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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114161
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】超音波接合方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/02 20060101AFI20240816BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01R43/02 B
H01R4/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019731
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 泰徳
【テーマコード(参考)】
5E051
5E085
【Fターム(参考)】
5E051LA04
5E051LB01
5E085BB03
5E085CC03
5E085DD04
5E085HH11
5E085HH34
(57)【要約】
【課題】複数本の素線を束ねた芯線を単線化する際の素線同士の接合を改善することができる超音波接合方法を提供する。
【解決手段】超音波接合方法は、電線Wの芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す均し工程(S1)と、均し工程の後に、芯線露出部W1aに対して、複数本の素線W11を固めて単線化部W1bを形成する加工工程(S2)とを備える。均し工程は、収容空間15に芯線露出部W1aが収容された収容状態において、均し部材10である加工部材12が収容空間15側に移動することにより芯線露出部W1aを押圧して当該芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に沿って延在し導電性を有する複数本の素線からなる芯線と、前記芯線の端部を芯線露出部として露出させた状態で前記芯線を覆う絶縁被覆と、を有する電線の当該芯線露出部における複数の前記素線を均す均し工程と、
前記均し工程の後に、前記芯線露出部に対して、複数の前記素線を固めて単線化部を形成する加工工程と、を備え、
前記加工工程は、
前記軸線方向と直交する幅方向に対向して配置された一対の保持部材により前記芯線露出部が前記幅方向に挟持され、かつ前記軸線方向及び前記幅方向と直交する高さ方向に対向して配置された一対の加工部材により前記芯線露出部が前記高さ方向に挟持された加工状態において、一対の前記加工部材の一方が前記芯線露出部を押圧し、他方が当該芯線露出部に超音波振動を加えて当該芯線露出部の前記素線同士を接合させ、
前記均し工程は、
一対の前記保持部材及び一対の前記加工部材により形成され、かつ前記芯線露出部が収容される収容空間に当該芯線露出部が収容された収容状態において、均し部材が前記収容空間側に移動することにより前記芯線露出部を押圧して当該芯線露出部における複数の前記素線を均す
ことを特徴とする超音波接合方法。
【請求項2】
前記均し部材は、一対の前記加工部材の一方であり、
前記均し工程では、
一対の前記加工部材の前記一方によって、前記加工工程で当該加工部材の当該一方により前記芯線露出部に印加される第1荷重より相対的に低い第2荷重で前記芯線露出部を1回以上押圧する
請求項1に記載の超音波接合方法。
【請求項3】
前記均し部材は、一対の前記保持部材の一方であり、
前記均し工程では、
一対の前記保持部材の前記一方において前記収容空間側に形成された壁面の少なくとも一部が、前記収容空間側に向けて移動することにより前記芯線露出部を押圧する
請求項1に記載の超音波接合方法。
【請求項4】
前記均し部材は、一対の前記保持部材であり、
前記均し工程では、
一対の前記保持部材の少なくとも一方が前記収容空間側に向けて移動することで、前記幅方向において前記収容空間を形成する壁面間の壁間距離を可変とし、
前記均し工程前の初期の前記壁間距離をL0、前記均し工程にて一対の前記保持部材の前記一方により前記芯線露出部が押圧された後の壁間距離をL1、前記加工工程にて前記単線化部が形成されたときの壁間距離をL2とした場合に、L0>L2>L1を満たすように一対の前記保持部材の前記一方を移動する
請求項1に記載の超音波接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
