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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114331
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】超音波診断システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020017
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 祐希
(72)【発明者】
【氏名】西垣 森緒
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601LL25
4C601LL40
(57)【要約】
【課題】超音波診断装置の電源として用意された複数のバッテリーが効率的に充電できる超音波診断システムを提供すること。
【解決手段】超音波診断システムは、超音波診断装置の電源として機能する複数のバッテリーと、前記複数のバッテリーの個別充電を切り替えて実行する制御部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置の電源として機能する複数のバッテリーと、
前記複数のバッテリーの個別充電を切り替えて実行する制御部と、
を有する超音波診断システム。
【請求項2】
前記複数のバッテリーは、第1バッテリーと第2バッテリーとを含み、
前記制御部は、前記第1バッテリーの個別充電と前記第2バッテリーの個別充電とを切り替える、
請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項3】
前記第1バッテリーは、前記超音波診断装置に内蔵され、
前記第2バッテリーは、前記超音波診断装置の外部に設けられている、
請求項2に記載の超音波診断システム。
【請求項4】
前記第2バッテリーは、前記超音波診断装置を着脱可能なカートに内蔵されている、
請求項3に記載の超音波診断システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記制御部は、前記第1バッテリーの個別充電を前記第2バッテリーの個別充電よりも優先する、
請求項3に記載の超音波診断システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数のバッテリーの個別充電を切り替えて実行する際に、前記複数のバッテリーからの放電を制御する、
請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数のバッテリーそれぞれの残容量に基づき、充電対象のバッテリーを切り替え、前記充電対象のバッテリーを外部電源と協働して充電する放電対象のバッテリーを切り替える、
請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数のバッテリーそれぞれの劣化度に基づき、充電対象のバッテリーを切り替え、前記充電対象のバッテリーを外部電源と協働して充電する放電対象のバッテリーを切り替える、
請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記複数のバッテリーそれぞれの不使用時間に基づき、充電対象のバッテリーを切り替え、前記充電対象のバッテリーを外部電源と協働して充電する放電対象のバッテリーを切り替える、
請求項1に記載の超音波診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使用者が超音波診断を行う場所まで運搬して使用しやすい可搬性を有する超音波診断システムがある。このような超音波診断システムは、外部電源からの電力供給に代えてバッテリーからの電力供給でも動作できる。
【0003】
しかし、バッテリーからの電力供給により動作する可搬型の超音波診断システムでは、電源の容量に限界がある。このため、診断に使用できる時間が、より大型で大容量バッテリーを搭載することが一般的である据置型の超音波診断システムと比較して短い。診断中にバッテリーの残容量が不足してしまうと、診断が中断されることに加え、診断に使用していた設定等がリセットされる。超音波診断システムを別の電源に接続して再起動したとしても、診断を再開させるために再設定や診断のやり直し等が発生するため、多大な労力が必要になる場合がある。このような場合に備え、例えば特許文献1には、多大な労力が必要になる事態を防止するために診断中のバッテリーの残容量不足を予防する技術が開示されている。
【0004】
特許文献1では、診断中のバッテリーの残容量不足を予防する方法として、バッテリーを複数用意することが提案されている。通常時には、比較的大容量の外部バッテリーからの電力供給によって超音波診断システムが動作する。そして、外部バッテリーの残容量が不足した場合に、予め超音波診断システムに内蔵された比較的小容量の内蔵バッテリーからの電力供給によって超音波診断システムが動作する。すなわち、特許文献1に記載された技術は、放電するバッテリーを切り替えながら複数のバッテリーから超音波診断システムへの電力供給を行う電源制御方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-213028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1には、複数用意されたバッテリーに対する充電制御についての記載が無い。複数のバッテリーに対する充電制御が実施されないと、それら複数のバッテリーから超音波診断装置への電力供給が必ずしも効率的に実施できないおそれがある。よって、特許文献1に記載された従来の電源制御方法には、超音波診断装置の電源として用意された複数のバッテリーの利用効率化の点で一定の限界がある。
【0007】
本発明の目的は、超音波診断装置の電源として用意された複数のバッテリーが効率的に充電できる超音波診断システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波診断システムの一態様は、
超音波診断装置の電源として機能する複数のバッテリーと、
前記複数のバッテリーの個別充電を切り替えて実行する制御部と、
