(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114319
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】発電装置、発電システム、発電方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02P 9/00 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H02P9/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020003
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 好佑
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 勝善
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590CA01
5H590CA08
5H590CC01
5H590CC29
5H590CD01
5H590CD03
5H590DD33
5H590EA07
5H590FC15
5H590FC25
5H590FC27
5H590JA02
(57)【要約】
【課題】主励磁機の整流器が受ける交流電力の交流電圧に基づいて、発電機が発電するための磁場を発生させる場合に、低電力の交流電力であり、低圧の交流電圧を出力する交流電源を用いることのできる発電装置を提供する。
【解決手段】発電装置は、発電機が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源と、第1電源から第1交流電圧が出力されている場合、第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成する第1装置と、第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成する主励磁機と、第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電する発電機と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源と、
前記第1電源から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成する第1装置と、
前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成する主励磁機と、
前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電する前記発電機と、
を備える発電装置。
【請求項2】
前記第1磁場を発生させる電磁石のコイルである第1界磁巻線、
を備える請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記第2磁場を発生させる電磁石のコイルである第2界磁巻線、
を備える請求項1に記載の発電装置。
【請求項4】
前記第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する電源であって、前記第1交流電圧と同じ低圧の第5交流電圧を、前記第1交流電圧から独立して出力可能な第2電源と、
前記第1交流電圧に代わって前記第5交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第5交流電圧よりも正弦波に近い第6交流電圧を生成可能な第2装置と、
を備え、
前記第2電源は、
前記第1電源から前記第1交流電圧が出力されていない場合、前記第5交流電圧を出力する、
請求項1に記載の発電装置。
【請求項5】
前記第1電源と前記第2電源とを切り替える切替部、
を備える請求項4に記載の発電装置。
【請求項6】
前記第2装置は、
前記第5交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第5交流電圧よりも正弦波に近い第6交流電圧を生成する、
を備える請求項4に記載の発電装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の発電装置と、
ロータ軸を回転させるタービンであって、前記ロータ軸を介して前記発電装置が備える前記発電機に接続されるタービンと、
を備える発電システム。
【請求項8】
発電機が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源を備える発電装置が実行する発電方法であって、
前記第1電源から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成することと、
前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成することと、
前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電することと、
を含む発電方法。
【請求項9】
発電機が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源を備える発電装置のコンピュータに、
前記第1電源から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成することと、
前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成することと、
