(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114259
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】メンブレンスロットル
(51)【国際特許分類】
F16C 32/06 20060101AFI20240816BHJP
F16C 29/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F16C32/06 A
F16C29/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019912
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】林士傑
(72)【発明者】
【氏名】楊文豪
【テーマコード(参考)】
3J102
3J104
【Fターム(参考)】
3J102AA02
3J102BA05
3J102BA09
3J102BA13
3J102CA03
3J102CA09
3J102CA31
3J102EA03
3J102EA08
3J102EA09
3J102EA12
3J102EA22
3J102GA07
3J104AA44
3J104AA52
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104CA24
3J104DA20
3J104EA01
3J104EA07
(57)【要約】
【課題】メンブレンスロットルを提供する。
【解決手段】メンブレンスロットルは本体、キャップおよび薄膜を備える。本体はオイル流入通路、オイル流出通路、流量制御部および薄膜ホルダーを有する。流量制御部はオイル流出通路に繋がる流量制御通路を有する。薄膜ホルダーは流量制御部の周りを環状に囲んで複数の凹状溝を有する。複数の凹状溝は流量制御部に向かって等しい間隔を置いて配置され、それぞれ本体のオイル流入通路およびオイル流出通路に繋がる。薄膜は本体の薄膜ホルダーとキャップとの間に配置される。上述した構造の特徴により、本発明によるメンブレンスロットルは薄膜を均一に変形させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体、一つ以上のキャップおよび一つ以上の薄膜を備え、
前記本体はオイル流入通路、一つ以上のオイル流出通路、一つ以上の流量制御部および一つ以上の薄膜ホルダーを有し、
前記流量制御部は流量制御面および流量制御通路を有し、
前記流量制御通路は一端が前記流量制御面を貫通し、別の一端が前記本体の前記オイル流出通路に繋がり、
前記薄膜ホルダーは前記流量制御部の周りを環状に囲んで複数の凹状溝を有し、
複数の前記凹状溝は前記流量制御部に向かって等しい間隔を置いて配置され、それぞれ前記本体の前記オイル流入通路および前記オイル流出通路に繋がり、
一つ以上の前記キャップは前記本体内に装着され、
一つ以上の前記薄膜は前記本体の前記薄膜ホルダーと前記キャップとの間に配置されることを特徴とする、
メンブレンスロットル。
【請求項2】
前記本体は一つ以上の下方圧力溝を有し、前記下方圧力溝は前記流量制御部と前記薄膜ホルダーとの間に配置されたうえで前記本体の前記オイル流入通路および複数の前記凹状溝に繋がり、
前記キャップは前記本体の前記下方圧力溝に対応し、前記本体の前記オイル流入通路に繋がる上方圧力溝を有することを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスロットル。
【請求項3】
前記本体はさらに前記薄膜ホルダーを貫通するオイル流入溝を有し、
前記本体において、前記オイル流入通路は前記オイル流入溝を介して前記上方圧力溝および前記下方圧力溝に間接的に繋がり、複数の前記凹状溝および前記オイル流入溝は幅が同じであり、かつ前記流量制御部に向かって等しい間隔を置いて配置されることを特徴とする請求項2に記載のメンブレンスロットル。
【請求項4】
前記キャップは頂面、底面および注油孔を有し、前記注油孔は前記頂面および前記底面を貫通したうえで前記本体のオイル流入溝および前記キャップの前記上方圧力溝に繋がり、前記キャップの前記底面は前記上方圧力溝の周りを環状に囲む位置決め部を有し、
前記薄膜は前記本体の前記薄膜ホルダーと前記キャップの前記位置決め部との間に配置されることを特徴とする請求項2に記載のメンブレンスロットル。
【請求項5】
前記本体、二つの前記キャップおよび二つの前記薄膜を備え、
