(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114312
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】車室及び車室の製造方法
(51)【国際特許分類】
F01D 25/24 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
F01D25/24 T
F01D25/24 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019993
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】森本 真紀夫
(72)【発明者】
【氏名】國本 瑛登
(57)【要約】
【課題】鋳造を用いずに、内部に複数の流路を形成する。
【解決手段】車室は、上半弁ケーシングを備える。前記上半弁ケーシングは、第一方向に直線状に形成された入口流路と、前記入口流路の端部を外部と連通させる入口開口部と、前記入口流路と連通する複数の出口流路と、前記入口流路と外部とを連通する部材挿通穴と、複数の前記出口流路の一部と連通されている上半主蒸気供給路と、を有する。複数の前記出口流路は、前記部材挿通穴から外れた位置に配置される。前記上半主蒸気供給路は、前記軸方向の片側のみで前記上半弁ケーシングの外部と連通する。前記上半弁ケーシングは、複数の流路が内部に形成された上半弁ケーシング本体と、前記上半弁ケーシング本体とともに、前記上半主蒸気供給路を形成する上半閉塞部材と、前記上半弁ケーシング本体と前記上半閉塞部材とを溶接によって固定する溶接部とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向の上方の上半弁ケーシングと前記鉛直方向の下方の下半弁ケーシングとを有し、蒸気タービンにおいて供給される蒸気の供給量を調整可能な調整弁の弁ケーシングと、
前記鉛直方向の上方の上半胴体と前記鉛直方向の下方の下半胴体とを有し、軸方向に延びる軸線を中心とする筒状に形成され、前記弁ケーシングと接続された車室胴体と、
前記上半胴体に対して前記軸線周りの周方向の両端部で、前記上半弁ケーシング及び前記上半胴体に接続され、前記軸方向に延びる一対の上半フランジと、
前記下半胴体に対して前記周方向の両端部で、前記下半弁ケーシング及び前記下半胴体に接続され、前記軸方向に延びる一対の下半フランジと、を備え、
前記上半胴体及び前記下半胴体は、前記軸方向に並ぶ複数の胴体ブロック部をそれぞれ有し、
前記上半弁ケーシングは、
弁体が配置可能とされて、前記鉛直方向及び前記軸方向に対して直交する第一方向に直線状に形成された入口流路と、
前記入口流路へ流体を流入可能とされて前記入口流路の前記第一方向の端部を外部と連通させる入口開口部と、
前記入口流路内の前記流体を前記鉛直方向に流出させるように、前記第一方向に離れた位置で前記入口流路と連通する複数の出口流路と、
前記鉛直方向で複数の前記出口流路と対向した位置で前記入口流路と外部とを連通する部材挿通穴と、
複数の前記出口流路の一部と連通されて湾曲している上半主蒸気供給路と、を有し、
前記下半弁ケーシングは、複数の前記出口流路の残部と連通されて湾曲している下半主蒸気供給路を有し、
複数の前記出口流路は、前記鉛直方向から見た際に、少なくとも一部が前記部材挿通穴から外れた位置に配置され、
前記上半主蒸気供給路及び前記下半主蒸気供給路は、前記軸方向の片側のみで前記上半弁ケーシング及び前記下半弁ケーシングの外部と連通し、
前記上半弁ケーシングは、
前記入口流路、前記入口開口部、前記出口流路、及び前記部材挿通穴が内部に形成された上半弁ケーシング本体と、
前記上半弁ケーシング本体に対して前記鉛直方向の下方に配置されることで、前記上半弁ケーシング本体とともに、前記上半主蒸気供給路を形成する上半閉塞部材と、
前記上半弁ケーシング本体と前記上半閉塞部材とを溶接によって固定する溶接部とを有する車室。
【請求項2】
前記上半主蒸気供給路は、前記軸方向から見た際に、円弧状に形成され、
前記上半弁ケーシング本体は、前記上半主蒸気供給路において少なくとも一部が前記鉛直方向の下方を向く外側内周面を有し、
前記上半閉塞部材は、前記上半主蒸気供給路において少なくとも一部が前記鉛直方向の上方を向く内側内周面を有する請求項1に記載の車室。
【請求項3】
前記上半弁ケーシング本体、前記上半閉塞部材、前記胴体ブロック部、前記上半フランジ、及び前記下半フランジは、鍛造によって形成されている請求項1又は請求項2に記載の車室。
【請求項4】
前記下半弁ケーシングは、前記下半主蒸気供給路と接続され、前記第一方向に延びて外部と連通する下半弁連通孔を有し、
前記下半フランジは、前記第一方向から見た際に、前記下半弁連通孔を塞ぐように配置されている請求項1又は請求項2に記載の車室。
【請求項5】
前記弁ケーシングに対して前記軸方向に離れた位置で前記車室胴体、前記上半フランジ、及び前記下半フランジに接続され、前記車室胴体内と連通する抽気弁ケーシングをさらに備え、
前記抽気弁ケーシングは、
前記鉛直方向の上方を向く上面と、前記上面における前記第一方向に離れた位置で開口する抽気入口流路、前記抽気入口流路に対して前記軸方向に離れた位置かつ前記上面における前記第一方向に離れた位置で開口する複数の抽気出口流路、及び、複数の前記抽気出口流路の一部と連通されて湾曲している上半抽気供給路、を有する上半抽気弁ケーシングと、
前記上半抽気弁ケーシングに対して前記鉛直方向の下方に配置され、複数の前記抽気出口流路の残部と連通されて湾曲している下半抽気供給路を有する下半抽気弁ケーシングとを有し、
前記上半抽気供給路は、前記軸方向の片側のみで前記上半抽気弁ケーシングの外部と連通している請求項1又は請求項2に記載の車室。
【請求項6】
前記下半抽気弁ケーシングは、前記下半抽気供給路と接続され、前記第一方向に延びて前記抽気弁ケーシングの外部と連通する下半抽気弁連通孔を有し、
前記下半フランジは、前記第一方向から見た際に、前記下半抽気弁連通孔を塞ぐように配置されている請求項5に記載の車室。
【請求項7】
鉛直方向の上方の上半弁ケーシングと前記鉛直方向の下方の下半弁ケーシングとを有し、蒸気タービンにおいて供給される蒸気の供給量を調整可能な調整弁の弁ケーシングと、
前記鉛直方向の上方の上半胴体と前記鉛直方向の下方の下半胴体とを有し、軸方向に延びる軸線を中心とする筒状に形成され、前記弁ケーシングと接続された車室胴体と、
前記上半胴体に対して前記軸線周りの周方向の両端部で、前記上半弁ケーシング及び前記上半胴体に接続され、前記軸方向に延びる一対の上半フランジと、
前記下半胴体に対して前記周方向の両端部で、前記下半弁ケーシング及び前記下半胴体に接続され、前記軸方向に延びる一対の下半フランジと、を備える車室の製造方法であって、
前記上半胴体及び前記下半胴体は、前記軸方向に並ぶ複数の胴体ブロック部をそれぞれ有し、
前記上半弁ケーシングは、
弁体が配置可能とされて、前記鉛直方向及び前記軸方向に対して直交する第一方向に直線状に形成された入口流路と、
前記入口流路へ流体を流入可能とされて前記入口流路の前記第一方向の端部を外部と連通させる入口開口部と、
前記入口流路内の前記流体を前記鉛直方向に流出させるように、前記第一方向に離れた位置で前記入口流路と連通する複数の出口流路と、
前記鉛直方向で複数の前記出口流路と対向した位置で前記入口流路と外部とを連通する部材挿通穴と、
複数の前記出口流路の一部と連通されて湾曲している上半主蒸気供給路と、を有し、
前記下半弁ケーシングは、複数の前記出口流路の残部と連通されて湾曲している下半主蒸気供給路を有し、
複数の前記出口流路は、前記鉛直方向から見た際に、少なくとも一部が前記部材挿通穴から外れた位置に配置され、
前記上半主蒸気供給路及び前記下半主蒸気供給路は、前記軸方向の片側のみで前記上半弁ケーシング及び前記下半弁ケーシングの外部と連通し、
前記上半弁ケーシングは、
前記入口流路、前記入口開口部、前記出口流路、及び前記部材挿通穴が内部に形成された上半弁ケーシング本体と、
前記上半弁ケーシング本体に対して前記鉛直方向の下方に配置されることで、前記上半弁ケーシング本体とともに、前記上半主蒸気供給路を形成する上半閉塞部材と、
前記上半弁ケーシング本体と前記上半閉塞部材とを溶接によって固定する溶接部とを有し、
前記上半弁ケーシング本体及び前記上半閉塞部材を製造する工程と、
前記上半弁ケーシング本体と前記上半閉塞部材とを溶接する工程と、を含み、
前記製造する工程では、鍛造で形成された一の鍛造部材を切削することで、前記上半弁ケーシング本体及び前記上半閉塞部材を製造する車室の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車室及び車室の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンにおいて、ロータが収容される車室は、鋳造により形成された構造が一般的である。車室は、上半胴体と下半車室とに上下に分割可能とされている。上半胴体及び下半車室は、それぞれ、鋳造により一体形成されている。しかしながら、鋳造で車室を形成する場合、鋳型を用意する必要がある。車室のような大型の金属部材を形成するための大型の鋳型の製作には非常に時間が掛かる。
【0003】
これに対し、例えば、特許文献1には、車室3を構成するための複数の金属部材を、鍛造、鋼板加工、鋳造、溶融金属積層法のうち、少なくとも二種類の製法で製造する車室の製造方法が記載されている。特許文献1の車室の製造方法では、車室の全体を鋳造で製造する必要が無く、鋳型の製作の手間、及びコストを抑えることが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鋳造で車室を形成しない場合、鋳物の様な複雑な構造の製作が難しいため、各パーツを単純化した形状とする必要がある。しかしながら、蒸気タービンにおける流体の流入口付近に配置される調整弁では、その弁ケーシングの構造は、内部に複数の流路を形成する必要があり、簡素化することが非常に難しい。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、鋳造を用いずに、内部に複数の流路を形成することが可能な車室及び車室の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示にかかる車室は、鉛直方向の上方の上半弁ケーシングと前記鉛直方向の下方の下半弁ケーシングとを有し、蒸気タービンにおいて供給される蒸気の供給量を調整可能な調整弁の弁ケーシングと、前記鉛直方向の上方の上半胴体と前記鉛直方向の下方の下半胴体とを有し、軸方向に延びる軸線を中心とする筒状に形成され、前記弁ケーシングと接続された車室胴体と、前記上半胴体に対して前記軸線周りの周方向の両端部で、前記上半弁ケーシング及び前記上半胴体に接続され、前記軸方向に延びる一対の上半フランジと、前記下半胴体に対して前記周方向の両端部で、前記下半弁ケーシング及び前記下半胴体に接続され、前記軸方向に延びる一対の下半フランジと、を備え、前記上半胴体及び前記下半胴体は、前記軸方向に並ぶ複数の胴体ブロック部をそれぞれ有し、前記上半弁ケーシングは、弁体が配置可能とされて、前記鉛直方向及び前記軸方向に対して直交する第一方向に直線状に形成された入口流路と、前記入口流路へ流体を流入可能とされて前記入口流路の前記第一方向の端部を外部と連通させる入口開口部と、前記入口流路内の前記流体を前記鉛直方向に流出させるように、前記第一方向に離れた位置で前記入口流路と連通する複数の出口流路と、前記鉛直方向で複数の前記出口流路と対向した位置で前記入口流路と外部とを連通する部材挿通穴と、複数の前記出口流路の一部と連通されて湾曲している上半主蒸気供給路と、を有し、前記下半弁ケーシングは、複数の前記出口流路の残部と連通されて湾曲している下半主蒸気供給路を有し、複数の前記出口流路は、前記鉛直方向から見た際に、少なくとも一部が前記部材挿通穴から外れた位置に配置され、前記上半主蒸気供給路及び前記下半主蒸気供給路は、前記軸方向の片側のみで前記上半弁ケーシング及び前記下半弁ケーシングの外部と連通し、前記上半弁ケーシングは、前記入口流路、前記入口開口部、前記出口流路、及び前記部材挿通穴が内部に形成された上半弁ケーシング本体と、前記上半弁ケーシング本体に対して前記鉛直方向の下方に配置されることで、前記上半弁ケーシング本体とともに、前記上半主蒸気供給路を形成する上半閉塞部材と、前記上半弁ケーシング本体と前記上半閉塞部材とを溶接によって固定する溶接部とを有する。
【0008】
