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特開2024-114308視野角制御用液晶パネル、及び、表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114308
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】視野角制御用液晶パネル、及び、表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13363 20060101AFI20240816BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G02F1/13363
G02F1/1347
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019987
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】平井 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】坂井 彰
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 潔
【テーマコード(参考)】
2H189
2H291
【Fターム(参考)】
2H189AA22
2H189AA29
2H189AA32
2H189NA07
2H291FA02X
2H291FA14X
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA82Z
2H291FA85Z
2H291FD09
2H291FD10
2H291GA08
2H291HA08
2H291HA15
2H291KA02
2H291KA10
2H291LA24
2H291NA73
2H291NA76
2H291PA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】狭視野角モードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性を向上し、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を向上することができる視野角制御用液晶パネル、及び、該視野角制御用液晶パネルを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】第一の吸収軸を有する第一の偏光板と、第一の基板、第一の液晶層及び第二の基板を備える第一の液晶パネルと、第三の基板、第二の液晶層及び第四の基板を備える第二の液晶パネルと、第五の基板、第三の液晶層及び第六の基板を備える第三の液晶パネルとを備え、上記第一の吸収軸の方位角をφP1とし、上記第一、第二、第三、第四、第五及び第六の基板側の液晶分子のダイレクタの方位角をφ1、φ2、φ3、φ4、φ5及びφ6とするとき、下記式を満たす、視野角制御用液晶パネル。
0°≦|φ1-φ2|≦5°,0°≦|φP1-φ1|≦5°,0°≦|φ3-φ4|≦5°,0°≦|φ5-φ6|≦5°
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の吸収軸を有する第一の偏光板と、
第一の電極を有する第一の基板と、第一の液晶分子を含有する第一の液晶層と、第二の電極を有する第二の基板と、を順に備える第一の液晶パネルと、
第三の電極を有する第三の基板と、第二の液晶分子を含有する第二の液晶層と、第四の電極を有する第四の基板と、を順に備える第二の液晶パネルと、
第五の電極を有する第五の基板と、第三の液晶分子を含有する第三の液晶層と、第六の電極を有する第六の基板と、を順に備える第三の液晶パネルと、
前記第一の吸収軸と平行な第二の吸収軸を有する第二の偏光板と、
を順に備え、
前記第一の吸収軸の方位角をφP1とし、
前記第一の液晶層の電圧無印加状態における、前記第一の基板側の前記第一の液晶分子のダイレクタの方位角をφ1、前記第二の基板側の前記第一の液晶分子のダイレクタの方位角をφ2とし、
前記第二の液晶層の電圧無印加状態における、前記第三の基板側の前記第二の液晶分子のダイレクタの方位角をφ3、前記第四の基板側の前記第二の液晶分子のダイレクタの方位角をφ4とし、
前記第三の液晶層の電圧無印加状態における、前記第五の基板側の前記第三の液晶分子のダイレクタの方位角をφ5、前記第六の基板側の前記第三の液晶分子のダイレクタの方位角をφ6とするとき、
下記(式1)、(式1-1)、(式2)及び(式3)を満たすことを特徴とする、視野角制御用液晶パネル。
0°≦|φ1-φ2|≦5°・・・(式1)
0°≦|φP1-φ1|≦5°・・・(式1-1)
0°≦|φ3-φ4|≦5°・・・(式2)
0°≦|φ5-φ6|≦5°・・・(式3)
【請求項2】
前記第一の液晶分子、前記第二の液晶分子及び前記第三の液晶分子は、負の誘電率異方性を有する液晶分子であり、
前記第一の液晶層が電圧印加状態であるときの前記第一の液晶分子の厚み方向の平均チルト角をM10、前記第二の液晶層が電圧印加状態であるときの前記第二の液晶分子の厚み方向の平均チルト角をM20、前記第三の液晶層が電圧印加状態であるときの前記第三の液晶分子の厚み方向の平均チルト角をM30とするとき、下記(式MA)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の視野角制御用液晶パネル。
M10<M20<M30 (式MA)
【請求項3】
前記第一の液晶パネルに印加される駆動電圧V1、前記第二の液晶パネルに印加される駆動電圧V2及び前記第三の液晶パネルに印加される駆動電圧V3は、下記(式V)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の視野角制御用液晶パネル。
V1:V2:V3=(1.4~1.3):(1.2~1.1):1 (式V)
【請求項4】
前記第一の液晶パネルにおいて、前記第一の電極及び前記第二の電極がベタ電極であり、
前記第二の液晶パネルにおいて、前記第三の電極及び前記第四の電極がベタ電極であり、
前記第三の液晶パネルにおいて、前記第五の電極及び前記第六の電極がベタ電極であり、
前記第一の液晶層の初期リタデーション、前記第二の液晶層の初期リタデーション及び前記第三の液晶層の初期リタデーションは、それぞれ、600nm以上、1000nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の視野角制御用液晶パネル。
【請求項5】
更に、前記第一の液晶パネルと前記第一の偏光板との間、及び、前記第三の液晶パネルと前記第二の偏光板との間の少なくとも一方に、厚さ方向のリタデーションRthが350nm以上、1000nm以下のネガティブCプレートを備えることを特徴とする請求項1に記載の視野角制御用液晶パネル。
【請求項6】
前記第一の偏光板よりも背面側に配置されたバックライトと、
請求項1~5のいずれかに記載の視野角制御用液晶パネルと、
前記第二の偏光板よりも観察面側に配置され、かつ、画素電極を有する第七の基板と、第四の液晶分子を含有する第四の液晶層と、複数色のカラーフィルタを有する第八の基板と、を順に備えるIPSモード又はFFSモードの表示用液晶パネルと、
第三の吸収軸を有する第三の偏光板と、
を順に備え、
前記第二の吸収軸の方位角をφP2とし、前記第三の吸収軸の方位角をφP3とするとき、下記(式4)を満たすことを特徴とする表示装置。
85°≦|φP2-ΦP3|≦90°・・・(式4)
【請求項7】
前記表示用液晶パネルにおいて、前記複数色のカラーフィルタ及び前記画素電極は、それぞれ、長手形状であり、
前記複数色のカラーフィルタ及び前記画素電極の長手方向は、それぞれ、前記表示用液晶パネルの上下方向に沿って配置されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第八の基板は、前記複数色のカラーフィルタのそれぞれに対応する複数の開口部が設けられたブラックマトリクス層を備え、
前記複数の開口部の、前記表示用液晶パネルの上下方向の幅は、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、
前記複数の開口部の、前記表示用液晶パネルの左右方向の幅は、それぞれ、80μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示用液晶パネルにおいて、前記複数色のカラーフィルタ及び前記画素電極が、それぞれ、長手形状であり、
前記複数色のカラーフィルタ及び前記画素電極の長手方向は、それぞれ、前記表示用液晶パネルの左右方向に沿って配置されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第八の基板は、前記複数色のカラーフィルタのそれぞれに対応する複数の開口部が設けられたブラックマトリクス層を備え、
前記複数の開口部の、前記表示用液晶パネルの左右方向の幅は、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、
前記複数の開口部の、前記表示用液晶パネルの上下方向の幅は、それぞれ、80μm以下であることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、視野角制御用液晶パネル、及び、該視野角制御用液晶パネルを用いた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、透過させる光の制御に液晶組成物を利用するパネルであり、その代表的な方式は、一対の基板間に封入された液晶組成物に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶組成物中の液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御するものである。このような液晶パネルは、薄型、軽量及び低消費電力といった特長を活かし、幅広い分野で用いられている。
【0003】
ところで、従来、表示装置は、狭い視野角の範囲から観察しても、広い視野角の範囲から観察しても同様の画像が観察できるように視野角特性を向上させることが検討されている。一方で、プライバシー保持の観点からは、狭い視野角の範囲からは画像を観察できるが、広い視野角の範囲からは上記画像を観察し難くする表示方法が検討されている。このように、狭い視野角の範囲においても広い視野角の範囲においても同様の画像が観察できるパブリックモード(広視野角モード)と、狭い視野角の範囲からは画像を観察できるが、広い視野角の範囲からは画像を観察し難いプライバシーモード(狭視野角モード)とを切り替え可能な表示装置が求められている。
【0004】
パブリックモードとプライバシーモードとを切り替え可能な表示装置に用いられる液晶パネルに関する技術として、例えば、特許文献1には、表示パネルの表面、又は、裏面に配置されることによって、前記表示パネルに表示された画像の視野角を制御し、液晶層を含み、かつ、前記液晶層に電圧を印加する際の単位としての画素が設けられた視野角制御用液晶パネルであって、前記液晶層には直線偏光が入射され、かつ、前記液晶層の光が出射する側には、前記液晶層から出射された光のうち、前記液晶層に入射された直線偏光の偏光軸と平行な成分のみを透過させる偏光板が設けられており、前記液晶層に含まれた液晶分子は、液晶層に電圧が印加されることによって、前記液晶層に入射された直線偏光の偏光軸と、平行又は垂直な方向に傾斜し、前記画素が複数個、マトリクス状に配設されている視野角制御用液晶パネルが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、視野角を制御するためのバックライトシステムであって、前記バックライトシステムの非視認側から視認側に向けて光を照射する第一のバックライトユニットと、前記第一のバックライトユニットの視認側に配置され、前記バックライトシステムの視認側に向けて光を照射する第二のバックライトユニットと、液晶材料を含み、前記第二のバックライトユニットの非視認側に配置され、前記第一のバックライトユニットと前記第二のバックライトユニットとの間に配置され、前記第一のバックライトからの光を限られた視野角範囲で透過させるプライバシー光学部材と、前記プライバシー光学部材の視認側であって、かつ、前記第二のバックライトユニットの非視認側に配置された第一の偏光板と、前記プライバシー光学部材の非視認側であって、かつ、前記第一のバックライトユニットの視認側に配置された第二の偏光板と、を備え、前記プライバシー光学部材は、前記第一の偏光板と前記第二の偏光板との間に配置されたHAN(hybrid aligned nematic)モードの液晶セルであり、前記HANモードの液晶セルは、第一の電極層を備える第一の基板と、液晶層を介して反対側に配置された第二の電極層を備える第二の基板とを備え、前記HANモードの液晶セルに電圧が印加されると視野角制限が強くなるバックライトシステムが開示されている。
【0006】
また、非特許文献1には、VA(Vertical Alignment)配向の液晶レンズセルからなり、片側の基板側にのみITOグリッド電極を備える視野角制御用液晶パネルと、表示用液晶パネルと、ルーバーフィルムとを備え、上記視野角制御用液晶パネルのグリッド電極への電圧印加時に、横電界によりセル内の屈折率分布を変調し、ルーバーフィルム越しのバックライト光を拡散させることができ(パブリックモードとして機能し)、電圧無印加時に、バックライト光は拡散されずにそのまま表示用液晶パネル側へと抜けていく(プライバシーモードとして機能する)、デュアルセル方式の液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-203565号公報
【特許文献2】米国特許第11002998号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】AU Optronics Corp., Hsinchu, Taiwan,「Advanced Hyper-Viewing Angle Controllable LCD」,SID 2021 DIGEST,543
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1、2及び非特許文献1では、狭視野角モードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性を向上し、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を向上することは検討されていない。
【0010】
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、狭視野角モードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性を向上し、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を向上することができる視野角制御用液晶パネル、及び、該視野角制御用液晶パネルを用いた表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一実施形態は、
第一の吸収軸を有する第一の偏光板と、
第一の電極を有する第一の基板と、第一の液晶分子を含有する第一の液晶層と、第二の電極を有する第二の基板と、を順に備える第一の液晶パネルと、
第三の電極を有する第三の基板と、第二の液晶分子を含有する第二の液晶層と、第四の電極を有する第四の基板と、を順に備える第二の液晶パネルと、
第五の電極を有する第五の基板と、第三の液晶分子を含有する第三の液晶層と、第六の電極を有する第六の基板と、を順に備える第三の液晶パネルと、
上記第一の吸収軸と平行な第二の吸収軸を有する第二の偏光板と、
を順に備え、
上記第一の吸収軸の方位角をφP1とし、
上記第一の液晶層の電圧無印加状態における、上記第一の基板側の上記第一の液晶分子のダイレクタの方位角をφ1、上記第二の基板側の上記第一の液晶分子のダイレクタの方位角をφ2とし、
上記第二の液晶層の電圧無印加状態における、上記第三の基板側の上記第二の液晶分子のダイレクタの方位角をφ3、上記第四の基板側の上記第二の液晶分子のダイレクタの方位角をφ4とし、
上記第三の液晶層の電圧無印加状態における、上記第五の基板側の上記第三の液晶分子のダイレクタの方位角をφ5、上記第六の基板側の上記第三の液晶分子のダイレクタの方位角をφ6とするとき、
下記(式1)、(式1-1)、(式2)及び(式3)を満たす、視野角制御用液晶パネル。
0°≦|φ1-φ2|≦5°・・・(式1)
0°≦|φP1-φ1|≦5°・・・(式1-1)
0°≦|φ3-φ4|≦5°・・・(式2)
0°≦|φ5-φ6|≦5°・・・(式3)
【0012】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記第一の液晶分子、上記第二の液晶分子及び上記第三の液晶分子は、負の誘電率異方性を有する液晶分子であり、上記第一の液晶層が電圧印加状態であるときの上記第一の液晶分子の厚み方向の平均チルト角をM10、上記第二の液晶層が電圧印加状態であるときの上記第二の液晶分子の厚み方向の平均チルト角をM20、上記第三の液晶層が電圧印加状態であるときの上記第三の液晶分子の厚み方向の平均チルト角をM30とするとき、下記(式MA)を満たす、視野角制御用液晶パネル。
