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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011422
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】コネクタ、及びコネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20240118BHJP
【FI】
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113381
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】小田 亨平
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AA11
5E223AA16
5E223AB01
5E223AB17
5E223AB20
5E223AB43
5E223AC12
5E223AC17
5E223BA01
5E223BA04
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB46
5E223CB47
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E223EA31
5E223EA36
(57)【要約】
【課題】コネクタを小型化しても、端子に付与する接触圧力を的確に確保することができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ2において、端子10は、実装部11と、実装部11に連結されて上方向に延びる第1脚部13と、第1脚部13に連結された頂部14と、頂部14に連結されて下方向に延びる第2脚部15と、第2脚部15に連結された底部16と、底部16に連結されて上方向に延び、短手方向Xに弾性変形可能な弾性部17とを備え、端子10は、嵌合凹部19において相手コネクタ2の端子10を収容して、第2脚部15及び弾性部17において相手コネクタ2の端子10と接触し、ハウジング30は、嵌合方向Zに延びるように形成され、端子10の弾性部17に当接する側壁部31を備え、弾性部17及び側壁部31は共に、嵌合凹部19に相手コネクタ2の端子10が挿入されると短手方向Xに弾性変形する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子及び前記端子を保持するハウジングを有するコネクタであって、
前記端子は、
所定の部材に実装される実装部と、
前記実装部に連結され、当該実装部から、相手コネクタとの嵌合方向における一方向である第1方向に延びる第1脚部と、
前記第1脚部に連結された頂部と、
前記頂部に連結され、当該頂部から、前記嵌合方向において前記第1方向と反対の第2方向に延びる第2脚部と、
前記第2脚部に連結された底部と、
前記底部に連結されると共に、当該底部から前記第1方向に延び、且つ、前記コネクタの短手方向に弾性変形可能に構成された弾性部と、
を備え、
前記端子は、前記第2脚部と前記底部と前記弾性部とにより形成された嵌合凹部において前記相手コネクタの端子を収容し、前記相手コネクタの端子が前記嵌合凹部に収容されたときに、前記第2脚部及び前記弾性部において前記相手コネクタの端子と接触するように構成され、
前記ハウジングは、前記嵌合方向に延びるように形成されると共に、前記端子の前記弾性部に当接又は近接する側壁部を少なくとも備え、
前記端子の前記弾性部及び前記ハウジングの前記側壁部は共に、前記端子の前記嵌合凹部に前記相手コネクタの端子が挿入されると、前記短手方向に弾性変形するように構成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタは、その長手方向に沿って配列された複数の前記端子を有し、
前記ハウジングの前記側壁部は、前記複数の端子の前記弾性部に当接又は近接するように前記長手方向に沿って延び、前記複数の端子の前記弾性部の間にスリット部が形成されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタは、少なくとも前記端子の前記第1脚部、前記頂部、前記第2脚部、前記底部及び前記弾性部が略同一形状に形成された前記相手コネクタと嵌合可能に構成されている、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタは、前記端子及び前記ハウジングを含む全体が略同一形状に形成された前記相手コネクタと嵌合可能に構成されている、
