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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114207
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】コミュニケーション支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20240816BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019821
(22)【出願日】2023-02-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】514316754
【氏名又は名称】株式会社 137
(74)【代理人】
【識別番号】100114498
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100222243
【弁理士】
【氏名又は名称】庄野 友彬
(72)【発明者】
【氏名】黒田 千佳
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生徒の保護者と生徒に関わる職員との間におけるコミュニケーションを促進し、保護者と職員の信頼関係の構築を支援するコミュニケーション支援システムを提供する。
【解決手段】生徒ID、保護者ID及び職員IDを含む管理情報を記憶するコミュニケーション支援システム100であって、生徒の体温情報又は出欠情報を含む当日生徒情報を時系列データにした生徒管理情報を前記生徒IDに対応づけて記憶する生徒管理情報記憶部と、一の生徒IDが含まれる特定アクションを契機として一連のデータ処理を実行するデータ処理実行部と、前記一連のデータ処理は、前記特定アクションに基づいて管理情報からメッセージ送信対象を特定する対象特定部と、前記生徒管理情報を判断要素として特定されたメッセージ送信対象に対するメッセージを生成するメッセージ生成部と、生成されたメッセージを送信するメッセージ送信部と、から行われる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学校に通う複数の生徒を識別する生徒ID、前記生徒の保護者を識別する保護者ID、及び前記生徒に関わる職員の職員IDを含む管理情報を記憶し、前記保護者と前記職員とのコミュニケーションを支援するためのコミュニケーション支援システムであって、
少なくとも前記生徒の体温情報又は出欠情報を含む当日生徒情報を時系列データにした生徒管理情報を前記生徒IDに対応づけて記憶する生徒管理情報記憶部と、
一の生徒IDが含まれる特定アクションを契機として一連のデータ処理を実行するデータ処理実行部と、を備え、
前記一連のデータ処理は、
前記特定アクションに基づいて前記管理情報から1又は複数のメッセージ送信対象を特定する対象特定部と、
前記特定アクションに含まれる生徒IDに関連した前記生徒管理情報を判断要素として前記対象特定部により特定された前記メッセージ送信対象に対する1又は複数のメッセージを生成するメッセージ生成部と、
前記メッセージ送信対象に対して生成されたメッセージを送信するメッセージ送信部と、
から行われることを特徴とするコミュニケーション支援システム。
【請求項2】
前記保護者が用いる保護者端末から、前記生徒ID及び前記当日生徒情報を受信する情報受信部と、を更に備え、
前記特定アクションは、前記情報受信部による前記当日生徒情報の受信であり、
前記メッセージ送信対象は、前記情報受信部により受信した前記生徒IDに対応づけて記憶された1又は複数の保護者IDにより特定された保護者の保護者端末であることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項3】
前記出欠情報は、前記生徒の出欠可否及び欠席理由が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項4】
前記生徒管理情報記憶部により記憶される前記生徒管理情報の特異記録と前記特異記録に関連した生徒IDとを含む異常情報を検出する検出部と、を更に備え、
前記特定アクションは、前記検出部による前記異常情報の検出であり、
前記メッセージ送信対象は、前記職員が用いる職員端末であることを特徴とする請求項3記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項5】
前記職員端末は、前記異常情報に含まれる生徒IDに対応づけて記憶された職員が用いるものであることを特徴とする請求項4記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項6】
