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特開2024-114215色変換装置、色変換方法および色変換プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114215
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】色変換装置、色変換方法および色変換プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240816BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20240816BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H04N1/60
H04N1/407
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019842
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大庸
【テーマコード(参考)】
2C262
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
2C262AC04
2C262BA02
2C262BA09
2C262BB03
2C262BC01
2C262EA03
2C262EA06
2C262GA57
5C077LL19
5C077MM27
5C077PP15
5C077PP33
5C077PP36
5C077PP37
5C077PP43
5C077PQ23
5C077SS05
5C077TT02
5C079HB03
5C079HB08
5C079HB12
5C079LA02
5C079LA12
5C079LB01
5C079MA04
5C079MA10
5C079MA19
5C079NA27
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】簡易な方式で適切な色変換の調整が可能な色変換装置を提供する。
【解決手段】色変換装置は、色見本の読取画像データを取得する読取画像データ取得部と、色見本の原稿データを取得する原稿データ取得部と、読取画像データの所定の位置の値と原稿データの所定の位置に対応する値とに基づいて色変換テーブルを生成する生成部とを備える。生成部は、二つの値から算出した補正群を算出する算出部と、算出部で算出した補正群から補正カーブを算出する補正カーブ算出部と、算出した補正カーブに基づいて補正群を補正する補正部とを含む。補正部は、取得できた位置の値に対応する補正値は個別に補正する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色見本の読取画像データを取得する読取画像データ取得部と、
前記色見本の原稿データを取得する原稿データ取得部と、
前記読取画像データの所定の位置の値と前記原稿データの前記所定の位置に対応する値とに基づいて色変換テーブルを生成する生成部とを備え、
前記生成部は、
二つの値から算出した補正群を算出する算出部と、
前記算出部で算出した前記補正群から補正カーブを算出する補正カーブ算出部と、
算出した補正カーブに基づいて前記補正群を補正する補正部とを含み、
前記補正部は、取得できた位置の値に対応する補正値は個別に補正する、色変換装置。
【請求項2】
前記補正カーブ算出部は、前記補正群から全体の調子を整える補正カーブとして1次元の対応関係を示すテーブルを作成する、請求項1記載の色変換装置。
【請求項3】
前記補正カーブ算出部は、前記1次元の対応関係を示す色変換テーブルを用いて多次元の対応関係を示すテーブルを作成する、請求項2記載の色変換装置。
【請求項4】
前記補正カーブ算出部は、前記補正群から近似曲線を算出し、当該算出した近似曲線を補正カーブとして算出する、請求項1記載の色変換装置。
【請求項5】
前記補正部は、前記補正群に対する前記補正カーブの補正の強さを設定するパラメータを有する、請求項1記載の色変換装置。
【請求項6】
ユーザーの入力を受け付ける受付部と、
前記受付部による前記ユーザーの入力の受付にしたがって前記パラメータを調整するパラメータ調整部をさらに備える、請求項5記載の色変換装置。
【請求項7】
前記補正部は、学習モデルを用いて前記補正群に対する前記補正カーブの補正の強さを設定する、請求項5記載の色変換装置。
【請求項8】
色見本の読取画像データを取得するステップと、
前記色見本の原稿データを取得するステップと、
前記読取画像データの所定の位置の値と前記原稿データの前記所定の位置に対応する値とに基づいて色変換テーブルを生成するステップとを備え、
