(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114248
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】回路基板搭載用の筐体構造
(51)【国際特許分類】
H05K 7/12 20060101AFI20240816BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20240816BHJP
H05K 7/20 20060101ALN20240816BHJP
【FI】
H05K7/12 A
H05K9/00 A
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019895
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 基博
(72)【発明者】
【氏名】平野 健一
【テーマコード(参考)】
4E353
5E321
5E322
【Fターム(参考)】
4E353AA16
4E353AA17
4E353BB02
4E353CC02
4E353CC12
4E353CC33
4E353GG01
4E353GG04
5E321AA01
5E321AA14
5E321CC22
5E321GG01
5E321GH03
5E322AA01
5E322AB01
(57)【要約】
【課題】
多種のコネクタを用いる場合においても、汎用性が高く低コストでありかつコネクタのグランド接続部分に傷を生じさせずにフレームグランド接続が実現可能な回路基板搭載用の筐体構造を提供する。
【解決手段】
開口を有する側板部を有する筐体と、前記筐体の内側に配され前記開口の開口面に沿って移動自在に前記筐体に取り付けられかつ前記筐体の内面に電気的に接続されている導電性のスライド部材と、を有し、前記スライド部材は、前記筐体に搭載される回路基板の外部コネクタ接続端子を挿入可能な1又は複数の穴を有しかつ前記開口面に沿った方向に付勢されており、前記1または複数の穴の内側面は前記筐体の内面と前記スライド部材を介して電気的に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する側板部を有する筐体と、
前記筐体の内側に配され前記開口の開口面に沿って移動自在に前記筐体に取り付けられかつ前記筐体の内面に電気的に接続されている導電性のスライド部材と、を有し、
前記スライド部材は、前記筐体に搭載される回路基板の外部コネクタ接続端子を挿入可能な1又は複数の穴を有しかつ前記開口面に沿った方向に付勢されており、前記1または複数の穴の内側面は前記筐体の内面と前記スライド部材を介して電気的に接続されていることを特徴とする回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項2】
前記回路基板に対向しかつ前記回路基板を搭載する搭載面を有する搭載板部を有することを特徴とする請求項1に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項3】
前記スライド部材は、前記外部コネクタ接続端子に設けられかつ前記外部コネクタ接続端子に接続されるコネクタのシールドシェルと電気的に接続する金属からなるハウジングと接触する接触部を備え、
前記接触部は、前記1又は複数の穴の内側面から延在していることを特徴とする請求項1に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項4】
前記接触部は、前記外部コネクタ接続端子に接した際に前記コネクタを前記スライド部材の移動方向に付勢する板バネ構造を有することを特徴とする請求項3に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項5】
前記スライド部材は、前記接触部が前記コネクタの前記ハウジングと接触する方向に付勢されていることを特徴とする請求項4に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項6】
前記スライド部材の前記1又は複数の穴は、開口面と垂直な方向から見て、前記コネクタの前記ハウジングの寸法よりも大きく開口されていることを特徴とする請求項5に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項7】
前記搭載面は、前記搭載面に垂直な1の方向に伸長して前記回路基板を所定の高さで固定する搭載ポストと、前記1の方向に伸長かつ前記スライド部材と係合して前記スライド部材を前記1の方向に移動自在に支持する案内構造と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項8】
