(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114191
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/32 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
G01N29/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019787
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】小野 富男
(72)【発明者】
【氏名】中井 豊
(72)【発明者】
【氏名】山本 紀子
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA08
2G047AB04
2G047BA01
2G047BC03
2G047BC12
2G047CA01
2G047EA10
2G047GB17
2G047GF09
2G047GG46
(57)【要約】
【課題】検出精度を向上できる検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、検査装置は、第1、第2送信部、第1、第2受信部、搬送部、及び、制御部を含む。第1送信部は、第1方向に沿って並ぶ複数の第1送信素子を含む。第2送信部は、第1方向に沿って並ぶ複数の第2送信素子を含む。第1送信部から第2送信部への第2方向は、第1方向と交差する。制御部は、第1送信部から第1超音波を送信させ、第2送信部から第2超音波を送信させることが可能である。制御部は、複数の第1送信素子の1つに第1信号を供給し、複数の第1送信素子の別の1つに第1隣信号を供給する。第1隣信号は、第1信号の反転である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って並び第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子を含む第1送信部と、
前記第1方向に沿って並び第2超音波を送信可能な複数の第2送信素子を含む第2送信部であって、前記第1送信部から前記第2送信部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記複数の第2送信素子の1つの前記第1方向における第2位置は、前記複数の第1送信素子の1つの前記第1方向における第1位置と、前記複数の第1送信素子の別の1つの前記第1方向における第1隣位置と、の間にあり、前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣である、前記第2送信部と、
前記第1超音波を受信可能な複数の第1受信素子を含む第1受信部と、
前記第2超音波を受信可能な複数の第2受信素子を含む第2受信部と、
前記第1送信部と前記第1受信部との間、及び、前記第2送信部と前記第2受信部との間の空間中を前記第2方向に沿って、検査対象を搬送可能な搬送部と、
前記第1送信部から前記第1超音波を送信させ、前記第2送信部から前記第2超音波を送信させることが可能な制御部であって、前記制御部は、前記複数の第1送信素子の前記1つに第1信号を供給し、前記複数の第1送信素子の前記別の1つに第1隣信号を供給し、前記第1隣信号は、前記第1信号の反転である、前記制御部と、
を備えた検査装置。
【請求項2】
前記第2位置と前記第1位置との間の距離は、前記第2位置と前記第1隣位置との間の距離と実質的に同じである、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記複数の第1送信素子は、前記第1方向に沿って第1ピッチで並び、
前記複数の第2送信素子は、前記第1方向に沿って前記第1ピッチで並び、
前記複数の第2送信素子の前記第1方向における位置は、前記複数の第1送信素子の前記第1方向における位置を基準にして前記第1ピッチの1/2でシフトしている、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1信号及び前記第1隣信号を前記複数の第1送信素子に交互に供給可能である、請求項1~3のいずれか1つに記載の検査装置。
【請求項5】
前記複数の第1送信素子の前記1つは、
前記第1超音波を発生させることが可能な第1送信トランスデューサ膜と、
前記第1超音波を導波させることが可能な第1送信導波部と、
を含む、請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記複数の第1受信素子の1つは、
前記第1超音波を導波させることが可能な第1受信導波部と、
前記第1超音波により変形可能な第1受信トランスデューサ膜と、
を含み、
前記第1送信導波部は、前記第1送信トランスデューサ膜と、前記第1受信トランスデューサ膜と、の間にあり、
前記第1受信導波部は、前記第1送信導波部と、前記第1受信トランスデューサ膜と、の間にある、請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
第1方向に沿って並び第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子を含む第1送信部であって、前記複数の第1送信素子の1つは、第1圧電層を含み、前記複数の第1送信素子の別の1つは、第1隣圧電層を含み、前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣であり、前記第1隣圧電層の極性は、前記第1圧電層の極性に対して反転している、前記第1送信部と、
前記第1方向に沿って並び第2超音波を送信可能な複数の第2送信素子を含む第2送信部であって、前記第1送信部から前記第2送信部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記複数の第2送信素子の1つの前記第1方向における第2位置は、前記複数の第1送信素子の前記1つの前記第1方向における第1位置と、前記複数の第1送信素子の前記別の1つの前記第1方向における第1隣位置と、の間にある、前記第2送信部と、
前記第1超音波を受信可能な複数の第1受信素子を含む第1受信部と、
前記第2超音波を受信可能な複数の第2受信素子を含む第2受信部と、
前記第1送信部と前記第1受信部との間、及び、前記第2送信部と前記第2受信部との間の空間中を前記第2方向に沿って、検査対象を搬送可能な搬送部と、
を備えた検査装置。
【請求項8】
