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特開2024-114227仮設トイレ用の合流ます、および、排水配管システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114227
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】仮設トイレ用の合流ます、および、排水配管システム
(51)【国際特許分類】
   E03F 3/02 20060101AFI20240816BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20240816BHJP
   E03C 1/122 20060101ALI20240816BHJP
   A47K 11/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
E03F3/02
E03C1/12 E
E03C1/122 Z
A47K11/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019864
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 俊希
(72)【発明者】
【氏名】岡本 晃
【テーマコード(参考)】
2D036
2D061
2D063
【Fターム(参考)】
2D036AA01
2D036CA01
2D061AA03
2D061AA05
2D061AB04
2D061AC07
2D061AD01
2D063AA07
2D063BA15
(57)【要約】
【課題】上流側に排水が逆流し難くすることができる。
【解決手段】合流ます50は、底面70を有する底壁部60と、側方に開口した流出口83が形成され、底壁部60から立ち上った筒状の流出側壁部61と、側方に開口した第1流入口81および第2流入口82が形成され、流出側壁部61よりも高い位置に配置された筒状の流入側壁部62と、流出側壁部61の外方から流出口83に接続される筒状の流出筒体54と、流入側壁部62の外方から第1流入口81に接続される筒状の第1流入筒体52と、流入側壁部62の外方から第2流入口82に接続される筒状の第2流入筒体53とを備えている。第1流入筒体52および第2流入筒体53の少なくとも一方には、仮設トイレ4が接続されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を有する底壁部と、
側方に開口した流出口が形成され、前記底壁部から立ち上った筒状の流出側壁部と、
側方に開口した第1流入口および第2流入口が形成され、前記流出側壁部よりも高い位置に配置された筒状の流入側壁部と、
前記流出側壁部の外方から前記流出口に接続される筒状の流出筒体と、
前記流入側壁部の外方から前記第1流入口に接続される筒状の第1流入筒体と、
前記流入側壁部の外方から前記第2流入口に接続される筒状の第2流入筒体と、
を備え、
前記第1流入筒体および前記第2流入筒体の少なくとも一方は、仮設トイレ用である、仮設トイレ用の合流ます。
【請求項2】
平面視において、前記第1流入筒体の中心軸と前記流出筒体の中心軸とが一致するように、前記第1流入筒体および前記流出筒体が配置されている、請求項1に記載された仮設トイレ用の合流ます。
【請求項3】
平面視において、前記第1流入筒体の中心軸と前記第2流入筒体の中心軸との成す角度は90度である、請求項2に記載された仮設トイレ用の合流ます。
【請求項4】
平面視において、前記第1流入筒体の中心軸と前記第2流入筒体の中心軸との成す角度は90度未満である、請求項2に記載された仮設トイレ用の合流ます。
【請求項5】
平面視において、前記第1流入筒体と前記第2流入筒体とは、互いに重ならない位置に配置されている、請求項1に記載された仮設トイレ用の合流ます。
【請求項6】
平面視において、前記流出口と対向する前記流入側壁部の部分には、前記第1流入口および第2流入口が形成されていない、請求項1に記載された仮設トイレ用の合流ます。
【請求項7】
平面視において、前記第1流入口と対向する前記流入側壁部の部分には、前記第2流入口が形成されていない、請求項1に記載された仮設トイレ用の合流ます。
【請求項8】
平面視において、前記第1流入筒体と前記第2流入筒体とは、一部が重なるように配置され、
前記第2流入筒体は、前記第1流入筒体よりも高い位置に配置されている、請求項1に記載された仮設トイレ用の合流ます。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか1つに記載された仮設トイレ用の合流ますと、
前記第1流入筒体に接続された第1流入管路と、
前記第2流入筒体に接続された第2流入管路と、
前記流出筒体に接続された流出管路と、
を備え、
前記第1流入管路と前記第2流入管路の少なくとも一方には、前記仮設トイレが接続可能である、排水配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設トイレ用の合流ます、および、排水配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震などの災害が発生すると、多数の人々が避難場所に避難し、避難場所で生活する場合がある。避難者は、避難場所でトイレを使用したいときがあるが、避難場所に予め設置されたトイレを使用することができないことがあった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、臨時的な仮設トイレを設置できるようにするための仮設トイレの排水システムが開示されている。この排水システムには、排水が流れる複数の排水横引管が設けられている。排水横引管の途中部分には、複数の立管が設けられ、立管には、仮設トイレが設置可能である。複数の排水横引管は、下流端において合流配管に接続されている。合流配管には、流出管が接続され、流出管は貯水ゲートを介して下水道管に接続されている。
【0004】
この仮設トイレの排水システムでは、排水横引管には、予め水が張られている。仮設トイレから排出された汚水が排水横引管に排出されると、排水横引管の水位が上昇する。そして、排水横引管の水位が所定の水位まで上昇すると、貯水ゲートを開弁する。このことによって、複数の排水横引管内の排水は、合流配管内で合流し、流出管を通じて下水道管に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-070445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された排水システムでは、合流配管に接続される流出管の高さと、複数の排水横引管のうちの何れかの排水横引管の高さに差がほとんどない状態である。そのため、流出管に想定以上の排水が流れると合流配管に排水が逆流し、更に、排水横引管に逆流するおそれがあった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上流側に排水が逆流し難い仮設トイレ用の合流ます、および、排水配管システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る仮設トレイ用の合流ますは、底面を有する底壁部と、側方に開口した流出口が形成され、前記底壁部から立ち上った筒状の流出側壁部と、側方に開口した第1流入口および第2流入口が形成され、前記流出側壁部よりも高い位置に配置された筒状の流入側壁部と、前記流出側壁部の外方から前記流出口に接続される筒状の流出筒体と、前記流入側壁部の外方から前記第1流入口に接続される筒状の第1流入筒体と、前記流入側壁部の外方から前記第2流入口に接続される筒状の第2流入筒体と、を備えている。前記第1流入筒体および前記第2流入筒体の少なくとも一方は、仮設トイレ用である。
