(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114253
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】計量装置及び計量販売システム
(51)【国際特許分類】
G01G 21/23 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
G01G21/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019904
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋月 香穂
(57)【要約】
【課題】操作者(店員等)や顧客等に対する使用性や外観性を向上させた計量装置及び計量販売システムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の計量装置1は、計量皿3と、重量センサを収容する本体2と、前記計量皿3を下から支持し、前記重量センサに荷重を伝達する荷重伝達部材4と、変形機構48と、を備え、前記変形機構48は、第1形態および前記第1形態よりも前記計量皿3のみの高さ寸法を高くする第2形態に変形可能に構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量皿と、
重量センサを収容する本体と、
前記計量皿を下から支持し、前記重量センサに荷重を伝達する荷重伝達部材と、
変形機構と、
を備え、
前記変形機構は、第1形態および前記第1形態よりも前記計量皿のみの高さ寸法を高くする第2形態に変形可能である計量装置。
【請求項2】
前記変形機構は、前記荷重伝達部材に備えられ、前記変形機構を起立させることで前記第2形態に変形する
請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記計量皿は、天板部と、前記天板部の周縁から下方に立ち下がる周壁部を有するとともに、前記天板部と前記周壁部により下方に開口する凹部が形成され、
前記荷重伝達部材の外郭形状は、平面視における前記凹部と同等の形状および大きさに形成され、
前記第2形態において、
前記計量皿の前後方向に対しては前記変形機構の前後方向の両端部と前記計量皿の前記周壁部とで前後方向への前記計量皿のズレを規制し、
前記計量皿の左右方向に対しては前記起立させた前記変形機構の上端部と前記計量皿の前記周壁部の四隅に形成されたR形状部分とで左右方向への前記計量皿のズレを規制する
請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記本体の前後方向における一側に設けられた店員側表示部と、
前記本体の前後方向における他側に設けられた客側表示部と、
を更に備え、
前記店員側表示部および前記客側表示部の上端は、前記変形機構が前記第1形態で、前記計量皿の上面と同等の高さ又は前記計量皿よりも低い高さに位置する
請求項1から3のいずれか1項に記載の計量装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の計量装置と、
前記計量装置による商品の計量結果に基づく情報が印字された紙媒体を発行する印字装置を更に備え、
前記印字装置は、前記本体の前後方向における一側を向いた状態で、前記本体の左右方向における一側に隣接して配置され、
前記計量皿の上面は、前記変形機構が前記第2形態で、前記印字装置の上面と同等以上の高さに位置する
計量販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の計量販売に使用される計量装置及び計量販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食料品を販売する店舗等で用いられる計量装置として、計量皿に計量対象物を載せて計量を行う計量装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、本体部、計量対象物を載せる計量皿、計量部、及び操作パネルを含み構成される計量装置が知られている。このような計量装置について、近年、外観性の向上やコンパクト化のニーズがある。
一方で、計量装置は、例えば、店舗等の売り場のショーケース上や操作台等の高さの異なる種々の位置に配置されるが、そのような高さの異なる場所に配置して使用する際の使用性や外観性については、改善の余地があった。
また、計量装置は、他の機器と関連付けて計量システムとしても構成されることもあるが、この計量装置を他の周辺機器と隣接配置して使用する場合の使用性や外観性についても、改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みて、操作者(店員等)や顧客等に対する使用性や外観性を向上させた計量装置及び計量販売システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の計量装置は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
計量皿と、重量センサを収容する本体と、前記計量皿を下から支持し、前記重量センサに荷重を伝達する荷重伝達部材と、変形機構と、を備え、前記変形機構は、第1形態および前記第1形態よりも前記計量皿のみの高さ寸法を高くする第2形態に変形可能であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る計量販売システムの設置の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】同計量販売システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】同計量販売システムの概略図であり、
図3(a)は、計量装置の店員側表示部及び客側表示部を共に前下がりに傾斜する姿勢に保持した状態で計量販売システムを上方から見た概略平面図であり、
図3(b)は、同計量販売システムを側面から見た概略側面図である。
【
図4】同計量販売システムにおける計量装置の一部を分割した各構造の例を示す概略斜視図である。
【
図5】同計量装置を構成する計量皿の一例を示す概略図であり、
図5(a)は、計量皿を斜め上方から見た概略斜視図であり、
図5(b)は、計量皿を斜め下方から見た概略斜視図である。
【
図6】同計量装置を構成する荷重伝達部材の一例を示す概略図であり、
図6(a)は、変形機構が第1形態に変形した状態の荷重伝達部材の概略斜視図を示し、
図6(b)は、変形機構が第2形態に変形した状態の荷重伝達部材の概略斜視図を示している。
【
図7】
図7(a)は、同荷重伝達部材の脚部を斜め上から見た概略斜視図であり、
図7(b)は、同荷重伝達部材の基台部を斜め上から見た概略斜視図であり、
図7(c)は、同荷重伝達部材に着脱自在に取り付けられる接触防止部材を斜め上から見た概略斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、変形機構が第1形態に変形した状態の荷重伝達部材に計量皿を支持させた概略断面図であり、
図8(b)は、変形機構が第2形態に変形した状態の荷重伝達部材に計量皿を支持させた概略断面図である。
【
図9】第2形態に変形した変形機構に計量皿を支持させた状態を下方から見た概略図である。
【
図10】同計量販売システムの使用及び設置の態様を示す概略斜視図である。
【
図11】計量装置を構成する他の荷重伝達部材の例を示す概略図であり、
図11(a)は、変形機構が第1形態に変形した状態の荷重伝達部材の概略斜視図を示し、
図11(b)は、変形機構が第2形態に変形した状態の荷重伝達部材の概略斜視図を示し、
図11(c)は、変形機構が第2形態に変形した状態の荷重伝達部材の概略正面図を示している。
【
図12】他の荷重伝達部材を構成する各構造の例を示す概略図であり、
図12(a)は、荷重伝達部材の上板部を斜め下から見た概略斜視図であり、
図12(b)は、荷重伝達部材の脚部を斜め上から見た概略斜視図であり、
図12(c)は、荷重伝達部材の基台部を斜め上から見た概略斜視図である。
【
図13】他の荷重伝達部材を装着した計量販売システムの使用及び設置の態様を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る計量販売システムの実施形態の一例を図面に基づいて説明する。
(計量販売システムの基本構造)
図1は、本発明に係る計量販売システムの設置の一例を示す概略斜視図である。
本実施形態の計量販売システムAは、計量装置1とプリンタ14とを含み構成される。プリンタ14は、
