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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114164
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ボルト及びボルト破損検知装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 31/02 20060101AFI20240816BHJP
   B60B 3/16 20060101ALI20240816BHJP
   B60C 23/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F16B31/02 F
B60B3/16 E
B60C23/04 110D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019736
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】390038069
【氏名又は名称】株式会社青山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 和興
(57)【要約】
【課題】簡便な構成によりボルトの破損を検知する。
【解決手段】ボルト10は、外周面に雄ねじ部MS1が形成される軸部11を備え、タイヤ3のホイール4をハブ8に取り付けるために相手側部材に螺合されるボルト10であって、軸部11には、軸部11の延びる第1方向に沿って延びる検知穴13であって、第1方向の一方側に開口部13Aを有し、第1方向の他方側において非貫通とされた検知穴13が形成され、開口部13Aは、筒状をなす接続具30と気密状態を保って接続可能とされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に雄ねじ部が形成される軸部を備え、タイヤのホイールをハブに取り付けるために相手側部材に螺合されるボルトであって、
前記軸部には、前記軸部の延びる第1方向に沿って延びる検知穴であって、前記第1方向の一方側に開口部を有し、前記第1方向の他方側において非貫通とされた検知穴が形成され、
前記開口部は、筒状をなす接続具と気密状態を保って接続可能とされている、ボルト。
【請求項2】
前記軸部の末端に形成される頭部をさらに備え、
前記相手側部材には、内周面に雌ねじ部が形成される締結孔が形成され、
前記軸部は、前記相手側部材に螺合された状態において、前記締結孔の内部に配される第1内側部と、前記第1内側部より前記頭部側であって前記締結孔の外部に配される第1外側部と、を備え、
前記検知穴は、前記第1内側部と前記第1外側部との境界を含んで形成されている、請求項1に記載のボルト。
【請求項3】
前記ハブには、前記軸部が挿通される挿通孔が形成され、
前記軸部は、前記相手側部材に螺合された状態において、前記挿通孔の内部に配される第2内側部と、前記挿通孔の外部に配される第2外側部と、を備え、
前記検知穴は、前記第2内側部と前記第2外側部との境界を含んで形成されている、請求項1または請求項2に記載のボルト。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のボルトと、
前記開口部に気密状態を保って接続される筒状の接続具と、を備え、
前記接続具は、前記検知穴と前記タイヤの内部空間とを連通させている、ボルト破損検知装置。
【請求項5】
前記タイヤの空気圧を監視する空気圧センサをさらに備える、請求項4に記載のボルト破損検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボルト及びボルト破損検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2017-47837号公報(下記特許文献1)に記載のホイール締結状態判定装置が知られている。このホイール締結状態判定装置は、ホイール締結部に設置されるセンサユニットと、センサユニットからの信号を受信可能な情報処理装置と、を備える。センサユニットは、ハブボルトの頭部とホイールナットとの間に介在するスペーサ状部材と、スペーサ状部材の歪を検出する歪センサと、を備える。情報処理装置は、センサユニットの歪センサで検出された歪の情報と、トルクレンチ等により測定された締付トルクの情報と、から、ホイール締結部の締付状態を判定する。このホイール締結状態判定装置によれば、情報処理装置によりホイールナットの締結状態の異常が判定されることで、ホイールナットの緩みやハブボルトの破損等の締結異常を検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-47837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成では、ホイールナットの緩みやハブボルトの破損を検知するために、スペーサ状部材や歪センサを設けて、ホイール締結部に適切に設置する必要がある。