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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114332
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】分散型電源システム及び分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240816BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240816BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/38 180
H02J7/35 K
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020020
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
(72)【発明者】
【氏名】安井 匡史
(72)【発明者】
【氏名】北川 友葵
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
(57)【要約】
【課題】逆潮流電力を適切に計測できる分散型電源システムを提供する。
【解決手段】分散型電源システムであって、電力系統1からの電力供給が正常である場合、充放電装置11は第1連系用接続線16に充放電し、第1接続切替器3は第2電力線2bを第1電力線2aに接続し、第2接続切替器12は第1発電装置7を第2連系用接続線18に接続し、電力系統1からの電力供給が正常でない場合、充放電装置11は第1自立用接続線17に充放電し、第1接続切替器3は第2電力線2bを第1自立用接続線17に接続し、第2接続切替器12は第1発電装置7を第2自立用接続線19に接続し、第2発電装置8は第3接続箇所P3に接続され、第2発電装置8及び充放電装置11の少なくとも一方と第1発電装置7とは逆潮流可能であり、第1接続箇所P1よりも上流側に第1電力計9を備え、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間に第2電力計10を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続される電力線と、太陽電池を有する第1発電装置と、前記第1発電装置とは別の第2発電装置と、充放電装置とを備える分散型電源システムであって、
前記電力線の上流側に前記電力系統への接続箇所が設けられ、前記電力線に接続される電力消費装置と前記電力系統との間には、前記電力線の一部を構成し、前記電力系統に接続される第1電力線と、前記電力線の別の一部を構成し、前記電力消費装置が接続される第2電力線と、前記第1電力線及び前記第2電力線の間を接続する第1接続切替器とが設けられ、前記電力系統への前記電力線の接続箇所から前記電力消費装置に向かって、第1接続箇所及び第2接続箇所及び前記第1接続切替器及び第3接続箇所がその並び順で設けられ、
前記第1発電装置が接続される第2接続切替器を備え、
前記充放電装置は、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されている場合には前記第1電力線の前記第2接続箇所に接続される第1連系用接続線を介して充電及び放電を行い、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されていない場合には前記第1接続切替器に接続される第1自立用接続線を介して充電及び放電を行うように構成され、
前記第1接続切替器は、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されている場合には前記第2電力線を前記第1電力線に接続する第1連系接続状態に切り替え、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されていない場合には前記第2電力線を前記第1自立用接続線に接続する第1自立接続状態に切り替え、
前記第2接続切替器は、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されている場合には前記第1発電装置を前記第1電力線の前記第1接続箇所に接続される第2連系用接続線に接続する第2連系接続状態に切り替え、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されていない場合には前記第1発電装置を前記第1自立用接続線に接続される第2自立用接続線に接続する第2自立接続状態に切り替え、
