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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114181
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】貯版装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 13/00 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B41F13/00 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019763
(22)【出願日】2023-02-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名 IGAS2022 国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展 開催日 令和4年11月24日~28日
(71)【出願人】
【識別番号】594095866
【氏名又は名称】清水製作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】吉野 智昭
(57)【要約】
【課題】受台を切り離す手間を低減でき、自動化にも対応可能な貯版装置を提供する。
【解決手段】刷版を受台13に貯版する貯版装置14である。受台13を保持する保持状態と受台13の保持を解除する保持解除状態とに切換制御可能で、刷版を貯版する貯版位置35に受台13を保持する着脱保持部37を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刷版を受台に貯版する貯版装置であって、
前記受台を保持する保持状態と前記受台の保持を解除する保持解除状態とに切換制御可能とし、前記刷版を貯版する貯版位置に前記受台を保持する着脱保持部を備える
ことを特徴とする貯版装置。
【請求項2】
前記受台が配置される受台配置部と、
前記着脱保持部を第1の位置と第2の位置との間で移動させ、前記第1の位置への移動で前記着脱保持部が前記受台配置部に配置された前記受台を保持し、前記第2の位置への移動で前記着脱保持部が保持した前記受台を前記貯版位置に配置する移動部と、を備える
ことを特徴とする請求項1記載の貯版装置。
【請求項3】
前記受台配置部は、
前記移動部が前記着脱保持部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる第1の方向に対して交差する第2の方向における前記受台の位置を位置決めする位置決め機構と、
前記受台が配置され、前記受台を前記第1の方向および前記第2の方向に移動可能に支持する支持部と、を有する
ことを特徴とする請求項2記載の刷版貯版装置。
【請求項4】
前記受台配置部に前記受台が配置されたことを検知する受台検知センサを備え、
前記受台検知センサが前記受台を検知することにより、前記移動部が前記着脱保持部を前記第1の位置に移動させ、前記着脱保持部が前記受台を保持する保持状態に切り換わる
ことを特徴とする請求項2記載の刷版貯版装置。
【請求項5】
前記受台配置部は、無人搬送車が進入する無人搬送車進入部を有し、
前記無人搬送車進入部に進入する前記無人搬送車によって、前記刷版を貯版する前記受台が前記受台配置部に搬送され、前記刷版が貯版された前記受台が前記受台配置部から所定の搬送先に向けて搬送される
ことを特徴とする請求項2ないし4いずれか一記載の貯版装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刷版を受台に貯版する貯版装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製版装置で製版された刷版を印刷機に装着し、印刷物の印刷を行っている。製版装置で製版された刷版は、貯版装置により、印刷機毎に仕分けて移動可能な受台に貯版し、刷版を貯版した受台を印刷機の場所に運び、刷版を印刷機に装着している。
【0003】