前記本体は前記オイル流入通路、二つの前記オイル流出通路、二つの前記流量制御部、二つの前記薄膜ホルダーおよび二つの前記下方圧力溝を有し、それぞれの前記流量制御部は前記流量制御面および前記流量制御通路を有し、前記流量制御通路は一端が前記流量制御面を貫通し、別の一端が前記本体の前記オイル流出通路に繋がり、それぞれの前記薄膜ホルダーは前記流量制御部の周りを環状に囲んで複数の前記凹状溝を有し、複数の前記凹状溝は前記流量制御部に向かって等しい間隔を置いて配置され、それぞれの前記下方圧力溝は前記流量制御部と前記薄膜ホルダーとの間に配置されたうえで前記本体の前記オイル流入通路および複数の前記凹状溝に繋がり、
二つの前記キャップはそれぞれ前記本体内に装着されたうえで前記下方圧力溝に対応し、前記本体の前記オイル流入通路に繋がる前記上方圧力溝を有し、
二つの前記薄膜はそれぞれ前記キャップの前記上方圧力溝と前記本体の前記下方圧力溝との間に配置され、前記本体の前記薄膜ホルダーと前記キャップとの間に位置決められることを特徴とする請求項2に記載のメンブレンスロットル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静水圧リニアスライドに関し、詳しくは静水圧リニアスライドに用いるメンブレンスロットルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
静水圧リニアスライドはブロックのオイルチャンバーに潤滑油を一定の圧力で充満させ、潤滑油からなる油膜を介してものを相互に接触させない状態を維持したうえでブロックをレールに沿って線状移動させるものである。油膜の剛性および安定性を増大させるために、給油端とオイルチャンバーとの間にスロットルを配置し、潤滑油の流量をスロットルで制御することが一般的である。従来の配置方式はオイルチャンバーおよびスロットルを1対1で組み合わせて配置するため、コストを増加させるだけでなく、利用可能な空間が限られる。
【0003】
特許文献1により開示された静水圧装置の流量制御器において、薄膜は負荷圧力の変化に応じて変形するとともにプレナムチャンバーの容積を変化させることによってオイル流出孔の流量を制御する。しかし、特許文献1において、環状体のプレナムチャンバーは圧力を均一にできる構造ではないため、プレナムチャンバーからの圧力に耐える薄膜が均一に変形できないことが原因で流量制御効果に影響を与える。
【0004】
特許文献2により開示された静水圧リニアシステムにおいて、流量制御部材は送油チューブによってブロック本体の複数の静水圧オイルチャンバーに繋がって高圧オイルを供給する。しかし、特許文献2は構造が一般的な配置方式であり、かつ流量制御効果を具体的に開示することがなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】CN216742467U号公報
【特許文献2】CN209925429U号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は剛性および安定性の向上が実現できるメンブレンスロットルを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、メンブレンスロットルは本体、一つ以上のキャップおよび一つ以上の薄膜を備える。本体はオイル流入通路、一つ以上のオイル流出通路、一つ以上の流量制御部および一つ以上の薄膜ホルダーを有する。流量制御部は流量制御面および流量制御通路を有する。流量制御通路は一端が流量制御面を貫通し、別の一端が本体のオイル流出通路に繋がる。薄膜ホルダーは流量制御部の周りに環状に配置され、流量制御部に向かって等しい間隔を置いて配置された複数の凹状溝を有する。キャップは本体内に装着される。薄膜は本体の薄膜ホルダーとキャップとの間に配置される。
【0008】
上述した通り、本発明によるメンブレンスロットルは等しい間隔を置いて配置した複数の凹状溝によって薄膜に均一な圧力を生じ、薄膜を均一に変形させることで剛性および安定性を向上させる。
【0009】
比較的好ましい場合、本体は一つ以上の下方圧力溝を有する。下方圧力溝は流量制御部と薄膜ホルダーとの間に配置されたうえで本体のオイル流入通路および複数の凹状溝に繋がる。キャップは下方圧力溝に対応し、本体のオイル流入通路に繋がる上方圧力溝を有する。上述した構造の特徴により、圧力に耐える薄膜を均一に変形させることができる。
【0010】
比較的好ましい場合、本体は薄膜ホルダーを貫通するオイル流入溝を有する。本体のオイル流入通路はオイル流入溝を介して上方圧力溝および下方圧力溝に間接的に繋がる。本体において、複数の凹状溝およびオイル流入溝は幅が同じであり、かつ流量制御部に向かって等しい間隔を置いて配置される。上述した構造の特徴により、圧力に耐える薄膜を均一に変形させることができる。