M10<M20<M30 (式MA)
【0013】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記第一の液晶パネルに印加される駆動電圧V1、上記第二の液晶パネルに印加される駆動電圧V2及び上記第三の液晶パネルに印加される駆動電圧V3は、下記(式V)を満たす、視野角制御用液晶パネル。
V1:V2:V3=(1.4~1.3):(1.2~1.1):1 (式V)
【0014】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記第一の液晶パネルにおいて、上記第一の電極及び上記第二の電極がベタ電極であり、上記第二の液晶パネルにおいて、上記第三の電極及び上記第四の電極がベタ電極であり、上記第三の液晶パネルにおいて、上記第五の電極及び上記第六の電極がベタ電極であり、上記第一の液晶層の初期リタデーション、上記第二の液晶層の初期リタデーション及び上記第三の液晶層の初期リタデーションは、それぞれ、600nm以上、1000nm以下である、視野角制御用液晶パネル。
【0015】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、更に、上記第一の液晶パネルと上記第一の偏光板との間、及び、上記第三の液晶パネルと上記第二の偏光板との間の少なくとも一方に、厚さ方向のリタデーションRthが350nm以上、1000nm以下のネガティブCプレートを備える、視野角制御用液晶パネル。
【0016】
(6)また、本発明の他の一実施形態は、
上記第一の偏光板よりも背面側に配置されたバックライトと、
上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)及び上記(5)のいずれかに記載の視野角制御用液晶パネルと、
上記第二の偏光板よりも観察面側に配置され、かつ、画素電極を有する第七の基板と、第四の液晶分子を含有する第四の液晶層と、複数色のカラーフィルタを有する第八の基板と、を順に備えるIPSモード又はFFSモードの表示用液晶パネルと、
第三の吸収軸を有する第三の偏光板と、
を順に備え、
上記第二の吸収軸の方位角をφP2とし、上記第三の吸収軸の方位角をφP3とするとき、下記(式4)を満たす、表示装置。
85°≦|φP2-ΦP3|≦90°・・・(式4)
【0017】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(6)の構成に加え、上記表示用液晶パネルにおいて、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極は、それぞれ、長手形状であり、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極の長手方向は、それぞれ、上記表示用液晶パネルの上下方向に沿って配置される、表示装置。
【0018】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(7)の構成に加え、上記第八の基板は、上記複数色のカラーフィルタのそれぞれに対応する複数の開口部が設けられたブラックマトリクス層を備え、上記複数の開口部の、上記表示用液晶パネルの上下方向の幅は、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、上記複数の開口部の、上記表示用液晶パネルの左右方向の幅は、それぞれ、80μm以下である、表示装置。
【0019】
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(6)の構成に加え、上記表示用液晶パネルにおいて、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極が、それぞれ、長手形状であり、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極の長手方向は、それぞれ、上記表示用液晶パネルの左右方向に沿って配置される、表示装置。
【0020】
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(9)の構成に加え、上記第八の基板は、上記複数色のカラーフィルタのそれぞれに対応する複数の開口部が設けられたブラックマトリクス層を備え、上記複数の開口部の、上記表示用液晶パネルの左右方向の幅は、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、上記複数の開口部の、上記表示用液晶パネルの上下方向の幅は、それぞれ、80μm以下である、表示装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、狭視野角モードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性を向上し、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を向上することができる視野角制御用液晶パネル、及び、該視野角制御用液晶パネルを用いた表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る表示装置の構成の概要を示した断面模式図である。
図2】実施形態1に係る表示装置の構成を示した断面模式図である。
図3】実施形態1に係る表示装置の光学部材の軸配置を説明する分解模式図である。
図4】実施形態1に係る表示装置の画面又は視野角制御用液晶パネルのパネル面を観察面側(正面)から見たときの方位角を説明する図である。図中、水平方向をHで示し、垂直方向をVで示している。
図5】実施形態1に係る第一の液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。
図6】実施形態1に係る第一の液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。
図7】実施形態1に係る第二の液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。
図8】実施形態1に係る第二の液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。
図9】実施形態1に係る第三の液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。
図10】実施形態1に係る第三の液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。
図11】実施形態1に係る表示用液晶パネルを示した断面模式図である。
図12】実施形態1の変形例1に係る表示装置の一例を示す断面模式図である。
図13】実施形態1の変形例1に係る表示装置の一例を示す断面模式図である。
図14】実施形態1の変形例1に係る表示装置の一例を示す断面模式図である。
図15】実施形態1の変形例2に係る表示用液晶パネルが備える第八の基板の平面模式図である。
図16】実施形態1の変形例2に係る表示用液晶パネルが備える第七の基板の平面模式図である。
図17】実施形態1の変形例3に係る表示用液晶パネルが備える第八の基板の平面模式図である。
図18】実施形態1の変形例3に係る表示用液晶パネルが備える第七の基板の平面模式図である。
図19】実施例1における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)であるときの、実施例1の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。
図20】実施例1における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧印加状態(Von)であるときの、実施例1の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。
図21】実施例1における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)及び電圧印加状態(Von)であるときの、実施例1の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示すグラフである。
図22】実施例1の表示装置の水平方向(方位角0°-180°方向)における、パブリックモード時の各部材を通過する光の強度変化を極角ごとに模式的に示した図である。
図23】実施例1の表示装置の水平方向(方位角0°-180°方向)における、プライバシーモード時の各部材を通過する光の強度変化を極角ごとに模式的に示した図である。
図24】実施例2における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)であるときの、実施例2の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。
図25】実施例2における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧印加状態(Von)であるときの、実施例2の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。
図26】実施例2における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)及び電圧印加状態(Von)であるときの、実施例2の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示すグラフである。
図27】実施例3における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)であるときの、実施例3の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。
図28】実施例3における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧印加状態(Von)であるときの、実施例3の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。
図29】実施例3における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)及び電圧印加状態(Von)であるときの、実施例3の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示すグラフである。
図30】実施例4における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)であるときの、実施例4の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。
図31】実施例4における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧印加状態(Von)であるときの、実施例4の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。
図32】実施例4における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)及び電圧印加状態(Von)であるときの、実施例4の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示すグラフである。
図33】比較例8の表示装置が備える弱ルーバーフィルム、及び、比較例9の表示装置が備える中ルーバーフィルムを示す断面模式図である。
図34】比較例8の表示装置が備える弱ルーバーフィルム、及び、比較例9の表示装置が備える中ルーバーフィルム単体での透過率と視野角との関係を示すグラフである。
図35】極角及び方位角について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<用語の定義>
本明細書中、観察面側とは、表示装置の画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、表示装置の画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0024】
図35は、極角及び方位角について説明する図である。本明細書中、極角θとは、図35に示すように、対象となる方向(例えば測定方向F)と、光学素子の主面の法線に平行な方向とのなす角度を意味する。すなわち、光学素子の主面の法線に平行な方向は極角0°である。法線に平行な方向は法線方向ともいう。また、方位とは、対象となる方向を光学素子の主面上に射影したときの方向を意味し、基準となる方位との間のなす角度(方位角ともいう)で表現される。本明細書において、基準となる方位(方位角0°)は、光学素子の画面の水平右方向に設定される。対象となる方向の方位角が0°~90°又は270°~360°(=0°)である場合の極角は正の角度で表され、対象となる方向の方位角が90°~270°である場合、極角は負の角度で表される。
【0025】
方位角は、基準となる方位から反時計回りを正の角度、基準となる方位から時計回りを負の角度とする。反時計回り及び時計回りは、いずれも光学素子の主面を観察面側(正面)から見たときの回転方向を表す。また、角度は、光学素子の主面を平面視した状態で測定された値を表し、2つの直線(軸、方向及び稜線を含む)が互いに直交するとは、光学素子の主面を平面視した状態で直交することを意味し、2つの直線(軸、方向及び稜線を含む)が平行であるとは、光学素子の主面を平面視した状態で平行であることを意味する。具体的には、2つの直線が直交するとは、両者のなす角度が90°±3°であることを意味し、好ましくは90°±1°、より好ましくは90°±0.5°、特に好ましくは90°(完全に直交)であることを意味する。2つの直線が平行であるとは、両者のなす角度が0°±3°であることを意味し、好ましくは0°±1°、より好ましくは0°±0.5°、特に好ましくは0°(完全に平行)であることを意味する。
【0026】
本明細書において、軸方位とは、特に断りのない限り偏光子の吸収軸、又は、複屈折層の光軸(遅相軸)の方位を意味する。
【0027】
本明細書中で主屈折率、リタデーション(位相差)等の光学パラメータの測定波長は、特に断りのない限り、23℃、550nmとする。
【0028】
本明細書中、面内位相差(Re)は、Re=(nx-ny)×dで定義される。
本明細書中、厚さ方向のリタデーションRthは、Rth=(nz-(nx+ny)/2)×dで定義される。nx及びnyは、複屈折層の面内方向の主屈折率を示し、nxは、面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、nzは、面外方向、すなわち、複屈折層の面に対して垂直方向の主屈折率を示し、dは、複屈折層の厚みを示す。本明細書中、特に断りのない限り、「位相差」及び「リタデーション」は面内位相差を指す。
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【0030】
<実施形態1>
実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルは、第一の吸収軸を有する第一の偏光板と、第一の液晶パネルと、第二の液晶パネルと、第三の液晶パネルと、上記第一の吸収軸と平行な第二の吸収軸を有する第二の偏光板と、を順に備える。また、実施形態1に係る表示装置は、上記第一の偏光板よりも背面側に配置されたバックライトと、実施形態1に係る視野角制御用液晶パネルと、上記第二の偏光板よりも観察面側に配置されたIPSモード又はFFSモードの表示用液晶パネルと、第三の吸収軸を有する第三の偏光板と、を順に備える。
【0031】
図1は、実施形態1に係る表示装置の構成の概要を示した断面模式図である。本実施形態に係る視野角制御用液晶パネル10の具体的な構成は、図1に示すように、第一の偏光板110Pと、第一の液晶パネル120Lと、第二の液晶パネル130Lと、第三の液晶パネル140Lと、第二の偏光板150Pと、を順に備えるものである。すなわち、視野角制御用液晶パネル10は、3つの液晶パネル120L、130L及び140Lを備える。一方、上記特許文献1~2及び非特許文献1では、3つの液晶パネルを備える視野角制御用液晶パネルは開示されていない。
【0032】
また、本実施形態に係る表示装置1の具体的な構成は、図1に示すように、バックライト100と、第一の偏光板110Pと、第一の液晶パネル120Lと、第二の液晶パネル130Lと、第三の液晶パネル140Lと、第二の偏光板150Pと、IPSモード又はFFSモードの表示用液晶パネル160Lと、第三の偏光板170Pと、を順に備えるものである。すなわち、本実施形態の表示装置1は、第一の液晶パネル120L(視野角制御用)と、第二の液晶パネル130L(視野角制御用)と、第三の液晶パネル140L(視野角制御用)と、表示用液晶パネル160L(表示用)とを4枚重ねた、Quad方式の視野角制御表示装置である。一方、上記特許文献1~2及び非特許文献1では、4つの液晶パネルを備える表示装置は開示されていない。
【0033】
