(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114306
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019983
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸司
(72)【発明者】
【氏名】恐田 祐樹
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA02
2E239CA12
2E239CA26
2E239CA35
2E239CA45
2E239CA54
2E239CA62
(57)【要約】
【課題】耐火性を向上させることができる框及び建具を提供する。
【解決手段】建具は、ガラス溝36が形成された框本体35Zと、端部4sがガラス溝36に配置され、3枚のガラス41,42,43が屋内外方向に空気層44,45を介して配置されたガラスパネルと、ガラス溝36に設けられ、3枚のガラス41,42,43のうち中央のガラス43の見付け方向の外側に配置された第1加熱発泡材T111と、ガラス溝36に設けられ、3枚のガラス41,42,43のうち屋内側に配置されたガラス41の見付け方向の外側に配置された第2加熱発泡材T112と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス溝が形成された框本体と、
端部が前記ガラス溝に配置され、3枚のガラスが屋内外方向に空気層を介して配置されたガラスパネルと、
前記ガラス溝に設けられ、前記3枚のガラスのうち中央のガラスの見付け方向の外側に配置された第1加熱発泡材と、
前記ガラス溝に設けられ、前記3枚のガラスのうち屋内側に配置された前記ガラスの見付け方向の外側に配置された第2加熱発泡材と、を備える建具。
【請求項2】
屋内外の少なくとも一方に配置された前記ガラスは、金属膜がコーティングされた低放射ガラスであり、
前記中央のガラスは、耐熱強化ガラスである請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、火災時に框とガラスとの間の隙間や枠と障子との間の隙間から、屋外で火災が発生した場合において、炎が浸入することを抑制するために、加熱発泡材が設けられたトリプルガラスの建具が提案されている。加熱発泡材は、框のガラス溝やガラス保持金具におけるガラスと対向する面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トリプルガラスを有する建具において、耐火性の更なる向上が望まれている。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐火性を向上させることができる建具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る建具は、ガラス溝が形成された框本体と、端部が前記ガラス溝に配置され、3枚のガラスが屋内外方向に空気層を介して配置されたガラスパネルと、前記ガラス溝に設けられ、前記3枚のガラスのうち中央のガラスの見付け方向の外側に配置された第1加熱発泡材と、前記ガラス溝に設けられ、前記3枚のガラスのうち屋内側に配置された前記ガラスの見付け方向の外側に配置された第2加熱発泡材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第一実施形態に係る建具の鉛直断面図である。
【
図2】第一実施形態に係る建具の水平断面図である。
【
図4】第二実施形態に係る建具の鉛直断面図である。
【
図5】第二実施形態に係る建具の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態に係る建具について、図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、本開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等を異ならせている。
【0009】
建物の開口部に設けられる建具の一例として、縦辷り出し窓を用いて説明する。
図1及び
図2に示すように、縦辷り出し窓100は、枠体1と、障子2と、を備えている。障子2に設けられた
図2に示すハンドルHの回転に応じて、障子2の開閉量が調整される。ハンドルHの位置は、この限りではなく、適宜設定可能である。
【0010】
以下の説明では、縦辷り出し窓100を正面から見た左右方向を、幅方向と称する。幅方向に直交し水平方向に沿う方向を、屋内外方向と称する。幅方向及び屋内外方向に直交する方向を、上下方向と称する。図面では、幅方向を矢印Xで示し、屋内外方向を矢印Yで示し、上下方向を矢印Zで示す。各構成部材において、幅方向で中心から離れる側を外側と称し、中心に向かう側を内側という場合がある。上下方向及び幅方向に沿う方向を見付け方向という場合がある。
【0011】
枠体1は、四方枠形状である。枠体1は、
図1に示す上枠11と、下枠12と、
