(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114211
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/906 20190101AFI20240816BHJP
【FI】
G06F16/906
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019832
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】安田 育武
(72)【発明者】
【氏名】梶木 善裕
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA10
5B175FA03
(57)【要約】
【課題】対象を複数のクラスに分類した結果を活用する。
【解決手段】情報処理システム100は、対象を複数の分類クラスに分類した結果と、複数の分類クラスと識別クラスとを関連付ける関連付けデータRDとを用いて、識別クラスに対象を分類するクラス変換部135を備える。識別クラスは、複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上のクラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスである。当該2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、前記複数の分類クラスと識別クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類するクラス変換手段を備え、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
情報処理システム。
【請求項2】
前記分類クラスと前記識別クラスとを用いた入力に基づいて、前記関連付けデータを生成する設定受付手段をさらに備える
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記複数の分類クラスのそれぞれは、前記対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから構成される構造において、互いに異なる前記クラスに対応しており、
前記複数のクラスグループは、前記分類クラスよりも上位のクラスに対応する
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数のクラスグループは、前記構造において同じ階層に属するクラスに対応する
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記複数のクラスグループは、前記対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから各々が構成され、前記複数の分類クラスを表すための複数の構造のうちの少なくとも1つの構造に含まれるクラスに対応する
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記複数の分類クラスに分類した結果は、前記対象が属すると推定される分類クラスと、前記対象が当該分類クラスに属する確からしさを示す分類精度と、を含み、
前記関連付けデータは、前記対象が前記識別クラスに属する確からしさを示す識別精度に、前記分類精度を変換するための精度変換規則をさらに含み、
前記クラス変換手段は、前記精度変換規則と前記分類精度とに基づいて、前記対象が前記識別クラスに属する確からしさを示す識別精度をさらに求める
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記関連付けデータと、前記学習モデルが学習するために用いられた学習データと、に基づいて更新された学習データを取得する更新学習データ取得手段と、
前記更新された学習データを用いて、前記関連付けデータに応じて更新された学習モデルの学習を行う学習手段とをさらに備える
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記入力クエリの履歴を統計処理した結果に基づいて、学習を行うか否かを判定する学習判定手段をさらに備え、
前記更新学習データ取得手段は、学習を行うと判定された場合に、前記関連付けデータに基づいて、前記更新された学習データを取得する
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
1つ以上のコンピュータが、
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、識別クラスと前記分類クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類し、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
情報処理方法。
【請求項10】
1つ以上のコンピュータに、
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、識別クラスと前記分類クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類することを実行させるためのものであり、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習した学習モデルを用いて、画像に含まれる物体を検出して複数のクラス(種類)に分類する技術がある。
【0003】
例えば特許文献1は、位置領域の検出およびクラス識別に基づく物体検出を細かい多クラスで行う一方で、細かい多クラス単位での物体の検出結果を必要としない用途に好適とするための物体検出装置を開示する。
【0004】
特許文献1に記載の物体検出装置では、物体位置領域検出部は、入力される画像に含まれる物体の位置領域を、予め複数のクラスが定義された第1のクラス定義に基づいて検出する。特許文献1では、クラス識別部は、第1のクラス定義に基づいて、物体が複数のクラスのいずれに属するかを識別する。特許文献1では、物体検出結果出力部は、予め複数のクラスが定義され、第1のクラス定義と紐づいた第2のクラス定義に基づいて、物体のクラス情報を物体の検出結果として出力する。特許文献1では、第2のクラス定義で定義されたクラスの数は、第1のクラス定義で定義されたクラスの数よりも少ない。
【0005】
例えば特許文献1では、第1のクラス定義として、"Person (with Head)"(頭部のある人物)、"Person (without Head)"(頭部のない(頭部が隠れた)人物)、"Car"、"Bus"、"Truck"、"Dog"、"Cat"、"Horse"、"Bear"、"Bird"という10個のクラスが定義される。また、第2のクラス定義では、"Person"、"Vehicle"、"Animal"という3個のクラスが定義される。
【0006】
以下では、特許文献1に記載の「第1のクラス定義で定義されたクラス」を「第1定義クラス」とも称する。特許文献1に記載の「第2のクラス定義で定義されたクラス」を「第2定義クラス」とも称する。
【0007】
特許文献1の記載によれば、第2のクラス定義で定義された"Person"は、第1のクラス定義で定義された"Person (with Head)"及び"Person (without Head)"を包括したクラス(上位概念のクラス)である。また、第2のクラス定義で定義された"Vehicle"は、第1のクラス定義で定義された"Car"、"Bus"及び"Truck"を包括したクラスである。さらに、第2のクラス定義で定義された"Animal"は、第1のクラス定義で定義された"Dog"、"Cat"、"Horse"、"Bear"、"Bird"を包括したクラスである。このように、各第1定義クラスと、各第2定義クラスとは紐づいており、第1のクラス定義と第2のクラス定義とは紐づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
画像から検出される物体に限らず、一般的に、分類の対象は、種々の属性を有していることが多く、着目する属性に応じて種々の方法で分類することができる。そして、対象を分類した結果を利用する場合、ユーザは、その用途などに応じて種々の異なる属性に着目して分類した結果を望むことがある。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、上述のように、クラス識別部は物体が属する第1定義クラスを識別し、第2のクラス定義に基づいて、物体のクラス情報を物体の検出結果として出力する。また、第1定義クラス及び第2定義クラスを木構造で表した場合(特許文献1の
図4参照)、第1定義クラスは、第2定義クラスの直上の階層に対応するクラスである。このように、特許文献1は、クラス識別部が識別した結果を、木構造で表した場合に直上に位置付けられる第2定義クラスに統合するための技術を開示するに過ぎない。そのため、特許文献1に記載の技術では、当該直上に位置付けられる第2定義クラスに用いられる属性以外の種々の属性に着目して、画像に含まれる物体を分類することが困難である。
【0011】
上述のようなユーザの要望などに柔軟に応えるため、画像から検出される物体などの対象を複数のクラスに分類した結果をより一層活用するための技術が望まれている。
【0012】
本発明の目的の一例は、上述した課題を鑑み、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することを解決する情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、前記複数の分類クラスと識別クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類するクラス変換手段を備え、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
情報処理システムが提供される。
【0014】
本発明の一態様によれば、
1つ以上のコンピュータが、
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、識別クラスと前記分類クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類し、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
情報処理方法が提供される。
【0015】
本発明の一態様によれば、
1つ以上のコンピュータに、
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、識別クラスと前記分類クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類することを実行させるためのものであり、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1に係る情報処理システムの概要を示す図である。
【
図2】実施形態1に係る情報処理装置の概要を示す図である。
【
図3】実施形態1に係る情報処理の流れの概要を示す図である。
【
図4】実施形態1に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図5】実施形態1に係る分析装置の機能的な構成例を示す図である。
【
図6】実施形態1に係る複数の分類クラスを含む第1オントロジーの構造の例を示す図である。
【
図7】実施形態1に係る端末の機能的な構成例を示す図である。
【
図8】実施形態1に係る分類クラスと識別クラスとを含む第2オントロジーの構造の例を示す図である。
【
図9】実施形態1に係る情報処理装置の機能的な構成例を示す図である。
【
図10】実施形態1に係る情報処理装置の物理的な構成例を示す図である。
【
図11】実施形態1に係る解析処理の流れの一例を示す図である。
【
図12】実施形態1に係る関連付け設定処理の流れの一例を示す図である。
【
図13】実施形態1に係る応答処理の流れの一例を示す図である。
【
図14】実施形態2に係る複数の分類クラスを表すための第3オントロジー及び第4オントロジーそれぞれの構造の例を示す図である。
【
図15】実施形態2に係る複数の分類クラスの例を示す図である。
【
図16】実施形態2に係る分類クラスと識別クラスとを含む第5オントロジーの構造の例を示す図である。
【
図17】実施形態3において既存の分類クラスを含む第6オントロジーの構造の例を示す図である。
【
