(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114369
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】検出装置、検出方法および検出プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240816BHJP
H04N 23/695 20230101ALI20240816BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/695
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020095
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田川 侑弥
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122EA01
5C122EA65
5C122FF11
5C122FF15
5C122FH11
5C122GD04
5C122GD06
5C122HA46
5C122HA65
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】夜間等の暗い環境下でも安定して物体検出が可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置(10)は、第1の学習済みモデルを用いて、残像あり画像情報から残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を算出し、算出した残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、残像あり画像情報における物体の位置を推定する推定部(12)と、推定部(12)による推定結果に基づいて、物体を検出する検出部(13)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて、前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定結果に基づいて、前記物体を検出する検出手段と、
を備える、検出装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記物体を含む学習用残像なし画像情報と、前記学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像なし画像情報が入力された場合に前記物体矩形情報を出力する第2の学習済みモデルをさらに用いて、前記残像なし画像情報から前記物体矩形情報を算出し、算出した前記物体矩形情報に基づいて、前記残像なし画像情報における前記物体の位置を推定する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記推定手段が前記第2の学習済みモデルを用いて前記物体の位置を推定可能か否かに基づいて、前記物体を撮像する撮像手段の向きを変更するか否かを決定する制御手段をさらに備える、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記推定手段は、前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記物体の移動方向および移動速度を推定し、
前記制御手段は、前記物体の移動方向および移動速度に応じて前記撮像手段の向きを変更する、請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記物体の移動方向および移動速度に応じて向きが変更された前記撮像手段によって前記物体が撮像された画像情報、および、前記第2の学習済みモデルを用いて、前記物体の位置を推定する、請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記撮像手段のゲインの値に基づいて、当該ゲインの値、および、複数の前記残像あり画像情報または前記残像なし画像情報を蓄積する期間である信号蓄積期間を変更するか否かを決定する、請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記推定手段が前記物体の位置を推定できず、かつ、前記撮像手段のゲインの値が閾値以上である場合、前記制御手段は、前記ゲインの値を閾値以下に設定し、閾値以下に設定した前記ゲインの値に応じたものとなるように、前記信号蓄積期間を変更する、請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記推定手段が前記物体の位置を推定できず、かつ、前記ゲインが閾値未満である場合、前記推定手段は、前記残像あり画像情報および前記残像なし画像情報に前記物体が撮像されていないと推定し、前記制御手段は、前記撮像手段に次の画像情報を取得させる、請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサが、
物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて、前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定することと、
前記推定による推定結果に基づいて、前記物体を検出することと、
を含む、検出方法。
【請求項10】
コンピュータを、
物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定結果に基づいて、前記物体を検出する検出手段と、
して機能させる、検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラを用いた夜間での物体の検出を行う場合、暗い環境下において物体を撮像しなければならないため、当該物体を鮮明に映し出すためにカメラから出力される画像信号の輝度を調整することが行われている。
【0003】
輝度を調整する方法には、具体的には、ゲインの値を上げたり、複数のフレーム等の画像情報を蓄積する期間である信号蓄積期間を長くしたりする方法がある。ゲインの値を上げると、画像信号の輝度は高くなるが、ノイズが大きくなり視認性が悪くなるという欠点がある。他方、信号蓄積期間が長い場合、ノイズを閾値未満の値に設定した状態にしながら画像信号の輝度を上げることができ、ゲインの値を上げる場合と比べて、暗い環境下において物体を鮮明に映し出すことができるため、画像処理による検出が可能となる。
【0004】
複数枚のフレームの画像を蓄積する技術として、特許文献1には、撮像装置(カメラ)における蓄積モードの蓄積倍率情報が示す蓄積倍率が所定の閾倍率以上の場合に、指定された追尾対象を追尾する追尾モードを非追尾モードに切り替える技術が開示されている。すなわち、特許文献1には、信号蓄積期間が所定の長さ以上に達した場合に、物体の検出が失敗することを予測し、あらかじめ物体の検出を停止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のような、輝度を上げるために信号蓄積期間が長くなることを前提とする従来技術には、信号蓄積期間が長すぎると、検出対象である物体が動く場合、物体の移動軌跡に沿った残像が生じて物体検出できないという課題がある。
【0007】
以下、
図9を用いて、上述の課題についてより詳細に説明する。