図1に示されるように、例えば、計量装置1の左右方向における一側に隣接して配置される。
なお、計量装置1に対するプリンタ14の配設位置は、この例に限定されるものではなく、任意な位置に設置可能である。
【0009】
計量装置1は、本体2と、本体2の上面に設置される計量皿3と、本体2と計量皿3との間に介在して設けられる荷重伝達部材4(
図4参照)と、店員側操作表示部5と、客側表示部6とを含み構成される。
【0010】
本体2は、合成樹脂材や金属材を用いて形成された筐体を有し、その内部に、計量部12(
図2参照)を構成する不図示の重量センサ(例えば、ロードセル)、重量センサから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、電源装置及びノイズフィルター等が設置されている。
計量皿3に載置された計量対象物は、荷重伝達部材4を介してその荷重が計量部12の重量センサに伝達される。計量皿3及び荷重伝達部材4の構成については後述する。
なお、計量対象物は、例えば、肉、魚、野菜、果物、総菜等の量り売り商品であり、例えば、皿や容器に盛られた状態で計量される。
【0011】
本体2の前後方向における一側(
図1の手前側)に店員側表示部としての店員側操作表示部5が設けられ、本体2の前後方向における他側(店員側操作表示部5が配置された側と反対側:
図1の奥側)に客側表示部6が配置されている。
店員側操作表示部5は、操作者(店員等)が商品の取引内容を確認・操作できるように、商品に関する商品情報、価格情報、入力項目等の各種情報を操作可能に表示する。
また、客側表示部6は、顧客が商品の取引内容を確認できるように、商品に関する商品情報、価格情報等の各種情報を表示する。
【0012】
プリンタ(印字装置)14は、印字機能を有する電子機器であり、計量装置1と有線または無線で接続されている。プリンタ(印字装置)14は、
図1に示されているように、例えば、ケース14aと、ケース14aの開口を開閉するカバー体14bとを備え、計量装置1の計量部12による商品の計量結果に基づく情報が印字された紙媒体や商品販売に関する内容(例えば、商品販売に関する値付けラベル等のラベルや会計処理時のレシート等)を、例えば、紙媒体としてのラベル用紙やレシート用紙等に印刷し、ラベルやレシート等を発行口14cより排出(発行)する。
このプリンタ(印字装置)14は、例えば、計量装置1の本体2の前後方向における一側を向いた状態で、本体2の左右方向における一側に隣接して配置される。
【0013】
(計量販売システムの概略構成)
図2は、計量販売システムAの概略構成を示すブロック図である。計量装置1は、
図2に示されているように、例えば、制御部(CPU)10、記憶部11、計量部12、通信部13、店員側操作表示部5及び客側表示部6を含み構成されており、上記各構成要素はバスなどを介して互いに接続されている。また、プリンタ14も計量装置1の制御部(CPU)10に接続されている。
【0014】
制御部(CPU)10は、例えば、記憶部11に記憶されている制御プログラムを実行することにより、計量装置1の各構成要素を統合的に制御する。
この制御部(CPU)10は、量り売り商品について、後述する計量部12からの計量データと、単価(単位重量当たりの価格)とを乗算することでその商品の価格(支払い金額)を算出する。さらに、定額商品について、定額商品の単価に販売数量を乗算することでその商品の価格(支払い金額)を算出する機能を有し、この場合、定額商品の計量は行わず、店員側操作表示部5の操作のみで、価格の計算及び商品登録を行うことができる。
【0015】
記憶部11は、RAMやROM等の記憶装置により構成され、制御プログラムや、商品に関する商品情報(例えば、商品名、単価など)、印字に関する印字情報、印字フォーマット情報、各種設定情報(データ)などを記憶する。また、記憶部11には、店員を識別する店員識別情報と店員情報(店員の氏名等)とが対応付けられて記憶されている。なお、記憶部11に記憶されているプログラムや各情報(データ)は、通信路(例えば、通信部13)を介して通信可能に接続された外部のコンピュータから得られたものであってもよい。
【0016】
計量部12は、例えば、重量センサ(例えば、ロードセル)、重量センサから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、電源装置及びノイズフィルター等を有し、計量皿3に載置された商品等の計量対象物の重量を計量し、計量データを制御部10に出力する。
【0017】
通信部13は、外部の装置(例えば、決済端末、ドロア、携帯端末装置、ストアコントローラ、外部のコンピュータ等)との間で情報を送受信するインターフェースである。
なお、プリンタ14は、この通信部13を介して情報を送受信するように構成することもできる。
【0018】
店員側操作表示部5は、本体2の前後方向における一側(
図1の手前側)に設けられており、制御部(CPU)10の制御により、操作者(店員等)が商品の取引内容を確認・操作できるように、商品に関する商品情報、価格情報、入力項目等の各種情報を操作可能に表示する。また、店員側操作表示部5は、操作者(店員等)による操作に応じた信号を制御部(CPU)10に出力する。
【0019】
客側表示部6は、本体2の前後方向における他側(
図1の奥側)に設けられており、制御部(CPU)10の制御により、顧客が商品の取引内容を確認できるように、商品に関する商品情報、価格情報等の各種情報を表示する。
【0020】
計量装置1は、計量部12により計量した商品の計量データを制御部(CPU)10に出力するとともに、制御部10の制御により、店員側操作表示部5に、商品に関する商品情報、価格情報、入力項目等の各種情報を操作可能に表示し、また、客側表示部6に、商品に関する商品情報、価格情報等の各種情報を表示し、さらに、通信部13により、外部の装置との間で情報を送受信可能に構成されるものである。
【0021】
また、計量装置1は、量り売り商品について、量り売り商品の重量を計量し、その計量結果である重量と単価(単位重量当たりの価格)とを乗算することでその商品の価格(支払い金額)を算出する機能を有する。
さらに、この計量装置1は、定額商品について、定額商品の単価に販売数量を乗算することでその商品の価格(支払い金額)を算出する機能を有するものである。この場合、定額商品の計量は行わず、店員側操作表示部5の操作のみで、価格の計算及び商品登録を行うことができる。
このように、本発明に係る計量装置1は、商品データ処理装置としても機能するものである。
【0022】
プリンタ14は、印字機能を有する電子機器であり、印字装置の一例である。プリンタ14は、例えば、計量装置1に設けられた接続部(不図示)を介して情報を送受信するように接続されている。例えば、計量装置1及びプリンタ14に、それぞれ端子部(接続部)を設け、端子部同士を接触させることによって通信してもよいし、それぞれコネクタ(接続部)を設け、コネクタ同士を繋ぐケーブルによって通信してもよい。
なお、計量装置1とプリンタ14とは、
図2に示される通信部13を介して情報を送受信するように接続することもできる。また、計量装置1と、プリンタ14との通信は、有線で行うように構成しても、あるいは、無線(近距離無線通信)で行うように構成してもよい。
【0023】
(店員側操作表示部及び客側表示部の構造)
次に、計量装置1における店員側操作表示部5及び客側表示部6の具体的な構造について説明する。
図3は、計量販売システムAの概略図であり、
図3(a)には、計量装置の店員側表示部及び客側表示部を共に前下がりに傾斜する姿勢に保持した状態で計量販売システムを上方から見た概略平面図が示されており、
図3(b)には、同計量販売システムを側面から見た概略側面図が示されている。
【0024】
<店員側操作表示部>
店員側操作表示部5は、
図3(a)に示されているように平板状の支持フレーム5aに液晶タッチパネル(タッチキー部)5bが配置されて構成されている。この液晶タッチパネル(タッチキー部)5bは、画面をタッチすることで画面に表示された部分を選択操作することができる。
【0025】
店員側操作表示部5の横寸法(幅寸法)W5は、客側表示部6の横寸法(幅寸法)W6、及び、本体2の幅寸法W2と同等(略同一)に形成されている。
また、店員側操作表示部5の縦寸法L5は、
図3(b)に示されているように、客側表示部6の縦寸法L6や、計量装置1(後述する変形機構が第1形態の状態)の高さ寸法H2よりも大きく形成されている。
【0026】
このように、店員側操作表示部5は、本体2に比して大きな表示画面として構成されていることから、店員側操作表示部5を正面から見た場合には、店員側操作表示部5が本体2の前面を覆い隠すように配置されることとなり、あたかも店員側操作表示部5のみが設置面に設置されているような印象を操作者(店員等)に与えることができる。したがって、操作者(店員等)の操作性、視認性等を向上させることができる。