請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記コネクタの長手方向の端部において、当該長手方向に突出し、且つ前記嵌合方向に延在する突出部と、前記突出部に隣接して形成された切欠部と、を備え、
前記コネクタは、当該コネクタの前記ハウジングの前記突出部と、前記相手コネクタの前記ハウジングの前記切欠部とが係合し、且つ、当該コネクタの前記ハウジングの前記切欠部と、前記相手コネクタの前記ハウジングの前記突出部とが係合することで、前記相手コネクタと嵌合するように構成されている、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記端子の前記第1脚部、前記頂部、前記第2脚部を保持する保持壁を備え、前記保持壁における前記長手方向の端部と前記突出部との間に間隙が形成されている、
請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記端子の前記底部における前記第2方向側の部分は、前記所定の部材に実装される更なる実装部を構成する、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記端子の前記頂部と、前記端子の前記弾性部における前記第1方向側にある端部とは、前記嵌合方向における位置が略同一である、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記コネクタは、前記短手方向において対称的に対向するように配置された一対の前記端子と、前記一対の端子をそれぞれ保持するように、前記短手方向において対称的に対向するように配置且つ連結された一対の前記ハウジングと、を有し、
前記一対のハウジングの各々の前記側壁部が前記短手方向において離間しており、それにより、前記一対の端子の各々の前記弾性部及び前記一対のハウジングの各々の前記側壁部が共に、前記短手方向に弾性変形できるようになっている、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項10】
コネクタ組立体であって、
請求項1又は2に記載のコネクタである第1コネクタと、
前記第1コネクタと嵌合可能に構成された第2コネクタと、
を有し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとは、少なくとも前記端子の前記第1脚部、前記頂部、前記第2脚部、前記底部及び前記弾性部が略同一形状に形成されている、
ことを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項11】
端子及び前記端子を保持するハウジングを有するコネクタであって、
前記端子は、
所定の部材に実装される実装部と、
前記実装部に連結され、当該実装部から、相手コネクタとの嵌合方向における一方向である第1方向に延びる第1脚部と、
前記第1脚部に連結された頂部と、
前記頂部に連結され、当該頂部から、前記嵌合方向において前記第1方向と反対の第2方向に延びる第2脚部と、
前記第2脚部に連結された底部と、
前記底部に連結されると共に、当該底部から前記第1方向に延び、且つ、前記コネクタの短手方向に弾性変形可能に構成された弾性部と、
を備え、
前記端子は、前記第2脚部と前記底部と前記弾性部とにより形成された嵌合凹部において前記相手コネクタの端子を収容し、前記相手コネクタの端子が前記嵌合凹部に収容されたときに、前記第2脚部及び前記弾性部において前記相手コネクタの端子と接触するように構成され、
前記ハウジングは、
前記端子の前記第1脚部と前記頂部と前記第2脚部とで囲まれた空間を充填して、これらを保持する保持壁と、
前記嵌合方向に延びるように形成されると共に、前記端子の前記弾性部に当接又は近接する側壁部と、
を備える、
ことを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子及び当該端子を保持するハウジングを有するコネクタ及びコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線基板やフレキシブルフラットケーブル等を接続するための、端子及びハウジングを有するコネクタに関する種々の技術が知られている。例えば、特許文献1(特開2017-69133号公報)には、上下方向(嵌合方向)において上方に開口する端子収容部と、この端子収容部の下側に位置する底部とを備えるハウジングと、このハウジングの底部に埋め込まれて保持される基部と、この基部から上方に延びて端子収容部に弾性変形可能に収容されるバネ部と、このバネ部に支持される接触部とを備える端子と、を有するコネクタが開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示されたコネクタでは、相手コネクタの端子が端子収容部に挿入されると、当該コネクタの端子の接触部に相手コネクタの端子が接触して、この接触部を支持するバネ部が短手方向に弾性変形することで、相手コネクタの端子に弾性力(接触圧力に相当する)を付与するようになっている。