(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114208
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】人物検出装置、人物検出方法、及び、人物検出プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240816BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20240816BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G07D11/60
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019823
(22)【出願日】2023-02-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】野口 建
【テーマコード(参考)】
3E141
5E555
【Fターム(参考)】
3E141BA07
3E141CA06
5E555AA41
5E555AA64
5E555AA77
5E555BA32
5E555BB32
5E555BC02
5E555BE01
5E555CA41
5E555CA42
5E555CA46
5E555CB76
5E555CB80
5E555DC13
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】自動取引装置の近辺に人物以外の物体が存在する場合において、人物の存在を誤って検出することを回避する。
【解決手段】人物検出装置20は、自動取引装置2から物体検出距離210の範囲内に物体が存在することを検出する物体検出部21と、自動取引装置2の近辺を撮像した撮像画像220を取得する取得部22と、撮像画像220を解析することによって、自動取引装置2から所定の範囲内における人物の有無を判定する判定部23と、自動取引装置2から物体検出距離210の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、自動取引装置2から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、物体検出距離210を現在値よりも短い値に設定する設定部24と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置から物体検出距離の範囲内に物体が存在することを検出する物体検出手段と、
前記自動取引装置の近辺を撮像した撮像画像を取得する取得手段と、
前記撮像画像を解析することによって、前記自動取引装置から所定の範囲内における人物の有無を判定する判定手段と、
前記自動取引装置から物体検出距離の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、前記自動取引装置から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、前記物体検出距離を現在値よりも短い値に設定する設定手段と、
を備える人物検出装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記物体検出手段による物体の存在を検出した継続時間が基準時間を超えた場合に前記撮像画像を取得する、
請求項1に記載の人物検出装置。
【請求項3】
前記自動取引装置に対する操作を検出する操作検出手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記操作検出手段により、前記自動取引装置に対する操作が検出されない場合に前記撮像画像を取得する、
請求項1または請求項2に記載の人物検出装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記物体検出距離を、複数の設定値のうちの何れかに設定する、
請求項1または請求項2に記載の人物検出装置。
【請求項5】
前記設定手段は、時間帯ごとの前記自動取引装置の近辺における人物の混雑状況を表す情報によって示される、人物が混雑する時間帯ほど、前記基準時間を長く設定する、
請求項2に記載の人物検出装置。
【請求項6】
前記物体検出距離の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、前記自動取引装置から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、現在の前記撮像画像と、前記物体検出距離の範囲内に物体が存在することが検出される以前の前記撮像画像とを解析することによって、以前の前記撮像画像には含まれず現在の前記撮像画像には含まれる、人物以外の物体を特定する特定手段をさらに備える。
請求項1または請求項2に記載の人物検出装置。
【請求項7】
前記設定手段によって前記物体検出距離が下限値に設定された後も、前記物体検出距離の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、前記自動取引装置から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、前記自動取引装置に関する現地調査を行うことを指示する情報を外部へ出力する出力手段をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の人物検出装置。
【請求項8】
前記取得手段は、前記撮像画像を撮像する撮像手段から前記撮像画像を取得する際に、前記撮像手段を起動する、
請求項1または請求項2に記載の人物検出装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