前記第2位置と前記第1位置との間の距離は、前記第2位置と前記第1隣位置との間の距離と実質的に同じである、請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記複数の第1送信素子は、前記第1方向に沿って第1ピッチで並び、
前記複数の第2送信素子は、前記第1方向に沿って前記第1ピッチで並び、
前記複数の第2送信素子の前記第1方向における位置は、前記複数の第1送信素子の前記第1方向における位置を基準にして前記第1ピッチの1/2でシフトしている、請求項7に記載の検査装置。
【請求項10】
第1方向に沿って並び第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子を含む第1送信部と、
前記第1方向に沿って並び第2超音波を送信可能な複数の第2送信素子を含む第2送信部であって、前記第1送信部から前記第2送信部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記複数の第2送信素子の1つの前記第1方向における第2位置は、前記複数の第1送信素子の1つの前記第1方向における第1位置と、前記複数の第1送信素子の別の1つの前記第1方向における第1隣位置と、の間にあり、前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣である、前記第2送信部と、
前記第1超音波を受信可能な複数の第1受信素子を含む第1受信部と、
前記第2超音波を受信可能な複数の第2受信素子を含む第2受信部と、
を含む素子部の前記第1送信部から前記第1超音波を送信させ、前記第2送信部から前記第2超音波を送信させ、
前記複数の第1送信素子の前記1つに第1信号を供給し、
前記複数の第1送信素子の前記別の1つに第1隣信号を供給し、
前記第1隣信号は、前記第1信号の反転であり、
前記第1送信部と前記第1受信部との間、及び、前記第2送信部と前記第2受信部との間の空間を前記第2方向に沿って移動する検査対象を検査する、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば超音波などを用いた検査装置がある。検出精度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、検出精度を向上できる検査装置及び検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、検査装置は、第1送信部、第2送信部、第1受信部、第2受信部、搬送部、及び、制御部を含む。前記第1送信部は、第1方向に沿って並び第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子を含む。前記第2送信部は、前記第1方向に沿って並び第2超音波を送信可能な複数の第2送信素子を含む。前記第1送信部から前記第2送信部への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記複数の第2送信素子の1つの前記第1方向における第2位置は、前記複数の第1送信素子の1つの前記第1方向における第1位置と、前記複数の第1送信素子の別の1つの前記第1方向における第1隣位置と、の間にある。前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣である。前記第1受信部は、前記第1超音波を受信可能な複数の第1受信素子を含む。前記第2受信部は、前記第2超音波を受信可能な複数の第2受信素子を含む。前記搬送部は、前記第1送信部と前記第1受信部との間、及び、前記第2送信部と前記第2受信部との間の空間中を前記第2方向に沿って、検査対象を搬送可能である。前記制御部は、前記第1送信部から前記第1超音波を送信させ、前記第2送信部から前記第2超音波を送信させることが可能である。前記制御部は、前記複数の第1送信素子の前記1つに第1信号を供給し、前記複数の第1送信素子の前記別の1つに第1隣信号を供給する。前記第1隣信号は、前記第1信号の反転である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
【
図6】
図6(a)~
図6(d)は、第2実施形態に係る検査装置を例示する模式的断面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る検査方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図3は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
図1及び
図2に示すように、実施形態に係る検査装置110は、第1送信部11A、第2送信部12A、第1受信部21A、第2受信部22A、搬送部60及び制御部70を含む。
【0009】
第1送信部11Aは、複数の第1送信素子11を含む。複数の第1送信素子11は、第1方向D1に沿って並ぶ。複数の第1送信素子11は、第1超音波11wを送信可能である。
【0010】
第1方向D1をY軸方向とする。Y軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Y軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0011】
第2送信部12Aは、複数の第2送信素子12を含む。複数の第2送信素子12は、第1方向D1に沿って並ぶ。複数の第2送信素子12は、第2超音波12wを送信可能である。第1送信部11Aから第2送信部12Aへの第2方向D2は、第1方向D1と交差する。第2方向D2は、例えば、X軸方向に沿う。
【0012】
図3に示すように、複数の第2送信素子12の1つ(例えば素子12a)の第1方向D1における第2位置pp2は、複数の第1送信素子11の1つ(例えば素子11a)の第1方向D1における第1位置pp1と、複数の第1送信素子11の別の1つ(例えば素子11n)の第1方向D1における第1隣位置pn1と、の間にある。複数の第1送信素子11の上記の別の1つ(例えば素子11n)は、複数の第1送信素子11の上記の1つ(例えば素子11a)の隣である。
【0013】
例えば、複数の第1送信素子11の1つ(例えば素子11a)の第1方向D1における第1位置pp1は、複数の第2送信素子12の1つ(例えば素子12a)の第1方向D1における第2位置pp2と、複数の第2送信素子12の別の1つ(例えば素子12n)の第1方向D1における第2隣位置pn2と、の間にある。複数の第2送信素子12の上記の別の1つ(例えば素子12n)は、複数の第2送信素子12の上記の1つ(例えば素子12a)の隣である。
【0014】
