(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114292
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019962
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川添 智久
(72)【発明者】
【氏名】中山 覚
(72)【発明者】
【氏名】牧 智宣
(72)【発明者】
【氏名】柏木 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梶野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】下田 諒
【テーマコード(参考)】
2C333
【Fターム(参考)】
2C333AA11
2C333CA08
2C333CA49
2C333CA58
2C333CA77
2C333EA04
2C333EA10
(57)【要約】
【課題】遊技興趣の向上。
【解決手段】パチンコ遊技機は、非特典遊技状態(非時短状態)よりも可変入球口(第2始動口12)への入球が容易な設定の第1特典遊技状態(時短状態B)、第2特典遊技状態(時短状態A)に制御可能である。パチンコ遊技機は、事前判定手段による判定(先読み判定)の結果に基づいて事前演出(保留表示変化演出)を実行可能である。パチンコ遊技機は、可変入球口(第2始動口12)への入球及び他の入球口(第1始動口11)への入球の少なくとも一方に基づく事前演出を、第1特典遊技状態(時短状態B)では実行可能であり、第2特典遊技状態(時短状態A)では実行することがない。
【選択図】
図38
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変入球口、又は、前記可変入球口とは異なる他の入球口への入球に基づいて遊技者に有利な特別遊技を実行するかの判定を行う判定手段と、
前記判定手段による判定を保留可能な保留手段と、
前記判定手段による判定よりも前に、前記特別遊技が行われるかを判定する事前判定手段と、
非特典遊技状態よりも前記可変入球口への入球が容易な設定の特典遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段と、
演出を制御可能な演出制御手段と、を備え、
前記特典遊技状態には、第1特典遊技状態と前記第1特典遊技状態とは異なる第2特典遊技状態とがあり、
前記演出制御手段は、
前記事前判定手段による判定の結果に基づいて、前記特別遊技が行われることに期待させる事前演出を実行可能であり、
前記可変入球口への入球及び前記他の入球口への入球の少なくとも一方に基づく前記事前演出を、前記第1特典遊技状態では実行可能であり、前記第2特典遊技状態では実行することがないことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機であって、
前記演出制御手段は、
前記事前演出として、前記保留手段による保留があることを示す保留表示の表示態様を特定態様で表示することが可能であり、
前記第1特典遊技状態以外の遊技状態から前記第1特典遊技状態に移行した場合に、当該第1特典遊技状態への移行に応じて、当該第1特典遊技状態への移行前からある前記保留手段による保留に係る前記保留表示を前記特定態様で表示し始めることがあることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1に記載の遊技機であって、
前記演出制御手段は、
前記事前演出として、前記保留手段による保留があることを示す保留表示の表示態様を特定態様で表示することが可能であり、
前記第1特典遊技状態以外の遊技状態から前記第1特典遊技状態に移行した場合に、当該第1特典遊技状態に移行した後で、当該第1特典遊技状態への移行前からある前記保留手段による保留に係る前記保留表示を前記特定態様以外の表示態様から前記特定態様に変化させていくことがあることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の遊技機であって、
前記演出制御手段は、前記特典遊技状態から前記非特典遊技状態に移行した場合に、当該非特典遊技状態への移行に応じて、当該非特典遊技状態への移行前からある前記保留手段による保留に係る前記保留表示を前記特定態様で表示し始めることがあることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機の一例であるパチンコ遊技機として、例えば下記特許文献1に記載されているように、非時短状態では第1始動口への入球に基づく先読み演出を実行する一方で、第2始動口への入球が容易な時短状態では、第1始動口への入球に基づく先読み演出を実行しないように構成された遊技機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている遊技機では、第2始動口への入球が容易な遊技状態においては第2始動口への入球に基づく先読み演出が実行されるだけで第1始動口への入球に基づく先読み演出が一切実行されることがないという一律の設定であるため、遊技興趣の向上のためには改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の遊技機は、
可変入球口、又は、前記可変入球口とは異なる他の入球口への入球に基づいて遊技者に有利な特別遊技を実行するかの判定を行う判定手段と、
前記判定手段による判定を保留可能な保留手段と、
前記判定手段による判定よりも前に、前記特別遊技が行われるかを判定する事前判定手段と、
非特典遊技状態よりも前記可変入球口への入球が容易な設定の特典遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段と、
演出を制御可能な演出制御手段と、を備え、
前記特典遊技状態には、第1特典遊技状態と前記第1特典遊技状態とは異なる第2特典遊技状態とがあり、
前記演出制御手段は、
前記事前判定手段による判定の結果に基づいて、前記特別遊技が行われることに期待させる事前演出を実行可能であり、
前記可変入球口への入球及び前記他の入球口への入球の少なくとも一方に基づく前記事前演出を、前記第1特典遊技状態では実行可能であり、前記第2特典遊技状態では実行することがないことを特徴とする遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の遊技機によれば、演出を通じて遊技興趣の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】第2大入賞装置等を詳細に示す正面図である。
【
図5】(A)は盤上可動装置と盤下可動装置とが待機状態のときの演出用ユニットの正面図、(B)は盤上可動装置と盤下可動装置とが作動したときの演出用ユニットの正面図である。
【
図6】主制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図7】サブ制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図10】(A)は普図関係乱数を示す表であり、(B)は特図関係乱数を示す表である。
【
図11】(A)は当たり判定テーブルの一例であり、(B)は普図変動パターン判定テーブルの一例であり、(C)は補助遊技制御テーブルの一例である。
【
図12】(A)は大当たり判定テーブルの一例であり、(B)は大当たり図柄種別判定テーブルの一例であり、(C)はリーチ判定テーブルの一例である。
【
図13】特
図1変動パターン判定テーブルの一例である。
【
図14】特
図2変動パターン判定テーブルの一例である。
【
図19】特図変動演出の通常変動の具体例を示す説明図である。
【
図20】特図変動演出のNリーチの具体例を示す説明図である。
【
図21】特図変動演出のSPリーチの具体例を示す説明図である。
【
図25】主制御メイン処理のフローチャートである。
【
図26】メイン側タイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図27】サブ制御メイン処理のフローチャートである。
【
図28】1msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図29】10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図30】第1実施形態のパチンコ遊技機に係る大当たり判定テーブル、大当たり図柄種別判定テーブル、小当たり図柄種別判定テーブル、リーチ判定テーブルである。
【
図31】大当たり図柄種別判定テーブル及び小当たり図柄種別判定テーブルであり、大当たり図柄の種類及び小当たり図柄の種類を説明する表である。
【
図32】普通図柄当たり判定テーブル、普通図柄変動パターン判定テーブル、電チューの開放パターン決定テーブルである。
【
図33】遊技状態毎の特図変動パターン判定テーブルである。
【
図35】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図36】先読み演出判定処理のフローチャートである。
【
図37】保留表示変化演出の実行抽選テーブルである。
【
図38】第1実施形態のパチンコ遊技機の遊技フローの概略を説明する図である。
【
図41】比較例に係るパチンコ遊技機における保留表示変化演出の具体例を示す図である。
【
図42】第1実施形態における特
図2保留に係る保留表示変化演出の具体例を示す図であり、時短状態AからV通過に基づく大当たり遊技を経て時短状態Bに制御される場合を示す図である。
【
図43】特
図2保留に係る保留表示変化演出の具体例を示す図であり、時短状態Aが終了して非時短状態に制御される場合を示す図である。
【
図44】特
図1保留に係る保留表示変化演出の具体例を示す図であり、時短状態AからV通過に基づく大当たり遊技を経て時短状態Bに制御される場合を示す図である。
【
図45】特
図1保留に係る保留表示変化演出の具体例を示す図であり、時短状態Aが終了して非時短状態に制御される場合を示す図である。
【
図46】第1実施形態の変更例を示す図であり、時短状態AからV通過に基づく大当たり遊技を経て時短状態Bに制御された場合の特
図2保留に係る保留表示変化演出の具体例を示す図である。
【
図47】第2実施形態のパチンコ遊技機に係るハズレ図柄種別判定テーブルであり、ハズレの種類を説明する表である。
【
図50】特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図51】特別図柄変動中処理のフローチャートである。
【
図52】特別図柄確定処理のフローチャートである。
【
図53】遊技状態管理処理のフローチャートである。
【
図56】第2実施形態における抽選契機時短状態(時短回数6回の時短状態A、時短回数11回の時短状態B)および変動回数契機時短状態(時短回数1回の時短状態A)の演出の様子を示す表示画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の遊技機の実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分や同じ役割を発揮する構成には同一の符号を付し、重複する説明を原則として省略する。なお本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。また、後述の任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる又は並列に実行できる。
【0009】
なお本明細書では、遊技機に関して、まず従来からの一般的な構成について基本形態のパチンコ遊技機PY1として説明し、その後で特徴的な構成(特徴部)について、基本形態のパチンコ遊技機PY1からの変更箇所を中心に、第n実施形態のパチンコ遊技機として説明する。このため、「7.第1実施形態のパチンコ遊技機」の項よりも前に説明した構成について、「7.第1実施形態のパチンコ遊技機」の項以降でも説明することがあるが、この場合には、各実施形態のパチンコ遊技機は、「7.第1実施形態のパチンコ遊技機」の項以降で説明した内容で構成されているものとする。
【0010】
1.遊技機の構造
最初に、基本形態のパチンコ遊技機PY1の構造について
図1~
図5を用いて説明する。なお、以下の説明において、パチンコ遊技機PY1の各部の左右上下方向は、そのパチンコ遊技機PY1に対面する遊技者にとっての(正面視の)左右上下方向のことである。また、「前方」は、パチンコ遊技機PY1から当該パチンコ遊技機PY1に対面する遊技者に近づく方向とし、「後方」は、パチンコ遊技機PY1に対面する遊技者から当該パチンコ遊技機PY1に近づく方向とする。
【0011】
図1に示すように、パチンコ遊技機PY1は、遊技機枠2を備えている。遊技機枠2は、後述する遊技盤ユニットYUが取り付けられる遊技盤取付枠2Aと、遊技盤取付枠2Aにヒンジ2Bを介して回転自在に支持される前枠23mと、を備える。前枠23mは遊技盤取付枠2Aに対して開閉が可能である。前枠23mには、透明板23tが取り付けられている。前枠23mが閉じられているとき、遊技盤取付枠2Aに取り付けられた遊技盤1と透明板23tとは対面する。よって、パチンコ遊技機PY1が遊技店に設置されると、当該パチンコ遊技機PY1の前方にいる遊技者は、透明板23tを通して、遊技盤1に形成された遊技領域6を視認することができる。透明板23tは、透明なガラス板や透明な合成樹脂板等を用いることができる。透明板23tは、パチンコ遊技機PY1の前方から遊技領域6を視認可能であればよい。
【0012】
前枠23mの前面の右下部には、遊技球を発射させるための回転操作が可能なハンドル72kが設けられている。ハンドル72kが操作された量(回転角度)が、遊技球を発射させるために遊技球に与えられる力(後述する発射装置72が発射ソレノイドに駆動させる量)の大きさ(発射強度)に対応付けられている。よって、遊技球は、ハンドル72kの回転操作に応じた発射強度で発射される。また、前枠23mの前面の下部中央には、前方に向けて大きく突出した下部装飾体36が設けられている。下部装飾体36の上面には、ハンドル72kに供給される遊技球を貯留するための上皿34が形成されている。また、下部装飾体36の正面の下部中央には、上皿34に収容しきれない余剰の遊技球を貯留するための下皿35が設けられている。
【0013】
下部装飾体36の上面の上皿34より前方側には、下方に押下操作可能な第1入力装置(以下「通常ボタン」)40が設けられている。また、前枠23mの表面の右縁部から前方に突出して形成されている右部装飾体32において、下方に押下操作可能な第2入力装置(以下「特殊ボタン」)41が設けられている。通常ボタン40は、振動可能に構成されている。すなわち、通常ボタン40には、当該通常ボタン40を振動させるための振動機構が内蔵されており、この振動機構に含まれる振動用モータが駆動されると、遊技者が目視でもわかる程度に通常ボタン40がブルブルと振動するようになっている。なお、通常ボタン40を振動させるための振動機構については公知の構成を適宜採用することができる。通常ボタン40は、操作部の一例であり、振動体の一例でもある。
【0014】
また、前枠23mの表面の上部から前方に突出して形成されている上部装飾体31の底面に、音を出力可能なスピーカ52が設けられている。スピーカ52は、左側に配置された左スピーカ52Lと、右側に配置された右スピーカ52Rと、からなる。また、前枠23mの右縁部と、下部装飾体36における正面の下皿35の左側および右側とに、発光可能な枠ランプ53が設けられている。さらに、前枠23mの左縁部および右縁部の上側には、遊技興趣を高めることを目的とする演出装置としての可動式の枠可動装置58が取り付けられている。枠可動装置58は、左側に配置された左枠可動装置58Lと、右側に配置された右枠可動装置58Rと、で構成される。
【0015】
なお、遊技機枠2に設けられる部材や装置の位置や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0016】
次に、遊技盤ユニットYUについて、主に
図2~
図5を用いて説明する。遊技盤ユニットYUは、遊技盤1と、遊技盤1の背面側に取り付けられた演出用ユニット1Uと、を有する。最初に、遊技盤1について説明する。遊技盤1は透明な合成樹脂板で構成されている。遊技盤1の略中央には正面視略円形の開口部1Aが形成されている。開口部1Aに沿って、遊技球が流下可能な遊技領域6を区画するための略リング状の内側壁部1Bが前方に突出して形成されている。また、内側壁部1Bの外側にも、遊技領域6を区画するための略リング状の外側壁部1Cが前方に突出して形成されている。
【0017】
遊技盤1の前面には、内側壁部1B、外側壁部1Cなどで囲まれた遊技領域6が形成されている。すなわち、遊技盤1の前面が、内側壁部1Bおよび外側壁部1Cによって、遊技領域6とそれ以外の領域とに仕切られている。
【0018】
遊技領域6は、ハンドル72kの操作によって発射された遊技球が流下可能な領域であり、パチンコ遊技機PY1で遊技を行うために設けられている。なお、遊技領域6には、多数の遊技くぎ(図示なし)が突設されている。遊技くぎは、遊技領域6に進入して遊技領域6を流下する遊技球を、後述する第1始動口11、第2始動口12、一般入賞口10、ゲート13、第1大入賞口14、および、第2大入賞口15などに適度に誘導する経路を構成している。なお、第1始動口11や第2始動口12といった始動口を入球口と称し、第1大入賞口14や第2大入賞口15といった大入賞口を特別入賞口あるいは特定の入賞口と称し、ゲートを通過口あるいは通過領域と称することができるものとする。
【0019】
遊技領域6の中央付近には、開口部1Aの周縁を装飾するセンター枠(センター装飾体)61が設けられている。センター枠61には、後述する第1始動口11へ遊技球を誘導可能なステージや、ステージへ遊技球を誘導可能なワープが設けられている。
【0020】
また、遊技領域6には、遊技球が入球可能な第1始動口11が形成された第1始動入賞装置11Dと、第2始動口12への入球を可能または不可能にさせる第2始動入賞装置(所謂「電チュー」)12Dと、が設けられている。
【0021】
第1始動入賞装置11Dは不動である。そのため、第1始動口11は、遊技球の入球し易さが変化せずに一定(不変)である。遊技球の第1始動口11への入賞は、第1特別図柄(以下、「特
図1」という)の抽選(後述の特
図1関係乱数の取得と判定:以下、「特
図1抽選」ともいう)および特
図1の可変表示の契機となっている。また、遊技球が第1始動口11へ入賞すると、所定個数(本形態では4個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0022】
電チュー12Dは、作動可能な電チュー開閉部材12kを備えている。電チュー開閉部材12kは、通常は(通常状態では)、第2始動口12への遊技球の入球が不可能な閉鎖位置にある。そして、特別状態になると、第2始動口12への遊技球の入球が可能な開放位置に移動する。このように、電チュー開閉部材12kが開放位置に移動することを第2始動口12または電チュー12Dの「開状態」ともいい、開状態であるときだけ遊技球の第2始動口12への入球が可能となる。一方、電チュー開閉部材12kが閉鎖位置にあることを第2始動口12または電チュー12Dの「閉状態」ともいう。また、第2始動口12または電チュー12Dが「開状態」になることを「電チュー12Dが開放する」ともいい、電チュー12Dが「閉状態」になることを「電チュー12Dが閉鎖する」ともいう。
【0023】
遊技球の第2始動口12への入賞は、第2特別図柄(以下、「特
図2」という)の抽選(後述の特
図2関係乱数の取得と判定:以下、「特
図2抽選」ともいう)および特
図2の可変表示の契機となっている。また、遊技球が第2始動口12へ入賞すると、所定個数(本形態では4個)の遊技球が賞球として払い出される。なお、遊技領域6には、遊技球を第2始動口12へ誘導する誘導ステージ12gが設けられている。
【0024】
また、遊技領域6には、遊技球が入球可能な一般入賞口(普通入賞口)10が設けられている。遊技球が一般入賞口10へ入賞すると、所定個数(本形態では3個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0025】
また、遊技領域6には、遊技球が通過可能なゲート13が設けられている。遊技球のゲート13の通過は、普通図柄(以下、「普図」という)の抽選(すなわち普通図柄乱数の取得と判定:以下、「普図抽選」という)および普図の可変表示の契機となっている。補助遊技が実行されることによって電チュー12Dを開放する。すなわち、補助遊技は、電チュー12Dの開放を伴う遊技である。
【0026】
また、遊技領域6には、遊技球が入球可能な第1大入賞口14が形成された第1大入賞装置14D(以下、「通常AT14D」ともいう)が設けられている。第1大入賞装置14Dは、開状態と閉状態とに作動可能な通常AT開閉部材14kを備える。通常AT開閉部材14kの作動により第1大入賞口14が開閉する。通常AT開閉部材14kは、通常では第1大入賞口14を塞ぐ閉状態になっており、遊技球が第1大入賞口14の中に入球することは不可能である。通常AT開閉部材14kが開状態に作動すると、遊技球が第1大入賞口14の中に入球することが可能になる。このように、通常AT開閉部材14kが開状態であるときだけ遊技球の第1大入賞口14への入球が可能となる。遊技球が第1大入賞口14へ入賞すると、所定個数(本形態では15個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0027】
また、遊技領域6には、遊技球が入球可能な第2大入賞口15が形成された第2大入賞装置15D(以下、「VAT15D」ともいう)が設けられている。第2大入賞装置15Dは、作動可能なVAT開閉部材15kを備えている。VAT開閉部材15kは、通常では第2大入賞口15を塞いでいる。VAT開閉部材15kは開状態をとることができる。VAT開閉部材15kが開状態であるときだけ遊技球の第2大入賞口15への入球が可能となる。一方、VAT開閉部材15kが第2大入賞口15を塞いでいる状態を「閉状態」ともいう。このように、VAT開閉部材15kの作動によって第2大入賞口15が開閉する。遊技球が第2大入賞口15へ入賞すると、所定個数(本形態では15個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0028】
ここで、
図3を用いて、第2大入賞装置15Dについて詳細に説明する。第2大入賞装置15Dの内部には、第2大入賞口15に入球した遊技球を検知し、遊技球を下方へ通過させることが可能なゲート状の第2大入賞口センサ15aが設けられている。
【0029】
第2大入賞口センサ15aの下流域には、遊技球が通過(進入)可能な特定領域16と非特定領域17とが設けられている。第2大入賞口センサ15aを通過した遊技球は、振分装置16Dによって、特定領域16か非特定領域17かに振り分けられる。振分装置16Dは、略矩形状の平板からなる振分部材16kと、振分部材16kを駆動する振分ソレノイド16sとを備えている。振分部材16kは、振分ソレノイド16sの駆動により、左右にスライド可能に構成されている。
【0030】
振分ソレノイド16sが通電されていないとき、振分部材16kは特定領域16への遊技球の通過を妨げる第1状態(通過阻止状態:
図3(A)の正面視で振分部材16kの左端が特定領域16の左端よりやや右側に位置し、振分部材16kが特定領域16をその直上で覆う状態)にある。振分部材16kが第1状態にあるときは、第2大入賞口15に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ15aを通過した後、特定領域16を通過することは不可能であり、非特定領域17を通過する。この第2大入賞口15から非特定領域17まで流下する遊技球のルートを第1のルートという。
【0031】
一方、振分ソレノイド16sが通電されているとき、振分部材16kは遊技球の特定領域16の通過(進入)を許容する第2状態(通過許容状態:
図3(B)の正面視で振分部材16kの左端が特定領域16の右端よりやや左側に位置し、振分部材16kが特定領域16をその直上で覆わず、特定領域16の直上が開放している状態)にある。振分部材16kが第2状態にあるときは、第2大入賞口15に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ15aを通過したあと特定領域16を通過容易である。この第2大入賞口15から特定領域16まで流下する遊技球のルートを第2のルートという。
【0032】
なお、基本的に、振分部材16kは第1状態で保持されている。すなわち、第1状態が、振分部材16kの通常の状態であるといえる。そして、所定のラウンド遊技(例えば16R)においてのみ、振分ソレノイド16sが通電され、第2状態に変化することができる。なお、振分部材16kの作動態様は適宜変更可能である。
【0033】
特定領域16と非特定領域17には、各領域16,17を通過(進入)した遊技球を検知し、遊技球を下方へ通過させる特定領域センサ16a、非特定領域センサ17aが設けられている。
【0034】
なお、第1大入賞装置14Dおよび第2大入賞装置15Dは、遊技に支障をきたさない範囲で、一方だけを設けるようにすることが可能である。また、遊技性に応じて、第1大入賞装置14Dのような、特定領域や振分装置のない大入賞装置を2つ設ける構成とすることが可能である。また、第1大入賞装置14Dと第2大入賞装置15Dとが設けられているものの、遊技性に応じて、第1大入賞装置14Dだけを利用することとしたり、第2大入賞装置15Dだけを利用することとしたりすることが可能である。なお、第1大入賞装置14Dだけを利用する構成とした場合には、第2大入賞装置15Dに関する処理は行われないものとし、第2大入賞装置15Dだけを利用する構成とした場合には、第1大入賞装置14Dに関する処理は行われないものとする。
【0035】
また、
図2に示すように、遊技領域6の略最下部には、遊技領域6へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域6の外部へ排出する2つのアウト口19が設けられている。また、遊技盤1には、発光可能な盤ランプ54が設けられている。
【0036】
ところで、遊技球が流下可能な遊技領域6は、左右方向の中央より左側の左遊技領域6A(第1遊技領域)と、右側の右遊技領域6B(第2遊技領域)と、に分けることができる。遊技球が左遊技領域6Aを流下するように遊技球を発射させるハンドル72kの操作態様を「左打ち」という。一方、遊技球が右遊技領域6Bを流下するように遊技球を発射させるハンドル72kの操作態様を「右打ち」という。パチンコ遊技機PY1において、左打ちにて遊技球を発射したときに遊技球が流下可能な流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技球を発射したときに遊技球が流下可能な流路を、第2流路R2という。第1流路R1および第2流路R2は、多数の遊技くぎなどによっても構成されている。
【0037】
第1流路R1上には、第1始動口11と、2つの一般入賞口10と、が設けられている。よって、遊技者は、左打ちにより第1流路R1を流下するように遊技球を発射させることで、第1始動口11、または、一般入賞口10への入賞を狙うことができる。一方、第2流路R2上には、第2始動口12と、一般入賞口10と、ゲート13と、第1大入賞口14と、第2大入賞口15と、が設けられている。よって、遊技者は、右打ちにより第2流路R2を流下するように遊技球を発射させることで、ゲート13の通過や、第2始動口12、一般入賞口10、第1大入賞口14、または、第2大入賞口15への入賞を狙うことができる。
【0038】
なお、何れの入賞口(第1始動口11、第2始動口12、一般入賞口10、第1大入賞口14、および第2大入賞口15)にも入球しなかった遊技球は、アウト口19へ誘導されて排出される。また、各入賞口への入賞による賞球数は、適宜に設定することが可能である。
【0039】
また、遊技盤1の前面に形成された遊技領域6の下方の左隣(遊技領域6以外の部分)には表示器類8が配置されている。
図4に示すように、表示器類8には、特
図1を可変表示する特
図1表示器81a、特
図2を可変表示する特
図2表示器81b、及び、普図を可変表示する普図表示器82が含まれている。また、表示器類8には、後述する特
図1保留数(U1:特
図1表示器81aによる特
図1の可変表示が保留されている数)を表示する特
図1保留表示器83a、および後述する特
図2保留数(U2:特
図2表示器81bによる特
図2の可変表示が保留されている数)を表示する特
図2保留表示器83bが含まれている。
【0040】
特
図1の可変表示は、第1始動口11への遊技球の入賞を契機に特
図1抽選が行われると実行される。また、特
図2の可変表示は、第2始動口12への遊技球の入賞を契機に特
図2抽選が行われると実行される。なお、以下の説明では、特
図1および特
図2を総称して特図あるいは特別図柄といい、特
図1抽選および特
図2抽選を総称して特図抽選という。また、特
図1表示器81aおよび特
図2表示器81bを総称して特図表示器81という。さらに、特
図1保留表示器83aおよび特
図2保留表示器83bを総称して特図保留表示器83という。
【0041】
特図の可変表示は、特図抽選の結果を報知する。特図の可変表示では、特図が可変表示したあと停止表示する。停止表示される特図(停止特図、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特図抽選によって複数種類の特図の中から選択された一つの特図である。停止特図が予め定めた特定の特図(特定の停止態様の特図すなわち大当たり図柄)である場合には、大入賞口(第1大入賞口14及び第2大入賞口15)を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、大当たり遊技が行われている遊技状態を大当たり遊技状態という。大当たり遊技状態は、遊技者に有利な特別遊技状態の一例である。
【0042】
特図表示器81は、例えば横並びに配された8個のLED(Light Emitting Diode)から構成され、その点灯態様によって特図抽選の結果に応じた特図を表示する。例えば特図抽選の結果が大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)である場合には、特図表示器81は、「□□■■□□■■」(□:点灯、■:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDの点灯で構成される大当たり図柄を表示する。また、特図抽選の結果がハズレである場合には、特図表示器81は、「■■■■■■■□」というように一番右にあるLEDのみの点灯で構成されるハズレ図柄を表示する。なお、特図抽選の結果に対応するLEDの点灯態様は限定されず、適宜に設定することができる。よって、例えば、ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させてもよい。
【0043】
また、特図の可変表示において、特図が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特図の可変表示がなされる。特図の可変表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様である。なお、特図の可変表示の態様は、特に限定されず、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど適宜に設定してよい。
【0044】
ところで、パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞(入球)があると、特図抽選などを行うための各種乱数(判定情報の一例)が取得されることがある。この各種乱数は、特図保留として後述の特図保留記憶部105に一旦記憶される。なお、以下において、第1始動口11への遊技球の入賞(入球)により取得された各種乱数のことを「特
図1関係乱数」といい、第2始動口12への遊技球の入賞(入球)により取得された各種乱数のことを「特
図2関係乱数」という。ここで、特
図1関係乱数は、特
図1保留として、特図保留記憶部105の中の特
図1保留記憶部105aに記憶される。一方、特
図2関係乱数は、特
図2保留として、特図保留記憶部105の中の特
図2保留記憶部105bに記憶される。特
図1保留記憶部105aに記憶可能な特
図1保留の数(特
図1保留数)および特
図2保留記憶部105bに記憶可能な特
図2保留の数(特
図2保留数)には上限(本形態では4個)が設定されている。特
図1保留数や特
図2保留数の上限は適宜変更可能であり、上限を「無し」としてもよい。なお、以下において、特
図1保留と特
図2保留を総称して「特図保留」といい、特
図1保留数と特
図2保留数を総称して「特図保留数」という。また、特
図1関係乱数と特
図2関係乱数とを総称して「特図関係乱数」という。
【0045】
パチンコ遊技機PY1では、遊技球が第1始動口11または第2始動口12へ入賞した後すぐに特図の可変表示が行われない場合、具体的には、特図の可変表示の実行中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合、その入賞に対する特図の可変表示(あるいは、特図抽選の権利)を留保することができる。特図保留記憶部105に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特図の可変表示が可能となったときに消化される。すなわち、特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特図関係乱数等を判定して、その判定結果を示すための特図の可変表示を実行することをいう。
【0046】
そして、特図保留数は、特図保留表示器83に表示される。特
図1保留表示器83aと特
図2保留表示器83bのそれぞれは、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留数の分だけLEDを点灯させることにより特図保留数を表示することが可能である。
【0047】
また、普図の可変表示は、普図抽選の結果を報知する。普図の可変表示では、普図が可変表示したあと停止表示する。停止表示される普図(停止普図、可変表示の表示結果として導出表示される普図)は、普図抽選によって複数種類の普図の中から選択された一つの普図である。停止表示された普図が予め定めた特定の普図(所定の停止態様の普図すなわち当たり図柄)である場合には、第2始動口12(電チュー12D)を開放させる補助遊技が行われる。