を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、超音波診断装置の電源として用意された複数のバッテリーが効率的に充電できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る超音波診断システムの正面を示す外観斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る超音波診断システムの背面を示す外観斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る超音波診断システムの内部構成を模式的に示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る超音波診断システムの充放電切替機構を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る超音波診断システムの充放電の切替制御のメインフローを示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る超音波診断システムの充放電の切替制御において第1バッテリー残容量が第1所定値未満である場合のステップを示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る超音波診断システムの充放電の切替制御において第1バッテリー残容量が第2所定値未満である場合のステップを示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る超音波診断システムの充放電の切替制御において第1バッテリー劣化度が所定劣化度未満である場合のステップを示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る超音波診断システムの充放電の切替制御において第1バッテリー不使用時間が所定時間超である場合のステップを示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係る超音波診断システムの充放電の切替制御において第2バッテリー残容量が第1バッテリー残容量未満である場合のステップを示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態に係る超音波診断システムの充放電の切替制御において第1バッテリー残容量が第2バッテリー残容量超である場合のステップを示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係る超音波診断システムの充放電の切替制御において第2バッテリー不使用時間が第1バッテリー不使用時間超である場合のステップを示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態の変形例1に係る超音波診断システムの充放電切替機構を示すブロック図である。
図14図14は、実施形態の変形例2に係る超音波診断システムの充放電切替機構を示すブロック図である。
図15図15は、実施形態の変形例3に係る超音波診断システムの充放電切替機構を示すブロック図である。
図16図16は、実施形態の変形例4に係る超音波診断システムの充放電切替機構を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<超音波診断システム100の外観構成>
図1、2は、本発明の実施形態に係る超音波診断システム100の正面及び背面をそれぞれ示す外観斜視図である。
【0013】
超音波診断システム100は、超音波診断装置101と、超音波診断装置101を載置かつ着脱可能なカート102と、を備える。超音波診断システム100は、使用者が超音波診断を行いたい場所まで運搬して使用する可搬性を有する、可搬型の超音波診断システムの一例である。
【0014】
カート102は、第2バッテリー110が内蔵された筐体111と、筐体111の下面部に配設されたキャスター部112と、を有する。筐体111の上部には、超音波診断装置101を着脱自在に搭載する着脱台111aが設けられている。第2バッテリー110は、超音波診断装置101の外部に設けられているが、超音波診断装置101の電源として機能する。第2バッテリー110は、予備のバッテリーと交換可能に構成されていてもよい。
【0015】
超音波診断装置101は、着脱台111aにアームを介して接続され着脱台111aの上方に配置されたディスプレイ113と、着脱台111aの上部に搭載された操作パネル114と、操作パネル114を主面に有する装置本体115と、装置本体115に内蔵された第1バッテリー116と、を有する。装置本体115は、背面側にてアームの根元部分に係合された状態で、正面側にて固定具111bに挟持されて、着脱台111aに固定される。第1バッテリー116は、超音波診断装置101の内部に設けられ、超音波診断装置101の電源として機能する。第1バッテリー116は、予備のバッテリーと交換可能に構成されていてもよい。
【0016】
筐体111は、第2バッテリー110を収納する収納箱である。筐体111は、例えば、略直方体形状を呈している。筐体111には、超音波診断装置101を回転操作又は着脱操作する際の持ち手となる取手部111cが設けられている。筐体111には、超音波プローブ1(図3参照)を載置するためのプローブホルダー111dが設けられている。筐体111には、超音波プローブ1を装置本体115に接続するケーブル(図示せず)を引っ掛ける複数のフック部111eが設けられている。
【0017】
キャスター部112は、筐体111の下面部に設けられ、超音波診断システム100を、床面に対して移動可能にする。筐体111の下面部には、例えば、4つの角部のそれぞれにキャスター部112が配設される。キャスター部112は、例えばドラムブレーキを構成するキャスターロックを有し、使用者の操作によりロック状態とロック解除状態とを変更可能に構成されており、ロック解除状態で移動可能(搬送可能)となり、ロック状態で位置が固定される。
【0018】
ディスプレイ113は、超音波画像や設定画面、各種情報を表示する。操作パネル114は、使用者からの入力操作を受け付ける。ディスプレイ113、及び操作パネル114が一体化された装置本体115は、筐体111から上方に突出する着脱台111aに支持されている。着脱台111aは、上下方向を軸として軸周りに旋回可能であるため、ディスプレイ113、及び操作パネル114が一体化された装置本体115は、着脱台111aの旋回に伴い水平方向に旋回可能である。なお、筐体111には、着脱台111aを筐体111に対して軸回りに旋回可能に支持する旋回機構(例えば、軸受機構)が設けられている。
【0019】
すなわち、超音波診断装置101は、使用者の手動操作で、筐体111に対して軸回りに旋回可能となっている。使用者は、使用環境に応じて超音波診断装置101の向きを自在に変更することができる。なお、旋回機構は、着脱台111aの回動をロックするロック部材(図示せず)を有し、通常時には、着脱台111aの回動をロックした状態で保持される。また、使用者の操作によって、ロック部材のロックが解除されたときに、超音波診断装置101は旋回可能となる。
【0020】
装置本体115は、使用者の手動操作で、筐体111(着脱台111a)に対して着脱自在となっている。すなわち、使用者は、使用環境に応じて装置本体115をカート102から離脱させることができる。なお、装置本体115を着脱台111aに載置して使用する場合には、装置本体115は、着脱台111aの固定具111bをロックした状態で保持される。使用者の操作によって、固定具111bのロックが解除されたときには、装置本体115をカート102から分離することが可能となる。
【0021】
超音波プローブ1は、超音波プローブ1の先端部において長手方向及び短手方向に二次元配列して構成された素子アレイをケース内に収納したものである。