自動取引装置から物体検出距離の範囲内に物体が存在することを検出し、
前記自動取引装置の近辺を撮像した撮像画像を取得し、
前記撮像画像を解析することによって、前記自動取引装置から所定の範囲内における人物の有無を判定し、
前記自動取引装置から前記物体検出距離の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、前記自動取引装置から所定の範囲内に人物が存在しないと判定した場合、前記物体検出距離を現在値よりも短い値に設定する、
人物検出方法。
【請求項10】
自動取引装置から物体検出距離の範囲内に物体が存在することを検出する物体検出処理と、
前記自動取引装置の近辺を撮像した撮像画像を取得する取得処理と、
前記撮像画像を解析することによって、前記自動取引装置から所定の範囲内における人物の有無を判定する判定処理と、
前記自動取引装置から前記物体検出距離の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、前記自動取引装置から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、前記物体検出距離を現在値よりも短い値に設定する設定処理と、
をコンピュータに実行させるための人物検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物検出装置、人物検出方法、及び、人物検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行における現金自動預払機(ATM)あるいは鉄道の駅における自動券売機等、現金の預け払いや切符の購入等を含む取引を利用者の操作により自動で行う多数の自動取引装置が利用されている。このような自動取引装置に対して、省電力の実現あるいは利用者の安全性や利便性の向上などの様々な課題を解決するための技術が適用されている。
【0003】
上述の技術に関連して、特許文献1には、利用者の操作を受付けて取引を行なう装置であって、装置の前面に設けられた顧客検知センサの検知距離を変更可能とした自動取引装置が開示されている。この装置は、顧客検知センサによって顧客を検知してから取引が開始されるまでの時間、または、顧客検知センサによって顧客を検知してから所定の時間内に取引が開始されたか否かによって、顧客検知センサの検知距離を自動的に調整する。
【0004】
また、特許文献2には、利用者に対して音声案内を出力し、利用者による入力を受け付けるハンドセットを備える自動取引装置が開示されている。この装置は、媒体を排出する媒体排出部を備え、ハンドセットを介して利用者から所定の入力を受け付けた場合に、媒体排出部に媒体を排出させる排出制御を行うように制御する。
【0005】
また、特許文献3には、自動取引装置の操作画面を含む操作部周辺及び顧客の操作自体を監視カメラで撮像可能な自動取引装置の監視システムが開示されている。このシステムは、顧客の重要機密情報が識別可能な映像を撮影しないように監視カメラを制御する、若しくは、当該映像が判別不能となるように画像処理を施すことを行う。
【0006】
また、特許文献4には、自装置を利用しようとする待機者の有無を判定する対人式自動取引装置が開示されている、この装置は、待機者有りと判定した場合、取り扱い業務の変更を制限することにより、待機者が他の装置に並び直さなければならないといった弊害を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-150554号公報
【特許文献2】特開2014-149708号公報
【特許文献3】特開2008-027167号公報
【特許文献4】特開2003-316961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した自動取引装置は、省電力等のため、使用されない時には表示画面等の電源をオフにしたスタンバイ状態にしておき、自装置を使用するために近づいてくる人物を検出した場合、その人物が自装置をすぐに使用できるようにスタンバイ状態を解除するスタンバイ機能を備える場合がある。このような自動取引装置は、通常、付近に存在する人物を超音波等を用いて検出するための物体検出センサを備えている。
【0009】
物体検出センサは、超音波等を反射する物体であれば、人物以外の物体(障害物)も検出する。したがって、物体検出センサの物体検出範囲内に障害物が存在する場合、あるいは、物体検出範囲外であっても超音波等の反射率が高い障害物が存在する場合、自動取引装置は、実際には近辺に人物が存在しないのにもかかわらず、人物の存在を誤って検出し続けることになる。この場合、上述した自動取引装置のスタンバイ機能が実質的に動作しなくなるので、通常、保守員による現地調査及び障害物を移動する作業を行う必要があり、自動取引装置の維持コストが増加することになる。従って、自動取引装置の近辺に人物以外の物体が存在する場合において、人物の存在を誤って検出することを回避することが課題である。上述した特許文献1乃至4は、このような課題を解決することはできない。
【0010】
本発明の主たる目的は、自動取引装置の近辺に人物以外の物体が存在する場合において、人物の存在を誤って検出することを回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る人物検出装置は、自動取引装置から物体検出距離の範囲内に物体が存在することを検出する物体検出手段と、前記自動取引装置の近辺を撮像した撮像画像を取得する取得手段と、前記撮像画像を解析することによって、前記自動取引装置から所定の範囲内における人物の有無を判定する判定手段と、前記自動取引装置から前記物体検出距離の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、前記自動取引装置から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、前記物体検出距離を現在値よりも短い値に設定する設定手段と、を備える。
