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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114298
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】バルブとそれを用いた間欠塗工装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240816BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20240816BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F16K31/06 310Z
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019973
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000240341
【氏名又は名称】株式会社ヒラノテクシード
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 博一
【テーマコード(参考)】
3H106
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DC02
3H106DD03
3H106EE01
4F041AA12
4F041AB01
4F041CA03
4F041CA13
4F041CA17
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA07
4F042BA12
4F042BA25
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB20
4F042DF24
(57)【要約】
【課題】ボイスコイルモータで弁体を移動させ弁座を閉塞する場合に、確実に閉塞できるバルブとそれを用いた間欠塗工装置を提供する。
【解決手段】組み合わせ弁本体12内部に設けられた塗工液が流れる空間20と、塗工液の入口14と、第1出口16と、第1出口16に設けられた第1弁座22と、第1弁座22を開閉する第1弁体26と、第1弁体26が先端に設けられた第1摺動シャフト34と、第1摺動シャフト34を摺動方向に移動させ、第1弁体26によって第1弁座22を開閉する第1ボイスコイルモータ7と、第1弁座22に第1弁体26を当接して閉状態にするときには、第1ボイスコイルモータ7による第1摺動シャフト34の移動をトルク制御で行って第1弁座22を閉状態にし、第1弁座22から第1弁体26を離して開状態にするときには、第1ボイスコイルモータ7による第1摺動シャフト34の移動を位置制御で行い待機位置Pまで移動させる制御部126とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体と、
前記弁本体内部に設けられた液体が流れる空間と、
前記弁本体に設けられた前記液体の入口と、
前記弁本体に設けられた前記液体の出口と、
前記出口に設けられた弁座と、
前記弁座を開閉する弁体と、
一端に前記弁体が設けられた摺動棒と、
前記摺動棒を摺動方向に移動させ、前記弁体によって前記弁座を開閉するボイスコイルモータと、
前記弁座に前記弁体を当接して閉状態にするときには、前記ボイスコイルモータによる前記摺動棒の移動をトルク制御で行い、前記弁座から前記弁体を離して前記弁座を開状態にするときには、前記ボイスコイルモータによる前記摺動棒の移動を位置制御で行い待機位置まで移動させる制御部と、
を有することを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記制御部は、前記弁体で前記弁座を閉じたときは、前記ボイスコイルモータの定格電流より低い電流値で閉状態を維持する、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記制御部は、前記弁座に前記弁体を当接して前記弁座を閉状態にするときには、前記待機位置から所定の位置まで位置制御で前記弁体を移動させ、前記所定の位置まで移動した後は前記トルク制御で前記弁体を前記弁座まで移動させる、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項4】