図9は、信号蓄積期間を長くした場合に、動く物体である被写体を撮像した場合に出力される残像現象のイメージ図を示す。
図9の左側は信号蓄積期間が1フレーム分である通常モードの映像情報を示すイメージ図であり、右側は信号蓄積期間が4フレーム分である画像信号を蓄積した蓄積モードの映像情報を示すイメージ図である。
【0008】
図9に示すように、信号蓄積期間が1フレームの場合には1フレームごとに画像情報が更新される。他方、信号蓄積期間が4フレームの場合には4フレームごとに画像情報が更新されてしまう。この場合、4フレーム目は、1~3フレーム目の画像が重なった状態で出力されるため、残像が生じた画像となってしまう。このような残像が発生すると、画像処理による特徴量の抽出が難しくなり、物体検出が失敗してしまうという課題がある。
【0009】
本発明の一態様は、夜間等の暗い環境下でも、安定して物体検出を行うことが可能な検出装置およびその関連技術を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る検出装置は、物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて、前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定する推定手段と、前記推定手段による推定結果に基づいて、前記物体を検出する検出手段と、を備える。
【0011】
本発明の一態様に係る検出方法は、少なくとも1つのプロセッサが、物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて、前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定することと、前記推定による推定結果に基づいて、前記物体を検出することと、を含む。
【0012】
本発明の一態様に係る検出プログラムは、コンピュータを、物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定する推定手段と、前記推定手段による推定結果に基づいて、前記物体を検出する検出手段と、して機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、夜間等の暗い環境下でも、安定して物体検出を行うことが可能な検出装置およびその関連技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】例示的実施形態1に係る検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】例示的実施形態1に係る検出方法の流れを示すフロー図である。
【
図3】画像情報および矩形情報のイメージ図である。
【
図4】例示的実施形態2に係る検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】例示的実施形態2に係る検出方法の流れを示すフロー図である。
【
図6】水平方向における物体の移動速度の算出および推定についての説明図である。
【
図7】垂直方向における物体の移動速度の算出および推定についての説明図である。
【
図10】各例示的実施形態に係る各装置の各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔例示的実施形態1〕
本発明の例示的実施形態1について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態は、後述する実施形態の基本となる形態である。
【0016】
(検出装置10の構成)
本実施形態に係る検出装置10の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、検出装置10の構成を示すブロック図である。検出装置10は、物体を検出する。物体としては、動く被写体として撮像され、画像情報に含まれうる対象であれば特に限定されず、例えば、人および車等が挙げられる。画像情報としては、例えば、1以上のフレームを含む映像情報等が挙げられる。
図1に示すように、検出装置10は、推定部(推定手段)12と、検出部(検出手段)13と、を備える。
【0017】
推定部12は、第1の学習済みモデルを用いて、物体および当該物体の残像を含む残像あり画像情報から物体の残像の軌跡を含む残像軌跡矩形情報および物体を含む物体矩形情報を算出する。また、推定部12は、算出した残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、残像あり画像情報における物体の位置を推定する。ここで、第1の学習済みモデルは、物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習されたものである。また、第1の学習済みモデルは、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力するものである。検出部13は、推定部12による推定結果に基づいて、物体を検出する。
【0018】
(検出方法S1の流れ)
本例示的実施形態に係る検出方法S1の流れについて、
図2を参照して説明する。
図2は、検出方法S1の流れを示すフロー図である。検出方法は、物体を検出する方法である。
図2に示すように、検出方法S1は、ステップS11およびS12を含む。
【0019】
以下、検出方法S1は、検出装置10の各部によって実行される場合を例に説明するが、検出方法S1は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、検出装置10に備えられていてもよいし、他の装置に備えられていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0020】
(ステップS11)
ステップS11において、推定部12は、第1の学習済みモデルを用いて、物体および当該物体の残像を含む残像あり画像情報から物体の残像の軌跡を含む残像軌跡矩形情報および物体を含む物体矩形情報を算出する。また、推定部12は、算出した残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、残像あり画像情報における物体の位置を推定する。例えば、推定部12は、第1の学習済みモデルに1以上の残像あり画像情報を入力し、第1の学習済みモデルを用いて算出された残像軌跡矩形情報および物体矩形情報の位置に基づいて、残像あり画像情報における物体の位置を推定する。この場合、推定部12は残像軌跡矩形情報と物体矩形情報とが重複する領域の位置が物体の位置であると推定してもよい。
【0021】
第1の学習済みモデルは、上述の画像情報および矩形情報を機械学習させることができるモデルであれば特に限定されない。第1の学習済みモデルとしては、例えば、深層学習をさせるモデル、ロジスティック回帰、サポートベクタマシン、ランダムフォレストおよび近傍法等の分類手法を用いたモデル、ならびに、ベイジアンネットワークを用いたモデル等が挙げられる。残像軌跡矩形情報および残像軌跡矩形情報における物体の残像は、通常、物体矩形情報における物体の残像の始点または終点に位置し、複数のフレームの画像信号を蓄積する時間である信号蓄積期間が閾値以上である場合に生じるものである。このため、残像軌跡矩形情報および物体矩形情報は、通常、複数のフレームの画像信号を蓄積する時間である信号蓄積期間が閾値以上である場合に生じる物体の残像を含むものであるともいえる。
【0022】