前記案内構造は、前記搭載板部に設けられた案内ポストであり、
前記スライド部材は、前記案内ポストが挿入されることで前記案内ポストと係合する孔部を有する係合部を有し、前記案内ポストに沿って移動自在であることを特徴とする請求項7に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項9】
前記案内構造は、前記案内ポストが挿入されかつ前記スライド部材を前記係合部を介して付勢するコイルばねを備えることを特徴とする請求項8に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項10】
前記スライド部材は、前記搭載板部に接しており前記スライド部材を前記案内構造に沿った方向に付勢する導電性の板バネを有することを特徴とする請求項2に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【請求項11】
前記筐体に前記回路基板が搭載されていない状態で、前記スライド部材が付勢されている方向と反対の方向に前記スライド部材を移動させ、前記外部コネクタに設けられかつ前記外部コネクタ接続端子に接続されるコネクタのシールドシェルと電気的に接続する金属からなるハウジングと前記スライド部材の前記接触部とを接触させずに前記外部コネクタ接続端子を前記スライド部材の前記1又は複数の穴に挿入して前記回路基板を前記筐体に搭載する
ことを特徴とする請求項1乃至10に記載の回路基板搭載用の筐体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器における、回路基板搭載用の筐体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子機器等において、外部インタフェースとの信号通信時のノイズ低減を行うために、金属シェルを用いたケーブルを用いて当該金属シェルをコネクタを介して金属製の筐体等にグランド接続するフレームグランド接続によりシールド処理を行う手法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、中心導体と絶縁され、上下に分割されかつ一方の支持部材が外導体(金属シェル)と電気的に接続された高周波コネクタが開示されている。特許文献1のコネクタの支持部材は、バネで閉塞方向に付勢されており、当該バネの弾性を用いて回路基板を挟みこみ外導体と電気的に接続された一方の支持部材を回路基板の一方の面に形成された金属のグランド面に圧着することで外導体をグランドに接続してコネクタをシールドする手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の高周波コネクタにおいては、コネクタの種類によって個別にカスタマイズを行う必要があり、汎用性が低くコストも高くなるという問題点があった。
【0006】
また、フレームグランド接続における他の問題点として、例えば、コネクタのグランド接続部分がグランド接続部品を介して筐体とグランド接続を行う場合、コネクタのグランド接続部分とグランド接続部品の接触面同士が擦れ合うと、双方に傷が生じる場合がある。当該接触面に傷が生じると、当該傷の部分から錆などの腐食が発生し、コネクタのフレームグランド接続不良が生じる恐れがある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、多種のコネクタを用いる場合においても、汎用性が高く低コストでありかつコネクタのグランド接続部分に傷を生じさせずにフレームグランド接続が実現可能な回路基板搭載用の筐体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による回路基板搭載用の筐体構造は、開口を有する側板部を有する筐体と、前記筐体の内側に配され前記開口の開口面に沿って移動自在に前記筐体に取り付けられかつ前記筐体の内面に電気的に接続されている導電性のスライド部材と、を有し、前記スライド部材は、前記筐体に搭載される回路基板の外部コネクタ接続端子を挿入可能な1又は複数の穴を有しかつ前記開口面に沿った方向に付勢されており、前記1または複数の穴の内側面は前記筐体の内面と前記スライド部材を介して電気的に接続されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例に係る電子機器の全体を示す斜視図である。
【
図2】実施例に係る電子機器の背面の内側から見たコネクタプレートの斜視図である。
【
