(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114166
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】車両用休息評価装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240816BHJP
A61B 5/18 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G08G1/16 F
A61B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019739
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 覚
(72)【発明者】
【氏名】西尾 鐘平
【テーマコード(参考)】
4C038
5H181
【Fターム(参考)】
4C038PP01
4C038PQ03
4C038PS00
4C038PS07
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF40
5H181LL08
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】車両内での休息の質を向上させる。
【解決手段】車両用休息評価装置は、コンピュータを備える。コンピュータは、車両内で休息するユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、生体情報に基づいてユーザの自律神経のバランス状態を評価するための評価値を算出する評価値算出部と、評価値算出部により算出された評価値を、他のタイミングで算出された評価値と比較して通知する通知制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを備え、
前記コンピュータは、
車両内で休息するユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報に基づいて前記ユーザの自律神経のバランス状態を評価するための評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部により算出された評価値を、他のタイミングで算出された評価値と比較して通知する通知制御部と、
を備える車両用休息評価装置。
【請求項2】
前記通知制御部は、
1回の休息における開始所定期間及び終了所定期間の評価値を比較して通知する
請求項1に記載の車両用休息評価装置。
【請求項3】
前記通知制御部は、
今回の休息における評価値と、過去の休息における評価値とを比較して通知する
請求項1に記載の車両用休息評価装置。
【請求項4】
前記通知制御部は、
今回の休息における評価値と、過去の休息における上位の評価値とを比較して通知する
請求項1に記載の車両用休息評価装置。
【請求項5】
前記通知制御部は、
比較結果に基づいたアドバイスを通知する
請求項4に記載の車両用休息評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用休息評価装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両においては、車両内のユーザの生体特性情報を取得し、取得した生体特性情報の内容に基づいてユーザの精神状態を特定し、特定された精神状態に基づいて香り発生動作、空調動作、音出力動作を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば運転者は、長時間に亘って運転するときの合間や、電気自動車又はハイブリッド自動車のバッテリを充電する間に、車内で休息をとることがある。そして、車内での休息は短時間であることが多いため、短時間で質のよい休息をとれるようにすることが望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、車両内での休息の質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る車両用休息評価装置は、コンピュータを備え、前記コンピュータは、車両内で休息するユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、前記生体情報に基づいて前記ユーザの自律神経のバランス状態を評価するための評価値を算出する評価値算出部と、前記評価値算出部により算出された前記評価値を、他のタイミングで算出された評価値と比較して通知する通知制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両内での休息の質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】車両用休息評価装置の構成を示した図である。
【
図3】交感神経及び副交感神経の関係を説明する図である。
【
図4】ユーザの休息の質を評価するための評価項目を説明する図である。
【
図5】評価値を通知するためのレーダーチャートを示した図である。