前記第2発電装置は前記第3接続箇所に接続され、
前記第2発電装置及び前記充放電装置の少なくとも一方と前記第1発電装置とは、電力を前記電力系統に逆潮流可能に構成され、
前記第1接続箇所よりも上流側の前記第1電力線に、前記電力系統へ供給される逆潮流電力量を計測できる第1電力計を備え、
前記第1接続箇所と前記第2接続箇所との間の前記第1電力線に、前記第2接続箇所から前記第1接続箇所の方への供給電力量を計測できる第2電力計を備える分散型電源システム。
【請求項2】
前記第1発電装置と前記第2接続切替器との間に設けられるブレーカーを備える請求項1に記載の分散型電源システム。
【請求項3】
前記第1接続切替器は、前記第2電力線を前記第1電力線に接続する前記第1連系接続状態又は前記第2電力線を前記第1自立用接続線に接続する前記第1自立接続状態に切り替える第1切替部と、前記第1切替部を動作させる第1励磁コイルとを備え、前記第1励磁コイルは、通電されている場合には前記第1切替部を前記第1自立接続状態に切り替え、通電されていない場合には前記第1切替部を前記第1連系接続状態に切り替えるように構成され、
前記第2接続切替器は、前記第1発電装置を前記第2連系用接続線に接続する前記第2連系接続状態又は前記第1発電装置を前記第2自立用接続線に接続する前記第2自立接続状態に切り替える第2切替部と、前記第2切替部を動作させる第2励磁コイルとを備え、前記第2励磁コイルは、通電されている場合には前記第2切替部を前記第2自立接続状態に切り替え、通電されていない場合には前記第2切替部を前記第2連系接続状態に切り替えるように構成され、
前記第1励磁コイル及び前記第2励磁コイルの通電状態は共通の電源部からの通電によって制御される請求項1に記載の分散型電源システム。
【請求項4】
前記電源部は前記充放電装置である請求項3に記載の分散型電源システム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の分散型電源システムが備える前記第1接続切替器及び前記第2接続切替器を備える分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源システム及び分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第5851276号公報)に記載のシステムでは、電力系統(1)から電力線(2)に電力供給が行われているときと、電力系統(1)から電力が正常に供給されている場合と正常に供給されていない場合とで、切換スイッチ(7)及び充放電装置(5)の動作を切り換えている。具体的には、このシステムでは、制御装置(C)が、電力系統(1)から電力が正常に供給されているか否かを、例えば電力系統(1)での電圧を検出することで判定する。そして、制御装置(C)は、電力系統(1)から電力が正常に供給されていると判定したとき、切換スイッチ(7)を接点(a)と接点(b)との間が接続されるように動作させ、充放電装置(5)に対して連系用接続線(電力線2のP3に接続される線)を介して充電又は放電を行わせる。また、制御装置(C)は、電力系統(1)から電力が正常に供給されていないと判定したとき、切換スイッチ(7)を接点(b)と接点(c)との間が接続されるように動作させ、充放電装置(5)に対して自立用接続線(給電線11)を介して充電又は放電を行わせる。
このように、特許文献1に記載のシステムは、充放電装置(5)は、電力系統(1)から電力が正常に供給されているか否かを自身で判断しない構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5851276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載したようなシステムにおいて、電力系統(1)から電力が正常に供給されているか否かを、切換スイッチ(7)及び充放電装置(5)の夫々が自身で判定するように構成してもよい。例えば、切換スイッチ(7)は、電力系統(1)から電力が正常に供給されていると判定したとき、接点(a)と接点(b)との間が接続されるように動作し、電力系統(1)から電力が正常に供給されていないと判定したとき、接点(b)と接点(c)との間が接続されるように動作するような構成にしてもよい。また、充放電装置(5)は、連系用接続線(電力線2のP3に接続される線)への電力入力がある場合には電力系統(1)から電力が正常に供給されていると判定し、連系用接続線への電力入力が途絶えた場合には電力系統(1)から電力が正常に供給されていないと判定するような構成にしてもよい。