前記摺動棒の前記摺動方向の位置を検出する位置センサを有し、
前記制御部は、前記位置センサが検出した前記摺動棒の位置に基づいて、前記位置制御を行う、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項5】
前記制御部は、前記弁体が前記弁座を閉じた位置を原点として、前記原点から前記摺動方向に沿って前記待機位置まで前記弁体を位置制御によって移動させる、
請求項4に記載のバルブ。
【請求項6】
走行する長尺状のウエブに塗工液を塗工するダイと、
前記塗工液を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留された前記塗工液を圧送するポンプと、
請求項1に記載のバルブである第1バルブの前記弁本体と、請求項1に記載のバルブである第2バルブの前記第2バルブの前記弁本体とが組み合わされた共通の空間を有した三方弁と、
前記ポンプからの前記塗工液を前記第1バルブの前記入口に供給する圧送配管と、
前記第1バルブの前記出口から前記ダイに前記塗工液を供給する給液配管と、
前記第2バルブの前記出口から前記タンクに前記塗工液を循環させる循環配管と、
前記第1バルブの前記出口を開閉することによって前記ウエブに塗工区間と未塗工区間とを交互に形成する間欠塗工を行う制御部と、
を有することを特徴とする間欠塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブとそれを用いた間欠塗工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィルム、布帛、紙、金属箔、金属メッシュなどの長尺状のウエブに塗工液を間欠塗工する間欠塗工装置が提案されている。
【0003】
この従来の間欠塗工装置は、バックアップロール上を搬送するウエブにダイによって未塗工区間と塗工区間とを交互に形成するために、塗工液を圧送するポンプとダイとの間に第1バルブと第2バルブを組み合わせた三方弁を設け、未塗工区間を形成するときは、第1バルブを閉じてダイへの塗工液の供給を停止し、塗工区間を形成するときは、第2バルブを開けてダイに塗工液を供給する。
【0004】
しかし、最近のリチウムイオン電池の電極部材などに使用される金属箔に、塗工液を間欠塗工する場合には、未塗工区間の長さと塗工区間の長さの精度が、従来より高く要求されるようになった。そこで本出願人は先に、ボイスコイルモータを用いたバルブによって間欠塗工を行う間欠塗工装置を提案した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-47245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のバルブは、塗工液の出口に弁座が設けられ、弁体をボイスコイルモータで移動させて弁座を開閉している。この場合に、弁座はテフロン(登録商標、以下同様)や樹脂で形成されているため、弁座が熱で膨張する。そのため、弁体をこの膨張に対応して移動させ、弁座を確実に開閉する必要があるという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、ボイスコイルモータで弁体を移動させ弁座を閉塞する場合に、確実に閉塞できるバルブとそれを用いた間欠塗工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、弁本体と、前記弁本体内部に設けられた液体が流れる空間と、前記弁本体に設けられた前記液体の入口と、前記弁本体に設けられた前記液体の出口と、前記出口に設けられた弁座と、前記弁座を開閉する弁体と、一端に前記弁体が設けられた摺動棒と、前記摺動棒を摺動方向に移動させ、前記弁体によって前記弁座を開閉するボイスコイルモータと、前記弁座に前記弁体を当接して閉状態にするときには、前記ボイスコイルモータによる前記摺動棒の移動をトルク制御で行い、前記弁座から前記弁体を離して前記弁座を開状態にするときには、前記ボイスコイルモータによる前記摺動棒の移動を位置制御で行い待機位置まで移動させる制御部と、を有することを特徴とするバルブである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ボイスコイルモータで弁体を移動させ弁座を閉塞する場合に、確実に閉塞できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を示す間欠塗工装置の全体図である。
図2】三方弁の一部欠裁側面図である。
図3】第1連結体の拡大縦断面図である。
図4】第1弁座を開状態にするときのグラフである。
図5】第1弁座を閉状態にするときのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態のバルブを有した三方弁10とそれを用いた間欠塗工装置100について図1図5を参照して説明する。
【0012】
(1)間欠塗工装置100
まず、間欠塗工装置100の構成について、図1を参照して説明する。リチウムイオン電池の電極部材の材料となる長尺状のウエブW(例えば、金属箔)が、バックアップロール102によって所定の走行速度Vで走行する。このバックアップロール102の側方には、ウエブWに塗工液を間欠塗工するためのダイ104が配されている。このダイ104内部には、液溜め部106が設けられ、この液溜め部106からスリット108を経てダイ104の吐出口109に至る。バックアップロール102の前後には、ウエブWを案内する案内ロール130と案内ロール132が回転自在に設けられている。ダイ104の吐出口109とバックアップロール102を走行するウエブWとの間隙であるギャップgを調整するために、ダイ104、又は、バックアップロール102がエアーシリンダで移動自在に支持されている。
【0013】
図1に示すように、塗工液を貯留するためのタンク110が、設けられている。タンク110から吸引パイプ113を介して塗工液を吸引する定量ポンプ112が設けられている。定量ポンプ112は、ポンプモータ114によって駆動する。定量ポンプ112と三方弁10の入口14との間には圧送配管116が設けられ、定量ポンプが、単位時間当たり一定量の塗工液を、圧送配管116を介して三方弁10へ圧送する。
【0014】
図1に示すように、三方弁10の第1出口16には、給液配管118の一端部が接続され、この給液配管118の他端部は、ダイ104の塗工液入口120に接続されている。三方弁10の第2出口18には、循環配管122の一端部が接続され、この循環配管122の他端部は、タンク110に設けられている。また、この循環配管122の途中には絞り弁124が設けられている。
【0015】
(2)三方弁10の構造
次に、間欠塗工装置100に用いられる三方弁10について図2を参照して説明する。三方弁10は、第1バルブ1と第2バルブ2とを組み合わせたものである。すなわち、第1バルブ1の第1弁本体3と第2バルブ2の第2弁本体4を組合せ、組合せ弁本体12を構成している。組合せ弁本体12内部には、共通の空間20を有している。組合せ弁本体12における第1弁本体3の側部に、塗工液の入口14が開口している。組合せ弁本体12における第1弁本体3の上部には、円筒状の第1出口16が開口している。組合せ弁本体12における第2弁本体4の上部には、円筒状の第2出口18が開口している。
【0016】
図2に示すように、共通の空間20は、入口14と第1出口16と第2出口18とを繋いでいる。この空間20内部であって、第1出口16の基部には、ゴム製、シリコン製、樹脂、又は、テフロンからなる第1弁座22が形成され、第2出口18の基部には、ゴム製、シリコン製、樹脂、又は、テフロンからなる第2弁座24が形成されている。
【0017】
図2に示すように、第1弁座22を開閉するためのSUS(ステンレス鋼)などで形成された第1弁体26が、第1出口16の内部で、かつ、第1弁座22の上方に配されている。第2弁座24を開閉するためのSUS(ステンレス鋼)などで形成された第2弁体28が、第2出口18の内部で、かつ、第2弁座24の上方に配されている。
【0018】
図2に示すように、組合せ弁本体12における第1弁本体3の下部には、円筒状の第1連結体5が設けられ、第1連結体5の下部には、直動式のアクチュエータである第1ボイスコイルモータ(以下、「第1VCモータ」という)7が設けられている。第1連結体5から第1弁本体3の空間20に突出した第1摺動シャフト34は、第1弁座22を貫通して、その上端に第1弁体26が取り付けられている。この第1摺動シャフト34が摺動することにより、この第1弁体26が第1弁座22を開閉する。第1摺動シャフト34の下端は、第1VCモータ7から突出した第1摺動軸30の上端と第1接続部材54を介して接続されている。第1VCモータ7から下方に突出した第1摺動軸30には、第1位置センサ38が取り付けられている。この第1位置センサ38は、リニアスケールより構成され、第1摺動軸30の上下方向の位置を1μm単位で測定できる。これにより、第1弁体26の上下動する距離が測定できる。
【0019】
図2に示すように、組合せ弁本体12における第2弁本体4の下部には、円筒状の第2連結体6が設けられ、第2連結体6の下部には、直動式のアクチュエータである第2ボイスコイルモータ(以下、「第2VCモータ」という)8が取り付けられている。第2連結体6から第2弁本体4の空間20に突出した第2摺動シャフト36は、第2弁座24を貫通して、その上端に第2弁体28が取り付けられている。この第2摺動シャフト36が摺動することにより、この第2弁体28が第2弁座24を開閉する。第2摺動シャフト36の下端は、第2VCモータ8から突出した第2摺動軸32の上端と第2接続部材56を介して接続されている。第2VCモータ8から下方に突出した第2摺動軸32には、第2位置センサ40が取り付けられている。この第2位置センサ40は、リニアスケールより構成され、第2摺動軸32の上下方向の位置を1μm単位で検出できる。これにより、第2弁体28の上下動する距離が測定できる。
【0020】
図2に示すように、第1出口16は、第1弁体26が第1VCモータ7によって所定の位置から下降し第1弁座22に上から被さり閉塞して、閉状態となる。また、第1出口16は、第1弁体26が第1VCモータ7によって第1弁座22から上昇して離れ、開状態となる。
【0021】
図2に示すように、第2出口18は、第2弁体28が第2VCモータ8によって所定の位置から下降し第2弁座24に上から被さり閉塞して閉状態となる。また、第2出口18は、第2弁体28が第2VCモータ8によって第2弁座24から上昇して離れ、開状態となる。
【0022】
(3)第1VCモータ7と第2VCモータ8
第1VCモータ7と第2VCモータ8について図2を参照して説明する。まず、第1VCモータ7について図2を参照して説明する。
【0023】
図2に示すように、円筒形に形成された第1VCモータ7のケーシング52内部には、円筒形の鉄製のアウターヨーク42が配され、このアウターヨーク42の内周面には、リング状のマグネット44が固定されている。この円筒形のアウターヨーク42の内側には、円筒型の鉄製のインナーヨーク46が配され、アウターヨーク42とインナーヨーク46とは下面で固定されている。アウターヨーク42とインナーヨーク46との間には、間隙が設けられている。
【0024】
図2に示すように、円筒形の非磁性のコイルボビン48が、アウターヨーク42とインナーヨーク46との間隙を軸方向に摺動自在に配されている。コイルボビン48の外周面にはコイル50が巻回され、リング状のマグネット44の位置に対応している。
【0025】
図2に示すように、コイルボビン48の軸方向の中央部には、第1摺動軸30が貫通して固定されている。また、第1摺動軸30は、円筒型のインナーヨーク46も貫通し、リニアスケールよりなる第1位置センサ38まで延びている。
【0026】
第1VCモータ7の動作状態について説明する。
【0027】
図2に示すように、コイルボビン48のコイル50に、直流電流を流すことにより、リング状のマグネット44との間に磁界が発生し、ファラデーの法則により、コイルボビン48が第1摺動軸30と共に軸方向に移動する。この軸方向に移動する第1摺動速度v1は、コイル50に流す直流電流の強さによって決定される。また、第1摺動軸30がどの位置まで移動させるかは、第1位置センサ38で第1摺動軸30の位置を測定し、所定の位置まで第1摺動軸30が移動すると、コイル50に流れる直流電流をOFFし、第1摺動軸30の摺動を停止させる。
【0028】
第2VCモータ8も、第1VCモータ7と同様の構造を有し、同様の動作を行う。
【0029】
(4)第1連結体5と第2連結体6
次に、第1連結体5と第2連結体6について説明する。
【0030】
まず、第1連結体5について説明する。図2図3に示すように、第1連結体5の第1出口16の反対側の位置(下方)には、第1摺動シャフト34が貫通するための円形の開口部96が開口し、開口部96の縁部から筒状の筒突部94が下方に突出している。
【0031】
また、図3に示すように、第1連結体5の本体は、筒状の筒体58である。この筒体58の上端の外周には上フランジ部98が設けられ、筒体58の下端の外周には下フランジ部74が設けられている。図3に示すように、筒突部94の下端と筒体58の上フランジ部98とが、不図示のボルトにより固定されている。
【0032】
図3に示すように、筒状の筒突部94の内周側には、円柱状の支持部60が収納されている。支持部60の中心の軸方向には支持貫通孔62が設けられている。この支持貫通孔62は、第1摺動シャフト34よりもやや大きく、第1摺動シャフト34が摺動自在となっている。
【0033】
図3に示すように、筒体58内の上部であって、支持部60の下方には、滑り軸受64が収納されている。滑り軸受64は、第1摺動シャフト34が貫通し、第1摺動シャフト34をスムーズに上下方向に摺動させる。なお、第1摺動シャフト34は、滑り軸受64、支持貫通孔62、開口部96を貫通する。さらに、滑り軸受64の下端から突出した第1摺動シャフト34は、この滑り軸受64の下部から突出している。
【0034】
図3に示すように、第1VCモータ7の上面には、筒体58の下フランジ部74が載置され、不図示のボルトにより一体に固定されている。
【0035】
図3に示すように、筒体58内において、第1摺動シャフト34の下端と第1摺動軸30の上端が、第1接続部材54によって接続されている。第1接続部材54は、円柱状のクレビスである。すなわち、第1接続部材54の上部は、U字状の凹部76を有し、第1摺動シャフト34の下端は、先細りとなっている。先細りとなった第1摺動シャフト34の下端が凹部76に嵌まり込み、ピン78によって回転自在に第1接続部材54の上部に固定されている。第1接続部材54の下部には、雌ネジ部が形成され、第1摺動軸30の上部に形成された雄ネジ部が螺合し、ナット80で固定されている。第1摺動シャフト34と第1接続部材54と第1摺動軸30を合わせたときの総称が「第1摺動棒」となる。そして、この第1摺動棒を第1VCモータ7で摺動させて、第1弁体26を上下方向に移動させる。
【0036】
第2連結体6の内部についても、第1連結体5と同様の構造を有している。
【0037】
(5)間欠塗工装置100の電気的構成
間欠塗工装置100の電気的構成について、図1を参照して説明する。
【0038】
コンピュータよりなる制御部126には、バックアップロール102を回転させるための走行モータ128、定量ポンプ112を駆動させるポンプモータ114、三方弁10の第1VCモータ7、第2VCモータ8、第1位置センサ38、第2位置センサ40がそれぞれ接続されている。
【0039】
(6)間欠塗工装置100の動作状態
次に、間欠塗工装置100を用いてウエブWに塗工区間L1と未塗工区間L2を形成する間欠塗工を行う動作について図1図3に基づいて説明する。
【0040】
図1に示すように、ウエブWに塗工区間L1を形成する場合、作業者は、タンク110に塗工液を入れて基準量まで満杯にし、ダイ104の吐出口109とウエブWとの間隙であるギャップを基準ギャップgに設定する。
【0041】
制御部126は、ウエブWを走行速度Vで走行させ、三方弁10の第1出口16を開状態にし、第2出口18を閉状態にして、定量ポンプ112によってタンク110から塗工液を圧送し、三方弁10を経て、ダイ104に塗工液を圧送する。ダイ104に圧送された塗工液は、液溜め部106からスリット108を経て吐出口109において塗工液を、走行するウエブWに塗工する。このときに、制御部126は、第1摺動シャフト34を位置制御で移動させ、第1出口16を開状態にする。また、第2摺動シャフト36を位置制御とトルク制御で移動させ、第2出口18を閉状態にする。これにより、ウエブWに塗工液の塗工が開始され、塗工区間L1を形成し始める。
【0042】
次に、制御部126は、この状態で塗工を続け、走行速度VからウエブWの塗工区間L1の長さを測定し、塗工区間L1を形成する。
【0043】
次に、図2に示すように、制御部126は、塗工区間L1の塗工が終了すると、未塗工区間L2を形成するために、第1摺動シャフト34を位置制御とトルク制御で移動させ、第1出口16を閉状態にする。また、第2摺動シャフト36を位置制御で移動させ、第2出口18を開状態にする。未塗工区間L2を形成している場合には、三方弁10の第1出口16が閉状態であり、第2出口18が開状態であるため、定量ポンプ112から圧送された塗工液は、循環配管122によって、タンク110に循環する。この循環量は、絞り弁124によって決定する。
【0044】
次に、制御部126は、走行速度VからウエブWの未塗工区間L2の長さを測定し、未塗工区間L2を形成する。未塗工区間L2の形成が終了すると、上記と同様に三方弁10の第1出口16を開状態にし、第2出口18を閉状態にして、ウエブWに塗工区間L1を塗工する。
【0045】
(7)第1出口16を開状態にするときの制御方法
次に、第1出口16を開状態にするときの制御方法について図4を参照して説明する。図4のグラフは、横軸が時間t(秒)、縦軸は第1弁体26の位置である。
【0046】
まず、制御部126は、第1VCモータ7に定格電流より低い電流を流して、第1弁体26によって第1弁座22を閉状態にしている。第1弁体26が第1弁座22を閉塞している位置を原点0とする。
【0047】
次に、制御部126は、第1弁体26を第1VCモータ7によって原点0から位置制御によって上昇させる。この位置制御とは、図4に示すように、制御部126が、第1摺動軸30の位置を第1位置センサ38で測定しながら、予め定められた位置(以下、「待機位置P」という)に所定の上昇速度で移動させて、開状態にする制御である。例えば、原点から3mm上方にある待機位置Pに移動させて、開状態にする。このとき、第1弁体26を移動させる上昇速度は、塗工液が第1出口16から流れ出る最適な速度に合わせる。流れ出る最適な速度とは、塗工区間L1の始端に盛上り部分が形成されないときの塗工液の最大速度を意味する。そして、塗工区間L1の始端に盛上り部分が形成されないときの最適速度に合わせた第1弁体26の最大速度を、実験によって予め決定しておく。
【0048】
次に、第1弁体26が待機位置Pまで移動した後は、第1VCモータ7に定格電流よりも低い電流を流して、第1弁体26を待機位置Pで固定する。定格電流よりも低い電流を流すのは、第1VCモータ7の発熱を抑制するためである。
【0049】
第2出口18を開けるときの第2弁体28の移動も、第2VCモータ8によって位置制御を行う。このとき、第2弁体28を移動させる上昇速度は、第1弁体26とは異なり、最大速度で開状態にする。
【0050】
(8)第1出口16を閉状態にするときの制御方法
次に、第1出口16を閉状態にするときの制御方法について図5を参照して説明する。図5のグラフは、横軸が時間t(秒)、左縦軸は第1弁体26の位置であり、実線で示し、右縦軸は、第1VCモータ7に流す電流値(A)であり、一点鎖線で示している。
【0051】
まず、制御部126は、第1弁体26を待機位置Pにおいて、第1VCモータ7に定格電流より低い電流を流して固定している。これにより、塗工液が流れていても第1弁体26が移動しない。
【0052】
次に、制御部126は、第1弁体26を待機位置Pから予め定められた転換点Qまで位置制御によって下降させる。このとき第1摺動軸30の移動を第1位置センサ38で測定し、転換点Qまで最大速度で移動させる。
【0053】
次に、制御部126は、第1弁体26が転換点Qに到達すると位置制御からトルク制御に変更する。トルク制御を行うときは、第1VCモータ7に流す電流を2段階で減らしていく。具体的には、転換点Qから所定の位置(又は、トルク制御を開始してから所定時間)までは定格電流の3倍で電流を流してトルク制御を行い、その後にその位置から第1弁座22まで定格電流の2倍で電流を流してトルク制御を行う。このように転換点Qで位置制御からトルク制御に変更するのは、第1弁座22が、テフロンや樹脂などで形成されているため熱膨張が発生し、その原点0の位置が微妙にずれてくるため、位置制御では完全に閉状態にならない場合があるので、トルク制御で一定のトルクをかけて第1弁体26が第1弁座22を確実に閉塞するようにするためである。また、2段階で電流を減らすのは、第1VCモータ7に流れる電流をできる限り少なくして、第1VCモータ7の発熱を抑制するためである。
【0054】
次に、制御部126は、第1弁体26が、第1弁座22を完全に閉塞した後に、定格電流よりも低い電流を流し、一定のトルクを第1弁体26にかけて固定する。一定のトルクをかけるのは、塗工液の液圧によって第1弁体26が移動し、第1弁座22が開状態になるのを防止するためである。また、定格電流よりも低い電流を流すのは、第1VCモータ7の発熱抑制するためである。
【0055】
そして、この第1弁体26が第1弁座22を閉塞した位置を、原点0として制御部126は記憶する。
【0056】
第2弁体28が第2弁座24を閉塞するときも、転換点Qまで位置制御を行い、その後にトルク制御を行って第2弁座24を閉塞する。そして、第2弁体28が第2弁座24を閉塞した後は、定格電流より低い電流を流して一定のトルクをかけ、第2弁座24が開状態になるのを防止する。
【0057】
(9)効果
本実施形態によれば、第1弁座22が開状態にするときは、第1弁体26を位置制御によって原点0から待機位置Pまで正確に移動させることができる。このときの移動速度が、塗工区間L1の始端に盛上り部分を形成しない最適な速度に調整されている。第2弁座24が開状態になるときも同様に位置制御で行い、塗工液を流れ易くする。
【0058】
また、第1弁体26が第1弁座22を閉塞するときは、待機位置Pから転換点Qまで位置制御を行い、その後にトルク制御によって第1弁座22を閉状態にするため、確実に第1弁座22を閉塞することができる。また、第1弁座22を第1弁体26で閉塞した後は、定格電流より低い電流で第1弁体26を固定するため、第1VCモータ7が発熱を抑制できる。第2弁体28が第2弁座24を閉塞するときも同様に位置制御よトルク制御を行い、第2弁体28が第2弁座24を閉塞できる。
【変更例】
【0059】
上記実施形態の変更例について説明する。
【0060】
(1)変更例1
上記実施形態では、第1弁体26が第1弁座22を閉塞するときに、位置制御を転換点Qまで行い、転換点Qから第1弁座22を閉塞するまでは2段階で電流を減少させたが、これに代えて、一定の電流を流し続けて第1弁座22を閉塞するトルク制御を行ってもよい。また、3段階以上で電流を変えてもよい。第2弁座24を第2弁体28で閉じるときも同様である。
【0061】
(2)変更例2
上記実施形態の弁の構造の変更例について説明する。上記実施形態では、第1弁体26が、第1弁座22の上方に配され、第2弁体28も第2弁座24の上方に配されている。本変更例では、第1弁体26が第1弁座22の下方に配し、第2弁体28も第2弁座24の下方に配している。
【0062】
この場合には、第1弁体26を第1VCモータ7によって所定の待機位置から位置制御とトルク制御によって上昇させ、第1弁座22の下から押しつけて閉塞して、閉状態とする。
【0063】
一方、第1弁体26を第1VCモータ7によって第1弁座22から位置制御によって下降させて開状態とする。
【0064】
また、第2弁体28を第2VCモータ8によって所定の待機位置から位置制御とトルク制御によって上昇させ第2弁座24の下から押しつけて閉塞して閉状態とする。
【0065】
一方、第2弁体28が第2VCモータ8によって第2弁座24から位置制御によって下降させて開状態とする。
【0066】
(3)変更例3
上記実施形態では、第1バルブ1と第2バルブ2を組み合わせて三方弁を形成したが、これに限らず、一つのバルブからなる二方弁において、弁の開閉制御を上記制御のように行ってもよい。すなわち、二方弁の弁座を閉状態にするときは、弁体の移動を位置制御とトルク制御を組み合わせて行い、弁座を開状態にするときは弁体の移動を位置制御のみで行う。
【0067】
(4)その他
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・第1バルブ、2・・・第2バルブ、3・・・第1弁本体、4・・・第2弁本体、7・・・第1ボイスコイルモータ、8・・・第2ボイスコイルモータ、10・・・三方弁、14入口、16・・・第1出口、18・・・第2出口、20・・・空間、22・・・第1弁座、24・・・第2弁座、26・・・第1弁体、28・・・第2弁体、30・・・第1摺動軸、32・・・第2摺動軸、34・・・第1摺動シャフト、36・・・第2摺動シャフト、38・・・第1位置センサ、40・・・第2位置センサ、100・・・間欠塗工装置、102・・・バックアップロール、104・・・ダイ
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