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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114184
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240816BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240816BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240816BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019770
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA01
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA44
2K005CA45
2K005CA53
5C122EA01
5C122EA41
5C122EA54
5C122FB08
5C122GE01
5C122GE04
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】光学モジュールを有する可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットにおいて、揺動範囲を狭くすることなく光軸方向の厚みを薄くする。
【解決手段】可動体20と固定体10とジンバル機構30とを備え、ジンバル機構30は、可動体20に対して反被写体側に配置される平板部30Cと、基端部31側から先端部32側まで第1交差方向C1に沿って延設される2つの固定体側腕部30Aと、基端部31側から先端部32側まで第2交差方向C2に沿って延設される2つの可動体側腕部30Bと、を有し、固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bは、交差方向から見て平板部30Cに対して傾斜して延設され、固定体側腕部30Aの傾斜方向と可動体側腕部30Bの傾斜方向とは、交差方向から見て反対方向である光学ユニット。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを有する可動体と、
固定体と、
前記光学モジュールの光軸に沿う光軸方向と交差する交差方向のうちの少なくとも1方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、
を備え、
前記ジンバル機構は、
前記可動体に対して前記光軸方向における前記光学モジュールの被写体側とは反対の反被写体側に配置される平板部と、前記平板部に繋がる基端部側から前記固定体と接続される先端部側まで前記交差方向のうちの第1交差方向に沿って延設される2つの固定体側腕部と、前記平板部に繋がる基端部側から前記可動体と接続される先端部側まで前記交差方向のうちの第2交差方向に沿って延設される2つの可動体側腕部と、を有し、
前記固定体側腕部及び前記可動体側腕部は、前記交差方向から見て前記平板部に対して傾斜して延設され、
前記固定体側腕部の傾斜方向と前記可動体側腕部の傾斜方向とは、前記交差方向から見て反対方向であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体は、前記反被写体側に前記平板部と面する底面を有し、
前記交差方向から見た前記平板部及び前記可動体の隙間と前記平板部及び前記底面の隙間との差は、0.2mm以下であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記交差方向から見た前記平板部に対する前記固定体側腕部の傾斜角度と前記可動体側腕部の傾斜角度との差は、2°以下であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記光軸方向から見た前記固定体側腕部の長さと前記可動体側腕部の長さとの差は、2mm以下であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1交差方向における前記平板部の長さが前記第1交差方向における前記可動体の長さの2分の1以下であること、及び、前記第2交差方向における前記平板部の長さが前記第2交差方向における前記可動体の長さの2分の1以下であること、の少なくとも一方に該当することを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体側腕部及び前記可動体側腕部は、基端部から先端部に向かって徐々に幅が狭くなる構成であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体は、前記反被写体側に前記平板部と面する底面を有し、
前記可動体は、前記底面に面する対向面を有し、
前記対向面には、前記底面側に突出する突出部が設けられ、
前記可動体が前記固定体に対して前記反被写体側に変位した際に、前記ジンバル機構が前記底面に接触するよりも先に前記突出部が前記底面に当接することを特徴とする光学ユニット。
【請求項8】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記平板部は、前記固定体側腕部及び前記可動体側腕部に比べて変形しにくく構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の光学ユニットにおいて、