【0012】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る人物検出方法は、情報処理装置によって、自動取引装置から物体検出距離の範囲内に物体が存在することを検出し、前記自動取引装置の近辺を撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像を解析することによって、前記自動取引装置から所定の範囲内における人物の有無を判定し、前記自動取引装置から前記物体検出距離の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、前記自動取引装置から所定の範囲内に人物が存在しないと判定した場合、前記物体検出距離を現在値よりも短い値に設定する。
【0013】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る人物検出プログラムは、自動取引装置から物体検出距離の範囲内に物体が存在することを検出する物体検出処理と、前記自動取引装置の近辺を撮像した撮像画像を取得する取得処理と、前記撮像画像を解析することによって、前記自動取引装置から所定の範囲内における人物の有無を判定する判定処理と、前記自動取引装置から前記物体検出距離の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、前記自動取引装置から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、前記物体検出距離を現在値よりも短い値に設定する設定処理と、を前記自動取引装置に実行させる。
【0014】
更に、本発明は、係る人物検出プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、自動取引装置の近辺に人物以外の物体が存在する場合において、人物の存在を誤って検出することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る人物検出装置10の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る設定部14が物体検出距離183の値を変更することを例示する図である。
【
図3A】本発明の第1の実施形態に係る人物検出装置10の動作を示すフローチャート(1/2)である。
【
図3B】本発明の第1の実施形態に係る人物検出装置10の動作を示すフローチャート(2/2)である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る人物検出装置20の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る人物検出装置20の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の各実施形態に係る人物検出装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る自動取引装置1に含まれる人物検出装置10の構成を示すブロック図である。自動取引装置1は、例えば、銀行における現金自動預払機、鉄道の駅における自動券売機、あるいは様々な場所に設置された自動販売機等、現金の預け払いあるいは切符や物品の購入等を含む取引を利用者の操作により自動で行う装置である。自動取引装置1は、省電力等のため、使用されない時には表示画面等の電源をオフにしたスタンバイ状態にしておき、自動取引装置1を使用するために近づいてくる人物を検出した場合、その人物が自装置をすぐに使用できるようにスタンバイ状態を解除する機能を備える。
【0019】
人物検出装置10は、物体検出部11、取得部12、判定部13、設定部14、操作検出部15、特定部16、出力部17、記憶部18、物体検出センサ110、カメラ120を備える。物体検出部11、取得部12、判定部13、設定部14、操作検出部15、特定部16、出力部17、カメラ120は、順に、物体検出手段、取得手段、判定手段、設定手段、操作検出手段、特定手段、出力手段、撮像手段の一例である。
【0020】
記憶部18は、例えば、
図6を参照して後述するRAM(Random Access Memory)あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部18は、物体検出結果181、撮像画像182、物体検出距離183、基準時間184を記憶している。記憶部18に記憶されたこれらの情報については後述する。
【0021】
物体検出部11は、物体検出センサ110から、自動取引装置1の近辺に存在する物体を検出したことを示す信号を受け付ける。物体検出センサ110は、例えば超音波等を発信し、発信した超音波が物体により反射された反射波を検出することによって、物体を検出する。尚、本実施形態では、人物と、人物以外の物体(障害物)とを含めて物体と称することとする。
【0022】
物体検出センサ110は、物体を検出する感度を変更可能であり、記憶部18に記憶された、当該感度を示す物体検出距離183の値によって示される範囲内に物体が存在することを検出する。即ち、物体検出センサ110は、物体検出距離183の値が長くなるほど、自動取引装置1からより遠くに存在する物体を検出可能である。
【0023】
物体検出部11は、物体検出センサ110から受け付けた信号に基づいて、上述の通り、物体検出距離183の範囲内に物体が存在することを検出する。物体検出部11は、自動取引装置1の近辺に存在する物体を検出した物体検出結果181を記憶部18に格納する。
