(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114230
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】プリンタ指示装置およびプリンタ指示方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240816BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20240816BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20240816BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/165
B41J2/17 101
B41J2/01 203
B41J2/165 501
B41J2/17
B41J29/38 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019870
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】小倉 慶成
(72)【発明者】
【氏名】大橋 紘誠
(72)【発明者】
【氏名】大越 禎人
(72)【発明者】
【氏名】八木 猛
(72)【発明者】
【氏名】舘林 優太
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EA14
2C056EA20
2C056EB27
2C056EB38
2C056EB40
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC12
2C056EC15
2C056EC23
2C056EC24
2C056EC32
2C056EC34
2C056EC37
2C056EC46
2C056EC54
2C056EC57
2C056EC77
2C056FA10
2C056FA11
2C056FA15
2C056HA46
2C056KB16
2C056KB21
2C056KC02
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061HK19
2C061HN08
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】プリンタが印刷する際の印刷品質が低下することを抑制する。
【解決手段】プリンタ指示装置100は、プリンタ10に対して印刷に関する指示を行う装置である。プリンタ指示装置100は、動作取得部111と、タイミング取得部115と、指示部117とを備えている。動作取得部111は、所定の指示に基づいて設定され、プリンタ10が印刷開始前に実行し、かつ、印刷品質に影響を与える印刷調整動作M1の内容を取得する。タイミング取得部115は、動作取得部111によって取得された印刷調整動作M1をプリンタ10が実行するタイミングを取得する。指示部117は、印刷開始前に、動作取得部111によって取得された印刷調整動作M1を、タイミング取得部115によって取得されたタイミングで実行するようにプリンタ10に指示する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタに対して印刷に関する指示を行うプリンタ指示装置であって、
所定の指示に基づいて設定され、前記プリンタが印刷開始前に実行し、かつ、印刷品質に影響を与える印刷調整動作の内容を取得する動作取得部と、
前記動作取得部によって取得された前記印刷調整動作を前記プリンタが実行するタイミングを取得するタイミング取得部と、
印刷開始前に、前記動作取得部によって取得された前記印刷調整動作を、前記タイミング取得部によって取得されたタイミングで実行するように前記プリンタに指示する指示部と、
を備えた、プリンタ指示装置。
【請求項2】
前記動作取得部は、複数の前記印刷調整動作の内容を取得することが可能であり、
複数の前記印刷調整動作を前記プリンタが実行する実行順序を取得する順序取得部を備え、
前記指示部は、複数の前記印刷調整動作を前記実行順序で実行するように前記プリンタに指示する、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項3】
前記順序取得部は、ユーザによって設定された前記実行順序を取得する、請求項2に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項4】
前記プリンタと別体に構成された、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項5】
前記プリンタは、インクを吐出するノズルが形成されたインクヘッドを備え、
前記印刷調整動作は、前記インクヘッドに対してクリーニングを行うヘッドクリーニング動作を含む、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項6】
前記プリンタは、
インクを吐出するノズルが形成されたインクヘッドと、
インクが収容され、前記インクヘッドにインクを供給するインクタンクと、
前記ノズルと前記インクタンクとを接続し、インクが通るインク流路と、
を備え、
前記印刷調整動作は、前記インク流路内のインクを入れ替える流路クリーニング動作を含む、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項7】
前記プリンタは、
媒体を支持する支持台と、
前記支持台に支持された媒体を副走査方向に搬送する媒体搬送機構と、
を備え、
前記印刷調整動作は、前記支持台に支持された媒体が前記副走査方向に搬送される搬送量を調整する搬送量調整動作を含む、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項8】
前記プリンタは、
インクを吐出するノズルが形成されたインクヘッドと、
前記インクヘッドを主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、
を備え、
前記主走査方向のうち一方から他方に向かう方向を行き方向とし、他方から一方に向かう方向を帰り方向としたとき、
前記印刷調整動作は、前記インクヘッドが前記行き方向と前記帰り方向に移動しているときに前記ノズルから吐出されるインクの着弾位置を調整する双方向印刷調整動作を含む、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項9】
前記プリンタは、インクを吐出するノズルが形成されたインクヘッドを備え、
前記印刷調整動作は、前記ノズルの吐出不良を検知するノズル不良検知動作を含む、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項10】
前記プリンタは、
インクを吐出するノズルが形成されたインクヘッドと、
インクが収容され、前記インクヘッドにインクを供給するインクタンクと、
前記ノズルと前記インクタンクとを接続し、インクが通るインク流路と、
を備え、
前記印刷調整動作は、前記インクタンク内または前記インク流路内のインクを攪拌するインク攪拌動作を含む、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項11】
前記プリンタが過去に実行した前記印刷調整動作ある過去印刷調整動作を記憶した記憶部と、
前記過去印刷調整動作に基づいて、ユーザに提示する前記印刷調整動作である提示印刷調整動作を推定する推定部と、
を備えた、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項12】
過去に前記プリンタに指示した前記印刷調整動作である過去印刷調整動作を記憶した指示記憶部と、
前記過去印刷調整動作に基づいて、ユーザに提示する前記印刷調整動作である提示印刷調整動作を推定する推定部と、
を備えた、請求項1に記載されたプリンタ指示装置。
【請求項13】
プリンタに対して印刷に関する指示を行うプリンタ指示装置であって、
所定の指示に基づいて設定され、前記プリンタが印刷開始前に実行し、かつ、印刷品質に影響を与える複数の印刷調整動作の内容を取得する動作取得部と、
前記動作取得部によって取得された複数の前記印刷調整動作を前記プリンタが実行する実行順序を取得する順序取得部と、
前記動作取得部によって取得された複数の前記印刷調整動作の実行を前記プリンタに完了させるタイミングを取得するタイミング取得部と、
印刷開始前に、前記動作取得部によって取得された複数の前記印刷調整動作の実行を、前記タイミング取得部によって取得されたタイミングまでに前記実行順序で完了させるように前記プリンタに指示する指示部と、
を備えた、プリンタ指示装置。
【請求項14】
プリンタに対して印刷に関する指示を行うプリンタ指示方法であって、
所定の指示に基づいて設定され、前記プリンタが印刷開始前に実行し、かつ、印刷品質に影響を与える印刷調整動作の内容を取得する動作取得工程と、
前記動作取得工程において取得した前記印刷調整動作を実行するタイミングを取得するタイミング取得工程と、
印刷開始前に、前記動作取得工程において取得した前記印刷調整動作を、前記タイミング取得工程において取得したタイミングで実行するように前記プリンタに指示する指示工程と、
を包含する、プリンタ指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ指示装置およびプリンタ指示方法に関する。詳しくは、プリンタに対して印刷に関する指示を行うプリンタ指示装置、および、プリンタに対して印刷に関する指示を行うプリンタ指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、画像を紙媒体に出力するプリンタを備えた画像形成システムが開示されている。画像形成システムは、紙媒体に出力することが可能な使用可能タイミングを記憶する記憶手段と、初期化処理に要する初期化時間に基づいて、使用可能タイミング前に初期化処理が終了するように、初期化処理開始タイミングを算出するタイミング算出手段とを備えている。
【0003】