【0027】
また、店員側操作表示部5は、
図3(b)に示されているように、本体2の前後方向における一側(
図3(b)の右側)に、所定の傾斜角度の範囲内で傾斜角度を調整可能に回動自在に支持されている。例えば、本体2の前面に設けられた支持体7に、角度保持機能を備えるヒンジ等の回動機構(不図示)を介して回動可能に取り付けられる。
【0028】
また、本体2の前面に設けられた支持体7の上面には、
図3(a)に示すように、計量皿3の水平を目視によって確認する水準器(水平器)8が設置されている。この水準器8は、液体中に気泡が封入されており、気泡の位置によってその水平度が検出できる構成となっている。また、この計量装置1の底面の4隅近傍位置には水平調整脚(不図示)が設けられている。各水平調整脚は、これを回転することで、その長さ(高さ)が調整(伸縮)でき、これによって計量皿3の水平度を調節することができる。
このように、水準器8は、本体2の前面に設けられた支持体7の上面に設けられることで、本体2自体に水準器8を設けるスペースが不要となることから、本体2をよりスッキリとした形状に構成することができる。
【0029】
店員側操作表示部5は、このような角度保持機能を備える回動機構を用いることで、本体2に対して、前下がりに傾斜する姿勢から、本体2に対して鉛直方向に垂れる姿勢の任意の姿勢を保持(維持)することができる。
【0030】
図3(b)には、計量装置1及びプリンタ14を、ショーケースやドロア等の設置面GL上に設置した例が示されている。同図に示すように店員側操作表示部5は、本体2に対して前下がりに傾斜する姿勢で、店員側操作表示部5の先端部が、設置面GLに支持されるように配置されている。このように配置すれば、例えば、店員側操作表示部5に不用意な必要以上の押圧方向の力が作用しても店員側操作表示部5の傾斜角度は変化することがない。
したがって、操作者(店員等)は、店員側操作表示部5の液晶タッチパネル(タッチキー部)5bを安定して操作することができる。
【0031】
なお、店員側操作表示部5は、角度保持機能を備える回動機構を用いて、本体2に対して前下がりに傾斜する姿勢を保持(維持)することができるので、例えば、計量装置1の設置場所等の関係で、店員側操作表示部5の先端部が設置面GLに支持されていない状態でも、操作者(店員等)は、店員側操作表示部5の液晶タッチパネル(タッチキー部)5bを操作することができる。
また、操作者(店員等)の身長等に対応して、店員側操作表示部5の角度を調整することもできるので、操作性や視認性等も向上する。
【0032】
<客側表示部>
客側表示部6は、
図3(a)に示されているように平板状の支持フレーム6aに液晶パネル6bが配置されるとともに、この液晶パネル6bに隣接して、例えば、メッセージカードや、各種の宣伝内容が印字されたカードや、背景画像や背景色が印字されたカード等の板状物が装着可能なホルダ部6cが設けられている。
【0033】
客側表示部6の横寸法(幅寸法)W6は、店員側操作表示部5の横寸法(幅寸法)W5、及び、本体2の幅寸法W2と同等(略同一)に形成されている。
また、客側表示部6の縦寸法L6は、
図3及び
図4に示されているように、計量装置1(後述する変形機構が第1形態の状態)の高さ寸法H2よりも大きく形成されている。
【0034】
したがって、客側表示部6は、本体2に比して大きな表示画面として構成されていることから、客側表示部6を正面から見た場合には、客側表示部6が本体2の前面を覆い隠すように配置されることとなり、あたかも客側表示部6のみが設置面に設置されているような印象を顧客に与えることができる。したがって、顧客の視認性が向上する。また、外観的にもスッキリするので計量装置1の外観性を向上させることもできる。
【0035】
また、客側表示部6は、
図3(b)に示されているように、本体2の前後方向における他側(
図3(b)の左側)に、所定の傾斜角度の範囲内で傾斜角度を調整可能に回動自在に支持されている。例えば、本体2の他側の部位に、角度保持機能を備えるヒンジ等の回動機構(不図示)を介して回動可能に取り付けられる。
【0036】
客側表示部6は、このような角度保持機能を備える回動機構を用いることで、本体2に対して、前下がりに傾斜する姿勢(
図3(b)の実線)から、本体2に対して鉛直方向に垂れる姿勢(
図3(b)の点線)の任意の姿勢を保持(維持)して配置することができる。また、客側表示部6の下端は、
図3(b)の点線に示されているように、本体2の底面よりも低い位置に配置可能である。
したがって、客側表示部6は、計量装置1の設置場所、設置高さ等に応じて、その角度を調整することができるので、顧客の視認性が向上する。
【0037】
なお、客側表示部6は、支持フレーム6aに液晶パネル6bを配置して構成したが、この液晶パネル6bを店員側操作表示部5と同様に液晶タッチパネル(タッチキー部)で構成することもできる。この場合には、客による液晶タッチパネル(タッチキー部)の操作に応じた信号を制御部(CPU)10に出力する。
また、上記実施形態において、客側表示部6には、液晶パネル6bとともに、液晶パネル6bに隣接してホルダ部6cを設けているが、このホルダ部6cを設けることなく、液晶パネル6bのみを配置するように構成してもよい。
【0038】
上述したとおり、本発明に係る計量装置1は、店員側操作表示部5及び客側表示部6が、本体2に比して大きな表示画面として構成されていることから、店員が店員側操作表示部5を正面から見た場合には、店員側操作表示部5が本体2の前面を覆い隠すように配置されることとなり、あたかも店員側操作表示部5のみが設置面に設置されているような印象を操作者(店員等)に与えることができるため、操作者(店員等)の操作性、視認性等を向上させることができる。
さらに、客側表示部6を正面から見た場合にも、客側表示部6が本体2の前面を覆い隠すように配置されることとなり、あたかも客側表示部6のみが設置面に設置されているような印象を顧客に与えることができるため、顧客の視認性が向上するとともに、外観的にもスッキリするのでその外観性も向上させることができる。
【0039】
次に、
図4~
図7を参照しながら、計量装置1における計量皿3及び荷重伝達部材4の具体的な構造について説明する。
(計量皿)
計量皿3は、
図4及び
図5(a)(b)に示されるように、計量対象物が載置される天板部3aと、天板部3aの周縁から下方に立ち下がる周壁部3bを有する。この計量皿3は、例えば、合成樹脂材や金属材を用いて形成される。この計量皿3は、本体2の上面2aに、後述する荷重伝達部材4を介して設置される。
【0040】
また、計量皿3は、
図5(b)に示されるように、天板部3aと周壁部3bにより下方に開口する凹部3cが形成され、この凹部3cに荷重伝達部材4が収容される。したがって、荷重伝達部材4は、脚部48を基台部41に対して横臥状態に位置させた状態(第1形態の状態)において、
図1や
図3(b)に示されるように、斜め上方から見た斜視状態において、あるいは、側面視において、計量皿3により遮蔽されることになる。この状態で計量装置1を使用する場合、計量皿3と本体2との間に介在する荷重伝達部材4は顧客に視認されることがないため、外観的にスッキリした印象を与えることができ、計量装置1の外観性を向上させることができる。
【0041】
また、
図5(b)に示されるように、計量皿3の周壁部3bの四隅には、曲線部をなすR形状部分3dが形成されるとともに、計量皿3の天板部3aの内面には、上側に凹む凹所3eが形成されている。このR形状部分3d及び凹所3eについては後述する。
【0042】
また、計量皿3は、平面視において、本体2と同等の形状および大きさに形成するのが好ましい。
図3(a)に示すように、本体2が平面視略矩形形状に形成されている場合には、計量皿3を本体2と同様に平面視略矩形状に形成するとともに、計量皿3の前後方向及び左右方向の寸法を、本体2の前後方向及び左右方向の寸法と略同一に構成すればよい。このように構成することで、本体2と計量皿3との外観があたかも一体物であるように略連続するため、計量装置1の外観性をより向上させることができる。
なお、計量皿3及び本体2の形状は、
図3(a)に示される平面視略矩形状の形状に限定されるものではない。
【0043】
(荷重伝達部材)
荷重伝達部材4は、
図4及び
図6(a)(b)に示されているように、荷重伝達部材4の基台をなす基台部41と、基台部41に回動可能に設けられる脚部48とを含み構成されている。この荷重伝達部材4は、計量装置1の上面2aに設置された状態で計量皿3を下から支持し、計量装置1の本体2内部に設置されている重量センサ(例えば、ロードセル)に荷重を伝達するように機能する。
