(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114329
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置及びキャリッジ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240816BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B41J2/14
B41J2/01 123
B41J2/01 303
B41J2/01 307
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020015
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石谷 拓也
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056FB03
2C056HA07
2C056HA37
2C057AG11
(57)【要約】
【課題】インクヘッド数が増加しても大幅なコストアップ及び大型化を抑制し、生産性を維持して高解像度化の捺染が実現できるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、布を搬送する布搬送方向と直交する主走査方向への走査中に布にインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドに併設され、主走査方向への走査中にインクジェットヘッドと共に移動し、布に処理液を吐出する処理液用吐出ヘッドと、インクジェットヘッドと処理液用吐出ヘッドとを搭載してインクジェットヘッド及び処理液用吐出ヘッドを主走査方向に走査するキャリッジと、を備え、インクジェットヘッドのノズル数は、主走査方向に直交する方向にて、処理液用吐出ヘッドのノズル数に比して多数設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布を搬送する布搬送方向と直交する主走査方向への走査中に前記布にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドに併設され、前記主走査方向への走査中に前記インクジェットヘッドと共に移動し、前記布に処理液を吐出する処理液用吐出ヘッドと、
前記インクジェットヘッドと前記処理液用吐出ヘッドとを搭載して前記インクジェットヘッド及び前記処理液用吐出ヘッドを前記主走査方向に走査するキャリッジと、
を備え、
前記インクジェットヘッドのノズル数は、前記主走査方向に直交する方向にて、前記処理液用吐出ヘッドのノズル数に比して多数設けられているインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドのノズル数は、前記処理液用吐出ヘッドのノズル数の倍数である、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記インクジェットヘッドの数は、前記処理液用吐出ヘッドの数に比して多数設けられている、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記キャリッジを走査させるよう制御する制御部を備える、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記主走査方向への往復数は、前記インクジェットヘッドの数を前記処理液用吐出ヘッドの数で割った商の比と同等以上である、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記処理液用吐出ヘッドは、前記インクジェットヘッドと前記主走査方向にて同じ並列に配置されている、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記処理液用吐出ヘッドは、2つ設けられ、
2つの前記処理液用吐出ヘッドは、前記インクジェットヘッドを挟んで前記インクジェットヘッドと前記主走査方向にて同じ並列に配置されている、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記処理液用吐出ヘッドは、前記インクジェットヘッドに対して前記布搬送方向の上流側にずれている、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記処理液用吐出ヘッドは、前記インクジェットヘッドに対して前記布搬送方向の下流側にずれている、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記処理液用吐出ヘッドは、2つ設けられ、
2つの前記処理液用吐出ヘッドは、前記処理液用吐出ヘッドの一方と前記主走査方向にて同じ並列又は異なる別の列に配置されている、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記処理液用吐出ヘッドが2つ設けられ、
2つの前記処理液用吐出ヘッドの一方が前記インクジェットヘッドに対して前記布搬送方向の上流側にずれ、2つの前記処理液用吐出ヘッドの他方が前記インクジェットヘッドに対して前記布搬送方向の下流側にずれている、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記インクは、顔料を含む、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記処理液は、凝集剤を含む、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記処理液は、樹脂分散液を含む、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記処理液用吐出ヘッドが2つ設けられ、
前記処理液用吐出ヘッドの一方の前記処理液は、凝集剤を含み、
前記処理液用吐出ヘッドの他方の前記処理液は、樹脂分散液を含む、
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
主走査方向への走査中に布にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドに併設され、前記主走査方向への走査中に前記インクジェットヘッドと共に移動し、前記布に処理液を吐出する処理液用吐出ヘッドと、
を搭載し、
前記インクジェットヘッド及び前記処理液用吐出ヘッドを前記主走査方向に走査するキャリッジであって、