これにより、コネクタのバネ部が相手コネクタの端子を保持して、両コネクタの端子間の電気的接続が確保されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-69133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、スマートフォンや携帯端末等の電子機器の小型化や高機能化等により、プリント配線基板に搭載される電子部品の高密度実装化が進んでおり、それに伴って、コネクタ自体の小型化も要求されている。こうしてコネクタを小型化すると、端子やハウジングも非常に小さくなっていく。
【0006】
ここで、上記した特許文献1に記載されたようなコネクタを小型化すると、端子の小型化に伴って、この端子のバネ部も非常に小さく(細く)なる。その結果、端子のバネ部の弾性力が小さくなり、相手コネクタの端子に十分な接触圧力(換言すると接圧)を付与するのが困難になる。これにより、例えば、コネクタの脱着を繰り返したときに、コネクタの端子間の電気的接続を確保できなくなる場合がある。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、コネクタを小型化しても、端子に付与する接触圧力を的確に確保することができるコネクタ及びコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態に係るコネクタは、端子及び端子を保持するハウジングを有するコネクタであって、端子は、所定の部材に実装される実装部と、実装部に連結され、当該実装部から、相手コネクタとの嵌合方向における一方向である第1方向に延びる第1脚部と、第1脚部に連結された頂部と、頂部に連結され、当該頂部から、嵌合方向において第1方向と反対の第2方向に延びる第2脚部と、第2脚部に連結された底部と、底部に連結されると共に、当該底部から第1方向に延び、且つ、コネクタの短手方向に弾性変形可能に構成された弾性部と、を備え、端子は、第2脚部と底部と弾性部とにより形成された嵌合凹部において相手コネクタの端子を収容し、相手コネクタの端子が嵌合凹部に収容されたときに、第2脚部及び弾性部において相手コネクタの端子と接触するように構成され、ハウジングは、嵌合方向に延びるように形成されると共に、端子の弾性部に当接又は近接する側壁部を少なくとも備え、端子の弾性部及びハウジングの側壁部は共に、端子の嵌合凹部に相手コネクタの端子が挿入されると、短手方向に弾性変形するように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コネクタを小型化しても、端子に付与する接触圧力を的確に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るコネクタ組立体の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るコネクタ組立体の側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るコネクタの一部分の斜視断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る端子の一部分の斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るハウジングの一部分の斜視断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るコネクタの一部分の斜視図である。
図7図2中のVII-VII線に沿って見た、本発明の実施形態に係るコネクタ組立体の断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るコネクタの嵌合状態を示す断面図である。
図9】本発明の実施形態の変形例に係るコネクタ組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各実施形態(変形例も含む)は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、コネクタやコネクタ組立体を構成することを排除するものではない。
【0012】
[コネクタ及びコネクタ組立体の構成]
