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  • 特開-作業機械及び操縦方法 図1
  • 特開-作業機械及び操縦方法 図2
  • 特開-作業機械及び操縦方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114213
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】作業機械及び操縦方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
E02F9/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019840
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】本発明は、バケット等のような作業具から地盤等のような対象物までの距離を視覚的に捉えやすくすることを目的とする。
【解決手段】作業機械1は、対象物80に対して施工作業を行う作業具16と、前記作業具16を移動させる作業機械本体2と、前記作業具16に取り付けられ、レーザービーム29Lが前記作業具16の先方を横切るよう前記レーザービーム29Lを投射する投光器21Lと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対して施工作業を行う作業具と、
前記作業具を移動させる作業機械本体と、
前記作業具又は前記作業機械本体のアームに取り付けられ、光ビームが前記作業具の先方を横切るよう前記光ビームを投射する投光器と、
を備える作業機械。
【請求項2】
前記投光器が光ビームを投射する方向は、前記作業具の基端から前記作業具の先端に向かう方向に対して斜めである
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記投光器と並んで前記作業具又は前記アームに取り付けられ、前記作業具及びその周囲を撮影するカメラ
を更に備え、
前記投光器は、前記カメラの撮影方向に前記光ビームを投射する
請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
対象物に対して施工作業を行う作業具と、
前記作業具を移動させる作業機械本体と、
を備える作業機械を操縦するに際して、
前記作業具又は前記作業機械本体のアームに取り付けられた投光器から光ビームを投射して、光ビームが前記作業具の先方を横切る
操縦方法。
【請求項5】
前記作業具に取り付けられたカメラによって前記作業具及びその周囲を撮影し、前記カメラによって撮影された映像をディスプレイデバイスに即時的に表示し、その映像によって前記作業具及びその周囲を観察する
請求項4に記載の操縦方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械及び操縦方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2は、作業機械を遠隔操縦するためのシステムを開示する。特許文献1及び2の記載によれば、操縦室が作業現場の作業機械から離れた場所にあり、リモートコントローラー及びディスプレイがその操縦室に設置されている。作業現場のカメラが作業機械を撮影し、その撮影映像が操縦室内のディスプレイに表示される。オペレータは、ディスプレイを見ながら、リモートコントローラーを用いて作業機械を遠隔操縦する。そうすると、作業機械のバケットが操られ、バケットによって地盤が掘削される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-72727号公報
【特許文献2】特開2018-21395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディスプレイに表示された映像では、オペレータにとって映像中の遠近感を捉えにくい。そのため、バケットが地盤に近づいたことを視覚的に判断することが難しい。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、バケット等のような作業具から地盤等のような対象物までの距離を視覚的に捉えやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するための本発明の第1の側面によれば、作業機械が、対象物に対して施工作業を行う作業具と、前記作業具を移動させる作業機械本体と、前記作業具又は前記作業機械本体のアームに取り付けられ、光ビームが前記作業具の先方を横切るよう前記光ビームを投射する投光器と、を備える。