4つの液晶パネル120L、130L、140L及び160Lのうちで最も観察面側に位置する表示用液晶パネル160Lは、画像表示を行うものであり、IPS(In-Plane Switching)モード又はFFS(Fringe Field Switching)モードで駆動され、広視野角特性を有する。
【0034】
表示装置1は、狭視野角モードと広視野角モードを切り替えることができる。狭視野角モードでは、狭い視野角の範囲からは表示用液晶パネル160Lにより表示される画像を観察できるが、広い視野角の範囲からは上記画像を観察し難くされる。狭視野角モードは、用途の観点から、プライバシーモードとも呼ばれる。一方、広視野角モードでは、狭い視野角の範囲においても広い視野角の範囲においても表示用液晶パネル160Lにより表示される画像を観察できる。広視野角モードは、用途の観点から、パブリックモードとも呼ばれる。モードの切り替えは、第一の液晶パネル120L、第二の液晶パネル130L及び第三の液晶パネル140Lが備える液晶層への電圧印加により制御され、例えば、プライバシーモードでは、各液晶層への電圧印加がオンとされ、パブリックモードでは、各液晶層への電圧印加がオフとされてもよい。
【0035】
表示用液晶パネル160Lの背面側(バックライト100側)に位置する、第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lを備える視野角制御用液晶パネル10は、広い視野角と狭い視野角とを切り替えるスイッチング液晶として機能するものである。視野角制御用液晶パネル10が備える第一の液晶パネル120Lは、高極角側(H-60°~H-45°)の液晶リタデーションを制御する液晶パネルに相当する。第三の液晶パネル140Lは、低極角側(H-30°~H-0°)の液晶リタデーションを制御する液晶パネルに相当する。第二の液晶パネル130Lは、高極角から低極角の間の側(H-45°~H-30°)の液晶リタデーションを制御する液晶パネルに相当する。より具体的には、第一の液晶パネル120Lは比較的高い電圧で駆動され、第三の液晶パネル140Lは比較的低い電圧で駆動され、第二の液晶パネル130Lは、第一の液晶パネル120Lと第三の液晶パネル140Lとの間の電圧で駆動される。その結果、低極角側(H-30°~H-0°)の液晶リタデーションが初期から大きく変化せず(すなわち、正面付近の透過率視角変化は小さく)、かつ、高極角側(H-60°~H-45°)での液晶リタデーションが充分に変化することから、高極角側での遮光が可能となる。すなわち、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10により、正面の透過率視角変化が小さく、高極角側の遮光に優れた、トップハット型の透過率視角プロファイルを実現することができる。
【0036】
図2は、実施形態1に係る表示装置の構成を示した断面模式図である。図3は、実施形態1に係る表示装置の光学部材の軸配置を説明する分解模式図である。図2及び図3に示すように、第一の液晶パネル120Lは、第一の電極を有する第一の基板121と、第一の液晶分子を含有する第一の液晶層123と、第二の電極を有する第二の基板125と、を順に備える。第二の液晶パネル130Lは、第三の電極を有する第三の基板131と、第二の液晶分子を含有する第二の液晶層133と、第四の電極を有する第四の基板135と、を順に備える。第三の液晶パネル140Lは、第五の電極を有する第五の基板141と、第三の液晶分子を含有する第三の液晶層143と、第六の電極を有する第六の基板145と、を順に備える。表示用液晶パネル160Lは、画素電極を有する第七の基板161と、第四の液晶分子を含有する第四の液晶層163と、複数色のカラーフィルタを有する第八の基板165と、を順に備える。表示用液晶パネル160Lは、IPSモード又はFFSモードの表示用液晶パネルである。
【0037】
図4は、実施形態1に係る表示装置の画面又は視野角制御用液晶パネルのパネル面を観察面側(正面)から見たときの方位角を説明する図である。図中、水平方向をHで示し、垂直方向をVで示している。図4に示すように、基準となる方位は、表示装置の画面又は視野角制御用液晶パネルのパネル面を観察面側(正面)から見たとき、水平右方向(H0°)に設定される。方位角は、反時計回りを正の角度、時計回りを負の角度とする。反時計回り及び時計回りは、いずれも表示装置の画面を観察面側(正面)から見たときの回転方向を表す。
【0038】
実施形態1に係る視野角制御用液晶パネル10は、第一の偏光板110Pの第一の吸収軸(abs)の方位角をφP1とし、第一の液晶層123の電圧無印加状態における、第一の基板121側の第一の液晶分子123aのダイレクタの方位角をφ1、第二の基板125側の第一の液晶分子123bのダイレクタの方位角をφ2とするとき、下記(式1)及び下記(式1-1)を満たす。
0°≦|φ1-φ2|≦5°・・・(式1)
0°≦|φP1-φ1|≦5°・・・(式1-1)
【0039】
上記(式1)は、第一の基板121側の第一の液晶分子(背面側液晶分子)123aのダイレクタと、第二の基板125側の第一の液晶分子(観察面側液晶分子)123bのダイレクタとのなす角度が5°以内であることを表す。|φ1-φ2|の好ましい上限は3°である。
【0040】
上記(式1-1)は、互いに隣接する第一の偏光板(背面側偏光板)110Pの第一の吸収軸、及び、第一の基板121側の第一の液晶分子(背面側液晶分子)123aのダイレクタの方位角の差が5°以内であることを表す。|φP1-φ1|の好ましい上限は3°である。
【0041】
実施形態1に係る視野角制御用液晶パネル10は、第二の液晶層133の電圧無印加状態における、第三の基板131側の第二の液晶分子133aのダイレクタの方位角をφ3、第四の基板135側の第二の液晶分子133bのダイレクタの方位角をφ4とするとき、下記(式2)を満たす。
0°≦|φ3-φ4|≦5°・・・(式2)
【0042】
上記(式2)は、第三の基板131側の第二の液晶分子(背面側液晶分子)133aのダイレクタと、第四の基板135側の第二の液晶分子(観察面側液晶分子)133bのダイレクタとのなす角度が5°以内であることを表す。|φ3-φ4|の好ましい上限は3°である。
【0043】
実施形態1に係る視野角制御用液晶パネル10は、第三の液晶層143の電圧無印加状態における、第五の基板141側の第三の液晶分子143aのダイレクタの方位角をφ5、第六の基板145側の第三の液晶分子143bのダイレクタの方位角をφ6とするとき、下記(式3)を満たす。
0°≦|φ5-φ6|≦5°・・・(式3)
【0044】
上記(式3)は、第五の基板141側の第三の液晶分子(背面側液晶分子)143aのダイレクタと、第六の基板145側の第三の液晶分子(観察面側液晶分子)143bのダイレクタとのなす角度が5°以内であることを表す。|φ5-φ6|の好ましい上限は3°である。
【0045】
以上の通り、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、上記(式1)、(式1-1)、(式2)及び(式3)を満たす。このような態様とすることにより、狭視野角モードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性を向上し、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を向上することができる。このように、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は狭視野角モードと広視野角モードとを切り替え可能であり、本実施形態の視野角制御用液晶パネル10では、特に、狭視野角モードにおける特性を向上させることができる。
【0046】
実施形態1に係る表示装置は、第二の偏光板150Pの第二の吸収軸の方位角をφP2とし、第三の偏光板170Pの第三の吸収軸の方位角をφP3とするとき、下記(式4)を満たす。
85°≦|φP2-ΦP3|≦90°・・・(式4)
【0047】
上記(式4)は、第二の偏光板(背面側偏光板)150Pの第二の吸収軸と第三の偏光板(観察面側偏光板)170Pの第三の吸収軸が略直交することを表す。
【0048】
実施形態1に係る表示装置において、第一の偏光板110Pの第一の吸収軸の方位角φP1と、第一の液晶層123の電圧無印加状態における、第一の基板121側の第一の液晶分子123aのダイレクタの方位角φ1及び第二の基板125側の第一の液晶分子123bのダイレクタの方位角φ2と、第二の液晶層133の電圧無印加状態における、第三の基板131側の第二の液晶分子133aのダイレクタの方位角φ3及び第四の基板135側の第二の液晶分子133bのダイレクタの方位角φ4と、第三の液晶層143の電圧無印加状態における、第五の基板141側の第三の液晶分子143aのダイレクタの方位角φ5及び第六の基板145側の第三の液晶分子143bのダイレクタの方位角φ6と、第二の偏光板150Pの第二の吸収軸の方位角φP2と、第三の偏光板170Pの第三の吸収軸の方位角φP3とは、上記(式1)、(式1-1)、(式2)、(式3)及び(式4)を満たすことが好ましい。
【0049】
図2及び図3では、一例として、第一の偏光板110Pの第一の吸収軸の方位角φP1が90°、第一の液晶層123の電圧無印加状態における、第一の基板121側の第一の液晶分子123aのダイレクタの方位角φ1が90°、第二の基板125側の第一の液晶分子123bのダイレクタの方位角φ2が90°、第二の液晶層133の電圧無印加状態における、第三の基板131側の第二の液晶分子133aのダイレクタの方位角φ3が90°、第四の基板135側の第二の液晶分子133bのダイレクタの方位角φ4が90°、第三の液晶層143の電圧無印加状態における、第五の基板141側の第三の液晶分子143aのダイレクタの方位角φ5が90°、第六の基板145側の第三の液晶分子143bのダイレクタの方位角φ6が90°、第二の偏光板150Pの第二の吸収軸の方位角φP2が90°、第三の偏光板170Pの第三の吸収軸の方位角φP3が0°の場合を示している。
【0050】
実施形態1に係る表示装置によれば、狭視野角モードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性を向上し、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を向上する効果が得られる。この効果が得られる原理については、後述する実施例においてシミュレーション結果を参照して具体的に説明する。
【0051】
以下、実施形態1に係る表示装置を構成する各部材について説明する。
(バックライト)
バックライト100としては、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。バックライト100は、視野角制御用液晶パネルの背面側に配置され、バックライト100で生じた光を観察面側に出射できればよく、直下型であっても、エッジライト型であってもよい。バックライト100の光源の種類は特に限定されず、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、冷陰極管(CCFL)等が挙げられる。
【0052】
バックライト100は、指向性を向上させるために、ルーバーフィルムを備えるものであってもよい。また、バックライト100は、二層の導光板を有し、上記二層の導光板の一方は広視野角モード用、他方は狭視野角モード用として機能することが好ましい。より具体的には、例えば、バックライト100は、拡散用導光板及び非拡散用導光板の二層を重ね合わせた導光板積層体を有し、各々の導光板の端部に配置されたLEDを独立に制御することで、バックライトとしてパブリックモードとプライバシーモードとを切り替えることができるものであってもよい。
【0053】
(偏光板)
第一の偏光板110P、第二の偏光板150P及び第三の偏光板170Pはいずれも、吸収型偏光子である。これらの偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムに、ヨウ素錯体又は染料等の異方性材料を染色及び吸着させてから延伸配向させた偏光子等を用いることができる。第一の偏光板110P、第二の偏光板150P及び第三の偏光板170Pはそれぞれ、特定の方位に沿って延びる吸収軸と、該吸収軸に直交する透過軸とを有する。これらの偏光板は、吸収軸と平行な方位に振動する偏光成分を吸収する。
【0054】
(視野角制御用液晶パネル)
図5は、実施形態1に係る第一の液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。図6は、実施形態1に係る第一の液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。第一の液晶パネル120Lは、背面側から観察面側に向かって順に、支持基板121a及び第一の電極121bを有する第一の基板121と、配向膜122と、第一の液晶分子123Mを含有する第一の液晶層123と、配向膜124と、第二の電極125b及び支持基板125aを有する第二の基板125と、を備える。なお、液晶パネルが電圧無印加状態であるとは、液晶パネルが備える液晶層が電圧無印加状態であることをいい、液晶パネルが電圧印加状態であるとは、液晶パネルが備える液晶層が電圧印加状態であることをいう。
【0055】
図7は、実施形態1に係る第二の液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。図8は、実施形態1に係る第二の液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。第二の液晶パネル130Lは、背面側から観察面側に向かって順に、支持基板131a及び第三の電極131bを有する第三の基板131と、配向膜132と、第二の液晶分子133Mを含有する第二の液晶層133と、配向膜134と、第四の電極135b及び支持基板135aを有する第四の基板135と、を備える。
【0056】
図9は、実施形態1に係る第三の液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。図10は、実施形態1に係る第三の液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。第三の液晶パネル140Lは、背面側から観察面側に向かって順に、支持基板141a及び第五の電極141bを有する第五の基板141と、配向膜142と、第三の液晶分子143Mを含有する第三の液晶層143と、配向膜144と、第六の電極145b及び支持基板145aを有する第六の基板145と、を備える。
【0057】
液晶層の電圧無印加状態における液晶分子のダイレクタの方位角は、液晶層に隣接する配向膜によって制御することができ、配向膜に対する配向処理を調整することで所望の方位角とすることができる。配向処理の方法は、配向膜の材料に応じて適宜選択することができ、ラビング、光照射等が挙げられる。
【0058】
第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lは、液晶層の観察面側及び背面側に配置された一対の電極の間に印加する電圧を変化させることにより、液晶層のリタデーションを変化させることができる。液晶層のリタデーションの変化によって偏光板を透過する光の透過量が制御される。第一の液晶パネル120Lでは、一対の電極として、第一の電極121bと第二の電極125bとの組み合わせが用いられ、第二の液晶パネル130Lでは、一対の電極として、第三の電極131bと第四の電極135bとの組み合わせが用いられ、第三の液晶パネル140Lでは、一対の電極として、第五の電極141bと第六の電極145bとの組み合わせが用いられる。
【0059】
支持基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等の基板が挙げられる。ガラス基板の材料としては、例えば、フロートガラス、ソーダガラス等のガラスが挙げられる。プラスチック基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン等のプラスチックが挙げられる。
【0060】
一対の電極は、透明電極であってもよく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電材料、又は、それらの合金で形成することができる。
【0061】
配向膜は、電圧無印加状態における液晶分子の配向方位及びチルト角を制御する。配向膜は、水平配向膜であっても垂直配向膜であってもよい。配向膜は垂直配向膜であることが好ましい。配向膜にラビング配向処理ではなく光配向処理を施す場合、水平配向膜よりも垂直配向膜の方が、所望のチルト角を付与しやすい。
【0062】
ここで、水平配向膜は、当該配向膜を備える基板を液晶パネルに用いた場合に、液晶層に電圧を印加しない電圧無印加状態において、液晶層中の液晶分子を配向膜に対して、略水平に配向させる配向規制力を発現させる配向膜である。また、垂直配向膜は、当該配向膜を備える基板を液晶パネルに用いた場合に、液晶層に電圧を印加しない電圧無印加状態において、液晶層中の液晶分子を配向膜に対して、略垂直に配向させる配向規制力を発現させる配向膜である。
【0063】
略水平とは、配向膜との界面に位置する液晶分子のチルト角が0°以上、10°以下であることを意味し、好ましくは0°以上、5°以下、より好ましくは0°以上、2°以下であることを意味する。略垂直とは、配向膜との界面に位置する液晶分子のチルト角が83°以上、90°以下であることを意味し、好ましくは85°以上、90°以下、より好ましくは87.5°以上、88.0°以下であることを意味する。