【0022】
超音波プローブ1は、素子アレイ等を樹脂製のカバーで覆ったプローブ本体と、超音波診断装置101(装置本体115)に設けられたプローブコネクタに接続される接続端子と、プローブ本体と接続端子との間に延在して超音波プローブ1を装置本体115に接続するケーブルと、を含んで構成される。
【0023】
超音波プローブ1は、超音波検査時には、接続端子がプローブコネクタに接続され、プローブ本体が使用者に把持された状態で、使用される。
【0024】
なお、超音波プローブ1の種類としては、コンベックスプローブ又はリニアプローブ等の種々のタイプのプローブがあり、一般に、これらは検査の対象や目的に応じて使い分けられる。
【0025】
超音波診断装置101は、装置本体115の内蔵バッテリーである第1バッテリー116と、外部電源に接続される電源プラグ101bと、をさらに有する。電源プラグ101bは、後述するACアダプター部12を途中に有する電源ケーブル101aの末端部に設けられている。電源ケーブル101aは、電源プラグ101bの無い端部をカート102に装着された超音波診断装置101の下面部の露出部分の電源コネクタに接続され、電源プラグ101bになった端部を外部電源に接続されている。
【0026】
カート102は、超音波診断装置101に対して着脱可能な外部バッテリーであり、超音波診断装置101の第1バッテリー116よりも大きな容量を有する第2バッテリー110を有する。本実施形態では、カート102には、外部電源に接続される電源プラグは無い。
【0027】
第1バッテリー116と第2バッテリー110とは、各々予備バッテリーと交換可能である。超音波診断装置101は、外部電源からの供給電力と、第1バッテリー116及び第2バッテリー110からの放電電力と、のいずれかによって駆動される。
【0028】
<超音波診断システム100の内部構成>
図3は、本実施形態に係る超音波診断システム100の内部構成を模式的に示すブロック図である。
【0029】
超音波診断装置101は、超音波送信部2、送信制御部3、超音波受信部4、信号処理部5、画像生成部6、システム制御部7、操作部8、入出力部9、AC(Alternate Current)アダプター部12、ACアダプター接続検出部13、電源制御部14、電源供給部15、電源ボタン16、タイマー17、スイッチ部18、ディスプレイ113、及び第1バッテリー116を有する。超音波診断装置101は、超音波プローブ1及び電源プラグ101bと接続可能に構成されている。カート102は、第2バッテリー110を有する。
【0030】
電源制御部14は、演算部と記憶部とを含む。演算部は、例えばMPU(micro processor unit)により構成される。MPUは、超音波診断システム100の各部の動作を制御するために超音波診断システム100が備える、ハードウェアプロセッサーの一例である。記憶部は、例えば不揮発性メモリやハードディスク等の記憶装置により構成されたメモリである。メモリは、MPUに実行させることで超音波診断システム100の各部の動作を実現させるプログラムを格納する、非一時的なコンピューター読取可能記録媒体の一例である。
【0031】
また、電源制御部14は、第1バッテリー116、第2バッテリー110又は外部電源からスイッチ部18経由で供給される電力を電源供給部15へ送電するための配線部をさらに有する。これに加え、電源制御部14は、第1バッテリー116の放電電力により第2バッテリー110の充電を行う場合に第1バッテリー116の放電電力をスイッチ部18経由で第2バッテリー110へ送電するための配線部と、第2バッテリー110の放電電力により第1バッテリー116の充電を行う場合には第2バッテリー110の放電電流をスイッチ部18経由で第1バッテリー116へ送電するための配線部と、をさらに有する。
【0032】
スイッチ部18は、超音波診断装置101への駆動電力の供給を切り替えると共に、第1バッテリー116又は第2バッテリー110への充電を切り替える。スイッチ部18は、電源制御部14と共に、超音波診断システム100における充放電切替機構の主要部(制御部の一例)を構成する。充放電切替機構については後述する。
【0033】
電源供給部15は、電源制御部14からの送電を受け、また、電源制御部14の制御に基づいて、受電した電力を超音波診断装置101内の各構成部に適した電力に変換し、各構成部へ電力供給を行う、DC-DCコンバーター等を含む電気回路である。超音波診断装置101内の各構成部は、例えば、超音波送信部2、送信制御部3、超音波受信部4、信号処理部5、画像生成部6、システム制御部7、操作部8、入出力部9、ACアダプター接続検出部13、タイマー17、及びディスプレイ113を含む。
【0034】
超音波診断装置101は、第1バッテリー116と、第2バッテリー110と、電源プラグ101bを介して接続された外部電源(AC電源)と、のいずれかから電力供給を受ける。超音波診断システム100が、使用者による電源ボタン16の押下によって起動すると、電源制御部14は、スイッチ部18及び電源供給部15を制御し、電力を電源供給部15経由で超音波診断装置101内の各構成部へ供給する制御を行う。
【0035】
ACアダプター部12は、電源プラグ101bと接続され、外部電源(AC電源)に対してAC-DC変換を行う。変換後の電力(DC電力)は、スイッチ部18へ供給される。
【0036】
第1バッテリー116及び第2バッテリー110は、超音波診断装置101のための充電式の電源である。第1バッテリー116及び第2バッテリー110は、外部電源からの電力供給を、スイッチ部18を介して受けることで充電される。第1バッテリー116の充電電力及び第2バッテリー110の充電電力は、放電されると、直接的に、又は、スイッチ部18を介して、電源制御部14に供給される。第1バッテリー116からの放電電力及び第2バッテリー110からの放電電力は、超音波診断装置101の駆動に用いられる場合は電源制御部14から電源供給部15へ送電され、第2バッテリー110及び第1バッテリー116の充電に用いられる場合は電源制御部14からスイッチ部18経由で第2バッテリー110及び第1バッテリー116へ送電される。
【0037】
第1バッテリー116は、第1バッテリー116の残容量に関する情報を取得する残容量取得部116aと、第1バッテリー116の劣化度に関する情報を取得する劣化度取得部116bと、を有する。また、第2バッテリー110は、第2バッテリー110の残容量に関する情報を取得する残容量取得部110aと、第2バッテリー110の劣化度に関する情報を取得する劣化度取得部110bと、を有する。
【0038】
残容量取得部110a、116aは、例えば、対応するバッテリーの端子間電圧を検出する電圧センサーにより構成される。劣化度取得部110b、116bは、例えば、対応するバッテリーの満充電時の端子間電圧値の経時変化を測定するMPUにより構成される。残容量取得部110a、116a及び劣化度取得部110b、116bの取得情報信号は、各バッテリーから電源制御部14に送信され、電源制御部14において、第1バッテリー116及び第2バッテリー110の充電制御を切り替える切替制御、及び、第1バッテリー116及び第2バッテリー110の放電制御を切り替える切替制御に用いられる。
