IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-下枠及び建具 図1
  • 特開-下枠及び建具 図2
  • 特開-下枠及び建具 図3
  • 特開-下枠及び建具 図4
  • 特開-下枠及び建具 図5
  • 特開-下枠及び建具 図6
  • 特開-下枠及び建具 図7
  • 特開-下枠及び建具 図8
  • 特開-下枠及び建具 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114372
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】下枠及び建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20240816BHJP
   E06B 3/54 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020100
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸司
(72)【発明者】
【氏名】恐田 祐樹
【テーマコード(参考)】
2E016
2E239
【Fターム(参考)】
2E016AA02
2E016AA03
2E016AA04
2E016BA09
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC03
2E016DA02
2E016DB03
2E016DC02
2E239CA02
2E239CA30
2E239CA32
2E239CA33
2E239CA35
2E239CA53
2E239CA62
(57)【要約】
【課題】加熱発泡材の傾倒を抑制することができる下枠及び建具を提供する。
【解決手段】下枠20は、底部241、底部241の屋外側から上方に延びる屋外側壁部251及び底部241の屋内側から上方に延びる屋内側壁部256によって下枠パネル溝24が形成された下枠本体20Zと、屋外側壁部251及び屋内側壁部256の少なくとも一方における下枠パネル溝24を向く面251aに設けられた加熱発泡材T112と、加熱発泡材T112が底部241に沿うまで傾倒することを規制する規制部27と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部、前記底部の屋外側から上方に延びる屋外側壁部及び前記底部の屋内側から上方に延びる屋内側壁部によって下枠パネル溝が形成された下枠本体と、
前記屋外側壁部及び前記屋内側壁部の少なくとも一方における前記下枠パネル溝を向く面に設けられた加熱発泡材と、
前記加熱発泡材が前記底部に沿うまで傾倒することを規制する規制部と、を備える下枠。
【請求項2】
前記加熱発泡材の上下方向の長さは、前記加熱発泡材と前記規制部との間の屋内外方向の長さよりも長い請求項1に記載の下枠。
【請求項3】
前記規制部は、パネルの下端部を支持するパネル支持部材である請求項1に記載の下枠。
【請求項4】
前記加熱発泡材と前記規制部との間には、屋内外方向に隙間がある請求項1に記載の下枠。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の下枠と、
下端部が前記下枠パネル溝に配置されたパネルと、を備え、
前記パネルは、3枚のガラスが空気層を介して配置されたトリプルガラスである建具。
【請求項6】
屋内外の少なくとも一方に配置された前記ガラスは、金属膜がコーティングされた低放射ガラスであり、
屋内外両側の前記ガラスの間に配置された前記ガラスは、耐熱強化ガラスである請求項5に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、下枠及び建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、火災時に枠と障子との間や枠とガラスとの間から炎の浸入を抑制するために、下記の特許文献1に開示されるような加熱発泡材が用いられている。加熱発泡材は、枠等に両面テープ等の接着部材で貼り付けられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-163634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
障子の開閉に伴う振動や浸入してきた雨水によって、加熱発泡材を貼り付けている接着部材の粘着力が低下して加熱発泡材が剥がれ落ちてしまい、火災時に加熱発泡材を所望の箇所で発泡させることができないという問題点がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、加熱発泡材の傾倒を抑制することができる下枠及び建具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る下枠は、底部、前記底部の屋外側から上方に延びる屋外側壁部及び前記底部の屋内側から上方に延びる屋内側壁部によって下枠パネル溝が形成された下枠本体と、前記屋外側壁部及び前記屋内側壁部の少なくとも一方における前記下枠パネル溝を向く面に設けられた加熱発泡材と、前記加熱発泡材が前記底部に沿うまで傾倒することを規制する規制部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第一実施形態に係る建具の鉛直断面図である。
図2】第一実施形態に係る建具の水平断面図である。
図3図1のIII部拡大図である。
図4】第一実施形態に係る建具の下枠の平面図である。
図5】第一実施形態に係る建具の下部パネル支持部材の平面図である。
図6】第一実施形態に係る建具の下部パネル支持部材を屋内外方向から見た図。
図7】第一実施形態に係る建具の下部パネル支持部材を幅方向から見た図。
図8】第一実施形態に係る建具の下部パネル支持部材を設置する軌跡図。