前記インクジェットヘッドのノズル数は、前記主走査方向に直交する方向にて、前記処理液用吐出ヘッドのノズル数に比して多数設けられているキャリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びキャリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走査型の捺染インクジェット記録装置は、キャリッジの主走査方向への走査中にインクを吐出するインクジェットヘッドを備える。主走査方向に走査されるインクジェットヘッドにおいて、前後の処理液用吐出ヘッドを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。インクジェットヘッドに対して主走査方向の片側には、前処理液を吐出する前処理液用吐出ヘッドが設けられている。インクジェットヘッドに対して前処理液用吐出ヘッドとは反対側の主走査方向の片側には、後処理液を吐出する後処理液用吐出ヘッドが設けられている。
【0003】
すなわち、前処理液用ヘッドと後処理液用ヘッドとが、インクを吐出するインクジェットヘッドを挟み込んだ状態に配置されている。そして、これらヘッドが各液体を各ヘッドに供給するタンクと一体化されたユニットにそれぞれ構成されてキャリッジに搭載されている。
【0004】
ここで、インクは、布に吐出されて画像を形成する液体である。前処理液は、インクが濡れ広がる前に吐出される液体であり、インク吐出前又はインクと同一スキャン内に布に吐出される。後処理液は、インクが濡れ広がる際に吐出される液体であり、インク吐出後又はインクと同一スキャン内に布に吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、捺染用のインクジェット記録装置において、生産性を維持して高解像度で捺染するためには、インクヘッド数の増加が有効である。しかし、インク、前処理液及び後処理液のヘッド数を全て増加させることは、大幅なコストアップや大型化に繋がる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、インクヘッド数が増加しても大幅なコストアップや大型化を抑制し、生産性を維持して高解像度の捺染が実現できるインクジェット記録装置及びキャリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るインクジェット記録装置は、布を搬送する布搬送方向と直交する主走査方向への走査中に前記布にインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに併設され、前記主走査方向への走査中に前記インクジェットヘッドと共に移動し、前記布に処理液を吐出する処理液用吐出ヘッドと、前記インクジェットヘッドと前記処理液用吐出ヘッドとを搭載して前記インクジェットヘッド及び前記処理液用吐出ヘッドを前記主走査方向に走査するキャリッジと、を備え、前記インクジェットヘッドのノズル数は、前記主走査方向に直交する方向にて、前記処理液用吐出ヘッドのノズル数に比して多数設けられている。
【0009】
本発明に係るキャリッジは、主走査方向への走査中に布にインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに併設され、前記主走査方向への走査中に前記インクジェットヘッドと共に移動し、前記布に処理液を吐出する処理液用吐出ヘッドと、を搭載し、前記インクジェットヘッド及び前記処理液用吐出ヘッドを前記主走査方向に走査するキャリッジであって、前記インクジェットヘッドのノズル数は、前記主走査方向に直交する方向にて、前記処理液用吐出ヘッドのノズル数に比して多数設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インクヘッド数が増加しても大幅なコストアップや大型化を抑制し、生産性を維持して高解像度の捺染が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るキャリッジに搭載されたインクジェットヘッド、第1処理液用吐出ヘッド及び第2処理液用吐出ヘッドを示す平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド、第1処理液用吐出ヘッド及び第2処理液用吐出ヘッドにおけるノズル構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッド、第1処理液用吐出ヘッド及び第2処理液用吐出ヘッドの動作を示す図である。
【
図5】
図5は、キャリッジを布搬送方向下流側に半分ずらした状態を示す概念図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るインクの印字解像度を示す概念図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態の変形例1に係るインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態の変形例2に係るキャリッジに搭載されたインクジェットヘッド、第1処理液用吐出ヘッド及び第2処理液用吐出ヘッドを示す平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態の変形例3に係るキャリッジに搭載されたインクジェットヘッド、第1処理液用吐出ヘッド及び第2処理液用吐出ヘッドを示す平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態の変形例4に係るキャリッジに搭載されたインクジェットヘッド、第1処理液用吐出ヘッド第2及び処理液用吐出ヘッドを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
<インクジェット記録装置の全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置1を示す斜視図である。
図1に示されるXYZ三次元座標系は、XY面を水平面とし、Z方向を鉛直方向とする座標系であり、他の図に示す座標系と共通する座標系である。インクジェット記録装置1は、所定の布搬送方向に沿って搬送される記録媒体である布3に対してインクを吐出することにより画像を形成(印刷)する印刷装置である。
【0014】
インクジェット記録装置1は、
図1に示されるように、布3を搬送する搬送部2と、画像形成部4と、制御部30と、を備える。例えば、布3は、ウェブ状の布帛によって構成される。ただし、これに限られるものではなく、布3は、印刷用紙やフィルムなどであっても構わない。
【0015】
搬送部2は、ウェブ状又はシート状の布3を所定の搬送方向(