【0005】
更に、特許文献1の例えば図1に記載のシステムにおいて、太陽光発電装置(3)の発電電力を電力系統(1)に逆潮流させる場合には、太陽光発電装置(3)が接続されている第1接続箇所P1よりも上流側(即ち、電力系統1側)に電力計(即ち、双方向計量器)を設ける必要がある。加えて、特許文献1に記載のシステムでは発電装置(4)は電力系統(1)へ電力を逆潮流させない構成になっているが、発電装置(4)の発電電力を電力系統(1)へ逆潮流できるような構成に変更することも可能である。
【0006】
但し、そのような変更を行う場合には、電力系統(1)へ逆潮流する電力が、太陽光発電装置(3)から供給される電力であるのか、又は、発電装置(4)から供給される電力であるのかを区別できるように電力計を設置する必要がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、どの装置から供給される逆潮流電力であるのかを適切に計測できる分散型電源システム及び分電盤を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る分散型電源システムの特徴構成は、電力系統に接続される電力線と、太陽電池を有する第1発電装置と、前記第1発電装置とは別の第2発電装置と、充放電装置とを備える分散型電源システムであって、
前記電力線の上流側に前記電力系統への接続箇所が設けられ、前記電力線に接続される電力消費装置と前記電力系統との間には、前記電力線の一部を構成し、前記電力系統に接続される第1電力線と、前記電力線の別の一部を構成し、前記電力消費装置が接続される第2電力線と、前記第1電力線及び前記第2電力線の間を接続する第1接続切替器とが設けられ、前記電力系統への前記電力線の接続箇所から前記電力消費装置に向かって、第1接続箇所及び第2接続箇所及び前記第1接続切替器及び第3接続箇所がその並び順で設けられ、
前記第1発電装置が接続される第2接続切替器を備え、
前記充放電装置は、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されている場合には前記第1電力線の前記第2接続箇所に接続される第1連系用接続線を介して充電及び放電を行い、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されていない場合には前記第1接続切替器に接続される第1自立用接続線を介して充電及び放電を行うように構成され、
前記第1接続切替器は、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されている場合には前記第2電力線を前記第1電力線に接続する第1連系接続状態に切り替え、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されていない場合には前記第2電力線を前記第1自立用接続線に接続する第1自立接続状態に切り替え、
前記第2接続切替器は、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されている場合には前記第1発電装置を前記第1電力線の前記第1接続箇所に接続される第2連系用接続線に接続する第2連系接続状態に切り替え、前記第1電力線に前記電力系統から電力が正常に供給されていない場合には前記第1発電装置を前記第1自立用接続線に接続される第2自立用接続線に接続する第2自立接続状態に切り替え、
前記第2発電装置は前記第3接続箇所に接続され、
前記第2発電装置及び前記充放電装置の少なくとも一方と前記第1発電装置とは、電力を前記電力系統に逆潮流可能に構成され、
前記第1接続箇所よりも上流側の前記第1電力線に、前記電力系統へ供給される逆潮流電力量を計測できる第1電力計を備え、