端子付き電線を製造する際に、素線を束ねた芯線を有する電線に圧着端子を圧着する場合、当該素線の表層に形成された酸化膜を効率的に破壊して素線同士の導通性能を確保すべく、超音波接合装置により端子の圧着前に芯線を超音波接合するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、特許文献1では、芯線を接合幅に規制した状態で、高さ方向から加圧しながら、各素線を互いに超音波接合して平板状に一体成型する超音波接合方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-95293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数本の素線を束ねた芯線を単線化する際に、芯線の素線同士を接合する接合前の芯線の配置に偏りが生じると、芯線の幅方向に圧力の疎密が生じることで、圧力が疎の部位で素線同士の接合が弱くなりやすく、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、複数本の素線を束ねた芯線を単線化する際の素線同士の接合を改善することができる超音波接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る超音波接合方法は、軸線方向に沿って延在し導電性を有する複数本の素線からなる芯線と、前記芯線の端部を芯線露出部として露出させた状態で前記芯線を覆う絶縁被覆と、を有する電線の当該芯線露出部における複数の前記素線を均す均し工程と、前記均し工程の後に、前記芯線露出部に対して、複数の前記素線を固めて単線化部を形成する加工工程と、を備え、前記加工工程は、前記軸線方向と直交する幅方向に対向して配置された一対の保持部材により前記芯線露出部が前記幅方向に挟持され、かつ前記軸線方向及び前記幅方向と直交する高さ方向に対向して配置された一対の加工部材により前記芯線露出部が前記高さ方向に挟持された加工状態において、一対の前記加工部材の一方が前記芯線露出部を押圧し、他方が当該芯線露出部に超音波振動を加えて当該芯線露出部の前記素線同士を接合させ、前記均し工程は、一対の前記保持部材及び一対の前記加工部材により形成され、かつ前記芯線露出部が収容される収容空間に当該芯線露出部が収容された収容状態において、均し部材が前記収容空間側に移動することにより前記芯線露出部を押圧して当該芯線露出部における複数の前記素線を均すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る超音波接合方法によれば、複数本の素線を束ねた芯線を単線化する際の素線同士の接合を改善することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る超音波接合方法が適用された超音波接合装置を模式的に表した図である。
図2図2は、実施形態に係る超音波接合方法により加工された電線を模式的に表した図である。
図3図3は、均し工程前の超音波接合装置の状態を模式的に表した図である。
図4図4は、均し工程時の超音波接合装置の状態を模式的に表した図である。
図5図5は、加工工程時の超音波接合装置の状態を模式的に表した図である。
図6図6は、実施形態に係る超音波接合方法を表すフローチャート図である。
図7図7は、実施形態の第1変形例における均し工程時の超音波接合装置の状態を模式的に表した図である。
図8図8は、実施形態の第1変形例における均し工程時の超音波接合装置の状態を模式的に表した図である。
図9図9は、実施形態の第1変形例における加工工程時の超音波接合装置の状態を模式的に表した図である。
図10図10は、実施形態の第2変形例における均し工程前の超音波接合装置の状態を模式的に表した図である。
図11図11は、実施形態の第2変形例における均し工程時の超音波接合装置の状態を模式的に表した図である。
図12図12は、実施形態の第2変形例における加工工程時の超音波接合装置の状態を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記実施形態により本発明が限定されるものではない。すなわち、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれ、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0011】
[実施形態]
まず、実施形態に係る超音波接合装置1により加工された電線Wについて図1図5を参照して説明する。なお、図1は、超音波接合装置1を幅方向Yから視た図であり、電線Wの加工状態を表している。図2は、超音波接合装置1により単線化された電線Wの外観を表している。図3図5は、図1に示す超音波接合装置1を軸線方向Xから視た図であり、超音波接合装置1における均し工程前、均し工程時、及び加工工程時の各状態を表している。なお、図3図4に示す素線W11は、便宜上、外径が拡大されている。
【0012】
なお、以下の説明において、便宜上、図示のX方向、Y方向、及び、Z方向のうち、X方向を「軸線方向X」といい、Y方向を「幅方向Y」といい、Z方向を「高さ方向Z」という。軸線方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。軸線方向Xは、電線Wの軸線Oに沿う方向に相当する。幅方向Yと高さ方向Zとは、軸線方向Xと直交する方向に含まれる。なお、高さ方向Zは、一方を「上側Z1」、他方を「下側Z2」という。