まず、図1乃至図7を参照して、本発明の一実施形態に係るコネクタ及びコネクタ組立体の構成について、具体的に説明する。図1は、本実施形態に係るコネクタ組立体を斜め上方から見た斜視図である。図2は、本実施形態に係るコネクタ組立体を短手方向に沿って見た側面図である。図3は、本実施形態に係るコネクタの一部分を斜め上方から見た斜視断面図である。図4は、本実施形態に係る端子の一部分を斜め下方から見た斜視図である。図5は、本実施形態に係るハウジングの一部分を斜め上方から見た斜視断面図である。図6は、本実施形態に係るコネクタの一部分(長手方向の端部)を斜め上方から見た斜視図である。図7は、図2中のVII-VII線に沿って見た、本実施形態に係るコネクタ組立体の断面図である。
【0013】
最初に、図1及び図2を参照して、本実施形態に係るコネクタ組立体1について説明する。これらの図に示すように、コネクタ組立体1は、同一形状を有し、嵌合可能に構成された2つのコネクタ2a、2b(以下ではこれらを区別しない場合には単に「コネクタ2」と表記する。)から成る。
【0014】
ここで、図1では(他の図も同様)、コネクタ2の短手方向(幅方向)を「X」と表記し、コネクタ2の長手方向(奥行方向)を「Y」と表記し、コネクタ2の嵌合方向(上下方向)を「Z」と表記している。本明細書では、或るコネクタ2に関して、嵌合方向Zにおいて、相手側のコネクタ2を受け入れる側を「上」又は「表」と定義し(本発明における「第1方向」に相当する)、基板等に取り付けられる側を「下」又は「裏」と定義する(本発明における「第2方向」に相当する)。図1において下側にあるコネクタ2aでは、嵌合方向Zにおいて「Z1」で示す方向が「上方向」に相当し、嵌合方向Zにおいて「Z2」で示す方向が「下方向」に相当し、一方で、図1において上側にあるコネクタ2bでは、嵌合方向Zにおいて「Z1」で示す方向が「下方向」に相当し、嵌合方向Zにおいて「Z2」で示す方向が「上方向」に相当する。なお、後述する図3乃至図6では、図1において下側にあるコネクタ2aを例示するものとする。
【0015】
コネクタ2は、図1及び図2に示すように、主に、端子10と、この端子10を保持するハウジング30とを有する。2つのコネクタ2a、2bは、端子10及びハウジング30の両方の形状が同一に形成された、いわゆる雌雄同体のコネクタである(図7も参照)。また、コネクタ2は、長手方向Yに延びており、この長手方向Yに沿って等間隔に配列された複数の端子10がハウジング30に保持されるようになっている。このようなコネクタ2は、端子10を形成する銅合金などの導電性部材と、ハウジング30を形成する液晶ポリマー(LCP)等の樹脂とを用いて、一体成形により作成される。特に、端子10がハウジング30に対してインサート成形される。
【0016】
例えば、コネクタ2は、携帯電話やスマートフォン、デジタルカメラ、ノートパソコン等の小型電子機器における内部部品として使用することができる。また、コネクタ2は、図示しないプリント配線基板やフレキシブルフラットケーブル等の所定の部材に実装される。例えば、コネクタ2は、短手方向X及び嵌合方向Zの長さが1mm以下(1つの例では0.5mm程度)に構成され、長手方向Yの長さが5mm以下に構成される。
【0017】
次に、図3図4及び図7を参照して、本実施形態に係るコネクタ2の端子10について説明する(なお、図3及び図4では、図1に示したコネクタ2aをコネクタ2として例示しているものとする)。これらの図に示すように、コネクタ2の端子10は、主に、実装部11、12、第1脚部13、頂部14、第2脚部15、底部16、及び弾性部17の構成部を有し、これら構成部は短手方向Xに沿って形成されている。実装部11、12は、コネクタ2の下面に露出しており(図1も参照)、半田付けにより端子10を基板等に接続するための部分である。なお、実装部12は、端子10の底部16における裏側の部分により構成される。
【0018】
第1脚部13は、実装部11に連結され、当該実装部11から上方向Z1に延び、頂部14は、この第1脚部13に連結され、第2脚部15は、この頂部14に連結され、当該頂部14から下方向Z2に延びる。底部16は、第2脚部15に連結され、弾性部17は、この底部16に連結されると共に、当該底部16から上方向Z1に延び、且つ、短手方向Xに弾性変形可能に構成されている。頂部14と、弾性部17の上側の端部17bとは、嵌合方向(上下方向)Zにおける位置が略同一となっている(特に図7中の破線L1参照)。
【0019】
なお、弾性部17の端部17bは、短手方向Xに延びるように形成されているが、これは、一体成形での位置合わせや、端子10の金型内での的確な保持のためである。加えて、弾性部17は、上方向Z1に進むにつれて、長手方向Yの幅が狭くなっているが(特に図4参照)、これは、インサート成形において端子10を金型内でしっかり固定するため、具体的には幅狭な箇所から幅広になっていく箇所において金型によりしっかり固定するためである。
