(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114140
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷物生産方法
(51)【国際特許分類】
B41J 15/02 20060101AFI20240816BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240816BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B41J15/02
B41J29/38 204
B41J29/38 201
B41J11/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019687
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】姫野 剛
(72)【発明者】
【氏名】林 寿宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 綾子
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
2C061
【Fターム(参考)】
2C058AB21
2C058AC07
2C058AC11
2C058AD09
2C058AE04
2C058AF57
2C058GA07
2C060CA02
2C060CA13
2C060CA22
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS06
2C061HJ02
2C061HK19
2C061HN04
2C061HN05
2C061HN15
2C061HN24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】媒体の消費を節約する。
【解決手段】印刷装置1は、媒体Mに印刷する印刷部と、媒体Mを搬送する搬送部と、印刷後の媒体Mを巻き取るための巻取芯材15を回転可能に支持する巻取部と、ユーザーが媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するのに適した固定作業範囲R1の上流端PS2に媒体Mの先端MLが到達した後であって、印刷画像の切れ目が印刷部における印刷位置PS0に到達したことに応じて、搬送部による媒体Mの搬送を停止させる停止部と、を含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に印刷する印刷部と、
前記媒体を搬送する搬送部と、
印刷後の前記媒体を巻き取るための巻取芯材を回転可能に支持する巻取部と、
ユーザーが前記媒体の先端を前記巻取芯材に固定するのに適した固定作業範囲の上流端に前記媒体の前記先端が到達した後であって、印刷画像の切れ目が前記印刷部における印刷位置に到達したことに応じて、前記搬送部による前記媒体の搬送を停止させる停止部と、
を含む、
印刷装置。
【請求項2】
前記停止部は、前記巻取部における巻き取りが必要であるジョブの実行時は前記搬送を停止させ、前記巻取部における巻き取りが不要であるジョブの実行時は前記搬送を停止させない、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記停止部は、前記巻取部が巻き取り前である場合は前記搬送を停止させ、前記巻取部が巻き取り済みである場合は前記搬送を停止させない、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記停止部は、前記停止部による停止が必要であると前記ユーザーが設定する場合は前記搬送を停止させ、前記停止部による停止が不要であると前記ユーザーが設定する場合は前記搬送を停止させない、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記停止部は、前記固定作業範囲の前記上流端に前記媒体の前記先端が到達した後であって、前記媒体の前記先端が前記固定作業範囲の前記上流端から下流に向かう所定の停止範囲内にいるうちに前記印刷位置に到達する前記切れ目が存在しない場合、前記搬送部による前記媒体の搬送速度を所定のタイミングで低下させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記所定の停止範囲の下流端は設置床面である、
請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記所定のタイミングは、前記固定作業範囲の前記上流端に前記媒体の前記先端が到達したタイミングである、
請求項5に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記切れ目は、主走査方向の全域にわたって印刷が行われない領域である、
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記切れ目は、第1印刷ページの印刷画像の下端と、第2印刷ページの印刷画像の上端と、の間に位置する、
請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記切れ目は、同一ページ内に少なくとも2つの印刷画像が前記媒体の搬送方向において互いに離れて配置される場合、前記少なくとも2つの印刷画像の間に位置する、
請求項8に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記停止部が前記搬送を停止させる場合、前記切れ目に対して上流側に隣接する印刷画像に対しては下端処理が実行され、前記切れ目に対して下流側に隣接する印刷画像に対しては上端処理が実行される、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項12】
媒体に印刷する印刷部と、
前記媒体を搬送する搬送部と、
印刷後の前記媒体を巻き取るための巻取芯材を回転可能に支持する巻取部と、
を含む印刷装置における印刷物生産方法であって、
ユーザーが前記媒体の先端を前記巻取芯材に固定するのに適した固定作業範囲の上流端に前記媒体の前記先端が到達した後であって、印刷画像の切れ目が前記印刷部における印刷位置に到達したことに応じて、前記搬送部による前記媒体の搬送を停止させる、
印刷物生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷物生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、印刷後の用紙を自動的に巻き取って回収するプリンターを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、印刷を開始する前に予め用紙の先端を巻取芯材に固定しておく必要がある。このため、印刷を開始する度に用紙の膨大な消費を免れなかった。
【0005】
そこで、用紙の消費を節約するために、印刷を開始する前に予め用紙の先端を巻取芯材に固定することに代えて、印刷を開始した後であって用紙の先端が巻取芯材に到達した時点で初めて用紙の先端を巻取芯材に固定することが考えられる。この場合、用紙の先端が巻取芯材に到達するまである程度時間がかかるので、ユーザーは別の作業を進めるなどして時間を潰すことが考えられる。
【0006】
しかしながら、ユーザーは、別の作業に没頭するあまり、印刷実行中であることを忘れてしまう虞がある。ここで、プリンターから送り出された用紙が床に到達した場合は用紙が汚れるので、印刷済みの用紙は損紙とならざるを得ない。また、用紙が床に到達する前であっても用紙の先端が巻取芯材を大きく過ぎてしまった場合は用紙をたくし上げる必要が生じ、用紙の先端を巻取芯材に固定する作業が困難となることから、上記同様に印刷済みの用紙は損紙となるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の観点によれば、媒体に印刷する印刷部と、前記媒体を搬送する搬送部と、印刷後の媒体を巻き取るための巻取芯材を回転可能に支持する巻取部と、ユーザーが前記媒体の先端を前記巻取芯材に固定するのに適した固定作業範囲の上流端に前記媒体の前記先端が到達した後であって、印刷画像の切れ目が前記印刷部における印刷位置に到達したことに応じて、前記搬送部による前記媒体の搬送を停止させる停止部と、を含む、印刷装置が提供される。
【0008】
本開示の第2の観点によれば、媒体に印刷する印刷部と、前記媒体を搬送する搬送部と、印刷後の媒体を巻き取るための巻取芯材を回転可能に支持する巻取部と、を含む印刷装置における印刷物生産方法であって、ユーザーが前記媒体の先端を前記巻取芯材に固定するのに適した固定作業範囲の上流端に前記媒体の前記先端が到達した後であって、印刷画像の切れ目が前記印刷部における印刷位置に到達したことに応じて、前記搬送部による前記媒体の搬送を停止させる、印刷物生産方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】媒体の先端が固定された巻取芯材の斜視図である。