前記特異記録は、特定の欠席理由であることを特徴とする請求項4又は5記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項7】
前記特異記録は、連続欠席日数が所定の値を超えたことであることを特徴とする請求項4又は5記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項8】
前記職員が用いる職員端末から、前記生徒ID及び職員IDを含むメッセージの送信要求を受信する要求受信部と、を更に備え、
前記特定アクションは、前記要求受信部による送信要求の受信であり、
前記メッセージ送信対象は、前記送信要求に含まれる職員IDにより特定された職員が用いる職員端末であることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項9】
前記メッセージには、前記職員から前記保護者に対するメッセージ作成の際のアドバイスが含まれることを特徴とする請求項8記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項10】
前記メッセージは、前記職員が前記保護者に対するメッセージ作成の際のテンプレートであることを特徴とする請求項8記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項11】
前記判断要素には、前記保護者IDに対応づけて記憶された保護者特性が含まれることを特徴とする請求項1、2、4又は8のいずれかに記載のコミュニケーション支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小学校、中学校等の学校に通う生徒の保護者と学校、自治体等の生徒に関わる職員とのコミュニケーションを支援するためのコミュニケーション支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小学校、中学校等の学校教育の現場では、学校に通う生徒の保護者と教職員との間の個別最適なコミュニケーションの質について課題を抱えている。コミュニケーションは「社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達」(広辞苑)と定義され、生徒に対するより良い教育を行うためには保護者と教職員との間における信頼関係の構築には欠かせないものである。教職員と保護者との間のコミュニケーションの多くは学校内で各生徒に配布するプリントや出欠連絡のメール等を通じて行われている。
【0003】
特許文献1は各保護者が理解できる言語の違いに対して着目し、保護者と教職員との間のプリントやメール等のコミュニケーションを円滑にすることを目的とした発明である。特許文献1は、第1の言語で記載した通知書の他に、第1の言語とは異なる第2の言語で通知書の内容の要点を記載した文書を保護者に送信することで、第1の言語の理解力が低い保護者であっても、第2の言語によって通知書の内容の伝達をすることができるものである。これにより、教職員から学校活動等に関する連絡事項を伝えるためのコミュニケーションを円滑にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-105340
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、クラス内の生徒の保護者全員に向けたプリントやメール等は、汎用性の高い定型的な文章であり、このような大人数に向けた連絡事項としてのコミュニケーションでは信頼関係を構築することは困難である。保護者から教職員に対する信頼が生まれるコミュニケーションの機会としては、家庭内及び学校内における生徒固有の個別特性を含む会話をすることができる保護者面談や家庭訪問等の保護者中心の学校行事が挙げられる。これらの学校行事は、コミュニケーションの中に生徒固有の個別特性が含まれており、教職員の生徒に対する関心を保護者が感じることで保護者から教職員に対する信頼が構築される。したがって、保護者と教職員との間の信頼関係を構築するためのコミュニケーションは家庭環境や生徒の体調管理等の生徒固有の個別特性を含んでいる必要があり、教職員から各保護者に対して生徒の個別特性を含むメッセージ等があれば信頼関係を構築するコミュニケーションの機会を増やすことができると考えられる。
【0006】
もっとも、教職員は、教職員一人に対して数十名の生徒を担当するのが一般的であり、各保護者に対して行うコミュニケーションは、各生徒の個別特性を含まないメッセージでさえも過大な業務負担となってしまう。そのため、個別特性を含むメッセージの送信を教職員の通常業務化するのは非現実的であり、保護者と教職員の信頼関係を構築するコミュニケーションの機会を増やすことは困難であった。特許文献1においても、個別特性を含まないプリントやメール等をベースのコミュニケーション手段とした上で、これら手段に対して異なる言語を用いているのみであり、保護者と教職員の信頼関係を構築することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生徒の保護者と生徒に関わる職員との間におけるコミュニケーションを促進し、保護者と職員の信頼関係の構築を支援するコミュニケーション支援システムを提供することにある。