また、歪センサの信号を受信し、ホイールナットの締結状態の異常を判定することができる情報処理装置を構成する必要があり、構成が複雑化する場合がある。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、簡便な構成によりボルトの破損を検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のボルトは、外周面に雄ねじ部が形成される軸部を備え、タイヤのホイールをハブに取り付けるために相手側部材に螺合されるボルトであって、前記軸部には、前記軸部の延びる第1方向に沿って延びる検知穴であって、前記第1方向の一方側に開口部を有し、前記第1方向の他方側において非貫通とされた検知穴が形成され、前記開口部は、筒状をなす接続具と気密状態を保って接続可能とされている、ボルトである。
【0007】
また、本開示のボルト破損検知装置は、上記のボルトと、前記開口部に気密状態を保って接続される筒状の接続具と、を備え、前記接続具は、前記検知穴と前記タイヤの内部空間とを連通させている、ボルト破損検知装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、簡便な構成によりボルトの破損を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1にかかるボルト及びボルト破損検知装置を備えたタイヤ取付構造の断面図である。
図2図2は、タイヤの外観について示す概略図である。
図3図3は、実施形態1にかかるボルトの周辺を拡大して示すタイヤ取付構造の断面図である。
図4図4は、ボルトの開口部と接続具との接続について示す断面図である。
図5図5は、実施形態2にかかるボルトの周辺を拡大して示すタイヤ取付構造の断面図である。
図6図6は、実施形態3にかかるボルトの周辺を拡大して示すタイヤ取付構造の断面図である。
図7図7は、実施形態4にかかるボルトの周辺を拡大して示すタイヤ取付構造の断面図である。
図8図8は、実施形態5にかかるボルトの周辺を拡大して示すタイヤ取付構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0011】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図4を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態のボルト10及びボルト破損検知装置1を備えたタイヤ取付構造2の模式的な断面図である。なお、図1においては、実施形態1の説明に必要とされない部材については省略し、主としてボルト破損検知装置1の周辺部分が図示されている。以下の説明では、X軸を、タイヤ3が回転する回転軸に平行な軸として定義する。本実施形態ではX軸の延びる方向(X軸方向)は「第1方向」の一例である。X軸方向における一方側はX1側とされ、X軸方向における他方側はX2側とされている。X1側は、X2側と比較して車両の外側を示すものとする。したがって、タイヤ3のホイール4はX1側からハブ8に固定される。
【0012】
本実施形態のタイヤ取付構造2は、タイヤ3、ブレーキディスク7、ハブ8、ボルト10、ナット20(相手側部材の一例)を備える。タイヤ取付構造2において、ボルト10は、ハブ8の挿通孔8Aに圧入されるとともに、ブレーキディスク7の貫通孔7Aに挿通される。このボルト10がタイヤ3のホイール4の取付孔4Dに挿通され、ボルト10に対してナット20が螺合される。以上により、タイヤ3がハブ8に取り付けられる。日本製や米国製の乗用車などにおいては、ボルトとナットを螺合させることによりタイヤをハブに取り付ける構造が多く用いられており、本実施形態のボルト10は、例えば日本製や米国製の乗用車などに適用することができる。
【0013】
タイヤ3は、ホイール4と、ホイール4に取り付けられるタイヤ本体5と、を備える。ホイール4は、ディスク部4Aと、ディスク部4Aの径方向外側の端部に接続されるリム部4Bと、を備える。ここで、径方向とはタイヤ3の回転軸に直交する方向であり、径方向外側とはタイヤ3の回転軸から遠い側のことである。ディスク部4Aは、中央部に貫通孔4Cを有する円板形状とされ、ハブ8に対してX1側に配置されている。ディスク部4Aの貫通孔4Cの周囲には、ボルト10及びナット20が挿通される取付孔4Dが形成されている。リム部4Bは、タイヤ本体5の内周部に沿って湾曲した円環形状を有し、タイヤ本体5を径方向内側から支持している。リム部4Bにはエアバルブ4Eが設けられている。
【0014】