【0013】
実施形態における電線Wについて説明する。電線Wは、例えば、車両に使用されるワイヤハーネス等に適用されるものである。ここで、ワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線Wを各装置に接続するようにしたものである。
【0014】
電線Wは、図1図2に示すように、導電性を有する線状の芯線W1と、絶縁性を有し、当該芯線W1の外側を覆う絶縁被覆W2とを含んで構成される。電線Wは、絶縁被覆W2によって芯線W1を被覆した絶縁電線である。電線Wは、一般的に可撓性を有するが、これに限定されるものではない。
【0015】
電線Wは、図1図2に示すように、導電性を有する線状の芯線W1と、絶縁性を有し、当該芯線W1の外側を覆う絶縁被覆W2とを含んで構成される。電線Wは、絶縁被覆W2によって芯線W1を被覆した絶縁電線である。電線Wは、一般的に可撓性を有するが、これに限定されるものではない。
【0016】
電線Wは、例えば図2に示す軸線Oに沿って延在し、当該軸線Oに沿う軸線方向Xに対してほぼ同じ径で延びるように形成される。電線Wは、軸線方向Xと直交する方向の断面形状が円形に形成される。
【0017】
芯線W1は、例えば、導電性を有する金属、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の素線W11を複数束ねたものである。なお、芯線W1は、複数本の素線W11を撚り合わせた撚り芯線であってもよい。各素線W11は、軸線方向Xと直交する方向の断面形状が円形に形成される(図5参照)。素線W11の外径Sは、複数本の素線W11において同一である。実施形態の電線Wは、軸線方向Xの少なくとも一方の端末において、絶縁被覆W2が剥ぎ取られており、芯線W1が絶縁被覆W2の端末から露出して芯線露出部W1aが形成されている。芯線露出部W1aは、軸線方向Xと直交する方向の断面形状が、芯線W1と同様に、円形である。芯線露出部W1aは、図2に示すように、当該芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を固めて単線化された単線化部W1bを有する。電線Wは、例えば、絶縁被覆W2の端末の近傍、及び、単線化部W1bに圧着端子(不図示)が圧着される。
【0018】
単線化部W1bは、例えば、超音波接合装置1により加工された部分である。単線化部W1bは、軸線方向Xに沿って柱状に形成され、芯線W1と異なり、軸線方向Xと直交する方向の断面形状が矩形である。
【0019】
絶縁被覆W2は、例えば、絶縁性の樹脂材料(PP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)、架橋PE(ポリエチレン)等。耐摩耗性や耐薬品性、耐熱性等に配慮して適宜選定される。)等を押出成形することによって形成されたものである。絶縁被覆W2は、軸線方向Xと直交する方向の断面形状が周方向に沿った略円環形に形成される。
【0020】
次に、実施形態に係る超音波接合方法が適用された超音波接合装置1、及び、当該超音波接合方法について図1図2を含めて図3図5を参照して説明する。
【0021】
超音波接合装置1は、電線Wの芯線露出部W1aを構成する複数本の素線W11を固めて単線化部W1bを形成するものである。超音波接合装置1は、図3図5に示すように、一対の保持部材11及び一対の加工部材12,13を有し、これらによって単線化部W1bを形成する。一対の保持部材11及び一対の加工部材12,13は、幅方向Y及び高さ方向それぞれに対向して配置されている。一対の保持部材11及び一対の加工部材12,13は、内側に芯線露出部W1aを収容するための収容空間15を形成する。なお、図示の超音波接合装置1には、一対の保持部材11、一対の加工部材12,13をそれぞれ支持する支持部材や、これらを移動させるための構造等については省略されている。
【0022】
一対の保持部材11は、幅方向Yに対向して配置され、芯線露出部W1aを幅方向Yに挟持する。一対の保持部材11は、収容空間15に収容された芯線露出部W1aの幅方向Yへの移動を規制する。一対の保持部材11は、収容空間15側に形成され、幅方向Yに対向する壁面11aを有する。一対の保持部材11は、幅方向Yにおいて、それぞれの位置が固定されている。
【0023】
一対の加工部材12,13は、高さ方向Zに対向して配置され、芯線露出部W1aを高さ方向Zに挟持する。一対の加工部材12,13は、芯線露出部W1aを高さ方向Zに挟持した状態で、当該芯線露出部W1aに超音波振動を加えて、芯線露出部W1aを構成する素線W11同士を超音波接合する。
【0024】
加工部材12は、いわゆるアンビルであり、収容空間15に対して上側Z1に配置されている。加工部材12は、高さ方向Zに移動可能に構成される。