【0048】
普図表示器82は、例えば2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普図抽選の結果に応じた普図を表示する。普図抽選の結果が当たりである場合には、普図表示器82は、「□□」(□:点灯、■:消灯)というように両LEDの点灯で構成される当たり図柄を表示する。また普図抽選の結果がハズレである場合には、「■□」というように右のLEDのみの点灯で構成されるハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお、普図抽選の結果に対応するLEDの点灯態様は限定されず、適宜に設定することができる。
【0049】
また、普図が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普図の可変表示が行われる。普図の可変表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお、普図の可変表示の態様は、特に限定されず、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど適宜に設定してもよい。
【0050】
パチンコ遊技機PY1では、遊技球がゲート13を通過すると、普図抽選を行うための普通図柄乱数(判定情報の一例)が取得されることがある。この乱数は、普図の可変表示または補助遊技が実行されていないことを条件に、後述の普図保留記憶部106に記憶される。普図保留記憶部106に記憶可能な普図保留の数(普図保留数)には上限(本形態では4個)が設定されている。普図保留数の上限は適宜変更可能であり、上限を「無し」としてもよい。なお、以下において、遊技球がゲート13を通過することにより取得された普通図柄乱数のことを「普図関係乱数」ともいう。また、本形態では、普図保留数を表示する普図保留表示器を設けていないが、普図保留表示器を表示器類8に加えてもよい。普図保留表示器としては、例えば特図保留表示器83と同様の構成のものを採用することが可能である。
【0051】
次に、
図5を用いて、遊技盤1の背面に取り付けられた演出用ユニット1Uについて説明する。演出用ユニット1Uは、主に演出を行う複数の装置をユニット化したものである。演出用ユニット1Uには、画像表示装置50、第1盤可動装置(以下「盤上可動装置」)55、第2盤可動装置(以下「盤下可動装置」)56が搭載されている。
【0052】
画像表示装置50は、所定の画面サイズの3D液晶ディスプレイで構成され、3D画像を表示可能な表示部(表示画面)50aを具備する。なお、画像表示装置50は、画像を表示することが可能であれば、複数枚の液晶ディスプレイで構成されるものや、EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成されるもの等、他の表示装置であってもよい。
【0053】
盤上可動装置55は、表示部50aに沿って移動可能に構成され、装飾が施された盤上可動体55kを具備する。盤下可動装置56は、表示部50aに沿って移動可能に構成され、装飾が施された盤下可動体56kを具備する。
【0054】
図5(A)は、盤上可動体55kおよび盤下可動体56kが作動していない通常の待機状態(初期位置)で保持されている様子を概略化して表している。盤上可動装置55の駆動源が駆動すると、盤上可動体55kは下向きに移動(下降)し、盤下可動装置56の駆動源が駆動すると、盤下可動体56kは上向きに移動(上昇)する。このとき、画像表示装置50は下降した盤上可動体55kまたは上昇した盤下可動体56kに覆われ、画像表示装置50は視認困難となる。
【0055】
なお、遊技盤ユニットYUに設けられる部材や装置の位置や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0056】
2.遊技機の電気的構成
次に、
図6~
図7に基づいて、パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。
図6~
図7に示すように、パチンコ遊技機PY1は、特図抽選、特図の可変表示、大当たり遊技、後述する遊技状態の設定、普図抽選、普図の可変表示、補助遊技などの遊技利益に関する制御(遊技の進行)を行う遊技制御基板(以下「主制御基板」)100、主制御基板100による遊技の進行に応じた遊技演出(特図変動演出、保留演出、操作演出、大当たり遊技演出など)や客待ち演出などの演出に関する制御を行う演出制御基板(以下「サブ制御基板」)120、および、遊技球の払い出しに関する制御などを行う払出制御基板170等を、遊技盤1の画像表示装置50よりさらに背面側に備えている。主制御基板100を、遊技の制御を行う遊技制御部(メイン制御部)と位置づけることができる。また、サブ制御基板120を、後述する画像制御基板140、ランプ制御回路151、および音声制御回路161とともに、演出の制御を行う演出制御部(サブ制御部)と位置づけることができる。なお、演出制御部は、少なくともサブ制御基板120を備え、演出手段(画像表示装置50、スピーカ52、枠ランプ53、盤ランプ54、および、可動装置55,56,58等)を用いた各種の演出を制御可能であればよい。
【0057】
また、パチンコ遊技機PY1は、電源基板190を備えている。電源基板190は、主制御基板100、サブ制御基板120、及び払出制御基板170に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板190には、押下操作可能なRAMクリアスイッチ191が設けられている。RAMクリアスイッチ191(特定操作手段)は、電源投入時に、後述する遊技制御用マイコン101の遊技用RAM104に記憶されている遊技情報(例えば高確率状態などの遊技状態の情報、特図保留の数や大当たりの当否判定結果などの情報)を、遊技用CPU102にクリア(以下「RAMクリア」と呼ぶ)させるためのものである。
図8に示すように、RAMクリアスイッチ191は、本パチンコ遊技機PY1の裏側に配置された電源基板190上に設けられている。そのため、前扉23を開閉可能な遊技場の従業員等でなければ、RAMクリアスイッチ191を操作することはできない。即ち、RAMクリアスイッチ191は、実質的に遊技者による操作が不可能な操作手段といえる。RAMクリアスイッチ191が押下操作されると、RAMクリアスイッチ191がONであることを示す検出信号が遊技制御用マイコン101に入力される。なお本形態では、RAMクリアスイッチ191が電源基板190上に設けられているが、RAMクリアスイッチ191の配置箇所は適宜変更可能であり、例えば主制御基板100上や専用の基板上に設けられていても良い。
【0058】
電源基板190には、バックアップ電源回路192が設けられている。バックアップ電源回路192は、パチンコ遊技機PY1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板100の遊技用RAM104やサブ制御基板120の演出用RAM124に対して電力を供給する。従って、主制御基板100の遊技用RAM104やサブ制御基板120の演出用RAM124に記憶されている情報は、パチンコ遊技機PY1の電断時であっても保持される。また、電源基板190には、電源スイッチ193が接続されている。電源スイッチ193のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切り換えられる。なお、主制御基板100の遊技用RAM104に対するバックアップ電源回路を主制御基板100に設けたり、サブ制御基板120の演出用RAM124に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板120に設けたりしてもよい。
【0059】
図6に示すように、主制御基板100には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)101が実装されている。遊技制御用マイコン101には、遊技の進行を制御するためのプログラムやテーブル等を記憶した遊技用ROM(Read Only Memory)103、ワークメモリとして使用される遊技用RAM(Random Access Memory)104、および遊技用ROM103に記憶されたプログラムを実行する遊技用CPU(Central Processing Unit)102が含まれている。
【0060】
遊技用ROM103には、後述する主制御メイン処理やメイン側タイマ割り込み処理などを行うためのプログラムが格納されている。また、遊技用ROM103には、後述する大当たり判定テーブル、大当たり図柄種別判定テーブル、リーチ判定テーブル、特図変動パターン判定テーブル、先読み判定テーブル、大当たり遊技制御テーブル、当たり判定テーブル、普図変動パターン判定テーブル、補助遊技制御テーブルなどが格納されている。なお、遊技用ROM103は外付けであってもよい。
【0061】
また遊技用RAM104には、前述した特図保留記憶部105や普図保留記憶部106などが設けられている。また遊技用RAM104には、非消去記憶部107が設けられていて、非消去記憶部107には、総賞球数記憶部107a、総発射球数記憶部107b、差玉数記憶部107cが設けられている。非消去記憶部107では、RAMクリアが実行されても、遊技用CPU102が記憶内容を消去しないようになっている。
【0062】
遊技制御用マイコン101は、電源が投入されてから随時、総賞球数をカウントしていて、カウントされた総賞球数の情報は、総賞球数記憶部107aに記憶される。総賞球数は、全ての遊技状態(通常遊技状態、大当たり遊技状態、高確高ベース状態、低確高ベース状態など)において遊技者が獲得する(遊技者に払い出される)賞球数のことである。また遊技制御用マイコン101は、電源が投入されてから随時、総発射球数をカウントしていて、カウントされた総発射球数の情報は、総発射球数記憶部107bに記憶される。総発射球数は、全ての遊技状態において、遊技者が発射した発射球数のことである。そして遊技制御用マイコン101は、電源が投入されてから随時、総賞球数から総発射球数を減算した差玉数を演算していて、演算された差玉数の情報は、差玉数記憶部107cに記憶される。遊技制御用マイコン101は、差玉数(特定計測数の一例)が基準数(例えば「80000」)以上となったことを条件に、遊技を実行不能にする。この機能を、過賞球防止機能と言う。過賞球防止機能は、最大差玉数(最大持ち球、MY等ということもある)が予め定められた基準数となることに応じて作動させてもよい。最大差玉数は、計測された差玉数の最低値である最低差玉数と、最低差玉数が計測された後における差玉数のピーク(最高値)との差である。この場合、最大差玉数が特定計測数に相当する。
【0063】
また主制御基板100には、7セグ表示器300と、設定キーシリンダ180と、特別リセットスイッチ181(特別操作手段)と、が設けられている(
図8参照)。7セグ表示器300は、
図9に示すように、所謂4連7セグであり、合計で32個の点灯(発光)する部分を備えている。具体的に、7セグ表示器300は、左から右に向かって順番に、第1表示領域310と第2表示領域320と第3表示領域330と第4表示領域340とを備えている。そして4つの表示領域310、320、330、340は、それぞれ「0」~「9」までの数字を表すことができるように、8個の点灯部分(LED素子)LB1~LB8、LB9~LB16、LB17~LB24、LB25~LB32を有している。7セグ表示器300の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
【0064】
設定キーシリンダ180は、大当たり判定確率に対応する設定値を設定する際に、操作手段として機能するものである。この設定キーシリンダ180の内部は、設定キー(図示省略)が挿入された状態で、初期位置と回転位置との間で回転操作される。よって、本パチンコ遊技機PY1では、設定キーシリンダ180を回転位置へ回転操作しておき、RAMクリアスイッチ191を押下操作しながら、電源を投入することで、設定値を設定可能な設定モードに移行することができる。そして、この設定モードにおいて、設定値を「1」に設定することができる。しかしながら、本パチンコ遊技機PY1では、設定値が1種類である「1」しか設けられていない。従って、設定値を「1」から変更できないようになっている。なお、設定モードに設定されているときに、設定キーシリンダ180を回転位置から待機位置へ回転操作すると、設定モードが終了して、RAMクリアが実行される。
【0065】
また主制御基板100には、押下操作可能な特別リセットスイッチ181が設けられている。
図8に示すように、特別リセットスイッチ181は、本パチンコ遊技機PY1の裏側に配置された主制御基板100上に設けられている。そのため、前扉23を開閉可能な遊技場の従業員等でなければ、特別リセットスイッチ181を操作することはできない。即ち、特別リセットスイッチ181は、実質的に遊技者による操作が不可能な操作手段といえる。特別リセットスイッチ181の機能については、後に詳述する。また、主制御基板100には、データや信号の入出力を行うための遊技用I/O(Input/Output)ポート部118が実装されている。
【0066】
また、主制御基板100には、所定の中継基板(図示なし)を介して各種センサ類MSやアクチュエータ類MAが接続されている。そのため、主制御基板100には、各種センサ類MSが出力した信号が入力する。また、主制御基板100は、各種アクチュエータ類MAに信号を出力する。
【0067】
主制御基板100に接続されている各種センサ類MSには、第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、一般入賞口センサ10a、ゲートセンサ13a、第1大入賞口センサ14a、第2大入賞口センサ15a、特定領域センサ16a、および、非特定領域センサ17aが含まれている。
【0068】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11に入賞した遊技球を検知する。第2始動口センサ12aは、第2始動口12に入賞した遊技球を検知する。一般入賞口センサ10aは、一般入賞口10に入賞した遊技球を検知する。一般入賞口センサ10aは、一般入賞口10毎に設けられている。ゲートセンサ13aは、ゲート13に設けられており、ゲート13を通過した遊技球を検知する。第1大入賞口センサ14aは、第1大入賞口14に入賞した遊技球を検知する。第2大入賞口センサ15aは、第2大入賞口15に入賞した遊技球を検知する。特定領域センサ16aは、特定領域16を通過(特定領域16に進入)した遊技球を検知する。非特定領域センサ17aは、非特定領域17を通過(非特定領域17に進入)した遊技球を検知する。各センサは、遊技球を検知すると、その検知内容に応じた信号を主制御基板100に出力する。
【0069】
また
図6では図示を省略しているが、各種センサ類MSには、遊技領域6を流下する全ての遊技球(総発射球数)を検知する排出口センサが含まれている。ここで、遊技領域6の外部へ流下した遊技球は、遊技盤取付枠2Aの下部に設けられている排出経路(図示省略)を通って、本パチンコ遊技機PY1の外部に排出される。そのため、排出口センサは、排出経路内に設けられている。また各種センサ類MSには、不正な磁気を検知する磁気センサが含まれている。磁気センサは、遊技者が磁石等を用いて遊技球を不正に各種入賞口10、11、12、14、15へ入賞させる際に生じる磁気を検知するものである。上記した各センサは、遊技球を検知すると、その検知内容に応じた信号を主制御基板100に出力する。
【0070】
また各種センサ類MSには、前扉23の外枠22に対する開放を検知する前扉開放センサと、前枠23mの遊技盤取付枠2Aに対する開放を検知する前枠センサと、が含まれている。前扉開放センサは、前扉23の開放を検知すると、その検知内容に応じた信号を主制御基板100に出力する。前枠センサは、前枠23mの開放を検知すると、その検知内容に応じた信号を主制御基板100に出力する。なお、主制御基板100に接続されるセンサの種類や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0071】
また、主制御基板100に接続されている各種アクチュエータ類MAには、電チューソレノイド12s、第1大入賞口ソレノイド14s、第2大入賞口ソレノイド15sおよび振分ソレノイド16sが含まれている。電チューソレノイド12sは、電チュー12Dの電チュー開閉部材12kを駆動する。第1大入賞口ソレノイド14sは、第1大入賞装置14Dの通常AT開閉部材14kを駆動する。第2大入賞口ソレノイド15sは、第2大入賞装置15DのVAT開閉部材15kを駆動する。振分ソレノイド16sは、振分装置16Dの振分部材16kを駆動する。
【0072】
なお、主制御基板100に接続されるアクチュエータの種類や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0073】
さらに主制御基板100には、表示器類8(特図表示器81、普図表示器82、および、特図保留表示器83)が接続されている。これらの表示器類8の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
【0074】
また主制御基板100は、払出制御基板170に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板170から信号を受信する。払出制御基板170には、カードユニットCU(パチンコ遊技機PY1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)、および賞球払出装置73が接続されているとともに、発射制御回路175を介して発射装置72が接続されている。なお、発射装置72には、ハンドル72k(
図1参照)が含まれる。
【0075】
払出制御基板170は、遊技制御用マイコン101からの信号や、接続されたカードユニットCUからの信号に基づいて、賞球払出装置73の賞球モータ73mを駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のための賞球センサ73aにより検知されて、賞球センサ73aによる検知信号が払出制御基板170に出力される。
【0076】
また、発射装置72には、遊技者などの人のハンドル72k(
図1参照)への接触を検知可能なタッチスイッチ72aが設けられている。遊技者によるハンドル72kの操作があった場合には、タッチスイッチ72aが遊技者のハンドル72kへの接触を検知し、検知信号を払出制御基板170に出力する。また、発射装置72には、ハンドル72kの回転角度(操作量)を検出可能な発射ボリュームつまみ72bが接続されている。発射装置72は、発射ボリュームつまみ72bが検出したハンドル72kの回転角度に応じた強さで遊技球が発射されるよう発射ソレノイド72sを駆動させる。なお、パチンコ遊技機PY1においては、ハンドル72kへの回転操作が維持されている状態では、約0.6秒毎に1球の遊技球が発射されるようになっている。
【0077】
また払出制御基板170は、外部端子板160に接続されている。つまり、外部端子板160は、払出制御基板170を介して、主制御基板100に接続されている。外部端子板160は、主制御基板100から送信される外端信号を、パチンコ遊技機PY1の外部に設けられている外部ユニットGU(データカウンタ、ホールコンピュータなど)に送信するものである。外端信号に含まれる情報には、例えば、大当たりに当選したかを示す情報、遊技状態の情報、エラーや不正(異常)を示す情報が含まれる。なお、外部端子板160は、外端信号をパラレル通信によって外部ユニットGUに送信しているが、外端信号を非同期シリアル通信(共通の非同期シリアル通信ポート)で送信するようにしても良い。また、主制御基板100を払出制御基板170を介して外部端子板160に接続したが、主制御基板100を払出制御基板170以外の基板(例えば中継基板)を介して外部端子板160に接続したり、主制御基板100と外部端子板160とを直接接続したりするようにしても良い。
【0078】
また主制御基板100は、遊技の進行に応じて、サブ制御基板120に対し、遊技に関する情報を含んだ各種コマンドを送信する。サブ制御基板120は、主制御基板100から送られる各種コマンドに基づいて、主制御基板100による遊技の進行状況(遊技の制御内容)を把握することができる。なお、主制御基板100とサブ制御基板120との接続は、主制御基板100からサブ制御基板120への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板100とサブ制御基板120との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
【0079】
図7に示すように、サブ制御基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)121が実装されている。演出制御用マイコン121には、主制御基板100による遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶した演出用ROM123、ワークメモリとして使用される演出用RAM124、および演出用ROM123に記憶されたプログラムを実行する演出用CPU122が含まれている。
【0080】
また、演出用ROM123には、後述するサブ制御メイン処理、受信割り込み処理、1msタイマ割り込み処理、および、10msタイマ割り込み処理などを行うためのプログラムが格納されている。なお、演出用ROM123は外付けであってもよい。
【0081】
また、サブ制御基板120には、データや信号の入出力を行うための演出用I/Oポート部138、およびRTC(Real Time Clock)139が実装されている。RTC139は、現時点の日時(日付及び時刻)を計測する。RTC139は、パチンコ遊技機PY1に、所定の島電源供給装置(図示なし)から電力が供給されているときにはその電力によって動作し、島電源供給装置から電力が供給されていないときには、電源基板190が備えるバックアップ電源回路192から供給される電力によって動作する。このため、RTC139は、パチンコ遊技機PY1の電源が投入されていないときにも現在の日時を計測することが可能である。なお、RTC139に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板120に設けてもよい。バックアップ電源回路には、コンデンサや内蔵電池(ボタン電池等)を含む回路を採用することができる。
【0082】
サブ制御基板120には、画像制御基板140が接続されている。サブ制御基板120の演出制御用マイコン121は、主制御基板100から受信したコマンドに基づいて、すなわち、主制御基板100による遊技の進行に応じて、画像制御基板140の画像用CPU141に画像表示装置50の表示制御を行わせる。なお、サブ制御基板120と画像制御基板140との接続は、サブ制御基板120から画像制御基板140への信号の送信と、画像制御基板140からサブ制御基板120への信号の送信の双方が可能な双方向通信接続となっている。
【0083】
画像制御基板140は、画像制御のためのプログラム等を記憶した画像用ROM142、ワークメモリとして使用される画像用RAM143、及び、画像用ROM142に記憶されたプログラムを実行する画像用CPU141を備えている。また、画像制御基板140は、画像表示装置50に表示される画像のデータを記憶したCGROM145、CGROM145に記憶されている画像データの展開等に使用されるVRAM146、及び、VDP(Video Display Processor)144を備えている。勿論、これらの電子部品の全部又は一部がワンチップで構成されていてもよい。CGROM145には、例えば、画像表示装置50に表示される画像を表示するための画像データ(静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データ)が格納されている。
【0084】
VDP144は、演出制御用マイコン121からの指令に基づき画像用CPU141によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM145から画像データを読み出してVRAM146内の展開領域に展開する。そして、展開した画像データを適宜合成してVRAM146内のフレームバッファに画像を描画する。そしてフレームバッファに描画した画像をRGB信号として画像表示装置50に出力する。これにより、種々の演出画像が表示部50aに表示される。
【0085】
なお、ディスプレイリストは、フレーム単位で描画の実行を指示するためのコマンド群で構成されている。ディスプレイリストには、描画する画像の種類、画像を描画する位置、表示の優先順位、表示倍率、画像の透過率等の種々のパラメータの情報が含まれている。
【0086】
演出制御用マイコン121は、主制御基板100から受信したコマンドに基づいて、すなわち、主制御基板100による遊技の進行に応じて、音声制御回路161を介してスピーカ52から音声、楽曲、効果音等を出力する。
【0087】
スピーカ52から出力する音声等の音声データは、サブ制御基板120の演出用ROM123に格納されている。なお、音声制御回路161を、基板にしてCPUを実装してもよい。この場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、基板にROMを実装し、そのROMに音声データを格納してもよい。また、スピーカ52を画像制御基板140に接続し、画像制御基板140の画像用CPU141に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板140の画像用ROM142に音声データを格納してもよい。
【0088】
また、サブ制御基板120には、所定の中継基板(図示なし)を介して、入力部となる各種スイッチ類、駆動源となる各種アクチュエータ類SA、各種ランプ類SLが接続されている。サブ制御基板120には、各種スイッチ類が出力した信号が入力する。また、サブ制御基板120は、各種アクチュエータ類SAに信号を出力する。また、サブ制御基板120は、主制御基板100から受信したコマンドなどに基づいて、ランプ制御回路151を介して各種ランプ類SLの点灯制御を行う。
【0089】
サブ制御基板120に接続されている各種スイッチ類には、通常ボタン検出スイッチ40aおよび特殊ボタン検出スイッチ41aが含まれている。通常ボタン検出スイッチ40aは、通常ボタン40が押下操作されたことを検出する。特殊ボタン検出スイッチ41aは、特殊ボタン41が押下操作されたことを検出する。各検出スイッチ40a,41aは、検出内容に応じた信号をサブ制御基板120に出力する。なお、サブ制御基板120に接続されるスイッチの種類や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0090】
サブ制御基板120に接続された各種アクチュエータ類SAには、盤上可動装置55を駆動する盤上駆動モータ55m、盤下可動装置56を駆動する盤下駆動モータ56m、枠可動装置58を駆動する枠駆動モータ58m等が含まれている。演出制御用マイコン121は、これらのモータを駆動して、各可動装置に所定の動作を行わせることが可能である。詳細には演出制御用マイコン121は、各可動装置の動作態様を決める動作パターンデータを作成し、ランプ制御回路151を介して、各可動装置の動作を制御する。またサブ制御基板120には、通常ボタン40を振動させるための振動用モータ(不図示)も接続されているものとする。なお、サブ制御基板120に接続されるアクチュエータの種類や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0091】
サブ制御基板120に接続された各種ランプ類SLには、枠ランプ53、盤ランプ54等が含まれている。演出制御用マイコン121は、各ランプを発光させることが可能である。詳細には演出制御用マイコン121は、各ランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って各ランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
【0092】
なお、ランプ制御回路151を基板にしてCPUを実装してもよい。この場合、そのCPUに、各ランプの点灯制御、および、各可動装置の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、基板にROMを実装して、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。また、サブ制御基板120に接続されるランプの種類や数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜に変更可能である。
【0093】
3.遊技機による主な遊技
次に、パチンコ遊技機PY1により行われる主な遊技について、
図10~
図17を用いて説明する。なお、後述する「7.第1実施形態のパチンコ遊技機」以降の説明において
図10~
図17に示す各テーブルとは別のテーブルを示した場合、各実施形態のパチンコ遊技機ではそのテーブルが用いられているものとし、別のテーブルを示さない構成については、ここで示したテーブルが用いられているものとする。
【0094】
3-1.普図に関わる遊技
最初に、普図に関わる遊技について説明する。パチンコ遊技機PY1は、発射された遊技球がゲート13を通過すると、普図抽選を行う。普図抽選を行うと、普図表示器82において、普図の可変表示(変動表示を行った後に停止表示)を行う。ここで、停止表示される普図には、当たり図柄とハズレ図柄とがある。なお、普図のハズレ図柄については、後述する特図のハズレ図柄と区別をするために「ハズレ普図」ともいう。当たり図柄が停止表示されると補助遊技が実行されて、当該ゲート13の通過に係る遊技が終了する。一方、ハズレ普図が停止表示されると、補助遊技は行われず、当該ゲート13の通過に係る遊技が終了する。また、以下において、遊技球がゲート13を通過することを「普図始動条件の成立」という。
【0095】
パチンコ遊技機PY1は、このような一連の遊技(普図抽選、普図の可変表示、補助遊技)を行うにあたり、普図始動条件の成立により、普図関係乱数を取得する。取得する普図関係乱数には、
図10(A)に示すように、普通図柄乱数がある。普通図柄乱数は当たり判定を行うための乱数である。乱数を判定情報とも言う。乱数には、適宜に範囲が設けられている。
【0096】
3-1-1.当たり判定
当たり判定は、
図11(A)に示すような当たり判定テーブルに従って、当たりか否か(補助遊技を実行するか否か)を決定するための判定である。当たり判定テーブルは、後述する遊技状態に関連付けられている。すなわち、当たり判定テーブルには、非時短状態で用いる当たり判定テーブル(非時短用当たり判定テーブル)と、時短状態で用いる当たり判定テーブル(時短用当たり判定テーブル)と、がある。各当たり判定テーブルでは、当たり判定の結果である当たりとハズレに、普通図柄乱数の判定値(普通図柄乱数値)が振り分けられている。よって、パチンコ遊技機PY1は、取得した普通図柄乱数を当たり判定テーブルに従って判定することにより、当たりかハズレかの当たり判定を行う。そして、当たり判定の結果に基づいて、普図の可変表示を行うための普図変動パターン判定を行う。当たり判定の結果が当たりであると、基本的には、普図の可変表示で当たり図柄が停止表示される。一方、当たり判定の結果がハズレであると、基本的には、普図の可変表示でハズレ普図が停止表示される。なお、当たりの当選確率については、適宜に変更することが可能である。また、当たり判定テーブルを、遊技状態毎に分けなくてもよい。
【0097】
3-1-2.普図変動
普図変動パターン判定は、
図11(B)に示すような普図変動パターン判定テーブルに従って、普図変動パターンを決定するための判定である。普図変動パターンとは、普図変動時間などの普図の可変表示に関する所定事項に関する識別情報である。
【0098】
普図変動パターン判定テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)に関連付けられている。すなわち、普図変動パターン判定テーブルには、非時短状態のときに用いられる普図変動パターン判定テーブル(非時短普図変動パターン判定テーブル)と時短状態のときに用いられる普図変動パターン判定テーブル(時短普図変動パターン判定テーブル)とがある。なお、普図変動パターン判定テーブルを遊技状態毎に分けなくてもよい。
【0099】
各普図変動パターン判定テーブルには、普図変動パターン判定の結果である普図変動パターンが、停止される普図毎に1つ格納されている。すなわち、パチンコ遊技機PY1は、非時短状態においてと時短状態においてとで、普図変動時間を異ならせることが可能である。例えば、非時短状態においては、ハズレの普図(ハズレ普図)を停止表示する場合の普図の可変表示については普図変動時間が例えば30秒となる普図変動パターンに決定し、当たり図柄を停止表示する場合の普図の可変表示については普図変動時間が例えば30秒となる普図変動パターンに決定する。また、時短状態においては、ハズレ普図を停止表示する場合の普図の可変表示については普図変動時間が例えば5秒となる普図変動パターンに決定し、当たり図柄を停止表示する場合の普図の可変表示については普図変動時間が例えば5秒となる普図変動パターンに決定する。この判定で決定された普図変動パターンに対応付けられた普図変動時間の普図の可変表示が、普図表示器82で行われる。また、これら普図変動時間については、適宜に変更することが可能である。このように、当たり判定、および、普図変動パターン判定が行われることによって、普図表示器82において普図の可変表示が行われる。
【0100】
3-1-3.補助遊技
補助遊技は、普図の可変表示で、表示結果(普図抽選の結果)として、当たり図柄が停止表示(導出)されると実行される。
【0101】
補助遊技を構成する要素(補助遊技構成要素)には、電チュー12Dが開放する回数、および各開放についての開放時間などの様々な要素が含まれている。そして、これらの各要素は、遊技状態(非時短状態/時短状態)に対応付けられている。パチンコ遊技機PY1は、遊技状態(非時短状態/時短状態)に基づいて、
図11(C)に示すような補助遊技制御テーブルに従って補助遊技を制御する。補助遊技制御テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)に対応付けられている。各補助遊技制御テーブルには、補助遊技構成要素が格納されている。なお、これらの各要素における開放回数や開放時間については、適宜に変更することが可能である。