タイヤ3はタイヤ本体5の内側に内部空間5Aを有する。タイヤ3の内部空間5Aにはエアバルブ4Eを介して空気が充填可能とされている。また、タイヤ3の内部空間5Aには、タイヤ3の空気圧を測定するための空気圧センサ6が配置されている。空気圧センサ6の構成については詳細に図示しないものの、空気圧センサ6は、例えば圧電素子と通信部とを備えて構成されている。タイヤ3の空気圧が変化すると、これに伴って圧電素子に発生する電圧値が変化する。通信部は、この電圧値の変化を無線通信により外部の受信機に送信する。これにより、例えば車両を運転するドライバーがタイヤ3の空気圧の低下を認識することができる。
【0015】
[ボルト]
図3に示すように、ボルト10は、X軸方向に延びる軸部11と、軸部11のX2側の末端に形成される頭部12と、を備える。頭部12は、軸部11よりも径方向外側に拡径する円盤状をなしている。軸部11の外周面におけるX1側の部分には、雄ねじ部MS1が形成されている。
【0016】
[ナット]
ナット20は、本体部21と、フランジ部22と、嵌入部23と、を備える。フランジ部22は、X軸方向について本体部21と嵌入部23との間に配されており、本体部21及び嵌入部23よりも径方向外側に拡径している。ナット20は、X軸方向にナット20を貫通する締結孔24が形成されている。締結孔24の内周面におけるX2側の部分には、雌ねじ部FS1が形成されている。ナット20の雌ねじ部FS1はボルト10の雄ねじ部MS1と螺合するようになっている。ナット20の嵌入部23には、ワッシャー25が挿通され、組み付けられており、ワッシャー25とナット20とはセットで取り扱われる。
【0017】
タイヤ3がハブ8に取り付けられた状態では、ボルト10の頭部12はハブ8の挿通孔8Aの孔縁部にX2側から当接している。軸部11は、ハブ8の挿通孔8A、ブレーキディスク7の貫通孔7A、ホイール4の取付孔4Dに挿通されている。軸部11は、ナット20の締結孔24の内部に配される第1内側部11Aと、第1内側部11Aより頭部12側であって締結孔24の外部に配される第1外側部11Bと、を備える。第1内側部11Aが内部に配されるナット20の嵌入部23は、ホイール4の取付孔4Dの内部に配されている。フランジ部22はX1側からワッシャー25を取付孔4Dの孔縁部に押し当てている。
【0018】
[検知穴]
ボルト10の軸部11には、X軸方向に延びる検知穴13が形成されている。検知穴13は、X1側に開口部13Aを有し、X2側において非貫通とされている。本実施形態では、検知穴13は軸部11の第1内側部11Aと第1外側部11Bとの境界を含んで第1内側部11A及び第1外側部11Bに形成されている。
【0019】
[ボルト破損検知装置、接続具]
図1に示すように、本実施形態のボルト破損検知装置1は、ボルト10と、ボルト10の検知穴13とタイヤ3の内部空間5Aとを連通させる筒状の接続具30と、を備える。接続具30はボルト10の開口部13Aに気密状態を保って接続されている。図4に示すように、接続具30は、例えば、ホースニップル31とホース32とを含んで構成することができる。ホースニップル31は、X軸方向に貫通する筒状をなしている。ホースニップル31は、開口部13Aに接続されるボルト接続部31Aと、開口部13Aの孔縁部に当接する当接部31Bと、ホース32の一端に挿入されるホース挿入部31Cと、を備える。当接部31Bは、ボルト接続部31Aとホース挿入部31Cとの間に配されている。ボルト接続部31Aの外周面には雄ねじが形成され、開口部13Aの内周面に形成される雌ねじと螺合するようになっている。図1に示すように、ホース32の他端にはエアバルブ4Eが気密状態を保って接続されている。
【0020】
図面においては、ホース32を収容する構成等は特に示していないが、例えば、ホイール4の外面に溝を形成し、この溝内にホース32を収容してもよい。また、ホース32はホイール4を外側から覆うホイールカバーに覆われていてもよい。
【0021】
ボルト破損検知装置1は、ホイール4を取り付けるための複数のボルト10の全部に対して設けられてもよい。例えば、図2に示すように、ホイール4は5つのボルト10によりハブ8に取り付けられるようになっており、5つのボルト10の検知穴13とエアバルブ4Eとを接続具30により接続してもよい。また、ボルト破損検知装置1は、ホイール4を取り付けるための複数のボルト10のうちの一部のボルト10に対して設けられてもよい。
【0022】
ボルト10に対するナット20の締め付けが十分でない場合、または過度である場合、車両の走行等によりボルト10に負荷がかかり、ボルト10が破損することがある。特にボルト10の軸部11には応力が集中しやすく、亀裂が入りやすい。本実施形態によれば、軸部11に亀裂が入り、検知穴13に達すると、検知穴13が外部と連通する。検知穴13は接続具30を介してタイヤ3の内部空間5Aと連通しているから、タイヤ3の内部空間5Aに充填された空気が軸部11の亀裂を通じて外部へと漏れ出す。よって、タイヤ3の外観の変化から、ボルト10の破損を検知することができる。
【0023】
本実施形態のボルト破損検知装置1は、ボルト10と接続具30に加えて、空気圧センサ6をさらに備えるから、空気圧センサ6によりタイヤ3の空気圧の低下を検出し、ボルト10の破損を検知することもできる。
【0024】
