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特開2024-114333把持装置およびこれを備えた組立機械
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114333
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】把持装置およびこれを備えた組立機械
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/02 20060101AFI20240816BHJP
   B25J 17/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B23P19/02 Q
B25J17/02 G
B23P19/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020024
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】523050634
【氏名又は名称】C&Mロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004392
【氏名又は名称】弁理士法人佐川国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】周 桑完
【テーマコード(参考)】
3C030
3C707
【Fターム(参考)】
3C030BC04
3C030BC25
3C707AS07
3C707BT18
3C707ES04
3C707EU09
3C707HS14
(57)【要約】
【課題】装置全体としての剛性や安定性を低下させることなく、多種多様な対象物を把持する機能と、対象物を嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する機能とを一体化し、コストを低減するとともに、生産性を向上することができる把持装置およびこれを備えた組立機械を提供する。
【解決手段】中心誤差補正機構3は、上部構造体31と、下部構造体32と、リミッタ34とを備え、把持指開閉機構2は、把持指固定用スライド部材22と、アクチュエータ23とを備えており、対象物11を嵌合穴12に圧入する際、把持指21に作用する圧入力は、把持指固定用スライド部材22、下部構造体32、弾性体33、リミッタ34および上部構造体31を介して組立機械10に作用するように構成されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されている、把持装置。
【請求項2】
前記把持指固定用スライド部材は、前記把持指を固定する把持指固定部と、前記把持指固定部よりも横幅が広いスライド部とから構成されているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に固定され、前記スライド部をスライド可能に嵌合させるスライド用嵌合溝と、前記把持指固定部をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝とを備えた支持カバーと、
前記アクチュエータによって上下方向に移動される駆動ロッドと、
略L字形状に形成され、その一端が前記駆動ロッドにリンクされるとともに、他端が前記把持指固定用スライド部材にリンクされ、前記下部構造体に設けられた略水平方向の回転軸周りに回動することにより、前記駆動ロッドの上下運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換するL字リンク部材と、
を有する、請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記把持指固定用スライド部材は、前記把持指を固定する把持指固定部と、前記把持指固定部よりも横幅が広いスライド部とから構成されているとともに、前記スライド部の基端部には、所定の傾斜角度で傾斜された傾斜案内面と、前記傾斜案内面と平行な傾斜面を有し断面略T字形状に形成されたT字傾斜溝とが設けられており、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に嵌合させる断面略T字形状のT字スロットと、
前記アクチュエータによって上下方向に移動されるとともに、前記把持指固定用スライド部材のそれぞれに向けて放射状に延設される放射アーム部材と、
を有し、
前記放射アーム部材の各先端部には、前記傾斜案内面および前記T字傾斜溝の傾斜面と平行な傾斜面を有する断面略T字形状に形成され、前記傾斜案内面および前記T字傾斜溝に沿ってスライドすることにより、前記放射アーム部材の上下運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換するT字傾斜片が設けられている、請求項1に記載の把持装置。
【請求項4】
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝と、
前記スライド用貫通溝に貫通させた前記把持指固定用スライド部材の上面に固定されるスライドカバーと、
前記アクチュエータによって上下方向に移動される駆動ロッドと、
前記駆動ロッドの上下位置に固定される一対のワイヤフックと、
前記スライド用貫通溝の両端において、略水平方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の水平固定ローラと、
前記ワイヤフックのそれぞれに一端と他端とが固定されるとともに、その中間部分が前記スライドカバーと前記把持指固定用スライド部材との間に締め付け固定され、前記一対の水平固定ローラに巻回されることにより、前記駆動ロッドの上下運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換する駆動ワイヤと、
を有する、請求項1に記載の把持装置。
【請求項5】
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝と、
前記スライド用貫通溝に貫通させた前記把持指固定用スライド部材の上面に固定されるスライドカバーと、
前記スライド用貫通溝のスライド方向における外側に配置され、略垂直方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の垂直固定ローラと、
前記上部構造体に固定された前記アクチュエータによって略垂直方向の駆動軸周りに回転駆動される駆動プーリと、
前記下部構造体に設けられ、前記駆動プーリと連動して回転する従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に設けられ、前記駆動プーリに対して前記従動プーリを互いに直交する二方向に沿ってスライド可能に連結する中間プーリと、
前記従動プーリに一端と他端とが固定されるとともに、その中間部分が前記スライドカバーに固定され、前記一対の垂直固定ローラに巻回されることにより、前記従動プーリの回転運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換する駆動ワイヤと、
を有する、請求項1に記載の把持装置。
【請求項6】
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝と、
前記スライド用貫通溝に貫通させた前記把持指固定用スライド部材の上面に固定されるスライドカバーと、
前記スライド用貫通溝のスライド方向における外側に配置され、略垂直方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の垂直固定ローラと、
前記下部構造体に固定された前記アクチュエータによって略垂直方向の駆動軸周りに回転駆動される回転プーリと、
前記回転プーリに一端と他端とが固定されるとともに、その中間部分が前記スライドカバーに固定され、前記一対の垂直固定ローラに巻回されることにより、前記回転プーリの回転運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換する駆動ワイヤと、
を有する、請求項1に記載の把持装置。
【請求項7】
前記把持指固定用スライド部材には、開閉位置検出用部材が設けられているとともに、
前記把持指固定用スライド部材が開いた位置にあるときに、前記開閉位置検出用部材を検出する開位置検出センサと、
前記把持指固定用スライド部材が閉じた位置にあるときに、前記開閉位置検出用部材を検出する閉位置検出センサと、
を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項8】
前記把持指固定用スライド部材には、スライド方向における変位を検出する変位検出機構が設けられている、請求項1から請求項6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項9】
前記上部構造体の下面から下方に突出したロック位置と、前記上部構造体の内部に退避したアンロック位置との間で上下方向にスライド可能な複数のロックピンと、
前記組立機械が前記把持指によって把持された前記対象物を圧入位置へ搬送している間、前記複数のロックピンを前記ロック位置に突出させるとともに、前記組立機械が前記把持指によって把持された前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数のロックピンを前記アンロック位置に退避させるロック用アクチュエータと、
を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項10】
前記上部構造体の周縁部を上下方向に貫通する一対の貫通穴によって挟まれた荷重検知部と、
前記貫通穴の内壁面に固定されるひずみゲージと、
を有しており、