【0102】
パチンコ遊技機PY1は、非時短状態における補助遊技と時短状態における補助遊技とで、電チュー12Dの開放時間を異ならせている。例えば、非時短状態における補助遊技では、第1の開放時間(遊技球を電チュー12Dに入賞させるのが困難な時間(例えば0.08秒))だけ電チュー12Dを開放する。以下において、非時短状態における補助遊技のことを「ショート開放補助遊技」ともいう。また、時短状態における補助遊技では、第1の開放時間よりも長い第2の開放時間(遊技球を電チュー12Dに入賞させるのが容易な時間(例えば3.0秒))だけ電チュー12Dを開放する。以下において、時短状態における補助遊技のことを「ロング開放補助遊技」ともいう。なお、非時短状態における補助遊技と時短状態における補助遊技とで、電チュー12Dの開放時間が同じであってもよい。
【0103】
3-2.特図に関わる遊技
次に、特図に関わる遊技について説明する。パチンコ遊技機PY1は、発射された遊技球が第1始動口11に入賞すると、特
図1抽選を行う。特
図1抽選が行われると、特
図1表示器81aにおいて、特
図1の可変表示(変動表示を行った後に停止表示)を行って、特
図1抽選の結果を報知する。ここで、停止表示される特
図1には、大当たり図柄およびハズレ図柄がある。すなわち、特
図1抽選の結果には大当たり、およびハズレがある。大当たり図柄が停止表示されると大当たり遊技が実行され、新たな遊技状態が設定されて、当該入賞に基づく遊技が終了する。一方、ハズレ図柄が停止表示されると、大当たり遊技が行われず、当該入賞に基づく遊技が終了する。
【0104】
同様に、パチンコ遊技機PY1は、発射された遊技球が第2始動口12に入賞すると、特
図2抽選を行う。特
図2抽選が行われると、特
図2表示器81bにおいて、特
図2の可変表示(変動表示を行った後に停止表示)を行って、特
図2抽選の結果を報知する。ここで、停止表示される特
図2には、大当たり図柄、およびハズレ図柄がある。すなわち、特
図2抽選の結果には、大当たり、およびハズレがある。大当たり図柄が停止表示されると大当たり遊技が実行され、新たな遊技状態が設定されて、当該入賞に基づく遊技が終了する。一方、ハズレ図柄が停止表示されると大当たり遊技が行われず、当該入賞に基づく遊技が終了する。
【0105】
なお、以下において、第1始動口11に遊技球が入賞することを「第1始動条件の成立」といい、第2始動口12に遊技球が入賞することを「第2始動条件の成立」という。また、「第1始動条件の成立」と「第2始動条件の成立」をまとめて「始動条件の成立」と総称する。また、特別図柄のハズレ図柄については、前述の普図のハズレ図柄と区別するために「ハズレ特図」ともいう。
【0106】
パチンコ遊技機PY1は、このような一連の遊技(特図抽選、特図の可変表示、大当たり遊技、遊技状態の設定)を行うにあたり、始動条件の成立により、特図関係乱数を取得し、当該乱数について種々の判定を行う。取得する特図関係乱数には、
図10(B)に示すように、特別図柄乱数(大当たり乱数)、図柄種別乱数、リーチ乱数および特図変動パターン乱数がある。特別図柄乱数は大当たり判定を行うための乱数である。図柄種別乱数は大当たり図柄種別判定(当たり図柄種別判定)を行うための乱数である。リーチ乱数はリーチ判定を行うための乱数である。特図変動パターン乱数は特別図柄の変動パターン判定を行うための乱数である。乱数を判定情報とも言う。各乱数には、適宜に範囲が設けられている。
【0107】
3-2-1.大当たり判定
大当たり判定は、
図12(A)に示すような大当たり判定テーブルに従って、大当たりか否か(大当たり遊技を実行するか否か)を決定するための判定である。大当たり判定テーブルは、遊技状態、詳細には、通常確率状態であるか高確率状態であるかに関連付けられている。すなわち、大当たり判定テーブルには、通常確率状態において用いられる大当たり判定テーブル(通常確率用大当たり判定テーブル)と高確率状態において用いられる大当たり判定テーブル(高確率用大当たり判定テーブル)とがある。
【0108】
各大当たり判定テーブルでは、大当たり判定の結果である大当たり、およびハズレに、特別図柄乱数の判定値(特別図柄乱数値)が振り分けられている。パチンコ遊技機PY1は、取得した特別図柄乱数を大当たり判定テーブルに従って判定することにより、大当たり、またはハズレの何れであるかを判定する。
図12(A)に示すように、高確率用大当たり判定テーブルの方が、通常確率用大当たり判定テーブルよりも、大当たりと判定される特別図柄乱数判定値が多く設定されている。また、大当たりの当選確率については、適宜に変更することが可能である。また、小当たりに当選可能に構成した場合、大当たり判定の結果に、小当たり当選を含めることができる。
【0109】
3-2-2.大当たり図柄種別判定(当たり図柄種別判定)
大当たり図柄種別判定は、大当たり判定の結果が大当たりである場合に、
図12(B)に示すような大当たり図柄種別判定テーブルに従って大当たり図柄の種別(大当たり図柄種別)を決定するための判定である。大当たり図柄の種別毎に、大当たりの内容、換言すれば、遊技者に付与される遊技特典などで構成される大当たりの構成要素が対応付けられている。
【0110】
大当たり図柄種別判定テーブルは、可変表示される特別図柄の種別(特
図1/特
図2)、言い換えれば、当該大当たり図柄種別判定の起因となる入賞(当該大当たり図柄種別判定を発生させた入賞)が行われた始動口の種別(第1始動口11/第2始動口12)に関連付けられている。すなわち、大当たり図柄種別判定テーブルには、特
図1の可変表示を行うときに用いられる大当たり図柄種別判定テーブル(第1大当たり図柄種別判定テーブル)と特
図2の可変表示を行うときに用いられる大当たり図柄種別判定テーブル(第2大当たり図柄種別判定テーブル)とがある。
【0111】
大当たり図柄には複数種類の種別があり、各大当たり図柄種別判定テーブルでは、大当たり図柄種別判定の結果である大当たり図柄種別に、図柄種別乱数の判定値(図柄種別乱数値)が振り分けられている。よって、パチンコ遊技機PY1は、取得した図柄種別乱数を大当たり図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、大当たり図柄の種別を判定する。そして、第1大当たり図柄種別判定テーブルおよび第2大当たり図柄種別判定テーブルでは、図柄種別乱数値が各種大当たり図柄に適宜に振り分けられている。なお、大当たり図柄種別の振分率については、適宜に変更することが可能である。また、大当たり図柄の種別については、適宜に増加したり減少したりすることが可能である。
【0112】
例えば、
図12(B)に示すように、特
図1についての大当たり図柄種別判定による大当たり図柄種別の振分率を、大当たり図柄Aが50%、大当たり図柄Bが50%にし、特
図2についての大当たり図柄種別判定による大当たり図柄種別の振分率を、大当たり図柄Cが100%にすることが可能である。このように、第1始動口11に遊技球が入賞して行われる特
図1抽選と、第2始動口12に遊技球が入賞して行われる特
図2抽選とで、大当たり図柄種別の振分率を異ならせることが可能である。また、小当たりに当選可能に構成した場合、小当たり当選時に小当たり図柄の種別の判定を行う構成とすることができる。当たり図柄種別判定には、大当たり図柄の種別の判定と、小当たり図柄の種別の判定とが含まれる。小当たり図柄の種別の判定も、大当たり図柄の種別の判定と同様、図柄種別乱数を用いて行われるものとする。
【0113】
3-2-3.リーチ判定
リーチ判定は、大当たり判定の結果がハズレである場合に、
図12(C)に示すようなリーチ判定テーブルに従って、後述する特図変動演出でリーチを発生させるか否かを決定するための判定である。
【0114】
リーチ判定テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)に関連付けられている。すなわち、リーチ判定テーブルには、非時短状態のときに用いられるリーチ判定テーブル(非時短用リーチ判定テーブル)と時短状態のときに用いられるリーチ判定テーブル(時短用リーチ判定テーブル)とがある。なお、リーチ判定テーブルを遊技状態毎に分けなくてもよい。
【0115】
各リーチ判定テーブルでは、リーチ判定の結果である「リーチ有り(リーチを発生させる)」と「リーチ無し(リーチを発生させない)」に、リーチ乱数の判定値(リーチ乱数値)が振り分けられている。よって、パチンコ遊技機PY1は、取得したリーチ乱数をリーチ判定テーブルに従って判定することにより、リーチ有りかリーチ無しか(リーチを発生させるか否か)を判定する。
図12(C)に示すように、非時短用リーチ判定テーブルと時短用リーチ判定テーブルとで、「リーチ有り(リーチを発生させる)」と判定されるリーチ乱数値の数が異なっている。なお、リーチ有りと判定される確率については、適宜に変更することが可能である。以下において、大当たり判定の結果が「ハズレ」であることを前提に行われる「リーチ有り(リーチを発生させる)」のことを「リーチ有りハズレ」といい、「リーチ無し(リーチを発生させない)」のことを「リーチ無しハズレ」ということもある。
【0116】
3-2-4.特図変動パターン判定
特図変動パターン判定は、
図13~
図14に示すような特別図柄の変動パターン判定テーブル(特図変動パターン判定テーブル)を用いて、特図の可変表示の変動パターン(特図変動パターン)を決定するための判定であり、大当たり判定の結果が大当たり、およびハズレの何れの場合にも行われる。特図変動パターンとは、特図変動時間や後述する特図変動演出の演出フロー(演出内容)などに関する所定事項を識別するための識別情報である。なお、特図変動パターンには、特図変動時間や特図変動演出の演出フロー(演出内容)の他、大当たり判定の結果とリーチ判定の結果に関する識別情報が含まれている。特図変動パターンに含ませる識別情報は、適宜に変更することが可能である。また、特図変動パターンとして、それぞれ識別情報が異なる複数種類の特図変動パターンを用いることが可能であり、その数は適宜に変更することが可能である。
【0117】
特図変動パターン判定テーブルは、判定対象となる可変表示を行う特別図柄の種別(特
図1/特
図2)、言い換えれば、当該特図変動パターン判定の起因となる入賞が行われた始動口の種別(第1始動口11/第2始動口12)に関連付けられている。すなわち、特図変動パターン判定テーブルには、特
図1の可変表示を行うときに用いられる特図変動パターン判定テーブル(特
図1変動パターン判定テーブル:
図13)と、特
図2の可変表示を行うときに用いられる特図変動パターン判定テーブル(特
図2変動パターン判定テーブル:
図14)とがある。なお、特図変動パターン判定テーブルを、特別図柄の種別(特
図1/特
図2)に応じて分けなくてもよい。
【0118】
そして、各特図変動パターン判定テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)にも関連付けられている。すなわち、特
図1変動パターン判定テーブルには、非時短状態のときに用いられる特
図1変動パターン判定テーブル(非時短用特
図1変動パターン判定テーブル)と、時短状態のときに用いられる特
図1変動パターン判定テーブル(時短用特
図1変動パターン判定テーブル)とがある。一方、特
図2変動パターン判定テーブルについても同様に、非時短状態のときに用いられる特
図2変動パターン判定テーブル(非時短用特
図2変動パターン判定テーブル)と、時短状態のときに用いられる特
図2変動パターン判定テーブル(時短用特
図2変動パターン判定テーブル)とがある。なお、特図変動パターン判定テーブルを、遊技状態毎に分けなくてもよい。
【0119】
また、遊技状態(非時短状態/時短状態)に関連付けられた各特図変動パターン判定テーブルは、さらに、大当たり判定結果およびリーチ判定結果にも関連付けられている。すなわち、非時短用特
図1変動パターン判定テーブルおよび非時短用特
図2変動パターン判定テーブルにはそれぞれ、大当たり用、リーチ有りハズレ用、およびリーチ無しハズレ用がある。同様に、時短用特
図1変動パターン判定テーブルおよび時短用特
図2変動パターン判定テーブルにもそれぞれ、大当たり用、リーチ有りハズレ用、およびリーチ無しハズレ用がある。なお、特図変動パターン判定テーブルを、大当たり判定結果やリーチ判定結果に応じて分けなくてもよい。
【0120】
さらに、各リーチ無しハズレ用の特
図1変動パターン判定テーブルは、特図保留数にも関連付けられている。例えば、特
図1保留数(U1)が0~2のときに用いられるリーチ無しハズレ用の特
図1変動パターン判定テーブルと、特
図1保留数(U1)が3~4のときに用いられるリーチ無しハズレ用の特
図1変動パターン判定テーブルと、がある。また、各リーチ無しハズレ用の特
図2変動パターン判定テーブルは、特図保留数にも関連付けられている。具体的には、特
図2保留数(U2)が0~2のときに用いられるリーチ無しハズレ用の特
図2変動パターン判定テーブルと、特
図2保留数(U2)が3~4のときに用いられるリーチ無しハズレ用の特
図2変動パターン判定テーブルと、がある。なお、特図変動パターン判定テーブルを、特図保留数に応じて分けなくてもよい。
【0121】
そして、各特図変動パターン判定で決定された特図変動パターンに応じた特図変動時間の特図の可変表示が、特図表示器81で行われる。そして、特図の可変表示で、表示結果(特図抽選の結果)として、大当たり図柄が停止表示されると、即座に次の特図の可変表示が行われず、引き続いて、大当たり遊技が実行される。
【0122】
また、各特図変動パターンには、
図13~
図14の表の右から2番目の欄に示すような特図変動演出の演出フローが関連付けられている。なお、特図変動パターンに特図変動演出の演出フローを関連付けなくてもよい。
【0123】
また、
図13~
図14の表の一番右の欄に示すように、特図変動パターンを、特図(大当たり判定結果)および特図変動演出の演出内容などに関連付けた名称で呼ぶことがある。例えば、大当たりに係る特図変動パターンのことを「大当たり変動」と言い、ハズレに係る特図変動パターンのことを「ハズレ変動」と言う。そして、大当たり変動の中で、リーチの一種であるSPリーチが行われる特図変動パターンのことを「SP大当たり変動」と言い、Lリーチが行われる特図変動パターンのことを「L大当たり変動」と言い、Nリーチで特図変動演出が終わる特図変動パターンのことを「N大当たり変動」と言い、リーチが成立するとすぐにゾロ目が揃う特図変動パターンのことを「即大当たり変動」と言う。一方、リーチ有りハズレの中で、リーチの一種であるSPリーチが行われる特図変動パターンのことを「SPハズレ変動」と言い、リーチの一種であるLリーチが行われる特図変動パターンのことを「Lハズレ変動」と言い、リーチの一種であるNリーチで特図変動演出が終わる特図変動パターンのことを「Nハズレ変動」と言い、リーチ無しハズレに係る特図変動パターンのことを「通常ハズレ変動」と言う。通常ハズレ変動には、変動時間が互いに異なる3種類の変動(通常Aハズレ変動、通常Bハズレ変動、通常Cハズレ変動)がある。また、リーチ無しハズレに係る特図変動パターンであって「通常ハズレ変動」に比べて変動時間が短い特図変動パターンを「短縮ハズレ変動」と言う。短縮ハズレ変動には、変動時間が異なる2種類の変動(短縮Aハズレ変動、短縮Bハズレ変動)がある。なお、SP大当たりとSPハズレ変動とを総称する場合、SP変動あるいはSPリーチ変動と言う。
【0124】
3-2-5.先読み判定
パチンコ遊技機PY1は、取得した特図関係乱数に基づいて、
図15に示すような先読み判定テーブルに従って先読み判定を行う。先読み判定は、大当たり判定よりも前に(具体的には例えば始動口への入賞時に)行われる。先読み判定には、例えば、特別図柄乱数が大当たり判定で大当たりと判定されるか否かの判定、図柄種別乱数が大当たり図柄種別判定で何れの大当たり図柄の種別に決定されるかの判定、特図変動パターン乱数が特図変動パターン判定で何れの特図変動パターンに決定されるかの判定、などがある。先読み判定テーブルは、その始動入賞に係る始動口の種別(第1始動口11/第2始動口12)に関連付けられている。すなわち、先読み判定テーブルには、第1始動口11に入賞した場合の先読み判定テーブル(第1先読み判定テーブル)と、第2始動口12に入賞した場合の先読み判定テーブル(第2先読み判定テーブル)と、がある。第1始動口11は特
図1の抽選の契機となる始動口であるため、第1先読み判定テーブルを特
図1先読み判定テーブルと言うこともできる。また、第2始動口12は特
図2の抽選の契機となる始動口であるため、第2先読み判定テーブルを特
図2先読み判定テーブルと言うこともできる。なお、先読み判定テーブルを、始動口の種別(第1始動口11/第2始動口12)に応じて分けなくてもよい。また、始動入賞とは、始動口への入賞のことである。
【0125】
また、先読み判定テーブルは、遊技状態(非時短状態/時短状態)にも関連付けられている。すなわち、先読み判定テーブルには、非時短状態のときに用いられる先読み判定テーブル(非時短用先読み判定テーブル)と、時短状態のときに用いられる先読み判定テーブル(時短用先読み判定テーブル)と、がある。
【0126】
つまり、先読み判定テーブルには、非時短状態のときに用いられる第1先読み判定テーブルと、時短状態のときに用いられる第1先読み判定テーブルと、非時短状態のときに用いられる第2先読み判定テーブルと、時短状態のときに用いられる第2先読み判定テーブルと、がある。なお、先読み判定テーブルを、遊技状態毎に分けなくてもよい。また、先読み判定にどのような判定を含ませるかは適宜に変更可能である。
【0127】
3-3.大当たり遊技
次に、大当たり遊技について説明する。大当たり遊技は、大入賞口(第1大入賞口14あるいは第2大入賞口15)の開閉を伴う複数回のラウンド遊技と、大当たり遊技が開始してから初回のラウンド遊技が開始されるまでのオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了してから大当たり遊技が終了するまでのエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、オープニングの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はエンディングの開始によって終了する。また、OPやEDを設けないようにすることが可能である。なお、以下において、所定回数目(所定の順番)のラウンド遊技を、単に「ラウンド」という。例えば、初回(1回目)のラウンド遊技のことを「1ラウンド(1R)」といい、10回目のラウンド遊技のことを「10ラウンド(10R)」という。
【0128】
このような大当たり遊技を構成する要素(大当たり遊技構成要素)には、ラウンド遊技の回数、各回のラウンド遊技における大入賞口(第1大入賞口14、第2大入賞口15)の開放回数、各開放が行われる大入賞口の種別および開放時間、次回の開放まで閉鎖させる時間(閉鎖時間あるいはインターバル時間)、オープニングの時間(オープニング時間)、およびエンディングの時間(エンディング時間)などが含まれている。パチンコ遊技機PY1は、特図の停止表示後、
図16に示すような大当たり遊技制御テーブルに従って大当たり遊技を制御する。
【0129】
図16に示すように、大当たり遊技制御テーブルには、大当たり遊技毎(例えば大当たり遊技A~C毎)に大当たり遊技構成要素が格納されている。各大当たり遊技では、1Rから15Rまでは、最大で29.5秒にわたって第1大入賞口14が開放するラウンド遊技、または、最大で0.1秒にわたって第1大入賞口14が開放するラウンド遊技、が行われる。そして、16R(最終ラウンド)では、最大で29.5秒にわたって第2大入賞口15が開放するラウンド遊技、または、最大で0.1秒にわたって第2大入賞口15が開放するラウンド遊技、が行われる。また、各ラウンド遊技では、予め定めた所定個数(例えば10個)の遊技球が大入賞口センサ14a,15aによって検出されると、大入賞口14,15の最大開放時間が経過する前であっても、ラウンド遊技を終了させる。
【0130】
なお、
図16に示す大当たり遊技Aは、当選した大当たり図柄の種別が大当たり図柄A(
図12(B)参照)である場合に実行され、大当たり遊技Bは、当選した大当たり図柄の種別が大当たり図柄Bである場合に実行され、大当たり遊技Cは、当選した大当たり図柄の種別が大当たり図柄Cである場合に実行される構成とすることが可能である。
【0131】
また、各大当たり遊技構成要素における回数や時間については、適宜に変更することが可能である。また、大当たり遊技を、第1大入賞口14および第2大入賞口15の両方を用いて行うことも一方だけを用いて行うことも可能である。第1大入賞口14だけを用いる大当たり遊技しか行わない構成、あるいは、第2大入賞口15だけを用いる大当たり遊技しか行わない構成とする場合には、用いない方の大入賞口を備えない構成としてもよい。また、実行可能な大当たり遊技の種類は、複数種類であってもよいし、1種類であってもよい。
【0132】
ここで、特定領域16について詳細に説明する。特定領域16は、振分部材16kによって、入賞不可能な閉状態と、入賞可能な開状態とをとるので、振分部材16kの作動態様は、特定領域16の開閉態様ということができる。以下において、振分部材16kの作動態様のことを「特定領域16の開閉態様」ともいう。また、特定領域16が開状態にあることを「V開放」ともいい、特定領域16が閉状態にあることを「V閉鎖」ともいう。
【0133】
振分部材16kは一定の作動態様で制御される(つまり、特定領域16は一定の開閉態様で制御される)。例えば、第2大入賞口15の開放が開始してから15秒間、振分ソレノイド16sが通電され、振分部材16kが第2状態(
図3(B))に制御される。よって、最大で29.5秒にわたって第2大入賞口15が開放するラウンド遊技では、第2大入賞口15の開放時間およびタイミングと、振分部材16kの第2状態に制御されている時間およびタイミングとの関係から、遊技球が特定領域16を通過する(遊技球を特定領域16に進入させる)ことが容易である。一方、最大で0.1秒にわたって第2大入賞口15が開放するラウンド遊技では、第2大入賞口15の開放時間およびタイミングと、振分部材16kの第2状態に制御されている時間およびタイミングとの関係から、遊技球が特定領域16を通過する(遊技球を特定領域16に進入させる)ことはほぼ不可能(困難)である。このように、振分部材16kの一定の作動態様(特定領域16の一定の開閉態様)と、大当たり遊技における第2大入賞口15の開閉態様との組み合わせで、大当たり遊技において遊技球を特定領域16に進入させることの困難性(容易性)を設定することが可能である。なお、振分部材16kの作動態様は適宜に変更可能である。後述する「7.第1実施形態のパチンコ遊技機」以降の説明において別の作動態様を示した場合、各実施形態のパチンコ遊技機ではその作動態様が採用されているものとする。
【0134】
なお、大当たり遊技中に、遊技球の特定領域16への通過(以下、「V通過」ともいう)が容易な第1開放パターン(Vロング開放パターン)でVAT開閉部材15k及び振分部材16kが作動する大当たりを、「Vロング大当たり」といい、遊技球の特定領域16の通過が不可能又は困難な第2開放パターン(Vショート開放パターン)でVAT開閉部材15k及び振分部材16kが作動する大当たりを、「Vショート大当たり」という。
【0135】
3-4.遊技状態
次に、遊技状態について説明する。パチンコ遊技機PY1は、
図17に示すように、「低確率低ベース遊技状態」、「低確率高ベース遊技状態」、「高確率低ベース遊技状態」、「高確率高ベース遊技状態」および「大当たり遊技状態」の何れかの遊技状態にすることが可能である。なお、「低確率低ベース遊技状態」を「低確低ベース状態」と、「低確率高ベース遊技状態」を「低確高ベース状態」と、「高確率低ベース遊技状態」を「高確低ベース状態」と、「高確率高ベース遊技状態」を「高確高ベース状態」と、それぞれ略称することがある。遊技状態を構成する状態として、大当たり判定において「大当たり」と判定される確率に係る状態と、電チュー12Dの開放の容易性に係る状態とがある。前者としては、通常確率状態と高確率状態とがある。一方、後者としては、非時短状態と時短状態とがある。
【0136】
通常確率状態は、「低確率低ベース遊技状態」または「低確率高ベース遊技状態」において設定され、大当たり判定で大当たりと判定される確率が通常の確率である状態である。高確率状態は、「高確率低ベース遊技状態」または「高確率高ベース遊技状態」において設定され、大当たり判定で大当たりと判定される確率が通常確率より高い高確率である状態である。従って、高確率状態は通常確率状態よりも遊技者に有利な遊技状態であると言える。パチンコ遊技機PY1で初めて電源投入されたときには通常確率状態が設定される。そして、大当たりに当選することによって通常確率状態から高確率状態に切り替えることが可能になる。例えば、大当たり遊技において遊技球が特定領域16を通過することによって高確率状態に切り替えることが可能である。また、大当たり図柄の種別によって高確率状態に切り替えることも可能である。高確率状態に切り替える契機をV通過とするか、大当たり図柄の種別とするかは、実現したい遊技性に応じて予め定められているものとする。高確率状態では、大当たりに当選することなく所定回数の大当たり判定が行われることや、次回の大当たりに当選することで、高確率状態から通常確率状態に切り替えることが可能である。
【0137】
非時短状態は、「低確率低ベース遊技状態」、「高確率低ベース遊技状態」または「大当たり遊技状態」において設定される。時短状態は、「低確率高ベース遊技状態」または「高確率高ベース遊技状態」において設定され、非時短状態に比べて、1回の補助遊技における電チュー12Dの開放時間が長くなり易い遊技状態である。例えば、時短状態においては、非時短状態における電チュー12Dの開放時間(例えば0.08秒)よりも長い開放時間(例えば3.0秒)となる。また、時短状態では、特図変動時間の短い特図変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた特図変動パターン判定テーブルに従って、特図変動パターン判定が行われる(
図13~
図14参照)。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
【0138】
また、時短状態は、非時短状態に比べて、普図変動時間が短くなり易くなっている。例えば、時短状態においては、非時短状態において決定される普図変動時間(30秒)よりも短い普図変動時間(5秒)が決定される(
図11(B))。よって、時短状態の方が、単位時間当たりにおける普図抽選の実行回数が多い。
【0139】
また、時短状態は、非時短状態に比べて、当たり判定で当たりと判定され易くなっている。例えば、時短状態では、非時短状態で当たりと判定される確率(例えば6600/65536)よりも高い確率(例えば59936/65536)で当たりと判定される(
図11(A))。よって、時短状態の方が、単位時間当たりにおいて当たり判定で当たりと判定される回数が多い。
【0140】
このように時短状態では、非時短状態に比して、単位時間当たりの電チュー12Dの開放時間が長くなり、第2始動口12へ遊技球が頻繁に入賞し易くなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。そのため、ベースの高い時短状態では、所持する遊技球を大きく減らすことなく大当たり当選を狙うことができる。従って、時短状態は非時短状態よりも遊技者に有利な遊技状態であると言える。
【0141】
パチンコ遊技機PY1で初めて電源投入されたときには非時短状態が設定される。そして、例えば、大当たりに当選することによって時短状態が設定可能になる。時短状態では、大当たりに当選することなく所定回数の大当たり判定が行われることや、次回の大当たりに当選することで、時短状態から非時短状態に変更することが可能である。
【0142】
なお、時短状態では、非時短状態に比して、当たりに当選し易く、普図変動時間が短くなり易く、且つ、1回の補助遊技における電チュー12Dの開放時間が長くなり易い。つまり、普図に係る遊技について3つの点で、遊技者に有利に設定されている。しかし、この遊技者に有利に設定されている点はこれらの中の一部であってもよい。また、時短状態における特図変動パターン判定テーブルが、非時短状態におけるものよりも、特図変動時間の短い特図変動パターンが選択され易いものでなくてもよい。
【0143】
なお、パチンコ遊技機PY1で初めて電源投入された後の遊技状態は、通常確率状態且つ非時短状態が設定される「低確率低ベース遊技状態」である。この遊技状態を「通常遊技状態」ともいう。なお、「大当たり遊技状態」では、普図抽選(普図に関する当たり判定)は行われるが特図抽選(大当たり判定)は行われないため、大当たり遊技の開始に伴って、非時短状態が設定される。また、遊技状態については、前述した遊技状態の全てを用いることも一部だけを用いることも可能である。また、本明細書で説明している各種の遊技状態については、「第n遊技状態」(nは1以上の整数)の形式で任意に表現できるものとする。また、低確率低ベース遊技状態(低確低ベース状態)を低確非時短状態、低確率高ベース遊技状態(低確高ベース状態)を低確時短状態、高確率低ベース遊技状態(高確低ベース状態)を高確非時短状態、高確率高ベース遊技状態(高確高ベース状態)を高確時短状態と呼ぶことができるものとする。
【0144】
4.遊技機による主な演出
次に、パチンコ遊技機PY1により行われる主な演出について、
図18~
図24を用いて説明する。
【0145】
4-1.演出モード
最初に、演出モードについて説明する。演出モードは、演出の区分(あるいは、上位概念的な属性)のことである。パチンコ遊技機PY1は、演出モードとして、客待ち演出モード、通常演出モードと、確変演出モード、時短演出モードおよび大当たり演出モードを設定することが可能である。
【0146】
客待ち演出モードは、「低確率低ベース遊技状態」、「低確率高ベース遊技状態」、「高確率低ベース遊技状態」および「高確率高ベース遊技状態」において特図変動演出が行われていないときに設定可能であり、特図変動演出が行われていない待機状態であることを示す演出モードである。客待ち演出モードが設定されているときに客待ち演出が行われる。客待ち演出では、例えば、
図18(A―1)に示すように、表示部50aにおいてパチンコ遊技機PY1を紹介する客待ちデモ動画G100が表示される。また、客待ちデモ動画G100が表示されているときに通常ボタン40が操作されると、
図18(A―2)に示すように、パチンコ遊技機PY1の演出に関する設定を行うための設定画面G101が表示される。演出に関する設定には、スピーカ52から出力される音の音量設定、表示部50aの輝度設定、実行される演出の頻度設定などがある。
【0147】
通常演出モードは、「低確率低ベース遊技状態」または「高確率低ベース遊技状態」において特図変動演出が行われているときに設定可能であり、非時短状態であることを示唆可能な演出モードである。通常演出モードには、例えば、
図18(B―1)に示すように、表示部50aにおいて昼間の山の景色を表す背景画像(昼間通常用背景画像G102)が表示される第1通常演出モードと、
図18(B―2)に示すように、表示部50aにおいて夕方の山の景色を表す背景画像(夕方通常用背景画像G103)が表示される第2通常演出モードと、
図18(B―3)に示すように、表示部50aにおいて夜間の山の景色を表す背景画像(夜間通常用背景画像G104)が表示される第3通常演出モードと、があり、大当たりに当選することなく1回または複数回の特図変動演出が行われることを1つの条件として切り替えられる。なお、第1~第3通常演出モードでは、特図変動演出においてリーチが成立する前は、昼間通常用背景画像G102、夕方通常用背景画像G103および夜間通常用背景画像G104の何れかが表示部50aに表示されるが、リーチが成立した後はリーチの種類に応じた専用の背景画像が表示部50aに表示され得る。また、「高確率低ベース遊技状態」においてのみ設定される特殊演出モードを設けても良い。
【0148】
確変演出モードは、「高確率高ベース遊技状態」において特図変動演出が行われているときに設定可能な演出モードであり、高確率状態且つ時短状態であることを示す演出モードである。確変演出モードでは、例えば、
図18(B―4)に示すように、表示部50aにおいて宇宙を表す背景画像(確変用背景画像G105)が表示される。なお、確変演出モードでは、特図変動演出においてリーチが成立する前は、確変用背景画像G105が表示部50aに表示されるが、リーチが成立した後はリーチの種類に応じた専用の背景画像が表示部50aに表示され得る。
【0149】
時短演出モードは、「低確率高ベース遊技状態」において特図変動演出が行われているときに設定可能な演出モードであり、通常確率状態且つ時短状態であることを示す演出モードである。時短演出モードでは、例えば、
図18(B―5)に示すように、表示部50aにおいて空を表す背景画像(時短用背景画像G106)が表示される。なお、時短演出モードでは、特図変動演出においてリーチが成立する前は、時短用背景画像G106が表示部50aに表示されるが、リーチが成立した後はリーチの種類に応じた専用の背景画像が表示部50aに表示され得る。
【0150】
大当たり演出モードは、「大当たり遊技状態」において大当たり遊技が行われているときに設定可能な演出モードであり、大当たり遊技が行われていることを示す演出モードである。大当たり演出モードでは、例えば、大当たり遊技におけるオープニング中には、
図18(C―1)に示すように、表示部50aにおいて、大当たり遊技の開始を示唆するオープニング画像G107や「右打ち」を促す右打ち画像G108が表示される大当たりオープニング演出が行われる。大当たり遊技におけるラウンド中には、
図18(C―2)に示すように、表示部50aにおいて、ラウンド数を示すラウンド画像G109や払い出された賞球数を示唆する賞球数画像G110が表示されるラウンド演出が行われる。大当たり遊技におけるエンディング中には、
図18(C―3)に示すように、表示部50aにおいて、大当たり遊技後に設定される演出モードを示唆するエンディング画像G111や払い出された総賞球数を示唆する総賞球数画像G112が表示される大当たりエンディング演出が行われる。
【0151】
なお、演出モードの種類については、適宜に変更または追加することが可能である。
【0152】
4-2.特図変動演出