図1のY方向)に沿って搬送する。搬送部2は、一対の搬送ローラー2a、2bと、プラテン2cと、を備える。一対の搬送ローラー2a、2bは、図示しない搬送モーターの駆動によって、
図1のX方向に平行な回転軸を中心に回転する。これにより、一対の搬送ローラー2a、2bに架け渡された布3を布搬送方向(Y方向)に搬送する。プラテン2cは、一対の搬送ローラー2a、2bの間において上面が略水平となるように配置された板状の部材である。プラテン2cは、その上面で布3を支持する。また、プラテン2cに通気孔を設けて、布3とは反対側から空気を吸引することで布3をプラテン2cの上面に吸着させる構成としても良い。この場合、布3は、プラテン2cの上面に吸着された状態で所定の布搬送方向へ搬送される。尚、搬送部2の構成は上記に限られず、例えば一対の搬送ローラー2a、2bの間に無端状の搬送ベルトを架け渡し、搬送ローラー2a、2bの回転に応じて循環移動する搬送ベルトにより布3を搬送方向へ搬送する構成であってもよい。
【0016】
搬送部2は、布3を搬送方向(Y方向)に沿って間欠搬送する。すなわち、搬送部2は、布3を布搬送方向に所定量搬送した後、布3の搬送動作を停止させる。そして、画像形成部4によって布3に所定幅の画像が形成された後、搬送部2は、布3を布搬送方向に沿って再び所定量搬送した後、布3の搬送動作を停止させる。このように、搬送部2は、布搬送方向に布3を所定量搬送した後に搬送を停止する動作を繰り返す。
【0017】
画像形成部4は、搬送部2によって搬送される布3の上方位置を、布搬送方向(Y方向)に直交する方向(X方向)に横断するように配置される。そして、画像形成部4は、搬送部2による布3の搬送動作が停止しているときに、布3にインクを吐出することにより、布3に画像を形成する。画像形成部4は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクを吐出するインクジェットユニット11と、そのインクジェットユニット11を保持するキャリッジ10と、を備える。
【0018】
画像形成部4は、キャリッジ10を主走査方向への走査だけでなく主走査方向に直交する布搬送方向に間欠移動させる多関節のロボットアーム5を備える。
【0019】
キャリッジ10は、布3の上方を横断するロボットアーム5のアーム先端部5aに取り付けられ、ロボットアーム5に搭載されたモーターの駆動によって、布搬送方向(Y方向)と直交する移動方向(X方向)に沿って往復移動する。このキャリッジ10の移動方向(X方向)が、布3に画像を形成する際に、2段のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを有するインクジェットユニット11を走査させる主走査方向となる。すなわち、画像形成部4は、布3の搬送が停止しているときに、インクジェットユニット11を主走査方向へ走査させつつ、インクジェットユニット11から布3にインクを吐出することで画像を形成する。このとき、インクジェットユニット11は、印刷対象となる画像データに基づいて布3にインクを吐出する。そのため、インクジェットユニット11は、主走査方向へ移動しているとき、印刷対象となる画像データにおいて有効な画像成分が含まれている画像領域にインクを吐出し、有効な画像成分が含まれていない余白領域にはインクを吐出しない。
【0020】
また、キャリッジ10は、布3の上方を横断するロボットアーム5のアーム先端部5aに取り付けられ、ロボットアーム5に搭載されたモーターの駆動によって、布搬送方向(Y方向)にキャリッジ10の搬送方向長さの半分ずれて間欠移動する。そして、画像形成部4は、もう一度、布3の搬送が停止しているときに、インクジェットユニット11を主走査方向へ走査させつつ、インクジェットユニット11から布3にインクを吐出することで画像を形成する。このとき、インクジェットユニット11は、印刷対象となる画像データに基づいて布3にインクを吐出する。そのため、インクジェットユニット11は、主走査方向へ移動しているとき、印刷対象となる画像データにおいて有効な画像成分が含まれている画像領域にインクを吐出し、有効な画像成分が含まれていない余白領域にはインクを吐出しない。
【0021】
インクジェットユニット11は、主走査方向においてキャリッジ10の中央に設けられている。インクジェットユニット11は、布搬送方向においてキャリッジ10の中央にて2列に設けられている。
【0022】
また、キャリッジ10は、インクジェットユニット11の主走査方向の両側に、処理液用吐出ユニット12を備える。すなわち、主走査方向において、インクジェットユニット11の片側には第1処理液用吐出ヘッド12aを有する処理液用吐出ユニット12が配置され、もう一方の片側には第2処理液用吐出ヘッド12bを有する処理液用吐出ユニット12が配置されている。これら処理液用吐出ユニット12は、キャリッジ10の主走査方向においてインクジェットユニット11に併設されており、インクジェットユニット11と共に主走査方向に移動する。そして、処理液用吐出ユニット12は、インクジェットユニット11によって布3にインクが吐出される前、又は、インクが吐出された後に、所定の処理液を布3に吐出する。
【0023】
キャリッジ10は、布3の搬送路よりも更に外側へと移動可能である。そして、布3の搬送路よりも更に外側には、パージ桶6及び排液タンク8が設けられている。さらに、パージ桶6及び排液タンク8に隣接する位置には、クリーニング部20が設けられている。パージ桶6及び排液タンク8は、インクジェットユニット11及び処理液用吐出ユニット12のそれぞれからパージ排出されるインクや処理液を回収するためのものである。また、クリーニング部20は、インクジェットユニット11のインク吐出面、及び、処理液用吐出ユニット12の処理液吐出面に設けられるノズルをクリーニングするためのものである。クリーニング部20は、布3の布搬送方向と平行な方向(Y方向)に沿って配置されたレール部材21に配置されており、レール部材21に沿ってY方向に移動可能である。
【0024】
制御部30は、上述した各部の動作を制御する。制御部30は、MPUとメモリとIFポートとを有する。例えば、布3に対して画像形成を行うとき、制御部30は、布3を布搬送方向へ間欠搬送して画像形成位置に設定する。そして、制御部30は、布3の搬送を停止させている状態で、キャリッジ10を第1回目の主走査方向に沿って往路移動又は復路移動させる。その後、制御部30は、一旦キャリッジ10を自身の布搬送方向半分長さだけずらす。そして、制御部30は、布3の搬送を停止させている状態で、キャリッジ10を第2回目の主走査方向に沿って往路移動又は復路移動させる。その後、制御部30は、一旦キャリッジ10を自身の布搬送方向とは反対方向半分長さだけずらす。そして、制御部30は、布3の搬送を停止させている状態で、キャリッジ10を第3回目の主走査方向に沿って往路移動又は復路移動させる。なお、MPUは、上述した各部の動作を制御するハードウェアプロセッサの一例である。メモリは、上述した各部の動作を実現させるプログラムを記憶する非一時的な記憶媒体の一例である。