図1に示すように、第1受信部21Aは、複数の第1受信素子21を含む。複数の第1受信素子21は、第1超音波11wを受信可能である。複数の第1受信素子21は、複数の第1送信素子11とそれぞれ対向する。
【0015】
第2受信部22Aは、複数の第2受信素子22を含む。複数の第2受信素子22は、第2超音波12wを受信可能である。複数の第2受信素子22は、複数の第2送信素子12とそれぞれ対向する。
【0016】
図2に示すように、搬送部60は、第1送信部11Aと第1受信部21Aとの間、及び、第2送信部12Aと第2受信部22Aとの間の空間88S中を第2方向D2に沿って、検査対象80を搬送可能である。通過方向(搬送方向60D)は、第2方向D2に沿う。
【0017】
この例では、搬送部60は、第1搬送部61、第2搬送部62、第3搬送部63及び第4搬送部64を含む。第1搬送部61と第2搬送部62との間を、検査対象80が通過する。第3搬送部63と第4搬送部64との間を検査対象80が通過する。これらの搬送部は、例えば、ローラである。
【0018】
検査対象80は、例えば紙幣などである。検査対象80の材料は、紙の他に、樹脂でも良い。検査対象80は、有価証類でも良い。
【0019】
制御部70は、第1送信部11Aから第1超音波11wを送信させ、第2送信部12Aから第2超音波12wを送信させることが可能である。制御部70は、電気回路などを含む。
【0020】
制御部70から電気信号が第1送信部11A及び第2送信部12Aに供給されることで、これらの送信部から超音波が送信される。送信された超音波は、検査対象80を通過して受信部で受信される。検査対象80の状態に応じて、受信部に到達する超音波の強度などが変化する。第1受信部21A及び第2受信部22Aなどにより、超音波が受信され、電気信号に変化される。得られた電気信号により、検査対象80の状態が検査できる。
【0021】
検査対象80の状態は、例えば、異物(例えばテープなど)などの付着を含む。
【0022】
図3に示すように、実施形態においては、制御部70は、複数の第1送信素子11の1つ(例えば素子11a)に第1信号Sg1を供給する。制御部70は、複数の第1送信素子11の別の1つ(例えば素子11n)に第1隣信号Sn1を供給する。第1隣信号Sn1は、第1信号Sg1の反転である。
【0023】
この例では、制御部70は、第1回路71G及び反転回路71Rを含む。第1回路71Gは、第1信号Sg1を生成可能である。反転回路71Rは、第1回路71Gの出力を反転させる。反転回路71Rは、例えば差動回路71Dを含んで良い。差動回路71Dの負入力に、抵抗R2を介して、第1回路71Gの出力が接続される。差動回路71Dの負入力と、差動回路71Dの出力と、が抵抗R1により接続される。差動回路71Dの正入力は接地される。反転回路71Rの出力信号が第1隣信号Sn1に対応する。
【0024】
このように、実施形態においては、複数の第1送信素子11の1つ(例えば素子11a)と、複数の第1送信素子11の隣の1つ(例えば素子11n)と、に極性が反転した信号が供給される。これにより、これらの素子から送信される超音波の位相が180°シフトする。
【0025】
実施形態において、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)の第1方向D1における第2位置pp2が、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)の第1方向D1のける第1位置pp1と、複数の第1送信素子11の隣の1つ(素子11n)の第1方向D1の第1隣位置pn1と、の間になる。これにより、第1方向D1における解像度が向上する。
【0026】
素子12aの第2位置pp2に対応して、複数の第2受信素子22の1つが設けられる。この複数の第2受信素子22の1つに、素子12aからの超音波の他に、素子11aからの超音波と、素子11nからの超音波と、が到達する。素子11aからの超音波と、素子11nからの超音波と、において位相が同じ場合、これらの超音波は強め合う。素子11aからの超音波と、素子11nからの超音波と、は、クロストークを発生させる。クロストークは、複数の第2受信素子22の1つで受信される、素子12aからの超音波のノイズとなる。これにより、高い精度の検出が困難になる。
【0027】
実施形態においては、素子11aからの超音波と、素子11nからの超音波と、において位相が180°シフトされる。これらの超音波は弱め合う。クロストークが抑制される。これにより、複数の第2受信素子22の1つは、素子12aからの超音波を、低ノイズで受信できる。これにより、高精度の検出が可能になる。実施形態によれば、検出精度を向上できる検査装置を提供できる。
【0028】
実施形態において、第2位置pp2と第1位置pp1との間の距離は、第2位置pp2と第1隣位置pn1との間の距離と実質的に同じで良い。第2位置pp2に対応して設けられる複数の第2受信素子22の1つと、第1位置pp1と、の間の距離は、複数の第2受信素子22のその1つと、第1隣位置pn1と、の間の距離と実質的に同じで良い。
【0029】
図3に示すように、複数の第1送信素子11は、第1方向D1に沿って第1ピッチpt1で並ぶ。複数の第2送信素子12は、第1方向D1に沿って第1ピッチpt1で並ぶ。複数の第2送信素子12の第1方向D1における位置は、複数の第1送信素子11の第1方向D1における位置を基準にして、第1ピッチpt1の1/2でシフトしている。
【0030】
例えば、
図3に示すように、制御部70は、第1信号Sg1及び第1隣信号Sn1を複数の第1送信素子11に交互に供給可能である。クロストークが抑制される。
【0031】
図3に示すように、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)の第2方向D2における位置と、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)の第2方向D2における位置と、の間の第2方向D2に沿う距離を距離dx1とする。距離dx1は、例えば、第1送信部11Aと第2送信部12Aとの間のピッチに対応する。実施形態において、距離dx1は、第1ピッチpt1の10倍以下であることが好ましい。これにより、より高い精度での検出が可能になる。距離dx1が短いとき、第1送信部11Aと第2受信部22Aとの間の第2方向D2に沿う距離も短い。この状況において、反転させた極性の適用によるクロストークの低減が、効果的に得られる。実用的に、距離dx1は、第1ピッチpt1の2倍以上で良い。
【0032】