【0064】
なお、本明細書において「チルト角」とは、液晶分子のダイレクタと基板の主面とのなす角を意味する。特に、電圧無印加状態における液晶分子のチルト角をプレチルト角ともいう。また、電圧無印加状態における液晶分子の配向方位を初期配向方位ともいう。チルト角は、クリスタルローテーション法を用いて求めることが可能であり、例えば、Axoscan(Axometrics社製)を用いて求めることができる。また、本実施形態において、液晶分子のダイレクタは、配向主軸の方向(ネマティック液晶において分子長軸の平均的に揃う方向)である。例えば、平面視において、電圧無印加状態における液晶分子のダイレクタは、配向膜の配向処理方向と一致する。
【0065】
配向膜の材料としては、ポリイミドを主鎖に有するポリマー、ポリアミック酸を主鎖に有するポリマー、ポリシロキサンを主鎖に有するポリマー等の液晶パネルの分野で一般的な材料を用いることができる。配向膜は配向膜材料を塗布することによって形成することができ、上記塗布方法は特に限定されず、例えば、フレキソ印刷、インクジェット塗布等を用いることができる。
【0066】
配向膜は、光官能基を有し、かつ配向処理として光配向処理が施された光配向膜であってもよいし、配向処理としてラビング処理が施されたラビング配向膜であってもよいし、配向処理が施されていない配向膜であってもよい。
【0067】
第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lは、パッシブ駆動されるパッシブ液晶パネルであってもよいし、アクティブマトリクス駆動されるアクティブマトリクス液晶パネルであってもよい。パッシブ液晶パネルである場合、画面全体でパブリックモードとプライバシーモードとの切り替えを行うことができる。アクティブマトリクス液晶パネルである場合、画面全体ではなく、部分的にパブリックモードとプライバシーモードとを切り替えることが可能となる。
【0068】
パッシブ液晶パネルである場合、上記一対の電極は、画面全面を覆うようなベタ状の電極(ベタ電極)であってもよい。このような態様とすることにより、画面全体でパブリックモードとプライバシーモードとの切り替えを行うことができる。
【0069】
アクティブマトリクス液晶パネルである場合、支持基板121aは、互いに直交したゲート線とソース線とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)が設けられる。ゲート線とソース線とに囲まれた領域が画素を形成し、各画素には、第一の電極121bとして、TFTに接続された画素電極が設けられる。一方、支持基板125aには、第二の電極125bとして、画面全面を覆うようなベタ電極である共通電極が設けられる。
【0070】
同様に、アクティブマトリクス液晶パネルである場合、支持基板131aは、互いに直交したゲート線とソース線とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としてのTFTが設けられる。ゲート線とソース線とに囲まれた領域が画素を形成し、各画素には、第三の電極131bとして、TFTに接続された画素電極が設けられる。一方、支持基板135aには、第四の電極135bとして、画面全面を覆うようなベタ電極である共通電極が設けられる。
【0071】
同様に、アクティブマトリクス液晶パネルである場合、支持基板141aは、互いに直交したゲート線とソース線とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としてのTFTが設けられる。ゲート線とソース線とに囲まれた領域が画素を形成し、各画素には、第五の電極141bとして、TFTに接続された画素電極が設けられる。一方、支持基板145aには、第六の電極145bとして、画面全面を覆うようなベタ電極である共通電極が設けられる。
【0072】
第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lの駆動方法は、特には限定されず、例えば一般に行われているアクティブマトリクス駆動方式を用いることができる。すなわち、ゲートドライバを介して各画素に設けられたTFTをスイッチングする(オン・オフする)。そして、このスイッチングに連動して、オンする画素に対して、ソースドライバを介して電圧を印加し、TFTのドレインバスを介して各画素内の蓄積容量に電荷を蓄積する。そして、この蓄積容量によって、当該画素がオン状態に保たれるというものである。
【0073】
ゲート線は、TFTのゲート電極に接続された配線(通常は複数のゲート電極に接続されたバスライン)であり、接続されたTFTのゲート電極に走査信号(TFTのオン状態及びオフ状態を制御する信号)を印加する。ソース線は、TFTのソース電極に接続された配線(通常は複数のソース電極に接続されたバスライン)であり、接続されたTFTにデータ信号(例えば映像信号)を印加する。ゲート線及びソース線は、通常、一方が、TFTがマトリクス状に配列されたアレイ領域を縦断するように線状に配置され、他方が、上記アレイ領域を横断するように線状に配置される。
【0074】
ゲート線、ソース線及びTFTを構成する各種配線及び電極は、スパッタリング法等により、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属、又は、それらの合金を、単層又は複数層で成膜し、続いて、フォトリソグラフィ法等でパターニングを行うことで形成することができる。これら各種配線及び電極は、同じ層に形成されるものについては、それぞれ同じ材料を用いることで製造が効率化される。
【0075】
第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lは、ECB(Electrically Controlled Birefringene)モードで駆動されることが好ましい。このような態様とすることにより、視野角制御用液晶パネル10は、プライバシーモードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性を効果的に向上し、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を効果的に向上することができる。
【0076】
本実施形態の視野角制御用液晶パネル10は、第一の液晶パネル120L及び第二の液晶パネル130Lの間、及び、第二の液晶パネル130L及び第三の液晶パネル140Lの間に偏光板を有さないことが好ましい。このような態様とすることにより、第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lのリタデーションを有効に利用することが可能となる。例えば、第一、第二及び三の液晶パネル120L、130L及び140Lは、製造による生産性(セル厚dバラつきによる性能影響)や液晶材料(Δn)の信頼性(高温による性能劣化影響)が充分に保証される面内リタデーション(例えば、Re=Δn×d=800nm程度)を有する。そのため、第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lのトータルの総Reは2400nm(800nm×3層)相当に高めることができる。更に、第一の液晶パネル120Lは比較的高い電圧で駆動され、第三の液晶パネル140Lは比較的低い電圧で駆動され、第二の液晶パネル130Lは第一の液晶パネル120Lと第三の液晶パネル140Lとの間の電圧で駆動される。その結果、低極角側(H-30°~H-0°)の液晶リタデーションが初期から大きく変化せず(すなわち、正面付近の透過率視角変化は小さく)、かつ、高極角側(H-60°~H-45°)での液晶リタデーションがλ/2条件を満たすように充分に変化するため、高極角側での遮光が可能となる。すなわち、正面の透過率視角変化が小さく、高極角側の遮光に優れた、トップハット型の透過率視角プロファイルを実現することができる。その結果、視野角制御用液晶パネル10は、プライバシーモードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性をより効果的に向上し、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性をより効果的に向上することができる。
【0077】
第一の液晶パネル120Lは、第一の液晶分子123Mを含有する第一の液晶層123を有し、第二の液晶パネル130Lは、第二の液晶分子133Mを含有する第二の液晶層133を有し、第三の液晶パネル140Lは、第三の液晶分子143Mを含有する第三の液晶層143を有する。第一の液晶層123、第二の液晶層133及び第三の液晶層143は、電圧無印加状態における液晶分子のダイレクタの方位角が互いに独立して制御されること以外は、同一であってもよく、異なっていてもよい。液晶分子は、正又は負の誘電率異方性を有し、液晶層への印加電圧に応じて液晶分子の配向状態が変化する。液晶分子の誘電率異方性(Δε)は下記(式L)で定義される。正の誘電率異方性を有する液晶分子をポジ型の液晶分子といい、負の誘電率異方性を有する液晶分子をネガ型の液晶分子という。また、電圧無印加状態における液晶分子の長軸の方向は、液晶分子の初期配向の方向ともいう。
Δε=(液晶分子の長軸方向の誘電率)-(液晶分子の短軸方向の誘電率) (式L)
【0078】
第一の液晶分子、第二の液晶分子及び第三の液晶分子は、ネガ型の液晶分子であってもよく、ポジ型の液晶分子であってもよいが、ネガ型の液晶分子が好適に用いられる。ネガ型の液晶分子は、配向膜を光配向処理する場合に適している。光配向処理によれば、ラビング処理と比べて、より大きなサイズの基板を用いたパネル製造に適しており、高い歩留まりを得ることができる。
【0079】
また、液晶分子が正の誘電率異方性を有することにより、液晶分子は、電圧無印加状態で、ホモジニアス配向するため、ECBモードを実現することができる。本明細書において、ホモジニアス配向とは、視野角制御用液晶パネルを構成する基板の基板面(例えば、第一の基板121及び第二の基板125の少なくとも一方の基板面)に対して水平であり、且つ向きも揃っている配向状態を意味する。
【0080】
本明細書において、電圧無印加状態(電圧無印加時)とは、液晶層中に液晶分子の閾値以上の電圧が印加されていない状態をいい、例えば、第一の電極121b及び第二の電極125bに同じ定電圧が印加されている状態であってもよいし、第一の電極121b及び第二の電極125bの一方の電極に定電圧が印加され、他方の電極に、上記定電圧に対して液晶分子の閾値未満の電圧が印加される状態であってもよい。また、本明細書において、電圧印加状態(電圧印加時)とは、液晶層中に液晶分子の閾値以上の電圧が印加されている状態をいう。電圧印加状態とは、例えば、最適電圧が印加されている状態である。ここで、最適電圧とは、特定の遮光角(例えば、極角-45°)において液晶パネル(例えば、一対のパラレル二コル偏光板に挟まれた面内Re800nmを持つECB液晶モード)の極角方向のリタデーションがλ/2[nm]を満たす電圧である。この時、極角-45°において透過率がミニマム(極小)となり、同角度で遮光されることとなる。
【0081】
第一の液晶分子123M、第二の液晶分子133M及び第三の液晶分子143Mは、負の誘電率異方性を有する液晶分子であり、第一の液晶層123が電圧印加状態であるときの第一の液晶分子123Mの厚み方向の平均チルト角をM10、第二の液晶層133が電圧印加状態であるときの第二の液晶分子133Mの厚み方向の平均チルト角をM20、第三の液晶層143が電圧印加状態であるときの第三の液晶分子143Mの厚み方向の平均チルト角をM30とするとき、視野角制御用液晶パネル10は、下記(式MA)を満たすことが好ましい。
M10<M20<M30 (式MA)
【0082】
このような視野角制御用液晶パネル10は、第一、第二及び第三の液晶層123、133及び143が電圧印加状態であるとき、第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140L全体でHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードに近い配向状態を実現することが可能となり、水平方向(方位角0°-180°方向)において、極角-45°~-60°でより効果的な遮光を実現することができる。すなわち、H-45°及びH-60°の両方において透過率が低い視野角特性を実現することができる。これにより、プライバシーモードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性を効果的に向上させることができる。具体的には、水平方向において、極角-45°での透過率を3%以下に効果的に抑えることができる。更に、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を効果的に向上させることができる。すなわち、正面付近の透過率視角変化が緩やかであり、画面の中央から端までの明るさが均一に近いように見える。具体的には、水平方向において、極角-30°での透過率を40%以上に効果的に高めることができる。このような視野角制御用液晶パネル10は、プライバシーモードとパブリックモードとを切り替え可能であり、かつ、性能良好なCDD(Co-Driver Display)として利用できる。なお、本明細書では、ECBモードの液晶パネルを、ECBパネルともいう。また、水平方向(方位角0°-180°方向)を、H180°-0°とも表記する。
【0083】
なお、本明細書において「厚み方向の平均チルト角」とは、液晶分子のダイレクタと基板の主面とのなす角を意味するのではなく、液晶層の厚み方向における液晶分子のダイレクタと基板(例えば、第一の基板及び上記第二の基板)の主面とのなす角度の平均値を意味し、基板の主面と平行な角度が0°、基板の主面の法線の角度が90°である。
【0084】
厚み方向の平均チルト角M10と厚み方向の平均チルト角M20との差は、5°以上、15°以下であることが好ましく、6°以上、12°以下であることがより好ましく、6.5°以上、11°以下であることが更に好ましい。このような態様とすることにより、プライバシーモードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性をより効果的に向上させ、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性をより効果的に向上させることができる。
【0085】
厚み方向の平均チルト角M20と厚み方向の平均チルト角M30との差は、5°以上、20°以下であることが好ましく、10°以上、18°以下であることがより好ましく、10.2°以上、16°以下であることが更に好ましい。このような態様とすることにより、プライバシーモードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性をより効果的に向上させ、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性をより効果的に向上させることができる。
【0086】
第一の液晶パネル120Lに印加される駆動電圧V1、第二の液晶パネル130Lに印加される駆動電圧V2及び第三の液晶パネル140Lに印加される駆動電圧V3は、下記(式V)を満たすことが好ましい。このような態様とすることにより、上記(式MA)を効果的に実現することができる。
V1:V2:V3=(1.4~1.3):(1.2~1.1):1 (式V)
【0087】
視野角制御用液晶パネルとして、ECBパネルを2枚又は3枚重ね合わせた構成であって、ECBパネル間に偏光板が配置されており、かつ、各ECBパネルの駆動電圧が等しい構成も考えられる。しかしながら、このような構成では、プライバシーモードにおいて、水平方向の極角-45°における透過率を20%以下に抑え、かつ、水平方向の極角-30°における透過率を30%以上に高めるというような、トップハット型の透過率視角プロファイルを実現することはできない。更に、バックライトとルーバーフィルムとを併用した方式や、上記特許文献1のような1枚のECBパネルを備える方式においても、このような効果を実現することはできない。なお、本明細書において、透過率視角プロファイルとは、「透過率と視野角(極角)の関係」を示しており、例えば、H180°-0°上での透過率と極角の関係を示すものである。
【0088】
上記特許文献1は、視野角制御用液晶パネルと、表示用液晶パネルを2枚重ね合わせた構成を有し、視野角制御用液晶パネルであるECBパネルを電圧印加状態とすることにより狭視野角モードを実現し、電圧無印加状態とすることにより広視野角モードを実現することができる。特許文献1において、視野角制御用液晶パネルであるECBパネルの遮光角が60°である場合、プライバシーモードにおいて、水平方向の極角-45°での透過率は20%を超え、かつ、水平方向の極角-30°での透過率は60%となることが見込まれる。そのため、水平方向の極角-45°での遮光性が悪い。また、特許文献1において、視野角制御用液晶パネルであるECBパネルの遮光角が45°である場合、プライバシーモードにおいて、水平方向の極角-45°での透過率は2%となり、かつ、水平方向の極角-30°での透過率は25%となることが見込まれる。そのため、水平方向の極角-30°での輝度が低下してしまう。更に、水平方向の極角-60°でも光漏れが生じてしまう。