前記色変換テーブルを生成するステップは、
二つの値から算出した補正群を算出するステップと、
算出した前記補正群から補正カーブを算出するステップと、
算出した補正カーブに基づいて前記補正群を補正するステップとを含み、
前記補正するステップは、取得できた位置の値に対応する補正値は個別に補正するステップを含む、色変換方法。
【請求項9】
色変換装置の色変換プログラムであって、
前記色変換装置のコンピュータは、前記色変換プログラムにより、
色見本の読取画像データを取得するステップと、
前記色見本の原稿データを取得するステップと、
前記読取画像データの所定の位置の値と前記原稿データの前記所定の位置に対応する値とに基づいて色変換パラメータを生成するステップとを備え、
前記色変換パラメータを生成するステップは、
二つの値から算出した補正群を算出するステップと、
算出した前記補正群から補正カーブを算出するステップと、
算出した補正カーブに基づいて前記補正群を補正するステップとを含み、
前記補正するステップは、取得できた位置の値に対応する補正値は個別に補正するステップを含む、処理を実行する、色変換プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、色変換装置、色変換方法および色変換プログラムに関し、特に印刷装置による色変換の調整に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プリンター等の画像形成装置では、印刷品質を一定に維持するための色補正(キャリブレーション)が重要であり、その方法として、C(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)、K(Black)の各基本色の1次元カーブ(1次元LUT(look-up table))を使用して、各基本色の階調を補正する方法が知られている。
【0003】
この点で、特許文献1においては、スキャン画像から取得できた色に関して、プロファイルのテーブルを修正する技術が開示されている。
【0004】
一方で、印刷物をスキャンし、色の取得ができない領域は、調整量を十分に与えられないため、色見本に近づかないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-48900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、簡易な方式で適切な色変換の調整が可能な色変換装置、色変換方法および色変換プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の色変換装置は、色見本の読取画像データを取得する読取画像データ取得部と、色見本の原稿データを取得する原稿データ取得部と、読取画像データの所定の位置の値と原稿データの所定の位置に対応する値とに基づいて色変換テーブルを生成する生成部とを備える。生成部は、二つの値から算出した補正群を算出する算出部と、算出部で算出した補正群から補正カーブを算出する補正カーブ算出部と、算出した補正カーブに基づいて補正群を補正する補正部とを含む。補正部は、取得できた位置の値に対応する補正値は個別に補正する。
【0008】
好ましくは、補正カーブ算出部は、補正群から全体の調子を整える補正カーブとして1次元の対応関係を示すテーブルを作成する。
【0009】
好ましくは、補正カーブ算出部は、1次元の対応関係を示す色変換テーブルを用いて多次元の対応関係を示すテーブルを作成する。
【0010】
好ましくは、補正カーブ算出部は、補正群から近似曲線を算出し、当該算出した近似曲線を補正カーブとして算出する。
【0011】
好ましくは、補正部は、補正群に対する補正カーブの補正の強さを設定するパラメータを有する。
【0012】
好ましくは、ユーザーの入力を受け付ける受付部と、受付部によるユーザーの入力の受付にしたがってパラメータを調整するパラメータ調整部をさらに備える。
【0013】
好ましくは、補正部は、学習モデルを用いて補正群に対する補正カーブの補正の強さを設定する。
【0014】
本開示の色変換方法は、色見本の読取画像データを取得するステップと、色見本の原稿データを取得するステップと、読取画像データの所定の位置の値と原稿データの所定の位置に対応する値とに基づいて色変換テーブルを生成するステップとを備える。色変換テーブルを生成するステップは、二つの値から算出した補正群を算出するステップと、算出した補正群から補正カーブを算出するステップと、算出した補正カーブに基づいて補正群を補正するステップとを含む。補正するステップは、取得できた位置の値に対応する補正値は個別に補正するステップを含む。
