(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114235
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B25J15/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019877
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田村 彰久
(72)【発明者】
【氏名】北川 泰章
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707ES05
3C707ES07
3C707ET05
3C707EU07
3C707HS14
3C707KT01
3C707KT05
(57)【要約】
【課題】1つのアクチュエータの駆動で指部材の動作を制御できる把持装置を提供すること。
【解決手段】把持装置10の指部材20は、第1指構成部材21と、第2指構成部材22と、第3指構成部材23と、第1リンク31と、第2リンク32と、アクチュエータ41と、を備える。指部材20には、第1四辺形リンクR1と第2四辺形リンクR2が形成される。把持装置10は、摩擦調整機構60を備える。摩擦調整機構60は、第1四辺形リンクR1の四辺形の形状を維持するために、第1リンク31と第2リンク32との間に発生する摩擦力の大きさを調整する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指部材と、
前記複数の指部材の各々を揺動可能に支持するボディと、を備え、
前記複数の指部材によって物品を把持する把持装置であって、
前記複数の指部材の各々は、
前記ボディに接続される第1指構成部材と、
第1支点を揺動中心として揺動可能に前記第1指構成部材に接続される第2指構成部材と、
第2支点を揺動中心として前記第2指構成部材に揺動可能に接続されるとともに、前記物品を把持する把持部を備える第3指構成部材と、
前記第1支点と前記第2支点の間に位置する第3支点を揺動中心として揺動可能に前記第2指構成部材に接続される第1リンクと、
前記第1リンクに設けられる第4支点、及び前記第3指構成部材に設けられる第5支点の各々を揺動中心として揺動可能に前記第1リンク及び前記第3指構成部材に接続される第2リンクと、
接続支点を揺動中心として揺動可能に前記第1リンクに接続されるとともに、第6支点を揺動中心として揺動可能に前記第1指構成部材に接続されるアクチュエータと、を備え、
前記第2支点と前記第3支点とを繋ぐ第1辺、前記第2支点と前記第5支点とを繋ぐ第2辺、前記第5支点と前記第4支点とを繋ぐ第3辺、前記第3支点と前記第4支点とを繋ぐ第4辺を四辺とし、かつ前記第1辺と前記第3辺とを対辺とするとともに、前記第2辺と前記第4辺を対辺とする第1四辺形リンクが形成されるとともに、
前記第1支点と前記第3支点とを繋ぐ第5辺、前記第3支点と前記接続支点とを繋ぐ第6辺、前記接続支点と前記第6支点とを繋ぐ第7辺、前記第1支点と前記第6支点とを繋ぐ第8辺を四辺とし、かつ前記第5辺と前記第7辺とを対辺とするとともに、前記第6辺と前記第8辺を対辺とする第2四辺形リンクが形成され、
前記第1四辺形リンクの四辺形の変形を抑制するために、当該第1四辺形リンクを構成する前記第1リンクと、当該第1リンクに接する部材との間に発生する摩擦力の大きさを調整する摩擦調整機構を備えることを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記第1リンクは、前記第2指構成部材を挟み込むように一対設けられ、前記摩擦調整機構は、前記一対の第1リンクと、前記一対の第1リンクを挟み込む方向に付勢するばねと、前記ばねの圧縮量を調整するばね調整機構と、を備える請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記摩擦調整機構は、前記第3支点及び前記第4支点のいずれか一方に設けられ、前記摩擦調整機構は、前記第3支点及び前記第4支点のいずれか一方を揺動中心とするボルトが挿通される支点用パイプと、前記支点用パイプを外周側から囲むばねであって、前記ボルトの頭部と前記第1リンクの外面との間に設けられる前記ばねと、前記ばねの圧縮量を調整するために前記ボルトに螺合されるナットと、を備える請求項1に記載の把持装置。
【請求項4】
前記第3指構成部材は、前記物品と接触する把持面を備える板状の把持部を備え、前記把持部は、板厚方向の一方面の前記把持面と、前記板厚方向の他方面の反対面と、前記第2支点からの延出方向の先端に位置する先端面と、を備え、
前記延出方向に直交し、かつ前記把持面の幅が広がる方向を幅方向とすると、
前記把持面は、前記板厚方向において前記幅方向の両端から中央に向けて膨らむ円弧状であり、
前記先端面は、前記幅方向の中央に向けて凹む円弧状であり、かつ前記板厚方向の両端から中央に向けて円弧状に形成されている請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品工場などでは、食品の搬送は、食品を把持した把持装置を、搬送装置で搬送先にまで搬送して行われる。把持装置は、ボディと、ボディに揺動可能に支持された複数の指部材と、を備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された把持装置において、複数の指部材の各々は、第1指構成部材と、第2指構成部材と、第3指構成部材と、を備える。第1指構成部材の基端部は、ボディに一体の指支持部材に取り付けられている。第1指構成部材の先端部には、第2指構成部材の基端部が揺動可能に接続されている。第2指構成部材の先端部には、第3指構成部材の基端部が揺動可能に接続されている。
【0004】
第1指構成部材には、第1エアシリンダが支持されている。第2指構成部材は、第1エアシリンダの駆動によって揺動される。また、第2指構成部材には、第2エアシリンダが支持されている。第3指構成部材は、第2エアシリンダの駆動によって揺動される。複数の指部材の各々は、第1エアシリンダの駆動及び第2エアシリンダの駆動によって揺動される。つまり、複数の指部材の各々の動作は、第1エアシリンダの駆動及び第2エアシリンダの駆動によって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された把持装置は、把持する物品に応じて、第1エアシリンダの駆動と、第2エアシリンダの駆動とを個別に制御する必要がある。