【
図9】休息評価処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.車両の概要構成>
図1は、車両1の構成概要を示した図である。
図1に示すように、車両1は、モータ2、インバータ3、バッテリ4及び充電プラグ5を備えるプラグイン式の電気自動車又はハイブリッド自動車である。
【0010】
モータ2は、車両1を走行させる動力源であり、例えば三相交流モータである。モータ2は、バッテリ4からインバータ3を介して供給される電力によって駆動力を発生させ、その駆動力を駆動輪に伝達することで車両1を走行させる。なお、車両1がハイブリッド自動車である場合、動力源としてエンジンも備えることとなる。
【0011】
また、モータ2は、回生運転を行うことによって電気(電力)を生成する。モータ2の回生運転によって生成された電気は、インバータ3を介してバッテリ4に供給される。
【0012】
インバータ3は、バッテリ4から供給される直流電流を三相の交流電流に変換しモータ2に供給する。また、モータ2が回生運転を行う場合、インバータ3は、モータ2から供給される交流電流を直流電流に変換してバッテリ4に供給する。
【0013】
バッテリ4は、いわゆる高電圧二次電池であり、モータ2に供給するための電気を蓄電する。バッテリ4は、モータ2による回生運転によって充電が可能である。また、バッテリ4は、充電プラグ5に挿入された充電ガン等を介して外部装置から供給される電気によっても充電が可能である。
【0014】
また、車両1は、ユーザ(例えば運転者)の休息の評価値を比較して通知するための車両用休息評価装置10を備える。以下では、主に、車両用休息評価装置10について説明する。
【0015】
<2.車両用休息評価装置の構成>
図2は、車両用休息評価装置10の構成を示した図である。
図2に示すように、車両用休息評価装置10は、制御部11、ディスプレイ12、スピーカ13、操作部14、車内照明15、シート駆動部16、空調装置17、車内カメラ18及び記憶部19を備える。
【0016】
制御部11は、ECU(Electronic Control Unit)等のコンピュータによって構成され、車両用休息評価装置10を統括制御する。制御部11は、本実施形態において、生体情報取得部21、評価値算出部22及び通知制御部23として機能する。
生体情報取得部21は、車両1内で休息するユーザの生体情報を取得する。
評価値算出部22は、生体情報に基づいてユーザの自律神経のバランス状態を評価するための評価値を算出する。
通知制御部23は、評価値算出部22により算出された評価値を、他のタイミングで算出された評価値と比較して通知する。
なお、生体情報取得部21、評価値算出部22及び通知制御部23について、詳しくは後述する。
【0017】
ディスプレイ12は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、制御部11の制御に基づいて、様々な画像(画面)を表示する。ディスプレイ12は、ナビゲーション装置等に設けられたセンターディスプレイであってもよく、運転席前方に配置されるマルチインフォメーションディスプレイであってもよい。
【0018】
スピーカ13は、制御部11の制御に基づいて、種々の音(音楽や音声等)を出力する。
【0019】
操作部14は、ボタン、ダイヤル、タッチパネル等でなり、ユーザの操作を受け付ける。操作部14は、ユーザの操作を受け付けると、その操作に応じた信号を制御部11に出力する。
【0020】
車内照明15は、例えば車両1内(車室)に設けられたLED(Light Emitting Diode)であり、調光及び調色が可能である。車内照明15は、制御部11の制御に基づいた色及び明るさの光を車両1内に照射する。
【0021】
シート駆動部16は、制御部11の制御に基づいて、例えば運転席のシートを移動させる。具体的には、シート駆動部16は、背もたれを倒したり立たせたりする。
【0022】
空調装置17は、制御部11の制御に基づいて、車両1内の温度を調整するエアーコンディショナーである。
【0023】
車内カメラ18は、主に運転席に搭乗した運転者の顔や上半身を撮像するカメラである。車内カメラ18により撮像された画像は制御部11に出力される。
【0024】
記憶部19は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、様々な情報(データ)を記憶する。また、記憶部19には、制御部11が実行するプログラムが記憶されるようにしてもよい。
【0025】
<3.休息評価処理>
以下では、車両用休息評価装置10により行われる休息評価処理について説明する。ここでは、ユーザとしての運転者に対する休息評価処理を例に挙げて説明するが、ユーザは運転者以外の搭乗者であってもよい。
【0026】
ここで、車両1は、外部装置から電力供給を受けてバッテリ4を充電する際に、例えば30分~60分程度の充電時間を要することがある。自宅でバッテリ4を充電する際には充電時間を気にする必要はないが、外出先でバッテリ4を充電する際には充電時間中にユーザは運転席に座って休息をとることがある。