【
図7】アプリケーションから出力された画像データを示す図である。
【
図8】アプリケーションから出力された画像データを示す図である。
【
図11】印刷中に媒体の先端が通過し得る軌道を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1及び
図2を参照して、本開示にかかる印刷装置1を説明する。
図1及び
図2に示す印刷装置1は、例えば、液体としてのインクを吐出することによって用紙などの媒体Mに印刷するインクジェット式の大判プリンターである。大判プリンターとは、例えば、短辺幅が297mm以上の媒体Mに印刷可能なプリンターである。以下、媒体Mの短辺方向を主走査方向と称する。主走査方向と直交する方向を副走査方向と称する。
【0011】
<1.印刷装置1の概略>
図1に示すように、印刷装置1は、本体部2と一対の脚部3を備える。一対の脚部3は、本体部2から下方に向かって延びる。本体部2は、概ね直方体状であって、前面側に乾燥部4が設けられる。
【0012】
図2に示すように、本体部2は、主走査方向に延びるガイドレール5を備える。ガイドレール5は、印刷部6がガイドレール5に沿って主走査方向に往復移動可能となるように印刷部6を案内する。本体部2には、更に、印刷部6をガイドレール5に沿って往復移動させるための主走査送り機構が設けられる。主走査送り機構は、典型的には、印刷部6と連結する無端ベルトと、無端ベルトを走行させる駆動モーターから構成される。印刷部6は、キャリッジ7とヘッド8により構成される。ヘッド8は、インクを下方に向けて吐出可能な複数のノズルを備える。印刷部6の下方には、主走査方向に延びる平板状のプラテン9が設けられる。なお、本実施形態の印刷部6は、ヘッド8が主走査方向に往復移動するシリアルヘッド方式を採用しているが、これに代えて、ヘッド8が媒体Mの幅寸法とほぼ同じ範囲に亘って延びるラインヘッド方式を採用してもよい。
【0013】
本体部2は、更に、本体部2の背面側に設けられる給紙部10と、本体部2の前面側であって乾燥部4の下方に設けられる巻取部11と、を備える。
【0014】
給紙部10は、給紙芯材12を回転自在に支持する支持機構と、給紙芯材12を回転駆動する給紙モーター13と、を備える。給紙芯材12の外周に給紙ロール14が形成されている。給紙モーター13は、給紙ロール14から巻き解かれた媒体Mに対してバックテンションが掛かるようにトルク制御される。給紙芯材12は、典型的には、紙管である。
【0015】
巻取部11は、巻取芯材15を回転自在に支持する支持機構と、巻取芯材15を回転駆動する巻取モーター16と、を備える。巻取芯材15の外周に巻取ロール17が形成される。巻取モーター16は、巻取芯材15に巻き取られる媒体Mに対してフロントテンションが掛かるようにトルク制御される。巻取芯材15は、典型的には、紙管であるがこれに限られるものではなく樹脂管等でもよい。
【0016】
本体部2は、更に、媒体Mを搬送する搬送部18を備える。搬送部18は、プラテン9の上流側に設けられる第1搬送ローラー19と、乾燥部4の下流側に設けられる第2搬送ローラー20と、を含む。搬送部18は、更に、第1搬送ローラー19を回転駆動する第1搬送モーター21と、第2搬送ローラー20を回転駆動する第2搬送モーター22と、を含む。
【0017】
印刷装置1は、設置床面F上に設置されている。
【0018】
以上の構成で、媒体Mは、給紙部10の給紙ロール14から引き出され、搬送部18によって搬送されつつ印刷部6において印刷され、乾燥部4を経て、巻取部11の巻取芯材15に巻き取られるようになっている。
【0019】
<2.課題>
上記の印刷装置1では、媒体Mを巻取芯材15に巻き取るために、
図3及び
図4に示すように、媒体Mの搬送方向における先端MLを巻取芯材15の外周面15aに固定しておく必要がある。
図4に示すように、媒体Mの先端MLは、典型的には、幾つかのテープ片23を用いて巻取芯材15の外周面15aに固定される。媒体Mの先端MLを巻取芯材15の外周面15aに固定する方法は、上記に限定されない。媒体Mの先端MLは、上記のテープ片23に代えて、速乾性の接着剤を用いて巻取芯材15の外周面15aに固定されてもよい。また、媒体Mの先端MLは、巻取芯材15の外周面15aに設けられたクランプ機構で媒体Mの先端MLをクランプすることで巻取芯材15の外周面15aに固定されてもよい。
【0020】
図3に示すように、仮に、印刷を開始する前に媒体Mの先端MLを巻取芯材15の外周面15aに固定した場合、印刷を開始する度に媒体Mは印刷位置から先が損紙となる。印刷を繰り返しているとこの損紙が累積し、媒体Mの膨大な消費を免れなかった。
【0021】
そこで、媒体Mの消費を節約するために、印刷を開始する前に予め媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定することに代えて、印刷を開始した後であって媒体Mの先端MLが巻取芯材15に到達した時点で初めて媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定することが考えられる。この場合、媒体Mの先端MLが巻取芯材15に到達するまである程度時間がかかるので、ユーザーは別の作業を進めるなどして時間を潰すことが考えられる。
【0022】
しかしながら、ユーザーは、別の作業に没頭するあまり、印刷実行中であることを忘れてしまう虞がある。ここで、本体部2から送り出された媒体Mが巻取部11で巻き取られることなく媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達した場合は媒体Mが汚れるので、印刷済みの媒体Mは損紙とならざるを得ない。また、媒体Mが設置床面Fに到達する前であっても媒体Mの先端MLが巻取部11を大きく過ぎてしまった場合は媒体Mをたくし上げる必要が生じ、媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定する作業が困難となる。
【0023】
そこで、本実施形態の印刷装置1は、上記の課題を解決すべく従来にはない全く新規な構成を備えている。以下、
図5を参照して、印刷システム100を説明する。印刷システム100は、印刷装置1とコンピューター30を含む。印刷装置1とコンピューター30は、相互に有線接続又は無線接続されている。コンピューター30は、印刷出力データを印刷装置1に出力する。印刷装置1は、コンピューター30から入力された印刷出力データに基づいて主走査及び副走査を行う。ここで、主走査とは、印刷部6を主走査方向に往復移動させつつインクを媒体Mに吐出して媒体Mに画像を形成することを意味する。副走査は、媒体Mを主走査方向と直交する方向に搬送することを意味する。
【0024】
<3.コンピューター30>
コンピューター30は、CPU30a(Central Processing Unit)と、RAM30b(Random Access Memory)、ROM30c(Read Only Memory)、HDD30d(Hard Disc Drive)を備える。コンピューター30は、更に、通信インターフェース30e及びLCD30f(Liquid Crystal Display)を備える。コンピューター30は、通信インターフェース30eを介して印刷装置1と通信する。そして、CPU30aがHDD30dに記憶されるプログラムを読み出して実行することで、プログラムは、CPU30aなどのハードウェアをアプリケーション31及びプリンタドライバー32として機能させる。
【0025】
アプリケーション31は、ユーザーからの作図指示に従って大判の媒体Mに印刷する画像データを生成する。アプリケーション31は、ユーザーからの印刷指示に従って画像データをプリンタドライバー32に出力する。
【0026】
プリンタドライバー32は、色変換部33、ハーフトーン処理部34、ラスタライズ処理部35を含む。
【0027】
色変換部33は、色変換ルックアップテーブルを参照することで、画像データの色成分をRGB形式からCMYK形式に変換する。ハーフトーン処理部34は、画像データに対してハーフトーン処理を行うことによりインク量のデータをドットの形成の有無を表す2階調のドットデータに変換する。ラスタライズ処理部35は、ハーフトーン処理によって生成されたドットデータをヘッド8の主走査パスに合わせて調整するラスタライズ処理を実行する。ラスタライズ処理部35は、ラスタライズ処理後のドットデータと副走査送り量を含む印刷出力データを印刷装置1に出力する。
【0028】
図6には、印刷出力データの一例を示している。