本開示にかかる車室の製造方法は、鉛直方向の上方の上半弁ケーシングと前記鉛直方向の下方の下半弁ケーシングとを有し、蒸気タービンにおいて供給される蒸気の供給量を調整可能な調整弁の弁ケーシングと、前記鉛直方向の上方の上半胴体と前記鉛直方向の下方の下半胴体とを有し、軸方向に延びる軸線を中心とする筒状に形成され、前記弁ケーシングと接続された車室胴体と、前記上半胴体に対して前記軸線周りの周方向の両端部で、前記上半弁ケーシング及び前記上半胴体に接続され、前記軸方向に延びる一対の上半フランジと、前記下半胴体に対して前記周方向の両端部で、前記下半弁ケーシング及び前記下半胴体に接続され、前記軸方向に延びる一対の下半フランジと、を備える車室の製造方法であって、前記上半胴体及び前記下半胴体は、前記軸方向に並ぶ複数の胴体ブロック部をそれぞれ有し、前記上半弁ケーシングは、弁体が配置可能とされて、前記鉛直方向及び前記軸方向に対して直交する第一方向に直線状に形成された入口流路と、前記入口流路へ流体を流入可能とされて前記入口流路の前記第一方向の端部を外部と連通させる入口開口部と、前記入口流路内の前記流体を前記鉛直方向に流出させるように、前記第一方向に離れた位置で前記入口流路と連通する複数の出口流路と、前記鉛直方向で複数の前記出口流路と対向した位置で前記入口流路と外部とを連通する部材挿通穴と、複数の前記出口流路の一部と連通されて湾曲している上半主蒸気供給路と、を有し、前記下半弁ケーシングは、複数の前記出口流路の残部と連通されて湾曲している下半主蒸気供給路を有する下半弁ケーシングを有し、複数の前記出口流路は、前記鉛直方向から見た際に、少なくとも一部が前記部材挿通穴から外れた位置に配置され、前記上半主蒸気供給路及び前記下半主蒸気供給路は、前記軸方向の片側のみで前記上半弁ケーシング及び前記下半弁ケーシングの外部と連通し、前記上半弁ケーシングは、前記入口流路、前記入口開口部、前記出口流路、及び前記部材挿通穴が内部に形成された上半弁ケーシング本体と、前記上半弁ケーシング本体に対して前記鉛直方向の下方に配置されることで、前記上半弁ケーシング本体とともに、前記上半主蒸気供給路を形成する上半閉塞部材と、前記上半弁ケーシング本体と前記上半閉塞部材とを溶接によって固定する溶接部とを有し、前記上半弁ケーシング本体及び前記上半閉塞部材を製造する工程と、前記上半弁ケーシング本体と前記上半閉塞部材とを溶接する工程と、を含み、前記製造する工程では、鍛造で形成された一の鍛造部材を切削することで、前記上半弁ケーシング本体及び前記上半閉塞部材を製造する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の車室及び車室の製造方法によれば、鋳造を用いずに、内部に複数の流路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る車室を備えた蒸気タービンの概略構成を示す模式図である。
【
図3】本実施形態に係る上半車室を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る下半車室を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る入口弁ケーシングを示す
図1におけるIV-IV断面での断面図である。
【
図6】本実施形態に係る上半弁ケーシングを斜め下方から見た様子を示す斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る上半弁ケーシングを鉛直方向の上方から見た様子を示す上面図である。
【
図8】本実施形態に係る下半弁ケーシングを斜め下方から見た様子を示す斜視図である。
【
図9】本実施形態に係る抽気弁ケーシングを示す
図1におけるX-X断面での断面図である。
【
図10】本実施形態に係る抽気弁ケーシングを示す
図1におけるXI-XI断面での断面図である。
【
図11】本実施形態に係る上半抽気弁ケーシングを斜め下方から見た様子を示す斜視図である。
【
図12】本実施形態に係る下半抽気弁ケーシングを斜め下方から見た様子を示す斜視図である。
【
図13】本実施形態に係る上半車室を構成する複数の金属部品を示す斜視展開図である。
【
図14】本実施形態に係る下半車室を構成する複数の金属部品を示す斜視展開図である。
【
図15】本実施形態に係る車室の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図16】本実施形態に係る複数の金属部材を形成する工程の手順を示すフローチャートである。
【
図17】本実施形態に係る上半弁ケーシングを形成する工程の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示による弁ケーシング、蒸気タービン1の車室3、及び車室3の製造方法を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0012】
(蒸気タービンの構成)
本実施形態において、車室3は、蒸気タービン1に適用される。
図1に示すように、蒸気タービン1は、ロータ2と、車室3と、を備えている。
【0013】
ロータ2は、回転軸21と、動翼22と、を備えている。回転軸21は、軸線Oを中心として、軸方向Daに延びた円柱状に形成されている。回転軸21の両端部は、第一軸受23A及び第二軸受23Bによって軸線O回りに回転自在にそれぞれ支持されている。第一軸受23A及び第二軸受23Bは、車室3から離れた軸受装置(不図示)に固定されている。動翼22は、軸方向Daに間隔をあけて複数段を構成するように配置されている。各動翼22は、回転軸21の外周面に対して、径方向Drの外側Droに向かって延びるように固定されている。
【0014】
なお、以下では、軸線Oが延びる方向を軸方向Daとする。軸線Oを基準にした径方向を単に径方向Drとする。径方向Drの一部であって、
図1の紙面上下方向を鉛直方向Dvとする。径方向Drの一部であって、鉛直方向Dvに直交する方向を蒸気タービン1の幅方向である水平方向Dh(
図2参照)とする。また、軸線Oを中心とするロータ2周りの方向を周方向Dcとする。また、軸方向Daの第一側Da1は、車室3の内部を流れる蒸気(流体)の流れ方向の上流側である。また、軸方向Daの第二側Da2は、車室3の内部を流れる蒸気の流れ方向の下流側である。
【0015】
(車室の構成)
車室3は、ロータ2を覆うように配置されている。
図2~
図4に示すように、車室3は、軸線Oを含む水平面を基準として、上半車室3Aと下半車室3Bとに分割可能とされている。
図1に示すように、径方向Drにおける上半車室3Aの内側Driには、軸方向Daから見て半円環状の上半ダイヤフラム315Aが固定されている。径方向Drにおける下半車室3Bの内側Driには、軸方向Daから見て半円環状の下半ダイヤフラム315Bが固定されている。上半ダイヤフラム315A及び下半ダイヤフラム315Bは、各段の動翼22に対し、軸方向Daの第一側Da1に配置されている。上半ダイヤフラム315A及び下半ダイヤフラム315Bには、動翼22に対して軸方向Daの第一側Da1の位置に、周方向Dcに並ぶ複数の静翼317が配置されている。また、車室3の内部には、回転軸21が挿通される回転軸挿通穴RHと、高圧の蒸気が流通する蒸気主流路MPが形成されている。回転軸挿通穴RHは、車室3を軸方向Daに貫通している。回転軸挿通穴RHは、軸線Oを中心とする断面円形状の貫通孔である。蒸気主流路MPは、回転軸挿通穴RHを径方向Drの外側Droから覆うように、軸線Oを中心とする断面環状の空間である。蒸気主流路MPには、動翼22や静翼317が配置されている。
【0016】
図2に示すように、本実施形態の車室3は、入口弁ケーシング(弁ケーシング)4と、車室胴体5と、抽気弁ケーシング6と、一対の上半フランジ7Aと、一対の下半フランジ7Bと、を備えている。
【0017】
(入口弁ケーシングの構成)
入口弁ケーシング4は、供給される蒸気の供給量を調整可能な蒸気タービン1の調整弁の弁ケーシングを構成している。入口弁ケーシング4は、車室胴体5内に流入する蒸気の圧力や流量を調整可能とされている。入口弁ケーシング4には、調圧弁の駆動機構(不図示)が接続可能とされている。入口弁ケーシング4は、内部に蒸気が流通する流路となる空間を形成している。また、本実施形態の入口弁ケーシング4の内部には、
図5に示すように、回転軸挿通穴RHの一部を構成する面が形成されている。入口弁ケーシング4は、鉛直方向Dvの上方の上半弁ケーシング4Aと、鉛直方向Dvの下方の下半弁ケーシング4Bとを有している。入口弁ケーシング4は、軸線Oを含む水平面を基準として、上半弁ケーシング4Aと下半弁ケーシング4Bとに分割可能とされている。
【0018】
上半弁ケーシング4Aは、軸線Oを基準に、鉛直方向Dvの上方に配置されている。上半弁ケーシング4Aは、軸方向Daから見て、鉛直方向Dvの上方に向かって窪んで、入口弁ケーシング4での回転軸挿通穴RHの上半分を形成している。さらに、上半弁ケーシング4Aは、入口流路81、入口開口部82、複数の出口流路83、部材挿通穴85、及び上半主蒸気供給路86を内部に有している。
【0019】
入口流路81は、入口開口部82から流れてくる蒸気が流入する流路である。入口流路81は、第一方向に直線状に形成されている。なお、第一方向とは、鉛直方向Dvに対して直交する方向であって、本実施形態の水平方向Dhである。入口流路81は、上半弁ケーシング4Aを水平方向Dhに貫通する貫通孔として形成されている。入口流路81は、複数の弁体11及びインナーバー12が配置可能とされた空間である。
【0020】
複数の弁体11は、出口流路83に配置された弁座部(不図示)に接触して出口流路83を閉塞可能とする部材である。インナーバー12は、複数の弁体11に接続されている。インナーバー12は、複数の弁体11をまとめて移動させる。インナーバー12は、入口流路81の内部で水平方向Dhに延びる棒状の部材である。
【0021】
入口開口部82は、外部から入口流路81へ蒸気を流入可能とされている。入口開口部82は、入口流路81の水平方向Dhの端部に形成されている。入口開口部82は、入口流路81の端部と上半弁ケーシング4Aの外部とを連通させている。入口開口部82は、蒸気供給源(不図示)と接続された配管等のラインに接続可能とされている。本実施形態の入口開口部82は、水平方向Dhにおける入口流路81の一方の端部に形成された第一入口開口部821と、水平方向Dhにおける入口流路81の他方の端部に形成された第二入口開口部822とを有している。第一入口開口部821及び第二入口開口部822は、インナーバー12が挿通可能な大きさで形成されている。
【0022】
複数の出口流路83は、入口流路81内の蒸気を鉛直方向Dvに流出させるように、水平方向Dhに離れた位置で入口流路81と連通している。複数の出口流路83は、入口流路81と直交するように鉛直方向Dvに直線状をなして延びている。複数の出口流路83は、第一入口開口部821及び第二入口開口部822に対して水平方向Dhの内側Driに形成されている。複数の出口流路83は、入口流路81に流入した蒸気を鉛直方向Dvの下方に向かって流通させている。本実施形態では、複数(本実施形態では四つ)の出口流路83は、水平方向Dhにおいて第一入口開口部821に近い位置から順に、第一出口流路831と、第二出口流路832と、第三出口流路833と、第四出口流路834とを有している。各出口流路83は、入口流路81と繋がっている小径流路83aと、小径流路83aに対して鉛直方向Dvの下方に位置する大径流路83bとによって形成されている。大径流路83bは、小径流路83aより流路径が大きく形成されている。
【0023】
図5及び
図6に示すように、第一出口流路831及び第四出口流路834は、上半弁ケーシング4Aの水平面(下半弁ケーシング4Bと接触する鉛直方向Dvの下方を向く平面)と、入口流路81とを接続している。
図5に示すように、第二出口流路832及び第三出口流路833は、入口流路81と上半主蒸気供給路86とを接続している。
【0024】
部材挿通穴85は、鉛直方向Dvで複数の出口流路83と対向した位置で入口流路81と外部とを連通している。部材挿通穴85は、上半弁ケーシング4Aの上面(鉛直方向Dvの上方を向く平面)から、入口流路81まで鉛直方向Dvに直線状に延びている。部材挿通穴85は、ロッド13が挿通可能とされている。ロッド13は、鉛直方向Dvに延びる柱状に形成されている。ロッド13は、例えば金属等によって形成されている。ロッド13は、部材挿通穴85に挿通された状態で先端がインナーバー12に接続されている。ロッド13は、入口弁ケーシング4に対して鉛直方向Dvに相対移動されることで、インナーバー12を出口流路83に対して相対移動させる。本実施形態では、一対のロッド13がインナーバー12に接続されている。したがって、本実施形態の部材挿通穴85として、第一部材挿通穴851及び第二部材挿通穴852の複数の部材挿通穴85を有している。第一部材挿通穴851は、水平方向Dhにおいて第一入口開口部821に近い位置に形成されている。第二部材挿通穴852は、水平方向Dhにおいて第二入口開口部822に近い位置に形成されている。第一部材挿通穴851と、第二部材挿通穴852とは水平方向Dhに離れて形成されている。
【0025】