また、貯版装置では、受台を所定の貯版位置に保持して刷版を貯版している。貯版位置に受台を保持するために、永久磁石の磁力により受台を吸着して保持したり、連結ピンを受台と貯版装置との重なる箇所に差し込んで保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-330489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、貯版が完了した受台を移動させる際には、受台に永久磁石の磁力に抗した力を加えて受台を切り離したり、連結ピンを抜き外して受台を切り離すことになり、人力による作業が必要で、手間がかかっていた。また、人力による作業が必要であることから、自動化への対応も難しかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、受台を切り離す手間を低減でき、自動化にも対応可能な貯版装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の貯版装置は、刷版を受台に貯版する貯版装置であって、前記受台を保持する保持状態と前記受台の保持を解除する保持解除状態とに切換制御可能で、前記刷版を貯版する貯版位置に前記受台を保持する着脱保持部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、受台を切り離す手間を低減でき、自動化にも対応可能な貯版装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す貯版装置を備えた刷版処理システムの構成図である。
図2】同上貯版装置の平面図である。
図3】同上貯版装置の側面図である。
図4】同上貯版装置の正面図である。
図5】同上貯版装置の拡大平面図である。
図6】同上貯版装置の拡大側面図である。
図7】同上貯版装置の拡大正面図である。
図8】本発明の第2の実施の形態を示す貯版装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図7を参照して説明する。
【0011】
図1に刷版処理システム10の構成図を示す。刷版処理システム10は、刷版11を製版する製版部12と、この製版部12で製版された刷版11を受台13に貯版する貯版装置14と、を備えている。
【0012】
製版部12には、刷版11に印刷情報を描画するCTP(Computer To Plate)、刷版11に描画された印刷情報を現像する自動現像機(刷版11が無処理版の場合には省略)などが含まれる。
【0013】
貯版装置14は、複数の貯版部(刷版移載部)15と、これら貯版部15に対して移動可能な1つの移載ユニット16と、を備えている。各貯版部15には、受台13をそれぞれ配置する受台配置部17が設けられている。そして、貯版装置14は、刷版11を例えばジョブ(受注番号)毎に仕分ける仕分機構を備えており、製版部12から送り込まれる刷版11を移載ユニット16に受け取り、移載ユニット16が刷版11の仕分先の貯版部15に移動し、仕分先の貯版部15の受台配置部17に配置されている受台13に刷版11を移載して貯版する。
【0014】
なお、以下、貯版装置14において、貯版部15と受台配置部17が並ぶ方向を第1の方向A、この第1の方向Aに交差し、複数の貯版部15が並ぶ方向を第2の方向Bという。
【0015】
本実施形態では、3つの貯版部15および受台配置部17が第2の方向Bに一列に並設され、移載ユニット16が複数の貯版部15の並ぶ第2の方向(仕分移動方向)Bに移動可能とする。なお、貯版部15および受台配置部17は、3つに限らず、2つ、または4つ以上でもよく、あるいは、1つのみで仕分機能がなくてもよい。
【0016】
図2ないし図7に貯版装置14の構造を示す。図2ないし図4には、1つの貯版部15および受台配置部17と、この貯版部15に移動した移載ユニット16および受台配置部17に配置された受台13を示す。図5ないし図7には、1つの貯版部15および受台配置部17の拡大図を示す。
【0017】
受台13は、平面視で長方形の台部20と、この台部20の長手方向の両側から下方に突出された脚部21と、台部20の上面側に支持され、移載ユニット16によって移載される刷版11を受け入れる受部22と、を備えている。
【0018】
受部22は、台部20の長手方向(以下、左右方向ともいう)の幅と略同じ幅で台部20の長手方向に交差する短手方向に傾斜して刷版11を傾斜状に立て掛ける立掛け部23、およびこの立掛け部23に立て掛けられる刷版11の下縁を載せて支持する載せ部24を備えている。
【0019】
受台13は、立掛け部23の上部側が傾斜する方向に対して反対方向である台部20の短手方向の一方の側面を、移載ユニット16によって移載される刷版11を受部22に受け入れる受入面部25としている。受台13は、受入面部25が貯版部15に対向するように受台配置部17に配置される。受入面部25側の台部20の側面は、少なくとも磁性体で構成された被保持面とされている。本実施形態では、台部20は磁性体である金属材料で構成されている。また、脚部21の底面は、平面状に形成されている。
