(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114338
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】給電器
(51)【国際特許分類】
B62J 45/00 20200101AFI20240816BHJP
【FI】
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020031
(22)【出願日】2023-02-13
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】521364292
【氏名又は名称】株式会社Kaedear
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】飯沢 智博
(57)【要約】
【課題】
コンパクトで端子が汚れにくく、使用にあたっての利便性が高い給電器を提供することを目的とする。
【解決手段】
上記課題を解決する本願発明は、電気を給電する給電部1と、給電部1を覆う被覆部2と、柱材に取り付けられる取付部3と、を備える給電器Xであって、被覆部2は、給電部1を開放する開状態と前記給電部を覆う閉状態とを切替可能に設けられており、給電部1は、給電を行う端子である給電端子12と、給電端子12の外側に設けられ、給電端子12の端面を含む面から突出するように設けられる突出部13と、を有し、閉状態にあるとき、被覆部2と突出部13とは、パッキン部Qを介して水密に接続する給電器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気を給電する給電部と、前記給電部を覆う被覆部と、柱材に取り付けられる取付部と、を備える給電器であって、
前記被覆部は、前記給電部を露出する開状態と、前記給電部を覆う閉状態と、を切替可能に設けられており、
前記給電部は、給電を行う端子である給電端子と、前記給電端子の外側に設けられ、前記給電端子の端面を含む面から突出するように設けられる突出部と、を有し、
前記閉状態にあるとき、前記被覆部と前記突出部とは、パッキン部を介して水密に接続する給電器。
【請求項2】
前記突出部は、前記給電端子の周囲を取り囲む包囲突出部であり、
前記被覆部は、前記包囲突出部に嵌め込み可能な篏合突起が設けられている請求項1に記載の給電器。
【請求項3】
前記篏合突起は、前記被覆部の内側に設けられており、
前記パッキン部は、前記篏合突起に巻き付けて設けられている請求項2に記載の給電器。
【請求項4】
前記被覆部は、前記給電部の筐体の周面を摺動して前記開状態と前記閉状態とを切替る請求項1に記載の給電器。
【請求項5】
前記被覆部又は前記突出部の少なくともいずれか一方には、前記パッキン部として作用する弾性のパッキン面が設けられている請求項1~4の何れかに記載の給電器。
【請求項6】
前記給電部は、前記覆い部が前記開状態のときに発光する発光部を有する請求項1~4の何れかに記載の給電器。
【請求項7】
請求項1~4の何れかに記載の給電器が取り付けられている、鞍乗り車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に鞍乗り車両のハンドル部に取り付けるための、給電器に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗り車両のハンドル部に電子機器を設置して、地図等を見ながら走行する行為が幅広く行われている。一方、そのような使用方法は電子機器に負荷をかかりやすく、充電がなくなりやすい。そこで、鞍乗り車両の電源を利用して電子機器に給電する給電器が、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鞍乗り車両は基本的に雨ざらしの環境を走行するものであるため、給電端子は防水であることが好ましい。特許文献1に記載のカバーは、スナップフィット係合によって端子の開口面を傘のように保護することで防水するとある。また、同文献には、端子開口にゴム栓を直接差し込むことによって給電端子を保護してもよいともある。
【0005】
しかしながら、単なるスナップフィット係合による保護では、隙間から水が浸入することもあり、カバーを開く拍子等に端子に水が付着するなど防水性に限界がある。