また、ボルト10の軸部11においては、軸部11に螺合されたナット20の締結孔24の孔縁部における頭部12側の端縁と軸部11との接触部分に特に応力が集中しやすいことが知られている。本実施形態の検知穴13は、ナット20の締結孔24の内側に配される第1内側部11Aと、締結孔24の外側に配される第1外側部11Bとの境界を含んで形成されている。このため、上記接触部分に応力が集中して軸部11に亀裂が入った場合、検知穴13と外部とが連通しやすくなっている。したがって、ボルト10の破損をより一層検知しやすくなっている。
【0025】
本実施形態によれば、従来のタイヤ取付構造2に対して、検知穴13を有するボルト10と接続具30とを適用することで、簡便にボルト破損検知装置1を構成することができる。
【0026】
[実施形態1の作用効果]
実施形態1によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態1にかかるボルト10は、外周面に雄ねじ部MS1が形成される軸部11を備え、タイヤ3のホイール4をハブ8に取り付けるために相手側部材(ナット20)に螺合されるボルト10であって、軸部11には、軸部11の延びる第1方向(X軸方向)に沿って延びる検知穴13であって、第1方向の一方側(X1側)に開口部13Aを有し、第1方向の他方側(X2側)において非貫通とされた検知穴13が形成され、開口部13Aは、筒状をなす接続具30と気密状態を保って接続可能とされている。
【0027】
このような構成によると、接続具30を介して検知穴13の開口部13Aをタイヤ3の内部空間5Aと連通させることができる。検知穴13がタイヤ3の内部空間5Aと連通した状態において、ボルト10が破損し、検知穴13が外部と連通されると、タイヤ3の内部空間5Aから空気が外部へと漏れ出す。したがって、タイヤ3の外観や空気圧の変化等によって、ボルト10の破損を検知することができる。
【0028】
実施形態1にかかるボルト10は、軸部11の末端に形成される頭部12をさらに備え、相手側部材には、内周面に雌ねじ部FS1が形成される締結孔24が形成され、軸部11は、相手側部材に螺合された状態において、締結孔24の内部に配される第1内側部11Aと、第1内側部11Aより頭部12側であって締結孔24の外部に配される第1外側部11Bと、を備え、検知穴13は、第1内側部11Aと第1外側部11Bとの境界を含んで形成されている。
【0029】
ハブ8にホイール4を取り付けるためのボルト10では、軸部11に螺合された相手側部材の締結孔24の孔縁部における頭部12側の端縁と軸部11との接触部分に応力が集中しやすい。このため、締結孔24の内部に配される第1内側部11Aと締結孔24の外部に配される第1外側部11Bとの境界近傍において軸部11に亀裂が入り、ボルト10が破損する場合が多い。よって、上記の構成によると、検知穴13は、第1内側部11Aと第1外側部11Bとの境界を含んで形成されているから、当該境界近傍において軸部11に亀裂が入った場合に、検知穴13が外部と連通されることで、ボルト10の破損をより一層検知しやすくなる。
【0030】
実施形態1にかかるボルト破損検知装置1は、ボルト10と、開口部13Aに気密状態を保って接続される筒状の接続具30と、を備え、接続具30は、検知穴13とタイヤ3の内部空間5Aとを連通させている。
【0031】
このような構成によると、接続具30を介して検知穴13とタイヤ3の内部空間5Aとが連通するから、ボルト10が破損した場合にタイヤ3の内部空間5Aから空気が外部へと漏れ出すことにより、ボルト10の破損を検知することができる。
【0032】
実施形態1にかかるボルト破損検知装置1は、タイヤ3の空気圧を監視する空気圧センサ6をさらに備える。
【0033】
このような構成によると、空気圧センサ6によりタイヤ3の空気圧の低下を検知することにより、ボルト10の破損を検知しやすくなる。
【0034】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、図5を参照しつつ説明する。実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同じ符号を付し、説明を省略する場合がある。また、実施形態1と同様の作用効果については、説明を省略する。図5に示すように、実施形態2にかかるボルト110は、X軸方向に延びる軸部111と、軸部111のX2側の末端に形成される頭部12と、を備える。軸部111には、X軸方向に延びる検知穴113が形成されている。検知穴113は、X2側に開口部113Aを有し、X1側において非貫通とされている。
【0035】
ボルト110とナット20とが螺合している状態において、軸部111は、ハブ8の挿通孔8Aの内部に配される第2内側部111Aと、挿通孔8Aの外部に配される第2外側部111Bと、を備える。検知穴113は軸部111の第2内側部111Aと第2外側部111Bとの境界を含んで第2内側部111A及び第2外側部111Bに形成されている。軸部111におけるハブ8の挿通孔8Aの孔縁部との接触部分に応力が集中し、亀裂が入った場合、上記の構成によれば、検知穴113と外部とが連通しやすくなっている。よって、ボルト110の破損をより一層検知しやすくなっている。