【0008】
すなわち、本発明は、学校に通う複数の生徒を識別する生徒ID、前記生徒の保護者を識別する保護者ID、及び前記生徒に関わる職員の職員IDを含む管理情報を記憶し、前記保護者と前記職員とのコミュニケーションを支援するためのコミュニケーション支援システムであって、少なくとも前記生徒の体温情報又は出欠情報を含む当日生徒情報を時系列データにした生徒管理情報を前記生徒IDに対応づけて記憶する生徒管理情報記憶部と、一の生徒IDが含まれる特定アクションを契機として一連のデータ処理を実行するデータ処理実行部と、を備え、前記一連のデータ処理は、前記特定アクションに基づいて前記管理情報から1又は複数のメッセージ送信対象を特定する対象特定部と、前記特定アクションに含まれる生徒IDに関連した前記生徒管理情報を判断要素として前記対象特定部により特定された前記メッセージ送信対象に対するメッセージを生成するメッセージ生成部と、前記メッセージ送信対象に対して生成されたメッセージを送信するメッセージ送信部と、から行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコミュニケーション支援システムによれば、一の生徒IDが含まれる特定アクションを契機として、データ処理実行部により一連のデータ処理が実行される。一連のデータ処理は、対象特定部によるメッセージ送信対象の特定、メッセージ生成部によるメッセージの生成、メッセージ送信部によるメッセージの送信の順に行われる。そのため、コミュニケーション支援システムは、各生徒の個別特性を反映したメッセージをメッセージ送信対象に送信することができ、生徒ごとに最適なメッセージを特定アクションに応じて自動的に送信することができる。したがって、コミュニケーション支援システムは、職員の業務負担を増大させることなく、生徒の個別特性を含むコミュニケーションを促進し、職員と保護者との信頼関係の構築を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかるコミュニケーション支援システムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるコミュニケーション支援システムの構成を示す図である。
図3】保護者端末の表示画面の一例を示す図である。
図4】保護者端末の表示画面の一例を示す図である。
図5】体温情報の時系列データの一部を示す図である。
図6】出欠情報の時系列データの一部を示す図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる特定アクションの分類を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を用いて本発明のコミュニケーション支援システムを詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態にかかるコミュニケーション支援システム100を示す図である。コミュニケーション支援システム100は、小学校、中学校等の学校に通う生徒の情報を管理し、各生徒の保護者と前記生徒に関わる職員とのコミュニケーションを促進させるためのものである。保護者には児童養護施設の施設職員等も含まれる。生徒に関わる職員の例としては小学校、中学校等の学校教育機関、教育委員会、児童相談所等の職員が挙げられる。コミュニケーション支援システム100は、インターネット等のコンピュータネットワークを介して、前記職員が用いる職員端末200及び前記生徒の保護者が用いる保護者端末300と通信することができる。職員端末200及び保護者端末300としてはスマートフォン、タブレット、PC等が挙げられる。
【0013】
コミュニケーション支援システム100は、CPU等の処理部101と、通信インターフェース等の通信部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、後述する各処理を行うためのプログラムを実行することができる。コミュニケーション支援システム100は、1又は複数の装置、コンピュータ若しくはサーバを含んでもよい。また、当該プログラムは、前記記憶部103又はコミュニケーション支援システム100からアクセス可能な記憶媒体に記憶しておき、前記処理部101によって実行することができる。
【0014】