【0039】
ACアダプター接続検出部13は、ACアダプター部12に対してAC電源から電力が供給されているかどうかを監視すると共に、その電源接続の有無を示す識別信号(電源接続有無識別信号)を電源制御部14へ送信する。ACアダプター接続検出部13は、ACアダプター部12の出力電圧を検出する電圧センサー等により構成される。電源接続の有無を示す識別信号とは、具体的にはAC電源から電力の供給があるときと無いときで異なる信号を出力することにより、AC電源と電気的に接続しているか否かを判別できる信号である。
【0040】
電源接続有無識別信号は、電源制御部14において、第1バッテリー116及び第2バッテリー110の充電制御を切り替える切替制御、及び、第1バッテリー116及び第2バッテリー110の放電制御を切り替える切替制御に用いられる。AC電源からの電力供給がある場合は、例えば、放電制御では、第1バッテリー116及び第2バッテリー110のいずれからも電力が放電されずにAC電源からの電力が電源供給部15に送電されてよく、充電制御では、第1バッテリー116及び第2バッテリー110のいずれかが充電されてよい。また、AC電源からの電力供給が無い場合は、例えば、放電制御では、第1バッテリー116及び第2バッテリー110のいずれかから電力が放電されて電源供給部15に送電されてよく、充電制御では、第1バッテリー116及び第2バッテリー110のいずれも充電が停止されてよい。
【0041】
超音波プローブ1は、振動子を備えており、超音波送信部2からの送信電気信号を超音波に変換し、超音波プローブ1を被検体の表面に接触させた状態で振動子から発せられる超音波を被検体に向けて送信する。そして、超音波プローブ1は、被検体からの反射超音波を受信し、振動子によりこれら反射超音波を受信電気信号に変換して、受信電気信号を超音波受信部4に供給する。
【0042】
超音波送信部2は、超音波を送信するための送信電気信号を超音波プローブ1内の振動子へ供給する信号処理回路である。送信制御部3は、超音波プローブ1から被検体に超音波を送信するための送信電気信号を制御する制御回路である。
【0043】
超音波受信部4は、超音波プローブ1から受信した受信電気信号に対してAC―DC変換及びゲイン調整等を行って受信信号を生成する信号処理回路である。
【0044】
信号処理部5は、超音波受信部4が生成した受信信号に対してログ圧縮及びエッジエンハンス等の各種デジタル信号処理を行い、画像生成部6へ出力する信号処理回路である。
【0045】
画像生成部6は、信号処理部5が出力したデータに対して各種画像変換を行って超音波画像の画像データを生成し、画像データをディスプレイ113へ送信して超音波画像をディスプレイ113に表示させる。画像生成部6は、例えばMPU等のハードウェアプロセッサーと、不揮発性メモリやハードディスク等のメモリと、から構成される。
【0046】
システム制御部7は、超音波送信部2、送信制御部3、超音波受信部4、信号処理部5、画像生成部6、操作部8、入出力部9、電源制御部14、電源供給部15、及びディスプレイ113と接続され、各部又は各部間のシステム制御を行う。システム制御部7は、システム制御用のプログラム及び当該プログラムに付随するデータを記憶する不揮発性メモリやハードディスク等のメモリと、当該プログラムを実行するMPU等のハードウェアプロセッサーと、から構成される。
【0047】
操作部8は、使用者の入力操作を受け付けて、システム制御部7へ操作信号を出力する。操作部8は、例えば、ボタン、トラックボール、ロータリエンコーダ又はタッチパネル等である。入出力部9は、外部デバイス等との接続に用いられる。入出力部9は、画像生成部6によって生成される画像データの外部デバイスへの保存、及び、外部デバイス内の画像データの読み出しといった、画像信号の入出力をシステム制御部7の制御下で行う。
【0048】
ディスプレイ113は、画像生成部6によって生成された画像データを画像として表示する。また、ディスプレイ113は、各種設定画面の表示もシステム制御部7の制御下で行う。さらに、ディスプレイ113は、システム制御部7によって算定される第1バッテリー116及び第2バッテリー110のそれぞれの交換時期を表示することもできる。操作部8がタッチパネルを含む場合、このタッチパネルはディスプレイ113に設けられる。
【0049】
<超音波診断システム100の充放電切替機構>
図4は、本実施形態に係る超音波診断システム100の充放電切替機構を示すブロック図である。超音波診断システム100の充放電切替機構は、超音波診断装置101の電源制御部14と、超音波診断装置101の第1バッテリー116と、カート102の第2バッテリー110と、超音波診断装置101のACアダプター部12を介した電源プラグ101bと、超音波診断装置101のスイッチ部18と、を含む。超音波診断システム100の充放電切替機構は、第1バッテリー116の残容量取得部116aと、第1バッテリー116の劣化度取得部116bと、第2バッテリー110の残容量取得部110aと、第2バッテリー110の劣化度取得部110bと、ACアダプター接続検出部13と、タイマー17と、をさらに含む。
【0050】
スイッチ部18は、第1スイッチング素子18aと、第2スイッチング素子18bと、を含む。第1スイッチング素子18a及び第2スイッチング素子18bは、トランジスタ又はMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等によって構成されている。第1スイッチング素子18a及び第2スイッチング素子18bへの切替信号は、電源制御部14から送信される。
【0051】
第1スイッチング素子18aは、電源プラグ101bと電源制御部14とを繋ぐ経路EL1と、第1バッテリー116と電源制御部14とを繋ぐ経路EL2と、第2バッテリー110と電源制御部14とを繋ぐ経路EL3と、の3つの経路のいずれかに選択的に切り替わる。なお、外部電源からの供給電力が第1バッテリー116の充電と第2バッテリー110の充電とのどちらかにのみ用いられる場合には、第1スイッチング素子18aは、経路EL1に切り替わる接点を有していなくてもよい。
【0052】
第2スイッチング素子18bは、電源プラグ101bと第1スイッチング素子18aとを繋いだ経路EL1の途中にて、電源プラグ101bと第2スイッチング素子18bとを繋いだ接続経路を接続されている。第2スイッチング素子18bは、電源プラグ101bと第1バッテリー116とを繋ぐ経路EL4と、電源プラグ101bと第2バッテリー110とを繋ぐ経路EL5と、の2つの経路のいずれかに選択的に切り替わる。第1、第2バッテリー116、110の充電が実施される場合には、第2スイッチング素子18bは、外部電源からの供給電力を第1バッテリー116の充電電力と第2バッテリー110の充電電力とのどちらかにするように切り替わる。なお、第1、第2バッテリー116、110の充電が実施されない場合には、第2スイッチング素子18bは、外部電源からの供給電力を第1バッテリー116の充電電力と第2バッテリー110の充電電力とのどちらにもしないOFF状態とされてもよい。
