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特開2024-114143シーツ注文管理システム、シーツ注文管理サーバ、シーツ製造方法及びマットレス用シーツ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114143
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】シーツ注文管理システム、シーツ注文管理サーバ、シーツ製造方法及びマットレス用シーツ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240816BHJP
   A47G 9/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G06Q30/0601 320
A47G9/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019694
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】509150961
【氏名又は名称】株式会社グリフ
(74)【代理人】
【識別番号】100148714
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100092668
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100154232
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 京子
(72)【発明者】
【氏名】荒井 孝正
【テーマコード(参考)】
3B102
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
3B102BA04
3B102BA12
5L030BB54
5L049BB54
(57)【要約】
【課題】マットレス用シーツをマットレスに装着した際の見栄えを改善可能なシーツ注文管理システム、シーツ注文管理サーバ及びシーツ製造方法並びにマットレス用シーツを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のシーツ注文管理システム10において、シーツ本体62と伸縮部64を有するボックス状の特殊なマットレス用シーツ60の製造に際し、単にベッド又はマットレスのサイズタイプ(シングル、ダブル等)を用いるのではなく、マットレスの実際の寸法に基づいてシーツの設計を行う。当該設計では、例えば、マットレス52の高さに基づいて、マットレスへの非装着時におけるシーツの四隅に位置する伸縮部の湾曲形状(曲率半径等)を設定することができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレス用シーツの注文情報を入力する発注端末と、
前記発注端末から受信する前記注文情報に基づいて前記シーツの設計情報を算出して前記設計情報に基づく第1作業指示情報を算出する管理サーバと、
前記管理サーバから受信する前記第1作業指示情報をそのまま表示する又は前記第1作業指示情報に基づく第2作業指示情報を表示する工場端末と
を備えるシーツ注文管理システムであって、
前記シーツは、
マットレスへの装着時に、前記マットレスの上面の略全面と、前記マットレスの幅方向における前記マットレスの両側面とを少なくとも覆う織物生地から成るシーツ本体と、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの四隅と、前記マットレスの奥行き方向両端部の下面とを少なくとも覆う編み物生地から成る伸縮部と
を有し、
同一形状の2箇所又は2枚の円弧状の編み物生地の組合せ部分が、前記マットレスへの装着時において前記マットレスの四隅を覆うように前記伸縮部が構成され、
前記発注端末では、前記マットレスの幅、奥行き及び高さを含むマットレス寸法情報の入力を前記注文情報の一部として受け付け、
前記管理サーバは、前記マットレス寸法情報に基づいて前記設計情報を算出し、
前記設計情報の算出に際し、前記管理サーバは、前記マットレスへの非装着時において前記マットレスの高さと略等しい曲率半径を有するように前記2箇所又は2枚の円弧状の編み物生地の組合せ部分を構成する
ことを特徴とするシーツ注文管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシーツ注文管理システムにおいて、
前記マットレスへの非装着時において、前記シーツの上面側には、
前記シーツの上面側のほとんどを占める前記シーツ本体の本体主面部と、
前記シーツの上面の四隅に配置された前記伸縮部の上側円弧状部と
が設けられ、
前記マットレスへの非装着時において、前記シーツの下面側には、
中央に配置される開口部と、
前記シーツの幅方向において前記開口部と隣り合う前記シーツ本体の折返し部分と、
前記シーツの奥行き方向において前記開口部と隣り合う前記伸縮部の折返し部分と
が設けられ、
前記伸縮部の折返し部分は、
折返し基部と、
前記シーツの幅方向において前記折返し基部の両端に配置された下側円弧状部と
を有し、
前記2箇所又は2枚の編み物生地の組合せ部分は、前記上側円弧状部と前記下側円弧状部の組合せから構成される
ことを特徴とするシーツ注文管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシーツ注文管理システムにおいて、
前記管理サーバ又は前記工場端末は、過去に製造した型紙の保管情報を蓄積する型紙データベースを有し、
さらに、前記管理サーバ又は前記工場端末は、新たに製造する前記シートと同じ寸法の前記シーツが過去に製造されている場合、当該過去のシーツに対応する既存の前記型紙の保管情報を前記型紙データベースから抽出し、前記工場端末の表示装置に表示させる
ことを特徴とするシーツ注文管理システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のシーツ注文管理システムにおいて、
前記注文情報には、アイロン装置に投入する際のシーツの向きであるアイロン時シーツ投入方向を含み、
前記管理サーバは、前記アイロン時シーツ投入方向に応じて前記シーツの幅又は奥行きに縮み考慮分を追加する
ことを特徴とするシーツ注文管理システム。
【請求項5】
マットレス用シーツの注文情報を注文端末から受信して前記注文情報に基づいて前記シーツの設計情報を算出して前記設計情報に基づく第1作業指示情報を算出して工場端末に送信するシーツ注文管理サーバであって、
前記シーツは、
マットレスへの装着時に、前記マットレスの上面の略全面と、前記マットレスの幅方向における前記マットレスの両側面とを少なくとも覆う織物生地から成るシーツ本体と、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの四隅と、前記マットレスの奥行き方向両端部の下面とを少なくとも覆う編み物生地から成る伸縮部と
を有し、
前記発注端末からの前記注文情報は、前記マットレスの幅、奥行き及び高さを含むマットレス寸法情報を前記注文情報の一部として含み、
前記シーツ注文管理サーバは、前記マットレス寸法情報に基づいて前記設計情報を算出する
ことを特徴とするシーツ注文管理サーバ。
【請求項6】
マットレスの幅、奥行き及び高さを含むマットレス寸法情報に基づいてコンピュータ又は人手によりマットレス用シーツの設計情報を算出して前記設計情報に基づいて人手により又は製造装置により前記シーツを製造するシーツ製造方法であって、