【0009】
上記の合流ますによれば、流入側壁部が流出側壁部よりも高い位置に配置されているため、流入側壁部に形成された第1流入口および第2流入口は、流出側壁部に形成された流出口よりも高い位置に配置される。例えば流出筒体を通じて流出口から排水が逆流した場合、逆流した排水は底壁部の底面に到達する。このとき、当該底面から第1流入口および第2流入口までには、流出側壁部の高さ以上の距離があるため、流出口から逆流した排水が、上流側(ここでは第1流入口および第2流入口)に逆流し難くすることができる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、平面視において、前記第1流入筒体の中心軸と前記流出筒体の中心軸とが一致するように、前記第1流入筒体および前記流出筒体が配置されている。
【0011】
上記態様によれば、第1流入筒体から第1流入口を通じて排水が流入する方向の先に、流出口および流出筒体があるため、第1流入筒体から流出筒体に向かって排水が流れ易い。また、ある程度の流速を保ったまま、第1流入筒体から流出筒体に向かって排水が流れるため、第2流入口および第2流入筒体に排水が逆流し難くすることができる。
【0012】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記第1流入筒体の中心軸と前記第2流入筒体の中心軸との成す角度は90度である。
【0013】
上記態様によれば、平面視において、第1流入筒体の中心軸と第2流入筒体の中心軸との成す角度を90度にすることによって、第1流入口から流入した排水が第2流入口および第2流入筒体に逆流し難くしつつ、流出口から逆流した排水が第2流入口および第2流入筒体に逆流し難くすることができる。
【0014】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記第1流入筒体の中心軸と前記第2流入筒体の中心軸との成す角度は90度未満である。
【0015】
上記態様によれば、第1流入筒体および第1流入口から排水が流入する方向とは略反対の方向に第2流入口および第2流入筒体があるため、第1流入口から流入した排水が、第2流入口および第2流入筒体に逆流し難くすることができる。
【0016】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記第1流入筒体と前記第2流入筒体とは、互いに重ならない位置に配置されている。
【0017】
上記態様によれば、第1流入筒体と第2流入筒体とは平面視において重ならないため、第1流入口と第2流入口との位置関係が上下方向(言い換えると、真上または真下)の位置関係にならないようにすることができる。よって、例えば第1流入筒体および第1流入口から流入した排水が落下して、第2流入口に逆流し難く、かつ、第2流入筒体および第2流入口から流入した排水が落下して、第1流入口に逆流し難くすることができる。
【0018】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記流出口と対向する前記流入側壁部の部分には、前記第1流入口および第2流入口が形成されていない。
【0019】
上記態様によれば、例えば流出口から合流ます内に排水が逆流した場合であっても、排水が、第1流入口に逆流し難くすることができ、かつ、第2流入口に逆流し難くすることができる。
【0020】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記第1流入口と対向する前記流入側壁部の部分には、前記第2流入口が形成されていない。
【0021】
上記態様によれば、第1流入口から合流ます内に流入した排水が、第2流入口に逆流し難くすることができる。
【0022】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記第1流入筒体と前記第2流入筒体とは、一部が重なるように配置されている。前記第2流入筒体は、前記第1流入筒体よりも高い位置に配置されている。
【0023】
上記態様によれば、第1流入筒体および第1流入口から流入した排水が、第2流入口および第2流入筒体に流入し難くすることができる。また、平面視において第1流入筒体と第2流入筒体とが一部重なっている場合であっても、第2流入筒体を第1流入筒体よりも高い位置に配置することで、第1流入筒体と第2流入筒体とが干渉することなく配置することができる。
【0024】
本発明に係る排水配管システムは、上記の何れかの仮設トイレ用の合流ますと、前記第1流入筒体に接続された第1流入管路と、前記第2流入筒体に接続された第2流入管路と、前記流出筒体に接続された流出管路と、を備えている。前記第1流入管路と前記第2流入管路の少なくとも一方には、前記仮設トイレが接続可能である。
【0025】
上記の排水配管システムによれば、流出管路から合流ます内に逆流した排水が、第1流入口を通じて第1流入管路に逆流し難くすることができると共に、第2流入口を通じて第2流入管路に逆流し難くすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、上流側(例えば第1流入口および第2流入口)に排水が逆流し難い仮設トイレ用の合流ます、および、排水配管システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る合流ますを示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る合流ますを備えた排水配管システムを模式的に示した平面図である。
図3】第1実施形態に係る排水配管システムの第2流入管路を模式的に示した正面図である。
図4】第1実施形態に係る排水配管システムの第2流入管路を模式的に示した正面図であり、第2流入管路に仮設トイレを接続した状態を示す図である。
図5】第1実施形態に係る合流ますを示す正面図である。
図6図1のVI-VI断面における合流ますの断面図である。
図7】第2実施形態に係る排水配管システムを模式的に示した平面図である。
図8】第2実施形態に係る排水配管システムの第1流入管路を模式的に示した正面図である。
図9】第2実施形態に係る合流ますを示す平面図である。
図10】第2実施形態に係る合流ますを示す正面図である。
図11図9のXI-XI断面における合流ますの断面図である。
