(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114269
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/122 20230101AFI20240816BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20240816BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240816BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20240816BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20240816BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20240816BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240816BHJP
【FI】
H10K59/122
H05B33/12 B
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
H10K50/00
H10K50/10
H10K59/00
H10K59/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019930
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 逸
(72)【発明者】
【氏名】新田 淳
(72)【発明者】
【氏名】望月 真里奈
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC31
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD50
3K107DD58
3K107DD89
3K107DD95
(57)【要約】
【課題】 表示品質が向上した表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、第1画素と、第2画素と、第3画素と、を含む複数の画素と、隣り合う前記画素の間に設けられる、バンクと、を備え、前記複数の画素それぞれは、基材上に、陽極と、前記陽極上に設けられる、有機EL層と、前記有機EL層の側面を覆って設けられる、少なくとも1組の側壁組と、前記バンクの開口部に設けられ、前記有機EL層に接して設けられる、陰極と、を備え、前記少なくとも1組の側壁組は、酸化アルミニウムで形成される第1側壁と、窒化珪素で形成される第2側壁と、を備え、前記第1画素は、少なくとも2組の前記側壁組を有し、前記第2画素は、少なくとも1組の前記側壁組を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画素と、第2画素と、第3画素と、を含む複数の画素と、
隣り合う前記画素の間に設けられる、バンクと、
を備え、
前記複数の画素それぞれは、
基材上に、
陽極と、
前記陽極上に設けられる、有機EL層と、
前記有機EL層の側面を覆って設けられる、少なくとも1組の側壁組と、
前記バンクの開口部に設けられ、前記有機EL層に接して設けられる、陰極と、
を備え、
前記少なくとも1組の側壁組は、
酸化アルミニウムで形成される第1側壁と、
窒化珪素で形成される第2側壁と、
を備え、
前記第1画素は、少なくとも2組の前記側壁組を有し、
前記第2画素は、少なくとも1組の前記側壁組を有する、表示装置。
【請求項2】
前記第1画素は、3組の前記側壁組を有し、
前記第2画素は、2組の前記側壁組を有し、
前記第3画素は、1組の前記側壁組を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1画素は、2組の前記側壁組を有し、
前記第2画素は、1組の前記側壁組を有し、
前記第3画素は、酸化アルミニウムで形成された側壁を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記有機EL層上に、酸化アルミニウムで形成された上層を、さらに有する、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子との再結合時のエネルギーを利用して、発光を得る有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-11083号公報
【特許文献2】国際公開第2022/144666号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、表示品質が向上した表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る表示装置は、
第1画素と、第2画素と、第3画素と、を含む複数の画素と、
隣り合う前記画素の間に設けられる、バンクと、
を備え、
前記複数の画素それぞれは、
基材上に、
陽極と、
前記陽極上に設けられる、有機EL層と、
前記有機EL層の側面を覆って設けられる、少なくとも1組の側壁組と、
前記バンクの開口部に設けられ、前記有機EL層に接して設けられる、陰極と、
を備え、
前記少なくとも1組の側壁組は、
酸化アルミニウムで形成される第1側壁と、
窒化珪素で形成される第2側壁と、
を備え、
前記第1画素は、少なくとも2組の前記側壁組を有し、
前記第2画素は、少なくとも1組の前記側壁組を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態1の表示装置の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す部分平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す表示装置の線A1-A2に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図18】
