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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114236
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】圧縮ヘッド用カバー
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/048 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019878
(22)【出願日】2023-02-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000222015
【氏名又は名称】株式会社ユアテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 久順
(72)【発明者】
【氏名】松木 景尚
(72)【発明者】
【氏名】田子 克也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊也
(72)【発明者】
【氏名】永野 正明
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063CA01
5E063CA10
5E063CC01
5E063CD02
5E063XA16
(57)【要約】
【課題】作業者が圧縮ヘッドを保持してしまっても手や指がダイスの作動領域に進入せず、長期使用しても破損のおそれがない圧縮ヘッド用カバーを提供すること。
【解決手段】吊り下げ用貫通孔217を有すると共に外周縁の一部に開口する開口部212を有しC字形状に形成され、正面および背面において開口部212に対向する所要範囲に凹部216が形成されたクランプヘッド210と、開口部212の内側領域において相対的に接離動可能に配設されたダイス213と、を具備する圧縮ヘッド200に装着される圧縮ヘッド用カバー100であって、凹部216の側からダイス213の作動領域への手指の進入を防止すべくクランプヘッド210の正面および背面に配設される正面側部材110および背面側部材120と、吊り下げ用貫通孔217に収容され、正面側部材110および背面側部材120をクランプヘッド210に固定する固定具130を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げ用貫通孔を有すると共に外周縁の一部に開口する開口部を有しC字形状に形成されていると共に、正面および背面において前記開口部に対向する所要範囲に凹部が形成されたクランプヘッドと、前記開口部の内側領域において相対的に接離動可能に配設されたダイスと、を具備する圧縮ヘッドに装着される圧縮ヘッド用カバーであって、
前記凹部の側から前記ダイスの作動領域への手指の進入を防止すべく前記クランプヘッドの正面および背面に配設される正面側部材および背面側部材と、
前記吊り下げ用貫通孔に収容され、前記正面側部材および前記背面側部材を前記クランプヘッドに固定する固定具と、を有することを特徴とする圧縮ヘッド用カバー。
【請求項2】
前記固定具は筒体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の圧縮ヘッド用カバー。
【請求項3】
前記固定具の内周面には少なくとも両端部における所要長さ範囲に雌ねじが形成されており、
前記雌ねじに螺着する雄ねじにより前記固定具と前記正面側部材および前記背面側部材が一体化されることを特徴とする請求項2記載の圧縮ヘッド用カバー。
【請求項4】
前記正面側部材と前記背面側部材は連結体により一体化されていることを特徴とする請求項1または2記載の圧縮ヘッド用カバー。
【請求項5】
前記正面側部材および前記背面側部材には前記凹部に当接する当接片が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の圧縮ヘッド用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮ヘッド用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
電線の端部を圧着加工する際においては、油圧で作動するダイスが設けられた油圧工具により行われることが多い。より詳細には、C字形状に形成された圧縮ヘッドの開口部からダイスが配設されている圧縮ヘッドの内側に電線を進入させた後、ダイスにより電線を挟み込むことで電線の圧着加工が行われている。このような油圧工具を用いた電線の圧着加工を行う際は、ダイスによる作業者の手指の巻き込みを防止するため、圧縮ヘッド(クランプヘッド)と油圧シリンダ(油圧ライン)の境界部分を保持することになっている。しかしながら、油圧工具の重心位置がクランプヘッド側(ダイスの配設位置)にあることに加え、油圧工具の質量が3kg程度であるため、作業者は無意識のうちに重心位置に近い部分(ダイス配設位置の周辺部分)を保持してしまう。このように、電線の圧着加工時においては、指定された油圧工具の保持状態で作業が行われていないことがあり、作業に危険を伴うおそれがある。
【0003】
このような危険な作業になることを回避すべく、特許文献1(特開2018-73589号公報)に開示されているような保護カバー付き圧縮ヘッドの発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-73589号公報(請求項1、明細書段落0032―0040、図1図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている保護カバー付き圧縮ヘッドは、加工対象の電線を圧縮ヘッドの開口部に進入させる前には、圧縮ヘッドの開口部を開放しているが、電線を圧縮ヘッドの内側に進入させた後は、ダイス部分を除いて開口部を閉塞させている。これにより電線に圧着加工をする際には、開口部側からの手指の進入は防止されているが、圧縮ヘッドを保持する手の指がダイスの作動領域に意図せずに入り込んでしまうおそれがあるといった課題がある。また、防護カバーが圧縮ヘッドに対して回動可能に取り付けられているため、長期に亘って使用すると破損する可能性が高く、安全な作業ができないおそれがあるといった課題も有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的とするところは、圧縮ヘッドを保持してしまった際においても手や指がダイスの作動領域に進入することなく、長期に亘って使用しても破損のおそれがない圧縮ヘッド用保護カバーを提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、吊り下げ用貫通孔を有すると共に外周縁の一部に開口する開口部を有しC字形状に形成されていると共に、正面および背面において前記開口部に対向する所要範囲に凹部が形成されたクランプヘッドと、前記開口部の内側領域において相対的に接離動可能に配設されたダイスと、を具備する圧縮ヘッドに装着される圧縮ヘッド用カバーであって、前記凹部の側から前記ダイスの作動領域への手指の進入を防止すべく前記クランプヘッドの正面および背面に配設される正面側部材および背面側部材と、前記吊り下げ用貫通孔に収容され、前記正面側部材および前記背面側部材を前記クランプヘッドに固定する固定具と、を有することを特徴とする圧縮ヘッド用カバーである。
【0008】
これにより、圧縮ヘッドを保持してしまった際においても手や指がダイスの作動領域に進入してしまうことがない。また、可動部を有していないため長期に亘って使用しても破損のおそれがない。
【0009】
また、前記固定具は筒体に形成されていることが好ましく、さらには、前記筒体の内周面には少なくとも両端部における所要長さ範囲に雌ねじが形成されており、前記雌ねじに螺着する雄ねじにより前記筒体と前記正面側部材および前記背面側部材が一体化されることが好ましい。
【0010】
これにより、固定具と正面側部材および背面側部材の分解・組み立てを容易に行うことができる。
【0011】
また、前記正面側部材と前記背面側部材は連結体により一体化されていることが好ましい。また、前記正面側部材および前記背面側部材には前記凹部に当接する当接片が形成されていることが好ましい。
【0012】
これらにより、正面側部材と背面側部材をさらに強固に一体化することができ、常に安定した状態で圧縮ヘッドを有する工具の使用が可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る圧縮ヘッド用カバーの構成を採用することにより、圧縮ヘッドを保持してしまった際においても手や指がダイスの作動領域に進入することがなく、圧縮ヘッドを有する工具を安全に使用することができる。また、可動部を有していないため長期に亘って使用しても破損のおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】圧縮ヘッドの正面図である。
図2】第1実施形態における圧縮ヘッド用カバーを圧縮ヘッドに装着した状態を示す正面図である。
図3】第1実施形態における圧縮ヘッド用カバーを圧縮ヘッドに装着した状態を示す背面側斜視図である。
図4】第1実施形態における圧縮ヘッド用カバーの組立図である。
図5】第1実施形態における圧縮ヘッド用カバーの正面図および背面図である。
図6】第1実施形態における圧縮ヘッド用カバーの右側面図および左側面図である。
図7】第1実施形態における圧縮ヘッド用カバーの平面図および底面図である。
図8】第1実施形態における圧縮ヘッド用カバーの正面側斜視図および背面側斜視図である。
図9】第1実施形態における圧縮ヘッド用カバーを装着した圧縮ヘッドの保持状態の一例を示す斜視図である。
図10】第2実施形態における圧縮ヘッド用カバーの正面側斜視図である。
図11】変形実施例における固定具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る圧縮ヘッド用カバー100の実施形態について説明する。図1図3に示すように、本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100は、油圧工具(図示はせず)に設けられている圧縮ヘッド200に装着して用いられるものである。
【0016】
油圧工具に設けられている圧縮ヘッド200の構成について説明する。図1に示すように圧縮ヘッド200は、外周縁の一部に開口する開口部212が形成されたC字形状をなすクランプヘッド210と、クランプヘッド210に収容されたダイス213と、油圧ピストン214とを有している。ダイス213は、クランプヘッド210の開口部212の内側領域である内壁面215に沿って配設されている。本実施形態におけるダイス213は、内壁面215の上側所要範囲に配設された第1ダイス213Aと、内壁面215の下側所要範囲に第1ダイス213Aと対向させた状態で配設された第2ダイス213Bを有している。第2ダイス213Bは、クランプヘッド210に一部が収容された油圧ピストン214に取り付けられている。油圧ピストン214は、油圧工具の本体に配設されたスイッチ(いずれも図示はせず)の操作により作動部が伸長および短縮することで、第2ダイス213Bが第1ダイス213Aに対して接離動する。このようにクランプヘッド210の開口部212の内壁面215で囲まれた領域がダイス作動領域となっている。
【0017】
クランプヘッド210の正面および背面には、開口部212に対向する所要範囲に円弧形状の凹部216が形成されている。このような凹部216を形成することで、クランプヘッド210を軽量化することができる。また、凹部216の上側端部には、クランプヘッド210を正面側から背面側に(厚さ方向に)貫通する吊り下げ用貫通孔217が穿設されている。この吊り下げ用貫通孔217にロープや係止用フック等を挿通することで、高所作業車のバケット等に代表される作業場所における任意の箇所に圧縮ヘッド200(油圧工具)を吊り下げておくことができる。このように本実施形態における圧縮ヘッド200は、公知の構成が採用されている。
【0018】
本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100は、図4図8に示すように、正面側部材110、背面側部材120、固定具130、係合手段140および連結体150を有している。正面側部材110および背面側部材120は同一形状に形成され、クランプヘッド210の上端部側における正面側部材110と背面側部材120の端部どうしが連結体150を介して略コ字状に一体化されている。このように形成された圧縮ヘッド用カバー100は、図2および図3に示すように、クランプヘッド210を厚さ方向に挟み込むようにしてクランプヘッド210(圧縮ヘッド200)に装着される。
【0019】
正面側部材110は、クランプヘッド210の正面に当接する平面視L字型の基部112と、基部112においてクランプヘッド210の内壁面215に沿った端縁部分から基部112(クランプヘッド210の正面)と直交方向に起立する起立部114を有している。また、基部112には、吊り下げ用貫通孔217と重複する位置に基部112の厚さ方向に貫通する貫通孔116が穿設されていると共に、凹部216に対応する部分には凹部216と当接する当接片117が形成されている。当接片117は、凹部216の一部範囲と嵌合する形状に形成しておくことが好ましい。本実施形態における当接片117は、凹部216に係合する係合爪形状に形成されている。起立部114は、ダイス213の作動領域の縦方向範囲の全体にわたって立設されていることが好ましく、少なくとも使用者(標準的な成人)の指の高さよりも高い位置まで起立していることが好ましい。
【0020】
背面側部材120は、クランプヘッド210の背面に当接する平面視L字型の基部122と、基部122においてクランプヘッド210の内壁面215に沿った端縁部分から基部122(クランプヘッド210の背面)と直交方向に起立する起立部124を有している。また、基部122には、吊り下げ用貫通孔217と重複する位置に基部122の厚さ方向に貫通する貫通孔126が穿設されていると共に、凹部216に対応する部分には凹部216と当接する当接片127が形成されている。当接片127は、凹部216の一部範囲と嵌合する形状に形成しておくことが好ましい。本実施形態における当接片127は、凹部216に係合する係合爪形状に形成されている。起立部124は、少なくともダイス213の作動領域の縦方向範囲の全体にわたって立設されている。また、起立部124は、少なくとも使用者の指の高さよりも高い位置まで起立していることが好ましい。
【0021】
本実施形態における固定具130は筒体に形成されている。本実施形態における固定具130は、長さ方向の両端部における内周面の所要長さ範囲が雌ねじ部132に形成されている。固定具130は正面側部材110と背面側部材120をクランプヘッド210に配設すると同時または事前に吊り下げ用貫通孔217に収容(挿通)される。そして正面側部材110の貫通孔116および背面側部材120の貫通孔126に雄ねじ体に形成された係合手段140がそれぞれ挿通され、係合手段140は固定具130の雌ねじ部132に螺着される。このようにして正面側部材110、背面側部材120、固定具130、係合手段140および連結体150が簡単な組立作業で分解可能に一体化されてなる圧縮ヘッド用カバー100がクランプヘッド210(圧縮ヘッド200)に装着される。
【0022】
なお、図示はしないが、係合手段140は係合手段140の中心軸に沿って固定具130への挿抜方向に延伸する中空部を有する筒状体に形成された形態を採用することもできる。この形態によれば、吊り下げ用貫通孔217に挿通させた固定具130に係合手段140を螺着させてクランプヘッド210に圧縮ヘッド用カバー100を装着した状態であっても、係合手段140および固定具130にロープや係止用フック等を挿通させることができる。
【0023】
このように本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100が着脱可能に装着されたクランプヘッド210は、正面側と背面側のそれぞれにおいて凹部216の側と開口部212の側が起立部114と起立部124とによって区画された状態になっている。これにより図9に示すように、作業者がクランプヘッド210を凹部216が形成されている側から保持した状態で電線等の圧着処理を行ってしまった場合であっても、凹部216の側からダイス213の作動領域への作業者の手指の進入を確実に防止することができる。また、作業者がクランプヘッド210を保持する際には、正面側の基部112(当接片117)と背面側の基部122(当接片127)が併せて保持されることになる。これにより、電線等の圧着処理時における圧縮ヘッド用カバー100の位置ずれを防止することができる。本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100を用いることで、クランプヘッド210(圧縮ヘッド200)を具備する油圧工具を用いた電線等の圧着作業中におけるダイス213による手詰めや指詰め等の事故の発生を防止することができる。
【0024】
(第2実施形態)
本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100の構成において、第1実施形態における圧縮ヘッド用カバー100と共通する構成については、第1実施形態で用いた符号と同符号を付すことによりここでの詳細な説明は省略する。図10は、本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100の正面側斜視図である。
【0025】
本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100は、正面側部材110の基部112における貫通孔116に重複する内側部分と背面側部材120の基部122における貫通孔126に重複する内側部分に固定具130が係合手段140により一体に組み立てられている。本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100は、油圧工具の本体の側で連結体150により正面側部材110と背面側部材120がコ字状に一体化されている。本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100は、正面側部材110と背面側部材120の自由端部どうしを離反させるように弾性変形させると共に、それぞれの固定具130を吊り下げ用貫通孔217に進入させることで圧縮ヘッド200に装着することができる。この形態を採用することにより、クランプヘッド210への圧縮ヘッド用カバー100の装着手順を簡略化することができる。本実施形態における圧縮ヘッド用カバー100においても、第1実施形態における圧縮ヘッド用カバー100と同様の作用効果を得ることができる。
【0026】
なお、正面側部材110の基部112および背面側部材120の基部122からの固定具130の突出量を可及的に少なくすれば、正面側部材110の基部112および背面側部材120の基部122と固定具130とを一体成形することもできる。この場合、係合手段140の構成は省略することができる。この形態によれば、圧縮ヘッド200への装着および取り外しがより簡易に行うことができ、部品点数も少ないため軽量化および低コスト化が可能であると共に、部品の紛失も防ぐことができる。
【0027】
以上に本発明に係る圧縮ヘッド用カバー100について実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明に係る圧縮ヘッド用カバー100は以上に示した形態に限定されるものではない。例えば、以上の形態においては、固定ダイスである第1ダイス213Aと可動ダイスである第2ダイス213Bによりダイス213が構成された形態を例示しているが、第1ダイス213Aと第2ダイス213Bをともに可動ダイスとした構成を採用することもできる。要は、開口部212において第1ダイス213Aと第2ダイス213Bが相対的に接離動する構成であればよい。
【0028】
また、第1実施形態における圧縮ヘッド用カバー100は、筒状に形成された固定具130が例示されているが、この形態に限定されるものではない。固定具130は柱状に形成されたものであっても良く、固定具130の具体的形態は特に限定されるものではない。また、図11に示すように、固定具130の長さ方向両端部に複数本の切込部134を周方向に形成し、固定具130の長さ方向両端部分で径外方向に突出する突出部136を有し、固定具130の径方向内側に弾性変形可能なストッパ138を配設した形態とすることもできる。円筒状に形成された固定具130の直径位置に配設された突出部136どうしの離間距離Dは、貫通孔116および貫通孔126の径寸法よりも大径寸法に形成されている。
【0029】
図11に示す固定具130の形態を採用した場合は、一方のストッパ138をクランプヘッド210に当接させた正面側部材110の貫通孔116または背面側部材120の貫通孔126の一方から吊り下げ用貫通孔217を通じて他方に挿通させればよい。ストッパ138が貫通孔116または貫通孔126を通過していずれかの開口部分でストッパ138の弾性変形が復元することで、クランプヘッド210に装着した状態で圧縮ヘッド用カバー100を組み立てることができる。さらには、固定具130を正面側部材110または背面側部材120と一体に形成し、固定具130の先端部に固定具130の径方向に弾性変形可能なストッパ138が形成された形態を採用することもできる。
【0030】
また、第1実施形態および第2実施形態における圧縮ヘッド用カバー100にはそれぞれ正面側部材110と背面側部材120とを一体化するための連結体150を有しているが、連結体150の構成は省略することができる。この場合、正面側部材110の基部112にクランプヘッド210の正面側から背面側に向けて曲折した曲折部(図示はせず)を形成し、この曲折部をクランプヘッド210の外周縁の一部に係合可能にしておくことが好ましい。これと同様に、背面側部材120の基部122にクランプヘッド210の背面側から正面側に向けて曲折した曲折部(図示はせず)を形成し、この曲折部をクランプヘッド210の外周縁の一部に係合可能にしておくことが好ましい。これらの曲折部により、連結体150がなくてもクランプヘッド210(圧縮ヘッド200)に圧縮ヘッド用カバー100を確実に固定することができる。
【0031】
さらには、以上に説明した実施形態と上記変形例における任意の構成どうしが適宜組み合わされた圧縮ヘッド用カバー100の形態も本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0032】
100:圧縮ヘッド用カバー
110:正面側部材
112:基部,114:起立部,116:貫通孔,117:当接片
120:背面側部材
122:基部,124:起立部,126:貫通孔,127:当接片
130:固定具
132:雌ねじ部,134:切込部,136:突出部,138:ストッパ
140:係合手段
150:連結体
200:圧縮ヘッド
210:クランプヘッド
212:開口部,213:ダイス,213A:第1ダイス,213B:第2ダイス,
214:油圧ピストン,215:内壁面,216:凹部,217:吊り下げ用貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げ用貫通孔を有すると共に外周縁の一部に開口する開口部を有しC字形状に形成されていると共に、正面および背面において前記開口部に対向する所要範囲に凹部が形成されたクランプヘッドと、前記開口部の内側領域において相対的に接離動可能に配設されたダイスと、を具備する圧縮ヘッドに装着される圧縮ヘッド用カバーであって、
前記凹部の側から前記ダイスの作動領域への手指の進入を防止すべく前記クランプヘッドの正面および背面に配設される正面側部材および背面側部材と、
前記吊り下げ用貫通孔に収容され、前記正面側部材および前記背面側部材を前記クランプヘッドに固定する筒体に形成された固定具と、を有することを特徴とする圧縮ヘッド用カバー。
【請求項2】
前記固定具の内周面には少なくとも両端部における所要長さ範囲に雌ねじが形成されており、
前記雌ねじに螺着する雄ねじにより前記固定具と前記正面側部材および前記背面側部材が一体化されることを特徴とする請求項記載の圧縮ヘッド用カバー。
【請求項3】
前記正面側部材と前記背面側部材は連結体により一体化されていることを特徴とする請求項1または2記載の圧縮ヘッド用カバー。
【請求項4】
吊り下げ用貫通孔を有すると共に外周縁の一部に開口する開口部を有しC字形状に形成されていると共に、正面および背面において前記開口部に対向する所要範囲に凹部が形成されたクランプヘッドと、前記開口部の内側領域において相対的に接離動可能に配設されたダイスと、を具備する圧縮ヘッドに装着される圧縮ヘッド用カバーであって、
前記凹部の側から前記ダイスの作動領域への手指の進入を防止すべく前記クランプヘッドの正面および背面に配設される正面側部材および背面側部材と、
前記吊り下げ用貫通孔に収容され、前記正面側部材および前記背面側部材を前記クランプヘッドに固定する固定具と、を有し
前記正面側部材および前記背面側部材には前記凹部に当接する当接片が形成されていることを特徴とする圧縮ヘッド用カバー。
【請求項5】
前記固定具は筒体に形成されていることを特徴とする請求項4記載の圧縮ヘッド用カバー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するため発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち第1発明は、吊り下げ用貫通孔を有すると共に外周縁の一部に開口する開口部を有しC字形状に形成されていると共に、正面および背面において前記開口部に対向する所要範囲に凹部が形成されたクランプヘッドと、前記開口部の内側領域において相対的に接離動可能に配設されたダイスと、を具備する圧縮ヘッドに装着される圧縮ヘッド用カバーであって、前記凹部の側から前記ダイスの作動領域への手指の進入を防止すべく前記クランプヘッドの正面および背面に配設される正面側部材および背面側部材と、前記吊り下げ用貫通孔に収容され、前記正面側部材および前記背面側部材を前記クランプヘッドに固定する筒体に形成された固定具と、を有することを特徴とする圧縮ヘッド用カバーである。また、第2発明は、吊り下げ用貫通孔を有すると共に外周縁の一部に開口する開口部を有しC字形状に形成されていると共に、正面および背面において前記開口部に対向する所要範囲に凹部が形成されたクランプヘッドと、前記開口部の内側領域において相対的に接離動可能に配設されたダイスと、を具備する圧縮ヘッドに装着される圧縮ヘッド用カバーであって、前記凹部の側から前記ダイスの作動領域への手指の進入を防止すべく前記クランプヘッドの正面および背面に配設される正面側部材および背面側部材と、前記吊り下げ用貫通孔に収容され、前記正面側部材および前記背面側部材を前記クランプヘッドに固定する固定具と、を有し、前記正面側部材および前記背面側部材には前記凹部に当接する当接片が形成されていることを特徴とする圧縮ヘッド用カバーである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
これにより、圧縮ヘッドを保持してしまった際においても手や指がダイスの作動領域に進入してしまうことがない。また、可動部を有していないため長期に亘って使用しても破損のおそれがない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、前記筒体の内周面には少なくとも両端部における所要長さ範囲に雌ねじが形成されており、前記雌ねじに螺着する雄ねじにより前記筒体と前記正面側部材および前記背面側部材が一体化されることが好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、前記正面側部材および前記背面側部材には前記凹部に当接する当接片が形成されていることが好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
れにより、正面側部材と背面側部材をさらに強固に一体化することができ、常に安定した状態で圧縮ヘッドを有する工具の使用が可能になる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3