図3に示すように、制御部70は、複数の第2送信素子12の上記の1つ(例えば素子12a)に第1信号Sg1を供給する。制御部70は、複数の第2送信素子12の別の1つ(例えば素子12n)に第1隣信号Sn1を供給する。複数の第2送信素子12の別の1つ(素子12n)は、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)の隣である。
【0033】
これにより、素子11aに対応する受信素子の位置において、素子12aから送信される超音波と、素子12nから送信される超音波と、は、互いに弱め合う。クロストークが抑制される。
【0034】
実施形態において、複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11n)から送信される第1超音波11wの位相は、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)から送信される第1超音波11wの位相に対して180°シフトしている。
【0035】
図4は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図4に示すように、実施形態に係る検査装置110aにおいて、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)は、導波部(第1送信導波部11G)を含む。これを除く検査装置110aの構成は、検査装置110の構成と同様で良い。
【0036】
図4に示すように、複数の第1送信素子11の1つ(例えば素子11a)は、第1送信トランスデューサ膜11Fと、第1送信導波部11Gと、を含む。第1送信トランスデューサ膜11Fは、第1超音波11wを発生させることが可能である。第1送信導波部11Gは、第1超音波11wを導波させることが可能である。第1送信導波部11Gは、例えば、導波管である。導波管の内部を超音波が伝搬する。このような構成が、複数の第1送信素子11のそれぞれに設けられて良い。導波部が設けられることで、例えば、多重反射が抑制できる。多重反射の影響が実質的に存在しないことにより、より高速の検査が可能になる。
【0037】
図4に示すように、複数の第2送信素子12の1つ(例えば素子12a)は、第2送信トランスデューサ膜12Fと、第2送信導波部12Gと、を含む。第2送信トランスデューサ膜12Fは、第2超音波12wを発生させることが可能である。第2送信導波部12Gは、第2超音波12wを導波させることが可能である。第2送信導波部12Gは、例えば、導波管である。導波管の内部を超音波が伝搬する。このような構成が、複数の第2送信素子12のそれぞれに設けられて良い。
【0038】
図4に示すように、複数の第1受信素子21の1つ(素子21a)は、第1受信導波部21Gと、第1受信トランスデューサ膜21Fと、を含む。第1受信導波部21Gは、第1超音波11wを導波させることが可能である。第1受信トランスデューサ膜21Fは、第1超音波11wにより変形可能である。検査対象80を通過した第1超音波11wが、第1受信導波部21Gを伝搬して、第1受信トランスデューサ膜21Fに到達する。第1受信トランスデューサ膜21Fに到達した第1超音波11wに応じた第1受信トランスデューサ膜21Fの変形が圧電素子などにより電気信号に変換される。電気信号は、検査対象80の状態に関する情報を含む。
【0039】
図4に示すように、第1送信導波部11Gは、第1送信トランスデューサ膜11Fと、第1受信トランスデューサ膜21Fと、の間にある。第1受信導波部21Gは、第1送信導波部11Gと、第1受信トランスデューサ膜21Fと、の間にある。
【0040】
図4に示すように、複数の第2受信素子22の1つ(素子22a)は、第2受信導波部22Gと、第2受信トランスデューサ膜22Fと、を含む。第2受信導波部22Gは、第2超音波12wを導波させることが可能である。第2受信トランスデューサ膜22Fは、第2超音波12wにより変形可能である。検査対象80を通過した第2超音波12wが、第2受信導波部22Gを伝搬して、第2受信トランスデューサ膜22Fに到達する。第2受信トランスデューサ膜22Fに到達した第2超音波12wに応じた第2受信トランスデューサ膜22Fの変形が圧電素子などにより電気信号に変換される。電気信号は、検査対象80の状態に関する情報を含む。
【0041】
図4に示すように、第2送信導波部12Gは、第2送信トランスデューサ膜12Fと、第2受信トランスデューサ膜22Fと、の間にある。第2受信導波部22Gは、第2送信導波部12Gと、第2受信トランスデューサ膜22Fと、の間にある。
【0042】
このような導波部が設けられることで、対応する送信素子以外からの超音波の影響が抑制される。ノイズがより抑制される。より高い精度の検出が可能になる。
【0043】
一方、導波部が設けられる場合、隣合う送信素子から送信された超音波の影響が大きくなり、クロストークがより発生し易い。実施形態に係る反転信号が適用されることで、クロストークが発生し易くなる導波部が設けられる場合においても、クロストークを抑制できる。
【0044】
実施形態において、検査対象80の第3方向D3における位置と、第1送信導波部11Gの第3方向D3における位置と、の間の距離を第1距離d1とする。第1距離d1は、検査対象80の第3方向D3における位置と、第1送信導波部11Gの先端の第3方向D3における位置と、の間の距離で良い。実用的に、第1距離d1は、例えば、第1ピッチpt1(
図3参照)の0.5倍以下である。実用的に、第1距離d1は、第1ピッチpt1の0.1倍以上で良い。
【0045】
図4に示すように、第1受信導波部21Gと第1送信導波部11Gとの間の第3方向D3における距離を第2距離d2とする。第2距離d2は、実施形態において、第2距離d2は、例えば、第1ピッチpt1(
図3参照)の1倍以下であることが好ましい。これにより、クロストークが効果的に抑制される。第2距離d2が短い場合に、反転させた極性の適用によるクロストークの低減が、さらに効果的に得られる。実用的に、第2距離d2は、第2ピッチpt2の0.2倍以上で良い。
【0046】
第2距離d2は、第1超音波11wの波長の3倍以下であることが好ましい。実用的に、第2距離d2は、第1超音波11wの波長の0.5倍以上であることが好ましい。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分について説明する。
図5は、第2実施形態に係る検査装置を例示する模式的平面図である。
図6(a)~
図6(d)は、第2実施形態に係る検査装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係る検査装置120も、第1送信部11A、第2送信部12A、第1受信部21A(
図1及び