【0020】
また、貯版部15は、床面30に設置される基台31を備えている。基台31上に、ガイドレール32および軌道33が第2の方向Bに沿って配設されている。複数の貯版部15の基台31が第2の方向Bに一体的に連設され、連設された複数の基台31に亘ってガイドレール32および軌道33が配設されている。
【0021】
また、貯版部15には、受台配置部17に配置された受台13を、この受台13に刷版11を貯版するための所定の貯版位置(受台13の装着位置)35に保持する保持ユニット36が配設されている。保持ユニット36は、受台13を着脱可能に保持する着脱保持部37と、この着脱保持部37を支持して第1の方向Aに移動させる移動部38と、を備えている。
【0022】
着脱保持部37は、受台13を保持する保持状態と受台13の保持を解除する保持解除状態とに、例えばエア圧駆動や電気駆動によって切換制御可能とする。着脱保持部37には、例えばマグネットグリッパが用いられる。マグネットグリッパは、磁力を発生する永久磁石を用い、エア圧によって永久磁石の位置を切換移動させることで、受台13に永久磁石の磁力を作用させて受台13を吸着する保持状態と、受台13に作用する磁力を低減させて受台13の保持を解除する保持解錠状態とに切換制御可能とする。マグネットグリッパに供給するエア圧の切り換えには電磁弁などが用いられる。なお、マグネットグリッパは、電気的に磁極を切り換えることで、受台13の保持状態と保持解除状態とを切換動作するものでもよい。したがって、着脱保持部37は、電気的な切換動作に応じて、受台13の保持状態と保持解除状態とを切換制御可能とする。
【0023】
着脱保持部37は、受台配置部17に対向する貯版部15の側面位置であって、受台配置部17に配置される受台13の台部20の側面(被保持面)の左右方向(長手方向)の2箇所に対向する位置にそれぞれ配置され、受台13の台部20の側面の左右方向の2箇所を磁力により吸着して保持可能とする。
【0024】
なお、着脱保持部37には、例えば、電磁石や、負圧によって吸着する吸着パッドを用いてもよく、あるいは、受台13に引っ掛かる爪を有する爪機構や、受台13を掴んで保持するハンド機構を用いてもよい。着脱保持部37は、このようないずれの構造の場合でも、電気的な切換動作により、受台13の保持状態と保持解除状態とを切換制御可能であればよい。この電気的な切換動作は、着脱保持部37を直接的に電気駆動してもよいし、着脱保持部37に供給するエア圧を切り換える電磁弁などを電気駆動してもよく、直接的および間接的での電気的な切換動作を含む。
【0025】
移動部38は、基台31の下面に取り付けられる固定部材39、この固定部材39の第2の方向Bの2箇所に設けられたスライド機構40を介して第1の方向Aに沿って移動可能に支持された移動部材41(複数の部材で構成されていてもよいし、1つの部材で構成されていてもよい)、この移動部材41の第2の方向Bの2箇所にそれぞれ立設されたアーム42、固定部材39に設置され移動部材41を第1の方向Aに移動させる駆動部としてのシリンダ43を備えている。各アーム42の上端に着脱保持部37がそれぞれ取り付けられている。
【0026】
シリンダ43の動作により、着脱保持部37を支持した移動部材41を第1の方向Aに移動させ、着脱保持部37を第1の位置(前進位置)と第2の位置(後退位置)との間で移動させる。第1の位置(前進位置)への移動で着脱保持部37が受台配置部17に配置された受台13を保持可能とし、第2の位置(後退位置)への移動で着脱保持部37が保持した受台13を貯版位置35に配置する。
【0027】
固定部材39上には、着脱保持部37が第2の位置(後退位置)に移動した状態で受台13の有無を検知することにより、受台13が保持されている否かまたは受台13が貯版位置35に配置されているか否かを検知する受台検知センサ44が配設されている。
【0028】
また、移載ユニット16は、移動台50を備えている。この移動台50の下面には、基台31の上面に載って移動台50を支持するとともに第2の方向Bに走行可能とする複数の車輪51が配設されている。移動台50の下面には、ガイドレール32に沿って第2の方向Bへの移動をガイドするガイドローラ52が配設されている。移動台50上には、走行用モータ53を有し、基台31の軌道33上を走行して移載ユニット16を第2の方向Bに移動させる移動機構54が配設されている。
【0029】