前記平板部は、前記固定体側腕部及び前記可動体側腕部のうちのバネ定数が低い方の基端部よりもバネ定数が高い方の基端部に近い場所に孔部が設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な光学ユニットが使用されている。このうち、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、ジンバル機構を有し、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2019-221038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットにおいては、ジンバル機構が被写体側に設けられることが一般的であった。ジンバル機構が被写体側に設けられる構成においては、光学ユニットが被写体側に設けられるので、光学ユニットを避けてジンバル機構を配置しなければならない。このような構成では、可動体の固定体に対する揺動範囲が狭くならないようにすると、構造的に頑丈とは言えないジンバル機構が可動体及び固定体と衝突することを避けるため、光学ユニットの光軸方向における厚みを大きくしなければならなかった。そこで、本発明は、光学モジュールを有する可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットにおいて、揺動範囲を狭くすることなく光軸方向の厚みを薄くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを有する可動体と、固定体と、前記光学モジュールの光軸に沿う光軸方向と交差する交差方向のうちの少なくとも1方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、を備え、前記ジンバル機構は、前記可動体に対して前記光軸方向における前記光学モジュールの被写体側とは反対の反被写体側に配置される平板部と、前記平板部に繋がる基端部側から前記固定体と接続される先端部側まで前記交差方向のうちの第1交差方向に沿って延設される2つの固定体側腕部と、前記平板部に繋がる基端部側から前記可動体と接続される先端部側まで前記交差方向のうちの第2交差方向に沿って延設される2つの可動体側腕部と、を有し、前記固定体側腕部及び前記可動体側腕部は、前記交差方向から見て前記平板部に対して傾斜して延設され、前記固定体側腕部の傾斜方向と前記可動体側腕部の傾斜方向とは、前記交差方向から見て反対方向であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光学モジュールを有する可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットにおいて、揺動範囲を狭くすることなく光軸方向の厚みを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットの斜視図である。
図2図1の光学ユニットの斜視図であって、図1とは異なる角度から見た図である。
図3図1の光学ユニットの平面図である。
図4図1の光学ユニットの平面図であって、固定体を省略して表すことで磁石とコイルの位置関係などを示す図である。
図5図1の光学ユニットの斜視図であって、固定体の底面構成部材を省略して表すことでジンバル機構の配置などを示す図である。
図6図1の光学ユニットの断面図であって、図3の方向Aから見た図である。
図7図1の光学ユニットの断面図であって、図3の方向Bから見た図である。
図8図1の光学ユニットのジンバル機構の平面図である。
図9図1の光学ユニットのジンバル機構を示す図であって、図3の方向Aから見た図である。
図10図1の光学ユニットのジンバル機構を示す図であって、図3の方向Bから見た図である。
図11図1の光学ユニットの断面図であって、図3の方向Aから見た図であるとともに可動部が固定部に対して可動体側腕部を回転軸として最大に傾いた状態を表す図である。
図12図1の光学ユニットの断面図であって、図3の方向Bから見た図であるとともに可動部が固定部に対して固定体側腕部を回転軸として最大に傾いた状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例に係る光学ユニット1について図1から図12を用いて説明する。各図において、Z軸方向は光軸方向であり、X軸方向は光軸AXと交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸AXと交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。また、Z軸方向のうち、矢印が向く方向である+Z方向は被写体側の方向であり、矢印が向く方向とは反対方向である-Z方向は被写体側とは反対側の反被写体側の方向である。
【0009】
本実施例の光学ユニット1は、光学モジュール22を備える可動体20と、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲む固定体10と、を備えている。また、本実施例の光学ユニット1は、可動体20を固定体10に対して光軸方向と交差する交差方向(X軸方向及びY軸方向を含む平面方向)を揺動軸として揺動可能に支持する揺動支持機構としてのジンバル機構30を備えている。さらに、本実施例の光学ユニット1は、図3で表されるように、固定体10に配置されるコイル61と、可動体20におけるコイル61(コイル61A及びコイル61B)と対向する位置に配置される磁石21(磁石21A及び21B)と、を有する回転駆動機構を備えている。なお、コイル61は、固定体10に取り付けられるフレキシブルフラットケーブル(FFC)60の内側に設けられている。