図6に示すように、印刷出力データは、複数の主走査パスデータ36を含む。各主走査パスデータは、パス番号と、副走査送り量と、当該主走査パスでのドットデータと、から構成されている。複数の主走査パスデータ36は、パス番号に従って順次実行される。例えば、パス番号が1番である主走査パスデータ36を実行する場合、当該主走査パスデータ36が含むドットデータに基づいて主走査を実行し、主走査が完了したら当該主走査パスデータ36が含む副走査送り量に基づいて副走査を実行する。
【0029】
本実施形態において、プリンタドライバー32は、2種類の印刷出力データを生成する。2種類の印刷出力データは、通常印刷出力データD1と、ページ内停止印刷出力データD2と、を含む。
図5では、プリンタドライバー32が印刷装置1に出力することで印刷装置1に格納された通常印刷出力データD1及びページ内停止印刷出力データD2を図示している。
図5において、「POD」は、印刷出力データの略語である。
【0030】
以下、
図7及び
図8を参照して、通常印刷出力データD1及びページ内停止印刷出力データD2を説明する。
図7及び
図8には、アプリケーション31がプリンタドライバー32に出力する画像データを示している。
【0031】
図7に示すように、アプリケーション31がプリンタドライバー32に出力する画像データは、複数の印刷ページPから構成されている。複数の印刷ページPは、第1印刷ページP1及び第2印刷ページP2を含む。
【0032】
図7に示すように、第1印刷ページP1の印刷画像G1は、媒体Mの搬送方向において互いに離れた印刷画像G11及び印刷画像G12から構成される場合がある。印刷画像G11は、第1印刷ページP1の上端側の印刷画像である。印刷画像G12は、第1印刷ページP1の下端側の印刷画像である。第1印刷ページP1の上端とは、媒体Mの搬送方向における第1印刷ページP1の下流端に相当する。第2印刷ページP2の下端とは、媒体Mの搬送方向における第1印刷ページP1の上流端に相当する。印刷画像G11と印刷画像G12の間には、印刷画像G1の切れ目C1が存在している。切れ目C1は、印刷画像G11と印刷画像G12の間の領域であって、主走査方向の全域にわたって印刷が行われない領域である。また、第2印刷ページP2の印刷画像G2は、媒体Mの搬送方向において切れ目なく連なっている。第1印刷ページP1の印刷画像G1の下端G1dと、第2印刷ページP2の印刷画像G2の上端G2uと、の間には、切れ目C2が存在している。切れ目C2も、C1同様、主走査方向の全域にわたって印刷が行われない領域である。
【0033】
そして、通常印刷出力データD1は、
図7に示すように、以下のように構成される。
・印刷画像G11の上端部G11aに上端処理UPが行われる。
・印刷画像G11の上端部G11aと下端部G12bの間の領域に中間処理MPが行われる。
・印刷画像G12の下端部G12bに下端処理DPが行われる。
・印刷画像G2の上端部G2aに上端処理UPが行われる。
・印刷画像G2の上端部G2aと下端部G2bの間の領域に中間処理MPが行われる。
・印刷画像G2の下端部G2bに下端処理DPが行われる。
ここで、上端処理UP及び下端処理DPとは、中間処理MPにおける副走査送り量よりも少ない副走査送り量で印刷を行う処理を意味する。上端処理UP、下端処理DP、中間処理MPについては、例えば特開2021-123033号公報に開示されている公知技術であるから、その詳細な説明を省略する。
【0034】
これに対し、ページ内停止印刷出力データD2は、
図8に示すように、以下のように構成される。
・印刷画像G11の上端部G11aに上端処理UPが行われる。
・印刷画像G11の上端部G11aと下端部G11bの間の領域である中間部G11cに中間処理MPが行われる。
・印刷画像G11の下端部G11bに下端処理DPが行われる。
・印刷画像G12の上端部G12aに上端処理UPが行われる。
・印刷画像G12の上端部G12aと下端部G12bの間の領域である中間部G12cに中間処理MPが行われる。
・印刷画像G12の下端部G12bに下端処理DPが行われる。
・印刷画像G2の上端部G2aに上端処理UPが行われる。
・印刷画像G2の上端部G2aと下端部G2bの間の領域に中間処理MPが行われる。
・印刷画像G2の下端部G2bに下端処理DPが行われる。
【0035】
通常印刷出力データD1及びページ内停止印刷出力データD2は、以下のように使い分けられる。ここで、
図7及び
図8において、ヘッド8の副走査方向の寸法は、切れ目C1の副走査方向の寸法よりも大きいとする。
【0036】
通常印刷出力データD1を使用して印刷を行う場合、印刷画像G11の下端部G11b及び印刷画像G12の上端部G12aに対して同時にインクが吐出される主走査パスが実行される。換言すれば、主走査パスが印刷画像G11の下端部G11b及び印刷画像G12の上端部G12aに跨るように実行される。この場合、印刷部6による印刷位置に切れ目C1が到達したタイミングで媒体Mの搬送を停止すると、印刷画像G11の下端部G11b及び印刷画像G12の上端部G12aにおける印刷が共に未完了のまま放置されることになる。即ち、停止した直後から、印刷画像G11の下端部G11b及び印刷画像G12の上端部G12aに吐出されたインクは乾燥し始める。その後に印刷を再開したとき、印刷画像G11の下端部G11b及び印刷画像G12の上端部G12aにおける印刷は、既に乾燥したインクに新たに液状のインクを重ねるように行われる。この結果、印刷画像G11の下端部G11b及び印刷画像G12の上端部G12aにおける印刷品質が著しく低下する虞がある。
【0037】
これに対し、ページ内停止印刷出力データD2を使用して印刷を行う場合、印刷画像G11の下端部G11bの印刷は、印刷画像G12の上端部G12aの印刷を開始する前に完了する。同様に、印刷画像G12の上端部G12aの印刷は、印刷画像G11の下端部G11bの印刷が完了した後に開始する。従って、印刷部6による印刷位置に切れ目C1が到達したタイミングで媒体Mの搬送を停止しても、印刷画像G11の下端部G11b及び印刷画像G12の上端部G12aにおいて、既に乾燥したインクに新たに液状のインクを重ねるような印刷が行われることがない。
【0038】
要するに、印刷部6による印刷位置に切れ目C1が到達したタイミングで媒体Mの搬送を停止する場合、ページ内停止印刷出力データD2を使用することで、印刷画像G11の下端部G11b及び印刷画像G12の上端部G12aにおける印刷品質の著しい劣化を抑制することができる。
【0039】
<4.印刷装置1>
図5に戻り、印刷装置1は、CPU40a(Central Processing Unit)と、RAM40b(Random Access Memory)、ROM40c(Read Only Memory)を備える。印刷装置1は、更に、通信インターフェース40d及びLCD40e、タッチパネル40f、スピーカー40gを備える。印刷装置1は、通信インターフェース40dを介してコンピューター30と通信する。LCD40eとタッチパネル40fは互いに重なるように配置されている。そして、CPU40aがROM40cに記憶されるプログラムを読み出して実行することで、プログラムは、CPU40aなどのハードウェアを、印刷出力データ受信部41、バッファー部42、印刷制御部43、動作設定部44、巻取開始部45として機能させる。
【0040】
印刷出力データ受信部41は、コンピューター30から通常印刷出力データD1及びページ内停止印刷出力データD2を受信する。印刷出力データ受信部41は、受信した通常印刷出力データD1及びページ内停止印刷出力データD2をバッファー部42に格納する。
【0041】
印刷制御部43は、バッファー部42に格納された通常印刷出力データD1又はページ内停止印刷出力データD2に基づいて、印刷部6による主走査、及び、第1搬送モーター21及び第2搬送モーター22による副走査を実行する。また、印刷制御部43は、給紙モーター13及び巻取モーター16をトルク制御する。
【0042】
印刷制御部43は、催促部46及び停止部47を含む。
【0043】
催促部46は、印刷部6による印刷を開始した後であって、媒体Mの先端MLが印刷部6における印刷位置の下流に位置する催促位置に到達したことに応じて、媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するようにユーザーに催促する。本実施形態において、催促部46は、スピーカー40gに催促音信号を出力することで、上記の催促を実行する。催促部46の詳細な動作は、後述するフローチャートを参照しつつ追って説明する。催促部46は、前述した課題を解決するための1つの手段になり得る。
【0044】
停止部47は、ユーザーが媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するのに適した固定作業範囲の上流端に媒体Mの先端MLが到達した後であって、印刷画像の切れ目が印刷部6における印刷位置に到達したことに応じて、搬送部18による媒体Mの搬送を停止させる。停止部47の詳細な動作は、後述するフローチャートを参照しつつ追って説明する。停止部47は、前述した課題を解決するための1つの手段になり得る。