【0011】
比較的好ましい場合、キャップは頂面、底面および注油孔を有する。注油孔は頂面および底面を貫通したうえで本体のオイル流入溝およびキャップの上方圧力溝に繋がる。キャップの底面は上方圧力溝の周りを環状に囲む位置決め部を有する。薄膜は本体の薄膜ホルダーとキャップの位置決め部との間に配置されるため、位置決め効果が良好である。
【0012】
比較的好ましい場合、隙間は80μmから90μmの間である。上述した構造の特徴により、良好な流量制御効果を生じることができる。
【0013】
比較的好ましい場合、本体のオイル流出通路、流量制御部、薄膜ホルダー、下方圧力溝、キャップおよび薄膜は実際のニーズによってそれぞれ二つ配置される。これに対し、本発明によるメンブレンスロットルは二つのオイルチャンバーを使用する。上述した構造の特徴により、コストを削減し、使用可能な空間を増加させることができる。
【0014】
本発明によるメンブレンスロットルの詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法について、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。なお、以下の詳細な説明および本発明により開示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある者ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態によるメンブレンスロットルを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるメンブレンスロットルを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるメンブレンスロットルのベース、ベースに配置された三つの凹状溝および薄膜を上から見た示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるメンブレンスロットルのベース、ベースに配置された二つの凹状溝および薄膜を上から見た示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるメンブレンスロットルを示す横断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるメンブレンスロットルを示す縦断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による静水圧装置を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態による静水圧装置の一部分を示す分解斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態による静水圧装置においてレールおよびブロックが結合した状態示す断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態による静水圧装置の流量制御管を示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態による静水圧装置において異なる荷重に耐えるブロックが流量制御孔の口径の大きさによって異なる剛性を示すグラフである。
【
図13a】本発明の一実施形態による静水圧装置においてブロックが圧縮された状態を一端から見た平面図である。
【
図13b】本発明の一実施形態による静水圧装置においてブロックが引っ張られた状態を一端から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明によるメンブレンスロットルを図面に基づいて説明する。なお、明細書および図面において、方向性用語は図面中の方向に基づいて表現される。同じ符号は同じ部品または類似した部品の構造の特徴を示す。
【0017】
(一実施形態)
図1および
図2に示すように、本発明の一実施形態によるメンブレンスロットル10は本体20、二つのキャップ30および二つの薄膜40を備える。
【0018】
本体20はベース21および蓋22を有する。ベース21は頂面に四つの第一ねじ孔212および二つの第二ねじ孔214を有する。蓋22は四つの頂面および底面を貫通する第一皿穴222および二つの頂面および底面を貫通する第二皿穴224を有する。四つの第一皿頭ねじS1を四つの第一皿穴222に差し込んで四つの第一ねじ孔212に締め付け、二つの第二皿頭ねじS2を二つの第一皿穴224に差し込んで二つの第一ねじ孔214に締め付ければベース22と蓋21はまとまって固定される。