【0089】
(表示用液晶パネル)
図11は、実施形態1に係る表示用液晶パネルを示した断面模式図である。表示用液晶パネル160Lは、第二の偏光板150Pと第三の偏光板170Pとの間に配置され、背面側から観察面側に向かって順に、画素電極252を有する第七の基板161と、配向膜162と、第四の液晶分子163Mを含有する第四の液晶層163と、配向膜164と、複数色のカラーフィルタ(カラーフィルタ層212)を有する第八の基板165と、を備える。表示用液晶パネル160Lは、面内方向にマトリクス状に配置された複数の画素を含み、IPSモード又はFFSモードで駆動される。
【0090】
第七の基板161は、画素電極252及び共通電極254を備える。このような態様とすることにより、IPS(In-Plane Switching)モード又はFFS(Fringe Field Switching)モードの表示用液晶パネル160Lを実現することができ、表示用液晶パネル160L単独では、広視野角を実現することができる。本実施形態では、表示用液晶パネル160LがFFSモードである場合を例に挙げて説明する。
【0091】
図11に示したように、第七の基板161は、背面側から観察面側に向かって順に、支持基板251と、上記画素毎に配置された画素電極252と、絶縁層253と、線状電極部254aを有する共通電極254とを有する。すなわち、第七の基板161は、絶縁層253を介して積層された画素電極252及び共通電極254を有するFFS型の電極構造を有する。第七の基板161は、アクティブマトリクス基板ともいう。
【0092】
また、第七の基板161は、支持基板251上に、互いに平行に延設された複数のゲート線と、絶縁膜を介して各ゲート線と交差する方向に互いに平行に延設され複数のソース線とを備える。複数のゲート線及び複数のソース線は、全体として格子状に形成されている。ゲート線とソース線との交点にはスイッチング素子として、TFTが配置される。
【0093】
なお、本実施形態ではFFS型の電極構造を有する表示用液晶パネル160Lを例に挙げて説明するが、本実施形態は、画素電極252及び共通電極254がそれぞれ櫛歯電極であり、櫛歯電極である画素電極252及び櫛歯電極である共通電極254が、互いに櫛歯が嵌合し合うように、同一の電極層に設けられているIPS型の電極構造にも適用することができる。
【0094】
第七の基板161が備える支持基板251としては、特に限定されず、例えば、第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lが備える支持基板と同様のものを挙げることができる。
【0095】
画素電極252及び共通電極254は、画素毎に配置される。画素電極252は、平面状電極であることが好ましい。本明細書中、「平面状電極」とは、平面視において、スリットや開口が設けられていない電極をいう。画素電極252は、平面視において、少なくとも後述する共通電極254が有する線状電極部254aと重畳することが好ましい。
【0096】
共通電極254は、複数の画素を跨いで電気的に結合して配置されている。共通電極254は、線状電極部254aを有する。共通電極254の平面形状としては、複数の線状電極部254aの両端が閉じられた構造が挙げられる。共通電極254には、電極部分に囲まれた開口254bが設けられてもよい。
【0097】
画素毎に配置された複数の共通電極254は、互いに電気的に接続され、複数の画素に対して共通した定電圧を印加し、かつ、画素毎に配置された複数の画素電極252のそれぞれはTFTが備える半導体層を介して、対応するソース線と電気的に接続され、画像信号に応じて画素毎に異なる電圧を印加してもよい。
【0098】
画素電極252及び共通電極254の材質としては、特に限定されず、例えば、第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lが備える一対の電極と同様のものを挙げることができる。
【0099】
絶縁層253としては、無機絶縁膜、有機絶縁膜等が挙げられる。無機絶縁膜としては、例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO)等の無機膜(比誘電率ε=5~7)や、それらの積層膜を用いることができる。有機絶縁膜としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等の有機膜や、それらの積層体を用いることができる。
【0100】
配向膜162及び164は、電圧無印加状態における第四の液晶分子163Mの配向方位及びチルト角を制御する。配向膜162及び164は、水平配向膜である。
【0101】
配向膜162及び164は、ラビング配向膜であっても光配向膜であってもよい。配向膜162及び164は、例えば、ポリイミドを主鎖に有するポリマー、ポリアミック酸を主鎖に有するポリマー、ポリシロキサンを主鎖に有するポリマー等の配向膜ポリマーを含有する。配向膜162及び164は、例えば、上記配向膜ポリマーを含有する配向膜材料を基板上に塗布することによって形成することができる。上記塗布方法は特に限定されず、例えば、フレキソ印刷、インクジェット塗布等を用いることができる。
【0102】
第四の液晶層163は第四の液晶分子163Mを含有し、第四の液晶層163に対して印加された電圧に応じて第四の液晶分子163Mの配向状態が変化することにより、光の透過量が制御される。第四の液晶分子163Mは、上記(式L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するものであってもよく、負の値を有するものであってもよいが、誘電率異方性が正の値を有するものであることが好ましい。
【0103】
第八の基板165は、背面側から観察面側に向かって順に、カラーフィルタ層212及びブラックマトリクス層213と、支持基板211と、を備える。第八の基板165は、カラーフィルタ基板ともいう。
【0104】
第八の基板165が備える支持基板251としては、特に限定されず、例えば、第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lが備える支持基板と同様のものを挙げることができる。
【0105】
カラーフィルタ層212は、例えば、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタから構成される。赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタは、例えば、顔料を含有する透明樹脂で構成されている。
【0106】
ブラックマトリクス層213は、カラーフィルタ層212に設けられた各色カラーフィルタを区画するように格子状に配置されている。ブラックマトリクス層213の材料は、遮光性を有するものである限り特に限定されないが、黒色顔料を含有した樹脂材料、又は、遮光性を有する金属材料が好適に用いられる。ブラックマトリクス層213は、例えば、黒色顔料を含む感光性樹脂を塗布して成膜し、露光及び現像等を行うフォトリソグラフィ法により形成される。
【0107】
以下、実施形態1に係る表示装置の好ましい態様について説明する。
(1)上記第一の液晶パネルにおいて、上記第一の電極及び上記第二の電極がベタ電極であり、上記第二の液晶パネルにおいて、上記第三の電極及び上記第四の電極がベタ電極であり、上記第三の液晶パネルにおいて、上記第五の電極及び上記第六の電極がベタ電極であり、上記第一の液晶層の初期リタデーション、上記第二の液晶層の初期リタデーション及び上記第三の液晶層の初期リタデーションは、それぞれ、600nm以上、1000nm以下であることが好ましい。このような態様によれば、狭視野角モードにおいて、斜めから視認した場合の遮光性を効果的に向上し、かつ、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を効果的に向上することができる。なお、液晶層の初期リタデーションとは、液晶層が電圧無印加状態であるときの波長550nmにおけるリタデーションをいう。
【0108】
第一の液晶層123の初期リタデーション、第二の液晶層133の初期リタデーション、及び、第三の液晶層143の初期リタデーションは、それぞれ、700nm以上、900nm以下であることがより好ましい。第一の液晶層123の初期リタデーション、第二の液晶層133の初期リタデーション、及び、第三の液晶層143の初期リタデーション(Re=液晶Δn×セル厚d)は、同一であっても、互いに異なっていても良いが、同一であることが好ましい。このような態様とすることにより、製造による生産性への影響を抑制することが可能となり、セル厚バラつき時の面内ムラや性能変化への影響が抑制される。更に、液晶材料の信頼性の影響も抑制することが可能となり、高い複屈折率を有する液晶材料を使用する必要がなくなる。その結果、高温下での性能変化への影響が抑制される。
【0109】
第一の液晶層123の初期リタデーション、第二の液晶層133の初期リタデーション及び第三の液晶層143の初期リタデーションの差の最大値は、0nm以上、100nm以下であることがより好ましく、0nm以上、50nm以下であることが更に好ましい。このような態様とすることにより、生産時のパネル識別が不要となり、パネル管理にかかるコストを低減することができる。液晶層のリタデーションは、液晶層の屈折率異方性Δnと厚さdの積(Δn×d)により求められる。
【0110】
(2)上記視野角制御用液晶パネルは、更に、上記第一の液晶パネルと上記第一の偏光板との間、及び、上記第三の液晶パネルと上記第二の偏光板との間の少なくとも一方に、ネガティブCプレートを備えることが好ましい。このような態様とすることにより、狭視野角モードにおいて、特に斜め方位での遮光領域をより広くすることができる(特に、方位45°及び135°での遮光性向上)。
【0111】
ネガティブCプレートは、nx=ny>nzを満たす複屈折体である(nx及びnyは、複屈折体の面内方向の主屈折率を示し、nzは、面外方向、すなわち、複屈折体の表面に対して垂直方向の主屈折率を示す)。なお、上記第一の液晶パネルと上記第一の偏光板との間、及び、上記第三の液晶パネルと上記第二の偏光板との間の少なくとも一方に配置されるネガティブCプレートは、1枚であっても、複数枚であってもよい。複数枚のネガティブCプレートを備える場合、複数枚のネガティブCプレートの厚さ方向のリタデーションRthは、各々独立に設定することができる。
【0112】
ネガティブCプレートの厚さ方向のリタデーションRthは、350nm以上であることが好ましく、400nm以上であることがより好ましく、450nm以上であることが更に好ましい。ネガティブCプレートの厚さ方向のリタデーションRthの上限は特に限定されないが、例えば、1000nm以下であり、900nm以下であることが好ましく、800nm以下であることがより好ましい。ネガティブCプレートの厚さ方向のリタデーションRthは、350nm以上、1000nm以下であることが好ましく、400nm以上、900nm以下であることがより好ましく、450nm以上、800nm以下であることが更に好ましい。ここで、ネガティブCプレートの厚さ方向のリタデーションRthとは、ネガティブCプレート1枚あたりの厚さ方向のリタデーションである。
【0113】
本変形例におけるネガティブCプレートとしては、例えば、延伸処理されたシクロオレフィンポリマーフィルムが挙げられる。
【0114】
図12図14は、実施形態1の変形例1に係る表示装置の一例を示す断面模式図である。実施形態1の変形例1に係る表示装置として、例えば、図12図14に示す構成が挙げられる。
【0115】
本変形例の視野角制御用液晶パネル10は、図12に示すように、第一の液晶パネル120Lと第一の偏光板110Pとの間に1枚のネガティブCプレート310を備え、第三の液晶パネル140Lと第二の偏光板150Pとの間に1枚のネガティブCプレート320を備えていてもよい。このような態様とすることにより、視野角制御用液晶パネル10の厚みの増加を抑えつつ、狭視野角モードにおいて斜め方位(方位45°や135°)でのプライバシー性能(遮光性能)を改善し、遮光範囲を拡大することができる。なお、図12に示す例では、2枚のネガティブCプレート310及び320は、それぞれ、厚さ方向のリタデーションRthが、350nm以上、1000nm以下であることが好ましく、400nm以上、900nm以下であることがより好ましく、450nm以上、800nm以下であることが更に好ましい。
【0116】
また、本変形例の視野角制御用液晶パネル10は、図13に示すように、第一の液晶パネル120Lと第一の偏光板110Pとの間に2枚のネガティブCプレート311、312を備え、第三の液晶パネル140Lと第二の偏光板150Pとの間に1枚のネガティブCプレート320を備えていてもよい。このような態様とすることにより、ネガティブCプレートの合計枚数が2枚の場合よりも、狭視野角モードにおいて斜め方位(方位45°や135°)でのプライバシー性能(遮光性能)を改善し、遮光範囲を拡大することができる。なお、図13に示す例では、3枚のネガティブCプレート311、312及び320は、それぞれ、厚さ方向のリタデーションRthが、350nm以上、1000nm以下であることが好ましく、400nm以上、900nm以下であることがより好ましく、450nm以上、800nm以下であることが更に好ましい。
【0117】
また、本変形例の視野角制御用液晶パネル10は、図14に示すように、第一の液晶パネル120Lと第一の偏光板110Pとの間に2枚のネガティブCプレート311、312を備え、第三の液晶パネル140Lと第二の偏光板150Pとの間に2枚のネガティブCプレート321及び322を備えていてもよい。このような態様とすることにより、ネガティブCプレートの合計枚数が3枚の場合よりも、狭視野角モードにおいて斜め方位(方位45°や135°)でのプライバシー性能(遮光性能)を改善し、遮光範囲を拡大することができる。なお、図14に示す例では、4枚のネガティブCプレート311、312、321及び322は、それぞれ、厚さ方向のリタデーションRthが、350nm以上、1000nm以下であることが好ましく、400nm以上、900nm以下であることがより好ましく、450nm以上、800nm以下であることが更に好ましい。
【0118】
(3)上記表示用液晶パネルにおいて、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極は、それぞれ、長手形状であり、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極の長手方向は、それぞれ、上記表示用液晶パネルの上下方向に沿って配置されていてもよい。すなわち、表示用液晶パネルは縦画素配列であってもよい。
【0119】
図15は、実施形態1の変形例2に係る表示用液晶パネルが備える第八の基板の平面模式図である。図16は、実施形態1の変形例2に係る表示用液晶パネルが備える第七の基板の平面模式図である。
【0120】
図11図15及び図16に示すように、表示用液晶パネル160Lは、第七の基板161と、第四の液晶層163と、第八の基板165とを有し、第七の基板161は、画素電極252(250P)及び共通電極254を備え、第八の基板165は、複数色のカラーフィルタ212Cを備える。複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pは、それぞれ、長手形状であり、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pの長手方向は、それぞれ、表示用液晶パネル160Lの上下方向に沿って配置される。このように、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pの長手方向が、それぞれ、表示用液晶パネル160Lの上下方向に沿って配置される縦画素配列とすることにより、表示用液晶パネル160Lの左側の辺及び右側の辺においてモジュールを配置するための額縁幅が増加するのを抑えることができる。
【0121】
本明細書において、表示用液晶パネル160Lの上とは表示用液晶パネル160Lの方位角90°を意味し、表示用液晶パネル160Lの下とは表示用液晶パネル160Lの方位角270°を意味し、表示用液晶パネル160Lの右とは表示用液晶パネル160Lの方位角0°を意味し、表示用液晶パネル160Lの左とは表示用液晶パネル160Lの方位角180°を意味する。すなわち、表示用液晶パネル160Lの上下方向とは、表示用液晶パネル160Lの方位角90°-270°方向であり、表示用液晶パネル160Lの左右方向とは、表示用液晶パネル160Lの方位角0°-180°方向、すなわち、上記水平方向である。
【0122】
第七の基板161は、互いに直交したゲート線256とソース線257とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としてのTFTが設けられている。そして、ゲート線256とソース線257とに囲まれた領域が画素21Pを形成し、各画素21Pには、TFTに接続された画素電極252及び共通電極254が設けられている。第七の基板161は、TFT基板ともいう。
【0123】
各画素電極250Pは、長手形状であり、各画素電極250Pの長手方向は、表示用液晶パネル160Lの上下方向に沿って配置されている。すなわち、各画素電極250Pは、表示用液晶パネル160Lの上下方向に沿って延設されている。
