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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114186
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】塗膜剥離方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/36 20060101AFI20240816BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240816BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20240816BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20240816BHJP
   C09D 9/00 20060101ALI20240816BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B05D1/36 Z
B05D7/00 K
B05D3/12 E
B05D5/00 A
C09D9/00
E04G23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019776
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】599071496
【氏名又は名称】ベック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真人
(72)【発明者】
【氏名】新濱 史親
【テーマコード(参考)】
2E176
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
2E176AA01
2E176BB04
2E176BB36
4D075AC57
4D075AC71
4D075AE03
4D075BB01Z
4D075BB56Y
4D075BB60Z
4D075BB63Z
4D075BB68Z
4D075CA07
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DA27
4D075DB11
4D075DC01
4D075DC05
4D075EA05
4D075EB22
4D075EB51
4D075EB53
4D075EC01
4D075EC13
4D075EC30
4D075EC31
4D075EC33
4J038JA08
4J038RA03
(57)【要約】
【課題】
旧塗膜に、特定の塗料を塗付、乾燥させて塗膜を形成した後、当該塗膜を剥離剤によって剥離する塗膜剥離方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、基材上の旧塗膜を剥離する塗膜剥離方法であって、
上記旧塗膜の表面に、塗料(I)を塗付、乾燥させて塗膜(I)を形成する工程と、
上記塗膜(I)の表面に剥離剤を塗付し、該塗膜(I)を軟化させた後、塗膜(I)及び旧塗膜を剥離する工程と、を含み、上記塗料(I)は、樹脂成分及び粉体成分を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の旧塗膜を剥離する塗膜剥離方法であって、
上記旧塗膜の表面に、塗料(I)を塗付、乾燥させて塗膜(I)を形成する工程と、
上記塗膜(I)の表面に剥離剤を塗付し、該塗膜(I)を軟化させた後、塗膜(I)及び旧塗膜を剥離する工程と、
を含み、
上記塗料(I)は、樹脂成分及び粉体成分を含むことを特徴とする塗膜剥離方法。
【請求項2】
上記塗料(I)の樹脂成分は、ガラス転移温度が20℃以下である合成樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の塗膜剥離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な塗膜剥離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物、土木構造物等の表面に形成された塗膜(旧塗膜)を塗り替える方法として、旧塗膜の上に新しい塗料を塗装する方法、または、旧塗膜を一旦剥離し新しい塗料を塗装する方法等が挙げられる。
旧塗膜を剥離する方法としては、サンダー処理、ブラスト処理、高圧水噴射、タガネハツリ等の物理的手法、薬剤、溶剤を利用した化学的手法等が挙げられる。最近では、下地損傷、粉塵飛散等の問題、環境配慮等の観点から、剥離剤を利用した化学的手法が用いられている。(例えば、特許文献1~2等)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-131651号公報
【特許文献2】特開2018-70725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