図2参照)、第2受信部22A(
図1及び
図2参照)、及び、搬送部60(
図2参照)を含む。検査装置120において、第1受信部21A、第2受信部22A及び搬送部60の構成は、検査装置110におけるそれらの構成と同様でよい。
【0048】
図5に示すように、第1送信部11Aは、複数の第1送信素子11を含む。複数の第1送信素子11は、第1方向D1に沿って並び第1超音波11w(
図1参照)を送信可能である。
【0049】
第2送信部12Aは、複数の第2送信素子12を含む。複数の第2送信素子12は、第1方向D1に沿って並ぶ。複数の第2送信素子12は、第2超音波12w(
図1参照)を送信可能である。第1送信部11Aから第2送信部12Aへの第2方向D2は、第1方向D1と交差する。
【0050】
検査装置120においても、第1受信部21Aは、複数の第1受信素子21を含む(
図1参照)。複数の第1受信素子21は、第1超音波11wを受信可能である。第2受信部22Aは、複数の第2受信素子22を含む(
図1参照)。複数の第2受信素子22は、第2超音波12wを受信可能である。搬送部60(
図2参照)は、第1送信部11Aと第1受信部21Aとの間、及び、第2送信部12Aと第2受信部22Aとの間の空間88S中を第2方向D2に沿って、検査対象80を搬送可能である。
【0051】
複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)の第1方向D1における第2位置pp2は、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)の第1方向D1における第1位置pp1と、複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11n)の第1方向にD1おける第1隣位置pn1と、の間にある。複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11n)は、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)の隣である。
【0052】
検査装置120においては、素子11aの構成が、素子11nの構成と異なる。
図6(a)は、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)に対応する。
図6(b)は、複数の第1送信素子11の別(隣)の1つの素子(素子11n)に対応する。
【0053】
図6(a)に示すように、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)は、第1圧電層31aを含む。
図6(b)に示すように、複数の第1送信素子11の別(隣)の1つ(素子11n)は、第1隣圧電層31nを含む。第1隣圧電層31nの極性q2は、第1圧電層31aの極性q1に対して反転している。極性は、例えば、分極の向きである。分極の向きは、例えば、素子の製造プロセスにおいて行われる高電圧印加処理などにより、制御できる。極性は、例えば材料(例えば結晶方位)などにより制御されても良い。
【0054】
図6(a)に示すように、第1圧電層31aは、電極35aと電極35bとの間に設けられる。第1圧電層31a、電極35a及び電極35bを含む積層体が膜部35fに固定される。膜部35fは基体30sに支持される。これらの電極に第1信号Sg1(例えば交流信号)が印加されることで、第1圧電層31aが変形する。変形により、膜部35fが変形する。変形により第1超音波11wが発生する。
【0055】
図6(b)に示すように、第1隣圧電層31nは、電極36aと電極36bとの間に設けられる。第1隣圧電層31n、電極36a及び電極36bを含む積層体が膜部36fに固定される。膜部36fは基体30sに支持される。これらの電極に第1信号Sg1(例えば交流信号)が印加されることで、第1隣圧電層31nが変形する。変形により、膜部36fが変形する。変形により第1超音波11wが発生する。
【0056】
圧電層における極性の違いにより、膜部36fの変形の位相は、膜部35fの変形の位相と、180°シフトする。これにより、素子11nから送信される超音波の位相は、素子11aから送信される超音波の位相に対して180°シフトする。素子11nから送信される超音波と、素子11aから送信される超音波と、は互いに弱め合う。
【0057】
このような構成により、クロストークが抑制される。検査装置120においても、検出精度を向上できる検査装置を提供できる。
【0058】
このように、実施形態において、複数の第1送信素子11の別の1つ(例えば素子11n)から送信される第1超音波11wの位相は、複数の第1送信素子11の1つ(例えば素子11a)から送信される第1超音波11wの位相に対して180°シフトしている。
【0059】
図5に示すように、検査装置120において、制御部70が設けられて良い。制御部70は、第1送信部11Aから第1超音波11wを送信させることが可能である。制御部70は、第2送信部12Aから第2超音波12wを送信させることが可能である。制御部70は、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)に第1信号Sg1を供給し、複数の第1送信素子11の別(隣)の1つ(素子11n)に第1信号Sg1を供給する。同じ第1信号Sg1が供給され、極性が逆の圧電層により、位相が180°シフトした超音波が送信される。
【0060】
この例では、制御部70は、第1回路71Gを含む。第1回路71Gは、第1信号Sg1を生成可能である。第1回路71Gの出力(第1信号Sg1)が、複数の第1送信素子11(及び複数の第2送信素子12)に供給される。
【0061】
図5に示すように、素子12aの第2位置pp2と、素子11aの第1位置pp1と、の間の距離は、第2位置pp2と、素子11nの第1隣位置pn1との間の距離と、実質的に同じで良い。
【0062】
図5に示すように、複数の第1送信素子11は、第1方向D1に沿って第1ピッチpt1で並ぶ。複数の第2送信素子12は、第1方向D1に沿って第1ピッチpt1で並ぶ。複数の第2送信素子12の第1方向D1における位置は、複数の第1送信素子11の第1方向D1における位置を基準にして、第1ピッチpt1の1/2でシフトして良い。
【0063】
図6(a)及び
図6(b)に例示した構成が、複数の第1送信素子11に適用されて良い。例えば、複数の第1送信素子11のそれぞれに含まれる圧電層(第1圧電層31a及び第1隣圧電層31nなど)の極性は、複数の第1送信素子11において交互に反転して良い。この場合において、制御部70は、第1信号Sg1を複数の第1送信素子11に供給可能である。