【0044】
この荷重伝達部材4は、
図6(a)に示されているように、変形機構としての脚部48を基台部41に対して横臥状態に位置させた状態(第1形態の状態)と、
図6(b)に示されているように、脚部48を基台部41に対して起立状態に位置させ、第1形態よりも高さ寸法が大きい状態(第2形態の状態)に変形させることにより、計量皿3の高さ位置を調整可能とするものである。
【0045】
また、脚部48が第1形態に変形した状態での荷重伝達部材4の外郭形状を、平面視における計量皿3の凹部3cと同等の形状および大きさに形成し、荷重伝達部材4を計量皿3の凹部3cに嵌り合うように収容(嵌合)してもよい。この場合、計量皿3は、荷重伝達部材4に対して、前後方向及び左右方向に位置決めされた状態で安定して設置することができる。
【0046】
以下、荷重伝達部材4の具体的な構造について説明する。
図7(a)には、荷重伝達部材の脚部を斜め上から見た概略斜視図が示され、
図7(b)には、荷重伝達部材の基台部を斜め上から見た概略斜視図が示されている。
【0047】
<基台部>
まず、荷重伝達部材4を構成する基台部41の構造について説明する。基台部41は、脚部48を横臥状態で収容する収容凹部42と、脚部48を回動可能に支持する支持部43と、脚部48の凸部48cを摺動可能に案内する案内凹部44と、脚部48を所定の起立状態に位置決めする位置決め部45と、後述する接触防止部材20を着脱自在に取付ける部位をなす取付部46と、計量装置1の上面2aに形成された開口2bに挿通され、本体2の内部に設置されている重量センサ(例えば、ロードセル)に荷重を伝達する突出部47とを含み構成されている。この基台部41は、例えば、合成樹脂材により一体成形される。
【0048】
[収容凹部]
収容凹部42は、支持部43に回動可能に支持された脚部48を横臥状態で収容する部位をなし、基台部41の中央部位を挟んで左右一対形成される。
図6(a)に示されるように、脚部48が収容凹部42に横臥状態に収容されると、基台部41の中央部位の上面と、横臥状態の脚部48の上面と、支持部43の上面と、取付部46の上面のそれぞれの高さは略同一高さ(各面がフラットな面一の状態)となる。計量皿3は、これら各面に支持されて載置される。
【0049】
なお、上記実施形態において、横臥状態の脚部48の上面の高さは、基台部41の中央部位の上面、支持部43の上面及び取付部46の上面のそれぞれの高さと略同一に設定したが、そのような構成に限定されない。
例えば、横臥状態の脚部の上面の高さを、基台部41の中央部位の上面、支持部43の上面及び取付部46の上面よりも高く設定してもよい。この場合には、計量皿3は、横臥状態の左右の脚部の上面に支持されて載置される。
また、横臥状態の脚部の上面の高さを、基台部41の中央部位の上面、支持部43の上面及び取付部46の上面よりも低く設定してもよい。この場合には、計量皿3は、基台部41の中央部位の上面、支持部43の上面及び取付部46の上面に支持されて載置される。
【0050】
[支持部]
支持部43は、脚部48を回動可能に支持する部位をなし、左右の各収容凹部42に隣接して形成されている。この支持部43の上面43bは、基台部41の中央部位の上面と略同一面(同一高さ)となるように設定されている。
また、支持部43の側面には、
図7(b)に示されるように、脚部48を回動自在に軸支するための軸受凹部43aが形成されている。後述する脚部48の孔48b1に挿通された軸(不図示)を軸受凹部43aにより支持し、脚部48を回動可能に取り付けることができる。
【0051】
なお、この軸受凹部43aは、脚部48の孔48b1に軸支される突起(軸部)として構成してもよい。この場合、支持部43の側面に突起(軸部)を一体的に形成し、この突起(軸部)を脚部48の孔48b1に軸支させればよい。
【0052】
[案内凹部]
案内凹部44は、
図7(b)に示されるように、収容凹部42に隣接して、左右方向外側(取付部46側)に向けて凹むように形成されている。この案内凹部44は、後述する脚部48の凸部48cを摺動可能に案内する凹部をなす。
この案内凹部44の支持部43側に位置する一対の面(ガイド面)44aは、脚部48が横臥状態と起立状態とに回動する際、脚部48の凸部48cの側面48c1をガイド(案内)するガイド面をなす。
このガイド面44aによって、脚部48は、ガタつくことなく回動するとともに、横臥状態及び起立状態に位置する場合であっても、前後方向の位置が安定的に維持(支持)される。したがって、計量皿3を安定して支持(載置)することができる。
【0053】
また、案内凹部44の取付部46側に位置する面(規制面)44bは、凸部48cの背面48c2と当接し、脚部48を起立状態に位置決めする(起立状態に規制する)部位をなす。
この規制面44bにより、脚部48は、起立状態に位置する場合、脚部48の背面側の位置が安定的に支持される。したがって、計量皿3を安定して支持(載置)することができる。
【0054】
[位置決め部]
位置決め部45は、
図7(b)に示されているように、左右の支持部43に対し、その前後方向の端部に隣接して形成されている。この位置決め部45は、脚部48を起立状態に位置決めする部位をなす。
位置決め部45は、起立状態の脚部48(脚側壁48b)の背面と当接して脚部48を起立状態に位置決めする面(規制面)45aを有する。脚部48は、案内凹部44の規制面44bとともに、この規制面45aによって、脚部48の背面側の位置が安定的に支持される。したがって、計量皿3を安定して支持(載置)することができる。
また、脚部48の一部分を支持部43の上面43bにも当接するように構成し、位置決め部45とともに、この支持部43の上面43bで脚部48を位置決めするように構成してもよい。
【0055】
[取付部]
取付部46は、
図7(b)に示されているように、基台部41における左右方向の両端部位に位置し、後述する接触防止部材20を着脱自在に取付ける部位をなす。取付部46の上面は、基台部41の中央部位や支持部43の上面と略同一面(同一高さ)となるように設定されている。
この取付部46には、接触防止部材20の底部22を受け入れて収容する取付凹部46aが形成されている。この取付凹部46aに接触防止部材20が嵌め合わせた状態で収容され、接触防止部材20は前後方向及び左右方向に位置決めされて取り付けられる。
【0056】
また、取付凹部46aには、接触防止部材20に形成された係止孔22aに係合する突起部46bが複数(図示の例では2つ)設けられ、これらの突起部46bが接触防止部材20の係止孔22aに嵌合して係止されることで、接触防止部材20は、取付凹部46a内に安定した状態で取り付けられる。
【0057】
[突出部]
突出部47は、基台部41の中央部位の下面から下方に突出するように形成されている。この突出部47は、計量装置1における本体2の上面2aに形成された開口2bに挿通され、本体2の内部に設置されている重量センサ(例えば、ロードセル)に荷重を伝達する。
【0058】
<脚部>
次に、荷重伝達部材4を構成する脚部48の構造について説明する。脚部48は、
図7(a)に示されているように、脚部の本体をなす脚本体48aと、この脚本体48aの両端側にそれぞれ形成された脚側壁48bと、脚本体48aの下方に形成された凸部48cを含み構成されている。
この脚部48は、基台部41の支持部43に回動可能に設けられ、基台部41に対して横臥状態に位置する状態(
図6(a)参照)と、基台部41に対して起立状態に位置する状態(
図6(b)参照)に回動可能に設けられる。この脚部48は、例えば、合成樹脂材により一体成形される。
計量皿3は、変形機構としての脚部48を第1形態と第2形態に変形すること(脚部48を横臥状態と起立状態に回動すること)で、その高さ位置を調整することができる。
【0059】
脚本体48aは、脚部の本体をなし、計量皿3を支持する部位をなす。この脚本体48aの側部には、一対の脚側壁48bが形成されており、この脚側壁48bに、脚部48を基台部41の支持部43に軸支するための孔48b1が設けられている。この孔48b1と、基台部41の支持部43に形成された軸受凹部43aとを連接させた状態で、軸(不図示)を挿通させて脚部48を基台部41に軸支することができる。
【0060】
なお、基台部41に対する脚部48の軸支の態様はこの例に限定されない。例えば、基台部41の軸受凹部43aが脚部48の孔48b1に軸支される突起(軸部)として形成されている場合には、この突起(軸部)を、脚部48の孔48b1に軸支させればよい。
【0061】