【0020】
また、端子10においては、第1脚部13、頂部14及び第2脚部15が、上方向Z1に突出した略逆U字形状の嵌合凸部18を形成し、一方で、第2脚部15、底部16及び弾性部17が、下方向Z2に窪んだ略U字形状であって、上方向Z1側において開口した嵌合凹部19を形成する。コネクタ組立体1においては、一方のコネクタ2aの端子10の嵌合凹部19が、他方のコネクタ2bの端子10の嵌合凸部18を収容し、且つ、他方のコネクタ2bの端子10の嵌合凹部19が、一方のコネクタ2aの端子10の嵌合凸部18を収容することで、コネクタ2a、2bが嵌合することとなる。この嵌合状態では、コネクタ2a、2bの両方において第1脚部13、第2脚部15及び弾性部17のそれぞれの外側面にある接触部13a、15a、17aが接触することで、コネクタ2a、2bの端子10間の電気的接続が実現される。
【0021】
次に、図3図5図6及び図7を参照して、本実施形態に係るコネクタ2のハウジング30について説明する(なお、図3図5及び図6では、図1に示したコネクタ2aをコネクタ2として例示しているものとする)。これらの図に示すように、コネクタ2のハウジング30は、嵌合方向(上下方向)Zに延びるように形成され、端子10の弾性部17の外側に当接する側壁部31を有する。この側壁部31は、複数の端子10の弾性部17に当接するように長手方向Yに沿って延びている(図1及び図2も参照)。また、側壁部31には、複数の端子10の弾性部17の間に、側壁部31の上端部から下方向Z2に延びるスリット部31aが形成されている。
【0022】
このようなハウジング30の側壁部31は、端子10の弾性部17と短手方向Xの外側において当接しており、且つ、上述したように樹脂で形成されているので、端子10の弾性部17と一緒に短手方向Xに弾性変形可能になっている。具体的には、一方のコネクタ2aの端子10の嵌合凹部19に、他方のコネクタ2bの端子10の嵌合凸部18が挿入されたときに、当該一方のコネクタ2aにおける端子10の弾性部17及びハウジング30の側壁部31の両方が一緒に同期して短手方向Xに弾性変形する。他方のコネクタ2bの端子10の嵌合凹部19に、一方のコネクタ2aの端子10の嵌合凸部18が挿入されたときも同様である。
【0023】
また、ハウジング30は、端子10の第1脚部13、頂部14及び第2脚部15(つまり嵌合凸部18)を保持する保持壁32を有する。第1脚部13、頂部14及び第2脚部15の内側に形成された空間に樹脂が充填されて、この樹脂が充填された部分が保持壁32を形成する。また、保持壁32は、複数の端子10の嵌合凸部18のそれぞれにおける長手方向Yの隙間を埋めるように形成されている。このような保持壁32は、コネクタ2a、2bの嵌合時に端子10の嵌合凸部18が短手方向Xに変位することを抑制している。更に、ハウジング30は、端子10の実装部11の表側を覆う被覆部34と、端子10の底部16(実装部12に対応する)の表側の一部分を覆う被覆部35と、を有する。これら被覆部34、35は、端子10の裏側にある実装部11、12に付与された半田が表側(第1脚部13や第2脚部15や弾性部17等)へと漏出することを防止している。また、コネクタ2aとコネクタ2bとを嵌合させる際に、コネクタ2aの被覆部34にはコネクタ2bの端部17bが当接し、同様に、コネクタ2bの被覆部34にはコネクタ2aの端部17bが当接することで、正規の嵌合状態における嵌合方向Zでの位置が規定される。
【0024】
また、ハウジング30は、図1及び図6に示すように、長手方向Yにおける両端部に、当該長手方向Yに突出し、嵌合方向(上下方向)Zに延在する突出部37と、この突出部37の短手方向X側に隣接して形成された切欠部38と、を有する。突出部37は、側壁部31と連結する一方で、保持壁32から離間して形成されており、切欠部38は、保持壁32に面し、突出部37と各方向X、Y、Zのサイズが略同一に形成されている。コネクタ2a、2bが嵌合するときに、コネクタ2aのハウジング30の突出部37と、コネクタ2bのハウジング30の切欠部38とが係合し(換言すると突出部37が切欠部38に嵌め込まれる)、且つ、コネクタ2aのハウジング30の切欠部38と、コネクタ2bのハウジング30の突出部37とが係合するようになっている。ここで、図6に示すように、ハウジング30の側壁部31の上端部(特に側壁部31において長手方向Yにおける両端にある上端部)及び突出部37の上端部には、下方向Z2に向けて傾斜したガイド部31b、37aがそれぞれ形成されており、これらガイド部31b、37aは、コネクタ2a、2bが嵌合するときの位置合わせをガイドするように機能する。
【0025】