【0006】
本発明の第2の側面によれば、前記投光器が光ビームを投射する方向は、前記作業具の基端から前記作業具の先端に向かう方向に対して斜めである。
【0007】
本発明の第3の側面によれば、前記作業機械が、前記投光器と並んで前記作業具又は前記アームに取り付けられ、前記作業具及びその周囲を撮影するカメラを更に備え、前記投光器は、前記カメラの撮影方向に前記光ビームを投射する。
【0008】
本発明の第4の側面によれば、対象物に対して施工作業を行う作業具と、前記作業具を移動させる作業機械本体と、を備える作業機械を操縦するに際して、前記作業具又は前記作業機械本体のアームに取り付けられた投光器から光ビームを投射して、光ビームが前記作業具の先方を横切る操縦方法が提供される。
【0009】
本発明の第5の側面によれば、前記操縦方法において、前記作業具に取り付けられたカメラによって前記作業具及びその周囲を撮影し、前記カメラによって撮影された映像をディスプレイデバイスに即時的に表示し、その映像によって前記作業具及びその周囲を観察する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光ビームが作業具の先端の先方を横切って対象物に入射すると、その入射箇所にはスポットが形成される。作業具の先端が対象物に近づくほど、スポットが作業具の先端に近づき、作業具の先端が対象物から離れるほど、スポットが作業具の先端から離れる。よって、スポット及びその位置は、作業具から対象物までの距離を視覚的に捉えやすくすることに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、作業機械を示す。
図2図2は、作業機械の遠隔操縦室を示す。
図3図3は、作業機械の作業具、投光器及びカメラを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態の特徴及び技術的な効果は、以下の詳細な説明及び図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0013】
[1. 作業機械]
図1は、作業機械1の側面図である。
作業機械1は、コンクリート、床板、壁、切羽、岩盤及び地面等のような対象物80に対して施工作業を実施する建設機械であり、より具体的には油圧ブレーカ付きショベルである。本実施形態では、施工作業の例として破砕が挙げられ、作業機械1が対象物80を破砕する。
【0014】
作業機械1は、作業機械本体2及び作業具16を備える。
作業機械本体2は、作業具16を移動させることによって、作業具16を対象物80に対して接離させたり、作業具16を対象物80に押しつけたりする。作業機械本体2は下部走行体11、上部旋回体12、キャブ13、ブーム14及びアーム15を備える。
【0015】
下部走行体11は、地面上を走行するクローラにより構成されている。
上部旋回体12は、下部走行体11の上に搭載されているとともに、上下に延びた旋回軸の回りに下部走行体11に対して旋回する。
【0016】
キャブ13は、上部旋回体12に搭載されている。キャブ13内には、レバー等の操縦器が設けられている。現場オペレータは、キャブ13に乗り込んで、操縦器の操作により作業機械1を操縦することができる。なお、作業機械1は、キャブ13内における操縦のほか、遠隔操縦もされる。
【0017】
ブーム14の基端がキャブ13の右側において上部旋回体12に回転可能に連結されている。ブーム14は、油圧シリンダ14aの伸縮により、ブーム14の基端を支点として上部旋回体12に対して相対的に振り上げ・振り下げされる。ブーム14の振り上げ・振り下げにより、後述の作業具16が移動する。なお、ブーム14のことを「ジブ」ということもある。
【0018】
アーム15の基端がブーム14の先端に回転可能に連結されている。アーム15は、油圧シリンダ15aの伸縮により、アーム15の基端を支点としてブーム14に対して相対的に振り上げ・振り下げされる。アーム15の振り上げ・振り下げにより、後述の作業具16が移動する。
【0019】
作業具16の基端がアーム15の先端に回転可能に連結されている。作業具16は、油圧シリンダ16aの伸縮により、作業具16の基端を支点としてアーム15に対して相対的に振り上げ・振り下げされる。
作業具16は、対象物80に対して、破砕、穿孔、掘削及び把持等のような作業をする作業器具である。本実施形態では、作業具16は、対象物80に打撃を与えて対象物80を破砕するブレーカーである。ブレーカーとしての作業具16は、起振機16b及びチゼル16c等を有する。
【0020】