図12】第3実施形態に係る合流ますを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る合流ます50を示す平面図である。図2は、合流ます50を備えた排水配管システム1を模式的に示した平面図である。図3、4は、排水配管システム1の第2流入管路12を模式的に示した正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る合流ます50は、複数の流路を流れる排水が合流するものである。ここでは、合流ます50は、仮設トイレ4(図4参照)から排出された汚水が流されるものであり、仮設トイレ4用のますである。本実施形態では、図2に示すように、合流ます50は、排水配管システム1に備えられている。
【0030】
本実施形態に係る排水配管システム1は、通常時には、建物5内の排水設備6から下水本管8に向かって排水を排出する。地震などの災害時には、排水配管システム1は、図4に示すように、仮設トイレ4が設置されたシステムとして使用され、仮設トイレ4から排出された汚水を下水本管8などに排出する。
【0031】
ここで、排水には、トイレ、台所の流し台、風呂などの、生活において排出される汚水や、雨水が含まれる。上記の排水設備6は、排水を排出する設備であり、例えばトイレ、風呂、台所の流し台などである。また、排水設備6は、雨樋などの雨水を受けて排出する設備であってもよい。なお、本実施形態では、図2に示すように、排水設備6は、建物5内に配置されているが、建物5に配置されておらず、屋外(例えば公園)などに配置されてもよい。排水設備6は、既に設置済みの既設設備であり、位置が固定された設備である。
【0032】
以下の説明において、水は上流から下流に向かって流れる。ここで、上流側とは、排水設備6側または給水タンク20側のことをいう。下流側とは、下水本管8側のことをいう。
【0033】
図2に示すように、排水配管システム1は、第1流入管路11と、第2流入管路12と、流出管路13とを備えている。ここで、「管路」は、1つの管で構成されていてもよいし、複数の管と、管同士を繋ぐ継手、または、ますと、によって構成されていてもよい。また、「管路」は、直線状のものであってもよいし、一部が屈曲しているものであってもよい。
【0034】
第1流入管路11、第2流入管路12および流出管路13は、地中に埋設されている。第1流入管路11は、排水設備6から排出された排水を流出管路13へ流す管路である。本実施形態では、第1流入管路11の途中部分には、複数の排水設備6が接続されている。ここでは、排水設備6は、接続管24を介して第1流入管路11に接続されている。接続管24は、第1流入管路11の途中部分に設けれた、ます25に接続されている。なお、第1流入管路11に接続される排水設備6の数は、特に限定されるものではなく、本実施形態では5つである。第1流入管路11の下流端は、合流ます50を介して流出管路13に接続されている。
【0035】
第2流入管路12は、仮設トイレ4(図4参照)から排出された汚水を流出管路13へ流す管路である。第2流入管路12の上流端は、給水タンク20に接続され、第2流入管路12の下流端は、合流ます50を介して流出管路13に接続されている。
【0036】
給水タンク20には、仮設トイレ4から排出された汚水を流出管路13に流すための水が貯留される。給水タンク20に貯留された水は、第2流入管路12および流出管路13を洗浄するためにも使用される。給水タンク20に貯留された水は、雨水であってもよいし、異物が混在されていない比較的に綺麗な水であってもよい。
【0037】
第2流入管路12の途中部分には、開閉ゲート21が設けられていてもよい。開閉ゲート21は、第2流入管路12を開閉するものである。図示は省略するが、開閉ゲート21は、例えば第2流入管路12を開閉可能な開閉弁を有している。開閉ゲート21によって第2流入管路12が開放されることで、給水タンク20内の水が第2流入管路12に流れる。開閉ゲート21によって第2流入管路12が閉鎖されることで、給水タンク20内の水が第2流入管路12に流れなくなる。
【0038】
本実施形態では、図4に示すように、第2流入管路12は、複数の仮設トイレ4の便器4aが取り付け可能に構成されている。ここでは、第2流入管路12の途中部分には、上下に延びた立管26が接続されている。立管26は、開閉ゲート21よりも下流側に配置されている。立管26は、第2流入管路12から上方に向かって延びており、地上に向かって上方に開口している。災害時、立管26の上端には、仮設トイレ4の便器4aが接続され得る。なお、第2流入管路12に接続される立管26の数、言い換えると第2流入管路12に取り付け可能な仮設トイレ4の数は特に限定されない。ここでは、立管26の数は3つであり、第2流入管路12には、3つの仮設トイレ4を取り付けることが可能である。
【0039】
本実施形態では、第2流入管路12に取り付け可能な仮設トイレ4の数は、第1流入管路11に接続される排水設備6の数よりも少ない。しかしながら、第2流入管路12に取り付け可能な仮設トイレ4の数は、第1流入管路11に接続される排水設備6の数と同じであってもよいし、第1流入管路11に接続される排水設備6の数よりも多くてもよい。
【0040】
図2に示すように、流出管路13は、第1流入管路11および第2流入管路12を流れる排水が排出される管路である。流出管路13は、第1流入管路11および第2流入管路12よりも下流側に設けられている。流出管路13の上流端は、合流ます50に接続されており、合流ます50を介して第1流入管路11および第2流入管路12に接続されている。流出管路13は、下水本管8に接続されている。
【0041】
本実施形態では、流出管路13の途中部分には、貯留槽28が接続されている。貯留槽28は、例えば仮設トイレ4から排出された汚水を一時的に貯留する槽である。貯留槽28は、内部に密封された空間を有している。貯留槽28が密封式であることによって、貯留槽28内の汚水から発生する悪臭が外部に漏れ難くすることができる。貯留槽28は地中に埋設されている。
【0042】
貯留槽28は、いわゆる切替ます29を介して流出管路13に接続されている。切替ます29は、流出管路13の途中部分に設けられている。切替ます29は、排水の流路を切り替えることが可能なものである。この切替ます29の構成は特に限定されるものではなく、従来の構成が採用され得る。詳しい説明は省略するが、切替ます29は、切替ます29内に流入した排水を、下水本管8に流す第1の切替状態と、切替ます29内に流入した排水を、貯留槽28に流す第2の切替状態とに、排水の流路を切り替えることが可能に構成されている。
【0043】
本実施形態では、図2に示すように、流出管路13における切替ます29の下流側の部分には、排水の逆流を防止する逆流防止手段(例えば逆流防止弁を備えた、ます)30、および、公共ます31が設けられている。公共ます31は、逆流防止手段30よりも下流側に配置されている。
【0044】