【0010】
<光学ユニットの全体構成>
最初に、本実施例の光学ユニット1の全体構成について説明する。本実施例の光学ユニット1は、カメラやスマートフォンなどにおいて好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1は、コンパクトに構成でき、カメラやスマートフォンをコンパクト構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1は、カメラやスマートフォンに限定されず、特に用途を限定することなく様々な装置に使用可能である。
【0011】
図1図3及び図4で表されるように、本実施例の光学ユニット1は、レンズ23等が設けられる光学モジュール22を備える可動体20を備えている。また、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する交差方向(周囲方向)において可動体20を囲むケース部10Aと、可動体20がケース部10Aに収容された状態で-Z方向からケース部10Aを覆うことが可能な底面構成部材10Bと、可動体20がケース部10Aに収容された状態で+Z方向から光学モジュール22を一部露出させた状態でケース部10Aを覆うことが可能なカバー部10Cと、を備える固定体10を備えている。
【0012】
また、可動体20と固定体10との間において、固定体10と接続する固定体側腕部30Aと、可動体20と接続する可動体側腕部30Bと、固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bが設けられる平板部30Cと、を有するジンバル機構30を備えている。ジンバル機構30は、バネ性を有し、可動体20を固定体10に対してX軸方向及びY軸方向を揺動軸として揺動可能に支持する。なお、本実施例の光学ユニット1の要部であるジンバル機構30については、後に詳述する。
【0013】
<可動体>
光学モジュール22は、可動体20の一部であり、可動体20の+Z方向の面からレンズ23の形成部分が突出した状態となるように配置されている。また、+X方向における可動体20の側面には、固定体10に対して可動体20を可動させる駆動部としての回転駆動機構を構成する磁石21Aが設けられている。また、+Y方向における可動体20の側面には、回転駆動機構を構成する磁石21Bが設けられている。ここで、磁石21A及び磁石21Bは、いずれも、同様の構成である。なお、磁石21A及び磁石21Bも光学モジュール22と同様に可動体20の一部をなしているとみなすことができる。
【0014】
<固定体>
固定体10は、可動体20をZ軸方向から底面構成部材10Bとカバー部10Cとで囲み、可動体20をZ軸方向と交差する方向からケース部10Aで囲む。ここで、固定体10の+Z方向側のカバー部10Cには、光学モジュール22のレンズ23の形成部分を通す孔部11が設けられている。
【0015】
また、固定体10の+X方向側の側面と+Y方向側の側面には、回転駆動機構を構成するコイル61が設けられている。これらのコイル61は磁石21A及び磁石21Bと対向する位置に配置されている。ここで、磁石21Aと対向する位置のコイル61Aと磁石21Bと対向する位置のコイル61Bとは、同様の構成である。なお、コイル61A及びコイル61Bも固定体10の一部をなしているとみなすことができる。
【0016】
<ジンバル機構>
ジンバル機構30は、図8で表されるように、外形が略八角形の平板部30Cと、固定体10及び可動体20との接続部である固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bと、を有している。固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bは、それぞれ、光軸方向から見て平板部30Cの対角線上に形成されており、このうち対角線上の2つの接続部である固定体側腕部30Aは固定体10に対して揺動可能に接続されており、別の対角線上の2つの接続部である可動体側腕部30Bは可動体20に対して揺動可能に接続されている。なお、本実施例の光学ユニット1は、ジンバル機構30により、固定体10に対して可動体20をヨーイング軸方向及びピッチング軸方向に揺動可能な構成であるが、さらに、ジンバル機構30とは別の機構を設けるなどして、固定体10に対して可動体20をローリング方向に揺動可能な構成としてもよい。
【0017】
ここで、上記のように、本実施例の光学ユニット1は、光学モジュール22を有する可動体20と、固定体10と、光学モジュール22の光軸AXに沿う光軸方向と交差する交差方向のうちの少なくとも1方向を回転軸として可動体20を固定体10に対して回転可能に支持するジンバル機構30と、を備えている。そして、本実施例のジンバル機構30は、図5などで表されるように、可動体20に対して光軸方向における光学モジュール22の被写体側とは反対の反被写体側(-Z方向側)に配置される平板部30Cを有している。また、図5及び図8などで表されるように、光軸方向から見て平板部30Cに繋がる基端部31(基端部31A)側から固定体10と接続される先端部32(先端部32A)側まで交差方向のうちの第1交差方向C1に沿って延設される2つの固定体側腕部30Aを有している。また、図5及び図8などで表されるように、光軸方向から見て平板部30Cに繋がる基端部31(基端部31B)側から可動体20と接続される先端部32(先端部32B)側まで交差方向のうちの第2交差方向C2に沿って延設される2つの可動体側腕部30Bを有している。