更に、ハウジング30は、図1及び図6に示すように、保持壁32における長手方向Yの端部と突出部37との間に間隙39が形成されている。この間隙39は、切欠部38と連結しており、コネクタ2a、2bが嵌合するときの保持壁32と突出部37との間のガタとして機能する。このような間隙39を設けずに、保持壁32と突出部37とを連結してしまうと、この連結部分がコネクタ2a、2bの嵌合(具体的には一方のコネクタ2の突出部37と他方のコネクタ2の切欠部38との係合)を阻害する場合がある。よって、間隙39は、コネクタ2a、2bを嵌合させるときの突出部37及び切欠部38のスムーズな係合を実現するように設けられている。
【0026】
次に、図8を参照して、本実施形態に係るコネクタ2a、2bの嵌合状態について説明する。図8は、嵌合状態にあるコネクタ2a、2bを嵌合方向Zに沿って見た断面図である。コネクタ2a、2bの嵌合時には、一方のコネクタ2aの嵌合凹部19に、他方のコネクタ2bの嵌合凸部18が挿入される。このときに、コネクタ2aの端子10の弾性部17が、コネクタ2bの嵌合凸部18の第1脚部13から押されて、矢印A1aに示すように短手方向Xに変形すると共に、コネクタ2aのハウジング30の側壁部31も、当接する弾性部17から押されて、矢印A1aに示すように短手方向Xに変形する。
【0027】
つまり、コネクタ2aにおいて端子10の弾性部17及びハウジング30の側壁部31の両方が一緒に短手方向Xに変形する。そして、コネクタ2bの嵌合凸部18は、コネクタ2aの弾性部17及び側壁部31の元の形状に戻ろうとする力によって、コネクタ2aの第2脚部15側に押されることで、コネクタ2aの端子10とコネクタ2bの端子10とがそれぞれの嵌合凹部19と嵌合凸部18とにおいて電気的に接続する。この場合、コネクタ2aの端子10の第2脚部15の接触部15a及び弾性部17の接触部17aが、それぞれ、コネクタ2bの端子10の第2脚部15の接触部15a及び第1脚部13の接触部13aと接触する(図7等も参照)。なお、コネクタ2aの端子10の弾性部17における接触部17aの接触面積を小さくすることで、相手側のコネクタ2bの端子10と接触した状態での信頼性を向上することができる。
【0028】
更に、コネクタ2a、2bの嵌合時には、他方のコネクタ2bの嵌合凹部19にも、一方のコネクタ2aの嵌合凸部18が挿入される。このときに、コネクタ2bの端子10の弾性部17が、コネクタ2aの嵌合凸部18の第1脚部13から押されて、矢印A1bに示すように短手方向Xに変形すると共に、コネクタ2bのハウジング30の側壁部31も、当接する弾性部17から押されて、矢印A1bに示すように短手方向Xに変形する。
【0029】
つまり、コネクタ2bにおいて端子10の弾性部17及びハウジング30の側壁部31の両方が一緒に短手方向Xに変形する。そして、コネクタ2aの嵌合凸部18は、コネクタ2bの弾性部17及び側壁部31の元の形状に戻ろうとする力によって、コネクタ2bの第2脚部15側に押されることで、コネクタ2bの端子10とコネクタ2aの端子10とがそれぞれの嵌合凹部19と嵌合凸部18とにおいて電気的に接続する。この場合、コネクタ2bの端子10の第2脚部15の接触部15a及び弾性部17の接触部17aが、それぞれ、コネクタ2aの端子10の第2脚部15の接触部15a及び第1脚部13の接触部13aと接触する(図7等も参照)。なお、コネクタ2bの端子10の弾性部17における接触部17aの接触面積を小さくすることで、相手側のコネクタ2aの端子10と接触した状態での信頼性を向上することができる。
【0030】
[作用及び効果]
次に、上述した本実施形態に係るコネクタ2等の作用及び効果について説明する。
【0031】
本実施形態に係るコネクタ2では、端子10は、所定の部材に実装される実装部11と、この実装部11に連結され、当該実装部11から上方向に延びる第1脚部13と、この第1脚部13に連結された頂部14と、この頂部14に連結され、当該頂部14から下方向に延びる第2脚部15と、この第2脚部15に連結された底部16と、この底部16に連結されると共に、当該底部16から上方向に延び、且つ、短手方向Xに弾性変形可能に構成された弾性部17と、を備え、端子10は、第2脚部15と底部16と弾性部17とにより形成された嵌合凹部19において相手コネクタ2の端子10を収容し、相手コネクタ2の端子10が嵌合凹部19に収容されたときに、第2脚部15及び弾性部17において相手コネクタ2の端子10と接触するように構成され、ハウジング30は、嵌合方向Zに延びるように形成されると共に、端子10の弾性部17に当接する側壁部31を少なくとも備え、端子10の弾性部17及びハウジング30の側壁部31は共に、端子10の嵌合凹部19に相手コネクタ2の端子10が挿入されると、短手方向Xに弾性変形するように構成されている。