次に、本実施形態に係る合流ます50について詳しく説明する。合流ます50は、排水の流入先が複数あり、複数の流路から流れる排水が合流するものである。本実施形態では、合流ます50は、第1流入管路11を流れる排水と、第2流入管路12を流れる排水とが合流する。合流ます50は、第1流入管路11と流出管路13との間に配置され、かつ、第2流入管路12と流出管路13との間に配置されている。合流ます50は、第1流入管路11の下流端、第2流入管路12の下流端、および、流出管路13の上流端に接続されている。
【0045】
図1に示すように、合流ます50は、ます本体51と、第1流入筒体52と、第2流入筒体53と、流出筒体54とを備えている。
【0046】
ます本体51は、内部に空間を有する部材によって形成されている。ます本体51は、有底筒状の形状を有している。なお、ます本体51の具体的な構成は特に限定されない。図5は、合流ます50の正面図である。図6は、図1のVI-VI断面における合流ます50の断面図である。本実施形態では、図5に示すように、ます本体51は、底壁部60と、流出側壁部61と、流入側壁部62と、点検側壁部63とを有している。
【0047】
底壁部60は、ます本体51の底の部分を構成している。底壁部60は、例えば略水平方向に広がったものである。図1に示すように、平面視において、底壁部60は円形状である。本実施形態では、図6に示すように、底壁部60は底面70を有している。底面70は、ます本体51の内部に配置されており、底壁部60の上面を構成している。底面70には、インバート71が形成されている。インバート71は、底面70から下方に凹んでおり、流出筒体54に排水を導くためのものである。インバート71は、底面70における流出筒体54側の部分に形成されている。
【0048】
流出側壁部61は、底壁部60から立ち上った筒状のものである。流出側壁部61は、底壁部60と連続しており、底壁部60の端から上方に向かって延びている。流出側壁部61は、上下に延びた円筒状の形状を有している。本実施形態では、流出側壁部61には、流出口83が形成されている。流出口83は、側方に向かって開口している。流出口83は、ます本体51内の排水が流出する部分である。ます本体51内の排水は、流出口83を通じて、合流ます50の外部へ流出する。
【0049】
流入側壁部62は、流出側壁部61よりも高い位置に配置されている。ここでは、流入側壁部62は、流出側壁部61と連続しており、流出側壁部61(例えば流出側壁部61の上端)から上方に向かって延びている。流入側壁部62は、上下に延びた円筒状の形状を有している。本実施形態では、流入側壁部62の内周面は、流出側壁部61の内周面と面一であり、流入側壁部62の外周面は、流出側壁部61の外周面と面一である。本実施形態では、流入側壁部62には、第1流入口81および第2流入口82が形成されている。第1流入口81および第2流入口82は、側方に向かって開口している。第1流入口81および第2流入口82は、ます本体51内に排水を流入させる部分である。合流ます50の外部の排水は、第1流入口81または第2流入口82を通じてます本体51内に流入する。
【0050】
本実施形態では、第1流入口81および第2流入口82は、流出口83よりも高い位置に配置されている。ここでは、第1流入口81および第2流入口82の両方の下端の位置は、流出口83の下端の位置よりも上方である。第1流入口81および第2流入口82の両方の下端の位置は、流出口83の中心軸A13の位置よりも上方である。また、第1流入口81および第2流入口82の両方の下端の位置は、流出口83の上端の位置よりも上方である。ここでは、第1流入口81の下端から流出口83の下端までの上下方向の距離D1は、第1流入口81の直径D11以上である。また、第2流入口82の下端から流出口83の下端までの上下方向の距離D2は、第2流入口82の直径D12以上である。
【0051】
なお、第1流入口81と第2流入口82とにおける上下方向の位置関係は特に限定されない。ここでは、第2流入口82は、第1流入口81よりも高い位置に配置されている。例えば第2流入口82の下端は、第1流入口81の下端よりも高い位置であり、かつ、第1流入口81の上端よりも高い位置である。
【0052】
また、第1流入口81、第2流入口82および流出口83の周方向の位置関係は、特に限定されない。ここでは、図1に示すように、第1流入口81と流出口83とは対向している。言い換えると、平面視において、第1流入口81の中心軸A11と、流出口83の中心軸A13とが一致する。第2流入口82は、平面視において流出口83よりも第1流入口81側のます本体51の部分に形成されている。
【0053】
本実施形態では、第2流入口82は、平面視において第1流入口81と対向する流入側壁部62の部分(ここでは、流出口83が形成された流出側壁部61の部分の直上に位置する流入側壁部62の部分)には形成されていない。第1流入口81と第2流入口82とは、平面視において対向していない。また、第2流入口82は、平面視において第1流入口81の中心軸A11と重ならないように流入側壁部62に形成されている。
【0054】
本実施形態では、平面視において、第2流入口82の中心軸A12と、第1流入口81の中心軸A11とが成す角度R1は、90度未満であり、鋭角である。平面視における角度R1は、例えば60度以下であり、好ましくは45度以下である。本実施形態では、角度R1は45度である。また、平面視において、第2流入口82の中心軸A12と、流出口83の中心軸A13とが成す角度R2は、90度よりも大きく、鈍角である。平面視における角度R2は、例えば120度以上であり、好ましくは135度以上である。本実施形態では、角度R2は135度である。
【0055】
図6に示すように、点検側壁部63は、流出側壁部61および流入側壁部62よりも高い位置に配置されている。ここでは、点検側壁部63は、流入側壁部62と連続しており、流入側壁部62(例えば流入側壁部62の上端)から上方に向かって延びている。点検側壁部63は、上下に延びた円筒状の形状を有している。本実施形態では、点検側壁部63の内周面は、流入側壁部62の内周面と面一であり、かつ、点検側壁部63の外周面は、流入側壁部62の外周面と面一である。本実施形態では、点検側壁部63のうちの上方に開口している部分を点検口84という。点検側壁部63は、点検口84を有している。点検口84は、点検側壁部63の上端部の開口部分を構成している。
【0056】
本実施形態では、点検口84の直径D14は、第1流入口81の直径D11よりも大きく、かつ、第2流入口82の直径D12よりも大きい。また、点検口84の直径D14は、流出口83の直径D13よりも大きい。また、第1流入口81の直径D11と、第2流入口82の直径D12とは同じであるが、異なっていてもよい。流出口83の直径D13は、第1流入口81の直径D11よりも大きく、かつ、第2流入口82の直径D12よりも大きい。ただし、流出口83の直径D13は、第1流入口81の直径D11、および、第2流入口82の直径D12と同じであってもよい。ここでは、点検口84の直径D14は、例えば200mm、または300mmである。第1流入口81の直径D11、および、第2流入口82の直径D12は、例えば100mm、150mm、または、200mmである。