前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電装置、発電システム、発電方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンやガスタービンを用いて発電機の回転子を回転させることにより発電する発電システムがある。特許文献1には、関連する技術として、発電機の励磁装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蒸気タービンやガスタービンを用いて発電機の回転子を回転させることにより発電する場合、発電機の界磁巻線、発電機の整流器及び主励磁装置、主励磁機の整流器により磁場を発生させ、発電機の回転子をその磁場中に存在させる必要がある。主励磁装置は主励磁機及び主励磁機の界磁巻線で構成され、外部から交流電力を受け、受けた交流電力を主励磁機の整流器に入力する。そして、主励磁機の整流器による整流後の直流電力により主励磁機の界磁巻線に直流電流が流れることにより、主励磁機の回転子の周囲に磁場が発生する。これにより主励磁機から交流電力を発生させる事ができる。主励磁機で発生させた交流電力は発電機の整流器に入力する。そして、発電機の整流器による整流後の直流電力により発電機の界磁巻線に直流電流が流れることにより、発電機の回転子の周囲に磁場が発生する。このように、発電機の回転子を磁場中に存在させている。
【0005】
ところで、主励磁機の整流器が受ける交流電力は商用交流電源から供給されることがある。その商用交流電源には、主励磁装置を備える発電システム以外の負荷も接続され得る。そのため、商用交流電源から供給される交流電力の交流電圧は、正弦波から歪む(電圧変動や高調波、停電が発生する)ことがある。主励磁機の整流器が受ける交流電力の交流電圧が正弦波から歪む場合、所望の磁場を発生させることができず、発電機による発電が適切に行われない可能性がある。このような理由により、主励磁機の整流器が受ける交流電力を交流高圧にすることにより、負荷が変化した場合の電圧変動やノイズによる電圧変動の影響を抑制している。つまり、主励磁機の整流器が受ける交流電力の交流電圧の電圧変動を抑制するためには、歪みの少ない交流高圧の商用交流電源が必要になる。
【0006】
一方で、主励磁機の整流器が受ける交流電力は交流高圧回路から供給される電力としては小さいため(電流が小さいため)、回路保護の観点から交流低圧回路から供給することが一般的である。そのため、主励磁機の整流器が受ける交流電力を交流低圧回路から供給し、歪みの影響を低減することのできる技術が求められる。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、主励磁機の整流器が受ける交流電力を交流低圧回路から供給し、歪みの影響を低減することのできる発電装置、発電システム、発電方法、及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る発電装置は、発電機が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源と、前記第1電源から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成する第1装置と、前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成する主励磁機と、前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電する前記発電機と、を備える。
【0009】
本開示に係る発電システムは、上記の発電装置と、ロータ軸を回転させるタービンであって、前記ロータ軸を介して前記発電装置が備える前記発電機に接続されるタービンと、を備える。
【0010】
本開示に係る発電方法は、発電機が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源を備える発電装置が実行する発電方法であって、前記第1電源から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成することと、前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成することと、前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電することと、を含む。
【0011】
本開示に係るプログラムは、発電機が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源を備える発電装置のコンピュータに、前記第1電源から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成することと、前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成することと、前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る発電装置、発電システム、発電方法、およびプログラムによれば、主励磁機の整流器が受ける交流電力の交流電圧に基づいて、発電機が発電するための磁場を発生させる場合に、低電力の交流電力であり、低圧の交流電圧を出力する交流電源を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第1実施形態による発電システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示の第1実施形態による電源改質装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】本開示の第1実施形態による発電システムのプログラムの処理フローの一例を示す図である。
【
図4】本開示の第2実施形態による発電システムの構成の一例を示す図である。
【
図5】本開示の第2実施形態による切替部の構成の一例を示す図である。
【
図6】本開示の第3実施形態による発電システムの構成の一例を示す図である。
【
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。本開示の第1実施形態による発電システム1について説明する。