【0032】
このような本実施形態に係るコネクタ2によれば、端子10の弾性部17に加えて、この弾性部17に当接させた側壁部31をハウジング30に設けたので、端子10の嵌合凹部19に相手コネクタ2の端子10が挿入されると、端子10の弾性部17及びハウジング30の側壁部31の両方が一緒に短手方向Xに弾性変形するようになっている。これにより、端子10の弾性部17及びハウジング30の側壁部31の両方から弾性力が生成されることで、相手コネクタ2の端子10に十分な接触圧力を付与することができる、換言すると付与する接触圧力を強化することができる。したがって、コネクタ2を小型化しても、端子10に付与する接触圧力を的確に確保することができる。よって、例えば、コネクタ2の脱着を繰り返しても、十分な接触圧力を付与し続けることができ、コネクタ2の端子間の電気的接続を確保することが可能となる。
【0033】
また、本実施形態に係るコネクタ2は、長手方向Yに沿って配列された複数の端子10を有し、ハウジング30の側壁部31は、複数の端子10の弾性部17に当接するように長手方向Yに沿って延び、複数の端子10の弾性部17の間にスリット部31aが形成されている。このように側壁部31に設けたスリット部31aにより、過不足ない所望の接触圧力を、側壁部31により的確に実現することができる。この場合、所望の接触圧力(つまり弾性力)を実現するように、側壁部31に設けるスリット部31aのサイズ(具体的には側壁部31から切り取る部分の長手方向Y及び/又は嵌合方向Zの長さ)や形状を設計すればよい。
【0034】
また、本実施形態に係るコネクタ2は、端子10及びハウジング30を含む全体が同一形状に形成された相手コネクタ2と嵌合可能に構成されている。つまり、本実施形態では、コネクタ組立体1が同一形状を有する2つのコネクタ2a、2bから構成されている。これにより、2つのコネクタ2a、2bのために異なる金型などを用意する必要が無いため、製造コストを削減することができる。
【0035】
また、本実施形態に係るコネクタ2では、ハウジング30は、長手方向Yの端部に、当該長手方向Yに突出し、嵌合方向Zに延在する突出部37と、この突出部37に隣接して形成された切欠部38と、を備え、一方のコネクタ2は、当該一方のコネクタ2のハウジング30の突出部37と、他方のコネクタ2のハウジング30の切欠部38とが係合し、且つ、当該一方のコネクタ2のハウジング30の切欠部38と、他方のコネクタ2のハウジング30の突出部37とが係合することで、相手コネクタ2と嵌合するように構成されている。これにより、2つのコネクタ2を嵌合するときに、これら2つのコネクタ2を容易に位置合わせすることができる。
【0036】
また、本実施形態に係るコネクタ2では、ハウジング30は、端子10の第1脚部13、頂部14、第2脚部15を保持する保持壁32を備え、保持壁32における長手方向Yの端部と突出部37との間に間隙39が形成されている。この間隙39は、コネクタ2a、2bが嵌合するときの保持壁32と突出部37との間のガタとして機能する。したがって、このような間隙39によれば、コネクタ2a、2bを嵌合させるときに突出部37及び切欠部38のスムーズな係合を実現することができる。
【0037】
また、本実施形態に係るコネクタ2では、端子10は、底部16における裏側(下側)の部分が更なる実装部12を構成する。上記した実装部11に加えて、この実装部12を用いてコネクタ2を基板等に実装することで、コネクタ2を基板等にバランス良く固定することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るコネクタ2では、端子10の頂部14と、端子10の弾性部17における上側にある端部17bとは、嵌合方向Zにおける位置が略同一となっている。これにより、コネクタ2において突出した部分の箇所の高さを合わせることで、2つのコネクタ2をバランス良く嵌合させることができる。
【0039】
[変形例]
次に、上述した本実施形態の変形例について説明する。
【0040】
上述した実施形態では、ハウジング30の側壁部31において長手方向Yに亘って設けられた複数のスリット部31aを同一のサイズ及び形状に形成していたが、これに限定はされない。1つの変形例では、長手方向Yにおいてコネクタ2の中心側ほど、スリット部31aを小さく形成してもよい。別の変形例では、長手方向Yにおいてコネクタ2の中心側ほど、スリット部31aを大きく形成してもよい。更に別の変形例では、相対的に大きいスリット部31aと小さいスリット部31aとを、長手方向Yにおいて交互に形成してもよい。このように複数のスリット部31aを種々のサイズや形状に形成することで、側壁部31により実現される接触圧力を細かく設定することが可能となる。