画像形成システムでは、時間を計時して初期化処理開始タイミングに到達すると、初期化処理を開始する。このことによって、初期化処理が終了したときには、プリンタを使用可能状態にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された画像形成システムにおいて、初期化処理には、補正処理やクリーニング処理などの印刷品質に影響を与え得る印刷調整動作が含まれる。印刷調整動作は、例えばプリンタの状態や使用環境に応じて、印刷開始前に行われるか否かが設定される動作であるとよい。しかしながら、上記画像形成システムでは、プリンタの状態や使用環境に応じて、印刷調整動作を行うか否かを任意で設定することができなかった。その結果、印刷品質が低下するおそれがあった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリンタが印刷する際の印刷品質が低下することを抑制することが可能なプリンタ指示装置およびプリンタ指示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタ指示装置は、プリンタに対して印刷に関する指示を行うプリンタ指示装置である。前記プリンタ指示装置は、動作取得部と、タイミング取得部と、指示部とを備えている。前記動作取得部は、所定の指示に基づいて設定され、前記プリンタが印刷開始前に実行し、かつ、印刷品質に影響を与える印刷調整動作の内容を取得する。前記タイミング取得部は、前記動作取得部によって取得された前記印刷調整動作を前記プリンタが実行するタイミングを取得する。前記指示部は、印刷開始前に、前記動作取得部によって取得された前記印刷調整動作を、前記タイミング取得部によって取得されたタイミングで実行するように前記プリンタに指示する。
【0008】
上記プリンタ指示装置によれば、印刷開始前に、印刷品質に影響を与える印刷調整動作を、タイミング取得部によって取得されたタイミングで実行するようにプリンタに指示することができる。ここでの印刷調整動作は、所定の指示に基づいて設定された動作であり、例えばプリンタの状態や使用環境に応じて変更可能な動作であり得る。よって、プリンタに適した印刷調整動作を設定することができる。したがって、プリンタは、プリンタに適した印刷調整動作を実行した後に、印刷を開始することができる。その結果、プリンタによる印刷品質の低下を抑制することができる。
【0009】
本発明に係る他のプリンタ指示装置は、プリンタに対して印刷に関する指示を行うプリンタ指示装置である。前記プリンタ指示装置は、動作取得部と、順序取得部と、タイミング取得部と、指示部とを備えている。前記動作取得部は、所定の指示に基づいて設定され、前記プリンタが印刷開始前に実行し、かつ、印刷品質に影響を与える複数の印刷調整動作の内容を取得する。前記順序取得部は、前記動作取得部によって取得された複数の前記印刷調整動作を前記プリンタが実行する実行順序を取得する。前記タイミング取得部は、前記動作取得部によって取得された複数の前記印刷調整動作の実行を前記プリンタに完了させるタイミングを取得する。前記指示部は、印刷開始前に、前記動作取得部によって取得された複数の前記印刷調整動作の実行を、前記タイミング取得部によって取得されたタイミングまでに前記実行順序で完了させるように前記プリンタに指示する。
【0010】
上記他のプリンタ指示装置によれば、印刷開始前に、印刷品質に影響を与える複数の印刷調整動作が、タイミング取得部によって取得されたタイミングまでに完了するようにプリンタに指示することができる。そのため、プリンタは、プリンタに適した複数の印刷調整動作の実行が完了した後に、印刷を開始することができる。その結果、プリンタによる印刷品質の低下を抑制することができる。
【0011】
本発明に係るプリンタ指示方法は、プリンタに対して印刷に関する指示を行うプリンタ指示方法である。前記プリンタ指示方法は、動作取得工程と、タイミング取得工程と、指示工程とを包含する。前記動作取得工程では、所定の指示に基づいて設定され、前記プリンタが印刷開始前に実行し、かつ、印刷品質に影響を与える印刷調整動作の内容を取得する。前記タイミング取得工程では、前記動作取得工程において取得した前記印刷調整動作を実行するタイミングを取得する。前記指示工程では、印刷開始前に、前記動作取得工程において取得した前記印刷調整動作を、前記タイミング取得工程において取得したタイミングで実行するように前記プリンタに指示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プリンタが印刷する際の印刷品質が低下することを抑制することが可能なプリンタ指示装置およびプリンタ指示方法を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る印刷システムの概念図である。
【
図3】
図2のIII-III断面におけるプリンタの断面図である。
【
図4】キャリッジの底面の構成を模式的に示す図である。
【
図6】キャップユニットの正面図であり、キャップがインクヘッドに装着されていない状態を示す図である。
【
図7】キャップユニットの正面図であり。キャップがインクヘッドに装着されている状態を示す図である。
【
図9】実施形態に係る印刷システムのブロック図である。
【
図12】プリンタ指示方法を示すフローチャートである。
【
図13】提示印刷調整動作および提示実行順序を提示する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る印刷システム1の概念図である。
図1に示すように、印刷システム1は、プリンタ10と、プリンタ指示装置100とを備えている。本実施形態に係る印刷システム1では、プリンタ指示装置100によって、プリンタ10で印刷される印刷対象の印刷画像を作成し、かつ、印刷画像に対してRIP処理を実施し、印刷データを作成する。プリンタ10は、プリンタ指示装置100によって作成された印刷データに基づいて、媒体5に印刷画像を印刷する。
【0016】
プリンタ10は、プリンタ指示装置100と通信可能に接続されている。本実施形態では、プリンタ10と、プリンタ指示装置100とは、インターネット200に接続されており、インターネット200を介して相互に通信可能である。以下、プリンタ10およびプリンタ指示装置100について順に説明する。
【0017】
図2は、本実施形態に係るプリンタ10の正面図である。
図3は、
図2のIII-III断面におけるプリンタ10の断面図である。以下のプリンタ10に関する説明において、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいるユーザ、ここでは後述の操作パネル13(
図2参照)と対向する位置にいるユーザから見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、また、プリンタ10の正面にいるユーザがプリンタ10から遠ざかる方を前方、ユーザがプリンタ10に近づく方を後方とする。
【0018】
図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。また、図面中の符号Yは主走査方向を示し、図面中の符号Xは副走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。ここで、主走査方向Yのうち、一方から他方(例えば右から左)に向かう方向を行き方向Y1とし、他方から一方(例えば左から右)に向かう方向を帰り方向Y2とする。副走査方向Xは平面視において主走査方向Yと交差(ここでは直交)している。副走査方向Xは例えば前後方向である。ただし、これら方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0019】
プリンタ10は、いわゆるインクジェット方式のプリンタである。しかしながら、プリンタ10の印刷の方式は、インクジェット方式に限定されず、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。プリンタ10は、いわゆるロールtoロールタイプのプリンタであり、後述の支持台18(
図2参照)を副走査方向Xに移動させずに、支持台18に支持された媒体5を副走査方向Xに移動させるように構成されている。ただし、プリンタ10は、いわゆるフラットベッドタイプのプリンタであり、支持台18が副走査方向Xに移動することで、媒体5も副走査方向Xに移動させるように構成されてもよい。また、プリンタ10は、いわゆるガントリータイプのプリンタであってもよく、支持台18に支持された媒体5自体は移動させずに、後述のインクヘッド35(
図3参照)が主走査方向Yおよび副走査方向Xに移動するものであってもよい。
【0020】
図2に示すように、プリンタ10は、媒体5に対して印刷を行うものである。媒体5は例えばロール状の記録紙であり、いわゆるロール紙である。なお、媒体5の種類などは特に限定されない。例えば媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙などの紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステルなどの樹脂製のシートやフィルム、板材、織布や不織布などの布帛、その他の媒体であってもよい。
【0021】
本実施形態では、
図2に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体11と、支持台18と、ガイドレール20と、キャリッジ22と、媒体搬送機構25と、ヘッド移動機構30と、インクヘッド35(
図3参照)と、インク供給機構40(
図5参照)とを備えている。
【0022】
プリンタ本体11は、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プリンタ本体11には、脚12が設けられている。脚12は、プリンタ本体11を支持し、プリンタ本体11から下方に延びている。なお、
図3では、脚12の図示は省略されている。
【0023】
図2に示すように、プリンタ本体11には、操作パネル13が設けられている。操作パネル13は、ユーザが印刷に関する操作を行うものである。ここでは、操作パネル13は、プリンタ本体11の右側の前面に設けられているが、操作パネル13の設置位置は特に限定されない。操作パネル13は、プリンタ10の各種設定の情報などが表示される表示画面14と、操作キー15とを有している。ユーザは、例えば操作キー15を操作することによって、表示画面14に各種設定の情報を表示したり、各種設定の情報を決定したりすることができる。なお、本実施形態では、操作キー15は、物理的なボタンによって構成されているが、例えば表示画面14上に設けられたタッチパネルによって実現されてもよい。
【0024】
図3に示すように、支持台18は、媒体5を支持する。支持台18に媒体5が支持された状態で、媒体5に対して印刷が行われる。ここでは、媒体5は支持台18の上面に載置される。支持台18の上面は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっている。
【0025】
本実施形態では、プリンタ10は、支持台18に設けられたヒータ19を備えている。ヒータ19は、支持台18に支持された媒体5を温めるものである。ここでは、ヒータ19は、インクヘッド35よりも下流側(ここでは前側)の支持台18の部分の裏面に設けられている。ヒータ19が駆動して支持台18が温められることによって、支持台18に支持された媒体5が温められる。このことによって、媒体5に吐出されたインクの乾燥が促進される。なお、ヒータ19の位置は特に限定されない。ヒータ19は、例えばインクヘッド35の直下、または、インクヘッド35よりも上流側に配置されていてもよい。また、ヒータ19は、支持台18の上方に配置されていてもよい。