剥離剤を利用した塗膜剥離方法は、剥離剤によって旧塗膜を軟化させた後、スクレイパー等により旧塗膜を剥離するものである。
しかし、旧塗膜には種々の塗料が採用されており、塗料の種類によっては剥離剤に溶解してしまい、剥離作業が困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、旧塗膜の種類に関わらず、作業性に優れ、高い剥離性能を有する塗膜剥離方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために本発明者らは、鋭意検討の結果、旧塗膜に、特定の塗料を塗付、乾燥させて塗膜を形成した後、剥離剤によって、旧塗膜を当該塗膜とともに剥離する塗膜剥離方法に想到し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.基材上の旧塗膜を剥離する塗膜剥離方法であって、
上記旧塗膜の表面に、塗料(I)を塗付、乾燥させて塗膜(I)を形成する工程と、
上記塗膜(I)の表面に剥離剤を塗付し、該塗膜(I)を軟化させた後、塗膜(I)及び旧塗膜を剥離する工程と、
を含み、
上記塗料(I)は、樹脂成分及び粉体成分を含むことを特徴とする塗膜剥離方法。
2.上記塗料(I)の樹脂成分は、ガラス転移温度が20℃以下である合成樹脂を含むことを特徴とする1.に記載の塗膜剥離方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塗膜剥離方法によれば、旧塗膜の種類に関わらず、作業性に優れ、高い剥離性能を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
本発明は、基材上の旧塗膜を剥離する塗膜剥離方法に関するものであり、建築物、土木構造物等の基材表面に形成された塗膜(旧塗膜)を剥離するものである。
基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、スレート板、珪酸カルシウム板、ALC板、押出成型板、スレート瓦、セメント瓦、新生瓦、磁器タイル、サイディングボード、金属、ガラス、木材、合板等が挙げられる。
旧塗膜としては、上記基材の上に塗装されている塗膜であり、例えば、JIS K5621「一般用さび止めペイント」、JIS K5651「アミノアルキド樹脂塗料」、JIS K5658「建築用耐候性上塗り塗料」、JIS K5659「鋼構造物用耐候性塗料」、JIS K5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」、JIS K5661「建築用防火塗料」、JIS K5663「合成樹脂エマルションペイント」、JIS K5668「合成樹脂エマルション模様塗料」、JIS K5665「路面標示用塗料」、JIS K5667「多彩模様塗料」、JIS K5670「アクリル樹脂系非水分散形塗料」、JIS K5674「鉛・クロムフリーさび止めペイント」、JIS K5675「屋根用高日射反射率塗料」、JIS A6909「建築用仕上塗材」等により形成された塗膜が挙げられる。また、旧塗膜は、単層塗膜であっても複層塗膜であってもよい。さらに、本発明は、剥離剤によって溶解しやすく剥離が困難な旧塗膜や、強度不足、密着不良、膨れ等の欠損部を生じた旧塗膜の剥離に好適である。
【0011】
本発明の塗膜剥離方法は、
上記旧塗膜の表面に、塗料(I)を塗付、乾燥させて塗膜(I)を形成する工程(以下「第1工程」ともいう。)と、
上記塗膜(I)の表面に剥離剤を塗付し、該塗膜(I)を軟化させた後、塗膜(I)及び旧塗膜を剥離する工程(以下「第2工程」ともいう。)と、
を含むことを特徴とする。
本発明の塗膜剥離方法によれば、旧塗膜に剥離剤を直接適用することが困難な場合(例えば、旧塗膜が剥離剤によって溶解しやすい場合等)であっても、旧塗膜と塗膜(I)を一体化することにより容易に剥離することができるため、作業性が向上し剥離残渣を減らすことができる。
【0012】
上記第1工程における塗料(I)は、樹脂成分及び粉体成分を含むことを特徴とする。
樹脂成分としては、各種合成樹脂が使用できる。合成樹脂の種類としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合樹脂等の合成樹脂挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。これら樹脂成分は架橋反応性を有するものであってもよい。このような樹脂成分の形態としては、溶剤可溶形樹脂、非水分散形樹脂、水溶性樹脂、水分散性樹脂(合成樹脂エマルション)等が挙げられ、特に水分散性樹脂(以下「合成樹脂エマルション」という。)を含むことが望ましい。
【0013】
合成樹脂エマルションとしては、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
【0014】
また、合成樹脂エマルションは架橋反応性を有するものが好適である。これにより、形成した塗膜(I)が剥離剤によって溶解しにくくなるため、塗膜を剥離する工程において、塗膜(I)は概ね膜状(シート状)を保ったまま剥離することができる。これにより、本発明の効果をよりいっそう高めることができる。