【0027】
また、ユーザは、バッテリ4の充電時間以外であっても、長時間の運転で疲れたときや眠気を感じたときに一定時間に亘って運転席に座って休息をとることがある。
【0028】
このようにある程度決められた短い時間でユーザが休息をとる場合に、車両用休息評価装置10は、休息評価処理を実行して休息の質を評価する。
【0029】
具体的には、制御部11は、所定の開始条件が成立すると休息評価処理を開始する。開始条件は、例えば、充電プラグ5に充電ガンが挿入され外部装置からの電力供給が開始された後、ユーザにより操作部14を介して休息評価処理を開始するための操作を受け付けたことである。
但し、開始条件は、これに限られない。開始条件は、車両1が一定期間に亘って停車され、かつ、ユーザが休息を開始することを判定することができるのであれば、上記条件以外であってもよい。
【0030】
休息評価処理を開始すると、制御部11は、休息時間及び各種機能の設定を行う。ここでの各種機能とは、例えば音の出力、光の照射、画像の表示である。また、各種機能の設定とは、例えば音の出力、光の照射及び画像の表示のオンオフの切り替えや、音の音量、光の調光及び調色、画像の種類の決定等である。
【0031】
具体的には、制御部11は、休息時間及び各種機能を設定させるための画面をディスプレイ12に表示し、操作部14を介して休息時間及び各種機能の設定をユーザに入力させる。
なお、制御部11は、バッテリ4の充電期間中である場合には、バッテリ4のSOCや供給電力に基づいて充電が終了するまでの時間を算出し、算出した時間を休息時間に設定するようにしてもよい。
また、制御部11は、各種機能の設定について、予めユーザに設定されていた内容を記憶部19から読み出すようにしてもよい。
【0032】
開始条件が成立し、休息時間及び各種機能の設定が行われると、制御部11は、ユーザに休息をとらすためのリラックス設定を行う。
リラックス設定では、制御部11は、運転席のシートを倒すようシート駆動部16を駆動させる。
また、制御部11は、開始時に設定された画像、又は、予め設定された画像をディスプレイ12に表示する。
また、制御部11は、開始時に設定された音、又は、予め設定された音をスピーカ13から出力させる。
また、制御部11は、開始時に設定された調光及び調色、又は、予め設定された調光及び調色に基づく光を車内照明15から照射させる。
また、制御部11は、詳しくは後述するユーザの生体情報(例えばユーザの体温や血管の収縮度等)に基づいて、ユーザが快適と感じる温度となるように空調装置17を制御する。
【0033】
制御部11は、休息評価処理が行われている間、ユーザの休息の質を向上させる(ユーザがよりリラックスする)ようにリラックス設定を適宜更新する。
【0034】
生体情報取得部21は、休息評価処理が行われている間、車内カメラ18によって撮像された画像を取得する。車内カメラ18によって撮像される画像は、静止画像でもよいし動画像でもよい。車内カメラ18によって撮像される画像が静止画像である場合、生体情報取得部21は、所定間隔ごとに車内カメラ18から静止画像を取得する。また、車内カメラ18によって撮像される画像が動画像である場合、動画像を構成するフレーム画像を車内カメラ18から随時取得する。
【0035】
車内カメラ18で撮像される画像には、ユーザの顔及び上半身が写っている。そして、生体情報取得部21は、取得した画像に対して画像処理を施すことによりユーザの生体情報を取得する。なお、生体情報は画像を取得する度に算出するようにしてもよく、また、一定数の画像を取得する度に算出するようにしてもよい。
【0036】
図3は、交感神経及び副交感神経の関係を説明する図である。
図4は、ユーザの休息の質を評価するための評価項目を説明する図である。
【0037】
ここで、自律神経は交感神経及び副交感神経によって構成されている。そして、人は、副交感神経が優位であればあるほどリラックスした状態となり、交感神経が優位であればあるほど緊張、興奮した状態となる。
図3に示すように、血管は、交感神経が優位であるほど収縮し、副交感神経が優位であるほど弛緩する。血圧は、交感神経が優位であるほど上昇し、副交感神経が優位であるほど下降する。心拍は、交感神経が優位であるほど速くなり、副交感神経が優位であるほど遅くなる。呼吸は、交感神経が優位であるほど速くなり、副交感神経が優位であるほど遅くなる。筋肉は、交感神経が優位であるほど緊張し、副交感神経が優位であるほど弛緩する。腸(消化)は、交感神経が優位であるほど蠕動運動が抑制され、副交感神経が優位であるほど蠕動運動が促進される。発汗は、交感神経が優位であるほど促進され、副交感神経が優位であるほど抑制される。
【0038】
従って、車両用休息評価装置10では、これら血管、血圧、心拍、呼吸、筋肉、体温、腸(消化)及び発汗に関する情報を生体情報として取得することで、ユーザのリラックス具合い(副交感神経の優位具合い)を把握することが可能となる。
【0039】
本実施形態においては、生体情報取得部21は、車内カメラ18によって撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、血管、血圧、心拍、呼吸、筋肉、体温に関する生体情報を取得する。