【0064】
図5に示すように、複数の第2送信素子12は、素子12aと、素子12nと、を含む。素子12nは、素子12aの隣である。
【0065】
図6(c)は、素子12aに対応する。
図6(d)は、素子12nに対応する。
図6(c)に示すように、複数の第2送信素子12の1つ(素子12a)は、第2圧電層32aを含む。
図6(d)に示すように、複数の第2送信素子12の別(隣)の1つ(素子12n)は、第2隣圧電層32nを含む。第2隣圧電層32nの極性q4は、第2圧電層32aの極性q3に対して反転している。極性は、例えば、分極の向きである。極性は、例えば結晶方位である。
【0066】
図6(c)に示すように、第2圧電層32aは、電極37aと電極37bとの間に設けられる。第2圧電層32a、電極37a及び電極37bを含む積層体が膜部37fに固定される。膜部37fは基体30sに支持される。これらの電極に第1信号Sg1(例えば交流信号)が印加されることで、第2圧電層32aが変形する。変形により、膜部37fが変形する。変形により第2超音波12wが発生する。
【0067】
図6(d)に示すように、第2隣圧電層32nは、電極38aと電極38bとの間に設けられる。第2隣圧電層32n、電極38a及び電極38bを含む積層体が膜部38fに固定される。膜部38fは基体30sに支持される。これらの電極に第1信号Sg1(例えば交流信号)が印加されることで、第2隣圧電層32nが変形する。変形により、膜部38fが変形する。変形により第2超音波12wが発生する。
【0068】
圧電層における極性の違いにより、膜部38fの変形の位相は、膜部37fの変形の位相と、180°シフトする。これにより、素子12nから送信される超音波の位相は、素子12aから送信される超音波の位相に対して180°シフトする。素子12nから送信される超音波と、素子12aから送信される超音波と、は互いに弱め合う。
【0069】
このような構成が、複数の第2送信素子12に適用されて良い。例えば、複数の第2送信素子12のそれぞれに含まれる圧電層の極性は、複数の第2送信素子12において交互に反転して良い。制御部70は、第1信号Sg1を複数の第2送信素子12に供給可能である。
【0070】
図6(a)~
図6(d)に例示した構成は、例えば、モノモルフ構造である。実施形態において、他の構造(例えばバイモルフ構造など)が適用されても良い。
【0071】
膜部35fは、第1送信トランスデューサ膜11F(
図4参照)に対応する。膜部36fは、第2送信トランスデューサ膜12F(
図4参照)に対応する。
【0072】
実施形態において、複数の第1送信素子11の別の1つ(例えば素子11n)から送信される第1超音波11wの位相は、複数の第1送信素子11の1つ(例えば素子11a)から送信される第1超音波11wの位相に対して180°シフトしている。
【0073】
検査装置120において、
図4に関して説明した構成が適用されて良い。例えば、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)は、第1超音波11wを発生させることが可能な第1送信トランスデューサ膜11Fと、第1超音波11wを導波させることが可能な第1送信導波部11Gと、を含んで良い。
【0074】
検査装置120において、複数の第1受信素子21の1つは、第1超音波11wを導波させることが可能な第1受信導波部21Gと、第1超音波11wにより変形可能な第1受信トランスデューサ膜21Fと、を含んで良い(
図4参照)。第1送信導波部11Gは、第1送信トランスデューサ膜11Fと、第1受信トランスデューサ膜21Fと、の間にある。第1受信導波部21Gは、第1送信導波部11Gと、第1受信トランスデューサ膜21Fと、の間にある(
図4参照)。
【0075】
(第3実施形態)
第3実施形態は、検査方法に係る。
実施形態に係る検査方法は、第1実施形態または第2実施形態に関して説明した構成を採用した方法で良い。
【0076】
図7は、第3実施形態に係る検査方法を例示するフローチャートである。
図7に示すように、検査方法において、超音波を送信し(ステップS110)する。検査方法において、超音波を受信して、検査対象80を検査する(ステップS120)。
【0077】
ステップS110において、素子部10E(
図1参照)の第1送信部11Aから第1超音波11wを送信させ、第2送信部12Aから第2超音波12wを送信させる。素子部10Eは、
図3に例示した第1送信部11A及び第2送信部12Aを含む。素子部10Eは、第1受信部21A及び第2受信部22Aを含む(
図1参照)。
【0078】
検査方法において、例えば、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)に第1信号Sg1が供給される。複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11n)に第1隣信号Sn1が供給される。第1隣信号Sn1は、第1信号Sg1の反転である。
【0079】
ステップS120において、第1送信部11Aと第1受信部21Aとの間、及び、第2送信部12Aと第2受信部22Aとの間の空間88Sを第2方向D2に沿って移動する検査対象80を検査する(
図2参照)。
【0080】
実施形態に係る検査方法において、検査装置120に関して説明した構成が適用されても良い。例えば、複数の第1送信素子11の1つ(素子11a)は、第1圧電層31aを含む(
図6(a)参照)。複数の第1送信素子11の別の1つ(素子11n)は、第1隣圧電層31nを含む(
図6(b)参照)。第1隣圧電層31nの極性q2は、第1圧電層31aの極性q1に対して反転している(
図6(a)及び
図6(b)参照)。
【0081】
実施形態に係る検査方法において、隣り合う送信素子から送信される超音波の位相が180°シフトする。これにより、例えばクロストークが抑制される。検出精度を向上できる検査方法を提供できる。
【0082】
実施形態に係る検査装置は、例えば、紙などのシート状の検査対象80の厚さ、及び、テープの有無等を超音波により検出する。例えば、送信素子及び受信素子を含む複数のペアの間で、クロストークが生じ、検査精度が低下する場合がある。
【0083】
クロストークは、例えば、搬送方向60Dと交差する方向に生じる横方向のクロストークと、搬送方向60Dに生じる縦方向のクロストークと、を含む。
【0084】
縦方向のクロストークを抑制する参考例がある。参考例においては、クロストークが発生しないように、超音波の送信と停止とが制御される。このような参考例においては、検査の高速化、及び、高分解能化が不十分である。
【0085】