なお、ブレーカー以外に掘削バケット、ドリル、ボーリングビット、グリッパー又は吹き付け具が作業具16として採用され得る。掘削バケットは対象物80の掘削作業に用いられ、ドリルは対象物80の穿孔作業に用いられ、ボーリングビットは対象物80の掘削作業に用いられ、グリッパーは対象物80の把持作業に用いられる。吹き付け具は、モルタル、コンクリート及び塗料等のような塗布材を対象物80に吹き付けるものである。
【0021】
遠隔地のオペレータが作業機械1の遠隔操縦の際に作業機械1及びその周囲を観察するために、多数のカメラが作業機械1に設置されている。これらカメラは、例えば、キャブ13若しくは上部旋回体12又はこれら両方の前部・左部・右部・上部・後部などに取り付けられている。これらカメラによって撮影された映像は例えばインターネット及び専用回線等のような通信回線を通じて遠隔操縦室90(図2参照)に転送される。
【0022】
[2. 遠隔操縦室]
図2は、作業機械1用の遠隔操縦室90の内側を示した図である。
遠隔操縦室90には、シート91、複数のディスプレイデバイス92及び遠隔操縦器93が設置されている。
【0023】
ディスプレイデバイス92は、シート91の前方において上下左右に並べられているとともに、シート91の方に向けられている。作業機械1に設置されたカメラによって撮影された映像は、ディスプレイデバイス92に即時的に映し出される。即時的とは、リアルタイムのことをいう。
【0024】
遠隔操縦器93は、複数の操作レバー等から構成されている。遠隔操縦器93は、通信回線を通じて、作業機械1、特にその制御装置に接続される。オペレータが遠隔操縦器93を操作すると、遠隔操縦器93が操作内容に従った指令信号を作業機械1に転送し、作業機械1がその指令信号に従って動作する。これにより、オペレータが作業機械1を即時的に遠隔操縦して、作業機械1の作業具16により対象物80に対して施工作業(具体的には、破砕作業)をすることができる。
【0025】
ディスプレイデバイス92に表示された映像では、遠隔操縦室90内のオペレータにとって映像中の遠近感を捉えにくい。具体的には、オペレータが作業具16を対象物80に近づけるよう作業機械1を遠隔操作する際に、オペレータにとって、作業具16から対象物80までの距離を視覚的に捉えにくい。このような問題点を解消すべく、図3に示すように、作業機械1が投光器21R,21Lを有する。ここで、図3は、作業具16の正面図である。図3には、左向きの矢印と右向きの矢印が示されている。左及び右の向きは上部旋回体12及びキャブ13を基準として定められる。つまり、キャブ13から作業具16への向きを前の向きとして、左及び右の向きが定められる。
【0026】
[3. 投光器]
投光器21L,21Rが作業具16に一体的に取り付けられている。そのため、作業機械本体2は、作業具16に対する投光器21L,21Rの相対的な位置及び向きを変更することなく、作業具16と一緒に投光器21L,21Rを移動させる。つまり、投光器21L,21Rは、ブーム14、アーム15及び作業具16の振り上げ・振り下げや上部旋回体12の旋回に伴う作業具16の動きに追従する。
【0027】
投光器21L,21Rの取り付けについて詳細に説明する。
左のブラケット25Lが、作業具16の基端に近位且つ作業具16の先端から遠位において、作業具16の左側面に固定されているとともに、その左側面から左方に延びている。投光器21Lは、そのブラケット25Lの左端に近位においてブラケット25Lに取り付けられている。左の投光器21Lは、作業具16の先端の方へ、具体的にはチゼル16cの先端の方へ向けられている。なお、作業具16の先端とは、作業具16のうち作業具16の基端から最も遠い部分をいう。従って、作業具16がその基端を中心にして振り上げ・振り下げされる際に作業具16全体が描く軌道の最外周は、作業具16がその基端を中心にして振り上げ・振り下げされる際に作業具16の先端が描く軌道となる。
【0028】
投光器21Lは、レーザー発振器及びコリメータ等を有する。投光器21Lは、例えば赤色光、緑色光及び白色光等のような可視光のレーザービーム29Lを作業具16の先端のやや先の方へ投射する。そのため、レーザービーム29Lは、作業具16に入射することなく、作業具16の先端のやや先を右へ斜めに横切る。ここでいう「斜め」とは、レーザービーム29Lの光軸が作業具16のチゼル16cの中心軸に対して斜めであることをいう。チゼル16cの中心軸は、作業具16の基端から作業具16の先端に向かって延びている。なお、投光器21Lが作業具16から離れるにつれて、作業具16のチゼル16cの中心軸に対するレーザービーム29Lの光軸の角度が増える。
【0029】
