後方向にずれていることにより、第1除草ディスク331と第2除草ディスク337の間に土塊が生じにくくなっている。
【0106】
また、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337は、進行方向前方側が除草部取付部材321の方向へ所定角度(5~20°の範囲内)で傾斜した構造であることにより、各除草ディスクが、進行方向前方側で畝間F2の土を掘り起こすと共に、後方側で各除草ディスクの外側へ掘り起こした土を押しやるように作用し、これにより雑草が根ごと掘り起こされるので、作業後に雑草が再生するような事象を抑制することができる。加えて、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337は、前述した形状(中央部分が平板状で、周縁部が中央部分からみて外側へ緩傾斜した形状)であることにより、各除草ディスクが掘り起こした土を外側へ押しやる効果が高められている。
【0107】
更に、前述したように第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337が進行方向に対して所定角度で傾斜した構造であることにより、各除草ディスクと起耕対象となる土との間で生じる摩擦抵抗が増大し、各除草ディスクに付着した土が起耕前の土との摩擦によって削ぎ落とされやすくなっていることで、各除草ディスクに土が付着しにくく、走行時に生じる抵抗力を減じさせることができる。また、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337の傾斜は、前述の角度調整部335及び角度調整部341により所望する角度に調整することができる。
【0108】
なお、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337の取付角度であっても各除草ディスクの外側の面に土が付着することがあるが、前述したスクレーパー342によって、作業時において回転する各除草ディスクから付着した土が削ぎ落とされるようになっている。
【0109】
そして、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337は、前述した取付アーム333及び取付アーム339を介して取り付けられていることによって、取付基部322は挟んで配置されているとしても第1除草ディスク331と第2除草ディスク337の間が離れ過ぎず、起耕の際の幅を適当に保つことができる。
【0110】
カッター343は、前述の通り配置されていることにより、畝間F2において第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337の間に生え、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337で刈り取れない位置に生えている雑草をカッター343の刈刃で刈り取ることができる。つまり、農作業用アタッチメント3は、第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337とカッター343が前述の配置で協働し、畝間F2の内壁下部と底面を含む幅方向における雑草をムラなく効率的に除草することができる。そして、カッター343は、取付軸328を介して上下方向へ伸縮させて長さを調整することができるので、雑草の刈り残しを生じにくくすることができる。
【0111】
また、農作業用アタッチメント3は、鎮圧ローラ部35を構成するローラ354の各々が、その接地部分の幅が鎮圧対象となる畝F1上面の幅と略同一(接地部分の幅が横架フレーム312よりも狭幅であるとも換言できる)の車輪状であることにより、畝F1の鎮圧を十分に行うことができると共に、特許文献2に示すような従来の鎮圧ローラと比較して小型且つ軽量に設けられているので、移動時及び作業時における走行機2への負荷を少なくすることができる。
【0112】
更に、鎮圧ローラ部35は、ローラ354の接地部分の幅が狭いため、前述した横架フレーム312に配設可能な数を増やすことができ、同時に作業可能となる畝及び畝間の数が増えることで作業時間短縮に更に寄与する。
【0113】
更にまた、鎮圧ローラ部35は、取付基部351、ローラ支持部352及び付勢部材353が協働することによって使用状態で上下方向に可動し、付勢力を以てローラ354を下方へ押し下げることができる構造であることにより、畝F1の高さに応じて鎮圧ローラ部35の高さ調整を手動で行う必要がなくなり、作業時において畝F1上面に凹凸や高低差がある場合であっても鎮圧ローラ部35が付勢された状態で上下動するので、鎮圧ローラ部35と畝上面F1に隙間が生じにくく且つ適切な押圧力で作業が行われ、この結果、畝F1の鎮圧を十分に行うことができる。
【0114】
〔第2実施形態〕
(農作業機1a)
図7~8を参照する。農作業機1aは、農作業機の他の実施形態(第2実施形態)であって、走行機2と、走行機2の進行方向前部に取り付けられた農作業用アタッチメント3aを備える。各部については以下詳述する。なお、走行機2については、第1実施形態と同様の構成であると共に、作用効果が共通するため、説明を省略する。また、農作業用アタッチメント3aにおいて、第1実施形態の農作業用アタッチメント3と共通する構成及びその作用効果については説明を省略する。
【0115】
(農作業用アタッチメント3a)
農作業用アタッチメント3aは、取付アーム21先部に取り付けられ、取付アーム21を介して昇降可能に設けられている。
【0116】
農作業用アタッチメント3aは、畑Fにおいて畝F1上面の鎮圧と畝間F2の除草を併行できるものであり、走行機2の進行方向前部に基端側が取り付けられたメインフレーム部31a、メインフレーム部31aに設けられて畝間F2の除草が可能な除草部32a及び畝F1上面を鎮圧可能な鎮圧ローラ部35aを有する構造である。
【0117】
なお、本実施形態において、農作業用アタッチメント3aは、除草部32aがメインフレーム部31aの先部に配設されていると共に、鎮圧ローラ部35aがメインフレーム部31aの後部(すなわち、除草部32aよりも走行機2側となる位置)に配設された構造である点において、農作業用アタッチメント3と相違する。各部分については以下詳述する。
【0118】
<メインフレーム部31a>
メインフレーム部31aは、アーム取付部311a、横架フレーム312a及び支持軸(図示省略)を有する構造である。
【0119】
アーム取付部311aは、農作業用アタッチメント3aの使用状態において、横架フレーム312aの上部略中央となる位置に配設されており、同状態で後方となる部分に支持軸315aが設けられている。支持軸は、前述の使用状態で、アーム取付部311aの後方となる部分の内側において左右方向に架け渡された構造であり、支持軸を介して取付アーム21先部に取り付けられる。なお、前述した「上部略中央」の表現は、上部の完全な中央である態様のほか、中央よりも僅かに左右に外れた態様を含む意味で使用している。
【0120】
横架フレーム312aは、走行機2の進行方向と交差する方向(
図8における左右方向)に配設されており、走行機2の車幅よりもやや長尺(走行機2の車幅の約1.4倍の長さ)に形成されている。なお、横架フレーム312aについては、横架フレーム312と同様の構造であるため、説明を省略する。
【0121】
<除草部32a>
除草部32aは、除草部取付部材321a、除草部材330及びカッター343aを有する構造である。なお、除草部材330については、除草部32と同様の構造であるため、説明を省略する。
【0122】
除草部取付部材321aは、取付基部322a及び高さ調整部344を有する構造である。取付基部322aは、農作業用アタッチメント3aの使用状態において前後となる方向へ所定の長さを有し、その長軸方向が横架フレーム312aと交差する態様で取り付けられていると共に、高さ調整部344が配設されている。高さ調整部344は、リンク構造となっており、先部のレバー(符号省略)に形成された複数の凹部のいずれかと取付基部322aに設けた係止ピン(符号省略)を係合させることで、上下方向に可動する構造である。
【0123】
カッター343aは、除草部材330よりも走行機2の進行方向後方に配設されており、詳しくは、取付基部322a後部側に設けられている(
図7参照)。カッター343aは、取付基部322aに接続された取付軸(符号省略)及び取付軸先端に設けられた刈刃(符号省略)を有し、刈刃が走行機2の進行方向に対して左右方向に伸長しており、使用状態において基部よりも先部が下り傾斜する形状に設けられている。そして、カッター343aは、刈刃が除草部材330における第1除草ディスク331及び第2除草ディスク337間の隙間に位置するように配設されている(
図8参照)。
【0124】
<鎮圧ローラ部35a>
本実施形態において、鎮圧ローラ部35aは、メインフレーム部31aの後部下方に配設されており、取付基部351a、ローラ支持部352a、ローラ354a及びスクレーパー355を有する。
【0125】
なお、本実施形態におけるローラ354aは、横架フレーム312aと略同じ長さの薄板で形成された筒状体であり、横架フレーム312aと長手方向において平行に配設されている。そして、ローラ354aは、その両端に十字状のホイール356が設けられており、ホイール356の中央に回転軸357を有している。なお、「横架フレーム312aと略同じ長さ」の表現は、横架フレーム312aの長さと完全に同一である態様のほか、横架フレーム312aよりも僅かに短いか又は長い態様を含む意味で使用している。
【0126】
取付基部351aは、高さ方向に縦長の一対の板体であり、各々が横架フレーム312aの両端に取り付けられている。そして、取付基部351aは、上方に位置する基部が横架フレーム312aに取り付けられ、下方に位置する先端が除草部32aの高さの略半分となる箇所に位置するように垂下している。なお、前述した「高さの略半分となる箇所」の表現は、除草部32aの高さの完全な半分となる箇所である態様のほか、除草部32aの高さの完全な半分となる箇所よりも僅かに高いか又は低い態様を含む意味で使用している。
【0127】
ローラ支持部352aは、所定の長さを有する板状であり、その基端が取付基部351aの先部に回動可能に軸着されており、長手方向略中間にローラ354aの回転軸357が回動可能に軸着されており、先端近傍にスクレーパー355が取り付けられている。スクレーパー355は、ローラ354aの長手方向に亘る長さであって、ローラ354aとの対向部分に土落とし部分(図示省略)が設けられており、土落とし部分の先端とローラ354a表面との間は約1cmの間隔が空いた構造である。なお、前述した「長手方向略中間」の表現は、長手方向の完全な中間である態様のほか、長手方向において中間よりも基端側又は先端側へ僅かに外れた態様を含む意味で使用している。
【0128】
本実施形態において、スクレーパー355は、土落とし部分の先端とローラ354a表面との間の間隔が約1cmであるが、これに限定するものではなく、例えば、同間隔は0.5~3cmの範囲内であることが好ましい。前述の間隔が1cm未満の場合は、作業による衝撃や応力によってスクレーパー355が撓むと、土落とし部分の先端がローラ354a表面に接触してこれを傷つける可能性があるため好ましくなく、前述の間隔が5cmを超える場合は、土落とし部分の先端とローラ354a表面とが離れすぎて、ローラ354a表面に付着した土を削ぎ落としにくくなるため好ましくない。
【0129】
(作 用)
農作業機1aは、農作業用アタッチメント3aに前述した配置で除草部32aと鎮圧ローラ部35aが設けられていることにより、走行機2を前進させると、除草部32aにより畝間F2に生えた雑草を先に除草することができ、その後、鎮圧ローラ部35aによって畝F1上面を鎮圧することができる。そして、農作業機1aの農作業用アタッチメント3aによれば、鎮圧ローラ部35aが畝F1上面を鎮圧する前に、除草部32aが畝間F2に生えた雑草を先に除草するので、先行する鎮圧ローラによって雑草が地面に沿って倒れて除草部で刈り取りにくくなる事象を抑制することができる。
【0130】
なお、農作業機1aは、これを畑Fで走行させるにあたり、前述の高さ調整部344を以て取付基部322aより下部に設けられた部材(除草部32a及びカッター343a)を昇降させ、同部材の最低位置を上下方向に調節することができる。これにより、畝間F2底面と除草部32a及びカッター343aの間に隙間が生じて作業が無駄になるような事象を抑制でき、作業効率が向上する。
【0131】
また、農作業機1aは、畝F1鎮圧の際に水分を含んだ土がローラ354a表面に付着したとしても、前述したスクレーパー355によって土を削ぎ落とすことができる。
【0132】
〔変形例1〕
図9に示す変形例1に係る鎮圧ローラ部35bは、農作業機1に係る鎮圧ローラ部35の変形例(変形例1)である。鎮圧ローラ部35bも、横架フレーム312の軸方向において除草部32の間となる箇所に複数が配設されるものであり、その走行方向が除草部32の進行方向と平行となるように設定されている。
【0133】
鎮圧ローラ部35bは、取付基部351b、ローラ支持部352b、付勢部材353及びローラ354を有する。
【0134】
取付基部351bは、基部が横架フレーム312に取り付けられ、横架フレーム312の軸方向と交差する方向且つ走行機2の進行方向へ延設されている。また、取付基部351bは、取付基部351と比較して、使用状態でその先部が地面に近づくように長尺に設けられていると共に、先部が二股に形成されており、先部のうちの進行方向前部側(図面において左側)が付勢部材353の一端側の取付部分であり、下垂部分がローラ支持部352の軸着部分である。
【0135】
ローラ支持部352bは、ローラ354を保持するフォーク部分及びフォーク部分と反対方向に延設されて先部(使用時における前部)が自由端である軸部分を有する。また、ローラ支持部352bは、フォーク部分において軸部分と反対方向(使用時における後方向)に、スクレーパー355bが設けられている。ローラ支持部352bは、軸部分の先部が付勢部材353の他端側の取付部分であり、軸部分の中間が取付基部351b先部の下垂部分と回動可能に軸着されている。
【0136】
付勢部材353は、本変形例ではつるまきバネであり、前述した箇所に配設されており、ローラ354に対する付勢力(ローラ支持部352bの軸部分先端においては牽引力とも換言できる)が発揮された状態で、ローラ支持部352bの軸部分の姿勢が地面と略平行に保持されるように設定されている。なお、ローラ354は、鎮圧ローラ部35に係るものと同じであるため、その構造及び作用効果の説明を省略する。また、前述した「地面と略平行」の表現は、軸部分の姿勢が地面と完全に平行である態様のほか、軸方向において僅かに平行ではない(概ね平行な)態様を含む意味で使用している。