図2は、コミュニケーション支援システム100の構成を示す図である。コミュニケーション支援システム100は、各保護者及び職員に対してコミュニケーション支援システム100が提供するサービスを利用するためのアカウントを発行する。コミュニケーション支援システム100は、管理情報記憶部201と、情報受信部202と、生徒管理情報記憶部203と、検出部204と、要求受信部205と、データ処理実行部206と、対象特定部207と、メッセージ生成部208と、メッセージ送信部209と、を備えている。管理情報記憶部201は学校に通う複数の生徒を識別する生徒ID、前記生徒の保護者を識別する保護者ID、及び、前記生徒に関わる職員を識別する職員IDを含む管理情報を記憶している。管理情報記憶部201は前記保護者に関する特性である保護者特性を前記保護者IDに対応づけて記憶している。また、管理情報記憶部201は、各生徒IDに対応づけて1又は複数の保護者ID及び1又は複数の職員IDを記憶している。そのため、管理情報記憶部201は1人の生徒に対して1又は複数の保護者若しくは1又は複数の職員を関連づけて記憶することができる。例えば、生徒の両親に加えて祖父母の保護者IDも発行している場合は、前記生徒の両親及び祖父母の計4名の保護者IDが前記生徒の生徒IDに対応づけて記憶されている。また、各生徒に関連づける職員としては、担任の先生、部活の顧問等が挙げられる。
【0015】
情報受信部202は、前記保護者端末300から、前記生徒IDと少なくとも前記生徒の体温情報又は出欠情報を含む当日生徒情報とを受信する。当日生徒情報は1日単位の生徒に関するデータである。保護者端末300上では、保護者端末300にインストールされたアプリケーション又はコミュニケーション支援システム100が提供するウェブサイトからログインID及びパスワードが入力され、これにより、保護者アカウントにログイン又はサインインすることができる。ログイン又はサインイン後に、所定の生徒を選択することで、選択された生徒に係る当日生徒情報の入力画面が表示される。
【0016】
図3は保護者端末300において当日生徒情報の一部を入力することができる入力画面301aを示す図であり、画面下部の検温ボタン302を選択することで表示される。入力画面301aには生徒の感情情報を入力する感情入力欄303、テキストデータを入力できるメッセージ欄304、生徒の体温情報を入力する体温入力欄305、保護者端末300により選択された生徒の体温情報の時系列データを示す折れ線グラフ306、及び、平均体温307が表示されている。保護者端末300では、前記感情入力欄303、メッセージ欄304及び体温入力欄305を操作することができる。
【0017】
感情入力欄303には、5段階の顔文字が示されており、保護者端末300による画面タップ又はクリックにより選択することができる。なお、本実施形態では5段階の顔文字から生徒の感情状態を選択する方式を採用しているが、この構成に限定するものではなく、生徒の感情状態を選択することができれば、単なる文字による選択肢にする等、適宜設計の変更が可能である。メッセージ欄304には任意のテキストデータを入力することができる。体温入力欄304に入力する体温情報はプルダウンメニューから所定の値を選択することができる。これらの情報を入力した後に画面右上の確認ボタン308を選択することで、当日生徒情報の一部である感情情報、テキストデータ、及び体温情報をコミュニケーション支援システム100に送信することができる。なお、体温情報の入力方法はテキストによる直接入力、音声入力等であってもよい。
【0018】
図4は保護者端末300において当日生徒情報の一部を入力することができる入力画面301bを示す図であり、画面下部の欠席連絡ボタン309を選択することで表示される。入力画面301bは生徒の出欠情報を入力することができる。出欠情報は、少なくとも生徒の出欠可否を含み、日付や欠席理由等を含んでもよい。入力画面301bは、欠席連絡を行うものであって、欠席する日付310及び欠席の理由311を入力することができる。なお、本実施形態では、欠席連絡のみを行う方式を採っているが、出欠可否を含むものであれば如何なる形式であってもよい。保護者端末300では欠席する日付310及び欠席の理由311の入力後に画面右上の確認ボタン312を選択することで、出欠情報をコミュニケーション支援システム100に送信することができる。なお、本実施形態の当日生徒情報には、感情情報、テキストデータ、体温情報、及び出欠情報が含まれているが、少なくとも体温情報又は出欠情報が含まれていればよい。また、当日生徒情報は、これらの情報に限定するものではなく、自宅学習履歴、学習時間、コンテンツの受講情報等、情報受信部202が当日に保護者端末から受信した生徒に関する情報であれば様々な要素が考えられる。
【0019】
本実施形態では、保護者端末300上で入力される体温情報の入力画面301aと出欠情報の入力画面301bが異なる画面で構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、保護者端末300上において体温情報と出欠情報の入力欄を同一ページに表示し、入力した体温情報と出欠情報を同時に送信するものであってもよい。これにより、情報受信部202は生徒ID及び当日生徒情報を受信することができる。