【0015】
本開示の色変換装置の色変換プログラムであって、色変換装置のコンピュータは、色変換プログラムにより、色見本の読取画像データを取得するステップと、色見本の原稿データを取得するステップと、読取画像データの所定の位置の値と原稿データの所定の位置に対応する値とに基づいて色変換パラメータを生成するステップとを備える。色変換パラメータを生成するステップは、二つの値から算出した補正群を算出するステップと、算出した補正群から補正カーブを算出するステップと、算出した補正カーブに基づいて補正群を補正するステップとを含む。補正するステップは、取得できた位置の値に対応する補正値は個別に補正するステップを含む、処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に従う色調整システム1について説明する図である。
図2】実施形態に従うコンピュータ10の構成について説明する図である。
図3】実施形態に従うコンピュータ10の機能ブロックについて説明する図である。
図4】実施形態に従うテーブル生成部102における色変換テーブルの生成について説明する概要図である。
図5】実施形態に従う色変換テーブルの生成処理のフロー図である。
図6】実施形態に従う補正群の算出について説明するフロー図である。
図7】実施形態に従う補正カーブの算出について説明するフロー図である。
図8】実施形態に従う補正カーブの算出のイメージについて説明する図である。
図9】実施形態に従う色見本について説明する図である。
図10】実施形態に従う色変換テーブルについて説明する図である。
図11】実施形態に従うパラメータ調整部116の調整処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0018】
以下の実施形態においては色調整システムについて説明する。
図1は、実施形態に従う色調整システム1について説明する図である。
【0019】
図1を参照して、色調整システム1は、コンピュータ10,20と、インターネット22と、画像読取装置2と、画像形成装置4と、LAN6とを備える。
【0020】
コンピュータ10と、画像読取装置2と、画像形成装置4とはLAN6でそれぞれ接続されている。LAN6は、インターネット22を介して外部のコンピュータ20と接続されている。外部のコンピュータ20から印刷ジョブがコンピュータ10に対して送信される。コンピュータ10は、当該印刷ジョブを画像形成装置4に出力する。
【0021】
画像形成装置4は、印刷ジョブに従って印刷し、色見本を作成する。
画像読取装置2は、作成された色見本を読み取る。画像読取装置2は、読み取った色見本読取画像データをコンピュータ10に出力する。
【0022】
コンピュータ10(色変換装置)は、コンピュータ20から送信される印刷ジョブ(印刷画像データ)と、色見本読取画像データとに基づいて当該印刷ジョブを画像形成装置4で印刷する際の色変換テーブルを生成する。
【0023】
画像形成装置4は、生成された色変換テーブルに従って印刷処理を実行する。
画像読取装置2と画像形成装置4とは一体で形成されていても良い。また、コンピュータ10が画像形成装置4内に設けられていても良い。
【0024】
図2は、実施形態に従うコンピュータ10の構成について説明する図である。
図2を参照して、コンピュータ10は、CPU12と、RAM14と、HDD16と、NIC18とを含む。HDD16は、色変換テーブル生成ソフトを有する。
【0025】
CPU12は、HDD16に格納されている色変換テーブル生成ソフトに基づいて各種の機能ブロックを実現する。
【0026】
図3は、実施形態に従うコンピュータ10の機能ブロックについて説明する図である。
図3を参照して、コンピュータ10は、テーブル生成部102と、印刷画像取得部106と、色見本読取画像取得部108と、報知部107と、操作受付部109とを含む。また、コンピュータ10は、外部に設けられた表示部120と、スピーカー140と、操作部160と接続される。
【0027】
テーブル生成部102は、色変換テーブルを生成する。
具体的には、テーブル生成部102は、補正群を算出する算出部110と、補正カーブを算出する補正カーブ算出部112と、補正群を補正する補正部114と、パラメータ調整部116とを含む。
【0028】
印刷画像取得部106は、印刷ジョブに含まれている印刷画像データを取得する。
色見本読取画像取得部108は、色見本読取画像データを取得する。
【0029】
報知部107は、外部に設けられた表示部120およびスピーカー140に対して必要な情報を通知する。
【0030】
操作受付部109は、操作部160からの操作入力を受け付ける。操作部160は、マウスやキーボード等である。