【0124】
各画素21Pは、長手形状であり、各画素21Pの長手方向は、表示用液晶パネル160Lの上下方向に沿って配置されている。すなわち、各画素21Pは表示用液晶パネル160Lの上下方向に沿って延設されている。
【0125】
各画素21Pの長手方向(上下方向)の長さは、130μm以上、170μm以下であり、140μm以上、160μm以下であることが好ましく、例えば、150μmである。各画素21Pの短手方向(左右方向)の長さは、30μm以上、70μm以下であり、40μm以上、60μm以下であることが好ましく、例えば、50μmである。
【0126】
画素電極250Pには、画素電極250Pの長手方向(上下方向)に沿ってスリット250PSが設けられている。第四の液晶層163に含まれる第四の液晶分子163Mは、電圧無印加状態において、スリット250PSに沿って配向する。
【0127】
第八の基板165は、互いに異なる複数色のカラーフィルタ212Cを備えるカラーフィルタ層212と、ブラックマトリクス層213とを備える。複数色のカラーフィルタ212Cは、例えば、赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBを含み、各画素21Pにいずれかの色のカラーフィルタ212Cが配置されている。第八の基板165は、カラーフィルタ基板ともいう。
【0128】
赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBは、それぞれ、長手形状であり、各々の長手方向は、表示用液晶パネル160Lの上下方向に沿って配置されている。すなわち、赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBは、それぞれ、表示用液晶パネル160Lの上下方向に沿って延設されている。
【0129】
第八の基板165は、複数色のカラーフィルタ212Cのそれぞれに対応する複数の開口部213Sが設けられたブラックマトリクス層213を備え、複数の開口部213Sの、表示用液晶パネル20の上下方向の幅LAは、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、複数の開口部213Sの、表示用液晶パネル20の左右方向の幅WAは、それぞれ、80μm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、ブラックマトリクス層213に起因する光回折を効果的に抑制することが可能となる。その結果、遮光性を向上させることが可能となり、プライバシー性能を向上させることができる。
【0130】
青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの上下方向の幅LA(LA1ともいう)は、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの上下方向の幅LA(LA2ともいう)よりも大きい。青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの上下方向の幅LA(LA1)は、例えば、120μmであり、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの上下方向の幅LA(LA2)は、例えば、100μmである。
【0131】
青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213S、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル20の左右方向の幅WAは、例えば、40μmである。
【0132】
(4)上記表示用液晶パネルにおいて、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極が、それぞれ、長手形状であり、上記複数色のカラーフィルタ及び上記画素電極の長手方向は、それぞれ、上記表示用液晶パネルの左右方向に沿って配置されていてもよい。すなわち、表示用液晶パネルは横画素配列であってもよい。
【0133】
図17は、実施形態1の変形例3に係る表示用液晶パネルが備える第八の基板の平面模式図である。図18は、実施形態1の変形例3に係る表示用液晶パネルが備える第七の基板の平面模式図である。
【0134】
図11図17及び図18に示すように、表示用液晶パネル160Lは、第七の基板161と、第四の液晶層163と、第八の基板165とを有し、第七の基板161は、画素電極252(250P)及び共通電極254を備え、第八の基板165は、複数色のカラーフィルタ212Cを備える。複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pは、それぞれ、長手形状であり、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pの長手方向は、それぞれ、表示用液晶パネル160Lの左右方向に沿って配置される。
【0135】
ここで、上記変形例2に示す縦画素配列では、第二の偏光板150Pを透過した偏光が、第七の基板161に設けられた配線の左右方向のピッチ、すなわち、図16におけるソース線257間のピッチ(例えば、約50μm)や、図15におけるブラックマトリクス層213の開口部213Sの左右方向(短手方向)の幅(例えば、約40μm)において光回折し易く、遮光性が低下し易い。
【0136】
一方、本変形例のように、複数色のカラーフィルタ212C及び画素電極250Pの長手方向が、それぞれ、表示用液晶パネル160Lの左右方向に沿って配置される横画素配列とすることにより、第七の基板161に設けられた配線の左右方向のピッチ、及び、ブラックマトリクス層213の開口部213Sの左右方向の幅を広げることが可能となり、縦画素配列に比べて光回折を抑制することができる。その結果、縦画素配列よりも遮光性を向上させることが可能となり、プライバシー性能を向上させることができる。
【0137】
例えば、12.3型/170ppiの表示装置において、第七の基板161に設けられた配線の左右方向のピッチ、すなわち、図18におけるゲート線256間のピッチが略150μmに広がり、更に、図17におけるブラックマトリクス層213の開口部213Sの左右方向(長手方向)の幅が100μm以上、120μm以下に広がる。その結果、横画素配列では、縦画素配列に比べて光回折が生じにくくなり、遮光性を向上させることができる。以上より、横画素配列の本変形例では、縦画素配列の上記変形例2よりも、プライバシー性能を向上させることができる。なお、上述よりも解像度が低い表示装置(例えば、<100ppi)においては、画素形状が、必ずしも横長の長方形でなくともよく、左右方向の幅WBが80μm以上、140μm以下を確保できるのであれば、正方形の様な形状であってもよい。
【0138】
12.3型/170ppiの表示装置においては、例えば、画面水平方向(方位角0°-180°)、極角-30°でのプライバシー性能(遮光性能)は、縦画素配列に比べて、横画素配列の方が約2倍改善する。すなわち、画面水平方向(方位角0°-180°)、極角-30°において、横画素配列の輝度は、縦画素配列に比べて略半分となる。
【0139】
横画素配列は、上記変形例2に示した縦画素配列の表示用液晶パネル160Lを方位90°回転させた配列である。第二の偏光板150Pの第二の吸収軸及び第三の偏光板170Pの第三の吸収軸は変更せず、表示用液晶パネル160Lのみ回転させる。
【0140】
本変形例では、表示用液晶パネル160Lの上側の辺及び下側の辺においてモジュールを配置するための額縁幅が増加するのを抑えることができる。しかしながら、表示用液晶パネル160Lの左右方向においてゲート線256の設置数が増加するため、表示用液晶パネル160Lの左側の辺及び右側の辺の少なくとも一方においてモジュールを配置するための額縁幅が増加する場合がある。
【0141】
なお、上記変形例2及び3のいずれの構成においても、表示用液晶パネル160LがIPSモード又はFFSモードであるため、パブリックモードでは表示装置は充分に広い視野角を有している。
【0142】
第七の基板161は、互いに直交したゲート線256とソース線257とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としてのTFTが設けられている。そして、ゲート線256とソース線257とに囲まれた領域が画素21Pを形成し、各画素21Pには、TFTに接続された画素電極252及び共通電極254が設けられている。第七の基板161は、TFT基板ともいう。なお、本変形例では、上下方向にゲート線256が配置され、左右方向にソース線257が配置されるが、ゲート線256及びソース線257の配置はこれに限定されず、左右方向にゲート線256が配置され、上下方向にソース線257が配置されてもよい。
【0143】
各画素電極250Pは、長手形状であり、各画素電極250Pの長手方向は、表示用液晶パネル160Lの左右方向に沿って配置されている。すなわち、各画素電極250Pは、表示用液晶パネル160Lの左右方向に沿って延設されている。
【0144】
各画素21Pは、長手形状であり、各画素21Pの長手方向は、表示用液晶パネル160Lの左右方向に沿って配置されている。すなわち、各画素21Pは表示用液晶パネル160Lの左右方向に沿って延設されている。
【0145】
各画素21Pの長手方向(左右方向)の長さは、130μm以上、170μm以下であり、140μm以上、160μm以下であることが好ましく、例えば、150μmである。各画素21Pの短手方向(上下方向)の長さは、30μm以上、70μm以下であり、40μm以上、60μm以下であることが好ましく、例えば、50μmである。
【0146】
画素電極250Pには、画素電極250Pの長手方向(左右方向)に沿ってスリット250PSが設けられている。第四の液晶層163に含まれる第四の液晶分子163Mは、電圧無印加状態において、スリット250PSに沿って配向する。
【0147】
第八の基板165は、互いに異なる複数色のカラーフィルタ212Cを備えるカラーフィルタ層212と、ブラックマトリクス層213とを備える。複数色のカラーフィルタ212Cは、例えば、赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBを含み、各画素21Pにいずれかの色のカラーフィルタ212Cが配置されている。第八の基板165は、カラーフィルタ基板ともいう。
【0148】
赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBは、それぞれ、長手形状であり、各々の長手方向は、表示用液晶パネル160Lの左右方向に沿って配置されている。すなわち、赤色のカラーフィルタ212CR、緑色のカラーフィルタ212CG及び青色のカラーフィルタ212CBは、それぞれ、表示用液晶パネル160Lの左右方向に沿って延設されている。
【0149】
第八の基板165は、複数色のカラーフィルタ212Cのそれぞれに対応する複数の開口部213Sが設けられたブラックマトリクス層213を備え、複数の開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの左右方向の幅WBは、それぞれ、80μm以上、140μm以下であり、複数の開口部213Sの、表示用液晶パネル20の上下方向の幅LBは、それぞれ、80μm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、ブラックマトリクス層213に起因する光回折を効果的に抑制することが可能となる。その結果、遮光性を向上させることが可能となり、プライバシー性能を向上させることができる。
【0150】
青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの左右方向の幅WB(WB1ともいう)は、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの左右方向の幅WB(WB2ともいう)よりも大きい。青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの左右方向の幅WB(WB1)は、例えば、120μmであり、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの左右方向の幅WB(WB2)は、例えば、100μmである。
【0151】
青色のカラーフィルタ212CBに対応して設けられた開口部213S、緑色のカラーフィルタ212CGに対応して設けられた開口部213S及び赤色のカラーフィルタ212CRに対応して設けられた開口部213Sの、表示用液晶パネル160Lの上下方向の幅LBは、例えば、40μmである。
【0152】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の効果を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0153】
<実施例1>
実施例1の表示装置1は、上記実施形態1に係る表示装置1の具体例に相当し、図1図3及び図14に示す構成を有していた。具体的には、実施例1の表示装置1は、背面側から観察面側に向かって順に、バックライト100と、視野角制御用液晶パネル10と、表示用液晶パネル160Lと、第三の透過軸を有する第三の偏光板170Pと、を備えていた。
【0154】
実施例1の視野角制御用液晶パネル10は、背面側から観察面側に向かって順に、第一の透過軸を有する第一の偏光板110Pと、第一の液晶パネル120Lと、第二の液晶パネル130Lと、第三の液晶パネル140Lと、第二の透過軸を有する第二の偏光板150Lと、を有していた。第一の液晶パネル120Lと第二の液晶パネル130Lとの間、及び、第二の液晶パネル130Lと第三の液晶パネル140Lとの間には偏光板は配置されていなかった。また、実施例1の視野角制御用液晶パネル10は、図14に示すように、厚さ方向のリタデーションRthが550nmであり、面内方向のリタデーションが30nmであるネガティブCプレートを4枚(ネガティブCプレート311、312、321、322)備えていた。
【0155】
実施例1の表示装置1が備える第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lは、それぞれ、狭視野角モードの遮光角(電圧印加状態(Von)において透過率が最小となる極角)が-50°であり、かつ、ネガ型の液晶分子を含むECBモードの液晶パネルであった。表示用液晶パネル160Lは、IPSモード又はFFSモードであり、横画素配列を有していた。
【0156】
実施例1の第一の液晶層が電圧無印加状態であるとき、第一の基板側の第一の液晶分子のダイレクタの方位角(液晶ダイレクタ角)Φ1は90°であり、第二の基板側の第一の液晶分子のダイレクタの方位角Φ2は90°であった。また、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)は830nmであった。このように、第一の液晶層は、|φ1-φ2|が0°であり、上記(式1)の条件(0°以上5°以下)を満たしていた。第一の液晶分子のダイレクタの方位角Φ1及びΦ2を調整する方法は特に限定されない。
【0157】
第一の偏光板の第一の吸収軸の方位角φP1は、90°であった。このように、第一の液晶層及び第一の偏光板は、|φP1-φ1|が0°であり、上記(式1-1)の条件(0°以上5°以下)を満たしていた。なお、第一の吸収軸の方位角φP1を調整する方法は特に限定されない。
【0158】
実施例1の第二の液晶層が電圧無印加状態であるとき、第三の基板側の第二の液晶分子のダイレクタの方位角(液晶ダイレクタ角)Φ3は90°であり、第四の基板側の第二の液晶分子のダイレクタの方位角Φ4は90°であった。また、第二の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)は830nmであった。このように、第二の液晶層は、|φ3-φ4|が0°であり、上記(式2)の条件(0°以上5°以下)を満たしていた。なお、第二の液晶分子のダイレクタの方位角Φ3及びΦ4を調整する方法は特に限定されない。
【0159】
実施例1の第三の液晶層が電圧無印加状態であるとき、第五の基板側の第三の液晶分子のダイレクタの方位角(液晶ダイレクタ角)Φ5は90°であり、第六の基板側の第三の液晶分子のダイレクタの方位角Φ6は90°であった。また、第三の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)は830nmであった。このように、第三の液晶層は、|φ5-φ6|が0°であり、上記(式3)の条件(0°以上5°以下)を満たしていた。第三の液晶分子のダイレクタの方位角Φ5及びΦ6を調整する方法は特に限定されない。
【0160】
第一の液晶パネル120Lに印加される駆動電圧V1は3.4Vであり、第二の液晶パネル130Lに印加される駆動電圧V2は3.0Vであり、第三の液晶パネル140Lに印加される駆動電圧V3は2.5Vであった。すなわち、本実施例において、駆動電圧V1、V2及びV3は、V1:V2:V3=1.36:1.2:1であり、上記(式V)を満たしていた。
【0161】
実施例1の視野角制御用液晶パネル10の厚み方向の平均チルト角をM10、M20及びM30は下記表1の通りであった。
【0162】
【表1】
【0163】