図2、
図5および
図6に示すように、ベース21はオイル流入通路23、オイル流入溝24、二つの相対するオイル流出通路25、二つの相対する流量制御部26、二つの相対する薄膜ホルダー27、二つの相対する下方圧力溝28および二つの相対する凸状辺縁部29を有する。オイル流入通路23は一端が本体20の側面に位置するオイル流入口232になり、別の一端がオイル流入溝24に繋がる。二つの相対するオイル流出通路25はオイル流入通路23の相対する両側に位置し、それぞれ一端が本体20の同じ側に位置するオイル流出口252になる。二つの相対する流量制御部26はそれぞれ流量制御面262および流量制御通路264を有する。それぞれの流量制御通路264は一端が流量制御面262を貫通し、別の一端がオイル流出通路25(
図6参照)に繋がる。二つの相対する薄膜ホルダー27はそれぞれ流量制御部26の周りに環状に配置され、高さが流量制御部26の高さより大きい。オイル流入溝24は二つの相対する薄膜ホルダー27に繋がる。それぞれの薄膜ホルダー27は複数の凹状溝272を有する。凹状溝272は実際のニーズに応じて三つ(
図3参照)または二つ(
図4参照)である。本実施形態は三つの凹状溝272を例として挙げる。
本体20において、複数の凹状溝272およびオイル流入溝24は幅が同じであり、かつ流量制御部26に向かって等しい間隔を置いて配置される。二つの相対する下方圧力溝28はそれぞれ流量制御部26と薄膜ホルダー27との間に配置されたうえで複数の凹状溝272に繋がり、同時にオイル流入溝24を介してオイル流入通路23に間接的に繋がる。二つの相対する凸状辺縁部29はそれぞれ薄膜ホルダー27の上方に位置し、薄膜ホルダー27の周りに環状に配置され、複数の等しい間隔を置いて配置された固定孔292を有する。オイル流入溝24は二つの相対する凸状辺縁部29に繋がる。本実施形態において、固定孔292の数は特に限定されない。
【0019】
二つのキャップ30はそれぞれ頂面31、底面32、頂面31および底面32を貫通する注油孔33および複数の頂面31および底面32を貫通する穿孔34を有する。それぞれのキャップ30は底面32に環状の位置決め部35および上方圧力溝36を有する。上方圧力溝36は位置決め部35に囲まれ、かつ軸方向に沿って注油孔33に繋がる。
図2および
図6に示すように、二つのキャップ30はベース21内に装着される。複数の固定部材、例えばねじ(図中未表示)を複数の穿孔34に差し込んで複数の固定孔292に締め付ければキャップ30とベース21はまとまって固定される。上述した構造の特徴により、上方圧力溝36は下方圧力溝28に対応したうえで注油孔33を介してオイル流入通路23に間接的に繋がる。
【0020】
薄膜40は金属材料から製作される。
図2および
図6に示すように、薄膜40は上方圧力溝36と下方圧力溝28との間、かつ本体20の薄膜ホルダー27とキャップ30の位置決め部35との間に配置される。
図7に示すように、薄膜ホルダー27は高さが流量制御部26の高さより大きいため、薄膜40の底面42と本体20の流量制御部26の流量制御面262との間に隙間Gがある。隙間Gは下方圧力溝28と流量制御通路264に接触する。本実施形態において、隙間Gは80μmから90μmの間である。上述した構造の特徴により、良好な流量制御効果を生じることができる。
【0021】
上述した構造の特徴により、油圧オイルがオイル流入通路23から本体20に流れ込んで上下の二つの部分に分かれる際、
図6に示すように、一部分のオイルは本体20のオイル流入溝24から注油孔33を通って上方圧力溝36に流れ込む。別の一部分のオイルは本体の20のオイル流入溝24から下方圧力溝28および複数の凹状溝272に流入し、続いて隙間Gを通って流量制御通路264に進み、続いて流量制御通路264から本体20のオイル流出通路25を通って本体20の外部に流出する。
本体20のオイル流出通路25から本体20の外部に流出した油圧オイルが負荷に耐える際、下方圧力溝28および複数の凹状溝272内の油圧の作用によって薄膜40は上に曲がって変形し、隙間Gを増大させるため、下方圧力溝28から流量制御通路264を通って本体のオイル流出通路25に流れ込む油圧オイルの流量が大きくなる。このとき流量制御作用を発揮し、負荷剛性を向上させることができる。負荷が消える際、薄膜40の受けた圧力は消えるため、薄膜40は元の状態に戻る。言い換えれば、
図3および
図4に示すように、本発明によるメンブレンスロットル10は等しい間隔を置いて配置した複数の凹状溝272および下方圧力溝28によって薄膜40に均一な圧力を生じ、薄膜40を均一に変形させ、安定させることで剛性および安定性を向上させる。