図18は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図19】
図19は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図20】
図20は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図21】
図21は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図22】
図22は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図23】
図23は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図24】
図24は、比較例1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図25】
図25は、比較例1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図26】
図26は、比較例1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図27】
図27は、比較例2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図28】
図28は、実施形態2の表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図29】
図29は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図30】
図30は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図31】
図31は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図32】
図32は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図33】
図33は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図34】
図34は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図35】
図35は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図36】
図36は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図37】
図37は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図38】
図38は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
本明細書で述べる実施形態は、一般的なものでなく、本発明の同一又は対応する特別な技術的特徴について説明する実施形態である。以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0009】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0010】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0011】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0012】
[実施形態1]
図1は、実施形態1の表示装置の全体斜視図である。表示装置DSPは、基板SUB1に表示領域DA及び表示領域DAの周辺に設けられた周辺領域FAが設けられている。表示装置DSPは、表示領域DA内に配置された、複数の画素PXを有している。表示装置DSPでは、裏面からの光LTが表面に透過し、逆もまた然りである。
【0013】
表示領域DAの上面には封止材としての基板SUB2が設けられている。基板SUB2は表示領域DAを囲むシール材(非表示)によって、基板SUB1に固定されている。基板SUB1に形成された表示領域DAは、封止材である基板SUB2とシール材によって大気に晒されないように封止されている。
【0014】
基板SUB1の端部の領域EAは、基板SUB2の外側に配置されている。領域EAには、配線基板PCSが設けられている。配線基板PCSには、映像信号や駆動信号を出力する駆動素子DRVが設けられている。駆動素子DRVからの信号は、配線基板PCSを介して、表示領域DAの画素PXに入力される。映像信号及び各種制御信号に基づいて、画素PXが発光する。
【0015】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す部分平面図である。複数の画素PXは、赤色を発光する画素PXR、緑色を発光する画素PXG、青色を発光する画素PXBを有している。画素PXR、画素PXG、画素PXBを、それぞれ、第1画素、第2画素、第3画素ともいう。画素PXRは、画素PXBと、第1方向X及び第2方向Yに沿って隣り合って配置される。画素PXGは、画素PXBと、第1方向X及び第2方向Yに沿って隣り合って配置される。画素PXBは、画素PXRと第1方向に沿って隣り合って配置され、画素PXGと第2方向Yに沿って隣り合って配置されている。
【0016】
図3は、
図2に示す表示装置の線A1-A2に沿った断面図である。
基材BA1は、例えばガラスや、樹脂材料で構成される樹脂材料で構成される基材が挙げられる。樹脂材料としては、例えばアクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を用いればよく、いずれかの単層又は複数層の積層で形成してもよい。
【0017】