【0025】
制御部30では、主走査方向への往復数を、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kの数を第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの数で割った商の比と同等以上に制御する。例えば、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kが8つあり、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの数が2つある場合を考える。このとき、制御部30は、少なくとも8/2の往復数、つまり4往復数で主走査方向にキャリッジ10を往復移動させる。
【0026】
また、制御部30は、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズルをクリーニングするとき、キャリッジ10を、パージ桶6の上方位置又はクリーニング部20の上方位置へ移動させる。キャリッジ10をパージ桶6の上方位置へ移動させると、制御部30は、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bを駆動し、ノズルからインク及び処理液をパージ排出させる。これにより、ノズルの目詰まりを未然に防ぐことができる。また、キャリッジ10をクリーニング部20の上方位置へ移動させると、制御部30は、クリーニング部20を駆動し、Y方向に沿ってクリーニング部20を移動させる。これにより、クリーニング部20は、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズルを清掃することができる。
【0027】
<インクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの配置構成>
次に、キャリッジ10に搭載されるインクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bについて詳しく説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るキャリッジ10に搭載されたインクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bを示す平面図である。
【0028】
インクジェットユニット11は、Y、M、C、K4色のそれぞれの色のインクを吐出する複数の1段目及び2段目からなるインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを備える。複数のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kは、主走査方向に沿って所定間隔で配置されている。インクジェットユニット11は、布を搬送する布搬送方向と直交する主走査方向への走査中に布にインクを吐出するインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを有する。インクジェットユニット11には、例えばロボットアーム5に取り付けられインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに個別に接続する図示しないチューブを介してインクが供給されても良いし、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kにインクを供給する図示しないインクタンクが一体化されていても良い。処理液用吐出ユニット12は、インクジェットユニット11に併設され、主走査方向への走査中にインクジェットユニット11と共に移動し、布に処理液を吐出する第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bを有する。処理液用吐出ユニット12には、例えばロボットアーム5に取り付けられ第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bに個別に接続する図示しないチューブを介して処理液が供給されても良いし、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bに処理液を供給する図示しない処理液タンクが一体化されていても良い。キャリッジ10は、インクジェットユニット11と処理液用吐出ユニット12とを搭載してインクジェットユニット11及び処理液用吐出ユニット12を主走査方向に走査する。
【0029】
第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、2列のうちの一方の1列のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kと主走査方向にて同じ並列に配置されている。また、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、同じ間隔でインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに隣接した位置に2つ設けられている。このため、2つの第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、1列のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを挟んで1列のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kと主走査方向にて同じ並列に配置されている。言い換えると、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、主走査方向において複数のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kと同列上に配置されている。すなわち、複数のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kは、主走査方向の両側が第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bによって挟まれた配置である。