【0015】
(発電システムの構成)
図1は、本開示の第1実施形態による発電システム1の構成の一例を示す図である。発電システム1は、
図1に示すように、発電装置10、低圧電源20(第1電源の一例)、タービン30、およびロータ軸40を備える。発電システム1は、発電装置10が備える後述する発電機101が発電するための磁場を低圧の交流電源から生成して発電するシステムである。
【0016】
発電装置10は、
図1に示すように、発電機101、整流器102、整流器104、電源改質装置105(第1装置の一例)、および主励磁装置108を備える。
【0017】
発電機101は、第1界磁巻線101aを備える。第1界磁巻線101aは、直流電流を流すことにより、発電機101が発電するための磁場を発生させる。例えば、第1界磁巻線101aは、電磁石のコイルである。発電機101は、
図1に示すように、ロータ軸40を介してタービン30および後述する主励磁機103に接続される。発電機101は、タービン30が回転し、磁場中で発電機101の回転子を有するロータを回転させることにより発電する。例えば、発電機101は、発電した電力を昇圧用変圧器へ出力する。
【0018】
整流器102は、主励磁機103が生成する交流電力を整流することにより直流電力を生成する。整流器102は、生成した直流電力を第1界磁巻線101aに供給する。この直流電力により、第1界磁巻線101aに直流電流が流れる(すなわち、発電機101が発電するための磁場が発生する)。整流器102の例としては、ダイオードやサイリスタ等のパワー半導体を用いた回路により交流電力を直流電力に変換するコンバータ装置等の電力変換装置等が挙げられる。
【0019】
主励磁装置108は、主励磁機103および第2界磁巻線103aを備える。第2界磁巻線103aは、直流電流を流すことにより、主励磁機103が交流電力を生成するための磁場を発生させる。例えば、第2界磁巻線103aは、電磁石のコイルである。主励磁機103は、タービン30が回転し、磁場中で主励磁機103の回転子を有するロータを回転させることにより交流電力を生成する。なお、主励磁機103が生成する電力は、発電機101が発電するための磁場を発生させるためだけに使用される電力である。そのため、主励磁機103が生成する電力は、発電機101が発電する電力よりも小さい。主励磁機103は、生成した交流電力を整流器102に出力する。
【0020】
整流器104は、電源改質装置105が出力する交流電力を整流することにより直流電力を生成する。整流器104は、生成した直流電力を第2界磁巻線103aに供給する。この直流電力により、第2界磁巻線103aに直流電流が流れる(すなわち、主励磁機103が交流電力を生成するための磁場が発生する)。整流器104の例としては、ダイオードやサイリスタ等のパワー半導体を用いた回路により交流電力を直流電力に変換するコンバータ装置等の電力変換装置等が挙げられる。
【0021】
電源改質装置105は、低圧電源20から供給される交流電力の交流電圧の変動を改善する。そして、電源改質装置105は、改善した交流電圧を整流器104に出力する。
図2は、本開示の第1実施形態による電源改質装置105の構成の一例を示す図である。例えば、電源改質装置105は、
図2に示すように、コンバータ105a、およびインバータ105bを備える。
【0022】
コンバータ105aは、低圧電源20から供給される交流電圧を直流電圧に変換する。コンバータ105aは、変換後の直流電圧をインバータ105bに出力する。また、インバータ105bは、コンバータ105aが出力した直流電圧を交流電圧(すなわち、交流電力)に変換する。インバータ105bは、変換後の交流電力を整流器104に出力する。つまり、電源改質装置105は、低圧電源20から供給される交流電圧を、歪みの大小に影響を受け難い直流電圧(すなわち、ほぼ一定の電圧)に変換する。そして、電源改質装置105は、ほぼ一定の電圧を、ほぼ正弦波であり歪みがほぼない交流電圧に変換する。よって、電源改質装置105により、低圧電源20から供給される交流電圧を、歪みがほぼない交流電圧に変換することができる。
【0023】
低圧電源20は、低圧の交流電圧(例えば、AC(Alternating Current)600ボルトの電圧)を出力可能な商用交流電源である。低圧電源20には、発電システム1以外の負荷(不図示)が接続される場合がある。そのため、低圧電源20から供給される交流電圧は、歪みが大きくなる可能性がある。低圧電源20は、交流電圧を電源改質装置105に出力する。なお、低圧電源20は、整流器102に交流電力を供給しても発電機101が発電するための磁場を発生させることができない大きさの電力しか出力することのできない電源である。
【0024】
タービン30は、ロータ軸40を回転させる。タービン30の例としては、蒸気タービン、ガスタービンなどが挙げられる。
【0025】
(発電システムが行う処理)
図3は、本開示の第1実施形態による発電システム1の処理フローの一例を示す図である。次に、発電システム1が行う処理について、
図3を参照して説明する。なお、タービン30は、ロータ軸40を回転させているものとする。
【0026】
低圧電源20は、交流電圧を電源改質装置105に出力する。電源改質装置105は、低圧電源20から供給される交流電力の交流電圧の変動を改善する(ステップS1)。例えば、電源改質装置105は、
図2に示すように、コンバータ105a、およびインバータ105bを備える。そして、電源改質装置105は、低圧電源20から供給される交流電圧を、歪みがほぼない交流電圧に変換する。電源改質装置105は、改善した交流電圧を整流器104に出力する。
【0027】
整流器104は、電源改質装置105が出力する交流電力を整流することにより直流電力を生成する(ステップS2)。整流器104は、生成した直流電力を第2界磁巻線103aに供給する。
【0028】