移動台50上には、製版部12から送り込まれる刷版11を受け取って受台13に移載する移載機構55が配設されている。移載機構55は、製版部12から第1の方向Aに沿って搬送されてくる刷版11を受け取るとともにその搬送方向の下流側である前方側の所定位置まで搬送する搬送部56と、この搬送部56を搬送方向の上流側である後方側を支点として下方に揺動させる第1の揺動部57と、下方へ揺動された搬送部56から刷版11を受け取るとともに吸着して保持する移載部58と、この移載部58を、前方側を支点として上方に揺動させる第2の揺動部59と、を備えている。
【0030】
刷版11を吸着保持した移載部58を、第2の揺動部59を支点として上方に揺動させることにより、刷版11が前方および下方に移動するように旋回しつつ立位姿勢に変換される。この姿勢変換により、刷版11が受台13の受部22の立掛け部23に立て掛け可能に傾斜されるとともに、刷版11の下側の辺が受部22の載せ部24の上方域に位置され、この状態で移載部58による吸着が解除されることで、刷版11が受台13の受部22に移載される。
【0031】
また、受台配置部17は、配置される受台13を水平移動可能に支持する支持部70と、この支持部70上に配置された受台13の第2の方向Bの位置を位置決めする位置決め機構71と、無人搬送車84(図1および図5参照)が進入可能とする無人搬送車進入部72と、を備えている。
【0032】
支持部70は、受台配置部17における第2の方向Bの両側位置に所定の間隔を空けてそれぞれ配設され、受台13の長手方向の両側の脚部21の底面が載置され、受台13を水平方向に移動可能に支持する。支持部70には、例えば、床面30に設置される設置部材73の上面に取り付けられた複数のボールローラ74が用いられている。ボールローラ74上に載置された受台13を、第1の方向Aおよび第2の方向Bと、これら方向に対して斜めの方向とを含む水平方向のどの方向にも自由に動くように支持する。なお、支持部70は、ボールローラ74に限らず、例えば、XYステージや、載置された受台13を滑らせて移動させることが可能な摩擦係数の小さい滑性部材でもよい。
【0033】
位置決め機構71は、第2の方向Bの一側を基準に、第2の方向Bの受台13の位置を位置決めする。第2の方向Bの一側には基準となる複数の位置決めローラ75が配設され、第2の方向Bの他側には第2の方向Bであって位置決めローラ75に対して接近、離反する方向に移動可能とする複数の押し当てローラ76が配設されている。
【0034】
位置決めローラ75は、少なくとも2つ用いられ、第1の方向Aに並んで設置台77上の固定位置に配設されている。設置台77は、設置部材73上に設置されている。
【0035】
押し当てローラ76は、少なくとも2つ用いられ、第1の方向Aに並んで移動ユニット78に配設されている。移動ユニット78は、設置台79上に第2の方向Bに配置されたガイドレール80に沿って第2の方向Bに移動可能に支持され、移動ユニット78内に配設された位置決め駆動部である図示しないシリンダにより設置台79に対して第2の方向Bに移動する。移動ユニット78の押し当てローラ76は、位置決めローラ75との間に受台13を挟み込んで位置決めする前進位置と、位置決めローラ75との間での受台13の挟み込みを解除する後退位置とに移動する。設置台79は、設置部材73上に設置されている。
【0036】
各ローラ75,76は、支持部70上に支持された受台13の台部20の側面に当接可能とする高さ位置に配設されている。各ローラ75,76は、鉛直方向の軸を中心に水平方向に回転可能に支持され、つまりローラ75,76の周面が第1の方向Aに回転可能で、受台13を第1の方向Aに移動可能に位置決めする。
【0037】
設置部材73上には、着脱保持部37が配置される貯版部15側とは反対側で、ボールローラ74上に載置された受台13の脚部21の側面に当接して位置規制する受台ストッパ81が配設されている。
【0038】
後退位置の押し当てローラ76と位置決めローラ75との間の第2の方向Bの距離は受台13の長手方向の寸法よりも大きく、かつ、第2の位置(後退位置)の着脱保持部37と受台ストッパ81との間の第1の方向Aの距離は受台13の短手方向の寸法よりも大きく、受台配置部17に対して受台13を配置または取出可能とする。
【0039】
したがって、受台配置部17の平面視において、受台13を配置可能とする受台配置範囲は、受台13の寸法よりも大きい範囲とされ、無人搬送車84などによる受台13の配置位置のばらつきに対応し、しかも、受台配置範囲に配置された受台13は位置決め機構71によって位置決め可能とするとともに保持ユニット36によって貯版位置35に位置決め保持可能とする。