【0040】
血管が弛緩(拡張)すると血流量が増して皮膚が赤みを帯びて見える。そこで、
図4に示すように、生体情報取得部21は、車内カメラ18によって撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、顔の色(頬おでこの血色)を検出する。そして、生体情報取得部21は、検出した顔の色と、予め決められた比較対象の色とを比較することで、血管に関する情報として血管の弛緩度(皮膚の赤みの帯び具合い)を算出する。
なお、比較対象は、通常時(緊張もリラックスもしていないとき)に取得されたユーザの顔の色であってもよく、また、休息評価処理の開始時に取得された顔の色であってもよい。
【0041】
また、血圧が上昇すると瞳孔径が大きくなり、血圧が下降すると瞳孔径が小さくなる。そこで、生体情報取得部21は、車内カメラ18によって撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、瞳孔径を検出する。そして、生体情報取得部21は、検出した瞳孔径と、予め決められた比較対象の瞳孔径とを比較することで、血圧に関する情報として血管の下降度(瞳孔径の縮小具合い)を算出する。
なお、比較対象は、通常時(緊張もリラックスもしていないとき)に取得されたユーザの瞳孔径であってもよく、また、休息評価処理の開始時に取得された瞳孔径であってもよい。
【0042】
また、肌の色の時間変化に基づいて心拍数を算出する可能であることが知られている。そこで、生体情報取得部21は、車内カメラ18によって撮像された画像に対して画像処理を施すことにより肌の色(静脈の色)を検出する。そして、生体情報取得部21は、検出した肌の色の時間変化に基づいて、心拍に関する情報として心拍数を算出する。
また、生体情報取得部21は、検出した肌の色の時間変化に基づいて高周波変動成分(HF)及び低周波成分(LF)をそれぞれ算出した後に、心拍に関する情報としてLF/HF比を算出する。
【0043】
肩や胸の時間変化に基づいて呼吸数を算出することが可能であることが知られている。そこで、生体情報取得部21は、車内カメラ18によって撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、肩や胸の動きを検出する。そして、生体情報取得部21は、検出した肩や胸の動きの時間変化に基づいて、呼吸に関する情報として呼吸数を算出する。
【0044】
また、表情筋や眉の強ばり具合いによって筋肉の弛緩度合いを検出可能であることが知られている。そこで、生体情報取得部21は、車内カメラ18によって撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、顔の特徴点(口の端、眉毛の端等)の位置を検出する。そして、生体情報取得部21は、検出した顔の特徴点と、予め決められた比較対象の顔の特徴点との位置を比較することで、筋肉に関する情報として筋肉の弛緩度を算出する。
なお、比較対象は、通常時(緊張もリラックスもしていないとき)に取得されたユーザの顔の特徴点の位置であってもよく、また、休息評価処理の開始時に取得された顔の特徴点の位置であってもよい。
【0045】
また、生体情報取得部21は、車内カメラ18が赤外線による画像を取得可能な場合(サーモカメラを含む場合)、車内カメラ18によって撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、体温に関する情報としてユーザの体温を検出する。
なお、画像処理によりこれらの生体情報を検出又は算出する方法は、既知の方法を用いることが可能であるため、その説明は省略する。
【0046】
また、生体情報は、上記した8個の項目に限らず、自律神経のバランス状態を把握することが可能なものであれば他の情報であってもよい。また、生体情報取得部21は、上記した6個の生体情報の1個以上を取得するようにすればよく、その数は問わない。さらに、生体情報取得部21は、上記した6個以外の生体情報を取得するようにしてもよい。
【0047】
休息時間が終了すると、評価値算出部22は、それまでに取得された生体情報に基づいて、複数の評価項目について、ユーザの自律神経のバランス状態を把握するための評価値を算出する。そのため、評価値は、ユーザの休息の質を評価するための値とも言える。
【0048】
図4に示すように、ユーザの休息の質を評価するための評価項目は、弛緩度、心拍数変動、心拍数周波数(LF/HF比)、呼吸数、筋肉動作量、体温低下度である。
弛緩度は、ユーザの血管がどのくらい弛緩しているかを表している。
心拍数変動は、心拍数がどのくらい変動しているかを表している。
心拍数周波数は、高周波変動成分(HF成分)及び低周波成分(LF成分)の比を表している。
呼吸数は、ユーザの呼吸数を表している。
筋肉動作量は、ユーザの筋肉がどのくらい動いているかを表している。
温度低下度は、ユーザの体温がどのくらい下がっているかを表している。
なお、評価項目は、ユーザの自律神経のバランス状態を把握することが可能であれば、これら以外の項目であってもよい。また、評価値算出部22は、これらの項目の評価値を少なくとも1個以上を算出すればよく、その数は問わない。