第1の学習済みモデルを機械学習させるための教師データである学習用残像軌跡矩形情報および学習用物体矩形情報に含まれる物体としては、特に限定されないが、物体によって高さや幅が異なることから矩形情報が変化するため、物体の種類は多いほうがよい。例えば、物体が車であっても、車種によって外形が異なるため、矩形情報も大きく異なる。この場合、学習用残像軌跡情報および学習用物体矩形情報には、所定の種類以上の車ごとに当該車が物体として撮像されていてもよい。
【0023】
(ステップS11の一例)
以下、
図3を用いてステップS11の一例について説明する。
図3は、画像情報および矩形情報のイメージ図を示す。
【0024】
まず、
図3における水平方向の図に示すように、水平方向に物体Mが移動して残像が生じている場合について説明する。「水平方向」とは、
図3に正対する方向から見て水平方向であるとともに、残像あり画像情報I1を取得するカメラのレンズの光軸に対して水平方向である方向を意味する。
図3に示す例では、物体矩形情報i1b~i3bは物体Mの残像の軌跡の終点が位置し、物体Mは自動車である。また、ここでは残像あり画像情報I1が第1の学習済みモデルに入力される残像あり画像情報であり、残像軌跡矩形情報i1aおよび物体Mを含む物体矩形情報i1bが第1の学習済みモデルから出力される残像軌跡矩形情報および物体矩形情報である場合について説明する。この場合、推定部12は、第1の学習済みモデルに残像あり画像情報I1を入力する。推定部12は、第1の学習済みモデルを用いて、残像あり画像情報I1から残像軌跡矩形情報i1aおよび物体矩形情報i1bを算出する。また、推定部12は、算出した残像軌跡矩形情報i1aおよび物体矩形情報i1bの座標および大きさの少なくとも一方に基づいて、これらの情報が重複する領域に相当する位置が、残像あり画像情報I1における物体Mの位置であると推定する。残像軌跡矩形情報i1aおよび物体矩形情報i1bの座標とは、例えば、
図3に示すこれらの情報の外枠に相当する点線の位置の座標を示す。
【0025】
次に、
図3における垂直方向の図に示すように、垂直方向に物体Mが移動して残像が生じている場合について説明する。「垂直方向」とは、
図3に正対する方向から見て垂直方向であるとともに、残像あり画像情報I2を取得するカメラのレンズの光軸に対して垂直方向である方向を意味する。また、ここでは残像あり画像情報I2が第1の学習済みモデルに入力される残像あり画像情報であり、残像軌跡矩形情報i2aおよび物体Mを含む物体矩形情報i2bが第1の学習済みモデルから出力される残像軌跡矩形情報および物体矩形情報である場合について説明する。この場合、推定部12は第1の学習済みモデルに残像あり画像情報I2を入力する。推定部12は、第1の学習済みモデルを用いて、残像あり画像情報I2から残像軌跡矩形情報i2aおよび物体矩形情報i2bを算出する。また、推定部12は、算出した残像軌跡矩形情報i2aおよび物体矩形情報i2bの座標および大きさの少なくとも一方に基づいて、これらの情報が重複する領域に相当する位置が、残像あり画像情報I2における物体Mの位置であると推定する。
【0026】
次に、
図3における斜め方向の図に示すように、斜め方向に物体Mが移動して残像が生じている場合について説明する。「斜め方向」とは、
図3に正対する方向から見て斜め方向であるとともに、残像あり画像情報I3を取得するカメラのレンズの光軸に対して垂直方向である方向を意味する。ここでは、残像あり画像情報I3が第1の学習済みモデルに入力される残像あり画像情報であり、残像軌跡矩形情報i3aが第1の学習済みモデルに入力される残像あり画像情報であるものとする。また、残像軌跡矩形情報i3aおよび物体Mを含む物体矩形情報i3bが第1の学習済みモデルから出力される残像軌跡情報および物体矩形情報であるものとする。この場合、推定部12は第1の学習済みモデルに残像あり画像情報I3を入力する。そして、推定部12は第1の学習済みモデルを用いて、残像あり画像情報I3から残像軌跡矩形情報i3aおよび物体矩形情報i3bを算出する。また、推定部12は、算出した残像軌跡矩形情報i3aおよび物体矩形情報i3bの座標および大きさの少なくとも一方に基づいて、これらの情報が重複する領域に相当する位置が、残像あり画像情報I3における物体Mの位置であると推定する。
【0027】
(ステップS12)
ステップS12において、検出部13は、推定部12による推定結果に基づいて、物体を検出する。
【0028】
(ステップS12の一例)
以下、
図3を用いてステップS12の一例について説明する。
【0029】
まず、
図3における水平方向の図に示すように、水平方向に物体Mが移動して残像が生じている場合について説明する。検出部13は、残像軌跡矩形情報i1aと物体矩形情報i1bとが重複する領域に相当する物体Mの推定位置から物体Mを検出する。
【0030】
次に、
図3における垂直方向の図に示すように、垂直方向に物体Mが移動して残像が生じている場合について説明する。検出部13は、残像軌跡矩形情報i2aと物体矩形情報i2bとが重複する領域に相当する物体Mの推定位置から物体Mを検出する。
【0031】
次に、
図3における斜め方向の図に示すように、斜め方向に物体Mが移動して残像が生じている場合について説明する。検出部13は、残像軌跡矩形情報i3aと物体矩形情報i3bとが重複する領域に相当する物体Mの推定位置から物体Mを検出する。
【0032】
(検出プログラム)
検出装置10がコンピュータによって構成されている場合、検出装置10の機能は、コンピュータが参照するメモリに記憶された、以下の検出プログラムによっても実現できる。検出プログラムは、コンピュータを、推定部12と、検出部13と、として機能させる。
【0033】
(例示的実施形態1の効果)
本例示的実施形態では、推定部12は、第1の学習済みモデルを用いて算出した残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、物体の位置を推定し、検出部13は、推定部12による推定結果に基づいて、物体を検出する構成が採用されている。
【0034】
この構成によれば、推定部12は、夜間等の暗い環境下において信号蓄積時間が長くなり、画像情報に残像が生じても、第1の学習済みモデルを用いて算出された残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、残像あり画像情報における物体の位置を推定できる。また、検出部13は、推定部12が推定した物体の位置に基づいて物体を検出できる。このため、本例示的実施形態によれば、夜間等の暗い環境下でも、安定して物体検出を行うことが可能な検出装置10およびその関連技術を提供できるという効果が得られる。
【0035】
また、この構成は、周囲の暗さに応じて赤外カットフィルタを用いることがない。このため、本例示的実施形態には、暗い環境下において物体を検出するために、赤外カットフィルタの挿抜を繰り返し、白黒の画像情報とカラーの画像情報との切り替えが発生し、画像が見づらいという課題がない。また、本例示的実施形態には、赤外カットフィルタの切り替えだけでは物体検出が可能となるように輝度を調整することは難しく、暗くなると物体検出が困難になる可能性があるという課題がない。以上のことから、本例示的実施形態によれば、カラーの画像情報を用いることができ、暗い環境下においても物体を検出することができるという効果が得られる。
【0036】
〔例示的実施形態2〕