【0018】
そして、図9及び図10で表されるように、本実施例のジンバル機構30においては、固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bは、基端部31から先端部32に向かう方向が、交差方向から見て平板部30Cに対して傾斜して延設されている。そして、固定体側腕部30Aの傾斜方向(基端部31から先端部32に向かうにつれて-Z方向に位置するよう傾斜)と可動体側腕部30Bの傾斜方向(基端部31から先端部32に向かうにつれて+Z方向に位置するよう傾斜)とは、交差方向から見て反対方向である。このような構成とすることで、光軸方向における可動体20の固定体10に対する揺動範囲を被写体側(+Z方向側)と反被写体側(-Z方向側)とで効率的に配置でき、可動体20と固定体10との隙間G(図6及び図7参照)が小さい場合でも、効果的に可動体20を固定体10に対して揺動させることができる。したがって、光学モジュール22を有する可動体20を固定体10に対して揺動可能に支持する光学ユニット1において、揺動範囲を狭くすることなく光軸方向の厚みを薄くすることができる。
【0019】
また、本実施例の光学ユニット1においては、ジンバル機構30の形状を調整することにより、固定体10は、反被写体側に平板部30Cと面する底面(底面構成部材10B)を有し、交差方向から見た平板部30C及び可動体20の隙間G1と平板部30C及び底面の隙間G2との差は略同等、具体的には、0.2mm以下となるように調整されている。このような構成とすることで、光軸方向における可動体20の固定体10に対する揺動範囲を被写体側と反被写体側とで略均等に配置でき、可動体20と固定体10との隙間Gが小さい場合でも、可動体20の固定体10に対する揺動範囲を効果的に広くさせることができる。
【0020】
また、本実施例の光学ユニット1においては、交差方向から見た平板部30Cに対する固定体側腕部30Aの傾斜角度Θ1(図9参照)と可動体側腕部30Bの傾斜角度Θ2(図9参照)とは、ともに5°未満となるように調整されている。ここで、傾斜角度Θ1と傾斜角度Θ2との差は略同等、具体的には、2°以下となっていることが好ましい。このような構成とすることで、光軸方向における可動体20の固定体10に対する揺動範囲を被写体側と反被写体側とで略均等に配置でき、可動体20と固定体10との隙間Gが小さい場合でも、可動体20の固定体10に対する揺動範囲を効果的に広くさせることができるためである。
【0021】
また、本実施例の光学ユニット1においては、光軸方向から見た固定体側腕部30Aの長さL1(図8参照)と可動体側腕部30Bの長さL2(図8参照)との差は略同等、具体的には、2mm以下となっている。このような構成とすることで、光軸方向に対する可動体20の固定体10に対する揺動のずれを低減でき、可動体20と固定体10との隙間Gが小さい場合でも、可動体20の固定体10に対する揺動範囲を効果的に広くさせることができる。
【0022】
また、本実施例の光学ユニット1においては、固定体側腕部30Aのバネ定数と可動体側腕部30Bのバネ定数との差は略同等となっている。このような構成とすることで、光軸方向に対する可動体20の固定体10に対する揺動のずれを低減でき、可動体20と固定体10との隙間Gが小さい場合でも、可動体20の固定体10に対する揺動範囲を効果的に広くさせることができる。
【0023】
また、本実施例の光学ユニット1においては、図6で表されるように、第1交差方向C1における平板部30Cの長さL3aが第1交差方向C1における可動体20の長さL4aの2分の1以下である。また、図7で表されるように、第2交差方向C2における平板部30Cの長さL3bが第2交差方向C2における可動体20の長さL4bの2分の1以下である。このように、第1交差方向C1における平板部30Cの長さL3aが第1交差方向C1における可動体20の長さL4aの2分の1以下であること、及び、第2交差方向C2における平板部30Cの長さL3bが第2交差方向C2における可動体20の長さL4bの2分の1以下であること、の少なくとも一方に該当することが好ましい。
【0024】
このような構成とすることで、図11及び図12で表されるように、ジンバル機構30が固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bを回転軸として最大限揺動した場合でも、可動体20と平板部30Cとが衝突することを効果的に抑制することができる。別の表現をすると、可動体20の揺動時に、平板部30Cと可動体20とが衝突すること、並びに平板部30Cと底面構成部材10Bとが衝突すること、を抑制することができるとともに、隙間G1及び隙間G2を大きく取る必要性をなくせることで光学ユニット1の光軸方向のサイズを大きくする必要性をなくすことができる。
【0025】