第2界磁巻線103aに直流電流が流れ、主励磁機103が交流電力を生成するための磁場が発生する(ステップS3)。主励磁機103は、タービン30が回転し、磁場中で主励磁機103の電機子コイル(回転子)を有するロータを回転させることにより交流電力を生成する(ステップS4)。主励磁機103は、生成した交流電力を整流器102に出力する。
【0029】
整流器102は、主励磁機103が生成する交流電力を整流することにより直流電力を生成する(ステップS5)。整流器102は、生成した直流電力を第1界磁巻線101aに供給する。
【0030】
第1界磁巻線101aに直流電流が流れ、発電機101が発電するための磁場が発生する(ステップS6)。発電機101は、タービン30が回転し、磁場中で発電機101の電機子コイル(回転子)を有するロータを回転させることにより発電する(ステップS7)。発電機101は、発電した電力を昇圧用変圧器へ出力する。
【0031】
(利点)
以上、本開示の第1実施形態による発電システム1について説明した。発電システム1において、発電装置10は、発電機101が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する低圧電源20(第1電源の一例)であって、第1交流電圧を出力可能な低圧電源20と、前記低圧電源20から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成する電源改質装置105(第1装置の一例)と、前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成する主励磁機103と、前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電する前記発電機101と、を備える。
【0032】
これにより、電源改質装置105は、交流電源が出力する低電力の交流電力であり、電圧変動の大きい低圧の交流電圧から、電圧変動の小さい交流電圧を生成することができる。その結果、発電システム1において、発電装置10は、主励磁機103の整流器104が受ける交流電力の交流電圧に基づいて、発電機が発電するための磁場を発生させる場合に、低電力の交流電力であり、低圧の交流電圧を出力する交流電源を用いることができる。
【0033】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態による発電システム1について説明する。以下では、本開示の第2実施形態による発電システム1が、本開示の第1実施形態による発電システム1と異なる点について主に説明する。
【0034】
(発電システムの構成)
図4は、本開示の第2実施形態による発電システム1の構成の一例を示す図である。発電システム1は、
図4に示すように、発電装置10、低圧電源20(第1電源の一例)、タービン30、およびロータ軸40に加えて、さらに、低圧電源50(第2電源の一例)を備える。
【0035】
発電装置10は、
図4に示すように、発電機101、整流器102、主励磁機103、整流器104、および電源改質装置105(第1装置の一例)に加えて、さらに、切替部106を備える。切替部106は、低圧電源20と低圧電源50とを切り替える。例えば、切替部106は、低圧電源20及び低圧電源50と、整流器104との間に設けられ、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されている場合、低圧電源50と整流器104との間の接続を切断する。また、切替部106は、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されていない場合、低圧電源50と整流器104との間を接続する。
図5は、本開示の第2実施形態による切替部106の構成の一例を示す図である。切替部106は、
図5に示すように、例えば無瞬断切替スイッチを用いて構成され、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されていない場合には無瞬断切替スイッチにより、低圧電源50からの交流電力の供給に無瞬断で切り替える事が可能になる。
【0036】
なお、本開示の第1実施形態では、整流器104に供給される交流電力は、電源改質装置105が出力する交流電力であるのに対して、本開示の第2実施形態では、整流器104に供給される交流電力は、電源改質装置105が出力する交流電力、または低圧電源50から供給される交流電力である。
図4に示す本開示の第2実施形態による発電システム1が行う処理は、その違いを考慮すれば、本開示の第1実施形態による発電システム1と同様に考えることができる。
【0037】
(利点)
以上、本開示の第2実施形態による発電システム1について説明した。発電システム1において、切替部106は、低圧電源20と低圧電源50とを切り替える。例えば、切替部106は、低圧電源20及び低圧電源50と、整流器104との間に設けられ、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されている場合、低圧電源50と整流器104との間の接続を切断する。また、切替部106は、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されていない場合、低圧電源50と整流器104との間を無瞬断で接続する。
【0038】
これにより、切替部106は、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されなくなった場合であっても、低圧電源50から発電装置10へ交流電力が供給させることができる。その結果、発電システム1において、発電装置10は、発電機101による発電を停止させずに発電運転を継続させることができる。
【0039】
<第3実施形態>
次に、本開示の第3実施形態による発電システム1について説明する。以下では、本開示の第3実施形態による発電システム1が、本開示の第2実施形態による発電システム1と異なる点について主に説明する。