本発明の例示的実施形態2について、図面を参照して詳細に説明する。例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を適宜省略する。
【0037】
(検出装置10Xの構成)
本例示的実施形態に係る検出装置10Xの構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、検出装置10Xの構成を示すブロック図である。検出装置10Xは、物体を検出する。
図4に示すように、検出装置10Xは、カメラ(撮像手段)14と、制御部(制御手段)15と、記憶部(記憶手段)17と、表示部(表示手段)18と、を備える。
【0038】
(1)カメラ14の構成
カメラ14は、被写体である検出対象の物体を撮像する。カメラ14としては、例えば、レンズ部と、撮像部(撮像手段)とを備える旋回型カメラ等が挙げられる。
【0039】
(2)制御部15の構成
制御部15は、カメラ14、記憶部17および表示部18等の検出装置10Xの各部を制御する。
図4に示すように、制御部15は、学習部(学習手段)11Xと、推定部(推定手段)12Xと、検出部(検出手段)13と、算出部(算出手段)16と、を備える。
【0040】
学習部11Xは、物体を含む学習用残像あり画像情報と、学習用残像軌跡矩形情報および学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて、第1の学習済みモデルを機械学習させる。また、学習部11Xは、物体を含む学習用残像なし画像情報と、学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて、第2の学習済みモデルをさらに機械学習させる。第2の学習済みモデルは、カメラ14から残像なし画像情報が入力された場合に物体矩形情報を出力するものである。
【0041】
このように、第2の学習済みモデルに画像情報が入力された場合、出力される矩形情報は、第1の学習済みモデルに画像情報が入力された場合と異なり、物体矩形情報という1つの矩形情報のみであり、残像軌跡矩形情報は出力されない。学習部11Xは、画像情報の入力を受け付ける画像情報入力部、および、矩形情報の入力を受け付ける矩形情報入力部としても機能し、入力を受け付けた学習用画像情報と矩形情報とを対応付けて教師データを生成してもよい。また、上述の例では、単一の学習部11Xが、第1の学習済みモデルと第2の学習済みモデルとの2つの学習済みモデルを機械学習させているが、第1の学習済みモデルを機械学習させる学習部と、第2の学習済みモデルを機械学習させる学習部とは別々であってもよい。
【0042】
推定部12Xは、第2の学習済みモデルをさらに用いて残像なし画像情報から物体矩形情報を算出し、算出した物体矩形情報に基づいて、残像なし画像情報における物体の位置を推定する。制御部15は、推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定可能か否かに基づいて、物体を撮像するカメラ14の向きを変更するか否かを決定し、カメラ14の向きを制御する。算出部16は、残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、物体の移動速度を算出する。算出部16としては、CPU、GPUまたはデジタル並列処理等種々のものが挙げられるが、上述の算出処理を実行できれば、算出部16は、いずれのものを用いてもよく、特に限定されない。
【0043】
制御部15が行う各処理は、CPU、GPFまたはデジタル順序回路等による演算によって実行可能であるが、上述の各処理を実行できれば、各処理の手段は特に限定されない。上述の例では、制御部15は、カメラ14の向きの制御を行っているが、ズームにより物体の大きさを拡大縮小したり、一定に保ったりするようなカメラ14のレンズの制御を行ってもよい。上述の例では、カメラ14は、制御部15の外部に存在するが、制御部15内に組み込まれ、制御部15の内部に含まれていてもよい。また、上述の例では、学習部11Xは、制御部15の内部に含まれているが、制御部15の外部に存在していてもよい。
【0044】
(3)記憶部17の構成
記憶部17は、カメラ14の向き、ノイズおよび信号蓄積期間等のカメラ14の設定に関する情報、第1の学習済みモデルおよび第2の学習済モデル等の各種データを記憶する。記憶部17が記憶する学習済みモデルは、これらの2つ以上であればよく、記憶部17は、これらの学習済みモデルに加えて、さらなる学習済みモデルを記憶してもよい。すなわち、検出装置10Xは、さらなる学習済みモデルを用いて、物体を検出してもよい。
【0045】
(4)表示部18の構成
表示部18は、モニタリング用の画像情報として、上述の各種画像情報を表示する。
【0046】
(検出方法S1Xの流れ)
本例示的実施形態に係る検出方法S1Xの流れについて
図5を参照して説明する。
図5は、検出方法S1Xの流れを示すフロー図である。
図5に示すように、検出方法S1Xは、ステップS101~S115を含む。また、
図5に示す例では、検出方法S1Xは、1フレームごとに実行される場合について説明する。ステップS107およびS110は、例示的実施形態1におけるステップS13と同様である。
【0047】
以下、検出方法S1Xが、検出装置10Xの各部によって実行される場合を中心に説明する。ただし、検出方法S1Xは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、検出装置10Xに備えられていてもよいし、他の装置に備えられていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0048】
(ステップS101)
ステップS101において、学習部11Xは、学習用残像あり画像と、学習用残像軌跡矩形情報および学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて、第1の学習済みモデルを機械学習させる。学習部11Xは、学習フェーズが完了した後、第1の学習済みモデルを記憶部17に記憶させてもよい。
【0049】
(ステップS102)
ステップS102において、学習部11Xは、学習用残像なし画像と、学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて、第2の学習済みモデルを機械学習させる。学習部11Xは、学習フェーズが完了した後、第2の学習済みモデルを記憶部17に記憶させてもよい。
【0050】
(ステップS103)
ステップS103において、カメラ14は、物体を撮像し、当該物体を含む画像情報を制御部15に入力する。この場合、制御部15は、画像情報入力部としても機能する。
【0051】
(ステップS104)
ステップS104において、推定部12Xは、第1の学習済みモデルに加えて、第2の学習済みモデルをさらに用いて物体の位置を推定する。
例えば、推定部12Xは、まず、第2の学習済みモデルに1以上の残像なし画像情報を入力し、第2の学習済みモデルから出力されることにより算出した物体矩形情報に基づいて、残像なし画像情報における物体の位置を推定する。この場合、推定部12Xは、物体矩形情報の座標および大きさの少なくとも一方に基づき、物体矩形情報が表す領域の位置が残像なし画像情報における物体の位置であると推定してもよい。次に、推定部12Xは、第1の学習済みモデルに1以上の残像あり画像情報を入力し、第1の学習済みモデルから出力されることによって算出された残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、物体の位置を推定する。この場合、推定部12Xは、残像軌跡矩形情報と物体矩形情報の座標および大きさの少なくとも一方に基づき、残像軌跡矩形情報と物体矩形情報とが重複する領域に相当する位置が残像なし画像情報における物体の位置であると推定してもよい。