前記シーツは、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの上面の略全面と、前記マットレスの幅方向における前記マットレスの両側面とを少なくとも覆う織物生地から成るシーツ本体と、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの四隅と、前記マットレスの奥行き方向両端部の下面とを少なくとも覆う編み物生地から成る伸縮部と
を有し、
前記マットレスへの非装着時における前記シーツの四隅に位置する前記伸縮部の湾曲形状を、前記マットレスの高さに基づいて設定する
ことを特徴とするシーツ製造方法。
【請求項7】
マットレスへの装着時に、前記マットレスの上面の略全面と、前記マットレスの幅方向における前記マットレスの両側面とを少なくとも覆う織物生地から成るシーツ本体と、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの四隅と、前記マットレスの奥行き方向両端部の下面とを少なくとも覆う編み物生地から成る伸縮部と
を有するマットレス用シーツであって、
同じ曲率半径である同一形状の2箇所又は2枚の円弧状の編み物生地の組合せ部分が、前記マットレスの四隅を覆うように前記伸縮部が構成される
ことを特徴とするマットレス用シーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレス用シーツの注文を管理するシーツ注文管理システム、シーツ注文管理サーバ及びシーツ製造方法、並びにマットレス用シーツに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、開口部の周囲にゴムを設けないボックス状タイプのマットレス用シーツであって、アイロナー又は自動畳み機への投入を確実に行なうことができるマットレス用シーツを提供することを目的としている([0010])。当該目的を達成するため、特許文献1(要約)のマットレス用シーツ1は、直方体形状のマットレス7に着脱可能に装着されるボックス状タイプのマットレス用シーツである。シーツ1は、マットレス7の上面の略全面と長手方向に沿った両側面とを覆うシーツ本体部3と、マットレス7に装着時にあっては少なくともマットレス7の四隅上下8箇所とマットレス7の長手方向両端部の下面とを覆う伸縮部5とを有する。マットレス7への装着時にあっては、下面側にマットレス7を出し入れする開口部が形成され、非装着時にあっては少なくとも長手方向端部の上面側はシーツ本体3で形成されている。シーツ1は、主として病院用ベッドで使用されているマットレスに用いられることが想定されている([0001])。
【0003】
特許文献2及び特許文献3にも、基本的な構成が特許文献1と同様のマットレス用シーツが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-052072号公報
【特許文献2】特開2015-139555号公報
【特許文献3】特開2017-099591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1では、特殊形状のシーツ1が開示されている。すなわち、シーツ1は、マットレス7の上面の略全面と長手方向に沿った両側面とを覆うシーツ本体部3と、マットレス7に装着時にあっては少なくともマットレス7の四隅上下8箇所とマットレス7の長手方向両端部の下面とを覆う伸縮部5とを有する。特許文献2及び特許文献3も同様である。
【0006】
これら特殊形状のシーツは、主として病院用ベッドで使用されているマットレスに用いられることが想定されている(特許文献1の[0001]、特許文献2の[0001]、特許文献3の[0001])。現在、多くの病院で用いられているマットレスは寸法が単一である。そのため、シーツ本体及び伸縮部の寸法を一度設定すれば、同じ寸法を用いることができる。
【0007】
ベッドを用いたサービスを行う施設は病院に限らず、ホテル等も存在する。例えばホテルの場合、顧客の人数に応じてベッド及びマットレスのサイズが、シングル、ダブル等で変化する。また、同じサイズであっても、ベッド及びマットレスの寸法は異なることが通常である。上記のような特殊形状のシーツ(シーツ本体の四隅等に伸縮部が存在する)の場合、マットレスのサイズのみでシーツの寸法を特定すると、伸縮部がマットレスに密着しない部分(マットレスから離れた部分)が生じることが判明した。そのような部分が存在すると、ベッド全体での見栄えが悪くなり、顧客満足度に力を入れるホテル業界等では、当該シーツの採用の阻害要因となることが懸念される。
【0008】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、マットレス用シーツをマットレスに装着した際の見栄えを改善可能なシーツ注文管理システム、シーツ注文管理サーバ及びシーツ製造方法並びにマットレス用シーツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るシーツ注文管理システムは、
マットレス用シーツの注文情報を入力する発注端末と、
前記発注端末から受信する前記注文情報に基づいて前記シーツの設計情報を算出して前記設計情報に基づく第1作業指示情報を算出する管理サーバと、
前記管理サーバから受信する前記第1作業指示情報をそのまま表示する又は前記第1作業指示情報に基づく第2作業指示情報を表示する工場端末と
を備えるものであって、
前記シーツは、
マットレスへの装着時に、前記マットレスの上面の略全面と、前記マットレスの幅方向における前記マットレスの両側面とを少なくとも覆う織物生地から成るシーツ本体と、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの四隅と、前記マットレスの奥行き方向両端部の下面とを少なくとも覆う編み物生地から成る伸縮部と
を有し、
前記発注端末では、前記マットレスの幅、奥行き及び高さを含むマットレス寸法情報の入力を前記注文情報の一部として受け付け、
前記管理サーバは、前記マットレス寸法情報に基づいて前記設計情報を算出する
ことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、上記のようなシーツ本体と伸縮部を有する特殊なシーツの製造に際し、単にベッド又はマットレスのサイズタイプ(シングル、ダブル等)を用いるのではなく、マットレスの実際の寸法(幅、奥行き及び高さ)に基づいてシーツの設計を行う。そのため、伸縮部をマットレスと密着させ易くなり、シーツを取り付けた状態の見栄えを向上することが可能となる。
【0011】
前記設計情報の算出に際し、前記管理サーバは、前記マットレスの高さに基づいて、前記マットレスへの非装着時における前記シーツの四隅に位置する前記伸縮部の湾曲形状(例えば曲率半径)を設定してもよい。これにより、上記のようなシーツ本体と伸縮部を有するシーツであっても当該湾曲形状を簡易に設定することが可能となる。
【0012】
同一形状の2箇所又は2枚の円弧状の編み物生地の組合せ部分が、前記マットレスへの装着時において前記マットレスの四隅を覆うように前記伸縮部が構成されてもよい。前記設計情報の算出に際し、前記管理サーバは、前記マットレスへの非装着時において前記マットレスの高さと略等しい曲率半径を有するように前記2箇所又は2枚の円弧状の編み物生地の組合せ部分を構成してもよい。本発明によれば、マットレスの高さと略等しい曲率半径の2箇所又は2枚の編み物生地の組合せ部分を形成する伸縮部が、マットレスの四隅を覆う。そのため、マットレスの四隅が平面視において湾曲している場合であっても、そのようなマットレスの湾曲部にシーツの伸縮部が密着し易くなる。
【0013】