前記第1接続箇所と前記第2接続箇所との間の前記第1電力線に、前記第2接続箇所から前記第1接続箇所の方への供給電力量を計測できる第2電力計を備える点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、第2発電装置及び充放電装置の少なくとも一方と第1発電装置とは、電力を電力系統に逆潮流可能に構成される。また、第1電力計によって、第1発電装置、第2発電装置及び充放電装置から電力系統へ逆潮流される合計の電力を計測でき、第2電力計によって、第2発電装置及び充放電装置の少なくとも一方から電力系統へ逆潮流される電力を計測できる。そのため、第1電力計及び第2電力計の計測結果に基づいて、第1発電装置から電力系統へ逆潮流される電力と、第2発電装置及び充放電装置から電力系統へ逆潮流される合計の電力とを区別して導出できる。
【0010】
加えて、電力系統から第1電力線に電力が正常に供給されていない場合、第1接続切替器は、第2電力線を第1自立用接続線に接続する第1自立接続状態に切り替え、第2接続切替器は、第1自立用接続線に接続される第2自立用接続線に第1発電装置を接続する第2自立接続状態に切り替える。この場合、第1発電装置、第2発電装置、充放電装置及び電力消費装置は、第2接続切替器と第2自立用接続線と第1自立用接続線と第1接続切替器と第2電力線とを介して互いに接続され、それらの間で電力供給を行うことができる。特に、電力系統から第1電力線に電力が正常に供給されていない場合、第2電力計を経由せずに第1発電装置、第2発電装置、充放電装置及び電力消費装置の間で電力供給が行われるため、第2発電装置及び充放電装置の少なくとも一方から電力系統へ電力が逆潮流したと見なされ得るような事態を避けることができる。
従って、どの装置から供給される逆潮流電力であるのかを適切に計測できる分散型電源システムを提供できる。
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る分散型電源システムの特徴構成は、前記第1発電装置と前記第2接続切替器との間に設けられるブレーカーを備える点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、ブレーカーを操作することで、第1発電装置を第2接続切替器から電気的に切り離すことができる。
【0013】
本発明に係る分散型電源システムの別の特徴構成は、前記第1接続切替器は、前記第2電力線を前記第1電力線に接続する前記第1連系接続状態又は前記第2電力線を前記第1自立用接続線に接続する前記第1自立接続状態に切り替える第1切替部と、前記第1切替部を動作させる第1励磁コイルとを備え、前記第1励磁コイルは、通電されている場合には前記第1切替部を前記第1自立接続状態に切り替え、通電されていない場合には前記第1切替部を前記第1連系接続状態に切り替えるように構成され、
前記第2接続切替器は、前記第1発電装置を前記第2連系用接続線に接続する前記第2連系接続状態又は前記第1発電装置を前記第2自立用接続線に接続する前記第2自立接続状態に切り替える第2切替部と、前記第2切替部を動作させる第2励磁コイルとを備え、前記第2励磁コイルは、通電されている場合には前記第2切替部を前記第2自立接続状態に切り替え、通電されていない場合には前記第2切替部を前記第2連系接続状態に切り替えるように構成され、
前記第1励磁コイル及び前記第2励磁コイルの通電状態は共通の電源部からの通電によって制御される点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、第1接続切替器の第1励磁コイル及び第2接続切替器の第2励磁コイルの通電状態は共通の電源部からの通電によって制御されるため、第1接続切替器の第1切替部が第1連系接続状態及び第1自立接続状態の間で切り替わるタイミングと、第2接続切替器の第2切替部が第2連系接続状態及び第2自立接続状態の間で切り替わるタイミングとが同じになることが確保される。
【0015】
上記目的を達成するための本発明に係る分散型電源システムの特徴構成は、前記電源部は前記充放電装置である点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、第1電力線に電力系統から電力が正常に供給されている場合には、第1自立用接続線及び第2自立用接続線を介して、電源部としての充放電装置から第1励磁コイル及び第2励磁コイルへの通電を行って、第1切替部を第1自立接続状態に切り替え、且つ、第2切替部を第2自立接続状態に切り替えることができる。
【0017】
上記目的を達成するための本発明に係る分電盤の特徴構成は、上記分散型電源システムが備える前記第1接続切替器及び前記第2接続切替器を備える点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、どの装置から供給される逆潮流電力であるのかを適切に計測できる分散型電源システムで用いられる分電盤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】分散型電源システムの構成を説明する図である。