このため、特許文献1に開示された把持装置は、例えば、柔らかい物品を把持する場合においては、物品を変形させないように、第1エアシリンダの駆動と、第2エアシリンダの駆動とを個別に制御する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための把持装置は、複数の指部材と、前記複数の指部材の各々を揺動可能に支持するボディと、を備え、前記複数の指部材によって物品を把持する把持装置であって、前記複数の指部材の各々は、前記ボディに接続される第1指構成部材と、第1支点を揺動中心として揺動可能に前記第1指構成部材に接続される第2指構成部材と、第2支点を揺動中心として前記第2指構成部材に揺動可能に接続されるとともに、前記物品を把持する把持部を備える第3指構成部材と、前記第1支点と前記第2支点の間に位置する第3支点を揺動中心として揺動可能に前記第2指構成部材に接続される第1リンクと、前記第1リンクに設けられる第4支点、及び前記第3指構成部材に設けられる第5支点の各々を揺動中心として揺動可能に前記第1リンク及び前記第3指構成部材に接続される第2リンクと、接続支点を揺動中心として揺動可能に前記第1リンクに接続されるとともに、第6支点を揺動中心として揺動可能に前記第1指構成部材に接続されるアクチュエータと、を備え、前記第2支点と前記第3支点とを繋ぐ第1辺、前記第2支点と前記第5支点とを繋ぐ第2辺、前記第5支点と前記第4支点とを繋ぐ第3辺、前記第3支点と前記第4支点とを繋ぐ第4辺を四辺とし、かつ前記第1辺と前記第3辺とを対辺とするとともに、前記第2辺と前記第4辺を対辺とする第1四辺形リンクが形成されるとともに、前記第1支点と前記第3支点とを繋ぐ第5辺、前記第3支点と前記接続支点とを繋ぐ第6辺、前記接続支点と前記第6支点とを繋ぐ第7辺、前記第1支点と前記第6支点とを繋ぐ第8辺を四辺とし、かつ前記第5辺と前記第7辺とを対辺とするとともに、前記第6辺と前記第8辺を対辺とする第2四辺形リンクが形成され、前記第1四辺形リンクの四辺形の変形を抑制するために、当該第1四辺形リンクを構成する前記第1リンクと、当該第1リンクに接する部材との間に発生する摩擦力の大きさを調整する摩擦調整機構を備えることを要旨とする。
【0008】
把持装置について、前記第1リンクは、前記第2指構成部材を挟み込むように一対設けられ、前記摩擦調整機構は、前記一対の第1リンクと、前記一対の第1リンクを挟み込む方向に付勢するばねと、前記ばねの圧縮量を調整するばね調整機構と、を備えていてもよい。
【0009】
把持装置について、前記摩擦調整機構は、前記第3支点及び前記第4支点のいずれか一方に設けられ、前記摩擦調整機構は、前記第3支点及び前記第4支点のいずれか一方を揺動中心とするボルトが挿通される支点用パイプと、前記支点用パイプを外周側から囲むばねであって、前記ボルトの頭部と前記第1リンクの外面との間に設けられる前記ばねと、前記ばねの圧縮量を調整するために前記ボルトに螺合されるナットとを備えていてもよい。
【0010】
把持装置について、前記第3指構成部材は、前記物品と接触する把持面を備える板状の把持部を備え、前記把持部は、板厚方向の一方面の前記把持面と、前記板厚方向の他方面の反対面と、前記第2支点からの延出方向の先端に位置する先端面と、を備え、前記延出方向に直交し、かつ前記把持面の幅が広がる方向を幅方向とすると、前記把持面は、前記板厚方向において前記幅方向の両端から中央に向けて膨らむ円弧状であり、前記先端面は、前記幅方向の中央に向けて凹む円弧状であり、かつ前記板厚方向の両端から中央に向けて円弧状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1つのアクチュエータの駆動で指部材の動作を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図7】第2指構成部材を揺動させた状態を示す図である。
【
図8】第3指構成部材を揺動させ物品を掬い上げた状態を示す図である。
【
図9】物品の中心軸線とボディの中心軸線とがずれた状態を示す図である。
【
図10】第2指構成部材が物品に接触した状態を示す図である。
【
図11】物品とボディとで中心軸線がずれた状態で物品を把持した図である。
【
図12】別の実施形態の指部材を第2方向から見た図である。
【
図13】別の実施形態の摩擦調整機構を示す断面図である。
【
図14】その他の実施形態の指部材を第2方向から見た図である。
【
図15】その他の実施形態の摩擦調整機構を示す断面図である。
【
図16】さらに別の実施形態の指部材を第2方向から見た図である。
【
図17】さらに別の実施形態の摩擦調整機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、把持装置を具体化した一実施形態を
図1~
図11にしたがって説明する。
<把持装置の全体>
図1~
図3に示すように、把持装置10は、ボディ11と、複数の指部材20と、摩擦調整機構60と、を備える。把持装置10は、複数の指部材20によって、ボディ11の下方で物品Bを把持する。
【0014】
<ボディ>
ボディ11は、4本の指部材20の各々を揺動可能に支持する。ボディ11は、ボディ本体12と、4本の指支持部材16と、固定板17と、連結ボルト18と、を備える。ボディ本体12は、板状である。ボディ本体12は、板厚方向の一方面に第1面12aを備えるとともに、板厚方向の他方面に第2面12bを備える。また、ボディ本体12は、第1面12aと第2面12bに繋がる側面12cを備える。第1面12aと第2面12bは平行である。第1面12aと第2面12bは、板厚方向の両端面である。
【0015】
ボディ本体12には、カメラ設置部材14が取り付けられている。カメラ設置部材14は、筒状である。なお、ボディ本体12の中心軸線Mは、ボディ11の中心軸線Mでもある。カメラ設置部材14は、ボディ本体12を板厚方向に貫通している。カメラ設置部材14は、ボディ本体12の第1面12aから突出している。カメラ設置部材14の内部には、カメラCが設置されている。カメラCは、把持装置10によって把持される物品Bを撮像する。
【0016】
カメラ設置部材14において、第1面12aから突出した部分には、連結部13が取り付けられている。連結部13は、図示しない搬送装置に連結される。把持装置10は、連結部13及びカメラ設置部材14を介して搬送装置に連結されている。
【0017】
把持装置10は、複数の緩衝部材15を備えていてもよい。複数の緩衝部材15は、ボディ本体12の第2面12bに取り付けられている。複数の緩衝部材15は、ボディ本体12の中心軸線Mを中心とする周方向に等間隔おきに配置されている。各緩衝部材15は、ゴム製である。緩衝部材15は蛇腹状に形成されている。把持装置10によって物品Bを把持したとき、緩衝部材15は、ボディ本体12の第2面12bと物品Bとの間に介在する。このとき、緩衝部材15は弾性変形する。緩衝部材15の弾性変形により、把持された物品Bがボディ本体12の第2面12bに接触することが抑制されるとともに、物品Bの移動が抑制される。
【0018】
把持装置10は、緩衝部材15を収容するケース26を備えていてもよい。
4本の指支持部材16は、固定ボルト30によってボディ本体12に固定されている。指支持部材16は、ボディ本体12の中心軸線Mを中心とする周方向に等間隔おきに配置されている。各指支持部材16の一部分は、ボディ本体12の側面12cの外に延出している。各指支持部材16は細長いブロック状である。指支持部材16の第1端部16a側は、ボディ本体12の第1面12aに配置されている。各指支持部材16の第2端部16b側は、ボディ本体12の側面12cよりも外に延出している。
【0019】
固定板17は、カメラ設置部材14を囲むとともに、指支持部材16の第1端部16a側に重ねられている。固定板17に挿通された連結ボルト18は、指支持部材16の第1端部16aに螺合されている。連結ボルト18により、固定板17と指支持部材16が連結されている。ボディ本体12に対する指支持部材16の配置角度は、ボディ本体12に対する固定ボルト30の固定位置と、固定板17に対する連結ボルト18の固定位置によって決定される。したがって、固定板17における連結ボルト18を挿通するための孔の位置が異なるものを準備することにより、固定板17の交換によって指支持部材16の配置角度を変更できる。