前記上部構造体の上面には、前記組立機械に取り付けるための取付面との間に、前記荷重検知部の弾性変形可能な長さ以下の間隔を隔てて設けられた段差面が設けられている、請求項1から請求項6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項11】
前記上部構造体と前記下部構造体との間の空間を取り囲むように筒状かつ蛇腹状に形成された異物侵入防止用サイドカバーを有している、請求項1から請求項6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項12】
前記支持カバーの略中央部に固定されるとともに、前記スライド部の基端部に係止する係止爪を有し、前記スライド部と前記スライド用貫通溝との隙間を閉塞する蛇腹状の異物侵入防止用ボトムカバーを有している、請求項1から請求項6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項13】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の把持装置を備えた組立機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置およびこれを備えた組立機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸や軸受け等の対象物を所定の嵌合穴に圧入する場合、ロボットや圧入機等の操作端に取り付けられた把持ツールに把持させている。例えば、特開2003-117738号公報には、ベアリングホルダに対象物を把持させ、中心位置を補正しながら嵌合穴に圧入することが可能な発明が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-117738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような圧入作業に際しては、グリッパー等の汎用的な把持ツールは耐荷重が低くて使用できない。このため、従来、特許文献1のベアリングホルダのように、対象物ごとに高い耐荷重を有する専用の把持ツールが特別に製作されている。したがって、例えば自動車工場等のように、様々な種類やサイズの対象物(ベアリング、オイルシール、ピン、軸、ギア等)を圧入する生産ラインでは、専用の把持ツールを作業対象部品ごとに用意しなければならず、その設計費や製作費などに多大なコストがかかるという問題がある。
【0005】
また、圧入する対象物を変更するたびに生産ラインを一時停止し、それまで使用していた把持ツールを取り外すとともに、新たな把持ツールを正確な位置に取り付ける必要がある。このため、取り扱う対象物の種類やサイズが多いほど、把持ツールの交換作業に手間や時間がかかり、生産性が低下する上、作業者へかかる作業負担が大きいという問題もある。
【0006】
さらに、対象物を嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する場合は、特許文献1のような弾性中心機器を取り付けることとなる。しかしながら、それぞれ独立して分離された機能を有する弾性中心機器と把持ツールとをシリアルに結合すると、構成が複雑になる上、圧入方向の長さが長くなる。そうすると、装置全体としての剛性が低下したり、姿勢が不安定になるため、圧入作業ができなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、装置全体としての剛性や安定性を低下させることなく、多種多様な対象物を把持する機能と、対象物を嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する機能とを一体化し、コストを低減するとともに、生産性を向上することができる把持装置およびこれを備えた組立機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る把持装置は、装置全体としての剛性や安定性を低下させることなく、多種多様な対象物を把持する機能と、対象物を嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する機能とを一体化し、コストを低減するとともに、生産性を向上するという課題を解決するために、組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、を有し、前記中心誤差補正機構は、前記組立機械に固定される上部構造体と、前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、を備えているとともに、前記把持指開閉機構は、前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、を備えており、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されている。
【0009】
また、本発明の一態様として、コンパクトで安定的な構成でありながら、多種多様な対象物を把持するという課題を解決するために、前記把持指固定用スライド部材は、前記把持指を固定する把持指固定部と、前記把持指固定部よりも横幅が広いスライド部とから構成されているとともに、前記把持指開閉機構は、前記下部構造体に固定され、前記スライド部をスライド可能に嵌合させるスライド用嵌合溝と、前記把持指固定部をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝とを備えた支持カバーと、前記アクチュエータによって上下方向に移動される駆動ロッドと、略L字形状に形成され、その一端が前記駆動ロッドにリンクされるとともに、他端が前記把持指固定用スライド部材にリンクされ、前記下部構造体に設けられた略水平方向の回転軸周りに回動することにより、前記駆動ロッドの上下運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換するL字リンク部材と、を有していてもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様として、シンプルな構成でありながら、多種多様な対象物を把持するという課題を解決するために、前記把持指固定用スライド部材は、前記把持指を固定する把持指固定部と、前記把持指固定部よりも横幅が広いスライド部とから構成されているとともに、前記スライド部の基端部には、所定の傾斜角度で傾斜された傾斜案内面と、前記傾斜案内面と平行な傾斜面を有し断面略T字形状に形成されたT字傾斜溝とが設けられており、前記把持指開閉機構は、前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に嵌合させる断面略T字形状のT字スロットと、前記アクチュエータによって上下方向に移動されるとともに、前記把持指固定用スライド部材のそれぞれに向けて放射状に延設される放射アーム部材と、を有し、前記放射アーム部材の各先端部には、前記傾斜案内面および前記T字傾斜溝の傾斜面と平行な傾斜面を有する断面略T字形状に形成され、前記傾斜案内面および前記T字傾斜溝に沿ってスライドすることにより、前記放射アーム部材の上下運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換するT字傾斜片が設けられていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様として、下部構造体側を軽量化し中心誤差を補正し易くするとともに、複雑な加工を減らして簡単かつ安価に製造するという課題を解決するために、前記把持指開閉機構は、前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝と、前記スライド用貫通溝に貫通させた前記把持指固定用スライド部材の上面に固定されるスライドカバーと、前記アクチュエータによって上下方向に移動される駆動ロッドと、前記駆動ロッドの上下位置に固定される一対のワイヤフックと、前記スライド用貫通溝の両端において、略水平方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の水平固定ローラと、前記ワイヤフックのそれぞれに一端と他端とが固定されるとともに、その中間部分が前記スライドカバーと前記把持指固定用スライド部材との間に締め付け固定され、前記一対の水平固定ローラに巻回されることにより、前記駆動ロッドの上下運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換する駆動ワイヤと、を有していてもよい。
【0012】
さらに、本発明の一態様として、中心誤差補正時の揺動を阻害することなくモータの回転運動を伝達するという課題を解決するために、前記把持指開閉機構は、前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝と、前記スライド用貫通溝に貫通させた前記把持指固定用スライド部材の上面に固定されるスライドカバーと、前記スライド用貫通溝のスライド方向における外側に配置され、略垂直方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の垂直固定ローラと、前記上部構造体に固定された前記アクチュエータによって略垂直方向の駆動軸周りに回転駆動される駆動プーリと、前記下部構造体に設けられ、前記駆動プーリと連動して回転する従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に設けられ、前記駆動プーリに対して前記従動プーリを互いに直交する二方向に沿ってスライド可能に連結する中間プーリと、前記従動プーリに一端と他端とが固定されるとともに、その中間部分が前記スライドカバーに固定され、前記一対の垂直固定ローラに巻回されることにより、前記従動プーリの回転運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換する駆動ワイヤと、を有していてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様として、部品点数を減らして簡単かつ安価に製造するという課題を解決するために、前記把持指開閉機構は、前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝と、前記スライド用貫通溝に貫通させた前記把持指固定用スライド部材の上面に固定されるスライドカバーと、前記スライド用貫通溝のスライド方向における外側に配置され、略垂直方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の垂直固定ローラと、前記下部構造体に固定された前記アクチュエータによって略垂直方向の駆動軸周りに回転駆動される回転プーリと、前記回転プーリに一端と他端とが固定されるとともに、その中間部分が前記スライドカバーに固定され、前記一対の垂直固定ローラに巻回されることにより、前記回転プーリの回転運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換する駆動ワイヤと、を有していてもよい。
