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特開2024-114371地価予測システム、及び、地価予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114371
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】地価予測システム、及び、地価予測方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240816BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020097
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】399094361
【氏名又は名称】株式会社東京カンテイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉道
(72)【発明者】
【氏名】岡村 健介
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼原 宏和
(72)【発明者】
【氏名】桐島 功希
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】より少ない種類の情報を用いて精度良く地価を予測する。
【解決手段】複数の地点それぞれについて、地点の位置情報と、公的機関によって公表されている土地の基準額に基づいて得られた当該地点における地価と、当該地点について第1の条件を満たす第1の道路の幅員と、の対応付けを保持する記憶部と、当該記憶部に保持される当該対応付けを用いて、少なくとも対象地の位置情報から、対象地の地価を予測する制御部と、を備える地価予測システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の地点それぞれについて、地点の位置情報と、公的機関によって公表されている土地の基準額に基づいて得られた前記地点における地価と、前記地点について第1の条件を満たす第1の道路の幅員と、の対応付けを保持する記憶部と、
前記記憶部に保持される前記対応付けを用いて、少なくとも対象地の位置情報から、前記対象地の地価を予測する制御部と、
を備える地価予測システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記対象地の位置情報から所定範囲内に位置する第1の地点を含む前記対応付けを前記記憶部から抽出し、
前記抽出した対応付けに含まれる前記第1の地点における地価に基づいて、前記対象地の地価の予測額を取得する、
請求項1に記載の地価予測システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記対象地の位置情報についての条件として所定の地理的範囲と、前記対象地の前面道路の条件として道路の幅員の値又は範囲と、を受け付け、
前記対象地の位置情報についての条件と、前記対象地の前面道路の条件と、を少なくとも満たす前記対応付けを前記記憶部から抽出し、
前記抽出した前記対応付けに含まれる前記地価に基づいて、前記対象地の地価の予測額を取得する、
請求項1に記載の地価予測システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記記憶部に保持される前記対応付けを用いて、前記地点の位置情報及び前記地点に対応する前記第1の道路の幅員に対する、前記地点における地価の関係を学習済みの予測モデルに、少なくとも前記対象地の位置情報を入力して、前記対象地の地価を予測する、
請求項1に記載の地価予測システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記複数の地点それぞれについて、前記地点における地価の算出に用いられる前記土地の基準額に対応する地区区分をさらに対応付けて保持する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の地価予測システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記複数の地点それぞれについて、前記第1の道路が通り抜けできるか又は行き止まりかを示す情報をさらに対応付けて保持する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の地価予測システム。
【請求項7】
前記記憶部は、前記複数の地点それぞれについて、前記地点における用途地域、建蔽率、及び、容積率のうちの少なくともいずれかをさらに対応付けて保持する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の地価予測システム。
【請求項8】
前記記憶部は、前記複数の地点それぞれについて、前記地点が第2の条件を満たす地域に含まれているか否かを示す情報をさらに対応付けて保持する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の地価予測システム。
【請求項9】
コンピュータが、
少なくとも対象地の位置情報を取得し、
記憶部に保持される、複数の地点それぞれについての、地点の位置情報と、公的機関に
よって公表されている土地の基準額に基づいて得られた前記地点における地価と、前記地点について第1の条件を満たす第1の道路の幅員と、の対応付けを用いて、少なくとも前記対象地の位置情報から、前記対象地の地価を予測する、
地価予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土地の価格を予測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
路線価を示す線分上に設けられる地点などの複数の地点における地価情報のデータベースを用いて対象範囲内に含まれる地点の地価を求める技術が開示されている(例えば、特許文献1)。道路幅、住環境、及び、最寄駅からの距離などの地価形成要因と不動産鑑定業者により鑑定評価された地価を用いて地価モデル式を自動生成し、当該地価モデルを用いて地価を算定する技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-122197号公報
【特許文献2】特開平11-282823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記いずれの技術も、地価情報データベースでは、地点に、地価の他に、地価に影響を与える地価形成要因を対応付けている。地価形成要因には、例えば、地名、日照、通風、街路の幅員、交通施設との距離、商店街との距離、嫌悪施設等の有無、騒音、大気の汚染、各画地の面積、配置及び利用の状態、街並み、眺望、景観等の良否、都市計画、用途地域、建蔽率、容積率等がある。地価情報データベースの1つのレコードにおける項目が多いため、地点の数が増えるとデータベースのサイズも大きくなる。さらに、特許文献1では、これらの地価形成要因データを格差率として地価情報データベースに保持する。また、特許文献2では、地価形成要因のデータを変数変換して、地価モデル式へ入力している。そのため、地価を予測するために用いるデータベースの生成や地価モデル式への入力値の取得のための処理が複雑になり、処理負荷がかかる。