図18】実施形態3に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図19】実施形態3に係る情報処理装置の機能的な構成例を示す図である。
【
図20】実施形態3に係る学習装置の機能的な構成例を示す図である。
【
図21】実施形態3に係る学習処理の流れの一例を示す図である。
【
図22】ネットワーク構造を示す図を用いて、第7オントロジーを表した例を示す図である。
【
図23】ネットワーク構造を示す図を用いて、第8オントロジーを表した例を示す図である。
【
図24】ベン図を用いて、第9オントロジーを表した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0019】
<実施形態1>
(概要)
図1は、実施形態1に係る情報処理システム100の概要を示す図である。
【0020】
情報処理システム100は、対象を複数の分類クラスに分類した結果と、複数の分類クラスと識別クラスとを関連付ける関連付けデータRDとを用いて、識別クラスに対象を分類するクラス変換部135を備える。識別クラスは、複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上のクラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスである。当該2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される。
【0021】
この情報処理システム100によれば、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【0022】
図2は、実施形態1に係る情報処理装置130の概要を示す図である。
【0023】
情報処理装置130は、対象を複数の分類クラスに分類した結果と、複数の分類クラスと識別クラスとを関連付ける関連付けデータRDとを用いて、識別クラスに対象を分類するクラス変換部135を備える。識別クラスは、複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上のクラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスである。当該2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される。
【0024】
この情報処理装置130によれば、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【0025】
図3は、実施形態1に係る情報処理の流れの概要を示す図である。
【0026】
クラス変換部135は、対象を複数の分類クラスに分類した結果と、複数の分類クラスと識別クラスとを関連付ける関連付けデータRDとを用いて、識別クラスに対象を分類する(ステップS305)。識別クラスは、複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上のクラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスである。当該2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される。
【0027】
この情報処理によれば、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【0028】
以下、実施形態1に係る情報処理システム100の詳細例について説明する。
【0029】
(詳細)
(実施形態1に係る情報処理システム100の構成例)
図4は、実施形態1に係る情報処理システム100の構成例を示す図である。情報処理システム100は、ユーザなどからの入力クエリに応じて、対象を分類した結果に基づく出力データを出力するためのシステムである。
【0030】
本実施形態では、交通調査のために情報処理システム100を用いる例を説明する。情報処理システム100は、道路を撮影した画像に含まれる対象を分類し、分類した結果に基づいて、交通に関する出力データを出力する。本実施形態では、対象は、例えば画像に含まれる人及び車両である。なお、対象は、これらに限られず、例えば車両以外の物を含んでもよい。
【0031】
情報処理システム100は、1つ又は複数の撮影装置101_1~101_M1(M1は、1以上の整数。)と、分析装置110と、端末120と、情報処理装置130と、を備える。なお、端末120は、複数であってもよい。
【0032】
撮影装置101_1~101_M1と解析装置110と端末120と情報処理装置130とは、有線、無線又はこれらを組み合わせて構成されるネットワークNTを介して接続されており、ネットワークNTを介して相互に情報を送受信することができる。
【0033】
(実施形態1に係る撮影装置101_1~101_M1の機能的な構成例)
撮影装置101_1~101_M1の各々は、例えばカメラであり、所定の撮影範囲を撮影する。撮影装置101_1~101_M1の各々は、撮影した画像を出力する。この画像は、例えば動画像である。なお、画像は、静止画像であってもよい。
【0034】
(実施形態1に係る分析装置110の機能的な構成例)
図5は、実施形態1に係る分析装置110の機能的な構成例を示す図である。
【0035】
分析装置110は、画像に含まれる対象を検出して分類する。分析装置110は、機能的に例えば、検出部111と、分類部群112とを備える。
【0036】
検出部111は、画像を取得すると、画像に含まれる対象を検出する。
【0037】
本実施形態に係る検出部111は、撮影装置101_1~101_M1の各々から画像を取得する。そして、検出部111は、取得した画像に含まれる人及び車両を検出する。画像が動画像である場合、検出部111は、動画像を構成するフレーム画像の各々に含まれる人及び車両を検出するとよい。
【0038】
分類部群112は、対象を複数の分類クラスに分類する。複数の分類クラスは、対象を分類するために予め定められたクラスである。
【0039】
分類部群112は、例えば、予め定められた複数の属性に基づいて、検出部111が検出した対象を複数の分類クラスに分類する。この場合の複数の分類クラスは、予め定められた複数の属性に関連付けられる。
【0040】
詳細には例えば、分類部群112は、予め定められた複数の属性のそれぞれに対応する複数の分類部112_1~112_M2から構成される。M2は、2以上の整数である。分類部112_1~112_M2の各々は、対応付けられた属性について、対象がいずれに属するかを推定する。
【0041】
図6は、実施形態1に係る複数の分類クラスを含む第1オントロジー(概念体系或いは分類体系)の構造の例を示す図である。同図では、第1オントロジーが木構造で表される例を示す。木構造は、対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから構成される構造であり、以下においても同様である。第1オントロジーを構成する複数のクラスは、複数の分類クラスのそれぞれ対応する互いに異なるクラスを含む。
【0042】
同図に例示する構造は、第1階層のクラスに、「人」及び「車両」を含む。これらの第1階層のクラスは、対象について定められた第1属性「人/車両区分」に関連付けられるクラスの例である。
【0043】
同図に例示する構造は、「人」の下位に位置する第2階層のクラスに、「男性」及び「女性」を含む。これらの「人」についての第2階層のクラスは、対象について定められた第2属性「性別」に関連付けられるクラスの例である。また、同図に例示する構造は、「車両」の下位に位置する第2階層のクラスに、「大型車」、「普通車」及び「二輪車」を含む。これらの「車両」についての第2階層のクラスは、対象について定められた第3属性「車両サイズ」に関連付けられるクラスの例である。
【0044】
同図に例示する構造は、第2階層のクラス「男性」及び「女性」のそれぞれの下位に位置する第3階層のクラスに、「男性警察官」及び「一般男性」、「女性警察官」及び「一般女性」を含む。また、同図に例示する構造は、第2階層のクラス「大型車」、「普通車」及び「二輪車」の下位に位置する第3階層のクラスに、「警察大型車」及び「一般大型車」、「警察普通車」及び「一般普通車」、「警察二輪車」及び「一般二輪車」を含む。これらの第3階層のクラスは、対象について定められた第4属性「警察/一般区分」に関連付けられるクラスの例である。
【0045】
同図に示す例では、分類クラスは、最下層に含まれており、「男性警察官」、「一般男性」、「女性警察官」、「一般女性」、「警察大型車」、「一般大型車」、「警察普通車」、「一般普通車」、「警察二輪車」及び「一般二輪車」である。すなわち、本実施形態では、複数の分類クラスは、対象について予め定められた属性を用いて対象を分類できるクラスの最小単位である。
【0046】
なお、第1オントロジーを構成する複数のクラスは、対象について予め定められた属性を用いて対象を分類できるクラスであればよい。また、複数の分類クラスは、第1オントロジーを構成する複数のクラスの全体又はその一部であればよい。
【0047】
また、オントロジーの構造は、木構造に限られない。オントロジーの構造は、例えば、バス型、リング型、スター型、フルメッシュ型、パーシャルメッシュ型などのネットワーク構造などであってもよい。オントロジーを表す方法は、樹形図に限らず、ベン図などの各種の図が用いられてもよく、オントロジー記述言語などの各種の言語が用いられてもよい。
【0048】
オントロジー記述言語の例として、WOL(Web Ontology Language)、RDF(Resource Description Framework、RDFS(RDF Schema)、SWRL(Semantic Web Rule Language)がある。オントロジー記述言語では、クラス間の関係を表す予め定められた記号、クラス間の関係を表す予め定められた文字列が用いられるとよい。
【0049】
クラス間の関係を表すための記号として、例えば、部分集合を表す「⊃」「⊂」、論理和を表す「∪」、論理積を表す「∩」が用いられてもよい。「X⊃Y」、「Y⊂X」の各々は、クラスYがクラスXの一部であることを表す。クラス間の関係を表すための文字列として、例えば、「SubClassOf」、「PropatyOf」が用いられてもよい。例えば、「X=SubClassOf Y」は、クラスYがクラスXの直下であることを表す。例えば、「X PropatyOf Y」は、クラスYのうち、クラスXの属性を有するクラス(すなわち、クラスX及びクラスYの論理積で表されるクラス)を表す。
【0050】
このようなオントロジー記述言語を用いて、
図6に例示する第1オントロジーを記述した例を以下に示す。なお、
図6に例示する第1オントロジーを、オントロジー記述言語を用いて記述する方法は、以下の例に限られない。
【0051】
(
図6に例示する第1ントロジーを、オントロジー記述言語を用いて記述する場合の記述例)
【0052】
人 = SubClassOf 対象
車両 = SubClassOf 対象
対象 = 人 ∪ 車両
男性 = SubClassOf 人
男性警察官 = SubClassOf 男性
一般男性 = SubClassOf 男性
男性 = 男性警察官 ∪ 一般男性
女性 = SubClassOf 人
女性警察官 = SubClassOf 女性
一般女性 = SubClassOf 女性
女性 = 女性警察官 ∪ 一般女性
人 = 男性 ∪ 女性
大型車 = SubClassOf 車両
警察大型車 = SubClassOf 大型車
一般大型車 = SubClassOf 大型車
大型車 = 警察大型車 ∪ 一般大型車
普通車 = SubClassOf 車両
警察普通車 = SubClassOf 普通車
一般普通車 = SubClassOf 普通車
普通車 = 警察普通車 ∪ 一般普通車
二輪車 = SubClassOf 車両
警察二輪車 = SubClassOf 二輪車
一般二輪車 = SubClassOf 二輪車
二輪車 = 警察二輪車 ∪ 一般二輪車
車両 = 大型車 ∪ 普通車 ∪ 二輪車
【0053】
検出部111及び分類部群112は、例えば、SSD(Single Shot Multibox Detector)のように、これらの機能を兼ね備えた一連のニューラルネットワークで構成される学習モデルを用いて実現されるとよい。学習モデルは、画像に含まれる対象を検出し、当該対象が属する分類クラスを推定するための学習をした機械学習モデルである。
【0054】
学習モデルは、入力画像を入力すると、当該入力画像に含まれる対象を検出し、検出した対象が属する分類クラスを推定し、推定した結果を出力する。すなわち、学習モデルは、入力画像を入力すると、当該入力画像に含まれる対象を検出し、当該対象を複数の分類クラスに分類した結果を出力する。
【0055】