【0040】
受台配置部17には、受台13の有無を検知する受台検知センサ82が配設されている。この受台検知センサ82は、設置台77に立設された枠体83に配設されている。位置決め機構71は、受台検知センサ82が受台13を検知する状態で位置決め動作する。
【0041】
なお、位置決め機構71は、第2の方向Bの両側から受台13を挟み込んで中央位置で位置決めしてもよい。また、位置決めローラ75および押し当てローラ76は、受台13の位置決め状態で第1の方向Aへの移動を可能とする滑性を有する位置決め部材などでもよい。
【0042】
無人搬送車進入部72は、第2の方向Bに間隔を空けて両側の支持部70を配置することで、これら両側の支持部70の間の床面30上に設けられ、床面30上を走行する無人搬送車84のリフト部85が進入および退出可能とする(図5参照)。無人搬送車84のリフト部85は、受台13の両側の脚部21間で、台部20の下面に接して持ち上げる。リフト部85の上昇時には、脚部21の底面を支持部70のボールローラ74および受台ストッパ81よりも高い高さ位置に持ち上げ、リフト部85の下降時には、脚部21が床面30または支持部70に載置された受台13の台部20の下方に離反する。
【0043】
なお、無人搬送車進入部72には、無人搬送車84のリフト部85以外に、人手で受台13を搬送するためのハンドリフトなども進入可能とする。
【0044】
次に、刷版処理システム10の動作を説明する。
【0045】
図1に示すように、製版部12で製版された刷版11が貯版装置14に搬送される。貯版装置14は、刷版11を例えばジョブ(受注番号)毎に仕分けるもので、製版部12からの刷版11の受取位置に移載ユニット16が移動し、製版部12から搬送されてくる刷版11を受け取り、移載ユニット16が刷版11の仕分先の貯版部15に移動し、仕分先の貯版部15の受台配置部17に配置されている受台13に刷版11を移載して貯版する。
【0046】
受台13に貯版すべき刷版11の貯版が完了したら、無人搬送車84によって受台13が受台配置部17から取り出され、所定の印刷機の場所などの搬送先に向けて搬送される。受台13が取り出された受台配置部17には、無人搬送車84によって次に貯版する受台13が搬送されて配置される。
【0047】
また、仕分機構を備えた貯版装置14においては、印刷機と受台13とが紐付け設定されていることにより、貯版装置14によって印刷機で使用する刷版11が印刷機と紐付けられた受台13に仕分けられて貯版され、この刷版11が貯版された受台13が紐付けられている印刷機に搬送される。
【0048】
印刷機では複数枚の刷版11を用いて印刷を行うため、貯版装置14に刷版情報が入力されることで、印刷機での印刷毎に使用する複数枚の刷版11が受台13に仕分けてまとめられることになり、作業者による刷版11の仕分けの手間を省くことができる。
【0049】
次に、貯版装置14の動作を説明する。
【0050】
刷版11を貯版する受台13を搬送する無人搬送車84が所定の受台配置部17に走行してくると、無人搬送車84のリフト部85が受台配置部17の無人搬送車進入部72に進入され、リフト部85上の受台13の両側の脚部21が支持部70のボールローラ74の上方域に位置され、リフト部85が下降することで受台13の両側の脚部21が支持部70のボールローラ74上に載置される。無人搬送車84は、他の受台13の搬送のために移動してもよい。
【0051】
受台配置部17に配置された受台13は、第1の方向Aの着脱保持部37と受台ストッパ81との間、および第2の方向Bの位置決めローラ75と押し当てローラ76との間の受台配置範囲内のいずれかの位置に配置される。
【0052】
受台検知センサ82によって受台配置部17に配置された受台13が検知されている状態で、押し当てローラ76が前進され、この押し当てローラ76と位置決めローラ75との間で受台13の台部20が挟み込まれ、受台13の第2の方向Bの位置が位置決めされる。このとき、受台13を支持するボールローラ74によって、受台13が水平方向のどの方向にも移動するため、ローラ75,76の間に受台13が斜めに配置されていたとしても、ローラ75,76間に受台13が平行状に配置されて位置決めされる。
【0053】
保持ユニット36のシリンダ43によって、着脱保持部37が第2の位置(後退位置)から受台13の台部20に接触する第1の位置(前進位置)に前進される。着脱保持部37の前進は、受台ストッパ81との間に受台13を挟み込む位置まで前進されることで、着脱保持部37が受台配置範囲のどこに配置されていても受台13の台部20に確実に接触される。