また、雨に濡れる可能性のあるのゴム栓を直接差し込むこととすると、ゴム栓に付着したゴミによって短絡して壊れる可能性もありうる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、コンパクトで端子が汚れにくく、使用にあたっての利便性が高い給電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本願発明は、電気を給電する給電部と、前記給電部を覆う被覆部と、柱材に取り付けられる取付部と、を備える給電器であって、前記被覆部は、前記給電部を露出する開状態と、前記給電部を覆う閉状態と、を切替可能に設けられており、前記給電部は、給電を行う端子である給電端子と、前記給電端子の外側に設けられ、前記給電端子の端面を含む面から突出するように設けられる突出部と、を有し、前記閉状態にあるとき、前記被覆部と前記突出部とは、パッキン部を介して水密に接続する給電器、または給電器が設けられた鞍乗り車両である。
このような構成によって、コンパクトな構成でありながらも水密性を確保して、端子が汚れにくい給電器や、乗りながらも簡単に電子機器に給電できる鞍乗り車両を提供することができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記突出部は、前記給電端子の周囲を取り囲む包囲突出部であり、前記被覆部は、前記包囲突出部に嵌め込み可能な篏合突起が設けられている。
このような構成によって、給電端子に接触せずとも水密に保つことが可能であり、端子がより汚れにくい給電器を提供することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記篏合突起は、前記被覆部の内側に設けられており、前記パッキン部は、前記篏合突起に巻き付けて設けられている。
このような構成によって、簡便な構成で使用もしやすい水密性の高い給電器を提供することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記被覆部は、前記給電部の筐体の周面を摺動して前記開状態と前記閉状態とを切替る。
このような構成によって、摺動動作によって簡便に開閉できるようになるため、使用者の利便性をより高めることができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記被覆部又は前記突出部の少なくともいずれか一方には、前記パッキン部として作用する弾性のパッキン面が設けられている。
このような構成によって、構成を簡略化して、よりコンパクトな設計の給電器を提供することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記給電部は、前記被覆部が前記開状態のときに発光する発光部を有する。
このような構成によって、使用時に被覆部等が邪魔して給電部が視認できなくとも、電子機器に給電しやすくなるため利便性が高まる。
【発明の効果】
【0013】
上記課題を解決する本発明は、コンパクトで端子が汚れにくく、使用にあたっての利便性が高い給電器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る給電器の、開状態・閉状態の側面図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る給電器の、開状態・閉状態の正面図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る給電器の、開状態の斜視図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る給電器の、筐体の端部及び被覆部の拡大斜視図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る給電器の、閉状態の断面模式図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態に係る給電器の、開状態・閉状態の斜視図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態に係る給電器の、開状態・閉状態の断面模式図である。
【