ここでは、説明の便宜上、布搬送方向の上流側に配置された一方の1列のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを「1段目」のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kといい、布搬送方向の下流側に配置された他方の1列のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを「2段目」のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kという。以下、各列のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを区別する必要がある場合には、「1段目」と「2段目」を適宜書き添えて説明する。なお、本発明の実施形態ではインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kの列数(段数と称してもよい)を2列としたが、これは一例である。インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kの列数は、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bが併設された列数(本発明の実施形態では1列)よりも多くすることを前提として、3列以上であってもよい。
【0030】
ここで、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kは、8つ設けられている。インクは、少なくとも顔料を含んでいる。第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bが2つ設けられている。第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの一方の処理液は、凝集剤を含む。第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの他方の処理液は、樹脂分散液を含む。
【0031】
第1処理液用吐出ヘッド12aは、布3に対して第1処理液を吐出する。第1処理液は、布3にインクが吐出される前に、布3に吐出することが好ましい液体であり、前処理液として使用される。例えば、第1処理液は、顔料を含むインクを凝集させる凝集剤を含んでいる。凝集剤を含む第1処理液は、布3に吐出されたインク中の顔料を布3の表層付近で凝集させて留めることにより、色濃度を向上させることができる。
【0032】
第2処理液用吐出ヘッド12bは、布3に対して第2処理液を吐出する。第2処理液は、布3にインクが吐出される前に布3に吐出しても良いし、また布3にインクが吐出された後に布3に吐出しても良い。すなわち、第2処理液は、前処理液及び後処理液のいずれにも使用できる液体である。例えば、第2処理液は、溶液中に樹脂を分散させた樹脂分散剤を含んでいる。樹脂分散剤を含む第2処理液は、布3に吐出された後に乾燥することにより、布3の表面を硬化させ、摩擦堅牢性が向上させられる。
【0033】
<インクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bにおけるノズル構成>
図3は、本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bにおけるノズル構成を示す図である。各インクジェットヘッド11c、11m、11y、11cは、布3と対向する吐出面に、多数のノズル15を備える。多数のノズル15は、主走査方向に直交する布3の布搬送方向に沿って配置されている。多数のノズル15の布搬送方向長さは、布3に画像を形成する際の印字幅を規定する。各第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、布3と対向する吐出面に、多数のノズル16を備える。多数のノズル16は、主走査方向に直交する布3の布搬送方向に沿って配置されている。多数のノズル16の布搬送方向長さは、布3に処理液の塗布幅を規定する。
【0034】
インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル15の数は、主走査方向に直交する方向にて、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル16の数に比して多数設けられている。具体的には、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル15の数は、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル16の数の倍数である。すなわち、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル15の数は、主走査方向に直交する方向にて、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル16の数に比して2倍設けられている。ここでは、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル15の配置密度(ヘッド解像度とも称される)が第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル16の配置密度(同じくヘッド解像度とも称される)と同じである。それでも、1列目(1段目ともいう)のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル15から吐出されるインクが着弾する布3の位置から僅かにずれた布3の位置に、2列目(2段目ともいう)のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル15から吐出されるインクが着弾するように、布3の搬送、キャリッジ10の走査及びインクの吐出を適切に制御することで、布3に印字されるインク液滴の密度を高め、つまり印字解像度を高解像度化することができる。なお、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのヘッド解像度を第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのヘッド解像度の複数倍とすることでインクの印字解像度を高解像度化するようにしてもよい。また、本発明の実施形態では、単に「解像度」という場合は「印字解像度」を意味しており、また、インクか処理液かを特に区別しない限り、「印字解像度」は「インクの印字解像度」を意味する。
【0035】
<動作>