【0026】
ガイドレール20は、支持台18よりも上方に配置され、かつ、支持台18の上面と平行になるように配置されている。
図2に示すように、ガイドレール20は、主走査方向Yに延びている。ガイドレール20には、キャリッジ22が係合している。キャリッジ22は、ガイドレール20に対して摺動可能に設けられている。キャリッジ22は、ガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0027】
媒体搬送機構25は、支持台18に支持された媒体5を副走査方向Xに搬送する機構である。なお、媒体搬送機構25の構成は特に限定されない。本実施形態では、媒体搬送機構25は、ピンチローラ26と、グリットローラ27と、フィードモータ28と、を備えている。ピンチローラ26は、支持台18の上方かつガイドレール20の下方に設けられ、
図3に示すように、媒体5を上から押さえ付けるものである。ピンチローラ26は、キャリッジ22の少なくとも一部(ここでは前部)よりも後方に配置されている。グリットローラ27は、支持台18に設けられた円筒状の部材である。ここでは、グリットローラ27は、その上面部を露出させた状態で支持台18に埋設されている。グリットローラ27は、ピンチローラ26と対向している。
図2に示すように、グリットローラ27は、フィードモータ28に接続されている。なお、
図2では、ピンチローラ26が2つ配置されているが、実際には、複数のピンチローラ26が主走査方向Yに並んで配置されている。また、グリットローラ27も2つ配置されているが、実際には、ピンチローラ26の下方に配置されるようにして、複数のグリットローラ27が主走査方向Yに並んで配置されている。複数のグリットローラ27は、例えば主走査方向Yに延びたシャフト(図示せず)に設けられて連結されている。複数のグリットローラ27のうちの1つのグリットローラ27、または、上記シャフトにフィードモータ28が接続されている。
【0028】
ここでは、ピンチローラ26とグリットローラ27との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ28が駆動する。フィードモータ28の駆動によって、上記シャフトと複数のグリットローラ27が回転し、支持台18に支持された媒体5は、副走査方向Xに搬送される。
【0029】
ヘッド移動機構30は、キャリッジ22およびインクヘッド35(
図3参照)を主走査方向Yに移動させる機構である。ここでは、ヘッド移動機構30は、キャリッジ22およびインクヘッド35を行き方向Y1および帰り方向Y2に移動させる。なお、ヘッド移動機構30の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構30は、
図2に示すように、左右のプーリ31a、31bと、ベルト32と、ヘッドモータ33とを備えている。左のプーリ31aは、ガイドレール20の左端部の周囲に設けられている。右のプーリ31bは、ガイドレール20の右端部の周囲に設けられている。ベルト32は、無端状のベルトであり、左右のプーリ31a、31bに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ22が取り付けられている。ここでは、右のプーリ31bには、ヘッドモータ33が接続されている。ヘッドモータ33が駆動することで、右のプーリ31bが回転し、ベルト32が走行する。このことによって、キャリッジ22およびインクヘッド35は、ガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動する。
【0030】
図4は、キャリッジ22の底面の構成を模式的に示す図である。
図4に示すように、インクヘッド35は、キャリッジ22に設けられている。インクヘッド35は、その底面を露出するように、キャリッジ22に支持されている。インクヘッド35の数は特に限定されないが、ここでは4つである。4つのインクヘッド35は、主走査方向Yに並んで配置されている。
【0031】
各インクヘッド35は、ノズル面36を有している。ノズル面36は、インクヘッド35の底面を構成している。ノズル面36には、インクが吐出される複数のノズル37が形成されている。各インクヘッド35において、ノズル37は、副走査方向Xに並んで配置されている。ここでは、副走査方向Xに並んだノズル37の列のことをノズル列38という。本実施形態では、1つのインクヘッド35において、ノズル列38の数は2つであるが、特に限定されない。1つのインクヘッド35におけるノズル列38の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0032】
本実施形態では、インクヘッド35は、ヘッド移動機構30によって行き方向Y1と帰り方向Y2に移動しているときにインクを吐出可能に構成されている。プリンタ10は、双方向印刷をすることが可能に構成されている。
【0033】
図5は、インク供給機構40を示す図である。インク供給機構40は、インクヘッド35に向かってインクを供給する機構である。ここでは、インク供給機構40は、ノズル列38毎に、ノズル37に対してインクを供給する。インク供給機構40は、ノズル列38毎に設けられている。ここでは、全てのインクヘッド35におけるノズル列38の数は8つであるため、インク供給機構40の数も8つである。ただし、インク供給機構40は、インクヘッド35毎に設けられてもよい。ここでは、各インク供給機構40は、同じ構成を有している。そこで、以下では、1つのインク供給機構40の構成について説明する。なお、複数のインク供給機構40において、一部のインク供給機構の構成は、他のインク供給機構の構成と異なっていてもよい。
【0034】
図5に示すように、インク供給機構40は、インクタンク41と、インク流路42と、送液ポンプ43と、ダンパー44とを備えている。インクタンク41は、インクが貯留される容器である。インクタンク41は、例えばインクカートリッジやインクパウチなどである。インクタンク41に貯留されるインクの色は特に限定されない。ここでは、インクタンク41には、例えばプロセスカラーインクおよび特色インク(例えばホワイトインク、クリアインクなど)のうちの何れかの色のインクが貯留されている。なお、図示は省略するが、インク供給機構40は、インクタンク41内のインクを攪拌する攪拌機構を備えていてもよい。攪拌機構の構成は特に限定されず、攪拌機構は、例えばインクタンク41を回転させる機構であってもよいし、インクタンク41内に配置された攪拌棒を備え、インクタンク41に対して攪拌棒を移動させたり回転させたりするような機構であってもよい。
【0035】
インク流路42は、インクタンク41とインクヘッド35とを接続する流路であり、インクタンク41内のインクが通る流路である。ここでは、インク流路42は、インクヘッド35のうちの1つのノズル列38を構成する複数のノズル37に接続されている。インク流路42の一端はインクタンク41に接続され、インク流路42の他端はダンパー44を介して、インクヘッド35のノズル列38に接続されている。インク流路42の構成は特に限定されないが、インク流路42は、例えばチューブによって構成されている。なお、インク供給機構40は、インク流路42においてインクを循環させる循環機能を有していてもよい。例えばインク流路42には、返流路が設けられてもよい。この場合、返流路の一端は、インク流路42の上流端部に接続され、返流路の他端は、インク流路42の下流端部に接続されてもよい。この場合、インク流路42を流れたインクは、返流路を通ってインク流路42の上流端部に戻るように流れることで循環するため、インク流路42と返流路とによって循環機能が実現される。
【0036】
送液ポンプ43は、インク流路42に設けられている。送液ポンプ43は、インクタンク41に貯留されたインクをインクヘッド35のノズル列38に供給すると共に、接続先のノズル37からのインクの吐出に適した圧力に調整するためのポンプである。送液ポンプ43は、駆動時、インクタンク41からインクヘッド35に向かってインクを送液する。送液ポンプ43の種類は限定されないが、送液ポンプ43は、例えばダイヤフラムポンプやチューブポンプなどである。
【0037】
ダンパー44は、インクの圧力変動を緩和して、ノズル37のインクの吐出動作を安定させるものである。ダンパー44は、ダンパー44に流入するインクの流量(言い換えると、ダンパー44内の圧力)を検出する。そして、インクの流量の検出結果に基づいて、送液ポンプ43の駆動が制御される。ダンパー44は、インクヘッド35に接続されている。ここでは、ダンパー44は、インクヘッド35の上部に設けられている。ダンパー44の構成は特に限定されず、従来公知の構成を採用することができる。
【0038】
図6、
図7は、キャップユニット50の正面図である。
図6では、キャップ51がインクヘッド35に装着されていない状態が示されている。
図7では、キャップ51がインクヘッド35に装着された状態が示されている。本実施形態では、プリンタ10は、キャップユニット50を備えている。キャップユニット50は、ノズル37を覆うものであり、かつ、インクヘッド35内のインクをノズル37から吸引するものである。
図6に示すように、キャップユニット50は、キャップ51と、キャッピング機構52と、吸引ポンプ53とを備えている。
【0039】
キャップ51は、ノズル37を覆うようにインクヘッド35に装着可能なものである。ここで、「装着」とは、キャップ51がノズル37を覆うように、インクヘッド35に取り付けられている状態のことをいう。「装着」には、
図7に示すように、キャップ51がインクヘッド35の下部に嵌まっている状態の他、キャップ51がノズル37を覆うように、キャップ51の端面(ここでは上端面)がノズル面36に接触している状態も含まれるものとする。
【0040】
本実施形態では、1つのインクヘッド35につき、1つのキャップ51が装着される。そのため、キャップ51の数は、インクヘッド35の数と同じ4つである。4つのキャップ51は、主走査方向Yに並んで配置されている。キャップ51は、上部が開口した箱状の形状を有している。なお、キャップ51を形成する材料の種類は特に限定されない。キャップ51の少なくともインクヘッド35と接触する部分は、例えばゴムなどの弾性材料によって形成されている。また、キャップ51の内部には、スポンジなどの吸収体(図示せず)が配置されていてもよい。キャップ51の上部の開口の形状は、インクヘッド35の外周部の形状に対応している。
【0041】
図6および