図7に示すように、一つの部材挿通穴85の大きさは、一つの出口流路83よりも大きく形成されている。また、部材挿通穴85は、出口流路83とは、鉛直方向Dvから見た際に中心位置がずれて形成されている。複数の出口流路83は、鉛直方向Dvから見た際に、少なくとも一部が部材挿通穴85から外れた位置に配置されている。本実施形態では、第一部材挿通穴851に対して第一出口流路831及び第二出口流路832は、鉛直方向Dvから見た際に一部が外れるように、水平方向Dhにずれて形成されている。第二部材挿通穴852に対して第三出口流路833及び第四出口流路834は、鉛直方向Dvから見た際に一部が外れるように、水平方向Dhにずれて形成されている。
【0026】
図1及び
図5に示すように、上半主蒸気供給路86は、複数の出口流路83の一部を流通してきた蒸気を蒸気主流路MPに供給可能とされている。
図5に示すように、上半主蒸気供給路86は、複数の出口流路83に対して鉛直方向Dvの下方に形成されている。上半主蒸気供給路86は、複数の出口流路83の一部と連通されて湾曲している。上半主蒸気供給路86は、軸方向Daから見た際に、回転軸挿通穴RHを鉛直方向Dvの上方から囲うように、円弧状に形成されている。
図5及び
図6に示すように、上半主蒸気供給路86は、軸方向Daの片側(第二側Da2)のみで上半弁ケーシング4Aの外部と連通している。つまり、上半主蒸気供給路86は、上半弁ケーシング4Aを軸方向Daに貫通しないように形成されている。
【0027】
また、上半弁ケーシング4Aは、上半外側内周面865(外側内周面)と、上半内側内周面867(内側内周面)とを有している。上半外側内周面865は、上半主蒸気供給路86において流通する蒸気に面する径方向Drの外側Droの湾曲面である。上半外側内周面865は、上半主蒸気供給路86において少なくとも一部(本実施形態では、鉛直方向Dvの上端部分)が鉛直方向Dvの下方を向いている。上半内側内周面867は、上半外側内周面865と対向する径方向Drの内側Driの湾曲面である。上半内側内周面867は、上半主蒸気供給路86において少なくとも一部(本実施形態では、鉛直方向Dvの上端部分)が鉛直方向Dvの上方を向いている。上半内側内周面867は、上半主蒸気供給路86において流通する蒸気に面している。つまり、上半主蒸気供給路86では、上半外側内周面865と上半内側内周面867との間の空間に蒸気が流通する。本実施形態では、上半主蒸気供給路86として、第二出口流路832と接続された第一上半主蒸気供給路861と、第三出口流路833と接続された第二上半主蒸気供給路862との複数の上半主蒸気供給路86を有している。
【0028】
第一上半主蒸気供給路861は、軸方向Daの第一側Da1から見た際に、水平方向Dhにおいて、軸線Oに対して第一入口開口部821に近い位置に形成されている。第一上半主蒸気供給路861は、鉛直方向Dvの下端で第二出口流路832と接続されている。つまり、第一上半主蒸気供給路861の上半外側内周面865には、第二出口流路832の開口が形成されている。第一上半主蒸気供給路861は、第二出口流路832と接続されている位置から鉛直方向Dvの上方に向かって第二上半主蒸気供給路862に近づくように、円弧状に延びている。
【0029】
第二上半主蒸気供給路862は、軸方向Daの第一側Da1から見た際に、水平方向Dhにおいて、軸線Oに対して第二入口開口部822に近い位置に形成されている。第二上半主蒸気供給路862は、第一上半主蒸気供給路861に対して水平方向Dhに離れて形成されている。第二上半主蒸気供給路862は、鉛直方向Dvの下端で第三出口流路833と接続されている。つまり、第二上半主蒸気供給路862の上半外側内周面865には、第三出口流路833の開口が形成されている。第二上半主蒸気供給路862は、第三出口流路833と接続されている位置から鉛直方向Dvの上方に向かって第一上半主蒸気供給路861に近づくように、円弧状に延びている。
【0030】
また、
図5から
図7に示すように、上半弁ケーシング4Aは、複数の部材を溶接によって接合することで形成されている。本実施形態の上半弁ケーシング4Aは、上半弁ケーシング本体41と、上半閉塞部材42と、上半入口ノズル43とを有している。つまり、上半弁ケーシング4Aは、上半弁ケーシング本体41、上半閉塞部材42、及び上半入口ノズル43を溶接によって固定する溶接部Mをさらに有している。
【0031】
上半弁ケーシング本体41は、鍛造によって形成されている。上半弁ケーシング本体41は、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、一つの鍛造部材のみで形成されている。上半弁ケーシング本体41は、入口流路81、複数の入口開口部82、複数の出口流路83、及び部材挿通穴85が内部に形成されている。また、上半弁ケーシング本体41には、上半主蒸気供給路86における上半外側内周面865が形成されている。上半弁ケーシング本体41において上半外側内周面865は、鉛直方向Dvの下方を向く外面(外部に曝されている面)として形成されている。上半弁ケーシング本体41には、第一上半主蒸気供給路861の上半外側内周面865と、第二上半主蒸気供給路862の上半外側内周面865とが水平方向Dhに離れて形成されている。
【0032】
上半閉塞部材42は、鍛造によってそれぞれ形成されている。上半閉塞部材42は、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、一つの鍛造部材のみで形成されている。上半閉塞部材42は、上半弁ケーシング本体41に対して鉛直方向Dvの下方に配置されている。上半閉塞部材42は、上半弁ケーシング本体41に溶接されることで、上半弁ケーシング本体41とともに、上半主蒸気供給路86を形成している。本実施形態では、上半閉塞部材42として、第一上半閉塞部材421と、第二上半閉塞部材422との複数の上半閉塞部材42を有している。
【0033】
第一上半閉塞部材421は、第一上半主蒸気供給路861の上半内側内周面867を有している。第一上半閉塞部材421において上半内側内周面867は、鉛直方向Dvの上方を向く外面として形成されている。第一上半閉塞部材421は、上半弁ケーシング本体41に対して鉛直方向Dvの下方に配置されることで、第一上半主蒸気供給路861を形成している。第一上半閉塞部材421と上半弁ケーシング本体41とは、溶接によって互いに接合されている。したがって、第一上半閉塞部材421と上半弁ケーシング本体41との間には、溶接部Mが形成されている。
【0034】
第二上半閉塞部材422は、第二上半主蒸気供給路862の上半内側内周面867を有している。第二上半閉塞部材422において上半内側内周面867は、鉛直方向Dvの上方を向く外面として形成されている。第二上半閉塞部材422は、上半弁ケーシング本体41に対して鉛直方向Dvの下方に配置されることで、第二上半主蒸気供給路862を形成している。第二上半閉塞部材422と第一上半閉塞部材421と上半弁ケーシング本体41とは、溶接によって互いに接合されている。したがって、第二上半閉塞部材422と第一上半閉塞部材421と上半弁ケーシング本体41との間には、溶接部Mが形成されている。第二上半閉塞部材422は、第一上半主蒸気供給路861と第二上半主蒸気供給路862とが溶接部Mによって水平方向Dhに区画されるように、第一上半閉塞部材421に対して水平方向Dhに離れて配置されている。
【0035】
上半入口ノズル43は、鍛造によってそれぞれ形成されている。上半入口ノズル43は、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、一つの鍛造部材のみで形成されている。上半入口ノズル43は、円筒状に形成されている。上半入口ノズル43は、上半弁ケーシング本体41に対して水平方向Dhに隣接して配置されている。上半入口ノズル43は、開口を上半弁ケーシング本体41の側面に向けた状態で上半弁ケーシング本体41に溶接されることで、入口開口部82と連通する流路を内部に形成している。本実施形態では、上半入口ノズル43として、第一上半入口ノズル431と、第二上半入口ノズル432との複数の上半入口ノズル43を有している。
【0036】
第一上半入口ノズル431は、第一入口開口部821に接続されている。第一上半入口ノズル431には、第一入口開口部821と同じ大きさの貫通孔が内部に形成されている。第一上半入口ノズル431と上半弁ケーシング本体41とは、溶接によって互いに接合されている。したがって、第一上半入口ノズル431と上半弁ケーシング本体41との間には、溶接部Mが形成されている。
【0037】
第二上半入口ノズル432は、第二入口開口部822に接続されている。第二上半入口ノズル432には、第二入口開口部822と同じ大きさの貫通孔が内部に形成されている。第二上半入口ノズル432と上半弁ケーシング本体41とは、溶接によって互いに接合されている。したがって、第二上半入口ノズル432と上半弁ケーシング本体41との間には、溶接部Mが形成されている。
【0038】
図2に示すように、下半弁ケーシング4Bは、軸線Oを基準に、鉛直方向Dvの下方に配置されている。
図5に示すように、下半弁ケーシング4Bは、軸方向Daから見て、鉛直方向Dvの下方に向かって窪んで、入口弁ケーシング4での回転軸挿通穴RHの下半分を形成している。下半弁ケーシング4Bは、鍛造によって形成されている。下半弁ケーシング4Bは、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、一つの鍛造部材のみで形成されている。さらに、本実施形態の下半弁ケーシング4Bは、接続流路87と、下半弁連通孔88と、下半主蒸気供給路89と、を内部に有している。
【0039】
接続流路87は、第一出口流路831及び第四出口流路834を流通してきた蒸気を下半弁連通孔88に供給可能とされている。
図5及び
図8に示すように、接続流路87は、下半弁ケーシング4Bの水平面(上半弁ケーシング4Aと接触する鉛直方向Dvの上方を向く平面)と下半弁連通孔88とを接続している。接続流路87は、下半弁ケーシング4Bの水平面から鉛直方向Dvの下方に直線状をなして延びている。接続流路87は、下半弁ケーシング4Bの水平面に対して垂直に延びている。本実施形態では、接続流路87として、第一接続流路871と、第二接続流路872との複数の接続流路87を有している。
【0040】
第一接続流路871は、第一出口流路831と下半弁連通孔88とを接続している。第一接続流路871は、軸方向Daから見た際に、第一出口流路831と水平方向Dhの位置が一致するように形成されている。したがって、第一接続流路871は、下半弁ケーシング4Bが上半弁ケーシング4Aに組み合わされることで、第一出口流路831と接続される。
【0041】
第二接続流路872は、第四出口流路834と下半弁連通孔88とを接続している。第二接続流路872は、軸方向Daから見た際に、第四出口流路834と水平方向Dhの位置が一致するように形成されている。したがって、第二接続流路872は、下半弁ケーシング4Bが上半弁ケーシング4Aに組み合わされることで、第四出口流路834と接続される。
【0042】
下半弁連通孔88は、下半主蒸気供給路89と接続流路87とを接続している。下半弁連通孔88は、水平方向Dhに延びて下半弁ケーシング4Bの外部と連通している。下半弁連通孔88は、下半弁ケーシング4Bの側面から水平方向Dhに直線状をなして延びている。つまり、下半弁連通孔88は、下半弁ケーシング4Bの側面で開口している。本実施形態では、下半弁連通孔88として、第一下半弁連通孔881と、第二下半弁連通孔882との複数の下半弁連通孔88を有している。
【0043】
第一下半弁連通孔881は、下半弁ケーシング4Bの側面と、第一接続流路871と下半主蒸気供給路89とを接続している。第一下半弁連通孔881は、軸方向Daから見た際に、鉛直方向Dvにおいて第一接続流路871の下端と重なる位置に形成されている。したがって、第一下半弁連通孔881は、第一接続流路871を介して、第一出口流路831と連通されている。第一下半弁連通孔881は、下半弁ケーシング4Bの側面から、第一接続流路871の下端を通って、下半主蒸気供給路89まで水平方向Dhに直線状に延びている。
【0044】
第二下半弁連通孔882は、下半弁ケーシング4Bの側面と、第二接続流路872と下半主蒸気供給路89とを接続している。第二下半弁連通孔882は、第一下半弁連通孔881が形成されている側面とは水平方向Dhで反対側を向く逆側の側面に形成されている。第二下半弁連通孔882は、軸方向Daから見た際に、鉛直方向Dvにおいて第二接続流路872の下端と重なる位置に形成されている。したがって、第二下半弁連通孔882は、第二接続流路872を介して、第四出口流路834と連通されている。第二下半弁連通孔882は、下半弁ケーシング4Bの側面から、第二接続流路872の下端を通って、下半主蒸気供給路89まで水平方向Dhに直線状に延びている。
【0045】