【0020】
生徒管理情報記憶部203は複数の当日生徒情報を時系列データにした生徒管理情報を記憶している。生徒管理情報は、生徒に関する感情情報、テキストデータ、体温情報、及び出欠情報等の当日生徒情報を逐次記録して時系列データにしたものであり、生徒固有の個別特性である。生徒管理情報記憶部203は、前記情報受信部202により当日生徒情報を受信すると、前記生徒管理情報の一部として前記当日生徒情報を記憶する。図5は、生徒ID0001が割り振られた生徒の生徒管理情報のうち、体温情報にかかる時系列データの一部を示す図である。図5では5月16日から5月24日までの体温情報の時系列データと蓄積された体温情報の平均値とが表示されている。生徒管理情報記憶部203は、5月25日に保護者端末300から当日生徒情報を受信した場合は5月25日の体温情報を新たに記憶し、平均値を更新する。このように、生徒管理情報記憶部203は、保護者端末300から受信する当日生徒情報を累積記憶している。図3の入力画面301aに表示された折れ線グラフ306は、当該生徒管理情報の体温情報にかかる時系列データの一部を表示したものであって、約一月分の体温情報を表示している。
【0021】
図6は、前記生徒管理情報のうち、出欠情報にかかる時系列データの一部を示す図である。図6では5月16日から5月31日までの出欠情報の時系列データが表示されている。例えば、生徒ID0001の出欠情報の一部には、5月18日及び5月19日が風邪による欠席、5月20日~5月22日は出席が記憶されている。図5の体温情報時系列データにおいては5月18日及び5月19日の体温が37.5となっており、風邪と記憶されている出欠情報時系列データと対応している。生徒管理情報記憶部203は、6月1日に保護者端末300から当日生徒情報を受信した場合は6月1日の出欠情報を新たに記憶する。
【0022】
このように、当日生徒情報のうち、体温情報及び出欠情報の時系列データに関して説明してきたが、テキストデータ、感情情報等の当日生徒情報についても、体温情報及び出欠情報と同じように時系列データとして記憶されており、保護者端末300から当日生徒情報を受信した場合に前記当日生徒情報を生徒管理情報の一部として累積記憶する。なお、本実施形態では、当日生徒情報を保護者端末300から受信して生徒管理情報の一部として記憶する方式を採用しているが、これに限定する趣旨ではない。
【0023】
検出部204は、前記生徒管理情報記憶部203による生徒管理情報の特異記録と前記特異記録に関連した生徒IDを含む異常情報を検出することができる。特異記録は、記憶された生徒管理情報の異常であり、任意に設定することができる。特異記録の例としては、所定の値以上の体温情報が記録された場合、インフルエンザ、新型コロナウイルス等の特定の欠席理由が記録された場合、連続欠席日数が所定の値に達した場合、一月の欠席日数が所定の値に達した場合等が挙げられる。このように、特異記録は生徒管理情報に関して任意に設定した異常であれば如何なるものであってもよい。
【0024】
要求受信部205は、前記職員が用いる職員端末200から、前記生徒ID及び職員IDを含むメッセージの送信要求を受信することができる。職員は、前記職員端末200から前記送信要求を送信することで、後述するメッセージを任意に取得することができる。
【0025】
データ処理実行部206は特定アクションを契機として一連のデータ処理を実行することができる。特定アクションは一の生徒IDを含んでおり、一連のデータ処理を開始するためのトリガーとして機能する。図7に示すように、特定アクション700は、第一の特定アクション700a、第二の特定アクション700b及び第三の特定アクション700cに分類される。第一の特定アクション700aは前記情報受信部202による当日生徒情報の受信である。そのため、データ処理実行部206は、情報受信部202が当日生徒情報を受信したことを契機として一連のデータ処理を実行する。
【0026】
第二の特定アクション700bは前記検出部204による異常情報の検出であり、前記データ処理実行部206は前記異常情報の検出を契機として一連のデータ処理を実行する。また、第三の特定アクション700cは前記要求受信部205によるメッセージの送信要求の受信であり、前記データ処理実行部206は前記送信要求の受信を契機として一連のデータ処理を実行する。
【0027】