【0014】
さらに、本発明の一態様として、把持指の開閉状態を正確に把握するという課題を解決するために、前記把持指固定用スライド部材には、開閉位置検出用部材が設けられているとともに、前記把持指固定用スライド部材が開いた位置にあるときに、前記開閉位置検出用部材を検出する開位置検出センサと、前記把持指固定用スライド部材が閉じた位置にあるときに、前記開閉位置検出用部材を検出する閉位置検出センサと、を有していてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様として、把持指の変位量を検出し、品質管理や把持状態の把握を可能にするという課題を解決するために、前記把持指固定用スライド部材には、スライド方向における変位を検出する変位検出機構が設けられていてもよい。
【0016】
さらに、本発明の一態様として、組立作業のサイクルタイムを短縮するとともに組立不良の発生を防止するという課題を解決するために、前記上部構造体の下面から下方に突出したロック位置と、前記上部構造体の内部に退避したアンロック位置との間で上下方向にスライド可能な複数のロックピンと、前記組立機械が前記把持指によって把持された前記対象物を圧入位置へ搬送している間、前記複数のロックピンを前記ロック位置に突出させるとともに、前記組立機械が前記把持指によって把持された前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数のロックピンを前記アンロック位置に退避させるロック用アクチュエータと、を有していてもよい。
【0017】
また、本発明の一態様として、過大な圧入反力を自動的に検知するという課題を解決するために、前記上部構造体の周縁部を上下方向に貫通する一対の貫通穴によって挟まれた荷重検知部と、前記貫通穴の内壁面に固定されるひずみゲージと、を有しており、前記上部構造体の上面には、前記組立機械に取り付けるための取付面との間に、前記荷重検知部の弾性変形可能な長さ以下の間隔を隔てて設けられた段差面が設けられていてもよい。
【0018】
さらに、本発明の一態様として、把持装置の内部に粉塵等の異物が侵入するのを防止するという課題を解決するために、前記上部構造体と前記下部構造体との間の空間を取り囲むように筒状かつ蛇腹状に形成された異物侵入防止用サイドカバーを有していてもよい。
【0019】
また、本発明の一態様として、把持装置の内部に粉塵等の異物が侵入するのを防止するという課題を解決するために、前記支持カバーの略中央部に固定されるとともに、前記スライド部の基端部に係止する係止爪を有し、前記スライド部と前記スライド用貫通溝との隙間を閉塞する蛇腹状の異物侵入防止用ボトムカバーを有していてもよい。
【0020】
また、本発明に係る組立機械は、上述したいずれかの態様の把持装置を備えている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、装置全体としての剛性や安定性を低下させることなく、多種多様な対象物を把持する機能と、対象物を嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する機能とを一体化し、コストを低減するとともに、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る把持装置を備えた組立機械を示す図である。
図2】本発明に係る把持装置の第1実施形態を示す(a)平面図、(b)正面図および(c)図2(a)におけるA-A線断面図である。
図3】第1実施形態において、(a)把持指を閉じた状態、および(b)把持指を開いた状態を示す一部断面図および底面図である。
図4】第1実施形態の把持装置の分解図である。
図5】第2実施形態の把持指固定用スライド部材を示す(a)斜視図、(b)平面図および(c)図5(b)におけるA-A線断面図である。
図6】第2実施形態の把持指開閉機構を示す一部断面図である。
図7】第2実施形態の放射アーム部材を示す斜視図である。
図8】第2実施形態において、(a)把持指を閉じた状態、および(b)把持指を開いた状態を示す一部断面図および底面図である。
図9】第2実施形態の変形例を示す一部断面斜視図である。
図10】第2実施形態の変形例における把持指固定用スライド部材を示す斜視図である。
図11】第2実施形態の変形例において、(a)把持指を閉じた状態、および(b)把持指を開いた状態を示す一部断面図および底面図である。
図12】第3実施形態の把持装置を示す(a)斜視図および(b)一部断面図である。
図13】第3実施形態の把持指開閉機構の一部を示す図である。
図14】第3実施形態において、(a)把持指を閉じた状態、および(b)把持指を開いた状態を示す一部切断平面図および一部断面図である。
図15】第4実施形態の把持装置を示す(a)斜視図、(b)上部構造体を取り外した状態の平面図および(c)一部断面図である。
図16】第4実施形態の把持指開閉機構の一部を示す(a)一部断面図および(b)分解斜視図である。
図17】第5実施形態の把持装置を示す(a)一部透視図および(b)上部構造体およびリミッタを取り外した状態の斜視図である。
図18】第5実施形態の把持装置を示す(a)上部構造体およびリミッタを取り外した状態の平面図および(b)一部断面側面図である。
図19】変形例1において、(a)把持指を閉じた状態、および(b)把持指を開いた状態を示す斜視図および一部断面図である。
図20】変形例2における、(a)把持装置の一部断面図、(b)変位検出機構を分解した状態を示す斜視図および(c)把持指固定用スライド部材に取り付けた変位検出機構を示す図である。
図21】変形例3において、(a)下部構造体をロックした状態および(b)下部構造体をアンロックした状態を示す図である。
図22】変形例4における(a)ロードセル機構を搭載した把持装置の一部断面図、(b)上部構造体の斜視図および(c)図22(a)におけるA部分拡大図である。
図23】変形例5において、(a)異物侵入防止用サイドカバーを取り付けた把持装置の正面図、(b)異物侵入防止用ボトムカバーを取り付けた支持カバーの斜視図、および(c)異物侵入防止用ボトムカバーを取り付けた把持装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る把持装置およびこれを備えた組立機械の各実施形態について図面を用いて説明する。
【0024】
本発明に係る把持装置1は、図1に示すように、組立機械10に取り付けられ、対象物11を把持しながら所定の嵌合穴12に圧入するための把持装置1である。この把持装置1は、主として、対象物11を把持するための複数の把持指21を開閉させる把持指開閉機構2と、対象物11を嵌合穴12に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構3とを有している。以下、各構成について説明する。
【0025】
なお、組立機械10としては、サーボプレスを用いた圧入専用機や、産業用ロボットハンド等のように、圧入作業が可能な全ての組立機械10を含むものである。また、以下の実施形態では、対象物11としてベアリングを用いているが、これに限定されるものではなく、所定の嵌合穴12に圧入されうる対象物11であればよい。
【0026】
[第1実施形態]
図2(a)~(c)は、本発明に係る第1実施形態の把持装置1Aを示す図である。本第1実施形態において、中心誤差補正機構3は、組立機械10に固定される上部構造体31と、上部構造体31に対して複数の弾性体33を介して揺動可能に設けられる下部構造体32と、上部構造体31と下部構造体32との間に設けられるリミッタ34とを備えている。
【0027】
以上の構成において、弾性体33としては、円盤状のゴム板と金属製のワッシャとを交互に積層してなるESP(Elastomer Shear Pad)等が用いられる。また、リミッタ34は、耐荷重の高い剛性素材によって形成されており、対象物11を嵌合穴12に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、弾性体33に作用する圧入力を制限するものである。なお、リミッタ34は、圧入方向のみならず、引張方向、水平方向、捻れ方向および傾き方向のそれぞれにかかる力を制限しうるものであるが、少なくとも圧入力を制限するものであればよい。
【0028】
つぎに、把持指開閉機構2は、図2および図3に示すように、下部構造体32の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、把持指21のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材22と、対象物11の大きさに合わせて把持指固定用スライド部材22を放射方向にスライド移動させるアクチュエータ23とを備えている。
【0029】
本第1実施形態において、アクチュエータ23は、図3に示すように、エアシリンダ231内を上下動するピストン部材232と、エアシリンダ231内に圧縮空気を供給する上部ポート233および下部ポート234によって構成されている。そして、図3(a)に示すように、下部ポート234に圧縮空気を供給するとピストン部材232が上方へ後進する一方、図3(b)に示すように、上部ポート233に圧縮空気を供給するとピストン部材232が下方へ前進するようになっている。なお、アクチュエータ23は、この構成に限定されるものではなく、ソレノイド等のリニアアクチュエータ等でもよい。
【0030】
また、本第1実施形態において、把持指固定用スライド部材22は、図4に示すように、把持指21を固定する把持指固定部221と、把持指固定部221よりも横幅が広いスライド部222とから構成されている。なお、把持指固定部221には、圧入しようとする対象物11のサイズや形状に応じて、様々なタイプの把持指21を長ボルト等によって着脱可能に構成されている。
【0031】
また、本第1実施形態において、把持指開閉機構2は、図4に示すように、把持指固定用スライド部材22を支持する支持カバー24と、アクチュエータ23によって上下方向に移動される駆動ロッド25と、略L字形状に形成されるL字リンク部材26とを有している。
【0032】
支持カバー24は、図3および図4に示すように、下部構造体32に固定され、スライド部222をスライド可能に嵌合させるスライド用嵌合溝241と、把持指固定部221をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝242とを備えている。また、駆動ロッド25は、その上端部がピストン部材232に固定されるとともに、下端部にはL字リンク部材26の一端を引っ掛けてリンクさせるための凹状溝251が周方向に沿って形成されている。
【0033】
さらに、L字リンク部材26は、図3に示すように、その一端が駆動ロッド25の凹状溝251に嵌入されてリンクされるとともに、他端が把持指固定用スライド部材22に設けられたヒンジピン223にリンクされている。そして、L字リンク部材26は、下部構造体32に設けられた略水平方向の回転軸261周りに回動することにより、駆動ロッド25の上下運動を把持指固定用スライド部材22のスライド運動に変換するようになっている。
【0034】
具体的には、図3(a)に示すように、ピストン部材232と一体化された駆動ロッド25が上方へ移動すると、L字リンク部材26の一端が持ち上げられる。これにより、L字リンク部材26が回転軸261周りに回動し、他端がヒンジピン223を中心側に引き寄せるため、把持指固定用スライド部材22が放射方向内方へスライド移動する。これにより、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は閉じた状態となる。
【0035】
一方、図3(b)に示すように、ピストン部材232と一体化された駆動ロッド25が下方へ移動すると、L字リンク部材26の一端が押し下げられる。これにより、L字リンク部材26が回転軸261周りに回動し、他端がヒンジピン223を外方向へ押し出すため、把持指固定用スライド部材22が放射方向外方へスライド移動する。これにより、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は開いた状態となる。なお、図3では、把持指21を取り外した状態で図示している。
【0036】
つぎに、本第1実施形態の把持装置1Aおよびこれを備えた組立機械10による作用について説明する。
【0037】
まず、本第1実施形態の把持装置1Aを用いて対象物11を所定の嵌合穴12に圧入する場合、アクチュエータ23が対象物11の大きさに合わせて把持指固定用スライド部材22を放射方向にスライド移動させる。これにより、把持指21のそれぞれが所望のサイズに開閉されるため、多種多様な対象物11を把持することが可能となる。
【0038】
例えば、図2に示すように、把持指21によってベアリングの内輪を把持する場合、把持指21の先端を内輪の内径より内方に閉じた状態で内輪に挿入した後、把持指21を外方に広げることにより把持される。一方、把持指21によってベアリングの外輪を把持する場合は、把持指21の先端を外輪の外径より外方に広げた状態で外輪の外側に配置した後、把持指21を内方に閉じることにより把持される。
【0039】
把持指21によって把持された対象物11は、組立機械10によって所定の嵌合穴12の上方位置に搬送された後、下方に移動されることで圧入される。このとき、図1に示すように、対象物11の中心軸と嵌合穴12の中心軸との間に中心誤差(芯ズレ)があると、対象物11を下方に移動させたとき、その下面の端縁部が嵌合穴12の縁に設けられた面取り部に接触し、当該接触部分に反力が作用する。
【0040】
これにより、中心誤差補正機構3が対象物11を嵌合穴12の面取り部に沿って水平移動させ、対象物11の中心軸を嵌合穴12の中心軸に自動的に一致させる。したがって、部品間に中心誤差や傾きがあっても、対象物11が嵌合穴12にスムーズに圧入される。このため、中心誤差や傾きに起因する過大な圧入力の発生が防止されるため、対象物11や嵌合穴12側の部品が損傷したり、組立機械10に悪影響が及んでしまうことが抑制される。
【0041】
また、対象物11を嵌合穴12に圧入する際、複数の把持指21に作用する圧入力は、把持指固定用スライド部材22、下部構造体32、弾性体33、リミッタ34および上部構造体31を介して組立機械10に作用する。これにより、把持指開閉機構2や中心誤差補正機構3が圧入時の高荷重によって破損してしまうことがないため、多種多様な対象物11を把持する機能と、対象物11を嵌合穴12に圧入する際の中心位置を補正する機能とが一体化される。
【0042】
また、本第1実施形態では、把持指開閉機構2を構成するアクチュエータ23としてのエアシリンダ231やピストン部材232、および駆動ロッド25等が、下部構造体32の内部に設けられている。このため、装置全体としてコンパクトにまとまっており、剛性や安定性を低下させることがない。
【0043】
以上のような本第1実施形態の把持装置1Aおよびこれを備えた組立機械10によれば、以下のような効果を奏する。
1.装置全体としての剛性や安定性を低下させることなく、多種多様な対象物11を把持する機能と、対象物11を嵌合穴12に圧入する際の中心位置を補正する機能とを一体化することができる。
2.対象物11ごとに専用の把持ツールを用意する必要がないため、設計や製作に係るコストを低減することができる。
3.把持ツールの交換作業を行う必要がないため、作業者へかかる作業負担を低減し、生産性を向上することができる。
【0044】
[第2実施形態]
つぎに、本発明に係る第2実施形態の把持装置1Bについて説明する。なお、本第2実施形態の構成のうち、上述した第1実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0045】
本第2実施形態の特徴は、把持指開閉機構2において、L字リンク部材26を用いることなく構成を簡素化する点にある。具体的には、図5に示すように、把持指固定用スライド部材22は、把持指固定部221と、スライド部222とから構成されている。そして、スライド部222の基端部には、所定の傾斜角度で傾斜された傾斜案内面224と、傾斜案内面224と平行な傾斜面を有し断面略T字形状に形成されたT字傾斜溝225とが設けられている。
【0046】
また、本第2実施形態において、把持指開閉機構2は、図6に示すように、下部構造体32に固定される支持カバー24と、アクチュエータ23によって上下方向に移動される放射アーム部材27とを有している。
【0047】
放射アーム部材27は、図6および図7に示すように、駆動ロッド25を介してピストン部材232に固定されており、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに向けて放射状に延設されている。また、各放射アーム部材27の各先端部には、傾斜案内面224およびT字傾斜溝225の傾斜面と平行な傾斜面を有する断面略T字形状に形成されたT字傾斜片271が設けられている。このT字傾斜片271が、把持指固定用スライド部材22の傾斜案内面224およびT字傾斜溝225に沿ってスライドすることにより、放射アーム部材27の上下運動を把持指固定用スライド部材22のスライド運動に変換するようになっている。
【0048】
具体的には、図8(a)に示すように、ピストン部材232と一体化された駆動ロッド25が上方へ移動すると、放射アーム部材27が持ち上げられる。そうすると、T字傾斜片271の内側面が、T字傾斜溝225の内側面に斜め上方向の押圧力を付与しながら上方へスライドし、把持指固定用スライド部材22を中心側に引き寄せる。これにより、把持指固定用スライド部材22が支持カバー24内を放射方向内方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は閉じた状態となる。
【0049】
一方、図8(b)に示すように、ピストン部材232と一体化された駆動ロッド25が下方へ移動すると、放射アーム部材27が押し下げられる。そうすると、傾斜案内面224およびT字傾斜片271の外側面が、T字傾斜溝225の外側面に斜め下方向の押圧力を付与しながら下方へスライドし、把持指固定用スライド部材22を外方向に押し出す。これにより、把持指固定用スライド部材22が支持カバー24内を放射方向外方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は開いた状態となる。なお、図8では、把持指21を取り外した状態で図示している。
【0050】
以上のような、本第2実施形態の把持装置1Bおよびこれを備えた組立機械10によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第1実施形態と比較して構成が簡素化されるため、部品点数を少なくすることができる。
【0051】
つぎに、第2実施形態の構成のうち、支持カバー24を使用しない変形例に係る把持装置1bを図9に示す。本変形例において、把持指固定用スライド部材22は、図10に示すように、把持指固定部221と、スライド部222とから構成されている。そして、スライド部222の基端部には、所定の傾斜角度で傾斜された傾斜案内面224と、傾斜案内面224と平行な傾斜面を有し断面略T字形状に形成されたT字傾斜溝225とが設けられている。
【0052】
また、本変形例において、把持指開閉機構2は、図9に示すように、下部構造体32に設けられ、把持指固定用スライド部材22をスライド可能に嵌合させる断面略T字形状のT字スロット321と、アクチュエータ23によって上下方向に移動される放射アーム部材27とを有している。
【0053】
以上の構成により、放射アーム部材27の各先端部に設けられたT字傾斜片271が、傾斜案内面224およびT字傾斜溝225に沿ってスライドすることにより、放射アーム部材27の上下運動を把持指固定用スライド部材22のスライド運動に変換する。
【0054】
具体的には、図11(a)に示すように、ピストン部材232と一体化された駆動ロッド25が上方へ移動すると、放射アーム部材27が持ち上げられる。そうすると、T字傾斜片271の内側面が、T字傾斜溝225の内側面に斜め上方向の押圧力を付与しながら上方へスライドし、把持指固定用スライド部材22を中心側に引き寄せる。これにより、把持指固定用スライド部材22が、T字スロット321に沿って放射方向内方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は閉じた状態となる。
【0055】
一方、図11(b)に示すように、ピストン部材232と一体化された駆動ロッド25が下方へ移動すると、放射アーム部材27が押し下げられる。そうすると、傾斜案内面224およびT字傾斜片271の外側面が、T字傾斜溝225の外側面に斜め下方向の押圧力を付与しながら下方へスライドし、把持指固定用スライド部材22を外方向に押し出す。これにより、把持指固定用スライド部材22が、T字スロット321に沿って放射方向外方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は開いた状態となる。なお、図11では、把持指21を取り外した状態で図示している。
【0056】
以上のような、本第2実施形態の変形例による把持装置1bおよびこれを備えた組立機械10によれば、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第2実施形態よりも構成が簡素化されるため、部品点数をさらに少なくすることができる。
【0057】
[第3実施形態]
つぎに、本発明に係る第3実施形態の把持装置1Cについて説明する。なお、本第3実施形態の構成のうち、上述した各実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0058】
第3実施形態の特徴は、把持指開閉機構2において、上述したL字リンク部材26や放射アーム部材27の代わりに駆動ワイヤ28を用いる点にある。また、アクチュエータ23としては、上述したエアシリンダ231を採用しているが、この構成に限定されるものではなく、直線駆動源であればソレノイド等も同様に採用することができる。
【0059】
具体的には、図12に示すように、下部構造体32には、アクチュエータ23としてのエアシリンダ231が下向きに設けられており、駆動ロッド25が上下方向に伸縮するようになっている。また、把持指開閉機構2は、下部構造体32に設けられ、把持指固定用スライド部材22をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝242と、スライド用貫通溝242に貫通させた把持指固定用スライド部材22の上面に固定されるスライドカバー226とを有している。
【0060】
さらに、把持指開閉機構2は、図12および図13に示すように、アクチュエータ23によって上下方向に移動される駆動ロッド25と、駆動ロッド25の上下位置に固定される一対のワイヤフック252と、スライド用貫通溝242の両端において、略水平方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の水平固定ローラ281と、ワイヤフック252のそれぞれに一端と他端とが固定される駆動ワイヤ28とを有している。
【0061】
駆動ワイヤ28は、非伸縮素材によって構成されており、図13に示すように、その上方側の中間部分がスライドカバー226と把持指固定用スライド部材22との間に締め付け固定されることにより、一体的に移動する。一方、下方側の中間部分は、把持指固定用スライド部材22に設けられた通し穴227に干渉しないように挿通されている。そして、駆動ワイヤ28は、一対の水平固定ローラ281に巻回されることにより、駆動ロッド25の上下運動を把持指固定用スライド部材22のスライド運動に変換するようになっている。
【0062】
具体的には、図14(a)に示すように、エアシリンダ231によって駆動ロッド25が下方へ移動すると、下方のワイヤフック252が駆動ワイヤ28の一端を下方へ引き下げて張力を発生させる。そうすると、駆動ワイヤ28が水平固定ローラ281周りに移動し、把持指固定用スライド部材22を中心側に引き寄せる。これにより、把持指固定用スライド部材22が、スライド用貫通溝242に沿って放射方向内方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は閉じた状態となる。
【0063】
一方、図14(b)に示すように、エアシリンダ231によって駆動ロッド25が上方へ移動すると、上方のワイヤフック252が駆動ワイヤ28の他端を上方へ引っ張って張力を発生させる。そうすると、駆動ワイヤ28が水平固定ローラ281周りに移動し、把持指固定用スライド部材22を外方向に押し出す。これにより、把持指固定用スライド部材22が、スライド用貫通溝242に沿って放射方向外方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は開いた状態となる。なお、図14では、把持指21を取り外した状態で図示している。
【0064】
なお、本第3実施形態では、図13に示すように、スライドカバー226を貫通可能に螺合される張力調節ネジ228が設けられている。この張力調節ネジ228は、駆動ワイヤ28の張力が不足する場合に、スライドカバー226の裏面から突出するように螺進させる。これにより、張力調節ネジ228は、駆動ワイヤ28を下方に押し込んで張力を高められるようになっている。
【0065】
以上のような本第3実施形態の把持装置1Cおよびこれを備えた組立機械10によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第2実施形態と比較してT字傾斜溝225やT字傾斜片271等の複雑な加工が不要となるため、簡単かつ安価に製造することができる。また、圧入方向における寸法がコンパクト化されるため、装置全体としての剛性や安定性を高めることができる。
【0066】
[第4実施形態]
つぎに、本発明に係る第4実施形態の把持装置1Dについて説明する。なお、本第4実施形態の構成のうち、上述した各実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0067】
本第4実施形態の特徴は、上述したエアシリンダ231やソレノイド等のリニアアクチュエータの代わりに、モータ237や空圧回転シリンダー等のロータリーアクチュエータを用いる点、およびロータリーアクチュエータの回転運動によって把持指21を開閉させる点にある。
【0068】
具体的には、図15に示すように、上部構造体31には、アクチュエータ23としてのモータ237が固定されており、下方に突出された駆動軸238が回転するようになっている。また、把持指開閉機構2は、下部構造体32に設けられ、駆動軸238に関して90度の等角度間隔を隔てて設けられた4つの把持指固定用スライド部材22をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝242と、スライド用貫通溝242に貫通させた各把持指固定用スライド部材22の上面に固定されるスライドカバー226とを有している。
【0069】
さらに、把持指開閉機構2は、図15および図16に示すように、スライド用貫通溝242のスライド方向における外側に配置され、略垂直方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の垂直固定ローラ282と、モータ237の駆動軸238に連結されて略垂直方向の駆動軸238周りに回転駆動される駆動プーリ283と、下部構造体32に設けられ、駆動プーリ283と連動して回転する従動プーリ284と、駆動プーリ283と従動プーリ284との間に設けられ、駆動プーリ283に対して従動プーリ284を互いに直交する二方向に沿ってスライド可能に連結する中間プーリ285と、従動プーリ284に一端と他端とが固定される駆動ワイヤ28とを有している。
【0070】
本第4実施形態において、中間プーリ285の上下面には、図16(b)に示すように、駆動プーリ283の下面に設けられた凸状部283aをスライド可能に嵌め入れる凹溝285aと、従動プーリ284の上面に設けられた凹溝284bにスライド可能に嵌め入れられる凸状部285bとが、互いに直交するように設けられている。これにより、中心誤差を補正する際、下部構造体32が揺動しても、中間プーリ285が互いに直交する二方向に沿ってスライドし、駆動プーリ283と従動プーリ284との連結状態を保持する。このため、駆動プーリ283と従動プーリ284との中心軸がずれていても、駆動軸238の回転が確実に伝達される。
【0071】
なお、駆動プーリ283、従動プーリ284および中間プーリ285のそれぞれに設けられる凸状部と凹溝との関係は、互いに向かい合う面の一方と他方とにおいて嵌め合わされてスライド可能であれば、上記構成と逆に設けられていてもよい。
【0072】
また、本第4実施形態において、駆動ワイヤ28は一本の非伸縮素材によって構成されている。また、駆動ワイヤ28は、図15(b)に示すように、従動プーリ284に固定された一端からスタートして以下の順で巻回され、他端も従動プーリ284に固定されている。
・第1の把持指固定用スライド部材22の外側に配置された垂直固定ローラ282a
・第2の把持指固定用スライド部材22の外側に配置された垂直固定ローラ282b
・第3の把持指固定用スライド部材22の外側に配置された垂直固定ローラ282c
・第4の把持指固定用スライド部材22の外側に配置された垂直固定ローラ282d
【0073】
そして、図15(b)に示すように、駆動ワイヤ28の中間部分を各スライドカバー226の側面に設けられた固定ネジ229で締め付け固定することにより、全ての把持指固定用スライド部材22が駆動ワイヤ28とともに一体的に連動して移動する。以上のように、駆動ワイヤ28は、従動プーリ284の回転運動を把持指固定用スライド部材22のスライド運動に変換するようになっている。
【0074】
具体的には、モータ237の駆動軸238と連結された駆動プーリ283が反時計周りに回転されると、従動プーリ284が駆動ワイヤ28の一端を引っ張って張力を発生させる。そうすると、駆動ワイヤ28が垂直固定ローラ282に沿って反時計回りに移動し、把持指固定用スライド部材22を中心側に引き寄せる。これにより、把持指固定用スライド部材22が、スライド用貫通溝242に沿って放射方向内方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は閉じた状態となる。
【0075】
一方、モータ237の駆動軸238と連結された駆動プーリ283が時計周りに回転されると、従動プーリ284が駆動ワイヤ28の他端を引っ張って張力を発生させる。そうすると、駆動ワイヤ28が垂直固定ローラ282に沿って時計回りに移動し、把持指固定用スライド部材22を外方向に押し出す。これにより、把持指固定用スライド部材22が、スライド用貫通溝242に沿って放射方向外方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は開いた状態となる。
【0076】
なお、本第4実施形態では、一本の駆動ワイヤ28で全ての把持指固定用スライド部材22を駆動しているが、この構成に限定されるものではなく、二本の駆動ワイヤ28で互いに対向する二対の把持指固定用スライド部材22を駆動するようにしてもよい。
【0077】
また、本第4実施形態では、図15(b)に示すように、スライドカバー226の側面に張力調節ネジ228が設けられている。この張力調節ネジ228は、駆動ワイヤ28の張力が不足する場合に、スライドカバー226内に螺進するように締め付ける。これにより、張力調節ネジ228は、駆動ワイヤ28を内方に押し込んで張力を高められるようになっている。
【0078】
以上のような本第4実施形態の把持装置1Dおよびこれを備えた組立機械10によれば、上述した第1実施形態および第3実施形態と同様の作用効果を奏する。また、駆動プーリ283と従動プーリ284との間に中間プーリ285を設けることにより、中心誤差補正時の揺動を阻害することなくモータ237の回転運動を伝達することができる。
【0079】
[第5実施形態]
つぎに、本発明に係る第5実施形態の把持装置1Eについて説明する。なお、本第5実施形態の構成のうち、上述した各実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0080】
本第5実施形態の特徴は、アクチュエータ23を下部構造体32側に設けることにより、第4実施形態で用いた駆動プーリ283、従動プーリ284および中間プーリ285からなる回転伝達機構を使用しない点にある。
【0081】
具体的には、図17に示すように、下部構造体32には、アクチュエータ23としてのモータ237が固定されており、下方に突出された駆動軸238が回転するようになっている。また、把持指開閉機構2は、図18(b)に示すように、下部構造体32に設けられ、把持指固定用スライド部材22をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝242と、スライド用貫通溝242に貫通させた把持指固定用スライド部材22の上面に固定されるスライドカバー226とを有している。
【0082】
さらに、把持指開閉機構2は、図17および図18に示すように、スライド用貫通溝242のスライド方向における外側に配置され、略垂直方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の垂直固定ローラ282と、モータ237の駆動軸238に連結されて略垂直方向の駆動軸238周りに回転駆動される回転プーリ286と、回転プーリ286に一端と他端とが固定される駆動ワイヤ28とを有している。
【0083】
本第5実施形態において、駆動ワイヤ28は、第4実施形態と同様に垂直固定ローラ282に巻回されてスライドカバー226に固定される。これにより、駆動ワイヤ28は、回転プーリ286の回転運動を把持指固定用スライド部材22のスライド運動に変換するようになっている。
【0084】
具体的には、モータ237の駆動軸238と連結された回転プーリ286が反時計周りに回転されると、駆動ワイヤ28の一端を引っ張って張力を発生させる。そうすると、駆動ワイヤ28が垂直固定ローラ282に沿って反時計回りに移動し、把持指固定用スライド部材22を中心側に引き寄せる。これにより、把持指固定用スライド部材22が、スライド用貫通溝242に沿って放射方向内方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は閉じた状態となる。
【0085】
一方、モータ237の駆動軸238と連結された回転プーリ286が時計周りに回転されると、駆動ワイヤ28の他端を引っ張って張力を発生させる。そうすると、駆動ワイヤ28が垂直固定ローラ282に沿って時計回りに移動し、把持指固定用スライド部材22を外方向に押し出す。これにより、把持指固定用スライド部材22が、スライド用貫通溝242に沿って放射方向外方へスライド移動するため、把持指固定用スライド部材22のそれぞれに固定された各把持指21は開いた状態となる。
【0086】
以上のような本第5実施形態の把持装置1Eおよびこれを備えた組立機械10によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第4実施形態と比較して部品点数を少なくすることができ、簡単かつ安価に製造することができる。
【0087】
つぎに、本発明に係る把持装置1において、任意に追加可能なオプションについて説明する。なお、以下に述べるオプションの構成のうち、上述した各実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。また以下に示すオプションは、上述した第1実施形態に適用した例について説明するが、その他の実施形態にも適宜、適用することが可能である。
【0088】
(1)オプション1:開閉検出機構
オプション1は、把持指21が開いた状態であるか閉じた状態であるかを検出可能な開閉検出機構4である。具体的には、図19(a),(b)に示すように、下部構造体32には、各把持指固定用スライド部材22のスライド方向に沿って長穴322が形成されている。一方、把持指固定用スライド部材22には、棒状の開閉位置検出用部材41が上方に向けて設けられ、下部構造体32の長穴322から突出されている。
【0089】
そして、図19(a)に示すように、把持指固定用スライド部材22が開いた位置にあるときに、開閉位置検出用部材41を検出する開位置検出センサ42と、図19(b)に示すように、把持指固定用スライド部材22が閉じた位置にあるときに、開閉位置検出用部材41を検出する閉位置検出センサ43とが、長穴322を跨ぐように設けられている。
【0090】
これにより、把持指21が開いた状態では、開位置検出センサ42が開閉位置検出用部材41を検出するとともに、閉位置検出センサ43が開閉位置検出用部材41を検出しない。一方、把持指21が閉じた状態では、閉位置検出センサ43が開閉位置検出用部材41を検出するとともに、開位置検出センサ42が開閉位置検出用部材41を検出しない。
【0091】
以上のようなオプション1の開閉検出機構4によれば、自動化運転に必須の情報である把持指21の開閉状態が、開位置検出センサ42と閉位置検出センサ43とでダブルチェックされるため、正確に把握することができる。
【0092】
(2)オプション2:変位検出機構
オプション2は、把持指21の変位量を検出可能な変位検出機構5である。具体的には、図20(a)~(c)に示すように、把持指固定用スライド部材22には、スライド方向における変位を検出する変位検出機構5が設けられている。
【0093】
変位検出機構5は、図20(a)~(c)に示すように、下部構造体32に固定される下部基板51と、把持指固定用スライド部材22から上方に突出されたボルトに固定されるワイパー基板52とから構成されている。下部基板51には、スライド方向に沿う長穴322の左右位置に抵抗体53および入力端子54と、出力端子55とが設けられている。また、ワイパー基板52には、抵抗体53および出力端子55に当接しながらスライドする導電性のワイパー56が備えられている。
【0094】