次に、特図変動演出(単に「変動演出」とも言う)について説明する。パチンコ遊技機PY1は、特図の可変表示が開始されると、特図の可変表示に係る特図変動パターンおよび特図抽選結果(大当たり判定結果、大当たり図柄種別判定結果、リーチ判定結果、および、特図変動パターン判定結果)などに基づいて、特図変動演出を実行する。特図変動演出(報知演出の一例)では、表示部50aにおいて、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄の変動表示が行われる。演出図柄の変動表示では、演出図柄が変動した後に停止する。すなわち、特図変動時間、演出図柄の変動表示が行われた後に、当該変動が停止して、演出図柄の停止表示が行われる。そして、演出図柄の停止表示によって特図抽選の結果が報知される。
【0153】
なお、特図変動演出では、演出図柄の変動表示以外に、画像表示装置50、スピーカ52、枠ランプ53、盤ランプ54、可動装置55,56,58、通常ボタン40、特殊ボタン41などの様々な演出装置を用いた他の演出を行うことが可能である。この場合、演出図柄の停止表示後も、他の演出を継続して行うことが可能である。
【0154】
4-2-1.演出図柄表示領域
画像表示装置50の表示部50aには、
図19(A)に示すように、表示部50aを水平方向に3つに略均等に分けた左側、中央および右側それぞれに、左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、および右演出図柄領域50b3を設けることが可能である。左演出図柄領域50b1は、特図変動演出における演出図柄の停止表示のときに、左演出図柄EZ1を表示する領域である。同様に、中演出図柄領域50b2および右演出図柄領域50b3は、中演出図柄EZ2および右演出図柄EZ3を表示する領域である。
【0155】
また、
図19(A)に示すように、表示部50aの上端部の左端(左上隅)の一区画に、小図柄領域50cを設けることが可能である。小図柄領域50cは、特図の可変表示が行われているときに小図柄KZ1,KZ2,KZ3を変動表示する領域である。
【0156】
なお、
図19(A)において、左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、右演出図柄領域50b3、および小図柄領域50cは二点鎖線で明示されているが、これは左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、右演出図柄領域50b3、および小図柄領域50cの範囲を表すために記載したものであり、実際には表示されていない。また、各領域の範囲は適宜に変更可能である。また、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3(左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3)だけでなく、小図柄KZ1,KZ2,KZ3も、演出用に表示部50aに表示される図柄であるため、「演出図柄」の一例である。なお、演出図柄を装飾図柄や飾り図柄とも言う。
【0157】
4-2-2.通常変動
パチンコ遊技機PY1は、特図変動演出において、先ず通常変動を行うことが可能である。通常変動は、特図の可変表示が開始されたことを示唆する演出として機能する。
【0158】
特図の可変表示が開始されると、例えば、
図19(A)に示すように、表示部50aにおいて、左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2および右演出図柄EZ3が停止表示されていると共に、左小図柄KZ1、中小図柄KZ2および右小図柄KZ3が停止表示されており、特図の可変表示が行われておらず、特図の可変表示を待機している状態から、
図19(B)に示すように、その開始に伴って演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の変動表示が開始されると共に、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動表示が開始される。そして、この特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「通常ハズレ変動」の場合には、
図19(C―1)に示すように、左演出図柄EZ1と右演出図柄EZ3とが異なる停止態様で仮停止してから、
図19(D)に示すように、ハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「Nハズレ変動」などのリーチ有りの特図変動パターンの場合には、
図19(C―2)に示すように、左演出図柄EZ1と右演出図柄EZ3とが同じ停止態様で仮停止して、リーチが成立する。詳細には、まず左演出図柄EZ1がある図柄(例えば5図柄)で停止し、続いて右演出図柄EZ3が左演出図柄EZ1と同じ図柄(5図柄)で停止して、リーチが成立する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動表示は継続して行われ、特図変動パターンに応じたリーチ演出が行われる。なお、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の停止順序や停止態様は、適宜に変更することが可能である。
【0159】
4-2-3.Nリーチ
パチンコ遊技機PY1は、通常変動においてリーチが成立するとNリーチを行うことが可能である。Nリーチは、大当たり判定の結果が「大当たり」であった可能性があることを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0160】
Nリーチでは、
図20(A)に示すように、リーチが成立した状態が所定時間維持され、
図20(B)に示すように、中演出図柄EZ2の変動速度が徐々に減速していく。そして、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「Nハズレ変動」の場合には、
図20(C―1)に示すように、ハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「N大当たり変動」の場合には、
図20(C-2)に示すように、大当たりを示唆する停止態様(所謂ゾロ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3も大当たりを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。なお、Nリーチの演出内容は、中演出図柄EZ2が徐々に減速することに限られず、適宜に変更または追加することが可能である。
【0161】
また、ハズレを示唆する演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の停止態様に関して、リーチが成立しない場合のバラケ目を「非リーチバラケ目」や「非リーチハズレ目」と称し、リーチが成立する場合のバラケ目を「リーチバラケ目」や「リーチハズレ目」と称する。非リーチバラケ目を構成する各演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の組み合わせをどのようにするか(例えば「2・3・1」や「5・8・6」等)、および、リーチバラケ目を構成する各演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の組み合わせをどのようにするか(例えば「2・1・2」や「5・4・5」等)は、演出制御用マイコン121によって選択される。また、大当たりを示唆する停止態様(ゾロ目)を構成する各演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の組み合わせをどのようにするか(例えば「2・2・2」や「7・7・7」等)は、当選した大当たり図柄の種別に基づいて、演出制御用マイコン121によって選択される。
【0162】
4-2-4.SPリーチ
パチンコ遊技機PY1は、Nリーチの後にSPリーチを行うことが可能である。SPリーチは、大当たり判定の結果が「大当たり」であった可能性が、Nリーチよりも高いことを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0163】
SPリーチでは、Nリーチの後に、例えば、
図21(A)に示すように、表示部50aにSPリーチ専用の背景画像(SPリーチ用背景画像G113)が表示され、表示部50aの中央にSPリーチが開始されたことを表す画像(SPリーチ開始タイトル画像G1)が表示される。その後、
図21(B)に示すように、SPリーチ専用演出(例えばバトル演出)が行われる。そして、SPリーチ専用演出の最終局面を迎えると、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「SP大当たり変動」の場合には、
図21(C―1)に示すように、表示部50aに、大当たりを示唆する演出(例えば、主人公キャラクタ(味方キャラクタの一人)がバトルに勝利して仁王立ちしている表示)が行われるとともに、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が大当たりを示唆する停止態様(所謂ゾロ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3も大当たりを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特図の可変表示の特図変動パターンが、例えば「SPハズレ変動」の場合には、
図21(C―2)に示すように、ハズレを示唆する演出(例えば、敵キャラクタがバトルに勝利して仁王立ちしている表示)が行われるとともに、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3がハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。なお、SPリーチの演出内容は、適宜に変更または追加することが可能である。
【0164】
ここで、各リーチに対する演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が大当たりを示す態様で停止される可能性(大当たり期待度)について詳細に説明する。各リーチに対する大当たり期待度は、大当たり判定の結果に基づく実行確率によって定められる。例えば、Nリーチで終わる変動の実行確率を、大当たり判定の結果が「ハズレ」の場合には10%とし、大当たり判定の結果が「大当たり」の場合には50%として、SPリーチに発展する変動の実行確率を、大当たり判定の結果が「ハズレ」の場合には4%とし、大当たり判定の結果が「大当たり」の場合には50%とすれば、SPリーチの大当たり期待度を、Nリーチの大当たり期待度よりも高く設定することが可能である。また、SPリーチとしてSPリーチAとSPリーチBとを実行可能にし、SPリーチAの実行確率を、大当たり判定の結果が「ハズレ」の場合には2%とし、大当たり判定の結果が「大当たり」の場合には30%として、SPリーチBの実行確率を、大当たり判定の結果が「ハズレ」の場合には2%とし、大当たり判定の結果が「大当たり」の場合には20%とすれば、SPリーチAの大当たり期待度を、SPリーチBの大当たり期待度よりも高く設定することが可能である。このように、大当たり判定の結果に応じた実行確率を適宜に設定することで、大当たり期待度を設定することが可能である。
【0165】
4-2-5.Lリーチ
パチンコ遊技機PY1は、Nリーチの後にLリーチを行うことが可能である。Lリーチは、特図抽選の抽選結果が「大当たり」であった可能性が、SPリーチよりは低いがNリーチよりも高いことを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。なお、Lリーチのリーチ演出の実行時間は、SPリーチのリーチ演出の演出時間よりも短い(
図13および
図14)。よって、Lリーチのリーチ演出では、例えば、SPリーチのリーチ演出よりも短い動画が表示部50aに表示される。なお、Lリーチのリーチ演出の内容は適宜変更可能である。また、Lリーチのリーチ演出の後にSPリーチのリーチ演出が発展的に実行される特図変動パターンを設けてもよい。
【0166】
4-3.保留アイコン表示領域
画像表示装置50の表示部50aには、
図22(A)に示すように、4つの表示領域からなる保留アイコン表示領域50dを設けることが可能である。保留アイコン表示領域50dは、第1表示領域50d1、第2表示領域50d2、第3表示領域50d3および第4表示領域50d4で構成され、特
図1保留数または特
図2保留数に応じて、各表示領域50d1,50d2,50d3,50d4に、保留アイコンHAを表示することが可能である。例えば、特
図1保留数が『1』の場合には、第1表示領域50d1に保留アイコンHAが表示され、特
図1保留数が『2』の場合には、第1表示領域50d1と第2表示領域50d2とに保留アイコンHAが表示される。
【0167】
また、保留アイコン表示領域50dの近傍に、
図22(A)に示すように、1つの表示領域からなる当該アイコン表示領域50eを設けることが可能である。当該アイコン表示領域50eは、特図変動演出が開始されることに応じて、保留アイコンHAと同じ当該アイコンTA(当該保留アイコンTAとも言う)を表示することが可能である。なお、当該アイコンTAとして、保留アイコンHAと異なるアイコンを表示することがあってもよい。
【0168】
なお、保留アイコン表示領域50dを構成する表示領域の数については、適宜に変更することが可能である。また、保留アイコン表示領域50dを、特
図1保留数および特
図2保留数の両方を表示する表示領域とすることも一方だけを表示する表示領域とすることも可能である。また、保留アイコン表示領域50dを設けるが当該アイコン表示領域50eを設けない構成としたり、両者を設けない構成としたりすることも可能である。
【0169】
4-3-1.保留演出
パチンコ遊技機PY1は、遊技球が第1始動口11または第2始動口12に入賞することに応じて、保留演出を行うことが可能である。保留演出は、特
図1保留または特
図2保留の数を遊技者に報知することが可能である。
【0170】
保留演出では、特
図1保留数が『0』のときに遊技球が第1始動口11に入賞すると、特図変動演出が開始され、例えば、
図22(B)に示すように、当該アイコン表示領域50eに当該アイコンTAが表示される。そして、特図変動演出中に更に2個の遊技球が第1始動口11に入賞すると、
図22(C)に示すように、保留アイコン表示領域50dの第1表示領域50d1と第2表示領域50d2とに保留アイコンHAが表示され、特
図1保留数が『2』であることが遊技者に報知される。その後、特図変動演出が終了し、新たな特図変動演出が開始されると、
図22(D)に示すように、保留アイコン表示領域50dの第1表示領域50d1に表示されていた保留アイコンHAが、当該アイコン表示領域50eに移動して当該アイコンTAとして表示され、保留アイコン表示領域50dの第2表示領域50d2に表示されていた保留アイコンHAが、第1表示領域50d1に移動して表示され、特
図1保留数が『1』であることが遊技者に報知される。
【0171】
4-4.予告演出
パチンコ遊技機PY1は、特図変動演出中の任意のタイミングで予告演出を行うことが可能である。予告演出は、画像表示装置50、スピーカ52、枠ランプ53、盤ランプ54、可動装置55,56,58、入力装置(通常ボタン40、特殊ボタン41)等を用いた演出であり、大当たり判定の結果や特図変動パターン判定の結果を示唆することが可能である。
【0172】
4-4-1.可動体演出
パチンコ遊技機PY1は、予告演出として、可動装置55,56,58を用いた可動体演出を行うことが可能である。可動体演出は、可動装置55,56,58を作動させる演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0173】
可動体演出では、例えば、NリーチからSPリーチに発展する際に、
図23(A)に示すように、盤上可動装置55および盤下可動装置56が作動し、盤上可動体55kと盤下可動体56kとが、表示部50a上に重なるように移動して、SPリーチに発展することが示唆される。このとき、表示部50aの盤上可動体55kおよび盤下可動体56kと重なっていないスペースにはエフェクト画像が表示される。その後、
図23(B)に示すように、盤上可動体55kと盤下可動体56kとが、通常の待機状態(初期位置)に戻ってSPリーチに発展する。この可動体演出は、発展演出の一例である。なお、可動体演出については、SPリーチへの発展示唆に限られず、適宜に変更または追加することが可能である。また、可動体演出における可動装置の作動内容は、適宜に変更または追加することが可能である。また、可動体演出において作動させる可動装置は、適宜変更可能である。また、演出が発展しない場合(例えばNハズレ変動の場合)に、所謂ガセ演出として、可動体演出を行うようにすることも可能である。可動体演出を、可動体駆動演出とも言う。
【0174】
4-4-2.操作演出
パチンコ遊技機PY1は、予告演出として、通常ボタン40や特殊ボタン41を用いた操作演出を行うことが可能である。操作演出は、遊技者に通常ボタン40や特殊ボタン41を操作させる演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0175】
操作演出では、例えば、SPリーチにおいて、入力装置(特殊ボタン41)の押下操作が有効な期間(操作有効期間)が発生し、この操作有効期間の発生に伴って、
図24(A)に示すように、特殊ボタン41の操作を促す演出(操作促進演出)が行われる。操作促進演出において、表示部50aに、操作促進画像G30が表示される。操作促進画像G30は、特殊ボタン41を模した画像(特殊ボタン画像G31)と、特殊ボタン41の操作方法(すなわち、押下操作)を表す画像(操作方法指示画像G32)と、操作有効期間の残り時間を表す画像(有効期間画像G33)と、を含む。なお、有効期間画像G33は、おおむね曲線状のプログレスバーからなり、時間の経過に伴って、遊技者が操作有効期間の残り時間を容易に理解できるように変化する。その後、操作有効期間において特殊ボタン41が押下操作されることに応じて、または、操作有効期間において特殊ボタン41が操作されることなく操作有効期間が経過した後、
図24(B)に示すように、盤上可動装置55が作動し、盤上可動体55kが表示部50a上に重なるように移動して、大当たり期待度が示唆される。なお、操作演出については、盤上可動装置55の作動に限られず、適宜に変更または追加することが可能である。また、特殊ボタン41や通常ボタン40といった操作手段(操作部)の操作を促す操作促進演出を、操作指示演出とも言う。
【0176】
4-4-3.先読み演出
パチンコ遊技機PY1は、予告演出として、特図抽選が行われていない特
図1保留または特
図2保留に対する先読み演出を行うことが可能である。先読み演出は、特
図1保留または特
図2保留に対する特図抽選の抽選結果を事前に示唆するための演出として機能する。
【0177】
先読み演出では、例えば、特
図1保留に対する先読み判定の結果が「大当たり」の場合、
図22(C)に示すように、保留アイコン表示領域50dに通常は「〇」で表示される保留アイコンHAを「☆」で表示することがある。また、先読み判定の結果が「ハズレ」の場合に、所謂ガセ演出として、保留アイコンHAを「☆」で表示することがある。このように、保留アイコンHAや当該アイコンTAを通常態様(本形態では「〇」、通常表示態様ともいう)ではなく特殊態様(本形態では例えば「☆」、特殊表示態様ともいう)で表示する先読み演出を、保留変化演出あるいは保留表示変化演出と言う。また、保留アイコンHAや当該アイコンTAを総称して、保留表示あるいは所定のアイコンと言う。本形態では、保留表示として、保留アイコンHAと当該アイコンTAとを表示するが、保留アイコンHAだけを表示し当該アイコンTAを表示しない構成としてもよい。また、保留変化演出において特殊態様の保留表示を行うタイミングは、その保留表示の契機となる始動入賞の発生時であってもよいし、その保留表示のシフト表示時(保留アイコンHAの表示領域を変更したとき)であってもよいし、その保留表示に対応する特図変動(いわゆる当該変動)の実行中(当該アイコンTAとして表示しているとき)であってもよい。また、保留表示の特殊態様には複数の種類があってもよい。
【0178】
なお、先読み演出は、特
図1保留および特
図2保留の両方または一方に対して行うことが可能である。また、先読み演出は、保留アイコンHAの表示態様の変化に限られず、適宜に変更または追加することが可能である。保留変化演出以外の先読み演出としては、例えば、所謂連続予告などが挙げられる。
【0179】
5.遊技制御用マイコン101による遊技の制御
次に
図25~
図26に基づいて遊技制御用マイコン101による遊技の制御について説明する。なお、以下において説明する遊技制御用マイコン101による遊技の制御において登場するカウンタ、タイマ、バッファ等は、遊技用RAM104に設けられている。
【0180】
[1.主制御メイン処理]
主制御基板100に備えられた遊技制御用マイコン101は、パチンコ遊技機PY1が電源投入されると、遊技用ROM103から
図25に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず、電源投入時処理(S001)を行う。電源投入時処理では、遊技用RAM104へのアクセスの許可設定、遊技用CPU102の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定等が行われる。
【0181】
また電源投入時処理(S001)では、遊技制御用マイコン101は、RAMクリアスイッチ191への押下操作に基づく信号を入力すると、RAMクリアを実行する。RAMクリアが実行されると、遊技用RAM104に記憶されている遊技情報(例えば高確率状態などの遊技状態の情報、特図保留の数や大当たりの当否判定結果などの情報)が消去される。これにより、遊技状態は通常遊技状態(低確低ベース状態、低確非時短状態)に設定される。但し、RAMクリアが実行されても、総賞球数記憶部107aに記憶されている総賞球数の情報、総発射球数記憶部107bに記憶されている総発射球数の情報、差玉数記憶部107cに記憶されている差玉数の情報は、クリアされない。
【0182】
電源投入時処理に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、
図10(A)および
図10(B)に示した種々の乱数のカウンタ値を1加算して更新する。各乱数のカウンタ値は上限値に達すると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数のカウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数のうちの少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
【0183】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期で遊技用CPU102に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、メイン側タイマ割り込み処理(S005)は4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による種々の乱数のカウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときに遊技用CPU102に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
【0184】
[2.メイン側タイマ割り込み処理]
次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。
図26に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず入力処理(S102)を実行する。入力処理(S102)では、遊技制御用マイコン101は、例えば、下皿35の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号を取り込み、下皿満杯データとして遊技用RAM104の出力バッファに記憶する。
【0185】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、
図25の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、
図10(A)および
図10(B)に示した各種乱数のカウンタ値の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0186】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、遊技制御用マイコン101は、センサ検出処理(S104)を行い、続いて普通動作処理(S105)を行い、さらに特別動作処理(S107)を行う。センサ検出処理、普通動作処理および特別動作処理については後述する。
【0187】
特別動作処理(S107)に次いで、振分装置16Dを制御するための振分装置制御処理(S108)を行う。なお、振分装置16Dを作動させるのは、第2大入賞装置15Dを用いた特別遊技を行う場合である。但し、振分装置16Dを、電源投入から常に一定動作で作動させてもよい。
【0188】
次に、遊技制御用マイコン101は、出力処理(S112)を実行する。出力処理(S112)では、上記の各処理において主制御基板100の遊技用RAM104に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板120や払出制御基板170等に出力する。
【0189】
その後、遊技制御用マイコン101は、その他の処理(S113)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S113)としては、電源が断たれる際の電源断監視処理、遊技用RAM104に設けられているタイマの更新などが行われる。また、その他の処理(S113)として、遊技者に賞球を払い出す払出制御処理が行われる。払出制御処理では、各入賞口への遊技球の入賞に応じて、賞球要求信号を払出制御基板170に送信する。つまり、払出制御基板170は、賞球要求信号に基づいて、賞球を払い出す。
【0190】
そして、遊技制御用マイコン101は、次に遊技用CPU102に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002~S004の処理を繰り返し実行し(
図25参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)を実行する。
【0191】
[2-1.センサ検出処理]
センサ検出処理(S104)では、一般入賞口センサ処理、ゲートセンサ処理、第2始動口センサ処理、第1始動口センサ処理、第1大入賞口センサ処理、第2大入賞口センサ処理、特定領域センサ処理、排出口センサ処理を順次行う。そして、各処理において生成されたコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。
【0192】
一般入賞口センサ処理では、一般入賞口センサ10aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。また、当該処理の結果に応じて、一般入賞口センサ用コマンドを生成する。
【0193】
ゲートセンサ処理では、ゲートセンサ13aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。遊技球が検出されたと判定されると、普通図柄乱数カウンタのカウンタ値が示す普通図柄乱数を取得し、取得した普通図柄乱数を、遊技用RAM104に設けられた普図保留記憶部106に記憶する。なお、普図保留記憶部106に普通図柄乱数が所定数(例えば4個)記憶されている場合には、新たに取得された普通図柄乱数は記憶されない。また、当該処理の結果に応じて、ゲートセンサ用コマンドを生成する。
【0194】
第2始動口センサ処理では、第2始動口センサ12aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。遊技球が検出されたと判定されると、特別図柄乱数カウンタ、図柄種別乱数カウンタ、リーチ乱数カウンタ及び特図変動パターン乱数カウンタからなる特
図2関係乱数を取得し、取得した特
図2関係乱数を、遊技用RAM104に設けられた特
図2保留記憶部105bに記憶する。特
図2保留記憶部105bは、第1領域から第n領域まで(nは2以上の整数、例えば「4」)の複数の記憶領域があり、取得された特
図2関係乱数は、第1領域から順に記憶される。なお、第n領域まで特
図2関係乱数が記憶されている場合には、新たに取得された特
図2関係乱数は記憶されない。また、取得した特
図2関係乱数と第2先読み判定テーブルとを用いて第2先読み判定を行う。また、当該処理の結果に応じて、特
図2保留記憶部105bに記憶されている特
図2関係乱数の数(特
図2保留数)を表す特
図2保留数コマンドおよび第2先読み判定の結果を表す第2始動入賞コマンドを含む第2始動口センサ用コマンドを生成する。
【0195】
第1始動口センサ処理では、第1始動口センサ11aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。遊技球が検出されたと判定されると、特別図柄乱数カウンタ、図柄種別乱数カウンタ、リーチ乱数カウンタ及び特図変動パターン乱数カウンタからなる特
図1関係乱数を取得し、取得した特
図1関係乱数を、遊技用RAM104に設けられた特
図1保留記憶部105aに記憶する。特
図1保留記憶部105aは、第1領域から第n領域まで(nは2以上の整数、例えば「4」)の複数の記憶領域があり、取得された特
図1関係乱数は、第1領域から順に記憶される。なお、第n領域まで特
図1関係乱数が記憶されている場合には、新たに取得した特
図1関係乱数は記憶されない。また、取得した特
図1関係乱数と第1先読み判定テーブルとを用いて第1先読み判定を行う。また、当該処理の結果に応じて、特
図1保留記憶部105aに記憶されている特
図1関係乱数の数(特
図1保留数)を表す特
図1保留数コマンドおよび第1先読み判定の結果を表す第1始動入賞コマンドを含む第1始動口センサ用コマンドを生成する。
【0196】
第1大入賞口センサ処理では、第1大入賞口センサ14aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。また、当該処理の結果に応じた第1大入賞口センサ用コマンドを生成する。
【0197】
第2大入賞口センサ処理では、第2大入賞口センサ15aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。また、当該処理の結果に応じた第2大入賞口センサ用コマンドを生成する。
【0198】
特定領域センサ処理では、特定領域センサ16aによって遊技球が検出されたか否か判定する。また、当該処理の結果に応じて、特定領域センサ用コマンドを生成する。
【0199】
排出口センサ処理では、排出口センサによって遊技球が検出されたか否か判定する。
【0200】
[2-2.普通動作処理]
普通動作処理(S105)では、普通図柄待機処理、普通図柄変動処理、普通図柄確定処理、補助遊技制御処理を順次行う。そして、各処理において生成されたコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。
【0201】
普通図柄待機処理は、普図の可変表示および補助遊技が行われていない待機中に行われる処理である。普通図柄待機処理では、普図保留記憶部106に記憶された普通図柄乱数に基づいて当たり判定を行う。また、現在の遊技状態に基づいて普図変動パターン判定を行って普図変動パターンを決定する。そして、当たり判定および普図変動パターンの結果に関する情報を含む普図変動開始コマンドを生成する。それから、決定した普図変動パターンに対応付けられた普図変動時間に基づいて、普図の可変表示を普図表示器82に開始させる。
【0202】
普通図柄変動処理は、普図の可変表示中に行われる処理である。普通図柄変動処理では、実行中の普図の可変表示が開始してから普図変動時間が経過することに応じて、当たり判定結果に基づいて普図の停止表示を行う。そして、普図の可変表示の終了を示す普図変動停止コマンドを生成する。
【0203】
普通図柄確定処理は、普図が停止表示しているときに行われる処理である。普通図柄確定処理では、実行中の普図の停止表示が開始してから所定の停止時間(例えば、0.8秒)が経過することに応じて、停止表示している普図が当たり図柄であるか否かを判定する。当たり図柄が停止表示していれば、現在の遊技状態および補助遊技制御テーブルに基づいて補助遊技を開始させ、補助遊技の開始を示す補助遊技開始コマンドを生成する。
【0204】
補助遊技制御処理は、補助遊技が行われているときに行われる処理である。補助遊技制御処理では、現在の遊技状態および補助遊技制御テーブルに基づいて補助遊技を制御する。また、当該処理の結果に応じて、補助遊技制御用コマンドを生成する。
【0205】
[2-3.特別動作処理]
特別動作処理(S107)では、特別図柄待機処理、特別図柄変動処理、特別図柄確定処理、大当たり遊技制御処理、遊技状態設定処理を順次行う。そして、各処理において生成されたコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。
【0206】
[2-3-1.特別図柄待機処理]
特別図柄待機処理は、大当たり遊技状態ではなく、特図の可変表示が行われていない待機中に行われる処理である。特別図柄待機処理では、特
図2保留記憶部105bに記憶されている特
図2関係乱数に基づいて、特
図2判定処理及び特
図2変動パターン判定処理を行うとともに、特
図2保留記憶部シフト処理を行う。また、特
図1保留記憶部105aに記憶されている特
図1関係乱数に基づいて、特
図1判定処理及び特
図1変動パターン判定処理を行うとともに、特
図1保留記憶部シフト処理を行う。
【0207】
特
図2判定処理では、特
図2保留記憶部105bの第1領域に記憶されていた特
図2関係乱数のうちの特別図柄乱数と、現在の遊技状態に応じた大当たり判定テーブルとを用いて、大当たり、または、ハズレの何れであるかを判定する大当たり判定を行う。大当たり判定の結果が大当たりであれば、特
図2関係乱数のうちの図柄種別乱数と、特