【0045】
動作設定部44は、ユーザーに印刷装置1の動作条件を設定させる。
図9には、動作設定画面の一例を示している。動作設定部44は、印刷装置1のLCD40eに
図9に示す動作設定画面を表示させることで、ユーザーに印刷装置1の動作条件を設定させる。動作設定画面では、(1)巻取催促の要否、(2)巻取催促タイミング、(3)自動停止機能の要否、の(1)から(3)を設定することができる。巻取催促は、催促部46による催促を意味する。巻取催促タイミングとは、催促部46がスピーカー40gに催促音信号を出力するタイミングである。自動停止機能とは、停止部47が媒体Mの搬送を停止させる機能である。動作設定部44は、動作設定画面を通じてユーザーが入力した印刷装置1の動作条件をRAM40bに記憶する。
【0046】
巻取開始部45は、巻取部11による巻き取りを開始するトリガーをユーザーに提供する。
図10には、巻取開始画面の一例を示している。巻取開始部45は、印刷装置1のLCD40eに
図10に示す巻取開始画面を表示させることで、巻取部11による巻き取りを開始するトリガーをユーザーに提供する。ユーザーが巻取開始ボタン45aをタップすると、巻取開始部45は、巻取部11による巻き取りが開始するように印刷制御部43に巻取開始指令を出力する。印刷制御部43は、巻取開始部45から巻取開始指令が入力されると、巻取モーター16のトルク制御を開始する。これにより、巻取芯材15は回転し始める。
【0047】
前述したように、催促部46及び停止部47は、媒体Mの先端MLの現在位置に応じて所定のアクションを実行する。従って、以下、
図11を参照して、媒体Mの先端MLの時々刻々と変化する位置を表現すべく、媒体Mの先端MLの位置に関連する幾つかの用語を定義する。
図11には、印刷装置1による印刷を開始した後であって、媒体Mの先端MLが第2搬送ローラー20を通過して数十秒経過した時点における印刷装置1の側面図を示している。
図11に示すように、第2搬送ローラー20を通過した媒体Mは、媒体Mの自重により第2搬送ローラー20から見て真下に向かって垂れ下がっている。そして、印刷が進行するにつれて媒体Mの先端MLは徐々に設置床面Fに近づくことになる。
図11では、媒体Mの先端MLが通ってきた軌道L1を太線で示し、及び、媒体Mの先端MLが今後通る軌道L2を二点鎖線で示している。軌道L1及び軌道L2は、媒体搬送軌道Lを構成している。
図11では、媒体搬送軌道Lに沿って、印刷位置PS0、催促位置PS1、固定作業範囲R1、固定作業範囲R1の上流端PS2、固定作業範囲R1の下流端PS3、停止範囲R2、停止位置PS4が示されている。印刷位置PS0、催促位置PS1、上流端PS2、下流端PS3、停止位置PS4は、媒体搬送軌道Lに沿って上流から下流に向かってこの記載順に並んでいる。
【0048】
印刷位置PS0は、印刷部6が媒体Mに対して印刷を行う位置である。即ち、印刷位置PS0は、印刷部6が媒体Mに対してインクを吐出する位置である。
【0049】
催促位置PS1は、印刷位置PS0よりも下流側の位置として定義される。具体的には、催促位置PS1は、印刷位置PS0と上流端PS2の間に位置する。
【0050】
上流端PS2及び下流端PS3は、固定作業範囲R1を規定している。
【0051】
固定作業範囲R1は、ユーザーが媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するのに適した範囲である。固定作業範囲R1の上流端PS2及び下流端PS3は、一例として、以下のように定義される。
【0052】
即ち、第2搬送ローラー20から見て真下に垂れ下がった媒体Mの先端MLを巻取芯材15に向かって引き寄せたときに媒体Mの先端MLが巻取芯材15の外周面15aにぎりぎり届くときの媒体Mの先端MLの位置を固定作業範囲R1の上流端PS2と定義する。
【0053】
一方、下流端PS3は、上流端PS2よりも下方に数十センチメートル離れた位置と定義する。数十センチメートルとは、典型的には、20センチメートルから30センチメートルであるが、これに限定されない。仮に、媒体Mの先端MLが上流端PS2を越えて70センチメートル下方に位置する場合、媒体Mの先端MLを巻取芯材15の外周面15aに固定するには媒体Mをたくし上げなければならず作業性が悪い。従って、ユーザーが媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するのに適した範囲としての固定作業範囲R1の下流端PS3は、実際には、固定作業の作業性との兼ね合いで定義される。
【0054】
停止位置PS4は、上流端PS2よりも下流側の位置として定義される。詳しくは、固定作業範囲R1の上流端PS2に媒体Mの先端MLが到達した後であって、
図6及び
図7に示す切れ目C1又は切れ目C2が印刷位置PS0に到達したときの媒体Mの先端MLの位置を停止位置PS4と定義する。本実施形態において停止位置PS4は、下流端PS3よりも下流側に位置するが、下流端PS3よりも上流側に位置してもよい。
【0055】
停止範囲R2は、上流端PS2から設置床面Fまでの間の範囲として定義される。上流端PS2を通過した媒体Mの先端MLが停止範囲R2内に位置している限り、媒体Mが設置床面Fに接触して媒体Mが汚れることはない。
【0056】
<5.動作説明>
次に、
図12及び
図13を参照して、印刷装置1の動作を説明する。まず、ユーザーは、コンピューター30上でアプリケーション31を用いて印刷画像を作成すると共に、媒体Mを給紙ロール14から引き出して、媒体Mの先端MLを本体部2の所定の位置にセットする。また、ユーザーは、巻取芯材15を巻取部11にセットする。そして、ユーザーは、コンピューター30上で印刷指示を実行する。これに呼応して、アプリケーション31は、画像データをプリンタドライバー32に出力する。すると、プリンタドライバー32は、通常印刷出力データD1及びページ内停止印刷出力データD2を生成し、通常印刷出力データD1及びページ内停止印刷出力データD2を印刷装置1に出力する。そして、印刷装置1では、以下のような制御が行われる。
【0057】
まず、動作設定部44は、
図9に示す動作設定画面をLCD40eに出力する(S100)。ユーザーは、タッチパネル40fを介して、印刷装置1の動作条件を入力する。動作設定部44は、ユーザーによって入力された動作条件をRAM40bに記憶する。
【0058】
催促部46は、ユーザーによって設定された巻取催促タイミングに基づいて、
図11に示す催促位置PS1を設定する(S110)。具体的には、巻取催促タイミングが「早い」と設定された場合、催促部46は、催促位置PS1を基準位置よりも上流にシフトさせる。巻取催促タイミングが「普通」と設定された場合、催促部46は、催促位置PS1を基準位置とする。巻取催促タイミングが「遅い」と設定された場合、催促部46は、催促位置PS1を基準位置よりも下流にシフトさせる。催促部46による催促位置PS1の設定の結果、催促位置PS1が第2搬送ローラー20よりも上流側となってもよく、催促位置PS1が印刷位置PS0よりも固定作業範囲R1の上流端PS2に近くなってもよく、催促位置PS1が固定作業範囲R1の上流端PS2よりも印刷位置PS0に近くなってもよい。
【0059】
次に、印刷出力データ受信部41は、コンピューター30から通常印刷出力データD1及びページ内停止印刷出力データD2を受信する(S120)。印刷出力データ受信部41は、受信した通常印刷出力データD1及びページ内停止印刷出力データD2をバッファー部42に格納する。
【0060】
次に、印刷制御部43は、通常印刷出力データD1又はページ内停止印刷出力データD2に基づいて印刷を開始する(S130)。印刷制御部43は、通常印刷出力データD1に基づいて印刷を開始してもよく、ページ内停止印刷出力データD2に基づいて印刷を開始してもよい。典型的には、印刷制御部43は、通常印刷出力データD1に基づいて印刷を開始する。以下、本実施形態において印刷制御部43は、通常印刷出力データD1に基づいて印刷を開始するものとする。印刷制御部43が印刷を開始した時点で、巻取部11にセットされた巻取芯材15は回転しておらず静止しているものとする。また、印刷制御部43が印刷を開始すると、巻取開始部45は、
図10に示す巻取開始画面をLCD40eに表示させる。
【0061】
次に、印刷制御部43は、通常印刷出力データD1に基づいて行われる印刷ジョブが巻取部11における媒体Mの巻き取りを必要とする巻取ジョブであるか否かを判定する(S140)。印刷ジョブが巻取ジョブであると印刷制御部43が判定した場合、印刷制御部43は、処理をS150に進める。印刷ジョブが巻取ジョブでないと印刷制御部43が判定した場合、印刷制御部43は、処理をS290に進める。