【0036】
[実施形態2の作用効果]
実施形態2によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態2にかかるボルト110において、ハブ8には、軸部111が挿通される挿通孔8Aが形成され、軸部111は、相手側部材(ナット20)に螺合された状態において、挿通孔8Aの内部に配される第2内側部111Aと、挿通孔8Aの外部に配される第2外側部111Bと、を備え、検知穴113は、第2内側部111Aと第2外側部111Bとの境界を含んで形成されている。
【0037】
ハブ8にホイール4を取り付けるためのボルト110では、ハブ8の挿通孔8Aの孔縁部と軸部111との接触部分に応力が集中する場合もありうる。このため、挿通孔8Aの内部に配される第2内側部111Aと挿通孔8Aの外部に配される第2外側部111Bとの境界の近傍において軸部111に亀裂が入り、ボルト110が破損する場合もありうる。よって、上記の構成によると、ボルト110の破損をより一層検知しやすくなる。
【0038】
<実施形態3>
本開示の実施形態3について、図6を参照しつつ説明する。実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同じ符号を付し、説明を省略する場合がある。また、実施形態1と同様の作用効果については、説明を省略する。図6に示すように、実施形態3にかかるボルト210は、ハブ208(相手側部材の一例)に螺合される態様とされている。すなわち、実施形態1のナット20は実施形態3では設けられていない。欧州製の乗用車などにおいては、ボルトをハブの締結孔に螺合することによりタイヤをハブに取り付ける構造が多く用いられており、本実施形態のボルト210は、例えば欧州製の乗用車などに適用することができる。
【0039】
ボルト210は、X軸方向に延びる軸部211と、軸部211のX1側の末端に形成される頭部212と、を備える。軸部211の外周面におけるX2側の部分には、雄ねじ部MS2が形成されている。軸部211には、X軸方向に延びる検知穴213が形成されている。検知穴213は、X1側に開口部213Aを有し、X2側において非貫通とされている。ハブ208には、内周面に雌ねじ部FS2が形成される締結孔208Aが設けられている。ハブ208の雌ねじ部FS2は、軸部211の雄ねじ部MS2と螺合するようになっている。ボルト210とハブ208とが螺合された状態では、頭部212は、ホイール4の取付孔4Dの孔縁部にX1側から当接している。
【0040】
<実施形態4>
本開示の実施形態4について、図7を参照しつつ説明する。実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同じ符号を付し、説明を省略する場合がある。また、実施形態1と同様の作用効果については、説明を省略する。図7に示すように、実施形態4にかかるボルト310は、トラックの後輪において2つのタイヤのホイール304をハブ8に取り付けるために用いられる。実施形態4では、ISO方式のボルト締結にかかるボルト310について説明する。
【0041】
実施形態4のタイヤについて詳細に図示しないものの、このタイヤにおいては、実施形態1のブレーキディスク7の代わりにブレーキドラム307が設けられている。ボルト310は、ブレーキドラム307の貫通孔307A及びハブ8の挿通孔8Aに挿通される。このボルト310が2つのホイール304の取付孔304Dに挿通され、ボルト310に対してナット320が螺合される。以上により、ホイール304がハブ8に取り付けられる。
【0042】
ボルト310は、実施形態1と同様に、軸部311、頭部312、検知穴313、開口部313A、雄ねじ部MS3などを有する。ナット320は、締結孔320Aと、締結孔320Aの内周面に形成される雌ねじ部FS3と、を有する。ボルト310の雄ねじ部MS3がナット320の雌ねじ部FS3に螺合された状態で、頭部312はブレーキドラム307の貫通孔307Aの孔縁部に当接している。ナット320は、X1側に配されるホイール304の取付孔304Dの孔縁部に対して、X1側からワッシャー325を押し当てている。
【0043】
<実施形態5>
本開示の実施形態5について、図8を参照しつつ説明する。実施形態1,4と同様の構成については、実施形態1,4と同じ符号を付し、説明を省略する場合がある。また、実施形態1と同様の作用効果については、説明を省略する。図8に示すように、実施形態5にかかるボルト410は、トラックの後輪において2つのタイヤのホイール304をハブ408に取り付けるために用いられる。実施形態5では、JIS方式のボルト締結にかかるボルト410について説明する。
【0044】