図7に示すように、キャッピング機構52は、インクヘッド35に対してキャップ51を昇降させる機構である。キャッピング機構52は、インクヘッド35に対して、キャップ51を装着させたり、離間させたりする機構である。本実施形態では、キャッピング機構52は、複数のキャップ51同士の相対的な位置を変化させずに、複数のキャップ51を同時に昇降させるように構成されている。
【0042】
なお、キャッピング機構52の具体的な構成は特に限定されない。本実施形態では、キャッピング機構52は、支持部材55と、キャッピングモータ56を有している。支持部材55は、キャップ51を支持する部材である。ここでは、支持部材55は板状の部材である。板状の支持部材55を水平面に配置したとき、支持部材55に支持された複数のキャップ51のそれぞれの端面(ここでは上端面)は、水平方向に延びている。キャッピングモータ56は、支持部材55に接続されている。キャッピングモータ56が駆動することで、支持部材55が昇降する。この支持部材55の昇降に伴い、複数のキャップ51は同時に昇降する。
【0043】
吸引ポンプ53は、キャップ51に接続されている。ここでは、1つのキャップ51につき、1つの吸引ポンプ53が接続されている。そのため、吸引ポンプ53の数は、キャップ51の数と同じ4つである。吸引ポンプ53は、キャップ51内のインクや空気などを吸引する部材である。吸引ポンプ53の種類は特に限定されない。吸引ポンプ53は、例えば真空ポンプである。吸引ポンプ53は、例えば図示しないチューブを介してキャップ51の底面に接続されている。吸引ポンプ53は、駆動時には、対応するインクヘッド35に接続されたインク流路42(
図5参照)内の負圧よりも低い負圧を形成するように構成されている。例えば、
図7に示すように、キャップ51がインクヘッド35に装着された状態で吸引ポンプ53が駆動されたときには、インクヘッド35のノズル37からインクなどが吸い出される。吸引ポンプ53に吸引されたインクなどは、図示しないチューブなどを介して図示しない廃液タンクに廃棄される。
【0044】
本実施形態では、キャップ51は、ガイドレール20の右端部に位置するホームポジション(図示せず)に配置されている。そのため、ヘッド移動機構30によってインクヘッド35が主走査方向Yに移動することで、キャップ51に対するインクヘッド35の主走査方向Yにおける相対的な位置を変更することができる。インクヘッド35が主走査方向Yに移動することで、平面視においてノズル面36がキャップ51と重なる位置に、インクヘッド35を配置することができる。そして、平面視においてノズル面36がキャップ51に重なっている状態で、
図7の矢印に示すように、キャップ51が上昇することで、インクヘッド35にキャップ51を装着させることができる。
【0045】
図8は、ワイパーユニット60の正面図である。
図8に示すように、プリンタ10は、ワイパーユニット60を備えている。ワイパーユニット60は、キャップ51の近傍に配置されており、インクヘッド35よりも下方に配置されている。ワイパーユニット60は、インクヘッド35のノズル面36を拭う機構である。なお、ワイパーユニット60の具体的な構成は特に限定されない。本実施形態では、ワイパーユニット60は、ワイパー61と、回転軸62と、洗浄液槽63と、回転モータ64とを備えている。
【0046】
ワイパー61は、インクヘッド35のノズル面36を拭う部材である。ワイパー61は、副走査方向Xに延びる平板状の部材である。ワイパー61の副走査方向Xの長さは、インクヘッド35の副走査方向Xの長さよりも長く構成されている。ワイパー61は、例えばゴムで形成されている。ワイパー61の一端は回転軸62に接続されている。ワイパー61は、回転軸62を中心に回転可能に構成されている。回転軸62は、副走査方向Xに延びている。洗浄液槽63は、洗浄液が収容された容器であり、回転軸62の下方に配置されている。ワイパー61の先端が下方を向いたとき、ワイパー61の先端部は洗浄液槽63内に入り、洗浄液に浸される。このことによって、ワイパー61に付着したインクなどが除去されて、ワイパー61を洗浄することができる。回転モータ64は、回転軸62に接続され、回転軸62と共にワイパー61を回転させる。
【0047】
本実施形態では、ワイパー61の先端が上を向くような回転位置にワイパー61が配置されるとき、ワイパー61の先端部は、インクヘッド35のノズル面36よりもわずかに高い位置に配置される。そこで、ワイパー61をこのような回転位置に配置しつつ、インクヘッド35を主走査方向Yに移動させると、ワイパー61によってノズル面36を拭うことができる。なお、ワイパー61は、インクヘッド35のノズル面36に接触しながら、ノズル面36に対して主走査方向Yに移動するように構成されてもよい。また、ワイパー61がノズル面36を拭う方向は特に限定されず、例えば副走査方向Xであってもよい。
【0048】
図9は、本実施形態に係る印刷システム1のブロック図である。
図9に示すように、プリンタ10は、二次電源65を備えている。二次電源65は、例えばプリンタ本体11(
図2参照)に設けられている。二次電源65がONにされることで、プリンタ10を使用可能状態にすることができる。二次電源65がONにされることで、プリンタ10を構成する部品(例えばインクヘッド35、媒体搬送機構25、ヘッド移動機構30など)に電力が供給され、制御可能状態になる。二次電源65がOFFにされることで、プリンタ10が休止状態になり、印刷ができない状態になる。
【0049】
図2に示すように、プリンタ10は、制御装置70を備えている。制御装置70は、印刷に関する制御と、後述の印刷調整動作に関する制御などを行う装置である。制御装置70の構成は特に限定されない。制御装置70は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。ここでは、制御装置70は、プリンタ本体11の内部に設けられている。ただし、制御装置70は、必ずしもプリンタ本体11の内部に設けられている必要はなく、例えば、プリンタ本体11の外部に設置され、有線または無線を介してプリンタ10に設けられた制御基板(図示せず)と通信可能に接続されたコンピュータなどであってもよい。
【0050】
図9に示すように、制御装置70は、操作パネル13(詳しくは表示画面14および操作キー15)、媒体搬送機構25(詳しくはフィードモータ28)、ヘッド移動機構30(詳しくはヘッドモータ33)、インクヘッド35、インク供給機構40(詳しくは送液ポンプ43)、キャップユニット50(詳しくはキャッピング機構52のキャッピングモータ56と、吸引ポンプ53)、および、ワイパーユニット60(詳しくは回転モータ64)と通信可能に接続されている。制御装置70は、操作パネル13、媒体搬送機構25、ヘッド移動機構30、インクヘッド35、インク供給機構40、キャップユニット50、および、ワイパーユニット60を制御可能に構成またはプログラムされている。また、制御装置70は、ヒータ19および二次電源65に通信可能に接続されている。制御装置70は、ヒータ19および二次電源65を制御可能に構成またはプログラムされている。
【0051】
以上、本実施形態に係るプリンタ10の構成について説明した。次に、
図1に示すプリンタ指示装置100について説明する。プリンタ指示装置100は、プリンタ10に対して印刷に関する指示を行う装置である。
図10は、RIP処理の説明図である。本実施形態では、プリンタ10を使用して媒体5に印刷する際、印刷データDT1(
図10参照)に基づいて印刷が行われる。
図10に示すように、この印刷データDT1は、媒体5に印刷する印刷対象である印刷画像P10に対してRIP(Raster Image Processor)処理することで得られるラスターデータまたはビットマップデータのことである。すなわち、印刷データDT1は、印刷画像P10をプリンタ10が出力可能な形式に変換されたデータである。なお、印刷画像P10は、例えばPDF(Portable Document Format)形式で作成される。プリンタ指示装置100は、印刷画像P10に対してRIP処理をして、印刷データDT1を作成する。そして、プリンタ指示装置100は、印刷データDT1をプリンタ10に送信することで、プリンタ10に対して印刷画像P10を媒体5に印刷することを指示する。
【0052】
図1に示すように、プリンタ指示装置100は、プリンタ10と別体に構成されている。ここでは、プリンタ指示装置100は、プリンタ10のプリンタ本体11の外部に設置されたコンピュータによって実現されている。プリンタ指示装置100を実現するコンピュータは、プリンタ10に対する専用のコンピュータであってもよいし、いわゆる汎用コンピュータであってもよい。なお、プリンタ指示装置100は、プリンタ本体11の内部に設けられてもよく、プリンタ10の制御装置70と一体的なものであってもよい。
【0053】
本実施形態では、
図9に示すように、プリンタ指示装置100は、指示表示画面101と、指示操作機構102と、指示制御装置103とを備えている。指示表示画面101の種類は特に限定されないが、例えばデスクトップ型またはノート型のコンピュータのディスプレイである。指示操作機構102の種類も特に限定されない。指示操作機構102は、例えばコンピュータのキーボードおよびマウスである。ただし、指示操作機構102は、指示表示画面101に設けられたタッチパネルであってもよい。
【0054】
指示制御装置103は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えばCPUと、ROMと、RAMと、記憶装置などを備えている。指示制御装置103は、指示表示画面101および指示操作機構102と通信可能に接続されている。また、指示制御装置103は、プリンタ10の制御装置70と、インターネット200(
図1参照)を介して通信可能に接続されている。
【0055】
本実施形態では、指示制御装置103には、RIP処理をするためのアプリケーションである専用のRIPアプリケーションがインストールされている。ユーザは、RIPアプリケーションを起動して指示表示画面101に表示させ、指示操作機構102を操作することで、RIPアプリケーションを操作する。このことによって、
図10に示すように、例えば印刷画像P10に対してRIP処理が行われ、印刷データDT1が作成される。
【0056】
図11は、印刷調整設定画面DP1を示す図である。ところで、本実施形態では、印刷開始前において、プリンタ10は、印刷調整動作M1(
図11参照)を実行する。ここで、印刷調整動作M1とは、印刷開始前にプリンタ10に実行される動作のことであり、プリンタ10が媒体5に印刷する際に印刷の品質に影響を与えるプリンタ10の動作のことをいう。印刷調整動作M1は、実行されることで、印刷品質が向上する可能性があり得る動作である。なお、印刷調整動作M1の具体例については後述する。
【0057】