【0015】
架橋反応性を有する合成樹脂エマルションは、それ自体で架橋反応を生じるもの、あるいは別途混合する架橋剤によって架橋反応を生じるもののいずれであってもよい。このような架橋反応性は、例えば、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、アルコキシル基どうし等の反応性官能基を組み合わせることによって付与することができる。
【0016】
合成樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、20℃以下(より好ましくは-50~10℃、さらに好ましくは-45~0℃)であることが好ましい。このような範囲場合、形成された塗膜(I)が柔軟性を有するため、剥離性に有利である。なお、本発明におけるTgは、合成樹脂を構成するモノマーの種類とその構成比率から、Foxの計算式によって求められる値である。
【0017】
塗料(I)では、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、例えば、多価金属酸化物、多価金属水酸化物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、ヒドラジン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物等の1種又は2種以上が好適に用いられる。これらの中でも、多価金属酸化物が好ましい。
【0018】
上記多価金属酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化パラジウム、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化ビスマス等が好ましい。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0019】
粉体成分としては、特に限定されないが、少なくとも体質顔料を含むことが好適である。
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、マイカ、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
【0020】
体質顔料の粒子径は、好ましくは0.1~50μm(より好ましくは1~30μm)である。また、体質顔料は、吸油量5~150ml/100g(より好ましくは10~100ml/100g)であることが好ましい。なお吸油量は、JIS K 5101-13-1(精製あまに油法)に準じて測定した値である。
【0021】
このような粉体成分を含むことにより、剥離剤の浸透性が高まり、塗膜(I)下の旧塗膜まで剥離剤を浸透させることができる。また、溶解した旧塗膜の成分を効率的に吸着することができる。さらに、塗膜(I)の厚膜化が可能となり、剥離時の作業効率を高めることができる。
【0022】
粉体成分の含有量は、上記合成樹脂エマルション100重量部(固形分)に対して、好ましくは50~500重量部(より好ましくは80~300重量部)である。このような範囲を満たす場合、上記効果を十分に発揮することができる。
【0023】
塗料(I)では、粉体成分として、公知の着色顔料を含むこともできる。着色顔料を含む場合、塗料(I)の塗付ムラを防止することができる。着色顔料としては、例えば、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、群青、コバルトグリーン等の無機有彩色顔料;アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機有彩色顔料;カーボンブラック、鉄‐マンガン複合酸化物、鉄‐銅‐マンガン複合酸化物、鉄‐クロム‐コバルト複合酸化物、銅‐クロム複合酸化物、銅‐マンガン‐クロム複合酸化物、黒色酸化鉄等の黒色顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の白色顔料;その他パール顔料、アルミニウム顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。着色顔料の平均粒子径は、好ましくは1μm未満、より好ましくは0.01~0.9μmである。なお、本発明において、顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される平均値である(測定温度は25℃)。
【0024】
塗料(I)では、上述の成分の他、本発明の効果に影響しない程度に各種成分を混合することも可能である。このような成分としては、例えば、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、皮張り防止剤、脱水剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。塗料(I)は、以上のような各成分を常法により均一に撹拌・混合して製造することができる。
