IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アサヒ飲料株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114256
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】コーラ風味飲料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20240816BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20240816BHJP
   A23L 2/56 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23L2/60
A23L2/56
A23L2/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019909
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】虻川 慧
(72)【発明者】
【氏名】山田 彩子
(72)【発明者】
【氏名】西谷 健人
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LC14
4B117LK04
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK11
4B117LK13
4B117LK15
4B117LL01
4B117LL02
4B117LL03
4B117LL09
4B117LP18
(57)【要約】
【課題】コーラ風味飲料を飲用したときのすっきり感を向上させつつ、後味の甘ったるさを低減できるコーラ風味飲料を提供する。
【解決手段】本発明のコーラ風味飲料は、甘味料と、リナロールを含有し、当該リナロールの含有量が500ppb以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘味料と、リナロールを含有し、当該リナロールの含有量が500ppb以上である、コーラ風味飲料。
【請求項2】
さらにネロールを含有する、請求項1に記載のコーラ風味飲料。
【請求項3】
前記ネロールの含有量が7ppb以上である、請求項2に記載のコーラ風味飲料。
【請求項4】
炭酸ガスを含む、請求項1または2に記載のコーラ風味飲料。
【請求項5】
甘味度が2~20である、請求項1または2に記載のコーラ風味飲料。
【請求項6】
容器詰めされた、請求項1または2に記載のコーラ風味飲料。
【請求項7】
甘味料と、リナロールを含有する、コーラ風味飲料の製造方法であって、
前記リナロールの含有量が500ppb以上となるように調製する工程を含む、コーラ風味飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーラ風味飲料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーラ風味飲料は、特有の香味を有し、長く多くの消費者に親しまれている飲料の一つである。一般に、コーラ風味飲料は、水、炭酸ガス、甘味料、カラメル色素、およびコーラ香料を含むことで知られる。ここでコーラ香料としては、コーラの名称の由来となったコーラの種子エキスの他、ナツメグ、シナモン等の香辛料、香辛料様フレーバーなど様々なものが挙げられる。各飲料メーカーは、これら多様なコーラ香料の中から、原料の選択や組み合わせ、配合等を工夫して、所望のコーラ風味飲料を製造している。
【0003】
ところで、飲料に用いられる香気成分として、リナロール、ネロール等が知られる。特許文献1には、ビールテイスト飲料に柑橘的な香りを付与するとともに、保存による香味の劣化及び好ましくない香りの発生を抑制する点から、リナロールを1~1000ppb、ネロールを2~250ppb含有させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-96560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、新たなコーラ風味飲料を開発すべく検討を進め、従来のコーラ風味飲料が有する特有の香味により、すっきり飲むという点で十分ではないことを見出した。さらに、かかる特有の香味により甘さの人工感が強くなり、甘さが後残りするように感じされることに着眼した。