図2】分散型電源システムの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る分散型電源システム及び分電盤について説明する。
図1及び図2は、分散型電源システムの構成を説明する図である。具体的には、図1は、電力系統1から電力が正常に供給されている連系時の分散型電源システムの状態を説明する図である。図2は、電力系統1から電力が正常に供給されていない(即ち、電力系統1が停電した)自立時の分散型電源システムの状態を説明する図である。
【0021】
分散型電源システムは、電力系統1に接続される電力線2と、太陽電池を有する第1発電装置7と、第1発電装置7とは別の第2発電装置8と、充放電装置11とを備える。この分散型電源システムでは、電力線2の上流側に電力系統1への接続箇所が設けられ、電力線2に接続される電力消費装置6と電力系統1との間には、電力線2の一部を構成し、電力系統1に接続される第1電力線2aと、電力線2の別の一部を構成し、電力消費装置6が接続される第2電力線2bと、第1電力線2a及び第2電力線2bの間を接続する第1接続切替器3とが設けられる。尚、図中では、第1電力線2a及び第2電力線2bなどの電力供給のための線路のそれぞれを単一の線で描いているが、それらは複数の配線、ブスバーなどを接続して構成されていてもよい。
【0022】
図示する例では、電力系統1への電力線2の接続箇所から電力消費装置6に向かって、第1接続箇所P1及び第2接続箇所P2及び第1接続切替器3及び第3接続箇所P3がその並び順で設けられる。後述するように、第2発電装置8及び充放電装置11の少なくとも一方と第1発電装置7とは、電力を電力系統1に逆潮流可能に構成される。
【0023】
分散型電源システムは、第1電力計9と第2電力計10とを備える。具体的には、分散型電源システムは、第1接続箇所P1よりも上流側の第1電力線2aに、電力系統1へ供給される逆潮流電力量を計測できる第1電力計9を備え、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間の第1電力線2aに、第2接続箇所P2から第1接続箇所P1の方への供給電力量を計測できる第2電力計10を備える。
【0024】
充放電装置11は、電力の充電及び放電を行う機能を有する装置である。充放電装置11は、第1電力線2aに電力系統1から電力が正常に供給されている場合には、第1電力線2aの第2接続箇所P2に接続される第1連系用接続線16を介して充電及び放電を行い、第1電力線2aに電力系統1から電力が正常に供給されていない場合には第1接続切替器3に接続される第1自立用接続線17を介して充電及び放電を行うように構成される。充放電装置11は、第1自立用接続線17を介して充電及び放電を行っている間も、第1連系用接続線16に対して外部から電力入力があるか否かを判定する。
【0025】
充放電装置11は、予め定められた動作モードで充電及び放電の何れかを行うことができる。充放電装置11は、住戸や事業所などの施設に設置される据置型の蓄電池を備える装置でもよいし、走行用蓄電池を有する電動車両であってもよい。
【0026】
第1発電装置7は、太陽電池を有する発電装置である。本実施形態では、第1発電装置7と第2接続切替器12との間にはブレーカー15が設けられる。ブレーカー15の開閉は手動で行われてもよいし、自動で行われてもよい。ブレーカー15によって第1発電装置7と第2接続切替器12との間の接続が切断された場合、第1発電装置7は、電力系統1、充放電装置11及び第2発電装置8から電気的に切り離される。そのため、第1発電装置7についての作業を行う者が感電するといった事態を避けることができる。尚、以下の実施形態では、ブレーカー15が接続状態(即ち、第1発電装置7と第2接続切替器12とが電気的に接続された状態)になっているものとして説明を行う。
【0027】
第2発電装置8は、燃料電池や、エンジンの駆動力によって動作する発電機など、自身の発電電力を制御可能な発電装置を有する。第2発電装置8は、第1接続切替器3よりも下流側の第3接続箇所P3に接続されている。第2発電装置8は、例えば定格発電電力で動作する。
【0028】
第1接続切替器3は、第1電力線2aに電力系統1から電力が正常に供給されている場合には第2電力線2bを第1電力線2aに接続する第1連系接続状態に切り替え、第1電力線2aに電力系統1から電力が正常に供給されていない場合には第2電力線2bを第1自立用接続線17に接続する第1自立接続状態に切り替える。
【0029】
本実施形態では、第1接続切替器3は、第2電力線2bを第1電力線2aに接続する第1連系接続状態又は第2電力線2bを第1自立用接続線17に接続する第1自立接続状態に切り替える第1切替部4と、第1切替部4を動作させる第1励磁コイル5とを備え、第1励磁コイル5は、通電されている場合には第1切替部4を第1自立接続状態に切り替え、通電されていない場合には第1切替部4を第1連系接続状態に切り替える。
【0030】
第1切替部4の接点aは第2電力線2bに接続される。第1切替部4の接点bは第1電力線2aに接続される。第1切替部4の接点cは第1自立用接続線17に接続される。第1切替部4の接点aと接点bとの間が接続されている場合、第2電力線2bが第1電力線2aに接続される。第1切替部4の接点aと接点cとの間が接続されている場合、第2電力線2bが第1自立用接続線17に接続される。
【0031】
第2接続切替器12は、第1電力線2aに電力系統1から電力が正常に供給されている場合には第1発電装置7を、第1電力線2aの第1接続箇所P1に接続される第2連系用接続線18に接続する第2連系接続状態に切り替え、第1電力線2aに電力系統1から電力が正常に供給されていない場合には第1発電装置7を第1自立用接続線17に接続される第2自立用接続線19に接続する第2自立接続状態に切り替える。
【0032】
本実施形態では、第2接続切替器12は、第1発電装置7を第2連系用接続線18に接続する第2連系接続状態又は第1発電装置7を第2自立用接続線19に接続する第2自立接続状態に切り替える第2切替部13と、第2切替部13を動作させる第2励磁コイル14とを備え、第2励磁コイル14は、通電されている場合には第2切替部13を第2自立接続状態に切り替え、通電されていない場合には第2切替部13を第2連系接続状態に切り替える。
【0033】
第2切替部13の接点aは第1発電装置7に接続される。第2切替部13の接点bは第2連系用接続線18に接続される。第2切替部13の接点cは第2自立用接続線19に接続される。第2切替部13の接点aと接点bとの間が接続されている場合、第1発電装置7が第2連系用接続線18に接続される。第2切替部13の接点aと接点cとの間が接続されている場合、第1発電装置7が第2自立用接続線19に接続される。
【0034】
第1自立用接続線17には、分岐線25を介して第3接続状態切替器20が接続される。第3接続状態切替器20は、第3切替部21及び第3励磁コイル22を備える。第3切替部21の接点aは分岐線25に接続される。第3切替部21の接点bは何にも接続されない。第3切替部21の接点cは接続線24に接続される。接続線24は、第1励磁コイル5に接続される第1接続線24aと、第2励磁コイル14に接続される第2接続線24bとで構成される。
【0035】
第3励磁コイル22は分岐線23を介して第1連系用接続線16に接続される。そのため、第1連系用接続線16に電力が供給されている場合、分岐線23を介して第3励磁コイル22への通電が行われて、第3切替部21は接点aと接点bとが接続される状態に切り替わる。それに対して、第1連系用接続線16に電力が供給されていない場合、第3励磁コイル22への通電が行わないため、第3切替部21は接点aと接点cとが接続される状態に切り替わる。
【0036】
このように、第3接続状態切替器20の第3切替部21が接点aと接点cとを接続する状態になっている場合、充放電装置11が第1自立用接続線17に電力を供給すると、その第1自立用接続線17から分岐する分岐線25、第3接続状態切替器20、及び、接続線24を介して、第1励磁コイル5及び第2励磁コイル14に通電が行われる。
【0037】
以上のように、第1励磁コイル5及び第2励磁コイル14の通電状態は共通の電源部からの通電によって制御される。本実施形態では、この電源部は充放電装置11である。つまり、第1切替部4と第2切替部13とは連動して動作するように構成される。具体的には、電力系統1から電力が正常に供給されている場合、即ち、充放電装置11が第1連系用接続線16を介して充電及び放電を行っている場合、第1切替部4の接点aと接点bとの間が接続される連系状態に切り替わり、且つ、第2切替部13の接点aと接点bとの間が接続される連系状態に切り替わる。また、電力系統1から電力が正常に供給されていない場合、即ち、充放電装置11が第1自立用接続線17を介して充電及び放電を行っている場合、第1励磁コイル5及び第2励磁コイル14に通電されることで、第1切替部4の接点aと接点cとの間が接続される自立状態に切り替わり、且つ、第2切替部13の接点aと接点cとの間が接続される自立状態に切り替わる。