【0054】
着脱保持部37の切換制御により、着脱保持部37の磁力が受台13の台部20に作用して受台13の台部20を吸着保持する。
【0055】
保持ユニット36のシリンダ43によって、着脱保持部37が第1の位置(前進位置)から第2の位置(後退位置)に後退され、受台13が第1の方向Aに沿って貯版位置35に移動される。このとき、受台13がローラ75,76で挟み込まれて第2の方向Bに位置決め保持されているが、受台13が第1の方向Aに移動されるのに伴ってローラ75,76が回転するため、受台13が貯版位置35に円滑に移動される。さらに、受台13を支持するボールローラ74によっても、受台13が貯版位置35に円滑に移動される。
【0056】
貯版位置35に移動された受台13は、ローラ75,76に挟み込まれて第2の方向Bの位置が位置決め保持され、着脱保持部37で第1の方向Aの位置が位置決め保持されている。
【0057】
受台検知センサ44が貯版位置35に保持された受台13を検知している状態で、この受台13に対し、移載ユニット16によって刷版11が移載される。
【0058】
1つの受台13に複数枚の刷版11を貯版する場合、移載ユニット16の第2の方向Bにおける位置をずらして刷版11を受台13に貯版してもよい。この場合、刷版11の一辺に印刷機に装着するための折曲部が設けられている場合、折曲部が重なり合って刷版11が変形したり傷が付くのを防止でき、また、刷版11毎に位置がずれていることで、受台13から刷版11を取り出しやすく、刷版11の取り扱いを容易にできる。
【0059】
そして、受台13に対して貯版すべき刷版11の貯版が完了したら、保持ユニット36のシリンダ43によって、着脱保持部37が第2の位置(後退位置)から第1の位置(前進位置)に前進され、無人搬送車84による取出位置に移動される。この取出位置は、例えば、受台13が受台ストッパ81に当接する位置や、受台ストッパ81の手前の受台配置範囲内の所定位置である。
【0060】
着脱保持部37の切換制御により、着脱保持部37の磁力による受台13の吸着保持が解除される。吸着保持の解除後の着脱保持部37は、シリンダ43によって、第1の位置(前進位置)から第2の位置(後退位置)に後退される。さらに、押し当てローラ76が後退位置に移動され、受台13の保持が解除される。
【0061】
これにより、ジョブ(受注番号)毎に貯版11の完了した受台13を受台配置部17から取り出して搬送可能な状態に自動的に移行されることになる。
【0062】
なお、受台13に対して貯版すべき刷版11の貯版が完了したら、保持ユニット36のシリンダ43が動作することなく、受台13が貯版位置35に位置する状態で、着脱保持部37の切換制御により受台13の保持を解除してもよい。
【0063】
貯版の完了した受台13を取り出す無人搬送車84が受台配置部17に走行してくると、無人搬送車84のリフト部85が受台配置部17の無人搬送車進入部72に進入され、リフト部85が上昇されて受台13が支持部70から持ち上げられ、無人搬送車84が走行して貯版の完了した受台13が受台配置部17から所定の印刷機の場所などの搬送先に向けて搬送される。
【0064】
以上のように構成された貯版装置14によれば、受台13に保持される保持状態と受台13の保持を解除する保持解除状態とに切換制御可能な着脱保持部37を備え、受台13の保持を自動解除できるため、受台13を切り離す手間を低減でき、受台13を搬送する無人搬送車84を用いる場合の自動化にも対応できる。
【0065】
さらに、貯版装置14は、着脱保持部37を第1の位置と第2の位置との間で移動させ、第1の位置への移動で着脱保持部37が受台配置部17に配置された受台13を保持し、第2の位置への移動で着脱保持部37が保持した受台13を貯版位置35に配置する移動部38を備えるため、受台配置部17に配置された受台13を、着脱保持部37で保持させたり、貯版位置35に移動させることができる。しかも、貯版の完了した貯版位置35の受台13を、受台配置部17から取り出す取出位置に移動させることができる。
【0066】
さらに、受台配置部17は、移動部38が着脱保持部37を移動させる第1の方向Aに対して交差する第2の方向Bにおける受台13の位置を位置決めする位置決め機構71と、受台13を第1の方向Aおよび第2の方向Bに移動可能に支持する支持部70と、を有するため、受台配置部17に受台13を配置可能とする受台配置範囲を確保して、無人搬送車84などによる受台13の配置位置のばらつきに対応でき、そのうえで受台13を位置決めして貯版位置35に配置することができる。