印刷調整動作M1は、所定の指示に基づいて設定される動作(例えば任意の動作)である。ここで、所定の指示とは、例えばプリンタ10の状態(例えば経年劣化に伴う使用状態)や使用環境(例えばプリンタ10が設置された場所の温度や湿度などの環境)に応じた指示のことである。所定の指示には、ユーザによる指示が含まれる。印刷調整動作M1は、例えばユーザによって指示されることでプリンタ10によって実行される動作である。印刷調整動作M1は、ユーザによって任意に設定された動作である。
【0058】
従来では、プリンタ10の印刷開始前において、ユーザがプリンタ10の操作パネル13(
図2参照)を操作することで、印刷調整動作M1の内容や順序を設定していた。また、プリンタ10の機種によっては、複数の印刷調整動作M1を一度に設定することができず、ユーザは、1つの印刷調整動作M1が終了するまで待機し、終了後、次の印刷調整動作M1をプリンタ10に設定することがあった。
【0059】
そこで、本実施形態では、操作パネル13への操作だけでなく、操作パネル13以外でもユーザが印刷調整動作M1を設定できるようにして、印刷開始前において、プリンタ10の前にユーザが待機しなくてもよいことを実現する。ここでは、印刷調整動作M1を設定する機能である調整動作設定機能は、プリンタ指示装置100に組み込まれている。具体的には、上記の調整動作設定機能は、RIPアプリケーションに組み込まれている。すなわち、プリンタ指示装置100は、印刷開始前において、プリンタ10が実行する印刷調整動作M1の内容、および、印刷調整動作M1の実行順序S1(
図11参照)をプリンタ10に指示する。プリンタ10は、プリンタ指示装置100によって指示された実行順序S1で印刷調整動作M1を実行する。
【0060】
印刷調整動作M1の具体的な種類は特に限定されず、プリンタ10の機種によって設定されるものである。本実施形態では、
図11に示すように、印刷調整動作M1は、ヘッドクリーニング動作M11と、流路クリーニング動作M12と、搬送量調整動作M13と、双方向印刷調整動作M14と、ノズル不良検知動作M15と、二次電源ON動作M16と、二次電源OFF動作M17と、ヒータ電源ON動作M18と、インク攪拌動作M19とを含んでいる。
【0061】
ヘッドクリーニング動作M11とは、インクヘッド35に対してクリーニングを行う動作である。ここでは、ヘッドクリーニング動作M11は、吸引処理と、ワイピング処理とを有する。吸引処理とは、
図7に示すように、インクヘッド35にキャップ51を装着させた状態でノズル37からインクを吸引する処理のことである。ここでは、吸引処理において、インクヘッド35にキャップ51を装着させるために、キャッピング機構52を制御してキャップ51を上昇させる。インクヘッド35にキャップ51が装着された状態で、吸引ポンプ53を駆動させる。この吸引ポンプ53の駆動によって、ノズル37からインクが吸引され、キャップ51内に排出される。
【0062】
ヘッドクリーニング動作M11において、吸引処理後、ワイピング処理が実行される。ワイピング処理では、
図8に示すように、インクヘッド35のノズル面36をワイパー61で拭う処理である。ここでは、ワイパー61の先端が上を向いた状態で、インクヘッド35を主走査方向Yに移動させる。このとき、ワイパー61上をインクヘッド35が通過する際、ワイパー61がノズル面36に接触することによって、ノズル面36が拭われ、ノズル面36に付着したインクなどが除去される。
【0063】
なお、ヘッドクリーニング動作M1には、インクヘッド35のノズル37からキャップ51に向けてインクを吐出するフラッシング処理が含まれてもよい。フラッシング処理が実行されることによって、インクヘッド35の内部に付着した異物や固まったインクを、インクヘッド35から排出させることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、ヘッドクリーニング動作M11において、吸引ポンプ53の駆動力を大、中、小の3段階に調整することが可能である。ヘッドクリーニング動作M11のうち、吸引ポンプ53の駆動力が大のときのヘッドクリーニング動作M11をパワフルクリーニング動作という。吸引ポンプ53の駆動力が中のときのヘッドクリーニング動作M11をミディアムクリーニング動作という。吸引ポンプ53の駆動力が小のときのヘッドクリーニング動作M11をノーマルクリーニング動作という。ここでは、プリンタ10にヘッドクリーニング動作M11を実行させるときに、パワフルクリーニング動作、ミディアムクリーニング動作、ノーマルクリーニング動作の何れかをユーザが設定して、プリンタ10に実行させてもよい。
【0065】
流路クリーニング動作M12とは、インク供給機構40のインク流路42(
図5参照)内のインクを入れ替えて、インク流路42内をクリーニングする動作のことである。流路クリーニング動作M12では、インク流路42内のインクを一度排出し(例えばキャップ51内に排出し)、インクタンク41から新しいインクをインク流路42内に供給する。ここでは、
図7に示すように、例えばインクヘッド35にキャップ51を装着させた状態で、インク供給機構40の送液ポンプ43(
図5参照)を駆動させてインク流路42内のインクをキャップ51に排出する。このとき、キャップ51に接続された吸引ポンプ53を駆動させてインクを吸引することで、キャップ51に排出させてもよい。また、送液ポンプ43を駆動させることで、インクタンク41に収容されたインクがインク流路42内に入り込む。このことで、流路クリーニング動作M12において、インク流路42内のインクを入れ替えることができる。なお、流路クリーニング動作M12において、インク流路42内のインクを一度排出した後に、いわゆる洗浄液をインク流路42に供給してもよい。この場合、インク流路42内の洗浄液を排出した後に、新しいインクをインク流路42内に供給する。
【0066】
搬送量調整動作M13とは、支持台18に支持された媒体5(
図3参照)が副走査方向Xに搬送される搬送量を調整する動作のことである。例えば媒体5の厚みや材質などが異なることで、媒体搬送機構25のフィードモータ28(
図2参照)が所定の回転量、回転したときの媒体5の搬送量が異なることがあり得る。搬送量調整動作M13では、どのような厚みや材質などの媒体5に印刷する場合であっても、媒体5の搬送量が略同じになるように、媒体5の搬送量を調整する動作のことである。
【0067】
本実施形態では、プリンタ10は、双方向印刷が可能なプリンタであり、インクヘッド35が行き方向Y1に移動しているときに、ノズル37からインクを吐出させ、かつ、インクヘッド35が帰り方向Y2に移動しているときに、ノズル37からインクを吐出させることが可能である。このような双方向印刷のとき、媒体5の所定の位置にインクを吐出させようとした場合であっても、行き方向Y1と帰り方向Y2とにおいてインクの着弾位置に誤差が生じることがあり得る。双方向印刷調整動作M14とは、インクヘッド35が主走査方向Yの行き方向Y1と帰り方向Y2に移動しているときにノズル37から吐出されるインクの着弾位置を調整する動作のことである。双方向印刷調整動作M14では、例えば媒体5に双方向印刷調整用のテストパターンの印刷を行う。その後、図示しないセンサによって、媒体5に印刷されたテストパターンを検出し、検出したテストパターンに基づいて双方向印刷用の補正値を決定する。なお、媒体5に印刷されたテストパターンをユーザが目視をすることで、ユーザが双方向印刷用の補正値を決定して入力してもよい。
【0068】
本実施形態では、インクヘッド35のノズル37からインクが吐出されなかったり、ノズル37から吐出されたインクに、いわゆるヨレが発生したりするなどの吐出不良が発生することがあり得る。ノズル不良検知動作M15は、ノズル37の吐出不良を検出する動作のことである。ノズル不良検知動作M15には、吐出不良が発生しているノズル37に対して吐出不良を解消させるための動作が含まれる。ノズル不良検知動作M15では、例えば媒体5に、吐出不良検知用のテストパターンの印刷を行う。その後、図示しないセンサによって、吐出不良検知用のテストパターンを検出する。そして、例えば検出したテストパターンにパターンの抜けや、パターンの欠けが見付かったときに、ノズル37の吐出不良が発生していると判断する。ノズル不良検知動作M15では、ノズル37の吐出不良が発生していると判断されたとき、例えば上記の吸引処理、ワイピング処理またはフラッシング処理などを実行することで、ノズル37の吐出不良を解消させる。なお、媒体5に印刷された吐出不良検知用のテストパターンをユーザが目視することで、ユーザがノズル37の吐出不良が発生しているか否かを判断してもよい。また、インクヘッド35のノズル37からインクを吐出した際の飛翔液滴を、図示しないセンサで検出した検出結果に基づいて、ノズル37の吐出不良を検出してもよい。
【0069】
二次電源ON動作M16は、二次電源65(
図9参照)をONにする動作のことである。二次電源OFF動作M17は、二次電源65をOFFにする動作のことである。二次電源ON動作M16と二次電源OFF動作M17によって、二次電源65のONとOFFとを切り替えることができる。ヒータ電源ON動作M18は、ヒータ19(
図3参照)をONにして駆動させる動作である。ヒータ19がONになることで、支持台18と、支持台18に支持された媒体5が温められる。
【0070】
インク攪拌動作M19は、インク供給機構40内のインクを攪拌させて、インクの成分の沈殿を解消させる動作のことである。インク攪拌動作M19では、例えばインクタンク41内のインクを攪拌する。ここでは、インク供給機構40の上述した攪拌機構によって、インクタンク41を回転させたり、インクタンク41内に配置された攪拌棒をインクタンク41に対して移動または回転させたりすることで、インクタンク41内のインクを攪拌する。また、インク攪拌動作M19では、インク流路42内のインクを攪拌してもよい。ここでは、インク流路42に設けられた上述の返流路にインクが流れるように、送液ポンプ43を駆動させて、インク流路42内のインクを循環させる。このようにインクが循環することで、インク流路42内においてインクが攪拌する。
【0071】
本実施形態では、プリンタ10に対して印刷調整動作M1の実行を指示するために、
図9に示すように、プリンタ指示装置100の指示制御装置103は、指示記憶部110と、動作取得部111と、順序取得部113と、タイミング取得部115と、指示部117と、指示受信部121と、提示部123とを備えている。なお、上述した指示制御装置103の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば指示制御装置103の各部は、1つまたは複数のプロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0072】
次に、印刷開始前において、印刷調整動作M1をプリンタ10に指示するプリンタ指示方法について、
図12のフローチャートに沿って説明する。このプリンタ指示方法は、プリンタ指示装置100によって具現化される。