図2大当たり図柄種別判定テーブルとを用いて、大当たり図柄の種別を判定する大当たり図柄種別判定を行う。そして、判定された大当たり図柄種別を表す図柄指定コマンドを生成する。また、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレを表す図柄指定コマンドを生成する。なお、ハズレの種別を複数設け、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレ図柄の種別を判定するようにしてもよい。この場合、図柄指定コマンドにはハズレ図柄の種別を示す情報を含ませるとよい。
【0208】
特
図2変動パターン判定処理は、特
図2判定処理の後に行われる処理である。特
図2変動パターン判定処理では、特
図2保留記憶部105bの第1領域に記憶されていた特
図2関係乱数のうちの特図変動パターン乱数と、現在の遊技状態に応じた特
図2変動パターン判定テーブルとを用いて、特
図2変動パターンを判定する。大当たり判定の結果がハズレであった場合の特
図2変動パターン判定処理では、リーチ判定がなされ、そのリーチ判定の結果に応じて、特
図2変動パターンが判定される。なお、特
図2変動パターンの判定は、特
図2保留記憶部105bに記憶されている特
図2関係乱数の数(特
図2保留数)にも関連付けられている。そして、判定された特
図2変動パターンを表す特
図2変動開始コマンドを生成する。特
図2変動開始コマンドには、特
図2であることに関する情報、大当たり判定の結果に関する情報、大当たり図柄種別判定の結果に関する情報、リーチ判定の結果に関する情報、特
図2変動パターンに対応付けられた特図変動時間の情報などが含まれる。そして、判定された特
図2変動パターンに対応付けられた特図変動時間に基づいて特
図2表示器81bに特
図2の可変表示を開始させる。
【0209】
特
図2保留記憶部シフト処理は、特
図2判定処理及び特
図2変動パターン判定処理が行われる際に行われる処理である。特
図2保留記憶部シフト処理では、特
図2保留記憶部105bに記憶されていた特
図2関係乱数を第1領域側に一つシフトするとともに、第1領域の特
図2関係乱数を特
図2保留記憶部105bからクリアする。このようにして、特
図2関係乱数は取得された順に消化される。そして、当該処理後の特
図2保留数を表す特
図2保留数コマンドを生成する。
【0210】
特
図1判定処理では、特
図1保留記憶部105aの第1領域に記憶されていた特
図1関係乱数のうちの特別図柄乱数と、現在の遊技状態に応じた大当たり判定テーブルとを用いて、大当たり、または、ハズレの何れであるかを判定する大当たり判定を行う。大当たり判定の結果が大当たりであれば、特
図1関係乱数のうちの図柄種別乱数と、特
図1大当たり図柄種別判定テーブルとを用いて、大当たり図柄の種別を判定する大当たり図柄種別判定を行う。そして、判定された大当たり図柄種別を表す図柄指定コマンドを生成する。また、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレを表す図柄指定コマンドを生成する。なお、ハズレの種別を複数設け、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレ図柄の種別を判定するようにしてもよい。この場合、図柄指定コマンドにはハズレ図柄の種別を示す情報を含ませるとよい。
【0211】
特
図1変動パターン判定処理は、特
図1判定処理の後に行われる処理である。特
図1変動パターン判定処理では、特
図1保留記憶部105aの第1領域に記憶されていた特
図1関係乱数のうちの特図変動パターン乱数と、現在の遊技状態に応じた特
図1変動パターン判定テーブルとを用いて、特
図1変動パターンを判定する。大当たり判定の結果がハズレであった場合の特
図1変動パターン判定処理では、リーチ判定がなされ、そのリーチ判定の結果に応じて、特
図1変動パターンが判定される。なお、特
図1変動パターンの判定は、特
図1保留記憶部105aに記憶されている特
図1関係乱数の数(特
図1保留数)にも関連付けられている。そして、判定された特
図1変動パターンを表す特
図1変動開始コマンドを生成する。特
図1変動開始コマンドには、特
図1であることに関する情報、大当たり判定の結果に関する情報、大当たり図柄種別判定の結果に関する情報、リーチ判定の結果に関する情報、特
図1変動パターンに対応付けられた特図変動時間の情報などが含まれる。そして、判定された特
図1変動パターンに対応付けられた特図変動時間に基づいて特
図1表示器81aに特
図1の可変表示を開始させる。
【0212】
特
図1保留記憶部シフト処理は、特
図1判定処理及び特
図1変動パターン判定処理が行われる際に行われる処理である。特
図1保留記憶部シフト処理では、特
図1保留記憶部105aに記憶されていた特
図1関係乱数を第1領域側に一つシフトするとともに、第1領域の特
図1関係乱数を特
図1保留記憶部105aからクリアする。このようにして、特
図1関係乱数は取得された順に消化される。そして、当該処理後の特
図1保留数を表す特
図1保留数コマンドを生成する。
【0213】
なお、特
図2保留数および特
図1保留数の何れも存在する場合、特
図2判定処理が優先して行われ、特
図2の可変表示と特
図1の可変表示とが並行して行われないようになっている。つまり、遊技制御用マイコン101は、特
図2保留がある場合には、特
図1保留があっても特
図1判定処理を行うことはない。なお、特
図2の可変表示と特
図1の可変表示とが入賞順に行われるように構成したり、同時に行われるように構成したりしてもよい。
【0214】
[2-3-2.特別図柄変動処理]
特別図柄変動処理は、特図の可変表示中に行われる処理である。特別図柄変動処理では、特図変動時間が経過することに応じて、特図表示器81に、特図の可変表示を終了させるとともに、大当たり判定の結果に応じた特図を停止表示させる。大当たり判定の結果が大当たりであれば、大当たりを示す大当たり図柄を停止表示させ、大当たり判定の結果がハズレであれば、ハズレを示すハズレ図柄を停止表示させる。そして、特図の可変表示の終了を示す特図変動停止コマンドを生成する。
【0215】
[2-3-3.特別図柄確定処理]
特別図柄確定処理は、特図が停止表示しているときに行われる処理である。特別図柄確定処理では、現在停止表示している特図が大当たり図柄である場合には、大当たり遊技状態に移行させる。そして、大当たり遊技の開始を示すオープニングコマンドを生成する。オープニングコマンドには、大当たり図柄種別判定の結果に関する情報が含まれる。また、現在停止表示している特図がハズレ図柄であり且つ高確率状態を終了させる場合には、通常確率状態を設定する。そして、通常確率状態への移行を示す高確率終了コマンドを生成する。また、現在停止表示している特図がハズレ図柄であり且つ時短状態を終了させる場合には、非時短状態を設定する。そして、非時短状態への移行を示す時短終了コマンドを生成する。なお、現在停止表示している特図がハズレ図柄であり且つ特
図2保留数および特
図1保留数が「0」の場合には、パチンコ遊技機PY1が待機状態であることを示す客待ちコマンドを生成する。
【0216】
[2-3-4.大当たり遊技制御処理]
大当たり遊技制御処理は、大当たり遊技状態において行われる処理である。大当たり遊技制御処理では、大当たり遊技制御テーブルに従って、大当たり遊技を行う。大当たり遊技状態への移行後、オープニング時間または閉鎖時間の経過に応じて、各ラウンド遊技を開始する。そして、ラウンド遊技の開始を示すラウンド遊技コマンドを生成する。また、最終のラウンド遊技を終了させることに応じて、エンディングを開始する。そして、大当たり遊技の終了を示すエンディングコマンドを生成する。エンディングコマンドには、大当たり図柄種別判定の結果に関する情報が含まれる。
【0217】
[2-3-5.遊技状態設定処理]
遊技状態設定処理は、大当たり遊技状態が終了する際に行われる処理である。遊技状態設定処理では、通常確率状態から高確率状態に変更する場合は、大当たり遊技状態の終了の際に高確率状態を設定する。高確率状態の継続期間を制限する場合には、高確率状態の継続期間(例えば、大当たりに当選することなく高確率状態が継続できる特図の可変表示の回数)も併せて設定する。そして、高確率状態の設定を示す高確率設定コマンドを生成する。また、非時短状態から時短状態に変更する場合は、大当たり遊技状態の終了の際に時短状態を設定する。時短状態の継続期間を制限する場合には、時短状態の継続期間(例えば、大当たりに当選することなく時短状態が継続できる特図の可変表示の回数)も併せて設定する。そして、時短状態の設定を示す時短設定コマンドを生成する。
【0218】
なお、遊技制御用マイコン101が各処理において生成するコマンドは、適宜に追加または変更することが可能である。
【0219】
6.演出制御用マイコン121による演出の制御
次に、
図27~
図29に基づいて演出制御用マイコン121による演出の制御について説明する。なお、以下の演出制御用マイコン121による演出の制御の説明において登場するカウンタ、タイマ、フラグ、バッファ等は、演出用RAM124に設けられている。
【0220】
[1.サブ制御メイン処理]
サブ制御基板120に備えられた演出制御用マイコン121は、パチンコ遊技機PY1が電源投入されると、
図27に示したサブ制御メイン処理のプログラムを演出用ROM123から読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、最初に、電源投入に応じた電源投入時処理を行う(S4001)。電源投入時処理では、例えば、演出用CPU122の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
【0221】
次に、割り込みを禁止し(S4002)、乱数更新処理を実行する(S4003)。乱数更新処理(S4003)では、種々の演出に関する判定を行うための種々の演出判定用乱数カウンタの値を更新する。種々の演出についての演出判定用乱数カウンタの更新方法は、一例として、前述の主制御基板100が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板100が行う乱数更新処理においても同様である。
【0222】
乱数更新処理が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4004)。コマンド送信処理では、サブ制御基板120の演出用RAM124内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板140に送信する。コマンドを受信した画像制御基板140は、受信したコマンドに従って、表示部50aに画像を表示する(画像による種々の演出を実行する)。なお、サブ制御基板120は、画像制御基板140によって行われる種々の演出とともに、音声制御回路161を介してスピーカ52から音声を出力させたり(音声による種々の音演出を実行したり)、ランプ制御回路151を介して枠ランプ53、および盤ランプ54を発光させたり(発光による種々の発光演出を実行したり)、可動装置55,56,58を作動させたり(動作による種々の可動体演出を実行したり)する。このようにして、各種の演出(特図変動演出、保留演出、操作演出、先読み演出、その他の予告演出、大当たり遊技演出、客待ち演出、演出モードの制御など)が実現される。
【0223】
演出制御用マイコン121は続いて、割り込みを許可する(S4005)。以降、ステップS4002~ステップS4005をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4010)、1msタイマ割り込み処理(S4011)、および10msタイマ割り込み処理(S4012)の実行が可能となる。
【0224】
受信割り込み処理(S4010)は、主制御基板100から送られた各種のコマンドが演出制御用マイコン121に入力される度に実行される。受信割り込み処理(S4010)では、演出制御用マイコン121は主制御基板100の出力処理(S112)により送信されてきて受信した各種のコマンドを演出用RAM124の受信バッファに格納する。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4011、S4012)に優先して実行される。
【0225】
[2.1msタイマ割り込み処理]
1msタイマ割り込み処理(S4011)は、サブ制御基板120に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。1msタイマ割り込み処理(S4011)では、
図28に示すように、入力処理(S4101)、発光データ出力処理(S4102)、可動装置制御処理(S4103)、ウォッチドッグタイマ処理(S4104)を順次行う。
【0226】
入力処理では、通常ボタン検出スイッチ40aや特殊ボタン検出スイッチ41aなどの遊技者が操作可能な操作部に対する操作を検出し、検出結果に応じてコマンドをセットしたり演出用データを作成したりする。発光データ出力処理では、入力処理や後述する演出データ作成処理等で作成された演出用データに基づいて、画像による演出等に合うタイミングなどで枠ランプ53、および盤ランプ54などのランプを発光させるべく、発光データをランプ制御回路151に出力する。つまり、演出制御用マイコン121は、発光データに従って枠ランプ53、および盤ランプ54などを所定の発光態様で発光させる。可動装置制御処理では、入力処理や後述する演出データ作成処理等で作成された演出用データに基づいて、所定のタイミングで可動装置55,56,58などの可動装置を動作させる可動体演出を行うべく、駆動データを出力する。つまり、演出制御用マイコン121は、駆動データに従って、可動装置55,56,58などを所定の動作態様で動作させる可動体演出を行う。ウォッチドッグタイマ処理では、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行う。
【0227】
[3.10msタイマ割り込み処理]
10msタイマ割り込み処理(S4012)は、サブ制御基板120に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。10msタイマ割り込み処理(S4012)では、
図29に示すように、受信コマンド解析処理(S4201)、演出タイマ更新処理(S4202)、音声制御処理(S4203)、演出用データ作成処理(S4204)を順次行う。
【0228】
受信コマンド解析処理では、受信割り込み処理(S4010)によって演出用RAM124の受信バッファに格納されたコマンドを解析し、そのコマンドに応じた処理(例えば演出の選択や演出モードの設定、コマンドのセット等)を行う。演出タイマ更新処理では、各演出に関する時間を計測するためのタイマを更新する。例えば、演出タイマ更新処理では、通常ボタン40や特殊ボタン41といった操作部の操作有効期間の開始タイミングや終了タイミングを計測する。音声制御処理では、入力処理や受信コマンド解析処理の処理結果に基づいて、音声データ(スピーカ52からの音声の出力を制御するデータ)の作成と音声制御回路161への出力が行われる。演出用データ作成処理では、受信コマンド解析処理の処理結果に基づいて、演出用データの作成が行われる。
【0229】
ここで、演出制御用マイコン121が遊技制御用マイコン101からコマンドを受信した場合の処理の一例を説明する。演出制御用マイコン121が受信するコマンドは、特図変動開始コマンド(特
図1変動開始コマンド又は特
図2変動開始コマンド)とする。演出制御用マイコン121は、受信コマンド解析処理(S4201)において、特図変動開始コマンドを受信していると判定した場合、変動開始コマンド受信時処理として、そのコマンドが示す特図変動パターンに基づいて、特図変動演出の演出パターン(サブ変動パターン)を選択し、そのサブ変動パターンの情報をセットするとともに、そのサブ変動パターンの情報を含む変動演出開始コマンドを出力バッファにセットする。例えば、特図変動開始コマンドが示す特図変動パターンがSP変動(SP大当たり変動やSPハズレ変動)である場合、SPリーチを行うサブ変動パターンを選択し、そのサブ変動パターンに対応する変動演出開始コマンドを出力バッファにセットする。その後、各処理(コマンド送信処理(S4004)、発光データ出力処理(S4102)、可動装置制御処理(S4103)、音声制御処理(S4203)など)が実行されることで、選択したサブ変動パターンに対応する特図変動演出が実現される。なお、このような演出の実現に関する処理の流れは、大当たり遊技演出や客待ち演出、先読み演出、所謂当該変動に伴う予告演出などの他の演出についても基本的には同じである。
【0230】
7.第1実施形態のパチンコ遊技機
7-1.第1実施形態の構成
以下、特徴的な構成を有する第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1について、上述の基本形態のパチンコ遊技機PY1と異なる箇所を中心に詳細に説明する。第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1は、第2大入賞口15を開放する小当たり遊技を実行可能であり、第2大入賞口15内の特定領域16に遊技球が通過したことに基づいて大当たり遊技を実行することが可能な所謂1種2種混合機である。なお、特図抽選(特
図1の抽選や特
図2の抽選)において大当たり当選と判定されたことに基づいて実行される大当たり遊技を1種大当たり遊技と称し、特図抽選において小当たり当選と判定され、小当たり当選に基づく小当たり遊技において特定領域16を遊技球が通過したことに基づいて実行される大当たり遊技を2種大当たり遊技と称する。1種2種混合機は、1種大当たり遊技を実行することも2種大当たり遊技を実行することもある遊技機である。
【0231】
第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1は、非時短状態(非特典遊技状態の一例)と、非時短状態よりも電チュー12Dに係る第2始動口12へ遊技球が入球し易い設定の時短状態(特典遊技状態の一例)とに制御可能である。第1実施形態において制御可能な時短状態には、複数の種類(時短状態A、時短状態B)がある。時短状態A(第2特典遊技状態の一例)と時短状態B(第1特典遊技状態の一例)とでは、電チュー12Dに係る第2始動口12への入球し易さに関する設定(普通図柄の変動時間、電チュー12Dの開放パターンなど)が互いに異なる。また、時短状態Aと時短状態Bとでは、時短状態の終了条件(時短状態における特図変動の上限回数(時短回数)など)が互いに異なる。
【0232】
第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1は、複数種類の時短状態のうちの1つである時短状態Aに設定されている場合には、先読み判定の結果に基づく先読み演出(事前演出)である保留表示変化演出を実行することはないが、時短状態Aとは異なる時短状態Bに設定されている場合には、保留表示変化演出を実行可能である。この点が、第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1の特徴の1つである。
【0233】
図30~
図34は、パチンコ遊技機PZ1が用いる各種のテーブルを示している。パチンコ遊技機PZ1は、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得した特別図柄乱数(数値範囲は0~65536)を、
図30(A)に示す大当たり判定テーブルに従って判定することにより、大当たりか否か、及び、小当たりか否かを決定する。
図30(A)に示すように、第1始動口11への入賞に基づく第1特別図柄(特
図1)の抽選では、所定の確率(約1/320)で大当たり(1種大当たり)に当選するが、小当たりに当選することはない。一方、第2始動口12への入賞に基づく第2特別図柄(特
図2)の抽選では、所定の確率(約1/7)で小当たりに当選するが、大当たり(所謂直撃大当たり)に当選することはない。小当たりに当選した場合、第2大入賞口15を開放する小当たり遊技が行われる。小当たり遊技では、正しく遊技していれば必ず、特定領域16に遊技球を通過させることが可能となっている。つまり特
図2の抽選に基づいて大当たり遊技が実行される確率は、小当たり当選確率と同じ確率である。
【0234】
パチンコ遊技機PZ1は、大当たり当選と判定した場合、図柄種別乱数(数値範囲は0~199)を、
図30(B)に示す大当たり図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、大当たり図柄の種別を決定する。特
図1の抽選では、80%の割合で、「特
図1_大当たり図柄A」に決定し、20%の割合で、「特
図1_大当たり図柄B」に決定する。なお、特
図2の抽選の結果に大当たり(1種大当たり)は含まれない。当選した大当たり図柄の種別が異なると、1種大当たり遊技における大入賞口の開放パターン及び大当たり遊技後の遊技状態に関する設定の少なくとも1つが異なる(
図31参照)。
【0235】
またパチンコ遊技機PZ1は、小当たり当選と判定した場合、図柄種別乱数を、
図30(C)に示す小当たり図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、小当たり図柄の種別を決定する。具体的には特
図2の抽選では、25%の割合で、「特
図2_小当たり図柄a」に決定し、50%の割合で、「特
図2_小当たり図柄b」に決定し、25%の割合で、「特
図2_小当たり図柄c」に決定する。なお、特
図1の抽選結果に小当たりは含まれない。当選した小当たり図柄の種別が異なると、小当たり遊技や2種大当たり遊技における大入賞口の開放パターン及び大当たり遊技後の遊技状態に関する設定の少なくとも1つが異なる(
図31参照)。
【0236】
またパチンコ遊技機PZ1は、大当たりにも小当たりにも当選していないと判定した場合(つまりハズレと判定した場合)、リーチ乱数(数値範囲は0~255)を、
図30(D)に示すリーチ判定テーブルに従って判定することにより、変動演出において演出図柄EZ1,EZ2,EZ3をリーチにするか否かを決定することが可能である。リーチ有りと判定される確率は、遊技状態が時短状態であるか否かによって異なっている。時短状態でないとき(非時短状態であるとき)の方が、時短状態であるときよりも、リーチ有りと判定される確率が高い。
【0237】
次に、大当たりの種類、小当たりの種類について、
図31に基づいて詳細に説明する。上述したように、特図抽選(特
図1の抽選や特
図2の抽選)の結果には、「大当たり」、「小当たり」、「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特図表示器81に「大当たり図柄」が停止表示される。大当たり図柄には、「特
図1_大当たり図柄A」、「特
図1_大当たり図柄B」がある。また、「小当たり」のときには、特図表示器81に「小当たり図柄」が停止表示される。小当たり図柄には、「特
図2_小当たり図柄a」、「特
図2_小当たり図柄b」、「特
図2_小当たり図柄c」がある。「はずれ」のときには、特図表示器81に「ハズレ図柄」が停止表示される。
【0238】
特図抽選(特別図柄抽選)にて大当たりに当選すると、停止表示された大当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第1大入賞口14を開放させる「大当たり遊技」が実行される。小当たりに当選すると、停止表示された小当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第2大入賞口15を開放させる「小当たり遊技」が実行される。そして、小当たり遊技の実行中に第2大入賞口15内の特定領域16に遊技球が進入すると、当選している小当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第1大入賞口14を開放させる「大当たり遊技」が実行される。特別図柄抽選の結果が大当たり当選であることに基づいて実行される大当たり遊技を1種大当たり遊技と称し、特定領域16への通過に基づいて実行される大当たり遊技を2種大当たり遊技と称する。
【0239】
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
【0240】
また小当たり遊技は、本形態では、第2大入賞口15を開放する小当たり開放遊技と、小当たり開放遊技が開始される前のオープニング(開放前インターバル)と、小当たり開放遊技が終了した後のエンディング(閉鎖後インターバル)とを含んでいる。
【0241】
特別図柄抽選の結果、大当たりに当選すると(つまり1種大当たりに当選すると)、第1大入賞口14を開放させる大当たり遊技(1種大当たり遊技)が実行される。本形態では
図31に示すように、第1特別図柄(特
図1)の抽選で当選可能な大当たり図柄(特
図1表示器81aに停止表示される大当たり図柄)の種別には2種類ある。具体的には特
図1の抽選では、「特
図1_大当たり図柄A」、「特
図1_大当たり図柄B」に当選する可能性がある。
【0242】
図31に示すように、「特
図1_大当たり図柄A」、及び「特
図1_大当たり図柄B」は、4R(ラウンド)大当たりであり、1Rあたりの第1大入賞口14の開放回数は1回であり、その最大開放時間は29.5秒である。「大当たり図柄A」(振分率80%)に当選した場合の大当たり遊技後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」であれば「時短状態A」であり、当選時の遊技状態が「時短状態A」あるいは「時短状態B」であれば「時短状態B」である。また、「大当たり図柄B」に当選した場合の大当たり遊技後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」、「時短状態A」及び「時短状態B」の何れであっても「時短状態B」である。このように本形態では、非時短状態において特
図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には80%の割合で時短状態Aに設定され、20%の割合で時短状態Bに設定される。また、時短状態Aあるいは時短状態Bにおいて特
図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には100%の割合で時短状態Bに設定される。
図31に示すように、時短状態Aと時短状態Bとでは、時短状態の終了条件の1つである時短回数(時短状態における特図変動の上限回数)が異なる。時短状態Aは、時短回数が6回に設定され、特
図2の変動が6回行われると終了する。これに対して、時短状態Bは、時短回数が11回に設定され、特
図2の変動が11回行われると終了する。ここで本形態では、時短回数のカウント対象は特
図2の変動だけであり、時短状態において特
図1の変動が行われても残りの時短回数が減算されないようになっているものとする。時短回数のカウント対象を特
図2と特
図1の両方としてもよい。また、特
図2を対象とする時短回数と特
図1を対象とする時短回数とを別々に設け、何れかの変動回数が規定の時短回数に到達した場合には時短状態を終了する構成としてもよい。
【0243】
また特別図柄抽選の結果、小当たりに当選すると、第2大入賞口15を1回開放させる小当たり遊技が実行される。小当たり遊技によって開放された第2大入賞口15へ遊技球が入賞し、その遊技球が第2大入賞装置15D内の特定領域16を通過した場合には、大当たり当選となり、続けて第1大入賞口14を開放させる大当たり遊技(2種大当たり遊技)が実行される。この大当たり遊技(特定領域16への通過を契機とする大当たり遊技)が実行された場合には、小当たり遊技としての第2大入賞口15の開放が1R目に相当することになる。なお、小当たり遊技において特定領域16への遊技球の通過がなければ、大当たり遊技は実行されない。本明細書では、大当たり遊技や小当たり遊技を特別遊技と称することもある。なお、特別遊技においては1ラウンド中に複数回大入賞口を開放させるラウンドがあってもよい。
【0244】
本形態では
図31に示すように、特
図2の抽選で当選可能な小当たり図柄(特
図2表示器81bに停止表示される小当たり図柄)の種別は3種類である。具体的には特
図2の抽選では、「特
図2_小当たり図柄a」、「特
図2_小当たり図柄b」及び「特
図2_小当たり図柄c」に当選する可能性がある。
【0245】
「小当たり図柄a」、「小当たり図柄b」及び「小当たり図柄c」は、正しく遊技する限り、特定領域16への通過(V通過ともいう)が必ず可能な小当たりである。つまり本形態では、特
図2の抽選に基づく小当たり当選は、実質的には大当たり当選と同じ意味をもつ。
【0246】
各種別の小当たり図柄に基づく小当たり遊技では、第2大入賞口15の1.6秒開放が1回行われる。また、各小当たり遊技におけるオープニングの時間は、0.008秒である。また、特定領域16への遊技球の通過に基づいて実行される大当たり遊技(2種大当たり遊技)では、「小当たり図柄a」に基づく2種大当たり遊技でも、「小当たり図柄b」に基づく2種大当たり遊技でも、「小当たり図柄c」に基づく2種大当たり遊技でも、2R目から10R目まで1Rあたり1回、最大開放時間を29.5秒として第1大入賞口14を開放させる。つまり実質的に9Rの2種大当たり遊技が実行される。
【0247】
「小当たり図柄a」(振分率25%)に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」、「時短状態A」、「時短状態B」の何れであっても、「時短状態B」である。また、「小当たり図柄b」(振分率50%)に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」あるいは「時短状態B」であれば「時短状態B」であるが、当選時の遊技状態が「時短状態A」であれば「時短状態A」である。また、「小当たり図柄c」(振分率25%)に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」あるいは「時短状態B」であれば「時短状態B」であるが、当選時の遊技状態が「時短状態A」であれば「非時短状態」である。1種大当たり遊技の終了後と同様、時短状態Aは、時短回数が6回に設定され、特
図2の変動が6回行われると終了し、時短状態Bは、時短回数が11回に設定され、特
図2の変動が11回行われると終了する。ここで、特
図2の抽選における小当たり当選確率(実質的な大当たり当選確率)は約1/7(
図30(A)参照)であり、当選時の遊技状態が時短状態Bである場合には必ず再び時短状態Bに制御されるため、時短回数11回の時短状態Bに制御された場合の方が、時短回数6回の時短状態Aに制御された場合よりも、特
図2の抽選に基づいて次の大当たり遊技が実行されて再び時短状態に設定される割合が高い。すなわち、時短状態Bは時短状態Aに比べて時短状態の継続率が高いと言える。
【0248】
ここで、本形態のパチンコ遊技機PZ1の遊技状態について説明する。本形態では、遊技状態として、非時短状態と時短状態とがある。非時短状態を通常遊技状態とも称する。工場出荷後に初めてパチンコ遊技機PZ1の電源が投入されたとき(電源スイッチ193のON操作をしたとき)の遊技状態は、非時短状態(通常遊技状態)である。その後は、電源が遮断されたとき(電源スイッチ193のOFF操作をしたとき)の遊技状態が、次回の電源投入時の遊技状態となる。電源投入に際してRAMクリアスイッチ191が押されている場合(すなわちRAMクリア操作がなされた場合)は、遊技用RAM104の情報がクリアされるため、遊技状態が非時短状態に設定される。
【0249】
時短状態は、非時短状態と比べて、電チュー12Dに遊技球が入賞し易い設定の遊技状態である。時短状態の種類には、大別して、時短状態A、時短状態Bの2つがある。
【0250】
時短状態の種類が異なると、普通図柄の変動パターン(普通図柄変動パターン)や電チュー12Dの開放パターン等、電チュー12Dへの入賞し易さに関わる各種パラメータの設定が異なる。詳細には、本形態では
図32(A)に示すように、時短状態(時短状態A、時短状態B)における普通図柄抽選の当選確率は、非時短状態における普通図柄の当選確率と同じである。具体的には本形態では、非時短状態、時短状態A、時短状態Bのいずれの遊技状態においても、普通図柄抽選で当たりと判定される確率は、65535/65536に設定されている。つまり、いずれの遊技状態においても普通図柄抽選では、ほぼ当たりと判定される。なお、大当たり遊技の終了後の時短状態では、普通図柄抽選の当選確率が非時短状態よりも高くなる構成(言い換えれば時短状態では普図表示器82の確率変動機能が作動する構成)としてもよい。
【0251】
また時短状態(時短状態A、時短状態B)では、
図32(B)に示すように、普通図柄の変動時間が、非時短状態よりも短くなる。具体的には本形態では、普通図柄の変動時間は、非時短状態では60秒であるが、時短状態Aでは2秒であり、時短状態Bでは1秒である。すなわち時短状態では、普図表示器82の変動時間短縮機能が作動する。なお、普通図柄の停止時間は、いずれの遊技状態であっても0.5秒である。
【0252】
また時短状態(時短状態A、時短状態B)では、
図32(C)に示すように、補助遊技における電チュー12Dの開放時間が、非時短状態よりも長くなる。具体的には本形態では、電チュー12Dの開放時間は、非時短状態では1回あたり0.05秒であるが、時短状態Aでは1.5秒であり、時短状態Bでは2.5秒である。すなわち時短状態では、電チュー12Dの開放時間延長機能が作動する。
【0253】
また時短状態では、
図32(C)に示すように、補助遊技における電チュー12Dの開放回数が、非時短状態よりも多くなる。具体的には本形態では、電チュー12Dの開放回数は、非時短状態では1回であるが、時短状態Aおよび時短状態Bでは2回である。すなわち時短状態では、電チュー12Dの開放回数増加機能が作動する。
【0254】
ここで非時短状態では、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなるものの、普通図柄の変動時間が60秒と長く、補助遊技における電チュー12Dの開放は0.05秒の開放が1回と極短時間である。よって非時短状態では、電チュー12Dが開放されてもそのタイミングで第2始動口12に遊技球が入球することは難しい。
【0255】
これに対して時短状態Aでは、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなり、普通図柄の変動時間も2秒と短く、また、補助遊技における電チュー12Dの開放は1.5秒の開放が2回と十分に長い。また、時短状態Bでは、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなり、普通図柄の変動時間も1秒と時短状態Aよりもさらに短く、また、補助遊技における電チュー12Dの開放は2.5秒の開放が2回と時短状態Aよりもさらに長い。よって時短状態Aや時短状態Bでは、右打ち(ゲート13への通過が見込める打方)にて遊技を行うことで、電チュー12Dへの入賞が頻繁に生じ得る。すなわち、時短状態A及び時短状態Bは共に、非時短状態と比べて、電チュー12Dへの入賞が容易な設定の遊技状態であると言える。なお、時短状態Aと時短状態Bとを比べた場合には、時短状態Aよりも時短状態Bの方が電チュー12Dへの入賞が容易な設定であると言える。
【0256】
ここで本形態のパチンコ遊技機PZ1は、非時短状態である場合には、電チュー12Dが頻繁に開放されないため、第1始動口11に遊技球が入球可能な左打ちで遊技が行われることを前提としており、時短状態A及び時短状態Bである場合には、電チュー12Dが頻繁に開放されるため、電チュー12Dに係る第2始動口12に遊技球が入球可能な右打ちで遊技が行われることを前提としている。言い換えれば、本形態のパチンコ遊技機PZ1は、非時短状態では左打ちでの遊技が推奨され、時短状態Aや時短状態Bでは右打ちでの遊技が推奨される。
【0257】
次に、特別図柄の変動パターン(特図変動パターン)の決定について説明する。パチンコ遊技機PZ1は、遊技状態に応じて異なる特図変動パターン判定テーブルに従って特図変動パターンを決定する(
図33参照)。具体的には、パチンコ遊技機PZ1は、非時短状態では
図33(A)に示す特図変動パターン判定テーブルに基づいて特図変動パターンを選択し、時短状態Aでは
図33(B)に示す特図変動パターン判定テーブルに基づいて特図変動パターンを選択し、時短状態Bでは
図33(C)に示す特図変動パターン判定テーブルに基づいて特図変動パターンを選択する。
【0258】
各遊技状態毎の特図変動パターン判定テーブルについて具体的に説明する。まず、
図33(A)に基づいて非時短状態における特図変動パターン判定テーブルについて説明する。非時短状態では、左打ちにて遊技が進行されるため、主に特
図1の抽選が行われる。特
図1の抽選結果には大当たりとハズレとがある。
図33(A)に示すように、非時短状態において特
図1の抽選がなされると、大当たり判定の結果やリーチ判定の結果、保留球数等に応じて、特
図1の変動パターンが選択される(特図変動パターンP1~P6)。
【0259】
また時短状態(時短状態A、時短状態B)が終了して非時短状態に移行したときには、時短状態中に溜めた特
図2保留が4つ残っているため、非時短状態においても、特
図2の変動がなされ得る。非時短状態において特
図2の抽選がなされると、大当たり判定の結果に応じて、特
図2の変動パターンが選択される(特図変動パターンP51~P52)。特図変動パターンP51、P52の変動時間は何れも15秒である。
【0260】
次に、
図33(B)に基づいて時短状態Aにおける特図変動パターン判定テーブルについて説明する。本形態では、時短状態Aでは、右打ちにて遊技が進行されるため、主に特
図2の抽選が行われる。
図33(B)に示すように、時短状態Aにおいて特
図2の抽選がなされると、小当たり当選に応じた特
図2の変動パターン(特図変動パターンP61)か、ハズレに応じた特
図2の変動パターン(特図変動パターンP62)が選択される。何れの場合も、10秒の変動時間を使って大当たり判定の結果(小当たり当選かハズレか)を見せる時短状態専用の変動演出が実行される。なお、時短状態Aにおいて特
図1の抽選がなされた場合には、大当たりであれば、70秒の変動時間の変動パターン(P11)が選択され、ハズレであれば、13秒の変動時間の変動パターン(P12)が選択される。
【0261】
時短状態Bにおける特図変動パターン判定テーブル(
図33(C))は、時短状態Aにおける特図変動パターンテーブル(
図33(B))と同様である。時短状態Bにおける各特図変動パターン(P21、P22、P71、P72)はそれぞれ、時短状態Aにおける各特図変動パターン(P11、P12、P61、P62)に対応するものである。
【0262】
次に、始動入賞コマンドの特定について説明する。パチンコ遊技機PZ1は、第1始動口11、又は、第2始動口12への入賞が生じた場合、
図34に示す始動入賞コマンド特定テーブルに基づいて、始動入賞コマンドを特定する。
図34に示すように、パチンコ遊技機PZ1の遊技制御用マイコン101が生成する始動入賞コマンドには、大当たりであるか、小当たりであるか、ハズレであるかの抽選結果情報が含まれている。この抽選結果情報には、大当たり図柄の種別や小当たり図柄の種別の情報も含まれている。また、本形態の始動入賞コマンドには、第1始動口11と第2始動口12とのどちらの始動口に入賞したのかの始動口情報が含まれている。なお、始動入賞コマンドには抽選結果情報が含まれていればよく、抽選結果情報の他に、始動入賞コマンドにどのような情報を含ませるかは適宜変更可能である。パチンコ遊技機PZ1の演出制御用マイコン121は、この始動入賞コマンドを遊技制御用マイコン101から受信すると、当該始動入賞コマンドの生成契機となった始動入賞に基づく特図変動(特別図柄の変動表示)の開始時の大当たり判定(当否判定)よりも前にその始動入賞に対する当選期待度を示唆する先読み演出を実行し得る。本形態のパチンコ遊技機PZ1は、始動入賞コマンドに基づく先読み演出(事前演出)として、保留表示(保留アイコンHA)の表示態様を通常表示態様(丸形状の態様)とは異なる特殊表示態様(星形状の態様)で表示する保留表示変化演出(
図22(C)参照)を実行し得るものとする。なお、先読み演出の実行契機となった入賞に対応する特図保留をターゲット保留という。
【0263】
次に、パチンコ遊技機PZ1の演出制御用マイコン121が行う受信コマンド解析処理(S4201)及び先読み演出判定処理(S4402)について
図35~
図36に基づいて説明する。なお、受信コマンド解析処理は、10msタイマ割り込み処理(S4012)内の処理である(
図29参照)。
【0264】
[受信コマンド解析処理]
図35に示すように、受信コマンド解析処理(S4201)ではまず、演出制御用マイコン121は、主制御基板100(遊技制御用マイコン101)から始動入賞コマンドを受信したか否か判定し(S4401)、受信していれば後述の先読み演出判定処理(S4402)を行う。
【0265】
続いて、演出制御用マイコン121は、主制御基板100から遊技状態指定コマンドを受信したか否か判定し(S4403)、受信していれば演出モード更新処理(S4404)を行う。遊技状態指定コマンドは、現在の遊技状態を示すコマンドであり、遊技制御用マイコン101による遊技状態の切替時に送信されるものとする。演出モード更新処理(S4404)では、遊技状態指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、演出モードの選択を行い、その選択に応じた演出モードに設定するための演出モード設定コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0266】
ここで、
図35中の表に示すように、本形態のパチンコ遊技機PZ1では、遊技状態が「非時短状態」である場合には、時短状態の終了直後で特
図2保留がある場合を除いて、演出モードは「通常演出モード」に設定される。また、遊技状態が「時短状態A」(低継続率の時短状態)である場合には、演出モードは「時短A演出モード」に設定され、遊技状態が「時短状態B」(高継続率の時短状態)である場合には、演出モードは「時短B演出モード」に設定される。また、時短状態(時短状態A、時短状態B)が終了して「非時短状態」に設定されたが特
図2保留が残っている場合には、「残保留演出モード」に設定される。「非時短状態」において大当たり遊技が実行されることなく特
図2保留が無くなった場合、「通常演出モード」に移行する。なお、各演出モードについては、後に具体的に説明する。
【0267】
続いて、演出制御用マイコン121は、主制御基板100から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4405)、受信していれば変動演出開始処理(S4406)を行う。変動演出開始処理(S4406)では、変動開始コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、変動演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択した変動演出パターンにて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0268】
続いて、演出制御用マイコン121は、主制御基板100から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4407)、受信していれば変動演出終了処理(S4408)を行う。変動演出終了処理(S4408)では、変動停止コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3を確定的に停止表示させるための変動演出終了コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0269】
続いて、演出制御用マイコン121は、主制御基板100からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4409)、受信していればオープニング演出選択処理(S4410)を行う。オープニング演出選択処理(S4410)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、特別遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0270】
続いて、演出制御用マイコン121は、主制御基板100からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4411)、受信していればエンディング演出選択処理(S4412)を行う。エンディング演出選択処理(S4412)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0271】
続いて、演出制御用マイコン121は、主制御基板100からV通過コマンドを受信したか否か判定し(S4413)、受信していればV通過報知演出開始処理(S4414)を行う。V通過報知演出開始処理(S4414)では、V通過報知演出を開始するためのV通過報知演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。V通過報知演出とは、V通過(特定領域16への通過)があったことを遊技者に報知するための演出である。本形態では、所定のV通過報知画像(例えば「V」の文字を示す文字画像)を表示部50aに表示する演出である。このV通過報知演出としての「V」の文字画像の表示は、特定領域16への通過に基づいて2種大当たり遊技を実行する本形態のパチンコ遊技機PZ1では、大当たり当選の報知としての意味ももつ。
【0272】
続いて、その他の処理(S4415)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理を行って、受信コマンド解析処理を終える。
【0273】
[先読み演出判定処理]
図36に示すように、先読み演出判定処理(S4402)ではまず、演出制御用マイコン121は、演出用RAM124の受信バッファに格納されている始動入賞コマンドを、演出用RAM124の特図保留演出記憶部に格納する(S4501)。詳細にはステップS4501では、始動入賞コマンドに係る始動口の種類を確認して、第1始動口11への入賞に基づいて生成された第1始動入賞コマンドであれば、その第1始動入賞コマンドを演出用RAM124の第1特図保留演出記憶部に格納する。また、第2始動口12への入賞に基づいて生成された第2始動入賞コマンドであれば、その第2始動入賞コマンドを演出用RAM124の第2特図保留演出記憶部に格納する。なお、始動入賞コマンドは、各特図保留演出記憶部において第1~第4まである記憶領域のうち当該コマンドが記憶されていない最も番号の小さい記憶領域に格納される。これにより、特図保留の記憶順に対応した順で始動入賞コマンドが格納されていくこととなる。また、特図保留の消化時には、始動入賞コマンドは記憶順の古い側の記憶領域にシフトされる。なお、第1記憶領域に記憶されていた始動入賞コマンドは、第0記憶領域(当該変動用演出記憶部)にシフトされる。
【0274】
続いて演出制御用マイコン121は、第1特図保留演出記憶部に第1始動入賞コマンドを格納した場合は、演出用RAM124に設けられた第1特図保留演出カウンタの値を「1」加算し、第2特図保留演出記憶部に第2始動入賞コマンドを格納した場合は、演出用RAM124に設けられた第2特図保留演出カウンタの値を「1」加算する(S4502)。第1特図保留演出カウンタの値は第1特図保留の消化の度に(つまり特
図1変動開始コマンドを受信する度に)「1」減算され、第2特図保留演出カウンタの値は第2特図保留の消化の度に(つまり特
図2変動開始コマンドを受信する度に)「1」減算される。すなわち、第1特図保留演出カウンタは、遊技用RAM104の特
図1保留記憶部105aに記憶されている乱数値群(判定情報)の個数である第1特図保留(特
図1保留)の数(U1)を計数するカウンタである。また、第2特図保留演出カウンタは、遊技用RAM104の特
図2保留記憶部105bに記憶されている乱数値群(判定情報)の個数である第2特図保留(特
図2保留)の数(U2)を計数するカウンタである。
【0275】
続いて演出制御用マイコン121は、現在の遊技状態が非時短状態、又は、時短状態Bの何れかであるか否かを判定する(S4503)。非時短状態又は時短状態Bの何れかであれば(S4503でYES)、先読み演出である保留表示変化演出の実行抽選を行う(S4504)。先読み演出の実行抽選は、
図37に示すテーブルに基づいて行われる。
【0276】
具体的には演出制御用マイコン121は、
図37に示すように、受信した始動入賞コマンドの解析結果が「特
図1_大当たり図柄A」又は「特
図1_大当たり図柄B」の何れかであった場合、当該始動入賞コマンドに対応する保留表示(保留アイコンHA、当該アイコンTA)の表示態様として、50%の割合で特殊表示態様(星の形状)を選択し、50%の割合で通常表示態様(丸の形状)を選択する。また、演出制御用マイコン121は、受信した始動入賞コマンドの解析結果が「特
図1_ハズレ図柄」であった場合、当該始動入賞コマンドに対応する保留表示(保留アイコンHA、当該アイコンTA)の表示態様として、5%の割合で特殊表示態様を選択し、95%の割合で通常表示態様を選択する。
【0277】
また、演出制御用マイコン121は、受信した始動入賞コマンドの解析結果が「特
図2_小当たり図柄a」、「特
図2_小当たり図柄b」、又は「特
図2_小当たり図柄c」の何れかであった場合、当該始動入賞コマンドに対応する保留表示(保留アイコンHA、当該アイコンTA)の表示態様として、50%の割合で特殊表示態様を選択し、50%の割合で通常表示態様を選択する。また、演出制御用マイコン121は、受信した始動入賞コマンドの解析結果が「特
図2_ハズレ図柄」であった場合、当該始動入賞コマンドに対応する保留表示(保留アイコンHA、当該アイコンTA)の表示態様として、5%の割合で特殊表示態様を選択し、95%の割合で通常表示態様を選択する。
【0278】
このように本形態では、保留表示の表示態様として特殊表示態様が選択される割合は、先読み判定の結果が大当たりや小当たり(実質的な大当たり)であるときには高く、ハズレであるときには低くなっている。従って、特殊表示態様の保留表示は、大当たりや小当たりの当選期待度が高いことを示唆する演出や、大当たりや小当たりの当選に期待させる演出として機能する。
【0279】
図37に示したテーブルに基づく抽選の結果、保留表示変化演出を実行する(保留表示を特殊表示態様で表示する)と決定した場合(つまり保留表示変化演出の実行抽選に当選した場合)には(S4505でYES)、
図36に示すように、演出制御用マイコン121は、特殊表示態様の保留表示を表示部50aに表示させるための保留表示演出コマンドを、演出用RAM124の出力バッファにセットする(S4506)。この保留表示演出コマンドに基づいて画像制御基板140が表示処理を行うことにより、特殊表示態様の保留表示が始動入賞時の保留表示として表示される。
【0280】
一方、
図37に示したテーブルに基づく抽選の結果、保留表示変化演出を実行しない(保留表示を通常表示態様で表示する)と決定した場合(つまり保留表示変化演出の実行抽選に当選しなかった場合)には(S4505でNO)、演出制御用マイコン121は、通常表示態様の保留表示を表示部50aに表示させるための保留表示演出コマンドを、演出用RAM124の出力バッファにセットする(S4507)。この保留表示演出コマンドに基づいて画像制御基板140が表示処理を行うことにより、通常表示態様の保留表示が始動入賞時の保留表示として表示される。
【0281】
また、ステップS4503において非時短状態でも時短状態Bでもないと判定した場合(S4503でNO)、すなわち時短状態Aであると判定した場合、保留表示変化演出の実行抽選を行うことなく、通常表示態様の保留表示を表示部50aに表示させるための保留表示演出コマンドを、演出用RAM124の出力バッファにセットする(S4507)。この保留表示演出コマンドに基づいて画像制御基板140が表示処理を行うことにより、通常表示態様の保留表示が始動入賞時の保留表示として表示される。
【0282】
このように本形態では、時短状態の中でも時短状態Bである場合には、先読み演出である保留表示変化演出を実行することがある一方で、時短状態Aである場合には、保留表示変化演出を一切実行しないように構成されている。この理由については後述する。
【0283】
次に、第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1における遊技の流れについて
図38に基づいて説明する。パチンコ遊技機PZ1は、RAMクリアスイッチ191の操作を伴う電源入力がなされることで、フラグ等が初期設定の状態で起動する。つまり、電源投入に応じてRAMクリアがなされた場合においては、遊技状態は非時短状態(通常遊技状態)である。なお、非時短状態では、演出モードは通常演出モードに設定される。通常演出モードでは、
図39(A)に示す昼の背景画像(昼間通常用背景画像G102)が表示部50aに表示され、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3のデザインも昼の背景画像に応じたものになる。ここで、演出モードとは、画像表示装置50、スピーカ52、盤ランプ54、及び枠ランプ53等を用いた演出の態様であり、演出モードが異なると、例えば画像表示装置50に表示されるキャラクタやアイテム、背景画像等が異なり、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3を用いた変動演出も演出モードに応じた態様で実行される。
【0284】
図38に示すように、非時短状態では、左打ちを行って第1始動口11への入賞に基づく大当たり当選を狙う。非時短状態において第1始動口11に遊技球が入球すると、特
図1の抽選がなされる。特
図1の抽選において大当たりに当選した場合、80%の割合で大当たり遊技後の遊技状態は時短回数6回の時短状態Aに移行し(当選した大当たり図柄が大当たり図柄Aである場合)、20%の割合で大当たり遊技後の遊技状態は時短回数11回の時短状態Bに移行する(当選した大当たり図柄が大当たり図柄Bである場合、
図31参照)。
【0285】
時短状態Aでは、右打ちにて遊技を進行し、電チュー12Dに係る第2始動口12への入賞に応じた特
図2の抽選に基づく小当たり当選を狙う。本形態では、特
図2の抽選の結果は約1/7の確率で小当たり当選となり、その当選に基づく小当たり遊技では、必ず特定領域16に遊技球を通過させることが可能である。なお、時短状態Aでは、演出モードは時短A演出モードに設定される。
【0286】
時短A演出モードでは、
図39(C)に示す空の背景画像(空時短A用背景画像G131)が表示部50aに表示され、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3のデザインも空の背景画像に応じたものになる。また、時短A演出モードでは、遊技者に右打ちを促すための右打ち報知画像RIが表示部50aの右上部に表示されるとともに、時短状態が終了するまでの残りの特図変動回数(残時短回数)を示唆する残回数表示画像ZIが表示部50aの左下部に表示される。
【0287】
図38に示すように、時短回数6回の時短状態A中に特
図2の抽選にて小当たりに当選して特定領域16の通過に基づく大当たり遊技が実行された場合、その大当たり遊技の終了後の遊技状態は、50%の割合で再び時短回数6回の時短状態Aに設定され(当選した小当たり図柄が小当たり図柄bである場合)、25%の割合で時短状態Aよりも遊技者にとって有利な時短回数11回の時短状態Bに設定され(当選した小当たり図柄が小当たり図柄aである場合)、25%の割合で非時短状態に設定される(当選した小当たり図柄が小当たり図柄cである場合、
図31参照)。また、時短状態Aにおいて小当たりに当選することなく特
図2の変動が6回終了した場合(時短回数6回分の特
図2変動が行われた場合)も、非時短状態に設定される。なお、時短状態A中に特
図1の抽選が行われて大当たりに当選した場合には、大当たり遊技後の遊技状態は必ず、時短回数11回の時短状態Bに設定される(
図31参照)。
【0288】
また、時短状態Bでは、時短状態Aと同様、右打ちにて遊技を進行し、電チュー12Dに係る第2始動口12への入賞に応じた特
図2の抽選に基づく小当たり当選を狙う。上述した通り本形態では、特
図2の抽選の結果は約1/7の確率で小当たり当選となり、その当選に基づく小当たり遊技では、必ず特定領域16に遊技球を通過させることが可能である。なお、時短状態Bでは、演出モードは時短B演出モードに設定される。
【0289】
時短B演出モードでは、
図39(D)に示す森の背景画像(森時短B用背景画像G132)が表示部50aに表示され、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3のデザインも森の背景画像に応じたものになる。また、時短B演出モードでは、時短A演出モードと同様、右打ち報知画像RIが表示部50aの右上部に表示されるとともに、残回数表示画像ZIが表示部50aの左下部に表示される。
【0290】
図38に示すように、時短回数11回の時短状態B中に特
図2の抽選にて小当たりに当選して特定領域16の通過に基づく大当たり遊技が実行された場合、その大当たり遊技の終了後の遊技状態は必ず、再び時短回数11回の時短状態Bに設定される(
図31参照)。なお、時短状態B中に特
図1の抽選が行われて大当たりに当選した場合も、その大当たり遊技後の遊技状態は必ず、再び時短回数11回の時短状態Bに設定される(
図31参照)。これに対して、時短状態Bにおいて小当たりに当選することなく特
図2の変動が11回終了した場合(時短回数11回分の特
図2変動が行われた場合)は、非時短状態に設定される。
【0291】
時短回数6回の時短状態Aにおいて特
図2の抽選で小当たりに当選することができず非時短状態となった場合や、時短回数11回の時短状態Bにおいて特
図2の抽選で小当たりに当選することができず非時短状態となった場合、時短状態Aにおいて特
図2の抽選で小当たり図柄cに当選して2種大当たり遊技の終了後に非時短状態に設定された場合には、時短状態中に溜めた特
図2保留が4つ残っている状態で、非時短状態が開始される。この4個の特
図2残保留の何れかに基づいて小当たりに当選した場合、2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は必ず、時短回数11回の時短状態Bに設定される(
図31参照)。非時短状態において特
図2残保留がある間は、演出モードは残保留演出モードに設定される。残保留演出モードでは、
図39(B)に示す昼の背景画像の前方に炎のエフェクト画像が加えられた背景画像(炎残保留用背景画像G130)が表示部50aに表示され、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3のデザインも炎のエフェクト画像付きの昼の背景画像に応じたものになる。特
図2残保留の何れにおいても小当たりに当選しなかった場合には、演出モードが通常演出モードに変更され、左打ちにて特
図1の抽選に基づいて大当たり当選を狙う遊技に戻ることとなる。
【0292】
このように本形態では、時短状態Aで特
図2の抽選に基づいて小当たりに当選するよりも非時短状態や時短状態Bで特
図2の抽選に基づいて小当たりに当選した方が、大当たり遊技の終了後の遊技状態が遊技者に最も有利な時短回数11回の時短状態Bに設定され易くなっている。また、非時短状態で特
図1の抽選に基づいて大当たりに当選するよりも時短状態Aや時短状態Bで特
図1の抽選に基づいて大当たりに当選した方が、大当たり遊技の終了後の遊技状態が遊技者に最も有利な時短回数11回の時短状態Bに設定され易くなっている。そのため、非時短状態や時短状態Bでは、先読み演出である保留表示変化演出を実行することがあるが、時短状態Aでは、先読み演出である保留表示変化演出を一切実行しないようにしている。以下では、このことについて詳細に説明する。
【0293】
本形態のパチンコ遊技機PZ1では、
図38に示したように、特
図2の抽選に基づく小当たり当選時の遊技状態が時短状態Aである場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は、50%の割合で時短状態Aに再び設定され、25%の割合で時短状態Bに設定され、25%の割合で非時短状態に設定されるのに対して、特
図2の抽選に基づく小当たり当選時の遊技状態が非時短状態である場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は、100%の割合で時短状態Bに設定される。従って、時短状態Aにおいて特
図2に係る先読み判定に基づく保留表示変化演出を実行し得る構成としてしまうと、次のような課題が生じる。
【0294】
すなわち、例えば、
図40(A)に示すような特図保留の状況(特
図2に係る当該変動(実行中の変動)が小当たり変動であって、4個の特
図2保留のうち3個目の特
図2保留が小当たり保留である状況)であって、残りの時短回数が2回である場合には、
図41(A)に示すように、特
図2に係る保留アイコンHA(特
図2保留アイコンHA2)のうち3個目の特
図2保留に対応するものが特殊表示態様で表示されている中で、当該変動にて小当たり当選が示される(小当たり当選を示すゾロ目の停止態様で演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が停止表示する)ことが生じ得る。このような場合、特殊表示態様の特
図2保留アイコンHA2に係る変動が実行されるのは非時短状態になってからであり、当選が報知されている小当たりにおいて特定領域16への通過を生じさせた場合には、時短状態Bに移行する可能性は25%しかないことから、あえて特定領域16に遊技球を通過させずに非時短状態に移行するのを待ち、特殊表示態様の特
図2保留アイコンHA2に対応する特
図2保留に基づく小当たり遊技にて特定領域16に遊技球を通過させて時短状態Bに移行させるという攻略的な遊技が可能となってしまう。
【0295】
また、本形態のパチンコ遊技機PZ1では、
図38に示したように、特
図1の抽選に基づく大当たり当選時の遊技状態が非時短状態である場合には、1種大当たり遊技後の遊技状態は、80%の割合で時短状態Aに設定され、20%の割合で時短状態Bに設定されるのに対して、特
図1の抽選に基づく大当たり当選時の遊技状態が時短状態Aである場合には、1種大当たり遊技後の遊技状態は、100%の割合で時短状態Bに設定される。そして、この時短状態Aにおける特
図1の抽選に基づく時短状態Bへの移行確率は、時短状態Aにおける特
図2の抽選に基づく時短状態Bへの移行確率よりも高い。従って、時短状態Aにおいて特
図1に係る先読み判定に基づく保留表示変化演出を実行し得る構成としてしまうと、次のような課題が生じる。
【0296】
すなわち、例えば、
図40(B)に示すような特図保留の状況(特
図2に係る当該変動(実行中の変動)が小当たり変動であって、4個の特
図2保留が全てハズレ保留であり、2個の特
図1保留のうち1個目の特
図1保留が大当たり保留である状況)であって、残りの時短回数が5回である場合には、
図41(B)に示すように、特
図2保留アイコンHA2は全て通常表示態様で表示されていて、特
図1に係る保留アイコンHA(特
図1保留アイコンHA1)のうち1個目の特
図1保留に対応するものが特殊表示態様で表示されている中で、当該変動にて小当たり当選が示される(小当たり当選を示すゾロ目の停止態様で演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が停止表示する)ことが生じ得る。このような場合、新たな特
図2保留を発生させなければ全ての特
図2保留が消化されてもまだ時短状態Aであり、特殊表示態様の特
図1保留アイコンHA1に係る変動を時短状態A中に実行させることが可能である。そして、当選が報知されている小当たりにおいて特定領域16への通過を生じさせた場合には、時短状態Bに移行する可能性は25%しかない。そのため、あえて特定領域16に遊技球を通過させずに全ての特
図2保留の消化を待って、時短状態A中に特殊表示態様の特
図1保留アイコンHA1に対応する特
図1保留に基づいて大当たりに当選させ、時短状態Bに移行させるという攻略的な遊技が可能となってしまう。
【0297】
なお、
図41に示すように、本形態のパチンコ遊技機PZ1では、表示部50aの下部中央に当該アイコンTAを表示する当該アイコン表示領域TRが設けられ、当該アイコン表示領域TRの左方に、特
図1保留アイコンHA1を表示する特
図1保留アイコン表示領域HR1が設けられ、当該アイコン表示領域TRの右方に、特
図2保留アイコンHA2を表示する特
図2保留アイコン表示領域HR2が設けられている。特
図1保留アイコン表示領域HR1および特
図2保留アイコン表示領域HR2は共に、特図保留の上限記憶数に応じた数の表示領域を含んでおり、当該アイコン表示領域TRに近い側が1個目の特図保留に対応する保留アイコンHAの表示領域となっており、当該アイコン表示領域TRから離れるに連れて消化順が遅くなるように保留個数に応じて保留アイコンHAが表示されるようになっている。そして本形態では、何れの遊技状態であっても(時短状態A、時短状態B、非時短状態の何れであっても)、特
図1保留アイコンHA1と特
図2保留アイコンHA2の両方が表示されるようになっている。なお、遊技状態毎に何れの保留アイコンHAを表示するかについては、遊技興趣を損なわない範囲で適宜変更可能である。
【0298】
上述した課題が生じないようにするため、本形態のパチンコ遊技機PZ1では、時短状態Aでは特
図1保留に対する保留表示変化演出も、特
図2保留に対する保留表示変化演出も実行しないようにしている。このため本形態では、
図40(A)に示した特図保留の状況(特図保留の状況1)である場合でも、
図41(A)に示したように特
図2保留アイコンHA2が特殊表示態様のものを含んで表示されることはなく、
図42(A)に示すように、全ての特
図2保留アイコンHA2が通常表示態様で表示される。また、
図40(B)に示した特図保留の状況(特図保留の状況2)である場合でも、
図41(B)に示したように特
図1保留アイコンHA1が特殊表示態様のものを含んで表示されることはなく、
図44(A)に示すように、全ての保留アイコンHA(特
図1保留アイコンHA1、特
図2保留アイコンHA2)が通常表示態様で表示される。そのため本形態のパチンコ遊技機PZ1では、上述した攻略的な遊技が防止される。
【0299】
次に、本形態のパチンコ遊技機PZ1における保留表示変化演出の実行時期について説明する。上述した通り、本形態のパチンコ遊技機PZ1は、非時短状態又は時短状態Bに設定されている場合、第1始動口11への入賞時に特殊表示態様の保留アイコンHAを表示したり、第2始動口12への入賞時に特殊表示態様の保留アイコンHAを表示したりすることが可能である。これに加えて、パチンコ遊技機PZ1は、時短状態Bではない遊技状態から時短状態Bに移行したタイミングや、非時短状態ではない遊技状態から非時短状態に移行したタイミングでも、特殊表示態様の保留アイコンHAを表示することが可能である。
【0300】
<保留表示変化演出の実行例1>具体的には例えば、時短状態Aにおいて
図40(A)に示すような特図保留の状況にあって、当該変動に係る小当たりの種類が小当たり図柄aであった場合、小当たり図柄aに係る小当たり遊技での特定領域16への通過に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は、時短回数11回の時短状態Bとなる。この場合、時短状態Aである間は、4個の特
図2保留に小当たり保留(小当たり当選と判定される予定の特図保留)があっても、
図42(A)に示すように、特
図2保留アイコンHA2は全て通常表示態様で表示されるが、特定領域16への通過(V通過)に基づく大当たり遊技が終了して時短状態Bに移行した際に、森時短B用背景画像G132の表示に伴って、
図42(B)に示すように、2個目の特
図2保留(大当たり遊技前に3個目の特
図2保留だったもの)に対応する特
図2保留アイコンHA2を特殊表示態様(特定態様の一例)に変更して表示することが可能である。つまり、パチンコ遊技機PZ1は、時短状態Bの設定前から生じていた特
図2保留に対応する保留アイコンHAを、時短状態Bへの移行と同時に、特殊表示態様で表示することが可能である。これにより遊技者には、時短状態Bへの設定時に、これまで通常表示態様で表示されていた保留アイコンHA(特殊表示態様で表示されていなかった保留アイコンHA)の中に、特殊表示態様に切り替わっているものが含まれていないかを見つける楽しみを提供することができ、遊技興趣の向上が見込める。
【0301】
なお、このようなタイミングで保留表示変化演出を実行するために、演出制御用マイコン121は、時短状態Bへの制御開始時に全ての特図保留について、始動入賞時に受信した始動入賞コマンドの内容を再度確認し、これに含まれる先読み判定結果の情報に基づいて保留表示変化演出の実行抽選(
図37参照)を行っているものとする。
【0302】
<保留表示変化演出の実行例2>また例えば、小当たりに当選することなく時短回数6回の時短状態Aが終了したときに残っている4個の特