図19は、実施例1における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)であるときの、実施例1の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。図20は、実施例1における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧印加状態(Von)であるときの、実施例1の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。図19及び図20では、水平右方向が方位角0°に対応し、上方向が方位角90°に対応し、水平左方向が方位角180°に対応し、下方向が方位角270°に対応し、透過率(言い換えれば、透過するバックライト光の輝度)の違いが等高線によって示されている。図21は、実施例1における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)及び電圧印加状態(Von)であるときの、実施例1の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示すグラフである。
【0164】
図19図20及び図21から分かるように、実施例1において、第一の液晶パネル、第二の液晶パネル及び第三の液晶パネルを備える視野角制御用液晶パネルは、電圧印加状態(プライバシーモード)において、全体でHANに近い配向状態を形成し、結果として、水平方向の極角-45°~-60°において良好な遮光性能を有していた。具体的には、プライバシーモードにおいて、水平方向の極角-45°での透過率が2.2%となり、斜めから視認した場合の充分な遮光性を実現することができた。また、水平方向の極角-30°での透過率が54%となり、正面から視認した場合のパネル面内での輝度均一性を向上させることができた。
【0165】
図22は、実施例1の表示装置の水平方向(方位角0°-180°方向)における、パブリックモード時の各部材を通過する光の強度変化を極角ごとに模式的に示した図である。図23は、実施例1の表示装置の水平方向(方位角0°-180°方向)における、プライバシーモード時の各部材を通過する光の強度変化を極角ごとに模式的に示した図である。
【0166】
図21図23から分かるように、実施例1の表示装置によれば、パブリックモード(広視野角モード)からプライバシーモード(狭視野角モード)に切り替えたときに、極角-60°~-45°の広い範囲の角度帯にわたって透過率がほぼ0%に低減されており、斜めから視認した場合の遮光性を充分に向上させることができた。
【0167】
実施例1の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0168】
<実施例2>
実施例2の表示装置は、第一の液晶パネルの駆動電圧V1が3.5Vであること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。すなわち、本実施例において、駆動電圧V1、V2及びV3は、V1:V2:V3=1.4:1.2:1であり、上記(式V)を満たしていた。実施例2の視野角制御用液晶パネル10の厚み方向の平均チルト角をM10、M20及びM30は上記表1の通りであった。
【0169】
図24は、実施例2における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)であるときの、実施例2の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。図25は、実施例2における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧印加状態(Von)であるときの、実施例2の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。図24及び図25では、水平右方向が方位角0°に対応し、上方向が方位角90°に対応し、水平左方向が方位角180°に対応し、下方向が方位角270°に対応し、透過率(言い換えれば、透過するバックライト光の輝度)の違いが等高線によって示されている。図26は、実施例2における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)及び電圧印加状態(Von)であるときの、実施例2の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示すグラフである。
【0170】
実施例2の表示装置における駆動電圧V1は、実施例1(V1=3.4V)と比べ0.1V高く、プライベートモードでの透過率視角が変動するが、図26に示すように、水平方向の極角-45°での透過率が1.9%(基準は20%以下)であり、かつ、水平方向の極角-30°での透過率が42%(基準は30%以上)であり、良好な透過率視角プロファイルが得られた。このように、実施例2では、駆動電圧V1の電圧ズレ(0.1V)に対しても、プライバシーモードにおいて、実施例1並みの視角プロファイルが得られることが分かった。また、実施例2においても、上記図22及び図23と同様の結果が得られた。なお、実施例における透過率視角プロファイルとは、H180°-0°上での透過率と極角の関係を示すものである。
【0171】
実施例2の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0172】
<実施例3>
実施例3の表示装置は、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が890nmであり、第二の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が890nmであり、第三の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が890nmであり、第一の液晶パネルの駆動電圧V1が3.2Vであり、第二の液晶パネルの駆動電圧V2が2.8Vであり、かつ、第三の液晶パネルの駆動電圧V3が2.5Vであること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。すなわち、本実施例において、駆動電圧V1、V2及びV3は、V1:V2:V3=1.32:1.12:1であり、上記(式V)を満たしていた。実施例3の視野角制御用液晶パネル10の厚み方向の平均チルト角をM10、M20及びM30は上記表1の通りであった。
【0173】
図27は、実施例3における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)であるときの、実施例3の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。図28は、実施例3における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧印加状態(Von)であるときの、実施例3の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。図27及び図28では、水平右方向が方位角0°に対応し、上方向が方位角90°に対応し、水平左方向が方位角180°に対応し、下方向が方位角270°に対応し、透過率(言い換えれば、透過するバックライト光の輝度)の違いが等高線によって示されている。図29は、実施例3における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)及び電圧印加状態(Von)であるときの、実施例3の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示すグラフである。
【0174】
実施例3では、プライバシーモードにおいて、水平方向の極角-45°での遮光性を実施例1及び2よりも高めることができた。具体的には、水平方向の極角-45°での透過率が0.2%(基準は20%以下)であり、かつ、水平方向の極角-30°での透過率が47%(基準は30%以上)であり、良好な透過率視角プロファイルが得られた。特に、実施例3では、水平方向の極角-45°において遮光性が強力なCDDを実現することができると分かった。また、実施例3においても、上記図22及び図23と同様の結果が得られた。
【0175】
実施例3の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0176】
<実施例4>
実施例4の表示装置は、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が890nmであり、第二の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が890nmであり、第三の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が890nmであり、第一の液晶パネルの駆動電圧V1が3.3Vであり、第二の液晶パネルの駆動電圧V2が3.0Vであり、かつ、第三の液晶パネルの駆動電圧V3が2.5Vであること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。すなわち、本実施例において、駆動電圧V1、V2及びV3は、V1:V2:V3=1.32:1.2:1であり、上記(式V)を満たしていた。実施例4の視野角制御用液晶パネル10の厚み方向の平均チルト角をM10、M20及びM30は上記表1の通りであった。
【0177】
図30は、実施例4における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)であるときの、実施例4の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。図31は、実施例4における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧印加状態(Von)であるときの、実施例4の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示す等高線図である。図30及び図31では、水平右方向が方位角0°に対応し、上方向が方位角90°に対応し、水平左方向が方位角180°に対応し、下方向が方位角270°に対応し、透過率(言い換えれば、透過するバックライト光の輝度)の違いが等高線によって示されている。図32は、実施例4における第一の液晶層、第二の液晶層及び第三の液晶層が電圧無印加状態(Voff)及び電圧印加状態(Von)であるときの、実施例4の視野角制御用液晶パネルの視野角特性を示すグラフである。
【0178】
実施例4では、水平方向の極角-45°での透過率が1.5%(基準は20%以下)であり、かつ、水平方向の極角-30°での透過率が54%(基準は30%以上)であり、実施例1~3よりも良好な透過率視角プロファイルを実現することができた。また、実施例4においても、上記図22及び図23と同様の結果が得られた。
【0179】
実施例4の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0180】
<実施例5>
実施例5の表示装置は、第一、第二及び第三の液晶パネル120L、130L及び140Lが、それぞれ、狭視野角モードの遮光角(電圧印加状態(Von)において透過率が最小となる極角)が-50°であり、かつ、ポジ型の液晶分子を含むECBモードの液晶パネルであり、第一の液晶パネルの駆動電圧V1が3.6Vであり、第二の液晶パネルの駆動電圧V2が3.0Vであり、第三の液晶パネルの駆動電圧V3が2.6Vであること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。すなわち、本実施例において、駆動電圧V1、V2及びV3は、V1:V2:V3=1.38:1.15:1であり、上記(式V)を満たしていた。実施例5の視野角制御用液晶パネル10の厚み方向の平均チルト角をM10、M20及びM30は上記表1の通りであった。
【0181】
実施例5では、水平方向の極角-45°での透過率が19%(基準は20%以下)であり、かつ、水平方向の極角-30°での透過率が30%(基準は30%以上)であり、良好な透過率視角プロファイルを実現することができた。また、実施例5においても、上記図22及び図23と同様の結果が得られた。
【0182】
実施例5の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0183】
<比較例1>
比較例1の表示装置は、実施例1の視野角制御用液晶パネル10に替えて、比較例1の視野角制御液晶パネルを備えること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。比較例1の視野角制御液晶パネルは、背面側から観察面側に向かって順に、実施例1と同様の第一の偏光板と、第一の液晶パネルと、実施例1と同様の第二の偏光板と、を備えていた。
【0184】
比較例1の第一の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-60°であり、かつ、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が600nmであること以外は、実施例1の第一の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例1の第一の液晶パネルに印加される駆動電圧V1は3.0Vであった。
【0185】
比較例1の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0186】
<比較例2>
比較例2の表示装置は、実施例1の視野角制御用液晶パネル10に替えて、比較例2の視野角制御用液晶パネルを備えること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。比較例2の視野角制御液晶パネルは、背面側から観察面側に向かって順に、実施例1と同様の第一の偏光板と、第一の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第二の液晶パネルと、実施例1と同様の第二の偏光板と、を備えていた。
【0187】
比較例2の第一の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-60°であり、かつ、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が600nmであること以外は、実施例1の第一の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例2の第一の液晶パネルに印加される駆動電圧V1は3.0Vであった。
【0188】
比較例2の第二の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-60°であり、かつ、第二の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が600nmであること以外は、実施例1の第二の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例2の第二の液晶パネルに印加される駆動電圧V2は3.0Vであった。
【0189】
比較例2の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0190】
<比較例3>
比較例3の表示装置は、実施例1の視野角制御用液晶パネル10に替えて、比較例3の視野角制御用液晶パネルを備えること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。比較例3の視野角制御液晶パネルは、背面側から観察面側に向かって順に、実施例1と同様の第一の偏光板と、第一の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第二の液晶パネルと、実施例1と同様の第二の偏光板と、を備えていた。
【0191】
比較例3の第一の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-55°であり、かつ、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が730nmであること以外は、実施例1の第一の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例3の第一の液晶パネルに印加される駆動電圧V1は2.8Vであった。
【0192】
比較例3の第二の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-55°であり、かつ、第二の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が730nmであること以外は、実施例1の第二の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例3の第二の液晶パネルに印加される駆動電圧V2は2.8Vであった。
【0193】
比較例3の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0194】
<比較例4>