【0031】
パラメータ調整部116は、補正群に対する補正カーブの補正の強さを設定するパラメータを調整する。
【0032】
図4は、実施形態に従うテーブル生成部102における色変換テーブルの生成について説明する概要図である。
【0033】
図4を参照して、テーブル生成部102は、取得した印刷ジョブ(印刷画像データ)からCMYK値の色情報を抽出する。
【0034】
テーブル生成部102は、取得した色見本読取画像データからRGB値の色情報を抽出する。
【0035】
テーブル生成部102は、色見本読取画像データ(RGB値)に対してスキャナプロファイルを用いて色見本読取画像データ(CMYK値)に変換する。
【0036】
テーブル生成部102は、印刷画像データ(CMYK値)と、色見本読取画像データ(CMYK値)とを関連付ける。
【0037】
テーブル生成部102は、当該関連付けに従って印刷ジョブ(印刷画像データ)を印刷する際の色変換テーブルを修正し、更新された色変換テーブルを作成する。具体的には、画像形成装置4で用いられるプリンタプロファイルを作成する。
【0038】
図5は、実施形態に従う色変換テーブルの生成処理のフロー図である。
図5を参照して、色見本読取画像取得部108は、画像読取装置2から色見本読取画像データを取得する(ステップS2)。
【0039】
次に、算出部110は、所定位置を特定する(ステップS4)。具体的には、RGB画像データについて、予め決められた範囲(例えば10px×10px)でサーチする。
【0040】
次に、算出部110は、サーチされた所定位置の値(RGB値)をそれぞれ取得する(ステップS6)。
【0041】
次に、印刷画像取得部106は、印刷ジョブに含まれる印刷画像データを取得する(ステップS8)。
【0042】
次に、算出部110は、所定位置を特定する(ステップS10)。具体的には、CMYK画像データについて、予め決められた範囲(例えば10px×10px)でサーチする。
【0043】
次に、算出部110は、サーチされた所定位置の値(CMYK値)を取得する(ステップS12)。
【0044】
次に、算出部110は、補正群を算出する(ステップS14)。
図6は、実施形態に従う補正群の算出について説明するフロー図である。
【0045】
図6を参照して、算出部110は、所定位置におけるRGB値をCMYK値に変換する(ステップS22)。
【0046】
次に、算出部110は、印刷画像データ(CMYK値)と、色見本読取画像データ(CMYK値)とを関連付ける処理を実行する(ステップS24)。
【0047】
次に、算出部110は、補正群を抽出する(ステップS26)。具体的には、関連付けられたテーブルデータを抽出する。
【0048】
そして、補正群を算出する処理を終了する(リターン)。
再び図5を参照して、補正カーブ算出部112は、抽出した補正群に基づいて補正カーブを算出する(ステップS16)。
【0049】
次に、補正部114は、抽出した補正群を補正カーブに基づいて補正した色変換テーブルを生成する(ステップS18)。
【0050】
次に、補正部114は、色変換テーブルを修正する(ステップS20)。
そして、処理を終了する(エンド)。
【0051】
コンピュータ10は、修正した色変換テーブルを画像形成装置4に出力し、画像形成装置4は、色変換テーブルを用いて印刷処理を実行する。
【0052】
図7は、実施形態に従う補正カーブの算出について説明するフロー図である。
図7を参照して、補正カーブ算出部112は、CMYKそれぞれ1次元の補正カーブのモデル式を定義する(ステップS30)。
【0053】
具体的には、CMYKそれぞれの入力に対する1次元の補正カーブのモデル式を定義する。例えばy=x^(1/α)のようなガンマ関数の式を用いて補正カーブのモデル式を定義するようにしてもよい。あるいは、エルミート関数のような多項式のモデル式を用いてもよい(例:y=x^3+x^2+x^1+t)。
【0054】
次に、補正カーブ算出部112は、モデル式に与えるパラメータを更新する(ステップS32)。例えば、ガンマ関数の式を用いて補正カーブのモデル式を定義する場合、α=0.7~1.3の範囲内でパラメータを更新するようにしてもよい。例えば、α=0.7から0.1刻みで1.3まで7回パラメータを更新するようにしてもよい。
【0055】
次に、補正カーブ算出部112は、補正量群がもつ補正量と、1次元補正カーブによる補正量とを比較し残差Rを算出する(ステップS34)。
【0056】
次に、補正カーブ算出部112は、残差Rが最小か否かを判断する(ステップS36)。
【0057】