基材BA1上には、絶縁層UC1が設けられている。絶縁層UC1は、例えば酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を単層又は積層して形成される。
【0018】
絶縁層UC1上に、トランジスタTrと重畳して、遮光層BMが設けられてもよい。遮光層BMは、トランジスタTrのチャネル裏面からの光の侵入等によるトランジスタ特性の変化を抑制する。遮光層BMが導電層で形成される場合は、所定の電位を与えることで、トランジスタTrにバックゲート効果を与えることも可能である。
【0019】
絶縁層UC1及び遮光層BMを覆って、絶縁層UC2が設けられている。絶縁層UC2の材料としては、絶縁層UC1と同様の材料を用いることができる。絶縁層UC2は、絶縁層UC1と異なる材料であってもよい。例えば、絶縁層UC1は酸化シリコン、絶縁層UC2は窒化シリコンを用いることができる。絶縁層UC1及びUC2を併せて、絶縁層UCとする。
【0020】
絶縁層UC上に、トランジスタTrが設けられる。トランジスタTrは、半導体層SC、絶縁層GI、ゲート電極GE(走査線)、絶縁層ILI、ソース電極SE(信号線)、ドレイン電極DEを有している。
【0021】
半導体層SCとして、アモルファスシリコン、ポリシリコン、又は酸化物半導体を用いる。
絶縁層GIとして、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンを単層又は積層して設ける。
【0022】
ゲート電極GEとして、例えば、モリブデンタングステン合金(MoW)を用いる。ゲート電極GEは、走査線GLと一体形成されていてもよい。
【0023】
半導体層SC及びゲート電極GEを覆って、絶縁層ILIが設けられている。絶縁層ILIは、例えば酸化シリコン層又は窒化シリコン層を単層又は積層して形成される。
【0024】
絶縁層ILI上には、ソース電極SE及びドレイン電極DEが設けられている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、それぞれ、絶縁層ILI及び絶縁層GIに設けられたコンタクトホールを介して、半導体層SCのソース領域及びドレイン領域に接続される。ソース電極SEは、信号線と一体形成されていてもよい。
【0025】
ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び絶縁層ILIを覆って、絶縁層PASが設けられる。絶縁層PASを覆って、絶縁層PLLが設けられる。
【0026】
絶縁層PASは、無機絶縁材料を用いて形成する。無機絶縁材料は、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンを単層又は積層してものが挙げられる。絶縁層PLLは、有機絶縁材料を用いて形成する。有機絶縁材料は、例えば、感光性アクリル、ポリイミド等の有機材料が挙げられる。絶縁層PLLを設けることにより、トランジスタTrによる段差を平坦化することができる。
【0027】
絶縁層PLL上に、陽極ADが設けられる。陽極ADは、絶縁層PAS及びPLLに設けられたコンタクトホールを介して、ドレイン電極DEに接続されている。画素PXRに設けられる陽極を陽極ADR、画素PXBに設けられる陽極を陽極ADB、画素PXGに設けられる陽極を陽極ADGとする。陽極ADR、陽極ADG、陽極ADBを区別する必要がない場合は、単に陽極ADと呼ぶ。
【0028】
陽極ADは、例えば、反射電極及び透明電極の積層体で形成されていればよい。反射電極は、反射率の高い導電材料、例えば、銀(Ag)、モリブデンタングステン合金(MoW)を用いて形成されている。透明電極は、例えば、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium ZInc Oxide:IZO)を用いて形成されている。
本実施形態では、基材BA1から絶縁層PLLまでの構成を、バックプレインBPSとする。
【0029】
隣り合う陽極ADとの間に、バンクBK(凸部、リブともいう)が設けられる。バンクBKの材料として、絶縁層PLLの材料と同様の有機材料が用いられる。バンクBKは、陽極ADの一部を露出するように開口される。
【0030】
画素PXRに設けられる開口部を、開口部OPR、画素PXBに設けられる開口部を、開口部OPB、画素PXGに設けられる開口部を、開口部OPG、とする。開口部OPR、開口部OPB、開口部OPGを区別する必要がない場合は、単に開口部OPと呼ぶ。
【0031】
開口部OPの端部は、断面視でなだらかなテーパ形状となることが好ましい。開口部OPの端部が急峻な形状となっていると、後に形成される有機EL層ELYにカバレッジ不良が生じる。
【0032】
陽極ADと重畳して、隣り合うバンクBKとの間に、有機EL層ELYが設けられている。詳細は後述するが、有機EL層ELYは、正孔注入層HILと、正孔輸送層HTLと、発光層EMLと、電子輸送層ETLと、電子注入層EILと、を含んでいる。有機EL層ELYは、必要であれば、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、をさらに含んでいてもよい。
【0033】
画素PXRに設けられる有機EL層を、有機EL層ELYR、画素PXBに設けられる有機EL層を、有機EL層ELYB、画素PXGに設けられる有機EL層を、有機EL層ELYGとする。有機EL層ELYR、有機EL層ELYG、有機EL層ELYBを区別する必要がない場合は、単に有機EL層ELYと呼ぶ。
【0034】
有機EL層ELY上に、陰極CDが設けられている。陰極CDは、例えば、マグネシウム-銀合金(MgAg)膜や、銀(Ag)の単層膜や、銀(Ag)と透明導電材料の積層膜等を用いて形成する。当該透明導電材料は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等を用いればよい。
【0035】
陰極CDを覆って、絶縁層SEYが設けられる。絶縁層SEYは、外部から水分が有機EL層ELYに侵入することを防止する機能を有している。絶縁層SEYとしてはガスバリア性の高いものが好適である。絶縁層SEYとして、例えば、有機絶縁層を、窒素を含む無機絶縁層2層で挟持した絶縁層が挙げられる。当該有機絶縁層の材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。当該窒素を含む無機絶縁層の材料としては、例えば、窒化シリコン、窒化アルミニウムが挙げられる。
【0036】
絶縁層SEY上に、基材BA2が設けられている。基材BA2は、基材BA1と同様の材料で形成されている。基材BA2及び絶縁層SEYとの間に、透光性を有する無機絶縁層や有機絶縁層が設けられていてもよい。有機絶縁層が絶縁層SEYと基材BA2を接着する機能を有していてもよい。
【0037】
有機EL層ELYで生じた発光は、陰極CDを介して、上方に取り出される。すなわち、本実施形態の表示装置DSPは、トップエミッション構造を有している。
【0038】
図4は、実施形態1の表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図4に示す表示装置DSPでは、有機EL層ELYの近傍の構成のみを示ししている。
図4では、バックプレインBPS上に、陽極AD(陽極ADR、陽極ADG、陽極ADB)が設けられている。
【0039】
陽極AD上には、有機EL層ELYが設けられている。陽極ADR上には、有機EL層ELYRが設けられている。陽極ADB上には、有機EL層ELYBが設けられている。陽極ADG上には、有機EL層ELYGが設けられている。
【0040】
有機EL層ELYR上には、上層AOURが設けられている。上層AOUR上には、上層SNURが設けられている。陽極ADR、有機EL層ELYR、上層AOUR、及び上層SNURの側面を覆って、側壁AOSR1、側壁SNSR1、側壁AOSR2、側壁SNSR2、側壁AOSR3、及び側壁SNSR3が設けられている。側壁AOSR1、側壁SNSR1、側壁AOSR2、側壁SNSR2、側壁AOSR3、及び側壁SNSR3は、この順に内側から外側へ形成されている。すなわち、側壁AOSR1、側壁SNSR1、側壁AOSR2、側壁SNSR2、側壁AOSR3、及び側壁SNSR3のうち、側壁AOSR1が一番有機EL層ELYRに近く、側壁SNSR3が一番有機EL層ELYRから遠い。
【0041】
有機EL層ELYG上には、上層AOUGが設けられている。上層AOUG上には、上層SNUGが設けられている。陽極ADG、有機EL層ELYG、上層AOUG、及び上層SNUGの側面を覆って、側壁AOSG1、側壁SNSG1、側壁AOSG2、及び側壁SNSG2が設けられている。側壁AOSG1、側壁SNSG1、側壁AOSG2、及び側壁SNSG2は、この順に内側から外側へ形成されている。すなわち、側壁AOSG1、側壁SNSG1、側壁AOSG2、及び側壁SNSG2のうち、側壁AOSG1が一番有機EL層ELYGに近く、側壁SNSG2が一番有機EL層ELYGから遠い。
【0042】
有機EL層ELYB上には、上層AOUBが設けられている。上層AOUB上には、上層SNUBが設けられている。陽極ADB、有機EL層ELYB、上層AOUB、及び上層SNUBの側面を覆って、側壁AOSB1及び側壁SNSB1が設けられている。側壁AOSB1及び側壁SNSB1は、この順に内側から外側へ形成されている。すなわち、側壁AOSB1の方が有機EL層ELYBに近く、側壁SNSB1の方が有機EL層ELYGから遠い。
【0043】
画素PXRにおいて、上層AOUR及び側壁AOSR1は一体形成される。当該一体形成された層を犠牲層AOYRとする。
【0044】
画素PXGにおいて、上層AOUG及び側壁AOSG1は一体形成される。当該一体形成された層を犠牲層AOYGとする。
【0045】
画素PXBにおいて、上層AOUB及び側壁AOSB1は一体形成される。当該一体形成された層を犠牲層AOYBとする。
【0046】
陽極ADR、有機EL層ELYR、上層AOUR、上層SNUR、側壁AOSR1、側壁SNSR1、側壁AOSR2、側壁SNSR2、側壁AOSR3、及び側壁SNSR3の積層体SKTRを覆って、保護層AOLが設けられている。
【0047】
また保護層AOLは、陽極ADG、有機EL層ELYG、上層AOUG、上層SNUG、側壁AOSG1、側壁SNSG1、側壁AOSG2、及び側壁SNSG2の積層体SKTGを覆っている。
【0048】
また保護層AOLは、陽極ADB、有機EL層ELYB、上層AOUB、上層SNUB、側壁AOSB1、及び側壁SNSB1の積層体SKTBを覆っている。
【0049】
保護層AOL上に、また、隣り合う有機EL層ELY間に、バンクBKが設けられている。バンクBK、積層体SKTR、積層体SKTG、積層体SKTB、保護層AOLを覆って、陰極CDが設けられる。
【0050】
陰極CDを覆って、絶縁層INS及び絶縁層PCLを形成する。絶縁層PCL上には、基材BA2が設けられている。
【0051】
画素PXRにおいて、上層AOUR、側壁AOSR1、側壁AOSR2、及び側壁AOSR3は、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)で形成されている。上層SNUR、側壁SNSR1、側壁SNSR2、及び側壁SNSR3は、例えば、窒化珪素(SiN)で形成されている。
【0052】
画素PXGにおいて、上層AOUG、側壁AOSG1、及び側壁AOSG2は、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)で形成されている。上層SNUG、側壁SNSG1、側壁SNSG2は、例えば、窒化珪素(SiN)で形成されている。
【0053】
画素PXBにおいて、上層AOUB及び側壁AOSB1は、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)で形成されている。上層SNUB及び側壁SNSB1は、例えば、窒化珪素(SiN)で形成されている。
【0054】
保護層AOLは、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)で形成されている。絶縁層INS、絶縁層PCL、基材BA2の材料については、後述する。
【0055】
図5は、実施形態1の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図5は、
図4の部分拡大図である。
図5に示すように、陽極AD及び陰極CDの間には、第3方向Zに沿って、有機EL層ELYが設けられている。有機EL層ELYは、第3方向Zに沿って積層された、正孔注入層HILと、正孔輸送層HTLと、発光層EMLと、電子輸送層ETLと、電子注入層EILと、を含んでいる。
【0056】
なお本実施形態の表示装置DSPでは、陽極AD、有機EL層ELY、陰極CDの順に、第3方向Zに沿って積層されている。有機EL層ELYは、第3方向Zに沿って、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、発光層EML、電子輸送層ETL、電子注入層EILが積層されている。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態の表示装置DSPでは、陰極CD、有機EL層ELY、陽極ADの順に、積層されていてもよい。また、有機EL層ELYは、電子注入層EIL、電子輸送層ETL、発光層EML、正孔輸送層HTL、正孔注入層HILの順で積層されていてもよい。
【0057】
図5には図示しないが、陰極CD上に、光取り出し層と、封止層と、が設けられていてもよい。例えば、
図3に示す絶縁層SEYが、封止層として機能する。
【0058】
図6乃至
図23は、実施形態1の表示装置の製造方法を示す断面図である。
図6乃至
図23では、画素PXR、画素PXG、及び画素PXBのうちの1つである第1画素を、画素PX1とし、別の1つである第2画素を、画素PX2とする。
図6乃至
図23では、第1画素(画素PX1)、第2画素(画素PX2)の順番で形成される。図示しないが、画素PXR、画素PXG、及び画素PXBのうちの他の1つである第3画素(画素PX3とする)は、第1画素及び第2画素と同様に形成される。
【0059】
まず、基材BA1に、陽極AD1及び陽極AD2が形成される(
図6参照)。陽極AD1は、画素PX1の陽極であり、陽極AD2は、画素PX2の陽極である。陽極AD1は、反射電極RD1及び透明電極TD1を有している。陽極AD2は、反射電極RD2及び透明電極TD2を有している。
【0060】
基材BA1、陽極AD1及び陽極AD2を覆って、有機EL層ELM1、犠牲層AOM1,保護層SNM1、犠牲層MWM1を形成する(
図7参照)。有機EL層ELM1は、画素PX1に対応する有機EL層である。ただし、有機EL層ELM1は、
図5に示す、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、発光層EML、電子輸送層ETL、及び電子注入層EILのうち、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、発光層EML、及び電子輸送層ETLを含んでいるものとする。
【0061】
犠牲層AOM1は、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)で形成されている。酸化アルミニウムは、原子堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD)により成膜すればよい。
【0062】
保護層SNM1は、例えば、窒化珪素(SiN)で形成されている。窒化珪素は、低温CVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜すればよい。
【0063】
犠牲層MWM1は、例えば、モリブデンタングステン(MoW)で形成されている。モリブデンタングステンは、スパッタ法により成膜すればよい。
【0064】
陽極AD1に対向し、犠牲層MWM1上に、レジストマスクRES1を形成する(
図8参照)。陽極AD2上には、レジストマスクは形成されない。
【0065】
レジストマスクRES1を用い、犠牲層MWM1を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陽極AD1に対向し、有機EL層ELM1、犠牲層AOM1、及び保護層SNM1を挟んで、島状に犠牲層MWY1が形成される(
図9参照)。
【0066】
島状に形成された犠牲層MWY1をマスクとして、有機EL層ELM1、犠牲層AOM1、及び保護層SNM1を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陽極AD1及び犠牲層MWY1の間に、有機EL層ELY1、上層AOU1、及び上層SNU1が、島状に形成される(
図10参照)。陽極AD2上の有機EL層ELM1、犠牲層AOM1、及び保護層SNM1は、除去される。
【0067】
陽極AD1、有機EL層ELY1、上層AOU1、上層SNU1、犠牲層MWY1の積層体SKT11、並びに、陽極AD2を覆って、犠牲層AOK1及び保護層SNK1を形成する(
図11参照)。犠牲層AOK1は、犠牲層AOM1と同じ材料で形成される。保護層SNK1は、保護層SNM1と同じ材料で形成される。上層AOU1及び犠牲層AOK1は、一体化する。
【0068】
犠牲層AOK1及び保護層SNK1を異方性エッチングして、積層体SKT11の側面に接する領域のみを残し、その他の領域を除去する。これにより、犠牲層AOK1から側壁AOS11、並びに、保護層SNK1から側壁SNS11が形成される(
図12参照)。上層AOU1及び側壁AOS11は、一体化しており、併せて犠牲層AOY1とする。積層体SKT11、側壁AOS11、及び側壁SNS11を併せて、積層体SKT12とする。
【0069】
基材BA1、積層体SKT12、及び陽極AD2を覆って、有機EL層ELM2、犠牲層AOM2、保護層SNM2、及び犠牲層MWM2が形成される(
図13参照)。有機EL層ELM2は、画素PX2に対応する有機EL層である。ただし、有機EL層ELM2は、有機EL層ELM1と同様に、
図5に示す、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、発光層EML、電子輸送層ETL、及び電子注入層EILのうち、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、発光層EML、及び電子輸送層ETLを含んでいるものとする。犠牲層AOM2及び保護層SNM2は、それぞれ、犠牲層AOM1及び保護層SNM1と同様の材料である。
【0070】
陽極AD2に対向し、犠牲層MWM2上に、レジストマスクRES2を形成する。レジストマスクRES2を用い、犠牲層MWM2を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陽極AD2に対向し、有機EL層ELM2、保護層SNM2、及び犠牲層AOM2を挟んで、島状に犠牲層MWY2が形成される(
図14参照)。
【0071】
次いで、犠牲層MWY2上のレジストマスクRES2を除去する(
図15参照)。
島状に形成された犠牲層MWY2をマスクとして、有機EL層ELM2、保護層SNM2、及び犠牲層AOM2を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陽極AD2及び犠牲層MWY2の間に、有機EL層ELY2、上層AOU2、及び上層SNU2が、島状に形成される(
図16参照)。陽極AD2、有機EL層ELY2、上層AOU2、上層SNU2、犠牲層MWY2を併せて、積層体SKT21とする。
【0072】
積層体SKT12及び積層体SKT21を覆って、犠牲層AOK2及び保護層SNK2を形成する(
図17参照)。犠牲層AOK2は、犠牲層AOM1と同じ材料で形成される。保護層SNK2は、保護層SNM1と同じ材料で形成される。
【0073】
犠牲層AOK2及び保護層SNK1を異方性エッチングして、積層体SKT12の側面及び積層体SKT21の側面に接する領域のみを残し、その他の領域を除去する。これにより、積層体SKT12の側面に、犠牲層AOK2から側壁AOS12、並びに、保護層SNK2から側壁SNS12が形成される。積層体SKT21の側面に、犠牲層AOK2から側壁AOS21、並びに、保護層SNK2から側壁SNS21が形成される(
図18参照)。
【0074】
積層体SKT12、側壁AOS12、及び側壁SNS12を併せて、積層体SKT13とする。上層AOU2及び側壁AOS21は、一体化しており、併せて犠牲層AOY2とする。積層体SKT21、側壁AOS21、及び側壁SNS21を併せて、積層体SKT22とする。
【0075】
積層体SKT13のうち犠牲層MWY1、及び、積層体SKT22のうち犠牲層MWY2を、エッチングにより除去する。この際、側壁AOS11、側壁SNS11、側壁AOS12、及び側壁SNS21それぞれの上部が、同時にエッチングされる。同様に、側壁AOS21及び側壁SNS11それぞれの上部が、同時にエッチングされる。これにより、積層体SKT13及び積層体SKT22それぞれから、上面が平坦化された積層体SKT14及び積層体SKT23が得られる(
図19参照)
【0076】
積層体SKT13及び積層体SKT22を覆って、保護層AOLが形成される。保護層AOLは、犠牲層AOM1及び犠牲層AOM2と同じ材料で形成される(
図20参照)。
【0077】
保護層AOLに接して、積層体SKT13及び積層体SKT22の間、換言すると、有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2の間に、バンクBKを形成する。有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2それぞれの上方には、バンクBKが形成されていない。すなわち、有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2の上方には、それぞれ、開口部OP1及び開口部OP2が設けられている(
図21参照)。
【0078】
開口部OP1中の上層AOU1、上層SNU1、及び保護層AOLを、エッチングにより除去する。同様に、開口部OP2中の上層AOU2、上層SNU2、及び保護層AOLを、エッチングにより除去する。これにより、開口部OP1及び開口部OP2内で、有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2が露出する(
図22参照)。
【0079】
露出した有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2、並びに、バンクBKを覆って、陰極CD、絶縁層INS、絶縁層PCLを形成する。絶縁層PCL上には、基材BA2を設ける(
図23参照)。
【0080】
開口部OP1及び開口部OP2において、それぞれ、有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2上に、陰極CDが設けられている。以上により、実施形態1の表示装置DSPが形成される。
【0081】
絶縁層INSは、例えば、窒化珪素(SiN)により形成する。絶縁層INSは、外部から水分が有機EL層に侵入するのを防ぐ。絶縁層PCLは、例えば、樹脂絶縁材料により形成する。絶縁層PCLは、表面を平坦化する機能を有する。基材BA2は、基材BA1と同様の材料を用いればよい。
【0082】
第3画素である画素PX3の陽極及び有機EL層を形成するには、
図18に示す工程終了後に、
図13と同様に、画素PX3の陽極を覆って、画素PX3に対応する有機EL層、犠牲層AOM1と同様の材料、例えば、酸化アルミニウム(ALOx)の犠牲層、保護層SNM1と同様の材料、例えば、窒化珪素(SiN)の保護層を形成すればよい。
図18と同様に、画素PX3においても、当該犠牲層及び当該保護層から、それぞれ、側壁を形成すればよい。その後に、
図19に示す工程に進めばよい。
【0083】
画素PX3の側壁を形成するのに伴い、画素PX1及び画素PX2にも、さらに側壁が形成される。すなわち、画素PX1では、側壁SNS13に接して、犠牲層AOM1と同様の材料で側壁(図示しないが、側壁AOS13とする)が形成される。側壁AOS13に接して、保護層SNM1と同様の材料で側壁(図示しないが、側壁SNS13とする)が形成される。
【0084】
画素PX2には、側壁SNS22に接して、犠牲層AOM1と同様の材料で側壁(図示しないが、側壁AOS22とする)が形成される、側壁AOS22に接して、保護層SNM1と同様の材料で側壁(図示しないが、側壁SNS22とする)が形成される。
【0085】
本実施形態において、画素PX1、画素PX2、及び画素PX3は、それぞれ、画素PXR、画素PXG、及び画素PXBであればよい。
【0086】
本実施形態において、異方性エッチングされる積層体では、有機EL層ELYの側面に、例えば、酸化アルミニウム(ALOx)の側壁、及び、例えば、窒化珪素(SiN)の側壁が形成されている。また、有機EL層ELYの上面に、例えば、酸化アルミニウム(ALOx)の層、及び、例えば、窒化珪素(SiN)の層が形成されている。sこれにより、異方性エッチングの際に、当該有機EL層を保護することが可能である。
【0087】
図24乃至
図26は、比較例1の表示装置の製造方法を示す断面図である。比較例1の表示装置DSPrを製造するには、まず、基材BA1上に、陽極AD1及び陽極AD2を形成する(
図24参照)。比較例における陽極AD1及び陽極AD2は、金属酸化物で形成される透明電極であるとする。このような金属酸化物としては、上述のインジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物が挙げられる。
図24に示す工程は、
図6に示す工程に対応している。
【0088】
図7乃至
図9に示す工程を経て、陽極AD1上に、有機EL層ELY1、犠牲層の上層AOU1、犠牲層MWY1が形成される。陽極AD2上には、犠牲層が除去されている(
図25参照)。
図25に示す工程は、
図10に示す工程に対応している。
【0089】
次いで、陽極AD1、有機EL層ELY1、上層AOU1、犠牲層MWY1の側面に接して、側壁AOS1を形成する。まず、有機EL層ELY1、上層AOU1、犠牲層MWY1の積層体を覆って、側壁AOS1となる材料膜を形成する。その後、当該材料膜を異方性エッチングして、当該積層体の側面接する領域のみを残し、その他の領域を除去することにより、側壁AOS1が形成される。
【0090】
側壁AOS1の材料は、犠牲層AOM1と同じ材料であり、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)である。一方、陽極AD1及び陽極AD2は、例えば、上述のように、金属酸化物で形成される。
【0091】
すなわち、側壁AOS1、並びに、陽極AD1及び陽極AD2は、金属酸化物を含む材料で形成されている。このような金属酸化物をエッチングする際に、選択比が取れないエッチングガスを使用する必要がある場合がある。
【0092】
この場合、側壁AOS1を形成するためのエッチングで、陽極AD2が一緒に除去される恐れがある(
図26参照)。陽極が除去されてしまうと、その画素は正常に発光しない。このような表示装置では、表示品質が低下してしまう。
【0093】
図27は、比較例2の表示装置の製造方法を示す断面図である。比較例1と同様に、
図25に示す製造工程において、異方性エッチングが行われる。その際に、画素PX1の犠牲層MWY1の一部、側壁AOS1の一部、及び有機EL層ELY1の一部までエッチングされてしまう恐れがある。有機EL層ELY1の一部がエッチングされてしまうと、画素PX1の発光領域が減少してしまう。
【0094】
本実施形態では、有機EL層ELY上に、上層AOU(上層AOU1及び上層AOU2)、並びに、上層SNU(上層SNU1及び上層SNU2)を設ける。有機EL層ELYの側面には、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)の側壁(側壁AOS11、側壁AOS12、側壁AOS21)、及び、例えば、窒化珪素(SiN)の側壁(側壁SNS11、側壁SNS12、側壁SNS21)が、それぞれ1つずつ以上設けられている。すなわち、酸化アルミニウムの側壁の1つ及び窒化珪素の側壁の1つを、1組の側壁組とすると、すくなくとも1組以上の側壁組が設けられている。これにより、有機EL層ELYがエッチングされることがなく、画素PXの発光領域を減少させることがない。よって、表示装置DSPの表示品質を向上させることができる。
【0095】
[実施形態2]
図28は、実施形態2の表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図28に示す表示装置DSPは、
図4に示す表示装置DSPと比較して、画素PXBには、側壁を設けない、という点で異なっている。
【0096】
図28に示す表示装置DSPでは、画素PXBにおいて、有機EL層ELYB上には、上層AOUBが設けられている。陽極ADB、有機EL層ELYB、上層AOUBの側面を覆って、側壁AOSB1が設けられている。上層AOUB及び側壁AOSB1は一体化され、保護層AOLの一部を構成している。
【0097】
画素PXRにおいて、有機EL層ELYR上には、上層AOURが設けられている。上層AOUR上には、上層SNURが設けられている。陽極ADR、有機EL層ELYR、上層AOUR、及び上層SNURの側面を覆って、側壁AOSR1、側壁SNSR1、側壁AOSR2、及び側壁SNSR2が設けられている。側壁AOSR1、側壁SNSR1、側壁AOSR2、及び側壁SNSR2は、この順に内側から外側へ形成されている。すなわち、側壁AOSR1、側壁SNSR1、側壁AOSR2、及び側壁SNSR2のうち、側壁AOSR1が一番有機EL層ELYRに近く、側壁SNSR2が一番有機EL層ELYRから遠い。
【0098】
画素PXGにおいて、有機EL層ELYG上には、上層AOUGが設けられている。上層AOUG上には、上層SNUGが設けられている。陽極ADG、有機EL層ELYG、上層AOUG、及び上層SNUGの側面を覆って、側壁AOSG1及び側壁SNSG1が設けられている。側壁AOSG1及び側壁SNSG1は、この順に内側から外側へ形成されている。すなわち、側壁AOSG1の方が有機EL層ELYGに近く、側壁SNSG2の方が有機EL層ELYGから遠い。
【0099】
図29乃至
図38は、実施形態2の表示装置の製造方法を示す断面図である。
図29乃至
図38では、画素PX1、画素PX2、及び画素PX3は、それぞれ、
図28に示す画素PXR、画素PXG、及び画素PXBに対応している。しかしながら、本実施形態において、画素PX1、画素PX2、及び画素PX3、並びに、画素PXR、画素PXG、及び画素PXBの対応は、これに限定されない。
【0100】
図6乃至
図16に示す製造工程により、側壁SNS11形成までの工程を行う(
図29参照)。
図17乃至
図19に示す製造工程により、側壁SNS12及び側壁SNS21形成までの工程を行う(
図30参照)。
【0101】
基材BA1、画素PX1の積層体SKT14、画素PX2の積層体SKT23、及び、画素PX3の陽極AD3を覆って、有機EL層ELM3、犠牲層AOM3、及び犠牲層MWM3が形成される(
図31参照)。有機EL層ELM3は、画素PX3に対応する有機EL層である。犠牲層AOM3及び犠牲層MWM3は、それぞれ、犠牲層AOM1及び犠牲層MWM1と同じ材料である。
【0102】
レジストマスクを用い、犠牲層MWM3を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陽極AD3に対向し、有機EL層ELM3及び犠牲層AOM3を挟んで、島状に犠牲層MWY3が形成される(
図32参照)。
【0103】
島状に形成された犠牲層MWY3をマスクとして、有機EL層ELM3及び犠牲層AOM3を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陽極AD3及び犠牲層MWY3の間に、有機EL層ELY3及び上層AOU3が、島状に形成される(
図33参照)。陽極AD3、有機EL層ELY3、及び犠牲層MWY3の積層体を積層体SKT31とする。
【0104】
積層体SKT14、積層体SKT23、及び積層体SKT31を覆って、犠牲層AOK1を形成する(
図34参照)。犠牲層AOK3は、犠牲層AOM1と同じ材料で形成される。上層AOU3及び犠牲層AOK3は、一体化する。
【0105】
犠牲層AOK3を異方性エッチングして、積層体SKT31の側面に接する領域のみを残し、その他の領域を除去する。これにより、犠牲層AOK1から側壁AOS3が形成される(
図35参照)。上層AOU3及び側壁AOS31は、一体化しており、併せて犠牲層AOY3とする。積層体SKT31及び側壁AOS31を併せて、積層体SKT32とする。
【0106】
図19と同様に、積層体SKT15のうち犠牲層MWY1、積層体SKT24のうち犠牲層MWY2、及び、積層体SKT32のうち犠牲層MWY3を、エッチングにより除去する。この際、側壁AOS11、側壁SNS11、側壁AOS12、側壁SNS12、側壁AOS21、側壁SNS21、及び側壁AOS31それぞれの上部が、同時にエッチングされる。これにより、積層体SKT15、積層体SKT24、及び積層体SKT32それぞれから、上面が平坦化された積層体SKT16、積層体SKT25、及び積層体SKT33が得られる(
図36参照)
【0107】
積層体SKT16、積層体SKT25、及び積層体SKT33を覆って、保護層AOLが形成される。保護層AOLは、犠牲層AOM1、犠牲層AOM2、及び犠牲層AOM3と同じ材料で形成される(
図37参照)。上層AOU3及び保護層AOLは一体化し、上層AOU3の膜厚が増加する。
【0108】
保護層AOLに接して、積層体SKT16、積層体SKT25、及び積層体SKT33それぞれの間、換言すると、有機EL層ELY1、有機EL層ELY2、及び有機EL層ELY3の間に、バンクBKを形成する。有機EL層ELY1、有機EL層ELY2、及び有機EL層ELY3それぞれの上方には、バンクBKが形成されていない。すなわち、有機EL層ELY1、有機EL層ELY2、及び有機EL層ELY3の上方には、それぞれ、開口部OP1、開口部OP2、及び開口部OP3が設けられている。
【0109】
開口部OP1中の上層AOU1、上層SNU1、及び保護層AOL、開口部OP2中の上層AOU2、上層SNU2、及び保護層AOL、並びに、開口部OP3中の上層AOU3をエッチングにより除去する。これにより、開口部OP1、開口部OP2、及び開口部OP3内で、有機EL層ELY1、有機EL層ELY2、及び有機EL層ELY3が露出する(
図38参照)。
【0110】
図23と同様に、露出した有機EL層ELY1、有機EL層ELY2、有機EL層ELY3、及び、バンクBKを覆って、陰極CD、絶縁層INS、絶縁層PCLを形成する。絶縁層PCL上には、基材BA2を設ける。以上により、実施形態2の表示装置DSPが形成される。
【0111】
実施形態2では、画素PX3の側壁は側壁AOS31だけである。これにより、実施形態2の表示装置DSPの製造工程において、設計マージンを増加させることが可能である。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
AD…陽極、AOL…保護層、AOS11…側壁、AOS12…側壁、AOS13…側壁、AOS21…側壁、AOS22…側壁、AOS31…側壁、AOU1…上層、AOU2…上層、AOU3…上層、DSP…表示装置、ELY1…有機EL層、ELY2…有機EL層、ELY3…有機EL層、MWY1…犠牲層、MWY2…犠牲層、MWY3…犠牲層、PX…画素、SKT11…積層体、SKT21…積層体、SKT31…積層体、SNS11…側壁、SNS21…側壁、SNU1…上層、SNU2…上層。