図12に示すように、本実施形態に係るプリンタ指示方法は、動作取得工程S101と、順序取得工程S103と、タイミング取得工程S105と、指示工程S107とを包含する。
【0073】
動作取得工程S101では、プリンタ10が印刷開始前に実行する印刷調整動作M1の内容を取得する。動作取得工程S101は、
図9の動作取得部111によって実現される。動作取得部111は、プリンタ10が印刷開始前に実行し、かつ、印刷品質に影響を与える印刷調整動作M1の内容を取得する。ここでは、動作取得部111は、複数の印刷調整動作M1を取得することが可能である。また、印刷調整動作M1は、ユーザによって設定される動作であり、動作取得部111は、ユーザによって設定された印刷調整動作M1の内容を取得する。
【0074】
なお、ユーザが印刷調整動作M1を設定する方法は特に限定されない。本実施形態では、
図11に示すように、プリンタ指示装置100において、RIPアプリケーションが起動されると、印刷調整設定画面DP1が指示表示画面101に表示される。ユーザは、指示操作機構102(
図9参照)を操作することで、印刷調整設定画面DP1において、印刷開始前にプリンタ10が実行する印刷調整動作M1を設定する。ここでいう「印刷開始前」とは、RIPアプリケーションにおいて作成された印刷データDT1(
図10参照)に基づく印刷の開始前のことをいう。
【0075】
図11に示すように、印刷調整設定画面DP1は、動作リストLS1と、実行動作リストLS2と、追加ボタンBT1と、削除ボタンBT2と、リセットボタンBT3と、指示ボタンBT4と、キャンセルボタンBT5を有している。動作リストLS1と、実行動作リストLS2と、追加ボタンBT1と、削除ボタンBT2と、リセットボタンBT3と、指示ボタンBT4と、キャンセルボタンBT5は、印刷調整設定画面DP1に配置されている。
【0076】
動作リストLS1には、プリンタ10が実行可能な印刷調整動作M1がリスト化されて表示されている。実行動作リストLS2には、ユーザが設定(言い換えると選択)し、かつ、プリンタ10が実行する印刷調整動作M1がリスト化されて表示されている。ここでは、動作リストLS1および実行動作リストLS2において、ユーザが指示操作機構102を操作(例えばクリック)することによって、各印刷調整動作M1を選択することが可能に構成されている。
【0077】
ボタンBT1~BT5は、ユーザが指示操作機構102を操作することで押されるボタンである。追加ボタンBT1は、ユーザが指定した印刷調整動作M1を実行動作リストLS2に追加するためのボタンである。例えばユーザが追加ボタンBT1を押すことで、動作リストLS1において選択されている印刷調整動作M1が実行動作リストLS2に追加される。削除ボタンBT2は、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1を実行動作リストLS2から削除するためのボタンである。例えばユーザが削除ボタンBT2を押すことで、実行動作リストLS2において選択されている印刷調整動作M1が実行動作リストLS2から削除される。リセットボタンBT3は、ユーザによって押されることで、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1の全てが削除されるボタンである。
【0078】
指示ボタンBT4は、ユーザに押されることで、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1を実行することをプリンタ10に指示するためのボタンである。キャンセルボタンBT5は、ユーザに押されることで、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1をプリンタ10に実行させる指示をすることなく、印刷調整設定画面DP1を閉じるためのボタンである。
【0079】
本実施形態では、動作取得工程S101は、ユーザが指示ボタンBT4を押したタイミングで実行される。動作取得工程S101では、指示ボタンBT4が押されると、動作取得部111は、実行動作リストLS2内の印刷調整動作M1を取得する。なお、動作取得部111によって取得された印刷調整動作M1の内容は、
図9の指示記憶部110に記憶される。
【0080】
次に、
図12の順序取得工程S103では、複数の印刷調整動作M1を実行する実行順序S1を取得する。本実施形態では、順序取得工程S103は、
図9の順序取得部113によって実現される。順序取得部113は、複数の印刷調整動作M1をプリンタ10が実行する実行順序S1を取得する。実行順序S1は、ユーザによって設定された順序である。順序取得部113は、ユーザによって設定された実行順序S1を取得する。なお、実行順序S1は、予め決められた順序であり、ユーザによって設定されない順序であってもよい。
【0081】
本実施形態では、ユーザは、
図11の印刷調整設定画面DP1を使用して実行順序S1を設定することができる。ユーザは、指示操作機構102を操作することで、印刷調整設定画面DP1において、印刷調整動作M1の実行順序S1を設定する。ここでは、
図11に示すように、印刷調整設定画面DP1には、上ボタンBT6と下ボタンBT7とを有している。上ボタンBT6および下ボタンBT7は、実行動作リストLS2における印刷調整動作M1の実行順序S1を設定する際に使用されるボタンであり、印刷調整設定画面DP1に配置されている。上ボタンBT6および下ボタンBT7は、ユーザが指示操作機構102を操作することで押されるボタンである。
【0082】
本実施形態では、実行動作リストLS2において、上から下に表示された印刷調整動作M1の順序が実行順序S1になる。上ボタンBT6は、実行動作リストLS2において選択された印刷調整動作M1と、その1つ前(例えば1つ上)の印刷調整動作M1の実行順序S1を入れ替えるためのボタンである。ユーザが上ボタンBT6を押すことで、選択された印刷調整動作M1と、その1つ上の印刷調整動作M1とが実行動作リストLS2内において入れ替わることで、実行順序S1が変更される。下ボタンBT7は、実行動作リストLS2において選択された印刷調整動作M1と、その1つ後(例えば1つ下)の印刷調整動作M1の実行順序S1を入れ替えるためのボタンである。ユーザが下ボタンBT7を押すことで、選択された印刷調整動作M1と、その1つ下の印刷調整動作M1とが実行動作リストLS2内において入れ替わることで、実行順序S1が変更される。
【0083】
本実施形態では、順序取得工程S103は、ユーザが指示ボタンBT4を押したタイミングで実行される。順序取得工程S103では、指示ボタンBT4が押されると、順序取得部113は、実行動作リストLS2内の印刷調整動作M1の順序を実行順序S1として取得する。なお、ここでは、順序取得工程S103は、動作取得工程S101の後に実行されているが、動作取得工程S101の前に実行されてもよいし、動作取得工程S101と同時に実行されてもよい。順序取得部113によって取得された印刷調整動作M1の実行順序S1は、指示記憶部110に記憶される。
【0084】
次に
図12のタイミング取得工程S105では、プリンタ10が印刷調整動作M1を実行するタイミングを取得する。本実施形態では、タイミング取得工程S105は、
図9のタイミング取得部115によって実現される。タイミング取得部115は、動作取得部111によって取得された印刷調整動作M1を、プリンタ10が実行するタイミングを取得する。この印刷調整動作M1をプリンタ10が実行するタイミングは、ユーザによって設定される。タイミング取得部115は、ユーザによって設定されたタイミングを取得する。なお、印刷調整動作M1をプリンタ10が実行するタイミングは、予め決められた固定のタイミングであってもよい。
【0085】
本実施形態では、ユーザは、
図11の印刷調整設定画面DP1を使用して、プリンタ10が印刷調整動作M1を実行するタイミングを設定することができる。ユーザは、指示操作機構102(
図9参照)を操作することで、印刷調整設定画面DP1において、プリンタ10が印刷調整動作M1を実行するタイミングを設定する。
図11に示すように、印刷調整設定画面DP1は、実行日ボックスB1と、実行時刻ボックスB2と、タイマーラジオボタンBT8を有している。実行日ボックスB1と、実行時刻ボックスB2と、タイマーラジオボタンBT8は、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1を実行するタイミングを設定する際に使用されるものであり、印刷調整設定画面DP1に配置されている。実行日ボックスB1と、実行時刻ボックスB2と、タイマーラジオボタンBT8は、ユーザが指示操作機構102を操作することで、選択、入力またはチェックされるものである。
【0086】
実行日ボックスB1は、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1をプリンタ10が実行する日付けを設定するものである。実行日ボックスB1は、プルダウンメニューによって構成されているが、テキストボックスによって構成されてもよい。実行日ボックスB1には、具体的な日付けの他に、指定の曜日や、「毎日」などを設定することが可能である。実行日ボックスB1に曜日を設定した場合には、毎週、実行日ボックスB1に設定された曜日に印刷調整動作M1を実行することになる。実行日ボックスB1に「毎日」を設定した場合には、毎日、印刷調整動作M1を実行することになる。なお、実行日ボックスB1は、印刷調整設定画面DP1に1つ配置されてもよいし、複数配置されてもよい。すなわち、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1を実行するタイミングは、複数設定されるように構成されてもよい。
【0087】
実行時刻ボックスB2は、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1をプリンタ10が実行する時刻を設定するものである。実行時刻ボックスB2は、複数の時刻(例えば30分毎の時刻)から選択可能なプルダウンメニューによって構成されているが、テキストボックスによって構成されてもよい。また、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1をプリンタ10が実行する時刻は、実行日毎に設定することが可能であってもよい。
【0088】
タイマーラジオボタンBT8は、実行日ボックスB1および実行時刻ボックスB2において設定された日時で、実行動作リストLS2の印刷調整動作M1をプリンタ10が実行するか否かを設定するものである。タイマーラジオボタンBT8は、ユーザによって指示操作機構102を操作することで、チェックを入れたり、チェックを外したりされる。例えばタイマーラジオボタンBT8にチェックが入れられることによって、実行日ボックスB1および実行時刻ボックスB2において設定された日時で印刷調整動作M1が実行されるようにタイミングを設定する。タイマーラジオボタンBT8からチェックが外されることによって、実行日ボックスB1および実行時刻ボックスB2において設定された日時で実行されず、指示ボタンBT4が押されたタイミングで、印刷調整動作M1が実行されるように設定される。