【0022】
本体20は実際の状況に応じて構造が変わってもよい。例えば、本体20において、オイル流出通路25、流量制御部26、薄膜ホルダー27、下方圧力溝28および凸状辺縁部29が一つ以上であればよい。それに対し、キャップ30および薄膜40も一つ以上であればよい。上述した構造により、圧力に耐える薄膜40を均一に変形させ、安定させることもできる。
【0023】
(一実施形態)
図8および
図9に示すように、本発明の一実施形態による静水圧装置50はメンブレンスロットル10、レール60、ブロック70、オイル流路連結ブロック80および二つの流量制御管90を備える。
【0024】
図10に示すように、レール60は相対する両側面の上下側に第一負荷部61を別々に有する。それぞれの第一負荷部は第一負荷面62を有する。
【0025】
図10に示すように、ブロック70はレール60に滑走可能に装着され、相対する左右側に第二負荷部71を別々に有する。それぞれの第二負荷部71は相対する上下側に第二負荷面72を別々に有する。ブロック70のそれぞれの第二負荷面72は一つずつレール60の第一負荷面62に対応する。ブロック70のそれぞれの第二負荷面72はオイルチャンバー73を有する。ブロック70はさらに二つの第一オイル流入通路74および二つの第二オイル流入通路75を有する。二つの第一オイル流入通路74および二つの第二オイル流入通路75は二つの第二負荷部71の外側の上下に対称的に配置され、かつ一つずつ注油通路76を介してオイルチャンバー73に繋がる。本実施形態において、注油通路76の数は特に限らない。
【0026】
図9に示すように、オイル流路連結ブロック80はブロック70とメンブレンスロットル10との間に装着され、内部に二つの相対する第一連結通路81および二つの相対する第二連結通路82を有する。それぞれの第一連結通路81は一端が第一オイル流入通路74に連結され、別の一端がメンブレンスロットル10のオイル流入通路23とともにオイル供給源(図中未表示)に連結される。それぞれの第二連結通路82は一端が第二オイル流入通路75に連結され、別の一端がチューブ83を介してメンブレンスロットル10のオイル流出通路25に連結される。
【0027】
図11に示すように、二つの流量制御管90はそれぞれヘッド部91、ねじ山部92、オイル流出通路93および流量制御孔94を有する。ねじ山部92はヘッド部91に連結される。オイル流出通路93はヘッド部を貫通し、ねじ山部92の奥まで伸びる。流量制御孔94はねじ山部92の末端に形成され、軸方向上のオイル流出通路93に繋がる。流量制御管90を締め付けて固定する作業をスムーズに進めるために、オイル流出通路93の断面は皿状に設けられる。流量制御孔94の口径は0.1mmから0.3mmの間である。
図9に示すように、流量制御管90は噛み合う方式によって第一連結通路81内に締め付けられ、オイル流出通路93を介してブロック70の第一オイル流入通路74に繋がり、同時に第一連結通路81に流入する油圧オイルの流量を流量制御孔94によって制御する。つまり、流量制御管90は流量制御孔94によって油圧オイルの流量を制御し、続いてオイル流出通路93によって油圧オイルをブロック70の第一オイル流入通路74内に輸送する。
【0028】
図12は異なる荷重に耐えるブロック70が流量制御孔74の口径の大きさによって異なる剛性を示すグラフである。詳しく言えば、
図13aに示すように、ブロック70が圧縮方向の荷重Fに耐える際、荷重Fは
図12中の正の数で表示される。
図13bに示すように、ブロック70が引張方向の荷重Fに耐える際、荷重Fは
図12中の負の数で表示される。ブロック70が圧力方向の荷重Fに耐える場合が多いため、
図12中の圧縮方向に対応する剛性を参考にすればよい。
図12に示すように、口径dが0.1mmから0.3mmの間である場合、ブロック70の剛性のピーク値は圧縮方向に現れる。口径dが0.4mm以上である場合、ブロック70の剛性のピーク値は引張方向に現れる。つまり、流量制御孔94の口径dが0.1mmから0.3mmの間であれば最も好ましい。
【0029】
静水圧装置50が作動する際、オイル供給源からの油圧オイルの一部分はオイル流路連結ブロック80の二つの第一連結通路81に流入し、流量が二つの流量制御管90で制御された後、ブロック70の二つの第一オイル流入通路74を通ってブロック70の上方の二つのオイルチャンバー73に流れ込む。別の一部分の油圧オイルはメンブレンスロットル10に流入し、流量が隙間Gで制御された後、チューブ83からオイル流路連結ブロック80の二つの第二連結通路82に流入し、続いて二つの第二連結通路82からブロック70の二つの第二オイル流入通路75を通ってブロック70の下方の二つのオイルチャンバー73に流れ込む。