また、図8で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bは、基端部31から先端部32に向かって徐々に幅が狭くなる構成となっている。別の表現をすると、固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bは、ともに、括れや出っ張りがない。このような構成とすることで、固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bにおける応力集中を低減することができる。
【0026】
また、本実施例の光学ユニット1においては、固定体10は反被写体側に平板部30Cと面する底面である底面構成部材10Bを有し、可動体20は底面構成部材10Bに面する対向面20Aを有し、対向面20Aには底面構成部材10B側に突出する突出部24(図5参照)が設けられ、可動体20が固定体10に対して反被写体側に変位した際に、ジンバル機構30が底面構成部材10Bに接触するよりも先に突出部24が底面構成部材10Bに当接する構成となっている。このような構成とすることで、例えば光学ユニット1が外力などを受けて可動体20が固定体10に対して光軸方向に沿って移動した際などにおいて、構造的に耐衝撃性を強くすることが難しいジンバル機構30が底面構成部材10Bに衝突することを抑制することができる。
【0027】
上記について別の観点から説明すると、本実施例の光学ユニット1においては、可動体20が固定体10に対して反被写体側に変位し、突出部24が底面構成部材10Bに当接した場合でも、平板部30Cと可動体20とが対向する位置における隙間G1と、ジンバル機構30と固定体10との隙間G2と、はゼロにはならない構成となっている。このような構成とすることで、構造的に耐衝撃性を強くすることが難しいジンバル機構30が底面構成部材10Bに衝突することを抑制することができる。
【0028】
また、本実施例の光学ユニット1においては、図11及び図12で表されるように、ジンバル機構30が固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bを回転軸として最大限揺動した場合でも、ジンバル機構30が底面構成部材10Bに接触するよりも先に突出部24が底面構成部材10Bに当接する構成となっている。このような構成とすることで、構造的に耐衝撃性を強くすることが難しいジンバル機構30が底面構成部材10Bに衝突することを抑制することができる。
【0029】
また、本実施例の光学ユニット1においては、平板部30Cは固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bに比べて変形しにくく構成されている。このような構成とすることで、平板部30Cが捻じれることによって固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bの一方が捻じれるとともにさらに他方も捻じれることが阻害されること、すなわち、平板部30Cが捻じれることによって可動体20の固定体10に対する揺動範囲が狭くなること、を抑制することができる。
【0030】
また、図5及び図8などで表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、平板部30Cは、固定体側腕部30A及び可動体側腕部30Bのうちのバネ定数が低い方の基端部31よりもバネ定数が高い方の基端部31に近い場所に孔部33が設けられている。このような構成とすることで、固定体側腕部30Aの延設方向(第1交差方向C1)におけるバネ定数と可動体側腕部30Bの延設方向(第2交差方向C2)におけるバネ定数とを高い精度で揃えることができる。これらのバネ定数を揃えることで、光軸方向に対する可動体20の固定体10に対する揺動のずれを効果的に低減でき、可動体20と固定体10との隙間Gが小さい場合でも、可動体20の固定体10に対する揺動範囲を効果的に広くさせることができる。
【0031】
<回転駆動機構>
次に、回転駆動機構について説明するが、上記のように磁石21Aと磁石21Bとは同様の構成であるとともに磁石21A及び磁石21Bと対向する位置に配置される2つのコイル61A及びコイル61Bは同様の構成である。図1から図4で表されるように、本実施例の光学ユニット1は、回転駆動機構として、磁石21Aとコイル61Aとからなるピッチング軸揺動機構と、磁石21Bとコイル61Bとからなるヨーイング軸揺動機構と、を有している。ただし、このような構成に限定されず、ピッチング軸揺動機構とヨーイング軸揺動機構とのうちのいずれか1方のみを備える構成としてもよい。さらに、固定体10に対して可動体20をローリング方向に揺動可能なローリング軸揺動機構を設けていてもよい。
【0032】
<接続部>
また、図6及び図7などで表されるように、本実施例の光学ユニット1は、ジンバル機構30を固定体10及び可動体20に対して揺動可能に接続する接続部80を有している。具体的には、接続部80として、図6で表されるように光軸方向から見て内側に突出する突出部81Aが設けられた固定体接続部80Aと、図7で表されるように光軸方向から見て内側に突出する突出部81Bが設けられた可動体接続部80Bと、を有している。固定体接続部80Aには、ジンバル機構30の固定体側腕部30Aが取り付けられ、固定体10の矩形枠状のケース部10Aの4隅のうちの対向する2か所に配置される。そして、可動体接続部80Bには、ジンバル機構30の可動体側腕部30Bが取り付けられ、矩形枠状の可動体20の4隅のうちの対向する2か所に配置される。
【0033】