【0062】
印刷制御部43による上記判定は、一例として、通常印刷出力データD1における副走査送り量の合計値に基づいて行われる。即ち、印刷制御部43が印刷ジョブを完了するまでに媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達するような印刷ジョブである場合、印刷制御部43は、当該印刷ジョブが巻取ジョブであると判定する。その他、印刷制御部43は、
図9に示す動作設定画面上でユーザーに当該印刷ジョブが巻取ジョブであるか否か尋ねることで上記の判定を実行してもよい。また、印刷制御部43は、実行中の印刷ジョブがテスト印刷を目的とする印刷ジョブである場合、当該印刷ジョブが巻取ジョブではないと判定してもよい。
【0063】
次に、催促部46は、RAM40bを参照して、催促部46による催促が必要であるか否か判定する(S150)。催促部46による催促が必要であると催促部46が判定した場合、催促部46は、処理をS160に進める。一方、催促部46による催促が不要であると催促部46が判定した場合、催促部46は、処理をS200に進める。
【0064】
次に、催促部46は、媒体Mの先端MLが催促位置PS1に到達したか否か判定する(S160)。媒体Mの先端MLが催促位置PS1に到達していないと催促部46が判定した場合、催促部46は、S160の判定を繰り返す。一方、媒体Mの先端MLが催促位置PS1に到達したと催促部46が判定した場合、催促部46は、処理をS170に進める。
【0065】
ここで、催促部46は、媒体Mの先端MLの現在位置を種々の方法により取得することができる。即ち、催促部46は、媒体Mの搬送速度と印刷開始時点からの経過時間に基づいて、媒体Mの先端MLの現在位置を算出することができる。他の例として、催促部46は、媒体Mの搬送距離に基づいて、媒体Mの先端MLの現在位置を算出することができる。
【0066】
次に、催促部46は、巻取部11における巻き取りが開始したか否か判定する(S170)。巻取部11における巻き取りが開始したと催促部46が判定した場合、催促部46は、処理をS290に進める。一方、巻取部11における巻き取りが開始していないと催促部46が判定した場合、催促部46は、処理をS180に進める。
【0067】
ここで、催促部46は、巻取部11における巻き取りが開始したか否かを種々の方法により判定することができる。一例として、催促部46による上記判定に先駆けてユーザーが
図10に示す巻取開始ボタンをタップしていた場合、催促部46は、巻取部11における巻き取りが開始したと判定することができる。他の例として、催促部46は、巻取モーター16に供給される電流の電流値に基づいて、巻取部11における巻き取りが開始したか否かを判定することができる。他の例として、催促部46は、巻取モーター16に設けられたエンコーダーの出力値に基づいて、巻取部11における巻き取りが開始したか否かを判定することができる。
【0068】
次に、催促部46は、催促音信号をスピーカー40gに出力することで、媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するようにユーザーに催促する(S180)。前述したように、印刷装置1による印刷が開始した後であって媒体Mの先端MLが巻取芯材15に到達するまである程度時間がかかるので、ユーザーは別の作業を進めるなどして時間を潰している。この場合、ユーザーは、印刷装置1から離れた場所でスピーカー40gから出力された催促音を耳にすることで、媒体Mの先端MLが巻取芯材15の近くまで到達していることを認識することができる。これに呼応して、ユーザーは、別の作業を一旦中断して印刷装置1に戻り、媒体Mの先端MLが巻取芯材15に到達するまで印刷装置1の前で待機することができる。そして、ユーザーは、媒体Mの先端MLが巻取芯材15の外周面15aに届くようになったら、媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定すると共に、
図10に示す巻取開始画面を通じて巻取部11による媒体Mの巻き取りを開始させる。従って、仮にユーザーが別の作業に没頭するあまり印刷実行中であることを忘れてしまっていたとしても、印刷実行中であることに気づくことができる。これにより、例えば媒体Mが巻取部11で巻き取られることなく媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達するなどして印刷済みの媒体Mが損紙になることを抑制することができる。
【0069】
しかしながら、ユーザーが印刷装置1から離れた場所でスピーカー40gから出力された催促音を聞き逃すことも考えられる。あるいは、催促音を再生できない特定の環境下では、ユーザーは、
図10の動作設定画面上で催促部46による催促が不要であると設定しているだろう。この場合、ユーザーは、別の作業に没頭するあまり、印刷実行中であることを忘れてしまう虞が依然として残される。このような場合において、例えば媒体Mが巻取部11で巻き取られることなく媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達するなどして印刷済みの媒体Mが損紙となるのを抑制するために、停止部47は、媒体Mの先端MLが上流端PS2に到達した後に、搬送部18による媒体Mの搬送を一時的に停止させる。具体的には、以下の通りである。
【0070】
まず、停止部47は、RAM40bを参照して、停止部47が媒体Mの搬送を停止させる自動停止機能が有効であると設定されているか否か判定する(S200)。停止部47が媒体Mの搬送を停止させる自動停止機能が有効であると停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS210に進める。一方、停止部47が媒体Mの搬送を停止させる自動停止機能が無効であると停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS290に進める。
【0071】
次に、停止部47は、通常印刷出力データD1又はページ内停止印刷出力データD2を参照して、媒体Mの先端MLが停止範囲R2にいるうちに印刷位置PS0に到達する切れ目が存在するか否か判定する(S210)。ここで言う切れ目とは、例えば、
図7に示す切れ目C1又は切れ目C2を示す。媒体Mの先端MLが停止範囲R2にいるうちに印刷位置PS0に到達する切れ目が存在すると停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS220に進める。一方、媒体Mの先端MLが停止範囲R2にいるうちに印刷位置PS0に到達する切れ目が存在しないと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理を
図13のS400に進める。なお、
図7に示す切れ目C1をここでいう切れ目としないようにして切れ目C2はここでいう切れ目としてもよい。
【0072】
次に、停止部47は、通常印刷出力データD1又はページ内停止印刷出力データD2に基づいて停止位置PS4を設定する(S220)。
【0073】
具体的には、媒体Mの先端MLが停止範囲R2にいるうちに印刷位置PS0に切れ目C1のみが到達する場合、停止部47は、停止位置PS4を、切れ目C1が印刷位置PS0に到達した時点での媒体Mの先端MLの位置に設定する。この場合、印刷制御部43は、以降、ページ内停止印刷出力データD2に基づいて印刷を継続する。これにより、切れ目C1が印刷位置PS0に到達した時点で印刷を中断しても、前述したように印刷品質の著しい劣化を抑制することができる。
【0074】
また、媒体Mの先端MLが停止範囲R2にいるうちに印刷位置PS0に切れ目C2のみが到達する場合、停止部47は、停止位置PS4を、切れ目C2が印刷位置PS0に到達した時点での媒体Mの先端MLの位置に設定する。この場合、印刷制御部43は、以降、引き続き通常印刷出力データD1に基づいて印刷を継続する。
【0075】
また、媒体Mの先端MLが停止範囲R2にいるうちに印刷位置PS0に切れ目C1及び切れ目C2の両方が到達する場合、停止部47は、停止位置PS4を、切れ目C2が印刷位置PS0に到達した時点での媒体Mの先端MLの位置に設定する。この場合、印刷制御部43は、以降、引き続き通常印刷出力データD1に基づいて印刷を継続する。
【0076】
次に、停止部47は、媒体Mの先端MLが上流端PS2に到達したか否か判定する(S230)。媒体Mの先端MLが上流端PS2に到達したと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS240に進める。一方、媒体Mの先端MLが上流端PS2に到達していないと停止部47が判定した場合、停止部47は、S230の処理を繰り返す。
【0077】
ここで、停止部47は、催促部46と同様に、媒体Mの先端MLの現在位置を種々の方法により取得することができる。具体的な方法は前述した通りである。