【0057】
図6に示すように、第1流入筒体52は、第1流入口81に接続される筒状のものである。ここでは、第1流入筒体52は、ます本体51(言い換えると、流入側壁部62)の外方から第1流入口81に接続されている。図1に示すように、第1流入筒体52は、第1流入口81の中心軸A11の軸方向に延びた円筒状の形状を有している。ここでは、第1流入筒体52の中心軸A21と、第1流入口81の中心軸A11とは一致する。
【0058】
本実施形態では、第1流入筒体52は、ます本体51と別体である。第1流入筒体52は、ます本体51に取り付け固定されている。図5に示すように、例えば第1流入筒体52における、ます本体51側の端部には、第1流入筒体52の径方向の外方に延びた第1フランジ86が設けられている。第1フランジ86は、ます本体51における流入側壁部62の外周面に沿うように湾曲している。ここでは、例えば第1フランジ86がます本体51(詳しくは流入側壁部62)の外周面に接着固定されることで、図6に示すように、第1流入口81に第1流入筒体52が接続される。このとき、第1流入口81と第1流入筒体52とは連通した状態になる。なお、第1流入筒体52は、ます本体51と一体的に形成されてもよい。
【0059】
第2流入筒体53は、第2流入口82に接続される筒状のものである。ここでは、第2流入筒体53は、ます本体51(言い換えると、流入側壁部62)の外方から第2流入口82に接続される。図1に示すように、第2流入筒体53は、第2流入口82の中心軸A12の軸方向に延びた円筒状の形状を有している。本実施形態では、第2流入筒体53の中心軸A22と、第2流入口82の中心軸A12とは一致する。
【0060】
本実施形態では、第2流入筒体53は、第1流入筒体52と同様に、ます本体51と別体である。第2流入筒体53は、ます本体51に取り付け固定されている。ここでは、図5に示すように、第2流入筒体53における、ます本体51側の端部には、第2流入筒体53の径方向の外方に延びた第2フランジ87が設けられている。第2フランジ87は、ます本体51における流入側壁部62の外周面に沿うように湾曲している。ここでは、第2フランジ87がます本体51(詳しくは流入側壁部62)の外周面に接着固定されることで、図6に示すように、第2流入口82に第2流入筒体53が接続される。このとき、第2流入口82は、第2流入筒体53と連通した状態になる。なお、第2流入筒体53は、ます本体51と一体的に形成されてもよい。
【0061】
本実施形態では、図1に示すように、平面視において、第1流入筒体52と第2流入筒体53とは、一部が重なるように配置されている。そして、図5に示すように、第2流入筒体53は、第1流入筒体52よりも高い位置に配置されており、第1流入筒体52と上下の位置が重ならないように構成されている。
【0062】
流出筒体54は、流出口83に接続される筒状のものである。詳しくは、流出筒体54は、ます本体51(言い換えると、流出側壁部61)の外方から流出口83に接続されている。図1に示すように、流出筒体54は、流出口83の中心軸A13の軸方向に延びた円筒状の形状を有している。ここでは、流出筒体54の中心軸A23と、流出口83の中心軸A13とは一致する。流出筒体54は、流出口83と連通している。
【0063】
ここでは、平面視において、流出筒体54は、ます本体51を挟んで第1流入筒体52と対向している。また、平面視において、流出筒体54の中心軸A23と、第1流入筒体52の中心軸A21とは一致する。本実施形態では、平面視において、第2流入筒体53の中心軸A22と第1流入筒体52の中心軸A21とが成す角度は、角度R1であり90度未満であり、好ましくは60度以下であり、より好ましくは45度以下であり、例えば45度である。また、平面視において、第2流入筒体53の中心軸A22と流出筒体54の中心軸A23とが成す角度は、角度R2であり90度より大きく、好ましくは120度以上であり、より好ましくは135度以上であり、例えば135度である。本実施形態では、図5に示すように、第1流入筒体52および第2流入筒体53は、流出筒体54よりも高い位置に配置されている。
【0064】
本実施形態では、流出筒体54は、ます本体51と一体的に形成されている。しかしながら、流出筒体54は、第1流入筒体52および第2流入筒体53と同様に、ます本体51と別体であってもよい。この場合、例えば流出筒体54は、流出口83と連通するように、ます本体51に接着固定されてもよい。
【0065】
なお、合流ます50の材質、すなわち、ます本体51、第1流入筒体52、第2流入筒体53、および、流出筒体54の材質は特に限定されない。本実施形態では、合流ます50(ここでは、ます本体51、第1流入筒体52、第2流入筒体53、および、流出筒体54)は、塩化ビニル樹脂などの樹脂(例えばプラスチック材料)によって形成されていることが好ましい。
【0066】
本実施形態では、図1に示すように、合流ます50において、第1流入筒体52は、第1流入管路11の下流端に接続されており、第1流入口81には、排水設備6(図2参照)から排出されて第1流入管路11を流れた排水が流入する。第1流入筒体52および第1流入口81には、第1流入管路11を介して複数の排水設備6が接続されている。第2流入筒体53は、第2流入管路12の下流端に接続されており、第2流入口82には、仮設トイレ4(図4参照)から排出されて第2流入管路12を流れた汚水が流入する。第2流入筒体53および第2流入口82には、第2流入管路12を介して複数の仮設トイレ4を接続することが可能である。第1流入口81および第2流入口82を通過した排水は、ます本体51内に流入する。流出筒体54は、流出管路13の上流端に接続されており、流出口83には、ます本体51内の排水が流れて、流出管路13に流出する。このように、本実施形態では、第1流入筒体52および第2流入筒体53の少なくとも一方(ここでは第2流入筒体53)は、仮設トイレ4用である。
【0067】
本実施形態では、第1流入筒体52に接続される排水設備6の数は、第2流入筒体53に接続されることが可能な仮設トイレ4の数よりも多いが、当該仮設トイレ4の数よりも少なくてもよい。また、第1流入筒体52に接続される排水設備6の数は、第2流入筒体53に接続されることが可能な仮設トイレ4の数と同じであってもよい。
【0068】
以上、本実施形態に係る合流ます50の構成について説明した。次に、排水配管システム1の使用方法について説明する。図2に示すように、排水配管システム1において、通常時、排水設備6から排出された汚水などの排水は、第1流入管路11から合流ます50を通って流出管路13に向かって流され、下水本管8に排出される。ここでは、排水設備6から排出された排水は、合流ます50において、図6に示すように、第1流入筒体52および第1流入口81を流れて、ます本体51内に流入する。ます本体51内において、排水は、底面70のインバート71を流れ、流出口83および流出筒体54を通って、流出管路13に排出される。
【0069】
