(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114303
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】スイッチ構造
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20240816BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
H01H13/52 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019979
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】岸田 英也
(72)【発明者】
【氏名】緑川 雄斗
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS27H
5G206AS27J
5G206FS28J
5G206FS28Z
5G206GS05
5G206HS24
5G206HW14
5G206HW34
5G206HW44
5G206HW74
(57)【要約】
【課題】ボタン部の端が押圧された場合においてもスイッチを正常に作動させやすいスイッチ構造を提供する。
【解決手段】スイッチ構造は、筐体に収容された基板と、前記基板上に設けられるスイッチと、前記基板に交差する押圧方向において前記スイッチと対向するように、前記筐体に設けられたボタン部と、を備え、前記ボタン部は、少なくとも一部が前記筐体の表面に露出する本体部と、前記本体部から前記スイッチに向けて突出する押し子と、前記本体部から前記基板に向けて突出するとともに前記押圧方向に交差する第1方向において前記押し子とは異なる位置に配されたストッパリブと、を有し、前記ストッパリブは、前記第1方向において前記押し子と対向する内端と、前記内端とは反対側に位置する外端と、を有し、前記押圧方向における前記ストッパリブの寸法は、前記内端から前記外端に向かうにしたがって漸次小さくなっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に収容された基板と、
前記基板上に設けられるスイッチと、
前記基板に交差する押圧方向において前記スイッチと対向するように、前記筐体に設けられたボタン部と、を備え、
前記ボタン部は、少なくとも一部が前記筐体の表面に露出する本体部と、前記押圧方向において前記本体部から前記スイッチに向けて突出する押し子と、前記押圧方向において前記本体部から前記基板に向けて突出するとともに前記押圧方向に交差する第1方向において前記押し子とは異なる位置に配されたストッパリブと、を有し、
前記ストッパリブは、前記押圧方向から見た平面視において前記スイッチと重ならず、
前記ストッパリブは、前記第1方向において前記押し子と対向する内端と、前記第1方向において前記内端とは反対側に位置する外端と、を有し、
前記押圧方向における前記ストッパリブの寸法は、前記内端から前記外端に向かうにしたがって漸次小さくなっている、
スイッチ構造。
【請求項2】
前記平面視における前記押し子の中心と、前記内端と、の間の前記第1方向における距離は、前記中心と、前記第1方向における前記本体部の端部と、の間の前記第1方向における距離の半分以下である、
請求項1に記載のスイッチ構造。
【請求項3】
前記外端は、前記平面視において前記本体部の外周部と重なる、
請求項1または2に記載のスイッチ構造。
【請求項4】
前記ストッパリブは、前記内端を含む近接部と、前記近接部から前記第1方向に延びて前記外端を含む延出部と、を有し、
前記押圧方向および前記第1方向の双方に交差する第2方向における前記近接部の寸法は、前記第2方向における前記延出部の寸法よりも大きい、
請求項1または2に記載のスイッチ構造。
【請求項5】
前記ボタン部に接続され、前記押圧方向に沿って前記筐体の内部から前記筐体の外部に向けた復元力を前記ボタン部に作用させるアームをさらに備え、
前記第1方向における前記本体部の寸法は、前記押圧方向および前記第1方向の双方に交差する第2方向における前記本体部の寸法よりも大きく、
前記アームは、前記第2方向から前記ボタン部に接続されている、
請求項1または2に記載のスイッチ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に設けられるスイッチと、ユーザが押圧するボタン部と、を含むスイッチ構造が知られている。一般に、ボタン部は、ユーザが加えた押圧力をスイッチに伝達する突起状の押し子を有する。
【0003】