【0049】
評価値算出部22は、評価項目ごとに、生体情報取得部21により取得された生体情報の1又は複数に予め決められた係数を掛けることにより評価値を算出する。これらの評価項目の評価値は、副交感神経が優位なほど、すなわち、リラックス具合いが高いほど値が高くなるように算出される。また、各評価値は、例えば今回の休息で取得された生体情報と過去の休息において取得された生体情報との比を用いて算出することで、個人ごとの相対値で算出されるようにしてもよい。
【0050】
例えば、評価値算出部22は、弛緩度の評価値を算出する場合、生体情報取得部21により取得された血管の弛緩度、及び、血圧の下降度に所定の係数をそれぞれ掛けて加算することで、弛緩度の評価値を算出する。
【0051】
また、評価値算出部22は、心拍数変動の評価値を算出する場合、生体情報取得部21により取得された心拍数の所定期間の変動に所定の係数を掛けることで、心拍数変動の評価値を算出する。
【0052】
また、評価値算出部22は、心拍周波数の評価値を算出する場合、生体情報取得部21により取得されたLF/HF比に所定の係数を掛けることで、心拍数周波数の評価値を算出する。
【0053】
また、評価値算出部22は、呼吸数の評価値を算出する場合、生体情報取得部21により取得された呼吸数に所定の係数を掛けることで、呼吸数の評価値を算出する。
【0054】
また、評価値算出部22は、筋肉動作量の評価値を算出する場合、生体情報取得部21により取得された筋肉の弛緩度に所定の係数を掛けることで、筋肉動作量の評価値を算出する。
【0055】
また、評価値算出部22は、体温低下の評価値を算出する場合、生体情報取得部21により取得された体温の所定期間の低下度合いに所定の係数をかけることで、体温低下の評価値を算出する。
【0056】
図5は、評価値を通知するためのレーダーチャートを示した図である。通知制御部23は、休息時間が経過すると、評価値算出部22により算出された6個の評価項目の評価値を
図5に示す6角形のレーダーチャートにプロットしてディスプレイ12に表示することで、休息時間における各評価項目の評価値、すなわち、休息の質をユーザに通知する。レーダーチャートでは、6角形の面積が大きいほど、質のよい休息がとれたこと(よりリラックスできたこと)を意味している。
【0057】
ここで、通知制御部23は、評価値算出部22により算出された評価値を、他のタイミングで算出された評価値と比較して通知することで、今回の休息の質をユーザにわかりやすく確認させることが可能となっている。
【0058】
図6から
図8は、評価値の通知の例を示した図である。なお、通知制御部23は、
図6から
図8に示すレーダーチャートのうち、1又は複数をディスプレイ12に表示する。
【0059】
通知制御部23は、例えば
図6に示すように、休息時間における開始5分などの開始所定期間における評価値の平均値と、休息時間における終了5分などの終了所定期間における評価値の平均値とを同一のレーダーチャート上にプロットしてディスプレイ12に表示する。
なお、
図6では、開始5分の評価値の平均値を破線で示し、終了5分の評価値を実線で示している。
これにより、今回の休息において開始直後から終了直前までにかけてどの程度リラックスできたかを通知することができる。
【0060】
また、
図7に示すように、通知制御部23は、今回の休息における評価値の平均値と、過去の休息における評価値の平均値とを同一のレーダーチャート上にプロットしてディスプレイ12に表示する。
なお、今回の休息における評価値の平均値とは、今回の休息評価処理において得られた評価値を平均化したものである。また、過去の休息における評価値の平均値とは、過去の全ての休息(休息評価処理)において得られた評価値の平均値である。
図7では、今回の休息における評価値の平均値を実線で示し、過去の休息における評価値の平均値を破線で示している。
これにより、今回の休息が過去の休息と比べて、質のよい休息がとれたかを評価項目ごとに通知することができる。
【0061】
また、
図8に示すように、通知制御部23は、今回の休息における評価値の平均値と、過去の休息において評価値の平均値が高かった上位5回(以下、過去上位5回と表記する)の平均値とを同一のレーダーチャート上にプロットしてディスプレイ12に表示する。
図8では、今回の休息における評価値の平均値を実線で示し、過去上位5回の評価値の平均値を破線で示している。
これにより、今回の休息において過去上位5回の休息と比べてどの程度、リラックスできたか、すなわち、どの程度の休息の質であったかを提示することができる。
【0062】
また、通知制御部23は、比較結果に基づいたアドバイスを通知する。例えば、通知制御部23は、過去上位5回の評価値の平均値に対して評価値が一定割合以下であった評価項目を向上させるためのアドバイスを表示する。
例えば、
図8に示すように、呼吸数の評価値が低かった場合には、「呼吸を落ち着けるとリラックスできます」等のアドバイスを表示する。
【0063】
図9は、休息評価処理の流れを示したフローチャートである。