下半主蒸気供給路89は、複数の出口流路83の一部を流通してきた蒸気を蒸気主流路MPに供給可能とされている。下半主蒸気供給路89は、複数の出口流路83に対して鉛直方向Dvの下方に形成されている。下半主蒸気供給路89は、複数の出口流路83の一部と、下半弁連通孔88を介して、連通されて湾曲している。下半主蒸気供給路89は、軸方向Daから見た際に、回転軸挿通穴RHを鉛直方向Dvの下方から囲うように、円弧状に形成されている。下半主蒸気供給路89は、上半主蒸気供給路86に対して鉛直方向Dvの下方に位置している。下半主蒸気供給路89は、軸方向Daの片側(第二側Da2)のみで下半弁ケーシング4Bの外部と連通している。下半主蒸気供給路89は、軸方向Daにおいて、上半主蒸気供給路86と同じ片側(第二側Da2)で開口している。つまり、下半主蒸気供給路89は、下半弁ケーシング4Bを軸方向Daに貫通しないように形成されている。
【0046】
また、下半弁ケーシング4Bは、下半外側内周面895と、下半内側内周面897とを有している。下半外側内周面895は、下半主蒸気供給路89において流通する蒸気に面する径方向Drの外側Droの湾曲面である。下半外側内周面895は、下半主蒸気供給路89において少なくとも一部(本実施形態では、鉛直方向Dvの下端部分)が鉛直方向Dvの上方を向いている。下半内側内周面897は、下半外側内周面895と対向する径方向Drの内側Driの湾曲面である。下半内側内周面897は、下半主蒸気供給路89において少なくとも一部(本実施形態では、鉛直方向Dvの下端部分)が鉛直方向Dvの下方を向いている。下半内側内周面897は、下半主蒸気供給路89において流通する蒸気に面している。つまり、下半主蒸気供給路89では、下半外側内周面895と下半内側内周面897との間の空間に蒸気が流通する。本実施形態では、下半主蒸気供給路89として、第一出口流路831と連通している第一下半主蒸気供給路891と、第四出口流路834と連通している第二下半主蒸気供給路892との複数の下半主蒸気供給路89を有している。
【0047】
第一下半主蒸気供給路891は、軸方向Daの第一側Da1から見た際に、水平方向Dhにおいて、軸線Oに対して第一入口開口部821に近い位置に形成されている。第一下半主蒸気供給路891は、鉛直方向Dvの上端で、第一下半弁連通孔881と接続されている。これにより、第一下半主蒸気供給路891は、第一接続流路871及び第一下半弁連通孔881を介して、第一出口流路831と連通している。第一下半主蒸気供給路891は、第一下半弁連通孔881と接続されている位置から鉛直方向Dvの下方に向かって第二下半主蒸気供給路892に近づくように、円弧状に延びている。
【0048】
第二下半主蒸気供給路892は、軸方向Daの第一側Da1から見た際に、水平方向Dhにおいて、軸線Oに対して第二入口開口部822に近い位置に形成されている。第二下半主蒸気供給路892は、第一下半主蒸気供給路891に対して水平方向Dhに離れて形成されている。第二下半主蒸気供給路892は、鉛直方向Dvの上端で、第二下半弁連通孔882と接続されている。これにより、第二下半主蒸気供給路892は、第二接続流路872及び第二下半弁連通孔882を介して、第四出口流路834と連通している。第二下半主蒸気供給路892は、第二下半弁連通孔882と接続されている位置から鉛直方向Dvの上方に向かって第一下半主蒸気供給路891に近づくように、円弧状に延びている。
【0049】
(車室胴体の構成)
図1及び
図2に示すように、車室胴体5は、軸方向Daに延びる筒状に形成されている。車室胴体5は、径方向Drの外側Droからロータ2を覆っている。車室胴体5は、上半胴体5Aと、下半胴体5Bと、を備えている。
【0050】
上半胴体5Aは、軸線Oを基準に、鉛直方向Dvの上方に配置されている。
図3に示すように、上半胴体5Aは、鉛直方向Dvの下方に向かって開口した断面半円形をなすように、半筒状に形成されている。本実施形態において、上半胴体5Aは、軸方向Daに並ぶ複数の上半胴体ブロック部(胴体ブロック部)50A(胴体ブロック部)を有している。各上半胴体ブロック部50Aは、鍛造によって形成されている。各上半胴体ブロック部50Aは、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、一つの鍛造部材のみで形成されている。本実施形態では、複数の上半胴体ブロック部50Aは、上流上半胴体ブロック部51Aと、中間上半胴体ブロック部52A(
図13参照)と、下流上半胴体ブロック部53Aとを有している。上流上半胴体ブロック部51Aは、上半弁ケーシング4Aに対して軸方向Daの第一側Da1に配置されている。中間上半胴体ブロック部52Aは、軸方向Daにおいて、上半弁ケーシング4Aと上半抽気弁ケーシング6Aとの間に配置されている。下流上半胴体ブロック部53Aは、上半抽気弁ケーシング6Aに対して軸方向Daの第二側Da2に配置されている。
【0051】
図1及び
図2に示すように、下半胴体5Bは、軸線Oを基準に、鉛直方向Dvの下方に配置されている。
図4に示すように、下半胴体5Bは、鉛直方向Dvの上方に向かって開口した断面円形をなすように、半筒状に形成されている。本実施形態において、下半胴体5Bは、軸方向Daに並ぶ複数の下半胴体ブロック部(胴体ブロック部)50Bを有している。各下半胴体ブロック部50Bは、鍛造によって形成されている。各下半胴体ブロック部50Bは、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、一つの鍛造部材のみで形成されている。本実施形態では、複数の下半胴体ブロック部50Bは、上流下半胴体ブロック部51Bと、下流下半胴体ブロック部52Bとを有している。上流下半胴体ブロック部51Bは、軸方向Daにおいて、下半弁ケーシング4Bと下半抽気弁ケーシング6Bとの間に配置されている。下流下半胴体ブロック部52Bは、下半抽気弁ケーシング6Bに対して軸方向Daの第二側Da2に配置されている。
【0052】
(抽気弁ケーシングの構成)
図1に示すように、抽気弁ケーシング6は、車室胴体5の軸方向Daの中間部で車室胴体5の内部に繋がるように配置されている。抽気弁ケーシング6では、車室胴体5内から一度外部に抽気され、車室胴体5の内部に再び流入される蒸気の圧力を調整する。また、抽気弁ケーシング6では、車室胴体5内の蒸気の一部が外部に抽気される。抽気弁ケーシング6には、抽気弁が接続可能とされている。抽気弁ケーシング6は、内部に蒸気が流通する流路となる空間を形成している。また、
図9及び
図10に示すように、本実施形態の抽気弁ケーシング6の内部には、回転軸挿通穴RHの一部が形成されている。抽気弁ケーシング6は、鉛直方向Dvの上方の上半抽気弁ケーシング6Aと、鉛直方向Dvの下方の下半抽気弁ケーシング6Bとを有している。抽気弁ケーシング6は、軸線Oを含む水平面を基準として、上半抽気弁ケーシング6Aと下半抽気弁ケーシング6Bとに分割可能とされている
【0053】
上半抽気弁ケーシング6Aは、軸線Oを基準に、鉛直方向Dvの上方に配置されている。
図11に示すように、上半弁ケーシング4Aは、軸方向Daから見て、鉛直方向Dvの上方に向かって窪んで、抽気弁ケーシング6での回転軸挿通穴RHの上半分を形成している。上半抽気弁ケーシング6Aは、鍛造によって形成されている。上半抽気弁ケーシング6Aは、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、一つの鍛造部材のみで形成されている。さらに、上半抽気弁ケーシング6Aは、
図9及び
図10に示すように、抽気入口流路91と、複数の抽気出口流路92と、上半抽気供給路93とを内部に有している。
【0054】
図9に示すように、抽気入口流路91は、蒸気主流路MPから流れてくる蒸気が流入する流路である。抽気入口流路91は、水平方向Dhに並んで複数(本実施形態では四つ)形成されている。抽気入口流路91は、上半抽気弁ケーシング6Aの上面(鉛直方向Dvの上方を向く外面)から蒸気主流路MPまで鉛直方向Dvの下方に延びている。複数の抽気入口流路91の鉛直方向Dvの下端が蒸気主流路MPと接続されることで合流している。複数の抽気入口流路91の鉛直方向Dvの上端が上半抽気弁ケーシング6Aの上面で水平方向Dhに離れて配置されている。
【0055】
図10に示すように、複数の抽気出口流路92は、抽気入口流路91からから一度外部に抽気され、抽気弁を介した蒸気が流入する流路である。複数の抽気出口流路92は、抽気入口流路91に対して軸方向Daに離れた位置に形成されている。複数の抽気出口流路92は、上半抽気弁ケーシング6Aの上面における水平方向Dhに離れた位置で開口している。複数の抽気出口流路92は、上半抽気弁ケーシング6Aの上面から鉛直方向Dvの下方に延びている。本実施形態では、複数(本実施形態では四つ)の抽気出口流路92は、水平方向Dhにおいて、順に、第一抽気出口流路921と、第二抽気出口流路922と、第三抽気出口流路923と、第四抽気出口流路924とを有している。
【0056】
第一抽気出口流路921及び第四抽気出口流路924は、複数の抽気出口流路92の中で水平方向Dhの外側Droに位置している。第一抽気出口流路921及び第四抽気出口流路924は、上半抽気弁ケーシング6Aの上面と上半抽気弁ケーシング6Aの水平面(下半抽気弁ケーシング6Bと接触する鉛直方向Dvの下方を向く外面)とを接続している。第一抽気出口流路921及び第四抽気出口流路924は、上半抽気弁ケーシング6Aの上面から鉛直方向Dvの下方に直線状をなして延びている。
【0057】
第二抽気出口流路922及び第三抽気出口流路923は、水平方向Dhにおいて、第一抽気出口流路921及び第四抽気出口流路924に挟まれるように位置している。第二抽気出口流路922は、水平方向Dhにおいて、第四抽気出口流路924よりも第一抽気出口流路921に近い位置に形成されている。第三抽気出口流路923は、水平方向Dhにおいて、第一抽気出口流路921よりも第四抽気出口流路924に近い位置に形成されている。第二抽気出口流路922及び第三抽気出口流路923は、上半抽気弁ケーシング6Aの上面と上半抽気供給路93とを接続している。第二抽気出口流路922及び第三抽気出口流路923は、上半抽気弁ケーシング6Aの上面から鉛直方向Dvの下方に、一度のみ鈍角で屈曲するように、延びている。第二抽気出口流路922及び第三抽気出口流路923は、屈曲している部分以外は直線状をなして延びている。
【0058】
上半抽気供給路93は、複数の抽気出口流路92の一部を流通してきた蒸気を蒸気主流路MPに供給可能とされている。上半抽気供給路93は、複数の抽気出口流路92に対して鉛直方向Dvの下方に形成されている。上半抽気供給路93は、複数の抽気出口流路92の一部と連通されて湾曲している。上半抽気供給路93は、軸方向Daから見た際に、回転軸挿通穴RHを鉛直方向Dvの上方から囲うように、円弧状に形成されている。
図10及び
図11に示すように、上半抽気供給路93は、軸方向Daの片側(第二側Da2)のみで上半抽気弁ケーシング6Aの外部と連通している。つまり、上半抽気供給路93は、上半抽気弁ケーシング6Aを軸方向Daに貫通しないように形成されている。本実施形態では、上半抽気供給路93として、第二抽気出口流路922と接続された第一上半抽気供給路931と、第三抽気出口流路923と接続された第二上半抽気供給路932との複数の上半抽気供給路93を有している。
【0059】
第一上半抽気供給路931は、軸方向Daの第一側Da1から見た際に、水平方向Dhにおいて、軸線Oに対して第一抽気出口流路921に近い位置に形成されている。第一上半抽気供給路931は、鉛直方向Dvの下端で第二抽気出口流路922と接続されている。第一上半抽気供給路931は、第二抽気出口流路922と接続されている位置から鉛直方向Dvの上方に向かって第二上半抽気供給路932に近づくように、円弧状に延びている。
【0060】
第二上半抽気供給路932は、軸方向Daの第一側Da1から見た際に、水平方向Dhにおいて、軸線Oに対して第四抽気出口流路924に近い位置に形成されている。第二上半抽気供給路932は、第一上半抽気供給路931に対して水平方向Dhに離れて形成されている。第二上半抽気供給路932は、鉛直方向Dvの下端で第三抽気出口流路923と接続されている。第二上半抽気供給路932は、第三抽気出口流路923と接続されている位置から鉛直方向Dvの上方に向かって第一上半抽気供給路931に近づくように、円弧状に延びている。
【0061】
図9及び
図10に示すように、下半抽気弁ケーシング6Bは、軸線Oを基準に、鉛直方向Dvの下方に配置されている。下半抽気弁ケーシング6Bは、軸方向Daから見て、鉛直方向Dvの下方に向かって窪んで、抽気弁ケーシング6での回転軸挿通穴RHの下半分を形成している。さらに、下半抽気弁ケーシング6Bは、抽気排出流路94と、抽気接続流路95と、下半抽気弁連通孔96と、下半抽気供給路97と、を内部に有している。
【0062】
図9に示すように、抽気排出流路94は、蒸気主流路MPから流れてくる蒸気を蒸気タービン1の途中で抽気して外部に排出する流路である。抽気排出流路94は、下半抽気弁ケーシング6Bに形成された蒸気主流路MPの一部から、下半抽気弁ケーシング6Bの底面(鉛直方向Dvの下方を向く外面)まで鉛直方向Dvの下方に延びている。抽気排出流路94の鉛直方向Dvの上端が蒸気主流路MPと接続されている。抽気排出流路94の鉛直方向Dvの下端が下半抽気弁ケーシング6Bの底面で外部と連通している。