前記一連のデータ処理は、対象特定部207、メッセージ生成部208及びメッセージ送信部209によって行われる。前記対象特定部207は前記特定アクションに基づいて前記管理情報から1又は複数のメッセージ送信対象を特定する。前記対象特定部207は前記特定アクションの分類に応じてメッセージ送信対象を特定する。第一の特定アクション700aの場合は、前記保護者端末300から前記情報受信部202が受信した生徒IDに関連づけて記憶された1又は複数の保護者IDに関連した保護者端末300をメッセージ送信対象として特定する。第二の特定アクション700bの場合は、前記異常情報に含まれる生徒IDに対応づけて記憶された1又は複数の保護者IDにより特定された保護者の保護者端末、又は、前記職員が用いる職員端末200をメッセージ送信対象として特定する。第三の特定アクション700cの場合は、前記送信要求に含まれる職員IDににより特定された職員の職員端末200をメッセージ送信対象として特定する。なお、第二の特定アクション700bの場合、前記職員端末200にメッセージの送信を行うことができるが、前記異常情報に含まれる生徒IDに対応づけて記憶された職員が用いる職員端末200のみをメッセージ送信対象としてもよい。
【0028】
メッセージ生成部208は、少なくとも前記特定アクション700に含まれる生徒IDに関連した前記生徒管理情報を判断要素として前記対象特定部207により特定されたメッセージ送信対象に対する1又は複数のメッセージを生成する。前記メッセージには、前記生徒管理情報に関する内容が含まれている。メッセージの生成方法は様々なものが挙げられ、例えば、予め記憶された複数のメッセージテンプレートの中から1又は複数のメッセージテンプレートを選択する方法がある。この場合、コミュニケーション支援システム100は、複数のメッセージテンプレートを記憶したテンプレート記憶部(図示せず)を有している。テンプレート記憶部に記憶されたメッセージテンプレートはメッセージ送信対象に合わせて予め作成されたものである。メッセージ送信対象が保護者端末300の場合のメッセージテンプレートの例としては、一日欠席した生徒の保護者に向けたメッセージテンプレート、三日以上欠席が続いている生徒の保護者に向けたメッセージテンプレート、七日以上欠席が続いている生徒の保護者に向けたメッセージテンプレート、出欠情報の欠席理由にインフルエンザが記録された生徒の保護者に向けたメッセージテンプレート、平均値よりも高い体温が記録された生徒の保護者に向けたメッセージテンプレート等が挙げられる。また、メッセージテンプレートのバリエーションとしては、口語体の文章、文語体の文章、各保護者の続柄に対応する二人称を用いた文章等も挙げられる。これらのメッセージテンプレートの内容は例示にすぎず、少なくとも生徒管理情報に関する内容を含むものであれば如何なるものであってもよい。
【0029】
メッセージテンプレートの選択は前記生徒IDに関連した生徒管理情報を判断要素として行われる。例えば、一日欠席した生徒の保護者に向けたメッセージテンプレートA、三日以上欠席が続いている生徒の保護者に向けたメッセージテンプレートB、七日以上欠席が続いている生徒の保護者に向けたメッセージテンプレートCがある場合、情報受信部202が当日生徒情報を受信した前日に出席の記録がある場合はメッセージテンプレートAが選択される一方、前記当日生徒情報を受信した日が三日目の欠席である場合はメッセージテンプレートBが選択される。また、メッセージ生成部208は、生徒管理情報記憶部203にインフルエンザが記録された場合は、インフルエンザに罹患した生徒の保護者に向けたメッセージテンプレートDを選択することができる。更に、生徒管理情報のうち、テキストデータの時系列データを判断要素とする場合は、当該テキストデータ内の単語を検出してメッセージテンプレートの選択を行うものとすることができる。このように、メッセージ生成部208は、生徒管理情報を判断要素としてテンプレート記憶部に記憶されたメッセージテンプレートを選択することができる。なお、本実施形態のメッセージ生成部208は、テンプレート記憶部に記憶されたメッセージテンプレートの中から一のメッセージテンプレートを選択することによりメッセージの生成をすることとしているが、この方法に限定するものではない。そのため、メッセージ生成部208は、自動的にメッセージの出力を行うAIのように、記憶された学習データに基づいてメッセージを生成する方法等であってもよい。このように、メッセージ生成部208によるメッセージの生成は、少なくとも生徒管理情報を判断要素として行われるものであれば、如何なる形式であってもよい。
【0030】
メッセージ生成部208は、生徒管理情報に加えて、保護者IDに対応づけて記憶された保護者特性を判断要素としてメッセージを生成することができる。保護者特性としては前記生徒との続柄、保護者の性別、年齢及び出身国等が挙げられる。また、保護者特性は予め決められたグループを含むものであってもよい。グループとしては事務的な連絡が推奨されるグループ、保護者に寄り添ったメッセージを含む連絡が推奨されるグループ等が挙げられる。グループ分けは事前に保護者に対して行ったグループ分けに関するアンケート、保護者に対する複数の設問の回答結果に基づいて分類される等、様々な方法が挙げられる。また、メッセージ生成部208は、生徒に関する外部データを判断要素としてメッセージを生成することができる。外部データは教育アプリ等の学習データ、習い事の実績や進捗等が挙げられる。