図8】本発明の第二の実施形態に係る給電器の、閉状態の側面模式図及び断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る給電器について説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施例の順に詳述する。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。また、出願書類中の「略」は、その後に続く形状に面取りや丸め加工がなされていること、また形状を構成する要素がその構成の目的を阻害しない範囲内で変形や長さ変更されているものを含むことを意味する概念である。
【0016】
≪第一の実施形態≫
給電器Xは、
図1~
図3に示すように、給電を行う給電部1と、給電部1の一部を覆うように設けられる被覆部2と、給電部1と被覆部2とを水密に接続するパッキン部Qと、鞍乗り車両のハンドルなどの柱材に取り付けるための取付部3と、給電部1の一部を発光させるための発光部Fと、を備える。
また、被覆部2は、給電部1に対して回動・摺動しながら移動することが可能であり、本明細書において、被覆部2が後述する給電端子12を完全に覆った状態を「閉状態」、被覆部2が開放され、給電端子12を外部に露出させる状態を「開状態」と呼称する。
さらに以下では、開状態において給電部1に対して被覆部2が設けられる方向を前方向とし、取付部3が設けられる方向を下方向として記述する。
【0017】
給電部1は、給電部1の内部に電子部品を格納するために給電筐体11と、給電筐体11の端面に設けられ電子機器を差し込んで給電を行う給電端子12と、給電端子12の近傍に設けられ、外部に向けて突出する突出部13と、を有する。
【0018】
給電筐体11は、断面が多角形状の筒型となるように設けられており、実施形態において断面は面取りされた扁平な長方形状であり、給電端子12を有する面に対して長くなるように設けられている。また、給電筐体11は射出成型等によって一体に形成され、その材質はABSやPE等の防水性のプラスチックであることが好ましい。
給電筐体11は、上述した本体部分の他に、当接部111と、接続突起112とを有している。
【0019】
当接部111は、
図4に示すように、被覆部2の内部形状に対応して、被覆部2を嵌め込むことができるように切り込まれて設けられる面の集合である。
当接部111は、給電筐体11ないし突出部13の周囲を取り囲むように設けられている複数の面からなる。該面は突出部13の突出方向に対して垂直に設けられ、給電端子12からみて下方に設けられている第一垂直面111aと、左右側面に設けられている第二垂直面111bと、上方に設けられている第三垂直面111cとを含み、第一垂直面111aの高さと第三垂直面111cが設けられる高さは給電筐体11の設けられる高さと略同一であり、第一垂直面111aから見て第二垂直面111bには段差が付くように給電筐体11と一体に設けられている。当接部111にはさらに、第一垂直面111aと第二垂直面111bとを結ぶ段差面111dが設けられていることで摺動して嵌め込みやすくするとともに、形状を複雑にして防水性能を高めている。
【0020】
接続突起112は、給電筐体11の左右方向側面のそれぞれに一体に設けられる円柱状の突起であって、第三垂直面111c及び突出部13の近傍に設けられる。この内周面が後述する接続孔213と係合されることによって、被覆部2が摺動・回動して係合することを可能とする。
【0021】
給電端子12は、電子部品が差し込まれることで充電を行う端子であって、実施形態ではUSB(Universal Serial Bus)端子のポートが想定される。
給電端子12は、実際に電力が供給される給電端子本体121と、給電端子本体121の差込口の端面である差込面122と、給電端子本体121に電力を供給する給電回路123と、を有する。また、以後、差込面122を含む面を、端子面と呼称する。
【0022】
給電端子本体121は、差込面122の後方に設けられており、少なくとも正電圧又は負電圧を供給する通電部と、接地する通電部をそれぞれ有しており、必要に応じて情報をやり取りする通電部が設けられている。
【0023】
給電回路123は、先述した通電部に所定の電圧を与える導線を含む回路であり、必要に応じて電圧等の調整を行うコンバータや、レギュレータ、ヒューズ等(図示せず)が組み込まれている。それらは全て給電筐体11の内部に組み込まれており、給電回路123の端部は鞍乗り車両のバッテリーと接続される。
ここで、給電回路123の一部は、給電筐体11の後端から突出して設けられている。突出する部分の中途には、取り外し自在な接続端子(例えばSAE端子、図示せず)が設けられており、バッテリーとの接続を任意に変更できることが好ましい。
【0024】
また、給電端子12の一部には、被覆部2に覆われる差込面122を視認しやすくするために、発光部Fが設けられている。発光部Fは給電回路123の一部に組み込まれており、実際に発光する発光部本体F1と、抵抗F2と、発光部本体F1への通電の制御を行うスイッチ部F3とからなる。
【0025】
発光部本体F1は、電球やLED等から選択される通電することで発光する部材である。発光部本体F1は、視認性向上のために給電端子12の内部に取り付けられていることが好ましいが、差込面122の近傍の端子面に設けられていてもよい。
また、抵抗F2は、発光部本体F1に直列に接続されており、
図5に示すように、発光部本体F1及び抵抗F2は、給電端子本体121と並列に接続されている。
【0026】
スイッチ部F3は、端子面から突出して設けられ、押圧されることによって回路を遮断するように設けられているスイッチであって、いわゆるブレイク接点のタクトスイッチであることが好ましい。
電気的には、スイッチ部F3は、給電回路123の給電端子本体121及び発光部本体F1と電気的に接続されて設けられており、被覆部2が閉状態にあるときに給電回路123の電気的接続を遮断し、不使用時の電力使用を防止する。
【0027】
突出部13は、給電端子本体121の近傍において、端子面から突出するように設けられている部材であり、給電筐体11と一体に設けられている。実施形態においては、給電端子本体121の端面及びスイッチ部F3の周囲を取り囲むように突出する包囲突出部131として形成されている。
【0028】
包囲突出部131の突出高さは、少なくともスイッチ部F3の突出高さよりも高くなるように設けられており、さらに後述する接続孔213の長さと略同一かそれよりも短くすることで、取付しやすくしている。
【0029】
被覆部2は、給電筐体11の端部に設けられる、開状態と閉状態を切り替えるための部材であって、給電端子12を覆う被覆部本体21と、閉状態にあるときに突出部13と当接する篏合突起22と、を有している。
【0030】
被覆部本体21は、開状態において端子面を上部から覆う傘部211と、傘部211の左右側方の下面から下方向に突出する側壁部212と、側壁部212の所定位置に設けられ、接続突起112に係止する接続孔213とを有している。
【0031】
傘部211は、外観を略四角錘台形状とし、下側の面が略直方体形状にくり抜かれていることによって、全体としては椀型の部材となる。くり抜かれる面の内周の形状は、包囲突出部131の外周の形状と略同一か少し大きくなるように設けられ、くり抜かれる深さは突出部13よりも深い。これにより傘部211は給電筐体11に嵌め込まれる。
【0032】
側壁部212は、傘部211の端面から突出し、左右方向で相対するように設けられている薄板部材である。2つの側壁部212間の幅は、突出部13の外周面の幅と略同一か少し小さくなるように設けられる。これにより突出部13を挟んで強固に固定できる。
側壁部212は、その突出した端部がそれぞれ第一垂直面111a、第二垂直面111b、段差面111dと当接するように設けられており、これによって水密性を向上させている。また、段差面111dが設けられていることにより、本発明のような係合方法でも、正しい位置に傘部211を誘導できる。
【0033】
接続孔213は、側壁部212の略中心部に設けられている、上下方向に長い長穴であって、内側で接続突起112が摺動できるようにしてある。接続孔213長穴の端部に接続突起112を一時的に係止できるように段が設けられている。
接続孔213の下端から傘部211までの距離は、接続突起112から突出部13の端面までの距離よりも長くなるように設けられていることによって、接続孔を中心に回転できるようにしている。
また、接続孔213の上端から下端までの距離は、篏合突起22及び突出部13の高さよりも短くなるように設けられており、篏合した際に篏合突起の端面が端子面にあたらないようにしている。
【0034】
篏合突起22は、傘部211のくり抜かれた部分の底面から突出して一体に設けられる篏合突起本体221と、篏合突起本体221が篏合された際に水密にするパッキン部Qと、を有し、包囲突出部131に嵌め込むことができるようにしている。
【0035】
篏合突起本体221は、傘部211のくり抜かれた形状よりも小さい突出部分である。好ましくは、くり抜かれた内周面から篏合突起本体221の外周面までの距離が、常に一定となるように配置されている。
図5(a)において、傘部211の端面と篏合突起本体221の端面は略同一面上にあるようにしてあり、傘部211と篏合突起本体221の隙間に垂直に差し込みやすくしてパッキン部Qがあっても嵌め込みやすくしている。
図5(b)においては、傘部211の端面よりも底に近い側に篏合突起本体221の端面が設けられており、開状態のときに横風にあたっても、篏合突起本体221の端面にゴミ等が付着するのを防ぐことができる。
【0036】
パッキン部Qは、弾性を有するリング型の部材であって、篏合突起本体221の外周面に巻き付けられた状態で支持固定されている。閉状態において、パッキン部Qは、篏合突起本体221及び突出部13と同時に水密に当接することによって給電端子への水の流入を阻止している。
図5(a)において、パッキン部Qは、篏合突起本体221の外周に巻き付けられており、篏合突起本体221の底部付近に延在する段と当接することによってその位置が保持されている。また、
図5(b)においては、パッキン部Qが傘部211の底面で位置が保持されており、給電筐体11内部に水が浸入しないようにしている。
【0037】
パッキン部Qは、ゴムやシリコンなどの弾性部材で、水密性を有していれば何を使用してもよい。また、篏合突起本体221や突出部13のそれ自体を弾性部材として、当接する面をパッキン面としてもよい。また、パッキン部Qは、突出部13の外周に巻き付けてもよい。
【0038】
取付部3は、給電筐体11と接続されている部品であって、側面視でC型であり弾性を有するC部31とC部31の外周面において相対して設けられる輪状のリング部32、とを備える。これにより、鞍乗り車両Mの有する柱材(バー等)に取り付ける。
C部31は弾性をもち切れ込みの幅は取り付けるバーより小さく、リング部32はC部31と、C部31よりも曲率が大きくなるように一体に形成される。一方、取付部3の形態はバーに取り付けられればどのようにしてもよく、これに限られない。
【0039】
以下、
図1を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。本発明は、閉状態の給電器Xを鞍乗り車両Mに取り付けて使用する使用者によって実施される。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0040】
まず、使用者は、給電器Xを鞍乗り車両Mに取り付ける。詳述すると、鞍乗り車両Mの柱材(円柱バー)にC部31の切れ込みを押し付けて固定する。この際、リング部32にワイヤや紐等を通すことによって、より強固に固定できる。
併せて、使用者は、給電回路123を鞍乗り車両Mのバッテリーに接続する。このとき、給電回路123の中途に設けられているSAE端子によって接続することが好ましい。
【0041】
次に、使用者は、被覆部2を開状態にすることで、給電端子12を露出させる。すなわち、使用者は、前方向に被覆部本体21を摺動させたのちに、接続孔213の下側端部を中心に回転させ、接続孔213で係止することによって開状態とする。
この際、側壁部212が突出部13を挟んで支持することによって、任意の位置に固定することができる。また、開状態になったとき、スイッチ部F3が接続状態となり、発光部本体F1が発光する。
【0042】
最後に、使用者は、給電端子に給電したい電子機器を接続する。
この際、突出部13や被覆部2が視界を阻害するが、発光部本体F1が発光しているため電子機器を接続しやすくなる。これによりコンパクトで端子が汚れにくく、使用にあたっての利便性が高い給電器を使用することができる。
【0043】
《第二の実施形態》
以下、
図6、7を用いて、本発明の第二の実施形態に係る給電器Xについての説明を行う。第一の実施形態と同様の構成については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0044】
給電器Xは、給電を行う給電部1と、給電端子12を覆う被覆部2と、給電部1を柱材に取り付ける取付部3と、給電端子12を水密にするためのパッキン部Qと、を備える。
また、給電部1は、給電筐体11と、給電端子12と、突出部13と、を有する。
【0045】
給電筐体11は、内部を空洞としたC型の部品であり、取付部3と接続したときに孔付きの略円盤形状になるように設けられており、該孔に柱材を嵌め込んで取り付けられるようにしてある。また、給電筐体11は、当接部111によって、被覆部2を嵌め込んだ状態で摺動できるように設けられている。