脚本体48aの下方に形成された凸部48cは、基台部41に形成された案内凹部44に収容されるように配置される。この凸部48cは、脚部48を基台部41に対して横臥状態と、基台部41に対して起立状態とに回動させる場合、凸部48cの側面48c1が案内凹部44のガイド面44aに摺動可能にガイド(案内)される。
したがって、脚部48は、ガタつくことなく回動するとともに、横臥状態及び起立状態に位置する場合であっても、前後方向の位置が安定的に維持(支持)される。したがって、計量皿3を安定して支持(載置)することができる。
【0062】
また、脚部48の凸部48cには、
図7(a)に示すようにその後端部が片持ち支持される弾性片48c3が設けられている。この弾性片48c3の先端部には、脚部48を起立状態とした場合に、支持部43の案内凹部44に形成された係止面44cに係止する係止突起48c3aが形成されている。
したがって、脚部48を基台部41に対して横臥状態から起立状態に回動させた場合には、
図8(b)に示されるように、弾性片48c3の係止突起48c3aが支持部43の案内凹部44に形成された係止面44cに係止(面接触)することになり、脚部48を安定して起立状態に維持することができる。
【0063】
なお、荷重伝達部材4の脚部48を基台部41に対して横臥状態に位置させた状態(第1形態の状態)で計量皿3を支持(載置)する場合には、
図8(a)に示されるように、脚部48の係止突起48c3aは、計量皿3の天板部3aの内面に形成された凹所3e内に位置し、計量皿3の天板部3aの内面に当接することはないから、その状態において、計量皿3を安定して支持(載置)することができる。
【0064】
また、脚部48は、起立状態に位置させた状態で、凸部48cの背面48c2が基台部41の案内凹部44の規制面44bに当接して位置決めされるため、脚部48の背面側の位置が安定的に支持される。
したがって、脚部48を起立状態に位置させた状態で計量皿3を支持(載置)しても、起立状態にある脚部48は、前後方向及び左右方向の位置が確実に維持され、計量皿3を安定して支持(載置)することができる。
【0065】
また、
図9に示すように、脚部48を起立状態に位置させた状態において、計量皿3の前後方向に対しては脚部48の前後方向の両端部である脚側壁48bと計量皿3の周壁部3bとで前後方向への計量皿3のズレを規制し、また、計量皿3の左右方向に対しては起立させた脚部48の上端部と計量皿3の周壁部3bの四隅に形成されたR形状部分3dとで左右方向への計量皿3のズレを規制する。
つまり、脚部48の前後方向の両端部である脚側壁48bは、計量皿3の周壁部3bの内面に当接することで位置決めされ(前後方向への計量皿3のズレを規制)、また、脚部48の上端部は、計量皿3の周壁部3bの四隅(内面)に形成されたR形状部分3dに当接することで位置決めされる(左右方向への計量皿3のズレを規制)。
なお、脚側壁48bと周壁部3bの内面とは、隙間なく当接させるように構成することもできるし、あるいは、脚側壁48bと周壁部3bの内面との間に、位置決めに支障のない程度の多少の隙間が存在するように構成することもできる。
したがって、脚部48を起立状態に位置させた状態で計量皿3を支持(載置)しても、計量皿3は、脚部48に対して前後方向及び左右方向の位置が確実に維持される。
【0066】
また、起立状態の脚部48により計量皿3を安定して支持(載置)するために、計量皿3の裏面に、起立状態の脚部48の上面を受け入れて位置決めするための凹部やリブを形成してもよい。
【0067】
(接触防止部材)
次に、荷重伝達部材4に着脱自在に取り付けられる接触防止部材20の構造について説明する。
図7(c)には、荷重伝達部材に着脱自在に取り付けられる接触防止部材を斜め上から見た概略斜視図が示されている。
接触防止部材20は、
図7(c)に示されているように、上下方向に延びる本体部をなす壁部21と、壁部21の下端縁から水平方向に延びる底部22を含み構成されている。この接触防止部材20は、荷重伝達部材4に着脱自在に取り付けられる。接触防止部材20は、例えば、金属材を曲げ加工して形成、あるいは、合成樹脂樹材により一体成形される。
【0068】
接触防止部材20の底部22には、荷重伝達部材4の基台部41の取付部46に形成された複数の突起部46bに嵌合する複数の係止孔22aが形成されている。接触防止部材20は、取付部46の取付凹部46aに嵌め合わされて取り付けられるとともに、底部22に形成された係止孔22aが取付部46の突起部46bに嵌合して係止されることで、
図1に示すように、プリンタ14側に位置する取付部46に装着することができる。
なお、この例では、取付部46に突起部46bを設けているが、この突起部46bを取付孔として構成し、この取付孔と接触防止部材20の底部22に形成された係止孔22aに挿通する取付けネジ等の固定手段によって、接触防止部材20を取付部46に取り付けるように構成してもよい。
【0069】
図1及び
図3(b)に示されるように、脚部48(変形機構)が第1形態の状態での計量皿3の上面の高さ位置H2は、計量装置1に隣接して設置されたプリンタ14の上面の高さ位置H14よりも低いが、計量皿3とプリンタ14との間には接触防止部材20の壁部21が位置することとなるため、計量皿3に計量対象物を載置する際、計量対象物を誤ってプリンタ14に接触(衝突)するのを防止することができ、プリンタ14を保護することができる。さらに、計量に際して、計量対象物とプリンタ14とが干渉しないことから、計量対象物の重量を正確に計量することができる。
【0070】
また、
図1及び
図3(b)に示されるように、接触防止部材20は、荷重伝達部材4の基台部41に装着された状態で、その高さ位置H20がプリンタ14の高さ位置H14(
図3(b)参照)と略同一に形成されている。したがって、荷重伝達部材4の脚部48を起立状態で計量皿3を支持(載置)する場合(
図10(d)参照)、計量皿3の上面と、接触防止部材20の上端と、プリンタ14の上面とが略同一の高さ位置に位置することになるため、例えば、計量皿3に計量皿3よりも大きな容器等に載置された食品等の計量対象物(計量皿3からはみ出すような計量対象物)をプリンタ14に接触(衝突)することなく載置することができる。さらに、計量に際して、計量対象物とプリンタ14とが干渉しないことから、計量対象物の重量を正確に計量することができる。
【0071】
なお、計量装置1に隣接して設置される機器は、プリンタ14に限られない。例えば、決済端末、ドロア、携帯端末装置、ストアコントローラ等の他の周辺機器が計量装置1に隣接して設置されている場合にも、この接触防止部材によりこれら他の周辺機器を保護することができる。
【0072】
(計量販売システムの使用及び設置の態様)
次に、計量販売システムAの使用及び設置の態様について説明する。
図10には、計量販売システムAの使用の態様を示す概略斜視図が示されている。
【0073】
<通常サイズの計量対象物を計量する使用状態>
図10(a)には、計量皿3に、その天板部3aのサイズに収まる通常サイズの計量対象物M1(例えば、小皿に載せられた量り売り商品)を計量する使用の状態が示されている。店舗等で量り売り商品を計量する場合には、この使用状態で計量対象物M1を計量することができる。
【0074】
この使用状態は、荷重伝達部材4の脚部48を基台部41に対して横臥状態に位置させた状態(第1形態の状態)であるが、この使用状態において、店員側操作表示部5及び客側表示部6の上端(各表示部5、6を、本体2に対して回動させた場合に、各表示部5、6の上端が位置する最大の高さ位置)は、計量皿3の上面と同等の高さ又は計量皿3よりも低い高さに位置するように構成されている。
したがって、計量皿3に通常サイズの計量対象物M1を載置する際、この計量対象物M1を誤って店員側操作表示部5や客側表示部6の上端に接触(衝突)するのを防止することができる。
【0075】
また、この使用状態においては、
図10(b)に示すように、荷重伝達部材4の脚部48が基台部41に対して横臥状態に位置させた状態(第1形態の状態)にあり、この状態で計量皿3が載置されているため、計量装置1は、上下方向の寸法がコンパクト化された状態となり、外観的にもスッキリするのでその外観性を向上させることができる。
【0076】
また、この使用状態において、計量皿3の上面の高さ位置は、計量装置1に隣接して設置されたプリンタ14の上面の高さ位置よりも低い位置にあるが、計量皿3とプリンタ14との間には接触防止部材20の壁部21が位置しているため、計量皿3に通常サイズの計量対象物M1を載置する際、この計量対象物M1を誤ってプリンタ14に接触(衝突)するのを防止することができ、プリンタ14を保護することができる。さらに、計量に際して、計量対象物M1とプリンタ14とが干渉しないことから、計量対象物M1の重量を正確に計量することができる。