この場合、検出部111は、上述の学習モデルにおいて、入力画像を入力すると、当該入力画像に含まれる対象を検出する機能に相当する。
【0056】
分類部群112は、上述の学習モデルにおいて、入力画像を入力すると、当該入力画像に含まれる対象を複数の分類クラスに分類した結果を出力する機能に相当する。この学習モデルの機能は、検出部111が検出した結果をさらに入力として用いてもよい。また、この学習モデルの機能は、それぞれに対応付けられた属性について、対象がいずれに属するかを推定する複数の分類部112_1~112_M2を含む。
【0057】
複数の分類クラスに分類した結果(以下、「分類情報」とも称する。)は、対象が属すると推定される分類クラスと、分類精度と、を含むとよい。分類精度は、対象が当該分類クラスに属する確からしさを示す値を含む。なお、複数の分類クラスに分類した結果は、これに限られず、例えば対象が属すると推定される分類クラスのみであってもよい。値は、数値に限らず、文字、記号、数字などの1つ又は複数の組み合わせで表されてもよく、以下においても同様である。
【0058】
学習モデルの学習では、例えば、学習用の画像と正解データとを用いた教師あり学習が行われるとよい。正解データは、例えば、学習用の画像に含まれる対象と、対象が属する分類クラスを示す正解ラベルとを含むデータである。
【0059】
なお、検出部111及び分類部群112を実現するための技術は、これに限られない。例えば、学習モデルは、検出部111及び分類部群112は、それぞれが一連のニューラルネットワークで構成される複数の機械学習モデルを用いて実現されてもよい。また、検出部111及び分類部群112は、機械学習以外の技術を用いて実現されてもよい。
【0060】
(実施形態1に係る端末120の機能的な構成例)
図7は、実施形態1に係る端末120の機能的な構成例を示す図である。端末120は、例えば、ユーザが利用する情報処理装置である。端末120は、入力クエリを受け付けて、当該入力クエリに応じた出力データを表示する。
【0061】
端末120は、機能的には例えば、設定受付部121と、クエリ受付部122と、表示部123と、表示制御部124と、を備える。なお、端末120が備える機能は、詳細後述する情報処理装置130が備えてもよい。
【0062】
設定受付部121は、分類クラスと識別クラスとを用いた入力に基づいて、複数の分類クラスと識別クラスとを関連付ける関連付けデータRDを生成する。設定受付部121は、生成した関連付けデータRDを情報処理装置130へ送信する。
【0063】
識別クラスは、複数のクラスグループのうちの2つ以上のクラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスである。
【0064】
複数のクラスグループの各々は、複数の分類クラスをグループ化したものである。複数のクラスグループの各々は、例えば共通の属性を有する1つ又は複数の分類クラスから構成される。すなわち、複数のクラスグループは、1つの分類クラスから構成されるクラスグループを含んでもよい。また、複数のクラスグループの各々が、共通の属性を有する複数の分類クラスから構成されてもよい。
【0065】
識別クラスに統合される分類クラスの各々が属するクラスグループは、上述のように、2つ以上である。そして、当該2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される。
【0066】
複数の分類クラスを含む第1オントロジーの構造において複数のクラスグループは、その少なくとも一部が分類クラスよりも上位のクラスに対応する。言い換えると、識別クラスは、当該第1オントロジーの構造においてある上位クラスの下にある分類クラスと、当該構造において当該上位クラスの下にはない分類クラスと、を統合したクラスである。
【0067】
図6に示す第1オントロジーの例では、クラスグループは、同図の点線の円で示すように、例えば第2階層のクラス「男性」、「女性」、「大型車」、「普通車」及び「二輪車」に対応する。
【0068】
すなわち、「男性」に対応するクラスグループは、当該「男性」の下位に属する「男性警察官」及び「一般男性」を含むグループである。「女性」に対応するクラスグループは、当該「女性」の下位に属する「女性警察官」及び「一般女性」を含むグループである。「大型車」に対応するクラスグループは、当該「大型車」の下位に属する「警察大型車」及び「一般大型車」を含むグループである。「普通車」に対応するクラスグループは、当該「普通車」の下位に属する「警察普通車」(これは、「パトカー」でもよい。)及び「一般普通車」を含むグループである。「二輪車」に対応するクラスグループは、当該「二輪車」の下位に属する「警察二輪車」(これは、「白バイ」でもよい。)及び「一般二輪車」を含むグループである。
【0069】
このようなクラスグループは、第1オントロジーの構造において同じ階層に属するクラスに対応するクラスグループの例である。このようなクラスグループは、分類クラスの直上の階層のクラスに対応するクラスグループの例でもある。このようなクラスグループは、最下層(
図6の例では、第3階層)と最上層(
図6の例では、第1階層)のクラスを除く中間階層のクラスに対応するクラスグループの例でもある。
【0070】
識別クラスは、例えば、「警察官」、「警察車両」、「警察」などを含む。「警察官」は、「男性警察官」及び「女性警察官」を含むクラスである。「警察車両」は、「警察大型車」、「警察普通車」及び「警察二輪車」を含むクラスである。「警察」は、「警察官」及び「警察車両」、すなわち、「男性警察官」、「女性警察官」、「警察大型車」、「警察普通車」及び「警察二輪車」を含むクラスである。
【0071】
例えば、「警察官」という識別クラスは、「男性」及び「女性」のそれぞれに対応するクラスグループに属する分類クラスを統合したクラスである。「警察車両」、「警察」の各々についても、同様に、異なるクラスグループに属する分類クラスを統合したクラスである。
【0072】
関連付けデータRDは、上述の通り、複数の分類クラスと識別クラスとを関連付けるデータであるので、識別クラスは、関連付けデータRDで定義される。関連付けデータRDは、分類クラスと識別クラスとを含む第2オントロジーを示すデータとも言える。関連付けデータRDを用いることで、第1オントロジーから第2オントロジーへオントロジーを変換することができる。
【0073】
図8は、実施形態1に係る分類クラスと識別クラスとを含む第2オントロジーの構造の例を示す図である。同図では、第2オントロジーが、
図6の例と同様に、木構造で表される例を示す。第2オントロジーを構成する複数のクラスは、識別クラスである「警察官」、「警察車両」、「警察」、「一般人」、「一般車両」及び「一般」と、複数の分類クラスとのそれぞれ対応する互いに異なるクラスを含む。
【0074】
このような識別クラスを含む第2オントロジーは、複数の分類クラスを含む第1オントロジーを用いて作成することができる。
【0075】
設定受付部121は、例えばユーザの指示を受け付けると、後述する情報処理装置130から第1オントロジーを示す分類規則情報を取得し、表示部123に表示させる。分類規則情報は、例えば、
図6に示すような木構造などその構造を示す図を含んでもよく、オントロジー記述言語を用いた記述を含んでもよい。なお、分類規則情報にて第1オントロジーを示す方法は、これらに限られない。
【0076】
これにより、表示部123には例えば、第1オントロジーの構造が表示される。第1オントロジーは、
図6に示すような木構造などその構造を示す図を用いて表示されてもよく、オントロジー記述言語で表示されてもよく、その他の方法で表示されてもよい。
【0077】
設定受付部121は、第2オントロジーの構造(例えば、
図8参照)を作成するためのインタフェースを提供する。このインタフェースは、例えばGUI(Graphical User Interface)により図を編集するためのエディタ、オントロジー記述言語を編集するためのエディタなどであるが、これらに限られない。
【0078】
詳細には例えば、ユーザは、例えば表示部123に表示された第1オントロジーの構造(例えば、
図6参照)を参照する。
【0079】
そして、ユーザは、例えば、GUIなどを用いて、
図8に示すような木構造などの第2オントロジーの構造を示す図を作成する。また例えば、ユーザは、エディタなどを用いて、第2オントロジーを示す記述を作成する。この記述には、例えばオントロジー記述言語が用いられるとよい。このとき、識別クラスは、第1オントロジーに含まれていないため、第2オントロジーを作成する際にユーザなどが作成するとよい。
【0080】
設定受付部121は、例えばユーザの指示を受け付けると、ユーザが作成した分類クラスと識別クラスとを含む第2オントロジーの構造に基づいて、当該第2オントロジーの構造を示す関連付けデータRDを生成する。関連付けデータRDは、ユーザが作成した第2オントロジーの構造を含めばよく、それを表す方法には図、オントロジー記述言語などの少なくとも1つが用いられるとよい。図は、樹形図に限らず、例えばベン図などであってもよい。
【0081】
上述のようなオントロジー記述言語を用いて、
図8に例示する第2オントロジーを記述した例を以下に示す。なお、
図8に例示する第2ントロジーを、オントロジー記述言語を用いて記述する方法は、以下の例に限られない。
【0082】
(
図8に例示する第2オントロジーを、オントロジー記述言語を用いて記述する場合の記述例)
対象 = 警察 ∪ 一般
警察 = 警察官 ∪ 警察車両
警察官 = 男性警察官 ∪ 女性警察官
警察車両 = 大型警察車両 ∪ パトカー ∪ 白バイ
男性警察官 = 警察 PropatyOf 男性
女性警察官 = 警察 PropatyOf 女性
大型警察車両 =警察 PropatyOf 大型車
パトカー = 警察 PropatyOf 普通車
白バイ =警察 PropatyOf 二輪車
【0083】
設定受付部121は、分類クラスと識別クラスとを含む第2オントロジーと、当該分類クラスの分類精度と、予め定められる精度変換規則とを用いて、識別精度をさらに生成してもよい。精度変換規則は、分類精度を識別精度に変換するための規則である。識別精度は、対象が識別クラスに属する確からしさを示す値を含む。関連付けデータRDが、精度変換規則を含んでもよい。
【0084】
例えば、精度変換規則は、分類クラス及び識別クラスの組み合わせと、当該分類クラスの分類精度を当該識別クラスの識別精度に変換するための変換規則と関連付ける。変換規則は、変換値、変換式などの少なくとも1つを含む。変換値は、分類クラスに属すると推定された対象が識別クラスに属する確からしさを示す値を含む。変換式は、例えば、分類クラスの分類精度を当該識別クラスの識別精度に変換するための式である。
【0085】
図6に例示した第1オントロジーにおいて、「警察普通車」は、一般的には外観上で明らかに警察車両であることがわかるパトカーなどである。しかし、いわゆる覆面パトカーなど、外観上では一般普通車と区別が難しい車両がある。覆面パトカーなどを「警察普通車」に含めるか「一般普通車」に含めるかは、対象を識別クラスに分類した結果をどのように用いるかなどに応じて異なる。
【0086】
「女性警察官」や「男性警察官」についても同様に、一般的には制服を着た警察官であるが、いわゆる私服警察官などのように「一般男性」や「一般女性」と外観上の区別が難しい警察官がいる。私服警察官などを「女性警察官」や「男性警察官」に含めるか「一般男性」や「一般女性」に含めるかは、対象を識別クラスに分類した結果をどのように用いるかなどに応じて異なる。
【0087】
ここでは、覆面パトカーを「警察普通車」と「一般普通車」とのいずれに含めるかに応じて、識別精度を変更する例を説明する。識別クラスが「警察車両」を含み、この識別クラスが、3つの分類クラス「警察二輪車」、「警察普通車」及び「警察大型車」を含むとする。また、分類部群112が、覆面パトカーを「警察普通車」ではなく、「一般普通車」に含めるように学習し、この分類部群112により、ある映像から「車両A」、「車両B」及び「車両C」を、それぞれ「一般普通車」、「警察普通車」及び「警察二輪車」だと分類した際の分類精度がX(%),Y(%),Z(%)であったとする。このX,Y,Zは、例えば、対象をそれぞれの分類クラスへ分類した結果が正しい確率である。
【0088】
覆面パトカーを「一般普通車」に含めてよいと考える第1のユーザには、ユーザが期待する識別クラスのオントロジーと分類器群112が学習した分類クラスのオントロジーが一致しているため、分類精度をそのまま識別精度として提示してよい。そのため、例えば、「車両A」、「車両B」及び「車両C」それぞれの識別精度として、X、Y及びZが提示されるとよい。
【0089】