【0025】
加工部材13は、いわゆるホーンであり、収容空間15に対して下側Z2に配置されている。加工部材13は、その位置が固定されている。加工部材13は、加工部材12,13が芯線露出部W1aを高さ方向Zに挟持した挟持状態において、当該芯線露出部W1aに対して超音波振動を加える。
【0026】
次に、実施形態に係る超音波接合方法について説明する。実施形態に係る超音波接合方法は、例えば、図6に示すように、均し工程(ステップS1)と、加工工程(ステップS2)とを含むものである。
【0027】
均し工程前では、電線Wは、不図示の皮剥き装置により電線Wの一端において、絶縁被覆W2が剥ぎ取られ、芯線露出部W1aが露出しているものとする。そして、均し工程前では、図3に示すように、収容空間15に対して芯線露出部W1aが収容される。このとき、芯線露出部W1aが、当該芯線露出部W1aを軸線方向Xから視て、例えば収容空間15の高さ方向Zに長く変形したり、一方の保持部材11側に偏って配置されたりする場合がある。このように、芯線露出部W1aが収容空間15の幅方向Yの一方に偏った状態にある場合、均し工程が実行される。
【0028】
均し工程では、超音波接合装置1は、図4に示すように、芯線露出部W1aが収容空間15に収容された収容状態において、均し部材10としての加工部材12を収容空間15側に移動させて芯線露出部W1aを押圧し、当該芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す。このとき、超音波接合装置1は、加工部材12を、高さ方向Zにおける初期位置Pと、均し位置P1との間で1往復させてもよいし、初期位置Pと均し位置P1との間を複数回往復させてもよい。
【0029】
次に、加工工程では、超音波接合装置1は、加工部材12を初期位置Pから収容空間15側に向けて移動させながら当該加工部材12により芯線露出部W1aを加圧する。このとき、超音波接合装置1は、加工部材12を均し位置P1よりも下側Z2に移動させて、当該加工部材12により芯線露出部W1aを加圧する。
【0030】
加工工程において加工部材12により芯線露出部W1aに印加される荷重を第1荷重とすると、上記均し工程で加工部材12により芯線露出部W1aに印加される第2荷重は、当該第1荷重より相対的に低いことが好ましい。この場合、均し工程では、芯線露出部W1aが、加工部材12により第2荷重で1回以上押圧される。
【0031】
以上説明したように、実施形態に係る超音波接合方法は、1本の電線Wの芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す均し工程(S1)と、均し工程の後に、芯線露出部W1aに対して、複数本の素線W11を固めて単線化部W1bを形成する加工工程(S2)とを備える。均し工程(S1)は、収容空間15に芯線露出部W1aが収容された収容状態において、均し部材10である加工部材12が収容空間15側に移動することにより芯線露出部W1aを押圧して当該芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す。
【0032】
従来の超音波接合方法では、上述したように、芯線露出部W1aが収容空間15の幅方向Yの一方に偏った状態で配置された場合、加工工程で当該芯線露出部W1aを単線化すると、単線化部W1bの幅方向Yに圧力の疎密が生じるおそれがある。この場合、単線化部W1bは、圧力が疎の部位で素線W11同士の接合が弱くなりやすい。
【0033】
そこで、実施形態に係る超音波接合方法は、加工工程前に均し工程を追加し、加工部材12を収容空間15側に移動させて芯線露出部W1aを押圧することで、偏った状態の芯線露出部W1aを幅方向Yに沿って均すことができる。この結果、超音波接合方法は、加工工程において、芯線露出部W1aを単線化する際の素線W11同士の接合を改善することができる。
【0034】
また、実施形態に係る超音波接合方法は、均し工程では、加工工程で加工部材12により芯線露出部W1aに印加される第1荷重より相対的に低い第2荷重で芯線露出部W1aを1回以上押圧する。これにより、超音波接合方法は、均し工程において、加工部材12の押圧により芯線露出部W1aの素線W11が塑性変形することなく、当該芯線露出部W1aの偏り状態を均すことができる。これにより、超音波接合方法は、加工工程において、芯線露出部W1aを単線化する際の素線W11同士の接合を改善することができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、加工部材12が移動可能に構成され、加工部材13が位置固定されているが、これに限定されるものではなく、加工部材12が位置固定され、加工部材13が移動可能に構成されていてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、均し工程において、均し部材10として加工部材12,13のいずれか一方を移動させて芯線露出部W1aを押圧しているが、これに限定されるものではなく、加工部材12,13の両方が均し部材10として移動して芯線露出部W1aを押圧するものであってもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、均し工程において、均し部材10として加工部材12,13の少なくとも1つを移動させて芯線露出部W1aを押圧しているが、これに限定されるものではない。