前記マットレスへの非装着時において、前記シーツの上面側には、前記シーツの上面側のほとんどを占める前記シーツ本体の本体主面部と、前記シーツの上面の四隅に配置された前記伸縮部の上側円弧状部とが設けられてもよい。また、前記マットレスへの非装着時において、前記シーツの下面側には、中央に配置される開口部と、前記シーツの幅方向において前記開口部と隣り合う前記シーツ本体の折返し部分と、前記シーツの奥行き方向において前記開口部と隣り合う前記伸縮部の折返し部分とが設けられてもよい。さらに、前記伸縮部の折返し部分は、折返し基部と、前記シーツの幅方向において前記折返し基部の両端に配置された下側円弧状部とを有してもよい。さらにまた、前記2箇所又は2枚の編み物生地の組合せ部分は、前記上側円弧状部と前記下側円弧状部の組合せから構成されてもよい。
【0014】
上記によれば、マットレスへの非装着時(すなわち、マットレスの設計時又は製造時)において、同一形状の上側円弧状部と下側円弧状部の組合せから2箇所又は2枚の編み物生地の組合せ部分を構成する。そのため、当該組合せ部分の設計及び製造が容易となる。
【0015】
前記管理サーバ又は前記工場端末は、過去に製造した型紙の保管情報を蓄積する型紙データベースを有してもよい。さらに、前記管理サーバ又は前記工場端末は、新たに製造する前記シートと同じ寸法の前記シーツが過去に製造されている場合、当該過去のシーツに対応する既存の前記型紙の保管情報を前記型紙データベースから抽出し、前記工場端末の表示装置に表示させてもよい。これにより、新たに製造するシーツと過去に製造したシーツとで寸法が同じ場合には、既存の型紙を流用することで、製造工数を減少すると共に、利用する型紙の量を減らすことが可能となる。
【0016】
前記注文情報には、アイロン装置に投入する際のシーツの向きであるアイロン時シーツ投入方向を含んでもよい。また、前記管理サーバは、前記アイロン時シーツ投入方向に応じて前記シーツの幅又は奥行きに縮み考慮分を追加してもよい。これにより、アイロン装置への投入時のシーツの縮みを考慮してシーツの幅又は奥行きを大きくすることで、アイロン仕上がり時においてシーツをマットレスに密着させ易くなる。
【0017】
本発明の別の態様に係るシーツ注文管理サーバは、マットレス用シーツの注文情報を注文端末から受信して前記注文情報に基づいて前記シーツの設計情報を算出して前記設計情報に基づく第1作業指示情報を算出して工場端末に送信するものであって、
前記シーツは、
マットレスへの装着時に、前記マットレスの上面の略全面と、前記マットレスの幅方向における前記マットレスの両側面とを少なくとも覆う織物生地から成るシーツ本体と、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの四隅と、前記マットレスの奥行き方向両端部の下面とを少なくとも覆う編み物生地から成る伸縮部と
を有し、
前記発注端末からの前記注文情報は、前記マットレスの幅、奥行き及び高さを含むマットレス寸法情報を前記注文情報の一部として含み、
前記シーツ注文管理サーバは、前記マットレス寸法情報に基づいて前記設計情報を算出する
ことを特徴とする。
【0018】
本発明のさらに別の態様に係るシーツ製造方法は、マットレスの幅、奥行き及び高さを含むマットレス寸法情報に基づいてコンピュータ又は人手によりマットレス用シーツの設計情報を算出して前記設計情報に基づいて人手により又は製造装置により前記シーツを製造する方法であって、
前記シーツは、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの上面の略全面と、前記マットレスの幅方向における前記マットレスの両側面とを少なくとも覆う織物生地から成るシーツ本体と、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの四隅と、前記マットレスの奥行き方向両端部の下面とを少なくとも覆う編み物生地から成る伸縮部と
を有し、
前記マットレスへの非装着時における前記シーツの四隅に位置する前記伸縮部の湾曲形状を、前記マットレスの高さに基づいて設定する
ことを特徴とする。
【0019】
本発明のさらに別の態様に係るマットレス用シーツは、
マットレスへの装着時に、前記マットレスの上面の略全面と、前記マットレスの幅方向における前記マットレスの両側面とを少なくとも覆う織物生地から成るシーツ本体と、
前記マットレスへの装着時に、前記マットレスの四隅と、前記マットレスの奥行き方向両端部の下面とを少なくとも覆う編み物生地から成る伸縮部と
を有するものであって、
同じ曲率半径である同一形状の2箇所又は2枚の円弧状の編み物生地の組合せ部分が、前記マットレスの四隅を覆うように前記伸縮部が構成される
ことを特徴とする。
【0020】
前記シーツ注文管理サーバ、前記シーツ製造方法及び前記マットレス用シーツは、前記シーツ注文管理システムと同様の特徴を有してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シーツ本体及び伸縮部を有する特殊形状のシーツをマットレスに装着した際の見栄えを改善可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るシーツ注文管理システムの概略構成図である。
図2】前記実施形態に係る前記シーツ注文管理システムの各部の内部構成を簡略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るマットレス用シーツの平面図である。
図4】前記実施形態に係る前記マットレス用シーツの底面図である。
図5】前記実施形態に係る前記マットレス用シーツをマットレスに装着した状態を示す斜視図である。
図6】前記実施形態に係るシーツ注文管理方法を示すフローチャートである。
図7】前記実施形態に係る前記マットレス用シーツの設計、製造及び出荷のフローチャートである。
図8】前記実施形態に係る前記マットレス用シーツの設計の詳細を示すフローチャートである。
図9図9(A)は、前記実施形態のシーツ本体の展開図であり、図9(B)は、前記実施形態の伸縮部の展開図である。
図10】前記実施形態に係るマットレス用シーツの設計方法を説明するための底面図である。
図11】縫製済みの状態の前記実施形態のマットレス用シーツの上面側の一部拡大図である。
図12】縫製済みの状態の前記実施形態のマットレス用シーツの下面側の一部拡大図である。
図13】前記実施形態のマットレス用シーツをマットレスに装着した状態における幅方向の一部断面図である。
図14】前記実施形態のマットレス用シーツを前記マットレスに装着した状態における奥行き方向の一部断面図である。
図15】変形例に係る伸縮部の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<A.一実施形態>
[A-1.一実施形態の構成]
(A-1-1.全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るシーツ注文管理システム10の概略構成図である。図2は、本実施形態に係るシーツ注文管理システム10の各部の内部構成を簡略的に示す図である。本実施形態のシーツ注文管理システム10(以下「システム10」ともいう。)は、複数の発注端末20(以下「第1端末20」ともいう。)と、管理サーバ30(以下「サーバ30」ともいう。)と、工場端末40(以下「第2端末40」ともいう。)とを有する。
【0024】
システム10では、ホテル80に配置されているベッド50のマットレス52に用いられるマットレス用シーツ60の注文情報Ioが第1端末20を介して入力される。ここでの注文情報Ioには、マットレス52の幅、奥行き及び高さを含むマットレス寸法情報Imdが含まれる。入力された注文情報Ioは、インターネット等の通信ネットワーク70を介してサーバ30に送信される。
【0025】
サーバ30は、受信した注文情報Io(マットレス寸法情報Imd)に基づいてシーツ60の設計情報Idを算出し、シーツ60の製造及び出荷に必要なその他の情報と共に第1作業指示情報Ior1として工場端末40に送信する。第1作業指示情報Ior1は、例えば、シーツ本体62及び伸縮部64の展開図を含む具体的設計図を示した作業指示書(図示せず)の形式とすることができる。或いは、第1作業指示情報Ior1は、シーツ本体62及び伸縮部64の形状を特定するために必要な各種数値(例えば図8の各ステップで言及するもの)を列記した形式としてもよい。工場端末40は、サーバ30から受信した第1作業指示情報Ior1を表示する。工場90の作業者92(以下「工場作業者92」ともいう。)は、工場端末40の表示(第1作業指示情報Ior1)を見てシーツ60を製造して出荷する。出荷されたシーツ60は、物流網94(配送車96等)を介してユーザに配送される。
【0026】
(A-1-2.発注端末20)
発注端末20は、ベッド50のマットレス52に用いられるマットレス用シーツ60の注文情報Ioを入力するためのものであり、入力された注文情報Ioをサーバ30に送信する。発注端末20では、マットレス52の幅、奥行き及び高さを含むマットレス寸法情報Imdの入力を注文情報Ioの一部として受け付ける。注文情報Ioには、アイロン装置(図示せず)に投入する際のシーツ60の向きであるアイロン時シーツ投入方向を含む。発注端末20としては、例えば、シーツ60の営業担当者が発注端末20を用いる場合、例えば、一般的なスマートホン、タブレット端末、ノート型パーソナル・コンピュータ(PC)等の携帯端末を用いることができる。或いは、ホテル80の担当者が発注端末20を用いる場合、一般的なPC(デスクトップ型、ノート型等)等の端末としてもよい。なお、発注者は、ホテル80の担当者に限らず、リネンサプライヤ、商社等の担当者であってもよい。
【0027】
図2に示すように、発注端末20は、第1端末通信装置200と、第1端末入出力装置202と、第1端末制御装置204と、第1端末記憶装置206とを有する。第1端末通信装置200は、通信ネットワーク70を介してサーバ30と通信可能である。第1端末入出力装置202は、発注端末20のユーザ(営業担当者、ホテル担当者等)からの入力を受け付けると共に、ユーザに対して出力を行う。第1端末入出力装置202は、入力装置及び出力装置としてのタッチパネル210を含む。
【0028】
第1端末制御装置204は、発注端末20全体を制御する。本実施形態において、第1端末制御装置204は、注文端末20のユーザがシーツ60の注文情報Ioを入力する際の処理を実行する。第1端末記憶装置206は、第1端末制御装置204が実行するソフトウェア及び各種データを記憶する。
【0029】
(A-1-3.管理サーバ30)
管理サーバ30は、シーツ注文管理システム10全体の管理を行う。例えば、サーバ30は、発注端末20から受信する注文情報Io(マットレス寸法情報Imd)に基づいてシーツ60の設計情報Idを算出して設計情報Idに基づく第1作業指示情報Ior1を算出する。また、本実施形態の管理サーバ30は、アイロン時シーツ投入方向に応じてシーツ60の幅W又は奥行きLに縮み考慮分を追加する。そして、サーバ30は、第1作業指示情報Ior1(設計情報Idを含む。)を工場端末40に送信する。第1作業指示情報Ior1は、マットレス52への非装着時におけるシーツ60の幅W、奥行きL及び湾曲部を実現するための情報を含む。これらの処理の詳細は、図6図8を参照して後述する。
【0030】
図2に示すように、サーバ30は、サーバ通信装置300と、サーバ入出力装置302と、サーバ制御装置304と、サーバ記憶装置306とを有する。サーバ通信装置300は、通信ネットワーク70(図1)を介して発注端末20及び工場端末40と通信する。サーバ入出力装置302は、サーバ30のユーザ(例えば、サーバ30の管理者)からの入力及びユーザに対する出力を行う装置であり、例えば、キーボード、マウス及び表示装置(いずれも図示せず)を含む。サーバ制御装置304は、サーバ記憶装置306に記憶されているソフトウェア及びデータを用いてサーバ30全体を制御する。
【0031】
サーバ記憶装置306は、揮発性メモリ及び不揮発メモリを有する。サーバ記憶装置306は、顧客データベース310(以下「顧客DB310」という。)と、営業担当者データベース312(以下「営業担当者DB312」という。)と、注文データベース314(以下「注文DB314」という。)と、型紙データベース316(以下「型紙DB316」という。)とを有する。顧客DB310は、シーツ60の発注者及び利用者としての顧客(ホテル80等)の各種情報(名称、住所、電話番号、電子メールアドレス、顧客ID等)を記憶する。営業担当者DB312は、シーツ60の提供会社の営業担当者(図示せず)の各種情報(名前、所属営業所、電子メールアドレス、従業員ID等)を記憶する。注文DB314は、シーツ60の注文毎の注文情報Ioを記憶する。型紙DB316は、過去に製造した型紙の保管情報(型紙情報Ip)を蓄積する。
【0032】
なお、サーバ30は、各機能を単一のサーバで行う代わりに、複数台のサーバで行うものであってもよい。
【0033】
(A-1-4.工場端末40)
工場端末40(第2端末40)は、工場90(図1)において、シーツ60の製造及び出荷に用いられる情報端末である。本実施形態の工場端末40は、管理サーバ30から受信する第1作業指示情報Ior1をそのまま表示する。第2端末40としては、例えば、一般的なPC、スマートホン、タブレット端末等の情報端末を用いることができる。また、工場端末40は、工場90毎に1台のみ設けるのではなく、例えば、工場90の作業者毎又は工程毎に1台又は複数台設けることも可能である。
【0034】
図2に示すように、第2端末40は、第2端末通信装置400と、第2端末入出力装置402と、第2端末制御装置404と、第2端末記憶装置406とを有する。第2端末通信装置400は、通信ネットワーク70(図1)を介してサーバ30と通信可能である。第2端末入出力装置402は、第2端末40のユーザ(例えば、工場90の作業者92)からの入力を受け付けると共に、ユーザに対して出力を行う。第2端末入出力装置402は、入力装置としてのキーボード410及びマウス412と、出力装置としての表示装置414とを含む。
【0035】
第2端末制御装置404は、第2端末40全体を制御する。本実施形態において、第2端末制御装置404は、サーバ30からの第1作業指示情報Ior1を受信した際に工場作業者92に作業指示を伝える処理等を行う。第2端末記憶装置406は、第2端末制御装置404が実行するソフトウェア及び各種データを記憶する。
【0036】
工場端末40に併せてプリンタ42(図1)が設けられる。プリンタ42は、第2端末40からの指令に基づいてシーツ60の製造及び出荷に関する作業指示書(図示せず)を印刷する目的等で用いられる。
【0037】
(A-1-5.シーツ60)
図3は、本発明の一実施形態に係るマットレス用シーツ60の平面図である。図4は、本実施形態に係るマットレス用シーツ60の底面図である。図3及び図4では、シーツ60をマットレス52に装着していない状態で示している。図5は、本実施形態に係るマットレス用シーツ60をマットレス52に装着した状態を示す斜視図である。図5のシーツ60は、主として下面側が示されている。
【0038】
図3及び図4に示すように、シーツ60は、主として、シーツ本体62及び伸縮部64を有する(図9(A)及び図9(B)も参照)。シーツ本体62は、織物生地(又は布帛)から構成され、相対的に伸縮率が低い。織物生地としては、例えば、綿、又はポリエステルと綿の混合生地を用いることができる。伸縮部64は、編み物生地(又はニット)から構成され、相対的に伸縮率が高い。編み物生地としては、例えば、ポリエステル系生地を用いることができる。編み方としては、経編み、緯編み、丸編みのいずれであってもよい。また、伸縮率が高い向きをマットレス52の高さ方向に合わせるように配置することが好ましい。シーツ本体62及び伸縮部64それぞれを構成する生地は、例えば、特許文献1~3と同様のものを用いることができる。
【0039】
図3に示すように、シーツ60の上面側は、シーツ本体62がそのほとんどを占め、四隅に伸縮部64が配置される。シーツ60の上面側に現れているシーツ本体62の部分を本体主面部620と呼ぶ。また,シーツ60の上面側に現れている4箇所の伸縮部64の部分それぞれを上側円弧状部640と呼ぶ。なお、図3に示す破線は、シーツ60の裏面側の形状(例えば、後述する図4の本体折返し部分621、伸縮部折返し部分641)を示すものである。
【0040】
図4に示すように、シーツ60の下面側は、中央に開口部660が形成される。開口部660の左右には、シーツ本体62の折返し部分621(以下「本体折返し部分621」ともいう。)が配置される。開口部660の上下には、伸縮部64の折返し部分641(以下「伸縮部折返し部分641」ともいう。)が配置される。伸縮部折返し部分641は、折返し基部642と、その両端(左右両側)に配置された2つの下側円弧状部643とを有する。各下側円弧状643は、上側円弧状部640と同一形状をしている。そして、上側円弧状部640と下側円弧状部643は、それぞれの円弧状の外縁が縫製されることで上下円弧状部を形成する。
【0041】
図9(A)等を用いて後述するように、本体主面部620の幅A及び奥行きBは、装着するマットレス52の幅W及び奥行きLよりも大きく設定される。そのため、図5のように、開口部660を介してシーツ60をマットレス52に被せると、本体主面部620は、マットレス52の上面、幅方向側面の一部及び奥行き方向側面の一部に接する(この点については図9(A)、図13及び図14を参照して後に詳述する。)。また、本体折返し部分621は、マットレス52の幅方向側面の一部及び下面の一部に接する(図13も参照)。これらに伴って、上側円弧状部640と下側円弧状部643から構成される上下円弧状部は、マットレス52の幅方向の側面及び奥行き方向の側面(正面、背面)の接触部分付近に位置することとなる。上下円弧状部は編み物生地から構成される円弧状部分であるため、当該接触部分付近においてシーツ60とマットレス52とは密着し易くなる。また、上下円弧状部のその形状により違和感を生じ難くすることができるようになる。シーツ本体62及び伸縮部64の設計については、図8図9等を参照して後述する。
【0042】
[A-2.本実施形態における注文処理方法]
(A-2-1.全体的な流れ)
図6は、本実施形態に係るシーツ注文管理方法を示すフローチャートである。当該シーツ注文管理方法は、シーツ製造方法を含む。ステップS11において、発注端末20のユーザ(営業担当者等)は、例えば所定のURL(Uniform Resource Locator)を入力してサーバ30にアクセスして、シーツ60の発注情報入力画面の送信を要求する。アクセスを受けたサーバ30は、発注情報入力画面の情報を発注端末20に送信する(ステップS12)。
【0043】
ステップS13において、発注端末20は、サーバ30から受信した発注情報入力画面を表示して、ユーザから注文情報Ioの入力を受け付ける。ここでの注文情報Ioには、例えば、発注者情報、シーツ情報及び営業担当者情報を含むことができる。発注者情報としては、例えば、顧客ID、発注者の名称(企業名)、住所、電話番号及び電子メールアドレスを含むことできる。シーツ情報としては、例えば、シーツ60を利用するマットレス52の寸法情報(マットレス寸法情報Imd)、シーツ60の枚数及び使用予定のアイロン装置(アイロナー)の投入方向(アイロン時シーツ投入方向)を含むことができる。マットレス寸法情報Imdは、マットレス52の幅W、奥行きL及び高さH(例えば、カタログ記載値又は実測値)を含む。なお、発注されるシーツ60の仕様が複数ある場合、仕様毎にシーツ情報を入力できるようにしてもよい。営業担当者情報としては、例えば、営業担当者名、個人ID及び所属営業所名を含むことができる。発注者情報は、顧客DB310の登録情報を読み出して用いてもよい。シーツ情報は、今回の発注者の注文履歴を注文DB314から読み出して選択可能にしてもよい。営業担当者情報は、営業担当者DB312の登録情報を読み出して用いてもよい。
【0044】
ステップS14において、発注端末20は、入力された注文情報Ioをサーバ30に送信する。ステップS15において、サーバ30は、受信した注文情報Ioを注文DB314に登録する。ステップS16において、サーバ30は、注文情報Ioの登録完了を発注端末20に送信する。ステップS17において、発注端末20は、登録完了をタッチパネル210に表示する。
【0045】
ステップS18において、サーバ30は、注文情報Ioに基づいて第1作業指示情報Ior1を算出する。第1作業指示情報Ior1は、工場90の作業者92が注文情報Ioに対応して行うべき作業の指示に関する情報である。本実施形態の第1作業指示情報Ior1には、シーツ作業情報Ios及び発送先情報Isaが含まれる。シーツ作業情報Iosは、シーツ60の設計情報Id、数量を含む。設計情報Idは、注文情報Io(マットレス寸法情報Imd)に対応するシーツ60の設計(仕様)に関する情報である。今回のマットレス寸法情報Imdと同一のマットレス寸法情報Imdを有する過去の注文情報Ioが注文DB314に存在する場合、サーバ30は、当該過去の注文情報Ioに対応する型紙情報Ipを型紙DB316から抽出して第1作業指示情報Ior1に含ませる。
【0046】
ステップS19において、サーバ30は、算出した第1作業指示情報Ior1を工場端末40に送信する。ステップS20において、工場端末40は、サーバ30から受信した第1作業指示情報Ior1を表示装置414に表示する。工場作業者92は、表示されている第1作業指示情報Ior1に基づいてシーツ60の製造及び出荷を行う。シーツ60の設計、製造及び出荷に関する詳細は図7等を参照して後述する。
【0047】
第1作業指示情報Ior1に基づいて工場作業者92がシーツ60の製造(検品を含む。)を完了すると、工場作業者92は、シーツ60の製造完了を工場端末40に入力する。換言すると、ステップS21において、工場端末40は、シーツ60の製造完了を工場作業者92から受け付ける。そして、ステップS22において、工場端末40は、シーツ60の製造完了をサーバ30に通知する。通知を受けたサーバ30は、ステップS23において、シーツ60の製造完了を注文DB314に登録する。
【0048】
シーツ60の製造(検品を含む。)が完了した後、工場作業者92は、第1作業指示情報Ior1に基づいてシーツ60の出荷を行う。そして、出荷が完了すると、工場作業者92は、シーツ60の出荷完了を工場端末40に入力する。換言すると、ステップS24において、工場端末40は、シーツ60の出荷完了を工場作業者92から受け付ける。そして、ステップS25において、工場端末40は、シーツ60の出荷完了をサーバ30に通知する。通知を受けたサーバ30は、ステップS26において、シーツ60の出荷完了を注文DB314に登録する。そして、サーバ30は、出荷完了を発注端末20に通知する。通知を受けた発注端末20は、ステップS28において、出荷完了をタッチパネル210に表示する。
【0049】
(A-2-2.シーツ60の設計、製造及び出荷)
図7は、本実施形態に係るシーツ60の設計、製造及び出荷のフローチャートである。本実施形態では、図7の各ステップのうち、ステップS41はサーバ30が行い、ステップS42~S46は、工場作業者92が、サーバ30からの第1作業指示情報Ior1に基づいて行う。なお、ここにいう工場作業者92は単一の者である必要はなく、例えばステップ毎に異なる者とすることができる。
【0050】
ステップS41において、シーツ60及びシーツ60を製造するための型紙を設計する。上記の通り、本実施形態の注文情報Ioは、マットレス寸法情報Imdを含む。マットレス寸法情報Imdは、マットレス52の幅W(短辺の長さ)、奥行きL(長辺の長さ)及び高さH(厚み)を含む。サーバ30は、マットレス52の幅W、奥行きL及び高さHに基づいて、シーツ60及び型紙の一部の寸法を算出して第1作業指示情報Ior1に含める。そして、工場作業者92は、第1作業指示情報Ior1に含まれるシーツ60及び型紙の当該一部の寸法を用いて、シーツ60及び型紙の全体を設計する。上記のように、本実施形態のシーツ60は、布帛(織物の生地)としてのシーツ本体62と、編み物としての伸縮部64とを有する(図3図5)。そのため、設計は、シーツ本体62及び伸縮部64それぞれについて行う。シーツ60及び型紙の設計に関するさらなる詳細は、図8図14を参照して後述する。
【0051】
ステップS42において、工場作業者92は、ステップS41の設計に基づいて型紙を作成する。型紙の作成は、シーツ本体62及び伸縮部64それぞれについて行う。ステップS43において、工場作業者92は、ステップS42で作成した型紙を用いて生地を裁断する。生地の裁断は、シーツ本体62及び伸縮部64それぞれについて行う。なお、過去に同一寸法のシーツ60を製造しており、既に必要な型紙が存在する場合、工場作業者92は、第1作業指示情報Ior1に含まれる型紙情報Ipに基づいて必要な型紙(及びその保管場所)を特定し、当該型紙を用いることができる。その場合、ステップS41、S42は省略可能となる。
【0052】
ステップS44において、工場作業者92は、シーツ本体62及び伸縮部64を縫製してボックス状のシーツ60を完成させる。ステップS45において、工場作業者92は、完成したシーツ60の検査を行う。ステップS46において、工場作業者92は、検査に合格したシーツ60を梱包して出荷する。
【0053】
(A-2-3.シーツ60の設計)
図8は、本実施形態に係るシーツ60の設計の詳細を示すフローチャートである。図9(A)は、本実施形態のシーツ本体62の展開図であり、図9(B)は、本実施形態の伸縮部64の展開図である。図10は、本実施形態に係るマットレス用シーツ60の設計方法を説明するための底面図である。図11は、縫製済みの状態の本実施形態のシーツ60の上面側の一部拡大図である。図12は、縫製済みの状態の本実施形態のシーツ60の下面側の一部拡大図である。図13は、本実施形態のシーツ60をマットレス52に装着した状態における幅方向の一部断面図である。図14は、本実施形態のシーツ60をマットレス52に装着した状態における奥行き方向の一部断面図である。
【0054】
図8の各ステップは、サーバ30が実行する。ここでは、マットレス52の幅を「幅W」又は「マットレス幅W」と、奥行きを「奥行きL」又は「マットレス奥行きL」と、高さを「高さH」又は「マットレス高さH」で示す。また、1枚のシーツ60を製作するためには、図9(B)の伸縮部64が2枚用意される。
【0055】
例えば、ホテル80で用いられるマットレス52は、同じサイズ(シングル、ダブル等)であっても、マットレス52の幅W、奥行きL及び高さHが完全には一致せず、多少のずれが存在する。そこで、本実施形態では、そのような寸法のずれに応じてシーツ60の設計を行う。具体的には、サーバ30は、マットレス52の幅W、奥行きL及び高さHに基づいて、シーツ60及び型紙の一部の寸法を算出して第1作業指示情報Ior1に含める。そして、工場作業者92は、第1作業指示情報Ior1に含まれるシーツ60及び型紙の当該一部の寸法を用いて、シーツ60及び型紙の全体を設計する。上記のように、本実施形態のシーツ60は、布帛(織物の生地)としてのシーツ本体62と、編み物としての伸縮部64とを有する(図3図5)。そのため、設計は、シーツ本体62及び伸縮部64それぞれについて行う。
【0056】
図9(A)において、二点鎖線500は、平面視におけるあるマットレス52の輪郭(幅方向及び奥行き方向)を示す。従って、二点鎖線500のうち奥行き方向の部分(図9(A)中、上下方向の部分)は、シーツ60がマットレス52に装着された際におけるシーツ本体62の上面と幅方向側面の境界を示す。また、二点鎖線500のうち幅方向の部分(図9(A)中、左右方向の部分)は、シーツ60がマットレス52に装着された際におけるシーツ本体62の上面と奥行き方向側面(正面、背面)の境界を示す。
【0057】
図9(A)の一点鎖線680は、シーツ本体62の本体主面部620と本体折返し部分621の仮想境界線(設計のために便宜的に用いる仮想線)を示す。一点鎖線680から延長する破線は、図9(A)のシーツ本体62と図9(B)の伸縮部64の関係を説明するための補助線である。二点鎖線681は、シーツ60がマットレス52に装着された際におけるシーツ本体62の幅方向側面と下面の境界を示す。
【0058】
以下では、基本的に、図9(A)におけるシーツ62に関する長さは、アルファベットの大文字で示し、図9(B)における伸縮部64に関する長さは、アルファベットの小文字で示す。
【0059】
図8のステップS61において、サーバ30は、マットレス52の幅W及び高さHに基づいてシーツ本体62(本体主面部620)の基本幅A(図9(A))を設定する。基本幅Aは、幅方向において、シーツ本体62がマットレス52の上面の全部と2つの側面の一部を覆うための長さである。基本幅Aは、下記の式(1)で定義される。
A=W+(H×P)×2 (1)
【0060】
式(1)における係数Pは、本体主面部620がマットレス52の幅方向側面を覆う長さ(量)を設定する固定値であり、例えば1/3~2/3の範囲から選択される。例えば、係数Pとして1/2を用いる場合、マットレス52の幅方向側面の半分を本体主面部620が覆い、残りを本体折返し部分621が覆うこととなる。また、「×2」は、マットレス52の幅方向の2つの側面の分を示す。
【0061】
ステップS62において、サーバ30は、マットレス52の奥行きL及び高さHに基づいてシーツ本体62の基本奥行きB(図9(A))を設定する。基本奥行きBは、奥行き方向において、シーツ本体62がマットレス52の上面の全部と2つの側面(換言すると正面及び背面)の一部を覆うための長さである。基本奥行きBは、下記の式(2)で定義される。
B=L+(H×Q)×2+R (2)
【0062】
式(2)における係数Qは、本体主面部620がマットレス52の奥行き方向側面(正面、背面)を覆う長さ(量)を設定する固定値であり、例えば1/3~2/3の範囲から選択される。例えば、係数Qとして1/2を用いる場合、マットレス52の奥行き方向側面の半分を本体主面部620が覆い、残りを伸縮部折返し部分641が覆うこととなる。また、「×2」は、マットレス52の奥行き方向の2つの側面(正面、背面)の分を示す。Rは、シーツ60をアイロン掛けした際の縮み量を考慮した値であり、例えば3~7[cm]の範囲から選択される固定値である。或いは、Rは、「L+(H×Q)×2」の所定割合(例えば2~5%)として設定してもよい。
【0063】
なお、Rは、アイロン装置にシーツ60を投入する方向がシーツ60の幅方向(横入れ)である場合に加えるものである。すなわち、横入れの場合、シーツ60が幅方向に引っ張られながらアイロン掛けされる。そのため、シーツ60の奥行き方向の長さ(奥行きL)が縮むこととなる。投入方向がシーツ60の奥行き方向(縦入れ)の場合、式(2)にRは入れない(或いはR=0とする)。投入方向がシーツ60の奥行き方向(縦入れ)の場合、代わりに、式(1)にRを追加する。
【0064】
ステップS63において、サーバ30は、マットレス52の高さHに基づいて伸縮部64の四隅の曲率半径c(図9(B)及び図11)を設定する。図9(B)からわかるように、伸縮部64の四隅は、伸縮部64を構成する同じ形状の生地(上円弧状部640及び下円弧状部643)が2箇所合わさって構成される。曲率半径cは、下記の式(3)で定義される。
c=H (3)
【0065】
なお、式(3)において、高さHに所定の係数(例えば、0.8~1.1のいずれかの固定値)を乗算した値を曲率半径cとしてもよい。
【0066】
ステップS64において、サーバ30は、曲率半径c及びマットレス52の高さHに基づいて伸縮部64の四隅の辺の長さd(図9(B)、図11図12)を設定する。図11からわかるように、辺の長さdは、曲率半径cに固定値sを足した値である。従って、辺の長さdは、下記の式(4)で定義される。
d=c+s (4)
【0067】
式(4)におけるsは、伸縮部64を構成する生地の縮み量を考慮した値であり、例えば1/6~1/4の範囲から選択される固定値をマットレス高さHに掛けた値である。図11におけるsの部分は、円弧状ではなく直線状であることに留意されたい。辺の長さdで設定される2つの点を結ぶ斜め直線(図9(B)の第1斜線g1)は、シート本体62と伸縮部64の接合部(縫製部)に対応する。
【0068】
ステップS65において、サーバ30は、シーツ本体62の幅方向の折返し長さE(図9(A)、図10図13)を設定する。図10からわかるように、折返し長さEは、幅方向において幅Aの部分に対して折り返されるシーツ本体62の長さ(すなわち、本体折返し部分621の幅方向の長さ)である。また、図13からわかるように、折返し長さEに相当するシーツ本体62の部分は、マットレス52の幅方向側面の一部と底面の一部を覆う。折返し長さEは、下記の式(5)で定義される。
E={H-(A-W)/2}+T (5)
【0069】
式(5)における「A-W」は、シーツ本体62の基本長さAからマットレス幅Wを引いた値、すなわち、幅方向においてシーツ本体62がマットレス52からはみ出る長さである。幅方向の両側においてシーツ本体62がマットレス52からはみ出るので2で割った値が片側のはみ出し量になる(図13参照)。従って、「H-(A-W)/2」は、折返し長さEに相当するシーツ本体62の部分のうちマットレス52の幅方向側面に面する部分の長さである。また、Tは、折返し長さEに相当するシーツ本体62の部分のうちマットレス52の底面に面する部分の長さであり、例えば10~20[cm]の範囲から選択される値である。
【0070】
ステップS66において、サーバ30は、伸縮部64の奥行き方向端部の折返し長さf(図9(B)、図10図12図14)を設定する。図9(B)からわかるように、折返し長さfは、幅方向中央における伸縮部64の奥行き方向長さである。また、図14からわかるように、折返し長さfに相当する伸縮部64の部分は、マットレス52の奥行き方向側面(換言すると、正面、背面)の一部と底面の一部を覆う。折返し長さfは、下記の式(6)で定義される。
f={H-(B-L)/2}+u (6)
【0071】
式(6)における「B-L」は、シーツ本体62の基本長さBからマットレス奥行きLを引いた値、すなわち、奥行き方向においてシーツ本体62がマットレス52からはみ出る長さである。奥行き方向の両側においてシーツ本体62がマットレス52からはみ出るので2で割った値が片側のはみ出し量になる(図14参照)。従って、「H-(B-L)/2」は、折返し長さfに相当する伸縮部64の部分のうちマットレス52の奥行き方向側面(すなわち正面、背面)に面する部分の長さである。また、uは、折返し長さfに相当する伸縮部64の部分のうちマットレス52の底面に面する部分の長さであり、例えば10~20[cm]の範囲から選択される値である。
【0072】
ステップS67において、サーバ30は、辺の長さdに基づいて伸縮部64の四隅の斜め折返し線g(図9(B)、図12)を設定する。図9(B)からわかるように、斜め折返し線gは、一片を2dとする正方形の対角線として構成される。斜め折返し線gは、縫製が終わった状態で第1斜線g1と第2斜線g2を構成することとなる(図12参照)。
【0073】
ステップS68において、サーバ30は、伸縮部64の斜め折返し線gに基づいてシーツ本体62の四隅の斜め折返し線G(図9(A))を設定する。斜め折返し線Gのうち第1斜線G1は、シーツ60の上面側において伸縮部64の第1斜線g1に対応して縫製される。また、斜め折返し線Gのうち第2斜線G2は、シーツ60の下面側において伸縮部64の第2斜線g2に対応して縫製されることとなる。なお、そのような状態で、2つの円弧部分(例えば図9(B)の左側部分の2つの円弧部分、すなわち上円弧状部640と下円弧状部643)は、互いに縫製される。加えて、シーツ本体62の奥行き方向の端部と伸縮部64の奥行き方向の端部も互いに縫製される。これにより、ボックス状のシーツ60が構成されることとなる。
【0074】
ステップS69において、サーバ30は、伸縮部64の斜め折返し線g及び奥行き方向の折返し長さfに基づいて伸縮部64の内側曲線h(図9(B)、図12)を設定する。具体的には、斜め折返し線gの内側端部p1から奥行き方向の外側に向かって直線部分iを設ける。直線部分iは、縫製の開始を容易にするための部位であり、例えば、2~6[cm]の固定値である。そして、内側端部p1とは反対側における直線部分iの外側端部p2から伸縮部64の幅方向中央部において奥行き方向折返し長さf(S66)を実現する点p3に向けて滑らかな曲線を設定する。ここでの滑らかな曲線は、例えば、外側端部p2と点p3を通過する円弧(楕円の円弧を含み得る)として設定される。
【0075】
[A-3.本実施形態の効果]
本実施形態によれば、シーツ本体62と伸縮部64を有する特殊なシーツ60(図5等)の製造に際し、単にベッド50又はマットレス52のサイズタイプ(シングル、ダブル等)を用いるのではなく、マットレス52の実際の寸法(幅W、奥行きL及び高さH)に基づいてシーツ60の設計を行う(図8等)。そのため、伸縮部64をマットレス52と密着させ易くなり、シーツ60を取り付けた状態の見栄えを向上することが可能となる。
【0076】
本実施形態において、設計情報Idの算出に際し、管理サーバ30は、マットレス52の高さHに基づいて、伸縮部64の曲率半径cを設定する(図8のS63)。換言すると、管理サーバ30は、マットレス52の高さHに基づいて、マットレス52への非装着時におけるシーツ60の四隅の湾曲部の形状を設定する。これにより、上記のようなシーツ本体62と伸縮部64を有するシーツ60であってもシーツ60の四隅の湾曲部の形状を簡易に設定することが可能となる。
【0077】
本実施形態において、設計情報Idの算出に際し、管理サーバ30は、マットレス52の高さHと等しい曲率半径cの2箇所の編み物生地(上円弧状部640と下円弧状部643)の組合せ部分(上下円弧状部)が、(平面視又は底面視における)マットレス52の四隅に対応するように伸縮部64を構成する(図3図5及び図9(B))。そのため、マットレス52の四隅が平面視において湾曲している場合であっても、そのようなマットレス52の湾曲部にシーツ60の伸縮部64が密着し易くなる。
【0078】
本実施形態では、マットレス52への非装着時において、シーツ60の上面側には、シーツ60の上面側のほとんどを占めるシーツ本体62の本体主面部620と、シーツ60の上面の四隅に配置された伸縮部64の上側円弧状部640とが設けられる(図3)。また、マットレス52への非装着時において、シーツ60の下面側には、中央に配置される開口部660と、シーツ60の幅方向において開口部660と隣り合う本体折返し部分621と、シーツ60の奥行き方向において開口部660と隣り合う伸縮部折返し部分641とが設けられる(図4)。さらに、伸縮部折返し部分641は、折返し基部642と、シーツ60の幅方向において折返し基部642の両端に配置された下側円弧状部643とを有する(図4)。さらにまた、上側円弧状部640と下側円弧状部643の組合せから上下円弧状部が構成される。
【0079】
上記によれば、マットレス52への非装着時(すなわち、マットレス52の設計時又は製造時)において、同一形状の上側円弧状部640と下側円弧状部643の組合せから上下円弧状部を構成する。そのため、上下円弧状部の設計及び製造が容易となる。
【0080】