上述した構造の特徴により、潤滑油はオイルチャンバー73によってレール60の第一負荷面72とブロック70の第二負荷面72との間に一層の油膜(図中未表示)を形成し、ものを相互に接触させない状態を維持したうえでブロック70をレール60に沿ってスムーズに線状移動させることができる。ブロック70が荷重に耐える際、荷重に耐えるオイルチャンバー73は油膜の厚さが小さくなり、圧力が増大するとともに本体20の流量制御通路264の圧力を増大させる。流量制御通路264の圧力が増大し、薄膜40を突起させれば、隙間Gによって圧力制御および流量制御を調整し、負荷剛性を高めることができる。
【0030】
上述をまとめると、本発明による静水圧装置50はメンブレンスロットル10をブロック70の複数のオイルチャンバー73に対応させる方式を採用するため、従来の技術と比べて、一組のメンブレンスロットル10さえあればよい。つまり、従来の技術と比べてコストを削減し、コストを削減し、使用可能な空間を増加させることができる。また本発明による静水圧装置50はメンブレンスロットル10と流量制御管90を組み合わせて配置することによって高剛性が実現できる。
【符号の説明】
【0031】
10 メンブレンスロットル
20 本体
21 ベース
212 第一ねじ孔
214 第二ねじ孔
22 蓋
222 第一皿穴
224 第二皿穴
23 オイル流入通路
232 オイル流入口
24 オイル流入溝
25 オイル流出通路
252 オイル流出口
26 流量制御部
262 流量制御面
264 流量制御通路
27 薄膜ホルダー
272 凹状溝
28 下方圧力溝
29 凸状辺縁部
292 固定孔
30 キャップ
31 頂面
32 底面
33 注油孔
34 穿孔
35 位置決め部
36 上方圧力溝
40 薄膜
42 底面
50 静水圧装置
60 レール
61 第一負荷部
62 第一負荷面
70 ブロック
71 第二負荷部
72 第二負荷面
73 オイルチャンバー
74 第一オイル流入通路
75 第二オイル流入通路
76 注油通路
80 オイル流路連結ブロック
81 第一連結通路
82 第二連結通路
83 チューブ
90 流量制御管
91 ヘッド部
92 ねじ山部位
93 オイル流出通路
94 流量制御孔
D 流量制御孔の口径
G 隙間
S1 第一皿頭ねじ
S2 第二皿頭ねじ
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体、二つのキャップおよび二つの薄膜を備え、
前記本体はオイル流入通路、二つのオイル流出通路、二つの流量制御部、二つの薄膜ホルダーおよび二つの下方圧力溝を有し、
前記流量制御部は流量制御面および流量制御通路を有し、
前記流量制御通路は一端が前記流量制御面を貫通し、別の一端が前記オイル流出通路に繋がり、
前記薄膜ホルダーは前記流量制御部の周りを環状に囲んでなり、かつ複数の凹状溝を有し、
複数の前記凹状溝は前記流量制御部の径方向に向かう形状で形成されつつ、等しい間隔を置いて配置され、それぞれ前記オイル流入通路および前記オイル流出通路と間接的に繋がり、
前記下方圧力溝は前記流量制御部と前記薄膜ホルダーとの間に配置されたうえで、複数の前記凹状溝と繋がり、かつ前記オイル流入通路と間接的に繋がり、
前記キャップは前記本体内に装着され、
前記キャップは前記下方圧力溝に対応しつつ前記オイル流入通路と間接的に繋がる上方圧力溝を有し、
前記薄膜は前記本体の前記薄膜ホルダーと前記キャップとの間に配置されることを特徴とする、
メンブレンスロットル。
【請求項2】
前記本体はさらに前記流量制御部の径方向に向かう形状で前記薄膜ホルダーを貫通するオイル流入溝を有し、
前記下方圧力溝は、前記オイル流入溝を介して前記オイル流入通路と間接的に繋がり、
複数の前記凹状溝および前記オイル流入溝は幅が同じであり、かつ互いに等しい間隔を置いて配置されることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスロットル。
【請求項3】
前記キャップは頂面、底面および注油孔を有し、前記注油孔は前記頂面および前記底面を貫通したうえで前記本体のオイル流入溝および前記キャップの前記上方圧力溝に繋がり、前記キャップの前記底面は前記上方圧力溝の周りを環状に囲む位置決め部を有し、
前記薄膜は前記本体の前記薄膜ホルダーと前記キャップの前記位置決め部との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスロットル。