(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114283
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 129
B41J2/01 401
B41J2/01 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019948
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 真一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA24
2C056EC03
2C056EC14
2C056EC37
2C056FA14
2C056HA27
2C056HA29
2C056HA40
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】インクの硬化性が低下することを抑制する。
【解決手段】画像形成装置(インクジェット印刷装置100)は、活性線硬化型インクにより画像を形成する画像形成部(インクヘッドユニット24)と、画像形成部の下流で活性線を照射して画像を定着させる活性線照射部25と、活性線照射部と記録媒体の空間に不活性ガスを充満させる不活性ガス供給部40と、記録媒体を吸着して画像形成部から活性線照射部まで搬送する搬送部(搬送ドラム21)と、搬送部に記録媒体を吸着するための負圧を発生させる吸引部50と、を備える。吸引部は、活性線照射部に対応する領域に対して任意のタイミングで独立して作動する吸着部54を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性線硬化型インクにより画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部の下流で活性線を照射して画像を定着させる活性線照射部と、
前記活性線照射部と記録媒体の空間に不活性ガスを充満させる不活性ガス供給部と、
記録媒体を吸着して前記画像形成部から前記活性線照射部まで搬送する搬送部と、
前記搬送部に前記記録媒体を吸着するための負圧を発生させる吸引部と、を備え、
前記吸引部は、前記活性線照射部に対応する領域に対して任意のタイミングで独立して作動する吸着部を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記吸着部は、前記活性線照射部に対応する領域に記録媒体が進入するタイミングで吸引を開始する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送部は、複数の枚葉紙を保持する印刷胴である、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記活性線照射部と前記搬送部に挟まれた領域は、任意の開口部が設けられ、かつ、周囲を囲われた閉空間である、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記不活性ガス供給部は、前記搬送部が回転している間は連続的に前記活性線照射部と前記搬送部に挟まれた領域に不活性ガスを供給する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記吸引部の記録媒体を吸着するための負圧を発生させる手段は、空圧ポンプである、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記吸引部の内、少なくとも前記活性線照射部に対応する領域の吸引部には、吸引経路の開放と遮断を行うためのバルブを備える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記バルブは、前記活性線照射部に少なくとも記録媒体が存在する間、前記活性線照射部に対応する領域の吸引経路を開放する、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記活性線照射部の下流に記録媒体の反転機構を備え、反転された記録媒体の裏面に画像を形成することで両面印刷を行う、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
両面印刷時に、交互印刷方式で表面と裏面に交互に画像を形成する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
記録媒体を吸着するための吸引は、記録媒体の幅に応じた領域で範囲を切り替えられる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
記録媒体を吸着するための吸引は、記録媒体の長さに応じた領域で範囲を切り替えられる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
記録媒体の幅に応じて、吸引経路を切り替える吸引範囲切替機構を有する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
記録媒体の長さに応じて、吸引経路を切り替える吸引範囲切替機構を有する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記吸着部は、前記活性線照射部に対応する領域から記録媒体が退出するタイミングで吸引を終了する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線等の活性線に反応して硬化する活性線硬化型インクにより記録媒体上に画像を形成する画像形成装置が普及している。この種の画像形成装置の中には、インクの硬化性を向上させるために、不活性ガスを活性線照射領域に供給する構成のものがある。
【0003】
不活性ガスの供給方法としては、活性線照射領域に進入する前に記録媒体表面に不活性ガスを供給するエアナイフ方式(例えば、特許文献1参照)と、活性線照射部と搬送面との間を不活性ガスで満たしておき記録媒体をそこに進入させていく充満方式(例えば、特許文献2参照)と、が存在する。
【0004】
エアナイフ方式は、活性線を照射する距離が長くなると記録媒体の表面付近の不活性ガス濃度を維持し難いため、インクを硬化させるためのエネルギーを増加させてしまい、運用コストを上昇させてしまう可能性がある。これに対して、充満方式は、紫外線を照射する距離が長くなっても記録媒体の表面付近の不活性ガス濃度を維持し易いため、インクを硬化させるためのエネルギーの増加を抑制することができ、運用コストを低減することができる。したがって、不活性ガスの供給方法としては、エアナイフ方式よりも充満方式の方がエネルギー効率が好ましく、運用コストを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-49655号公報
【特許文献2】特開2008-221651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の充満方式の画像形成装置は、枚葉紙等の記録媒体を吸着搬送する搬送システムにおいて、活性線照射領域においては記録媒体の周囲の不活性ガスを吸引することで、記録媒体を吸引して搬送する。その際に、従来の充満方式の画像形成装置は、ガスを吸引するための負圧を発生させる吸引部の吸引動作とガスの移動動作との間にずれが発生するため、記録媒体を保持していない面でも不活性ガスを吸引する。このような従来の充満方式の画像形成装置は、不適切なタイミングで過剰に不活性ガスを吸い出すため、活性線照射部に対応する領域内の酸素濃度が高くなってしまい、インクの硬化性が低下してしまう、という課題がある。
【0007】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、インクの硬化性が低下することを抑制する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
【0009】
(1)画像形成装置であって、活性線硬化型インクにより画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の下流で活性線を照射して画像を定着させる活性線照射部と、前記活性線照射部と記録媒体の空間に不活性ガスを充満させる不活性ガス供給部と、記録媒体を吸着して前記画像形成部から前記活性線照射部まで搬送する搬送部と、前記搬送部に前記記録媒体を吸着するための負圧を発生させる吸引部と、を備え、前記吸引部は、前記活性線照射部に対応する領域に対して任意のタイミングで独立して作動する吸着部を有する、ことを特徴とする画像形成装置。
【0010】
(2)前記吸着部は、前記活性線照射部に対応する領域に記録媒体が進入するタイミングで吸引を開始する、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0011】
(3)前記搬送部は、複数の枚葉紙を保持する印刷胴である、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0012】
(4)前記活性線照射部と前記搬送部に挟まれた領域は、任意の開口部が設けられ、かつ、周囲を囲われた閉空間である、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0013】
(5)前記不活性ガス供給部は、前記搬送部が回転している間は連続的に前記活性線照射部と前記搬送部に挟まれた領域に不活性ガスを供給する、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0014】
(6)前記吸引部の記録媒体を吸着するための負圧を発生させる手段は、空圧ポンプである、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0015】
(7)前記吸引部の内、少なくとも前記活性線照射部に対応する領域の吸引部には、吸引経路の開放と遮断を行うためのバルブを備える、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0016】
(8)前記バルブは、前記活性線照射部に少なくとも記録媒体が存在する間、前記活性線照射部に対応する領域の吸引経路を開放する、上記(7)に記載の画像形成装置。
【0017】
(9)前記活性線照射部の下流に記録媒体の反転機構を備え、反転された記録媒体の裏面に画像を形成することで両面印刷を行う、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0018】
(10)両面印刷時に、交互印刷方式で表面と裏面に交互に画像を形成する、上記(1に記載の画像形成装置。
【0019】
(11)記録媒体を吸着するための吸引は、記録媒体の幅に応じた領域で範囲を切り替えられる、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0020】
(12)記録媒体を吸着するための吸引は、記録媒体の長さに応じた領域で範囲を切り替えられる、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0021】
(13)記録媒体の幅に応じて、吸引経路を切り替える吸引範囲切替機構を有する、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0022】
(14)記録媒体の長さに応じて、吸引経路を切り替える吸引範囲切替機構を有する、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0023】
(15)前記吸着部は、前記活性線照射部に対応する領域から記録媒体が退出するタイミングで吸引を終了する、上記(1)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、インクの硬化性が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置全体の概略構成図である。
【
図2】実施形態に係る画像形成装置における主要な機能のブロック図である。
【
図3A】実施形態に係る画像形成装置の6枚両面印刷による交互循環時の通紙順序の説明図である。
【
図3B】実施形態に係る画像形成装置の7枚両面印刷による交互循環時の通紙順序の説明図である。
【
図4A】実施形態に係る画像形成装置における交互循環時の通紙順序の説明図(1)である。
【
図4B】実施形態に係る画像形成装置における交互循環時の通紙順序の説明図(2)である。
【
図4C】実施形態に係る画像形成装置における交互循環時の通紙順序の説明図(3)である。
【
図4D】実施形態に係る画像形成装置における交互循環時の通紙順序の説明図(4)である。
【
図4E】実施形態に係る画像形成装置における交互循環時の通紙順序の説明図(5)である。
【
図5】実施形態に係る画像形成装置における画像記録部の概略構成図である。
【
図6】実施形態に係る画像形成装置における吸引部の概略構成図である。
【
図7】実施形態に係る画像形成装置における吸引タイミングの説明図である。
【
図8】比較例の画像形成装置における画像記録部の概略構成図である。
【
図9】比較例の画像形成装置における吸引部の概略構成図である。
【
図10】比較例の画像形成装置における吸引タイミングの説明図である。
【
図11】変形例の画像形成装置における吸引範囲切替機構の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0027】
<画像形成装置の構成>
以下、
図1から
図6を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の一例としてのインクジェット印刷装置100の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100全体の概略構成図である。
図2は、インクジェット印刷装置100における主要な機能のブロック図である。ブロック図である。
図3Aは、インクジェット印刷装置100の6枚両面印刷による交互循環時の通紙順序の説明図である。
図3Bは、インクジェット印刷装置100の7枚両面印刷による交互循環時の通紙順序の説明図である。
図4Aから
図4Eは、それぞれ、インクジェット印刷装置100における交互循環時の通紙順序の説明図である。
図5は、インクジェット印刷装置100における画像記録部の概略構成図である。
図6は、インクジェット印刷装置100における吸引部の概略構成図である。
【0028】
(画像形成装置の全体構成)
本実施形態は、画像形成装置の一例として、充満方式(つまり、紫外線等の活性線を照射する活性線照射部と搬送面との間を不活性ガスで満たしておき記録媒体をそこに進入させていく方式)の不活性ガスの供給方法を適用したインクジェット印刷装置100を提供する。ただし、従来の充満方式の不活性ガスの供給方法は、記録媒体の周囲の不活性ガスを吸引する際に、ガスを吸引するための負圧を発生させる吸引部の吸引動作とガスの移動動作との間にずれが発生するため、記録媒体を保持していない面でも不活性ガスを吸引するものであった。そこで、本実施形態は、記録媒体の周囲の不活性ガスを吸引する際に、記録媒体を保持していない面でも不活性ガスを吸引しないように、吸引部の吸引動作とガスの移動動作との間でのずれの発生を抑制するインクジェット印刷装置100を提供するものとする。なお、本方式は、紫外線硬化型インクに限定されず、可視光・赤外光・ガンマ線等の任意の波長の活性線で硬化するインクと、対応する活性線の照射部との組み合わせで実現されてもよい。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、給紙部10と、画像記録部20と、排紙部30と、制御部90と、を備える。インクジェット印刷装置100は、制御部90による制御下で、給紙部10に格納された記録媒体Pを画像記録部20に搬送し、画像記録部20で記録媒体Pに画像を記録し、画像が記録された記録媒体Pを排紙部30に搬送する。
【0030】
記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛又はシート状の樹脂等、表面に吐出されたインクを表面で固化させることが可能な種々の媒体を用いることができる。本実施形態では、記録媒体Pとして紙を用いる場合を想定して説明する。以下、記録媒体Pを「紙」と称する場合がある。
【0031】
給紙部10は、画像記録部20に記録媒体Pを供給する機構である。給紙部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレイ11と、給紙トレイ11から画像記録部20に記録媒体Pを供給する媒体供給部12と、を有する。本実施形態では、媒体供給部12は、2本のローラに張架された輪状のベルトを備え、ベルト上に記録媒体Pを載置した状態でローラを回転させることで記録媒体Pを搬送する構成になっているものとして説明する。
【0032】
画像記録部20は、記録媒体Pに画像を記録する機構である。画像記録部20は、搬送ドラム21(搬送部)と、受け渡しドラム22と、インクヘッドユニット24(画像形成部)と、活性線照射部25と、分離部26と、用紙反転部28(反転機構)と、を有する。
【0033】
搬送ドラム21は、記録媒体Pを搬送する部材である。搬送ドラム21は、円柱状を呈するとともに、記録媒体Pの搬送面として機能する外周曲面21aに複数の孔(図示せず)が形成されている。搬送ドラム21は、外周曲面21aの外部から内部に向けて周囲のガスが吸引されることで、外周曲面21a上に記録媒体Pを保持する。搬送ドラム21は、外周曲面21a上に記録媒体Pを保持した状態で
図1の紙面に垂直な方向(以下、「幅方向」と称する)に延びた回転軸の周りで回転する。これにより、搬送ドラム21は、記録媒体Pを外周曲面21aに沿った搬送方向に搬送する。搬送ドラム21は、搬送ドラム21を回転させるための図示しない搬送ドラムモーターに接続されており、搬送ドラムモーターの回転量に比例した角度だけ回転する。
【0034】
受け渡しドラム22は、給紙部10の媒体供給部12により搬送された記録媒体Pを搬送ドラム21に引き渡す回転体である。受け渡しドラム22は、給紙部10の媒体供給部12と搬送ドラム21との間に設けられている。受け渡しドラム22の周囲には、受け渡しドラム22との間でニップ(挟み込み部)を形成して受け渡しドラム22とともに記録媒体Pを搬送する複数(
図1に示す例では3つ)のコロ22aと、受け渡しドラム22を加熱するためのヒーターH1と、が設けられている。ヒーターH1は、制御部90の制御により稼働し、受け渡しドラム22を加温(プレヒート)するための熱を放射することにより、画像形成プロセスに先立って受け渡しドラム22ひいては記録媒体Pを所定温度に加温する。
【0035】
インクヘッドユニット24は、記録媒体Pにインクを吐出して画像を記録(形成)する画像形成部である。インクヘッドユニット24は、図示せぬ外部装置からの印刷指示に基づいて、記録媒体Pが保持された搬送ドラム21の回転に応じた適切なタイミングで記録媒体Pに対してインクを吐出することで画像を記録する。本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクにそれぞれ対応する4つのインクヘッドユニット24が記録媒体Pの搬送方向の上流側から順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
【0036】
活性線照射部25は、搬送ドラム21の幅方向に沿って対向するように配置された発光部である。活性線照射部25は、搬送ドラム21に載置された記録媒体Pに対して紫外線等の活性線を照射して記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させて定着させる。
【0037】
分離部26は、搬送ドラム21から記録媒体Pを分離させて排紙部30に送出する機構である。分離部26は、活性線照射部25の下流側に配置されている。本実施形態では、分離部26は、搬送ドラム21に対向する搬送ローラ26aと、搬送ローラ26aに対向する搬送ローラ26bt、搬送ローラ26bに対向する搬送ローラ26cと、搬送ローラ26cに対向するベルト搬送部27と、を有する構成になっているものとして説明する。インクジェット印刷装置100は、搬送ローラ26a,26b,26cとベルト搬送部27とにより、搬送ドラム21から排紙部30に記録媒体Pを搬送する。また、インクジェット印刷装置100は、搬送ローラ26a,26bとベルト搬送部27とにより、搬送ドラム21から排紙部30に記録媒体Pを搬送する。
【0038】
用紙反転部28は、記録媒体Pの表裏を反転させる機構である。用紙反転部28は、分離部26の下流側に配置されている。本実施形態では、用紙反転部28は、分離部26の搬送ローラ26bに対向する搬送ローラ28aを有する構成になっているものとして説明する。用紙反転部28は、分離部26の搬送ローラ26bから搬送ローラ28aに記録媒体Pを受け取って搬送ドラム21に戻すことで、記録媒体Pの表裏を反転させる。
【0039】
インクジェット印刷装置100は、搬送ローラ26bと搬送ドラム21との間の空間には、ヒーターH2と、ファンFを有している。
【0040】
ヒーターH2は、制御部90の制御により稼働し、搬送ドラム21を加温するための熱を放射することにより、画像形成プロセスに先立って搬送ドラム21ひいては記録媒体Pを所定温度に加温する。
【0041】
一方、ファンFは、制御部90の制御により稼働し、冷却用のエアーを搬送ドラム21に吹き付けることにより、画像形成プロセスに先立って搬送ドラム21ひいては記録媒体Pを所定温度に調整する。
【0042】
排紙部30は、分離部26により画像記録部20から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレイ31を有する。
【0043】
(主要な機能構成)
図2に示すように、インクジェット印刷装置100は、データ入力部91と、ヘッド駆動部92と、制御部90と、を備える。データ入力部91は、印刷ジョブに関する種々のデータが入力および記憶される構成要素である。ヘッド駆動部92は、インクヘッド24Y,24M,24C,24Kを駆動する構成要素である。制御部90は、インクジェット印刷装置100全体の動作を制御する構成要素である。制御部90は、データ入力部91、ヘッド駆動部92、活性線照射部25、給紙部10、不活性ガス供給部40、吸引部50、用紙反転部28、排紙部30等の動作を制御する。不活性ガス供給部40は、活性線照射部25と記録媒体Pの間の空間(
図5に示す閉空間62)に窒素等の不活性ガスを供給して充満させる構成要素である。吸引部50は、記録媒体Pを搬送ドラム21に吸着するための負圧を発生させる構成要素である。不活性ガス供給部40と吸引部50の詳細については、以下の「不活性ガス供給部と吸引部の構成」の章で説明する。
【0044】
なお、本実施形態では、3面毎に1枚目から3枚目の記録媒体Pの表裏を反転させる場合を想定して説明する。また、
図4Aに示すように、インクジェット印刷装置100は、印刷胴である搬送ドラム21が「A面」と「B面」と「C面」の3つの面に区分されており、矢印の方向に搬送ドラム21を回転させながら記憶媒体Pを外周曲面21aに載置するものとして説明する。ただし、「A面」と「B面」と「C面」は、便宜的な呼称に過ぎず、任意に呼称することができる。なお、
図4Aは、
図1に示す分離部26と用紙反転部28(反転機構)を省略して搬送ドラム21の周囲の構成を示している。
【0045】
インクジェット印刷装置100が6枚両面印刷を行う場合に、交互循環時の通紙順序は、
図3Aに示すような状態になる。
図3Aに示す例において、各ステップは、記憶媒体Pが搬送ドラム21の外周曲面21aに載るタイミングを表している。
図3Aに示す例では、ステップ1からステップ11までの1つおきのステップにおいて、A面を開始面にしてA面からC面までの1つおきの面上で表面が外方向を向くように、6枚の記憶媒体Pは配置される。また、ステップ6からステップ16までの1つおきのステップにおいて、C面を開始面にしてA面からC面までの1つおきの面上で裏面が外方向を向くように、6枚の記憶媒体Pは配置される。
【0046】
また、インクジェット印刷装置100が7枚両面印刷を行う場合に、交互循環時の通紙順序は、
図3Bに示すような状態になる。
図3Bに示す例において、各ステップは、記憶媒体Pが搬送ドラム21の外周曲面21aに載るタイミングを表している。
図3Bに示す例では、ステップ1からステップ13までの1つおきのステップにおいて、A面を開始面にしてA面からC面までの1つおきの面上で表面が外方向を向くように、7枚の記憶媒体Pは配置される。また、ステップ6からステップ18までの1つおきのステップにおいて、C面を開始面にしてA面からC面までの1つおきの面上で裏面が外方向を向くように、7枚の記憶媒体Pは配置される。
【0047】
図3Aに示す例と
図3Bに示す例において、ステップ1-ステップ3の状態、ステップ4-ステップ6の状態、ステップ7-ステップ9の状態、ステップ10-ステップ12の状態は、それぞれ、
図4Bから
図4Eに示す状態となる。なお、ステップ13以降は、6枚両面印刷を行う場合と7枚両面印刷を行う場合とで変化する。6枚両面印刷を行う場合に、
図3Aに示すように、ステップ13で5枚目の裏面が外方向を向くように、またステップ16で6枚目の裏面が外方向を向くように、記憶媒体Pが配置される。なお、6枚両面印刷が終わった後に次の印刷ジョブを開始する場合は、ステップ16の次の面であるB面を開始面とし、ステップ1から同じ動作を繰り返す。これに対して、7枚両面印刷を行う場合に、
図3Bに示すように、ステップ13で7枚目の表面が外方向を向くように、またステップ14で5枚目の裏面が外方向を向くように、またステップ16で6枚目の裏面が外方向を向くように、またステップ18で7枚目の裏面が外方向を向くように、記憶媒体Pが配置される。なお、7枚両面印刷が終わった後に次の印刷ジョブを開始する場合は、ステップ18の次の面であるA面を開始面とし、ステップ1から同じ動作を繰り返す。
【0048】
(不活性ガス供給部と吸引部の構成)
図5に示すように、インクジェット印刷装置100は、活性線照射部25と搬送ドラム21(搬送部)とに挟まれた領域に、活性線照射傘61を有している。活性線照射傘61は、搬送ドラム21の外周曲面21aにおける活性線照射部25に対応する領域を覆うカバー部材である。インクジェット印刷装置100は、活性線照射傘61を有することにより、充満方式(つまり、活性線照射部25と搬送ドラム21の外周曲面21a(搬送面)との間を不活性ガスで満たしておき、紙をその空間に進入させていく不活性ガスの供給方法)の不活性ガスの供給方法に適した構成を実現することができる。このようなインクジェット印刷装置100は、エアナイフ方式よりも、エネルギー効率が好ましく、また、運用コストを低減することができる充満方式の不活性ガスの供給方法を実現することができる。活性線照射傘61の内部は、任意の開口部63a,63bが設けられ、かつ、周囲を囲われた、閉空間62となっている。開口部63a,63bは、搬送ドラム21が回転する際に、活性線照射傘61と接触しないようにするための隙間である。
【0049】
インクジェット印刷装置100は、不活性ガス供給部40を有しており、不活性ガス供給部40により閉空間62(すなわち、活性線照射部25と記録媒体Pの間の空間)に窒素等の不活性ガスを供給して充満させる。
【0050】
また、インクジェット印刷装置100は、搬送ドラム21の内部(又は、搬送ドラム21の内部空間に接続される場所)に吸引部50を有しており、負圧を発生させて、記録媒体Pを搬送ドラム21に吸着する。インクジェット印刷装置100は、搬送ドラム21の外周曲面21a上に記録媒体Pを保持した状態で矢印Rの方向に搬送ドラム21を回転することで、記録媒体Pを搬送する。
【0051】
図5に示す例では、搬送ドラム21は、搬送ローラ26aと搬送ドラム21とが対向する位置から下流側に120°の間隔で、それぞれ、記録媒体Pの1面から3面に対応する領域に区分されている。吸引部50は、記録媒体Pの1面に対応して搬送ドラム21の内部と外部とを接続する1面用の連結穴OP1と、記録媒体Pの2面に対応して搬送ドラム21の内部と外部とを接続する2面用の連結穴OP2と、を有している。
【0052】
また、
図5に示す例では、搬送ドラム21は、活性線照射部25よりも上流側の場所で記録媒体Pを搬送する領域Aと、活性線照射部25に対応する場所で記録媒体Pを搬送する領域B1,C,B2とに、区分されている。
【0053】
図6に示すように、インクジェット印刷装置100の吸引部50は、複数の吸着部54(
図6に示す例では、4つの吸着部54a,54b1,54b2,54c)を有している。各吸着部54は、搬送ドラム21の活性線照射部25に対応する領域に対して任意のタイミングで独立して作動してガスを吸引する。
【0054】
吸着部54aは、負圧発生手段としての空圧ポンプ51aと、吸引するガスを流動させる吸引経路52aとを有しており、搬送ドラム21の領域Aからガスを吸引する。吸引経路52aは、1面用の連結穴OP1(
図5参照)と接続されて、搬送ドラム21の外部に連通する。
【0055】
また、吸着部54b1は、負圧発生手段としての空圧ポンプ51b1と、吸引するガスを流動させる吸引経路52b1とを有しており、搬送ドラム21の領域B1からガスを吸引する。吸着部54cは、負圧発生手段としての空圧ポンプ51cと、吸引するガスを流動させる吸引経路52cと、吸引経路52cの開放と遮断を行うためのバルブ53とを有しており、搬送ドラム21の領域Cからガスを吸引する。また、吸着部54b2は、負圧発生手段としての空圧ポンプ51b2と、吸引するガスを流動させる吸引経路52b2とを有しており、搬送ドラム21の領域B2からガスを吸引する。吸引経路52b1と吸引経路52cと吸引経路52b2は、2面用の連結穴OP2(
図5参照)と接続されて、搬送ドラム21の外部に連通する。
【0056】
図6に示すように、インクジェット印刷装置100の吸引部50は、活性線照射部25に対応する領域に対して任意のタイミングで独立して作動する吸着部54を有している。このようなインクジェット印刷装置100の吸引部50は、活性線照射部25に対応する領域において、紙の先端が当該領域に進入すると同時に吸引部50による用紙の吸引を始める。そして、吸引部50は、紙の後端が当該領域から離脱すると同時に吸引部50による用紙の吸引を停止する。したがって、インクジェット印刷装置100は、紙が有る面の先端と後端の位置で吸引の開始と停止を確実に行うことができる。例えば、
図7に示す例では、印刷ジョブは、それぞれ0面目と2面目と4面目が紙無しの状態になっており、それぞれ1面目と3面目と5面目と6面目が紙有りの状態になっている。このような印刷ジョブに対して、インクジェット印刷装置100の吸引部50は、紙有りの状態になっている面の先端と後端の位置で吸引の開始と停止を確実に行うことができる。
【0057】
ここで、
図8から
図10を参照して、比較例のインクジェット印刷装置1000の吸引部1050の構成と動作について説明する。比較例のインクジェット印刷装置1000の吸引部1050は、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(
図5参照)の吸引部50と異なり、吸着部54が活性線照射部25に対応する領域に対して任意のタイミングで独立して作動する構成になっていないものである。
【0058】
図8に示すように、比較例のインクジェット印刷装置1000は、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(
図5参照)と比較すると、領域B1,C,B2の代わりに、活性線照射部25に対応する場所が単一の領域Bとして区画されている点で相違する。換言すると、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、比較例のインクジェット印刷装置1000の領域Bの途中に領域Cを設けることで、領域Bを領域B1,C,B2の3つの領域に区分した構成になっている。
【0059】
図9に示すように、比較例のインクジェット印刷装置1000の吸引部1050は、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100の吸引部50(
図6参照)と比較すると、吸着部54b1,54b2,54cの代わりに、単一の吸着部54bを有する点で相違する。吸着部54bは、負圧発生手段としての空圧ポンプ51bと、吸引するガスを流動させる吸引経路52bとを有しており、搬送ドラム21の領域Bからガスを吸引する。
【0060】
図9に示すように、このような比較例のインクジェット印刷装置1000の吸引部1050は、領域Bに対して単一の吸着部54bでガスを吸着するように構成されている。
図10に示すように、このような比較例のインクジェット印刷装置1000の吸引部1050は、吸着部54が活性線照射部25に対応する領域に対して任意のタイミングで独立して作動する構成になっていない。このような比較例のインクジェット印刷装置1000は、活性線照射部25に対応する領域(
図8と
図9に示す例では領域B)において吸引部1050の吸引動作とガスの移動動作との間にずれが発生する。このような比較例のインクジェット印刷装置1000は、紙が有る面の先端と後端の位置で吸引の開始と停止を確実に行うことができない。例えば、
図10に示す例では、印刷ジョブは、それぞれ0面目と2面目と4面目が紙無しの状態になっており、それぞれ1面目と3面目と5面目と6面目が紙有りの状態になっている。このような印刷ジョブに対して、比較例のインクジェット印刷装置1000の吸引部1050は、紙有りの状態になっている面の先端と後端の位置で吸引の開始と停止を行うことができず、紙無しの状態になっている面でも吸引を行ってしまう。
【0061】
このような比較例のインクジェット印刷装置1000は、活性線照射部25に対応する領域から不適切なタイミングで過剰に不活性ガスを吸い出すため、活性線照射部25に対応する領域内の酸素濃度が高くなってしまい、インクの硬化性が低下してしまう。
【0062】
これに対して、
図5と
図6に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、活性線照射部25に対応する領域を複数の領域B1,C,B2に細分化し、各領域B1,C,B2において複数の吸着部54b1,54c,54b2を任意のタイミングで独立して作動させることでガスを吸着するように構成されている。
図7に示すように、このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、活性線照射部25に対応する領域(
図5と
図6に示す例では領域B1,C,B2)において吸引部54の吸引動作とガスの移動動作との間でのずれの発生を抑制することができる。このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、活性線照射部25に対応する領域から不適切なタイミングで過剰に不活性ガスを吸い出さない。そのため、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、活性線照射部25に対応する領域内の酸素濃度が高くなることを抑制することができ、インクの硬化性が低下することを抑制することができる。
【0063】
<画像形成装置の変形例>
本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)は、例えば
図11に示す吸引範囲切替機構70を有する構成に変形することができる。
図11は、変形例のインクジェット印刷装置100における吸引範囲切替機構70の模式構成図である。
【0064】
吸引範囲切替機構70は、搬送ドラム21(搬送部)の内部において搬送ドラム21の全域に設けられている。
図11に示す例では、吸引範囲切替機構70は、負圧発生手段としての空圧ポンプ71と、複数の吸引経路72と、複数のバルブ73と、複数の隔壁74と、複数の閉空間75と、を有している。
図11に示す例では、吸引範囲切替機構70は、複数の吸引経路72として、3つの吸引経路72a,72b,72cを有している。また、吸引範囲切替機構70は、複数のバルブ73として、3つのバルブ73a,73b,73cを有している。また、吸引範囲切替機構70は、複数の隔壁74として、3つの隔壁74a,74b,74cを有している。また、吸引範囲切替機構70は、複数の閉空間75として、3つの閉空間75a,75b,75cを有している。吸引範囲切替機構70は、バルブ73a,73b,73cで吸引経路72a,72b,72cを切り替えることで、紙幅W及び/又は紙長さLに応じた種類の記録媒体Pを搬送ドラム21に吸引して外周曲面21a上に保持することができる。
【0065】
<画像形成装置の主な特徴>
本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)は、例えば以下のような特徴を有する。
(1)
図5と
図6に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)は、活性線硬化型インクにより画像を形成する画像形成部(インクヘッドユニット24)と、画像形成部(インクヘッドユニット24)の下流で活性線を照射して画像を定着させる活性線照射部25と、活性線照射部25と記録媒体の空間に不活性ガスを充満させる不活性ガス供給部40と、記録媒体を吸着して画像形成部(インクヘッドユニット24)から活性線照射部25まで搬送する搬送部(搬送ドラム21)と、搬送部(搬送ドラム21)に記録媒体を吸着するための負圧を発生させる吸引部50と、を備え、吸引部50は、活性線照射部25に対応する領域に対して任意のタイミングで独立して作動する吸着部54を有している。
【0066】
このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、吸引部50が記録媒体を搬送部(搬送ドラム21)に吸引する際に、インクの硬化性を向上させるために供給される窒素等の不活性ガスも吸引してしまう。このとき、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100の吸着部54は、活性線照射部25に対応する領域に対して任意のタイミングで独立して作動する。そのため、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、活性線照射部25に対応する領域から不適切なタイミングで過剰に不活性ガスを吸い出して、活性線照射部25に対応する領域内の酸素濃度が高くなることを抑制することができ、インクの硬化性が低下することを抑制することができる。
【0067】
(2)
図7に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、吸着部54は、活性線照射部25に対応する領域に記録媒体が進入するタイミングで吸引を開始する構成であるとよい。
【0068】
このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、記録媒体の吸引に伴う不活性ガスの吸い出しを適切なタイミングで開始することで、不活性ガスを過剰に吸い出さないようにすることができる。そのため、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、活性線照射部25に対応する領域内の酸素濃度が高くなることを抑制して、インクの硬化性が低下することを抑制することができる。
【0069】
(3)
図5に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、搬送部(搬送ドラム21)は、複数の枚葉紙を保持する印刷胴であるとよい。このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、短時間で複数の枚葉紙に画像を形成することができる。
【0070】
(4)
図5に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、活性線照射部25と搬送部(搬送ドラム21)に挟まれた領域は、任意の開口部63a,63bが設けられ、かつ、周囲を囲われた閉空間62であるとよい。
【0071】
このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、紫外線等の活性線を照射している距離が長くなっても記録媒体表面の不活性ガス濃度を変わらなくすることができる点でエアナイフ方式よりも有利な充満方式を実現することができる。
【0072】
(5)
図5に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、不活性ガス供給部40は、搬送部(搬送ドラム21)が回転している間は連続的に活性線照射部25と搬送部(搬送ドラム21)に挟まれた領域に不活性ガスを供給するとよい。
【0073】
仮にインクジェット印刷装置100を窒素等の不活性ガスを切り替えて供給する構成にすると、不活性ガスの切り替えにずれが発生して、不活性ガスを良好に供給できない可能性がある。しかしながら、このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、搬送部(搬送ドラム21)が回転している間は不活性ガス供給部40が連続的に不活性ガスを供給する構成になっているため、不活性ガスの切り替えにずれが発生することがなく、不活性ガスを良好に供給することができる。
【0074】
(6)
図6に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、吸引部50の記録媒体を吸着するための負圧を発生させる手段(負圧発生手段)は、空圧ポンプ51(51a,51b,51c)であるとよい。
【0075】
このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、比較的安価な空圧ポンプ51(51a,51b,51c)で負圧を発生させることができる。
【0076】
(7)
図6に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、吸引部50の内、少なくとも活性線照射部25に対応する領域の吸引部50には、吸引経路52cの開放と遮断を行うためのバルブ53を備えるとよい。
【0077】
このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、バルブ53で吸引経路52cの開放と遮断を行うことで、記録媒体の吸引に伴う不活性ガスの吸い出しと吸い出しの停止とを素早く行うことができる。そのため、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、過剰に不活性ガスを吸い出して、活性線照射部25に対応する領域内の酸素濃度が高くなることを抑制することができる。
【0078】
(8)本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、バルブ53は、活性線照射部25に少なくとも記録媒体が存在する間、活性線照射部25に対応する領域の吸引経路52cを開放する構成であるとよい。
【0079】
このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、活性線照射部25に少なくとも記録媒体が存在する間、活性線照射部25に対応する領域内の紙を搬送部(搬送ドラム21)に固定することができる。
【0080】
(9)
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、活性線照射部25の下流に記録媒体の反転機構(用紙反転部28)を備え、反転された記録媒体の裏面に画像を形成することで両面印刷を行う構成であるとよい。このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、反転された記録媒体の裏面に画像を形成することができる。
【0081】
(10)本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)は、両面印刷時に、交互印刷方式で表面と裏面に交互に画像を形成する構成であるとよい。このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、表面と裏面に交互に画像を形成することができる。なお、インクジェット印刷装置100は、
図3A及び
図3B、並びに、
図4Aから
図4Eに示すような印刷(交互印刷)を行うことにより、印刷胴である搬送ドラム21上に、1面おきに記録媒体Pを保持しない面(例えば、6枚両面印刷を行う場合の
図3Aに示すステップ2、4、13、15や、7枚両面印刷を行う場合の
図3Bに示すステップ2、4、15、17)が発生する。インクジェット印刷装置100の吸引部50(
図5及び
図6)は、このような記録媒体Pを保持しない面で不活性ガスを吸引しないため、活性線照射部25に対応する領域内の酸素濃度が高くなることを抑制することができ、インクの硬化性が低下することを抑制することができる。これに対して、例えば、比較例のインクジェット印刷装置1000の吸引部1050(
図8及び
図9)は、このような記録媒体Pを保持しない面でも不活性ガスを吸引するため、活性線照射部25に対応する領域内の酸素濃度が高くなり、インクの硬化性が低下してしまう可能性がある。
【0082】
(11)
図11に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、記録媒体を吸着するための吸引は、紙幅W(記録媒体の幅)に応じた領域で範囲を切り替えられるとよい。このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、紙幅Wが異なる複数種類の記録媒体を吸引して搬送部(搬送ドラム21)に固定することができる。
【0083】
(12)
図11に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、記録媒体を吸着するための吸引は、紙長さL(記録媒体の長さ)に応じた領域で範囲を切り替えられるとよい。このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、紙長さLが異なる複数種類の記録媒体を吸引して搬送部(搬送ドラム21)に固定することができる。
【0084】
(13)
図11に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)は、紙幅Wに応じて、吸引経路72(72a,72b,72c)をバルブ73(73a,73b,73c)で切り替える吸引範囲切替機構70を有する構成であるとよい。このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、紙幅Wが異なる複数種類の記録媒体を吸引して搬送部(搬送ドラム21)に固定することができる。
【0085】
(14)
図11に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)は、紙長さLに応じて、吸引経路72(72a,72b,72c)をバルブ73(73a,73b,73c)で切り替える吸引範囲切替機構70を有する構成であるとよい。このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、紙長さLが異なる複数種類の記録媒体を吸引して搬送部(搬送ドラム21)に固定することができる。
【0086】
(15)
図7に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)において、吸着部54は、活性線照射部25に対応する領域から記録媒体が退出するタイミングで吸引を終了する構成であるとよい。
【0087】
このような本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、記録媒体の吸引に伴う不活性ガスの吸い出しを適切なタイミングで終了することで、不活性ガスの使用量を低減することができる。そのため、本実施形態に係るインクジェット印刷装置100は、運用コストを低減することができる。
【0088】
以上の通り、実施形態に係るインクジェット印刷装置100(画像形成装置)によれば、インクの硬化性が低下することを抑制することができる。
【0089】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0090】
例えば、前記した実施形態は、本発明の要旨を分かり易く説明するために詳細に説明したものである。そのため、本発明は、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は、ある構成要素に他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に変更したりすることができる。また、本発明は、一部の構成要素を削除することもできる。
【符号の説明】
【0091】
10 給紙部
11 給紙トレイ
12 媒体供給部
20 画像記録部
21 搬送ドラム(搬送部、印刷胴)
21a 外周曲面(搬送面)
22 受け渡しドラム
22a コロ
24 インクヘッドユニット(画像形成部)
24Y,24M,24C,24K インクヘッド
25 活性線照射部
26 分離部
26a,26b,26c 搬送ローラ
27 ベルト搬送部
28 用紙反転部(反転機構)
28a 搬送ローラ(反転部)
30 排紙部
31 排紙トレイ
40 不活性ガス供給部
50,1050 吸引部
51(51a,51b,51c) 空圧ポンプ(負圧発生手段)
52(52a,52b1,52b2,52c) 吸引経路
53 バルブ
54(54a,54b,54b1,54b2,54c) 吸着部
61 活性線照射傘(カバー部材)
62 閉空間
63a,63b 開口部
70 吸引範囲切替機構
71 空圧ポンプ(負圧発生手段)
72(72a,72b,72c) 吸引経路
73(73a,73b,73c) バルブ
74(74a,74b,74c) 隔壁
75(75a,75b,75c) 閉空間
90 制御部
91 データ入力部
92 ヘッド駆動部
100,1000 インクジェット印刷装置(画像形成装置)
A,B,B1,B2,C 領域
F ファン
H1,H2 ヒーター
L 紙長さ(記録媒体の長さ)
OP1,OP2 連結穴
P 記録媒体(枚葉紙)
R 矢印
W 紙幅(記録媒体の幅)