【0077】
<計量皿の高さ変更>
計量皿3の高さを変更する場合、操作者(店員等)は、
図10(a)に示す状態の計量装置1から計量皿3を取り外す。
図10(b)には、
図10(a)に示される計量装置1から計量皿3を取り外した状態が示されている。この状態において、荷重伝達部材4の脚部48(変形機構)は、基台部41に対して横臥状態に位置し、第1形態にある。
操作者(店員等)は、横臥状態の脚部48を基台部41に対して起立状態となるように回動させる。
図10(c)には、荷重伝達部材4の脚部48(変形機構)を、基台部41に対して起立状態に位置させて脚部48(変形機構)を第2形態とした状態が示されている。
この状態から
図10(d)に示すように計量皿3を装着(載置)することで、計量皿3の高さ位置を変更(調整)することができる。
【0078】
<大形サイズの計量対象物を計量する使用状態>
図10(d)には、計量皿3に、その天板部3aのサイズを超えた大形サイズの計量対象物M2(例えば、大皿に載せられた量り売り商品)を計量する使用状態が示されている。例えば、店舗等の閉店時など、大皿に載せられた量り売り商品の残量(売れ残り)を計量する場合に、この使用状態で計量対象物M2を計量することができる。
【0079】
また、この使用状態において、荷重伝達部材4の脚部48は、
図10(c)に示すように基台部41に対して起立状態に位置させた状態(第2形態の状態)にあり、この状態で計量皿3が載置されているため、計量皿3の上面と、接触防止部材20の上端と、プリンタ14の上面とが略同一の高さ位置に位置することになる。
したがって、例えば、
図10(d)に示すように、計量皿3の天板部3aに、そのサイズを超えた大形サイズの計量対象物M2を接触防止部材20やプリンタ14に接触(衝突)することなく円滑に載置することができる。さらに、計量に際して、計量対象物M2とプリンタ14とが干渉しないことから、計量対象物M2の重量を正確に計量することができる。
【0080】
(他の実施形態に係る荷重伝達部材)
次に、
図11~
図13を参照しながら、他の実施形態に係る荷重伝達部材50の具体的な構造について説明する。
【0081】
荷重伝達部材50は、
図11及び
図12に示されているように、荷重伝達部材50の基台をなす基台部55と、基台部55に回動可能に設けられる脚部54と、脚部54に支持される上板部51を含み構成されている。この荷重伝達部材50は、計量装置1の上面2aに設置された状態で計量皿3を下から支持し、計量装置1の本体2内部に設置されている重量センサ(例えば、ロードセル)に荷重を伝達するように機能する。
【0082】
この荷重伝達部材50は、
図11(a)に示されているように、変形機構としての脚部54を基台部55に対して横臥状態に位置させる状態(第1形態の状態)と、
図11(b)(c)に示されているように、脚部54を基台部55に対して起立状態に位置させることで、第1形態よりも高さ寸法が大きい状態(第2形態の状態)に変形させることにより、計量皿3の高さ位置を調整可能とするものである。
【0083】
以下、荷重伝達部材50の具体的な構造について説明する。
図12(a)には、荷重伝達部材の上板部を斜め下から見た概略斜視図が示され、
図12(b)には、荷重伝達部材の脚部を斜め上から見た概略斜視図が示され、
図12(c)には、荷重伝達部材の基台部を斜め上から見た概略斜視図が示されている。
【0084】
<基台部>
基台部55は、
図12(c)に示されるように、脚部54を横臥状態で収容する収容部56と、脚部54を回動可能に支持する支持部57と、接触防止部材20を着脱自在に取付ける部位をなす取付部58と、計量装置1の上面2aに形成された開口2bに挿通され、本体2の内部に設置されている重量センサ(例えば、ロードセル)に荷重を伝達する突出部59とを含み構成されている。この基台部55は、例えば、合成樹脂材により一体成形される。
【0085】
[収容部]
収容部56は、支持部57に回動可能に支持された脚部54を横臥状態で収容する部位(開口)をなし、基台部55の中央部位を挟んで左右一対形成される。
図11(a)に示されるように、脚部54が収容部56に横臥状態に収容されると、基台部55の上面と、横臥状態の脚部54の上面のそれぞれの高さは略同一高さ(各面がフラットな面一の状態)となり、荷重伝達部材4の上板部51は、これら各面に支持されて載置される。
【0086】
[支持部]
支持部57は、脚部54を回動可能に支持する部位をなし、基台部55の左右の端部から収容部56側に突出するように形成されている。支持部57の両側面には、
図12(c)に示されるように、脚部54に形成された軸部54bを回動自在に軸支するための軸受凹部57aが形成されている。
なお、支持部57に形成された軸受凹部57aを軸部として構成するとともに、脚部54に形成された軸部54bを軸受け凹部として構成してもよい。
また、この支持部57に、起立状態の脚部54の背面と当接して脚部54を起立状態に位置決めする規制面を形成し、この規制面によって、脚部54の背面側の位置を支持するように構成してもよい。このような規制面を構成すれば、計量皿3をさらに安定して支持(載置)することができる。
【0087】
[取付部]
取付部58は、
図12(c)に示されているように、基台部55の左右の端部側に位置し、上述した接触防止部材20を着脱自在に取付ける部位をなす。この取付部58には、接触防止部材20の底部22を受け入れて収容する取付凹部58aが形成されている。この取付凹部58aに接触防止部材20の底部22を嵌め合わせた状態で収容され、接触防止部材20は前後方向及び左右方向に位置決めされて取り付けられる。
【0088】
また、取付凹部58aには、接触防止部材20に形成された係止孔22aに係合する突起部58bが複数(図示の例では2つ)設けられ、これらの突起部58bが接触防止部材20の係止孔22aに嵌合して係止されることで、接触防止部材20は、取付凹部58a内に安定した状態で取り付けられる。
なお、この例では、取付部58に突起部58bを設けているが、この突起部58bを取付孔として構成し、この取付孔と接触防止部材20の底部22に形成された係止孔22aに挿通する取付けネジ等の固定手段によって、接触防止部材20を取付部58に取り付けるように構成してもよい。
【0089】
[突出部]
突出部59は、基台部55の中央部位の下面から下方に突出するように形成されている。この突出部59は、計量装置1における本体2の上面2aに形成された開口2bに挿通され、本体2の内部に設置されている重量センサ(例えば、ロードセル)に荷重を伝達する部位をなす。
【0090】
<脚部>
次に、荷重伝達部材50を構成する脚部54の構造について説明する。脚部54は、
図12(b)に示されているように、脚部54の本体をなす脚本体54aと、脚本体54aの下部に形成された一対の軸部54bと、脚本体54aの上部に形成された一対の係合凸部54cを含み構成されている。
脚本体54aは、上部部材54a1と、下部部材54a2と、上部部材54a1及び下部部材54a2の両端部に連接される一対の側部部材54a3とを有し、矩形枠状に形成されている。
【0091】
一対の軸部54bは、脚本体54aの下部部材54a2の下方に形成されており、基台部55の支持部57に形成された軸受凹部57aに回動自在に軸支される。
また、一対の係合凸部54cは、脚本体54aの上部部材54a1の両側部(両端部)に形成され、後述する上板部51の案内部53に形成された案内孔53aにスライド可能に係合される。
【0092】
脚部54は、脚本体54aの下部が基台部55に回動可能に設けられるとともに、脚本体54aの上部が上板部51にスライド可能に係合することで、基台部55に対して横臥状態に位置する状態(第1形態の状態:
図11(a)参照)と、基台部55に対して起立状態に位置する状態(第2形態の状態:
図11(b)(c)参照)に変形する。この脚部54は、例えば、合成樹脂材により一体成形される。
計量皿3は、変形機構としての脚部54を第1形態と第2形態に変形すること(脚部54を横臥状態と起立状態に回動すること)で、その高さ位置を調整することができる。
【0093】
<上板部>
上板部51は、
図12(a)に示されるように、上板部51の本体をなす板状に形成された上部本体52と、この上部本体52の下面に設けられた案内部53を含み構成されている。
上部本体52は、計量皿3を載置する載置面をなし、計量皿3の天板部3aと周壁部3bとが画成する凹部3cと同等の形状及び大きさに形成されることで、凹部3cに嵌り合うように収納される。したがって、計量皿3は、上部本体52に前後方向及び左右方向に位置決めされた状態でズレることなく安定して設置される。
【0094】