そこで、本発明者は、コーラ風味飲料を飲用したときのすっきり感を向上させつつ、後味の甘ったるさを低減するという課題を解決すべく検討を進めたところ、リナロールを従来のコーラ風味飲料に比して高濃度で用いることが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
また、特許文献1は、コーラ風味飲料に関する開示はなく、コーラ風味飲料に特有の上記課題に着目したものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下のコーラ風味飲料およびこれに関する技術が提供される。
【0007】
[1] 甘味料と、リナロールを含有し、当該リナロールの含有量が500ppb以上である、コーラ風味飲料。
[2] さらにネロールを含有する、[1]に記載のコーラ風味飲料。
[3] 前記ネロールの含有量が7ppb以上である、[2]に記載のコーラ風味飲料。
[4] 炭酸ガスを含む、[1]乃至[3]いずれか一つに記載のコーラ風味飲料。
[5] 甘味度が2~20である、[1]乃至[4]いずれか一つに記載のコーラ風味飲料。
[6] 容器詰めされた、[1]乃至[5]いずれか一つに記載のコーラ風味飲料。
[7] 甘味料と、リナロールを含有する、コーラ風味飲料の製造方法であって、
前記リナロールの含有量が500ppb以上となるように調製する工程を含む、コーラ風味飲料の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、コーラ風味飲料を飲用したときのすっきり感を向上させつつ、後味の甘ったるさを低減できるコーラ風味飲料を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。また、「ppm」は「mg/L」と同義であり、「ppb」は「μg/L」と同義である。
【0010】
<コーラ風味飲料>
本実施形態のコーラ風味飲料は、甘味料と、リナロールを含有し、当該リナロールの含有量が500ppb以上である。
これにより、コーラ風味飲料を飲用したときのすっきり感を向上させつつ、後味の甘ったるさを低減できる。かかる理由の詳細は明らかではないが、リナロールを比較的高濃度とすることで、コーラ風味に起因する飲みにくさを低減するとともに、リナロールが有する柑橘様の芳香により、飲み心地を良好にしつつ、甘さの後残りをマスキングできると考えられる。また、その結果、すっきり感を向上させつつ、後味の甘ったるさを低減できると考えられる。
【0011】
以下、本実施形態のコーラ風味飲料(以下、単に「飲料」とも表記する)に含まれる各成分について説明する。
【0012】
[リナロール]
リナロールは、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オールとも称され、CAS番号.78-70-6の化合物である。リナロールは、多くの精油に含まれ、代表的にはスズラン、ライラック等のフローラルな香りを呈するものとして知られている。
本実施形態において、リナロール濃度は500ppb以上である。これにより、「後味の甘ったるさ」を低減しつつ、「すっきり感」を向上できる。また、スパイス感、コーラ飲料らしさも向上できる。
リナロール濃度の下限値は、「後味の甘ったるさ」を低減しつつ、「すっきり感」を向上しつつ、適度なスパイス感、コーラ飲料らしさを保持する観点から、好ましくは800ppb以上であり、より好ましくは1000ppb以上である。
一方、リナロール濃度の上限値は、特に限定されないが、適度なスパイス感、コーラ飲料らしさを保持する観点から、好ましくは5000ppb以下であり、より好ましくは4000ppb以下であり、さらに好ましくは3500ppb以下である。
【0013】
[ネロール]
本実施形態の飲料はネロールを含むことが好ましい。これにより、リナロールとの相乗効果が得られ、「後味の甘ったるさ」を低減しつつ、「すっきり感」を向上しつつ、適度なスパイス感、コーラ飲料らしさも向上できる。
ネロールは、(3Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オールとも称される化合物であり、ゲラニオールのトランス異性体である。CAS番号.106-25-2の化合物である。
【0014】
本実施形態において、ネロール濃度の下限値は、好ましくは7ppb以上である。一方、ネロール濃度の上限値は、特に限定されないが、「後味の甘ったるさ」を低減しつつ、「すっきり感」を向上できる効果を保持する点から、好ましくは100ppb以下であり、より好ましくは50ppb以下である。