ステップS36において、補正カーブ算出部112は、残差Rが最小であると判断した場合(ステップS36においてYES)には、残差Rとパラメータを保持する(ステップS38)。
【0058】
次に、補正カーブ算出部112は、所定回数試行したか否かを判断する(ステップS39)。
【0059】
ステップS39において、補正カーブ算出部112は、所定回数試行したと判断した場合(ステップS39においてYES)には、ステップS40に進む。
【0060】
一方、ステップS39において、補正カーブ算出部112は、所定回数試行していないと判断した場合(ステップS39においてNO)には、ステップS32に戻り、上記試行を繰り返す。
【0061】
そして、残差Rが最小となるパラメータを取得する。
ステップS40において、保存していたパラメータでCMYKそれぞれ1次元の補正カーブを決定する。
【0062】
そして、処理を終了する(リターン)。
図8は、実施形態に従う補正カーブの算出のイメージについて説明する図である。
【0063】
図8(A)を参照して、Yの入力値と出力値との関係が示されている。すなわち、入力値は色見本読取画像データ(CMYK値)である。出力値は印刷画像データ(CMYK値)である。本例においては7点の計測点が取得できた場合について説明する。
【0064】
7点それぞれを用いてモデル式としてガンマ関数を定義して近似曲線として1次元の補正カーブを算出する。
【0065】
図8(B)を参照して、本例においては、当該モデル式としてガンマ関数のパラメータを適切に設定した場合が示されている。
【0066】
残差Rの算出について説明する。
補正群がもつCMYKリストに対して、入力値のCMYK値に対して、上記モデル式で作成した補正カーブによりCMYK'値を算出する。
【0067】
そして、入力値のCMYK値に対して、L*a*b*(1)を算出する。
次に、補正したCMYK'値に対して、L*a*b*(2)を算出。
【0068】
L*a*b*(1)-L*a*b*(2)が補正カーブによる補正量ΔL*a*b*(3)になる。
補正群がもつCMYKリストとそれに紐づいている補正量ΔL*a*b*(4)、この2者を比較する。
【0069】
つまり、残差R=ΔL*a*b*(4)-ΔL*a*b*(3)により定義することが可能である。より具体的には下記式となる。
【0070】
残差R=((ΔL*(4)-ΔL*(3))^2+(Δa*(4)-Δa*(3))^2+(Δb*(4)-Δb*(3))^2)^0.5
この残差Rが小さいほど、補正カーブで期待する補正ができていることになる。
【0071】
図9は、実施形態に従う色見本について説明する図である。
図9(A)を参照して、一例として木と人とが描かれている。当該色見本を読み取って色変換テーブルを作成する。
【0072】
図9(B)を参照して、一例として、当該色見本について情報を取得できる部分と情報を取得できなかった部分とが示されている。
【0073】
例えば、情報を取得できた部分については印刷ジョブ(印刷画像データ)の色情報として色を適切に調整することが可能である。
【0074】
また、情報を取得できない部分についても上記で説明した補正カーブを用いることにより補正量を推定して色を調整することが可能である。
【0075】
図10は、実施形態に従う色変換テーブルについて説明する図である。
図10(A)を参照して、本例においては入力値である色見本読取画像データと、出力値である印刷画像データとが関連づけられた状態の色変換テーブルが示されている。
【0076】
ここで、CMYK値として、入力および出力の関係において、特にCおよびYの値に注目するとC値およびY値として「(50)」の値が取得できなかった場合が示されている。
【0077】
一方で、入力値CMYK(30,0,30,0)については、出力値(32,0,40,0)を取得できた場合が示されている。同様に、入力値CMYK(70,0,70,0)については、出力値(74,0,82,0)を取得できた場合が示されている。一例として図8の黒丸に対応している。
【0078】
図10(B)を参照して、補正カーブを用いて色見本読取画像データを補正した補正データが示されている。
【0079】
補正カーブを用いることにより、入力値CMYK(30,0,30,0)については、出力値(32,0,40,0)に補正する。また、取得できなかった入力値CMYK(50,0,50,0)については、出力値(53,0,63,0)に補正する。
【0080】
また、入力値CMYK(70,0,70,0)については、出力値(74,0,84,0)に補正する。
したがって、補正カーブを用いることにより取得できなかった色についても補正データを用いて調整することが可能である。
【0081】
一方で、Y値に注目すると補正データと、出力値との間に齟齬が見られる。