【0024】
取得部12は、カメラ120によって自動取引装置1の近辺が撮像された撮像画像182を取得して、取得した撮像画像182を記憶部18に格納する。
【0025】
カメラ120は、自動取引装置1が使用可能な状態(即ちスタンバイ状態でない)にある場合において、自動取引装置1の近辺を常時撮像する様にしてもよい。カメラ120は、あるいは、通常は起動していない状態にあり、取得部12から撮像画像182の取得要求を受け付けたことを契機として起動するようにしてもよい。
【0026】
取得部12は、また、物体検出結果181により表される物体の存在を検出した継続時間が基準時間184を超えた場合に撮像画像182を取得するようにしてもよい。本実施形態に係る人物検出装置10は、後述する通り、近辺に存在する人物以外の物体(障害物)を検出しているか否かを判定するために撮像画像182を取得する。自動取引装置1の近辺に人物以外の物体が存在する場合、物体検出部11は長時間にわたって継続して物体を検出し続ける。一方で、自動取引装置1を使用する使用しないにかかわらず、人物が自動取引装置1の近辺に滞在することがあるが、人物の滞在は一般的に一時的である。したがって、物体検出結果181により表される物体の存在を検出した継続時間が基準時間184を超えた(即ち、当該継続時間が長時間になる)場合に、自動取引装置1の近辺に人物以外の物体(障害物)が存在すると考えられる。したがって、物体検出結果181により表される物体の存在を検出した継続時間が基準時間184を超えた場合のみを、撮像画像182の取得対象とした方が、自動取引装置1が行う処理として、より効率的である。尚、基準時間184は、人物が自動取引装置1の近辺に継続して滞在すると考えられる一般的な最大時間とすればよく、例えば10分程度とすればよい。
【0027】
尚、基準時間184は、固定された値ではなく、自動取引装置1の近辺における人物の混雑状況に応じて変更されてもよい。即ち、基準時間184は、後述する設定部14によって、時間帯ごとの自動取引装置1の近辺における人物の混雑状況を表す情報によって示される、人物が混雑する時間帯ほど長く設定されてもよい。これは、上述した通り、人物が自動取引装置1の近辺に継続して滞在すると考えられる一般的な最大時間から求められる基準時間184は、自動取引装置1の近辺が混雑するほど長くなる傾向があるからである。
【0028】
また、本実施形態では、自動取引装置1はカメラ120を備えるが、カメラ120は自動取引装置1に内蔵されなくてもよい。カメラ120は、例えば、自動取引装置1の近辺を撮像可能に設置された監視カメラであってもよい。ただしその場合、人物検出装置10とカメラ120とは通信可能に接続されていることとする。
【0029】
判定部13は、取得部12によって取得された撮像画像182を、既存の画像解析技術を用いて解析することによって、自動取引装置1から所定の範囲内における人物の有無を判定する。但し、当該所定の範囲は、自動取引装置1を使用したい人物が存在することが想定される範囲であり、例えば自動取引装置1から数メートル以内の範囲である。
【0030】
判定部13は、例えば、既存の顔認証技術を利用して、撮像画像182に人物の顔が含まれるか否か(即ち人物が含まれるか否か)を判定可能である。判定部13は、また、人物の顔に限定せず、人物の全体あるいは一部を表す形状を学習することによって、撮像画像182に人物が含まれるか否かを判定してもよい。判定部13は、例えば、撮像画像182に含まれる人物を表す部分の大きさが基準以上である場合に、自動取引装置1から所定の範囲内に人物が存在すると判定する。
【0031】
設定部14は、物体検出部11によって物体検出距離183の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、判定部13によって自動取引装置1から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、物体検出距離183を現在値よりも短い値に設定する。この際、例えば、物体検出距離183として設定可能な複数の設定値が用意され、設定部14は、それらの複数の設定値のいずれかを選択するようにしてもよい。
【0032】
図2は、本実施形態に係る設定部14が、物体検出距離183の値を変更することを例示する図である。
図2に示す例では、物体検出距離183として設定可能な複数の設定値として、L1乃至L5の5つの設定値(但し、L1<L2<L3<L4<L5とする)が用意されている。物体検出距離183の値が設定値L1である場合、物体検出センサ110は、自動取引装置1からの距離がL1以内にある物体を検出する。同様に、物体検出距離183の値が設定値L5である場合、物体検出センサ110は、自動取引装置1からの距離がL5以内にある物体を検出する。即ち、物体検出センサ110は、物体検出距離183として設定値L1が設定されているときは物体を検出する感度が最も低く、物体検出距離183として設定値L5が設定されているときは物体を検出する感度が最も高くなる。
【0033】
例えば、
図2に例示する通り、人物以外の物体(障害物)が自動取引装置1からL5の距離に存在することとする。この場合において、物体検出距離183の現在値としてL5が設定されている場合、物体検出センサ110は障害物を検出する。そして物体検出センサ110は、その障害物が、自動取引装置1からの距離がL5よりも遠い場所に移動されない限り、その障害物を検出し続けることになる。したがって、この場合、人物検出装置10は、自動取引装置1を使用するために近づいてくる人物を検出することができない。
【0034】