例えば、均し工程では、一対の保持部材11の少なくとも一方を収容空間15側に移動させて芯線露出部W1aの偏り状態を均すようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、均し工程において、一対の保持部材11の少なくとも一方を収容空間15側に移動させて芯線露出部W1aの偏り状態を均すようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、図7図9に示すように、均し工程では、一対の保持部材11の一方において収容空間15側に形成された壁面11aの少なくとも一部が、収容空間15側に向けて移動することにより芯線露出部W1aを押圧するものであってもよい。
【0039】
次に、実施形態の第1変形例に係る超音波接合方法について図7図9を参照して説明する。図7図9に示す超音波接合装置1Aは、実施形態の第1変形例に係る超音波接合方法が適用されたものである。超音波接合装置1Aは、一対の保持部材11の一方が、3つの保持部材21,22,23により構成されている。3つの保持部材21~23のうち、保持部材21,23は、一対の保持部材11の他方と同様に、その位置が固定されているが、保持部材22は、幅方向Yに移動可能に構成される。保持部材22は、加工部材13の収容空間15側の壁面13a上を幅方向Yに沿ってスライド移動する。保持部材22は、初期位置P2と均し位置P3との間を移動可能に構成される。保持部材22の高さ方向Zの高さは、例えば芯線露出部W1aの外径よりも短いことが好ましい。
【0040】
実施形態の第1変形例に係る超音波接合方法は、均し工程において、図7に示すように、芯線露出部W1aが収容空間15に収容された収容状態において、均し部材10としての保持部材22を収容空間15側に移動させて芯線露出部W1aの少なくとも一部を押圧し、当該芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す。このとき、超音波接合装置1Aは、保持部材22を、幅方向Yにおける初期位置P2と、均し位置P3との間で1往復させてもよいし、初期位置P2と均し位置P3との間を複数回往復させてもよい。
【0041】
実施形態の第1変形例に係る超音波接合方法によれば、保持部材22を収容空間15側に移動させて芯線露出部W1aを押圧することで、偏った状態の芯線露出部W1aを幅方向Yに沿って均すことができる(図7図8参照)。この結果、第1変形例に係る超音波接合方法は、加工工程において、芯線露出部W1aを単線化する際の素線W11同士の接合を改善することができる。
【0042】
次に、実施形態の第2変形例に係る超音波接合方法について図10図12を参照して説明する。図10図12に示す超音波接合装置1Bは、実施形態の第2変形例に係る超音波接合方法が適用されたものである。超音波接合装置1Bは、一対の保持部材11B、一対の加工部材12B,13Bを有し、これらによって単線化部W1bを形成する。一対の保持部材11B、一対の加工部材12B,13Bは、幅方向Y及び高さ方向Zそれぞれに対向して配置されている。一対の保持部材11B、一対の加工部材12B,13Bは、内側に収容空間15を形成する。
【0043】
一対の保持部材11Bのうち、一方の保持部材11Bは、幅方向Yに加工部材13Bの壁面13aに沿って移動可能に構成され、他方の保持部材11Bは、高さ方向Zに加工部材13Bの壁面13bに沿って移動可能に構成される。一対の加工部材12B,13Bのうち、一方の加工部材13Bは、その位置で固定され、他方の加工部材12Bは、高さ方向Zに隣接する他方の保持部材11Bと共に、高さ方向Zに移動可能に構成され、かつ他方の保持部材11Bの壁面11aに沿って幅方向Yに移動可能に構成される。
【0044】
実施形態の第2変形例に係る超音波接合方法は、均し工程において、図11に示すように、芯線露出部W1aが収容空間15に収容された収容状態において、均し部材10としての保持部材11Bを収容空間15側に移動させて芯線露出部W1aを押圧し、当該芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す。このとき、超音波接合装置1Bは、保持部材11Bを、幅方向Yにおける初期位置P4と、均し位置P5との間で1往復させてもよいし、初期位置P4と均し位置P5との間を複数回往復させてもよい。