レーザービーム29Lが対象物80に入射すると、その入射箇所には明るいスポット28Lが形成される。作業具16の先端が対象物80に近づくほど、スポット28Lが作業具16の先端に近づく。作業具16の先端が対象物80から離れるほど、スポット28Lが作業具16の先端から右へ離れる。従って、オペレータは、ディスプレイデバイス92の映像中のスポット28Lを視認することによって、作業具16から対象物80までの距離を感覚的に把握できる。
【0030】
右のブラケット25Rが、作業具16の基端に近位且つ作業具16の先端から遠位において、作業具16の右側面に固定されているとともに、その右側面から右方に延びている。右の投光器21Rは、そのブラケット25Rの右端に近位においてブラケット25Rに取り付けられている。投光器21Rは、作業具16の先端の方へ向けられている。投光器21Rはレーザービーム29Rを作業具16の先端のやや先の方へ投射する。そのため、レーザービーム29Rは、作業具16に入射することなく、作業具16の先端のやや先を左へ斜めに横切る。
【0031】
作業具16の先端が対象物80に近づくほど、スポット28Rが作業具16の先端に近づく。作業具16の先端が対象物80から離れるほど、スポット28Rが作業具16の先端から左へ離れる。そのため、レーザービーム29Rのスポット28Rも、作業具16から対象物80までの距離の感覚的な把握に役立つ。
【0032】
対象物80がコンクリート構造物であれば、その色が薄グレーである。そのため、レーザービーム29L,29Rが赤色光又は緑色光であると、スポット28L,28Rが目立つ。なお、レーザービーム29Lの色とレーザービーム29Rの色が異なっていてもよい。
【0033】
[4. カメラ]
作業具16及びレーザービーム29L,29Rを観察するカメラ31L,31Rについて説明する。
カメラ31L,31Rが作業具16に一体的に取り付けられている。そのため、作業機械本体2は、作業具16及び投光器21L,21Rに対するカメラ31L,31Rの相対的な位置及び向きを変更することなく、作業具16及び投光器21L,21Rと一緒にカメラ31L,31Rを移動させる。つまり、カメラ31L,31Rは、ブーム14、アーム15及び作業具16の振り上げ・振り下げや上部旋回体12の旋回に伴う作業具16の動きに追従する。
【0034】
左のカメラ31Lは、投光器21Lの近傍においてブラケット25Lに取り付けられている。カメラ31Lと投光器21Lは左右に並んでいる。カメラ31Lと投光器21Lを比較すると、カメラ31Lが作業具16に対して近位に配置され、投光器21Lが作業具16Lに対して遠位に配置されている。そのため、投光器21Lがカメラ31Lによって干渉されることなく、作業具16のチゼル16cの中心軸に対するレーザービーム29Lの光軸の角度を大きく取ることができる。但し、カメラ31Lが作業具16に対して遠位に配置され、投光器21Lが作業具16Lに対して近位に配置されていてもよい。
カメラ31Lは、作業具16の先端の方へ、具体的にはチゼル16cの先端の方へ向けられており、投光器21Lは、カメラ31Lの撮影方向にレーザービーム29Lを投射する。カメラ31Lによって撮影された映像は、複数のディスプレイデバイス92のうち左のディスプレイデバイス92Lに表示される。その映像では、作業具16の先端が映像の中央に位置する。その映像では、対象物80が作業具16の奥の方に背景として表示される。
【0035】
左のカメラ31Lと同様に、右のカメラ31Rは、投光器21Rの近傍においてブラケット25Rに取り付けられている。カメラ31Rは、作業具16の先端の方へ向けられており、投光器21Rは、カメラ31Rの撮影方向にレーザービーム29Rを投射する。カメラ31Rは、作業具16の先端及びその周囲を撮影する。カメラ31Rによって撮影された映像は、複数のディスプレイデバイス92のうち右のディスプレイデバイス92Rに表示される。
【0036】
作業具16の先端が対象物80に近い場合、スポット28Lが左のカメラ31Lの視野に入り、スポット28Rが右のカメラ31Rの視野に入る。そのため、スポット28Lは左のカメラ31Lによって撮影されて、左のディスプレイデバイス92Lに映し出され、スポット28Rは右のカメラ31Rによって撮影されて、右のディスプレイデバイス92Rに映し出される。
作業具16の先端が対象物80に近い場合に、作業具16の先端が対象物80から離れるにつれて、左のディスプレイデバイス92Lの映像中のスポット28Lが右に変位し、右のディスプレイデバイス92Rの映像中のスポット28Rが左に変位する。作業具16の先端が対象物80に近い場合に、作業具16の先端が対象物80に近づくにつれて、左のディスプレイデバイス92Lの映像中のスポット28Lが左に変位し、右のディスプレイデバイス92Rの映像中のスポット28Rが右に変位する。
【0037】