【0015】
上記各香気成分は、リナロール、ネロールの単体の化合物として飲料に添加されてもよく、リナロール、ネロールを含む原料または混合物として飲料に添加してもよい。
【0016】
本実施形態の飲料に含まれる各香気成分の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いた、ゲステル社製MPSを用いるDHS(ダイナミックヘッドスペース)法により定量することができる。
【0017】
[甘味料]
甘味料は、飲料における甘味料としては、公知のものを使用することができる。甘味料としては、たとえば、ショ糖(砂糖)、ブドウ糖、グラニュー糖、果糖、乳糖、麦芽糖、果糖ブドウ糖液糖等の糖類;糖アルコール;タウマチン、ステビア抽出物、グリチルリチン酸二ナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、サッカリンナトリウム、およびステビア等の高甘味度甘味料などが挙げられる。甘味料は1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0018】
[その他成分]
本実施形態の飲料は、本発明の効果が得られる限りにおいて、上記以外の香気成分、香料、着色料、酸味料、pH調整剤、各種栄養成分、希釈剤、酸化防止剤、および増粘安定剤等を含んでもよい。
【0019】
(香料)
香料は、香辛料(スパイス)、香辛料様フレーバー(スパイス系フレーバー)、当該香辛料様フレーバーを除く各種フレーバーを含む。
香味料としては、例えば、コーラナッツ、桂皮、クローヴ、シナモン、コショウ、生姜、バニラスパイス、カルダモン、コリアンダー、ルートビア、サッサフラス、および朝鮮人参等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混同して用いてもよい。
香辛料様フレーバー(スパイス系フレーバー)としては、コーラ様フレーバー等が挙げられる。
【0020】
(着色料)
上記着色料としては、カラメル色素等が挙げられる。
【0021】
(酸味料)
上記の酸味料としては、例えば、クエン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、フィチン酸、アスコルビン酸、リン酸又はそれらの塩類等が挙げられる。
【0022】
(果汁)
本実施形態の飲料は、果汁を含んでもよい。例えば、レモン果汁、オレンジ果汁、ミカン果汁、グレープフルーツ果汁、ライム果汁、マンダリン果汁、およびユズ果汁等の柑橘類果汁、リンゴ果汁、モモ果汁、イチゴ果汁、バナナ果汁、メロン果汁、ブドウ果汁およびマンゴー果汁等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0023】
[コーラ風味]
コーラ風味とは、飲用した際にいわゆるコーラ飲料が呈する風味・香味が得られることを意図する。コーラ風味は、公知の方法によって得ることができ、原料としては、コーラの種子エキス、ナツメグ、及びシナモン等の香辛料などのコーラ香料、及びカフェイン等の中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
本実施形態のコーラ風味飲料は、コーラの種子エキスを含むものに限られない。
【0024】
[炭酸ガス]
本実施形態の飲料は、炭酸ガスを含むことが好ましい。これにより、コーラ風味をより向上できる。
炭酸ガスを含む場合、炭酸ガス圧は、2.8ガスボリューム以上であることが好ましく、3.0ガスボリューム以上であることがより好ましく、3.3ガスボリューム以上であることがさらに好ましい。これによりコーラ飲料らしさをより向上できる。
一方、炭酸飲料の嗜好性を保持し、ガス抜けを抑制する観点から、炭酸ガス圧は、5.5ガスボリューム以下であることが好ましく、5.0ガスボリューム以下であることがより好ましく、4.5ガスボリューム以下であることがさらに好ましい。
【0025】
また、本実施形態の飲料が炭酸ガスを含む場合、pH、クエン酸酸度、ブリックス等の各物性は、炭酸ガスを除去した飲料についての値を意図する。
【0026】
また、炭酸飲料中のガスボリュームは、公知の方法で測定できる。例えば、市販の測定器(京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA-700)等を用いて測定できる。より具体的には、試料(測定対象とする炭酸飲料)を20℃とした後、ガス内圧力計を取り付け、一度活栓を開いてガス抜き(スニフト)操作を行い、直ちに活栓を閉じてから激しく振とうし、圧力が一定になった時の値から算出することで得ることができる。