【0045】
実施形態の第2変形例に係る超音波接合方法によれば、保持部材22を収容空間15側に移動させて芯線露出部W1aを押圧することで、偏った状態の芯線露出部W1aを幅方向Yに沿って均すことができる(図10図11参照)。この結果、第2変形例に係る超音波接合方法は、加工工程において、芯線露出部W1aを単線化する際の素線W11同士の接合を改善することができる。
【0046】
また、実施形態の第2変形例に係る超音波接合方法は、均し工程において、一対の保持部材11Bの一方が収容空間15側に向けて移動することで、幅方向Yにおいて収容空間15を形成する壁面11a間の壁間距離を可変としている。そして、図10に示す均し工程前の初期の壁間距離をL0、図11に示す均し工程にて一対の保持部材11Bの一方により芯線露出部W1aが押圧された後の壁間距離をL1、図12に示す加工工程にて単線化部W1bが形成されたときの壁間距離をL2とした場合に、L0>L2>L1を満たすように一対の保持部材11Bの一方を移動する。ここで、壁間距離L0は、初期位置P4と、一対の保持部材11Bの他方における壁面11aの位置Aとの間の距離である。壁間距離L1は、均し位置P5と、一対の保持部材11Bの他方における壁面11aの位置Aとの間の距離である。壁間距離L2は、初期位置P4と均し位置P5との間に位置する加工位置P6と、一対の保持部材11Bの他方における壁面11aの位置Aとの間の距離である。
【0047】
実施形態の第2変形例に係る超音波接合方法によれば、L0>L2>L1を満たすように一対の保持部材11Bの一方を移動するので、加圧工程で保持部材11Bにより芯線露出部W1aに印加される荷重に対して、均し工程で保持部材11Bにより芯線露出部W1aに印加される荷重を相対的に低くすることができる。
【0048】
なお、上記実施形態の第2変形例に係る超音波接合方法は、均し工程において、一対の保持部材11Bの一方を移動することで芯線露出部W1aを押圧しているが、これに限定されず、一対の保持部材11Bの他方を移動することで芯線露出部W1aを押圧してもよい。また、均し工程において、一対の保持部材11Bの両方を移動することで芯線露出部W1aを押圧してもよい。
【0049】
上記実施形態及び第1、第2変形例に係る超音波接合方法は、芯線露出部W1aを均すための均し部材10として、一対の保持部材11,11B,22、一対の加工部材12,13,12B,13Bの少なくとも1つで芯線露出部W1aを押圧しているが、これに限定されるものではない。例えば、保持部材や加工部材以外の治具等を用いて芯線露出部W1aを押圧するように構成してもよい。
【0050】
また、上記実施形態及び第1、第2変形例に係る超音波接合方法は、1本の電線Wの芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す均し工程(S1)を有するが、これに限定されるものではない。例えば、上記実施形態の他の変形例として、均し工程(S1)にて、複数本の電線Wを束ねて形成される複数の芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す構成であってもよい。この場合、超音波接合方法は、複数の芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す均し工程(S1)と、均し工程の後に、複数の芯線露出部W1aに対して、複数本の素線W11を固めて単線化部W1bを形成する加工工程(S2)とを備える。均し工程(S1)は、収容空間15に複数の芯線露出部W1aが収容された収容状態において、均し部材10である加工部材12が収容空間15側に移動することにより複数の芯線露出部W1aを押圧して当該芯線露出部W1aにおける複数本の素線W11を均す。これにより、他の変形例に係る超音波接合方法は、加工工程前に均し工程において、加工部材12を収容空間15側に移動させて複数の芯線露出部W1aを押圧することで、複数の芯線露出部W1aで偏った状態の複数の素線W11を幅方向Yに沿って均すことができる。この結果、超音波接合方法は、加工工程において、複数本の芯線露出部W1aを単線化する際の素線W11同士の接合を改善することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 超音波接合装置
10 均し部材
11 保持部材
12,13 加工部材
15 収容空間
W 電線
W1 芯線
W11 素線
W1a 芯線露出部
W1b 単線化部
W2 絶縁被覆

図1
図2
図3
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図5
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図7
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図10
図11
図12