【0063】
図10及び
図12に示すように、抽気接続流路95は、第一抽気出口流路921及び第四抽気出口流路924を流通してきた蒸気を下半抽気弁連通孔96に供給可能とされている。抽気接続流路95は、下半抽気弁ケーシング6Bの水平面(上半抽気弁ケーシング6Aと接触する鉛直方向Dvの上方を向く外面)と下半抽気弁連通孔96とを接続している。抽気接続流路95は、下半抽気弁ケーシング6Bの水平面から鉛直方向Dvの下方に直線状をなして延びている。抽気接続流路95は、下半抽気弁ケーシング6Bの水平面に対して垂直に延びている。本実施形態では、抽気接続流路95として、第一抽気接続流路951と、第二抽気接続流路952との複数の抽気接続流路95を有している。
【0064】
第一抽気接続流路951は、第一抽気出口流路921と下半抽気弁連通孔96とを接続している。第一抽気接続流路951は、軸方向Daから見た際に、第一抽気出口流路921と水平方向Dhの位置が一致するように形成されている。したがって、第一抽気接続流路951は、下半抽気弁ケーシング6Bが上半抽気弁ケーシング6Aに組み合わされることで、第一抽気出口流路921と接続される。
【0065】
第二抽気接続流路952は、第四抽気出口流路924と下半抽気弁連通孔96とを接続している。第二抽気接続流路952は、軸方向Daから見た際に、第四抽気出口流路924と水平方向Dhの位置が一致するように形成されている。したがって、第二抽気接続流路952は、下半抽気弁ケーシング6Bが上半抽気弁ケーシング6Aに組み合わされることで、第四抽気出口流路924と接続される。
【0066】
複数の下半抽気弁連通孔96は、下半抽気供給路97と抽気接続流路95とを接続している。複数の下半抽気弁連通孔96は、水平方向Dhに延びて下半抽気弁ケーシング6Bの外部と連通している。複数の下半抽気弁連通孔96は、下半抽気弁ケーシング6Bの側面から水平方向Dhに直線状をなして延びている。つまり、下半抽気弁連通孔96は、下半抽気弁ケーシング6Bの側面で開口している。本実施形態では、複数の下半抽気弁連通孔96は、第一下半抽気弁連通孔961と、第二下半抽気弁連通孔962とを有している。
【0067】
第一下半抽気弁連通孔961は、下半抽気弁ケーシング6Bの側面と、第一抽気接続流路951と下半抽気供給路97とを接続している。第一下半抽気弁連通孔961は、軸方向Daから見た際に、鉛直方向Dvにおいて第一抽気接続流路951の下端と重なる位置に形成されている。したがって、第一下半抽気弁連通孔961は、第一抽気接続流路951を介して、第一抽気出口流路921と連通されている。第一下半抽気弁連通孔961は、下半抽気弁ケーシング6Bの側面から、第一抽気接続流路951の下端を通って、下半抽気供給路97まで水平方向Dhに直線状に延びている。
【0068】
第二下半抽気弁連通孔962は、下半抽気弁ケーシング6Bの側面と、第二抽気接続流路952と下半抽気供給路97とを接続している。第二下半抽気弁連通孔962は、第一下半抽気弁連通孔961が形成されている側面とは水平方向Dhで反対側を向く逆側の側面に形成されている。第二下半抽気弁連通孔962は、軸方向Daから見た際に、鉛直方向Dvにおいて第二抽気接続流路952の下端と重なる位置に形成されている。したがって、第二下半抽気弁連通孔962は、第二抽気接続流路952を介して、第四抽気出口流路924と連通されている。第二下半抽気弁連通孔962は、下半抽気弁ケーシング6Bの側面から、第二抽気接続流路952の下端を通って、下半抽気供給路97まで水平方向Dhに直線状に延びている。
【0069】
下半抽気供給路97は、複数の抽気出口流路92の一部を流通してきた蒸気を蒸気主流路MPに供給可能とされている。下半抽気供給路97は、複数の抽気出口流路92に対して鉛直方向Dvの下方に形成されている。下半抽気供給路97は、複数の出口流路83の一部と、下半抽気弁連通孔96を介して、連通されて湾曲している。下半抽気供給路97は、軸方向Daから見た際に、回転軸挿通穴RHを鉛直方向Dvの下方から囲うように、円弧状に形成されている。下半抽気供給路97は、上半抽気供給路93に対して鉛直方向Dvの下方に位置している。下半抽気供給路97は、軸方向Daの片側(第二側Da2)のみで下半抽気弁ケーシング6Bの外部と連通している。下半抽気供給路97は、軸方向Daにおいて、上半抽気供給路93と同じ片側(第二側Da2)で開口している。つまり、下半抽気供給路97は、下半弁ケーシング4Bを軸方向Daに貫通しないように形成されている。また、本実施形態では、下半抽気供給路97として、第一抽気出口流路921と連通している第一下半抽気供給路971と、第四抽気出口流路924と連通している第二下半抽気供給路972との複数の下半抽気供給路97を有している。
【0070】
第一下半抽気供給路971は、軸方向Daの第一側Da1から見た際に、水平方向Dhにおいて、軸線Oに対して第一抽気出口流路921に近い位置に形成されている。第一下半抽気供給路971は、鉛直方向Dvの上端で、第一下半抽気弁連通孔961と接続されている。これにより、第一下半抽気供給路971は、第一抽気接続流路951及び第一下半抽気弁連通孔961を介して、第一抽気出口流路921と連通している。第一下半抽気供給路971は、第一下半抽気弁連通孔961と接続されている位置から鉛直方向Dvの下方に向かって第二下半抽気供給路972に近づくように、円弧状に延びている。
【0071】
第二下半抽気供給路972は、軸方向Daの第一側Da1から見た際に、水平方向Dhにおいて、軸線Oに対して第四抽気出口流路924に近い位置に形成されている。第二下半抽気供給路972は、第一下半抽気供給路971に対して水平方向Dhに離れて形成されている。第二下半抽気供給路972は、鉛直方向Dvの上端で、第二下半抽気弁連通孔962と接続されている。これにより、第二下半抽気供給路972は、第二抽気接続流路952及び第二下半抽気弁連通孔962を介して、第四抽気出口流路924と連通している。第二下半抽気供給路972は、第二下半抽気弁連通孔962と接続されている位置から鉛直方向Dvの上方に向かって第一下半抽気供給路971に近づくように、円弧状に延びている。
【0072】
また、下半抽気弁ケーシング6Bは、複数の部材を溶接によって接合することで形成されている。本実施形態の下半抽気弁ケーシング6Bは、下半抽気弁ケーシング本体61と、抽気排出ノズル62とを有している。つまり、下半抽気弁ケーシング6Bは、下半抽気弁ケーシング本体61及び抽気排出ノズル62を溶接によって固定する溶接部Mをさらに有している。
【0073】
下半抽気弁ケーシング本体61は、鍛造によって形成されている。下半抽気弁ケーシング本体61は、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、一つの鍛造部材のみで形成されている。下半抽気弁ケーシング本体61は、抽気排出流路94と、複数の抽気接続流路95と、複数の下半抽気供給路97と、複数の下半抽気弁連通孔96とが内部に形成されている。
【0074】
抽気排出ノズル62は、鍛造によって形成されている。抽気排出ノズル62は、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、一つの鍛造部材のみで形成されている。抽気排出ノズル62は、円筒状に形成されている。抽気排出ノズル62は、下半抽気弁ケーシング本体61に対して鉛直方向Dvの下方に隣接して配置されている。抽気排出ノズル62は、開口を下半抽気弁ケーシング本体61の底面に向けた状態で下半抽気弁ケーシング本体61に溶接されることで、下半抽気弁ケーシング本体61とともに、抽気排出流路94を形成している。したがって、抽気排出ノズル62と下半抽気弁ケーシング本体61との間には、溶接部Mが形成されている。
【0075】
(上半フランジの構成)
図3に示すように、一対の上半フランジ7Aは、上半胴体5Aに対して軸線O周りの周方向Dcの両端部に配置されている。一対の上半フランジ7Aは、軸方向Daに延びている。一対の上半フランジ7Aは、上半弁ケーシング4A、上半胴体5A、及び上半抽気弁ケーシング6Aに、溶接によって接続されている。本実施形態の一対の上半フランジ7Aは、軸線Oを境界として対称な形状で形成されている。各上半フランジ7Aは、軸方向Daにおいて、上流上半胴体ブロック部51Aから下流上半胴体ブロック部53Aまで延びる軸方向Daに長いブロック状の部材である。
図3及び
図13に示すように、各上半フランジ7Aには、第一上半溝71Aと、第二上半溝72Aとが形成されている。
【0076】
第一上半溝71Aは、上半弁ケーシング4Aが嵌まり込む溝である。第一上半溝71Aは、軸方向Daにおいて、上半弁ケーシング4Aと重なる位置に水平方向Dhに窪んで形成されている。第一上半溝71Aは、上半弁ケーシング本体41の側部が挿入可能な大きさで形成されている。
【0077】
第二上半溝72Aは、上半抽気弁ケーシング6Aが嵌まり込む溝である。第二上半溝72Aは、第一上半溝71Aに対して軸方向Daに離れて配置されている。第二上半溝72Aは、軸方向Daにおいて、上半抽気弁ケーシング6Aと重なる位置に水平方向Dhに窪んで形成されている。第二上半溝72Aは、上半抽気弁ケーシング6Aの側部が挿入可能な大きさで形成されている。
【0078】
(下半フランジの構成)
図4に示すように、一対の下半フランジ7Bは、下半胴体5Bに対して軸線O周りの周方向Dcの両端部に配置されている。一対の下半フランジ7Bは、軸方向Daに延びている。一対の下半フランジ7Bは、下半弁ケーシング4B、下半胴体5B、及び下半抽気弁ケーシング6Bに、溶接によって接続されている。本実施形態の一対の下半フランジ7Bは、軸線Oを境界として対称な形状で形成されている。各下半フランジ7Bは、軸方向Daにおいて、上流下半胴体ブロック部51Bから下流下半胴体ブロック部52Bまで延びる軸方向Daに長いブロック状の部材である。
図4及び
図14に示すように、各下半フランジ7Bには、第一下半溝71Bと、第二下半溝72Bとが形成されている。
【0079】
第一下半溝71Bは、下半弁ケーシング4Bが嵌まり込む溝である。第一下半溝71Bは、軸方向Daにおいて、下半弁ケーシング4Bと重なる位置に水平方向Dhに窪んで形成されている。第一下半溝71Bは、下半弁ケーシング4Bの側部が挿入可能な大きさで形成されている。
図5に示すように、第一下半溝71Bに下半弁ケーシング4Bの側部が挿入された状態となることで、下半フランジ7Bは、鉛直方向Dvにおいて、下半弁連通孔88と重なる位置に配置される。つまり、第一下半溝71Bに下半弁ケーシング4Bの側部が挿入された状態となることで、下半フランジ7Bは、軸方向Daから見た際に、下半弁連通孔88を塞ぐように配置されている。
【0080】
図4及び
図14に示すように、第二下半溝72Bは、下半抽気弁ケーシング6Bが嵌まり込む溝である。第二下半溝72Bは、第一下半溝71Bに対して軸方向Daに離れて配置されている。第下上半溝は、軸方向Daにおいて、下半抽気弁ケーシング6Bと重なる位置に水平方向Dhに窪んで形成されている。第二下半溝72Bは、下半抽気弁ケーシング本体61の側部が挿入可能な大きさで形成されている。
図10に示すように、第二下半溝72Bに下半抽気弁ケーシング本体61の側部が挿入された状態となることで、下半フランジ7Bは、鉛直方向Dvにおいて、下半抽気弁連通孔96と重なる位置に配置される。つまり、第二下半溝72Bに下半抽気弁ケーシング本体61の側部が挿入された状態となることで、下半フランジ7Bは、軸方向Daから見た際に、下半抽気弁連通孔96を塞ぐように配置されている。
【0081】
図3及び
図13に示すように、上記したような上半弁ケーシング4Aと、上半胴体5Aと、上半抽気弁ケーシング6Aと、一対の上半フランジ7Aとが、製造段階で、互いに溶接されることで一体化されて、上半車室3Aが形成されている。したがって、上半弁ケーシング4Aと、上半胴体5Aと、上半抽気弁ケーシング6Aと、一対の上半フランジ7Aとの間には、溶接部Mがそれぞれ形成されている。また、
図4及び
図14に示すように、下半弁ケーシング4Bと、下半胴体5Bと、下半抽気弁ケーシング6Bと、一対の下半フランジ7Bとが、製造段階で、互いに溶接されることで一体化されて、下半車室3Bが形成されている。下半弁ケーシング4Bと、下半胴体5Bと、下半抽気弁ケーシング6Bと、一対の下半フランジ7Bとの間には、溶接部Mがそれぞれ形成されている。
【0082】
(車室の製造方法の手順)
図15に示すように、車室の製造方法S1は、上半車室3Aと下半車室3Bとをそれぞれ製造する。車室の製造方法S1は、複数の金属部材を形成する工程S2と、複数の金属部材を配置する工程S3と、車室を形成する工程S4と、を有している。
【0083】
(複数の金属部材を形成する工程)
複数の金属部材を形成する工程S2では、車室3を構成する部品となる複数の金属部材が形成される。本実施形態において、複数の金属部材とは、上半車室3Aを形成する複数の金属部材と、下半車室3Bを形成する複数の金属部材とを有する。上半車室3Aを形成する複数の金属部材は、