なお、本実施形態のガスボリューム(炭酸ガス圧力)は、1気圧、20℃において、炭酸飲料全体の体積に対して、炭酸飲料に溶けている炭酸ガスの体積を表したものである。
【0027】
[ブリックス値]
本実施形態の飲料のブリックス値(Bx)は、好ましくは0.1以上15以下であり、より好ましくは0.2以上12以下である。
当該ブリックス値を上記数値範囲内とすることにより、良好なコーラ風味が得られ、すっきり感を向上させつつ、後味の甘ったるさを低減する効果をより顕著になる。
【0028】
ブリックス値は、たとえば、デジタル屈折計Rx-5000α(アタゴ社製)を用いて、20℃における糖用屈折計の示度を測定することができる。
また、ブリックス値は、例えば、甘味料の量、その他の各種成分の量などにより調整することができる。
【0029】
[甘味度]
本実施形態の飲料の甘味度は、飲料の嗜好性に応じて適宜設定できるが、すっきり感を向上させつつ、後味の甘ったるさを低減する効果をより顕著に得る点から、2~20が好ましく、5~12がより好ましい。
【0030】
なお、「甘味度」とは、ショ糖と比較した時の各甘味料の甘味の強さを示すパラメータであり、例えば「甘味料の総覧」(精糖工業会1990年5月発行)、「高甘味度甘味料スクラロースのすべて」(株式会社光琳2003年5月発行)、「飲料用語事典」(株式会社ビバリッジジャパン平成11年6月25日発行)等に記載されている値を採用することができる。
また、飲料の甘味度は、容器詰め飲料の容器に成分表示されている甘味成分の甘味度と、分析等により特定した甘味成分の含有量をもとに算出することができる。上記方法で算出できない場合は、訓練された味覚官能パネリストが甘味標準水溶液を用いた官能評価を行って、当該飲料と同等の甘味を持つショ糖溶液の濃度を特定し、その濃度を甘味度とすることもできる。
【0031】
[酸度]
本実施形態の飲料は、クエン酸酸度が0.04g/100ml以上、0.20g/100ml以下であることが好ましく、0.05g/100ml以上、0.18g/100ml以下であることがより好ましい。
酸度を、上記数値範囲とすることにより、良好なコーラ風味が得られる。
【0032】
クエン酸酸度は、100ml中に含まれる酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数(無水クエン酸g/100ml)で表すことができる。酸度もまた、JAS規格の酸度測定法で定められた方法、具体的には0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
【0033】
[pH]
本実施形態の飲料の20℃におけるpHは、2.0以上3.2以下であることが好ましく、2.2以上3.0以下であることがより好ましく、2.3以上2.8以下であることがさらに好ましい。
当該pHを上記数値範囲内とすることにより、良好なコーラ風味が得られる。
【0034】
なお、pHの測定は、市販のpH測定器を用いるなどして行うことができる。pHの調整は、例えば、特定酸の量を変えることや、クエン酸三ナトリウム等のpH調整剤を用いることなどにより行うことができる。
【0035】
[容器]
本実施形態の飲料に用いられる容器としては、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。飲料の風味を保持する観点から、スチール缶であることが好ましく、軽量で再栓可能な観点からは、蓋つきのペットボトル、スチール缶およびアルミ缶が好ましい。
【0036】
飲料の容量としては、特に限定されないが、100~2000gが好ましく、飲み切りやすい点からは、200~500gがより好ましい。
【0037】
本実施形態の飲料が容器詰めされた場合の加熱滅菌処理の方法は、特に限定されないが、日本国内においては食品衛生法の規定に従って、加熱滅菌処理される。具体的には、高温で短時間殺菌した後、無菌条件下で殺菌処理された保存容器に充填する方法(UHT殺菌法)と、調合液を缶等の保存容器に充填した後、レトルト処理を行うレトルト殺菌法が挙げられる。
【0038】
[飲料の種類]
また、本実施形態の飲料は、濃縮タイプまたはストレートタイプのいずれであってもよいが、希釈されずにそのまま飲用されるストレートタイプの飲料であることが好ましい。