【0078】
次に、停止部47は、巻取部11における巻き取りが開始したか否か判定する(S240)。巻取部11における巻き取りが開始したと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS290に進める。一方、巻取部11における巻き取りが開始していないと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS250に進める。
【0079】
ここで、停止部47は、催促部46と同様に、巻取部11における巻き取りが開始したか否かを種々の方法により判定することができる。具体的な方法は前述した通りである。
【0080】
次に、停止部47は、媒体Mの先端MLが停止位置PS4に到達したか否か判定する(S250)。媒体Mの先端MLが停止位置PS4に到達したと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS260に進める。一方、媒体Mの先端MLが停止位置PS4に到達していないと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS240に戻す。
【0081】
次に、停止部47は、搬送部18による媒体Mの搬送を停止させることにより、印刷を中断する(S260)。媒体Mの搬送は主走査パスが実行されるたびに間欠的に行われる。従って、媒体Mの搬送を停止させるとは、媒体Mの間欠的な搬送を禁止することを意味する。
【0082】
ここで、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定できる場合は、印刷済みの媒体Mが損紙となることを免れることができる。また、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定できない場合、又は、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達しており媒体Mが汚れてしまっている場合は、少なくとも印刷位置PS0に切れ目C2が到達した時点で印刷が中断されるので、損紙の分量を少なく抑えることができる。何れの場合であっても、媒体Mの節約に寄与すると言える。
【0083】
また、このとき、印刷位置PS0に切れ目C1又は切れ目C2が位置しているので、印刷を中断し、その後に印刷を再開した場合でも、高い印刷品質を実現することができる。従って、印刷が中断されても印刷を再開できる余地が残されることになる。
【0084】
特に、印刷位置PS0に切れ目C1が位置しており、ヘッド8の副走査方向の寸法が切れ目C1の副走査方向の寸法よりも大きい場合、印刷制御部43はページ内停止印刷出力データD2を使用して印刷を実行する。従って、印刷画像G11の下端部G11bの印刷は、印刷画像G12の上端部G12aの印刷を開始する前に完了する。同様に、印刷画像G12の上端部G12aの印刷は、印刷画像G11の下端部G11bの印刷が完了した後に開始する。従って、前述したように、印刷部6による印刷位置PS0に切れ目C1が到達したタイミングで媒体Mの搬送を停止しても、印刷画像G11の下端部G11b及び印刷画像G12の上端部G12aにおいて、既に乾燥したインクに新たに液状のインクを重ねるような印刷が行われることがない。この意味でも、印刷を中断し、その後に印刷を再開した場合でも、高い印刷品質を実現することができる。
【0085】
次に、停止部47は、巻取部11における巻き取りが開始したか否か判定する(S270)。巻取部11における巻き取りが開始したと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS280に進める。一方、巻取部11における巻き取りが開始していないと停止部47が判定した場合、停止部47は、S270の処理を繰り返す。
【0086】
次に、停止部47は、搬送部18による媒体Mの搬送を再開させることにより、印刷を再開する(S280)。
【0087】
次に、印刷制御部43は、現在実行中の印刷ジョブが完了したか否か判定する(S290)。現在実行中の印刷ジョブが完了したと印刷制御部43が判定した場合、印刷制御部43は、処理を終了する。一方、現在実行中の印刷ジョブが完了していないと印刷制御部43が判定した場合、印刷制御部43は、S290の処理を繰り返す。そして、印刷が完了したら、ユーザーは、媒体Mを切断して巻取ロール17を印刷装置1から回収する。
【0088】
次に、
図13を参照して、停止部47は、媒体Mの先端MLが上流端PS2に到達したか否か判定する(S400)。媒体Mの先端MLが上流端PS2に到達したと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS410に進める。一方、媒体Mの先端MLが上流端PS2に到達していないと停止部47が判定した場合、停止部47は、S400の処理を繰り返す。
【0089】
次に、停止部47は、巻取部11における巻き取りが開始したか否か判定する(S410)。巻取部11における巻き取りが開始したと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理を
図12のS290に進める。一方、巻取部11における巻き取りが開始していないと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS420に進める。
【0090】
次に、停止部47は、搬送部18による媒体Mの搬送速度を低下させる(S420)。搬送部18による媒体Mの搬送は間欠的であるから、停止部47は、一例として、主走査と副走査の間に所定長のインターバルを設けることにより、搬送部18による媒体Mの搬送速度を実質的に低下させる。これによって、ユーザーが巻き取りを行うまでの時間を延長することができる。
【0091】
次に、停止部47は、巻取部11における巻き取りが開始したか否か判定する(S430)。巻取部11における巻き取りが開始したと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS440に進める。一方、巻取部11における巻き取りが開始していないと停止部47が判定した場合、停止部47は、処理をS450に進める。
【0092】
S440において、停止部47は、搬送部18による媒体Mの搬送速度を増加させる(S440)。停止部47は、一例として、主走査と副走査の間に設けられた所定長のインターバルを取り除くことにより、搬送部18による媒体Mの搬送速度を実質的に増加させる。そして、停止部47は、処理を
図12のS290に戻す。
【0093】
S450において、印刷制御部43は、現在実行中の印刷ジョブが完了したか否か判定する(S450)。現在実行中の印刷ジョブが完了したと印刷制御部43が判定した場合、印刷制御部43は、処理を終了する。一方、現在実行中の印刷ジョブが完了していないと印刷制御部43が判定した場合、印刷制御部43は、処理をS430に戻す。そして、印刷が完了したら、ユーザーは、媒体Mを切断して巻取ロール17を印刷装置1から回収する。
【0094】
以上に、本開示の実施形態を説明した。上記実施形態は、以下の特徴を有する。
【0095】
<6.催促部46を特徴とする技術>
例えば、
図2及び
図5、
図11、
図12に示すように、印刷装置1は、媒体Mに印刷する印刷部6と、媒体Mを搬送する搬送部18と、印刷後の媒体Mを巻き取るための巻取芯材15を回転可能に支持する巻取部11と、媒体Mの先端MLが印刷部6における印刷位置PS0の下流に位置する催促位置PS1に到達したことに応じて、媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するようにユーザーに催促する催促部46と、を含む。以上の構成によれば、仮にユーザーが別の作業に没頭するあまり印刷実行中であることを忘れてしまっていたとしても、印刷実行中であることに気づくことができる。これにより、例えば媒体Mが巻取部11で巻き取られることなく媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達するなどして印刷済みの媒体Mが損紙となるのを抑制することができる。
【0096】
また、
図11に示すように、催促位置PS1は、ユーザーが媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するのに適した固定作業範囲R1の上流端PS2よりも下流であっても構わないが上流に位置することが望ましい。以上の構成によれば、催促位置PS1が上流端PS2よりも下流に位置する場合と比較して、ユーザーは、余裕を持って媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定することができる。
【0097】
また、