これに対して、覆面パトカーを「一般普通車」ではなく「警察普通車」に含めることを望む第2のユーザにとって、ユーザが期待する識別クラスのオントロジーと分類器群112が学習した分類クラスのオントロジーは異なる。例えば、「一般普通車」だと分類された「車両A」は、覆面パトカーを誤って「一般普通車」だと分類した可能性があり、識別精度は第2のユーザの期待よりも小さな値となる。そのため、この場合の変換規則は、当該「車両A」の分類精度Xを、識別クラスにおける「一般普通車」の識別精度W(%)に変換するための変換値p(%)を含むとよい。
【0090】
ここで、分類クラスにおける「一般普通車」は、覆面パトカーを含む一般普通車を意味する。識別クラスにおける「一般普通車」は、覆面パトカーを除く一般普通車を意味する。変換値pは、覆面パトカーを含む「一般普通車」に分類された対象が、覆面パトカーを除く「一般普通車」に属する確からしさを示す値であり、例えばその統計的な確率で表される。
【0091】
精度変換規則において変換値pは、例えば、分類クラス「一般普通車」及び識別クラス「一般普通車」の組み合わせと、関連付けられていればよく、例えばベン図を用いて表されてもよい。この例でベン図を用いて変換値pを表す場合、例えば、変換値pは、分類クラス「一般普通車」のうち、識別クラス「一般普通車」を除いた部分に対応付けられるとよい。
【0092】
第2のユーザには、例えば、変換式と変換値と分類精度とを用いて求められる「車両A」の識別精度が提示されるとよい。この識別精度は、例えば、W(%)であり、W/100は、例えばp/100とX/100との積である。例えば、第2のユーザには、「車両A」、「車両B」及び「車両C」それぞれの識別精度として、W、Y及びZが提示されるとよい。
【0093】
なお、精度変換規則は、これらに限らず、その他の方法で定義されてもよい。
【0094】
図7を再び参照する。
クエリ受付部122は、識別クラスに対象を分類した結果を用いた要求をするための入力クエリを受け付ける。入力クエリは、分類クラスに対象を分類した結果を用いた要求を含んでもよい。クエリ受付部122は、入力クエリを情報処理装置130へ送信する。
【0095】
入力クエリは、例えば、所定期間における「警察官」及び「警察車両」のそれぞれの交通量(警察官の人数及び警察車両の台数の各々)やその時系列的な変化の要求を含んでもよい。また例えば、入力クエリは、所定期間における交通量(警察官の人数及び警察車両の台数の合計)やその時系列的な変化の要求を含んでもよい。さらに例えば、入力クエリは、所定期間における警察を除いた「一般」「一般車両」「一般人」の1つ又は複数に関する交通量やその時系列的な変化の要求を含んでもよい。
【0096】
表示部123は、表示制御部124などの制御の下で、各種情報を表示する。
【0097】
表示制御部124は、表示部123に情報を表示させる。例えば、表示制御部124は、入力クエリに応じた出力データを、例えば情報処理装置130から取得すると、出力データを表示部123に表示させる。
【0098】
(実施形態1に係る情報処理装置130の機能的な構成例)
図9は、実施形態1に係る情報処理装置130の機能的な構成例を示す図である。情報処理装置130は、入力クエリに応じて、対象を分類した結果に基づく出力データを出力するための装置である。
【0099】
情報処理装置130は、機能的には例えば、分類結果記憶部131と、分類結果取得部132と、関連付け記憶部133と、関連付け取得部134と、クラス変換部135と、出力部136とを備える。
【0100】
分類結果記憶部131は、対象を複数の分類クラスに分類した結果(分類情報)を記憶するための記憶部である。
【0101】
分類結果取得部132は、分類情報を取得する。例えば、分類結果取得部132は、分類情報を分析装置110から取得する。分類結果取得部132は、取得した分類情報を分類結果記憶部131に記憶させる。
【0102】
関連付け記憶部133は、関連付けデータRDを記憶するための記憶部である。関連付け記憶部133は、さらに、第1オントロジーを示す分類規則情報を予め記憶してもよい。
【0103】
関連付け取得部134は、関連付けデータRDを取得する。例えば、関連付け取得部134は、関連付けデータRDを端末120から取得する。関連付け取得部134は、取得した関連付けデータRDを関連付け記憶部133に記憶させる。
【0104】
クラス変換部135は、対象を複数の分類クラスに分類した結果(分類情報)と、関連付けデータRDとを用いて、識別クラスに対象を分類する。例えば、クラス変換部135は、分類結果記憶部131に記憶された分類情報と、関連付け記憶部133に記憶された関連付けデータRDとを用いて、関連付けデータRDに含まれる識別クラスに対象を分類する。
【0105】
詳細には例えば、クラス変換部135は、入力クエリを端末120などから取得すると、入力クエリに含まれる識別クラスを特定する。そして、クラス変換部135は、当該特定した識別クラスを含む関連付けデータRDを用いて、当該特定した識別クラスに関連付けられた複数の分類クラスを特定する。クラス変換部135は、特定した複数の分類クラスに分類されていた対象を、識別クラスに分類する。
【0106】
例えば、クラス変換部135は、分類情報に含まれる対象のうち、識別クラスに関連付けられた複数の分類クラスに属する対象に、識別ラベルをさらに関連付けた分類情報を生成する。これにより、クラス変換部135は、識別クラスに対象を分類する。ここで、識別ラベルは、識別クラスを示す情報である。
【0107】
例えば、入力クエリが、所定期間における「警察官」及び「警察車両」のそれぞれの交通量(警察官の人数及び警察車両の台数の各々)の要求を含むとする。この場合、クラス変換部135は、例えば、所定期間に対応する画像から生成された分類情報を取得し、当該取得した分類情報に含まれる対象を上述のように識別クラスに分類する。
【0108】
このような処理により、クラス変換部135は、第1オントロジジーを第2オントロジーに変換することができる。このとき、クラス変換部135は、さらに、分類規則情報を用いてもよい。
【0109】
クラス変換部135は、精度変換規則と分類精度とに基づいて、対象が識別クラスに属する確からしさを示す識別精度をさらに求めてもよい。
【0110】
出力部136は、対象を複数の分類クラスに分類した結果と、識別クラスに対象を分類した結果とを用いて、入力クエリに応じた出力データを出力してもよい。
【0111】
入力クエリが、例えば、所定期間における「警察官」及び「警察車両」のそれぞれの交通量(警察官の人数及び警察車両の台数の各々)の要求を含むとする。この場合例えば、出力部136は、クラス変換部135が生成した当該所定期間に対応する分類情報を用いて、「警察官」及び「警察車両」のそれぞれを示す識別ラベルが関連付けられた対象の数を計数する。これにより、出力部136は、所定期間における警察官の交通量(人数)と、所定期間における警察車両の交通量(台数)とを含む出力データを生成する。
【0112】
出力データは、対象が属するクラス(分類クラスと識別クラスとの一方又は両方)に応じたラベル(分類ラベルと識別ラベルとの一方又は両方)及び推定精度(分類精度と識別精度との一方又は両方)を含んでもよい。例えば識別クラスに属する対象について、出力データは、当該対象が属する分類クラス及び識別クラスのそれぞれに応じた、分類ラベル及び識別ラベルと、分類精度及び識別精度と、を含んでもよい。
【0113】
出力部136は、当該生成した出力データを出力する。例えば、出力部136は、出力データを端末120へ送信する。なお、出力データの出力は、送信に限られず、例えば情報処理装置130が備える表示部(図示せず)に表示させることであってもよい。
【0114】
これまで、実施形態1に係る情報処理システム100の機能的な構成例について主に説明した。ここから、情報処理システム100の物理的な構成例について説明する。
【0115】
(実施形態1に係る情報処理システム100の物理的な構成例)
情報処理システム100は、物理的には例えば、ネットワークNTを介して接続された撮影装置101_1~101_M1、解析装置110、端末120及び情報処理装置130から構成される。撮影装置101_1~101_M1、解析装置110、端末120及び情報処理装置130の各々は、例えば、物理的に異なる単一の装置から構成される。
【0116】
なお、情報処理システム100が備える機能は、物理的には1つ又は複数の装置(情報処理装置)に適宜振り分けられればよく、情報処理システム100を物理的に構成する装置の数は、1つ以上であればよい。
【0117】
本実施形態に係る撮影装置101_1~101_M1の各々は、上述のように例えばカメラである。本実施形態に係る解析装置110、端末120及び情報処理装置130の各々は、物理的には同様に構成されるとよい。ここでは、情報処理装置130を例に、図を参照して物理的な構成例を説明する。
【0118】
図10は、実施形態1に係る情報処理装置130の物理的な構成例を示す図である。情報処理装置130は、物理的に例えば、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、ネットワークインタフェース1050、入力インタフェース1060、出力インタフェース1070を有する。
【0119】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、ネットワークインタフェース1050、入力インタフェース1060、出力インタフェース1070が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0120】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0121】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0122】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス1040は、これを備える装置(
図10の例では、情報処理装置130)の機能を実現するためのプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する機能が実現される。
【0123】
ネットワークインタフェース1050は、これを備える装置(
図10の例では、情報処理装置130)をネットワークNTに接続するためのインタフェースである。
【0124】
入力インタフェース1060は、ユーザが情報を入力するためのインタフェースである。入力インタフェース1060は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウスなどから構成される。
【0125】
出力インタフェース1070は、ユーザに情報を提示するためのインタフェースである。出力インタフェース1070は、例えば、液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどから構成される。
【0126】
(実施形態1に係る情報処理システム100の動作)
ここから、実施形態1に係る情報処理システム100の動作について、図を参照して説明する。
【0127】
実施形態1に係る情報処理システム100が実行する情報処理は、画像に含まれる対象を分類するための解析処理と、関連付けデータRDを設定するための関連付け設定処理と、入力クエリに応じた出力データを出力するための応答処理とを含む。
【0128】
図11は、実施形態1に係る解析処理の流れの一例を示す図である。
【0129】
解析処理は、例えば分析装置110が画像を取得すると開始される。画像は、例えば撮影装置101_1~101_M1の各々が撮影した画像である。撮影装置101_1~101_M1の各々が撮影によって動画像を生成する場合、解析処理は、動画像を構成する各フレーム画像について繰り返し実行されるとよい。なお、解析処理を開始するトリガーは、これらに限られず、例えば分析装置110がユーザの指示に応じて予め記憶部(図示せず)に記憶された画像を取得して、解析処理が開始されてもよい。
【0130】
検出部111は、画像を取得すると、当該画像に含まれる対象を検出する(ステップS101)。本実施形態では、画像は道路を撮影した画像であり、対象は車両及び人である。すなわち、対象は、道路を通行する車両及び人である。
【0131】
分類部群112は、ステップS101にて検出された対象を複数の分類クラスに分類する(ステップS102)。
【0132】
分類部群112は、ステップS102にて分類した結果(分類情報)を生成する(ステップS103)。
【0133】
詳細には例えば、分類情報は、対象ID(Identification)と、分類ラベルと、分類精度とが関連付けられた情報である。
【0134】
対象IDは、ステップS101にて検出された対象を識別するための情報である。