また、上部本体52には、案内部53に隣接して複数の貫通孔52a(図示の例では4つ)が形成されている。これらの貫通孔52aは、操作者(店員等)が手指等を挿通して脚部54の上部部材54a1に接触することができるように形成されている。
したがって、例えば、荷重伝達部材50の脚部54を、
図11(a)に示す横臥状態に位置する状態と、
図11(b)(c)に示す脚部54が起立状態に位置する状態との間で回動させる際に、貫通孔52aに手指等を挿通して脚部54の上部部材54a1に対して回動力を付与(押圧)することで脚部54を円滑に回動させることができる。
【0095】
案内部53は、上部本体52の下面に複数(図示の例では4つ)設けられている。この案内部53には、前後方向に延びる長孔からなる案内孔53aが形成されており、この案内孔53aに脚部54の係合凸部54cをスライド可能に係合させる。
【0096】
脚部54は、脚部54の係合凸部54cが案内孔53aの内側の内端53a1に位置する状態で、
図11(a)に示す横臥状態となり、また、脚部54の係合凸部54cが案内孔53aの外側の外端53a2に位置する状態で、
図11(b)(c)に示す起立状態となる。
【0097】
(計量販売システムの使用及び設置の態様)
次に、他の荷重伝達部材50を用いた計量販売システムAの使用及び設置の態様について説明する。
図13には、計量販売システムAの使用の態様を示す概略斜視図が示されている。
なお、
図13(a)には、計量皿3に、その天板部3aのサイズに収まる通常サイズの計量対象物M1(例えば、小皿に載せられた量り売り商品)を計量する使用状態が示されており、また、
図13(d)には、計量皿3に、その天板部3aのサイズを超えた大形サイズの計量対象物M2(例えば、大皿に載せられた量り売り商品)を計量する使用状態が示されているが、これらの使用状態は、上述した
図10(a)及び
図10(d)と同様であるので、その説明を省略する。
【0098】
<計量皿の高さ変更>
計量皿3の高さを変更する場合、操作者(店員等)は、
図13(a)に示す状態の計量装置1から計量皿3を取り外す。
図13(b)には、
図13(a)に示される計量装置1から計量皿3を取り外した状態が示されている。この状態において、荷重伝達部材50の脚部54(変形機構)は、基台部55に対して横臥状態に位置し、第1形態にある。
【0099】
操作者(店員等)は、例えば、荷重伝達部材50の上板部51を持ち上げるとともに、上板部51の上部本体52に形成された貫通孔52aに手指等を挿通して脚部54の上部部材54a1に対して回動力を付与し、横臥状態の脚部54を基台部55に対して起立状態となるように回動させる。
図13(c)には、荷重伝達部材50の脚部54(変形機構)を、基台部55に対して起立状態に位置する第2形態に位置させた状態が示されている。
この状態から
図13(d)に示すように計量皿3を装着(載置)することで、計量皿3の高さ位置を変更(調整)することができる。
【0100】
また、この実施形態においても、脚部54(変形機構)が第1形態の状態において、
図13(a)に示されるように、店員側操作表示部5及び客側表示部6の上端(各表示部5、6を、本体2に対して回動させた場合に、各表示部5、6の上端が位置する最大の高さ位置)は、計量皿3の上面と同等の高さ又は計量皿3よりも低い高さに位置するように構成されているので、計量皿3に通常サイズの計量対象物M1を載置する際、この計量対象物M1を誤って店員側操作表示部5や客側表示部6の上端に接触(衝突)するのを防止することができる。
また、計量装置1は、上下方向の寸法がコンパクト化された状態となり、外観的にもスッキリするのでその外観性を向上させることができる。
さらに、
図1や
図3(b)に示されるように、斜め上方から見た斜視状態において、あるいは、側面視において、計量皿3により遮蔽されることになり、荷重伝達部材50は顧客に視認されることがないため、計量装置1の外観性をさらに向上させることができる。
【0101】
また、この使用状態において、計量皿3とプリンタ14との間には接触防止部材20の壁部21が位置しているため、計量皿3に通常サイズの計量対象物M1を載置する際、この計量対象物M1を誤ってプリンタ14に接触(衝突)するのを防止することができ、プリンタ14を保護することができる。さらに、計量に際して、計量対象物M1とプリンタ14とが干渉しないことから、計量対象物M1の重量を正確に計量することができる。
【0102】
また、荷重伝達部材50の脚部54が基台部55に対して起立状態の場合(第2形態の状態)、
図13(d)に示されるように、計量皿3の上面と、接触防止部材20の上端と、プリンタ14の上面とが略同一の高さ位置に位置することになるため、計量皿3の天板部3aに、そのサイズを超えた大形サイズの計量対象物M2を接触防止部材20やプリンタ14に接触(衝突)することなく円滑に載置することができる。さらに、計量に際して、計量対象物M2とプリンタ14とが干渉しないことから、計量対象物M2の重量を正確に計量することができる。
【0103】
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0104】
上記実施形態において、荷重伝達部材は、変形機構として、脚部48、54を基台部41、55に対して横臥状態に位置させる状態と、起立状態に位置させる状態に回動させることで、計量皿3の高さ位置を変更(調整)可能とするものであるが、その構成に限定されない。
例えば、変形機構として、パンタグラフ機構を有する昇降手段や、ラック及びピニオンを有する昇降手段や、ボールねじを回転させて、このボールねじに螺合する昇降体を上下動させる昇降手段等の変形機構を用いて、計量皿3の高さ位置を変更(調整)するように構成してもよい。
【0105】
また、上記実施形態において、荷重伝達部材4、50の脚部48、54は、基台部41、55に対して起立状態に位置させた状態(第2形態の状態)で、計量皿3の上面と、プリンタ14の上面とが略同一の高さ位置に位置するように構成しているが、その構成に限定されず、計量皿3の上面は、脚部48、54が第2形態の状態で、プリンタ14の上面と同等以上の高さに位置するように構成してもよい。
【0106】
また、上記実施形態においては、計量装置1と、この計量装置1に隣接配置されるプリンタ14とを含み構成される計量システムAの例として説明したが、この例に限定されない。例えば、計量装置1は、この計量装置1のみを単体で配置する場合でも有効に機能する。
例えば、店舗等の売り場のショーケース上や操作台等の高さの異なる種々の位置に計量装置1のみを配置する場合、例えば、ショーケースに比して高さの低い操作台に計量装置1を配置する場合には、変形機構を、高さ寸法が大きい第2形態に変形させることで計量皿3を高い位置に位置させて使用し、また、操作台等に比して高さの高いショーケース上に計量装置1を配置する場合には、変形機構を、第1形態に変形させることで計量皿3を低い位置に位置させて使用することができる。
したがって、計量装置1を設置する場所の高さに変更がある場合でも、計量皿3の高さ位置を変更することで、その使用性を向上させることができる。
【0107】
また、上記実施形態の計量販売システムAは、計量装置1とプリンタ14とを含み構成されているが、例えば、計量装置1及びプリンタ14に加え、さらに、決済端末等の他の周辺機器を付加して構成してもよい。この場合、例えば、計量装置1に隣接配置する他の周辺機器の上面の高さ位置(設置面GLからの高さ位置)が、プリンタ14の高さ位置H14(
図3(b)参照)よりも高い場合には、この周辺機器の高さ位置に対応する荷重伝達部材を用いればよい。
つまり、変形機構による変更(調整)時の高さの異なる複数の荷重伝達部材を複数用意し、隣接配置される他の周辺機器の上面の高さ位置に対応できる荷重伝達部材を計量装置1に装着するように構成してもよい。あるいは、荷重伝達部材の変形機構を、パンタグラフ機構を有する昇降手段や、ラック及びピニオンを有する昇降手段や、ボールねじを回転させて、このボールねじに螺合する昇降体を上下動させる昇降手段等の変形機構で構成し、計量皿3を隣接配置される他の周辺機器の上面の高さ位置まで変更(調整)するように構成してもよい。
なお、計量装置1及びプリンタ14に加え、さらに、他の周辺機器として決済端末を配置する場合、決済端末は、プリンタ14の後面に取付けられたアタッチメント等の取付け部材を介して設置(固定)してもよいし、あるいは、計量装置1や設置面GLに取付けられた支持部材に支持されるように構成してもよい。
【0108】
また、上記実施形態の計量皿3に高さ調整機構(変形機構)を設け、計量皿3自体でもその高さ位置を変更(調整)できるように構成してもよい。例えば、計量皿3の天板部3aの裏面に上下方向に位置変更可能な支持部を設け、この支持部を荷重伝達部材4、50で支持するように構成してもよい。