【0031】
メッセージ生成部208は、前記生徒IDに複数の保護者が記憶されている場合、各保護者に対して異なるメッセージを生成することができる。例えば、一つの生徒IDに父親の保護者IDと母親の保護者IDが記憶されている場合、メッセージ生成部208は父親と母親とで二人称が異なるメッセージを生成することができる。また、父親と母親とで母国語が異なる場合は言語が異なるメッセージを生成することができる。これにより、メッセージ生成部208は同一の生徒の保護者であっても、各保護者に応じた最適なメッセージを生成することができる。
【0032】
メッセージ生成部208によるメッセージの生成は、メッセージ送信対象が保護者端末300の場合を例に説明してきたが、メッセージ送信対象が職員端末200の場合も同様に、予め記憶された複数のメッセージテンプレートの中からメッセージテンプレートを選択する方法やAIを用いたメッセージの方法等、種々の方法が考えられる。メッセージ送信対象が職員端末200の場合は、職員から保護者に向けて連絡する際の注意事項等のアドバイスを含むものであってもよい。また、メッセージ送信対象が職員端末200の場合は、職員端末200から保護者端末300に送信する際の1又は複数の送信用メッセージテンプレートを生成するものであってもよい。送信用メッセージテンプレートは、職員から保護者に向けたメッセージのテンプレートであって、職員が保護者に対してメッセージを作成する際のベースとして用いられる。送信用メッセージテンプレートは、口語体のメッセージや職員の出身地に応じた方言、言語のメッセージ等であってもよい。また、複数の送信用メッセージテンプレートが生成された場合は、推奨されるメッセージの序列を含めることができる。更に、一連のデータ処理が第三の特定アクション700cを契機として行われる場合は、ログインしている職員IDに応じて異なる送信用メッセージテンプレートを生成することができる。
【0033】
メッセージ送信部209は、前記メッセージ生成部208によりメッセージが生成された後に、前記メッセージ送信対象に対して生成されたメッセージを送信することができる。メッセージ送信部209によるメッセージテンプレートの送信方式は、アプリ又はウェブサイト内のチャット形式、電子メール、SMS等、様々なものが挙げられる。これにより、コミュニケーション支援システム100はメッセージ送信対象の端末に対して自動的にメッセージの送信をすることができる。
【0034】
以上説明してきたように、コミュニケーション支援システム100は、一の生徒IDが含まれる特定アクション700を契機として、データ処理実行部206により一連のデータ処理が実行される。一連のデータ処理は、対象特定部207によるメッセージ送信対象の特定、メッセージ生成部208によるメッセージの生成、メッセージ送信部209によるメッセージの送信の順に行われる。そのため、コミュニケーション支援システム100は、各生徒の個別特性を反映したメッセージをメッセージ送信対象に送信することができ、生徒ごとに最適なメッセージを特定アクション700に応じて自動的に送信することができる。したがって、コミュニケーション支援システム100は、職員の業務負担を増大させることなく、生徒の個別特性を含むコミュニケーションを促進し、職員と保護者との信頼関係の構築を支援することができる。また、コミュニケーション支援システム100は、各保護者の保護者特性に応じて異なるメッセージを生成することができるため、この点からも職員と保護者との信頼関係の構築に寄与することができる。
【0035】
また、第一の特定アクション700aを契機として一連のデータ処理が行われる場合は、前記情報受信部202が当日生徒情報を受信すると、メッセージ生成部208によりメッセージが生成され、対象特定部207により特定されたメッセージ送信対象にメッセージが送信される。そのため、コミュニケーション支援システム100は、当日生徒情報の受信に応じて生徒の個別特性を含むメッセージを保護者端末300に対して自動送信することで、当該生徒に関する情報を逐次共有できていることを前記保護者に知らせることができ、職員と保護者との信頼関係の構築を支援することができる。
【0036】
第二の特定アクション700bを契機として一連のデータ処理が行われる場合は、前記検出部204により異常情報の検出がされると、メッセージ生成部208によりメッセージが生成され、対象特定部207により特定されたメッセージ送信対象にメッセージが送信される。そのため、コミュニケーション支援システム100は、任意で設定した特異記録を含む異常情報を検出すると、自動でメッセージを送信することができるため、職員による生徒情報の管理負担を軽減することができつつも、職員と保護者との信頼関係の構築を支援することができる。
【0037】