実施形態によれば、例えば、隣り合う送信素子の極性が反転される。簡単な構成により、縦クロストークを抑制できる。送信を停止する必要がない。システムは簡単である。例えば、検査対象80の端部に関して高い精度で検査できる。
【0086】
実施形態は、以下の構成(技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1方向に沿って並び第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子を含む第1送信部と、
前記第1方向に沿って並び第2超音波を送信可能な複数の第2送信素子を含む第2送信部であって、前記第1送信部から前記第2送信部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記複数の第2送信素子の1つの前記第1方向における第2位置は、前記複数の第1送信素子の1つの前記第1方向における第1位置と、前記複数の第1送信素子の別の1つの前記第1方向における第1隣位置と、の間にあり、前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣である、前記第2送信部と、
前記第1超音波を受信可能な複数の第1受信素子を含む第1受信部と、
前記第2超音波を受信可能な複数の第2受信素子を含む第2受信部と、
前記第1送信部と前記第1受信部との間、及び、前記第2送信部と前記第2受信部との間の空間中を前記第2方向に沿って、検査対象を搬送可能な搬送部と、
前記第1送信部から前記第1超音波を送信させ、前記第2送信部から前記第2超音波を送信させることが可能な制御部であって、前記制御部は、前記複数の第1送信素子の前記1つに第1信号を供給し、前記複数の第1送信素子の前記別の1つに第1隣信号を供給し、前記第1隣信号は、前記第1信号の反転である、前記制御部と、
を備えた検査装置。
【0087】
(構成2)
前記第2位置と前記第1位置との間の距離は、前記第2位置と前記第1隣位置との間の距離と実質的に同じである、構成1に記載の検査装置。
【0088】
(構成3)
前記複数の第1送信素子は、前記第1方向に沿って第1ピッチで並び、
前記複数の第2送信素子は、前記第1方向に沿って前記第1ピッチで並び、
前記複数の第2送信素子の前記第1方向における位置は、前記複数の第1送信素子の前記第1方向における位置を基準にして前記第1ピッチの1/2でシフトしている、構成1に記載の検査装置。
【0089】
(構成4)
前記制御部は、前記第1信号及び前記第1隣信号を前記複数の第1送信素子に交互に供給可能である、構成1~3のいずれか1つに記載の検査装置。
【0090】
(構成5)
前記制御部は、前記第1信号を生成可能な第1回路と、前記第1回路の出力を反転させる反転回路と、を含む、構成1~4のいずれか1つに記載の検査装置。
【0091】
(構成6)
前記制御部は、前記複数の第2送信素子の前記1つに前記第1信号を供給し、前記複数の第2送信素子の別の1つに前記第1隣信号を供給し、
前記複数の第2送信素子の前記別の1つは、前記複数の第2送信素子の前記1つの隣である、構成1~5のいずれか1つに記載の検査装置。
【0092】
(構成7)
前記複数の第1送信素子の前記別の1つから送信される前記第1超音波の位相は、前記複数の第1送信素子の前記1つから送信される前記第1超音波の位相に対して180°シフトしている、構成1~6のいずれか1つに記載の検査装置。
【0093】
(構成8)
前記複数の第1送信素子の前記1つは、
前記第1超音波を発生させることが可能な第1送信トランスデューサ膜と、
前記第1超音波を導波させることが可能な第1送信導波部と、
を含む、構成1~7のいずれか1つに記載の検査装置。
【0094】
(構成9)
前記複数の第1受信素子の1つは、
前記第1超音波を導波させることが可能な第1受信導波部と、
前記第1超音波により変形可能な第1受信トランスデューサ膜と、
を含み、
前記第1送信導波部は、前記第1送信トランスデューサ膜と、前記第1受信トランスデューサ膜と、の間にあり、
前記第1受信導波部は、前記第1送信導波部と、前記第1受信トランスデューサ膜と、の間にある、構成8に記載の検査装置。
【0095】
(構成10)
第1方向に沿って並び第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子を含む第1送信部であって、前記複数の第1送信素子の1つは、第1圧電層を含み、前記複数の第1送信素子の別の1つは、第1隣圧電層を含み、前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣であり、前記第1隣圧電層の極性は、前記第1圧電層の極性に対して反転している、前記第1送信部と、
前記第1方向に沿って並び第2超音波を送信可能な複数の第2送信素子を含む第2送信部であって、前記第1送信部から前記第2送信部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記複数の第2送信素子の1つの前記第1方向における第2位置は、前記複数の第1送信素子の前記1つの前記第1方向における第1位置と、前記複数の第1送信素子の前記別の1つの前記第1方向における第1隣位置と、の間にある、前記第2送信部と、
前記第1超音波を受信可能な複数の第1受信素子を含む第1受信部と、
前記第2超音波を受信可能な複数の第2受信素子を含む第2受信部と、
前記第1送信部と前記第1受信部との間、及び、前記第2送信部と前記第2受信部との間の空間中を前記第2方向に沿って、検査対象を搬送可能な搬送部と、
を備えた検査装置。
【0096】
(構成11)
前記第1送信部から前記第1超音波を送信させ、前記第2送信部から前記第2超音波を送信させることが可能な制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の第1送信素子の前記1つに第1信号を供給し、前記複数の第1送信素子の前記別の1つに前記第1信号を供給する、構成10に記載の検査装置。
【0097】
(構成12)
前記第2位置と前記第1位置との間の距離は、前記第2位置と前記第1隣位置との間の距離と実質的に同じである、構成10または11に記載の検査装置。
【0098】
(構成13)
前記複数の第1送信素子は、前記第1方向に沿って第1ピッチで並び、
前記複数の第2送信素子は、前記第1方向に沿って前記第1ピッチで並び、
前記複数の第2送信素子の前記第1方向における位置は、前記複数の第1送信素子の前記第1方向における位置を基準にして前記第1ピッチの1/2でシフトしている、構成10または11に記載の検査装置。
【0099】
(構成14)