なお、本実施形態では、合流ます50において、図1に示すように、平面視において第1流入口81の中心軸A11と、流出口83の中心軸A13とが一致するように、第1流入口81と流出口83とが対向している。そのため、第1流入口81から排水が流入する方向の先に流出口83があるため、第1流入口81から流出口83に向かって排水が流れ易く、第2流入口82に逆流し難くすることができる。また、本実施形態では、図6に示すように、第2流入口82は、流出口83よりも高い位置に配置されており、底壁部60の底面70から離間した位置に配置されている。そのため、ます本体51内に流入した排水は、底面70に向かって落下して、第2流入口82に到達し難くなるため、更に第2流入口82に排水が逆流し難くすることができる。また、本実施形態では、第2流入口82は、第1流入口81よりも高い位置に配置されている。そのため、第1流入口81から流入した排水は、底面70に向かって落下するため、第1流入口81よりも高い位置に配置された第2流入口82に排水が逆流し難くすることができる。
【0070】
ここでは、図1に示すように、平面視において、第1流入口81の中心軸A11と、第2流入口82の中心軸A12とが成す角度R1が90度未満である。そのため、第1流入口81から汚水が流入する方向とは略反対の方向に第2流入口82があるため、第1流入口81から流入した排水が、第2流入口82に逆流し難くすることができる。
【0071】
災害時において、図4に示すように、排水配管システム1は、仮設トイレ4が設置されたシステムとして使用され、給水タンク20から排出される水を使用して、仮設トイレ4から排出された汚水を下水本管8(図1参照)に排出する。例えば下水本管8が破損しているときなどには、図1に示す切替ます29における切替状態を第1の切替状態から第2の切替状態に切り替えて、排水の流路を切り替える。このことによって、仮設トイレ4から排出された汚水を貯留槽28(図1参照)に排出することができる。災害時において、給水タンク20内の水は、第2流入管路12から合流ます50を通って流出管路13に向かって流され、第2流入管路12に接続された仮設トイレ4から排出された汚水と共に、下水本管8または貯留槽28に排出される。
【0072】
合流ます50では、図6に示すように、第1流入口81は、流出口83よりも高い位置に配置されており、底壁部60の底面70から離間した位置に配置されている。そのため、災害時において、第2流入口82からます本体51内に流入した排水は、底面70に向かって落下して、第1流入口81に到達し難くなる。よって、第2流入口82から流入した排水が、第1流入口81に逆流し難くすることができる。
【0073】
ここでは、図1に示すように、平面視における第1流入口81の中心軸A11と第2流入口82の中心軸A12とが成す角度R1が90度未満である。そのため、第2流入口82から排水が流入する方向とは略反対の方向に第1流入口81があるため、第2流入口82から流入した排水が、第1流入口81に逆流し難くすることができる。
【0074】
以上、本実施形態では、図2に示すように、排水配管システム1は、合流ます50と、第1流入管路11と、第2流入管路12と、流出管路13とを備えている。図5に示すように、合流ます50は、底壁部60と、流出側壁部61と、流入側壁部62と、流出筒体54と、第1流入筒体52と、第2流入筒体53とを備えている。図6に示すように、底壁部60は、底面70を有している。流出側壁部61は、底壁部60から立ち上がった筒状のものである。流出側壁部61には、側方に開口した流出口83が形成されている。流入側壁部62は、流出側壁部61よりも高い位置に配置された筒状のものである。流入側壁部62には、側方に開口した第1流入口81および第2流入口82が形成されている。流出筒体54は、流出側壁部61の外方から流出口83に接続される筒状のものである。第1流入筒体52は、流入側壁部62の外方から第1流入口81に接続される筒状のものである。第2流入筒体53は、流入側壁部62の外方から第2流入口82に接続される筒状のものである。第1流入筒体52および第2流入筒体53の少なくとも一方(本実施形態では、第2流入筒体53)は、仮設トイレ4(図4参照)用である。ここでは、第1流入管路11は、第1流入筒体52に接続され、第2流入管路12は、第2流入筒体53に接続されている。流出管路13は、流出筒体54に接続されている。第1流入管路11と第2流入管路12の少なくとも一方(ここでは第2流入管路12)には、仮設トイレ4が接続可能である。
【0075】
ここでは、流入側壁部62が流出側壁部61よりも高い位置に配置されているため、流入側壁部62に形成された第1流入口81および第2流入口82は、流出側壁部61に形成された流出口83よりも高い位置に配置される。例えば流出筒体54を通じて流出口83から排水が逆流した場合、逆流した排水は底壁部60の底面70に到達する。このとき、底壁部60の底面70から第1流入口81および第2流入口82までには、流出側壁部61の高さ以上の距離があるため、流出口83から逆流した排水が、上流側(ここでは、第1流入口81および第2流入口82)に逆流し難くすることができる。よって、流出管路13から合流ます50内に逆流した排水が、第1流入口81を通じて第1流入管路11に逆流し難くすることができると共に、第2流入口82を通じて第2流入管路12に逆流し難くすることができる。
【0076】
本実施形態では、合流ます50を設置する際、第1流入口81および第2流入口82は形成されていない。そのため、合流ます50を設置する場合、第1流入管路11、第2流入管路12および流出管路13の位置関係に応じて、流入側壁部62における第1流入口81および第2流入口82の位置が決定する。合流ます50を設置する作業者は、第1流入管路11、第2流入管路12および流出管路13の位置関係に応じて、流入側壁部62に第1流入口81および第2流入口82を形成する。その後、作業者は、第1流入口81に第1流入筒体52が連通するように、第1流入筒体52をます本体51に接着固定すると共に、第2流入口82に第2流入筒体53が連通するように、第2流入筒体53をます本体51に接着固定する。このように、本実施形態では、合流ます50を設置するときの第1流入管路11、第2流入管路12および流出管路13の位置に応じて、第1流入口81および第2流入口82を形成する位置を決定することができる。この場合であっても、第1流入口81および第2流入口82は、流入側壁部62に形成されるため、流出口83よりも高い位置に配置されることになる。よって、流出口83から逆流した排水が、第1流入口81および第2流入口82に逆流し難くすることができる。
【0077】
本実施形態では、図1に示すように、平面視において、第1流入筒体52の中心軸A21と流出筒体54の中心軸A23とが一致するように、第1流入筒体52および流出筒体54が配置されている。このことによって、第1流入筒体52から第1流入口81を通じて排水が流入する方向の先に、流出口83および流出筒体54があるため、第1流入筒体52から流出筒体54に向かって排水が流れ易い。また、ある程度の流速を保ったまま、第1流入筒体52から流出筒体54に向かって排水が流れるため、第2流入口82および第2流入筒体53に排水が逆流し難くすることができる。