【0040】
(発電システムの構成)
図6は、本開示の第3実施形態による発電システム1の構成の一例を示す図である。発電システム1は、
図6に示すように、発電装置10、低圧電源20(第1電源の一例)、タービン30、ロータ軸40、および低圧電源50(第2電源の一例)を備える。
【0041】
発電装置10は、
図6に示すように、発電機101、整流器102、主励磁機103、整流器104、電源改質装置105(第1装置の一例)、および切替部106に加えて、さらに、電源改質装置107(第2装置の一例)を備える。電源改質装置107は、
図6に示すように、低圧電源50と切替部106との間に設けられ、低圧電源50から供給される交流電力の交流電圧の歪みを改善する。そして、電源改質装置107は、改善した交流電圧を切替部106を介して整流器104に出力する。なお、電源改質装置107は、電源改質装置105と同様の構成であってもよい。
【0042】
切替部106は、低圧電源20と低圧電源50とを切り替える。例えば、切替部106は、電源改質装置105及び電源改質装置107と、整流器104との間に設けられ、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されている場合、電源改質装置107と整流器104との間の接続を無瞬断で切断する。また、切替部106は、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されていない場合、電源改質装置107と整流器104との間を接続する。切替部106は、
図5に示すような、本開示の第2実施形態による切替部106と同様に、例えば無瞬断切替スイッチを用いて構成され、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されていない場合には無瞬断切替スイッチにより、低圧電源50からの交流電力の供給に無瞬断で切り替える事が可能になる。
【0043】
なお、本開示の第2実施形態では、整流器104に供給される交流電力は、電源改質装置105が出力する交流電力、または低圧電源50から供給される交流電力であったのに対して、本開示の第3実施形態では、整流器104に供給される交流電力は、電源改質装置105が出力する交流電力、または電源改質装置107が出力する交流電力である。
図6に示す本開示の第3実施形態による発電システム1が行う処理は、その違いを考慮すれば、本開示の第2実施形態による発電システム1と同様に考えることができる。
【0044】
(利点)
以上、本開示の第3実施形態による発電システム1について説明した。発電システム1において、電源改質装置107は、低圧電源50から供給される交流電力の交流電圧の変動を改善する。
【0045】
これにより、電源改質装置107は、低圧電源50から整流器104に供給される交流電力の交流電圧の歪みを改善することができる。その結果、発電システム1において、発電装置10は、低圧電源20から発電装置10へ交流電力が供給されなくなった場合の発電機101による発電の信頼性を向上させることができる。
【0046】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0047】
本開示の実施形態における記憶部や記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部や記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0048】
本開示の実施形態について説明したが、上述の発電システム1、発電装置10、タービン30、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、
図7に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の発電システム1、発電装置10、タービン30、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0049】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0050】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。
【0052】
<付記>
本開示の各実施形態に記載の発電装置10、発電システム1、発電方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0053】
(1)第1の態様に係る発電装置(10)は、
発電機(101)が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源(20)であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源(20)と、
前記第1電源(20)から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成する第1装置(105)と、
前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成する主励磁機(103)と、
前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電する前記発電機(101)と、
を備える。
【0054】
この発電装置(10)は、主励磁機の整流器が受ける交流電力の交流電圧に基づいて、発電機が発電するための磁場を発生させる場合に、低電力の交流電力であり、低圧の交流電圧を出力する交流電源を用いることができる。
【0055】
(2)第2の態様に係る発電装置(10)は、(1)の発電装置(10)であって、
前記第1磁場を発生させる電磁石のコイルである第1界磁巻線(101a)、
を備えるものであってもよい。