【0135】
分類ラベルは、これに関連付けられた対象IDを用いて識別される対象が属する分類クラスを識別するための情報である。分類ラベルは、例えば、「男性警察官」、「一般男性」、「女性警察官」、「一般女性」、「警察大型車」、「一般大型車」、「警察普通車」、「一般普通車」、「警察二輪車」及び「一般二輪車」である。
【0136】
なお、分類情報に含まれる分類ラベルは、分類クラスを識別するための情報(分類ID)の一例である。分類IDは分類ラベルに限られない。分類IDは、例えば、分類クラスの各々について予め定められた数値、文字、記号の1つ又は複数の組み合わせであってもよい。この場合、例えば情報処理装置130が、分類IDと分類ラベルとを対応付ける分類ラベル情報を予め記憶部(図示せず)に記憶しているとよい。
【0137】
分類精度は、当該対象が当該分類クラスに属する確からしさを示す情報である。分類精度は、典型的には値であるが、これに限られず、確からしさを示す指標であればよい。このような指標の例として、確からしさに応じて予め定められた記号、文字などがある。
【0138】
分類部群112は、ステップS103にて生成した分類情報を送信する(ステップS104)。
【0139】
分類結果取得部132は、ステップS104にて送信された分類情報を取得する(ステップS105)。
【0140】
分類結果取得部132は、ステップS105にて取得した分類情報を分類結果記憶部131に記憶させ(ステップS106)、解析処理を終了する。
【0141】
図12は、実施形態1に係る関連付け設定処理の流れの一例を示す図である。設定処理は、例えばユーザの指示を受けて開始される。なお、関連付け設定処理を開始するトリガーは、これに限られない。
【0142】
設定受付部121は、関連付け記憶部133に記憶された分類規則情報を取得する(ステップS201)。例えば、設定受付部121は、関連付け取得部134を介して分類規則情報を取得する。
【0143】
設定受付部121は、オントロジー作成画面を表示部123に表示させる(ステップS202)。
【0144】
オントロジー作成画面は、ステップS201にて取得した分類規則情報を含む。分類規則情報は、例えば
図6に示すような樹形図などその構造を示す図を用いて表示されてもよく、オントロジー記述言語で表示されてもよく、その他の方法で表示されてもよい。
【0145】
また、オントロジー作成画面は、分類クラスと識別クラスとを含む第2オントロジーを作成するためのインタフェース(エディタ)を含む。
【0146】
すなわち、設定受付部121は、分類規則情報とともに、第2オントロジーの構造を作成するためのエディタを表示部123に表示させる。
【0147】
設定受付部121は、分類クラスと識別クラスとを含む第2オントロジーを作成するための入力を受け付ける(ステップS203)。
【0148】
詳細には例えば、ユーザは、必要に応じて、識別クラスを作成する。例えば、ユーザは、「警察官」、「警察車両」、「警察」、「一般人」、「一般車両」及び「一般」という識別クラスを作成する。オントロジー作成画面がGUIを提供する場合、ユーザは、例えば識別クラス「警察官」、「警察車両」、「警察」、「一般人」、「一般車両」、「一般」のそれぞれに対応する要素を作成する。そして、ユーザは、分類規則情報に含まれる分類クラスを用いて、識別クラスと分類クラスとを関連付ける。これにより、ユーザは、
図8に例示するような第2オントロジーの構造を作成する。
【0149】
第2オントロジーの構造は、オントロジー作成画面が提供するエディタの種類に応じて、図、オントロジー記述言語などを用いて入力されるとよい。
【0150】
設定受付部121は、ステップS203にて受け付けた入力、すなわち分類クラスと識別クラスとを用いた入力に基づいて、関連付けデータRDを生成する(ステップS204)。
【0151】
詳細には例えば、設定受付部121は、ステップS203にてエディタに入力された第2オントロジーを示す関連付けデータRDを生成する。
【0152】
ここで、ステップS203にて提供されるエディタの種類は、予め定められればよく、分類規則情報又は関連付けデータRDが、樹形図などの図、オントロジー記述言語を用いた記述などのいずれを含むかにかかわらない。設定受付部121は、必要に応じて、図、オントロジー記述言語を用いた記述などを変換して関連付けデータRDを生成するとよい。
【0153】
設定受付部121は、ステップS204にて生成された関連付けデータRDを送信する(ステップS205)。
【0154】
関連付け取得部134は、ステップS205にて送信された関連付けデータRDを取得する(ステップS206)。
【0155】
関連付け取得部134は、ステップS206にて取得した関連付けデータRDを関連付け記憶部133に記憶させ(ステップS207)、関連付け設定処理を終了する。
【0156】
なお、本実施形態では、端末120のユーザが関連付けデータRDを設定する例を説明したが、関連付けデータRDは、これに限らず、例えば情報処理装置130のユーザ(例えば、管理者など)が設定してもよい。この場合、情報処理装置130が端末120の機能(例えば、設定受付部121)を備えるとよい。
【0157】
図13は、実施形態1に係る応答処理の流れの一例を示す図である。応答処理は、例えばユーザの指示を受けて開始される。なお、応答処理を開始するトリガーは、これに限られない。
【0158】
クエリ受付部122は、ユーザなどの入力に応じて、入力クエリを生成する(ステップS301)。
【0159】
詳細には例えば、クエリ受付部122は、入力クエリを入力するためのエディタを表示部123に表示させる。ユーザは、予め定められた言語などを用いて、エディタに入力クエリを記述する。入力クエリは、分類クラスと識別クラスとに対象を分類した結果を用いた要求をするための情報である。クエリ受付部122は、例えばユーザなどの指示に応じて、エディタに入力された入力クエリを含む情報を生成する。
【0160】
このように、複数の分類クラスに分類した結果だけでなく、複数の分類クラスやそれらを表すための第1オントロジーに含まれていない識別クラスをも用いた入力クエリを作成することができる。
【0161】
クエリ受付部122は、ステップS301にて生成された入力クエリを送信する(ステップS302)。
【0162】
詳細には例えば、クエリ受付部122は、入力クエリを含む情報を送信する。
【0163】
クラス変換部135は、ステップS302にて送信された入力クエリを取得するステップS303)。
【0164】
クラス変換部135は、入力クエリと関連付けデータRDとを用いて、入力クエリに関連する識別クラス及び複数の分類クラスを特定する(ステップS304)。
【0165】
詳細には例えば、クラス変換部135は、ステップS303にて取得した入力クエリに含まれる識別クラスを特定する。クラス変換部135は、関連付け記憶部133に記憶された関連付けデータRDを用いて、当該特定した識別クラスに関連付けられた複数の分類クラスを特定する。
【0166】
クラス変換部135は、ステップS304にて特定した複数の分類クラスに分類されていた対象を、ステップS304にて特定した識別クラスに分類する(ステップS305)。
【0167】
詳細には例えば、クラス変換部135は、分類結果記憶部131に記憶された分類情報を参照し、ステップS304にて特定した複数の分類クラスに分類されていた対象を特定する。ここで特定される対象は、識別クラスに属する対象である。クラス変換部135は、識別クラスに属する対象に、識別ラベルをさらに関連付けた分類情報を生成する。識別ラベルは、
図8の例では、「警察官」、「警察車両」、「警察」、「一般人」、「一般車両」及び「一般」である。これにより、クラス変換部135は、識別クラスに属する対象を、ステップS304にて特定した識別クラスに分類する。
【0168】
また例えば、クラス変換部135は、精度変換規則と分類精度とに基づいて、識別クラスに属する対象が当該識別クラスに属する確からしさを示す識別精度をさらに求める。クラス変換部135は、識別クラスに属する対象に、識別精度をさらに関連付けた分類情報を生成してもよい。
【0169】
なお、識別クラスに分類するための識別ラベル、すなわち分類情報に含まれる識別ラベルは、識別クラスを識別するための情報(識別ID)の一例である。識別IDは識別ラベルに限られない。識別IDは、例えば、識別クラスの各々について定められる数値、文字、記号の1つ又は複数の組み合わせであってもよい。この場合、例えば情報処理装置130が、識別IDと識別ラベルとを対応付ける識別ラベル情報を予め記憶部(図示せず)に記憶しているとよい。
【0170】
出力部136は、複数の分類クラスと識別クラスとに対象を分類した結果(すなわち、ステップS305にて生成された分類情報)を用いて、入力クエリに応じた出力データを生成する(ステップS306)。
【0171】
これにより、複数の分類クラスに分類した結果だけでなく、複数の分類クラスやそれらを表すための第1オントロジーに含まれていない識別クラスをも用いた入力クエリに応じて、出力データを生成することができる。
【0172】
出力部136は、ステップS306にて生成された出力データを送信する(ステップS307)。
【0173】
表示制御部124は、ステップS307にて送信された出力データを取得する(ステップS308)。
【0174】
表示制御部124は、ステップS308にて取得した出力データを表示部123に表示させ(ステップS309)、応答処理を終了する。
【0175】
これにより、複数の分類クラスに分類した結果だけでなく、複数の分類クラスやそれらを表すための第1オントロジーに含まれていない識別クラスをも用いた入力クエリに応答することができる。
【0176】
なお、本実施形態では、端末120のユーザが入力クエリを入力する例を説明したが、入力クエリは、これに限らず、例えば情報処理装置130のユーザ(例えば、管理者など)が入力してもよい。この場合、情報処理装置130が端末120の機能(例えば、クエリ受付部122)を備えるとよい。
【0177】
(作用・効果)
以上、本実施形態によれば、情報処理システム100(情報処理装置130)は、対象を複数の分類クラスに分類した結果と、複数の分類クラスと識別クラスとを関連付ける関連付けデータRDとを用いて、識別クラスに対象を分類するクラス変換部135を備える。識別クラスは、共通の属性を有する複数の分類クラスから少なくとも1つが構成される複数のクラスグループのうちの異なるクラスグループに属する分類クラスを統合したクラスである。
【0178】
これにより、分類クラス及びクラスグループに加えて、異なるクラスグループに属する分類クラスを統合した識別クラスに対象を分類することができる。従って、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【0179】
本実施形態によれば、情報処理システム100は、分類クラスと識別クラスとを用いた入力に基づいて、関連付けデータRDを生成する設定受付部121をさらに備える。
【0180】
これにより、識別クラスを設定することができる。従って、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【0181】
本実施形態によれば、複数の分類クラスのそれぞれは、対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから構成される木構造において、互いに異なる前記クラスに対応している。複数のクラスグループは、分類クラスよりも上位のクラスに対応する。
【0182】
これにより、分類クラス及びクラスグループに加えて、異なるクラスグループに属する分類クラスを統合した識別クラスに対象を分類することができる。従って、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【0183】
本実施形態によれば、複数のクラスグループは、木構造において同じ階層に属するクラスに対応する。
【0184】
これにより、同階層のクラスに対応する複数のクラスグループのうちの異なるクラスグループに属する分類クラスを統合した識別クラスに対象を分類することができる。従って、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【0185】
本実施形態によれば、複数の分類クラスに分類した結果は、対象が属すると推定される分類クラスと、対象が当該分類クラスに属する確からしさを示す分類精度と、を含む。関連付けデータRDは、対象が前記識別クラスに属する確からしさを示す識別精度に、分類精度を変換するための精度変換規則をさらに含む。クラス変換部135は、精度変換規則と分類精度とに基づいて、対象が識別クラスに属する確からしさを示す識別精度をさらに求める。
【0186】