【0005】
本発明は、上記した問題に鑑み、より少ない種類の情報を用いて精度良く地価を予測可能な地価予測システム、及び、地価予測方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の一つは、地価予測システムである。地価予測システムは、記憶部と制御部とを備える。記憶部は、複数の地点それぞれについて、地点の位置情報と、公的機関によって公表されている土地の基準額に基づいて得られた当該地点における地価と、当該地点について第1の条件を満たす第1の道路の幅員と、の対応付けを保持する。制御部は、当該記憶部に保持される当該対応付けを用いて、少なくとも対象地の位置情報から、対象地の地価を予測する。
【0007】
制御部は、対象地の位置情報から所定範囲内に位置する第1の地点を含む対応付けを記憶部から抽出し、抽出した対応付けに含まれる第1の地点における地価に基づいて、対象地の地価の予測額を取得してもよい。制御部は、対象地の位置情報についての条件として所定の地理的範囲と、対象地の前面道路の条件として道路の幅員の値又は範囲と、を受け付け、対象地の位置情報についての条件と、対象地の前面道路の条件と、を少なくとも満たす対応付けを記憶部から抽出し、抽出した対応付けに含まれる地価に基づいて、対象地の地価の予測額を取得してもよい。または、制御部は、予測モデルに、少なくとも対象地の位置情報を入力して、対象地の地価を予測してもよい。当該予測モデルは、記憶部に保
持される対応付けを用いて、地点の位置情報及び当該地点に対応する第1の道路の幅員に対する、当該地点における地価の関係を学習済みである。
【0008】
記憶部と制御部とは、それぞれ異なる装置に備えられていてもよいし、1台の装置に備えられてもよい。記憶部を備える装置及び制御部を備える装置は、それぞれ、例えば、サーバ、及び、ユーザ端末である。ユーザ端末には、例えば、PC(Personal Computer)
、スマートフォン、タブレット端末、及び、ウェアラブル端末等がある。記憶部と制御部とを備える装置は、例えば、サーバ、及び、ユーザ端末である。この場合に、制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。記憶部は、例えば
、HDD(Hard Disk Drive)、及び、SDD(Solid State Drive)等の補助記憶装置である。
【0009】
地価の予測の対象となる土地には、例えば、宅地、農地(田、畑)、山林、原野、及び、雑種地等がある。公的機関によって公表されている土地の基準額には、路線価、標準宅地の価格、基準地価格、及び、公示価格がある。路線価は、市街地的形態を形成する地域の路線に面する土地の、1平方メートル当たりの評価額のことである。路線価には、相続税や贈与税の基となる相続税路線価と、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、及び、登録免許税の基となる固定資産税路線価がある。本発明の態様の一つの地価予測システムでは、相続税路線価、固定資産税路線価のいずれの路線価が用いられてもよい。
【0010】
標準宅地は、固定資産税評価基準に基づいて、市町村によって、状況類似地区毎に選定された標準的な街路に面した宅地の中から選定される。市町村の方針により、固定資産税路線価が敷設されない地域でも、市町村によって状況類似地区ごとに標準宅地が選定され、固定資産税路線価と同水準となるように標準宅地の価格が決定されている。
【0011】
基準地価格は、国土利用計画法施行令に基づいて、都道府県知事によって判定される、毎年7月1日時点における基準地の1平方メートル当たりの価格である。公示価格は、地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会によって判定される、毎年1月1日時点における公示地の1平方メートル当たりの価格である。なお、公的機関によって公表されている土地の基準額として、路線価又は標準宅地の価格、基準地価格、及び、公示価格のいずれが用いられてもよい。
【0012】
地点は、例えば、世界測地系の座標を有する、ポイントデータ、線分データ、及び、ポリゴンデータで表現される。そのため、地点は、線分及び画地等の地理的範囲を有することもある。地点における地価は、例えば、地点が、路線価の線分上に存在する場合には、当該路線価であってもよい。例えば、地点における地価は、当該地点が含まれる状況類似地区の標準宅地の価格であってもよい。例えば、地点における地価は、当該地点の近傍類似の基準地価格や公示価格であってもよい。例えば、地点が複数の道路に面する画地を示す場合には、当該地点における地価は、当該複数の道路に設定されている路線価の平均値又は最大値であってもよい。地点における地価は、これらに限定されない。
【0013】
地点について第1の条件を満たす第1の道路は、例えば、地点が存在する道路、地点に最も近い道路、又は、地点から所定範囲にある道路のうち最も幅員が大きい道路等である。ただし、第1の道路を判定する第1の条件は、これらに限定されない。
【0014】
対象地の地価の予測に用いられる予測モデルは、例えば、回帰分析等の統計的手法で生成される回帰モデル、及び、機械学習モデル等である。機械学習モデルには、例えば、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰、ブースティング回帰、ニューラルネットワーク、及び、深層学習等のアルゴリズムに従って生成されるモデルがある。
【0015】
本発明の態様の一つでは、記憶部において地点の位置情報に対応付けられるのは、地価と第1の道路の幅員であり、対象地の予測に用いられる情報は少なくとも対象地の位置情報である。したがって、記憶部に情報が保持される地点の数が多くなっても、記憶部に保持される情報全体のサイズを抑えることができる。また、地点の位置情報に対応付けられる地価は、路線価、標準宅地の価格、基準地価格、及び、公示価格などの公的機関によって開示されている価格を用いて取得することができるため、不動産鑑定業者等による鑑定がなくてもよく、より多くの地点の情報を取得することができる。また、地点について第1の条件を満たす第1の道路の幅員は、地価に大きな影響を与える要因の一つであるので、第1の道路の幅員を含む当該対応付けが地価の予測に用いられることで、地価の予測の精度を向上させることができる。
【0016】
本発明の他の態様の一つは、コンピュータが、上記地価予測システムにおける処理を実行する地価予測方法としても特定することができる。また、本発明の他の態様の一つは、コンピュータに上記地価予測方法を実行させるためのプログラムとしても特定可能である。なお、本発明の他の態様の一つは、上記プログラムを格納した非一時的記憶媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、より少ない種類の情報を用いて精度良く地価を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係る地価予測システムにおける地価情報データベースに地価情報が含まれる地点の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る土地評価システムのシステム構成とサーバのハードウェア構成との一例を示す図である。