【0053】
なお、スイッチ部18での種々の経路の切替は、後述する通り第1、第2バッテリー116、110の状態等に応じて自動で行われるが、適宜手動で行われてもよい。経路の切替が自動で行われる場合、充電制御の切替及び放電制御の切替が効率的となるので好ましい。
【0054】
また、超音波診断装置101には、第1バッテリー116から電源制御部14に放電電力が送られる一方向の経路EL6と、第2バッテリー110から電源制御部14に放電電力が送られる一方向の経路EL7と、が別途設けられている。
【0055】
電源制御部14は、第1、第2バッテリー116、110の充電制御を切り替える切替制御(充電切替制御)と、第1、第2バッテリー116、110の放電制御を切り替える切替制御(放電切替制御)と、をいずれも行う。
【0056】
電源制御部14は、残容量取得部110a、116aによって取得された第1バッテリー116の残容量に関する情報及び第2バッテリー110の残容量に関する情報に基づき、例えば次のような切替制御を行う。
【0057】
例えば、第2バッテリー110の残容量が第1バッテリー116の残容量よりも少ないとき、電源制御部14は、外部電源からの供給電力と第1バッテリー116からの放電電力とを利用して、第2バッテリー110の充電を行うように、充電制御の切替及び放電制御の切替を行う。
【0058】
この第2バッテリー110の充電の切替制御のとき、第1スイッチング素子18aは、電源制御部14の制御下で、第2バッテリー110と電源制御部14とを繋ぐ経路EL3に切り替わる。第1バッテリー116の放電電力は、経路EL6経由で送電されて超音波診断装置101の駆動電力に用いられると共に、経路EL6、EL3を順次経由して第2バッテリー110の充電電力に用いられる。第2スイッチング素子18bは、電源プラグ101bと第2バッテリー110とを繋ぐ経路EL5に切り替わり、外部電源からの供給電力は、経路EL5を経由して第2バッテリー110の充電電力に用いられる。
【0059】
このように、電源制御部14は、第1、第2バッテリー116、110の少なくとも一方の残容量を参照して、第1、第2バッテリー116、110のいずれか一方のバッテリーからの放電電力を、外部電源からの供給電力と共に、第1、第2バッテリー116、110のいずれか他方のバッテリーの充電に用いるように、切替制御を行うことができる。ここで、上述したいずれか一方のバッテリーは、残容量が少ないバッテリーであってもよいし、残容量が多いバッテリーであってもよい。上述したいずれか一方のバッテリーを、残容量が少ないバッテリーとするか残業量が多いバッテリーとするかは、第1、第2バッテリー116、110の劣化度及び/又は第1、第2バッテリー116、110の不使用時間(不使用状態の持続時間)に基づいて決めればよい。また、残容量が多いか少ないかは、第1、第2バッテリー116、110の双方の残容量を互いに比較して決めてもよいし、第1、第2バッテリー116、110の少なくとも一方の残容量を予め定められた規定値と比較して決めてもよい。
【0060】
電源制御部14は、劣化度取得部110b、116bによって取得された第1バッテリー116の劣化度に関する情報及び第2バッテリー110の劣化度に関する情報に基づき、例えば次のような切替制御を行う。
【0061】
例えば、第1バッテリー116の劣化度が第2バッテリー110の劣化度よりも高いとき、電源制御部14は、外部電源からの供給電力と第1バッテリー116からの放電電力とを利用して、第2バッテリー110の充電を行うように、充電制御の切替及び放電制御の切替を行う。
【0062】
この第2バッテリー110の充電の切替制御のとき、第1スイッチング素子18aは、電源制御部14の制御下で、第2バッテリー110と電源制御部14とを繋ぐ経路EL3に切り替わる。第1バッテリー116の放電電力は、経路EL6経由で送電されて超音波診断装置101の駆動電力に用いられると共に、経路EL6、EL3を順次経由して第2バッテリー110の充電電力に用いられる。第2スイッチング素子18bは、電源プラグ101bと第2バッテリー110とを繋ぐ経路EL5に切り替わり、外部電源からの供給電力は、経路EL5を経由して第2バッテリー110の充電電力に用いられる。
【0063】
このように、電源制御部14は、第1、第2バッテリー116、110の少なくとも一方の劣化度を参照して、第1、第2バッテリー116、110のいずれか一方のバッテリーからの放電電力を、外部電源からの供給電力と共に、第1、第2バッテリー116、110のいずれか他方のバッテリーの充電に用いるように、切替制御を行うことができる。ここで、上述したいずれか一方のバッテリーは、劣化度が低いバッテリーであってもよいし、劣化度が高いバッテリーであってもよい。上述したいずれか一方のバッテリーを、劣化度が低いバッテリーとするか劣化度が高いバッテリーとするかは、第1、第2バッテリー116、110の残容量及び/又は第1、第2バッテリー116、110の不使用時間に基づいて決めればよい。また、劣化度が低いか高いかは、第1、第2バッテリー116、110の双方の劣化度を互いに比較して決めてもよいし、第1、第2バッテリー116、110の少なくとも一方の劣化度を予め定められた規定値と比較して決めてもよい。
【0064】
電源制御部14は、ACアダプター接続検出部13からの電源接続有無識別信号に示される情報に基づき、例えば次のような切替制御を行う。
【0065】
例えば、外部AC電源からの電力供給があるとき、電源制御部14は、第1、第2バッテリー116、110の残容量、劣化度及び不使用時間に基づき、外部電源からの供給電力と第1、第2バッテリー116、110のいずれか一方からの放電電力とを利用して、第1、第2バッテリー116、110のいずれか他方の充電を行うように、充電制御の切替及び放電制御の切替を行う。また、外部AC電源からの電力供給が無いとき、電源制御部14は、第1、第2バッテリー116、110のいずれも充電せず、第1、第2バッテリー116、110のいずれか一方からの放電電力をそのまま超音波診断システム100の駆動電源に利用するように、充電制御の切替及び放電制御の切替を行う。
【0066】
<超音波診断システム100の充放電切替制御の処理の流れ>
図5は、本実施形態に係る超音波診断システム100の充放電切替制御のメインフローを示すフローチャートである。図6~12は、この充放電切替制御においてそれぞれ特定の場合に行うステップを示すフローチャートである。
【0067】
超音波診断システム100の充放電切替制御は、電源制御部14内のMPU又はメモリに予め記憶された所定のプログラムに従って繰り返し実行される。充放電切替制御で使用される第1所定値、第2所定値、所定劣化度及び不使用時間は、電源制御部14に予め予め記憶されている。充放電切替制御では、外部電源からの供給電力と第1バッテリー116からの放電電力又は第2バッテリー110からの放電電力のどちらか一方により、第1バッテリー116の充電又は第2バッテリー110の充電のどちらか他方が、各種情報に基づいて適宜切り替えられながら行われる。なお、以下説明する充放電切替制御は、ACアダプター接続検出部13から電源制御部14に通知される電源接続有無識別信号により、外部AC電源からの電力供給が確認されていることが前提となっている。