作業具16の先端が対象物80から遠い場合、スポット28Lが右のカメラ31Rの視野に入り、スポット28Rが左のカメラ31Lの視野に入る。そのため、スポット28Lは右のカメラ31Rによって撮影されて、右のディスプレイデバイス92Rに映し出され、スポット28Rは左のカメラ31Lによって撮影されて、左のディスプレイデバイス92Lに映し出される。
作業具16の先端が対象物80から遠い場合に、作業具16の先端が対象物80から離れるにつれて、右のディスプレイデバイス92Rの映像中のスポット28Lが右に変位し、左のディスプレイデバイス92Lの映像中のスポット28Rが左に変位する。作業具16の先端が対象物80から遠い場合に、作業具16の先端が対象物80に近づくにつれて、右のディスプレイデバイス92Rの映像中のスポット28Lが左に変位し、左のディスプレイデバイス92Lの映像中のスポット28Rが右に変位する。
【0038】
作業具16の先端が対象物80から更に遠い場合、スポット28L,28Rが左右のカメラ31L,31Rの視野から外れる。そのため、スポット28L,28Rが左右のディスプレイデバイス92L,92Rに表示されない。
【0039】
オペレータは、ディスプレイデバイス92L,92Rに即時的に表示された映像を通じて、作業具16、対象物80及びスポット28L,28Rを観察しながら、遠隔操縦器93を操作する。そうすると、作業機械1がオペレータによって操縦される。
【0040】
なお、ディスプレイデバイスがキャブ13内に設置され、カメラ31L,31Rによって撮影された映像がキャブ13内にディスプレイデバイスに表示されてもよい。現場のオペレータは、そのディスプレイデバイスに即時的に表示された映像を通じて、作業具16、対象物80及びスポット28L,28Rを観察しながら、作業機械1を操縦する。
【0041】
[5. まとめ]
スポット28L,28Rの位置が作業具16の先端から対象物80までの距離に応じて変わり、映像中では、スポット28L,28Rの位置が作業具16の先端から対象物80までの距離に応じて左右方向に変わる。スポット28L,28R及びそれらの位置は、作業具16から対象物80までの距離を視覚的に捉えやすくすることに貢献する。
【0042】
[6. 変形例]
以上、実施形態について説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態及び図示例に限定されるものではない。以下に、上記の実施形態から変更した幾つかの変形例を挙げる。
【0043】
(1) 上記実施形態では、作業機械本体2がショベル本体である。それに対して、作業機械本体2が例えば自由断面掘削機本体又はドリルジャンボ本体であってもよい。作業機械本体2が自由断面掘削機本体である場合、作業具16がボーリングビットであり、作業機械本体2がドリルジャンボ本体である場合、作業具16がドリルである。
【0044】
(2) 上記実施形態では、投光器21L,21R及びカメラ31L,31Rが作業具16に取り付けられている。それに対して、投光器21L,21R及びカメラ31L,31Rがアーム15、特にその先端に取り付けられてもよい。この場合、作業具16がアーム15に対して相対的に振り上げ・振り下げされない。そのため、作業具16の先端がカメラ31L,31Rの視野から外れない。更に、投光器21L,21Rから出射するレーザー29L,29Rが作業具16の先方、特に作業具16の先端の先方を常に横切り、作業具16に対するレーザー29L,29Rの光軸の相対的な位置は変化しない。
【0045】
(3) 作業具16が掘削バケットである場合、投光器21L,21R及びカメラ31L,31Rがアーム15に取り付けられてもよい。例えば、上記実施形態のように投光器21L及びカメラ31Lがブラケット25Lを介して作業具16の左側面に取り付けられているのと同様に、投光器21L及びカメラ31Lがブラケット25Lを介してアーム15の左側面に取り付けられていてもよい。同様に、投光器21R及びカメラ31Rがブラケット25Rを介してアーム15の右側面に取り付けられていてもよい。この場合、カメラ31L,32Rは掘削バケット及びその周囲を撮影する。投光器21L,21Rが掘削バケットの先方へレーザービームを投光し、レーザービームが掘削バケットに入射することなく掘削バケットの先方を横切る。つまり、レーザービームの光軸は、アーム15に対する掘削バケットの相対的な振り上げ・振り下げの円弧状軌道から径方向外側に避けられている。
【符号の説明】
【0046】
1 作業機械
2 作業機械本体
15 アーム
16 作業具
21L,21R 投光器
28L,28R スポット
29L,29R レーザービーム
31L,31R カメラ
92L,92R ディスプレイデバイス
図1
図2
図3