図13に示すように、上半弁ケーシング4A、上流上半胴体ブロック部51A、中間上半胴体ブロック部52A、下流上半胴体ブロック部53A、上半抽気弁ケーシング6A、一対の上半フランジ7Aである。下半車室3Bを形成する複数の金属部材は、
図14に示すように、下半弁ケーシング4B、上流下半胴体ブロック部51B、下流下半胴体ブロック部52B、下半抽気弁ケーシング6B、一対の下半フランジ7Bである。金属部材を形成する工程では、複数の金属部材を、鍛造で製造する。即ち、全ての金属部材を鋳造の一種類の製法で製造している。複数の金属部材は、鍛造で製造された一の鍛造部材の内部の空間(流路等)が切削加工によって削られることで形成されている。
【0084】
図16に示すように、本実施形態の複数の金属部材を形成する工程S2は、上半弁ケーシングを製造する工程S21と、下半弁ケーシングを製造する工程S22と、胴体ブロック部を製造する工程S23と、上半抽気弁ケーシングを製造する工程S24と、下半抽気弁ケーシングを製造する工程S25と、上半フランジを製造する工程S26と、下半フランジを製造する工程S27とを有している。なお、これらの工程が実施される順番は、どのような順であってもよく、いずれか又は全てが同時に実施されてもよい。
【0085】
図17に示すように、上半弁ケーシングを製造する工程S21は、上半弁ケーシングの部品を製造する工程S221と、溶接する工程S222とを有している。
【0086】
上半弁ケーシングの部品を製造する工程S221では、上半弁ケーシング4Aを構成する部品が別々に製造される。具体的には、本実施形態では、上半弁ケーシング本体41、第一上半閉塞部材421、第二上半閉塞部材422、第一上半入口ノズル431、及び第二上半入口ノズル432がそれぞれ別々に製造される。
【0087】
例えば、上半弁ケーシング本体41は、鍛造によって外形が整った中実の鍛造部材として形成される。その後、上半弁ケーシング本体41の元となる一の鍛造部材の内部が切削されることで、上半弁ケーシング本体41が製造されている。例えば、入口流路81及び入口開口部82は、一の鍛造部材に対して、フライス加工等によって、水平方向Dhに直線状に貫通孔を形成することで得られる。また、複数の出口流路83は、一の鍛造部材に対して、鉛直方向Dvにおいて入口流路81から遠い底面から入口流路81まで、フライス加工等によって、鉛直方向Dvに直線状に貫通孔を形成することで得られる。部材挿通穴85は、一の鍛造部材に対して、鉛直方向Dvにおいて入口流路81から近い上面から入口流路81まで、フライス加工等によって、鉛直方向Dvに直線状に貫通孔を形成することで得られる。上半主蒸気供給路86は、一の鍛造部材に対して、鉛直方向Dvにおいて入口流路81から遠い面を、フライス加工等によって削って、湾曲した上半外側内周面865を形成することで得られる。このように複数の流路や面が中実の鍛造部材に対して形成されることで、上半弁ケーシング本体41が製造される。
【0088】
第一上半閉塞部材421及び第二上半閉塞部材422は、鍛造によって外形が整った一の鍛造部材としてそれぞれ形成される。その後、各鍛造部材をフライス加工等によって削って、湾曲した上半内側内周面867を形成することで、第一上半閉塞部材421及び第二上半閉塞部材422はそれぞれ得られる。
【0089】
第一上半入口ノズル431及び第二上半入口ノズル432は、鍛造によって外形が整った一の鍛造部材としてそれぞれ形成される。その後、各鍛造部材の内部にフライス加工等によって直線状に貫通孔を形成することで、第一上半入口ノズル431及び第二上半入口ノズル432は得られる。
【0090】
溶接する工程S222では、上半弁ケーシング本体41、上半閉塞部材42、及び上半入口ノズル43を溶接によって固定する。これにより、上半弁ケーシング本体41、上半閉塞部材42、及び上半入口ノズル43の間には、溶接部Mが形成され、一つの金属部材である上半弁ケーシング4Aが形成される。
【0091】
下半弁ケーシングを製造する工程S22では、鍛造によって外形が整った中実の鍛造部材が形成される。その後、下半弁ケーシング4Bの元となる一の鍛造部材の内部が切削されることで、下半弁ケーシング4Bが製造されている。例えば、下半主蒸気供給路89は、一の鍛造部材に対して、フライス加工等によって、軸方向Daの第二側Da2を向く面を貫通しないように削ることで得られる。下半弁連通孔88は、一の鍛造部材に対して、フライス加工等によって、水平方向Dhを向く側面から下半主蒸気供給路89まで直線状に貫通孔を形成することで得られる。また、接続流路87は、一の鍛造部材に対して、フライス加工等によって、鉛直方向Dvの上面から下半弁連通孔88まで直線状に貫通孔を形成することで得られる。このように複数の流路や面が中実の鍛造部材に対して形成されることで、下半弁ケーシング4Bが製造される。
【0092】
胴体ブロック部を製造する工程S23では、上流上半胴体ブロック部51A、中間上半胴体ブロック部52A、下流上半胴体ブロック部53A、上流下半胴体ブロック部51B、及び下流下半胴体ブロック部52Bが製造される。上流上半胴体ブロック部51A、中間上半胴体ブロック部52A、下流上半胴体ブロック部53A、上流下半胴体ブロック部51B、及び下流下半胴体ブロック部52Bは、鍛造によってそれぞれ形成される。なお、上流上半胴体ブロック部51A、中間上半胴体ブロック部52A、下流上半胴体ブロック部53A、上流下半胴体ブロック部51B、及び下流下半胴体ブロック部52Bは鍛造のみによって形成されてもよく、フライス加工等によって、蒸気主流路MPの一部となる面を整えるように追加で加工してもよい。
【0093】
上半抽気弁ケーシングを製造する工程S24では、鍛造によって外形が整った中実の鍛造部材が形成される。その後、上半抽気弁ケーシング6Aの元となる一の鍛造部材の内部が切削されることで、上半抽気弁ケーシング6Aが製造されている。したがって、複数の抽気入口流路91は、鉛直方向Dvの上面から、フライス加工等によって、鉛直方向Dvに直線状に貫通孔を形成することで得られる。第一抽気出口流路921及び第四抽気出口流路924は、鉛直方向Dvの上面と底面とのそれぞれから、フライス加工等によって、鉛直方向Dvに直線状に穴を形成することで得られる。上半抽気供給路93は、一の鍛造部材に対して、フライス加工等によって、軸方向Daの第二側Da2を向く面を貫通しないように削ることで得られる。第二抽気出口流路922及び第三抽気出口流路923は、複数の抽気入口流路91は、鉛直方向Dvの上面から上半抽気供給路93まで、フライス加工等によって、鉛直方向Dvに直線状に貫通孔を形成することで得られる。このように複数の流路や面が中実の鍛造部材に対して形成されることで、上半抽気弁ケーシング6Aが製造される。
【0094】
下半抽気弁ケーシングを製造する工程S25では、下半抽気弁ケーシング6Bを構成する部品が別々に製造される。具体的には、下半抽気弁ケーシング本体61と抽気排出ノズル62とが別々に鍛造によって製造される。下半抽気弁ケーシング本体61は、鍛造によって外形が整った中実の鍛造部材として形成される。その後、下半抽気弁ケーシング本体61の元となる一の鍛造部材の内部が切削されることで、下半抽気弁ケーシング本体61が製造されている。例えば、抽気排出流路94は、一の鍛造部材に対して、フライス加工等によって、鉛直方向Dvの底面から蒸気主流路MPまで、鉛直方向Dvに直線状に穴を形成することで得られる。下半抽気供給路97は、一の鍛造部材に対して、フライス加工等によって、軸方向Daの第二側Da2を向く面を貫通しないように削ることで得られる。下半抽気弁連通孔96は、一の鍛造部材に対して、フライス加工等によって、水平方向Dhを向く側面から下半抽気供給路97まで直線状に貫通孔を形成することで得られる。また、抽気接続流路95は、一の鍛造部材に対して、フライス加工等によって、鉛直方向Dvの上面から下半抽気弁連通孔96まで直線状に貫通孔を形成することで得られる。このように複数の流路や面が中実の鍛造部材に対して形成されることで、下半抽気弁ケーシング6Bが製造される。
【0095】
抽気排出ノズル62は、鍛造によって外形が整った一の鍛造部材としてそれぞれ形成される。その後、各鍛造部材の内部にフライス加工等によって直線状に貫通孔を形成することで、抽気排出ノズル62は得られる。その後、下半抽気弁ケーシング本体61及び抽気排出ノズル62を溶接によって固定する。これにより、下半抽気弁ケーシング本体61及び抽気排出ノズル62の間には、溶接部Mが形成され、一つの金属部材である下半抽気弁ケーシング6Bが形成される。
【0096】
上半フランジを製造する工程S26では、一対の上半フランジ7Aが鍛造によって形成される。下半フランジを製造する工程S27では、一対の上半フランジ7Aが鍛造によって形成される。なお、上半フランジ7A及び下半フランジ7Bは鍛造のみによって形成されてもよく、フライス加工等によって、溝を形成する面を整えるように追加で加工してもよい。
【0097】
(複数の金属部材を配置する工程)
複数の金属部材を配置する工程S3では、形成すべき車室3に合わせて、複数の金属部材が配置される。つまり、
図13に示すように、上半車室3Aを構成する上半弁ケーシング4Aと、上流上半胴体ブロック部51Aと、中間上半胴体ブロック部52Aと、下流上半胴体ブロック部53Aと、上半抽気弁ケーシング6Aと、一対の上半フランジ7Aとが互いに突き合わせて配置される。また、
図14に示すように、下半車室3Bを構成する下半弁ケーシング4Bと、上流下半胴体ブロック部51Bと、下流下半胴体ブロック部52Bと、下半抽気弁ケーシング6Bと、一対の下半フランジ7Bとが互いに突き合わせて配置される。
【0098】
(車室を形成する工程)
車室を形成する工程S4では、複数の金属部材同士を溶接して車室3が形成される。つまり、互いに突き合わせた、上流上半胴体ブロック部51Aと、中間上半胴体ブロック部52Aと、下流上半胴体ブロック部53Aと、入口弁ケーシング4と、上半抽気弁ケーシング6Aと、一対の上半フランジ7Aが、溶接により一体に接合される。これにより、上流上半胴体ブロック部51Aと、中間上半胴体ブロック部52Aと、下流上半胴体ブロック部53Aと、入口弁ケーシング4と、上半抽気弁ケーシング6Aと、一対の上半フランジ7Aとの間にはそれぞれ溶接部Mが形成される。また、互いに突き合わせた、上流下半胴体ブロック部51Bと、下流下半胴体ブロック部52Bと、下半抽気弁ケーシング6Bと、一対の下半フランジ7Bとが、溶接により一体に接合される。これにより、上流下半胴体ブロック部51Bと、下流下半胴体ブロック部52Bと、下半抽気弁ケーシング6Bと、一対の下半フランジ7Bとの間にはそれぞれ溶接部Mが形成される。
【0099】
なお、上記の複数の金属部材を配置する工程S3と、車室を形成する工程S4とは、互いに隣り合う二つの金属部材同士を互いに突き合わせて配置した後、双方の金属部材同士を溶接することを、順次繰り返して行うようにしてもよい。
【0100】
(作用効果)
上記構成の蒸気タービン1の車室3によれば、入口流路81、入口開口部82、出口流路83、部材挿通穴85、及び上半主蒸気供給路86が上半弁ケーシング4Aの内部に形成されている。また、第一出口流路831及び第二出口流路832は、鉛直方向Dvから見た際に、少なくとも一部が第一部材挿通穴851から外れた位置に配置されている。さらに、第三出口流路833及び第四出口流路834は、鉛直方向Dvから見た際に、少なくとも一部が第二部材挿通穴852から外れた位置に配置されている。つまり、複数の出口流路83と部材挿通穴85とは、鉛直方向Dvにおいて同じ側から同時に形成することができない複雑な配置となっている。また、第二出口流路832と連通された第一上半主蒸気供給路861及び第三出口流路833と連通された第二上半主蒸気供給路862は、湾曲した形状とされているだけでなく、軸方向Daの第二側Da2のみで上半弁ケーシング4Aの外部と連通した構造となっている。つまり、鉛直方向Dvにおいて、第二出口流路832及び第三出口流路833の一方の端部は、第一部材挿通穴851及び第二部材挿通穴852に遮られ、第二出口流路832及び第三出口流路833の他方の端部は、第一上半主蒸気供給路861及び第二上半主蒸気供給路862に遮られている。したがって、第二出口流路832及び第三出口流路833は、鉛直方向Dvからは直接加工できない位置に形成されている。そのため、一般的には、このような複雑な流路が内部に形成された部材は鋳造で形成する必要がある。しかしながら、本実施形態では、第一上半主蒸気供給路861及び第二上半主蒸気供給路862が、上半弁ケーシング本体41に対して、鉛直方向Dvの下方に配置された第一上半閉塞部材421及び第二上半閉塞部材422を溶接によって固定することで形成されている。そして、第二出口流路832及び第三出口流路833は、上半弁ケーシング本体41に形成されている。つまり、第一上半閉塞部材421及び第二上半閉塞部材422が取り付けられる前には、第二出口流路832及び第三出口流路833は、上半弁ケーシング本体41において鉛直方向Dvの下方で開放された状態となっている。そのため、上半弁ケーシング本体41に対して鉛直方向Dvの下方から切削加工することで、第二出口流路832及び第三出口流路833を外部から容易に形成することができる。これにより、第二出口流路832及び第三出口流路833を、単独の部品である上半弁ケーシング本体41に、外部から高い精度で形成することができる。また、外部と連通する入口流路81、第一入口開口部821、第二入口開口部822、第一部材挿通穴851、第二部材挿通穴852、第一出口流路831、及び第二出口流路832も上半弁ケーシング本体41に形成されている。そのため、上半弁ケーシング本体41に対して切削加工することで、入口流路81、第一入口開口部821、第二入口開口部822、第一部材挿通穴851、第二部材挿通穴852、第一出口流路831、及び第二出口流路832を外部から容易に形成することができる。これにより、入口流路81、第一入口開口部821、第二入口開口部822、第一部材挿通穴851、第二部材挿通穴852、第一出口流路831、及び第二出口流路832を、単独の部品である上半弁ケーシング本体41に、外部から高い精度で形成することができる。これらによって、上半弁ケーシング4Aに対して、鋳造を用いずに、内部に複数の流路を形成することができる。
【0101】
また、入口流路81、複数の入口開口部82、複数の部材挿通穴85、及び複数の出口流路83は、溶接等によって複数の部材が接合されておらず、鍛造によって形成された一つの鍛造部材のみで形成された上半弁ケーシング本体41に形成されている。蒸気の流入口である調整弁が配置される領域では、蒸気タービン1において、最も圧力の高い蒸気に曝される。つまり、入口流路81、複数の入口開口部82、複数の部材挿通穴85、及び複数の出口流路83には、蒸気タービン1において、最も圧力の高い蒸気が流通する。このような高圧の蒸気が流通する流路を単独の部品である上半弁ケーシング本体41に形成することで、簡易な構造としながら、耐圧性を十分確保することができる。
【0102】
また、上半外側内周面865が上半弁ケーシング本体41に形成され、上半内側内周面867が第一上半閉塞部材421及び第二上半閉塞部材422に形成されている。したがって、第一上半主蒸気供給路861及び第二上半主蒸気供給路862の内周面は、別々の部材に形成される。特に、上半弁ケーシング本体41において上半外側内周面865は、外面として形成されている。同様に、第一上半閉塞部材421及び第二上半閉塞部材422において上半内側内周面867も外面として形成されている。そのため、上半外側内周面865及び上半内側内周面867を部材の外部から容易に形成することができる。これにより、精度の高い上半主蒸気供給路86を上半弁ケーシング4Aに形成することができる。
【0103】
また、上半弁ケーシング本体41、複数の上半閉塞部材42、複数の上半入口ノズル43、下半弁ケーシング4B、複数の上半胴体ブロック部50A、複数の下半胴体ブロック部50B、上半抽気弁ケーシング6A、下半抽気弁ケーシング本体61、抽気排出ノズル62、一対の上半フランジ7A、及び一対の下半フランジ7Bは、全て鍛造によって形成されている。また、各部品は、鍛造で形成された一の鍛造部材を切削することで流路が形成されている。つまり、車室3を構成するほとんどの部品を鋳造によって形成することなく、鍛造で形成することができる。
【0104】
また、下半弁ケーシング4Bに形成された第一下半弁連通孔881及び第二下半弁連通孔882は、下半弁ケーシング4Bの側面から延びている。つまり、第一下半弁連通孔881及び第二下半弁連通孔882は、下半弁ケーシング4Bの外部から容易に形成できる。さらに、下半弁ケーシング4Bの側面に形成された第一下半弁連通孔881及び第二下半弁連通孔882の開口が一対の下半フランジ7Bによって塞がれている。そのため、下半フランジ7Bが取り付けられて下半車室3Bが形成されることで、下半弁ケーシング4Bの側面で開口する第一下半弁連通孔881及び第二下半弁連通孔882が、外部から閉塞された流路となる。つまり、第一下半弁連通孔881及び第二下半弁連通孔882を形成する面の一部として下半フランジ7Bを利用することができる。これにより、精度の高い下半弁連通孔88を下半弁ケーシング4Bの実質的な内部に形成することができる。
【0105】
また、抽気入口流路91、第一抽気出口流路921、第二抽気出口流路922、第三抽気出口流路923、及び第一抽気出口流路921が、上半抽気弁ケーシング6Aの上面で開口した状態で上半抽気弁ケーシング6Aの内部に形成されている。そのため、上半抽気弁ケーシング6Aに対して鉛直方向Dvの上方から切削加工することで、抽気入口流路91、第一抽気出口流路921、第二抽気出口流路922、第三抽気出口流路923、及び第四抽気出口流路924を外部から容易に形成することができる。これにより、抽気入口流路91、第一抽気出口流路921、第二抽気出口流路922、第三抽気出口流路923、及び第一抽気出口流路921を、単独の部品である上半抽気弁ケーシング6Aに、外部から高い精度で形成することができる。さらに、第二抽気出口流路922と連通された第一上半抽気供給路931及び第三抽気出口流路923と連通された第二上半抽気供給路932は、湾曲した形状とされているだけでなく、軸方向Daの第二側Da2のみで抽気弁ケーシング6の外部と連通した構造となっている。そのため、上半抽気弁ケーシング6Aに対して軸方向Daの第二側Da2から切削加工することで、第一上半抽気供給路931及び第二上半抽気供給路932を外部から容易に形成することができる。これにより、精度の高い上半抽気供給路93を単独の部品である上半抽気弁ケーシング6Aに、外部から高い精度で形成することができる。これらによって、上半抽気弁ケーシング6Aに対して、鋳造を用いずに、内部に複数の流路を形成することができる。
【0106】
また、下半抽気弁ケーシング6Bに形成された第一下半抽気弁連通孔961及び第二下半抽気連通路は、下半抽気弁ケーシング6Bの側面から延びている。つまり、第一下半抽気弁連通孔961及び第二下半抽気弁連通孔962は、下半抽気弁ケーシング6Bの外部から容易に形成できる。さらに、下半弁ケーシング4Bの側面に形成された第一下半弁連通孔881及び第二下半弁連通孔882の開口が一対の下半フランジ7Bによって塞がれている。そのため、下半弁ケーシング4Bの側面で開口する第一下半弁連通孔881及び第二下半弁連通孔882が、下半フランジ7Bが取り付けられて下半車室3Bが形成されることで、外部から閉塞された流路となる。つまり、第一下半弁連通孔881及び第二下半弁連通孔882を形成する面の一部として下半フランジ7Bを利用することができる。これにより、精度の高い下半弁連通孔88を下半弁ケーシング4Bの実質的な内部に形成することができる。
【0107】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0108】
なお、本実施形態の車室3は、入口弁ケーシング4と、車室胴体5と、抽気弁ケーシング6と、一対の上半フランジ7Aと、一対の下半フランジ7Bとを備えた構造としたが、車室3はこのような構造に限定されるものではない。例えば、車室3は、抽気弁ケーシング6を有していなくてもよい。また、車室3は、上述した実施形態で挙げた構造以外の他の構造を有していてもよい。
【0109】
また、上半弁ケーシング4Aは、入口流路81、入口開口部82、複数の出口流路83、部材挿通穴85、及び上半主蒸気供給路86のみを内部に有する構造に限定されるものではない。上半弁ケーシング4Aは、内部の他の流路や部材を挿入するための孔が形成されていてもよい。また、上半弁ケーシング4Aが有する入口流路81、入口開口部82、出口流路83、部材挿通穴85、及び上半主蒸気供給路86は、上述した実施形態の数に限定されるものではない。
【0110】
また、上半弁ケーシング4Aは、上述した実施形態のように、上半弁ケーシング本体41、上半閉塞部材42、上半入口ノズル43、及び溶接部Mのみを有する構造に限定されるものではない。上半弁ケーシング4Aは、他の部材を有していてもよい。
【0111】
また、下半弁ケーシング4Bは、接続流路87と、下半弁連通孔88と、下半主蒸気供給路89のみを内部に有する構造に限定されるものではない。下半弁ケーシング4Bは、内部の他の流路や部材を挿入するための孔が形成されていてもよい。また、下半弁ケーシング4Bが有する入、接続流路87、下半弁連通孔88、及び、下半主蒸気供給路89は、上述した実施形態の数に限定されるものではない。
【0112】
また、下半弁ケーシング4Bは、上述した実施形態のように、一つの鍛造部材のみで形成されている構造に限定されるものではない。上半弁ケーシング4Aは、他の部材を有していてもよい。
【0113】
また、上半胴体5Aは、上述したように、上流上半胴体ブロック部51A、中間上半胴体ブロック部52A、及び下流上半胴体ブロック部53Aのみを有する構造に限定されるものではない。上半胴体5Aは、さらに別の上半胴体ブロック部50Aや他の部材を有していてもよい。また、上半胴体ブロック部50Aの数は三つ以下であってもよい。
【0114】
また、下半胴体5Bは、上述したように、上流下半胴体ブロック部51B及び下流下半胴体ブロック部52Bのみを有する構造に限定されるものではない。下半胴体5Bは、さらに別の下半胴体ブロック部50Bや他の部材を有していてもよい。また、下半胴体ブロック部50Bの数は一つのみであってもよい。
【0115】
また、上半抽気弁ケーシング6Aは、抽気入口流路91、複数の抽気出口流路92、及び上半抽気供給路93のみを内部に有する構造に限定されるものではない。上半抽気弁ケーシング6Aは、内部の他の流路や部材を挿入するための孔が形成されていてもよい。また、上半抽気弁ケーシング6Aが有する抽気入口流路91、抽気出口流路92、及び上半抽気供給路93は、上述した実施形態の数に限定されるものではない。
【0116】
また、下半抽気弁ケーシング6Bは、抽気排出流路94、抽気接続流路95、下半抽気弁連通孔96、及び下半抽気供給路97のみを内部に有する構造に限定されるものではない。下半抽気弁ケーシング6Bは、内部の他の流路や部材を挿入するための孔が形成されていてもよい。また、下半抽気弁ケーシング6Bが有する抽気排出流路94、抽気接続流路95、下半抽気弁連通孔96、及び下半抽気供給路97は、上述した実施形態の数に限定されるものではない。
【0117】
また、一対の上半フランジ7Aや一対の下半フランジ7Bは、それぞれ同じ形状であってもよく、全く異なる形状であってもよい。
【0118】
<付記>
実施形態に記載の車室3及び車室の製造方法S1は、例えば以下のように把握される。
【0119】
(1)第1の態様に係る車室3は、鉛直方向Dvの上方の上半弁ケーシング4Aと前記鉛直方向Dvの下方の下半弁ケーシング4Bとを有し、蒸気タービン1において供給される蒸気の供給量を調整可能な調整弁の弁ケーシングと、前記鉛直方向Dvの上方の上半胴体5Aと前記鉛直方向Dvの下方の下半胴体5Bとを有し、軸方向Daに延びる軸線Oを中心とする筒状に形成され、前記弁ケーシングと接続された車室胴体5と、前記上半胴体5Aに対して前記軸線O周りの周方向Dcの両端部で、前記上半弁ケーシング4A及び前記上半胴体5Aに接続され、前記軸方向Daに延びる一対の上半フランジ7Aと、前記下半胴体5Bに対して前記周方向Dcの両端部で、前記下半弁ケーシング4B及び前記下半胴体5Bに接続され、前記軸方向Daに延びる一対の下半フランジ7Bと、を備え、前記上半胴体5A及び前記下半胴体5Bは、前記軸方向Daに並ぶ複数の胴体ブロック部をそれぞれ有し、前記上半弁ケーシング4Aは、弁体11が配置可能とされて、前記鉛直方向Dv及び前記軸方向Daに対して直交する第一方向に直線状に形成された入口流路81と、前記入口流路81へ流体を流入可能とされて前記入口流路81の前記第一方向の端部を外部と連通させる入口開口部82と、前記入口流路81内の前記流体を前記鉛直方向Dvに流出させるように、前記第一方向に離れた位置で前記入口流路81と連通する複数の出口流路83と、前記鉛直方向Dvで複数の前記出口流路83と対向した位置で前記入口流路81と外部とを連通する部材挿通穴85と、複数の前記出口流路83の一部と連通されて湾曲している上半主蒸気供給路86と、を有し、前記下半弁ケーシング4Bは、複数の前記出口流路83の残部と連通されて湾曲している下半主蒸気供給路89を有し、複数の前記出口流路83は、前記鉛直方向Dvから見た際に、少なくとも一部が前記部材挿通穴85から外れた位置に配置され、前記上半主蒸気供給路86及び前記下半主蒸気供給路89は、前記軸方向Daの片側のみで前記上半弁ケーシング4A及び前記下半弁ケーシング4Bの外部と連通し、前記上半弁ケーシング4Aは、前記入口流路81、前記入口開口部82、前記出口流路83、及び前記部材挿通穴85が内部に形成された上半弁ケーシング本体41と、前記上半弁ケーシング本体41に対して前記鉛直方向Dvの下方に配置されることで、前記上半弁ケーシング本体41とともに、前記上半主蒸気供給路86を形成する上半閉塞部材42と、前記上半弁ケーシング本体41と前記上半閉塞部材42とを溶接によって固定する溶接部Mとを有する。