ボタン部には、押し子がスイッチに過剰な押圧力を与えないようにするためのストッパリブが設けられる場合がある。例えば、特許文献1に記載のストッパピンは、スイッチに過剰な押圧力が作用した際に基板に当接し、ストッパリブとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなスイッチ構造において、ユーザは、ボタン部の中央を押圧するとは限らず、ボタン部の端を押圧する場合がある。このような場合、押し子がスイッチを作動させるよりも先にストッパリブが基板に当接してしまい、スイッチが正常に作動しない可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、ボタン部の端が押圧された場合においてもスイッチを正常に作動させやすいスイッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の態様1に係るスイッチ構造は、筐体に収容された基板と、前記基板上に設けられるスイッチと、前記基板に交差する押圧方向において前記スイッチと対向するように、前記筐体に設けられたボタン部と、を備え、前記ボタン部は、少なくとも一部が前記筐体の表面に露出する本体部と、前記押圧方向において前記本体部から前記スイッチに向けて突出する押し子と、前記押圧方向において前記本体部から前記基板に向けて突出するとともに前記押圧方向に交差する第1方向において前記押し子とは異なる位置に配されたストッパリブと、を有し、前記ストッパリブは、前記押圧方向から見た平面視において前記スイッチと重ならず、前記ストッパリブは、前記第1方向において前記押し子と対向する内端と、前記第1方向において前記内端とは反対側に位置する外端と、を有し、前記押圧方向における前記ストッパリブの寸法は、前記内端から前記外端に向かうにしたがって漸次小さくなっている。
【0008】
本発明の態様1によれば、ストッパリブの外端においてストッパリブと基板との間に生じる隙間が、内端においてストッパリブと基板との間に生じる隙間よりも大きくなる。これにより、ストッパリブから見て内端側に位置する押し子が、スイッチに向けて沈みこみやすくなる。したがって、例えばストッパリブの押圧方向における寸法が第1方向において一定である場合と比較して、押し子をスイッチに当接させてスイッチを正常に作動させやすくなる。
【0009】
また、本発明の態様2は、態様1のスイッチ構造において、前記平面視における前記押し子の中心と、前記内端と、の間の前記第1方向における距離は、前記中心と、前記第1方向における前記本体部の端部と、の間の前記第1方向における距離の半分以下である。
【0010】
本発明の態様2によれば、ストッパリブの内端を押し子に近接させ、押し子がスイッチに対して過剰な押圧力を与えることをより確実に規制できる。
【0011】
また、本発明の態様3は、態様1または態様2のスイッチ構造において、前記外端は、前記平面視において前記本体部の外周部と重なる。
【0012】
本発明の態様3によれば、ボタン部の端を押圧された場合における本体部の撓みを抑制することができる。
【0013】
また、本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つのスイッチ構造において、前記ストッパリブは、前記内端を含む近接部と、前記近接部から前記第1方向に延びて前記外端を含む延出部と、を有し、前記押圧方向および前記第1方向の双方に交差する第2方向における前記近接部の寸法は、前記第2方向における前記延出部の寸法よりも大きい。
【0014】
本発明の態様4によれば、近接部によって、ボタン部の第2方向におけるぐらつきを抑制することができる。
【0015】
また、本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つのスイッチ構造において、前記ボタン部に接続され、前記押圧方向に沿って前記筐体の内部から前記筐体の外部に向けた復元力を前記ボタン部に作用させるアームをさらに備え、前記第1方向における前記本体部の寸法は、前記押圧方向および前記第1方向の双方に交差する第2方向における前記本体部の寸法よりも大きく、前記アームは、前記第2方向から前記ボタン部に接続されている。
【0016】
以上説明したような態様に係るスイッチ構造によれば、アームがボタン部の長辺に接続されている場合においても、押し子をスイッチに当接させ、スイッチを正常に動作させやすくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記態様によれば、ボタン部の端が押し込まれた場合においてもスイッチを正常に作動させやすいスイッチ構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るボタン部を筐体の外部から見る図である。
【
図2】
図1に示すII-II線に沿う断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るボタン部およびアームを下方から見る図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る筐体の内部を示す図である。
【