【0068】
超音波診断システム100の充放電切替制御が開始されると、電源制御部14は、まず、S101にて、残容量取得部110a、116aによって第1バッテリー116の残容量に関する情報及び第2バッテリー110の残容量に関する情報を取得する。電源制御部14は、その後処理をS102に移行する。
【0069】
電源制御部14は、S102にて、劣化度取得部110b、116bによって第1バッテリー116の劣化度に関する情報及び第2バッテリー110の劣化度に関する情報を取得する。電源制御部14は、その後処理をS103に移行する。
【0070】
電源制御部14は、S103にて、タイマー17を用いて第1バッテリー116の不使用時間及び第2バッテリー110の不使用時間を取得する。電源制御部14は、その後処理をS104に移行する。
【0071】
電源制御部14は、S104にて、第1バッテリー116の残容量に関する情報に基づいて、第1バッテリー116の残容量が第1所定値より少ないか否かを判定する。第1所定値は、第1バッテリー116の残容量が著しく少なく、第1バッテリー116を満充電に充電するよりはむしろ放電して空容量にし、予備の新たな第1バッテリー116と交換するほうが内蔵バッテリー容量の早期確保の観点で好ましいと判別される残容量値である。S104にてYESのとき、電源制御部14は、処理をS105に移行する。S104にてNOのとき、電源制御部14は、処理をS106に移行する。
【0072】
電源制御部14は、S105にて、第1バッテリー116を予備の新たな第1バッテリー116と交換するために、外部電源の供給電力と、第1バッテリー116の放電電力と、を第2バッテリー110に充電する。このとき、電源制御部14から送信された切替信号によって、第1スイッチング素子18aが経路EL3に切り替わり、第2スイッチング素子18bが経路EL5に切り替わる。外部電源の供給電力の電流は、経路EL5を経て第2バッテリー110に向かう。第1バッテリー116の放電電力の電流は、経路EL6、EL3を経て第2バッテリー110に向かう。電源制御部14は、その後処理を終了する。
【0073】
電源制御部14は、S106にて、第1バッテリー116の残容量に関する情報に基づいて、第1バッテリー116の残容量が第2所定値より少ないか否かを判定する。第2所定値は、第1所定値よりも大きい。第2所定値は、第1バッテリー116の残容量が十分ではないが著しく少ない状況ではなく、第1バッテリー116を放電して空容量にするよりはむしろ満充電に充電するほうが内蔵バッテリー容量の早期確保の確実性の観点で好ましいと判別される残容量値である。S106にてYESのとき、電源制御部14は、処理をS107に移行する。S106にてNOのとき、電源制御部14は、処理をS108に移行する。
【0074】
電源制御部14は、S107にて、第1バッテリー116を充電するために、外部電源の供給電力と、第2バッテリー110の放電電力と、を第1バッテリー116に充電する。このとき、電源制御部14から送信された切替信号によって、第1スイッチング素子18aが経路EL2に切り替わり、第2スイッチング素子18bが経路EL4に切り替わる。外部電源の供給電力の電流は、経路EL4を経て第1バッテリー116に向かう。第2バッテリー110の放電電力の電流は、経路EL7、EL2を経て第1バッテリー116に向かう。電源制御部14は、その後処理を終了する。
【0075】
電源制御部14は、S108にて、第1バッテリー116の残容量に関する情報に基づいて、第1バッテリー116の劣化度が所定劣化度より低いか否かを判定する。所定劣化度は、第1バッテリー116が新しく、繰り返し充放電に対する耐性を有すると判別される劣化度値である。S108にてYESのとき、電源制御部14は、処理をS109に移行する。S108にてNOのとき、電源制御部14は、処理をS110に移行する。
【0076】
電源制御部14は、S109にて、第1バッテリー116が未だ新しく、充放電を繰り返しても問題が無いので、外部電源の供給電力と、第1バッテリー116の放電電力と、を第2バッテリー110に充電する。このとき、電源制御部14から送信された切替信号によって、第1スイッチング素子18aが経路EL3に切り替わり、第2スイッチング素子18bが経路EL5に切り替わる。外部電源の供給電力の電流は、経路EL5を経て第2バッテリー110に向かう。第1バッテリー116の放電電力の電流は、経路EL6、EL3を経て第2バッテリー110に向かう。電源制御部14は、その後処理を終了する。
【0077】
電源制御部14は、S110にて、第1バッテリー116の不使用時間に基づいて、第1バッテリー116の不使用時間が所定時間を超えるか否かを判定する。所定時間は、超音波診断装置101に搭載されているという点で比較的重要である第1バッテリー116を満充電劣化から保護することが好ましいと判別される時間値である。S110にてYESのとき、電源制御部14は、処理をS111に移行する。S110にてNOのとき、電源制御部14は、処理をS112に移行する。
【0078】
電源制御部14は、S111にて、満充電又は満充電に近い状態にある第1バッテリー116の放置を回避して第1バッテリー116の満充電劣化を予防するために、外部電源の供給電力と、不使用時間が所定時間を超えた第1バッテリー116の放電電力と、を第2バッテリー110に充電する。このとき、電源制御部14から送信された切替信号によって、第1スイッチング素子18aが経路EL3に切り替わり、第2スイッチング素子18bが経路El5に切り替わる。外部電源の供給電力の電流は、経路EL5を経て第2バッテリー110に向かう。第1バッテリー116の放電電力の電流は、経路EL6、EL3を経て第2バッテリー110に向かう。電源制御部14は、その後処理を終了する。
【0079】
電源制御部14は、S112にて、第1バッテリー116の残容量に関する情報及び第2バッテリー110の残容量に関する情報に基づいて、第2バッテリー110の残容量が第1バッテリー116の残容量よりも少ないか否かを判定する。S112にてYESのとき、電源制御部14は、処理をS113に移行する。S112にてNOのとき、電源制御部14は、処理をS114に移行する。
【0080】
電源制御部14は、S113にて、第1バッテリー116の残容量に余裕があるので、外部電源の供給電力と、第1バッテリー116の放電電力と、を第2バッテリー110に充電する。このとき、電源制御部14から送信された切替信号によって、第1スイッチング素子18aが経路EL3に切り替わり、第2スイッチング素子18bが経路EL5に切り替わる。外部電源の供給電力の電流は、経路EL5を経て第2バッテリー110に向かう。第1バッテリー116の放電電力の電流は、経路EL6、EL3を経て第2バッテリー110に向かう。電源制御部14は、その後処理を終了する。
【0081】