【0120】
これにより、上半主蒸気供給路86が、上半弁ケーシング本体41に対して、鉛直方向Dvの下方に配置された上半閉塞部材42を溶接によって固定することで形成されている。そして、複数の出口流路83の一部は、上半弁ケーシング本体41に形成されている。つまり、上半閉塞部材42及が取り付けられる前には、複数の出口流路83の一部は、上半弁ケーシング本体41において鉛直方向Dvの下方で開放された状態となっている。そのため、上半弁ケーシング本体41に対して鉛直方向Dvの下方から切削加工することで、複数の出口流路83の一部を外部から容易に形成することができる。これにより、複数の出口流路83の一部を、単独の部品である上半弁ケーシング本体41に、外部から高い精度で形成することができる。また、外部と連通する入口流路81、入口開口部82、部材挿通穴85、複数の出口流路83の残部も上半弁ケーシング本体41に形成されている。そのため、上半弁ケーシング本体41に対して切削加工することで、入口流路81、入口開口部82、部材挿通穴85、複数の出口流路83の残部を外部から容易に形成することができる。これにより、入口流路81、入口開口部82、部材挿通穴85、複数の出口流路83の残部を、単独の部品である上半弁ケーシング本体41に、外部から高い精度で形成することができる。これらによって、上半弁ケーシング4Aに対して、鋳造を用いずに、内部に複数の流路を形成することができる。
【0121】
(2)第2の態様に係る車室3は、(1)の車室3であって、前記上半主蒸気供給路86は、前記軸方向Daから見た際に、円弧状に形成され、前記上半弁ケーシング本体41は、前記上半主蒸気供給路86において少なくとも一部が前記鉛直方向Dvの下方を向く外側Dro内周面を有し、前記上半閉塞部材42は、前記上半主蒸気供給路86において少なくとも一部が前記鉛直方向Dvの上方を向く内側Dri内周面を有する。
【0122】
これにより、上半主蒸気供給路86の内周面は、別々の部材に形成される。特に、上半弁ケーシング本体41において外側Dro内周面は、外面として形成される。同様に、上半閉塞部材42において内側Dri内周面も外面として形成される。そのため、外側Dro内周面及び内側Dri内周面を部材の外部から容易に形成することができる。これにより、精度の高い上半主蒸気供給路86を上半弁ケーシング4Aに形成することができる。
【0123】
(3)第3の態様に係る車室3は、(1)又は(2)の車室3であって、前記上半弁ケーシング本体41、前記上半閉塞部材42、前記胴体ブロック部、前記上半フランジ7A、及び前記下半フランジ7Bは、鍛造によって形成されている。
【0124】
これにより、車室3を構成するほとんどの部品を鋳造によって形成することなく、鍛造で形成することができる。
【0125】
(4)第4の態様に係る車室3は、(1)から(3)のいずれか一つの車室3であって、前記下半弁ケーシング4Bは、前記下半主蒸気供給路89と接続され、前記第一方向に延びて外部と連通する下半弁連通孔88を有し、前記下半フランジ7Bは、前記第一方向から見た際に、前記下半弁連通孔88を塞ぐように配置されている。
【0126】
これにより、下半弁連通孔88は、下半弁ケーシング4Bの外部から容易に形成できる。さらに、下半弁ケーシング4Bの側面に形成された下半弁連通孔88の開口が一対の下半フランジ7Bによって塞がれている。そのため、下半フランジ7Bが取り付けられることで、下半弁ケーシング4Bの側面で開口する下半弁連通孔88が、外部から閉塞された流路となる。つまり、下半弁連通孔88を形成する面の一部として下半フランジ7Bを利用することができる。これにより、精度の高い下半弁連通孔88を下半弁ケーシング4Bの実質的な内部に形成することができる。
【0127】
(5)第5の態様に係る車室3は、(1)から(4)のいずれか一つの車室3であって、前記弁ケーシングに対して前記軸方向Daに離れた位置で前記車室胴体5、前記上半フランジ7A、及び前記下半フランジ7Bに接続され、前記車室胴体5内と連通する抽気弁ケーシング6をさらに備え、前記抽気弁ケーシング6は、前記鉛直方向Dvの上方を向く上面と、前記上面における前記第一方向に離れた位置で開口する抽気入口流路91、前記抽気入口流路91に対して前記軸方向Daに離れた位置かつ前記上面における前記第一方向に離れた位置で開口する複数の抽気出口流路92、及び、複数の前記抽気出口流路92の一部と連通されて湾曲している上半抽気供給路93、を有する上半抽気弁ケーシング6Aと、前記上半抽気弁ケーシング6Aに対して前記鉛直方向Dvの下方に配置され、複数の前記抽気出口流路92の残部と連通されて湾曲している下半抽気供給路97を有する下半抽気弁ケーシング6Bとを有し、前記上半抽気供給路93は、前記軸方向Daの片側のみで前記上半抽気弁ケーシング6Aの外部と連通している。
【0128】
これにより、上半抽気弁ケーシング6Aに対して鉛直方向Dvの上方から切削加工することで、抽気入口流路91、抽気出口流路92、第二抽気出口流路922、第三抽気出口流路923、及び第四抽気出口流路924を外部から容易に形成することができる。これにより、抽気入口流路91及び複数の抽気出口流路92を、単独の部品である上半抽気弁ケーシング6Aに、外部から高い精度で形成することができる。さらに、複数の抽気出口流路92の一部と連通された上半抽気供給路93は、湾曲した形状とされているだけでなく、軸方向Daの第二側Da2のみで抽気弁ケーシング6の外部と連通した構造となっている。そのため、上半抽気弁ケーシング6Aに対して軸方向Daの第二側Da2から切削加工することで、上半抽気供給路93を外部から容易に形成することができる。これにより、精度の高い上半抽気供給路93を単独の部品である上半抽気弁ケーシング6Aに、外部から高い精度で形成することができる。これらによって、上半抽気弁ケーシング6Aに対して、鋳造を用いずに、内部に複数の流路を形成することができる。
【0129】
(6)第6の態様に係る車室3は、(5)の車室3であって、前記下半抽気弁ケーシング6Bは、前記下半抽気供給路97と接続され、前記第一方向に延びて前記抽気弁ケーシング6の外部と連通する下半抽気弁連通孔96を有し、前記下半フランジ7Bは、前記第一方向から見た際に、前記下半抽気弁連通孔96を塞ぐように配置されている。
【0130】
これにより、下半抽気弁連通孔96は、下半抽気弁ケーシング6Bの外部から容易に形成できる。さらに、下半弁ケーシング4Bの側面に形成された下半弁連通孔88の開口が一対の下半フランジ7Bによって塞がれている。そのため、下半フランジ7Bが取り付けられて下半車室3Bが形成されることで、下半弁ケーシング4Bの側面で開口する下半弁連通孔88が、外部から閉塞された流路となる。つまり、下半弁連通孔88を形成する面の一部として下半フランジ7Bを利用することができる。これにより、精度の高い下半弁連通孔88を下半弁ケーシング4Bの実質的な内部に形成することができる。
【0131】
(7)第7の態様に係る車室の製造方法S1は、鉛直方向Dvの上方の上半弁ケーシング4Aと前記鉛直方向Dvの下方の下半弁ケーシング4Bとを有し、蒸気タービン1において供給される蒸気の供給量を調整可能な調整弁の弁ケーシングと、前記鉛直方向Dvの上方の上半胴体5Aと前記鉛直方向Dvの下方の下半胴体5Bとを有し、軸方向Daに延びる軸線Oを中心とする筒状に形成され、前記弁ケーシングと接続された車室胴体5と、前記上半胴体5Aに対して前記軸線O周りの周方向Dcの両端部で、前記上半弁ケーシング4A及び前記上半胴体5Aに接続され、前記軸方向Daに延びる一対の上半フランジ7Aと、前記下半胴体5Bに対して前記周方向Dcの両端部で、前記下半弁ケーシング4B及び前記下半胴体5Bに接続され、前記軸方向Daに延びる一対の下半フランジ7Bと、を備える車室の製造方法S1であって、前記上半胴体5A及び前記下半胴体5Bは、前記軸方向Daに並ぶ複数の胴体ブロック部をそれぞれ有し、前記上半弁ケーシング4Aは、弁体11が配置可能とされて、前記鉛直方向Dv及び前記軸方向Daに対して直交する第一方向に直線状に形成された入口流路81と、前記入口流路81へ流体を流入可能とされて前記入口流路81の前記第一方向の端部を外部と連通させる入口開口部82と、前記入口流路81内の前記流体を前記鉛直方向Dvに流出させるように、前記第一方向に離れた位置で前記入口流路81と連通する複数の出口流路83と、前記鉛直方向Dvで複数の前記出口流路83と対向した位置で前記入口流路81と外部とを連通する部材挿通穴85と、複数の前記出口流路83の一部と連通されて湾曲している上半主蒸気供給路86と、を有し、前記下半弁ケーシング4Bは、複数の前記出口流路83の残部と連通されて湾曲している下半主蒸気供給路89を有し、複数の前記出口流路83は、前記鉛直方向Dvから見た際に、少なくとも一部が前記部材挿通穴85から外れた位置に配置され、前記上半主蒸気供給路86及び前記下半主蒸気供給路89は、前記軸方向Daの片側のみで前記上半弁ケーシング4A及び前記下半弁ケーシング4Bの外部と連通し、前記上半弁ケーシング4Aは、前記入口流路81、前記入口開口部82、前記出口流路83、及び前記部材挿通穴85が内部に形成された上半弁ケーシング本体41と、前記上半弁ケーシング本体41に対して前記鉛直方向Dvの下方に配置されることで、前記上半弁ケーシング本体41とともに、前記上半主蒸気供給路86を形成する上半閉塞部材42と、前記上半弁ケーシング本体41と前記上半閉塞部材42とを溶接によって固定する溶接部Mとを有し、前記上半弁ケーシング本体41及び前記上半閉塞部材42を製造する工程と、前記上半弁ケーシング本体41と前記上半閉塞部材42とを溶接する工程S222と、を含み、前記製造する工程では、鍛造で形成された一の鍛造部材を切削することで、前記上半弁ケーシング本体41及び前記上半閉塞部材42を製造する。
【符号の説明】
【0132】
1…蒸気タービン
2…ロータ
21…回転軸
22…動翼
O…軸線
23A…第一軸受
23B…第二軸受
3…車室
3A…上半車室
3B…下半車室
315A…上半ダイヤフラム
315B…下半ダイヤフラム
317…静翼
MP…蒸気主流路
RH…回転軸挿通穴
4…入口弁ケーシング
4A…上半弁ケーシング
81…入口流路
82…入口開口部
821…第一入口開口部
822…第二入口開口部
83…出口流路
831…第一出口流路
832…第二出口流路
833…第三出口流路
834…第四出口流路
83a…小径流路
83b…大径流路
85…部材挿通穴
851…第一部材挿通穴
852…第二部材挿通穴
86…上半主蒸気供給路
865…上半外側内周面
867…上半内側内周面
861…第一上半主蒸気供給路
862…第二上半主蒸気供給路
41…上半弁ケーシング本体
42…上半閉塞部材
421…第一上半閉塞部材
422…第二上半閉塞部材
43…上半入口ノズル
431…第一上半入口ノズル
432…第二上半入口ノズル
4B…下半弁ケーシング
87…接続流路
871…第一接続流路
872…第二接続流路
88…下半弁連通孔
881…第一下半弁連通孔
882…第二下半弁連通孔
89…下半主蒸気供給路
895…下半外側内周面
897…下半内側内周面
891…第一下半主蒸気供給路
892…第二下半主蒸気供給路
11…弁体
12…インナーバー
13…ロッド
5…車室胴体
5A…上半胴体
50A…上半胴体ブロック部
51A…上流上半胴体ブロック部
52A…中間上半胴体ブロック部
53A…下流上半胴体ブロック部
5B…下半胴体
50B…下半胴体ブロック部
51B…上流下半胴体ブロック部
52B…下流下半胴体ブロック部
6…抽気弁ケーシング
6A…上半抽気弁ケーシング
91…抽気入口流路
92…抽気出口流路
921…第一抽気出口流路
922…第二抽気出口流路
923…第三抽気出口流路
924…第四抽気出口流路
93…上半抽気供給路
931…第一上半抽気供給路
932…第二上半抽気供給路
6B…下半抽気弁ケーシング
94…抽気排出流路
95…抽気接続流路
951…第一抽気接続流路
952…第二抽気接続流路
96…下半抽気弁連通孔
961…第一下半抽気弁連通孔
962…第二下半抽気弁連通孔
97…下半抽気供給路
971…第一下半抽気供給路
972…第二下半抽気供給路
61…下半抽気弁ケーシング本体
62…抽気排出ノズル
7A…上半フランジ
71A…第一上半溝
72A…第二上半溝
7B…下半フランジ
71B…第一下半溝
72B…第二下半溝
M…溶接部
Da…軸方向
Da1…第一側
Da2…第二側
Dr…径方向
Dro…外側
Dri…内側
Dv…鉛直方向
Dh…水平方向
Dc…周方向
S1…車室の製造方法
S2…複数の金属部材を形成する工程
S21…上半弁ケーシングを製造する工程
S221…上半弁ケーシングの部品を製造する工程
S222…溶接する工程
S22…下半弁ケーシングを製造する工程
S23…胴体ブロックを製造する工程
S24…上半抽気弁ケーシングを製造する工程
S25…下半抽気弁ケーシングを製造する工程
S26…上半フランジを製造する工程
S27…下半フランジを製造する工程
S3…複数の金属部材を配置する工程
S4…車室を形成する工程