図4は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置1におけるインクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの動作を示す図である。
図5は、キャリッジ10を布搬送方向下流側に半分ずらした状態を示す概念図である。制御部30は、キャリッジ10を主走査方向の往復方向へ移動させているとき、第1処理液用吐出ヘッド12a、インクジェットヘッド11c,11m,11y,11k、及び、第2処理液用吐出ヘッド12bを駆動し、布3に画像を形成する。ここでは、1段目及び2段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを用いてインクが2度塗りされる場合を説明する。
【0036】
具体的には、制御部30は、キャリッジ10を主走査方向へ移動させながら、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bを駆動して第1、第2処理液を布3に吐出する。その後、制御部30は、1段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを駆動して布3にインクを吐出する。これにより、第1処理液及び第2処理液を、インクが吐出される前に、布3に吐出することができる。そして、1段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kは、第1、第2処理液が吐出された状態の布3に対してY、M、C、Kの各色のインクを吐出し、画像を形成する。なお、インクが布3に浸透するまでに第1、第2処理液がインクと混ざり合うことができる場合は、必ずしもインクの吐出の前に第1、第2処理液を吐出させなくてもよく、一度の走査においてインクと前処理液とを両方とも吐出させてよい。
【0037】
次に、制御部は、ロボットアーム5によってキャリッジ10を布搬送方向にキャリッジ10の布搬送方向半分長さだけ移動させる。そして、制御部30は、キャリッジ10の主走査方向の往復走査によって、2段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kは、1段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kによって画像形成された状態の布3に対してY、M、C、Kの各色のインクを吐出し、画像を形成する。その後、制御部30は、ロボットアーム5によってキャリッジ10を布搬送方向とは反対方向にキャリッジ10の布搬送方向半分長さだけ移動させる。
【0038】
制御部30は、布3に対して第2処理液を吐出するとき、印刷対象となる画像データに基づいて第2処理液用吐出ヘッド12bを駆動する。言い換えると、制御部30は、画像データにおいて有効な画像成分が含まれている画像領域のみに第2処理液を吐出し、画像データにおいて有効な画像成分が含まれていない余白領域には第2処理液を吐出しないように制御する。これにより、インクが吐出されない余白領域に第2処理液が吐出されてしまうことを防止でき、第2処理液の消費量が低減できる。したがって、余白領域にも第2処理液を吐出する動作と比較すると、ランニングコストが抑えられるという利点がある。
【0039】
<解像度の詳細>
ここで、インクの印字解像度が第1、第2処理液の印字解像度の2倍であることの詳細を説明する。
図6は、本発明の実施形態に係るインクの印字解像度を示す概念図である。インクの印字解像度は、同じインク塗布領域内に着弾可能な液滴数においてインクを第1、第2処理液の2倍とすることで、向上されている。これに対し、第1、第2処理液の印字解像度は、何度も液滴を塗布すると時間の無駄及び消費量の無駄になるので、同じインク塗布領域内に最小限の液滴数の第1、第2処理液を塗布する。
【0040】
<変形例1>
図7は、本発明の実施形態の変形例1に係るインクジェット記録装置1を示す斜視図である。変形例1では、キャリッジ10は、ロボットアーム5ではなく、第1レール部材9aによって主走査方向に往復動させる。また、キャリッジ10を搭載した第1レール部材9aは、1対の第2レール部材9bによって主走査方向に直交する方向に間欠移動させる。
【0041】
<変形例2>
図8は、本発明の実施形態の変形例2に係るキャリッジ10に搭載されたインクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1処理液用吐出ヘッド12aを示す平面図である。第1処理液用吐出ヘッド12aは、1段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向にて一致している。なお、第1処理液用吐出ヘッド12aは、2段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向にて一致していてもよい。なお、第1処理液用吐出ヘッド12aは、第2処理液用吐出ヘッド12bに置き換えられてもよい。
【0042】
<変形例3>
図9は、本発明の実施形態の変形例3に係るキャリッジ10に搭載されたインクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1処理液用吐出ヘッド12aを示す平面図である。第1処理液用吐出ヘッド12aは、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向の上流側にずれている。なお、第1処理液用吐出ヘッド12aは、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向の下流側にずれていてもよい。なお、第1処理液用吐出ヘッド12aは、第2処理液用吐出ヘッド12bに置き換えられてもよい。
【0043】
<変形例4>
図10は、本発明の実施形態の変形例4に係るキャリッジ10に搭載されたインクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1処理液用吐出ヘッド12aを示す平面図である。第1処理液用吐出ヘッド12aは、1段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向にて一致している。ここで、1段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kと2段目のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kとがお互いに布搬送方向にて自身の布搬送方向長さよりも小さくずれている。なお、第1処理液用吐出ヘッド12aは、第2処理液用吐出ヘッド12bに置き換えられてもよい。
【0044】