電源制御部14は、S114にて、第1バッテリー116の劣化度に関する情報及び第2バッテリー110の劣化度に関する情報に基づいて、第1バッテリー116の劣化度が第2バッテリー110の劣化度よりも高いか否かを判定する。S114にてYESのとき、電源制御部14は、処理をS115に移行する。S114にてNOのとき、電源制御部14は、処理をS116に移行する。
【0082】
電源制御部14は、S115にて、劣化度が高い第1バッテリー116を予備の新たな(劣化度が低い)第1バッテリー116と交換するために、外部電源の供給電力と、第1バッテリー116の放電電力と、を第2バッテリー110に充電する。このとき、電源制御部14から送信された切替信号によって、第1スイッチング素子18aが経路EL3に切り替わり、第2スイッチング素子18bが経路EL5に切り替わる。外部電源の供給電力の電流は、経路EL5を経て第2バッテリー110に向かう。第1バッテリー116の放電電力の電流は、経路EL6、EL3を経て第2バッテリー110に向かう。電源制御部14は、その後処理を終了する。
【0083】
電源制御部14は、S116にて、第1バッテリー116の不使用時間及び第2バッテリー110の不使用時間に基づいて、第2バッテリー110の不使用時間が第1バッテリー116の不使用時間を超えるか否かを判定する。S116にてYESのとき、電源制御部14は、処理をS117に移行する。S116にてNOのとき、電源制御部14は、処理を終了する。
【0084】
電源制御部14は、S117にて、残容量に余裕があり、劣化度が低く、しかも、長時間放置状態にある、第2バッテリー110の満充電劣化を回避するために、外部電源の供給電力と、第2バッテリー110の放電電力と、を第1バッテリー116に充電する。このとき、電源制御部14から送信された切替信号によって、第1スイッチング素子18aが経路EL2に切り替わり、第2スイッチング素子18bが経路EL4に切り替わる。外部電源の供給電力の電流は、経路EL4を経て第1バッテリー116に向かう。第2バッテリー110の放電電力の電流は、経路EL7、EL2を経て第1バッテリー116に向かう。電源制御部14は、その後処理を終了する。
【0085】
なお、電源制御部14は、超音波診断装置101の第1バッテリー116を予備の新たな第1バッテリー116と交換することを考慮せずに必ずカート102の第2バッテリー110よりも残容量が多く残るような制御を行ってもよい。
【0086】
また、電源制御部14は、第1バッテリー116と第2バッテリー110とのうち不使用時間が長いバッテリーを放電する制御を行ってもよい。
【0087】
<超音波診断システム100の作用・効果のまとめ>
以上説明したように、本実施形態によれば、超音波診断システム100は、超音波診断装置101の電源として機能する第1、第2バッテリー116、110を含む複数のバッテリーと、これら複数のバッテリーの個別充電を切り替えて実行する電源制御部14及びスイッチ部18を含む制御部と、を有する構成を採る。より具体的には、制御部は、第1バッテリー116の個別充電と第2バッテリー110の個別充電とを切り替える構成を採る。
【0088】
一般に、超音波診断システムにおいて超音波診断装置の電源として複数のバッテリーが用意されている場合、これら複数のバッテリーに対する充電制御を好適に切り替える必要がある。仮にこれら複数のバッテリーを同時に充電しようとすると、これらの複数のバッテリーに対する大電流の電力供給が必要となり、より大型のAC/DC電源部品が必要となるため、超音波診断システムの可搬性に対して望ましくない影響が生じ得る。また、これはバッテリー個数が多いほど顕著となる。
【0089】
この点につき、本実施形態の上記構成では、複数のバッテリーの個別充電、より具体的には第1バッテリー116の個別充電と第2バッテリー110の個別充電とを、切り替えるため、超音波診断装置101の電源として機能する複数のバッテリーに対する充電制御の効率化を図ることができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、第1バッテリー116は超音波診断装置101に内蔵され、第2バッテリー110は超音波診断装置101の外部に設けられている。より具体的には、第2バッテリー110は超音波診断装置101を着脱可能なカート102に内蔵されている。すなわち、本実施の形態では、超音波診断装置101の電源として機能する複数のバッテリーに外部バッテリーが含まれていても、複数のバッテリーに対する充電制御の効率化を図ることができる。
【0091】
さらに、本実施形態によれば、電源制御部14及びスイッチ部18は、超音波診断装置101の外部バッテリーである第2バッテリー110の個別充電よりも、超音波診断装置101の内蔵バッテリーである第1バッテリー116の個別充電を優先する。ここで、優先するとは、繰り返し実行される充放電切替制御において、序盤に、第1バッテリー116の残容量の早期確保を図る処理(S104~S107)を実行することである。
【0092】
仮に、内蔵バッテリー(第1バッテリー116)よりも外部バッテリー(第2バッテリー110)を優先して充電するようにした場合、外部バッテリーが満充電となるまで内蔵バッテリーの充電が一切実行されずに内蔵バッテリーの残容量が増えない可能性がある。そのような状況下で急遽、狭い場所での診断のため超音波診断装置101から外部バッテリーを外して超音波診断装置101を運搬し使用する場合に、超音波診断装置101への電力供給が途切れやすくなるおそれがある。
【0093】
この点につき、本実施形態の上記構成では、内蔵バッテリーである第1バッテリー116の個別充電が優先されるため、超音波診断装置101から外部バッテリーを外して超音波診断装置101を使用する場合でも、超音波診断装置101への電力供給の途切れの発生を抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、電源制御部14及びスイッチ部18は、複数のバッテリーの個別充電、より具体的には第1バッテリー116の個別充電と第2バッテリー110の個別充電とを、切り替えて実行する際に、第1バッテリー116、110からの放電を制御する、構成を採る。より詳細には、放電されるバッテリーからの放電電力の電流は、充電対象のバッテリーに向けられて、充電対象のバッテリーの充電に用いられる。この構成によれば、複数のバッテリーに対する充電制御のさらなる効率化が図られる。
【0095】
また、本実施形態によれば、電源制御部14及びスイッチ部18は、複数のバッテリー、より具体的には第1、第2バッテリー116、110それぞれの残容量、劣化度又は不使用時間に基づき、充電対象のバッテリーを切り替え、当該充電対象のバッテリーを外部電源と協働して充電する放電対象のバッテリーを切り替える、構成を採る。
【0096】