【0046】
当接部111は、給電筐体11上に切り込まれて設けられている面であって、切り込みの深さが被覆部2の厚みと略同一に設けられていることによって、側壁部212が給電筐体11の外側に突出することを防いでいる。
また、当接部111又は突出部13に設けられている接続突起112が、被覆部2に設けられている接続孔213と係止することによって、被覆部2の径方向への移動を制限しながら、被覆部2を周方向にのみ移動させることを可能としている。
【0047】
給電筐体11は、周方向を摺動する被覆部2の、開状態における移動を制限する終端突起113を有し、これにより部品を壊れにくくしている。終端突起113は、給電筐体11と一体に設けられており、被覆部2の突出する高さと略同一であることが好ましい。
【0048】
給電端子12は、給電端子本体121と、差込面122と、給電回路123と、を有し、さらに発光部Fが設けられていてもよい。給電端子12の外周面において、端子面ないし差込面122は径方向内側に向けて設けられている。実施形態においては給電端子12が間隔を置いて2つ設けられているが、3以上の給電端子が設けられていてもよい。給電回路123の端部は、給電筐体11の側面から突出して外部のバッテリーと接続する(図示せず)。
【0049】
突出部13は、給電端子12の周辺部において突出する部分であって、給電端子12を囲む包囲突出部131と、包囲突出部131の周方向外側において外部に向けて突出する外部突出部132を含む。実施形態において突出部13は、給電筐体11において、給電端子の周縁部に設けられる空隙部分に取付られる弾性部材であり、その上面は被覆部2と当接するパッキン面(パッキン部Q)としての作用をする。取り付けの方法は、嵌め込みや、接着剤による貼り付け等種々の方法を用いてよい。
【0050】
包囲突出部131は、差込面122を包囲するように立ち上がる突出部分である。包囲突出部131の終端突起113から離れている側の上面は、終端突起113から離れるに従って、緩やかに立ち上がるように設けられている。これにより、被覆部2を摺動させながら係止位置まで移動させることができるため、利便性が高まる。一方、当該部分は段を付けて設けられていてもよく、これによれば水密性をより確実に確保することができる。
【0051】
外部突出部132は、包囲突出部131から突出し、給電筐体11の外周面より上側まで立ち上がる突起部分である。外部突出部132は、終端突起113に最も近い辺に沿って設けられ、これによって閉状態にある被覆部2の位置を制限してパーツが外れることを防ぐ。
【0052】
被覆部2は、給電筐体11の側面周に対応する曲面形状を有する薄板部材である。その内周面に接続突起112を嵌め込むことができる接続孔が設けられていることで、終端突起113から、終端突起113から最も離れた当接部111と当接する位置まで、給電筐体11上を摺動できるようにしている。
被覆部2は、被覆部本体21と、終端突起113の側の端部に設けられ、摺動位置を制限する制限突起23と、使用者がつまんで摺動させるための摘み部24と、を有する。
【0053】
被覆部本体21は、上述のような曲面を描くように設けられる薄板であって、弾性を有する曲面体214と、曲面体214の側面に端部において突出して設けられている側壁部212と、を有する。
【0054】
側壁部212は、曲面体214の側面端から径方向内側に延びる部材であって、曲面体214と協働しての突出部13の全体を覆うように設けられている。側壁部212の下端部の曲率半径は、当接部111の曲率半径と同じであるため、被覆部2は当接部111上を摺動する。
曲面体214は、長軸方向で曲げられた薄板部材であって、その曲率半径は給電筐体11のそれよりも小さいため、摘み部側の端部は給電筐体11の内周側に向けて常に付勢されている。
【0055】
制限突起23は、径方向内側に突出する断面視L字状の部材であって、内側の突出高さが外部突出部132の突出高さと略同一であり、外側の突出高さが終端突起113の突出高さと略同一となるように設けられ、これにより上記2部材に当接して移動が制限されるようにしている。
【0056】
摘み部24は、使用時につまんで被覆部2を摺動する部分であって、実施形態においては、制限突起23に対して対称となるように、曲面体214の端部から径方向外側に突出する突起として設けられている。
ここにおいて、制限突起23から摘み部24までの長さは、終端突起113から、給電端子を径方向に延長して給電筐体11の外周面と交わる部分までの長さより短いことで、簡単に電子機器を取り付けられるようにしている。
【0057】
取付部3は、給電筐体11と接続して内側に円形の孔を形成するように設けられている。取付部3と給電筐体11は、例えばネジ部材によって、取付け時の間隔を調整できるように設けられているため、内側に弾性シートをかませて柱材に固定することができる。
【0058】
以下に、本発明の使用方法について詳述する。第一の実施形態と重複する部分に付いては説明を省略する。本発明は、給電器Xを使用する使用者によって使用される。
【0059】
使用者は鞍乗り車両Mに、給電器Xを取り付け、被覆部2を開状態にする。
すなわち、使用者は、摘み部24を摘み、終端突起113のある方向に力を加えることで開状態にする。開状態においては、曲面体214の内側の面が、弾性部材で摩擦力の大きい外部突出部132に作用することで係止される。
その後使用者は、給電端子12に電子機器を取付けて使用する。
【0060】
なお、閉状態においては、パッキン部Qでもある突出部13と、径方向内側に付勢されている曲面体214の端部と、が当接することで給電端子12が設けられている空間を水密にしている。
【0061】
《第三の実施形態》
以下、
図8を用いて第三の実施形態に係る給電器について詳述する。本形態は第二の実施形態と殆ど相違ないため、第二の実施形態相違する部分以外の説明を省略する。
なお、
図8(a)は実施形態の側面図であり破線部分は本来見えない内側の部分を示し、
図8(b)は断面模式図である。
【0062】
給電筐体11は、側面に外周面に沿うように形成される窪みまたは孔である、レール部114を有する。レール部114は、側壁部212の内側に設けられるレール突起215と係合することによって、被覆部2がレール上を摺動するようにしている。
【0063】
レール部114は、突出部13の近傍から、給電端子12から離れる方向に向けて、給電筐体11の周方向に沿って設けられており、開状態のときに給電端子12が完全に露出するように設けられている。
また、レール部114における突出部13近傍側の端部には、径方向内側に向けて連続した窪みが設けられており、ここにおいても被覆部2が摺動できるようにしている。該窪みの長さは、パッキン部Qの厚みよりも大きく、平面視した際の径方向の延長線は突出部13と交差するようにしてある。
【0064】
突出部13は、給電端子12の周囲を取り囲むように包囲突出部131が設けられている。実施形態においては、包囲突出部131を取り囲むようにさらに突出部が設けられており、これにより複数の段差が形成されている。好ましくは、段差の角が略直角となる。
【0065】
曲面体214の径方向内側の面には、パッキン部Qが貼り付けられている。
実施形態におけるパッキン部Qは、押し付けることによって変形できるように設けられている。パッキン部Qの最大の厚みは、変形前において、開状態における給電筐体の外周面から曲面体214までの距離と略同一か少し長くなるようにするのがよく、これにより開状態でも押圧力によって所定位置に保持できるようにしている。
【0066】
以下に、本実施形態に係る給電器Xを使用者が開閉する際の使用方法について述べる。
使用者が開状態から閉状態とする際には、レール部114に沿って被覆部2を摺動させ、突出部13の直上となる位置となったら、曲面体214を径方向内側に押圧しパッキン部Qを突出部13に嵌め込む。
この際、突出部13の段差の角にパッキン部Qが押圧しながら当接することによって、水密になるように変形した状態で突出部13に密着させることができる。なお、使用者は逆の操作を行うことによって閉状態の給電器Xを開状態にすることができる。
【符号の説明】
【0067】
X 給電器
1 給電部
11 給電筐体
111 当接部
112 接続突起
113 終端突起
114 レール部
12 給電端子
121 給電端子本体
122 差込面
123 給電回路
F 発光部
F1 発光部本体
F2 抵抗
F3 スイッチ部
13 突出部
131 包囲突出部
132 外部突出部
2 被覆部
21 被覆部本体
211 傘部
212 側壁部
213 接続孔
214 曲面体
215 レール突起
22 篏合突起
221 篏合突起本体
23 制限突起
24 摘み部
Q パッキン部
3 取付部
31 C部
32 リング部
M 鞍乗り車両