なお、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bが2つ設けられている場合に、2つの第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bが一方と主走査方向にて同じ並列又は異なる別の列に配置されていてもよい。また、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bが2つ設けられている場合に、一方がインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向の上流側にずれ、他方がインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向の下流側にずれていてもよい。
【0045】
<付記>
インクジェット記録装置1は、布3を搬送する布搬送方向と直交する主走査方向への走査中に布3にインクを吐出するインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを備える。インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに併設され、主走査方向への走査中に前記インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kと共に移動し、布3に処理液を吐出する第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bを備える。インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kと処理液用吐出ヘッド12a、12bとを搭載してインクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び処理液用吐出ヘッド12a、12bを主走査方向に走査するキャリッジ10を備える。インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル15の数は、主走査方向に直交する方向にて、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル16の数に比して多数設けられている。
【0046】
処理液は、透明であり、インクに比して解像度が低下しても問題ない。このため、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル数が低減できる。したがって、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kの数が増加しても大幅なコストアップ及び大型化を抑制することができ、生産性を維持して高解像度化が実現できる。また、処理液用吐出ユニット12のサイズがインクジェットユニット11に比して小型化できるため、目視や手触りでも処理液用吐出ユニット12とインクジェットユニット11との違いが分かる。
【0047】
インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル15の数は、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル16の数の倍数である。
【0048】
この構成よれば、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル数がインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル数の約数で低減できる。このため、処理液用吐出ユニット12のサイズがインクジェットユニット11の約数で小型化できる。
【0049】
インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kの数は、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの数に比して多数設けられている。
【0050】
この構成よれば、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの数をインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kの数に比して低減し、より多数のインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを設けることで、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bにおけるヘッド解像度とインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのヘッド解像度が同じであっても、インクの印字解像度を処理液の印字解像度よりも高くでき、これにより、コストアップ及び大型化を抑制し、生産性を維持して高解像度の捺染を実現できる。
【0051】
インクジェット記録装置1は、キャリッジ10の走査を制御する制御部30を備える。
【0052】
この構成によれば、スキャン型のインクジェット記録装置1を実現できる。
【0053】
主走査方向への往復数は、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kの数を第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの数で割った商の比と同等以上である。
【0054】
この構成によれば、処理液とインクとが布の全面に確実に塗布できる。
【0055】
第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kと主走査方向にて同じ並列に配置されている。
【0056】
この構成によれば、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bがインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して主走査方向にずれず、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bを搭載したキャリッジ10の面積が小さく抑えられる。
【0057】
第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、2つ設けられている。2つの第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを挟んでインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kと主走査方向にて同じ並列に配置されている。