【0078】
本実施形態では、平面視において、第1流入筒体52の中心軸A21と第2流入筒体53の中心軸A22とが成す角度R1は90度未満である。このことによって、第1流入筒体52および第1流入口81から排水が流入する方向とは略反対の方向に第2流入口82および第2流入筒体53があることになる。そのため、第1流入口81から流入した排水が、第2流入口82および第2流入筒体53に逆流し難くすることができる。また、第2流入筒体53および第2流入口82から排水が流入する方向とは略反対の方向に第1流入口81および第1流入筒体52があることになる。そのため、第2流入口82から流入した排水が、第1流入口81および第1流入筒体52に逆流し難くすることができる。
【0079】
本実施形態では、平面視において、第1流入口81と対向する流入側壁部62の部分には、第2流入口82が形成されていない。このことによって、第1流入口81から合流ます50のます本体51内に流入した排水が、第2流入口82に逆流し難くすることができる。
【0080】
本実施形態では、図1に示すように、平面視において、第1流入筒体52と第2流入筒体53とは、一部が重なるように配置されている。第2流入筒体53は、第1流入筒体52よりも高い位置に配置されている。このことによって、第1流入筒体52および第1流入口81から流入した排水が、第2流入口82および第2流入筒体53に流入し難くすることができる。また、平面視において第1流入筒体52と第2流入筒体53とが一部重なっている場合であっても、第2流入筒体53を第1流入筒体52よりも高い位置に配置することで、第1流入筒体52と第2流入筒体53とが干渉することなく配置することができる。
【0081】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る合流ます50Aを備えた排水配管システム1Aについて説明する。図7は、排水配管システム1Aを模式的に示した平面図である。図8は、排水配管システム1Aの第1流入管路11Aを模式的に示した正面図である。
【0082】
本実施形態では、図7に示すように、排水配管システム1Aは、第1流入管路11Aと、第2流入管路12と、流出管路13と、合流ます50Aとを備えている。なお、本実施形態では、第2流入管路12、流出管路13の構成は、それぞれ第1実施形態における第2流入管路12、流出管路13と基本的な同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0083】
図8に示すように、第1流入管路11Aには、第1実施形態における第1流入管路11と異なり、排水設備6が接続されず、仮設トイレ4が取り付け可能である。ここでは、図7に示すように、第1流入管路11Aの上流端には、給水タンク20Aが接続されている。給水タンク20Aは、水を貯留するものであり、例えば第2流入管路12に接続された給水タンク20と同じ構成を有している。第1流入管路11Aの途中部分には、開閉ゲート21Aが設けられている。開閉ゲート21Aは、第1流入管路11Aを開閉するものである。なお、開閉ゲート21Aの構成は、例えば第2流入管路12に設けられた開閉ゲート21と同じ構成である。
【0084】
本実施形態では、第1流入管路11Aに仮設トイレ4を取り付けるために、第1流入管路11Aの途中部分には、上下に延びた立管26Aが接続されている。立管26Aは、開閉ゲート21Aよりも下流側に配置されている。図8に示すように、立管26Aは、第1流入管路11Aから上方に向かって延びており、地上に向かって上方に開口している。災害時、立管26Aの上端には、仮設トイレ4の便器4aが接続され得る。なお、第1流入管路11Aに接続される立管26Aの数、言い換えると第1流入管路11Aに取り付け可能な仮設トイレ4の数は特に限定されない。ここでは、立管26Aの数は3つであり、第1流入管路11Aには、3つの仮設トイレ4を取り付けることが可能である。
【0085】
本実施形態では、第1流入管路11Aに取り付け可能な仮設トイレ4の数は、第2流入管路12に取り付け可能な仮設トイレ4の数と同じである。しかしながら、第1流入管路11Aに取り付け可能な仮設トイレ4の数は、第2流入管路12に取り付け可能な仮設トイレ4の数よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0086】
次に、本実施形態に係る合流ます50Aの構成について説明する。図9は、本実施形態に係る合流ます50Aを示す平面図である。図10は、合流ます50Aを示す正面図である。図11は、図9のXI-XI断面における合流ます50Aの断面図である。合流ます50Aは、第2流入口82Aの位置、および、第2流入筒体53Aの位置以外は、第1実施形態における、合流ます50と同じ構成である。そのため、合流ます50Aにおける第2流入口82Aおよび第2流入筒体53A以外の構成の説明は省略する。
【0087】
本実施形態では、図11に示すように、合流ます50Aは、流入側壁部62を有するます本体51と、第2流入筒体53Aとを備えている。ます本体51の流入側壁部62には、第2流入口82Aが形成されている。第2流入口82Aは、ます本体51内に排水が流入する部分であり、側方に向かって開口している。第2流入口82Aは、流出口83よりも高い位置に配置されている。ここでは、第2流入口82Aの下端の位置は、流出口83の上端の位置よりも上方である。本実施形態では、第2流入口82Aは、第1流入口81と同じ高さである。第2流入口82Aの下端の位置は、第1流入口81の下端の位置と高さが同じである。また、第2流入口82Aの上端の位置は、第1流入口81の上端の位置と高さが同じである。
【0088】
ここでは、第1実施形態と同様に、図9に示すように、平面視において第1流入口81の中心軸A11と、流出口83の中心軸A13とが一致している。本実施形態では、平面視において、第2流入口82Aの中心軸A12Aと、第1流入口81の中心軸A11とが成す角度R1Aは、90度である。また、平面視において、第2流入口82Aの中心軸A12Aと、流出口83の中心軸A13とが成す角度R2Aは、90度である。
【0089】
第2流入口82Aには、第2流入筒体53Aが接続される。第2流入筒体53Aは、第2流入口82Aの中心軸A12Aの軸方向に延びており、第2流入筒体53Aの中心軸A22Aと、第2流入口82Aの中心軸A12Aとは一致する。そのため、本実施形態では、平面視において、第2流入筒体53Aの中心軸A22Aと第1流入筒体52の中心軸A21とが成す角度は、角度R1Aであり90度である。また、平面視において、第2流入筒体53Aの中心軸A22Aと流出筒体54の中心軸A23とが成す角度は、角度R2Aであり90度である。本実施形態では、平面視において、第1流入筒体52と第2流入筒体53Aとは、互いに重ならないように配置されている。詳しくは、平面視において、第1流入筒体52の第1フランジ86と、第2流入筒体53Aの第2フランジ87とが重ならないように(言い換えると、第1フランジ86と第2フランジ87とが干渉しないように)、第1流入筒体52および第2流入筒体53Aが配置されている。このように、平面視において第1フランジ86と第2フランジ87とが重ならないため、第1流入筒体52と第2流入筒体53Aとを同じ高さに配置することができる。また、第1フランジ86と第2フランジ87とが干渉しないため、第1流入筒体52をます本体51に容易に取り付けて固定することができ、かつ、第2流入筒体53Aをます本体51に容易に取り付けて固定することができる。