これにより、識別精度を参照して、分類の精度を知ることができる。従って、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【0187】
本実施形態によれば、関連付けデータRDは、オントロジー記述言語を用いた記述を含む。
【0188】
これにより、オントロジー記述言語で記述されていると、樹形図、ベン図などを用いて表される場合よりも、情報処理装置が関連付けデータRDを容易に処理することができる。そのため、異なるクラスグループに属する分類クラスを統合した識別クラスに対象を容易に分類することができる。従って、対象を複数のクラスに分類した結果を容易に活用することが可能になる。
【0189】
(実施形態2)
実施形態1では、複数の分類クラスが1つのオントロジー(すなわち、第1オントロジー)で表される例を説明した。しかし、複数の分類クラスは、複数のオントロジーで表されてもよい。
【0190】
本実施形態では説明を簡潔にするため、実施形態1と同様の構成については、説明を適宜省略する。
【0191】
図14は、実施形態2に係る複数の分類クラスを表すための第3オントロジー及び第4オントロジーそれぞれの構造の例を示す図である。同図では、第3オントロジー及び第4オントロジーそれぞれの構造を、木構造(第3木構造及び第4木構造)を用いて表す例を示している。
図14(a)は、本実施形態に係る第3オントロジーを表す第3木構造を示す。
図14(b)は、本実施形態に係る第4オントロジーを表す第4木構造を示す。
【0192】
図4に例示する第3木構造及び第4木構造は、複数の分類クラスを表すための複数のオントロジーの構造の例である。ただし、本実施形態では、複数の分類クラス自体は、複数のオントロジーの構造を構成するクラスに含まれていない。
【0193】
図15は、実施形態2に係る複数の分類クラスの例を示す図である。すなわち、
図14(a)及び(b)のそれぞれに示す第3木構造及び第4木構造は、
図16に示す複数の分類クラスを表すための複数のオントロジーそれぞれの構造の例である。
【0194】
オントロジー記述言語を用いると、
図14に例示する第3オントロジー及び第4オントロジーは、次のように記述することができる。なお、
図14に例示する第3オントロジー及び第4オントロジーを、オントロジー記述言語を用いて記述する方法は、以下の例に限られない。
【0195】
(
図14に例示する第3オントロジー及び第4オントロジーを、オントロジー記述言語を用いて記述する場合の記述例)
男性 = SubClassOf 対象
女性 = SubClassOf 対象
対象 = 男性 ∪ 女性
50歳以上 = SubClassOf 対象
30歳以上49歳以下 = SubClassOf 対象
20歳以上29歳以下 = SubClassOf 対象
13歳以上19歳以下 = SubClassOf 対象
12歳以下 = SubClassOf 対象
対象 = 50歳以上 ∪ 30歳以上49歳以下 ∪ 20歳以上29歳以下 ∪ 13歳以上19歳以下 ∪ 12歳以下
【0196】
図16は、実施形態2に係る分類クラスと識別クラスとを含む第5オントロジーの構造の例を示す図である。同図では、本実施形態に係る第5オントロジーが木構造で表される例を示す。同図に示す例において、識別クラスは、「20歳以上」と「19歳以下」とである。
【0197】
本実施形態において、複数のクラスグループは、複数のオントロジーの構造のうちの少なくとも1つの構造(例えば、
図14(b)に示す第4木構造)に含まれるクラスに対応する。すなわち、本実施形態においても、識別クラスは、複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上のクラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスである。また、当該2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される。
【0198】
オントロジー記述言語を用いると、
図16に例示する第5オントロジーは、次のように記述することができる。なお、
図16に例示する第5オントロジーを、オントロジー記述言語を用いて記述する方法は、以下の例に限られない。
【0199】
(
図16に例示する第5オントロジーを、オントロジー記述言語を用いて記述する場合の記述例)
20歳以上 = 20歳以上29歳以下 ∪ 30歳以上49歳以下∪ 50歳以上
19歳以下 = 13歳以上19歳以下 ∪12歳以下
【0200】
実施形態1に係る情報処理システム100に、本実施形態に係る複数の分類クラス、当該複数の分類クラスを表すための第3オントロジー及び第4オントロジー、分類クラスと識別クラスとを含む第5オントロジーが適用されるとよい。
【0201】
これにより、実施形態1と同様に、分類クラス及びクラスグループに加えて、異なるクラスグループに属する分類クラスを統合した識別クラスに対象を分類することができる。また、実施形態1と同様に、複数の分類クラスに分類した結果だけでなく、複数の分類クラスやそれらを表すための複数のオントロジーに含まれていない識別クラスをも用いた入力クエリを作成し、これに応じた出力データを生成して応答することができる。
【0202】
(作用・効果)
本実施形態によれば、複数のクラスグループは、対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから各々が構成され、複数の分類クラスを表すための複数の構造のうちの少なくとも1つの構造に含まれるクラスに対応する。
【0203】
これにより、分類クラス及びクラスグループに加えて、異なるクラスグループに属する分類クラスを統合した識別クラスに対象を分類することができる。従って、対象を複数のクラスに分類した結果を活用することが可能になる。
【0204】
(実施形態3)
実施形態1では、識別クラスが、既存の分類クラスを統合したクラスである例を説明した。しかし、既存の分類クラスでは対応することができない識別クラスを含む関連付けデータRDが設定されることがある。この場合、学習モデルを更新して学習することが必要になる。
【0205】
本実施形態では、既存の分類クラスでは対応することができない識別クラスを含む関連付けデータRDが設定された場合に、学習モデルを更新して学習する例を説明する。
【0206】
図17は、実施形態3において、既存の分類クラスを含む第6オントロジーの構造の例を示す図である。同図では、第6オントロジーを木構造で表す例を示す。同図に例示する構造は、第1階層のクラスに、第1属性「人/車両区分」に関連付けられる「人」及び「車両」を含む。同図に例示する構造は、「人」の下位に位置する第2階層のクラスに、第2属性「性別」に関連付けられた「男性」及び「女性」を含む。また、同図に例示する構造は、「車両」の下位に位置する第2階層のクラスに、第3属性「車両サイズ」に関連付けられた「大型車」、「普通車」及び「二輪車」を含む。
【0207】
本実施形態では、
図17に示す複数の分類クラス(「男性」、「女性」、「大型車」、「普通車」及び「二輪車」)が既存である場合に、
図8に示す第2オントロジーを含む関連付けデータRDが設定された例を用いて説明する。また本実施形態では、この関連付けデータRDが含む第2オントロジーに基づいて、
図6に示す第1オントロジーに対応するための学習を行う例を用いて説明する。
【0208】
本実施形態では説明を簡潔にするため、実施形態1と同様の構成については、説明を適宜省略する。
【0209】
(実施形態3に係る情報処理システム300の構成例)
図18は、実施形態3に係る情報処理システム300の構成例を示す図である。情報処理システム300は、実施形態1と概ね同様の撮影装置101_1~101_M1(M1は、1以上の整数。)、分析装置110及び端末120を備える。情報処理システム300は、実施形態1に係る情報処理装置130に代わる情報処理装置330を備える。情報処理システム300は、さらに、学習装置340を備える。
【0210】
学習装置340は、実施形態1と同様のネットワークNTを介して、他の装置101_1~101_M1,110,120,330と互いに接続されており、互いに情報を送受信することができる。なお、学習装置340の機能は、情報処理装置330に備えられてもよい。
【0211】
(実施形態3に係る情報処理装置330の機能的な構成例)
図19は、実施形態3に係る情報処理装置330の機能的な構成例を示す図である。情報処理装置330は、機能的には例えば、実施形態1に係る情報処理装置130と同様の機能的な構成131~136に加えて、分類規則更新部337を備える。
【0212】
分類規則更新部337は、分類規則情報を例えば学習装置340から取得すると、当該取得した分類規則情報を関連付け記憶部133に記憶させる。
【0213】
(実施形態3に係る学習装置340の機能的な構成例)
図20は、実施形態3に係る学習装置340の機能的な構成例を示す図である。学習装置340は、関連付けデータRDに応じて更新された学習モデルの学習を行うための装置である。学習装置340は、機能的に例えば、学習データ記憶部341と、学習判定部342と、更新学習データ取得部343と、学習部344と、更新学習モデル出力部345とを備える。
【0214】
学習データ記憶部341は、学習モデルが学習するための学習データを記憶するための記憶部である。学習データは、学習用の画像と、正解データとを含む。正解データは、実施形態1と同様に、学習用の画像に含まれる対象と、対象が属する分類クラスを示す正解ラベルとを含むとよい。学習データ記憶部341には、既存の学習モデルが学習するために用いられた学習データが記憶されている。
【0215】
学習判定部342は、入力クエリの履歴を統計処理した結果に基づいて、学習を行うか否かを判定する。
【0216】
詳細には例えば、学習判定部342は、端末120が受け付けた入力クエリを取得し、その履歴を記憶している。学習判定部342は、入力クエリの履歴を統計処理する。この統計処理において、学習判定部342は、例えば、入力クエリに含まれる識別クラスの各々が用いられる頻度、回数などを計数する。学習判定部342は、識別クラスを特定するために、関連付け記憶部133に記憶された分類規則情報を取得して記憶していてもよい。
【0217】
学習判定部342は、入力クエリの履歴を統計処理した結果が予め定められる更新条件を満たすか否かに基づいて、学習を行うか否かを判定する。更新条件は、例えば、識別クラスが用いられる頻度、回数などが所定の閾値以上であることである。また例えば、更新条件は、既存の分類クラスから識別クラスを生成できないことである。
【0218】
更新学習データ取得部343は、更新された学習データを取得する。当該更新された学習データは、関連付けデータRDと、学習データ記憶部341に記憶された学習データと、に基づいて、当該記憶された学習データを更新したデータである。
【0219】
例えば、更新学習データ取得部343は、関連付けデータRDに基づいて、識別クラスを特定する。詳細には例えば、更新学習データ取得部343は、識別クラスを特定するために、関連付け記憶部133に記憶された分類規則情報を取得するとよい。そして、更新学習データ取得部343は、分類規則情報と関連付けデータRDとに基づいて、識別クラスを特定してもよい。
【0220】
更新学習データ取得部343は、特定された識別クラスに基づいて、学習データ記憶部341に記憶された学習データを更新する。
【0221】
例えば、分類規則情報が
図17に例示する第6オントロジーを含み、関連付けデータRDが
図8に例示する第2オントロジーを含むとする。この場合、更新学習データ取得部343は、「警察官」、「警察車両」、「警察」、「一般人」、「一般車両」及び「一般」を識別クラスとして特定する。更新学習データ取得部343は、識別クラスに分類できるように、例えば学習データに含まれる正解データに、第4属性「警察/一般区分」に対応する正解ラベルを追加する。
【0222】
なお、更新学習データ取得部343は、自動で学習データを更新してもよく、管理者などが関連付けデータRDに基づいて更新した学習データを取得してもよい。
【0223】
学習部344は、更新学習データ取得部343が取得した学習データ、すなわち更新された学習データを用いて、関連付けデータRDに応じて更新された学習モデルの学習を行う。
【0224】
詳細には例えば、学習部344は、関連付けデータRDに応じて更新された学習モデルを取得する。例えば、既存の学習モデルは、第4属性「警察/一般区分」に応じた複数の分類クラスに分類した結果を出力するように更新される。
【0225】
このとき、更新された学習モデルは、第4属性「警察/一般区分」に応じた分類を行うための分類部が既存の学習モデルに追加された学習モデルであってもよい。
【0226】