【0058】
この構成によれば、主走査方向への往復の両方での印刷においても、処理液とインクとの塗布順が維持できる。
【0059】
第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向の上流側にずれていてもよい。
【0060】
この構成によれば、インク塗布前の処理液とインクとの塗布の時間間隔を開けられ、処理液が濡れ広がった状態でインクが塗布できる。
【0061】
第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向の下流側にずれていてもよい。
【0062】
この構成によれば、インクとインク塗布後の処理液との塗布の時間間隔を開けられ、インクが濡れ広がった状態で処理液が塗布できる。
【0063】
第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、2つ設けられている。2つの第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの一方と主走査方向にて同じ並列又は異なる別の列に配置されていてもよい。
【0064】
この構成によれば、複数種の処理液が塗布でき、所望の印刷品質が実現できる。
【0065】
第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bは、2つ設けられている。2つの第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの一方がインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向の上流側にずれ、2つの第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの他方がインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに対して布搬送方向の下流側にずれていてもよい。
【0066】
この構成によれば、複数種の処理液が塗布でき、所望の印刷品質が実現できる。
【0067】
インクは、顔料を含む。
【0068】
この構成によれば、布3に色を着けられる。
【0069】
処理液は、凝集剤を含む。
【0070】
この構成によれば、凝集剤は、インク中の顔料を凝集させ、顔料を布表層に留められる。これにより、布上に印刷した画像の発色が向上できる。
【0071】
処理液は、樹脂分散液を含む。
【0072】
この構成によれば、樹脂分散液の塗布によって布繊維への顔料固着強度が向上できる。これにより、画像を印刷した布3の摩擦堅牢性が向上できる。
【0073】
第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bが2つ設けられている。第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの一方の処理液は、凝集剤を含む。第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bの他方の処理液は、樹脂分散液を含む。
【0074】
この構成によれば、布上にプリントした画像の発色が向上でき、且つ、画像をプリントした布の摩擦堅牢性が向上できる。
【0075】
インクジェット記録装置1は、キャリッジ10を、主走査方向への走査だけでなく主走査方向に直交する方向に間欠移動させるロボットアーム5を備える。
【0076】
この構成によれば、ロボットアーム5を用いてキャリッジ10を主走査方向及び間欠移動でき、制御が容易である。
【0077】
インクジェット記録装置1は、キャリッジ10を主走査方向に走査させる第1レール部材9aを備える。インクジェット記録装置1は、キャリッジ10を搭載した第1レール部材9aを主走査方向に直交する方向に間欠移動させる1対の第2レール部材9bを備える。
【0078】
この構成によれば、第1レール部材9aを用いてキャリッジ10を主走査方向に移動でき、第2レール部材9bを用いてキャリッジ10を間欠移動でき、制御が容易である。
【0079】
キャリッジ10は、主走査方向への走査中に布3にインクを吐出するインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kを搭載する。キャリッジ10は、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kに併設され、主走査方向への走査中にインクジェットヘッド11c、11m、11y、11kと共に移動し、布3に処理液を吐出する第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bを搭載する。キャリッジ10は、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11k及び処理液用吐出ヘッド12a、12bを主走査方向に走査する。インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kのノズル15の数は、主走査方向に直交する方向にて、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル16の数に比して多数設けられている。
【0080】
この構成よれば、第1、第2処理液用吐出ヘッド12a、12bのノズル16の数が低減できる。したがって、インクジェットヘッド11c、11m、11y、11kの数が増加しても大幅なコストアップ及び大型化を抑制し、生産性を維持して高解像度化の捺染が実現できる。
【0081】
<その他>
インクジェット記録装置1は、フラットベッドスキャナーを備えてもよい。
【0082】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明は、主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 インクジェット記録装置
2 搬送部
2a 搬送ローラー
2b 搬送ローラー
2c プラテン
3 布
4 画像形成部
5 ロボットアーム
5a アーム先端部
6 パージ桶
8 排液タンク
9a 第1レール部材
9b 第2レール部材
10 キャリッジ
11 インクジェットユニット
11m インクジェットヘッド
11c インクジェットヘッド
11y インクジェットヘッド
11k インクジェットヘッド
12 処理液用吐出ユニット
12a 第1処理液用吐出ヘッド
12b 第2処理液用吐出ヘッド
15 ノズル
16 ノズル
20 クリーニング部
21 レール部材
30 制御部