【0052】
(ステップS105)
ステップS105において、推定部12Xは、物体の位置を推定可能であるか否かを判定する。推定部12Xが物体の位置を推定可能であると判定した場合(ステップS105のY)、ステップS106へ移行する。推定部12Xが物体の位置を推定不可能であると判定した場合(ステップS105のN)、ステップS114へ移行する。
【0053】
例えば、推定部12Xは、まず、第2の学習済みモデルを用いて、入力フレーム等、第2の学習済みモデルに入力した1以上の残像なし画像情報に映っている物体の照合を行い、物体矩形情報に基づいて物体の位置を推定できるか否かの判定を行う。推定部12Xは、物体矩形情報を含む判定結果を記憶部17に記憶させることによって、当該判定結果を保存する。次に、推定部12Xは、第1の学習済みモデルを用いて、入力フレーム等、第1の学習済みモデルに入力した1以上の残像あり画像情報に映っている物体の照合を行い、残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて物体の位置を推定できるか否かの判定を行う。推定部12Xは、残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を含む判定結果を記憶部17に記憶させることによって、判定結果を保存する。
【0054】
推定部12Xが第2の学習済みモデルおよび第1の学習済みモデルのいずれかを用いて、物体の位置を推定可能である場合、すなわち、検出部13が物体を検出できる場合(ステップS105のY)、ステップS106へ移行する。推定部12Xが第2の学習済みモデルおよび第1の学習済みモデルのいずれを用いても物体の位置を推定不可能である場合、すなわち、検出部13が物体を検出できない場合(ステップS105のN)、ステップS114へ移行する。
【0055】
(ステップS106)
ステップS106において、推定部12Xは、第2の学習済みモデルを用いて残像なし画像情報から物体矩形情報を算出し、算出した物体矩形情報に基づいて、残像なし画像情報における物体の位置を推定可能であるか否かを判定する。推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定可能である場合(ステップS106のY)、すなわち、この場合に検出部13が物体を検出可能な場合、ステップS107へ移行する。推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定不可能である場合(ステップS106のN)、すなわち、この場合に検出部13が物体を検出不可能であり、第1の学習済みモデルを用いて物体を検出可能な場合、ステップS110へ移行する。
【0056】
(ステップS108)
ステップS108において、推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定し、検出部13が物体を検出できているため、制御部15は、現時点でのカメラ14の向きを維持したまま、カメラ14の制御を継続する。すなわち、制御部15は、カメラ14を左右に振るパンを行ったり、上下に振るチルトを行ったりしない。
【0057】
(ステップS109)
ステップS109において、カメラ14は、次のフレームの撮影を行うことによって次の画像情報を取得し、再び物体の検出を行うための各処理を実行する。
【0058】
(ステップS111)
ステップS111において、推定部12Xは、第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定不可能な場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、物体の移動方向を推定する。例えば、推定部12Xは、第1の学習済みモデルに残像あり画像情報を入力した場合に第1の学習済みモデルから出力される残像軌跡矩形情報および物体矩形情報の座標に基づいて、物体の移動方向を推定する。
【0059】
(ステップS111の一例)
以下、
図3を用いてステップS111の一例について説明する。以下では、画像情報I1~I3が、第1の学習済みモデルに入力され、残像軌跡矩形情報i1a、i2aおよびi3aならびに物体矩形情報i1b、i2bおよびi3bが第1の学習済モデルから出力される場合について説明する。また、物体Mが自動車である場合について説明する。
【0060】
まず、
図3における水平方向の図に示すように、水平方向に物体Mが移動して残像が生じている場合について説明する。推定部12Xは、残像軌跡矩形情報i1aの座標よりも物体矩形情報i1bの座標のほうが、水平方向を示すX軸方向において全体的に大きい値であることから、物体Mの移動方向が水平方向であると推定する。
【0061】
次に、
図3における垂直方向の図に示すように、垂直方向に物体Mが移動して残像が生じている場合について説明する。推定部12Xは、残像軌跡矩形情報i2aの座標よりも物体矩形情報i2bの座標のほうが、垂直方向を示すY軸方向において全体的に小さい値であることから、物体Mの移動方向が垂直方向であると推定する。
【0062】
次に、
図3における斜め方向の図に示すように、斜め方向に物体Mが移動して残像が生じている場合について説明する。推定部12Xは、残像軌跡矩形情報i3aの座標よりも物体矩形情報i3bの座標のほうが、斜め方向を示すZ軸方向において全体的に大きい値であることから、物体Mの移動方向が斜め方向であると推定する。
【0063】
(ステップS112)
ステップS112において、推定部12Xは、残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、物体の移動速度を推定する。例えば、推定部12Xは、算出部16が残像軌跡矩形情報および物体矩形情報の座標および大きさの少なくとも一方に基づいて算出した物体の移動速度が物体の移動速度であると推定する。
【0064】
(ステップS112の一例)
以下、ステップS112の一例について説明する。
【0065】
(1)水平方向における物体Mの移動速度の算出および推定の一例
まず、
図3における水平方向の図に示すように、水平方向に物体Mが移動している場合を例に、
図6を用いて水平方向における物体Mの移動速度V
Hの算出および推定の一例について説明する。
図6は、水平方向における物体Mの移動速度V
Hの算出および推定についての説明図である。
図6に表示されている各種パラメータの内容は以下の通りである。また、以下では、カメラ14が、レンズと、イメージセンサとを備える場合について説明する。
L:物体Mとカメラ14との間の距離
f:レンズの焦点距離
a
H:水平方向におけるイメージセンサの撮像面のサイズ
A
H:水平方向におけるカメラ14による被写体の撮像可能範囲
b
H:水平方向におけるイメージセンサの撮像面での物体Mの移動量
B
H:水平方向におけるカメラ14によって撮像された物体Mの移動量
ここで、A
Hは、カメラ14のレンズの光軸と水平な面における被写体の撮像可能範囲でもある。B
Hは、カメラ14のレンズの光軸と水平な面に投影された物体Mの移動量でもある。
図3に示すように、b
Hは、以下の式(1)によって表すことができる。以下の式(1)におけるm
HおよびO