また例えば、第4属性「警察/一般区分」に応じた分類が服装や車両の色を用いて行われ、既存の学習モデルの分類部が色を識別する機能を含むとする。この場合、第4属性「警察/一般区分」に応じた分類を行うための分類部を既存の学習モデルに追加する必要はない。この場合、既存の学習モデルは、出力される結果(複数の分類クラスに分類した結果)の形式を変更するように更新されればよい。
【0227】
更新された学習モデルは、学習部344が既存の学習モデルを更新することで取得されてもよく、管理者などが既存の学習モデルを更新した学習モデルであってもよい。このように、既存の学習モデルを利用して、更新された学習モデルを容易に取得することができる。
【0228】
学習部344は、更新学習データ取得部343が取得した学習データを用いて、更新された学習モデルの学習を行うとよい。これにより、学習済みの更新された学習モデルを生成することができる。
【0229】
また、学習部344は、更新された学習モデルに応じた分類規則情報を生成してもよい。更新された学習モデルに応じた分類規則情報は、例えば、更新された学習モデルが分類した結果に用いられる複数の分類クラスを含むオントロジーを示す情報である。上述のように、第4属性「警察/一般区分」に応じた分類の結果を追加する場合、分類規則情報は、例えば、
図6に示す第1オントロジーを示す情報である。
【0230】
更新学習モデル出力部345は、学習済みの更新された学習モデルを出力する。また、更新学習モデル出力部345は、学習部344が生成した分類規則情報を出力してもよい。この出力は、例えばネットワークNTを介して送信することであってもよく、記録媒体に記憶させることであってもよい。
【0231】
これまで、実施形態3に係る情報処理システム300の機能的な構成例について主に説明した。実施形態3に係る情報処理システム300は、物理的には、実施形態1に係る情報処理システム100と概ね同様に構成されるとよい。例えば、学習装置340は、物理的には、情報処理システム300と同様に構成されるとよい(
図10参照)。
【0232】
(実施形態3に係る情報処理システム300の動作)
ここから、実施形態3に係る情報処理システム300の動作について説明する。実施形態3に係る情報処理システム300が実行する情報処理は、実施形態1と概ね同様の解析処理、関連付け設定処理及び応答処理を含む。本実施形態に係る情報処理は、さらに、学習モデルを更新して学習するための学習処理を含む。
【0233】
図21は、実施形態3に係る学習処理の流れの一例を示す図である。学習処理は、管理者などの指示に応じて開始されてもよく、予め定められた時期に(例えば、一定の時間間隔などで)開始されてもよい。
【0234】
学習判定部342は、例えば入力クエリの履歴を統計処理した結果が更新条件を満たすか否かに基づいて、学習を行うか否かを判定する(ステップS401)。更新条件を満たさない場合、学習判定部342は、学習を行わないと判定し(ステップS401;No)、学習処理を終了する。なお、ステップS401の判定処理は、行われなくてもよい。
【0235】
学習を行うと判定された場合(ステップS401;Yes)、更新学習データ取得部343は、関連付けデータRDと、学習データ記憶部341に記憶された学習データと、に基づいて、当該記憶された学習データを更新する(ステップS402)。これにより、更新学習データ取得部343は、更新された学習データを生成する。
【0236】
更新学習データ取得部343は、ステップS402にて生成した学習データ(更新された学習データ)を、学習データ記憶部341に記憶させてもよい。
【0237】
学習部344は、関連付けデータRDに応じて更新された学習モデルを取得する(ステップS403)。
【0238】
学習部344は、ステップS402にて生成された学習データ、すなわち更新された学習データを用いて、ステップS403にて取得した学習モデルの学習を行う(ステップS404)。これにより、学習部344は、学習済みの更新された学習モデルを生成する。
【0239】
学習部344は、ステップS403にて取得した学習モデルに応じた分類規則情報を生成する(ステップS405)。
【0240】
更新学習モデル出力部345は、ステップS404で生成された学習モデルを出力する(ステップS406)。更新学習モデル出力部345は、例えば、学習モデルを分析装置110へ送信する。
【0241】
分析装置110(例えば、検出部111)は、ステップS406にて出力された学習モデルを取得する(ステップS407)。分析装置110(例えば、検出部111と分類部群112)は、ステップS407にて取得された学習モデルを用いて対象を分類できるように、学習モデルを保持し(ステップS408)、学習処理を終了する。
【0242】
更新学習モデル出力部345は、ステップS405で生成された分類規則情報を出力する(ステップS409)。更新学習モデル出力部345は、例えば、分類規則情報を情報処理装置330へ送信する。
【0243】
分類規則更新部337は、ステップS409にて出力された分類規則情報を取得する(ステップS410)。分類規則更新部337は、ステップS410にて取得された分類規則情報を関連付け記憶部133に記憶させる(ステップS411)。これにより、分類規則更新部337は、関連付け記憶部133に記憶された分類規則情報を更新し、学習処理を終了する。
【0244】
このような学習処理を実行することで、関連付けデータRDに含まれる識別クラスに対応できるように、既存の学習モデルを更新して学習させることができる。
【0245】
(作用・効果)
本実施形態によれば、情報処理システム300は、更新学習データ取得部343と、学習部344とをさらに備える。更新学習データ取得部343は、関連付けデータRDと、学習モデルが学習するために用いられた学習データと、に基づいて更新された学習データを取得する。学習部344は、更新された学習データを用いて、関連付けデータRDに応じて更新された学習モデルの学習を行う。
【0246】
これにより、関連付けデータRDに応じて、更新された学習モデルの学習を行うことができる。そのため、識別クラスに分類できるように、或いは、より精度良く識別クラスに分類できるように、学習モデルの学習を行うことができる。また、学習モデルは、既存の学習モデルを利用することで、更新された学習モデルを容易に作成することができる。従って、容易に或いは精度良く対象を識別クラスに分類することが可能になる。
【0247】
本実施形態によれば、情報処理システム300は、入力クエリの履歴を統計処理した結果に基づいて、学習を行うか否かを判定する学習判定部342をさらに備える。更新学習データ取得部343は、学習を行うと判定された場合に、関連付けデータRDに基づいて、更新された学習データを取得する。
【0248】
これにより、入力クエリの履歴に応じて学習の要否を判定するので、入力クエリの要求に対して、精度良く或いは迅速に応じることができるように学習モデルを更新することができる。入力クエリの要求に対して、精度良く或いは迅速に応じることが可能になる。
【0249】
(変形例1)
実施形態3では、
図17に示す複数の分類クラスが既存である場合に、
図8に示す複数のクラスを表すための第2オントロジーを含む関連付けデータRDが設定される例を用いて説明した。また、当該関連付けデータRDに含まれる第2オントロジーに基づいて、
図6に示す複数の分類クラスを表すための第1オントロジーに対応するための学習を行う例を用いて説明した。
【0250】
しかしながら、既存の分類クラスでは対応することができない識別クラスを含む関連付けデータRDが設定された場合に、学習モデルを更新して学習する場合は、これに限られない。
【0251】
例えば、
図14(a)に示す複数の分類クラスが既存である場合に、
図16に示す第5オントロジーを含む関連付けデータRDが設定されることもある。そして、当該関連付けデータRDに含まれる第5オントロジーに基づいて、例えば、
図15に示す複数の分類クラスに対応するための学習が行われてもよい。
図15に示す複数の分類クラスは、上述の通り、第3オントロジー及び第4オントロジーで表される複数の分類クラスの例である。実施形態3に係る情報処理システム300は、このような場合にも適用することができる。本変形例によっても、実施形態3と同様の効果を奏する。
【0252】
(変形例2)
実施形態では、オントロジーを表すための図として、樹形図を例示した。オントロジーを表すために図を用いる場合、その図は、樹形図に限らず、種々の図が用いられてよい。本変形例では、ネットワーク構造を示す図とベン図を用いてオントロジーを表す例を示す。
【0253】
図22は、第7オントロジーを、ネットワーク構造を示す図を用いて表した例を示す。第7オントロジーは、
図6に示す第1オントロジーに「私服男性警察官」、「私服女性警察官」及び「覆面パトカー」を追加したオントロジーである。
【0254】
一般的に、クラスが表す概念は、明確に独立ではなく、複雑なネットワーク構造となることがある。
図22に例示するように、ネットワーク構造を示す図を用いることで、用途、文脈などに応じて複数の上位クラスのサブクラスになるクラスを表すことができる。同図において、例えば「覆面パトカー」というクラスは「安全運転を啓発するための、見せる警備」という用途、文脈などにおいては、「普通警察車両」というクラスよりも、「一般普通車」に分類することが好ましい。また例えば、有料道路の料金所において「通行料金を徴収する車両」という用途・文脈においては、覆面パトカーは通行料金が免除される対象であるので、「覆面パトカー」というクラスは、「普通警察車両」に分類することが好ましい。
【0255】
図23は、第8オントロジーを、ネットワーク構造を示す図を用いて表した例を示す。第8オントロジーは、覆面パトカーを含む一般普通車及び普通警察車両と、覆面パトカーを含まない一般普通車及び普通警察車両と、普通車及び覆面パトカーとを含むオントロジーである。
【0256】
図23では、「普通車」のサブクラスにおいて、実線と破線との各々で示すオントロジーを含む多次元オントロジーとして記述する例を示す。
図23の実線で示す次元のオントロジーでは、「覆面パトカー」というクラスは、「覆面パトカーを含む一般普通車」のサブクラスである。
図23の破線で示す次元のオントロジーでは、「覆面パトカー」というクラスは、「覆面パトカーを含む普通警察車両」のサブクラスである。このように、ネットワーク構造を示す図を用いることで、用途、文脈などに応じて、ある対象(同図の例では、覆面パトカー)をいずれに分類するかが異なる複数のクラスを含む多次元オントロジーを表すことができる。
【0257】
ここで、ある観測地点において、統計的に覆面パトカーを含む「一般普通車」の中で「覆面パトカー」の比率がq(%)であり、実線で示した次元のオントロジーで学習させた分類器による分類精度がK(%)であるとする。これらを、例えば、
図23に関連付けることで、破線で示した次元のオントロジーにおける識別精度L(%)に変換する変換式として、(L/100)=(K/100)×((100-q)/100)を用いることができる。
【0258】
図24は、ベン図を用いて、第9オントロジーを表した例を示す図である。第9オントロジーは、「一般普通車」及び「普通警察車両」という2つのクラスが互いに独立ではなく、「覆面パトカー」というクラスが重複する構造のオントロジーである。覆面パトカーを一「般普通車」と「普通警察車両」とのいずれに分類するかは、上述のように、用途や文脈によって異なる。
図24に示すベン図を用いて、ある観測地点において、統計的に覆面パトカーを含む「一般普通車」の中で「覆面パトカー」の比率がq(%)であり、実線で示した次元のオントロジーで学習させた分類器による分類精度がK(%)であることを関連付けてもよい。これによっても、覆面パトカーを含まない「一般普通車」という識別クラスの識別精度L(%)を、上述の変換式を用いて変換することができる。
【0259】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0260】
また、上述の説明で用いた複数の流れを示す図では、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、実施の形態の各々で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。実施形態の各々では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の実施形態及び変形例は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0261】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
【0262】
1.