以上のようなオプション2の変位検出機構5によれば、把持指21のスライド移動に伴って、抵抗体53に接触するワイパー56の位置が変化するため、出力端子55で検出される抵抗値が変化する。このため、検出された抵抗値に基づいて、把持指21の変位量を検出することができる。これにより、把持指21によって把持された対象物11が、適切なサイズであるか否かを自動的に判定することができる。このため、多種多様な対象物11に対応可能となる上、品質管理が可能となる。さらに、検出したサイズが対象物11のサイズと異なる場合、傾斜した状態で把持している等を検出することもできる。
【0095】
なお、変位検出機構5は上記構成に限定されるものではなく、差動トランス(LVDT:Linear Variable Differential Transformer)や、リニアエンコーダ等のように、機械的な直線運動を変位量として電気信号に変換しうるものであればよい。
【0096】
(3)オプション3:ロック機構
オプション3は、組立機械10が把持指21によって把持された対象物11を搬送中に、下部構造体32の揺動をロックするためのロック機構6である。具体的には、図21(a),(b)に示すように、上部構造体31に設けられたロック用アクチュエータ61と、ロック用アクチュエータ61によって上下方向にスライド駆動されるロックピン62とを有している。
【0097】
ロック用アクチュエータ61は、図21に示すように、エアシリンダ66内を上下動するロックピストン部材63と、ロックピストン部材63を上方向に付勢するリターンバネ64と、エアシリンダ66内に圧縮空気を供給するエアポート65によって構成されている。また、ロックピン62は、ロックピストン部材63の下面から垂下するように突出した状態で周方向に等角度間隔で3つ固定されている。そして、エアシリンダ66の底面には、各ロックピン62に対応する位置に貫通孔67が設けられているとともに、下部構造体32の上面には、各貫通孔67と連通する位置にピン孔323が設けられている。
【0098】
以上の構成により、エアポート65からエアシリンダ66内に圧縮空気を供給すると、図21(a)に示すように、ロックピストン部材63とともにロックピン62が降下する。これにより、各ロックピン62が貫通孔67を挿通して上部構造体31の下面から下方に突出し、下部構造体32のピン孔323に嵌入する(ロック位置)。一方、圧縮空気の供給を停止すると、図21(b)に示すように、リターンバネ64がロックピストン部材63を上昇させる。これにより、各ロックピン62がピン孔323および貫通孔67から引き抜かれて上部構造体31の内部に退避する(アンロック位置)。
【0099】
以上のようなオプション3のロック機構6によれば、組立機械10が把持指21によって把持された対象物11を圧入位置へ搬送している間は、ロック用アクチュエータ61が各ロックピン62をロック位置に突出させてロックする。このように複数のロックピン62によってロックすることにより、上部構造体31に対する下部構造体32の揺動のみならず、回転振動および中心軸に対するねじり振動等が防止される。このため、搬送が完了してから組み立てるまでのサイクルタイムが短縮される。また、中心誤差の補正可能範囲を超えて揺動することもないため、組立不良の発生を防止することができる。
【0100】
一方、組立機械10が把持指21によって把持された対象物11を嵌合穴12に圧入する際は、ロック用アクチュエータ61が各ロックピン62をアンロック位置に退避させてアンロックする。これにより、下部構造体32が上部構造体31に対して自由に揺動しうる状態となるため、確実に中心誤差を補正することができる。
【0101】
なお、ロック用アクチュエータ61は、上述した構成に限定されるものではなく、ソレノイド等のリニアアクチュエータでもよい。また、ロックピストン部材63をアンロック位置(上方)に移動させる手段は、リターンバネ64に限定されるものではなく、エアシリンダ66の下方側にも空気の供給ポートを設けて複動式にしてもよい。さらに、本オプション3では、ロックピン62が周方向に等角度間隔で3つ設けられているが、この構成に限定されるものではなく複数個であればよい。
【0102】
(4)オプション4:ロードセル機構
オプション4は、対象物11を嵌合穴12に圧入する際に発生する圧入反力の大きさ(荷重)をリアルタイムで計測するロードセル機構7である。具体的には、ロードセル機構7は、図22(b)に示すように、上部構造体31の周縁部を上下方向に貫通する一対の貫通穴71によって挟まれた荷重検知部72と、貫通穴71の内壁面に固定されるひずみゲージ73と、ひずみゲージ73のひずみによる抵抗の変化分に比例した電圧を出力するジャンクションボックス74とを有している。
【0103】
また、上部構造体31の上面には、図22(c)に示すように、組立機械10に取り付けるための取付面との間に、荷重検知部72の弾性変形可能な長さ以下の間隔を隔てて設けられた段差面311が設けられている。一方、上部構造体31の下面には、リミッタ34の上面との間に、下部構造体32を揺動可能に支持するためのリミッタギャップ312が設けられている。
【0104】
以上の構成により、対象物11を嵌合穴12に圧入する際、圧入反力によって弾性体33が圧縮されると、リミッタ34の上面と上部構造体31の下面とがリミッタギャップ312の分だけ相対的に近接し、互いに密着する。そうすると、圧入反力が、弾性体33およびリミッタ34を介して上部構造体31に伝達されるため、荷重検知部72が弾性変形する。これにより、ひずみゲージ73の弾性変形に応じて変化した抵抗値が、ジャンクションボックス74に出力されて荷重が計測される。
【0105】
このとき、段差面311は、荷重検知部72の弾性変形可能な長さ以下の間隔で設けられているため、上部構造体31に大きな圧入反力がかかって破損するおそれがない。なお、リミッタギャップ312がゼロになるまでは、弾性体33が伝達する圧入反力を検知する。
【0106】
以上のようなオプション4のロードセル機構7によれば、対象物11を嵌合穴12に圧入する際に発生する圧入反力の大きさ(荷重)をリアルタイムで計測することができ、過大な圧入反力を自動的に検知することができる。また。ロードセル機構7が上部構造体31に内蔵されるため、上部構造体31と組立機械10との間に設置するよりも、コストや手間を低減することができる。
【0107】
(5)オプション5:異物侵入防止機構
オプション5は、把持装置1Aの内部に粉塵等の異物が侵入するのを防止する異物侵入防止機構8である。具体的には、図23(a)に示すように、上部構造体31と下部構造体32との間の空間を取り囲むように筒状かつ蛇腹状に形成された異物侵入防止用サイドカバー81が設けられている。これにより、上部構造体31に対する下部構造体32の揺動動作を阻害することなく、上部構造体31と下部構造体32との間に粉塵等の異物が侵入するのを防止することができる。
【0108】
また、図23(b)に示すように、支持カバー24の略中央部に固定されるとともに、スライド部222の基端部に係止する係止爪83を有し、スライド部222とスライド用貫通溝242との隙間を閉塞する蛇腹状の異物侵入防止用ボトムカバー82が設けられている。この異物侵入防止用ボトムカバー82によれば、把持指21の開閉動作を阻害することなく、図23(c)に示すように、スライド部222とスライド用貫通溝242との隙間を閉塞し、把持装置1Aの内部に粉塵等の異物が侵入するのを防止することができる。
【0109】
なお、本発明に係る把持装置1は、前述した実施形態およびオプションに限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、上述した第1~第3実施形態では、3つの把持指21を有しており、第4~第5実施形態では、4つの把持指21を有する構成について説明したが、これらの構成に限定されるものではなく、対象物を把持しうる限り、把持指21の数は適宜増減してもよい。
【符号の説明】
【0110】
1,1A,1B,1b,1C,1D,1E 把持装置
2 把持指開閉機構
3 中心誤差補正機構
4 開閉検出機構
5 変位検出機構
6 ロック機構
7 ロードセル機構
8 異物侵入防止機構
10 組立機械
11 対象物
12 嵌合穴
21 把持指
22 把持指固定用スライド部材
23 アクチュエータ
24 支持カバー
25 駆動ロッド
26 L字リンク部材
27 放射アーム部材
28 駆動ワイヤ
31 上部構造体
32 下部構造体
33 弾性体
34 リミッタ
41 開閉位置検出用部材
42 開位置検出センサ
43 閉位置検出センサ
51 下部基板
52 ワイパー基板
53 抵抗体
54 入力端子
55 出力端子
56 ワイパー
61 ロック用アクチュエータ
62 ロックピン
63 ロックピストン部材
64 リターンバネ
65 エアポート
66 エアシリンダ
67 貫通孔
71 貫通穴
72 荷重検知部
73 ひずみゲージ
74 ジャンクションボックス
81 異物侵入防止用サイドカバー
82 異物侵入防止用ボトムカバー
83 係止爪
221 把持指固定部
222 スライド部
223 ヒンジピン
224 傾斜案内面
225 T字傾斜溝
226 スライドカバー
227 通し穴
228 張力調節ネジ
229 固定ネジ
231 エアシリンダ
232 ピストン部材
233 上部ポート
234 下部ポート
237 モータ
238 駆動軸
241 スライド用嵌合溝
242 スライド用貫通溝
251 凹状溝
252 ワイヤフック
261 回転軸
271 T字傾斜片
281 水平固定ローラ
282 垂直固定ローラ
282a 第1の垂直固定ローラ
282b 第2の垂直固定ローラ
282c 第3の垂直固定ローラ
282d 第4の垂直固定ローラ
283 駆動プーリ
283a 駆動プーリの凸状部
284 従動プーリ
284b 従動プーリの凹溝
285 中間プーリ
285a 中間プーリの凹溝
285b 中間プーリの凸状部
286 回転プーリ
311 段差面
312 リミッタギャップ
321 T字スロット
322 長穴
323 ピン孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されているとともに、前記アクチュエータには作用しないように構成されている、把持装置。
【請求項2】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記把持指固定用スライド部材は、前記把持指を固定する把持指固定部と、前記把持指固定部よりも横幅が広いスライド部とから構成されているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に固定され、前記スライド部をスライド可能に嵌合させるスライド用嵌合溝と、前記把持指固定部をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝とを備えた支持カバーと、
前記アクチュエータによって上下方向に移動される駆動ロッドと、
略L字形状に形成され、その一端が前記駆動ロッドにリンクされるとともに、他端が前記把持指固定用スライド部材にリンクされ、前記下部構造体に設けられた略水平方向の回転軸周りに回動することにより、前記駆動ロッドの上下運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換するL字リンク部材と、
を有する、把持装置。
【請求項3】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記把持指固定用スライド部材は、前記把持指を固定する把持指固定部と、前記把持指固定部よりも横幅が広いスライド部とから構成されているとともに、前記スライド部の基端部には、所定の傾斜角度で傾斜された傾斜案内面と、前記傾斜案内面と平行な傾斜面を有し断面略T字形状に形成されたT字傾斜溝とが設けられており、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に嵌合させる断面略T字形状のT字スロットと、
前記アクチュエータによって上下方向に移動されるとともに、前記把持指固定用スライド部材のそれぞれに向けて放射状に延設される放射アーム部材と、
を有し、
前記放射アーム部材の各先端部には、前記傾斜案内面および前記T字傾斜溝の傾斜面と平行な傾斜面を有する断面略T字形状に形成され、前記傾斜案内面および前記T字傾斜溝に沿ってスライドすることにより、前記放射アーム部材の上下運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換するT字傾斜片が設けられている、把持装置。
【請求項4】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝と、
前記スライド用貫通溝に貫通させた前記把持指固定用スライド部材の上面に固定されるスライドカバーと、
前記アクチュエータによって上下方向に移動される駆動ロッドと、
前記駆動ロッドの上下位置に固定される一対のワイヤフックと、
前記スライド用貫通溝の両端において、略水平方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の水平固定ローラと、
前記ワイヤフックのそれぞれに一端と他端とが固定されるとともに、その中間部分が前記スライドカバーと前記把持指固定用スライド部材との間に締め付け固定され、前記一対の水平固定ローラに巻回されることにより、前記駆動ロッドの上下運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換する駆動ワイヤと、
を有する、把持装置。
【請求項5】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝と、
前記スライド用貫通溝に貫通させた前記把持指固定用スライド部材の上面に固定されるスライドカバーと、
前記スライド用貫通溝のスライド方向における外側に配置され、略垂直方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の垂直固定ローラと、
前記上部構造体に固定された前記アクチュエータによって略垂直方向の駆動軸周りに回転駆動される駆動プーリと、
前記下部構造体に設けられ、前記駆動プーリと連動して回転する従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に設けられ、前記駆動プーリに対して前記従動プーリを互いに直交する二方向に沿ってスライド可能に連結する中間プーリと、
前記従動プーリに一端と他端とが固定されるとともに、その中間部分が前記スライドカバーに固定され、前記一対の垂直固定ローラに巻回されることにより、前記従動プーリの回転運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換する駆動ワイヤと、
を有する、把持装置。
【請求項6】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体に設けられ、前記把持指固定用スライド部材をスライド可能に貫通させるスライド用貫通溝と、
前記スライド用貫通溝に貫通させた前記把持指固定用スライド部材の上面に固定されるスライドカバーと、
前記スライド用貫通溝のスライド方向における外側に配置され、略垂直方向の回転軸周りに回動可能に支持される一対の垂直固定ローラと、
前記下部構造体に固定された前記アクチュエータによって略垂直方向の駆動軸周りに回転駆動される回転プーリと、
前記回転プーリに一端と他端とが固定されるとともに、その中間部分が前記スライドカバーに固定され、前記一対の垂直固定ローラに巻回されることにより、前記回転プーリの回転運動を前記把持指固定用スライド部材のスライド運動に変換する駆動ワイヤと、
を有する、把持装置。
【請求項7】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記把持指固定用スライド部材には、開閉位置検出用部材が設けられているとともに、
前記把持指固定用スライド部材が開いた位置にあるときに、前記開閉位置検出用部材を検出する開位置検出センサと、
前記把持指固定用スライド部材が閉じた位置にあるときに、前記開閉位置検出用部材を検出する閉位置検出センサと、
を有する、把持装置。
【請求項8】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記把持指固定用スライド部材には、スライド方向における変位を検出する変位検出機構が設けられている、把持装置。
【請求項9】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記上部構造体の下面から下方に突出したロック位置と、前記上部構造体の内部に退避したアンロック位置との間で上下方向にスライド可能な複数のロックピンと、
前記組立機械が前記把持指によって把持された前記対象物を圧入位置へ搬送している間、前記複数のロックピンを前記ロック位置に突出させるとともに、前記組立機械が前記把持指によって把持された前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数のロックピンを前記アンロック位置に退避させるロック用アクチュエータと、
を有する、把持装置。
【請求項10】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記上部構造体の周縁部を上下方向に貫通する一対の貫通穴によって挟まれた荷重検知部と、
前記貫通穴の内壁面に固定されるひずみゲージと、
を有しており、
前記上部構造体の上面には、前記組立機械に取り付けるための取付面との間に、前記荷重検知部の弾性変形可能な長さ以下の間隔を隔てて設けられた段差面が設けられている、把持装置。
【請求項11】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記上部構造体と前記下部構造体との間の空間を取り囲むように筒状かつ蛇腹状に形成された異物侵入防止用サイドカバーを有している、把持装置。
【請求項12】
組立機械に取り付けられ、対象物を把持しながら所定の嵌合穴に圧入するための把持装置であって、
前記対象物を把持するための複数の把持指を開閉させる把持指開閉機構と、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置を補正する中心誤差補正機構と、
を有し、
前記中心誤差補正機構は、
前記組立機械に固定される上部構造体と、
前記上部構造体に対して複数の弾性体を介して揺動可能に設けられる下部構造体と、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられ、前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際の中心位置補正中または圧入中に、少なくとも前記弾性体に作用する圧入力を制限するリミッタと、
を備えているとともに、
前記把持指開閉機構は、
前記下部構造体の中心に関して放射方向にスライド可能に設けられ、前記把持指のそれぞれを着脱可能に固定する複数の把持指固定用スライド部材と、
前記対象物の大きさに合わせて、前記把持指固定用スライド部材を放射方向にスライド移動させるアクチュエータと、
を備えており、
前記対象物を前記嵌合穴に圧入する際、前記複数の把持指に作用する圧入力は、前記把持指固定用スライド部材、前記下部構造体、前記弾性体、前記リミッタおよび前記上部構造体を介して前記組立機械に作用するように構成されており、
前記支持カバーの略中央部に固定されるとともに、前記スライド部の基端部に係止する係止爪を有し、前記スライド部と前記スライド用貫通溝との隙間を閉塞する蛇腹状の異物侵入防止用ボトムカバーを有している、把持装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の把持装置を備えた組立機械。