Hは、推定部12Xが物体Mの位置を推定する際に参照する、第1の学習済みモデルから出力される残像軌跡矩形情報i1aおよび物体矩形情報i1bの座標に基づいて、算出部16が算出することによって得られる。
【0066】
【0067】
ここで、水平方向におけるイメージセンサの撮像面のサイズに対する物体Mの移動量の比をxとすると、xは、以下の式(2)のように表すことができる。
【0068】
【0069】
また、水平方向におけるイメージセンサの撮像面のサイズaHと、水平方向におけるカメラ14による被写体の撮像可能範囲AHとの関係は、以下の式(3)のように表すことができる。そして、以下の式(3)から、以下の式(4)が得られる。
【0070】
【0071】
算出部16は、上述の式(2)を上述の式(4)に代入し、以下の式(5)を導出する。
【0072】
【0073】
また、水平方向における物体Mの水平方向の移動速度VHは、カメラ14の信号蓄積期間tを用いると、以下の式(6)のように表すことができる。
【0074】
【0075】
このため、算出部16は、上述の式(6)を上述の式(5)に代入することによって、以下の式(7)を導出する。
【0076】
【0077】
aH、L、f、xおよびtは、すべて既知であることから、算出部16は、上述の式(7)を用いることによって、水平方向における物体Mの移動速度VHを算出できる。ここで、物体Mとカメラ14との距離Lに関しては、レーザー測距計等を使ってあらかじめ測定したものを用いてもよい。また、地図情報等の物体Mおよびカメラ14の位置を示す位置情報、ならびに、カメラ14の回転角および仰角の設定値が記憶部17にあらかじめ格納されている場合、算出部16は、これらの情報に基づいて上述の距離Lを算出してもよい。
【0078】
推定部12Xは、算出部16が算出した水平方向における物体Mの移動速度VHが、水平方向における物体Mの移動速度VHであると推定する。
【0079】
(2)垂直方向における物体Mの移動速度の算出および推定の一例
次に、
図3における垂直方向の図に示すように、垂直方向に物体Mが移動している場合を例に、
図7および8を用いて垂直方向における物体Mの移動速度V
Vの算出および推定の一例について説明する。
図7は、垂直方向における物体Mの移動速度V
Vの算出および推定についての説明図である。
図8は、
図7の一部の領域Rの拡大図である。
図7に表示されている各種パラメータの内容は以下の通りである。また、以下では、カメラ14が、レンズと、イメージセンサとを備える場合について説明する。
L:物体Mとカメラ14との間の距離
f:レンズの焦点距離
a
V:垂直方向におけるイメージセンサの撮像面のサイズ
A
V:垂直方向におけるカメラ14による被写体の撮像可能範囲
b
V:垂直方向におけるイメージセンサの撮像面での物体Mの移動量
B
V:垂直方向におけるカメラ14によって撮像された物体Mの移動量
ω:垂直方向における物体Mの残像軌跡の画角
θ:垂直方向におけるカメラ14の傾き
ここで、A
Vは、カメラ14のレンズの光軸と垂直な面における被写体の撮像可能範囲でもある。B
Vは、カメラ14のレンズの光軸と垂直な面に投影された物体Mの移動量でもある。
図3に示すように、b
Vは、以下の式(8)によって表すことができる。以下の式(8)におけるm
VおよびO
Vは、推定部12Xが物体Mの位置を推定する際に参照する、第1の学習済みモデルから出力される残像軌跡矩形情報i2aおよび物体矩形情報i2bの座標に基づいて、算出部16が算出することによって得られる。
【0080】
【0081】
物体Mの移動量は、実際には、
図8の地面G上のeの長さに相当するが、カメラ14によって物体Mを撮像した場合には、カメラ14のレンズの光軸と物体Mとが交わる垂直な面に、
図7のBvの長さとなって投影される。
【0082】
ここで、カメラ14のイメージセンサの撮像面のサイズに対する物体Mの移動量の比をxとすると、xは、上述の式(2)と同様、以下の式(9)のように表すことができる。
【0083】
【0084】
よって、算出部16は、カメラ14によって撮像された物体Mの垂直方向における移動量BVは、水平方向の場合と同様、以下の式(10)のように導出できる。
【0085】
【0086】
次に、算出部16が、カメラ14によって撮像された物体Mの移動量B
Vに基づいて、実際の物体Mの移動量eを求める方法について説明する。
図8に示すように、物体Mの実際の移動量eは、以下の式(11)によって表すことができる。
【0087】
【0088】
ここで、正弦定理を用いると、e1およびe2は、それぞれ以下の式(12)および(13)のように表すことができる。
【0089】
【0090】
図8に示す角度は、それぞれ以下の式(14)~(20)のように表すことができる。
【0091】
【0092】
算出部16は、上述の式(13)に上述の式(14)~(20)を代入することによって、以下の式(21)および(22)を導出する。
【0093】
【0094】
算出部16は、上述の式(11)に上述の式(21)および(22)を代入することによって、以下の式(23)に表されるeの式を導出する。
【0095】
【0096】
また、
図7から、ωは、以下の式によって表すことができる。
【0097】
【0098】
また、垂直方向における物体Mの移動速度VVは、カメラ14の信号蓄積時間tを用いると、以下のように表すことができる。
【0099】
【0100】
BV、bV、f、tおよびθは、すべて既知であることから、算出部16は、上述の式(10)および(23)~(25)を用いることによって、垂直方向における物体Mの移動速度VVを算出できる。
【0101】
推定部12Xは、算出部16が算出した垂直方向における物体Mの移動速度VVが、垂直方向における物体Mの移動速度VVであると推定する。
【0102】
(3)斜め方向における物体Mの移動速度の算出および推定の一例
次に、
図3における斜め方向の図に示すように、斜め方向に物体Mが移動している場合を例に、
図3を用いて斜め方向における物体Mの移動速度V
Dの算出および推定の一例について説明する。
【0103】
図3における斜め方向の図に示すように、斜め方向の速度成分は、水平方向の速度成分と垂直方向の速度成分とから成り立っているため、この関係を式によって表すと、以下の式(26)の通りとなる。
【0104】
【0105】
上述の式(26)より、VDは以下の式(27)となる。
【0106】
【0107】
算出部16は、上述の方法と同様に、矩形情報の大きさおよび信号蓄積時間に基づいて、VHおよびVVを算出し、それらの値を用いることにより、VDを算出する。
【0108】
推定部12Xは、算出部16が算出した斜め方向における物体Mの移動速度VDが、斜め方向における物体Mの移動速度VDであると推定する。
【0109】
(ステップS113)
ステップS113において、制御部15は、推定部12Xが推定した物体の移動方向および移動速度に応じてカメラ14の向きを変更する。この場合、制御部15は、パンおよびチルトの少なくとも一方を行い、カメラ14の向きを変更してもよい。
【0110】
また、ステップS106、S108およびS113のように、制御部15は、推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定可能か否かに基づいてカメラ14の向きを変更するか否かを決定し、カメラ14の向きを制御してもよい。具体的には、ステップS106のYのように推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定可能な場合、ステップS108のように制御部15はカメラ14の向きを維持してもよい。また、ステップS106のNのように、推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定不可能な場合、制御部15は、ステップS113の上述の例と同様に、物体の移動方向および移動速度に応じてカメラ14の向きを変更してもよい。