例えば、第1バッテリー116の残容量が著しく少ない場合は、充電対象が第2バッテリー110とされると共に放電対象が第1バッテリー116とされる。また、第1バッテリー116の残容量がある程度少ない場合は、充電対象が第1バッテリー116とされると共に放電対象が第2バッテリー110とされる。また、第1バッテリー116の残容量が第2バッテリー110の残容量よりも多い場合は、充電対象が第2バッテリー110とされると共に放電対象が第1バッテリー116とされる。これらのような第1、第2バッテリー116、110それぞれの残容量に基づく充電制御及び放電制御の切替により、第1、第2バッテリー116、110の個別充電効率を最大化することができる。
【0097】
また、例えば、第1バッテリー116の劣化度が小さい場合は、充電対象が第2バッテリー110とされると共に放電対象が第1バッテリー116とされる。また、第1バッテリー116の劣化度が第2バッテリー110の劣化度よりも大きい場合は、充電対象が第2バッテリー110とされると共に放電対象が第1バッテリー116とされる。また、第1バッテリー116の劣化度が大きくても、状況によっては、充電対象が第1バッテリー116とされると共に放電対象が第2バッテリー110とされる場合がある。これらのような第1、第2バッテリー116、110それぞれの劣化度に基づく充電制御及び放電制御の切替により、第1、第2バッテリー116、110の個別充電効率を最大化することができる。
【0098】
また、例えば、第1バッテリー116の不使用時間が長い場合は、充電対象が第2バッテリー110とされると共に放電対象が第1バッテリー116とされる。また、第2バッテリー110の不使用時間が第1バッテリー116の不使用時間よりも長い場合は、充電対象が第1バッテリー116とされると共に放電対象が第2バッテリー110とされる。これらのような第1、第2バッテリー116、110それぞれの不使用時間に基づく充電制御及び放電制御の切替により、第1、第2バッテリー116、110の個別充電効率を最大化することができる。
【0099】
以下、本実施形態に対する幾つかの変形例について説明する。変形例の説明では、上記実施形態との相違部分を中心に説明し、上記実施形態と同じ事項については説明を省略する。
【0100】
<変形例1>
図13は、本実施形態の変形例1に係る超音波診断システム100の充放電切替機構を示すブロック図である。
【0101】
超音波診断装置101は、第1バッテリー116と第3バッテリー117とを有する。第3バッテリー117は、第3バッテリー117の残容量取得部117aと第3バッテリー117の劣化度取得部117bとを含む。第3バッテリー117は、第1バッテリー116と同様の、超音波診断装置101の内蔵バッテリーである。残容量取得部117a及び劣化度取得部117bは、第1バッテリー116の残容量取得部116a及び劣化度取得部116bとそれぞれ同構成・同機能である。構成に関し、具体的には、第3バッテリー117は、経路EL8により、スイッチ部18のスイッチング素子18aと接続されており、経路EL9により、スイッチ部18のスイッチング素子18bと接続されており、第3バッテリー117から電源制御部14に放電電力が送られる一方向の経路EL10により、電源制御部14と接続されている。
【0102】
変形例1のように、内蔵バッテリーの個数が複数であっても、上記実施形態で説明した作用・効果を実現することができる。
【0103】
<変形例2>
図14は、本実施形態の変形例2に係る超音波診断システム100の充放電切替機構を示すブロック図である。
【0104】
超音波診断システム100は、超音波診断装置101を備え、カート102を備えない。第1バッテリー116と第2バッテリー110とはいずれも、超音波診断装置101の内蔵バッテリーである。
【0105】
変形例2のように、複数用意されたバッテリーがいずれも内蔵バッテリーであっても、上記実施形態で説明した作用・効果を実現することができる。
【0106】
<変形例3>
図15は、本実施形態の変形例3に係る超音波診断システム100の充放電切替機構を示すブロック図である。
【0107】
超音波診断システム100は、超音波診断装置101を備え、カート102を備えない。第1バッテリー116と第2バッテリー110とはいずれも、超音波診断装置101の内蔵バッテリーである。また、電源ケーブル101a(図1、2参照)が超音波診断装置101と一体化されておらず付属品であり、そのため超音波診断装置101は、電源ケーブル101aに含まれるACアダプター部12を備えない。
【0108】
変形例3のように、超音波診断装置101がACアダプター部12を内蔵していない構成であっても、上記実施形態で説明した作用・効果を実現することができる。
【0109】
<変形例4>
図16は、本実施形態の変形例4に係る超音波診断システム100の充放電切替機構を示すブロック図である。
【0110】
超音波診断システム100は、超音波診断装置101を備え、カート102を備えない。第1バッテリー116が超音波診断装置101の内蔵バッテリーであるのに対し、第2バッテリー110は、超音波診断装置101に対して着脱可能な外部バッテリーである。また、電源ケーブル101a(図1、2参照)が超音波診断装置101と一体化されておらず付属品であり、そのため超音波診断装置101は、電源ケーブル101aに含まれるACアダプター部12を備えない。
【0111】
変形例4のように、第2バッテリー110が、超音波診断装置101専用のカート102に内蔵されていない外部バッテリーである場合は、汎用的なバッテリーである場合がある。汎用的なバッテリーが使用される場合であっても、そのバッテリーを超音波診断装置101の電源として機能させるべく、超音波診断装置101に外付けされた場合には、上記実施形態で説明した作用・効果を実現することができる。
【0112】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、上記実施形態に記載された具体例に対する種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る超音波診断システムは、可搬型の超音波診断システムとして好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 超音波プローブ
2 超音波送信部
3 送信制御部
4 超音波受信部
5 信号処理部
6 画像生成部
7 システム制御部
8 操作部
9 入出力部
12 ACアダプター部
13 ACアダプター接続検出部
14 電源制御部(制御部)
15 電源供給部
16 電源ボタン
17 タイマー
18 スイッチ部(制御部)
18a 第1スイッチング素子
18b 第2スイッチング素子
100 超音波診断システム
101 超音波診断装置
101a 電源ケーブル
101b 電源プラグ
102 カート
110 第2バッテリー
110a、116a、117a 残容量取得部
110b、116b、117b 劣化度取得部
111 筐体
111a 着脱台
111b 固定具
111c 取手部
111d プローブホルダー
111e フック部
112 キャスター部
113 ディスプレイ
114 操作パネル
115 装置本体
116 第1バッテリー
117 第3バッテリー
EL1~EL10 経路
図1
図2
図3
図4
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