図3】実施例に係るコネクタプレートの裏面図である。
【
図4】実施例に係るコネクタプレートの断面図である。
【
図5】実施例に係る回路基板取付時のコネクタプレートの動作を示す図である。
【
図6】実施例に係る回路基板取付時のコネクタプレートの動作を示す図である。
【
図7】実施例に係る回路基板取付時のコネクタプレートの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、図面において、同一の構成要素については同一の符号を付け、重複する構成要素の説明は省略する。
【実施例0011】
【0012】
電子機器1は、金属からなる天板11、側板12、13、14、15及び底板16からなる筐体内に、回路基板40を格納している。
【0013】
電子機器1は、上記筐体内に外部インタフェースと通信を行うためのコネクタ21、22、23、24が設けられた回路基板40を搭載している。
【0014】
天板11は、電子機器1における天面を構成する天板である。天板11は、筐体の内方の側の面に回路基板40を搭載し、これを固定している。すなわち、天板11は、回路基板40を搭載する搭載板部として機能する。また、天板11は、筐体外方の側の面に回路基板40からの熱を放散する放熱構造が形成されている。
【0015】
側板12は、電子機器1における正面を構成する側板部である。側板12の筐体外方の側の面は、例えば、外部インタフェースと通信接続を行うためのコネクタ群、及び電子機器1の操作パネル及び動作状態を示す表示パネルが配された面である。
【0016】
側板12の1の領域には、例えば、USB(Universal Serial Bus)、LAN(Local Area Network)又はディスプレイポート等のそれぞれが種々のサイズを有する汎用的な外部コネクタ端子であるコネクタ21、22、23、24の配置領域が一括的に開口された開口12Oが形成されている。言い換えれば、電子機器1の回路基板搭載用の筐体構造は、開口12Oを有する側板12を有する筐体を有する。
【0017】
開口12Oは、側板12の筐体内方の側の面からコネクタプレート30によって当該開口12Oが覆われている。また、コネクタプレート30には、後述する穴が形成されており、当該穴に筐体内方からコネクタ21、22、23、24が挿入されてそれぞれのコネクタが筐体外方に露出している。
【0018】
コネクタプレート30は、導電性の金属プレート等からなり、電子機器1の筐体内面に電気的に接続されている。
【0019】
コネクタ21、22、23、24は、例えば、メスコネクタであり、外部インタフェースからのケーブルの先端に設けられたオスコネクタ(図示せず)と嵌合する。なお、通信時のノイズを低減させるために、それぞれのケーブルには金属シェルを有するシールドケーブルが用いられる。
【0020】
コネクタ21、22、23、24の各々は、後述する外部インタフェースとの間と通信信号を相互にやりとりするコンタクト部21C、22C、23C、24C及びコネクタ21、22、23、24に接続されるオスコネクタと嵌合しかつ接続されるオスコネクタのシールドシェルと電気的に接続される金属からなるハウジング21H、22H、23H、24Hを有している。ハウジング21H、22H、23H、24Hは、コネクタプレート30の穴の内側面と接触しており、コネクタプレート30を介して電子機器1の筐体と電気的に接続されることでシールド処理が行われる。
【0021】
側板13は、側板12と対向し、電子機器1における背面を構成する側板である。本実施例においては、側板13は、例えば、無線LAN等の通信アンテナが配された面である。
【0022】
側板14、15は、電子機器1における側面を構成する側板である。側板14、15には、例えば、電子機器1を天井又は壁等に固定する固定具(図示せず)が取り付けられる。
【0023】
底板16は、電子機器1における底面を構成する底板である。
【0024】
本実施例において、電子機器1の筐体は、天板11及び側板12、13、14、15が一体的に構成され、底板16がねじ止め等により取り付けられる場合について説明する。すなわち、電子機器1は、筐体から底板16が取り外された状態で組み立て又は分解が行われる。従って、以降の説明においては、電子機器1が上下反転された状態で説明を行う。
【0025】
以下に、
図2乃至
図4を参照しつつ、電子機器1の内部の構造について説明する。
【0026】
図2は、電子機器1を2-2線で切断して側板12の裏側からスライド部材を見た際の斜視断面図である。また、
図3は、
図1の3-3線に沿った方向の電子機器1のコネクタプレート30近傍の断面図である。また、
図4は、
図1の4-4線に沿った方向の電子機器1のコネクタプレート30近傍の断面図である。
【0027】
なお、
図2以降の図においては、
図1の電子機器1を上下反転して図示している。
【0028】
また、
図2においては、コネクタプレート30の構造を示すため、コネクタ21、22、23、24の図示を省略し、回路基板40を破線で図示している。
【0029】
また、
図3及び
図4においては、コネクタプレート30の穴31O及びコネクタ21についてのみ図示している。なお、本実施例においては、その他の穴32O、33O、34O及びコネクタ22、23、24が、穴31O及びコネクタ21と同様の構成を有している場合について説明する。
【0030】
言い換えれば、電子機器1の回路基板搭載用の筐体構造は、回路基板40に対向しかつ当該回路基板40を搭載する搭載面11Sを有する搭載板部としての天板11を有する。
【0031】
搭載面11Sには、搭載面11Sから当該搭載面11Sに垂直な方向に伸長するポストP1及びP2が設けられている。
【0032】
ポストP1は、コネクタプレート30と係合し、これを支持する。ポストP1は、例えば、搭載面11Sの側板12に沿った領域において、側板12の開口12Oを挟み込む位置に2本設けられている。
【0033】
ポストP1は、
図3に示すように、円柱状の形状を有しかつ搭載面11Sから搭載面11Sに垂直な方向に所定の高さまで伸長する第1の部分P1A及び円柱状の形状を有しかつ第1の部分P1Aからさらに搭載面11Sに垂直な方向に所定の高さまで伸長する第2の部分P1Bが一体的に形成されている。また、ポストP1の第2の部分P1Bは、第1の部分P1Aよりも幅寸法が小さくなるように形成されている。ポストP1において、第2の部分P1Bは、コネクタプレート30と係合し、コネクタプレート30を移動自在に支持する案内構造、すなわち天板11の搭載面11Sに設けられたコネクタプレート30の案内ポストである。
【0034】
ポストP2は、搭載面11Sから所定の高さ位置で回路基板40を固定する搭載ポストである。ポストP2は、例えば、円柱状の形状を有し、搭載面11Sの回路基板40が配置される領域に複数本設けられている。回路基板40は、ポストP2の搭載面11Sからの伸長方向の先端に固定される。
【0035】
言い換えれば、搭載面11Sは、搭載面11Sに垂直な1の方向に伸長して回路基板40を所定の高さで固定するポストP2と、1の方向に伸長かつコネクタプレート30と係合してコネクタプレート30を1の方向に移動自在に支持するポストP1と、を備える。
【0036】
コネクタプレート30は、上述の通り、電子機器1の筐体の内側に配され側板12の開口12Oの開口面に沿って移動自在な金属プレートである。コネクタプレート30は、コネクタ21、22、23、24のハウジング21H、22H、23H、24H及び電子機器1の筐体の内面と電気的に接続するグランド接続部品である。言い換えれば、回路基板搭載用の筐体構造は、筐体の内側に配され側板12の開口12Oの開口面に沿って移動自在に筐体に取り付けられかつ筐体の内面に電気的に接続されている導電性のコネクタプレート30を有する。
【0037】
コネクタプレート30は、側板12の開口12Oの開口面に沿った方向である搭載面11Sに垂直な方向に延在するメインプレート部30Aと、メインプレート部30Aの搭載面11Sに平行な方向の端部から側板12に垂直な内方方向に延在する第1のサブプレート部30Bと、メインプレート部30Aの搭載面11Sの側の端部から搭載面11Sに平行な方向に延在する第2のサブプレート部30Cと、が一体的に形成されている。なお、コネクタプレート30のメインプレート部30A、第1のサブプレート部30B及び第2のサブプレート部30Cは、プレス加工のみで容易に形成可能である。
【0038】
コネクタプレート30のメインプレート部30Aには、
図2に示すように、側板12に沿った部分に回路基板40に設けられたコネクタ21、22、23、24を電子機器1の筐体外部に露出させるように挿入される矩形状の穴31O、32O、33O、34Oが設けられている。言い換えれば、コネクタプレート30は、筐体に搭載される回路基板40のコネクタ21、22、23、24を挿入可能な穴31O、32O、33O、34Oを有し、穴31O、32O、33O、34Oの内側面は筐体の内面とコネクタプレート30を介して電気的に接続されている。
【0039】
穴31O、32O、33O、34Oの各々は、
図4に示すように、搭載面11Sに垂直な方向において、コネクタ21、22、23、24よりも大きい寸法で開口されている。言い換えれば、コネクタプレート30の穴31O、32O、33O、34Oは、開口面と垂直な方向から見て、コネクタ21、22、23、24のハウジング21H、22H、23H、24Hよりも大きく開口されている。