図2保留のうち3個目が小当たり保留であった場合、時短状態Aである間は、
図43(A)に示すように、4個の特
図2保留アイコンHA2は全て通常表示態様で表示されるが、時短状態Aにおける6回目の特
図2変動が終了して非時短状態に移行した際に、炎残保留用背景画像G130の表示に伴って、
図43(B)に示すように、2個目の特
図2保留(非時短状態の設定前に3個目の特
図2保留だったもの)に対応する特
図2保留アイコンHA2を特殊表示態様に変更して表示することが可能である。つまり、パチンコ遊技機PZ1は、非時短状態の設定前から生じていた特
図2保留に対応する保留アイコンHAを、非時短状態への移行と同時に、特殊表示態様で表示することが可能である。これにより遊技者には、非時短状態への設定時に、これまで通常表示態様で表示されていた保留アイコンHA(特殊表示態様で表示されていなかった保留アイコンHA)の中に、特殊表示態様に切り替わっているものが含まれていないかを見つける楽しみを提供することができ、遊技興趣の向上が見込める。
【0303】
なお、このようなタイミングで保留表示変化演出を実行するために、演出制御用マイコン121は非時短状態への制御開始時に全ての特図保留について、始動入賞時に受信した始動入賞コマンドの内容を再度確認し、これに含まれる先読み判定結果の情報に基づいて保留表示変化演出の実行抽選(
図37参照)を行っているものとする。またパチンコ遊技機PZ1は、時短状態Aにおける特
図2の抽選に基づいて小当たり図柄cに当選して2種大当たり遊技の終了後の遊技状態が非時短状態に設定された場合にも、
図43(B)に示したような非時短状態の設定時の特
図2保留に係る保留表示変化演出(特殊表示態様の保留アイコンHAの表示)を実行可能であるものとする。
【0304】
<保留表示変化演出の実行例3>また例えば、時短状態Aにおいて
図40(B)に示すような特図保留の状況にあって、当該変動に係る小当たりの種類が小当たり図柄aであった場合、小当たり図柄aに係る小当たり遊技での特定領域16への通過に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は、時短回数11回の時短状態Bとなる。この場合、時短状態Aである間は、特
図1保留に大当たり保留(大当たり当選と判定される予定の特図保留)があっても、
図44(A)に示すように、特殊表示態様の保留アイコンHAが表示されることはないが(4個の特
図2保留アイコンHA2も2個の特
図1保留アイコンHA1も全て通常表示態様で表示されるが)、特定領域16への通過(V通過)に基づく大当たり遊技が終了して時短状態Bに移行した際に、森時短B用背景画像G132の表示に伴って、
図44(B)に示すように、1個目の特
図1保留に対応する特
図1保留アイコンHA1を特殊表示態様に変更して表示することが可能である。つまり、パチンコ遊技機PZ1は、時短状態Bの設定前から生じている特
図1保留に対応する保留アイコンHAを、時短状態Bへの移行と同時に、特殊表示態様で表示することが可能である。これにより遊技者には、時短状態Bへの設定時に、これまで通常表示態様で表示されていた保留アイコンHA(特殊表示態様で表示されていなかった保留アイコンHA)の中に、特殊表示態様に切り替わっているものが含まれていないかを見つける楽しみを提供することができ、遊技興趣の向上が見込める。
【0305】
なお、遊技者のハンドル72kの操作加減によっては時短状態Aにおいて左遊技領域6Aに遊技球が流れて第1始動口11への入賞が生じることは有り得る。また、非時短状態中に発生した特
図1保留が時短状態Aになった後も残り続けていることはある。よって、時短状態Aにおいて特
図1保留が発生している
図44(A)に示す状況は十分に起こり得る状況である。
【0306】
<保留表示変化演出の実行例4>また例えば、小当たりに当選することなく時短回数6回の時短状態Aが終了したときに4個の特
図2保留と2個の特
図1保留とが残っており、このうち1個目の特
図1保留が大当たり保留であった場合、時短状態Aである間は、
図45(A)に示すように、4個の特
図2保留アイコンHA2と2個の特
図1保留アイコンHA1は全て通常表示態様で表示されるが、時短状態Aにおける6回目の特
図2変動が終了して非時短状態に移行した際に、炎残保留用背景画像G130の表示に伴って、
図45(B)に示すように、1個目の特
図1保留に対応する特
図1保留アイコンHA1を特殊表示態様に変更して表示することが可能である。つまり、パチンコ遊技機PZ1は、非時短状態の設定前から生じていた特
図1保留に対応する保留アイコンHAを、非時短状態への移行と同時に、特殊表示態様で表示することが可能である。これにより遊技者には、非時短状態への設定時に、これまで通常表示態様で表示されていた保留アイコンHA(特殊表示態様で表示されていなかった保留アイコンHA)の中に、特殊表示態様に切り替わっているものが含まれていないかを見つける楽しみを提供することができ、遊技興趣の向上が見込める。なお、パチンコ遊技機PZ1は、時短状態Aにおける特
図2の抽選に基づいて小当たり図柄cに当選して2種大当たり遊技の終了後の遊技状態が非時短状態に設定された場合にも、
図45(B)に示したような非時短状態の設定時の特
図1保留に係る保留表示変化演出(特殊表示態様の保留アイコンHAの表示)を実行可能であるものとする。
【0307】
なお、保留表示変化演出の実行抽選は
図37に示したテーブルに基づいて行われるため、時短状態Bへの設定時や非時短状態への設定時に、ハズレ保留に対応する保留表示の表示態様が変化することもある。特殊表示態様の保留表示を、当選確定の保留表示(大当たりや小当たり当選時のみ表示されることがある保留表示)としてもよい。
【0308】
7-2.第1実施形態の効果
以上詳細に説明したように、第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1によれば、非時短状態よりも第2始動口12への入球が容易な設定の時短状態の中に、第2始動口12への入球に基づく保留表示変化演出(先読み演出)や、第1始動口11への入球に基づく保留表示変化演出(先読み演出)を実行可能な時短状態Bと、何れの保留表示変化演出(先読み演出)も実行することがない時短状態Aとが設けられている(
図38参照)。そのため、時短状態Aでは、実行中の変動演出の結果に遊技者の意識を集中させることができる一方で、時短状態Bでは、特図保留の中に当たり保留(小当たり保留や大当たり保留)がありそうだと前もって期待させておくことが可能となり、遊技興趣の向上が見込める。
【0309】
また第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1によれば、時短状態Bへの移行により保留表示変化演出を実行可能になると、この時短状態Bへの移行に応じて、既に溜まっていた特図保留に対応する保留表示(保留アイコンHA、当該アイコンTA)の表示態様が特殊表示態様(星の形状)で表示される保留表示変化演出が行われることがある(
図42、
図44参照)。よって、時短状態Bへの移行時の興趣を好適に向上可能である。
【0310】
また第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1によれば、非時短状態への移行に応じても、既に溜まっていた特図保留に対応する保留表示(保留アイコンHA、当該アイコンTA)の表示態様が特殊表示態様(星の形状)で表示される保留表示変化演出が行われることがある(
図43,
図45参照)。よって、時短状態Bへの移行のときだけでなく、非時短状態への移行時の興趣も好適に向上可能である。
【0311】
7-3.第1実施形態の変更例
以下、第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1の変更例について説明する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成しても良い。また、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0312】
上述した第1実施形態では、時短状態Bではない遊技状態から時短状態Bに移行したタイミングや、非時短状態ではない遊技状態から非時短状態に移行したタイミングで、特殊表示態様に変化済みの保留アイコンHAが特
図2保留アイコン表示領域HR2や特
図1保留アイコン表示領域HR1に突然表示される構成とした(
図42~
図45)。すなわち、遊技状態の切り替わりと同時に、保留アイコンHAの表示態様の変化過程を表示することなく突然、特殊表示態様の保留アイコンHAが表示される構成とした。これに対して、時短状態Bではない遊技状態から時短状態Bに移行した場合や、非時短状態ではない遊技状態から非時短状態に移行した場合に、保留アイコンHAの表示態様が通常表示態様から特殊表示態様に変化していく過程を見せる形で保留表示変化演出を実行する構成としてもよい。
【0313】
具体的には例えば、時短状態Aにおける特
図2の抽選で小当たり図柄aに当選し、このときの特
図2保留4個のうち3個目が小当たり保留であった場合、V通過に基づく2種大当たり遊技が終了して時短状態Bに移行した後の初回の特
図2変動中に、
図46(A)に示すように、当該アイコンTAおよび全ての特
図2保留アイコンHA2に対して、所定のキャラクタ(例えば果物キャラ)が魔法をかけ、そのキャラクタの行動の結果、
図46(B)に示すように、通常表示態様だった小当たり保留に対応する特
図2保留アイコンHA2の表示態様が特殊表示態様へと変化する保留表示変化演出を実行する構成としてもよい。なお、
図46(B)に示すように、保留アイコンHAの表示態様が特殊表示態様に変化した場合には、魔法をかけたキャラクタが喜んでいる画像を表示部50aに表示するとよい。また、この保留表示変化演出は、失敗する場合(特殊表示態様に変化する保留表示が1つもない場合)を含んでいるとよい(保留表示変化演出のガセパターン)。そして、失敗の場合には、魔法をかけたキャラクタが落胆している画像を表示部50aに表示するとよい。また、
図46に示した形式での保留表示変化演出において、小当たり保留ではなく、ハズレ保留に対応する保留表示の表示態様が変化する場合もあるものとする。
【0314】
なお、
図46に示した形式(保留表示の表示態様が通常表示態様から特殊表示態様に変更されていく過程を見せる形式)での保留表示変化演出を、時短状態Aから非時短状態に移行した場合の特
図2保留アイコンHA2について行うことがあってもよいし、時短状態Aから大当たり遊技を経て時短状態Bに移行した場合の特
図1保留アイコンHA1について行うことがあってもよいし、時短状態Aから非時短状態に移行した場合の特
図1保留アイコンHA1について行うことがあってもよい。
【0315】
図46に示した形式での保留表示変化演出を行う構成とした場合、時短状態Bや非時短状態といった保留表示変化演出を実行可能な遊技状態に移行した場合には、保留表示の表示態様が特殊表示態様に変化していく保留表示変化演出が行われることがあるため、時短状態Bや非時短状態への移行後の興趣を好適に向上可能である。また、
図42~
図45に示した形式での保留表示変化演出よりも、特殊表示態様の保留表示が表示されるかに期待して演出を見る時間が長いため、遊技状態の変更時の興趣がより向上され易い。
【0316】
また上述した第1実施形態では、第1始動口11(特
図1)に係る保留表示変化演出も第2始動口12(特
図2)に係る保留表示変化演出も時短状態Aでは実行されることがなく、時短状態Bでは実行されることがある構成とした。これに対して、パチンコ遊技機のスペック(大当たり図柄や小当たり図柄の種類や振分率など)次第では、第1始動口11(特
図1)に係る保留表示変化演出は時短状態Aでは実行されることはないが時短状態Bでは実行されることがあり、第2始動口12(特
図2)に係る保留表示変化演出は時短状態Aでも時短状態Bでも実行されることがある構成としてもよい。このような構成とすれば、時短状態Aでは特
図2の抽選結果に集中させることができる一方で、時短状態Bでは特
図1の抽選で特別遊技が実行されるかにも期待させることができるようになり、興趣向上が見込める。また逆に、第2始動口12(特
図2)に係る保留表示変化演出は時短状態Aでは実行されることはないが時短状態Bでは実行されることがあり、第1始動口11(特
図1)に係る保留表示変化演出は時短状態Aでも時短状態Bでも実行されることがない構成としてもよい。このような構成とすれば、時短状態Aでは変動中の特
図2の抽選結果に集中させることができる一方で、時短状態Bでは保留中の特
図2の抽選で特別遊技が実行されるかにも期待させることができるようになり、興趣向上が見込める。
【0317】
また上述した第1実施形態では、時短状態Aでは実行されることはないが時短状態Bや非時短状態において実行されることがある先読み演出として、保留表示の表示態様を変化させる保留表示変化演出を実行可能な構成とした。これに対して、時短状態Aでは実行されることはないが時短状態Bや非時短状態において実行されることがある先読み演出は、いわゆる連続予告やゾーン予告など、保留表示変化演出以外の先読み演出であってもよい。
【0318】
また上述した第1実施形態において、保留表示の特殊表示態様に、当選期待度が異なる複数の種類がある構成としてもよい。また、保留表示の表示態様の変化タイミングに、保留表示のシフト表示時や、ターゲット保留(保留表示変化演出の対象となる特図保留)に係る変動演出の実行中がある構成としてもよい。
【0319】
また、第1実施形態における各種演出の演出内容や振分率、大当たり図柄や小当たり図柄の種類や振分率などは、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。
【0320】
また上述した第1実施形態では、時短状態Aも時短状態Bも、電チュー12Dに係る第2始動口12への入球が頻繁に見込める遊技状態(言い換えれば、電チュー12Dの開放による入球サポートの機能が発揮される遊技状態)としたが、時短状態A及び時短状態Bの少なくとも一方が、いわゆる微時短状態であってもよい。微時短状態とは、電チュー12Dに係る第2始動口12への入球し易さに関係するパラメータ(普通図柄の変動時間や電チュー12Dの開放時間など)が非時短状態よりも若干は第2始動口12に入球し易い値に設定されているものの、第2始動口12への入球が実質的に見込めず、第1始動口11への入球を狙って遊技することが推奨される時短状態である。つまり、微時短状態の性質は、入球サポートの機能が発揮される時短状態よりも非時短状態に近いものである。
【0321】
また上述した第1実施形態では、時短状態Bや非時短状態以外の遊技状態から時短状態Bや非時短状態に移行した場合には、時短状態Bや非時短状態以外の遊技状態であったときから既に存在していた特図保留についても先読み演出を実行し得る構成としたが、時短状態Bや非時短状態以外の遊技状態であったときから既に存在していた特図保留については先読み演出を実行せず、新たに生じた特図保留に対してのみ先読み演出を実行可能な構成としてもよい。
【0322】
8.第2実施形態のパチンコ遊技機
8-1.第2実施形態の構成
次に、特徴的な構成を有する第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2について
図47~
図56に基づいて説明する。第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2は、第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1において、特殊ハズレ(時短ハズレ)に基づく時短状態への制御と、天井到達(大当たり遊技が実行されることなく特図変動の実行回数が所定の天井回数に到達したこと)に基づく時短状態への制御を可能にしたものである。第2実施形態のパチンコ遊技機PZ1の説明では、上述の第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1と異なる箇所を中心に説明する。
【0323】
具体的には、第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2は、特
図1の抽選においてハズレと判定した場合(大当たりではないと判定した場合)、図柄種別乱数を
図47に示すハズレ図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、ハズレ図柄の種別を決定する。
図47に示すように、特
図1の抽選において決定され得るハズレ図柄(特
図1表示器81aに停止表示されるハズレ図柄)の種別には、「特
図1_ハズレ図柄A」(振分率99%)、「特
図1_ハズレ図柄B」(振分率0.5%)、「特
図1_ハズレ図柄C」(振分率0.5%)の3種類がある。
【0324】
「特
図1_ハズレ図柄A」は、通常のハズレであるが、「特
図1_ハズレ図柄B」と「特
図1_ハズレ図柄C」は、時短状態の制御契機となる特殊ハズレ(時短ハズレ)である。つまり第2実施形態では、遊技制御用マイコン101は、特図抽選の結果が特殊ハズレである場合、ハズレ図柄の停止表示後の遊技状態を、時短状態に制御する。より詳細には、「ハズレ図柄B」の停止表示後は遊技状態を時短回数6回の時短状態Aに設定可能し、「ハズレ図柄C」の停止表示後は遊技状態を時短回数11回の時短状態Bに設定し得る。なお、特殊ハズレに基づく時短状態への制御は、非時短状態(時短フラグがOFF)であるときのみ行われるものとする。
【0325】
このように本形態では、「時短回数6回の時短状態A」や「時短回数11回の時短状態B」への制御は、大当たり図柄を引いた場合や小当たり図柄を引いてV通過を生じさせた場合だけでなく(
図31参照)、特殊ハズレ(ハズレ図柄B、ハズレ図柄C)を引いた場合にも行われる。これらの時短状態への制御は全て、特図抽選の結果に基づいて行われるものであるため、これらの時短状態を「抽選契機時短状態」と称する(
図48参照)。抽選契機時短状態は、第1の特典遊技状態の一例である。
【0326】
また本形態では、
図48に示すように、抽選契機時短状態以外にも、特図変動の実行回数が所定の天井回数に到達したことに基づいて制御される時短状態がある。この時短状態を、「変動回数契機時短状態」と称する。変動回数契機時短状態は、第2の特典遊技状態の一例である。より詳細には、第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2は、大当たり遊技が実行されることなく所定の天井回数(800回)の特図変動が行われた場合、800回転目の特図変動の図柄停止時間の経過に応じて、遊技状態を「時短回数1回の時短状態A」に制御する。大当たり遊技が実行されることなく所定の天井回数(800回)の特図変動が行われることを「天井到達」と称する。つまり本形態では、天井到達に基づいて特
図2の変動が1回なされると終了する時短状態Aが付与されるようになっている。なお、この時短回数1回の時短状態Aでも、特
図2保留を溜めることができる。よって第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2では、天井到達がなされれば、時短回数1回分と特
図2残保留分の特
図2の抽選を受けることが可能である。
【0327】
ここで本形態では、変動回数契機時短状態と抽選契機時短状態とを比較すると、変動回数契機時短状態として付与される特典は、何れの契機で付与される抽選契機時短状態の特典より小さく設定されている。具体的には、大当たり図柄、小当たり図柄、あるいは、特殊ハズレを引いた場合に移行する時短状態は、「時短回数6回の時短状態A」か「時短回数11回の時短状態B」であるのに対して、天井到達がなされた場合に移行する時短状態は、それよりも時短回数が小さい「時短回数1回の時短状態A」である。
【0328】
このように天井到達を契機とする時短状態の特典を、天井到達以外を契機とする何れの時短状態の特典よりも小さく設定しているのは、次の理由からである。すなわち、天井到達によって付与される特典を比較的大きくした場合、天井到達に近づくに連れて遊技を止め難いと遊技者に感じさせてしまう可能性がある。パチンコ遊技機は遊技者が適度に楽しむことができるものであることが望ましく、遊技に過剰にのめり込ませる可能性のある仕様は望ましいとは言えない。そこで本形態のパチンコ遊技機PZ2では、変動回数契機時短状態として遊技者が受けられる特典を、何れを契機とした抽選契機時短状態で遊技者が受けられる特典よりも小さくしている。これにより、大当たり遊技の終了後の特図変動回数が天井回数にある程度近づいて来た場合でも、天井到達により受けられる特典の魅力が高くなり過ぎていないことから、必ず天井到達までは遊技をし続けなくてはいけないと遊技者に思わせてしまうことを抑制することが可能である。その結果、遊技者が遊び易いユーザーフレンドリーな遊技機とすることが可能である。
【0329】
次に、第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2の遊技制御用マイコン101が行う特殊ハズレや天井到達を契機とする時短状態への制御に関する処理について
図49から
図55に基づいて説明する。
【0330】
[特別動作処理]遊技制御用マイコン101は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の中で特別動作処理(S107)を行う(
図26参照)。特別動作処理(S107)では、
図49に示すように、特図表示器81(特
図1表示器81a、特
図2表示器81b)および大入賞装置(第1大入賞装置14D、第2大入賞装置15D)に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4,5」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S901でYES)、特別図柄待機処理(S902)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S901でNO、S903でYES)、特別図柄変動中処理(S904)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S901,S903で共にNO、S905でYES)、特別図柄確定処理(S906)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S901,S903,S905で共にNO、S907でYES)、大当たり遊技としての特別電動役物処理1(S908)を行い、「特別動作ステータス」が「5」である場合には(S901,S903,S905,S907で共にNO)、小当たり遊技としての特別電動役物処理2(S909)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
【0331】
[特別図柄待機処理]
図50に示すように、特別図柄待機処理(S902)ではまず、第2始動口12の保留球数(即ち特
図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1001)。特
図2保留球数が「0」である場合(S1001でYES)、即ち、第2始動口12への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第1始動口11の保留球数(即ち特
図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1007)。そして、特
図1保留球数も「0」である場合(S1007でYES)、即ち、第1始動口11への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、既に画像表示装置50の表示部50aを待機画面(客待ち用のデモ画面)としたか否かを判定し(S1013)、そうであれば(S1013でYES)処理を終え、そうでなければ(S1013でNO)、待機画面設定処理(S1014)を行う。待機画面設定処理(S1014)では、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをセットする。
【0332】
ステップS1001において特
図2保留球数が「0」でない場合(S1001でNO)、即ち、第2始動口12への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特
図2の保留情報)がある場合には、特
図2大当たり判定処理(S1002)及び特
図2変動パターン選択処理(S1003)を行う。特
図2大当たり判定処理(S1002)では、
図30(A)に示した大当たり判定テーブル、
図31に示した小当たり図柄種別判定テーブルに基づく判定が行われる。また、特
図2変動パターン選択処理(S1003)では、
図33に示した特図変動パターン判定テーブルに基づく判定が行われる。その後、遊技制御用マイコン101は、特
図2保留球数を1ディクリメントする(S1004)。そして、特
図2保留記憶部105bにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、特
図2保留記憶部105bにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1005)。このようにして、第2特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン101は、特
図2変動開始処理(S1006)を実行する。特
図2変動開始処理(S1006)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットして、第2特別図柄(特
図2)の変動表示を開始する。なお、特
図2変動開始処理(S1006)でセットされる変動開始コマンド(特
図2変動開始コマンドともいう)には、特
図2大当たり判定処理(S1002)でセットされた特図停止図柄データの情報や特
図2変動パターン選択処理(S1003)でセットされた特図変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
【0333】
また、特
図2保留球数が「0」であるが特
図1保留球数が「0」でない場合(S1001でYES且つS1007でNO)、即ち、特
図2の保留情報はないが、第1始動口11への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特
図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、特
図1大当たり判定処理(S1008)及び特
図1変動パターン選択処理(S1009)を行う。特
図1大当たり判定処理(S1008)では、
図30(A)に示した大当たり判定テーブル、
図31に示した大当たり図柄種別判定テーブル、
図47に示したハズレ図柄種別判定テーブルに基づく判定が行われる。また、特
図1変動パターン選択処理(S1009)では、
図33に示した特図変動パターン判定テーブルに基づく判定が行われる。
【0334】
その後、遊技制御用マイコン101は、特
図1保留球数を1ディクリメントする(S1010)。そして、特
図1保留記憶部105aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、特
図1保留記憶部105aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1011)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン101は、特
図1変動開始処理(S1012)を実行する。特
図1変動開始処理(S1012)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットして、第1特別図柄(特
図1)の変動表示を開始する。なお、特
図1変動開始処理(S1012)でセットされる変動開始コマンド(特
図1変動開始コマンドともいう)には、特
図1大当たり判定処理(S1008)でセットされた特図停止図柄データの情報や特
図1変動パターン選択処理(S1009)でセットされた特図変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
【0335】
上記のように本形態では、第1特図保留(特
図1保留)に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留(特
図2保留)が「0」の場合(S1001でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。
【0336】
[特別図柄変動中処理]
図51に示すように、特別図柄変動中処理(S904)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1003又はS1009で選択された特図変動パターンに応じて決まる変動時間)が経過したか否かを判定する(S1501)。経過していなければ(S1501でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
【0337】
一方、変動時間が経過していれば(S1501でYES)、変動停止コマンド(特図変動停止コマンド)をセットするとともに(S1502)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1503)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄(大当たり図柄、小当たり図柄、ハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1504)、この処理を終える。
【0338】
[特別図柄確定処理]
図52に示すように、特別図柄確定処理(S906)ではまず、特別図柄の停止時間が経過したか否かを判定する(S1601)。経過していなければ(S1601でNO)、直ちにこの処理を終える。一方、停止時間が経過していれば(S1601でYES)、後述の遊技状態管理処理を行う(S1602)。
【0339】
次に、大当たり当選を示す大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1603)。大当たりフラグがONであれば(S1603でYES)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1604)。そして、遊技制御用マイコン101は、時短状態中を示す時短フラグがONであれば(ステップS1605でYES)時短フラグをOFFしてから(S1606)、ステップS1607に進む。
【0340】
ステップS1607では、遊技制御用マイコン101は、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンドをセットする。そして、大当たり遊技のオープニングを開始する(S1608)。ステップS1608に続いて、遊技制御用マイコン101は、当選した大当たり図柄の種別に応じた開放パターンをセットする(S1609)。このときに、特別遊技中の大入賞口の開放回数をカウントする大入賞口開放カウンタの値を、当選した大当たり図柄の種別に応じた値にセットする。
【0341】
一方、ステップS1603において大当たりフラグがONでなければ(S1603でNO)、続いて、小当たり当選を示す小当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1610)。小当たりフラグがONであれば(S1610でYES)、特別動作ステータスを「5」にセットする(S1611)。その後、小当たり遊技を開始するべく、小当たりのオープニングコマンドをセットして(S1612)、小当たり遊技のオープニングを開始する(S1613)。
【0342】
ステップS1613に続いて、遊技制御用マイコン101は、当選した小当たり図柄の種別に応じた開放パターンをセットする(S1614)。なおこのときに、大入賞口開放カウンタの値を、当選した小当たり図柄の種別に応じた値にセットする。その後遊技制御用マイコン101は、振分部材作動フラグをONにして(S1615)、本処理を終える。振分部材作動フラグは、振分部材16kを作動させる期間であることを示すフラグである。つまり本形態では、振分部材16kの作動は小当たり遊技のオープニングとともに開始される。なお、振分部材16kは、何れの小当たり図柄に当選した場合でも、正しく遊技していれば特定領域16の通過が発生し得る態様で作動する。
【0343】
ステップS1610において小当たりフラグがONでなければ(S1610でNO)、大当たり遊技も小当たり遊技も開始しないため、特別動作ステータスを「1」にセットして(S1616)、本処理を終える。
【0344】
[遊技状態管理処理]
図53に示すように、遊技状態管理処理(S1602)ではまず、遊技制御用マイコン101は、時短フラグがONか否か判定する(S1701)。時短フラグがONでなければステップS1705に進み、ONであれば、時短状態中に実行した特
図2の変動の回数をカウントする時短カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S1702)、時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1703)。そして、「0」でなければステップS1705に進み、「0」であれば、時短フラグをOFFして(S1704)、ステップS1705に進む。
【0345】
ステップS1705では、遊技制御用マイコン101は、遊技状態フラグ更新処理を行う。遊技状態フラグ更新処理(S1705)では、遊技状態フラグの値を、現在の遊技状態に応じた値にセットする。
図53中の表に示すように、遊技状態フラグの値は、非時短状態であれば「1」にセットされ、時短状態Aであれば「2」にセットされ、時短状態Bであれば「3」にセットされる。この遊技状態フラグ更新処理(S1705)では、ステップS1704において時短フラグをOFFにしたところであれば、遊技状態フラグの値を非時短状態に対応する値「1」にセットする。
【0346】
続いて遊技制御用マイコン101は、後述する特殊ハズレ処理(S1710)及び天井処理(S1720)を行って、ステップS1730に進む。ステップS1730では、遊技制御用マイコン101は、遊技状態フラグの情報(すなわち現在の遊技状態の情報)を含む遊技状態指定コマンドを、遊技用RAM104の出力バッファにセットする。このコマンドが出力されることにより、サブ制御基板120に現在の遊技状態の情報が通知される。
【0347】
[特殊ハズレ処理]
図54に示すように、特殊ハズレ処理(S1710)ではまず、遊技制御用マイコン101は、時短フラグがOFFであるか否かを判定する(S1711)。時短フラグがOFFでなければ、本処理を終えるが、時短フラグがOFFであれば、続いて、停止表示されている特別図柄が、特殊ハズレ(すなわちハズレ図柄B又はハズレ図柄C、
図47参照)であるか否かを判定する(S1712)。そして、特殊ハズレでなければ、本処理を終えるが、特殊ハズレであれば、時短フラグをONにするとともに(S1713)、ハズレ図柄の種別に応じた時短回数(
図47参照)を時短カウンタにセットし(S1714)、遊技状態フラグ更新処理(S1715)を行って、本処理を終える。
【0348】
この遊技状態フラグ更新処理(S1715)では、特殊ハズレに基づいて時短フラグをONにしたところであるため、停止表示されている特別図柄がハズレ図柄Bであれば、遊技状態フラグの値を時短状態Aに対応する値「2」にセットし、停止表示されている特別図柄がハズレ図柄Cであれば、遊技状態フラグの値を時短状態Bに対応する値「3」にセットする。これにより、時短状態A又は時短状態Bに制御される。
【0349】
なお本形態では、特殊ハズレに基づいて時短状態の設定が更新されるのは、時短状態でないとき、すなわち、非時短状態であるとき(ステップS1711でYESのとき)に限られる。すなわち、時短状態中(時短フラグがONであるとき)に特殊ハズレ処理を迎えても、遊技状態の設定の変更はなされない。なお、時短状態中に特殊ハズレ処理を迎えた場合でも、特殊ハズレに基づいて時短状態の設定が更新される構成としてもよい。
【0350】
[天井処理]
図55に示すように、天井処理(S1720)ではまず、遊技制御用マイコン101は、天井カウンタの値が0よりも大きいかを判定する(S1721)。なお、天井カウンタの値は、大当たり遊技の終了時に天井回数に応じた値(本形態では「800」)にセットされるものとする。
【0351】
ステップS1721において天井カウンタの値が0よりも大きくなければ(S1721でNO)、直ちに本処理を終了するが、天井カウンタの値が0よりも大きければ(S1721でYES)、天井カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S1722)、天井カウンタの値が0であるか否かを判定する(S1723)。
【0352】
そして、天井カウンタの値が0でなければ(S1723でNO)、直ちに本処理を終了するが、天井カウンタの値が0であれば(S1723でYES)、天井到達であるため、時短フラグをONするとともに(S1724)、天井到達に応じた時短回数(本形態では「1」)を時短カウンタにセットし(S1725)、遊技状態フラグ更新処理(S1726)を行う。この遊技状態フラグ更新処理(S1726)では、天井到達に基づいて時短フラグをONしたところであるため、遊技状態フラグの値を、時短状態Aに対応する値「2」にセットする。これにより、「時短回数1回の時短状態A」に制御される。
【0353】
このようにして本形態では、遊技制御用マイコン101は特殊ハズレ(ハズレ図柄B、ハズレ図柄C)に基づいて「時短回数6回の時短状態A」や「時短回数11回の時短状態B」に制御したり、天井到達に基づいて「時短回数1回の時短状態A」に制御したりすることが可能である。続いて、「時短回数6回の時短状態A」、「時短回数11回の時短状態B」、「時短回数1回の時短状態A」に制御された場合の各演出について
図56に基づいて説明する。
【0354】
本形態のパチンコ遊技機PZ2では、演出制御用マイコン121は、特殊ハズレ(ハズレ図柄B)の停止表示、あるいは、大当たり遊技の終了に応じて、「時短回数6回の時短状態A」に制御された場合、
図56(A)に示すように、演出モードを時短A演出モードに設定して各種の演出を行う。具体的には、時短A演出モードでは、空時短A用背景画像G131を背景画像として表示部50aに表示したり、右打ち報知画像RIを表示部50aの右上部に表示したり、残回数表示画像ZIを表示部50aの左下部に表示したりする。時短A演出モードは、空時短A用背景画像G131が表示される演出モードであることから、空モードとも称される。空モードの設定中は、現在の演出モードが空モードであることを示すため、空モードの文字を含むモード名画像MI1を、表示部50aの上部中央に表示する。モード名画像MI1は、現在の遊技状態を示唆可能な画像として機能する。
【0355】
また、パチンコ遊技機PZ2では、演出制御用マイコン121は、特殊ハズレ(ハズレ図柄C)の停止表示、あるいは、大当たり遊技の終了に応じて、「時短回数11回の時短状態B」に制御された場合、
図56(B)に示すように、演出モードを時短B演出モードに設定して各種の演出を行う。具体的には、時短B演出モードでは、森時短B用背景画像G132を背景画像として表示部50aに表示したり、右打ち報知画像RIを表示部50aの右上部に表示したり、残回数表示画像ZIを表示部50aの左下部に表示したりする。時短B演出モードは、森時短B用背景画像G132が表示される演出モードであることから、森モードとも称される。森モードの設定中は、現在の演出モードが森モードであることを示すため、森モードの文字を含むモード名画像MI2を、表示部50aの上部中央に表示する。モード名画像MI2は、現在の遊技状態を示唆可能な画像として機能する。
【0356】
このように本形態では、特図抽選の結果を契機として時短状態に移行した場合には、
図56(A)や
図56(B)に示すような演出を通じて、遊技者に対して大きな特典が付与されている感じを出すようにしている。これに対して、パチンコ遊技機PZ2では、演出制御用マイコン121は、天井到達に基づいて「時短回数1回の時短状態A」に制御された場合、
図56(C)に示すように、演出モードを通常演出モードのまま変えることなく各種の演出を行う。具体的には、天井到達に基づいて時短状態Aに設定されても、非時短状態であるときと同様、昼間通常用背景画像G102を背景画像として表示部50aに表示する。また、残回数表示画像ZIは表示せず、現在の演出モード名に応じたモード名画像も表示しない。非時短状態であるときと異なる演出としては、第2始動口12への入球を促すために右打ち報知画像RIを表示部50aの右上部に表示する点と、特
図2の抽選(特
図1の抽選よりも高い確率で大当たり遊技を実行させることが可能な抽選)を受けられるチャンスであることを示すチャンス画像MI3を、表示部50aの右上部であって右打ち報知画像RIの下方に添えて表示する点である。
【0357】
このように本形態では、天井到達に基づいて時短状態に設定されても、演出状況が、非時短状態であるときの演出状況(
図39(A)参照)から大きく変わらないようにしている。このようにしているのは、上述した通り本形態では天井到達に基づいて付与される特典を、特図抽選を契機として付与される特典よりも小さく設定しているため、天井到達による特典に過度な期待を持たせないようにするためであり、天井到達時の特典が小さめであることが演出面からも遊技者に伝わるようにするためである。なお、天井到達に基づく時短状態において表示されるチャンス画像MI3は、天井到達に基づく時短状態でしか表示されることがないため、モード名画像MI1やモード名画像MI2と同様に、現在の遊技状態を示唆可能な画像として機能し得る。但し、チャンス画像MI3における「チャンス」の文字の大きさは、モード名画像MI1やモード名画像MI2におけるモード名の文字の大きさよりも小さく、また、チャンス画像MI3における「チャンス」の文字の太さは、モード名画像MI1やモード名画像MI2におけるモード名の文字の太さよりも細い。また、チャンス画像MI3の表示位置は表示部50aの右上の隅であり、表示部の上部中央に表示されるモード名画像MI1やモード名画像MI2よりも遊技者に気付かれ難い位置である。つまり、チャンス画像MI3は、モード名画像MI1やモード名画像MI2と比べて、目立ち難い態様で表示される画像となっている。モード名画像MI1、モード名画像MI2、チャンス画像MI3はそれぞれ、特定の表示の一例である。
【0358】
8-2.第2実施形態の効果
以上詳細に説明したように、第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2によれば、天井到達に基づいて制御される変動回数契機時短状態の終了条件(時短回数1回)よりも、特図抽選に基づいて制御される抽選契機時短状態の終了条件(時短回数6回あるいは11回)の方が、設定される時短回数が多く、遊技者にとって有利となっている(
図48参照)。そのため、変動回数契機時短状態に制御されることの魅力が高くなり過ぎることが防止され、大当たり遊技がなかなか実行されない場合に特図変動の実行回数が所定の天井回数(800回)になるまでは遊技をやめるわけにはいかないと遊技者に思わせ難くすることが可能である。その結果、過剰に遊技を続けさせてしまうことを防止でき、遊技興趣が低下し難い遊技機を提供することが可能である。なお第2実施形態では、特
図2の抽選における小当たり当選確率(実質的な大当たり当選確率)は約1/7であるから(
図30(A))、天井到達に基づいて時短状態Aに制御されて時短回数1回分と特
図2保留4個分の計5回の特
図2抽選が最大で受けられても、小当たりに当選しない可能性は十分にある。
【0359】
また第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2によれば、特図抽選に基づいて制御される抽選契機時短状態は、何れの特図抽選結果(大当たり図柄A、大当たり図柄B、小当たり図柄a、小当たり図柄b、小当たり図柄c、ハズレ図柄B、ハズレ図柄C、
図31、
図47参照)を契機とするものであっても、天井到達に基づいて制御される変動回数契機時短状態よりも時短回数が大きい値に設定される(遊技者に有利な終了条件に設定される)。つまり、変動回数契機時短状態の終了条件は、全ての時短状態の中で最も遊技者にとって不利な終了条件となっている。従って、天井到達に基づいて変動回数契機時短状態に制御されることの魅力が高くなり過ぎることが確実に防止され、遊技者が望むタイミングで躊躇なく遊技を止めることが可能なユーザーフレンドリーの遊技機とすることが可能である。
【0360】
また第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2によれば、抽選契機時短状態よりも終了条件が不利に設定される変動回数契機時短状態では、現在の遊技状態を示唆可能な特定の表示(チャンス画像MI3)が、抽選契機時短状態におけるもの(モード名画像MI1、モード名画像MI2)よりも目立ち難いようになっている(
図56(A)(B)(C)参照)。そのため、変動回数契機時短状態に制御されたことで抽選契機時短状態に制御されたときのように大きな特典が得られるのではないかと遊技者に思わせ難くすることが可能である。
【0361】
8-3.第2実施形態の変更例
以下、第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2の変更例について説明する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成しても良い。また、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、上述した第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1やその変更例の構成とも、遊技に支障をきたさない範囲で適宜組み合わせることが可能である。なお、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0362】
上述した第2実施形態では、抽選契機時短状態よりも終了条件が不利に設定される変動回数契機時短状態では、現在の遊技状態を示唆可能な特定の表示として、抽選契機時短状態において表示されるモード名画像MI1やモード名画像MI2よりも目立ち難い態様の画像(チャンス画像MI3)を表示する構成とした(
図56(A)(B)(C)参照)。これに対して、変動回数契機時短状態においてチャンス画像MI3のような現在の遊技状態を示唆可能な表示を全く表示しない構成としてもよい。右打ち報知画像RIにより遊技者に打ち方を示しておけば遊技者は変動回数契機時短状態による特典を受けることができるからである。
【0363】
また上述した第2実施形態では、変動回数契機時短状態において現在の遊技状態を示唆可能な表示として、
図56(C)に示す「チャンス」の文字を含むチャンス画像MI3を表示する構成としたが、現在の遊技状態を示唆可能な表示の内容は適宜変更可能である。例えば、変動回数契機時短状態であるときの演出モードを通常演出モードとは違うモード名とし、そのモード名を含む画像を、モード名画像MI1やモード名画像MI2よりも目立ち難い態様で表示してもよい。
【0364】
また、抽選契機時短状態において現在の遊技状態を示唆可能な表示として、
図56(A)に示す「空モード」の文字を含むモード名画像MI1や、
図56(B)に示す「森モード」の文字を含むモード名画像MI2を表示する構成としたが、抽選契機時短状態における現在の遊技状態を示唆可能な表示の内容も適宜変更可能である。
【0365】
なお、時短状態における現在の遊技状態を示唆可能な特定の表示には、第2実施形態で示したもの(モード名画像MI1、モード名画像MI2、チャンス画像MI3)のほか、残回数表示画像ZIや、背景画像(空時短A用背景画像G131、森時短B用背景画像G132)なども含まれる。また、いわゆる連荘期間中(初当たりから通常遊技状態よりも有利な条件で大当たり遊技の獲得を目指すことができる期間を抜けるまでの期間)の累積的な獲得賞球数を表示部50aに表示する構成では、この獲得賞球数の表示も、現在の遊技状態を示唆可能な特定の表示に含まれる。なお、現在の遊技状態を示唆可能な特定の表示は、抽選契機時短状態において少なくとも1つ行われればよい。
【0366】
また上述した第2実施形態では、変動回数契機時短状態における現在の遊技状態を示唆可能な表示(チャンス画像MI3)を、抽選契機時短状態における現在の遊技状態を示唆可能な表示(モード名画像MI1、モード名画像MI2)に比べて、小さいサイズで、表示部50aの端寄りの位置に表示することで、目立ち難いように表示したが(
図56(C)参照)、現在の遊技状態を示唆可能な表示の目立ち難い態様は、半透明の表示態様や、暗い色を使った表示態様など、他の態様であってもよい。
【0367】
また上述した第2実施形態では、特図抽選に基づいて制御される抽選契機時短状態は、何れの特図抽選結果(大当たり図柄A、大当たり図柄B、小当たり図柄a、小当たり図柄b、小当たり図柄c、ハズレ図柄B、ハズレ図柄C、
図31、
図47参照)を契機とするものであっても、天井到達に基づいて制御される変動回数契機時短状態よりも時短回数が大きい値に設定される(遊技者に有利な終了条件に設定される)構成とした。これに対して、特図抽選に基づいて制御される抽選契機時短状態の中に、天井到達に基づいて制御される変動回数契機時短状態よりも、終了条件が遊技者にとって不利なものが含まれていてもよい。なお、変動回数契機時短状態による特典が大きいと遊技者に感じ難くさせるために、特図抽選に基づいて制御される抽選契機時短状態のうちの半数以上が、天井到達に基づいて制御される変動回数契機時短状態よりも、終了条件が遊技者にとって有利であることが望ましい。
【0368】
また上述した第2実施形態において、変動回数契機時短状態でも、抽選契機時短状態と同様、大きな特典が付与されていると感じさせる程度に目立つ態様(遊技者が気づき易い態様)で各種の演出を行ってもよい。変動回数契機時短状態の終了条件が抽選契機時短状態の終了条件よりも遊技者にとって不利なものであれば、演出面を地味にしなくても、天井到達が近づいて来た際の遊技のやめ難さを緩和することに対して一定の効果が期待できるからである。
【0369】
また上述した第2実施形態では、時短状態の終了条件が、設定された時短回数分の特図変動が行われること、及び、大当たり遊技が実行されることの何れかの成立であったが、時短状態の終了条件は適宜変更可能である。例えば、所定回数の小当たりに当選したことや、所定回数の小当たり遊技が実行されたこと、普通図柄の変動表示が所定回数行われたこと、所定回数の補助遊技が実行されたこと、等が時短状態の終了条件の1つに含まれるようにしてもよい。具体的には、「所定回数の小当たりに当選したこと」が時短状態の終了条件に含まれる構成とし、抽選契機時短状態において設定される終了条件としての小当たり回数(例えば2回)よりも、変動回数契機時短状態において設定される終了条件としての小当たり回数(例えば1回)の方が小さい構成としてもよい。なお、時短状態の終了条件としての小当たり回数が1回であるか複数回であるかの違いは、V通過時の遊技状態を異ならせる役割(非時短状態になってV通過が生じるか、時短状態のままV通過が生じるか)を発揮するため、このような構成とすれば、ある小当たり図柄に当選した場合に当選時の遊技状態に応じて異なる特典を付与するゲーム性を実現することが可能となる。また、時短状態の終了条件としての各種回数(時短回数や小当たり当選回数など)は、実現したいゲーム性等に応じて適宜設定可能である。また、天井回数も適宜変更可能である。
【0370】
また第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2において、変動回数契機時短状態であるか抽選契機時短状態であるかに応じて、第1実施形態のパチンコ遊技機PZ1が実行するような先読み演出(例えば保留表示変化演出)の実行の可否を異ならせてもよい。すなわち、例えば、第1始動口11(特
図1)に係る先読み演出(保留表示変化演出)を変動回数契機時短状態では非時短状態(通常遊技状態)と同様に実行可能であるが、抽選契機時短状態では実行することがない構成としてもよい。また、第2始動口12(特
図2)に係る先読み演出(保留表示変化演出)を変動回数契機時短状態では実行することがないが、抽選契機時短状態では実行可能である構成としてもよい。これらの構成によれば、時短状態の制御契機の違いによって先読み演出の実行の有無が異なる新たな面白さを提供可能である。
【0371】
また上述した第2実施形態では、特
図1の抽選でのみ特殊ハズレ(時短ハズレ)に当選可能な構成としたが、特
図2の抽選で特殊ハズレに当選可能な構成としてもよい。また上述した第2実施形態では、時短状態の制御契機となる特殊ハズレ(時短ハズレ)を設けたが、設けなくてもよい。この場合、抽選契機時短状態は、大当たり遊技の終了に応じて設定される時短状態だけとなる。
【0372】
9.各実施形態に共通する変更例
上記形態(第1実施形態、第2実施形態)において、各演出の演出内容や抽選確率は、その演出の機能を阻害しない範囲で適宜変更可能である。また、大当たり図柄や小当たり図柄、ハズレ図柄の種類とその特典、抽選確率は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。
【0373】
また上記形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用したが、アレンジボール機、雀球遊技機等の他の弾球遊技機などに適用することも可能である。また、本発明をパチンコ遊技機に適用する場合、遊技機のゲーム性は遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。すなわち本発明は、遊技に支障をきたさなければ、いわゆる図柄確変機(当選した図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機)、いわゆるV確機(大入賞口内の特定領域(V領域)の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)、いわゆる確変ループタイプの遊技機(一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機)、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)、いわゆる1種2種混合機やハネモノタイプの遊技機などに、適宜採用することが可能である。また本発明を、下皿35等の構成を有さず遊技機内に封入された遊技球が循環するタイプの遊技機(所謂封入式遊技機、循環式遊技機、管理遊技機、スマートパチンコ)に適用してもよい。
【0374】
また上記形態では、特図可変表示に略同調して小図柄KZ1,KZ2,KZ3の可変表示が行われるが、小図柄KZ1,KZ2,KZ3のように3つの図柄で構成させるのではなく、2つなど3つ以外の図柄で構成させてもよい。例えば、特
図1と特
図2とで分けた2つの図柄を設けても良い。また、特
図1と特
図2とで共通の1つの図柄を設けても良い。そして、これらの場合、画像表示装置50の表示部50aで表示し、サブ制御基板120にその制御を行わせても良い。また、遊技盤1の遊技領域6以外の領域において、図柄を表示するLED装置を設けても良い。この場合、そのLED装置の制御を主制御基板100またはサブ制御基板120に行わせても良い。
【0375】
また上記形態では、遊技の進行に係る基本的な制御を主制御基板100が行い、遊技の進行(遊技の制御)に応じた演出の進行に係る基本的な制御をサブ制御基板120が行うというように、遊技の制御と演出の制御とを異なる基板で行っているが、一つの基板で行うよう構成しても良い。この場合、画像制御基板140を、その一つの基板に含めても良く、また、その一つの基板とは別に設けても良い。
【0376】
なお、「遊技者に有利な状態(有利遊技状態、有利状態、又は、特別遊技状態)」と言う場合、全ての大当たり遊技状態がこれに該当する構成でなくてもよい。例えば、その後に高確率状態に制御される予定の大当たり遊技状態が「遊技者に有利な状態」に該当する構成としたり、実質10R等の相対的に多くの賞球を獲得可能な大当たり遊技状態が「遊技者に有利な状態」に該当する構成としたりしてもよい。また、「遊技者に有利な状態」は、大当たり遊技状態のことではなく、小当たり遊技状態(小当たり遊技を実行している状態)のことであってもよく、また、高確率状態や高ベース状態(時短状態)のことであってもよい。2種大当たりを搭載している遊技機では、小当たり遊技状態と当該小当たり遊技状態における特定領域16への遊技球の通過に基づく大当たり遊技状態との一連の遊技状態を、遊技者に有利な状態としてもよい。また、「遊技者に有利な状態」を高確率状態や高ベース状態(時短状態)のこととする場合には、「遊技者に有利な状態」になることに期待させる種々の演出は、特別図柄の変動表示中の演出に限らず、大当たり遊技中の演出など、他のタイミングで行われる演出であってもよい。
【0377】
10.各実施形態及びその変更例に示されている発明
上記した各実施形態及びその変更例には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施形態等における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。なお、手段Aは、以下の手段A1~A4の総称である。また手段Bは、以下の手段B1~B3の総称である。
【0378】
手段A1:
可変入球口(第2始動口12)、又は、前記可変入球口とは異なる他の入球口(第1始動口11)への入球に基づいて遊技者に有利な特別遊技を実行するかの判定を行う判定手段(遊技制御用マイコン101による特図抽選に係る処理)と、
前記判定手段による判定を保留可能な保留手段(遊技制御用マイコン101による特図保留の発生に係る処理)と、
前記判定手段による判定よりも前に、前記特別遊技が行われるかを判定する事前判定手段(遊技制御用マイコン101による先読み判定に係る処理)と、
非特典遊技状態よりも前記可変入球口への入球が容易な設定の特典遊技状態(時短状態)に制御可能な遊技状態制御手段(遊技制御用マイコン101による遊技状態の設定に係る処理)と、
演出を制御可能な演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記特典遊技状態には、第1特典遊技状態(時短状態B)と前記第1特典遊技状態とは異なる第2特典遊技状態(時短状態A)とがあり、
前記演出制御手段は、
前記事前判定手段による判定の結果に基づいて、前記特別遊技が行われることに期待させる事前演出(保留表示変化演出)を実行可能であり、
前記可変入球口への入球及び前記他の入球口への入球の少なくとも一方に基づく前記事前演出を、前記第1特典遊技状態(時短状態B)では実行可能であり、前記第2特典遊技状態(時短状態A)では実行することがないことを特徴とする遊技機(第1実施形態に係るパチンコ遊技機PZ1)。
【0379】
この構成の遊技機によれば、非特典遊技状態よりも可変入球口への入球が容易な設定の特典遊技状態の中に、可変入球口への入球又は他の入球口への入球に基づく事前演出を実行可能な第1の特典遊技状態と、実行することがない第2の特典遊技状態とが設けられている。そのため、第2の特典遊技状態では、判定手段による判定の結果に遊技者の意識を集中させることができる一方で、第1の特典遊技状態では、保留されている判定で特別遊技を実行すると判定されるかもしれないと前もって期待させておくことが可能となり、遊技興趣の向上が見込める。
【0380】
手段A2:
手段A1に記載の遊技機であって、
前記演出制御手段は、
前記事前演出として、前記保留手段による保留があることを示す保留表示の表示態様を特定態様(例えば星形状の特殊表示態様)で表示することが可能であり、
前記第1特典遊技状態以外の遊技状態から前記第1特典遊技状態(時短状態B)に移行した場合に、当該第1特典遊技状態への移行に応じて、当該第1特典遊技状態への移行前からある前記保留手段による保留に係る前記保留表示を前記特定態様で表示し始めることがある(
図42、
図44参照)ことを特徴とする遊技機。
【0381】
この構成の遊技機によれば、第1の特典遊技状態への移行により事前演出を実行可能になると、この第1の特典遊技状態への移行に応じて、保留表示の表示態様が特定態様で表示される事前演出が行われることがあるため、第1の特典遊技状態への移行時の興趣を好適に向上可能である。
【0382】
手段A3:
手段A1に記載の遊技機であって、
前記演出制御手段は、
前記事前演出として、前記保留手段による保留があることを示す保留表示の表示態様を特定態様(例えば星形状の特殊表示態様)で表示することが可能であり、
前記第1特典遊技状態以外の遊技状態から前記第1特典遊技状態(時短状態B)に移行した場合に、当該第1特典遊技状態に移行した後で、当該第1特典遊技状態への移行前からある前記保留手段による保留に係る前記保留表示を前記特定態様以外の表示態様から前記特定態様に変化させていくことがある(
図46参照)ことを特徴とする遊技機。
【0383】
この構成の遊技機によれば、第1の特典遊技状態への移行により事前演出を実行可能になると、この第1の特典遊技状態への移行後に、保留表示の表示態様が特定態様に変化していく事前演出が行われることがあるため、第1の特典遊技状態への移行後の興趣を好適に向上可能である。
【0384】
手段A4:
手段A2又は手段A3に記載の遊技機であって、
前記演出制御手段は、前記特典遊技状態から前記非特典遊技状態(非時短状態)に移行した場合に、当該非特典遊技状態への移行に応じて、当該非特典遊技状態への移行前からある前記保留手段による保留に係る前記保留表示を前記特定態様(例えば星形状の特殊表示態様)で表示し始めることがある(
図43、
図45参照)ことを特徴とする遊技機。
【0385】
この構成の遊技機によれば、特典遊技状態から非特典遊技状態への移行に応じても、保留表示の表示態様が特定態様で表示される事前演出が行われることがあるため、第1の特典遊技状態への移行のときだけでなく、非特典遊技状態への移行時の興趣も好適に向上可能である。
【0386】
ところで従来より、遊技機の一例であるパチンコ遊技機として、例えば特許第6582196号公報に記載されているように、非時短状態では第1始動口への入球に基づく先読み演出を実行する一方で、第2始動口への入球が容易な時短状態では、第1始動口への入球に基づく先読み演出を実行しないように構成された遊技機が知られている。しかしながら、特許第6582196号公報に記載されている遊技機では、第2始動口への入球が容易な遊技状態においては第2始動口への入球に基づく先読み演出が実行されるだけで第1始動口への入球に基づく先読み演出が一切実行されることがないという一律の設定であるため、遊技興趣の向上のためには改良の余地があった。
【0387】
上記した手段Aは、特許第6582196号公報に記載の遊技機に対して、「可変入球口への入球が容易な設定の特典遊技状態に第1特典遊技状態と第2特典遊技状態とがあり、事前判定手段による判定の結果に基づいて特別遊技が行われることに期待させる事前演出を実行可能であり、可変入球口への入球及び他の入球口への入球の少なくとも一方に基づく事前演出を、第1特典遊技状態では実行可能であり、第2特典遊技状態では実行することがない」という点で相違している。この相違点により、手段Aの発明は、「演出を通じて遊技の興趣を向上させる」という課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。
【0388】
手段B1:
所定の識別図柄(特別図柄)を変動表示し、所定の抽選(特図抽選)の結果を示す態様で停止表示する図柄表示手段と、
非特典遊技状態(非時短状態)よりも可変入球口(第2始動口12)への入球が容易な設定の特典遊技状態(時短状態)に制御可能な遊技状態制御手段と、を備え、
前記特典遊技状態には、前記所定の抽選に基づいて制御される第1の特典遊技状態(抽選契機時短状態)と、前記所定の抽選に基づいて遊技者に有利な特別遊技(大当たり遊技)が実行されることなく前記所定の識別図柄の変動表示が所定回数(例えば800回)実行されたことに基づいて制御される第2の特典遊技状態(変動回数契機時短状態)とがあり、
前記第1の特典遊技状態の終了条件(例えば時短回数6回や11回)が、前記第2の特典遊技状態の終了条件(例えば時短回数1回)よりも遊技者にとって有利な条件に設定される場合がある(
図48参照)ことを特徴とする遊技機(第2実施形態のパチンコ遊技機PZ2)。
【0389】
この構成の遊技機によれば、遊技者にとって有利な特別遊技が実行されることなく所定の識別図柄の変動表示が所定回数行われると、可変入球口への入球が容易な設定の第2の特典遊技状態に制御されるが、この第2の特典遊技状態の終了条件よりも、所定の抽選に基づいて制御される第1の特典遊技状態の終了条件の方が、遊技者にとって有利な条件に設定されることがある。そのため、第2の特典遊技状態に制御されることの魅力が高くなり過ぎることが防止され、特別遊技がなかなか実行されない場合に識別図柄の変動表示の実行回数が所定回数になるまでは遊技をやめるわけにはいかないと遊技者に思わせ難くすることが可能となる。その結果、過剰に遊技を続けさせてしまうことを防止でき、遊技興趣が低下し難い遊技機を提供することが可能となる。
【0390】
手段B2:
手段B1に記載の遊技機であって、
前記第1の特典遊技状態(抽選契機時短状態)の終了条件には複数の種類(時短回数6回、時短回数11回)があり、
前記複数の種類の終了条件の何れもが、前記第2の特典遊技状態の終了条件(時短回数1回)よりも遊技者にとって有利な条件であることを特徴とする遊技機。
【0391】
この構成の遊技機によれば、特別遊技が実行されることなく所定の識別図柄の変動表示が所定回数行われたことに基づいて制御される第2の特典遊技状態の終了条件は、所定の抽選に基づいて制御される第1の特典遊技状態の何れの終了条件よりも、遊技者にとって不利な条件となっている。従って、第2の特典遊技状態に制御されることの魅力が高くなり過ぎることが確実に防止され、遊技者が望むタイミングで躊躇なく遊技を止めることが可能なユーザーフレンドリーの遊技機を提供可能である。
【0392】
手段B3:
手段B1又は手段B2に記載の遊技機であって、
演出を制御可能な演出制御手段(演出制御用マイコン121)を備え、
前記演出制御手段は、
前記特典遊技状態に制御されている場合に、現在の遊技状態を示唆可能な特定の表示(例えばモード名画像MI1、モード名画像MI2、チャンス画像MI3、
図56参照)を表示可能であり、
前記第2の特典遊技状態(変動回数契機時短状態である時短回数1回の時短状態A)では、前記第1の特典遊技状態(抽選契機時短状態である時短回数6回の時短状態A又は時短回数11回の時短状態B)よりも目立ち難い態様で前記特定の表示を行う(
図56参照)、又は、前記特定の表示を行わないことを特徴とする遊技機。
【0393】
この構成の遊技機によれば、第1の特典遊技状態よりも終了条件が不利に設定される第2の特典遊技状態では、現在の遊技状態を示唆する特定の表示が、第1の特典遊技状態におけるものよりも目立ち難い、あるいは、表示されないようになっている。そのため、第2の特典遊技状態に制御されたことで、第1の特典遊技状態に制御されたときのように大きな特典が得られるのではないかと遊技者に思わせ難くすることが可能である。
【0394】
ところで従来より、遊技機の一例であるパチンコ遊技機として、例えば特開2021-045316号公報に記載されているように、大当たり遊技が実行されないまま特別図柄の変動表示の実行回数が所定の特典付与回数に至った場合には、可変入球口に遊技球が入球し易い時短状態に移行するように構成された遊技機が知られている。しかしながら、特開2021-045316号公報に記載されている遊技機では、大当たり遊技後の特別図柄の変動表示の実行回数が所定の特典付与回数に近づいてくるにつれて、遊技者が遊技を止め難いと感じることがあり、過剰に遊技を続けさせてしまう可能性を含んでおり、この点に改良の余地があった。
【0395】
上記した手段Bは、特開2021-045316号公報に記載の遊技機に対して、「可変入球口への入球が容易な設定の特典遊技状態には、所定の抽選に基づいて制御される第1の特典遊技状態と、遊技者に有利な特別遊技が実行されることなく所定の識別図柄の変動表示が所定回数実行されたことに基づいて制御される第2の特典遊技状態とがあり、第1の特典遊技状態の終了条件が、第2の特典遊技状態の終了条件よりも遊技者にとって有利な条件に設定される場合がある」という点で相違している。この相違点により、手段Bの発明は、「過剰に遊技を続けさせてしまうことを防止する」という課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。
【符号の説明】
【0396】
PZ1…パチンコ遊技機
PZ2…パチンコ遊技機
11…第1始動口(他の入球口)
12…第2始動口(可変入球口)
50…画像表示装置
50a…表示部
101…遊技制御用マイコン
121…演出制御用マイコン
HA…保留アイコン
TA…当該アイコン
MI1…モード名画像
MI2…モード名画像
MI3…チャンス画像