【0111】
上述のように、制御部15が物体の移動方向および移動速度に応じてカメラ14の向きを変更した場合、推定部12Xは、当該向きが変更されたカメラ14によって物体が撮像された画像情報、および、第2の学習済みモデルを用いて、物体の位置を推定してもよい。
【0112】
(ステップS114)
ステップS114において、推定部12Xが第1の学習済みモデルおよび第2の学習済みモデルのいずれを用いても物体の位置を推定できず、検出部13が物体を検出できない場合、制御部15は、カメラ14のゲインの値が閾値以上であるか否かの判定を行う。当該閾値としては、夜間での物体の検出を行うことが理論上可能な輝度となる値であれば特に限定されない。また、当該閾値は、あらかじめ設定されたものであってもよい。
【0113】
制御部15は、カメラ14に設定されているゲインの値をカメラ14から読み取ることによって、カメラ14のゲインの値が閾値以上であるか否かの判定を行う。カメラ14のゲインの値が閾値以上であると制御部15が判定した場合(ステップS114のY)、ステップS115へ移行する。カメラ14のゲインの値が閾値以上でないと制御部15が判定した場合(ステップS114のN)、すなわち、カメラ14のゲインの値が閾値未満であると制御部15が判定した場合、ステップS109へ移行する。
【0114】
このように、推定部12Xが物体の位置を推定できず、かつ、ゲインの値が閾値未満であると推定部12Xが判定した場合、推定部12Xは、残像あり画像情報および残像なし画像情報に物体が撮像されていないと推定してもよい。また、制御部15は、カメラ14に次のフレームを撮影させることにより、次の画像情報を取得させてもよい。
【0115】
(ステップS115)
ステップS115において、推定部12Xが物体の位置を推定できず、かつ、カメラ14のゲインの値が閾値以上である場合、制御部15は、ゲインの値を閾値以下に設定し、閾値以下に設定したゲインの値に応じたものとなるように信号蓄積期間を変更してもよい。このように、制御部15は、カメラ14のゲインの値に基づいて、ゲインの値、および、複数の残像あり画像情報または残像なし画像情報を蓄積する期間である信号蓄積期間を変更するか否かを決定することによって、ゲインの値および信号蓄積期間を制御してもよい。
【0116】
(例示的実施形態2の効果)
本例示的実施形態においては、推定部12Xは、第2の学習済みモデルをさらに用いて、残像なし画像情報から物体矩形情報を算出し、算出した物体矩形情報に基づいて、残像なし画像情報における物体の位置を推定する構成が採用されている。
【0117】
この構成によれば、推定部12Xは、第1の学習済みモデルおよび第2の学習済みモデルという2種類の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定する。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1に比べて、夜間等の暗い環境下でも、検出部13が安定して物体を検出しやすいという効果が得られる。
【0118】
本例示的実施形態においては、推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定可能か否かに基づいて、物体を撮像するカメラ14の向きを変更するか否かを決定する制御部15をさらに備える構成が採用されている。
【0119】
この構成によれば、画像情報に残像が含まれていないといった理由により、推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定可能な場合に、制御部15はカメラ14の向きを維持する。また、画像情報に残像が含まれており、推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定不可能な場合に、制御部15はカメラ14の向きを変更する。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定可能でない場合でも、カメラ14の向きを変更し、物体を追従できるという効果が得られる。
【0120】
本例示実施形態においては、推定部12Xは、残像軌跡矩形情報および物体矩形情報に基づいて、物体の移動方向および移動速度を推定し、制御部15は、物体の移動方向および移動速度に応じてカメラ14の向きを変更する構成が採用されている。
【0121】
この構成によれば、画像情報に残像が含まれ、推定部12Xが第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定不可能な場合でも、制御部15は、物体の移動方向および移動速度に合わせて、物体と同様の移動方向および移動速度にてカメラ14の向きを変更できる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加え、上述の場合でも、カメラ14を物体に追従させることができるという効果が得られる。
【0122】
本例示的実施形態においては、推定部12Xは、物体の移動方向および移動速度に応じて向きが変更されたカメラ14によって物体が撮像された画像情報および第2の学習済みモデルを用いて、物体の位置を推定する構成が採用されている。
【0123】
この構成によれば、物体に追従するカメラ14によって物体が撮像されるため、残像が発生しにくい画像情報が得られやすくなり、推定部12Xは、残像が発生しにくい画像情報を第2の学習済みモデルに入力して出力される矩形情報を用いて物体の位置を推定する。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、第2の学習済みモデルを用いて物体の位置を推定しやすくなるという効果が得られる。
【0124】
本例示的実施形態においては、制御部15は、カメラ14のゲインの値に基づいて、ゲインの値および複数の残像あり画像情報または残像なし画像情報を蓄積する期間である信号蓄積期間を変更するか否かを決定する構成が採用されている。
【0125】
この構成によれば、ゲインの値が大きく、画像情報内のノイズが大きい場合に、ゲインの値を下げてノイズを減らし、信号蓄積期間を変更して輝度を保つことができる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、ゲインの値が大きい場合でも、推定部12Xは、輝度が保たれつつ、ノイズが減少した、物体の検出に適した画像情報を用いて物体の位置を推定できるという効果が得られる。
【0126】
本例示的実施形態においては、推定部12Xが物体の位置を推定できず、かつ、カメラ14のゲインの値が閾値以上である場合、制御部15は、ゲインの値を閾値以下に設定し、閾値以下に設定したゲインの値に応じたものとなるように、信号蓄積期間を変更する構成が採用されている。
【0127】
この構成によれば、ゲインの値が閾値以上であり、画像情報内のノイズが大きい場合に、ゲインの値を下げてノイズを減らし、低下したゲインの値に応じて信号蓄積期間を変更して輝度を保てる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加え、ゲインの値が閾値以上でも、推定部12Xは、輝度が保たれつつノイズが減少した、物体の検出に適した画像情報を用いて物体の位置を推定できるという効果が得られる。