図3図3は、サーバの機能構成の一例を示す図である。
図4図4は、相続税路線価図の一例を示す図である。
図5図5は、地図情報データベースに保持される道路ポリゴンデータの一例を示す図である。
図6図6は、地点がポイントデータで表される場合の、地価情報データベースに保持されるデータの一例である。
図7図7は、地点が線分データ又はポリゴンデータで表される場合の、地価情報データベースに保持されるデータの一例である。
図8図8は、サーバの地価情報登録処理のフローチャートの一例である。
図9図9は、サーバの地価予測処理1のフローチャートの一例である。
図10図10は、地価予測処理2において用いられる予測モデルの学習の一例を示す図である。
図11図11は、地価予測処理2における予測モデルを用いた地価予測の一例を示す図である。
図12図12は、サーバの地価予測処理2のフローチャートの一例である。
図13図13は、端末の地価予測入力画面の一例である。
図14図14は、端末の地価予測額出力画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る地価予測システムにおける地価情報データベースに地価情
報が含まれる地点の一例を示す図である。地価情報データベースは、複数の地点における地価に関する情報を保持するデータベースである。第1実施形態に係る地価予測システムは、地価情報データベースを用いて、対象地の地価の予測を行う。
【0021】
第1実施形態において、地点は、ポイントデータ、線分データ、及び、ポリゴンデータとして表される。地点を表すポイントデータ、線分データ、及び、ポリゴンデータは、それぞれ、世界測地系の座標で地点の範囲を示す。以降、地点を表すポイントデータ、線分データ、及び、ポリゴンデータを、座標データ、と称する。
【0022】
図1では、地点を表すデータとしてポイントデータが用いられる場合の例が示される。ポイントデータには、路線価の線分データを分割して得られるポイントデータと、路線価の線分データ外のポイントデータとが地価情報データベースに含まれる。路線価の線分データ外のポイントデータは、例えば、画地の代表点、及び、所定の間隔で格子状に配置された地点等がある。
【0023】
第1実施形態では、地価情報データベースには、地価情報として、地点を示す座標データと、路線価に基づく地価と、当該地点について所定の条件を満たす道路の幅員と、の対応付けが保持される。路線価に基づく地価は、例えば、地点が路線価の線分上にある場合には、当該路線価である。例えば、地点が路線価の線分外にある場合には、路線価に基づく地価は、当該地点に最も近い路線価、当該地点から所定範囲内にある路線価のうち最も高い路線価、又は、当該地点から所定範囲内にある路線価の平均値等である。地点について所定の条件を満たす道路は、例えば、当該地点が存在する道路、当該地点の前面道路、当該地点から最も近くに存在する道路、又は、当該地点から所定範囲内に存在する最も幅員の大きな道路等である。
【0024】
第1実施形態では、各地点における地価を路線価に基づいて取得することで、不動産鑑定業者等を通さなくてもよく、より多くの地点について地価情報を取得することができる。これによって、データ密度が高い地価情報データベースを取得することができる。また、地価情報データベースでは、各地点について、座標データ(位置情報)、地価、及び、所定の条件を満たす道路の幅員が対応付けられる。道路の幅員は、地価に影響を及ぼす要因の一つであるので、地価情報に道路の幅員が含まれることによって、対象地の地価の予測の精度を向上させることができる。
【0025】
図2は、第1実施形態に係る土地評価システム100のシステム構成とサーバ1のハードウェア構成との一例を示す図である。土地評価システム100は、サーバ1と端末2とを含む。土地評価システム100は、端末2を複数含むことも可能であるが、図2では、簡略化のため、端末2は、1台のみ表示されている。サーバ1と端末2とは、例えば、通信ネットワークN1を介して接続されている。通信ネットワークN1は、例えば、インターネット等の公衆ネットワークであってもよいし、社内ネットワーク等のプライベートなネットワークであってもよい。
【0026】
端末2は、例えば、PC、スマートフォン、及び、タブレット端末等の端末である。端末2は、サーバ1へ、対象地の地価予測のリクエストを送信し、サーバ1は、当該リクエストに対するレスポンスとして、対象地の地価の予測結果を送信する。
【0027】
サーバ1は、例えば、専用のコンピュータ、又は、PC(Personal Computer)等の汎
用のコンピュータである。サーバ1は、例えば、ハードウェア構成要素として、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、補助記憶装置103、及び、通信部
104を備え、これらがバスにより互いに接続されている情報処理装置である。
【0028】
通信部104は、例えば、有線のネットワーク、又は、無線のネットワークと接続する。通信部104は、例えば、NIC(Network Interface Card)、光通信用のユニット、無線LAN(Local Area Network)カード、又は、携帯電話網に接続するための無線回路等である。通信部104で受信されたデータ等は、CPU 101に出力される。
【0029】
メモリ102は、CPU 101に、補助記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリである。
【0030】
補助記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。補助記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク(Hard Disk Drive)、又は、SSD(Solid State Drive)である。補助記憶装置103は、例えば、オペレーティングシステム(OS
)、地価予測プログラム、及び、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。地価予測プログラムは、地価情報データベースに基づいて対象地の地価を予測するためのプログラムである。
【0031】
CPU 101は、補助記憶装置103に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つであってもよいし、複数であってもよい。CPU 101は、「制御部」の一例である。
【0032】
なお、図2に示されるサーバ1のハードウェア構成は、一例であり、上記に限られず、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略や置換、追加が可能である。例えば、サーバ1は、キーボードやマウス等の入力装置、及び、ディスプレイ等の出力装置を備えてもよい。例えば、サーバ1は、可搬記録媒体を駆動し、可搬記録媒体に記録されたデータを読み出す可搬記録媒体駆動装置を備えてもよい。可搬記録媒体は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスクのようなディスク記録媒体、フラッシュメモリカードのような記録媒体である。
【0033】
端末2は、例えば、PC、タブレット端末、又は、スマートフォン等の端末である。端末2もハードウェア構成として、CPU、メモリ、補助記憶装置、通信部を備えており、さらに、ディスプレイ又はタッチパネルディスプレイやキーボード等も備える。例えば、サーバ1はウェブサーバであり、土地評価システム100のサービスをウェブサービスとして提供してもよい。この場合には、端末2は、土地評価システム100のウェブページにアクセスして、当該ウェブページ上で対象地に関する情報を入力して送信操作を行うことで、サーバ1へ対象地の地価予測のリクエストを送信する。サーバ1は、端末2からのリクエストを受信すると対象地の地価の予測を行い、対象地の地価の予測結果を含むウェブページを端末2へ送信すると、当該ウェブページが端末2のディスプレイに表示される。ただし、これに限定されず、端末2は補助記憶装置に土地評価システム100のクライアント用のアプリケーションプログラムをインストールしており、当該アプリケーションプログラムを実行することによって、対象地の地価予測のリクエストをサーバ1へ送信したり、対象地の地価の予測結果を画面に出力したりしてもよい。また、これらに限定されず、例えば、端末2が地価予測プログラムをインストールしており、端末2が、地価情報データベースを保持し、リクエストの入力に応じて、地価情報データベースを用いて対象地の地価を予測し、予測結果を出力してもよい。
【0034】
図3は、サーバ1の機能構成の一例を示す図である。サーバ1は、機能構成要素として
、データベース管理部11、地価予測部12、路線価情報DB 13、地図情報DB 14、及び、地価情報DB 15を備える。これらの機能構成要素は、サーバ1のCPU 101が補助記憶装置103に保持されている所定のプログラムを実行することによって達成される機能構成要素である。
【0035】
データベース管理部11は、後述の地価情報DB 15の管理を行う。具体的には、データベース管理部11は、地価情報DB 15への新たな地点についての地価情報の登録、及び、地価情報の変更及び削除を行う。地価情報の登録処理の詳細については後述される。
【0036】
地価予測部12は、対象地の地価の予測を行う。具体的には、地価予測部12は、端末2から、対象地の地価予測のリクエストを受信した場合に、対象地について地価を予測する地価予測処理を実行する。地価予測部12は、(1)地価情報DB 15を用いた地価予測処理、又は、(2)地価情報DB 15を用いて学習された予測モデルを用いた地価予測処理のいずれかを実行する。いずれで地価予測処理を実行するかは、例えば、土地評価システム100の管理者の選択、又は、土地評価システム100の設計による。(1)地価情報DB 15を用いた地価予測処理、及び、(2)予測モデルを用いた地価予測処理の詳細は後述される。地価予測部12は、地価予測処理の対象地の地価の予測結果を端末2へ送信する。
【0037】
路線価情報DB 13、地図情報DB 14、及び、地価情報DB 15は、それぞれ、サーバ1の補助記憶装置103の記憶領域に作成される。路線価情報DB 13は、路線価データを保持する。地図情報DB 14には、地図情報141と道路情報142とが含まれる。地図情報141は、所定の領域ごとの地図データである。道路情報142は、例えば、道路の部分の形状を示すポリゴンデータと、属性を含む属性データとを含む。道路の部分の形状を示すポリゴンデータには、単独リンク部分のポリゴンデータと、2本以上の道路が交わる交差部分のポリゴンデータと、がある。道路の部分の属性データには、例えば、地図上の位置情報、道路の種類等が含まれる。地価情報DB 15には、複数の地点について地価情報が格納されている。地価情報DB 15に保持される情報の詳細については後述される。
【0038】
路線価情報DB 13及び地図情報DB 14は、例えば、土地評価システム100の管理者以外の第三者(地図製作会社等)によって作成されたものであってもよい。なお、図3に示されるサーバ1の機能構成は一例であって、これに限定されない。例えば、路線価情報DB 13、及び、地図情報DB 14は、それぞれサーバ1とは異なる装置に備えられてもよく、土地評価システム100の管理者以外の第三者によって管理されているものであってもよい。
【0039】
図4は、相続税路線価図の一例を示す図である。路線価は、道路上の両矢印線分によって範囲が示され、当該線分上の記号内の数字によって当該路線に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格が千円単位で示されている。記号内の価格の隣のアルファベットは、借地権割合を示す。線分上の記号は、両矢印線分が示す範囲に適用される、地区区分と借地権割合とを示す。
【0040】
宅地の価格を算出する場合には、宅地に接している道路に設定されている路線価が用いられる。例えば、角地の場合には、宅地に接している2本以上の道路に設定されている2つ以上の路線価が価格の算出に用いられる。路線価情報DB 13には、図4に示される例のような表示形態になるような形式でデータが保持されている。ただし、路線価情報DB 13に保持されるデータの形式は特定のものに限定されない。以下、路線価の範囲を示す両矢印線分を、路線価データの線分、と称する。
【0041】
図5は、地図情報DB 14に保持される道路ポリゴンデータの一例を示す図である。地図情報DB 14に保持される地図情報を表示させると、図5に示されるように、各道路には、形状を示すポリゴンデータが配置される。道路の形状を示すポリゴンデータを道路ポリゴンデータと称する。道路ポリゴンデータには、他の道路と交差していないリンク部分を示すリンクポリゴンデータと、2本以上の道路が交わる交差部分の交差部ポリゴンデータとがある。図5では、リンクポリゴンデータ部分は灰掛けで示され、交差部ポリゴンデータ部分は斜線掛けで示されている。
【0042】
第1実施形態では、地図情報DB 14を用いて、地図上で地点に対応する道路又は対象地の前面道路を特定し、当該道路のポリゴンデータに基づいて、地点又は対象地に紐づける道路の幅員を取得することができる。より具体的な一例として、当該地点に対応する道路又は対象地の前面道路のポリゴンデータにおいて、当該道路の中心線又は当該道路上の路線価データの線分に垂直な直線を、当該地点又は対象地の近傍に引き、当該直線からポリゴンの境界によって切り取られた線分の長さを測定することで、地点又は対象地に紐づける道路の幅員を取得することができる。ただし、地点に対応する道路又は対象地の前面道路の幅員の取得方法はこれに限定されない。例えば、地図情報DB 14において、道路ポリゴンデータに、当該道路の幅員及び車線数等が含まれる属性データを付随させて保持し、地図上で地点に対応する道路又は対象地の前面道路を特定し、当該道路のポリゴンデータに付随する属性データから当該道路の幅員を取得してもよい。
【0043】
また、地図情報DB 14を用いることで、対象地の前面道路が行き止まりか通り抜けできるかを判定することができる。例えば、前面道路に該当するリンクポリゴンデータの両端に交差部ポリゴンデータが存在する場合には、当該前面道路は通り抜けできる道路であると判定可能である。一方、前面道路に該当するリンクポリゴンデータのいずれか一方に交差部ポリゴンデータが存在しない場合には、当該前面道路は行き止まりであると判定可能である。
【0044】
図6は、地点がポイントデータで表される場合の、地価情報DB 15に保持されるデータの一例である。第1実施形態において、地点を示すポイントデータには、路線価データの線分を分割して得られるポイントデータと、路線価データの線分外に位置するポイントデータとがある。路線価データの線分外に位置するポイントデータには、例えば、宅地の代表点、所定の間隔の方眼を形成する緯度線及び経度線の交点配置された点等がある。
【0045】
地価情報DB 15には、1地点につき1つのレコードが保持される。地価情報DB 15の1レコードには、地点を示す緯度及び経度、価格、道路幅員、通り抜け/行き止まり、用途区分、用途地域、建蔽率、及び、容積率のフィールドが含まれる。地点がポイントデータで示される場合には、緯度及び経度のフィールドには、それぞれ、当該地点を示す、1つの緯度、及び、1つ経度が格納される。
【0046】
価格のフィールドには、路線価に基づく当該地点の1平方メートル当たりの価格が格納される。地点の価格は、例えば、当該地点が該当する以下のいずれかで取得される。
(1)地点が路線価データの線分上にあるポイントデータである場合には、当該路線価の値が採用される。
(2)地点が路線価データの線分外にあるポイントデータである場合
(2-1)当該地点が路線価が設定されている道路上に位置する場合には当該道路の路線価
(2-2)当該地点が路線価が設定されていない道路上に位置する場合には当該地点から最も近くに存在する路線価に所定の補正率を乗じた値。路線価に乗じる補正率は、例えば、0より大きく1より小さい値で、当該路線価と当該地点との距離が遠いほど小さくなる
値であってもよい。
(2-3)当該地点が宅地に含まれる場合(例えば、宅地の代表点等)には当該宅地の接面道路の路線価。なお、宅地の状況に応じて路線価が補正されたり、複数の路線価が用いられたりしてもよい。路線価の補正及び複数の路線価から価格を算出する方法は、固定資産税又は相続税の算出方法に従ってもよい。または、複数の路線価を用いる場合には、複数の路線価の平均値、中央値、最大値、又は最小値のいずれかが当該地点の価格として採用されてもよい。
(2-4)当該地点が道路にも宅地にも含まれていない場合には、当該地点から最も近くにある道路の路線価。
(2-5)当該地点が道路にも宅地にも含まれていない場合には、当該地点から所定範囲内にある道路のうち最も幅員の大きい道路の路線価に所定の補正率を乗じた値。
なお、地点が道路にも宅地にも含まれていない場合には、上記(2-4)又は(2-5)のいずれを採用するかは、土地評価システム100の管理者が選択してもよい。
【0047】
道路幅員のフィールドには、当該地点に対応する道路又は前面道路の幅員が格納される。通り抜け/行き止まりのフィールドには、当該地点に対応する道路又は前面道路が通り抜けできるか又は行き止まりかを示す情報が格納される。当該地点に対応する道路又は前面道路が通り抜けできるか又は行き止まりかを示す情報は、例えば、フラグ、コード等である。当該地点に対応する道路又は前面道路は、例えば、以下の通りに特定されてもよい。
(I)地点が道路上にあるポイントデータである場合には、当該地点に対応する道路として当該道路を特定する。
(II)地点が道路外にあるポイントデータである場合
(II-1)当該地点が含まれる宅地に含まれる場合(例えば、宅地の代表点等)には当該宅地の前面道路を特定する。なお、宅地の前面道路は、宅地が接面する道路が1本である場合には、当該道路である。宅地が複数の道路に接面している場合には、宅地の前面道路は、例えば、間口が設定されている辺に面する道路、最も大きい幅員の道路、又は、ユーザによって指定された道路等である。ただし、前面道路の特定方法は、所定の方法に限定されない。
(II-2)当該地点が道路にも宅地にも含まれていない場合には、当該地点から最も近くにある道路。
(II-3)当該地点が道路にも宅地にも含まれていない場合には、当該地点から所定範囲内にある道路のうち最も幅員の大きい道路。
なお、地点が道路にも宅地にも含まれていない場合には、上記(II-2)又は(II-3)のいずれを採用するかは、土地評価システム100の管理者が選択してもよい。
【0048】
用途区分のフィールドには、当該地点の価格の算出に用いられた路線価データが示す地区区分が格納される。当該地点の価格の算出に複数の路線価データが用いられた場合には、例えば、価格に最も影響を及ぼした路線価データが示す地区区分が採用されてもよい。
【0049】
用途地域、建蔽率、及び、容積率のフィールドには、それぞれ、当該地点における、都市計画法によって定められた用途地域、建蔽率、及び、容積率の値が格納される。用途地域、建蔽率、及び、容積率は、例えば、予め公開されている情報を取得してデータベースとしてサーバ1に保持されてもよいし、ウェブ上を検索して取得されてもよいし、第三者のサーバへ問い合わせて取得されてもよい。
【0050】
なお、地価情報DB 15のレコードに含まれるフィールドは、図6に示されるものに限定されない。例えば、地価情報DB 15のレコードには、高級住宅街か否かを示す情報を格納するフィールド、学区か否かを示す情報を格納するフィールド、地区計画に含まれるか否かを示す情報を格納するフィールド、風致地区に含まれるか否かを示す情報を格
納するフィールド、建築協定の有無を示す情報を格納するフィールド等がさらに含まれてもよい。または、地価情報DB 15のレコードには、地点を示す緯度及び経度、価格、及び、道路幅員のフィールドのみが含まれてもよい。
【0051】
図7は、地点が線分データ又はポリゴンデータで表される場合の、地価情報DB 15に保持されるデータの一例である。地価情報DB 15に保持される情報は、図6と同様である。地点が線分データ又はポリゴンデータで表される場合には、緯度及び経度のフィールドに、当該線分データ又はポリゴンデータに含まれる複数の緯度及び経度が格納され、当該地点の範囲が示される。
【0052】
第1実施形態において、地点を示す線分データには、路線価データの線分を分割して得られる線分データと、路線価データの線分外に位置する線分データとがある。路線価データの線分外に位置する線分データには、例えば、宅地の代表線分、所定の間隔の方眼のマス目を形成する線分等がある。地点を示すポリゴンデータには、例えば、宅地の形状を示すポリゴンデータ、所定の間隔の方眼の各マスに対応するポリゴンデータ等がある。
【0053】
地点の価格は、地点が線分データである場合には、例えば、地点がポイントデータで示される場合の上記の価格の取得方法(1)から(2-5)において、ポイントデータを線分データに読み替えて取得されてもよい。なお、線分から最も近い、線分から所定範囲等の場合の基準点には、線分の中心点、例えば、線分の2つの端点のうちのいずれか一方が用いられてもよい。地点がポリゴンデータである場合には、例えば、当該地点の価格は、地点がポイントデータである場合の上記の価格の取得方法(1)から(2-5)において、ポイントデータをポリゴンデータの代表点に読み替えて取得されてもよい。ポリゴンデータの代表点は、例えば、ポリゴンデータの中心点、宅地の間口が存在する辺の中心点、又は、ポリゴンデータの複数の頂点のうちのいずれか一点である。
【0054】
道路幅員及び通り抜け/行き止まりのフィールドに格納される値を決定する、当該地点に対応する道路又は前面道路は、地点が線分データである場合には、例えば、地点がポイントデータで示される場合の上記の地点に対応する道路又は前面道路の特定方法(I)から(II-3)において、ポイントデータを線分データに読み替えて取得されてもよい。地点がポリゴンデータである場合には、例えば、地点がポイントデータである場合の上記の地点に対応する道路又は前面道路の特定方法(I)から(II-3)において、ポイントデータをポリゴンデータの代表点に読み替えて取得されてもよい。
【0055】
なお、図6及び図7において、地点の価格の取得方法及び地点に対応する道路又は前面道路の特定方法は、所定の方法に限定されず、周知の技術のいずれが用いられてもよい。
【0056】
<地価情報データベースの管理>
図8は、サーバ1の地価情報登録処理のフローチャートの一例である。地価情報登録処理は、新規の地点について地価情報を地価情報DB 15に登録する処理である。図8に示される処理は、例えば、サーバ1の入力装置から、又は、土地評価システム100の管理者が使用する端末から、地価情報の登録リクエストが受け付けられると開始される。図8に示される処理の実行主体はCPU101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。図8以降のフローチャートについても同様である。
【0057】
OP101では、データベース管理部11は、新規地点の位置情報の入力を受け付ける。OP102では、データベース管理部11は、路線価データから、新規地点の価格と、用途区分とを取得する。地点の価格の取得方法は、上述の(1)から(2-5)の通りである。
【0058】
OP103では、データベース管理部11は、新規地点に対応する道路又は前面道路の幅員と、道路が通り抜けできるか又は行き止まりかと、を取得する。新規地点に対応する道路又は前面道路の特定方法は、上述の(I)から(II-3)の通りである。OP104では、データベース管理部11は、新規地点の用途地域、建蔽率、及び、容積率を取得する。OP105では、データベース管理部11は、OP101からOP104で取得した情報を地価情報として地価情報DB 15に登録する。その後、図8に示される処理が終了する。なお、地価情報登録処理は、図8に示される処理に限定されない。また、サーバ1は、例えば、路線価データ又は地図情報が更新された場合等に、図8に示される処理を実行して、地価情報DB 15を更新してもよい。
【0059】
<地価予測処理>
地価予測処理には、(1)地価情報DB 15を用いた地価予測処理、及び、(2)予測モデルを用いた地価予測処理がある。いずれの方法を採用するかは、土地評価システム100の管理者によって選択される。
【0060】
(地価予測処理1)
図9は、サーバ1の地価予測処理1のフローチャートの一例である。地価予測処理1は、地価情報DB 15を直接用いて地価の予測を行う処理である。図9に示される処理は、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。
【0061】
OP201では、地価予測部12は、端末2から、対象地の地価予測のリクエストを受信したか否かを判定する。端末2から対象地の地価予測のリクエストが受信された場合には(OP201:YES)、処理がOP202へ進む。端末2から対象地の地価予測のリクエストが受信されていない場合には(OP201:NO)、図9に示される処理が終了する。端末2からは、対象地の地価予測のリクエストとともに、対象地についての条件も受信される。対象地についての条件には、例えば、対象地の、位置情報、道路幅員、前面道路が行き止まりか通り抜けできるか、用途区分、用途地域、建蔽率、及び、容積率等についての条件が含まれる。
【0062】
例えば、対象地の位置情報についての条件は、対象地の住所、地図上で選択された位置の緯度及び経度、又は、住所又は地図上における範囲で指定される。対象地の住所による範囲指定は、例えば、『X県Y市Zの3丁目』等で示されてもよい。対象地の位置情報についての条件が特定の一つの位置又は土地を示す場合には、道路幅員、前面道路が行き止まりか通り抜けできるか、用途区分、用途地域、建蔽率、及び、容積率等についての条件は指定されなくてもよい。対象地の位置情報が特定の一つの位置又は土地を示す場合には、前面道路の幅員等の情報は位置情報から特定可能であるためである。また、位置情報から前面道路の幅員等の情報を特定しないとしても、対象地の位置情報から地価情報DB 15において検出される地価情報も一つ又は数個と限定されるためである。
【0063】
一方、対象地の位置情報についての条件が範囲を指定する場合には、少なくとも道路幅員についての条件が指定される必要がある。例えば、道路幅員についての条件は、xxメートルからyyメートル、のように範囲で指定されてもよい。同様に、建蔽率及び容積率についての条件も、範囲指定されてもよい。なお、前面道路が行き止まりか通り抜けできるか、用途区分、用途地域、建蔽率、及び、容積率等については、オプションであり、条件が指定されてもよいし、指定されなくても地価を予測することができる。
【0064】
なお、上記は、地価情報DB 15が図6又は図7に示されるように、レコードに、緯度及び経度、道路幅員、前面道路が行き止まりか通り抜けできるか、用途区分、用途地域、建蔽率、及び、容積率のフィールドが含まれる場合の、端末2から受信される対象地についての条件である。例えば、地価情報DB 15のレコードに含まれるフィールドが、
地点を示す緯度及び経度、価格、及び、道路幅員のみである場合には、対象地の地価予測のリクエストとともに受信される対象地についての条件は、多くとも、対象地の位置情報と道路幅員とについての条件となる。例えば、地価情報DB 15のレコードに含まれるフィールドに、緯度及び経度、道路幅員、前面道路が行き止まりか通り抜けできるか、用途区分、用途地域、建蔽率、及び、容積率に加えて、高級住宅街か否かを示す情報を格納するフィールド、学区か否かを示す情報を格納するフィールド、地区計画に含まれるか否かを示す情報を格納するフィールド、風致地区に含まれるか否かを示す情報を格納するフィールド、建築協定の有無を示す情報を格納するフィールド等がさらに含まれている場合には、対象地の地価予測のリクエストとともに受信される対象地についての条件は、多くとも、対象地の、位置情報、道路幅員、前面道路が行き止まりか通り抜けできるか、用途区分、用途地域、建蔽率、容積率、高級住宅街か否か、学区か否か、地区計画に含まれるか否か、風致地区に含まれるか否か、及び、建築協定の有無、についての条件となる。
【0065】
OP202では、地価予測部12は、対象地についての1又は複数の条件を満たす地価情報を地価情報DB 15から検索する。対象地の位置情報が住所である場合には、地価予測部12は、当該住所を緯度及び経度に変換して用いる。対象地についての1又は複数の条件すべてを満たす地価情報がない場合には、例えば、地価予測部12は、全ての条件を満たす地価情報がないことを示すメッセージを出力して、再度条件を減らしてリクエストを送信するように促してもよいし、少なくとも位置情報と道路幅員についての条件を満たす地価情報を検索してもよい。なお、対象地の位置情報についての条件が1つの位置又は土地を指定する場合には、例えば、当該位置又は土地から最も近い又は所定範囲内にある地点を検索するようにしてもよい。
【0066】
OP203では、地価予測部12は、OP202の検索の結果として地価情報DB 15から抽出した地価情報から、対象地の地価の予測額を取得する。例えば、対象地についての1又は複数の条件を満たす地価情報が地価情報DB 15から1つ検出された場合には、地価予測部12は、当該地価情報の価格を対象地の地価の予測額として取得する。対象地についての1又は複数の条件を満たす地価情報が地価情報DB 15から複数検出された場合には、地価予測部12は、例えば、当該複数の地価情報の価格の代表値を出力する。当該複数の地価情報の価格の代表値は、例えば、平均値、中央値、最大値、又は、最小値等であってもよいし、当該複数の地価情報のうち所定の条件を満たす地価情報の価格であってもよい。
【0067】
OP204では、地価予測部12は、端末2へ、対象地の地価の予測額を送信する。その後、図9に示される処理が終了する。端末2は、サーバ1から受信した対象地の地価の予測額をディスプレイに出力する。なお、地価予測処理1は、図9に示される処理に限定されない。
【0068】
(地価予測処理2)
図10は、地価予測処理2において用いられる予測モデルの学習の一例を示す図である。地価予測処理2では、予測モデルを用いて地価予測が行われる。地価予測処理2において用いられる予測モデルは、例えば、回帰分析等の統計的手法で生成される回帰モデル、及び、機械学習モデル等である。機械学習モデルには、例えば、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰、ブースティング回帰、ニューラルネットワーク、及び、深層学習等のアルゴリズムに従って生成されるモデルがある。
【0069】
地価予測部12は、地価予測処理2において用いられる予測モデルを、地価情報DB 15に保持される地価情報を用いて学習又は構築する。当該予測モデルは、地価情報DB
15に保持される地価情報の、緯度及び経度、道路幅員、行き止まり/通り抜け、用途地区、用途地域、建蔽率、及び、容積率等を入力とし、価格を出力として、入力される情
報と出力される情報との関係を学習又は表現するように構築される。すなわち、地価予測処理2において用いられる予測モデルは、説明変数を、土地の、緯度及び経度、道路幅員、行き止まり/通り抜け、用途地区、用途地域、建蔽率、及び、容積率とし、目的変数を当該土地の地価とする。
【0070】
例えば、予測モデルが機械学習モデルである場合には、地価情報DB 15に保持される地価情報を教師データとして、各地価情報について、所定の条件が満たされるまで、地価情報の緯度及び経度等の入力情報を予測モデルに入力し、当該入力情報に対する出力値と地価情報の価格との差分に基づいてパラメータの調整を繰り返し行う。1つの地価情報に対する機械学習モデルの学習の終了条件は、例えば、所定回数パラメータの調整が行われたこと、又は、入力情報に対する出力値と地価情報の価格との差分が所定値未満となること、である。
【0071】
予測モデルの学習方法又は構築方法は、予測モデルの種類に応じた周知の方法のいずれか用いられてもよい。地価予測部12は、例えば、地価情報DB 15が更新されたタイミングで予測モデルの学習又は再構築を行ってもよい。地価情報DB 15が更新されるタイミングは、例えば、新規地点についての地価情報の追加、路線価情報DB 13又は地図情報DB 14の更新等である。
【0072】
図11は、地価予測処理2における予測モデルを用いた地価予測の一例を示す図である。地価予測処理2では、対象地の、緯度及び経度、前面道路の幅員、行き止まり/通り抜け、用途地区、用途地域、建蔽率、及び、容積率等を予測モデルに入力することで、当該予測モデルから対象地の地価の予測額を出力として得ることができる。
【0073】
なお、予測モデルの入力値としては、対象地の緯度及び経度は必須の情報であるが、それ以外の情報はオプションであり、入力されなくても対象地の地価の予測額を得ることはできる。ただし、対象地の緯度及び経度以外で入力されるオプションの情報が多いほど、当該予測モデルによる対象地の地価の予測精度は向上する。
【0074】
なお、図10及び図11は、地価情報DB 15が図6又は図7のように構築されている場合の例であって、予測モデルの説明変数の種類は、地価情報DB 15における価格以外のフィールドの種類と対応する。予測モデルの説明変数がどのようであっても、地価予測処理において、対象地の緯度及び経度の予測モデルへの入力は必須であり、その他の説明変数の情報の予測モデルへの入力は任意である。
【0075】
また、地価情報DB 15に、『〇〇1丁目』、『〇〇2丁目』等の所定の範囲を示すポリゴンデータについて地価情報を保持させ(図7参照)、当該『〇〇1丁目』、『〇〇2丁目』等のそれぞれの所定の範囲について指定の有無を説明変数の一つとして組み込み、当該ポリゴンデータ地価情報を用いて予測モデルを構築する又は学習させることで、対象地の地価の予測の際に、対象地の位置情報を『〇〇1丁目』、『〇〇2丁目』等の住所による範囲で指定することを可能にすることができる。この場合には、予測モデルへの入力として、例えば、指定された範囲に対応する説明変数が“指定有り”を示す値となり、指定されていない範囲に対応する説明変数が“指定なし”を示す値となる。
【0076】
図12は、サーバ1の地価予測処理2のフローチャートの一例である。図12に示される処理は、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。
【0077】
OP301では、地価予測部12は、端末2から、対象地の地価予測のリクエストを受信したか否かを判定する。端末2から対象地の地価予測のリクエストが受信された場合には(OP301:YES)、処理がOP302へ進む。端末2から対象地の地価予測のリ
クエストが受信されていない場合には(OP301:NO)、図12に示される処理が終了する。端末2からは、対象地の地価予測のリクエストとともに、対象地に関する情報も取得される。対象地の地価予測のリクエストとともに受信される対象地に関する情報には、少なくとも対象地の位置情報が含まれる。端末2のユーザによって入力された場合には、対象地に関する情報には、対象地の位置情報の他に、道路幅員、前面道路が行き止まりか通り抜けできるか、用途区分、用途地域、建蔽率、及び、容積率等も含まれる。対象地の位置情報は、対象地の住所、又は、地図上で選択された位置の緯度及び経度である。