【0137】
鎮圧ローラ部35bは、取付基部351b、ローラ支持部352b及び付勢部材353が協働することによって使用状態で上下方向に可動し、付勢力を以てローラ354を下方へ押し下げることができる構造であるが、鎮圧ローラ部35と比較して、ローラ支持部352b及び付勢部材353の稼働位置が地面に近いため、地面の凹凸に対する追従性が向上し、これに伴って走行性が更に向上している。
【0138】
更に、鎮圧ローラ部35bは、前述したスクレーパー355bが設けられているため、走行中にローラ354へ付着する土等のゴミを削ぎ落とすため、付着した土等による走行時のガタつきが顕著に減り、走行性の安定に寄与する。
【0139】
〔耕地管理方法〕
本発明に係る耕地管理方法は、前述した農作業用アタッチメント3(3a)等を備えた農作業機1(1a)を前進させて行われ、農作業機3(3a)が、走行機2よりも進行方向前部の領域において、除草部32(32a)によって畝間F2の除草を行う畝間除草工程と、鎮圧ローラ部35(35a、35b)によって畝F1上面を鎮圧する畝鎮圧工程とを併行するものである。
【0140】
更に、農作業機1(1a)は、播種前後又は苗定植前の耕地(すなわち、畝F1及び畝間F2が形成される前の平坦な耕地)を走行させて、播種等前の耕地に畝F1及び畝間F2を形成すること(畝立て作業)ができる。この場合、鎮圧ローラ部35(35a、35b)を外し、第1除草ディスク331(331a)及び第2除草ディスク337(337a)を調整して畝間F2の形成に適した所定の角度に傾斜させ、平坦な状態の耕地に農作業機1(1a)を走行させることで、畝F1及び畝間F2が形成される。なお、鎮圧ローラ部35(35a、35b)を外さずに併用した場合には、形成された畝F1上面の鎮圧と、併せて固まった土壌の砕土を行うことができる。
【0141】
なお、農作業機1(1a)の適用対象事例として麦畑を挙げているが、これに限定するものではなく、例えば、大豆畑等の他の耕地(圃場)にも適用することができる。
【0142】
大豆畑の場合、播種直後や(状況に応じて)発芽前までの間は、通常の農作業用アタッチメント3(3a)を使用して除草及び鎮圧の作業を行うことができる。一方、発芽後は鎮圧の作業が不要なため、鎮圧ローラ部35(35a、35b)を外した農作業用アタッチメント3(3a)を使用しての除草作業を行うことができる。この除草作業に伴い、第1除草ディスク331(331a)及び第2除草ディスク337(337a)の角度を進行方向に対して約25°(なお、畝立てや除草の用途に応じ約5~約30°の範囲で変更可能であり、麦畑の場合は約20°が好適である)に開くように設定して作業を行う。発明者の試験によれば、前述の設定の作業により、各除草ディスク331で掘り起こされた土が大豆の茎の部分に寄って覆土となって、倒伏防止や、養分吸収を増やすために不定根の発生促進に貢献し、その結果、収穫量の減少はみられず、且つ、抑草に成功している。
【0143】
また、農作業機1(1a)及び農作業用アタッチメント3(3a)は、乾田直播水稲栽培にも適用することができる。この場合にも、大豆畑の場合と同様、播種前又は苗定植前の耕地(すなわち、畝F1及び畝間F2が形成される前の平坦な耕地)を走行させて、播種等前の耕地に畝F1及び畝間F2を形成すること(畝立て作業)ができる。
【0144】
本明細書および特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。また、第一、第二等の言葉は、等級や重要度を意味するものではなく、一つの要素を他の要素から区別するために使用したものである。
【符号の説明】
【0145】
1、1a 農作業機
2 走行機
3、3a 農作業用アタッチメント
31、31a メインフレーム部
311、311a アーム取付部
312、312a 横架フレーム
313 高さ読取部取付部
314 高さ読取部
315 支持軸
317 高さ読取部取付軸
32、32a 除草部
321、321a 除草部取付部材
322、322a 取付基部
323 付勢構造部
324 付勢部材
325 走行輪
326 取付軸
327 前方保持部
328 取付軸
329 後方保持部
330 除草部材
331 第1除草ディスク
332 回転軸
333 取付アーム
334 取付部
335 角度調整部
336 スクレーパー
337 第2除草ディスク
338 回転軸
339 取付アーム
340 取付部
341 角度調整部
342 スクレーパー
343、343a カッター
344 高さ調整部
35、35a、35b 鎮圧ローラ部
351、351a、351b 取付基部
352、352a、352b ローラ支持部
353 付勢部材
354、354a ローラ
355、355b スクレーパー
356 ホイール
357 回転軸
H 作業者
F 畑
F1 畝
F2 畝間