図2に示す縦枠13と、を有している。各枠11,12,13は、金属枠及び樹脂枠が連結されて構成されている。
【0012】
図1に示すように、上枠11は、幅方向に延びている。上枠11は、金属上枠11Aと、樹脂上枠11Bと、を有している。
【0013】
金属上枠11Aは、第1上枠部材111と、第2上枠部材112と、上ブリッジ材113と、を有している。第2上枠部材112は、第1上枠部材111の屋内側に配置されている。上ブリッジ材113は、第1上枠部材111と第2上枠部材112との間に配置され、第1上枠部材111と第2上枠部材112とを連結している。第1上枠部材111及び第2上枠部材112は、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。上ブリッジ材113は、樹脂材料で形成されている。
【0014】
樹脂上枠11Bは、第1樹脂上枠部材115と、第2樹脂上枠部材116と、を有している。第2樹脂上枠部材116は、第1樹脂上枠部材115の下側に配置されている。第1樹脂上枠部材115及び第2樹脂上枠部材116は、樹脂材料で形成されている。
【0015】
下枠12は、上枠11の下方に配置されている。下枠12は、幅方向に延びている。下枠12は、金属下枠12Aと、樹脂下枠12Bと、を有している。
【0016】
金属下枠12Aは、第1下枠部材121と、第2下枠部材122と、下ブリッジ材123と、を有している。第2下枠部材122は、第1下枠部材121の屋内側に配置されている。下ブリッジ材123は、第1下枠部材121と第2下枠部材122との間に配置され、第1下枠部材121と第2下枠部材122とを連結している。第1下枠部材121及び第2下枠部材122は、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。下ブリッジ材123及び樹脂下枠は、樹脂材料で形成されている。
【0017】
樹脂下枠12Bは、第1樹脂下枠部材125と、第2樹脂下枠部材126と、を有している。第2樹脂下枠部材126は、第1樹脂下枠部材125の上側に配置されている。第1樹脂下枠部材125及び第2樹脂下枠部材126は、樹脂材料で形成されている。
【0018】
図2に示すように、縦枠13は、
図1に示す上枠11の幅方向の両端部と下枠12の幅方向の両端部とを連結している。縦枠13は、上下方向に延びている。縦枠13は、金属縦枠13Aと、樹脂縦枠13Bと、を有している。金属縦枠13Aは、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。
【0019】
樹脂縦枠13Bは、第1樹脂縦枠部材135と、第2樹脂縦枠部材136と、を有している。第1樹脂縦枠部材135は、第2樹脂縦枠部材136の屋内側に配置されている。第1樹脂縦枠部材135及び第2樹脂縦枠部材136は、樹脂材料で形成されている。
【0020】
障子2は、枠体1の内側に設けられている。障子2が閉じた状態で、障子2は枠体1の内側を閉塞する。障子2は、框体3と、ガラスパネル4と、を有している。
【0021】
框体3は、四方枠形状である。框体3は、
図1に示す上框31と、下框33と、
図2に示す縦框35と、を有している。各框31,33,35は、金属框及び樹脂框が連結されて構成されている。
【0022】
図1に示すように、上框31は、幅方向に延びている。上框31は、上框本体31Zを有している。上框本体31Zは、金属上框31Aと、樹脂上框31Bと、を有している。樹脂上框31Bは、金属上框31Aの屋内側に配置されている。金属上框31Aは、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。樹脂上框31Bは、樹脂材料で形成されている。上框本体31Zは、特許請求の範囲の框本体に対応する。
【0023】
上框31には、下方に開口するガラス溝32が形成されている。ガラス溝32には、ガラスパネル4の上端部4uが配置されている。樹脂上框31Bは、金属上框31Aの屋内側の面を覆うように、金属上框31Aの屋内側の面の下側に配置されている。
【0024】
下框33は、幅方向に延びている。下框33は、下框本体33Zを有している。下框本体33Zは、金属下框33Aと、樹脂下框33Bと、を有している。樹脂下框33Bは、金属下框33Aの屋内側に配置されている。金属下框33Aは、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。樹脂下框33Bは、樹脂材料で形成されている。下框本体33Zは、特許請求の範囲の框本体に対応する。
【0025】
下框33には、上方に開口するガラス溝34が形成されている。ガラス溝34には、ガラスパネル4の下端部4dが配置されている。樹脂下框33Bは、金属下框33Aの屋内側の面を覆うように、金属下框33Aの屋内側の面の上側に配置されている。
【0026】
図2に示すように、縦框35は、上下方向に延びている。縦框35は、上框31の幅方向の端部と下框33の幅方向の端部とを連結している。縦框35は、縦框本体35Zを有している。縦框本体35Zは、金属縦框35Aと、樹脂縦框35Bと、を有している。樹脂縦框35Bは、金属縦框35Aの屋内側に配置されている。金属縦框35Aは、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。樹脂縦框35Bは、樹脂材料で形成されている。縦框本体35Zは、特許請求の範囲の框本体に対応する。
【0027】
縦框35には、幅方向の内側に開口するガラス溝36が形成されている。ガラス溝36には、ガラスパネル4の幅方向の端部4sが配置されている。樹脂縦框35Bは、金属縦框35Aの屋内側の面を覆うように、金属縦框35Aの屋内側の面の幅方向の内側に配置されている。
【0028】
ガラスパネル4は、四方枠状に形成された框体3の内側に配置されている。ガラスパネル4は、平板状に形成されている。ガラスパネル4は、ガラス41,42,43が屋内外方向に空気層44,45を介して配置されたトリプルガラスである。
【0029】
屋内側に配置されるガラス41及び屋外側に配置されるガラス42は、金属膜がコーティングされた低放射ガラスである。ガラス41,42は、LOW-Eガラスである。ガラス41,42の間に配置された中央のガラス43は、耐熱強化ガラスである。ガラス41,42のうち一方のみが低放射ガラスであってもよい。
【0030】
ガラス41とガラス43との間の四辺の端部には、スペーサ46が配置されている。ガラス41とガラス43との間には、空気層44が形成されている。ガラス43とガラス42との間の四辺の端部には、スペーサ47が配置されている。ガラス43とガラス42との間には、空気層45が形成されている。
【0031】
ガラスパネル4の四辺の端部4u,4d,4sは、断面略U字状のグレージングチャンネル49で全周に亘って連続して囲われている。
図1に示すように、グレージングチャンネル49に覆われたガラスパネル4の上端部4uは、上框31のガラス溝32に嵌め込まれている。グレージングチャンネル49に覆われたガラスパネル4の下端部4dは、下框33のガラス溝34に嵌め込まれている。
図2に示すように、グレージングチャンネル49に覆われたガラスパネル4の幅方向の端部4sは、縦框35のガラス溝36に嵌め込まれている。
【0032】
図1を用いて上枠11の構成について説明する。
図1に示すように、金属上枠11Aの第1上枠部材111は、中空部S101を有している。金属上枠11Aの上ブリッジ材113は、内部に中空部S102を有している。中空部S101は、金属上框31Aの上側に配置されている。第1樹脂上枠部材115は、中空部S103,S104,S105,S110を有している。中空部S103,S104,S105は、この順で屋外側から屋内側に並んで配置されている。中空部S110は、中空部S104,S105の下側に配置されている。金属上枠11Aと第1樹脂上枠部材115との間には、空間部S106,S107,S108,S109が形成されている。空間部S106,S107,S108,S109は、この順で屋外側から屋内側に並んで配置されている。空間部S106は、第1上枠部材111の下側に配置されている。空間部S107は、上ブリッジ材113の下側に配置されている。空間部S108,S109は、第2上枠部材112の下側に配置されている。第2樹脂上枠部材116は、中空部S111,S112を有している。中空部S111は、中空部S112の上側に配置されている。第1樹脂上枠部材115と第2樹脂上枠部材116との間には、空間部S113,S114,S115,S116が形成されている。空間部S113は、中空部S111,S112の屋外側に配置されている。空間部S114,S115は、中空部S111の上側に配置されている。空間部S114は、空間部S115の屋外側に配置されている。空間部S116は、中空部S111,S112の屋内側に配置されている。中空部S101,S102,S103,S104,S105,S110,S111,S112及び空間部S106,S107,S108,S109,S113,S114,S115,S116を備えることによって、断熱性能、遮音性能を向上させることができる。縦辷り出し窓100の屋内外の温度変化に起因した結露を抑制することができる。
【0033】
上框31の構成について説明する。金属上框31Aの底壁部311は、ガラス溝32の開口側を向く底部である。底壁部311は、グレージングチャンネル49の上方に配置されている。グレージングチャンネル49の底部49aと底壁部311との間には、空間が形成されている。底壁部311の下方を向く面311aには、屋内外方向の中間に、加熱発泡材T101が設けられている。加熱発泡材T101は、ガラス43の見付け方向の外側である上方に配置されている。加熱発泡材T101の少なくとも一部は、ガラス43の上方に、屋内外方向の位置が重なるように配置されている。上方から見て、ガラス43の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T101と重なって配置されていることが好ましい。加熱発泡材T101は、特許請求の範囲の第1加熱発泡材に対応する。
【0034】
底壁部311の面311aの屋内側の端部には、加熱発泡材T102が設けられている。底壁部311の面311aの屋内側の端部において、ガラス保持金具361の取付部361aが取り付けられている箇所では、取付部361aの下側に加熱発泡材T103が設けられている。加熱発泡材T102,T103は、加熱発泡材T101の屋内側に離れて配置されている。加熱発泡材T102,T103は、ガラス41の見付け方向の外側である上方に配置されている。加熱発泡材T103の少なくとも一部は、ガラス41の上方に、屋内外方向の位置が重なるように配置されている。上方から見て、加熱発泡材T102は、ガラス41の屋内外方向の略全領域を覆うように配置されている。上方から見て、ガラス41の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T102,T103と重なって配置されていることが好ましい。加熱発泡材T102,T103は、特許請求の範囲の第2加熱発泡材に対応する。
【0035】
金属上枠11Aの第1上枠部材111と上框31の間には、空間部S121が形成されている。空間部S121は、ガラス溝32の上側に配置されている。樹脂上框31Bは、中空部S122,S123,S124,S125を有している。中空部S122,S123,S124,S125は、ガラス溝32の屋内側に配置されている。中空部S122は、中空部S123の屋外側に配置されている。中空部S122,S123は、中空部S124の上側に配置されている。中空部S124は、中空部S125の上側に配置されている。樹脂上框31Bと第2樹脂上枠部材116との間には、空間部S127が形成されている。空間部S127は、中空部S123,S124,S125の屋内側に配置されている。中空部S122,S123,S124,S125及び空間部S121,S127を備えることによって、断熱性能、遮音性能を向上させることができる。縦辷り出し窓100の屋内外の温度変化に起因した結露を抑制することができる。
【0036】
下枠12の構成について説明する。第2樹脂下枠部材126は、第2樹脂上枠部材116を上下反転した構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。金属下枠12Aの第1下枠部材121は、中空部S131,S132を有している。中空部S131は、中空部S132の上側に配置されている。第1樹脂下枠部材125は、中空部S128,S129を有している。中空部S128,S129は、この順で屋外側から屋内側に並んで配置されている。金属下枠12Aと第1樹脂下枠部材125との間には、空間部S136,S137,S138,S139が形成されている。空間部S136は、中空部S128の下側に配置されている。空間部S137は、中空部S129の下側に配置されている。空間部S138は、中空部S110の下側に配置されている。空間部S139は、中空部S110の屋内側に配置されている。中空部S128,S129,S131,S132及び空間部S136,S137,S138,S139を備えることによって、断熱性能、遮音性能を向上させることができる。縦辷り出し窓100の屋内外の温度変化に起因した結露を抑制することができる。
【0037】
下框33の構成について説明する。金属下框33Aの底壁部331は、ガラス溝34の開口側を向く底部である。底壁部331に沿うように、上向きに開口する断面略U字状のガラス保持金具353が設けられている。ガラス保持金具353は、金属下框33Aの幅方向の両端部に設けられている。ガラス保持金具353が設置されている箇所では、ガラス保持金具353における開口側である上方を向く底部353aの上面353bに、加熱発泡材T105,T106が設けられている。加熱発泡材T105は、ガラス保持金具353の底部353aの屋内外方向の略中央に設けられている。加熱発泡材T106は、ガラス保持金具353の底部353aの屋内側の端部に設けられている。加熱発泡材T105と加熱発泡材T106とは、屋内外方向に離れて配置されている。ガラス保持金具353が設置されていない箇所では、ガラス溝34の底壁部331の上面353bに、加熱発泡材T107,T108が設けられている。加熱発泡材T107は、ガラス溝34の底壁部331の屋内外方向の略中央に設けられている。加熱発泡材T108は、ガラス溝34の底壁部331の屋内側の端部に設けられている。加熱発泡材T105,T107は、特許請求の範囲の第1加熱発泡材に対応する。加熱発泡材T106,T108は、特許請求の範囲の第2加熱発泡材に対応する。
【0038】
加熱発泡材T105,T107は、ガラス43の見付け方向の外側である下方に配置されている。加熱発泡材T105,T107の少なくとも一部は、ガラス43の下方に、屋内外方向の位置が重なるように配置されている。下方から見て、ガラス43の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T105,T107と重なって配置されていることが好ましい。