【0038】
このように、第1接続切替器3の第1励磁コイル5及び第2接続切替器12の第2励磁コイル14の通電状態は共に充放電装置11からの通電によって制御されるため、第1接続切替器3の第1切替部4が第1連系接続状態及び第1自立接続状態の間で切り替わるタイミングと、第2接続切替器12の第2切替部13が第2連系接続状態及び第2自立接続状態の間で切り替わるタイミングとが同じになることが確保される。
【0039】
尚、本実施形態のような構成になっていない場合、第1電力線2aに電力系統1から電力が正常に供給されているにも関わらず第2接続切替器12が第2自立接続状態(即ち、接点aと接点cとが接続される状態)に切り替わるような事態が発生する可能性もある。その場合、第1発電装置7から供給される電力が、第2接続切替器12、第2自立用接続線19及び第1自立用接続線17を介して充放電装置11に供給され、充放電装置11に過大な電流が流れてしまう可能性がある。但し、本実施形態の構成では、上述したような第2接続切替器12のみが第2自立接続状態に切り替わるような事態は発生しないため、充放電装置11に過大な電流が流れてしまうこともない。
【0040】
尚、図1及び図2では、第1接続切替器3及び第2接続切替器12を別々に描いているが、第1接続切替器3及び第2接続切替器12は一体で構成されてもよい。例えば、本実施形態の分散型電源システムが備える第1接続切替器3及び第2接続切替器12を備える分電盤として実現してもよい。そして、その分電盤が第3接続状態切替器20及びブレーカー15を含んでいてもよい。
【0041】
第2発電装置8及び充放電装置11の少なくとも一方と第1発電装置7とは、電力を電力系統1に逆潮流可能に構成される。
【0042】
第1電力計9は、第1接続箇所P1よりも上流側の第1電力線2aに設けられ、電力系統1から第1接続箇所P1へ供給される受電電力量及び第1接続箇所P1から電力系統1へ供給される逆潮流電力量を計測できる。つまり、第1電力計9は双方向計量器である。尚、第1電力計9が計測する逆潮流電力量は、それよりも下流側に設けられている第1発電装置7、充放電装置11及び第2発電装置8の少なくとも何れか一つから逆潮流される電力量である。
【0043】
第2電力計10は、第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間の第1電力線2aに設けられ、第2接続箇所P2から第1接続箇所P1の方への供給電力量を計測できる。
【0044】
第2電力計10が計測する供給電力量には、第1発電装置7から電力系統1への供給電力量は含まれない。そのため、第1電力計9の計測値及び第2電力計10の計測値を参照することで、第1発電装置7から電力系統1への逆潮流電力量を導出でき、充放電装置11及び第2発電装置8の少なくとも一方から電力系統1への逆潮流電力量を各別に導出できる。このように、第2電力計10は、第1電力計9の計測値との差分を求めるために用いられる計量器である。
【0045】
〔連系時〕
図1には分散型電源システムの連系時の状態を示す。尚、図中では、電力供給が行われている箇所を太線で示している。図示するように、電力系統1から電力が正常に供給されている場合、第1接続切替器3の第1切替部4は接点aと接点bとが接続される状態になり、第2電力線2bは第1電力線2aに接続される。また、第2接続切替器12の第2切替部13は接点aと接点bとが接続される状態になり、第1発電装置7は第1連系用接続線16に接続される。その結果、第1発電装置7、充放電装置11、第2発電装置8及び電力消費装置6は電力系統1に連系される。
【0046】
この場合、第1連系用接続線16に接続される分岐線23を介して第3励磁コイル22にも通電されるため、第3接続状態切替器20の第3切替部21は接点aと接点bとが接続される状態に切り替わる。その結果、第1励磁コイル5及び第2励磁コイル14に通電されることはない。
【0047】
図1に示す連系時では、第2発電装置8は例えば定格出力で発電を行う。充放電装置11は、予め定められた動作モードで充電及び放電の何れかを行うことができる。
【0048】
〔自立時〕
図2には分散型電源システムの自立時の状態を示す。尚、図中では、電力供給が行われている箇所を太線で示している。図2に示す自立時でも、第2発電装置8は例えば定格出力で発電を行うことができる。
【0049】
図示するように、電力系統1から電力が正常に供給されていない場合、充放電装置11は、第1自立用接続線17を介して充電及び放電を行うことができる。例えば、充放電装置11は、第1自立用接続線17の電圧が所定電圧になるように第1自立用接続線17を介して充電及び放電を行うことができ、その間に、充放電装置11は、第1自立用接続線17を介して、第1発電装置7及び第2発電装置8の少なくとも一つから供給される電力を充電できる。
【0050】
この場合、第1連系用接続線16に接続される分岐線23及び第3励磁コイル22には通電されなくなるため、第3接続状態切替器20の第3切替部21は接点aと接点cとが接続される状態に切り替わる。そのため、充放電装置11が第1自立用接続線17を介して充電及び放電を行っている間、第1自立用接続線17に接続される分岐線25及び第3切替部21を介して第1励磁コイル5及び第2励磁コイル14に通電される。そして、第1接続切替器3の第1切替部4は接点aと接点cとが接続される状態になり、第2電力線2bは第1自立用接続線17に接続される。また、第2接続切替器12の第2切替部13は接点aと接点cとが接続される状態になり、第1発電装置7は第2自立用接続線19に接続される。その結果、第1発電装置7、充放電装置11、第2発電装置8及び電力消費装置6は、第2接続切替器12、第2自立用接続線19、第1自立用接続線17、第1接続切替器3及び第2電力線2bを介して互いに接続される。そして、充放電装置11は、第1発電装置7及び第2発電装置8から供給される電力を充電できる。
【0051】
以上のように、第2発電装置8及び充放電装置11の少なくとも一方と第1発電装置7とは、電力を電力系統1に逆潮流可能に構成される。また、第1電力計9によって、第1発電装置7、第2発電装置8及び充放電装置11から電力系統1へ逆潮流される合計の電力を計測でき、第2電力計10によって、第2発電装置8及び充放電装置11の少なくとも一方から電力系統1へ逆潮流される電力を計測できる。そのため、第1電力計9及び第2電力計10の計測結果に基づいて、第1発電装置7から電力系統1へ逆潮流される電力と、第2発電装置8及び充放電装置11から電力系統1へ逆潮流される合計の電力とを区別して導出できる。
【0052】
加えて、電力系統1から第1電力線2aに電力が正常に供給されていない場合、第1接続切替器3は、第2電力線2bを第1自立用接続線17に接続する第1自立接続状態に切り替え、第2接続切替器12は、第1自立用接続線17に接続される第2自立用接続線19に第1発電装置7を接続する第2自立接続状態に切り替える。この場合、第1発電装置7、第2発電装置8、充放電装置11及び電力消費装置6は、第2接続切替器12と第2自立用接続線19と第1自立用接続線17と第1接続切替器3と第2電力線2bとを介して互いに接続され、それらの間で電力供給を行うことができる。特に、電力系統1から第1電力線2aに電力が正常に供給されていない場合、第2電力計10を経由せずに第1発電装置7、第2発電装置8、充放電装置11及び電力消費装置6の間で電力供給が行われるため、第2発電装置8及び充放電装置11の少なくとも一方から電力系統1へ電力が逆潮流したと見なされ得るような事態を避けることができる。
【0053】
<別実施形態>
上記実施形態では、分散型電源システム及び分電盤の構成について具体例を挙げて説明したが、それらの構成は適宜変更可能である。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、どの装置から供給される逆潮流電力であるのかを適切に計測できる分散型電源システム及び分電盤に利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 :電力系統
2 :電力線
2a :第1電力線
2b :第2電力線
3 :第1接続切替器
4 :第1切替部
5 :第1励磁コイル
6 :電力消費装置
7 :第1発電装置
8 :第2発電装置
9 :第1電力計
10 :第2電力計
11 :充放電装置
12 :第2接続切替器
13 :第2切替部
14 :第2励磁コイル
15 :ブレーカー
16 :第1連系用接続線
17 :第1自立用接続線
19 :第2自立用接続線
P1 :第1接続箇所
P2 :第2接続箇所
P3 :第3接続箇所
図1
図2