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、前記複数の分類クラスと識別クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類するクラス変換手段を備え、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
情報処理システム。
2.
前記分類クラスと前記識別クラスとを用いた入力に基づいて、前記関連付けデータを生成する設定受付手段をさらに備える
1.に記載の情報処理システム。
3.
前記複数の分類クラスのそれぞれは、前記対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから構成される構造において、互いに異なる前記クラスに対応しており、
前記複数のクラスグループは、前記分類クラスよりも上位のクラスに対応する
1.又は2.に記載の情報処理システム。
4.
前記複数のクラスグループは、前記構造において同じ階層に属するクラスに対応する
3.に記載の情報処理システム。
5.
前記複数のクラスグループは、前記対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから各々が構成され、前記複数の分類クラスを表すための複数の構造のうちの少なくとも1つの構造に含まれるクラスに対応する
1.又は2.に記載の情報処理システム。
6.
前記複数の分類クラスに分類した結果は、前記対象が属すると推定される分類クラスと、前記対象が当該分類クラスに属する確からしさを示す分類精度と、を含み、
前記関連付けデータは、前記対象が前記識別クラスに属する確からしさを示す識別精度に、前記分類精度を変換するための精度変換規則をさらに含み、
前記クラス変換手段は、前記精度変換規則と前記分類精度とに基づいて、前記対象が前記識別クラスに属する確からしさを示す識別精度をさらに求める
1.又は2.に記載の情報処理システム。
7.
前記関連付けデータと、前記学習モデルが学習するために用いられた学習データと、に基づいて更新された学習データを取得する更新学習データ取得手段と、
前記更新された学習データを用いて、前記関連付けデータに応じて更新された学習モデルの学習を行う学習手段とをさらに備える
1.又は2.に記載の情報処理システム。
8.
前記入力クエリの履歴を統計処理した結果に基づいて、学習を行うか否かを判定する学習判定手段をさらに備え、
前記更新学習データ取得手段は、学習を行うと判定された場合に、前記関連付けデータに基づいて、前記更新された学習データを取得する
7.に記載の情報処理システム。
9.
前記関連付けデータは、オントロジー記述言語を用いた記述を含む
1.から8.のいずれか1つに記載の情報処理システム。
10.
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、識別クラスと前記分類クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類するクラス変換手段とを備え、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
情報処理装置。
11.
1つ以上のコンピュータが、
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、識別クラスと前記分類クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類し、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
情報処理方法。
12.
前記分類クラスと前記識別クラスとを用いた入力に基づいて、前記関連付けデータを生成することをさらに含む
11.に記載の情報処理方法。
13.
前記複数の分類クラスのそれぞれは、前記対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから構成される構造において、互いに異なる前記クラスに対応しており、
前記複数のクラスグループは、前記分類クラスよりも上位のクラスに対応する
11.又は12.に記載の情報処理方法。
14.
前記複数のクラスグループは、前記構造において同じ階層に属するクラスに対応する
13.に記載の情報処理方法。
15.
前記複数のクラスグループは、前記対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから各々が構成され、前記複数の分類クラスを表すための複数の構造のうちの少なくとも1つの構造に含まれるクラスに対応する
11.又は12.に記載の情報処理方法。
16.
前記複数の分類クラスに分類した結果は、前記対象が属すると推定される分類クラスと、前記対象が当該分類クラスに属する確からしさを示す分類精度と、を含み、
前記関連付けデータは、前記対象が前記識別クラスに属する確からしさを示す識別精度に、前記分類精度を変換するための精度変換規則をさらに含み、
前記識別クラスに前記対象を分類することでは、前記精度変換規則と前記分類精度とに基づいて、前記対象が前記識別クラスに属する確からしさを示す識別精度をさらに求める
11.又は12.に記載の情報処理方法。
17.
前記関連付けデータと、前記学習モデルが学習するために用いられた学習データと、に基づいて更新された学習データを取得し、
前記更新された学習データを用いて、前記関連付けデータに応じて更新された学習モデルの学習を行うことをさらに含む
11.又は12.に記載の情報処理方法。
18.
前記入力クエリの履歴を統計処理した結果に基づいて、学習を行うか否かを判定することをさらに含み、
前記更新された学習データを取得することは、学習を行うと判定された場合に、前記関連付けデータに基づいて、前記更新された学習データを取得することを含む
17.に記載の情報処理方法。
19.
前記関連付けデータは、オントロジー記述言語を用いた記述を含む
11.から18.のいずれか1つに記載の情報処理方法。
20.
1つ以上のコンピュータに、
対象を複数の分類クラスに分類した結果と、識別クラスと前記分類クラスとを関連付ける関連付けデータとを用いて、前記識別クラスに前記対象を分類することを実行させるためのものであり、
前記識別クラスは、前記複数の分類クラスをグループ化した複数のクラスグループのうちの2つ以上の前記クラスグループそれぞれに含まれる分類クラスを統合したクラスであり、
前記2つ以上のクラスグループの少なくとも1つは、複数の分類クラスから構成される
プログラム。
21.
前記分類クラスと前記識別クラスとを用いた入力に基づいて、前記関連付けデータを生成することをさらに実行させるための
20.に記載のプログラム。
22.
前記複数の分類クラスのそれぞれは、前記対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから構成される構造において、互いに異なる前記クラスに対応しており、
前記複数のクラスグループは、前記分類クラスよりも上位のクラスに対応する
20.又は21.に記載のプログラム。
23.
前記複数のクラスグループは、前記構造において同じ階層に属するクラスに対応する
22.に記載のプログラム。
24.
前記複数のクラスグループは、前記対象の属性に応じて枝分かれした階層構造をなす複数のクラスから各々が構成され、前記複数の分類クラスを表すための複数の構造のうちの少なくとも1つの構造に含まれるクラスに対応する
20.又は21.に記載のプログラム。
25.
前記複数の分類クラスに分類した結果は、前記対象が属すると推定される分類クラスと、前記対象が当該分類クラスに属する確からしさを示す分類精度と、を含み、
前記関連付けデータは、前記対象が前記識別クラスに属する確からしさを示す識別精度に、前記分類精度を変換するための精度変換規則をさらに含み、
前記識別クラスに前記対象を分類することでは、前記精度変換規則と前記分類精度とに基づいて、前記対象が前記識別クラスに属する確からしさを示す識別精度をさらに求める
20.又は21.に記載のプログラム。
26.
前記関連付けデータと、前記学習モデルが学習するために用いられた学習データと、に基づいて更新された学習データを取得し、
前記更新された学習データを用いて、前記関連付けデータに応じて更新された学習モデルの学習を行うことをさらに実行させるための
20.又は21.に記載のプログラム。
27.
前記入力クエリの履歴を統計処理した結果に基づいて、学習を行うか否かを判定することをさらに実行させ、
前記更新された学習データを取得することは、学習を行うと判定された場合に、前記関連付けデータに基づいて、前記更新された学習データを取得することを含む
26.に記載のプログラム。
28.
前記関連付けデータは、オントロジー記述言語を用いた記述を含む
20.から27.のいずれか1つに記載のプログラム。
【符号の説明】
【0263】
100,300 情報処理システム
110 分析装置
110 解析装置
111 検出部
112 分類部群
120 端末
121 設定受付部
122 クエリ受付部
123 表示部
124 表示制御部
130,330 情報処理装置
131 分類結果記憶部
132 分類結果取得部
133 関連付け記憶部
134 関連付け取得部
135 クラス変換部
136 出力部
337 分類規則更新部
340 学習装置
341 学習データ記憶部
342 学習判定部
343 更新学習データ取得部
344 学習部
345 更新学習モデル出力部
RD 関連付けデータ