この場合、設定部14は、物体検出距離183の値を、設定値L5からL5の次に長い値である設定値L4に変更する。物体検出距離183の値がL4に変更された後は、物体検出センサ110は、自動取引装置1からの距離がL5にある障害物の検出を行わない。したがって、人物検出装置10は、物体検出距離183の値がL4に変更された後は、自動取引装置1を使用するために近づいてくる人物を検出することができるようになる。
【0035】
操作検出部15は、自動取引装置1に対する利用者による操作を検出する。利用者による操作は、例えば、自動取引装置1が備えるタッチパネルあるいは入力ボタンに対する入力操作、現金の投入口から現金が投入される操作等を含む。
【0036】
操作検出部15により利用者による操作が検出されている場合、人物(利用者)が自動取引装置1の近辺に存在することは、撮像画像182を取得して解析するまでもなく自明である。したがって、取得部12は、操作検出部15によって自動取引装置1に対する操作が検出されている場合は撮像画像182を取得する必要はなく、操作検出部15によって自動取引装置1に対する操作が検出されていない場合を、撮像画像182を取得する対象とすればよい。
【0037】
特定部16は、物体検出部11によって物体検出距離183の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、判定部13によって自動取引装置1から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、現在の撮像画像182と、物体検出距離183の範囲内に物体が存在することが検出される以前の撮像画像182とを比較する解析を行う。この際、特定部16は、現在の撮像画像182あるいは以前の撮像画像182に含まれる人物を取り除いたのち、現在の撮像画像182あるいは以前の撮像画像182に含まれる障害物を抽出する。そして、特定部16は、以前の撮像画像182には含まれず現在の撮像画像182には含まれる障害物を、物体検出部11により検出されることを回避する対象とする障害物をして特定する。即ち、特定部16によって特定された障害物は、人物検出装置10がその存在を検出しないように、自動取引装置1の保守員によって、別の場所に移される対象となる障害物である。
【0038】
出力部17は、設定部14によって物体検出距離183が下限値に設定された後も、物体検出部11によって物体検出距離183の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、判定部13によって自動取引装置1から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、自動取引装置1に関する現地調査を行うことを指示する情報を、外部へ出力する。この場合は、
図2に示す例において、自動取引装置1と障害物との距離がL1よりも短い場合に相当する。
【0039】
この場合、出力部17は、現地調査を行うことを指示する情報を、例えば、自動取引装置1の保守員の端末に送信する。障害物は、現地調査を行うことを指示された保守員によって、自動取引装置1からの距離がL5よりも遠い場所に移動され、自動取引装置1によって障害物が検出されることが解消される。また、出力部17は、上述した特定部16による特定結果も含めて、保守員に端末に送信してもよい。
【0040】
次に
図3A及び3Bのフローチャートを参照して、本実施形態に係る人物検出装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
【0041】
操作検出部15は、自動取引装置1に対する利用者による操作が行われている状態か確認する(ステップS101)。自動取引装置1に対する操作が行われている状態である場合(ステップS102でYes)、処理はステップS101へ戻る。自動取引装置1に対する操作が行われている状態でない場合(ステップS102でNo)、取得部12は、物体検出部11により、物体検出距離183の範囲内に物体が存在することが検出されたか確認する(ステップS103)。
【0042】
物体検出部11によって物体検出距離183の範囲内に物体が存在することが検出されない場合(ステップS104でNo)、処理はステップS101へ戻る。物体検出部11によって物体検出距離183の範囲内に物体が存在することが検出された場合(ステップS104でYes)、取得部12は、物体の存在を検出した継続時間が基準時間184を超えたか確認する(ステップS105)。
【0043】
継続時間が基準時間184を超えていない場合(ステップS106でNo)、処理はステップS101へ戻る。継続時間が基準時間184を超えた場合(ステップS106でYes)、取得部12は、カメラ120を起動し、自動取引装置1の近辺を撮像した撮像画像182を取得する(ステップS107)。
【0044】
判定部13は、取得部12によって取得された撮像画像182を解析し、自動取引装置1から所定の範囲内における人物の有無を判定する(ステップS109)。所定の範囲内に人物が存在する場合(ステップS109でYes)、処理はステップS101へ戻る。
【0045】
所定の範囲内に人物が存在しない場合(ステップS109でNo)、設定部14は、物体検出距離183の現在値が下限値であるか確認する(ステップS110)。物体検出距離183の現在値が下限値でない場合(ステップS111でNo)、設定部14は、物体検出距離183を現在値よりも1つ短い設定値に設定し(ステップS112)、処理はステップS101へ戻る。
【0046】
物体検出距離183の現在値が下限値である場合(ステップS111でYes)、出力部17は、自動取引装置1に関する現地調査を指示する情報を生成し、生成した情報を、保守員の端末装置に送信し(ステップS113)、処理はステップS101へ戻る。
【0047】
本実施形態に係る人物検出装置10は、自動取引装置1の近辺に人物以外の物体が存在する場合において、人物の存在を誤って検出することを回避することができる。その理由は、人物検出装置10は、物体検出距離183の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、撮像画像182を解析した結果が所定の範囲内に人物が存在しないことを示す場合、物体検出距離183を現在値よりも短い値に設定するからである。
【0048】
以下に、本実施形態に係る人物検出装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0049】
自動取引装置が備える物体検出センサは、超音波等を反射する物体であれば、人物以外の物体(障害物)も検出する。したがって、物体検出センサの物体検出範囲内に障害物が存在する場合、あるいは、物体検出範囲外であっても超音波等の反射率が高い障害物が存在する場合、自動取引装置は、実際には付近に人物が存在しないのにもかかわらず、人物の存在を誤って検出し続けることになる。この場合、通常、保守員による現地調査及び障害物を移動する作業を行う必要があり、自動取引装置の維持コストが増加することになる。従って、自動取引装置の近辺に人物以外の物体が存在する場合において、人物の存在を誤って検出することを回避することが課題である。
【0050】
このような問題に対して、本実施形態に係る人物検出装置10は、自動取引装置1から物体検出距離183の範囲内に物体が存在することを検出する。人物検出装置10は、自動取引装置1の近辺を撮像した撮像画像182を取得する。人物検出装置10は、撮像画像182を解析することによって、自動取引装置1から所定の範囲内における人物の有無を判定する。そして、人物検出装置10は、物体検出距離183の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、自動取引装置1から所定の範囲内に人物が存在しないと判定した場合、物体検出距離183を現在値よりも短い値に設定する。即ち、人物検出装置10は、人物以外の物体の存在を検出し続けている状態にある場合、その物体を検出できなくなるように物体検出距離183の値を調整する。これにより、人物検出装置10は、自動取引装置1の近辺に人物以外の物体が存在する場合において、人物の存在を誤って検出することを回避することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る人物検出装置10は、物体検出部11による物体の存在を検出した継続時間が基準時間184を超えた場合に撮像画像182を取得する。当該継続時間が基準時間184以内である場合、自動取引装置1の近辺に人物が存在する可能性が高いと考えられることから、撮像画像182の取得対象を継続時間が基準時間184を超えた場合に絞り込むことによって、人物検出装置10は、人物の存在を誤って検出することを回避する処理をより効率的に行うことができる。
【0052】
また、本実施形態に係る人物検出装置10は、自動取引装置1に対する操作が検出されない場合に撮像画像182を取得する。自動取引装置1に対する操作が検出されるときは、近辺に人物が存在することは自明であるので、人物検出装置10は、自動取引装置1に対する操作が検出されない場合を撮像画像182の取得対象とすることによって、人物の存在を誤って検出することを回避する処理をより効率的に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態に係る人物検出装置10は、時間帯ごとの自動取引装置1の近辺における人物の混雑状況を表す情報によって示される、人物が混雑する時間帯ほど、基準時間184を長く設定する。即ち、人物検出装置10は、人物が自動取引装置1の近辺に継続して滞在する時間は、自動取引装置1の近辺が混雑するほど長くなる傾向があることに基づいて、人物の存在を誤って検出することを回避する処理をより適切に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態に係る人物検出装置10は、物体検出距離183の範囲内に物体が存在することを検出し、かつ、自動取引装置1から所定の範囲内に人物が存在しないと判定した場合、現在の撮像画像182と、物体検出距離183の範囲内に物体が存在することを検出する以前の撮像画像182とを解析する。そして、人物検出装置10は、以前の撮像画像182には含まれず現在の撮像画像182には含まれる、人物以外の物体を特定する。これにより、人物検出装置10は、人物の存在を誤って検出する原因となっている障害物を特定するので、現地において自動取引装置1の保守員が障害物を移動させる作業を適切に支援することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る人物検出装置10は、物体検出距離183が下限値に設定された後も、物体検出距離183の範囲内に物体が存在することを検出し、かつ、自動取引装置1から所定の範囲内に人物が存在しないと判定した場合、自動取引装置1に関する現地調査を行うことを指示する情報を外部へ出力する。これにより、人物検出装置10は、人物の存在を誤って検出する問題を、物体検出距離183の値を変更することによっては回避することが困難である場合であっても、その問題を迅速に解決することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る人物検出装置10は、撮像画像182を撮像するカメラ120から撮像画像182を取得する際に、カメラ120を起動する。即ち、人物検出装置10は、撮像画像182を必要なときのみカメラ120の電源を入れるので、省電力を実現できる。
【0057】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係る人物検出装置20の構成を示すブロック図である。