【0039】
加熱発泡材T106,T108は、ガラス41の見付け方向の外側である下方に配置されている。下方から見て、加熱発泡材T106,T108は、ガラス41の屋内外方向の略全領域を覆うように配置されている。下方から見て、ガラス41の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T106,T108と重なって配置されていることが好ましい。
【0040】
樹脂下框33Bの中空部の構成は、樹脂上框31Bを上下反転して構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図3を用いて縦枠13の構成について説明する。
図3に示すように、樹脂縦枠13Bの第1樹脂縦枠部材135は、中空部S141,S142を有している。中空部S141は、中空部S142の屋外側に配置されている。金属縦枠13Aと第1樹脂縦枠部材135との間には、空間部S143,S144,S145が形成されている。空間部S143,S144,S145は、この順で屋外側から屋内側に並んで配置されている。中空部S143は、中空部S141の幅方向の外側に配置されている。中空部S144は、中空部S142の幅方向の外側に配置されている。空間部S145は、中空部S144及び中空部S142の屋内側に配置されている。第2樹脂縦枠部材136は、中空部S146,S147,S148を有している。中空部S146は、中空部S147の屋外側に配置されている。中空部S148は、中空部S146,S147の幅方向の外側に配置されている。第1樹脂縦枠部材135と第2樹脂縦枠部材136との間には、空間部S151,S152,S153,S154,S155,S156が形成されている。空間部S151,S152,S153は、この順で屋外側から屋内側に並んで配置されている。空間部S151,S152,S153は、中空部S141,S142の幅方向の内側に配置されている。空間部S154は、空間部S151の幅方向の内側に配置されている。空間部S155は、空間部S154の幅方向の内側に配置されている。空間部S156は、中空部S148及び中空部S147の屋内側に配置されている。中空部S141,S142,S146,S147,S148及び空間部S143,S144,S145,S151,S152,S153,S154,S155,S156を備えることによって、断熱性能、遮音性能を向上させることができる。縦辷り出し窓100の屋内外の温度変化に起因した結露を抑制することができる。
【0042】
縦框35の構成について説明する。金属縦框35Aの底壁部351は、ガラス溝36の開口側を向く底部である。底壁部351に沿うように、幅方向の内側に開口する断面略U字状のガラス保持金具353が設けられている。ガラス保持金具353は、金属縦框35Aの上下両側に設けられている。ガラス保持金具353は、金属縦框35Aの略全長にわたって設けられていてもよい。ガラス保持金具353が設置されている箇所では、ガラス保持金具353の底部353aの幅方向の内側を向く面353bに、加熱発泡材T111,T112が設けられている。加熱発泡材T111は、ガラス保持金具353の底部353aの屋内外方向の略中央に設けられている。加熱発泡材T112は、ガラス保持金具353の底部353aの屋内側の端部に設けられている。加熱発泡材T111と加熱発泡材T112とは、屋内外方向に離れて配置されている。図面には記載していないが、ガラス保持金具353が設置されていない箇所では、加熱発泡材T111,T112は、ガラス溝36の底壁部351の幅方向の内側を向く面351bに設けられている。加熱発泡材T111は、特許請求の範囲の第1加熱発泡材に対応する。加熱発泡材T112は、特許請求の範囲の第2加熱発泡材に対応する。
【0043】
加熱発泡材T111は、ガラス43の見付け方向の外側である幅方向の外側に配置されている。加熱発泡材T111の少なくとも一部は、ガラス43の幅方向の外側に、屋内外方向の位置が重なるように配置されている。幅方向の外側から見て、ガラス43の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T111と重なって配置されていることが好ましい。
【0044】
加熱発泡材T112は、ガラス41の見付け方向の外側である幅方向の外側に配置されている。幅方向の外側から見て、加熱発泡材T112は、ガラス41の屋内外方向の略全領域を覆うように配置されている。幅方向の外側から見て、ガラス41の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T112と重なって配置されていることが好ましい。
【0045】
金属縦框35Aは、中空部S161を有している。中空部S161は、ガラス溝36の幅方向の外側に配置されている。金属縦框35Aと金属縦枠13Aとの間には、空間部S162が形成されている。空間部S162は、ガラス溝36の幅方向の外側に配置されている。樹脂縦框35Bは、中空部S163を有している。中空部S163は、空間部S162の幅方向の内側に配置されている。中空部S161,S163及び空間部S162を備えることによって、断熱性能、遮音性能を向上させることができる。縦辷り出し窓100の屋内外の温度変化に起因した結露を抑制することができる。
【0046】
縦辷り出し窓100では、ガラス43の見付け方向の外側には加熱発泡材T101,T105,T107,T111が配置されている。ガラス43の端部4u,4d,4sのそれぞれに加熱発泡材が設けられている。火災時に、発泡した加熱発泡材T101,T105,T107,T111によって、ガラス43に沿う面上でガラス43の端部4u,4d,4sとガラス溝32,34,36との間の隙間が封止されるため、屋内側への延焼を抑制することができる。ガラス41の見付け方向の外側には、加熱発泡材T102,T103,T106,T108,T112が配置されている。火災時に、発泡した加熱発泡材T102,T103,T106,T108,T112によって、ガラス41に沿う面上でガラス41の端部4u,4d,4sとガラス溝32,34,36との間の隙間が封止されるため、屋外で発生した火災において、火炎が入ってきたとしても、さらに屋内側への延焼を抑制することができる。耐火性を向上させることができる。
【0047】
屋内外両側に配置されたガラス41,42は、金属膜がコーティングされた低放射ガラスである。両側のガラス41,42の間に配置されたガラス43は、耐熱強化ガラスである。断熱性及び日射遮蔽性を高めることができるとともに、耐火性を高めることができる。
【0048】
(第二実施形態)
第二実施形態に係る建具について、主に
図4及び
図5を用いて説明する。以下で説明する実施形態において、上記に示す実施形態に対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0049】
建物の開口部に設けられる建具の一例として、
図4及び
図5に示す横辷り出し窓100Xについて説明する。
【0050】
図4に示すように、上框31の金属上框31Aの底壁部312の下方を向く面312aには、屋内外方向の中間に、加熱発泡材T121が設けられている。加熱発泡材T121は、上下に重なって2枚配置されているが、枚数は適宜設定可能である。加熱発泡材T121は、ガラス43の見付け方向の外側である上方に配置されている。上方から見て、加熱発泡材T121は、ガラス43の屋内外方向の略全領域を覆うように配置されている。上方から見て、ガラス43の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T121と重なって配置されていることが好ましい。加熱発泡材T121は、特許請求の範囲の第1加熱発泡材に対応する。
【0051】
上框31の金属上框31Aの底壁部312の下方を向く面312aには、屋内側の端部、加熱発泡材T124が設けられている。加熱発泡材T124は、上下に重なって2枚配置されているが、枚数は適宜設定可能である。加熱発泡材T124は、ガラス41の見付け方向の外側である上方に配置されている。上方から見て、加熱発泡材T124は、ガラス41の屋内外方向の略全領域を覆うように配置されている。上方から見て、ガラス41の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T124と重なって配置されていることが好ましい。加熱発泡材T124は、特許請求の範囲の第2加熱発泡材に対応する。
【0052】
金属上框31Aの底壁部312の上面312bには、加熱発泡材T122,T123が設けられている。加熱発泡材T122は、加熱発泡材T121よりも屋外側に配置されている。加熱発泡材T122は、ガラス43の上方に、屋内外方向の位置が重なるように配置されている。屋内外方向において、ガラス42の全ての領域が加熱発泡材T122に重なっている。加熱発泡材T123は、加熱発泡材T121よりも屋内側に配置されている。加熱発泡材T123は、底壁部312から上方に延びる壁部313に沿って配置されている。
【0053】
下框33の構成について説明する。金属下框33Aの底壁部332に沿うように、上向きに開口する断面略U字状のガラス保持金具353が設けられている。ガラス保持金具353は、金属下框33Aの幅方向の略中央に設けられている。ガラス保持金具353の設置位置は、適宜設定可能である。ガラス保持金具353が設置されていない箇所において、底壁部332の上面332aには、加熱発泡材T126が設けられている。加熱発泡材T126は、ガラス43の見付け方向の外側である下方に配置されている。加熱発泡材T126の少なくとも一部は、ガラス43の下方に、屋内外方向の位置が重なるように配置されている。下方から見て、ガラス43の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T126と重なって配置されていることが好ましい。加熱発泡材T126は、ガラス保持金具353が設置されている箇所において、ガラス保持金具353の底部353aの上面353bに設けられていてもよい。加熱発泡材T126は、特許請求の範囲の第1加熱発泡材に対応する。
【0054】
金属下框33Aの底壁部332は、屋内側で低くなるように階段状に形成されている。底壁部332は、第1段部333と、第2段部334と、を有している。第1段部333は、加熱発泡材T126の設置される上面332aよりも屋内側且つ低い高さに配置されている。第2段部334は、第1段部333よりも屋内側且つ低い高さに配置されている。第2段部334の上面334aには、加熱発泡材T127が設けられている。第1段部333の上面333aには、加熱発泡材T128が設けられている。加熱発泡材T128の屋内側の部分は、加熱発泡材T127の上方に配置されている。加熱発泡材T127,T128の少なくとも一部は、ガラス41の下方に、屋内外方向の位置が重なるように配置されている。下方から見て、加熱発泡材T127,T128は、ガラス41の屋内外方向の略全領域を覆うように配置されている。下方から見て、ガラス41の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T127,T128と重なって配置されていることが好ましい。加熱発泡材T127,T128は、特許請求の範囲の第2加熱発泡材に対応する。
【0055】
金属縦框35Aの底壁部354に沿うように、幅方向の内側に開口する断面略U字状のガラス保持金具353が設けられている。ガラス保持金具353は、金属縦框35Aの上下両側に設けられている。ガラス保持金具353は、金属縦框35Aの略全長にわたって設けられていてもよい。ガラス保持金具353が設置されている箇所では、ガラス保持金具353の底部353aの幅方向の内側を向く面353bに、加熱発泡材T131,T132が設けられている。加熱発泡材T131は、ガラス保持金具353の底部353aの屋内外方向の略中央に設けられている。加熱発泡材T132は、ガラス保持金具353の底部353aの屋内側の端部に設けられている。図面には記載していないが、ガラス保持金具353が設置されていない箇所では、加熱発泡材T131,T132は、ガラス溝36の底壁部354の幅方向の内側を向く面354bに設けられている。加熱発泡材T131は、特許請求の範囲の第1加熱発泡材に対応する。加熱発泡材T132は、特許請求の範囲の第2加熱発泡材に対応する。
【0056】
加熱発泡材T131は、ガラス43の見付け方向の外側である幅方向の外側に配置されている。加熱発泡材T131の少なくとも一部は、ガラス43の幅方向の外側に、屋内外方向の位置が重なるように配置されている。幅方向の外側から見て、ガラス43の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T131と重なって配置されていることが好ましい。
【0057】
加熱発泡材T132は、ガラス41の見付け方向の外側である幅方向の外側に配置されている。幅方向の外側から見て、加熱発泡材T132は、ガラス41の屋内外方向の略全領域を覆うように配置されている。幅方向の外側から見て、ガラス41の厚さの半分以上の部分が、加熱発泡材T132と重なって配置されていることが好ましい。
【0058】
横辷り出し窓100Xでは、ガラス43の見付け方向の外側には加熱発泡材T121,T126,T131が配置されている。ガラス43の端部4u,4d,4sのそれぞれに加熱発泡材が設けられている。火災時に、発泡した加熱発泡材T121,T126,T131によって、ガラス43に沿う面上でガラス43の端部4u,4d,4sとガラス溝32,34,36との間の隙間が封止されるため、屋内側への延焼を抑制することができる。ガラス41の見付け方向の外側には、加熱発泡材T124,T127,T128,T132が配置されている。火災時に、発泡した加熱発泡材T127,T128,T132によって、ガラス41に沿う面上でガラス41の端部4u,4d,4sとガラス溝32,34,36との間の隙間が封止されるため、屋外で発生した火災において、火炎が入ってきたとしても、さらに屋内側への延焼を抑制することができる。耐火性を向上させることができる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0060】
ガラス41,42が低放射ガラスであり、ガラス43が耐熱強化ガラスであるが、これに限られない。ガラス41,42,43の種類は適宜設定可能である。
【0061】
縦辷り出し窓100及び横辷り出し窓100Xを例に挙げて説明したが、適用する建具はこれに限られない。引き違い窓の框やドアの框等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
4 ガラスパネル、4u,4d,4s 端部、31Z 上框本体(框本体)、32,34,36 ガラス溝、33Z 下框本体(框本体)、35Z 縦框本体(框本体)、41,42,43 ガラス、44,45 空気層、T101,T105,T107,T111,T121,T126,T131 加熱発泡材(第1加熱発泡材)、T102,T103,T106,T108,T112,T127,T128,T132 加熱発泡材(第2加熱発泡材)