いわゆる、レディ・トゥ・ドリンク(Ready To Drink;RTD)と呼ばれる飲料であることが好ましい。
【0039】
また、本実施形態の飲料は、非アルコール飲料であることが好ましい。非アルコール飲料とは、アルコールを実質的に含有しない飲料をいい、具体的にはエタノールなどのアルコールの含有量が1.0体積/体積%未満である飲料を意味する。
【0040】
[販売温度]
本実施形態の飲料は、常温用、またはコールド用のいずれであってもよく、販売時期に応じて適宜設定することができるが、コールド用であることが好ましい。なお、コールド用とは、飲料の液温を常温よりも低くしたものであり、4~15℃程度に冷却したものを意図する。
【0041】
<飲料の製造方法>
本実施形態の飲料の製造方法は、甘味料と、リナロールを含有する、コーラ風味飲料の製造方法であって、前記リナロールの含有量が500ppb以上となるように調製する工程を含む。
これにより、コーラ風味飲料を飲用したときのすっきり感を向上させつつ、後味の甘ったるさを低減できるコーラ風味飲料が得られる。調製方法、混合方法等は公知の方法を用いることができる。また、得られる飲料の物性、成分等は上述の飲料と同じである。
【0042】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0043】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(1)飲料中の香気成分の定量
飲料中のリナロール、ネロールの各濃度(ppbまたはppm)は、以下のようにして測定した。
分析対象である各飲料10gを、20ml容バイアルに入れ密栓した。
ゲステル社製MPSを用いるDHS(ダイナミックヘッドスペース)法によりGC/MS(アジレント・テクノロジー社製)に導入した。
検量線は標準添加法にて作成し、内標としてシクロヘキサノールを用いた。
[GC/MSの分析条件]
GC:Agilent Technologies社製8890。
MS:Agilent Technologies社製5977B。
捕集管(吸着剤):CarbopackBandCarbopackX
カラム:AgilentTechologies社製 HP-INNNOWAX 60m×0.25mm、膜厚0.25μm。
注入法:溶媒ベント。キャリアガス:He。
注入口温度:240℃。トランスファーライン:250℃。
オーブン温度:40℃(5min)→3℃/min→100℃→6℃/min→240℃(10min)。
MS条件:スキャンモード
定量イオン:Linaloolm/z93、Nerolm/z69、シクロヘキサノール(内標)m/z57
【0045】
(2)飲料の物性
・pH;pH測定器(東亜ディーケーケー社製)を用いて、20℃におけるpHを測定した。
・ブリックス;デジタル屈折計Rx-5000α(アタゴ社製)を用いて、20℃における糖用屈折計の示度を測定した。
【0046】
(3)官能評価
官能評価に熟練した6名の開発者が各飲料を試飲し、以下の評価基準(7段階;1~7点)従い、「後味の甘ったるさ」、「すっきり感」、「スパイス感」、「コーラ飲料らしさ」それぞれについて評価を実施し、その平均値を求めた。対照は、コントロール(ベース液)とし、4点とした。
【0047】
・評価基準
7点・・・コントロールと比べてとても強い。
6点・・・コントロールと比べて強い。
5点・・・コントロールと比べてやや強い。
4点・・・コントロールと比べてとても強い。
3点・・・コントロールと比べてやや弱い。
2点・・・コントロールと比べて弱い。
1点・・・コントロールと比べてとても弱い。
【0048】
(4)実施例および比較例
以下の原料を用いたコーラ飲料をベース液(甘味度6、ブリックス1.53、pH2.62、クエン酸酸度0.073、炭酸ガス圧3.56ガスボリューム)とし、以下の表1に示す含有量となるようにリナロール、ネロールをそれぞれ混合して、各飲料を得た。得られた飲料について上記(3)官能評価の測定・評価を行った。結果を表1に示す。
・原料
難消化性デキストリン、炭酸、カラメル色素、香料、酸味料、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム、スクラロース)、グルコン酸カルシウム、カフェイン
【0049】
【表1】
【0050】
(5)市販品の解析
製品名に「コーラ」と付された市販品A~Dのコーラ風味飲料を用意し、それぞれのリナロール濃度、ネロール濃度、ブリックス、炭酸ガス圧を測定した。結果を表2に示す。
【0051】
【表2】