【0040】
また、穴31O、32O、33O、34Oの各々は、開口面のうちの一辺が筐体内方に折り曲げられ、当該穴のそれぞれに挿入されるコネクタのハウジング21H、22H、23H、24Hとそれぞれ接触する接触部31C、32C、33C、34Cを備えている。言い換えれば、コネクタプレート30は、穴1O、32O、33O、34Oの内側面にコネクタ21、22、23、24のハウジング21H、22H、23H、24Hと接触する接触部31C、32C、33C、34Cを備え、接触部31C、32C、33C、34Cは、穴31O、32O、33O、34Oの内側面から延在している。
【0041】
第1のサブプレート部30Bは、
図2に示すように、メインプレート部30AからポストP1とそれぞれ係合する第1のフランジ部35、第2のフランジ部36と接する部分まで延在する。具体的には、第1のサブプレート部30Bは、メインプレート部30Aの搭載面11Sと平行な方向の端部は、ポストP1近傍まで至るように垂直に曲げられている。
【0042】
また、第1のサブプレート部30Bは、
図3に示すように、ポストP1近傍の面からポストP1と係合可能な位置に、搭載面11Sと平行な方向の第1のフランジ部35及び第2のフランジ部36が設けられている。
【0043】
第1のフランジ部35は、例えば、第1のサブプレート部30Bの搭載面11Sと反対の側の端部がポストP1と係合可能な位置に曲げられて形成されている。
【0044】
第2のフランジ部36は、例えば、第1のサブプレート部30Bは、ポストP1近傍の面の所定の高さ位置にポストP1と係合可能な位置に溶接されて形成されている。
【0045】
また、第1のフランジ部35と第2のフランジ部36との間の距離は、
図3に示すように、ポストP1の第2の部分P1Bの高さ寸法よりも小さくなるように設けられる。
【0046】
金属チューブ37は、第1のフランジ部35と第2のフランジ部36との間に設けられ、第1のフランジ部35及び第2のフランジ部36に固定されるように嵌合又は溶接されている。
【0047】
第1のフランジ部35、第2のフランジ部36及び金属チューブ37は、第1のフランジ部35から第2のフランジ部36まで貫通し、ポストP1の第2の部分P1Bが挿入可能な貫通孔30Hが設けられている。貫通孔30Hは、過度ながたつきが生じない程度に、ポストP1の第2の部分P1Bよりも大きい開口寸法で形成されている。すなわち、第1のフランジ部35、第2のフランジ部36及び金属チューブ37は、ポストP1の第2の部分P1Bと係合する係合部として機能する。言い換えれば、コネクタプレート30は、ポストP1の第2の部分P1Bが挿入されることでポストP1の第2の部分P1Bと係合する孔部を有する第1のフランジ部35、第2のフランジ部36及び金属チューブ37からなる係合部を有し、ポストP1の第2の部分P1Bに沿って移動自在である。
【0048】
コイルばねSPは、第2のフランジ部36とポストP1の第1の部分P1Aとの間において、ポストP1の第2の部分P1Bが挿入されかつ第2のフランジ部36をポストP1の伸長方向に付勢している。コイルばねSPは、貫通孔30Hよりも大きくかつポストP1の第1の部分P1Aよりも小さい外径寸法を有している。
【0049】
スクリュ30Sは、第1のフランジ部35がポストP1の第2の部分P1Bから抜けることを防止するストッパである。スクリュ30Sは、貫通孔30Hよりも大きい外径のヘッド部を有する又は貫通孔30Hよりも大きい外径のワッシャ等を介してポストP1の第2の部分P1Bの先端に固定されている。
【0050】
すなわち、コネクタプレート30は、電子機器1の筐体に搭載される回路基板40のコネクタ21、22、23、24を挿入可能な1又は複数の穴31O、32O、33O、34Oを有しかつ側板12の開口12Oの開口面に沿った方向に付勢されている。
【0051】
第2のサブプレート部30Cは、
図2に示すように、メインプレート部30Aの搭載面11Sの側の端部が搭載面11Sに平行な方向に曲げられている。
【0052】
第2のサブプレート部30Cの搭載面11Sに対向する面には、搭載面11Sに押し付けられるように設けられた板ばね38が設けられている。
【0053】
板ばね38は、導電性の金属からなり、搭載面11Sに接することでコネクタプレート30と天板11とを電気的に接続しかつコネクタプレート30をポストP1の伸長方向に付勢している。言い換えれば、コネクタプレート30は、搭載面11Sに接しておりコネクタプレート30をポストP1に沿った方向に付勢する導電性の板ばねを有する。
【0054】
以下に、回路基板40の搭載時におけるコネクタプレート30の状態について説明する。
【0055】
回路基板40は、
図4に示すように、ポストP2の先端に載置され、スクリュ40SによってポストP2の先端位置に固定されている。
【0056】
コネクタ21は、回路基板40の搭載面11Sに対向する面に取付けられている。また、コネクタ21は、上述の通り、接続されるオスコネクタの通信線と接続して外部インタフェースとの間と通信信号を相互にやりとりするコンタクト部21C及び接続されるオスコネクタと嵌合しかつ接続されるオスコネクタのシールドシェルと電気的に接続される金属からなるハウジング21Hを有している。
【0057】
コンタクト部21Cは、回路基板40の信号配線パターンと接続され、回路基板40が有する半導体装置(図示せず)等と接続している。
【0058】
ハウジング21Hは、導電性の金属からなり、コンタクト部21Cと互いに絶縁しかつコンタクト部21Cを取り囲むように形成されている。ハウジング21Hの側板12の開口12Oの方向(筐体外方)の端部は開口されており、筐体外方から上記のオスコネクタのシールドシェルを嵌合可能なようになっている。
【0059】
また、コネクタ21は、回路基板40の側板12の開口12Oの方向の端部から突出しており、筐体内方からコネクタプレート30の穴31Oに挿入されている。
【0060】
コネクタプレート30の接触部31Cは、コネクタ21の搭載面11Sの側に形成されている。また、コネクタプレート30は、コイルばねSPの弾性力により、搭載面11Sに垂直な方向でありかつ搭載面11Sから回路基板40の方向に付勢されている。すなわち、コネクタプレート30は、接触部31C、32C、33C、34Cの各々が穴31O、32O、33O、34Oにそれぞれ挿入されたコネクタ21、22、23、24のハウジング21H、22H、23H、24Hと接触する方向に付勢されている。
【0061】
また、コネクタプレート30のメインプレート部30Aの穴31Oは、接触部31Cと反対の側において、コネクタ21のハウジング21Hとの間に間隙を有している。言い換えれば、メインプレート部30Aの穴31O、32O、33O、34Oの各々は、搭載面11Sに垂直な方向において、コネクタ21、22、23、24のハウジング21H、22H、23H、24Hの寸法よりも大きく開口されている。
【0062】
また、接触部31C、32C、33C、34Cの各々は、コネクタ21、22、23、24のハウジング21H、22H、23H、24Hに接触した際に、接触を維持するためにコネクタプレート30の移動方向に付勢する板ばね構造を有している。
【0063】
また、コネクタプレート30の第2のサブプレート部30Cの搭載面11Sに対向する面に設けられた板ばね38は、搭載面11Sに接触している。よって、コネクタ21、22、23、24のハウジング21H、22H、23H、24Hは、コネクタプレート30の接触部31C、32C、33C、34C及び板ばね38を介して筐体(天板11)と電気的に接続される。
【0064】
これにより、コネクタ21、22、23、24のハウジング21H、22H、23H、24Hが、電子機器1の筐体(天板11)と電気的に接続され、フレームグランド接続によるシールド処理を行うことが可能となる。
【0065】
以下に、電子機器1に回路基板40を搭載する際のコネクタプレート30の動作について説明する。
【0066】
図5乃至
図7は、電子機器1の組み立て時における、回路基板40を搭載する際のコネクタプレート30の動作を示す図である。なお、
図5乃至
図7においては、その他の穴32O、33O、34O及びコネクタ22、23、24についても、穴31O及びコネクタ21と同様の動作をしている。
【0067】
まず、
図5に示すように、回路基板40を搭載する前に、コネクタプレート30をコイルばねSPによる付勢方向と反対の方向に押し込み、搭載面11Sの方向に移動させる。
【0068】
次に、
図6に示すように、コネクタプレート30を押し込んだまま、回路基板40のコネクタ21のハウジング21Hがコネクタプレート30の穴31Oの内側面及び接触部31Cと接しないように当該のハウジング21Hを穴31Oに挿入して回路基板40を所定の位置に載置する。
【0069】
次に、
図7に示すように、コネクタプレート30の押し込みを開放し、コイルばねSPの弾性力によってコネクタプレート30を移動させることにより、コネクタプレート30の接触部31Cとコネクタ21のハウジング21Hとを接触させる。
【0070】
その後、
図4に示すように、回路基板40をスクリュ40Sで固定することにより、搭載面11Sに回路基板40を搭載する。