【0025】
また、塗料(I)は、不揮発分が60重量%以上95重量%以下(より好ましくは65~90重量%)であること好ましい。このような不揮発分を有する場合、塗膜(I)の厚膜化が可能となり、剥離剤の浸透性、剥離性をよりいっそう高めることができる。さらには、不揮発分に対する樹脂成分比率が20重量%以上(好ましくは25重量%以上60重量%以下)であることが好適である。このように不揮発分中に樹脂成分を多く含むことにより、旧塗膜の表面に均一な塗膜(I)を形成することができる。一方、形成された塗膜(I)は、剥離剤によって軟化はするが溶解しにくく、塗膜を剥離する工程においては、塗膜(I)の形状(フィルム状)を保ったまま剥離することができる。
なお、不揮発分は、塗装時(塗付時)における不揮発分であり、塗料(I)を希釈後に塗装に供する場合は、希釈後の不揮発分のことを言う。本発明における不揮発分は、JIS K5601-1-2の方法にて測定される加熱残分であり、加熱温度は105℃、加熱時間は60分である。
【0026】
塗料(I)を塗付(塗装)する際には、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装等、種々の方法を用いることができる。塗装時の塗付け量は、好ましくは10~800g/m(より好ましくは20~500g/m)である。塗料(I)の塗回数は、旧塗膜の表面状態等によって適宜設定すればよいが、好ましくは1~2回である。また、形成された塗膜(I)の厚みは、好ましくは0.1~1.0mm(より好ましくは0.2~0.6mm)である。このような場合、本発明の効果をいっそう高めることができる。
【0027】
塗料(I)の乾燥時間は、好ましくは8時間以上(より好ましくは16時間以上とすることが好適である。また乾燥温度は、好ましくは-5~50℃(より好ましくは0~40℃)である。
【0028】
上記第1工程後、第2工程として、上記塗膜(I)の表面に剥離剤を塗付し、該塗膜(I)を軟化させた後、塗膜(I)及び旧塗膜を剥離する。
第2工程における、剥離剤としては、特に限定されず公知の剥離剤や市販の剥離剤を使用することができる。このような剥離剤としては、例えば、構成成分として、二塩基酸エステル、ベンジルアルコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等から選ばれる1種または2種以上を含むものが使用できる。
【0029】
剥離剤は、塗膜(I)の表面に、好ましくは0.1~3.0kg/m(より好ましくは0.2~3.0kg/m)で塗付する。塗装器具としては特に限定されず、例えば、ローラー、刷毛、鏝、ヘラ、スプレー、ガン等を用いて塗装すればよい。
【0030】
第2工程では、剥離剤を塗付し、塗膜(I)が軟化した状態(塗膜に縮み等を生じた時点)で剥離を開始すればよいが、好ましくは塗付直後から30分以内(より好ましくは20分以内)で剥離を開始することができる。剥離器具としては特に限定されず、例えば、鏝、ヘラ、スクレーパー等を用いて剥離すればよい。
【実施例0031】
〔旧塗膜〕
スレート板(300×300×6mm)の片面に、JIS K5670「アクリル樹脂系非水分散形塗料」を塗付け量が0.3kg/mとなるようにローラー塗りし、7日間乾燥させて塗膜を形成した。これを促進耐候性試験機「アイスーパーUVテスター」(岩崎電気株式会社製)にて400時間曝露させたものを旧塗膜とした。
【0032】
〔塗料(I)〕
・塗料1
アクリル樹脂エマルション(固形分:50重量%、Tg:-30℃)100重量部に対し、重質炭酸カルシウム(平均粒子径:5μm、吸油量:15ml/100g)100重量部、添加剤(分散剤、増粘剤、造膜助剤等)を均一に混合し塗料1を製造した。
・塗料2
アクリル樹脂エマルション(固形分:50重量%、Tg:3℃)100重量部に対し、重質炭酸カルシウム(平均粒子径:5μm、吸油量:15ml/100g)100重量部、添加剤(分散剤、増粘剤、造膜助剤等)を均一に混合し塗料2を製造した。
・塗料3
アクリル樹脂エマルション(固形分:50重量%、Tg:3℃)100重量部に対し、重質炭酸カルシウム(平均粒子径:5μm、吸油量:15ml/100g)300重量部、添加剤(分散剤、増粘剤、造膜助剤等)を均一に混合し塗料3を製造した。
【0033】
(試験)
旧塗膜面が垂直となるように置き、塗料(I)を塗付け量が0.3kg/mとなるようにローラー塗りした後、24時間乾燥させ、塗膜(I)を形成した。次いで、剥離剤(塩化メチレン系)を塗付け量が0.8kg/mとなるようにローラー塗りし、その直後に、ヘラを用いて、塗膜(I)及び旧塗膜を剥離した。この時の剥離性を評価した。なお、全ての工程は、温度23度、相対湿度50%の環境下にて行った。
試験例4では、旧塗膜に対し直接剥離剤をローラー塗りした。
剥離性の評価は、問題無くスムーズに剥離でき、優れた剥離効果を示したものを「A」、剥離が困難であり、剥離残渣を生じたものを「D」とする4段階で評価した。結果は表1に示す。
【0034】
【表1】