具体的には、入力値CMYK(70,0,70,0)については、出力値(74,0,82,0)を取得できているが、補正カーブを用いた場合には、入力値CMYK(70,0,70,0)については、出力値(74,0,84,0)に補正される。
【0082】
したがって、すべての値を補正カーブによる補正で修正した場合には本来の値との間にずれが生じる可能性がある。
【0083】
実施形態においては、取得できた点については、その情報を有効に利用し、取得できない点については補正カーブを用いた補正を実行する。すなわち、取得できた位置の値に対応する補正値は個別に補正する。
【0084】
具体的には、実施形態に従う補正部114は、生成した色変換テーブルを修正する。
この点で、補正部114は、入力値CMYK(30,0,30,0)については、取得できた点であるため取得した情報である出力値(32,0,40,0)に補正する。
【0085】
補正部114は、取得できなかった入力値CMYK(50,0,50,0)については、補正カーブを用いて出力値(53,0,63,0)に補正する。
【0086】
補正部114は、入力値CMYK(70,0,70,0)については、取得できた点であるため取得した情報である出力値(74,0,82,0)に補正する。すなわち、補正部114は、補正カーブ算出部112で算出した補正カーブに基づいて補正群を補正し、取得できた位置の値に対応する補正値は個別に補正する。
【0087】
当該処理により、簡易な方式で適切な色変換の調整が可能な色変換装置を実現することが可能である。
【0088】
また、取得できた点の近傍については、取得できた点との距離に応じて補正量を調整するようにしてもよい。
【0089】
また、本例においては、1次元の対応関係を示す補正カーブを算出して、補正する場合について説明したが、1次元に限られずさらに多次元(4次元)の対応関係を示す補正カーブを算出して補正するようにしてもよい。
【0090】
実施形態に従うパラメータ調整部116は、補正群に対する補正カーブの補正の強さを設定するパラメータを調整することも可能である。
【0091】
図11は、実施形態に従うパラメータ調整部116の調整処理について説明する図である。
【0092】
図11(A)を参照して、表示部120を介してパラメータを調整するための調整画面が表示される。当該調整画面は、ユーザーの指示に従ってパラメータ調整部116が報知部107を介して表示部120に出力するようにしてもよい。
【0093】
一例として、ユーザーは、操作部160を用いて補正カーブの補正の強さを設定するパラメータを調整する。
【0094】
補正カーブ適用前の補正関数をy=f(x)とする。
一例として、入力と出力とが同じリニアな関数を設定する。
【0095】
また、上記の補正カーブ算出部112で算出した補正カーブをy=g(x)とする。
そして、補正の強さを調整するパラメータWを用いて補正する。
【0096】
具体的には、下記式を用いて補正する。
y=W*g(x)+(1-W)*f(x)
パラメータWは、0~1.0の範囲で調整が可能に設けられている。
【0097】
本例においては操作部160の操作入力が可能なスライダーバーが0~1.0の範囲において設けられており、ユーザーが例えばマウス等で指定することによりパラメータWの値を設定する。
【0098】
また、図11(B)を参照して、本例においては、3つの選択肢が予め設けられている。具体的には、ユーザーの選択が可能な「Low」、「Normal」、「Hight」の3つの選択肢が設けられており、それぞれの選択肢に対して予めパラメータWが設定されている。なお、本例においては3つの選択肢が示されているがこれに限らず数は任意の値に調整可能である。
【0099】
また、上記においては、ユーザーが補正カーブの補正の強さを設定するパラメータWを入力する場合について説明したが、これに限られず、例えば自動で最適な値を設定するようにしてもよい。
【0100】
例えば、機械学習のアルゴリズムを用いて、補正量の誤差が最小となるパラメータWを算出するようにしてもよい。
【0101】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 色調整システム、2 画像読取装置、4 画像形成装置、10,20 コンピュータ、14 RAM、22 インターネット、102 テーブル生成部、106 印刷画像取得部、107 報知部、108 画像取得部、109 操作受付部、110 算出部、112 補正カーブ算出部、114 補正部、116 パラメータ調整部、120 表示部、140 スピーカー、160 操作部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11