【0067】
さらに、受台配置部17は、無人搬送車84が進入する無人搬送車進入部72を有するため、無人搬送車進入部72に進入する無人搬送車84によって、刷版11を貯版する受台13が受台配置部17に搬送され、刷版11が貯版された受台13が受台配置部17から所定の搬送先に向けて搬送され、刷版11の処理の自動化に対応できる。
【0068】
次に、図8に第2の実施の形態を示す。なお、第1の実施の形態と同様の構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0069】
受台13は、台部20の下面の四隅に床面30を走行可能なキャスター90が取り付けられ、人力によっても移動可能になっている。
【0070】
貯版装置14の受台配置部17には、支持部70を支持して昇降させる2つの昇降機構91が、第2の方向Bに所定の間隔を空けて床面30上に設置されている。2つの昇降機構91および支持部70の間の床面30上に無人搬送車進入部72が設けられ、2つの昇降機構91および支持部70の各外側の床面30上に受台13のキャスター90が進入可能とするキャスター進入部92が設けられている。
【0071】
そして、無人搬送車84により受台13を貯版装置14の受台配置部17に対して配置および取り出しをする運用の場合には、昇降機構91は支持部70が常に上昇された状態とされる。無人搬送車84により貯版装置14の受台配置部17に配置された受台13は、上昇されている支持部70上に載り、キャスター90が床面30から上方に離反され、支持部70のボールローラ74で受台13が水平方向に移動可能に支持される。そのため、上述の第1の実施の形態と同様に、受台13に対して貯版処理が行われる。
【0072】
また、人力によって受台13を貯版装置14の受台配置部17に配置する場合には、昇降機構91によって支持部70が下降した状態とされる。キャスター90で走行移動可能な受台13が人力によって受台配置部17に配置されると、昇降機構91によって支持部70が上昇され、支持部70が受台13の台部20の下面に接して受台13を持ち上げる。受台13を持ち上げることで、キャスター90が床面30から上方に離反され、支持部70のボールローラ74で受台13が水平方向に移動可能に支持される。この状態で、上述の第1の実施の形態と同様に、受台13に対して貯版処理が行われる。
【0073】
また、人力によって受台13を貯版装置14の受台配置部17から取り出す場合には(無人搬送車84によって受台配置部17に配置された受台13を人力によって取り出す場合も含む)、受台13が貯版部15から外れた後、昇降機構91によって支持部70が下降され、一体に下降する受台13のキャスター90が床面30に接地され、支持部70が受台13から下方に離反する。そのため、受台13はキャスター90で走行移動可能な状態となり、人力によって受台13を受台配置部17から取り出すことが可能となる。
【0074】
このように構成された第2の実施の形態の貯版装置14においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し、さらに、キャスター90で自走可能な受台13を取り扱うことができる。
【0075】
なお、1つの貯版装置14により、第1の実施の形態の脚部21を有する受台13と、第2の実施の形態のキャスター90を有する受台13との両方を取り扱えるようにしてもよい。この場合、複数の受台配置部17のうちのいずれかを、脚部21を有する受台13を配置可能とする第1の実施の形態の受台配置部17の構成とし、複数の受台配置部17のうちの残りを、キャスター90を有する受台13を配置可能とする第2の実施の形態の池台配置部17の構成とする。
【0076】
また、着脱保持部37による受台13の保持または保持解除は、ボタンなどの操作でも実行可能としてもよい。
【0077】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、種々の構成の組み合わせ、一部の省略、置き換えおよび変更も可能である。
【符号の説明】
【0078】
11 刷版
13 受台
14 貯版装置
17 受台配置部
35 貯版位置
37 着脱保持部
38 移動部
70 支持部
71 位置決め機構
72 無人搬送車進入部
82 受台検知センサ
84 無人搬送車
A 第1の方向
B 第2の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8