図11に示すように、催促位置PS1は、印刷位置PS0よりも固定作業範囲R1の上流端PS2に近い。以上の構成によれば、催促位置PS1が固定作業範囲R1の上流端PS2よりも印刷位置PS0に近い場合と比較して、ユーザーが印刷装置1に呼び出されてからユーザーが印刷装置1の前で待機させられる時間を短縮することができるので、時間の有効活用に寄与する。
【0098】
また、
図12に示すように、催促部46は、巻取部11における巻き取りが必要であるジョブの実行時は催促を実行し(S140:YES、S180)、巻取部における巻き取りが不要であるジョブの実行時は催促を実行しない(S140:NO)。以上の構成によれば、巻き取りの要否に応じて適切に催促を実行することができる。
【0099】
また、
図12に示すように、催促部46は、巻取部11における巻き取りが未だ開始していない場合は催促を実行し(S170:NO、S180)、巻取部11における巻き取りが既に開始している場合は催促を実行しない(S170:YES)。換言すれば、催促部46は、巻取部11が巻き取り前である場合は催促を実行し(S170:NO、S180)、巻取部11が巻き取り済みである場合は催促を実行しない(S170:YES)。以上の構成によれば、不要な催促音を無くすことができる。
【0100】
また、
図12に示すように、催促部46は、催促部46による催促が必要であるとユーザーが設定する場合は催促を実行し(S150:YES、S180)、催促部46による催促が不要であるとユーザーが設定する場合は催促を実行しない(S150:NO)。以上の構成によれば、催促音が禁止される特別な環境下でも印刷装置1を使用することができるようになる。
【0101】
また、催促部46は、催促音信号を出力することにより催促を実行する。以上の構成によれば、催促部46は、印刷装置1から離れた場所で作業しているユーザーに対しても催促を実行することができる。しかし、これに代えて、催促部46は、印刷装置1の可動部を間欠的に動かすことで何らかの動作音を発生させることにより催促を実行してもよい。印刷装置1の可動部は、典型的には、印刷部6や巻取芯材15が挙げられる。
【0102】
また、催促部46は、媒体Mの搬送速度と経過時間に基づいて、媒体Mの先端MLが催促位置PS1に到達したか判定してもよい。以上の構成によれば、印刷装置1に媒体Mの先端MLの位置を検出するための多数の光学センサを設けることなく、媒体Mの先端MLが催促位置PS1に到達したかを安価に判定することができる。なお、経過時間とは、典型的には、印刷開始時点からの経過時間である。
【0103】
また、催促部46は、媒体Mの搬送距離に基づいて、媒体Mの先端MLが催促位置PS1に到達したか判定してもよい。以上の構成によれば、上記同様に、媒体Mの先端MLが催促位置PS1に到達したかを安価に判定することができる。なお、搬送距離とは、典型的には、印刷開始時点からの搬送距離である。
【0104】
また、
図5及び
図12に示すように、印刷装置1は、ユーザーが媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するのに適した固定作業範囲R1の上流端PS2に媒体Mの先端MLが到達した後であって、印刷画像の切れ目が印刷位置PS0に到達したことに応じて、搬送部18による媒体Mの搬送を停止させる停止部47を更に含む。以上の構成によれば、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定できる場合は、印刷済みの媒体Mが損紙となるのを免れることができる。また、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定できない場合、又は、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達しており媒体Mが汚れてしまっている場合であっても、損紙の分量を少なく抑えることができる。何れの場合であっても、媒体Mの節約に寄与すると言える。
【0105】
また、
図12に示すように、停止部47は、巻取部11における巻き取りが未だ開始していない場合は搬送を停止し(S240:NO)、巻取部11における巻き取りが既に開始している場合は搬送を停止しない(S240:YES)。換言すれば、停止部47は、巻取部11が巻き取り前である場合は搬送を停止し(S240:NO)、巻取部11が巻き取り済みである場合は搬送を停止しない(S240:YES)。以上の構成によれば、搬送の不要な停止を無くすことができる。
【0106】
また、
図12に示すように、印刷物生産方法は、媒体Mの先端MLが印刷部6における印刷位置PS0の下流に位置する催促位置PS1に到達したことに応じて、媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するようにユーザーに催促するステップ(S180)を含む。以上の方法によれば、仮にユーザーが別の作業に没頭するあまり印刷実行中であることを忘れてしまっていたとしても、印刷実行中であることに気づくことができる。これにより、例えば媒体Mが巻取部11で巻き取られることなく媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達するなどして印刷済みの媒体Mが損紙となるのを免れることができる。
【0107】
また、
図12に示すように、印刷物生産方法は、更に、印刷を開始するステップ(S130)と、ユーザーに催促するステップ(S180)と、を含んでもよい。
【0108】
<7.停止部47を特徴とする技術>
例えば、
図2及び
図5、
図11、
図12に示すように、印刷装置1は、媒体Mに印刷する印刷部6と、媒体Mを搬送する搬送部18と、印刷後の媒体Mを巻き取るための巻取芯材15を回転可能に支持する巻取部11と、ユーザーが媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するのに適した固定作業範囲R1の上流端PS2に媒体Mの先端MLが到達した後であって、印刷画像の切れ目が印刷部6における印刷位置PS0に到達したことに応じて、搬送部18による媒体Mの搬送を停止させる停止部47と、を含む。以上の構成によれば、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定できる場合は、印刷済みの媒体Mが損紙となるのを免れることができる。また、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定できない場合、又は、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達しており媒体Mが汚れてしまっている場合であっても、損紙の分量を少なく抑えることができる。何れの場合であっても、媒体Mの節約に寄与すると言える。また、停止部47が媒体Mの搬送を停止させた時点で印刷位置PS0に切れ目C1又は切れ目C2が位置しているので、印刷を中断し、その後に印刷を再開した場合でも、高い印刷品質を実現することができる。従って、印刷が中断されても印刷を再開できる余地が残されることになる。
【0109】
また、
図12に示すように、停止部47は、巻取部11における巻き取りが必要であるジョブの実行時は搬送を停止させ(S140:YES、S260)、巻取部11における巻き取りが不要であるジョブの実行時は搬送を停止させない(S140:NO)。以上の構成によれば、巻き取りの要否に応じて適切に搬送を停止させることができる。
【0110】
また、
図12に示すように、停止部47は、巻取部11における巻き取りが未だ開始していない場合は搬送を停止させ(S240:NO、S260)、巻取部11における巻き取りが既に開始している場合は搬送を停止させない(S240:YSE)。換言すれば、停止部47は、巻取部11が巻き取り前である場合は搬送を停止し(S240:NO)、巻取部11が巻き取り済みである場合は搬送を停止しない(S240:YES)。以上の構成によれば、搬送の不要な停止を無くすことができる。
【0111】
また、
図12に示すように、停止部47は、停止部47による停止が必要であるとユーザーが設定する場合は搬送を停止させ(S200:YES、S260)、停止部47による停止が不要であるとユーザーが設定する場合は搬送を停止させない(S200:NO)。以上の構成によれば、印刷装置1の柔軟な動作が実現される。
【0112】
また、
図11、
図12及び
図13に示すように、停止部47は、固定作業範囲R1の上流端PS2に媒体Mの先端MLが到達した後であって、媒体Mの先端MLが固定作業範囲R1の上流端PS2から下流に向かう所定の停止範囲R2にいるうちに印刷位置PS0に到達する切れ目が存在しない場合(S210:NO)、搬送部18による媒体Mの搬送速度を所定のタイミングで低下させる(S420)。以上の構成によれば、媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達する前にユーザーが媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定できる可能性が高くなる。従って、印刷済みの媒体Mが損紙となるのを免れる可能性が出てくるので、結果として媒体Mの節約に寄与する。