比較例4の表示装置は、実施例1の視野角制御用液晶パネル10に替えて、比較例4の視野角制御用液晶パネルを備えること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。比較例4の視野角制御液晶パネルは、背面側から観察面側に向かって順に、実施例1と同様の第一の偏光板と、第一の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第二の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第三の液晶パネルと、実施例1と同様の第二の偏光板と、を備えていた。
【0195】
比較例4の第一の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第一の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例4の第一の液晶パネルに印加される駆動電圧V1は2.8Vであった。
【0196】
比較例4の第二の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第二の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第二の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例4の第二の液晶パネルに印加される駆動電圧V2は2.8Vであった。
【0197】
比較例4の第三の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第三の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第三の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例4の第三の液晶パネルに印加される駆動電圧V3は2.8Vであった。
【0198】
本比較例において、駆動電圧V1、V2及びV3は、V1:V2:V3=1:1:1であった。
【0199】
比較例4の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0200】
<比較例5>
比較例5の表示装置は、実施例1の視野角制御用液晶パネル10に替えて、比較例5の視野角制御用液晶パネルを備えること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。比較例5の視野角制御液晶パネルは、背面側から観察面側に向かって順に、実施例1と同様の第一の偏光板と、第一の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第二の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第三の液晶パネルと、実施例1と同様の第二の偏光板と、を備えていた。
【0201】
比較例5の第一の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第一の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例5の第一の液晶パネルに印加される駆動電圧V1は3.4Vであった。
【0202】
比較例5の第二の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第二の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第二の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例5の第二の液晶パネルに印加される駆動電圧V2は2.5Vであった。
【0203】
比較例5の第三の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第三の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第三の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例5の第三の液晶パネルに印加される駆動電圧V3は2.5Vであった。
【0204】
本比較例において、駆動電圧V1、V2及びV3は、V1:V2:V3=1.36:1:1であった。
【0205】
比較例5の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0206】
<比較例6>
比較例6の表示装置は、実施例1の視野角制御用液晶パネル10に替えて、比較例6の視野角制御用液晶パネルを備えること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。比較例6の視野角制御液晶パネルは、背面側から観察面側に向かって順に、実施例1と同様の第一の偏光板と、第一の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第二の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第三の液晶パネルと、実施例1と同様の第二の偏光板と、を備えていた。
【0207】
比較例6の第一の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第一の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例6の第一の液晶パネルに印加される駆動電圧V1は3.4Vであった。
【0208】
比較例6の第二の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第二の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第二の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例6の第二の液晶パネルに印加される駆動電圧V2は3.0Vであった。
【0209】
比較例6の第三の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第三の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第三の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例6の第三の液晶パネルに印加される駆動電圧V3は3.0Vであった。
【0210】
本比較例において、駆動電圧V1、V2及びV3は、V1:V2:V3=1.13:1:1であった。
【0211】
比較例6の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0212】
<比較例7>
比較例7の表示装置は、実施例1の視野角制御用液晶パネル10に替えて、比較例7の視野角制御用液晶パネルを備えること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。比較例7の視野角制御液晶パネルは、背面側から観察面側に向かって順に、実施例1と同様の第一の偏光板と、第一の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第二の液晶パネルと、吸収軸の方位角が90°である偏光板と、第三の液晶パネルと、実施例1と同様の第二の偏光板と、を備えていた。
【0213】
比較例7の第一の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第一の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第一の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例7の第一の液晶パネルに印加される駆動電圧V1は3.4Vであった。
【0214】
比較例7の第二の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第二の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第二の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例7の第二の液晶パネルに印加される駆動電圧V2は3.4Vであった。
【0215】
比較例7の第三の液晶パネルは、狭視野角モードの遮光角が-50°であり、かつ、第三の液晶層の初期リタデーション(屈折率異方性Δn×厚さd)が830nmであること以外は、実施例1の第三の液晶パネルと同様の構成を有していた。比較例7の第三の液晶パネルに印加される駆動電圧V3は2.5Vであった。
【0216】
本比較例において、駆動電圧V1、V2及びV3は、V1:V2:V3=1.36:1.36:1であった。
【0217】
比較例7の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0218】
<比較例8及び9>
図33は、比較例8の表示装置が備える弱ルーバーフィルム、及び、比較例9の表示装置が備える中ルーバーフィルムを示す断面模式図である。図34は、比較例8の表示装置が備える弱ルーバーフィルム、及び、比較例9の表示装置が備える中ルーバーフィルム単体での透過率と視野角との関係を示すグラフである。
【0219】
比較例8の表示装置は、実施例1の視野角制御用液晶パネル10に替えて、図33及び図34に示す弱ルーバーフィルムを備えること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。比較例9の表示装置は、実施例1の視野角制御用液晶パネル10に替えて、図33及び図34に示す中ルーバーフィルムを備えること以外は、実施例1の表示装置と同様の構成を有していた。
【0220】
図33に示すように、比較例8の表示装置が備える弱ルーバーフィルム、及び、比較例9の表示装置が備える中ルーバーフィルムは、それぞれ、基材410と、接着層420と、ルーバー層430と、接着層440と、基材450と、を順に備えていた。ルーバー層430には、遮光層431及び透明層432が交互に設けられており、左右方向に遮光可能に構成されていた。弱ルーバーフィルムが備えるルーバー層430のピッチ、すなわち、繰り返し配置される遮光層431及び透明層432の繰り返し単位の幅は、中ルーバーフィルムが備えるルーバー層430のピッチより広かった。
【0221】
比較例8及び比較例9の表示装置の設計条件及び評価結果の詳細は、下記表2~6に示した。
【0222】
【表2】
【0223】
【表3】
【0224】
【表4】
【0225】
【表5】
【0226】
【表6】
【0227】
上記表6中、透過率正面比は、H180-0°上の「輝度(もしくは透過率)と視野角(極角)の関係」を求めた後、正面輝度(正面透過率)で規格化することにより求めた。すなわち、「規格化透過率と極角の関係」が「透過率正面比」である。
【0228】
上記表6中、「H-10°」とは、水平方向における極角-10°を意味し、「H-30°」とは、水平方向における極角-30°を意味し、「H-45°」とは、水平方向における極角-45°を意味し、「H-60°」とは、水平方向における極角-60°を意味する。
【0229】
上記表6における判定の基準は、以下の通りとした。
AAA:H-30°における透過率正面比が40%以上であり、H-45°における透過率正面比が3%以下であり、かつ、H-60°における透過率正面比が3%以下である。
AA:H-30°における透過率正面比が40%以上であり、かつ、H-45°における透過率正面比が3%以下であり、H-60°における透過率正面比が3%を超える。
A:H-30°における透過率正面比が30%以上、40%未満であり、かつ、H-45°における透過率正面比が3%を超え、20%以下である。
B:H-30°における透過率正面比が30%未満であること、及び、H-45°における透過率正面比が20%を超えることの少なくとも一方を満たす。
【0230】
比較例1の表示装置は、プライバシーモードにおいて、H-45°での透過率正面比が22%と高く、斜めから視認した場合の遮光性が低かった。
【0231】
比較例2の表示装置は、プライバシーモードにおいて、H-30°での透過率正面比が29%と低く、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性が低かった。
【0232】
比較例3の表示装置は、プライバシーモードにおいて、H-30°での透過率正面比が23%と低く、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性が低かった。
【0233】
比較例4の表示装置は、プライバシーモードにおいて、H-30°での透過率正面比が5%と低く、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性が低かった。
【0234】
比較例5の表示装置は、プライバシーモードにおいて、H-45°での透過率正面比が33%と高く、斜めから視認した場合の遮光性が低かった。また、H-30°での透過率正面比が19%と低く、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性が低かった。
【0235】
比較例6の表示装置は、プライバシーモードにおいて、H-45°での透過率正面比が88%と高く、斜めから視認した場合の遮光性が低かった。
【0236】
比較例7の表示装置は、プライバシーモードにおいて、H-45°での透過率正面比が22%と高く、斜めから視認した場合の遮光性が低かった。
【0237】
比較例8の表示装置は、プライバシーモードにおいて、H-30°での透過率正面比が15%と低く、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性が低かった。
【0238】
比較例9の表示装置は、プライバシーモードにおいて、H-30°での透過率正面比が7%と低く、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性が低かった。
【0239】
一方、実施例1~5の表示装置は、いずれも、プライバシーモードにおいて、H-30°での透過率正面比が30%以上であり、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を向上することができた。また、実施例1~5の表示装置は、いずれも、プライバシーモードにおいて、H-45°での透過率正面比が20%以下であり、斜めから視認した場合の遮光性を向上することができた。
【0240】
特に、実施例1~4の表示装置については、いずれも、プライバシーモードにおいて、H-30°での透過率正面比が40%以上であり、正面から視認した場合の液晶パネル面内での輝度均一性を特に向上することができた。また、実施例1~4の表示装置は、いずれも、プライバシーモードにおいて、H-45°での透過率正面比が3%以下であり、斜めから視認した場合の遮光性を特に向上することができた。実施例1及び4の表示装置については、更に、H-60°における透過率正面比が3%以下であり、プライバシー性能を更に高めることができた。
【符号の説明】
【0241】
1:表示装置
10:視野角制御用液晶パネル
21P:画素
100:バックライト
110P:第一の偏光板
120L:第一の液晶パネル
121:第一の基板
121a:支持基板
121b:第一の電極
122:配向膜
123:第一の液晶層
123a:第一の基板側の第一の液晶分子
123b:第二の基板側の第一の液晶分子
123M:第一の液晶分子
124:配向膜
125:第二の基板
125a:支持基板
125b:第二の電極
130L:第二の液晶パネル
131:第三の基板
131a:支持基板
131b:第三の電極
132:配向膜
133:第二の液晶層
133a:第三の基板側の第二の液晶分子
133b:第四の基板側の第二の液晶分子
133M:第二の液晶分子
134:配向膜
135:第四の基板
135a:支持基板
135b:第四の電極
140L:第三の液晶パネル
141:第五の基板
141a:支持基板
141b:第五の電極
142:配向膜
143:第三の液晶層
143a:第五の基板側の第三の液晶分子
143b:第六の基板側の第三の液晶分子
143M:第三の液晶分子
144:配向膜
145:第六の基板
145a:支持基板
145b:第六の電極
150P:第二の偏光板
160L:表示用液晶パネル
161:第七の基板
162:配向膜
163:第四の液晶層
163M:第四の液晶分子
164:配向膜
165:第八の基板
170P:第三の偏光板
211:支持基板
212:カラーフィルタ層
212C、212CB、212CG、212CR:カラーフィルタ
213:ブラックマトリクス層
213S:開口部
250P:画素電極
250PS:スリット
251:支持基板
252:画素電極
253:絶縁層
254:共通電極
254a:線状電極部
254b:開口
256:ゲート線
257:ソース線
310、311、312、320、321、322:ネガティブCプレート
410、450:基材
420、440:接着層
430:ルーバー層
431:遮光層
432:透明層

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35