(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114174
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】水稲用肥料
(51)【国際特許分類】
C05D 5/00 20060101AFI20240816BHJP
C05F 11/00 20060101ALI20240816BHJP
C05D 9/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C05D5/00
C05F11/00
C05D9/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019750
(22)【出願日】2023-02-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】504164022
【氏名又は名称】糸井 進一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】糸井 進一郎
【テーマコード(参考)】
4H061
【Fターム(参考)】
4H061AA01
4H061AA04
4H061CC15
4H061EE07
4H061EE27
4H061HH07
4H061HH08
4H061JJ05
4H061JJ06
4H061KK01
(57)【要約】
【課題】水稲の病害虫に対する抵抗力を高め、収穫される米の食味及び収量を向上させる。
【解決手段】アミノ酸、硫黄及びマグネシウムを含むことを特徴とする水稲用肥料。アミノ酸、硫黄及び炭酸マグネシウムを含むようにしてもよい。水稲の田植え後中干し前に、アルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムを合量で水田10アール当たり350g~1300g注入する。水稲の中干し後、アルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムを合量で水田10アール当たり650g~2500g注入する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸、硫黄及びマグネシウムを含むことを特徴とする水稲用肥料。
【請求項2】
アミノ酸、硫黄及び炭酸マグネシウムを含むことを特徴とする水稲用肥料。
【請求項3】
水稲の田植え後中干し前に、アルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムを合量で水田10アール当たり350g~1300g注入することを特徴とする施肥方法。
【請求項4】
水稲の中干し後、アルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムを合量で水田10アール当たり650g~2500g注入することを特徴とする施肥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水稲の栽培に用いられる肥料、及び水稲栽培における施肥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本人に古くから親しまれてきた主食である米は、コシヒカリ、ササニシキ、あきたこまちなど多くの種類があり、品種改良によって種類毎に特徴を持っている。米を作るために稲を栽培するが、現在ではほぼすべての米が水を張った水田で栽培する水稲から収穫されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、水稲栽培で高品質米を生産するには、病害虫への備えを万全にする必要があり、近年の温暖化による気候変動の影響で、これまでにない病害虫の被害が増えている。また、米の販売促進のために食味を向上させたり、製造コスト低減のために収量を高めることも重要である。
【0004】
そこで、本発明は、病害虫に対する抵抗力の強い水稲を栽培することができ、収穫される米の食味及び収量を向上させることのできる水稲用肥料及び施肥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は水稲用肥料であって、アミノ酸、硫黄及びマグネシウムを含むことを特徴とする。この肥料を用いることで、病害虫に対する抵抗力の強い水稲を栽培することができ、収穫される米の食味及び収量を向上させることもできる。
【0006】
また、上記マグネシウム源を炭酸マグネシウムとし、アミノ酸、硫黄及び炭酸マグネシウムを含む水稲用肥料とすることもできる。
【0007】
さらに、本発明は施肥方法であって、水稲用水稲の田植え後中干し前に、アルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムを合量で水田10アール当たり350g~1300g注入することを特徴とし、これによって、水稲の葉色が濃くなり、害虫を抑止することができ、病気に強く、抵抗力の高い水稲となり、もみ枯れ細菌病等にかかり難くなる。
【0008】
また、本発明は施肥方法であって、水稲の中干し後、アルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムを合量で水田10アール当たり650g~2500g注入することを特徴とし、これによって、くずもみが少なくなり、収量が多くなると共に、米の食味と栄養が向上する。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、病害虫に対する抵抗力の強い水稲を栽培することができ、収穫される米の食味及び収量を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
本発明に係る水稲用肥料は、アミノ酸、硫黄及びマグネシウムを含む。これらに加え、ビタミンを添加してもよい。
【0012】
アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレオニン(スレオニン)、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン(リジン)、アルギニン、ヒスチジンの1種以上を含むものであって、具体的には例えば、海藻昆布を4日程度約110℃で蒸した後に粉末にしたものや、アルギンゴールドエキス、フコイダンを用いることができる。また、マグネシウム源として炭酸マグネシウム等を用いることができる。
【0013】
アミノ酸源としてアルギンゴールドエキスを用い、マグネシウム源として炭酸マグネシウムを用いた場合、アルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムの混合割合は、重量比で1:1:1.25~1:1:1.5程度とする。すなわち、アルギンゴールドエキスと硫黄はほぼ同量とし、炭酸マグネシウムをアルギンゴールドエキスや硫黄よりも多少多めに用いる。
【0014】
次に、本発明に係る施肥方法の一実施の形態を含む水稲の栽培要領について説明する。
【0015】
まず、種もみの消毒を行う。この消毒は、農薬を用いるか、高温状態を8時間以上維持して行い、消毒後は育苗箱中に種もみを入れる。これは、自動田植え機を使いやすくするためである。育苗箱に種もみを揃えて入れ、通常の肥料(窒素42mg、リン酸42mg及びカリウム42mg)を土壌に散布する。12~16日後に稲の芽が出て、その後9~16cm大きく成長してから田植えを始める。田植えが終わると除草剤を田への注水口に入れる。
【0016】
除草剤注水後15日程度経過した後、アルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムを重量比で1:1:1.5程度の割合で、合量で水田10アール当たり350g~1300gを注入口より一度に注入する。
【0017】
アルギンゴールドエキスに含まれるアミノ酸は、タンパクに変化してから窒素の吸収を遮断する能力があり、これによって葉色が非常に濃くなる。硫黄は、アミノ酸のメチオニン、アラニンが土壌中の他のアミノ酸の吸収を誘導する効果を促進すると共に、硫黄細菌群や光合成細菌群による効果が得られる。炭酸マグネシウムは、光合成細菌を共に吸収する効果があると共に、害虫抑止効果が大きい。アルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムの3種を添加することで、抵抗力が増して病気に強くなるため、もみ枯れ細菌病、白葉枯病、いもち病、紋枯病等が発生することがほとんどない。
【0018】
稲の定植後60日程度で水田の水を切り、10日間程度中干しを行う。中干し後、追肥としてアルギンゴールドエキス、硫黄及び炭酸マグネシウムを重量比で1:1:1.25程度の割合で合量で水田10アール当たり650g~2500gを注入口に一度に入れる。
【0019】
中干し後、30~40日経過してから稲刈りを行う。この時期の稲は一粒のもみが大きく、収量が多くなる。例えば、コシヒカリで通常の20~30%収量が増加し、くずもみが少ない。また、米の食味と栄養がよく、食味値が93にも達する。
【0020】
尚、上記実施の形態では、アミノ酸源としてアルギンゴールドエキス、マグネシウム源として炭酸マグネシウムを用いたが、その他の物質を用いることもできる。また、上記実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸、硫黄及び炭酸マグネシウムを含むことを特徴とする水稲用肥料。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、水稲の栽培に用いられる肥料に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
そこで、本発明は、病害虫に対する抵抗力の強い水稲を栽培することができ、収穫される米の食味及び収量を向上させることのできる水稲用肥料を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は水稲用肥料であって、アミノ酸、硫黄及び炭酸マグネシウムを含むことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレオニン(スレオニン)、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン(リジン)、アルギニン、ヒスチジンの1種以上を含むものであって、具体的には例えば、海藻昆布を4日程度約110℃で蒸した後に粉末にしたものや、アルギンゴールドエキス(登録商標)、フコイダンを用いることができる。また、マグネシウム源として炭酸マグネシウム等を用いることができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
次に、本発明に係る水稲用肥料の一実施の形態を用いた水稲の栽培要領について説明する。