【0089】
本実施形態では、タイミング取得工程S105は、ユーザが指示ボタンBT4を押したタイミングで実行される。タイミング取得工程S105では、指示ボタンBT4が押されると、タイミング取得部115は、タイマーラジオボタンBT8にチェックが入れられている場合には、実行日ボックスB1および実行時刻ボックスB2において設定された日時のタイミングで、実行動作リストLS2内の印刷調整動作M1をプリンタ10が実行することを取得する。一方、タイミング取得部115は、タイマーラジオボタンBT8からチェックが外されている場合には、指示部117によってプリンタ10に指示されたタイミングで、実行動作リストLS2内の印刷調整動作M1をプリンタ10が実行することを取得する。なお、タイミング取得部115によって取得された印刷調整動作M1を実行するタイミングは、指示記憶部110に記憶される。
【0090】
本実施形態では、タイミング取得工程S105は、動作取得工程S101および順序取得工程S103の後に実行されている。しかしながら、タイミング取得工程S105は、動作取得工程S101の前に実行されてもよいし、動作取得工程S101と同時に実行されてもよい。また、タイミング取得工程S105は、順序取得工程S103の前に実行されてもよいし、順序取得工程S103と同時に実行されてもよい。
【0091】
次に
図12の指示工程S107では、印刷開始前に、動作取得工程S101において取得した印刷調整動作M1を実行するようにプリンタ10に指示する。ここでは、指示工程S107では、印刷調整動作M1を、順序取得工程S103において取得した実行順序S1で、かつ、タイミング取得工程S105において取得したタイミングで実行するようにプリンタ10に指示する。本実施形態では、指示工程S107は、
図9の指示部117によって実現される。指示部117は、印刷開始前に、動作取得部111によって取得された印刷調整動作M1を、タイミング取得部115によって取得されたタイミングで実行するようにプリンタ10に指示する。また、指示部117は、複数の印刷調整動作M1を、順序取得部113によって取得された実行順序S1で実行するようにプリンタ10に指示する。なお、指示部117によってプリンタ10に指示された内容(ここでは、動作取得工程S101において取得した印刷調整動作M1、順序取得工程S103において取得した実行順序S1、および、タイミング取得工程S105において取得したタイミングなど)は、
図9の指示記憶部110に記憶されてもよい。
【0092】
なお、指示部117がプリンタ10に指示する具体的な方法は特に限定されない。例えば指示部117は、プリンタ10が実行する印刷調整動作M1の内容、実行順序S1、タイミングが指定された指示コマンドを作成し、当該指示コマンドをプリンタ10に送信することでプリンタ10に指示してもよい。例えば指示部117は、上記の指示コマンドを、インターネット200(
図1参照)を介して、プリンタ10の制御装置70(
図9参照)に送信する。このとき、指示コマンドと共に、RIP処理をして作成された印刷データDT1(
図10参照)が送信されてもよい。
【0093】
プリンタ10側において、制御装置70は、指示コマンドと印刷データDT1を受信し、指示コマンドを解読して、印刷調整動作M1の内容、実行順序S1、タイミングを把握する。その後、プリンタ指示装置100から指示されたタイミングで、実行順序S1に沿って、印刷調整動作M1を順に実行する。プリンタ指示装置100から指示された印刷調整動作M1を全て実行した後、プリンタ10は、印刷データDT1に基づいて、媒体5に印刷画像P10を印刷する。
【0094】
本実施形態では、プリンタ10によって過去に実行された印刷調整動作M1、および、過去に実行された印刷調整動作M1の実行順序S1(以下、それぞれ過去印刷調整動作M2(
図9参照)、および、過去実行順序S2(
図9参照)という。)に基づいて、プリンタ10が実行する可能性が高い印刷調整動作M1、および、実行順序S1(以下、それぞれ提示印刷調整動作M3(
図13参照)、および、提示実行順序S3(
図13参照)という。)を推定して、提示印刷調整動作M3、および、提示実行順序S3をユーザに提示することが可能である。
【0095】
ここでは、提示印刷調整動作M3、および、提示実行順序S3を推定するために、プリンタ10の制御装置70は、
図9に示すように、記憶部71と、推定部73と、送信部75とを備えている。なお、記憶部71、推定部73および送信部75は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば記憶部71、推定部73および送信部75は、1つまたは複数のプロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。なお、後述のように、記憶部71および推定部73は、プリンタ指示装置100に備えられてもよい。
【0096】
以下、提示印刷調整動作M3、および、提示実行順序S3をユーザに提示する手順について
図13のフローチャートに沿って説明する。本実施形態では、
図9に示すように、記憶部71には、プリンタ10が過去に実行した過去印刷調整動作M2、および、過去印刷調整動作M2の実行順序S1である過去実行順序S2が記憶されている。例えば過去印刷調整動作M2とは、所定の期間に遡ってプリンタ10で実行された印刷調整動作M1のことである。過去実行順序S2は、所定の期間に遡ってプリンタ10に実行された印刷調整動作M1の実行順序S1である。この所定の期間は特に限定されるものではなく、プリンタ10毎に設定される期間である。所定の期間は、半年であってもよいし、1年であってもよいし、3年であってもよい。所定の期間の具体的な期間は特に限定されない。
【0097】
本実施形態では、提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3は、プリンタ指示装置100の指示表示画面101(
図9参照)に表示されることで、ユーザに提示される。
図11に示すように、例えば指示表示画面101に表示された印刷調整設定画面DP1は、提示ボタンBT9を有している。提示ボタンBT9は、ユーザが指示操作機構102を操作することで押されるボタンであり、印刷調整設定画面DP1に配置されている。提示ボタンBT9は、提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を印刷調整設定画面DP1に表示するためのボタンである。ユーザが提示ボタンBT9を押すことで、
図13のフローチャートが順に実行される。
【0098】
まず
図13のステップS201では、
図9のプリンタ10の推定部73は、ユーザに提示する印刷調整動作M1である提示印刷調整動作M3と、ユーザに提示する実行順序S1である提示実行順序S3を推定する。ここでは、推定部73は、記憶部71に記憶された過去印刷調整動作M2に基づいて、提示印刷調整動作M3を推定する。また、推定部73は、記憶部71に記憶された過去実行順序S2に基づいて、提示実行順序S3を推定する。なお、提示印刷調整動作M3、および、提示実行順序S3を推定する具体的な方法は特に限定されない。例えば推定部73は、過去印刷調整動作M2のうち、プリンタ10が実行した頻度が高い過去印刷調整動作M2を、提示印刷調整動作M3として推定してもよい。また、推定部73は、過去実行順序S2のうち、プリンタ10が実行した頻度が高い過去実行順序S2を、提示実行順序S3として推定してもよい。ここでは、提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を推定しているが、例えば提示印刷調整動作M3を推定し、提示実行順序S3を推定しなくてもよい。
【0099】
なお、本実施形態では、記憶部71および推定部73は、プリンタ10の制御装置70に備えられているが、プリンタ指示装置100(詳しくは、指示制御装置103)に備えられてもよい。プリンタ指示装置100は、プリンタ10と一体であってもよく、プリンタ10の制御装置70と一体的に構成されていてもよい。すなわち、プリンタ指示装置100は、プリンタ10の一部であってもよい。この場合、プリンタ指示装置100は、記憶部71と推定部73とを備えているといえる。プリンタ指示装置100が記憶部71を備えている場合、記憶部71と指示記憶部110とは同じものであってもよい。この場合、指示記憶部110には、過去印刷調整動作M2および過去実行順序S2が記憶されていることになる。例えばプリンタ指示装置100が記憶部71および推定部73を備えている場合、推定部73は、指示制御装置103がプリンタ10に対して過去に指示した印刷調整動作M1(すなわち、過去印刷調整動作M2)、および、実行順序S1(すなわち、過去実行順序S2)に基づいて、指示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を推定する。
【0100】
また、推定部73は、機械学習によって提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を推定してもよい。この場合、推定部73は、例えば自己符号化器を用いて、過去印刷調整動作M2および過去実行順序S2を入力し、提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を出力とした機械学習を行うことで、提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を推定してもよい。このように、推定部73によって推定された提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3は、記憶部71に記憶される。
【0101】
次に、
図13のステップS203では、
図9のプリンタ10の送信部75は、提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3をプリンタ指示装置100に送信する。ここでは、送信部75は、推定部73によって推定された提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を、インターネット200(
図1参照)を介してプリンタ指示装置100の指示制御装置103に送信する。このとき、
図9のプリンタ指示装置100の指示受信部121は、送信部75から送信された提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を受信する。なお、指示受信部121によって受信した提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3は、プリンタ指示装置100の指示記憶部110(