前記複数の第1送信素子のそれぞれに含まれる圧電層の極性は、前記複数の第1送信素子において交互に反転し、
前記制御部は、前記第1信号を前記複数の第1送信素子に供給可能である、構成1~3のいずれか1つに記載の検査装置。
【0100】
(構成15)
前記複数の第2送信素子のそれぞれに含まれる圧電層の極性は、前記複数の第2送信素子において交互に反転し、
前記制御部は、前記第1信号を前記複数の第2送信素子に供給可能である、構成14に記載の検査装置。
(構成16)
前記複数の第1送信素子の前記別の1つから送信される前記第1超音波の位相は、前記複数の第1送信素子の前記1つから送信される前記第1超音波の位相に対して180°シフトしている、構成10~15のいずれか1つに記載の検査装置。
【0101】
(構成17)
前記複数の第1送信素子の前記1つは、
前記第1超音波を発生させることが可能な第1送信トランスデューサ膜と、
前記第1超音波を導波させることが可能な第1送信導波部と、
を含む、構成10~16のいずれか1つに記載の検査装置。
【0102】
(構成18)
前記複数の第1受信素子の1つは、
前記第1超音波を導波させることが可能な第1受信導波部と、
前記第1超音波により変形可能な第1受信トランスデューサ膜と、
を含み、
前記第1送信導波部は、前記第1送信トランスデューサ膜と、前記第1受信トランスデューサ膜と、の間にあり、
前記第1受信導波部は、前記第1送信導波部と、前記第1受信トランスデューサ膜と、の間にある、構成17に記載の検査装置。
【0103】
(構成19)
第1方向に沿って並び第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子を含む第1送信部と、
前記第1方向に沿って並び第2超音波を送信可能な複数の第2送信素子を含む第2送信部であって、前記第1送信部から前記第2送信部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記複数の第2送信素子の1つの前記第1方向における第2位置は、前記複数の第1送信素子の1つの前記第1方向における第1位置と、前記複数の第1送信素子の別の1つの前記第1方向における第1隣位置と、の間にあり、前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣である、前記第2送信部と、
前記第1超音波を受信可能な複数の第1受信素子を含む第1受信部と、
前記第2超音波を受信可能な複数の第2受信素子を含む第2受信部と、
を含む素子部の前記第1送信部から前記第1超音波を送信させ、前記第2送信部から前記第2超音波を送信させ、
前記複数の第1送信素子の前記1つに第1信号を供給し、
前記複数の第1送信素子の前記別の1つに第1隣信号を供給し、
前記第1隣信号は、前記第1信号の反転であり、
前記第1送信部と前記第1受信部との間、及び、前記第2送信部と前記第2受信部との間の空間を前記第2方向に沿って移動する検査対象を検査する、検査方法。
【0104】
(構成20)
第1方向に沿って並び第1超音波を送信可能な複数の第1送信素子を含む第1送信部であって、前記複数の第1送信素子の1つは、第1圧電層を含み、前記複数の第1送信素子の別の1つは、第1隣圧電層を含み、前記複数の第1送信素子の前記別の1つは、前記複数の第1送信素子の前記1つの隣であり、前記第1隣圧電層の極性は、前記第1圧電層の極性に対して反転している、前記第1送信部と、
前記第1方向に沿って並び第2超音波を送信可能な複数の第2送信素子を含む第2送信部であって、前記第1送信部から前記第2送信部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記複数の第2送信素子の1つの前記第1方向における第2位置は、前記複数の第1送信素子の前記1つの前記第1方向における第1位置と、前記複数の第1送信素子の前記別の1つの前記第1方向における第1隣位置と、の間にある、前記第2送信部と、
前記第1超音波を受信可能な複数の第1受信素子を含む第1受信部と、
前記第2超音波を受信可能な複数の第2受信素子を含む第2受信部と、
を含む素子部の前記第1送信部から前記第1超音波を送信させ、前記第2送信部から前記第2超音波を送信させて、前記第1送信部と前記第1受信部との間、及び、前記第2送信部と前記第2受信部との間の空間を通過する検査対象を検査する、検査方法。
【0105】
実施形態によれば、検出感度を向上できる検査装置及び検査方法が提供できる。
【0106】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、検査装置に含まれる送信部、送信素子、受信部、受信素子、搬送部、及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0107】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0108】
その他、本発明の実施の形態として上述した検査装置及び検査方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての検査装置及び検査方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0109】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
10E:素子部、 11、12:第1、第2送信素子、 11A、12A:第1、第2送信部、 11F、12F:第1、第2送信トランスデューサ膜、 11G、12G:第1、第2送信導波部、 11a、11n、12a、12n:素子、 11w、12w:第1、第2超音波、 21、22:第1、第2受信素子、 21A、22A:第1、第2受信部、 21F、22F:第1、第2受信トランスデューサ膜、 21G、22G:第1、第2受信導波部、 21a、22a:素子、 30s:基体、 31a、32a:第1、第2圧電層、 31n、32n:第1、第2隣圧電層、 35a、35b、36a、36b、37a、37b、38a、38b:電極、 35f、36f、37f、38f:膜部、 60:搬送部、 60D:搬送方向、 61~64:第1~第4搬送部、 70:制御部、 71D:差動回路、 71G:第1回路、 71R:反転回路、 80:検査対象、 88S:空間、 110、110a、120:検査装置、 D1、D2:第1、第2方向、 R1、R2:抵抗、 d1、d2:第1、第2距離、 dx1:距離、 Sg1:第1信号、 Sn1:第1隣信号、 pn1、pn2:第1、第2隣位置、 pp1、pp2:第1、第2位置、 pt1:第1ピッチ、 q1~q4:極性