【0041】
また、上述した実施形態では、コネクタ2において、ハウジング30の側壁部31が端子10の弾性部17に当接(換言すると密着)していたが、ハウジング30の側壁部31が端子10の弾性部17に当接していなくてもよい。変形例では、ハウジング30の側壁部31を端子10の弾性部17に近接して設けてもよい。この変形例では、端子10の弾性部17が短手方向Xに弾性変形したときにハウジング30の側壁部31にしっかり接触するように、側壁部31を弾性部17に対して近接して設ければよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、コネクタ2は、端子10及びハウジング30を含む全体が同一形状に形成された相手コネクタ2と嵌合可能に構成されていた。つまり、コネクタ組立体1が、同一形状を有する2つのコネクタ2a、2bから構成されていた。このように2つのコネクタ2a、2bを完全に同一形状に形成することに限定はされず、1つの変形例では、2つのコネクタを全体的に見たときに略同一形状に形成してもよい。
【0043】
別の変形例では、コネクタは、端子10及びハウジング30を含む全体が略同一形状ではなく、少なくとも端子10の第1脚部13、頂部14、第2脚部15、底部16及び弾性部17(つまり嵌合に関わる部分)が略同一形状に形成された相手コネクタと嵌合可能に構成されていてもよい。この場合、コネクタ組立体は、このような嵌合に関わる部分が略同一形状に形成された2つのコネクタから構成される。
【0044】
更に別の変形例では、2つのコネクタを上述した実施形態及び変形例のように略同一形状に形成しなくてもよい。この変形例の一例について、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態の変形例に係るコネクタ組立体1aを嵌合方向Zに沿って見た断面図である。このコネクタ組立体1aでは、レセプタクルコネクタとしてのコネクタ2cと、プラグコネクタとしてのコネクタ2dが嵌合するようになっている。なお、図9では、コネクタ2dについては、その端子50の一部分のみを破線で示している。
【0045】
図9に示すように、コネクタ2cは、上述した端子10及びハウジング30から成る組を2つ有している。具体的には、コネクタ2cは、短手方向Xにおいて対称的に対向するように配置された一対の端子10と、この一対の端子10をそれぞれ保持するように、短手方向Xにおいて対称的に対向するように配置且つ連結された一対のハウジング30より構成されるハウジング30aと、を有する。ハウジング30aは、短手方向Xに配置された一対の端子10の両方を保持するように、短手方向Xに連続して延びる。詳しくは、このコネクタ2cのハウジング30aでは、一対の側壁部31が短手方向Xにおいて離間しており、この離間した一対の側壁部31の間に空間40が形成されている。
【0046】
このようなコネクタ2cでは、一対の端子10の嵌合凹部19のそれぞれに、コネクタ2dの端子50が挿入されることで、コネクタ2c、2dが嵌合するようになっている。このときに、コネクタ2cの一対の端子10の弾性部17のそれぞれが、コネクタ2dの端子50から押されると共に、この弾性部17に当接する一対の側壁部31のそれぞれも、弾性部17を介して押されることとなる。この場合、上述したように一対の側壁部31の間に空間40が形成されているので、一対の弾性部17のそれぞれ及び一対の側壁部31のそれぞれが共に、矢印A2に示すように短手方向Xに変形できるようになっている。
【0047】
なお、本発明の個々の実施形態は、独立したものではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。また、上述した実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係るコネクタ及びコネクタ組立体は、電気信号の高速伝送を行うスマートフォン、携帯電話等の電子機器において、基板間をフラットケーブルで接続する等の用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、1a コネクタ組立体
2、2a、2b、2c、2d コネクタ
10、50 端子
11、12 実装部
13 第1脚部
14 頂部
15 第2脚部
16 底部
17 弾性部
18 嵌合凸部
19 嵌合凹部
30、30a ハウジング
31 側壁部
31a スリット部
32 保持壁
34、35 被覆部
37 突出部
38 切欠部
39 間隙
X 短手方向
Y 長手方向
Z 嵌合方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9