【0090】
本実施形態では、図9に示すように、第1流入筒体52は、第1流入管路11Aの下流端に接続されており、第1流入口81には、第1流入管路11Aに接続された仮設トイレ4(図8参照)から排出された汚水が流入する。第2流入筒体53Aは、第2流入管路12の下流端に接続されており、第2流入口82Aには、第2流入管路12に接続された仮設トイレ4から排出された汚水が流入する。
【0091】
なお、本実施形態に係る排水配管システム1Aは、建物5の排水設備6に接続されておらず、災害時に、仮設トイレ4から排出された汚水を流すためのシステムである。ここでは、災害時において、第1流入管路11Aおよび第2流入管路12には、仮設トイレ4が接続される。
【0092】
第1流入管路11Aに接続された仮設トイレ4から排出された汚水は、第1流入口81からます本体51内に流入する。また、第2流入管路12に接続された仮設トイレ4から排出された汚水は、第2流入口82Aからます本体51内に流入する。そして、合流ます50Aにおいて、第1流入管路11Aを流れる汚水と、第2流入管路12Aを流れる汚水とが合流し、汚水は、流出口83および流出筒体54を流れ、流出管路13に流出する。
【0093】
以上、本実施形態では、図9に示すように、平面視において、第1流入筒体52の中心軸A21と第2流入筒体53Aの中心軸A22Aとの成す角度R1Aを90度にすることによって、第1流入口81から流入した排水が第2流入口82Aおよび第2流入筒体53Aに逆流し難くしつつ、流出口83から逆流した排水が第2流入口82Aおよび第2流入筒体53Aに逆流し難くすることができる。
【0094】
また、本実施形態では、上記の角度R1Aが90度であることによって、点検口84の直径D14と、第1流入口81の直径D11と、第2流入口82Aの直径との大きさのあらゆる組み合わせに対して対応させつつ、第2流入口82Aおよび第2流入筒体53Aに排水が逆流し難くすることができる。
【0095】
本実施形態では、図9に示すように、平面視において、第1流入筒体52と第2流入筒体53Aとは、互いに重ならない位置に配置されている。このことによって、第1流入口81と第2流入口82Aとの位置関係が上下方向(言い換えると、真上または真下)の位置関係にならないようにすることができる。よって、例えば第1流入筒体52および第1流入口81から流入した排水が落下して、第2流入口82Aに逆流し難く、かつ、第2流入筒体53Aおよび第2流入口82Aから流入した排水が落下して、第1流入口81に逆流し難くすることができる。
【0096】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る合流ます50Bについて説明する。図12は、第3実施形態に係る合流ます50Bを示す平面図である。図12に示すように、合流ます50Bは、ます本体51と、第1流入筒体52Bと、第2流入筒体53Bと、流出筒体54とを備えている。
【0097】
ます本体51には、第1流入口81B、第2流入口82Bおよび流出口83が形成されている。第1、2実施形態と同様に、第1流入口81Bおよび第2流入口82Bは、ます本体51の流入側壁部62に形成され、流出口83は、ます本体51の流出側壁部61に形成されている。そのため、第1流入口81Bおよび第2流入口82Bは、流出口83よりも高い位置に配置されている。ここでは、第1流入筒体52Bは、第1流入口81Bに接続され、第2流入筒体53Bは、第2流入口82Bに接続されている。流出筒体54は、流出口83に接続されている。
【0098】
本実施形態では、第1流入口81Bおよび第2流入口82Bは、平面視において、流出口83と対向する流入側壁部62の部分には、形成されていない。ここでは、平面視において、流出口83と第1流入口81Bとは対向しておらず、かつ、流出口83と第2流入口82Bとは対向していない。言い換えると、平面視において、流出筒体54と第1流入筒体52Bとは対向しておらず、かつ、流出筒体54と第2流入筒体53Bとは対向していない。ここでは、第1流入口81Bは、平面視において流出口83の中心軸A13と重ならないように流入側壁部62に形成されている。同様に、第2流入口82Bは、平面視において流出口83の中心軸A13と重ならないように流入側壁部62に形成されている。また、第1流入筒体52Bおよび第2流入筒体53Bは、平面視において中心軸A13と重ならないように配置されている。
【0099】
このように、平面視において、流出口83と対向する流入側壁部62の部分に、第1流入口81および第2流入口82が形成されていなことによって、例え流出口83から合流ます50Bのます本体51内に排水が逆流した場合であっても、その逆流した排水は、第1流入口81Bおよび第2流入口82Bに向かって流れ難くすることができる。よって、流出口83からます本体51内に逆流した排水が、第1流入口81Bに逆流し難くすることができ、かつ、第2流入口82Bに逆流し難くすることができる。
【0100】
なお、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態において、流出管路13は、仮設トイレ4が取り付け可能に構成されていてもよい。この場合、流出管路13の途中部分であって、切替ます29よりも上流側には、立管26、26Aと同じように、上下に延びた立管が設けられている。流出管路13に設けられた立管の上端に、仮設トイレ4の便器4aが取り付けられる。
【0101】
第1実施形態と第2実施形態と第3実施形態は、適宜組み合わせることが可能である。例えば第1実施形態における合流ます50において、第2実施形態における合流ます50Aのように、第1流入筒体52と第2流入筒体53との高さが同じであってもよく、言い換えると、第1流入口81と第2流入口82との高さが同じであってもよい。また、例えば第2実施形態における合流ます50Aにおいて、第1実施形態における合流ます50のように、第2流入筒体53Aが第1流入筒体52よりも高い位置に配置されていてもよく、言い換えると、第2流入口82Aが第1流入口81よりも高い位置に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1、1A 排水配管システム
4 仮設トイレ
11、11A 第1流入管路
12 第2流入管路
13 流出管路
50、50A 合流ます
51 ます本体
52 第1流入筒体
53、53A 第2流入筒体
54 流出筒体
60 底壁部
61 流出側壁部
62 流入側壁部
70 底面
81 第1流入口
82、82A 第2流入口
83 流出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12