【0113】
また、
図11に示すように、所定の停止範囲R2の下流端は設置床面Fである。しかし、これに代えて、所定の停止範囲R2の下流端を設置床面Fよりも上方に設定してもよい。
【0114】
また、
図13に示すように、所定のタイミングは、固定作業範囲R1の上流端PS2に媒体Mの先端MLが到達したタイミングである(S400:YES)。しかし、これに代えて、所定のタイミングを固定作業範囲R1の上流端PS2に媒体Mの先端MLが到達したタイミングの前後に設定してもよい。
【0115】
また、
図7及び
図8に示すように、切れ目C1及び切れ目C2は、主走査方向の全域にわたって印刷が行われない領域である。
【0116】
一例として、切れ目C2は、第1印刷ページP1の印刷画像G1の下端G1dと、第2印刷ページP2の印刷画像G2の上端G2uと、の間に位置する。
【0117】
一例として、
図7及び
図8に示すように、切れ目C1は、同一ページ内に印刷画像G1及び印刷画像G2が媒体Mの搬送方向において互いに離れて配置される場合、印刷画像G1及び印刷画像G2の間に位置する。
【0118】
また、
図7及び
図8に示すように、停止部47が媒体Mの搬送を停止させる場合(S260)、印刷制御部43は、切れ目に対して上流側に隣接する印刷画像に対しては下端処理DPを実行し、切れ目に対して下流側に隣接する印刷画像に対しては上端処理UPを実行する。具体的には、
図8に示すように、印刷制御部43は、切れ目C1に対して上流側に隣接する印刷画像G11の下端部G11bに対しては下端処理DPを実行し、切れ目C1に対して下流側に隣接する印刷画像G12の上端部G12aに対しては上端処理UPを実行する。同様に、印刷制御部43は、切れ目C2に対して上流側に隣接する印刷画像G12の下端部G12bに対しては下端処理DPを実行し、切れ目C2に対して下流側に隣接する印刷画像G2の上端部G2aに対しては上端処理UPを実行する。以上の構成によれば、高い印刷品質を実現することができる。
【0119】
また、
図12に示すように、印刷物生産方法は、ユーザーが媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定するのに適した固定作業範囲R1の上流端PS2に媒体Mの先端MLが到達した後であって、印刷画像の切れ目が印刷部6における印刷位置PS0に到達したことに応じて、搬送部18による媒体Mの搬送を停止させるステップ(S260)を含む。以上の方法によれば、以上の構成によれば、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定できる場合は、印刷済みの媒体Mが損紙となるのを免れることができる。また、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLを巻取芯材15に固定できない場合、又は、停止部47が印刷を中断した時点で媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達しており媒体Mが汚れてしまっている場合であっても、損紙の分量を少なく抑えることができる。何れの場合であっても、媒体Mの節約に寄与すると言える。また、停止部47が媒体Mの搬送を停止させた時点で印刷位置PS0に切れ目C1又は切れ目C2が位置しているので、印刷を中断し、その後に印刷を再開した場合でも、高い印刷品質を実現することができる。従って、印刷が中断されても印刷を再開できる余地が残されることになる。
【0120】
また、
図12に示すように、印刷物生産方法は、更に、印刷を開始するステップ(S130)と、搬送部18による媒体Mの搬送を停止させるステップ(S260)と、を含んでもよい。
【0121】
<8.変形例>
以上に、本開示の実施形態を説明したが、上記実施形態は以下のように変更できる。
【0122】
即ち、上記実施形態において印刷装置1は、通常印刷出力データD1とページ内停止印刷出力データD2をコンピューター30から受信し、状況に応じて通常印刷出力データD1とページ内停止印刷出力データD2を使い分けることとした。しかし、通常印刷出力データD1は省略することができる。即ち、いかなる状況であっても、印刷制御部43は、ページ内停止印刷出力データD2に基づいて印刷を実行してもよい。この場合、印刷位置PS0に切れ目C1が到達した時点、及び、印刷位置PS0に切れ目C2が到達した時点、の何れの時点においても、高い印刷品質を担保したまま印刷を中断することができる。
【0123】
また、停止部47は、媒体Mの先端MLが設置床面Fに到達したことに応じて、媒体Mの搬送を停止してもよい。この場合、印刷を再開しても高い印刷品質は望めないものの、損紙の分量を確実に抑制することができる。
【0124】
また、停止部47は、媒体Mの搬送を停止するとき、警告音信号をスピーカー40gに出力してもよい。以上の構成によれば、印刷が中断した状態で印刷装置1が長時間放置されることを防止することができる。
【0125】
また、催促部46の催促や停止部47の警告はどのように行ってもよい。スピーカー40gを用いて音で行ってもよいが、ランプを用いて光で行ってもよいし、通信インターフェース40dを用いて画像データを生成したコンピューター30やユーザーの保有するスマートフォンなどに通知をすることで催促や警告を行ってもよい。
【0126】
上述の例で別部材として説明したものを1つの部材としてもよいし、1つの部材として説明したものを複数の部材としてもよい。
【0127】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピューター可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピューターに供給することができる。非一時的なコンピューター可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピューター可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。非一時的なコンピューター可読媒体の例は、更に、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリー(例えば、マスクROMを含む。非一時的なコンピューター可読媒体の例は、更に、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピューター可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピューターに供給されてもよい。一時的なコンピューター可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピューター可読媒体は、電線及び光ファイバー等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピューターに供給できる。
【符号の説明】
【0128】
1…印刷装置、2…本体部、3…脚部、4…乾燥部、5…ガイドレール、6…印刷部、7…キャリッジ、8…ヘッド、9…プラテン、10…給紙部、11…巻取部、12…給紙芯材、13…給紙モーター、14…給紙ロール、15…巻取芯材、15a…外周面、16…巻取モーター、17…巻取ロール、18…搬送部、19…第1搬送ローラー、20…第2搬送ローラー、21…第1搬送モーター、22…第2搬送モーター、23…テープ片、30…コンピューター、31…アプリケーション、32…プリンタドライバー、33…色変換部、34…ハーフトーン処理部、35…ラスタライズ処理部、36…主走査パスデータ、41…印刷出力データ受信部、42…バッファー部、43…印刷制御部、44…動作設定部、45…巻取開始部、45a…巻取開始ボタン、46…催促部、47…停止部、100…印刷システム、M…媒体、ML…先端、F…設置床面、D1…通常印刷出力データ、D2…ページ内停止印刷出力データ、P…印刷ページ、P1…第1印刷ページ、P2…第2印刷ページ、G1…印刷画像、G1d…下端、G11…印刷画像、G11a…上端部、G11b…下端部、G11c…中間部、G12…印刷画像、G12a…上端部、G12b…下端部、G12c…中間部、G2…印刷画像、G2u…上端、G2a…上端部、G2b…下端部、C1…切れ目、C2…切れ目、L…媒体搬送軌道、L1…軌道、L2…軌道、PS0…印刷位置、PS1…催促位置、PS2…上流端、PS3…下流端、PS4…停止位置、R1…固定作業範囲、R2…停止範囲、UP…上端処理、MP…中間処理、DP…下端処理