【0058】
本実施形態に係る人物検出装置20は、物体検出部21、取得部22、判定部23、設定部24を備えている。物体検出部21、取得部22、判定部23、設定部24は、順に、物体検出手段、取得手段、判定手段、設定手段の一例である。
【0059】
物体検出部21は、自動取引装置2から物体検出距離210の範囲内に物体が存在することを検出する。物体検出距離210は、例えば、第1の実施形態に係る物体検出距離183と同様な情報である。物体検出部21は、例えば、第1の実施形態に係る物体検出部11と同様に動作する。
【0060】
取得部22は、自動取引装置2の近辺を撮像した撮像画像220を取得する。撮像画像220は、例えば、第1の実施形態に係る撮像画像182と同様な画像である。取得部22は、例えば、第1の実施形態に係る取得部12と同様に動作する。
【0061】
判定部23は、撮像画像220を解析することによって、自動取引装置2から所定の範囲内における人物の有無を判定する。判定部13は、例えば、第1の実施形態に係る判定部13と同様に動作する。
【0062】
設定部24は、物体検出距離210の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、自動取引装置2から所定の範囲内に人物が存在しないと判定された場合、物体検出距離210を現在値よりも短い値に設定する。設定部24は、例えば、第1の実施形態に係る設定部14と同様に動作する。
【0063】
次に
図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る人物検出装置20の動作(処理)について詳細に説明する。
【0064】
物体検出部21は、自動取引装置2から物体検出距離210の範囲内に物体が存在することを検出する(ステップS201)。取得部22は、自動取引装置2の近辺を撮像した撮像画像220を取得する(ステップS202)。判定部23は、撮像画像220を解析することによって、所定の範囲内における人物の有無を判定する(ステップS203)。
【0065】
物体検出距離210の範囲内に物体が存在しない、または、所定の範囲内に人物が存在する場合(ステップS204でNo)、処理はステップS201へ戻る。物体検出距離210の範囲内に物体が存在し、かつ、所定の範囲内に人物が存在しない場合(ステップS204でYes)、設定部24は、物体検出距離210を現在値よりも低く設定し(ステップS205)、処理はステップS201へ戻る。
【0066】
本実施形態に係る人物検出装置20は、自動取引装置2の近辺に人物以外の物体が存在する場合において、人物の存在を誤って検出することを回避することができる。その理由は、人物検出装置20は、物体検出距離210の範囲内に物体が存在することが検出され、かつ、撮像画像220を解析した結果が所定の範囲内に人物が存在しないことを示す場合、物体検出距離210を現在値よりも短い値に設定するからである。
【0067】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において
図1、及び、
図4に示した人物検出装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、
図1、及び、
図4において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・物体検出部11及び21、
・取得部12及び22、
・判定部13及び23、
・設定部14及び24、
・操作検出部15、
・特定部16、
・出力部17、
・記憶部18における記憶制御機能。
【0068】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、
図6を参照して説明する。
【0069】
図6は、本発明の各実施形態に係る人物検出装置を実現可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、
図6は、
図1、及び、
図4に示した人物検出装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0070】
図6に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0071】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理装置900は、また、上述した構成の一部を備えない場合もある。
【0072】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、
図6に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(
図1及び
図4)における上述した構成、或いはフローチャート(
図3A、
図3B、及び
図5)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0073】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0074】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 自動取引装置
10 人物検出装置
11 物体検出部
12 取得部
13 判定部
14 設定部
15 操作検出部
16 特定部
17 出力部
18 記憶部
181 物体検出結果
182 撮像画像
183 物体検出距離
184 基準時間
2 自動取引装置
20 人物検出装置
21 物体検出部
210 物体検出距離
22 取得部
220 撮像画像
23 判定部
24 設定部
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース