(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114244
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】噴霧器
(51)【国際特許分類】
B05B 17/06 20060101AFI20240816BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B05B17/06
A61L9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019887
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 厚
【テーマコード(参考)】
4C180
4D074
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA13
4C180AA18
4C180CB01
4C180EB12X
4C180GG08
4C180HH10
4C180LL06
4D074AA05
4D074BB06
4D074DD09
4D074DD12
4D074DD14
4D074DD23
4D074DD35
4D074DD43
4D074DD49
4D074DD64
4D074DD65
4D074DD70
(57)【要約】
【課題】液漏れを防止することができる噴霧器を提供する。
【解決手段】噴霧器10は、薬液Lを収容したボトル本体12と、ボトル本体12の上端にある開口部12eからボトル本体12内に挿通されて薬液Lに浸漬された吸液芯14と、吸液芯14の上端14aに接触する噴霧孔18cを有し、吸液芯14によって吸い上げられた薬液Lを噴霧孔を介して噴霧するピエゾ素子18と、ピエゾ素子18を保持して開口部12eに装着される噴霧キャップ16と、ピエゾ素子18により吸液芯14側に噴霧された薬液Lを受けてボトル本体12へ戻すための中間部24と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容した容器と、
前記容器の上端にある開口部から前記容器内に挿通されて液体に浸漬された吸液芯と、
前記吸液芯の上端に接触して配置される噴霧孔を有し、前記吸液芯によって吸い上げられた液体を前記噴霧孔を介して噴霧するピエゾ素子と、
前記ピエゾ素子を保持して前記開口部に装着される保持部材と、
前記ピエゾ素子により前記吸液芯側に噴霧された液体を受けて前記容器へ戻すための液回収部と、
を有する噴霧器。
【請求項2】
前記液回収部は、前記ピエゾ素子により前記吸液芯側に噴霧された液体を受ける下方に凹んだ受部と、前記受部を貫通して前記容器内に連通した貫通孔と、を有する、
請求項1に記載の噴霧器。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記吸液芯を挿通する挿通孔である、
請求項2に記載の噴霧器。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記挿通孔とは別の通気孔である、
請求項3に記載の噴霧器。
【請求項5】
前記受部は、その周縁部から前記挿通孔に向けて下方に傾斜した液受面を有する、
請求項3に記載の噴霧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ピエゾ素子を用いて液体を噴霧する噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を霧状にして噴霧する噴霧器として、例えば、特許文献1に開示された装置が知られている。特許文献1の噴霧器は、ボトル内の液体を吸液部材によって吸い上げて、ピエゾ素子により霧状にして噴霧する。
【0003】
ピエゾ素子は、複数の噴霧孔を有するメッシュと圧電セラミックを一体に有する。ボトル内の液体は、メッシュに接触した吸液部材を介して複数の噴霧孔の一端側から供給される。そして、圧電セラミックに電圧を与えることにより、メッシュを振動させて、複数の噴霧孔に供給された液体を噴霧孔の他端(吸液部材が接触した端部と反対側の端部)側から噴霧させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の噴霧器において、吸液部材とピエゾ素子の間に隙間を生じて接触不良を起こすと、ピエゾ素子の裏側、すなわち吸液部材が接触する側から液体が噴霧されてしまう場合がある。この場合、ピエゾ素子の裏側から噴霧された液体がボトルとピエゾ素子の間の隙間を介してボトルの外面を伝って流れ落ち、ボトルの周辺部を汚してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、液漏れを防止することができる噴霧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の噴霧器の一態様は、液体を収容した容器と、容器の上端にある開口部から容器内に挿通されて液体に浸漬された吸液芯と、吸液芯の上端に接触して配置される噴霧孔を有し、吸液芯によって吸い上げられた液体を噴霧孔を介して噴霧するピエゾ素子と、ピエゾ素子を保持して開口部に装着される保持部材と、ピエゾ素子により吸液芯側に噴霧された液体を受けて容器へ戻すための液回収部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、液漏れを防止することができる噴霧器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る噴霧器を示す概略図である。
【
図4】
図4は、
図2の薬液ボトルの使用方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る噴霧器の薬液ボトルの要部を示す概略図である。
【
図6】
図6は、
図5の薬液ボトルを矢印F6方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、第1の実施形態に係る噴霧器10は、本体装置2と薬液ボトル4を有する。
図1及び
図2に示すように、薬液ボトル4は、ボトル本体12と、吸液芯14と、噴霧キャップ16と、ピエゾ素子18と、を有する。ボトル本体12は、容器として機能する。
【0011】
ボトル本体12は、略円板状の底部12aと、底部12aの周縁から上方に立設した略円筒状の胴部12bと、胴部12bの底部12aと反対の上端側にある略円筒状の首部12dと、首部12dの下端と胴部12bの上端をなだらかにつないだ肩部12cと、を一体に有する。ボトル本体12は、例えば、透明なガラスや樹脂により形成されている。
【0012】
ボトル本体12内には、芳香剤、消臭剤、殺虫剤などの薬液L(液体)が収容される。本実施形態では、ボトル本体12は、例えば、リモネンなどの油性成分を溶媒として含む芳香剤を収容する。
【0013】
ボトル本体12は、その出荷時には、所定量の薬液Lを収容した後、ピエゾ素子18を備えた噴霧キャップ16ではなく、首部12dの上端の開口部12eを密閉する蓋体5(
図4)を備えている。そして、使用時に、蓋体5を外して、吸液芯14を装着した噴霧キャップ16をボトル本体12の首部12dに螺着する。これにより、開口部12eから吸液芯14が差し込まれて薬液L中に浸漬され、吸液芯14の上端14aが後述するピエゾ素子18のメッシュ18aに押し付けられる。
【0014】
吸液芯14は、薬液Lを吸い上げることができる素材、例えば、フェルト、合成繊維束、天然繊維束、発泡合成樹脂などの多孔質素材、又はこれらの素材を2種以上混合した素材によって、細長い棒状に形成されている。吸液芯14は、その下端14bをボトル本体12の底部12aの内面に当接させた状態で、その上端14aが後述するピエゾ素子18に押し当てられる長さを有する。吸液芯14は、ボトル本体12内に収容した薬液Lに浸漬されて配置され、薬液Lをその上端14a(ピエゾ素子18のメッシュ18a)まで吸い上げる。
【0015】
噴霧キャップ16は、ピエゾ素子18を支持してボトル本体12の首部12dに螺着する支持部21と、ピエゾ素子18を上から押える押え部22と、を有する。支持部21は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)により形成される。押え部22は、例えばポリプロピレン(PP)により形成される。噴霧キャップ16は、ピエゾ素子18を保持する保持部材として機能する。
【0016】
支持部21は、略円筒形の筒部23を有する。筒部23の下端近くの内面には、ボトル本体12の首部12dの外面に設けた雄ねじ13aに螺合する雌ねじ13bが設けられている。筒部23の外径は、ボトル本体12の胴部12bの外径と略同じである。また、支持部21は、筒部23の上下方向の略中央に中間部24を有する。中間部24は、筒部23の内面から一体に設けられている。中間部24は、液回収部として機能する。
【0017】
中間部24は、ピエゾ素子18の周縁部18bを下方から支持する略円環状のフランジ部24aと、フランジ部24aの内周縁から下方に凹んで膨出した受部24bと、を一体に有する。フランジ部24aの内径は、ピエゾ素子18の周縁部18bの外径より小さく、ピエゾ素子18のメッシュ18aの外径より大きい。
【0018】
受部24bの上面24c(液受面)は、フランジ部24aの内周縁から中心に向けて緩やかに下方に湾曲して傾斜している。受部24bの中心には、吸液芯14を挿通配置するための略円形の挿通孔24dが設けられている。挿通孔24dの内径は、吸液芯14の外径よりわずかに大きい。挿通孔24dに吸液芯14を差し込んだ図示の状態で挿通孔24dと吸液芯14の間には隙間がある。
【0019】
中間部24は、この他に、挿通孔24dとは別の貫通孔として、中間部24を貫通した少なくとも1つの通気孔24eを有する。通気孔24eは、受部24bの上方の空間とボトル本体12の内部空間を連通する。
【0020】
この通気孔24eは、挿通孔24dの内径を吸液芯14を圧入する程度の大きさにした場合、或いは吸液芯14が膨張して挿通孔24dとの間の隙間が小さくなった場合に、薬液Lが減少した際のボトル本体12内の負圧を解消するための孔であるとともに、ボトル本体12内の圧力が上昇した際に圧力上昇を解消するための孔でもある。なお、吸液芯14と挿通孔24dの間の隙間は、通気孔として機能させることができる。
【0021】
押え部22は、支持部21のフランジ部24aの上に乗せたピエゾ素子18の周縁部18bをフランジ部24aに向けて押圧するための複数枚の板バネ25と、複数枚の板バネ25の基端部を一体に連結した円環状の固定部26と、を有する。固定部26は、支持部21の筒部23と略同じ外径を有し、筒部23の上端に固定される。固定部26の筒部23に対する固定手段は、接着、ラッチ係合、螺合など、いかなる手段を用いてもよい。
【0022】
複数枚(本実施形態では3枚)の板バネ25は、固定部26の周方向に略等間隔で設けられている。各板バネ25は、固定部26の内周縁から中心に向けて湾曲しながら下方に傾斜している。各板バネ25は、固定部26から離間した先端がピエゾ素子18の周縁部18bの上面に接触する長さを有する。言い換えると、複数枚の板バネ25は、ピエゾ素子18のメッシュ18aに干渉することのない長さを有する。
【0023】
各板バネ25は、ピエゾ素子18を備えた噴霧キャップ16をボトル本体12に取り付けた
図1に示す状態で、ピエゾ素子18からの反力によってわずかに下から押圧されて弾性変形する。この状態で、ピエゾ素子18は、噴霧キャップ16のフランジ部24aからわずかに上方に離間した状態となってもよい。つまり、噴霧器10の使用状態において、中間部24のフランジ部24aとピエゾ素子18の間には、わずかな隙間が形成されていてもよい。
【0024】
また、各板バネ25は、噴霧キャップ16をボトル本体12から取り外した状態(例えば
図4の状態)で、ピエゾ素子18の周縁部18bを支持部21のフランジ部24aに接触させて押し付けるように、わずかに弾性変形した状態となっている。言い換えると、この状態で、ピエゾ素子18は、複数枚の板バネ25の復元力によって、複数枚の板バネ25とフランジ部24aの間で挟持される。いずれにしても、押え部22は、複数枚の板バネ25をわずかに弾性変形させた状態(復元力を生じさせた状態)で、支持部21に固定されている。
【0025】
ピエゾ素子18は、円環状の周縁部18bと略円板状のメッシュ18aを有する。メッシュ18aは、薬液Lを噴霧するための図示しない複数の噴霧孔を有する。メッシュ18aの外径は、吸液芯14の外径より大きい。周縁部18bは、メッシュ18aの外周縁に連続して、メッシュ18aと一体化されている。周縁部18bは、板状の圧電セラミックの両面に電極を設けた構造を有する。
【0026】
ピエゾ素子18は、周縁部18bに設けた図示しない電極に所定の電圧を与えることによりメッシュ18aを上下方向に振動させて複数の噴霧孔から薬液Lを噴霧する。このようなピエゾ素子18は、周知のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0027】
図1及び
図3に示すように本体装置2は、上述した薬液ボトル4を乗せる載置台31を有する。載置台31の一部は、例えば透明な樹脂製の板部32によって構成されている。板部32の上面32aは、薬液ボトル4のボトル本体12の底部12aの外面(下面)の形状に略一致した形状の凹部32bを有している。凹部32bは、薬液ボトル4を本体装置2に対して位置決めする位置決め部として機能する。
【0028】
載置台31の板部32の下方には、複数のLED素子33aを実装した照明用の基板33が配置されている。複数のLED素子33aから出射された光は、板部32を透過して薬液ボトル4の底部12aに入射する。このように、薬液ボトル4を下方から照明することにより、薬液ボトル4を全体的に光らせることができ、噴霧器10の美観をよくすることができる。
【0029】
本体装置2は、凹部32bに隣接して載置台31から略垂直上方に延設した背面壁34を有する。背面壁34の凹部32b側の側面は、薬液ボトル4の外面形状にならって円筒形に凹んだ凹所34aとなっている。背面壁34の凹所34aには、薬液ボトル4を磁気吸着するための磁石35が埋設されている。磁石35は、上述したように薬液ボトル4を載置台31に置いて、凹部32bと凹所34aにより本体装置2に対して位置決めした状態で、薬液ボトル4の噴霧キャップ16の筒部23の外周面に埋設した磁性体36(
図2)に吸着する高さ位置に設けられている。
【0030】
磁石35を用いることで、噴霧器10の利用者が薬液ボトル4を本体装置2に装着する際に、装着位置を目視確認し難い場合であっても、薬液ボトル4が凹部32bと凹所34aによって所定位置に位置決めされる直前に、薬液ボトル4を所定位置に磁気吸引することができ、薬液ボトル4を所定位置に確実且つ容易に装着することができる。
【0031】
本体装置2の磁石35と薬液ボトル4の磁性体36は、薬液ボトル4を本体装置2に対して位置決めする位置決め部として機能する。なお、磁性体36ではなく磁石を噴霧キャップ16に設けてもよい。また、磁石35と磁性体36を逆に取り付けてもよい。
【0032】
また、本体装置2は、上述したように薬液ボトル4を本体装置2に位置決めして装着した際に、薬液ボトル4の噴霧キャップ16の筒部23の外周面に埋設した2つの接続端子37a、37b(
図2)にそれぞれ接触する2つの接続端子38a、38b(
図3)を備えている。2つの接続端子38a、38bは、水平方向に磁石35を間に挟んで互いに離間して、凹所34aの位置で本体装置2の背面壁34に埋設されている。
【0033】
本体装置2の磁石35に薬液ボトル4の磁性体36を吸着させると、その吸着力により本体装置2の2つの接続端子38a、38bと薬液ボトル4の2つの接続端子37a、37bを確実に接触させることができる。
【0034】
本体装置2は、この他に、噴霧器10の駆動部40を備えている。駆動部40は、電源42、スイッチ44、コントローラ46、及び点灯回路48を有する。電源42は、商用電源から直接もしくはコンバータを介して用いてもよく、充電池や乾電池を用いてもよい。例えば、本体装置2がUSB端子を備えており、このUSB端子を介して充電池に充電する構成を採用してもよい。コントローラ46は、本体装置2の接続端子38a、38bと薬液ボトル4の接続端子37a、37bを介してピエゾ素子18の図示しない電極と電気的に接続する。
【0035】
スイッチ44をONにすると、コントローラ46が所定の電圧に変換してピエゾ素子18に給電する。これにより、吸液芯14を介してピエゾ素子18のメッシュ18aまで吸い上げられた薬液Lが複数の噴霧孔を介して噴霧される。また、スイッチ44をONにすると、点灯回路48が基板33に給電して複数のLED素子33aを点灯させる。
【0036】
コントローラ46は、ピエゾ素子18に給電する電圧を調整するためのつまみを備えてもよく、ピエゾ素子18に給電する電圧の周波数を調整するためのつまみを備えてもよい。周波数を変えることにより、薬液Lの噴霧量を変えることができる。
【0037】
ここで、噴霧キャップ16の上述した中間部24(フランジ部24a、受部24b、上面24c)の機能について説明する。
ピエゾ素子18は、噴霧孔を有するメッシュ18aの下面に吸液芯14の上端14aを押し付けることにより、噴霧孔の反対側(メッシュ18aの上面側)から薬液Lを霧状にして噴霧キャップ16の上方へ噴霧することができる。しかし、何等かの要因により吸液芯14の上端14aとメッシュ18aの間で接触不良を生じると、メッシュ18aの裏側、すなわち中間部24側から不所望に薬液Lが噴霧されてしまう場合がある。
【0038】
本実施形態では、このような不具合が生じた場合であっても、逆方向に噴霧した薬液Lをボトル本体12内に戻すことができるように、液回収部として機能する中間部24を備えている。
【0039】
すなわち、ピエゾ素子18のメッシュ18aの裏側から噴霧された霧状の薬液Lは、中間部24の上面24cとピエゾ素子18の間の空間に滞留する。この空間に溜まった霧状の薬液Lはピエゾ素子18の裏面側を濡らすとともに、中間部24の受部24bの上面24cを濡らす。
【0040】
そして、中間部24の上面24cを濡らした薬液Lは、上面24cの傾斜に沿って流れ落ち、中央にある挿通孔24dに流れる。挿通孔24dに流れた薬液Lは、吸液芯14によって吸収されて、或いは吸液芯14と挿通孔24dの間の隙間を通って、ボトル本体12内に戻される。なお、ピエゾ素子18の裏面を濡らした薬液Lは、上面24cを介して流れ落ちる。
【0041】
中間部24が筒部23の内面に一体に設けられているため、フランジ部24aと筒部23の間に隙間などは無く、ピエゾ素子18の裏面側に噴霧された薬液Lは、受部24bの挿通孔24dを介してボトル本体12へ戻ることになる。なお、上面24cを流れる薬液Lは、受部24bに設けた通気孔24eを介してボトル本体12へ戻ることもできる。
【0042】
以上のように、第1の実施形態によると、ピエゾ素子18の裏面側に薬液Lが不所望に噴霧されてしまった場合であっても、ボトル本体12内に確実に回収することができ、薬液ボトル4の外に薬液Lが漏れ出る不具合を防止することができる。
【0043】
次に、第2の実施形態に係る噴霧器について
図4~
図6を参照して説明する。なお、第2の実施形態の噴霧器は、薬液ボトルの噴霧キャップの構造が異なる以外、上述した第1の実施形態の噴霧器10と同様の構造を有する。よって、ここでは、上述した第1の実施形態と同様に機能する構成には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、第2の実施形態の噴霧器の薬液ボトル50は、ボトル本体12の首部12dの開口部12eの内側に装着する中栓52と、ピエゾ素子18を備えてボトル本体12の首部12dに装着する噴霧キャップ54を有する。第2の実施形態の薬液ボトル50は、第1の実施形態の噴霧キャップ16の代わりに、中栓52と噴霧キャップ54を備える。
【0045】
中栓52は、その下端中央に、円筒部分52aを有する。円筒部分52aの中心の孔は、吸液芯14を通す挿通孔24dとして機能する。中栓52は、その上端外周部に、円環状のフランジ部52bを有する。フランジ部52bは、中栓52をボトル本体12の開口部12eに装着した図示の状態で、首部12dの上端に当接する。
【0046】
中栓52は、フランジ部52bの内周部から垂設した円筒部分52cを有する。円筒部分52cは、円筒部分52aより大径である。中栓52は、円筒部分52cの下端から円筒部分52aの上端に向けて収束した円錐状の傾斜部分52dを有する。傾斜部分52dは、通気孔24eを有する。傾斜部分52dの内面は、液受面として機能する。
【0047】
すなわち、中栓52は、円筒部分52a、フランジ部52b、円筒部分52c、及び傾斜部分52dを同軸且つ一体に設けたものである。中栓52の傾斜部分52dは、液回収部として機能する。
【0048】
噴霧キャップ54は、略円筒形の筒部54aを有する。筒部54aの下端側の内面には、ボトル本体12の首部12dの雄ねじ13aに螺合する雌ねじ13bが設けられている。筒部54aの外径は、ボトル本体12の外径と略同じである。
【0049】
噴霧キャップ54は、筒部54aの上下方向の略中央に略円環状の中間部54bを有する。中間部54bは、筒部54aの内面から一体に設けられている。中間部54bの内周には、中栓52の円筒部分52cの上端内面に接触する円筒部54cが設けられている。中間部54bは、その上面に、ピエゾ素子18の周縁部18bを下方から支持する支持面を有する。
図5では、ピエゾ素子18と中間部54bの支持面の間に隙間を設けた例を示す。
【0050】
噴霧キャップ54は、ピエゾ素子18の上方に配置したコイルバネ56を上方から押える円環状の押え突部54dを有する。コイルバネ56は、押し縮めた状態で噴霧キャップ54に取り付けられている。噴霧キャップ54は、筒部54a、中間部54b、円筒部54c、及び押え突部54dを同軸且つ一体に備える。
【0051】
第2の実施形態の噴霧器を使用する場合、まず、
図4に示すように、ボトル本体12から蓋体5を取り外す。蓋体5を取り外す前のボトル本体12は、薬液Lを収容しており、中栓52を首部12dの開口部12eの内側に装着しており、中栓52の円筒部分52aの挿通孔24dに吸液芯14を挿通配置している。蓋体5を取り外した後、噴霧キャップ54をボトル本体12の首部12dに螺合する。
【0052】
噴霧キャップ54をボトル本体12に取り付けると、
図5に示すように、吸液芯14の上端がピエゾ素子18のメッシュ18aに押し付けられる。ピエゾ素子18は、コイルバネ56によって吸液芯14に向けて押圧されているため、ピエゾ素子18のメッシュ18aに吸液芯14の上端が確実に押し付けられる。ピエゾ素子18は、
図6に示すように複数の噴霧孔18cを有する。
【0053】
何等かの要因により、ピエゾ素子18と吸液芯14の間に接触不良を生じた場合、ピエゾ素子18の下方(吸液芯14の上端が当接した側)から薬液Lが噴霧されてしまう可能性がある。この場合、メッシュ18aの裏側から噴霧された薬液Lは、ピエゾ素子18の裏面側、噴霧キャップ54の円筒部54cの内面、中栓52の円筒部分52cの内面、及び中栓52の傾斜部分52dの内面を濡らす。
【0054】
そして、ピエゾ素子18の裏面側に噴霧された薬液Lが周囲の構造物の内面で凝集して流れ落ち、中栓52の円筒部分52aの挿通孔24dと吸液芯14の間の隙間を通ってボトル本体12へ回収される。或いは、中栓52の内面を伝って流れ落ちた薬液Lは、吸液芯14によって吸い取られる。
【0055】
よって、第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、薬液Lが容器本体12の外部へ漏れ出る不具合を生じることはない。
【0056】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
2…本体装置、 4…薬液ボトル、 10…噴霧器、 12…ボトル本体、 14…吸液芯、 14a…上端、 16、54…噴霧キャップ、 18…ピエゾ素子、 18a…メッシュ、 18b…周縁部、 18c…噴霧孔、 21…支持部、 22…押え部、 23…筒部、 24…中間部、 24a…フランジ部、 24b…受部、 24c…上面、 24d…挿通孔、 24e…通気孔、 25…板バネ、 26…固定部、 52…中栓、 56…コイルバネ、 L…薬液。