ボルト410は、2つの軸部411,414と、頭部412と、2つの検知穴413,415と、を有する。軸部411(以下、第1軸部411とする)は、頭部412からX軸方向におけるX1側に延びている。軸部414(以下、第2軸部414とする)は、頭部412からX軸方向におけるX2側に延びている。第1軸部411の外周面には雄ねじ部MS4が形成されている。第1軸部411には検知穴413が形成されている。検知穴413は、X1側に開口する開口部413Aを有し、X2側において非貫通とされている。第2軸部414の外周面には雄ねじ部MS5が形成されている。第2軸部414には検知穴415が形成されている。検知穴415は、X2側に開口する開口部415Aを有し、X1側において非貫通とされている。
【0045】
ハブ408の挿通孔408Aの内壁には、段差状をなして当接部408Bが形成されている。当接部408BよりX1側において挿通孔408Aの径方向の孔径が大きくなっている。実施形態5では、第2軸部414に螺合するナット420(相手側部材の一例)が設けられている。ナット420は、締結孔420Aと、締結孔420Aの内周面に形成される雌ねじ部FS5と、を有する。
【0046】
挿通孔408A及びブレーキドラム307の貫通孔307Aに第2軸部414が挿通され、当接部408Bに頭部412が押し当てられる。この状態で、第2軸部414の雄ねじ部MS5とナット420の雌ねじ部FS5とを螺合させる。以上により、ハブ408及びブレーキドラム307に対してボルト410を固定することができる。
【0047】
実施形態5では、ホイール304をハブ408に取り付けるために、インナーナット421(相手側部材の一例)とアウターナット422とが設けられている。インナーナット421は、締結孔421Aと、締結孔421Aの内周面に形成される雌ねじ部FS4と、を備える。また、インナーナット421の外周面には雄ねじが形成されており、アウターナット422に設けられる雌ねじと螺合できるようになっている。
【0048】
2つのホイール304のうちX2側に配されるホイール304の取付孔304Dに第1軸部411が挿通され、第1軸部411の雄ねじ部MS4とインナーナット421の雌ねじ部FS4とが螺合される。インナーナット421のX2側の端部がX2側のホイール304の取付孔304Dの孔縁部に当接することで、X2側のホイール304がハブ408に固定される。次に、インナーナット421が2つのホイール304のうちX1側に配されるホイール304の取付孔304Dに挿通され、インナーナット421にアウターナット422が螺合される。アウターナット422のX2側の端部がX1側のホイール304の取付孔304Dの孔縁部に当接することで、X1側のホイール304がハブ408に固定される。以上により、2つのホイール304がハブ408に固定される。
【0049】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態1では、接続具30としてホースニップル31とホース32とを含む構成を例示したが、接続具はこれに限られない。
(2)上記実施形態1~5では、相手側部材としてナット20、ハブ8、ナット320、ナット420、インナーナット421を例示したが、相手側部材の構成については上記の構成に限定されない。
(3)上記実施形態1では、ボルト破損検知装置1は空気圧センサ6を備えていたが、本開示のボルト破損検知装置は空気圧センサを含まなくてもよい。例えば、タイヤの目視や、カメラによる撮像画像の画像処理等によって、タイヤの空気圧の変化を検知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1:ボルト破損検知装置 2:タイヤ取付構造 3:タイヤ 4,304:ホイール 4A:ディスク部 4B:リム部 4C:貫通孔 4D,304D:取付孔 4E:エアバルブ 5:タイヤ本体 5A:内部空間 6:空気圧センサ 7:ブレーキディスク 7A:貫通孔 8,208,408:ハブ 8A,408A:挿通孔 10,110,210,310,410:ボルト 11,111,211,311,411,414:軸部 11A:第1内側部 11B:第1外側部 12,212,312,412:頭部 13,113,213,313,413,415:検知穴 13A,113A,213A,313A,413A,415A:開口部 20:ナット 21:本体部 22:フランジ部 23:嵌入部 24:締結孔 25,325:ワッシャー 30:接続具 31:ホースニップル 31A:ボルト接続部 31B:当接部 31C:ホース挿入部 32:ホース111A:第2内側部 111B:第2外側部 208A:締結孔 307:ブレーキドラム 307A:貫通孔 320:ナット 320A:締結孔 408B:当接部 420:ナット 420A:締結孔 421:インナーナット 421A:締結孔 422:アウターナット FS1,FS2,FS3,FS4,FS5:雌ねじ部 MS1,MS2,MS3,MS4,MS5:雄ねじ部
図1
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図8