【0020】
<指部材>
複数の指部材20の各々は、指支持部材16のうち、ボディ本体12の側面12cから延出した部分に接続されている。4本の指部材20の各々は、第1指構成部材21と、第2指構成部材22と、第3指構成部材23と、第1リンク31と、第2リンク32と、アクチュエータ41と、を備える。第1指構成部材21と、第2指構成部材22と、第3指構成部材23と、第1リンク31と、第2リンク32と、アクチュエータ41とは、4本の指部材20で共通の構成である。
【0021】
第1指構成部材21は、接続端部21aと、アクチュエータ支持部21bと、部材支持部21cと、を備える。接続端部21aとアクチュエータ支持部21bは、一直線に並んでいる。4本の指部材20の各々において、接続端部21aとアクチュエータ支持部21bが並ぶ方向を第1方向Xとする。部材支持部21cは、第1方向Xに直交するように接続端部21aから延出している。接続端部21aから部材支持部21cが延出する方向を第3方向Zとする。第1方向Xと第3方向Zに直交する方向を第2方向Yとする。第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは、4本の指部材20の各々に設定されるため、隣り合う指部材20同士では、第1方向X及び第2方向Yは90度ずれている。
【0022】
接続端部21aは、筒状である。接続端部21aには、ボルト挿通溝21dが形成されている。ボルト挿通溝21dは、第1方向Xに長手が延びる。
アクチュエータ支持部21bは、二股に分岐している。アクチュエータ支持部21bの二股状の部分は、第2方向Yに対向するとともに、第2方向Yに離れている。部材支持部21cは、二股に分岐している。部材支持部21cの二股状の部分は、第2方向Yに対向するとともに、第2方向Yに離れている。
【0023】
第2指構成部材22は、長板状である。第2指構成部材22は、第1接続端部22aと、本体部22bと、第2接続端部22cと、を備える。また、第2指構成部材22には、本体部22bの板厚方向の両面から凹む凹部22dが形成されている。第1接続端部22aは、本体部22bの両端部のうちの第1端部から薄板状に延出する。第2接続端部22cは、本体部22bの両端部のうちの第2端部から薄板状に延出する。なお、第2指構成部材22の板厚方向は、第2方向Yと一致する。
【0024】
第3指構成部材23は、把持部24と、一対のリンク形成片25と、を備える。把持部24は、板状である。把持部24は、板厚方向の一方面の把持面24aと、板厚方向の他方面の反対面24bと、先端面24cと、基端面24dと、を備える。把持面24aは、物品Bと接触する面である。
【0025】
把持面24aは、長四角形状である。把持面24aの長辺方向を幅方向Wとする。なお、把持面24aの長辺方向は、後述する指部材20における第2支点L2からの把持部24の延出方向に直交する方向である。把持面24aは、把持面24aの長辺方向に幅が広がる幅広形状である。把持面24aは、幅方向Wの両端から中央に向けて膨らむ円弧状である。把持部24は、幅方向Wの両端から中央に向かうに従い板厚が厚くなる。
【0026】
把持部24を把持面24aから見て、先端面24cは、幅方向Wの中央に向けて凹む円弧状である。また、先端面24cは、板厚方向の両端から中央に向けて円弧状に形成されている。先端面24cは丸みを帯びた形状である。基端面24dは、先端面24cと反対側に位置する面である。基端面24dは平坦面である。そして、把持部24は、指部材20における物品Bを把持する部分である。したがって、第3指構成部材23は、物品Bを把持する把持部24を備える。
【0027】
一対のリンク形成片25の各々は、基端面24dから延出する。一対のリンク形成片25の各々は、反対面24bから突出するように延出する。一対のリンク形成片25の各々は、長四角板状である。
【0028】
一対の第1リンク31の各々は長四角板状である。各第1リンク31は、長さ方向の一端部に第1端部31bを備えるとともに、長さ方向の他端部に第2端部31cを備える。第2リンク32は、一枚の長四角板状である。第2リンク32は、長さ方向の一端部に第1端部32aを備えるとともに、長さ方向の他端部に第2端部32bを備える。
【0029】
アクチュエータ41は、エアシリンダである。アクチュエータ41は、チューブ41aと、ロッド41bと、を備える。ロッド41bは、チューブ41aに対するエアの給排によってチューブ41aに対し進退する。ロッド41bは、チューブ41aの下端から進退する。ロッド41bの先端には、二股状の接続部材44が接続されている。接続部材44は、チューブ41aに対するロッド41bの進退により変位する。チューブ41aの外面には、環状部材42が取り付けられている。
【0030】
<指部材の全体>
第1指構成部材21は、接続端部21aによって指支持部材16の第2端部16b側に接続されている。つまり、第1指構成部材21は、ボディ11に接続されている。接続端部21aには、指支持部材16の第2端部16b側が挿入されている。接続端部21aのボルト挿通溝21dに挿通された取付ボルト19は、指支持部材16の第2端部16b側に螺合されている。これにより、第1指構成部材21は、指支持部材16に接続されている。なお、ボルト挿通溝21dに対する取付ボルト19の挿通位置を調整することにより、指支持部材16に対する第1指構成部材21の接続位置を第1方向Xに調整できる。指支持部材16と、接続端部21aと、アクチュエータ支持部21bとは、第1方向Xへ一直線に並んでいる。
【0031】
第2指構成部材22の第1接続端部22aは、第1指構成部材21の部材支持部21cの二股に分岐した部分の内側に配置されている。第1接続端部22aと第2接続端部22cとは、第1支軸51によって連結されている。第2指構成部材22の第1接続端部22aは、第1支軸51を揺動中心として揺動可能に第1指構成部材21に接続されている。第1支軸51は、指部材20における第1支点L1である。第2指構成部材22の第1接続端部22aは、第1支点L1を揺動中心として揺動可能に第1指構成部材21に接続される。したがって、第2指構成部材22は、第1支点L1を揺動中心として揺動可能に第1指構成部材21に接続される。
【0032】
第2指構成部材22の第2接続端部22cは、第3指構成部材23の一対のリンク形成片25の間に配置されている。第2接続端部22cとリンク形成片25とは、第2支軸52によって連結されている。第3指構成部材23のリンク形成片25は、第2支軸52を揺動中心として揺動可能に第2指構成部材22に接続されている。第2支軸52は、指部材20における第2支点L2である。したがって、第3指構成部材23は、第2支点L2を揺動中心として揺動可能に第2指構成部材22に接続される。一対のリンク形成片25の各々は、第2支点L2よりも外側へ延出している。第3指構成部材23の把持部24の先端面24cは、第2支点L2からの延出方向の先端に位置する。
【0033】
図3及び
図4に示すように、一対の第1リンク31は、第2指構成部材22の本体部22bを挟み込んでいる。各第1リンク31の第1端部31bは、第2指構成部材22の凹部22dに収容されている。各第1リンク31の第1端部31bと本体部22bとは、第3支軸53によって連結されている。第1端部31bと本体部22bとの間にはワッシャ29が介在している。また、第3支軸53の周面と、この周面に対向する第1リンク31の内周面との間には、スリーブ28が介在している。なお、第3支軸53は、頭部53aと、軸部53bとを備える。頭部53aは、一対の第1リンク31のうちの一方の第1リンク31の外面に配置されるとともに、他方の第1リンク31の外面からは軸部53bが突出している。軸部53bには、抜け止めリング27が装着されている。
【0034】
一対の第1リンク31は、第2指構成部材22を挟み込むように設けられている。一対の第1リンク31の第1端部31bは、第3支軸53を揺動中心として揺動可能に第2指構成部材22に接続されている。第3支軸53は、指部材20における第3支点L3である。また、第3支点L3は、第1支点L1と第2支点L2の間に位置する。第1リンク31の第1端部31bは、第3支点L3を揺動中心として揺動可能に第2指構成部材22に接続される。したがって、第1リンク31は、第3支点L3を揺動中心として揺動可能に第2指構成部材22に接続される。
【0035】
一対の第1リンク31の第2端部31cは、第2リンク32の第1端部32aを挟み込んでいる。また、一対の第1リンク31の第2端部31cの外側には、接続部材44が配置されている。そして、接続部材44と、各第1リンク31の第2端部31cと、第2リンク32の第1端部32aとは、第4支軸54によって揺動可能に接続されている。なお、接続部材44と第1リンク31の第2端部31cとの間にはワッシャ29が介在するとともに、一対の第1リンク31と第2リンク32との間にはワッシャ29が介在している。また、第4支軸54の周面と、この周面に対向する第1リンク31の内周面及び接続部材44の内周面との間には、スリーブ28が介在している。なお、第4支軸54は、頭部54aと、軸部54bとを備える。頭部54aは、接続部材44のうちの一方の外面に配置されるとともに、他方の外面からは軸部54bが突出している。軸部54bには、抜け止めリング27が装着されている。一対の第1リンク31の第2端部31cは、第4支軸54を揺動中心として揺動可能に第2リンク32及び接続部材44に接続されている。したがって、第1リンク31は、第3支点L3を揺動中心として揺動可能に第2指構成部材22に接続される。第4支軸54は、指部材20における第4支点L4である。
【0036】
第4支点L4は、第1リンク31とアクチュエータ41との接続支点である。
以下の説明において、場合によっては、一対の第1リンク31のうちの一方の第1リンク31の部材番号を「311」と記載するとともに、一対の第1リンク31のうちの他方の第1リンク31の部材番号を「312」と記載する場合がある。一方の第1リンク311は、軸部54bの突出する側の第1リンク31であるとともに、他方の第1リンク312は、頭部54a側の第1リンク31である。
【0037】
第1リンク311は、雌ねじ孔31gを備える。雌ねじ孔31gは、第1リンク311における第3支軸53と第4支軸54との間となる位置に形成されている。雌ねじ孔31gは、第2リンク32を挟み込む方向に第1リンク311を貫通する。
【0038】
第1リンク312は、挿通孔31hを備える。挿通孔31hは、第1リンク312における第3支軸53と第4支軸54との間となる位置に形成されている。挿通孔31hは、雌ねじ孔31gと同軸上に位置する。挿通孔31hは、第2リンク32を挟み込む方向に第1リンク312を貫通する。挿通孔31hは、第2リンク32側の内面と反対面となる外面側に収容凹部31fを備える。収容凹部31fは、挿通孔31hのうち、第2リンク32側の孔径より大径の孔である。第1リンク312は、収容凹部31fと、収容凹部31fより小径の孔との間に段差面31jを備える。なお、収容凹部31fは、第1リンク312に形成されていなくてもよい。
【0039】
図1~
図3に示すように、第2リンク32の第2端部32bは、第3指構成部材23の一対のリンク形成片25の間に配置されている。第2リンク32の第2端部32bとリンク形成片25とは、第5支軸55によって連結されている。第5支軸55は、指部材20における第5支点L5である。そして、第3指構成部材23は、第1リンク31に設けられる第4支点L4、及び第3指構成部材23に設けられる第5支点L5の各々を揺動中心として揺動可能に第1リンク31及び第3指構成部材23に接続される。
【0040】
アクチュエータ支持部21bの二股状の部分の各々と、環状部材42とは、第6支軸56によって連結されている。アクチュエータ41は、第6支軸56を揺動中心として揺動可能に第1指構成部材21に接続されている。第6支軸56は、指部材20における第6支点L6である。したがって、アクチュエータ41は、接続支点としての第4支点L4を揺動中心として揺動可能に第1リンク31に接続されるとともに、第6支点L6を揺動中心として揺動可能に第1指構成部材21に接続される。
【0041】
<第1四辺形リンク>
図5に示すように、指部材20には、第1四辺形リンクR1が形成されている。第1四辺形リンクR1は、指部材20を第2方向Yに見たときに仮想的に形成される四辺形である。第1四辺形リンクR1は、第2支点L2と、第3支点L3と、第4支点L4と、第5支点L5とを四辺形の頂点とする。第1四辺形リンクR1は、第1辺H1と、第2辺H2と、第3辺H3と、第4辺H4と、を備える。第1辺H1は、第2支点L2と第3支点L3とを繋ぐ。第1辺H1は、第2指構成部材22の一部に存在する。第2辺H2は、第2支点L2と第5支点L5とを繋ぐ。第2辺H2は、第3指構成部材23のリンク形成片25に存在する。第3辺H3は、第5支点L5と第4支点L4とを繋ぐ。第3辺H3は、第2リンク32に存在する。第4辺H4は、第3支点L3と第4支点L4とを繋ぐ。第4辺H4は、第1リンク31に存在する。第1四辺形リンクR1は、第1辺H1と第3辺H3を対辺とするとともに、第2辺H2と第4辺H4を対辺とする。
【0042】
<第2四辺形リンク>
指部材20には、第2四辺形リンクR2が形成されている。第2四辺形リンクR2は、指部材20を第2方向Yに見たときに仮想的に形成される四辺形である。第2四辺形リンクR2は、第1支点L1と、第3支点L3と、第4支点L4と、第6支点L6とを四辺形の頂点とする。第2四辺形リンクR2は、第5辺H5と、第6辺H6と、第7辺H7と、第8辺H8と、を備える。第5辺H5は、第1支点L1と第3支点L3とを繋ぐ。第5辺H5は、第2指構成部材22の一部に存在する。第6辺H6は、第3支点L3と接続支点としての第4支点L4とを繋ぐ。第6辺H6は、第1リンク31に存在する。第6辺H6は、第1四辺形リンクR1の第4辺H4と一致する。第1四辺形リンクR1と第2四辺形リンクR2は、共通の辺を第4辺H4及び第6辺H6として備える。第7辺H7は、接続支点としての第4支点L4と第6支点L6とを繋ぐ。第7辺H7は、アクチュエータ41に存在する。第8辺H8は、第1支点L1と第6支点L6とを繋ぐ。第2四辺形リンクR2は、第5辺H5と第7辺H7を対辺とするとともに、第6辺H6と第8辺H8を対辺とする。
【0043】
指部材20は、アクチュエータ41のチューブ41aに対するロッド41bの進退に応じて動作する。チューブ41aからロッド41bが突出すると、接続部材44及び第4支軸54によって第1リンク31及び第2リンク32が押される。すると、第1リンク31及び第2リンク32によって、第1指構成部材21、第2指構成部材22、及び第3指構成部材23にアクチュエータ41による押圧力が伝わる。つまり、第2四辺形リンクR2の第7辺H7の長さが変更されて第2四辺形リンクR2の形状が変形する。これにより、第1支点L1を中心とした第2指構成部材22を揺動させる力と、第1四辺形リンクR1を変形させて、第2支点L2を中心とした第3指構成部材23を揺動させる力とが発生する。このとき、摩擦調整機構60による摩擦力の調整によって、指部材20を構成する部材のうち、揺動の規制される部材、及び揺動する部材があることにより、指部材20の動作が制御される。
【0044】
<摩擦調整機構>
摩擦調整機構60は、第1四辺形リンクR1の変形を抑制するように、第1四辺形リンクR1を構成する第1リンク31と、当該第1リンク31に接する部材との間に発生する摩擦力の大きさを調整する。本実施形態では、摩擦調整機構60は、第1リンク31と第2リンク32、及び第1リンク31と第2指構成部材22との間に発生する摩擦力の大きさを調整する。この調整の場合、第2四辺形リンクR2において、第1支点L1を中心とする第5辺H5の揺動、及び第6支点L6と第4支点L4を中心とする第7辺H7の揺動の際に摩擦力が発生しない。このため、第2四辺形リンクR2の変形は、摩擦調整機構60によって抑制されない。
【0045】
図4及び
図5に示すように、摩擦調整機構60は、一対の第1リンク31と、ばね61と、ばね調整機構62と、を備える。ばね調整機構62は、ボルト63と、ナット64とを備える。ボルト63は、頭部63aと、軸部63bと、を備える。ボルト63の軸部63bは、他方の第1リンク312の挿通孔31hに挿通されるとともに、一方の第1リンク311の雌ねじ孔31gに螺合されている。ボルト63の軸部63bは、一対の第1リンク31の各々における第3支軸53と第4支軸54との間となる位置に挿通されている。
【0046】
ボルト63の頭部63aは、他方の第1リンク312の外面側に配置されるとともに、ボルト63の軸部63bは、一方の第1リンク311の外面から突出している。軸部63bの突出端部にはナット64が螺合されている。ナット64は、軸部63bと雌ねじ孔31gとの緩み止めとして機能する二重ナットである。ばね61は、ボルト63の頭部63aと、他方の第1リンク312の外面との間に挟み込まれている。ばね61の第1端部は、頭部63aに接触するとともに、ばね61の第2端部は、段差面31jに接触している。ばね61は、頭部63aと段差面31jとの間で圧縮されている。
【0047】
ばね61には、ボルト63の軸部63bが挿通されている。圧縮されたばね61の原形状への復帰力により、一対の第1リンク31は互いに近付く方向に付勢されている。つまり、ばね61は、一対の第1リンク31を挟み込む方向に付勢する。圧縮されたばね61の原形状への復帰力により、一対の第1リンク31は、第2リンク32を挟み込む方向に付勢されている。
【0048】
ばね61の圧縮量は、第1リンク311の雌ねじ孔31gとボルト63との螺合量を調整することにより調整できる。したがって、ばね調整機構62は、ばね61の圧縮量を調整する。ばね61の圧縮量が多くなるほど、一対の第1リンク31によって第2リンク32及び第2指構成部材22を挟み込む方向への付勢力が強くなる。この付勢力が大きくなるほど、ワッシャ29を介して、一対の第1リンク31と第2リンク32との間に発生する摩擦力が大きくなるとともに、ワッシャ29を介して、一対の第1リンク31と第2指構成部材22の本体部22bとの間に発生する摩擦力が大きくなる。以下、第1リンク31と第2リンク32との間に発生する摩擦力を「第4支点L4での摩擦力」と記載する。また、第1リンク31と第2指構成部材22との間に発生する摩擦力を「第3支点L3での摩擦力」と記載する。
【0049】
第4支点L4での摩擦力が大きくなるほど、第4支軸54が回転しつつも、第1リンク31と第2リンク32とは相対移動し難くなる。そして、第4支点L4での摩擦力が大きくなるほど、第1四辺形リンクR1において、第3辺H3と第4辺H4とが変位しにくくなる。
【0050】
同じく、第3支点L3での摩擦力が大きくなるほど、第3支軸53が回転しつつも、第1リンク31と第2指構成部材22とは相対移動し難くなる。そして、第3支点L3での摩擦力が大きくなるほど、第1四辺形リンクR1において、第1辺H1と第4辺H4とが変位しにくくなる。
【0051】
したがって、第3支点L3での摩擦力、及び第4支点L4での摩擦力が大きくなるほど、第1四辺形リンクR1における、第1辺H1と、第3辺H3と、第4辺H4とが変位しにくくなるため、第2辺H2も変位しにくくなる。その結果、摩擦調整機構60によって摩擦力を大きくすることにより、第1四辺形リンクR1の四辺形の形状を維持できるようになっている。つまり、摩擦調整機構60によって摩擦力を大きくすることにより、アクチュエータ41によって指部材20が押圧されても、第1四辺形リンクR1の変形を抑制できるようになっている。したがって、摩擦調整機構60は、第1四辺形リンクR1の四辺形の変形を抑制する。
【0052】
第1指構成部材21の部材支持部21cと、第2指構成部材22の第1接続端部22aとの間に発生する摩擦力を、「第1支点L1での摩擦力」とする。第2指構成部材22の第2接続端部22cと、第3指構成部材23のリンク形成片25との間に発生する摩擦力を、「第2支点L2での摩擦力」とする。第2リンク32の第2端部32bと第3指構成部材23のリンク形成片25との間に発生する摩擦力を、「第5支点L5での摩擦力」とする。第1指構成部材21のアクチュエータ支持部21bとアクチュエータ41との間に発生する摩擦力を、「第6支点L6での摩擦力」とする。
【0053】
把持装置10では、摩擦調整機構60による摩擦力の調整により、第3支点L3での摩擦力及び第4支点L4での摩擦力は、第1支点L1、第2支点L2、第5支点L5、及び第6支点L6それぞれでの摩擦力より大きく設定している。
【0054】
<把持装置の動作及び作用>
図3及び
図6に示すように、指部材20は、初期位置を取る。なお、以下の説明においては、物品Bの中心軸線Gがボディ11の中心軸線Mに一致しているものとする。
【0055】
初期位置は、第2指構成部材22及び第3指構成部材23の各々をボディ11の中心軸線Mから第1方向Xに最も離した位置である。4本の指部材20が初期位置にあると、第1方向Xに対向する指部材20同士は、最も離れる。把持装置10は、物品Bを把持するとき、初期位置から動作する。
【0056】
指部材20が初期位置にあるとき、アクチュエータ41に対してエアが供給されると、
図7に示すように、チューブ41aからロッド41bが突出する。第3支点L3での摩擦力及び第4支点L4での摩擦力は、第1支点L1での摩擦力及び第6支点L6での摩擦力より大きい。つまり、第1四辺形リンクR1には、摩擦調整機構60による摩擦力が発生している。このため、摩擦力が発生していない第2四辺形リンクR2と比べて第1四辺形リンクR1は変形しにくくなっている。このため、指部材20は、第1四辺形リンクR1を構成する第2指構成部材22と第3指構成部材23とが、相対位置関係を維持しながら、第1支点L1及び第6支点L6を揺動中心として揺動する。その結果、第1支点L1を揺動中心として第2指構成部材22が揺動する。
【0057】
このとき、第3支点L3及び第4支点L4を揺動中心とした指部材20の揺動は発生しない。よって、第2四辺形リンクR2の四辺形の形状は維持されたまま、第2四辺形リンクR2の位置が変位する。また、第1四辺形リンクR1の四辺形の形状は維持されたままである。つまり、第1四辺形リンクR1の四辺形及び第2四辺形リンクR2の四辺形の変形が抑制されたまま指部材20が揺動する。したがって、第2四辺形リンクR2の第7辺H7の長さは変化しない。このため、指部材20において、第2支点L2、第3支点L3、第4支点L4及び第5支点L5を揺動中心とした指部材20の変位は発生しない。すると、4本の指部材20の第2指構成部材22の各々は、物品Bの側面に向けて変位していく。その後、4本の第2指構成部材22の各々は、物品Bの側面に接触する。
【0058】
図8に示すように、さらにアクチュエータ41に対してエアが供給されると、チューブ41aからロッド41bが突出する。このとき、物品Bに対する第2指構成部材22の接触により、第1支点L1を揺動中心とした第2指構成部材22の揺動が規制される。つまり、物品Bからの反力により、第1支点L1を揺動中心とした第2指構成部材22の揺動が規制される。第1四辺形リンクR1に発生している摩擦力に対して反力が大きくなっていった結果、第1四辺形リンクR1の変形が可能になる。そして、アクチュエータ41による押圧力が、第3支点L3での摩擦力及び第4支点L4での摩擦力を上回ると、指部材20は、第3支点L3及び第4支点L4を揺動中心として第1リンク31及び第2リンク32が揺動する。このとき、第2指構成部材22の揺動は規制されているため、相対的にモーメントが小さくなり、第1リンク31及び第2リンク32が揺動する。つまり、第7辺H7の長さが変更されて第2四辺形リンクR2の形状が変化する。このとき、第1支点L1を中心として第2指構成部材22を揺動させようとする力と、第1四辺形リンクR1を変形させて第2支点L2を中心として第3指構成部材23を揺動させようとする力と、が発生する。しかし、第2指構成部材22の揺動は規制されているため、第1リンク31及び第2リンク32の揺動に伴い、第1四辺形リンクR1の四辺形の形状が変化する。すると、第2指構成部材22の位置が維持された状態で、第2支点L2を揺動中心として第3指構成部材23が揺動するため、第3指構成部材23は、把持部24が物品Bに近付くように揺動する。
【0059】
その結果、アクチュエータ41に対してエアが供給されると、第3指構成部材23のみが揺動して、把持部24によって物品Bが掬い上げられる。すると、物品Bは、4本の第2指構成部材22によって4箇所から挟み込まれるとともに、4つの第3指構成部材23の把持部24によって下方から掬い上げられる。
【0060】
次に、
図9に示すように、物品Bの中心軸線Gが、ボディ11の中心軸線Mからずれている状態での物品Bの把持について説明する。
図9は、把持装置10の初期位置を示す。
図10に示すように、把持装置10が初期位置から動作を開始すると、4本の指部材20の各々は、第1支点L1及び第6支点L6を揺動中心として揺動する。そして、4本の指部材20のうち、物品Bに近い指部材20から順番に物品Bの側面に接触していく。指部材20が物品Bに接触すると、第2指構成部材22の揺動は規制される。その後、第3指構成部材23が揺動を開始する。物品Bに把持部24の接触していない指部材20においては、摩擦調整機構60による摩擦力の調整により、第1四辺形リンクR1の四辺形の変形が抑制されるとともに第2四辺形リンクR2の四辺形の変形が抑制される。
【0061】
そして、
図11に示すように、4本の指部材20の各々において、第2指構成部材22の揺動が規制された指部材20から順番に第3指構成部材23のみが揺動して、把持部24が物品Bの側面に近付く。そして、4本の指部材20の全てにおいて、把持部24が揺動を完了すると、物品Bが掬い上げられる。その結果、物品Bは、当該物品Bの中心軸線Gをボディ11の中心軸線Mからずらしたままの状態で把持装置10によって把持される。
【0062】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)摩擦調整機構60による摩擦力の大きさの調整により、1つのアクチュエータ41だけで、第2指構成部材22及び第3指構成部材23の各々を別々のタイミングで揺動させることができる。よって、第2指構成部材22の揺動のためのアクチュエータと、第3指構成部材23の揺動のためのアクチュエータとを別々に指部材20に設けることなく、指部材20で物品Bを掬い上げて把持できる。具体的には、初めに第2指構成部材22が物品Bの側面に倣った状態での物品Bへの接触に伴う揺動停止と、その揺動停止後の、第3指構成部材23が物品Bを下方から掬い上げての把持と、を1つのアクチュエータ41の制御で行うことができる。したがって、把持装置10において、物品Bの把持のために行う指部材20の制御が容易となる。
【0063】
(2)摩擦調整機構60によって摩擦力の大きさを調整することにより、第3指構成部材23の揺動し易さを調整できる。第3指構成部材23を揺動し易く調整することにより、第2指構成部材22の揺動から第3指構成部材23の揺動への切替を速くできる。よって、柔らかい物品Bに対して、第2指構成部材22を外側から優しく接触させることができるとともに、第3指構成部材23の把持部24により下方から掬い上げることができる。このため、物品Bを第2指構成部材22及び第3指構成部材23の把持部24で把持したとき、物品Bの変形を抑制できる。
【0064】
(3)摩擦調整機構60は、一対の第1リンク31と、ばね61と、ばね調整機構62と、第1リンク311の雌ねじ孔31gと、からなる。そして、ボルト63と、雌ねじ孔31gとの螺合量を調整して、ばね61の圧縮量を調整することで第3支点L3での摩擦力及び第4支点L4での摩擦力を調整できる。よって、ばね61と、ボルト63と、雌ねじ孔31gと、を備える簡単な摩擦調整機構60で摩擦力を調整できる。ひいては、簡単な構成の追加だけで、物品Bを掬い上げての把持を1つのアクチュエータ41の制御で行うことができる。
【0065】
(4)把持部24において、把持面24aは物品Bに向けて円弧状に膨らむ。また、先端面24cも円弧状に丸みを帯びた形状である。このため、把持部24を物品Bに接触させたとき、把持部24のエッジが物品Bに接触することがないため、物品Bの損傷を抑制できる。また、把持部24が物品Bに接触したとき、物品Bの荷重を把持部24に分散できるため、物品Bの損傷を抑制できる。
【0066】
(5)摩擦調整機構60による摩擦力の大きさの調整により、物品Bの中心軸線Gが、ボディ11の中心軸線Mとずれていた場合であっても、各指部材20は、第1四辺形リンクR1の四辺形の形状、及び第2四辺形リンクR2の四辺形の形状を維持したまま物品Bの側面に接触する。そして、摩擦調整機構60による摩擦力の大きさの調整により、物品Bの側面に第2指構成部材22が接触した後は、第3指構成部材23のみを揺動させて物品Bを把持して掬い上げることができる。その結果、摩擦調整機構60を指部材20に設けることにより、ボディ11の中心軸線Mからずれた物品Bであっても、把持装置10によって把持できる。
【0067】
(6)摩擦調整機構60によって、第3支点L3での摩擦力及び第4支点L4での摩擦力の大きさを調整できる。これらの摩擦力の大きさを調整することにより、第2指構成部材22が揺動した後に、第3指構成部材23が揺動するタイミングを調整できる。例えば、摩擦力を小さくすれば、第3指構成部材23を速やかに揺動させることが可能になる。よって、摩擦調整機構60によって摩擦力の大きさを調整することで、物品Bに応じて、把持装置10による把持の仕方を変更できる。
【0068】
(7)摩擦調整機構60によって、第3支点L3での摩擦力及び第4支点L4での摩擦力を、他の支点での摩擦力より大きくすることで、第2指構成部材22のみの揺動と、第3指構成部材23のみの揺動とを可能にする。その一方、第1支点L1~第6支点L6の全てについて、揺動させるために必要なトルクは調整する必要がない。よって、摩擦調整機構60を設けるだけで、トルクを調整することなく、物品Bを掬い上げて把持できる。
【0069】
(8)把持装置10は、ボディ11の下面に複数の緩衝部材15を備える。そして、物品Bを把持装置10で把持したとき、緩衝部材15は、物品Bとボディ本体12の第2面12bとの間で弾性変形する。弾性変形した緩衝部材15によって、物品Bを把持部24に向けて柔らかく押さえることができる。これにより、ボディ本体12と把持部24との間で物品Bの移動を抑制できる。よって、搬送装置によって把持装置10とともに物品Bを搬送するとき、物品Bが移動するのを抑制できる。
【0070】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○
図12及び
図13に示すように、把持装置10において、一対の第1リンク31の各々は、実施形態に比べて長さ方向に長い長四角板状である。第2リンク32の第1端部32aは、第1リンク31の第1端部31bと第2端部31cとの間に配置されている。第4支軸54は、第1リンク31の第1端部31bと第2端部31cの間で、一対の第1リンク31と第2リンク32の第1端部32aに挿通されている。
【0071】
一対の第1リンク31の中間部は、第2リンク32の第1端部32aを挟み込んでいる。また、一対の第1リンク31の外側には、接続部材44が配置されている。そして、接続部材44と、各第1リンク31の中間部と、第2リンク32の第1端部32aとは、第4支軸54によって連結されている。したがって、第4支点L4は、アクチュエータ41との接続支点でもある。
【0072】
摩擦調整機構60のばね61及びばね調整機構62は、第1リンク31の第2端部31c側に設けられている。つまり、摩擦調整機構60のばね61及びばね調整機構62は、第4支軸54よりも第2端部31c寄りに配置されている。ばね調整機構62のボルト63は、第1リンク312の挿通孔31hに挿通されるとともに、第1リンク311の雌ねじ孔31gに螺合されている。ナット64は、軸部63bと雌ねじ孔31gとの緩み止めとして機能する二重ナットである。
【0073】
そして、摩擦調整機構60は、第1四辺形リンクR1の変形を抑制するように、第1四辺形リンクR1を構成する第1リンク31と、当該第1リンク31に接する第2リンク32との間に発生する摩擦力の大きさを調整する。
【0074】
○
図14及び
図15に示すように、把持装置10において、摩擦調整機構60を第3支点L3に設けてもよい。この場合、第4支点L4は、アクチュエータ41と指部材20との接続支点となる。一対の第1リンク31のうちの一方の第1リンク311には雌ねじ孔31gは形成されていない。第1リンク311の第1端部31bには、雌ねじ孔31gの代わりに、挿通孔31hが形成されている。挿通孔31hには、雌ねじは形成されていない。挿通孔31hは、第1リンク311を板厚方向に貫通する。
【0075】
また、一対の第1リンク31のうちの他方の第1リンク312の第1端部31bには、大径孔31haと小径孔31hbとが形成されている。大径孔31haと小径孔31hbとは、第1リンク312の板厚方向に連続する。大径孔31haは、第1リンク312の板厚方向の両面のうち、第2リンク32側に形成されている。
【0076】
各第1リンク31の第1端部31bは、第2指構成部材22の凹部22dに収容されている。各第1リンク31の第1端部31bと本体部22bには、支点用パイプ71が挿通されている。具体的には、第1リンク311の挿通孔31hと、本体部22bと、第1リンク312の大径孔31ha及び小径孔31hbには、支点用パイプ71が挿通されている。第1リンク311の挿通孔31hにはスリーブ28が挿入されているとともに、第1リンク312の大径孔31haにはスリーブ28が挿入されている。したがって、支点用パイプ71の周面と、この周面に対向する第1リンク31の内周面との間には、スリーブ28が介在している。第1端部31bと本体部22bとの間にはワッシャ29が介在している。
【0077】
支点用パイプ71には、摩擦調整機構60におけるばね調整機構62のボルト63が挿通されている。ボルト63の頭部63aは、一対の第1リンク31のうちの他方の第1リンク312の外面に配置されるとともに、第1リンク311の外面からは軸部63bが突出している。軸部63bには二重にナット64が螺合されている。頭部63aと第1リンク312の外面との間には、ばね61が設けられる。ばね61は、支点用パイプ71を外周側から囲む。
【0078】
そして、各第1リンク31の第1端部31bと本体部22bとは、支点用パイプ71によって連結されている。支点用パイプ71は、第3支点L3を構成する。ばね調整機構62のボルト63は、支点用パイプ71の中空部に装着されている。したがって、摩擦調整機構60は、第3支点L3を揺動中心とするボルト63が挿通される支点用パイプ71と、支点用パイプ71を外周側から囲むばね61と、ばね61の圧縮量を調整するために、ボルト63に螺合される二重のナット64と、を備える。
【0079】
摩擦調整機構60は、第1四辺形リンクR1の変形を抑制するように、第1四辺形リンクR1を構成する第1リンク31と、当該第1リンク31に接する第2指構成部材22との間に発生する摩擦力の大きさを調整する。
【0080】
摩擦調整機構60を第3支点L3に設けるため、第3支軸として機能する支点用パイプ71を一対の第1リンク31及び第2指構成部材22に挿通している。この場合、第1リンク31の第1端部31bに形成した孔は、実施形態に比べて大径化するが、第1リンク31に形成される孔の数は、実施形態の3つから1つ減るとともに、第1リンク31の長さ方向への寸法も短くなる。このため、実施形態に比べて、第1リンク31の剛性を高めることができる。
【0081】
○
図14及び
図15に示す形態において、第1リンク31は、1枚だけとしてもよい。この場合、第2指構成部材22の本体部22bと1枚の第1リンク31とは、ばね調整機構62のボルト63と二重のナット64で挟み込まれている。また、第1リンク31と第2リンク32とは、接続部材44で挟み込まれるとともに、第1リンク31と、第2リンク32と、接続部材44とは、第4支軸54の頭部54aと抜け止めリング27で挟み込まれている。これらにより、第1リンク31と、第2リンク32と、接続部材44とは、第4支軸54で連結されている。
【0082】
○
図16及び
図17に示すように、把持装置10において、一対の第1リンク31の各々は、実施形態に比べて長さ方向に長い長四角板状である。第2リンク32の第1端部32aは、第1リンク31の第1端部31bと第2端部31cとの間に配置されている。一対の第1リンク31のうちの一方の第1リンク311には雌ねじ孔31gは形成されていない。第1リンク311の第1端部31bと第2端部31cとの間には、雌ねじ孔31gの代わりに、挿通孔31hが形成されている。挿通孔31hには、雌ねじは形成されていない。挿通孔31hは、第1リンク311を板厚方向に貫通する。
【0083】
また、一対の第1リンク31のうちの他方の第1リンク312の第1端部31bと第2端部31cとの間には、大径孔31haと小径孔31hbとが形成されている。大径孔31haと小径孔31hbとは、第1リンク312の板厚方向に連続する。大径孔31haは、第1リンク312の板厚方向の両面のうち、第2リンク32側に形成されている。
【0084】
摩擦調整機構60のボルト63は、第1リンク31の第1端部31bと第2端部31cの間で、一対の第1リンク31と第2リンク32の第1端部32aに挿通されている。
また、一対の第1リンク31の第2端部31cは、アクチュエータ41のロッド41bの先端部41cを挟み込んでいる。なお、アクチュエータ41は、ロッド41bの先端に、接続部材44に代えて先端部41cを備える。先端部41cは、板状である。そして、アクチュエータ41の先端部41cと、各第1リンク31の第2端部31cとは、第7支軸57によって連結されている。第7支軸57は、頭部57aと、軸部57bとを備える。したがって、第7支点L7は、アクチュエータ41と第1リンク31との接続支点でもある。
【0085】
摩擦調整機構60は、第4支点L4に設けられている。したがって、摩擦調整機構60は、第1リンク31の第1端部31bと第2端部31cの間に設けられている。
各第1リンク31の中間部と、第2リンク32の第1端部32aとには、支点用パイプ71が挿通されている。具体的には、第1リンク311の挿通孔31hと、第2リンク32の第1端部32aと、第1リンク312の大径孔31ha及び小径孔31hbには、支点用パイプ71が挿通されている。第1リンク311の挿通孔31hにはスリーブ28が挿入されているとともに、第1リンク312の大径孔31haにはスリーブ28が挿入されている。したがって、支点用パイプ71の周面と、この周面に対向する第1リンク31の内周面との間には、スリーブ28が介在している。第1端部31bと本体部22bとの間にはワッシャ29が介在している。
【0086】
支点用パイプ71には、摩擦調整機構60におけるばね調整機構62のボルト63が挿通されている。ボルト63の頭部63aは、一対の第1リンク31のうちの他方の第1リンク312の外面に配置されるとともに、一方の第1リンク311の外面からは軸部63bが突出している。軸部63bには二重にナット64が螺合されている。頭部63aと他方の第1リンク312の外面との間には、ばね61が設けられている。ばね61は、支点用パイプ71を外周側から囲む。そして、各第1リンク31と第2リンク32とは、支点用パイプ71によって連結されている。支点用パイプ71は、第4支点L4を構成する。ばね調整機構62のボルト63は、支点用パイプ71の中空部に装着されている。したがって、摩擦調整機構60は、第4支点L4を揺動中心とするボルト63が挿通される支点用パイプ71と、支点用パイプ71を外周側から囲むばね61と、ばね61の圧縮量を調整するために、ボルト63に螺合される二重のナット64と、を備える。
【0087】
摩擦調整機構60は、第1四辺形リンクR1の変形を抑制するように、第1四辺形リンクR1を構成する第1リンク31と、当該第1リンク31に接する第2リンク32との間に発生する摩擦力の大きさを調整する。
【0088】
第2四辺形リンクR2において、第6辺H6は、第3支点L3と第7支点L7とを繋ぐ。このため、第6辺H6の長さは、実施形態よりも長くなる。よって、第2四辺形リンクR2の形状は、実施形態の第2四辺形リンクR2の形状に比べて、第1方向Xに広がる形状となる。よって、把持装置10が動作して、第2四辺形リンクR2の四辺形の形状を変形させて第3指構成部材23を揺動させたとき、第3指構成部材23によって発生する把持力を実施形態より大きくできる。言い換えると、第3指構成部材23によって発生する把持力を実施形態と同じにした場合、アクチュエータ41によって発生させる押圧力を小さくできる。つまり、アクチュエータ41に供給する圧力を小さくできる。
【0089】
○
図16及び
図17に示す形態において、第1リンク31は、1枚だけとしてもよい。この場合、第2リンク32の第1端部32aと、第1リンク31とは、ばね調整機構62のボルト63と二重のナット64で挟み込まれている。また、第1リンク31の第1端部31bと、第2指構成部材22の本体部22bとは、第3支軸53の頭部53aと抜け止めリング27とで挟み込まれている。第1リンク31の第2端部31cと、アクチュエータ41の先端部41cとは、第7支軸57の頭部57aと抜け止めリング27とで挟み込まれている。軸部57bは、抜け止めリング27によって抜け止めされている。
【0090】
○指部材20の本数は、2本でも3本でも5本以上でもよい。
○把持装置10は、カメラCを備えていなくてもよい。
○第3指構成部材23において、把持部24における把持面24a及び先端面24cの形状は適宜変更してもよい。例えば、把持面24aは、平坦面でもよいし、反対面24bに向けて円弧状に凹む形状でもよい。また、先端面24cは、幅方向Wの中央部に向けて膨らむように突出する凸形状でもよい。
【0091】
○摩擦調整機構60は、ばね61及びばね調整機構62以外の構成であってもよい。例えば、一対の第1リンク31を挟み込むゴムバンドであってもよい。ゴムバンドの大きさを変更することによって、第1リンク31と第2リンク32との間に発生する摩擦力の大きさを調整する。
【0092】
また、ワッシャ29の厚さを変更して、第1リンク31と第2リンク32との間に発生する摩擦力の大きさを調整する。
○摩擦調整機構60は、第3支点L3及び第4支点L4の両方に設けられてもよい。
【0093】
○
図14及び
図15に示す形態において、ナット64は、二重ナットでなくてもよく、一つのナット64だけでもよい。
○緩衝部材15は無くてもよい。
【0094】
○ボディ本体12の第2面12bは、第1面12aと平行でなく、物品Bと接触する部分の形状に一致させてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0095】
(イ)前記ボディの下面に弾性変形可能な緩衝部材を備える把持装置。
【符号の説明】
【0096】
H1…第1辺、H2…第2辺、H3…第3辺、H4…第4辺、H5…第5辺、H6…第6辺、H7…第7辺、H8…第8辺、L1…第1支点、L2…第2支点、L3…第3支点、L4…第4支点、L5…第5支点、L6…第6支点、R1…第1四辺形リンク、R2…第2四辺形リンク、10…把持装置、11…ボディ、20…指部材、21…第1指構成部材、22…第2指構成部材、23…第3指構成部材、24…把持部、24a…把持面、24b…反対面、24c…先端面、31…第1リンク、32…第2リンク、41…アクチュエータ、60…摩擦調整機構、61…ばね、62…ばね調整機構、63…ボルト、64…ナット、71…支点用パイプ。