第三の特定アクション700cを契機として一連のデータ処理が行われる場合は、職員端末200からメッセージの送信要求を受信すると、メッセージ生成部208によりメッセージが生成され、対象特定部207により特定されたメッセージ送信対象にメッセージが送信される。そのため、コミュニケーション支援システム100は、職員が任意でメッセージの取得をすることができるため、職員からの電話や保護者面談等のコミュニケーションの機会の下準備をすることができ、職員と保護者との信頼関係の構築を支援することができる。
【符号の説明】
【0038】
100…コミュニケーション支援システム、200…教職員端末、300…保護者端末、201…管理情報記憶部、202…情報受信部、203…生徒管理情報記憶部、204…検出部、205…要求受信部、206…データ処理実行部、207…対象特定部、208…メッセージ生成部、209…メッセージ送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学校に通う複数の生徒を識別する生徒ID、前記生徒の保護者を識別する保護者ID、及び前記生徒に関わる職員の職員IDを含む管理情報を記憶する管理情報記憶部を有し、前記保護者と前記職員とのコミュニケーションを支援するためのコミュニケーション支援システムであって、
少なくとも前記生徒の欠席理由を含む出欠情報を含む当日生徒情報を受け取ると共に、当該当日生徒情報を時系列データにした生徒管理情報を前記生徒IDに対応づけて記憶する生徒管理情報記憶部と、
一の生徒IDが含まれる特定アクションを契機として一連のデータ処理を実行するデータ処理実行部と、を備え、
前記データ処理実行部は、
前記特定アクション内の生徒IDに基づいて前記管理情報から1又は複数のメッセージ送信対象を特定する対象特定部と、
前記欠席理由に応じて異なり、且つ、前記特定アクションに含まれる生徒IDに対応した前記生徒管理情報から導き出される生徒固有の個別特性に関する文面を含む1又は複数のメッセージを生成するメッセージ生成部と、
前記メッセージ送信対象に対して生成されたメッセージを送信するメッセージ送信部と、
を備えることを特徴とするコミュニケーション支援システム。
【請求項2】
前記当日生徒情報には、前記生徒の感情情報が含まれていることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項3】
前記保護者が用いる保護者端末から、前記生徒ID及び前記当日生徒情報を受信する情報受信部と、を更に備え、
前記特定アクションは、前記情報受信部による前記当日生徒情報の受信であり、
前記メッセージ送信対象は、前記情報受信部により受信した前記生徒IDに対応づけて記憶された1又は複数の保護者IDにより特定された保護者の保護者端末であることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項4】
前記当日生徒情報には、前記生徒の体温情報が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項5】
前記生徒管理情報記憶部により記憶される前記生徒管理情報の特異記録と前記特異記録に関連した生徒IDとを含む異常情報を検出する検出部と、を更に備え、
前記特定アクションは、前記検出部による前記異常情報の検出であり、
前記メッセージ送信対象は、前記検出部により異常情報が検出された前記生徒IDに対応づけて記憶された1又は複数の保護者IDにより特定された保護者の保護者端末であることを特徴とする請求項1又は3記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項6】
前記職員が用いる職員端末から、前記生徒ID及び職員IDを含むメッセージの送信要求を受信する要求受信部と、を更に備え、
前記特定アクションは、前記要求受信部による送信要求の受信であり、
前記メッセージ送信対象は、前記送信要求に含まれる職員IDにより特定された職員が用いる職員端末であることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項7】
前記メッセージには、前記職員から前記保護者に対するメッセージ作成の際のアドバイスが含まれることを特徴とする請求項4記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項8】
前記メッセージは、前記職員が前記保護者に対するメッセージ作成の際のテンプレートであることを特徴とする請求項4記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項9】
前記管理情報記憶部は、前記保護者に関する特性である保護者特性を前記保護者IDに対応づけて記憶しており、
前記メッセージ生成部は、前記保護者特性に応じて異なる文面を含むメッセージを生成することを特徴とする請求項1、2又は4のいずれかに記載のコミュニケーション支援システム。