本実施形態において、管理サーバ30は、過去に製造した型紙の保管情報を蓄積する型紙DB316を有する(図2)。さらに、管理サーバ30は、新たに製造するシーツ60と同じ寸法のシーツ60が過去に製造されている場合、当該過去のシーツ60に対応する型紙情報Ip(既存の型紙の保管情報)を型紙DB316から抽出し、工場端末40の表示装置414に表示させる(図6のS18~S20)。これにより、新たに製造するシーツ60と過去に製造したシーツ60とで寸法が同じ場合には、既存の型紙を流用することで、製造工数を減少すると共に、利用する型紙の量を減らすことが可能となる。
【0081】
本実施形態において、注文情報Ioには、アイロン装置に投入する際のシーツ60の向きであるアイロン時シーツ投入方向を含む(図6のS13、S14)。管理サーバ30は、アイロン時シーツ投入方向に応じてシーツ60の奥行きL(又は幅W)に縮み考慮分Rを追加する(図8のS62(又はS61))。これにより、アイロン装置への投入時のシーツ60の縮みを考慮してシーツ60の奥行きL(又は幅W)を大きくすることで、アイロン仕上がり時においてシーツ60をマットレス52に密着させ易くなる。
【0082】
<B.変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0083】
上記実施形態では、シーツ60の注文管理を管理サーバ30が行った。換言すると、いわゆる電子商取引(EC)の構成を用いていた。しかしながら、例えば、マットレス寸法情報Imdに基づいてシーツ60の設計を行う観点からすれば、これに限らない。例えば、シーツ60の受注方法は、営業担当者が口頭で注文を受ける構成、ホテル80の担当者から営業担当者に電子メールで発注する構成、又はホテル80の担当者からコールセンターに電話して発注する構成に本発明を適用してもよい。また、設計情報Idの算出は、サーバ30が行う代わりに、工場端末40が行うこと又は工場作業者92等が人手で行うこと等も可能である。
【0084】
上記実施形態では、マットレス高さHと等しい曲率半径cの2箇所の編み物生地の組合せ部分が、マットレス52の四隅を覆うように伸縮部64を構成した(図3図5図8のS63、図9(B))。しかしながら、例えば、平面視又は底面視においてマットレス52の四隅の湾曲部と密着するように且つ当該四隅を覆うように、2箇所又は2枚の編み物生地(同一形状)の組合せ部分を伸縮部64に形成する観点からすれば、これに限らない。例えば、曲率半径cは、マットレス高さHと完全に同一であるである代わりに、略同一であるように構成してもよい。ここにいう略同一とは、曲率半径cとマットレス高さHの比c:Hが、例えば0.8:1~1.1:1の範囲である場合を言う。
【0085】
上記実施形態では、マットレス52への非装着時におけるシーツ60の四隅における伸縮部64の形状を曲率半径cで設定した(図8のS63、図9(B)、図11)。しかしながら、例えば、平面視又は底面視においてマットレス52の四隅の湾曲部と密着するように且つ当該四隅を覆うように、シーツ60の四隅における伸縮部64の形状を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、曲率半径cに近似した図形的特徴(例えば、真円に比較的近い楕円の一部)として、シーツ60の四隅における伸縮部64の形状を設定してもよい。ここにいう真円に比較的近い楕円とは、例えば、短半径bを長半径aで割った商b/aが0.9以上である場合を言うことができる。
【0086】
上記実施形態では、1枚のシート60を製造する際、伸縮部64を2枚の生地から構成した(図9(B))。換言すると、奥行き方向においてシーツ本体62の両端にそれぞれ1枚の生地からなる伸縮部64を配置した。しかしながら、例えば、マットレス52の四隅を覆うように伸縮部64を構成する観点からすれば、これに限らない。
【0087】
図15は、変形例に係る伸縮部64aの展開図である。上記実施形態の伸縮部64は、上側円弧状部640と伸縮部折返し部分641が一体となっていた(図9(B))。これに対し、図15の伸縮部64aは、上側円弧状部640aと、伸縮部折返し部分641a(折返し基部642a及び下側円弧状部643a)とが別部材として構成される。
【0088】
上記実施形態では、図8のステップS67、S68に示す方法で伸縮部64の斜め折返し線g及びシーツ本体60の斜め折返し線Gを設計した。しかしながら、例えば、シーツ60をマットレス52に装着した際に、マットレス52の四隅(少なくともマットレス52の下面側の四隅。好ましくはマットレス52の下面側及び上面側それぞれの四隅)を伸縮部64が覆うように構成する観点に着目すれば、これに限らない。
【0089】
上記実施形態では、発注端末20からの注文情報Ioに含まれるマットレス寸法情報Imd(マットレス52の幅W、奥行きL及び高さH)に基づいて、その都度シーツ60の設計情報Idを算出した(図7のS41及び図8全体)。しかしながら、例えば、マットレス寸法情報Imdに基づいて設計情報Idを設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、マットレス寸法情報Imd(マットレス52の幅W、奥行きL及び高さH)に応じたシーツ60の寸法をデータベース(シーツDB)に予め蓄積しておき、今回のマットレス寸法情報Imdに対応するシーツ寸法をシーツDBから読み出して設計情報Idとして第1作業指示情報Ior1に含めてもよい。
【0090】
上記実施形態では、サーバ30が算出した第1作業指示情報Ior1を工場端末40にそのまま表示する形とした(図6のS20)。しかしながら、例えば、マットレス寸法情報Imdに基づく製造作業指示を工場90の作業者に伝達する観点からすれば、これに限らない。例えば、本システム10を実現するための専用アプリケーションソフトウェアを工場端末40にインストールして用いる場合、サーバ30から受信した第1作業指示情報Ior1を当該ソフトウェアで加工又は処理して第2作業指示情報として工場端末40の表示装置414に表示してもよい。そのような構成の場合、例えば、第1作業指示情報Ior1にはマットレス寸法情報Imdをそのまま包含させ、図8の各ステップを工場端末40の当該ソフトウェアで演算処理することも可能である。
【0091】
上記実施形態では、図7の各ステップのうち、ステップS41はサーバ30が行い、ステップS41の残りとステップS42~S46は、工場作業者92が、サーバ30からの第1作業指示情報Ior1に基づいて行った。しかしながら、例えば、マットレス寸法情報Imdに基づいて設計情報Idを設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、図7の全ステップを工場作業者92が行ってもよい。或いは、管理サーバ30から工場90の製造装置に対して指令を出す形で図7の全ステップを自動で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10…シーツ注文管理システム 20…発注端末
30…管理サーバ(コンピュータ) 40…工場端末
52…マットレス 60…マットレス用シーツ
62…シーツ本体 64、64a…伸縮部
316…型紙データベース 414…表示装置
620…本体主面部 621…本体折返し部分
640、640a…上側円弧状部 641、641a…伸縮部折返し部分
642、642a…折返し基部 643、643a…下側円弧状部
660…開口部
c…曲率半径(シーツの四隅の湾曲部の形状)
H…マットレスの高さ Id…設計情報
Imd…マットレス寸法情報 Io…注文情報
Ior1…第1作業指示情報 Ip…型紙情報(型紙の保管情報)
L…マットレスの奥行き W…マットレスの幅
図1
図2
図3
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図5
図6
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図15