【0071】
以上のように、天板11の搭載面11Sに回路基板40が搭載されていない状態で、コネクタプレート30が付勢されている方向と反対の方向にコネクタプレート30を移動させ、コネクタ21、22、23、24のハウジング21H、22H、23H、24Hとコネクタプレート30の接触部31C、32C、33C、34Cとを接触させずにコネクタ21、22、23、24をコネクタプレート30の穴31O、32O、33O、34Oに挿入して回路基板40を搭載面11Sに搭載する。
【0072】
これにより、コネクタ21のハウジング21Hとコネクタプレート30の接触部31Cとが擦り合うことなく回路基板40を搭載面11Sに搭載することができる。よって、コネクタ21のハウジング21H及びコネクタプレート30の接触部31Cに傷を生じさせることなく回路基板40を搭載することができる。従って、コネクタ21のハウジング21H及びコネクタプレート30の接触部31Cの錆などの腐食を防止しつつ、コネクタ21のフレームグランド接続を行うことが可能となる。
【0073】
また、コネクタプレート30から筐体外部に露出する他のコネクタ22、23、24においても同様に、ハウジング22H、23H、24H及びコネクタプレート30の接触部32C、33C、34Cに傷を生じさせずにそれぞれの穴32O、33O、34Oに挿入可能である。すなわち、ハウジングサイズの異なる種々の汎用的なコネクタに対して、傷を生じさせずに一括的に筐体外部に露出させることができる。
【0074】
本実施例によれば、多種のコネクタを用いる場合においても、汎用性が高く低コストでありかつグランド接続部分に傷を生じさせずにフレームグランド接続が実現可能となる。
【0075】
なお、本実施例においては、4つのコネクタ21、22、23、24と電気的に接続するコネクタプレート30である場合について説明したが、コネクタプレート30と電気的に接続するコネクタの数はこれに限定されない。コネクタプレート30と電気的に接続するコネクタは1つであってもよいし、4つ以上の複数であっても適用可能である。
【0076】
また、本実施例においては、回路基板40の搭載面11Sに対向する面にのみコネクタが設けられた場合について説明したが、回路基板40の両面にコネクタが配置された、密集型のコネクタ群であっても適用可能である。
【0077】
コネクタプレート30は、電気的に接続するコネクタの数量、側板12の開口12Oにおけるコネクタの配置領域に応じて、コネクタプレート30のサイズ及び穴位置を変更するだけで対応可能である。また、上述した通り、コネクタプレート30は、プレス加工及び溶接によって容易に形成可能であるため、種々のパターンのコネクタ配置に低コストで対応可能である。
【0078】
また、本実施例においては、コネクタプレート30が第2のサブプレート部30Cに設けられた導電性の板ばねによって搭載面11S(筐体)と電気的に接続する場合について説明したが、搭載面11S(筐体)との電気的な接続方法はこれに限定されない。例えば、コネクタプレート30を移動可能に支持するポストP1を介して搭載面11Sと電気的に接続されていてもよい。
【0079】
また、本実施例においては、コネクタプレート30がポストP1に取付けられたコイルばねSPによってポストP1の伸長方向に付勢されている場合について説明したが、コネクタプレート30の付勢方法はこれに限定されない。例えば、コイルばねSPを設けずに、コネクタプレート30の第2のサブプレート部30Cに設けられた導電性の板ばね38がコネクタプレート30を付勢するようにしてもよい。
【0080】
また、本実施例においては、コネクタプレート30のポストP1と係合する部分が、第1のフランジ部35、第2のフランジ部36及び金属チューブ37からなる場合について説明したが、コネクタプレート30のポストP1と係合する部分の構造はこれに限定されない。例えば、コネクタプレート30とポストP1の第2の部分P1Bとの間で過度ながたつきがなければ金属チューブ37は設けられなくともよい。また、例えば、第1のフランジ部35及び第2のフランジ部36からなる係合部分に代えて、コネクタプレート30の第1のサブプレート部30Bの外方面にポストP1の第2の部分P1Bと係合する貫通孔が設けられた直方体ブロックを溶接するようにしてもよい。
【0081】
以上のように、記載の実施例は発明の範囲を限定することは意図していない。記載の実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、それら変形例も、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。