【0128】
本例示的実施形態においては、推定部12Xが物体の位置を推定できず、かつ、ゲインの値が閾値未満である場合、推定部12Xは、残像あり画像情報および残像なし画像情報に物体が撮像されていないと推定し、制御部15は、カメラ14に次の画像情報を取得させる構成が採用されている。
【0129】
この構成によれば、推定部12Xが物体の位置を推定できず、ゲインの値が閾値未満という画像情報内のノイズが小さい場合、推定部12Xは、検出部13が物体を検出できない要因がノイズに起因するものでなく、画像情報に物体が撮像されていないと推定する。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加え、ゲインの値を上げる傾向にある夜間等においてゲインの値が閾値未満であるか否かに応じて、推定部12Xは画像情報に物体が撮像されているか否かを推定できるという効果が得られる。また、制御部15は、ゲインの値が閾値未満であるか否かに応じて、カメラ14による次の撮像に進んでよいかどうかを決定できるという効果が得られる。
【0130】
〔ソフトウェアによる実現例〕
検出装置10および10Xの制御ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0131】
後者の場合、検出装置10および10Xは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等をさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0132】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0133】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0134】
(付記1)
物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて、前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定結果に基づいて、前記物体を検出する検出手段と、
を備える、検出装置。
【0135】
(付記2)
前記推定手段は、前記物体を含む学習用残像なし画像情報と、前記学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像なし画像情報が入力された場合に前記物体矩形情報を出力する第2の学習済みモデルをさらに用いて、前記残像なし画像情報から前記物体矩形情報を算出し、算出した前記物体矩形情報に基づいて、前記残像なし画像情報における前記物体の位置を推定する、付記1に記載の検出装置。
【0136】
(付記3)
前記推定手段が前記第2の学習済みモデルを用いて前記物体の位置を推定可能か否かに基づいて、前記物体を撮像する撮像手段の向きを変更するか否かを決定する制御手段をさらに備える、付記2に記載の検出装置。
【0137】
(付記4)
前記推定手段は、前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記物体の移動方向および移動速度を推定し、
前記制御手段は、前記物体の移動方向および移動速度に応じて前記撮像手段の向きを変更する、付記3に記載の検出装置。
【0138】
(付記5)
前記推定手段は、前記物体の移動方向および移動速度に応じて向きが変更された前記撮像手段によって前記物体が撮像された画像情報、および、前記第2の学習済みモデルを用いて、前記物体の位置を推定する、付記4に記載の検出装置。
【0139】
(付記6)
前記制御手段は、前記撮像手段のゲインの値に基づいて、当該ゲインの値、および、複数の前記残像あり画像情報または前記残像なし画像情報を蓄積する期間である信号蓄積期間を変更するか否かを決定する、付記1~5のいずれか1つに記載の検出装置。
【0140】
(付記7)
前記推定手段が前記物体の位置を推定できず、かつ、前記撮像手段のゲインの値が閾値以上である場合、前記制御手段は、前記ゲインの値を閾値以下に設定し、閾値以下に設定した前記ゲインの値に応じたものとなるように、前記信号蓄積期間を変更する、付記6に記載の検出装置。
【0141】
(付記8)
前記推定手段が前記物体の位置を推定できず、かつ、前記ゲインが閾値未満である場合、前記推定手段は、前記残像あり画像情報および前記残像なし画像情報に前記物体が撮像されていないと推定し、前記制御手段は、前記撮像手段に次の画像情報を取得させる、付記7に記載の検出装置。
【0142】
(付記9)
少なくとも1つのプロセッサが、
物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて、前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定することと、
前記推定による推定結果に基づいて、前記物体を検出することと、
を含む、検出方法。
【0143】
(付記10)
コンピュータを、
物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定結果に基づいて、前記物体を検出する検出手段と、
して機能させる、検出プログラム。
【0144】
〔付記事項3〕
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて、前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定することと、前記推定による推定結果に基づいて、前記物体を検出することと、を実行する、検出装置。
【0145】
この検出装置は、さらにメモリを備えていてもよく、このメモリには、物体および当該物体の残像を含む学習用残像あり画像情報と、前記物体の残像の軌跡を含む学習用残像軌跡矩形情報および前記物体を含む学習用物体矩形情報とが対応付けられた教師データを用いて機械学習された、残像あり画像情報が入力された場合に残像軌跡矩形情報および物体矩形情報を出力する第1の学習済みモデルを用いて、前記残像あり画像情報から前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報を算出し、算出した前記残像軌跡矩形情報および前記物体矩形情報に基づいて、前記残像あり画像情報における前記物体の位置を推定することと、前記推定による推定結果に基づいて、前記物体を検出することと、を前記プロセッサに実行させるための検出プログラムが記憶されていてもよい。この検出プログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【0146】
〔付記事項4〕
本発明は、夜間等の暗い環境下でも、安定して物体検出が可能な検出装置およびその関連技術を提供することができる。このため、本発明は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献することができる。
【符号の説明】
【0147】
10、10X 検出装置
12、12X 推定部(推定手段)
13 検出部(検出手段)
14 カメラ(撮像手段)
15 制御部(制御手段)
I1、I2、I3 画像情報
i1a、i2a、i3a 残像軌跡矩形情報
i1b、i2b、i3b 物体矩形情報
S1、S1X 検出方法