【0056】
これにより、発電装置(10)は、発電機が発電するための磁場を発生させることができる。
【0057】
(3)第3の態様に係る発電装置(10)は、(1)または(2)の発電装置(10)であって、
前記第2磁場を発生させる電磁石のコイルである第2界磁巻線(103a)、
を備えるものであってもよい。
【0058】
これにより、発電装置(10)は、主励磁機が交流電力を生成するための磁場を発生させることができる。
【0059】
(4)第4の態様に係る発電装置(10)は、(1)から(3)のいずれか1つの発電装置(10)であって、
前記第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する電源であって、前記第1交流電圧と同じ低圧の第5交流電圧を、前記第1交流電圧から独立して出力可能な第2電源(50)と、
前記第1交流電圧に代わって前記第5交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第5交流電圧よりも正弦波に近い第6交流電圧を生成可能な第2装置(107)と、
を備え、
前記第2電源(50)は、
前記第1電源(20)から前記第1交流電圧が出力されていない場合、前記第5交流電圧を出力するものであってもよい。
【0060】
これにより、発電装置(10)は、第1電源から発電装置(10)へ交流電力が供給されなくなった場合であっても、第2電源から発電装置(10)へ交流電力が供給させることができる。その結果、発電システムにおいて、発電装置(10)は、発電機による発電を停止させずに発電運転を継続させることができる。
【0061】
(5)第5の態様に係る発電装置(10)は、(4)の発電装置(10)であって、
前記第1電源と前記第2電源とを切り替える切替部(106)、
を備えるものであってもよい。
【0062】
これにより、発電装置(10)は、第1電源から発電装置(10)へ交流電力が供給されなくなった場合であっても、第2電源から発電装置(10)へ交流電力が供給させることができる。その結果、発電システムにおいて、発電装置(10)は、発電機による発電を停止させずに発電運転を継続させることができる。
【0063】
(6)第6の態様に係る発電装置(10)は、(4)または(5)の発電装置(10)であって、
前記第2装置(107)は、
前記第5交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第5交流電圧よりも正弦波に近い第6交流電圧を生成するものであってもよい。
【0064】
これにより、発電装置(10)は、第2電源から供給される交流電力の交流電圧の歪みを改善することができる。
【0065】
(7)第7の態様に係る発電システム(1)は、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の発電装置と、
ロータ軸を回転させるタービンであって、前記ロータ軸を介して前記発電装置が備える前記発電機に接続されるタービンと、
を備える。
【0066】
この発電システム(1)は、主励磁機の整流器が受ける交流電力の交流電圧に基づいて、発電機が発電するための磁場を発生させる場合に、低電力の交流電力であり、低圧の交流電圧を出力する交流電源を用いることができる。
【0067】
(8)第8の態様に係る発電方法は、
発電機が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源を備える発電装置が実行する発電方法であって、
前記第1電源から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成することと、
前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成することと、
前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電することと、
を含む。
【0068】
この発電方法は、主励磁機の整流器が受ける交流電力の交流電圧に基づいて、発電機が発電するための磁場を発生させる場合に、低電力の交流電力であり、低圧の交流電圧を出力する交流電源を用いることができる。
【0069】
(9)第9の態様に係るプログラムは、
発電機が発電するための磁場である第1磁場を発生させることのできる電力よりも小さな電力を出力する第1電源であって、第1交流電圧を出力可能な第1電源を備える発電装置のコンピュータに、
前記第1電源から前記第1交流電圧が出力されている場合、前記第1交流電圧から直流電圧を生成し、生成した直流電圧から前記第1交流電圧よりも正弦波に近い第2交流電圧を生成することと、
前記第2交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する第2磁場中で、第3交流電圧の交流電力を生成することと、
前記第3交流電圧の交流電力から生成された直流電力に基づいて発生する前記第1磁場中で、第4交流電圧の交流電力を発電することと、
を実行させる。
【0070】
このプログラムは、主励磁機の整流器が受ける交流電力の交流電圧に基づいて、発電機が発電するための磁場を発生させる場合に、低電力の交流電力であり、低圧の交流電圧を出力する交流電源を用いることができる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・発電システム
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・発電装置
20・・・低圧電源(第1電源)
30・・・タービン
40・・・ロータ軸
50・・・低圧電源(第2電源)
101・・・発電機
101a・・・第1界磁巻線
102、104・・・整流器
103・・・主励磁機
103a・・・第2界磁巻線
105・・・電源改質装置(第1装置)
105a・・・コンバータ
105b・・・インバータ
106・・・切替部
107・・・電源改質装置(第2装置)