図9参照)に記憶される。なお、上述のように、プリンタ指示装置100が記憶部71および推定部73を備えている場合には、ステップS203の処理は省略されてもよい。
【0102】
次に、
図13のステップS205では、
図9のプリンタ指示装置100の提示部123は、指示受信部121が受信した提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3をユーザに提示する。提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3をユーザに提示する具体的な方法は特に限定されない。ここでは、提示部123は、提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を、
図11に示す印刷調整設定画面DP1に表示することで、ユーザに提示する。提示部123は、例えば提示実行順序S3に沿って提示印刷調整動作M3をリスト化し、リスト化した提示実行順序S3に並んだ提示印刷調整動作M3を実行動作リストLS2に表示する。ユーザは、実行動作リストLS2から提示印刷調整動作M3および提示実行順序S3を確認することができる。また、ユーザは、上ボタンBT6または下ボタンBT7を押すことで、実行動作リストLS2内において、提示実行順序S3に並んだ提示印刷調整動作M3の順序を入れ替えることが可能である。
【0103】
以上、本実施形態では、
図1に示すように、プリンタ指示装置100は、プリンタ10に対して印刷に関する指示を行う装置である。
図9に示すように、プリンタ指示装置100は、動作取得部111と、タイミング取得部115と、指示部117とを備えている。動作取得部111は、
図12の動作取得工程S101に示すように、印刷品質に影響を与える印刷調整動作M1の内容を取得する。印刷調整動作M1は、所定の指示に基づいて設定され、プリンタ10が印刷開始前に実行する動作である。タイミング取得部115は、
図12のタイミング取得工程S105に示すように、動作取得部111によって取得された印刷調整動作M1をプリンタ10が実行するタイミングを取得する。指示部117は、
図12の指示工程S107に示すように、印刷開始前に、動作取得部111によって取得された印刷調整動作M1を、タイミング取得部115によって取得されたタイミングで実行するようにプリンタ10に指示する。このことによって、印刷開始前に、印刷品質に影響を与える印刷調整動作M1を、タイミング取得部115によって取得されたタイミングで実行するようにプリンタ10に指示することができる。ここでの印刷調整動作M1は、所定の指示に基づいて設定された動作であり、例えばプリンタ10の状態や使用環境に応じて変更可能な動作であり得る。よって、プリンタ10に適した印刷調整動作M1を設定することができる。したがって、プリンタ10は、プリンタ10に適した印刷調整動作M1を実行した後に、印刷を開始することができる。その結果、プリンタ10による印刷品質の低下を抑制することができる。
【0104】
本実施形態では、動作取得部111は、ユーザによって設定された印刷調整動作M1の内容を取得する。このことによって、ユーザは、例えばプリンタ10の状態や使用環境に応じて、印刷調整動作M1を設定することができる。よって、ユーザの考えに則した印刷調整動作M1を設定することができる。
【0105】
本実施形態では、タイミング取得部115は、ユーザによって設定されたタイミングを取得する。このことによって、ユーザが実行して欲しいタイミングで、印刷調整動作M1をプリンタ10に実行させることができる。
【0106】
本実施形態では、動作取得部111は、複数の印刷調整動作M1の内容を取得することが可能である。プリンタ指示装置100は、
図12の順序取得工程S103に示すように、複数の印刷調整動作M1をプリンタ10が実行する実行順序S1を取得する順序取得部113(
図9参照)を備えている。指示部117は、複数の印刷調整動作M1を実行順序S1で実行するようにプリンタ10に指示する。このことによって、任意の実行順序S1で、プリンタ10に印刷調整動作M1を実行させることができる。
【0107】
本実施形態では、順序取得部113は、ユーザによって設定された実行順序S1を取得する。このことによって、ユーザが実行して欲しい実行順序S1で、プリンタ10に印刷調整動作M1を実行させることができる。ユーザは、プリンタ10の状態や使用環境に応じて実行順序S1を設定することができる。
【0108】
本実施形態では、
図1に示すように、プリンタ指示装置100は、プリンタ10と別体に構成されている。このことによって、プリンタ10から離れた場所から、プリンタ指示装置100を使用して、プリンタ10に印刷調整動作M1を実行することを指示することができる。
【0109】
本実施形態では、
図11に示すように、印刷調整動作M1は、ヘッドクリーニング動作M11と、流路クリーニング動作M12と、搬送量調整動作M13と、双方向印刷調整動作M14と、ノズル不良検知動作M15と、インク攪拌動作M19を含んでいる。ヘッドクリーニング動作M11は、インクヘッド35に対してクリーニングを行う動作である。流路クリーニング動作M12は、インク流路42(
図5参照)内のインクを入れ替える動作である。搬送量調整動作M13は、支持台18に支持された媒体5(
図3参照)が副走査方向Xに搬送される搬送量を調整する動作である。双方向印刷調整動作M14は、インクヘッド35が行き方向Y1と帰り方向Y2に移動しているときにノズル37から吐出されるインクの着弾位置を調整する動作である。ノズル不良検知動作M15は、ノズル37の吐出不良を検知する動作である。インク攪拌動作M19は、インクタンク41内またはインク流路42内のインクを攪拌する動作である。ここで、ヘッドクリーニング動作M11、流路クリーニング動作M12、搬送量調整動作M13、双方向印刷調整動作M14、ノズル不良検知動作M15、および、インク攪拌動作M19は、印刷品質に影響を与える動作であり、適宜実行されることで印刷品質が向上することがあり得る。よって、印刷開始前に、印刷調整動作M1として、ヘッドクリーニング動作M11、流路クリーニング動作M12、搬送量調整動作M13、双方向印刷調整動作M14、ノズル不良検知動作M15、または、インク攪拌動作M19がプリンタ10によって適宜実行されることで、印刷品質が低下することをより抑制することができる。
【0110】
本実施形態では、
図1に示すように、印刷システム1は、プリンタ指示装置100と、プリンタ指示装置100と通信可能に接続されたプリンタ10とを備えている。
図9に示すように、プリンタ10は、制御装置70を備えている。制御装置70は、記憶部71と、推定部73と、送信部75を備えている。ただし、上述したように、記憶部71および推定部73は、プリンタ指示装置100に備えられてもよい。記憶部71には、プリンタ10が過去に実行した印刷調整動作M1である過去印刷調整動作M2が記憶されている。推定部73は、
図13のステップS201に示すように、過去印刷調整動作M2に基づいて、ユーザに提示する印刷調整動作M1である提示印刷調整動作M3を推定する。例えば提示印刷調整動作M3は、プリンタ10が実行する可能性が高い印刷調整動作M1である。そのため、ユーザは、推定部73によって推定された提示印刷調整動作M3を参考に、印刷調整動作M1を設定することによって、プリンタ10に適した印刷調整動作M1を実行させることができる。なお、推定部73がプリンタ指示装置100に備えられていた場合であっても、プリンタ10の送信部75によってプリンタ10が過去に実行した印刷調整動作M1である過去印刷調整動作M2をプリンタ指示装置100に送信することで、上記と同様の効果が得られる。
【0111】
本実施形態では、推定部73は、過去印刷調整動作M2を入力し、かつ、提示印刷調整動作M3を出力とした機械学習によって提示印刷調整動作M3を推定する。このように、機械学習によって提示印刷調整動作M3を推定することによって、プリンタ10が実行する可能性が高い提示印刷調整動作M3をユーザに提示することができる。
【0112】
本実施形態では、
図9に示すように、プリンタ指示装置100は、指示記憶部110を備えている。指示記憶部110には、過去にプリンタ10に指示した印刷調整動作M1である過去印刷調整動作M2が記憶されていてもよい。推定部73は、過去印刷調整動作M2に基づいて、ユーザに提示する印刷調整動作M1である提示印刷調整動作M3を推定してもよい。このとき、推定部73は、プリンタ指示装置100に備えられてもよいし、プリンタ10の制御装置70に備えられてもよい。このことによって、プリンタ10に指示する可能性が高い提示印刷調整動作M3をユーザに提示することができる。
【0113】
なお、上記実施形態では、
図9のタイミング取得部115は、動作取得部111によって取得された印刷調整動作M1をプリンタ10が実行するタイミングを取得していた。しかしながら、タイミング取得部115は、動作取得部111によって取得された印刷調整動作M1をプリンタ10に完了させるタイミングを取得してもよい。例えばタイミング取得部115は、プリンタ10が複数の印刷調整動作M1を開始するタイミングではなく、プリンタ10が複数の印刷調整動作M1を完了させるタイミングを取得してもよい。この場合、指示部117は、印刷開始前に、動作取得部111によって取得された複数の印刷調整動作M1の実行を、タイミング取得部115によって取得されたタイミングまでに、順序取得部113によって取得された実行順序S1で完了させるようにプリンタ10に指示する。このことによって、印刷開始前に、印刷品質に影響を与える複数の印刷調整動作M1が、タイミング取得部115によって取得されたタイミングまでに完了するようにプリンタ10に指示することができる。そのため、プリンタ10は、プリンタ10に適した複数の印刷調整動作M1の実行が完了した後に、印刷を開始することができる。よって、この場合であっても、プリンタ10による印刷品質の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 印刷システム
5 媒体
10 プリンタ
18 支持台
25 媒体搬送機構
30 ヘッド移動機構
35 インクヘッド
36 ノズル面
37 ノズル
41 インクタンク
42 インク流路
50 キャップユニット
51 キャップ
53 吸引ポンプ
60 ワイパーユニット
61 ワイパー
70 制御装置
71 記憶部
73 推定部
75 送信部
100 プリンタ指示装置
111 動作取得部
113 順序取得部
115 タイミング取得部
117 指示部
121 指示受信部
123 提示部
M1 印刷調整動作
M2 過去印刷調整動作
M3 提示印刷調整動作
S1 実行順序
S2 過去実行順序
S3 提示実行順序