図5】ボタン部の端が押し込まれた状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るストッパリブの形状について説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るストッパリブの形状について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るスイッチ構造について図面に基づいて説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係るスイッチ構造1は、筐体2を有する電子機器3に搭載される。電子機器3は、例えば、いわゆるクラムシェル型のノートパソコンであってもよい。ただし、電子機器3の種類はこれに限られない。例えば、電子機器3は、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機であってもよい。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係るスイッチ構造1は、基板10と、スイッチ20と、ボタン部30と、2つのアーム40(
図3も参照)と、を備える。基板10は、筐体2に収容されている。スイッチ20は、基板10上に設けられている。ボタン部30は、筐体2に設けられている。ボタン部30は、ユーザによって押圧される部材である。ボタン部30は、基板10に交差する方向(後述する押圧方向Z)において、スイッチ20と対向している。スイッチ20は、基板10に交差する方向に押圧されることにより動作する。
【0021】
ボタン部30は、定常状態(
図2参照)と、押下状態(
図5から
図7を参照)と、の2つの状態を取り得る。定常状態は、ボタン部30がユーザ等によって押圧されておらず、筐体2に対する相対位置が変化しない状態である。押下状態は、ボタン部30がユーザ等によって押圧され、ボタン部30が定常状態から押し下げられた状態である。以下では、特段の言及がない限り、ボタン部30が定常状態にある場合における各部材の位置関係について説明する。
【0022】
(方向定義)
本実施形態では、スイッチ20とボタン部30とが対向する方向を、Z方向または押圧方向Zと称する。押圧方向Zは、基板10に交差する(例えば、直交する)方向でもある。押圧方向Zに沿って、スイッチ20からボタン部30に向かう向きを、+Zの向きまたは上方と称する。+Zの向きとは反対の向きを、-Zの向きまたは下方と称する。押圧方向Zから見ることを、平面視と称する。押圧方向Zに交差する(例えば、直交する)一方向を、第1方向Xと称する。押圧方向Zおよび第1方向Xの双方に交差する(例えば、直交する)方向を、第2方向Yと称する。第1方向Xおよび第2方向Yは、基板10が延在する方向でもある。第1方向Xに沿う一つの向きを、+Xの向きと称する。+Xの向きとは反対の向きを、-Xの向きと称する。第2方向Yに沿う一つの向きを、+Yの向きと称する。+Yの向きとは反対の向きを、-Yの向きと称する。
【0023】
図2および
図3に示すように、本実施形態に係るボタン部30は、本体部31と、押し子32と、2つのストッパリブ33と、を有する。図示の例において、ボタン部30は、筐体2が有する、キーボード等が設けられた面(操作面)に設けられている。ただし、ボタン部30は、筐体2が有する他の面に設けられていてもよい。
【0024】
図1および
図2に示すように、本体部31の少なくとも一部は、筐体2の表面に露出している。ユーザは、当該露出した部分から、本体部31を押圧方向Zに押圧することができる。具体的に、本実施形態に係る本体部31は、露出部31aと、フランジ部31bと、を有する。
【0025】
露出部31aは、筐体2に形成された嵌合孔2aに嵌合されている。嵌合孔2aは、筐体2の表面および内周面の双方に開口している。これにより、露出部31aの上面が筐体2の表面に露出している。
【0026】
図2に示すように、フランジ部31bは、露出部31aの下端に接続されている。フランジ部31bの第1方向Xにおける寸法は、嵌合孔2aの第1方向Xにおける寸法より大きい。詳細な図示は省略するが、フランジ部31bの第2方向Yにおける寸法も、嵌合孔2aの第2方向Yにおける寸法より大きい。フランジ部31bは、本体部31が嵌合孔2aから筐体2の外部に脱落することを規制している。
【0027】
図3に示すように、本実施形態において、本体部31(フランジ部31b)の第1方向Xにおける寸法L5は、本体部31(フランジ部31b)の第2方向Yにおける寸法L6よりも大きい。具体的に、図示の例における本体部31は、第1方向Xにおける寸法L5が第2方向Yにおける寸法L6よりも大きい角丸長方形状を有する。ただし、本体部31の形状は適宜変更可能であり、例えば平面視において長方形状や楕円形状であってもよい。
【0028】
図2に示すように、押し子32は、押圧方向Zにおいて本体部31からスイッチ20に向けて突出している。より具体的に、本実施形態に係る押し子32は、フランジ部31bの下面から下方に向けて突出している。押し子32は、ユーザが本体部31に加えた押圧力をスイッチ20に伝達し、スイッチ20を作動させる。
図2および
図3に示すように、本実施形態に係る押し子32は、平面視においてボタン部30の中央部分に位置する。図示の例において、押し子32は平面視X字形状であるが、押し子32の形状は適宜変更可能である。
【0029】
図2に示すように、ストッパリブ33は、押圧方向Zにおいて本体部31から基板10に向けて突出している。より具体的に、本実施形態に係るストッパリブ33は、フランジ部31bの下面から下方に向けて突出している。
図2および
図3に示すように、ストッパリブ33は、第1方向Xにおいて押し子32とは異なる位置に配されている。図示の例においては、2つのストッパリブ33が、押し子32を第1方向Xにおいて間に挟むように配されている。なお、ストッパリブ33と押し子32とは、図示の例のように第1方向Xにおいて一直線上に並んでいてもよいし、一直線上に並んでいなくてもよい。すなわち、ストッパリブ33の位置と押し子32の位置とは、第2方向Yにおいてずれていてもよい。
【0030】
図2および
図3に示すように、本実施形態に係るストッパリブ33は、内端33dと、第1方向Xにおいて内端33dとは反対側に位置する外端33eと、を有する。内端33dは、第1方向Xにおいて押し子32と対向する。内端33dは、ストッパリブ33の第1方向Xにおける内側に位置する端部である。外端33eは、ストッパリブ33の第1方向Xにおける外側に位置する端部である。
【0031】
図3に示すように、ストッパリブ33の内端33dは、スイッチ20よりも第1方向Xにおける外側に位置する。これにより、ストッパリブ33は、平面視においてスイッチ20と重なっていない。この構成により、押下状態におけるストッパリブ33とスイッチ20との干渉が防止される。
【0032】
図2および
図3に示すように、ストッパリブ33の外端33eは、平面視において本体部31(フランジ部31b)の外周部と重なっている。言い換えれば、ストッパリブ33が、本体部31の外周部まで延びている。
【0033】
また、本実施形態に係るストッパリブ33は、近接部33aと、近接部33aから第1方向Xにおける外側に向けて延びる延出部33bと、を有する。近接部33aは、内端33dを含んでいる。言い換えれば、近接部33aが有する、第1方向Xにおける内側の端部が、ストッパリブ33の内端33dとなっている。延出部33bは、外端33eを含んでいる。言い換えれば、延出部33bが有する、第1方向Xにおける外側の端部が、ストッパリブ33の外端33eとなっている。
【0034】
図3に示すように、第2方向Yにおける近接部33aの寸法L3は、第2方向Yにおける延出部33bの寸法L4よりも大きい。これにより、本実施形態に係るストッパリブ33は、平面視においてT字形状を有している。
【0035】
ストッパリブ33は、押し子32がスイッチ20に過剰な押圧力を与えることを規制する。具体的に、本実施形態に係るストッパリブ33は、押し子32が所定の距離だけ押下された際に、ストッパリブ33の下面が基板10に当接するように構成されている。これにより、押し子32が所定の距離以上に押下されること、すなわち、押し子32がスイッチ20に過剰な押圧力を与えることが規制される。以下、ストッパリブ33の下面(すなわち、近接部33aの下面および延出部33bの下面)を当接面33cと称する場合がある。
【0036】
図2に示す距離L1は、距離L2の半分以下となっている。なお、距離L1は、平面視における押し子32の中心O(
図3も参照)と、ストッパリブ33の内端33dと、の間の第1方向Xにおける距離である。距離L2は、平面視における押し子32の中心Oと、第1方向Xにおける本体部31(フランジ部31b)の端部と、の間の第1方向Xにおける距離である。距離L1が距離L2の半分以下であることで、例えば距離L1が距離L2の半分より大きい場合と比較して、ストッパリブ33の内端33dが押し子32に近接する。これにより、押し子32がスイッチ20に対して過剰な押圧力を与えることがより確実に規制される。
【0037】
図2に示すように、本実施形態に係る当接面33cは、第1方向Xにおける内側(内端33d)から外側(外端33e)に向かうにしたがって漸次上方に向かうように傾斜している。これにより、押圧方向Zにおけるストッパリブ33の寸法は、第1方向Xにおける内側(内端33d)から外側(外端33e)に向かうにしたがって漸次小さくなっている。言い換えれば、第1方向Xにおける内側(内端33d)から外側(外端33e)に向かうにしたがって、ストッパリブ33は次第に肉薄になっている。
【0038】
アーム40は、押圧方向Zに沿って筐体2の内部から筐体2の外部に向けた復元力をボタン部30に作用させる(
図5参照)。つまり、アーム40は、押下状態にあるボタン部30に対して、ボタン部30を定常状態に戻す力を作用させる。本実施形態に係るアーム40は、
図3および
図4に示すように、一体に形成された接続部41および中間部42を有する。
【0039】
接続部41は、ボタン部30に接続される部位である。本実施形態に係る接続部41(アーム40)は、第2方向Yからボタン部30の本体部31に接続されている。つまり、接続部41(アーム40)が、ボタン部30の長辺に接続されている。より具体的には、ボタン部30(本体部31)が有する、第2方向Yを向く面から、接続部41が第2方向Yにおける外側に向けて突出している。
【0040】
図4に示すように、中間部42は、筐体2に固定される部位である。中間部42は、接続部41の先端から延出している。図示の例においては、中間部42の先端が、筐体2に固定された固定部2bを介して筐体2に固定されている。固定部2bは、例えばねじ等の固定部材によって筐体2に固定されていてもよい。
【0041】
ボタン部30が押下状態にある場合、アーム40は、固定部2bを基点として弾性的に湾曲する。これにより、アーム40は、接続部41を通じて、ボタン部30(本体部31)に対して上方に向けた復元力を作用させる(
図5参照)。
【0042】
次に、以上のように構成されたスイッチ構造1の作用について説明する。
【0043】
従来、基板上に設けられるスイッチと、ユーザが押圧するボタン部と、を含むスイッチ構造が知られている。ボタン部は、ユーザが加えた押圧力をスイッチに伝達する押し子に加えて、押し子がスイッチに過剰な押圧力を与えないようにするためのストッパリブを有する場合がある(例えば、特許文献1を参照)。このようなスイッチ構造において、ユーザがボタン部の端を押圧した場合、押し子がスイッチを作動させるよりも先にストッパリブが基板に当接してしまい、スイッチが正常に作動しない可能性がある。
【0044】
このような課題を鑑み、本実施形態に係るスイッチ構造1においては、
図2に示すように、ストッパリブ33の内端33dから外端33eに向かうにしたがって、ストッパリブ33が次第に肉薄になっている。この構成によれば、外端33eにおいてストッパリブ33と基板10との間に生じる隙間d1が、内端33dにおいてストッパリブ33と基板10との間に生じる隙間d2よりも大きくなる。これにより、ボタン部30の端がユーザ等によって押圧された場合(
図5参照)においても、ストッパリブ33の内端33dが、外端33eよりも先に基板10に当接しやすくなる。つまり、ストッパリブ33から見て内端33d側に位置する押し子32が、スイッチ20に向けて沈みこみやすくなる。したがって、例えばストッパリブ33の肉厚(押圧方向Zにおける寸法)が第1方向Xにおいて一定である場合と比較して、押し子32をスイッチ20に当接させてスイッチ20を正常に作動させやすくなる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係るスイッチ構造1は、筐体2に収容された基板10と、基板10上に設けられるスイッチ20と、基板10に交差する押圧方向Zにおいてスイッチ20と対向するように、筐体2に設けられたボタン部30と、を備え、ボタン部30は、少なくとも一部(露出部31a)が筐体2の表面に露出する本体部31と、押圧方向Zにおいて本体部31からスイッチ20に向けて突出する押し子32と、押圧方向Zにおいて本体部31から基板10に向けて突出するとともに押圧方向Zに交差する第1方向において押し子32とは異なる位置に配されたストッパリブ33と、を有し、ストッパリブ33は、押圧方向Zから見た平面視においてスイッチ20と重ならず、ストッパリブ33は、第1方向Xにおいて押し子32と対向する内端33dと、第1方向Xにおいて内端33dとは反対側に位置する外端33eと、を有し、押圧方向Zにおけるストッパリブ33の寸法は、内端33dから外端33eに向かうにしたがって漸次小さくなっている。
【0046】
この構成により、ストッパリブ33の外端33eにおいてストッパリブ33と基板10との間に生じる隙間d1が、内端33dにおいてストッパリブ33と基板10との間に生じる隙間d2よりも大きくなる。したがって、例えばストッパリブ33の肉厚(押圧方向Zにおける寸法)が第1方向Xにおいて一定である場合と比較して、押し子32をスイッチ20に当接させてスイッチ20を正常に作動させやすくなる。
【0047】
また、平面視における押し子32の中心Oと、内端33dと、の間の第1方向Xにおける距離L1は、中心Oと、第1方向Xにおける本体部31の端部と、の間の第1方向Xにおける距離L2の半分以下である。この構成により、例えば距離L1が距離L2の半分より大きい場合と比較して、ストッパリブ33の内端33dが押し子32に近接する。これにより、押し子32がスイッチ20に対して過剰な押圧力を与えることがより確実に規制される。
【0048】
また、外端33eは、平面視において本体部31の外周部と重なる。言い換えれば、ストッパリブ33が、本体部31の外周部まで延びている。例えば外端33eが
図2に示す位置よりも第1方向Xにおける内側にある場合、ユーザがボタン部30の端を押圧した際に、当該押圧力によって、本体部31に外端33eを基点とした撓みが生じる可能性がある。外端33eが平面視において本体部31の外周部と重なっていることで、このような本体部31の撓みを抑制することができる。
【0049】
また、ストッパリブ33は、内端33dを含む近接部33aと、近接部33aから第1方向Xに延びて外端33eを含む延出部33bと、を有し、押圧方向Zおよび第1方向Xの双方に交差する第2方向Yにおける近接部33aの寸法L3は、第2方向Yにおける延出部33bの寸法L4よりも大きい。この構成により、近接部33aによって、ボタン部30の第2方向Yにおけるぐらつきを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るスイッチ構造1は、ボタン部30に接続され、押圧方向Zに沿って筐体2の内部から筐体2の外部に向けた復元力をボタン部30に作用させるアーム40をさらに備え、第1方向Xにおける本体部31の寸法L5は、第2方向Yにおける本体部31の寸法L6よりも大きく、アーム40は、第2方向Yからボタン部30に接続されている。つまり、アーム40がボタン部30の長辺に接続されている。「ボタン部30の端が押圧された際に押し子32がスイッチ20を作動させるよりも先にストッパリブ33が基板10に当接してしまう」という問題は、アーム40がボタン部30の短辺に接続されている場合よりも、アーム40がボタン部30の長辺に接続されている場合において生じやすい。以上説明したようなスイッチ構造1によれば、アーム40がボタン部30の長辺に接続されている場合においても、押し子32をスイッチ20に当接させ、スイッチ20を正常に動作させることができる。
【0051】
以下、ストッパリブ33(当接面33c)の好ましい形状について、
図6および
図7に基づいて説明する。なお、
図6および
図7においては、見易さのために、ストッパリブ33の図示を一部省略している。
【0052】
図6は、ユーザによってボタン部30の中央が押圧され、ボタン部30が押圧方向Zと平行に押下された状態を示している。
図6における距離aは、押し子32がスイッチ20を正常に動作させられる最下点に達した状態における、本体部31(フランジ部31b)と基板10との間の距離を示している。
図6に示す領域Aは、当該状態において本体部31と基板10との間に位置する領域Aを図示している。
【0053】
図7は、ユーザによってボタン部30の端が押圧され、ボタン部30が最大限傾斜した状態を示している。ボタン部30が最大限傾斜した状態においては、
図7に示すように、フランジ部31bのうちユーザによって押圧された端部とは反対側の端部が、筐体2の内周面に当接する。より具体的に、
図7に示すボタン部30は、
図6に示すボタン部30を、アーム40(接続部41)を中心に、フランジ部31bが筐体2の内周面に当接するまで回転させた姿勢をとっている。ボタン部30の回転に伴い、
図6に示した領域Aもアーム40(接続部41)を中心に回転している。当該回転により、領域Aの一部(図示の例においては左下部分)が、基板10と干渉する。以下、領域Aのうち基板10と干渉しない領域を非干渉領域A1と称し、基板10と干渉する領域を干渉領域A2と称する。
【0054】
そして、非干渉領域A1と干渉領域A2との境界面Bと当接面33cとが一致するように、ストッパリブ33の形状を設定することが好ましい。この形状によれば、ボタン部30の端が押圧されてボタン部30が最大限傾斜した場合においても、スイッチ20を確実に動作させることができる。また、境界面Bのうち最もスイッチ20に近接する位置Pにストッパリブ33の内端33dを設けることが好ましい。この形状によれば、ストッパリブ33のうち最も肉厚となる部分である内端33dにおいて、本体部31と基板10との間に所定の距離aを確保することができる。これにより、押し子32によるスイッチ20の過剰な押し込みを確実に抑制することができる。
【0055】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0056】
例えば、前記実施形態では、アーム40がボタン部30の長辺に接続されていたが、アーム40がボタン部30の短辺に接続されていてもよい。
【0057】
また、ボタン部30に復元力を作用させる他の手段を備えていれば、スイッチ構造1はアーム40を備えていなくてもよい。
【0058】
また、ストッパリブ33はT字形状を有していなくてもよい。例えば、第2方向Yにおける延出部33bの寸法L4(
図3参照)が第2方向Yにおける近接部33aの寸法L3と同じであってもよい。ただし、寸法L4が寸法L3よりも小さい構成は、ボタン部30を樹脂成形した際に意図せぬ変形(いわゆるヒケ)が生じにくいという点で好適である。
【0059】
また、外端33eは、平面視において本体部31の外周部と重なっていなくてもよい。言い換えれば、ストッパリブ33が、本体部31の外周部まで延びていなくてもよい。
【0060】
また、ボタン部30は一つのみのストッパリブ33を有していてもよい。同様に、スイッチ構造1は一つのみのアーム40を備えていてもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…スイッチ構造 2…筐体 10…基板 20…スイッチ 30…ボタン部 31…本体部 32…押し子 33…ストッパリブ 33a…近接部 33b…延出部 33d…内端 33e…外端 40…アーム X…第1方向 Y…第2方向 Z…押圧方向