ここで、固定体側腕部30Aには突出部81Aを収容する凹部34Aが設けられ、可動体側腕部30Bには突出部81Bを収容する凹部34Bが設けられている。また、ケース部10Aと可動体20とは4隅の位置が揃うように配置され、2つの固定体接続部80A及び2つの可動体接続部80Bは該4隅に1つずつ配置される。接続部80は、このような構成で固定体10及び可動体20に対してジンバル機構30を支持している。なお、本実施例の接続部80においては、固定体接続部80Aの一部を突出させることで突出部81Aを構成し、可動体接続部80Bの一部を突出させることで突出部81Bを構成している。ただし、このような構成に限定されず、例えば、固定体接続部80Aや可動体接続部80Bに例えば球状の部材を溶接などで取り付けて構成してもよい。
【0034】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0035】
最後に、本発明について包括的に以下に記載する。
(1)
光学モジュールを有する可動体と、固定体と、前記光学モジュールの光軸に沿う光軸方向と交差する交差方向のうちの少なくとも1方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、を備え、前記ジンバル機構は、前記可動体に対して前記光軸方向における前記光学モジュールの被写体側とは反対の反被写体側に配置される平板部と、前記平板部に繋がる基端部側から前記固定体と接続される先端部側まで前記交差方向のうちの第1交差方向に沿って延設される2つの固定体側腕部と、前記平板部に繋がる基端部側から前記可動体と接続される先端部側まで前記交差方向のうちの第2交差方向に沿って延設される2つの可動体側腕部と、を有し、前記固定体側腕部及び前記可動体側腕部は、前記交差方向から見て前記平板部に対して傾斜して延設され、前記固定体側腕部の傾斜方向と前記可動体側腕部の傾斜方向とは、前記交差方向から見て反対方向であることを特徴とする光学ユニット。
【0036】
(2)
上記(1)に記載の光学ユニットにおいて、前記固定体は、前記反被写体側に前記平板部と面する底面を有し、前記交差方向から見た前記平板部及び前記可動体の隙間と前記平板部及び前記底面の隙間との差は、0.2mm以下であることを特徴とする光学ユニット。
【0037】
(3)
上記(1)または(2)に記載の光学ユニットにおいて、前記交差方向から見た前記平板部に対する前記固定体側腕部の傾斜角度と前記可動体側腕部の傾斜角度との差は、2°以下であることを特徴とする光学ユニット。
【0038】
(4)
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記光軸方向から見た前記固定体側腕部の長さと前記可動体側腕部の長さとの差は、2mm以下であることを特徴とする光学ユニット。
【0039】
(5)
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記第1交差方向における前記平板部の長さが前記第1交差方向における前記可動体の長さの2分の1以下であること、及び、前記第2交差方向における前記平板部の長さが前記第2交差方向における前記可動体の長さの2分の1以下であること、の少なくとも一方に該当することを特徴とする光学ユニット。
【0040】
(6)
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記固定体側腕部及び前記可動体側腕部は、基端部から先端部に向かって徐々に幅が狭くなる構成であることを特徴とする光学ユニット。
【0041】
(7)
上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記固定体は、前記反被写体側に前記平板部と面する底面を有し、前記可動体は、前記底面に面する対向面を有し、前記対向面には、前記底面側に突出する突出部が設けられ、前記可動体が前記固定体に対して前記反被写体側に変位した際に、前記ジンバル機構が前記底面に接触するよりも先に前記突出部が前記底面に当接することを特徴とする光学ユニット。
【0042】
(8)
上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記平板部は、前記固定体側腕部及び前記可動体側腕部に比べて変形しにくく構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【0043】
(9)
上記(8)に記載の光学ユニットにおいて、前記平板部は、前記固定体側腕部及び前記可動体側腕部のうちのバネ定数が低い方の基端部よりもバネ定数が高い方の基端部に近い場所に孔部が設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【符号の説明】
【0044】
1…光学ユニット、10…固定体、10A…ケース部、10B…底面構成部材(底面)、10C…カバー部、11…孔部、20…可動体、21…磁石、21A…磁石、21B…磁石、22…光学モジュール、23…レンズ、24…突出部、30…ジンバル機構、30A…固定体側腕部、30B…可動体側腕部、30C…平板部、31…基端部、31A…基端部、31B…基端部、32…先端部、32A…先端部、32B…先端部、33…孔部、34A…凹部、34B…凹部、60…FFC、61…コイル、61A…コイル、61B…コイル、80A…固定体接続部、80B…可動体接続部、81A…突出部、81B…突出部、AX…光軸、G…隙間、G1…隙間、G2…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12