この場合、位置変更可能な支持部として、例えば、天板部3aの裏面に、各種高さの異なるスペーサ(支持部)を選択して着脱自在に装着することや、上下方向に伸縮可能な伸縮部材(支持部)を設置することができる。
【0109】
また、上記実施形態において、接触防止部材20は、荷重伝達部材4、50の基台部41、55における左右方向の両端部位に着脱自在に取り付けるように構成しているが、この例に限定されない。例えば、基台部41、55の前後方向の端部部位にも取り付けるように構成してもよい。
また、壁部21の高さがそれぞれ異なる複数の接触防止部材20を用意し、隣接配置される他の周辺機器の上面の高さ位置に対応できる接触防止部材20を荷重伝達部材4、50に装着するように構成してもよい。
【0110】
また、上記実施形態の計量販売システムAは、店舗等の開店時や閉店時に大形サイズの計量対象物を計量する場合があるので、そのような計量に対応した構成を採用することができる。
例えば、計量販売システムAは、顧客に商品を販売する際に使用するモード(以下「登録モード」と称する。)での使用、及び、開店時にこれから販売する総菜や料理等の大皿に盛られた商品の重量を計測することや、閉店時に廃棄する総菜や料理等の大皿に盛られた商品の重量を計測する際に使用するモード(以下「生産・廃棄モード」と称する。)での使用がある。この場合、例えば、店員側操作表示部5に表示されている「モード変更」ボタンを操作し、「登録モード」に設定されている計量販売システムAを「生産・廃棄モード」に変更して使用する場合には、店員側操作表示部5や客側表示部6の一方、あるいは両方に、「計量皿を上方位置に変更してください」等の表示を行い、変形機構を第1形態から第2形態に変更する旨の報知を行うように構成してもよい。
この報知は、音声により行うように構成してもよいし、表示と音声の両方で行うように構成してもよい。また、店員側操作表示部5や客側表示部6には、「計量皿を上方位置に変更してください」等の表示に加えて、あるいは、そのような表示に代えて、例えば、
図6(a)(b)に示すような図や絵を用いて変更内容を説明(図示)する表示をしてもよい。
また、「生産・廃棄モード」を終了する場合、「生産・廃棄モード」を「登録モード」に変更する場合、及び、計量販売システムAの電源をOFFする場合には、店員側操作表示部5や客側表示部6の一方、あるいは両方に、「計量皿を下方位置(通常位置)に変更してください」等の表示を行い、変形機構を第2形態から第1形態に変更する旨の報知を行うように構成してもよい。この報知は、音声により行うように構成してもよいし、表示と音声の両方で行うように構成してもよい。また、店員側操作表示部5や客側表示部6には、「計量皿を下方位置(通常位置)に変更してください」等の表示に加えて、あるいは、そのような表示に代えて、例えば、
図6(a)(b)に示すような図や絵を用いて変更内容を説明(図示)する表示をしてもよい。
【0111】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は、商品の計量販売に使用される計量装置及び計量販売システムに関する。
[背景技術]
食料品を販売する店舗等で用いられる計量装置として、計量皿に計量対象物を載せて計量を行う計量装置が知られている(例えば、特開2022-69265号公報)。
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
従来、本体部、計量対象物を載せる計量皿、計量部、及び操作パネルを含み構成される計量装置が知られているが、このような計量装置について、近年、外観性の向上やコンパクト化のニーズがある。
一方で、計量装置は、例えば、店舗等の売り場のショーケース上や操作台等の高さの異なる種々の位置に配置されるが、そのような高さの異なる場所に配置して使用する際の使用性や外観性については、改善の余地があった。また、計量装置は、他の機器と関連付けて計量システムとしても構成されることもあるが、この計量装置を他の周辺機器と隣接配置して使用する場合の使用性や外観性についても、改善の余地があった。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みて、操作者(店員等)や顧客等に対する使用性や外観性を向上させた計量装置及び計量販売システムを提供することを課題とする。
[課題を解決するための手段]
(1)以上説明したように、本実施形態の一態様は、計量皿と、重量センサを収容する本体と、前記計量皿を下から支持し、前記重量センサに荷重を伝達する荷重伝達部材と、変形機構と、を備え、前記変形機構は、第1形態および前記第1形態よりも前記計量皿のみの高さ寸法を高くする第2形態に変形可能である計量装置である。
上記構成によれば、計量装置は、変形機構が第1形態となることで、上下方向の寸法がコンパクト化された状態となり、外観的にもスッキリするのでその外観性を向上させることができる。
また、計量装置を設置する場所の高さに変更がある場合でも、変形機構を第1形態及び第2形態に変形させて計量皿の高さ位置を変更することで、その使用性を向上させることができる。
【0112】
(2)本実施形態の一態様は、上記(1)に記載の計量装置において、前記変形機構は、前記荷重伝達部材に備えられ、前記変形機構を起立させることで前記第2形態に変形するものである。
上記構成によれば、計量装置は、荷重伝達部材の変更機構が第1形態となることで、上下方向の寸法がコンパクト化された状態となり、外観的にもスッキリするのでその外観性を向上させることができる。
また、計量装置を設置する場所の高さに変更がある場合でも、荷重伝達部材の変更機構を第1形態及び第2形態に変形させて計量皿の高さ位置を変更することで、その使用性を向上させることができる。
【0113】
(3)本実施形態の一態様は、上記(2)に記載の計量装置において、前記計量皿は、天板部と、前記天板部の周縁から下方に立ち下がる周壁部を有するとともに、前記天板部と前記周壁部により下方に開口する凹部が形成され、前記荷重伝達部材の外郭形状は、平面視における前記凹部と同等の形状および大きさに形成され、前記第2形態において、前記計量皿の前後方向に対しては前記変形機構の前後方向の両端部と前記計量皿の前記周壁部とで前後方向への前記計量皿のズレを規制し、前記計量皿の左右方向に対しては前記起立させた前記変形機構の上端部と前記計量皿の前記周壁部の四隅に形成されたR形状部分とで左右方向への前記計量皿のズレを規制するものである。
上記構成によれば、計量皿は、第1形態に変形した荷重伝達部材に対して、前後方向及び左右方向に位置決めされた状態で安定して設置することができる。また、変形機構を起立状態に位置させた状態で計量皿を支持(載置)しても、計量皿は、変形機構に対して前後方向及び左右方向の位置が確実に維持される。
【0114】
(4)本実施形態の一態様は、上記(1)から(3)のいずれかに記載の計量装置において、前記本体の前後方向における一側に設けられた店員側表示部と、前記本体の前後方向における他側に設けられた客側表示部と、を更に備え、前記店員側表示部および前記客側表示部の上端は、前記変形機構が前記第1形態で、前記計量皿の上面と同等の高さ又は前記計量皿よりも低い高さに位置するものである。
上記構成によれば、計量皿に通常サイズの計量対象物を載置する際、この計量対象物を誤って店員側表示部や客側表示部の上端に接触(衝突)するのを防止することができる。
【0115】
(5)本実施形態の一態様は、上記(1)~(4)のいずれかに記載の計量装置と、前記計量装置による商品の計量結果に基づく情報が印字された紙媒体を発行する印字装置を更に備え、前記印字装置は、前記本体の前後方向における一側を向いた状態で、前記本体の左右方向における一側に隣接して配置され、前記計量皿の上面は、前記変形機構が前記第2形態で、前記印字装置の上面と同等以上の高さに位置する計量販売システムである。
上記構成によれば、計量装置の計量皿に、計量皿のサイズを超えた大形サイズの計量対象物M2を載置する場合であっても、計量対象物M2を印字装置に接触(衝突)することなく円滑に載置することができ、さらに、計量に際して、計量対象物M2と印字装置とが干渉しないことから、計量対象物M2の重量を正確に計量することができる。
【0116】
なお、上記(1)~(5)に記載の各態様は、適宜組み合わされて計量装置及び計量販売システムとして構成することができる。
【符号の説明】
【0117】
1:計量装置
2:本体
3:計量皿
4:荷重伝達部材
48:脚部(変形機構)
5:店員側操作表示部(店員側表示部)
6:客側表示部
14:プリンタ(印字装置)
50:荷重伝達部材
54:脚部(変形機構)
A:計量販売システム