図9に示すように、所定の開始条件が成立し休息表処理が開始されると、ステップS1で制御部11は、休息時間及び各種機能を設定する。
【0064】
続いて、ステップS2で制御部11は、休息の質を向上させるためのリラックス設定を行う。また、ステップS3で生体情報取得部21は、車内カメラ18で撮像された画像を取得し、取得した画像に基づいて生体情報を取得する。その後、ステップS4で評価値算出部22は、取得された生体情報に所定の係数をかけることで評価項目の評価値を算出する。
【0065】
その後、ステップS5で制御部11は、休息時間が経過したかを判定する。そして、制御部11は、休息時間が終了するまでステップS2からステップS4の処理を繰り返し行う。
【0066】
一方、休息時間が経過すると(ステップS4でYes)、通知制御部23は、
図6から
図8に示したレーダーチャートをディスプレイ12に表示するために、レーダーチャートに表示する評価項目ごとの評価値の平均値を算出し、算出した評価項目ごとの評価値の平均値をプロットしたレーダーチャートをディスプレイ12に表示する。また、制御部11は、今回の休息における評価項目ごとの評価値を、例えば休息の日時に対応付けて記憶部19に記憶させる。
【0067】
<4.変形例>
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記した具体例に限定されず多様な構成を採り得るものである。
例えば、上記した実施形態では、車両1は、動力源としてモータ2を備える電気自動車又はハイブリッド自動車であった。しかしながら、車両1は、動力源としてエンジンを備える自動車であってもよい。
【0068】
また、上記した実施形態では、評価値を比較して通知する例として3個のレーダーチャートを例に挙げて説明した。しかしながら、評価値を比較して通知することができれば、これらに限らない。
例えば、レーダーチャートではなく折れ線グラフや棒グラフによって比較して通知するようにしてもよい。
【0069】
また、上記した実施形態では、開始5分と終了5分、今回の休息と過去の休息、今回の休息と過去上位5回の休息をそれぞれ比較して通知するようにした。しかしながら、評価値の比較対象はこれに限らない。
例えば、過去の所定期間の休息の評価値の平均値や、前回の休息の評価値の平均値等であってもよい。
【0070】
また、上記した実施形態では、休息評価処理において制御部11がリラックス設定を行うようにしたが、リラックス設定はユーザが行うようにしてもよい。
【0071】
<5.実施形態のまとめ>
上記のように実施形態の車両用休息評価装置10は、コンピュータ(制御部11)を備え、コンピュータは、車両1内で休息するユーザの生体情報を取得する生体情報取得部21と、生体情報に基づいてユーザの自律神経のバランス状態を評価するための評価値を算出する評価値算出部22と、評価値算出部22により算出された評価値を、他のタイミングで算出された評価値と比較して通知する通知制御部23と、を備える。
これにより、車両用休息評価装置10は、今回の休息における休息の質をユーザに比較して確認させることができる。
従って、ユーザは、他のタイミングでの評価値と今回の休息の評価値とを比較することで、今回の休息の質を把握することが可能である。また、ユーザは、各種機能の設定や休息時間など、今回の休息の取り方が休息の質にどのような影響を与えたかを検討することが可能となる。そして、ユーザは、今回の休息の取り方を検討することで、より質のよい休息をとることが可能となる。
かくして、車両用休息評価装置10は、車両1内で休息するユーザの休息の質を向上させることができる。
また、ユーザは休息をゲーム感覚でとることができるとともに、休息を積極的にとることができるため、車両用休息評価装置10は、安全運転を促進させることができる。
【0072】
また、通知制御部23は、1回の休息における開始所定期間及び終了所定期間の評価値を比較して通知する。
これにより、車両用休息評価装置10は、今回の休息において開始直後と終了間際との評価値をユーザに比較して確認させることで、どのくらいリラックスできたかを確認させることができる。
【0073】
また、通知制御部23は、今回の休息における評価値と、過去の休息における評価値とを比較して通知する。
これにより、車両用休息評価装置10は、今回の休息における休息の質が、過去の休息と比較してどの程度であったかを比較して確認させることができる。
【0074】
また、通知制御部23は、今回の休息における評価値と、過去の休息における上位の評価値とを比較して通知する。
これにより、車両用休息評価装置10は、今回の休息では過去上位の休息と比較してどの評価項目がどれだけよかったか、又は、よくなかったかを確認させることができる。
【0075】
また、通知制御部23は、比較結果に基づいたアドバイスを通知する。
これにより、車両用休息評価装置10は、比較結果に基づいたアドバイスを通知することで、休息の質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 車両
10 車両用休息評価装置
11 制御部
21 生体情報取得部
22 評価値算出部
23 通知制御部