【0078】
OP302では、地価予測部12は、端末2から受信された対象地に関する情報を予測モデルに入力する。対象地の位置情報として対象地の住所が指定された場合には、地価予測部12は、当該住所を緯度及び経度に変換して予測モデルへ入力する。地価予測部12は、端末2から対象地の位置情報のみを受信した場合には、対象地の緯度及び経度のみを予測モデルへ入力する。
【0079】
OP303では、地価予測部12は、予測モデルの出力を対象地の地価の予測額として取得する。OP304では、地価予測部12は、端末2へ、対象地の地価の予測額を送信する。その後、図12に示される処理が終了する。端末2は、サーバ1から受信した対象地の地価の予測額をディスプレイに出力する。
【0080】
なお、地価予測処理2は、図12に示される処理に限定されない。例えば、OP302において、端末2から対象地の位置情報以外の説明変数の情報が受信されない場合には、地価予測部12は、対象地の緯度及び経度から、例えば、地図情報DB 14や他のデータベース等を参照して、道路幅員、前面道路が行き止まりか通り抜けできるか、用途区分、用途地域、建蔽率、及び、容積率等を取得して予測モデルへ入力してもよい。
【0081】
<端末の表示画面の例>
図13は、端末2の地価予測入力画面の一例である。地価予測入力画面は、対象地に関する情報と、地価予測のリクエストを入力する画面である。地価予測入力画面は、例えば、端末2において土地評価システム100のクライアントアプリケーションが起動され、地価予測のメニューが選択された場合に端末2のディスプレイに表示される。図13に示される例では、地価予測入力画面には、対象地の位置情報とその他オプションの情報との入力欄が含まれている。オプションの情報として、前面道路の幅員、当該前面道路が行き止まりか通り抜けできるか、用途区分、用途地区、建蔽率、及び、容積率の入力欄が示されている。
【0082】
図13に示される例では、地価予測入力画面には、『予測開始』ボタンが含まれている。端末2のユーザによって、『予測開始』ボタンが選択されると、端末2からサーバ1へ、対象地の地価予測のリクエストと、地価予測入力画面に入力された対象地に関する情報とが送信される。なお、地価予測入力画面の構成は、図13に示される例に限定されない。
【0083】
図14は、端末2の地価予測額出力画面の一例である。地価予測額出力画面は、対象地の地価の予測額の出力画面である。地価予測額出力画面は、例えば、対象地の地価予測のリクエストに対して、サーバ1から対象地の地価の予測額が受信された場合に、端末2のディスプレイに表示される。図14に示される例では、地価予測額出力画面には、対象地に関する情報と、対象地の地価の予測額とが含まれる。
【0084】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態によれば、地価情報DB 15は、少なくとも、地点の位置情報、価格、及び、道路の幅員が対応付けて保持されていればよい。これによって、地価情報DB 1
5に地価情報が保持される地点の数が増えても、地価情報DB 15のサイズが増大することを抑制することができる。また、地価情報DB 15において地点の位置情報と価格とにさらに道路の幅員が対応付けられることによって、地価情報DB 15を用いて地価の予測が行われる場合に、対象地の地価の予測の精度を向上させることができる。また、地価情報DB 15に保持される地点の価格は、不動産鑑定業者等を通さずに、路線価データに基づいて取得されるので、より多くの地点について地価情報を取得し、地価情報DB 15に保持することができ、これによって、対象地の地価の予測精度を向上させることができる。
【0085】
<その他の変形例>
第1実施形態では、路線価データに基づいて、地価情報DB 15に保持される地点の価格が求められる。これに限定されず、地価情報DB 15に保持される地点の価格は、標準宅地の価格、基準地価格、又は、公示価格に基づいて取得されてもよい。標準宅地は、固定資産税評価基準に基づいて市町村によって状況類似地区毎に選定された標準的な街路に面した宅地の中から選定される。市町村の方針により、固定資産税路線価が敷設されない地域でも、市町村によって状況類似地区ごとに標準宅地が選定され、固定資産税路線価と同水準となるように標準宅地の価格が決定されている。基準地価格は、国土利用計画法施行令に基づいて、都道府県知事が判定する、毎年7月1日時点における基準地の1平方メートル当たりの価格である。公示価格は、地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が判定する、毎年1月1日時点における公示地の1平方メートル当たりの価格である。
【0086】
例えば、路線価データの代わりに標準宅地の価格に基づいて、地点の価格が取得されてもよい。標準宅地の価格に基づいて地点の価格を取得する場合には、例えば、当該地点が位置する状況類似地区の標準宅地の価格、又は、最も近くに位置する標準宅地の価格に所定の補正率を乗じた値を当該地点の地価として取得してもよい。
【0087】
路線価データと標準宅地の価格とを併用して、地点の価格が取得されてもよい。この場合には、例えば、上述の地点の価格の取得方法の(2-2)当該地点が路線価が設定されていない道路上に位置する場合、(2-4)及び(2-5)当該地点が道路にも宅地にも含まれていない場合において、当該地点が位置する状況類似地区の標準宅地の価格、又は、最も近くに位置する標準宅地の価格に所定の補正率を乗じた値を当該地点の地価として取得してもよい。
【0088】
基準地価格又は公示価格に基づいて地点の価格が取得される場合には、例えば、当該地点の近傍類似の地域内に位置する基準地又は公示地の基準地価格又は公示価格、又は、最も近くに位置する基準地又は標準地の基準地価格又は公示価格に所定の補正率を乗じた値を当該地点の地価として取得してもよい。
【0089】
<記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0090】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ
、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コ
ンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1・・サーバ
2・・端末
11・・データベース管理部
12・・地価予測部
13・・路線価情報DB
14・・地図情報DB
15・・地価情報DB
100・・土地評価システム
101・・CPU
102・・メモリ
103・・補助記憶装置
104・・通信部
141・・地図情報
142・・道路情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14