図9】第二実施形態に係る建具のIII部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態に係る建具について、図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、本開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等を異ならせている。
【0009】
建物の開口部に設けられる建具の一例として、FIX窓を用いて説明する。図1及び図2に示すように、FIX窓100は、枠体1と、ガラスパネル4と、を備えている。ガラスパネル4は、枠体1に固定されている。FIX窓100は、特許請求の範囲の建具に対応する。
【0010】
以下の説明では、FIX窓100を正面から見た左右方向を、幅方向と称する。幅方向に直交し水平方向に沿う方向を、屋内外方向と称する。幅方向及び屋内外方向に直交する方向を、上下方向と称する。図面では、幅方向を矢印Xで示し、屋内外方向を矢印Yで示し、上下方向を矢印Zで示す。各構成部材において、幅方向で中心から離れる側を外側と称し、中心に向かう側を内側という場合がある。
【0011】
枠体1は、四方枠状をしている。枠体1は、図1に示す上枠10と、下枠20と、図2に示す縦枠30と、を有している。各枠10,20,30は、金属枠、樹脂枠及び樹脂製の押縁が連結されて構成されている。
【0012】
図1に示すように、上枠10は、上枠本体10Zを有している。上枠本体10Zは、幅方向に延びている。上枠本体10Zは、金属上枠10Aと、樹脂上枠10Bと、上押縁10Cと、を有している。
【0013】
金属上枠10Aは、第1上枠部材11と、第2上枠部材12と、上ブリッジ材13と、を有している。第2上枠部材12は、第1上枠部材11の屋内側に配置されている。上ブリッジ材13は、第1上枠部材11と第2上枠部材12との間に配置され、第1上枠部材11と第2上枠部材12とを連結している。第1上枠部材11及び第2上枠部材12は、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。上ブリッジ材13は、樹脂材料で形成されている。樹脂上枠10B及び上押縁10Cは、樹脂材料で形成されている。
【0014】
上枠10には、下方に開口するガラス溝14が形成されている。ガラス溝14には、ガラスパネル4の上端部4uが配置されている。樹脂上枠10Bは、金属上枠10Aの屋内側の面を覆うように、金属上枠10Aの屋内側の面の下側に配置されている。上押縁10Cは、ガラスパネル4の屋内側の面4aと樹脂上枠10Bとの間に配置されている。ガラス溝14の屋内側の開口端部とガラスパネル4の面4aとの間には、パッキン材51が設けられている。ガラス溝14の屋外側の開口端部とガラスパネル4の屋外側の面4bとの間には、パッキン材52が設けられている。
【0015】
下枠20は、上枠10の下方に配置されている。下枠20は、下枠本体20Zを有している。下枠本体20Zは、幅方向に延びている。下枠本体20Zは、金属下枠20Aと、樹脂下枠20Bと、を有している。
【0016】
金属下枠20Aは、第1下枠部材21と、第2下枠部材22と、下ブリッジ材23と、を有している。第2下枠部材22は、第1下枠部材21の屋内側に配置されている。下ブリッジ材23は、第1下枠部材21と第2下枠部材22との間に配置され、第1下枠部材21と第2下枠部材22とを連結している。第1下枠部材21及び第2下枠部材22は、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。下ブリッジ材23は、樹脂材料で形成されている。樹脂下枠20Bは、樹脂材料で形成されている。
【0017】
下枠20には、上方に開口するガラス溝24が形成されている。ガラス溝24には、ガラスパネル4の下端部4dが配置されている。樹脂下枠20Bは、金属下枠20Aの屋内側の面を覆うように、金属下枠20Aの屋内側の面の上側に配置されている。ガラス溝24の屋内側の開口端部とガラスパネル4の面4aとの間には、パッキン材51が設けられている。ガラス溝24の屋外側の開口端部とガラスパネル4の面4bとの間には、パッキン材52が設けられている。ガラス溝24は、特許請求の範囲の下枠パネル溝に対応する。
【0018】
図2に示すように、縦枠30は、図1に示す上枠10の幅方向の両端部と下枠20の幅方向の両端部とを連結している。縦枠30は、縦枠本体30Zを有している。縦枠本体30Zは、上下方向に延びている。縦枠本体30Zは、金属縦枠30Aと、樹脂縦枠30Bと、縦押縁30Cと、を有している。
【0019】
金属縦枠30Aは、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。樹脂縦枠30B及び縦押縁30Cは、樹脂材料で形成されている。
【0020】
縦枠30には、幅方向の内側に開口するガラス溝34が形成されている。ガラス溝34には、ガラスパネル4の幅方向の端部4sが配置されている。樹脂縦枠30Bは、金属縦枠30Aの屋内側の面を覆うように、金属縦枠30Aの屋内側の面の幅方向の内側に配置されている。縦押縁30Cは、ガラスパネル4の屋内側の面4aと樹脂縦枠30Bとの間に配置されている。ガラス溝34の屋内側の開口端部とガラスパネル4の面4aとの間には、パッキン材51が設けられている。ガラス溝34の屋外側の開口端部とガラスパネル4の面4bとの間には、パッキン材52が設けられている。
【0021】
ガラスパネル4は、四方枠状に形成された枠体1の内側に配置されている。ガラスパネル4は、平板状に形成されている。ガラスパネル4は、3枚のガラス41,42,43が空気層44,45を介して配置されたトリプルガラスである。屋内側に配置されるガラス41及び屋外側に配置されるガラス42は、金属膜がコーティングされた低放射ガラスである。ガラス41,42は、LOW-Eガラスである。ガラス41,42の間に配置されたガラス43は、耐熱強化ガラスである。ガラス41とガラス43との間には、空気層44が形成されている。ガラス43とガラス42との間には、空気層45が形成されている。ガラスパネル4は、単層ガラスや複層ガラスであってもよい。ガラスパネル4は、板状部材であれば、ガラスパネル以外であってもよい。ガラスパネル4は、特許請求の範囲のパネルに対応する。ガラス41,42のうち一方のみが低放射ガラスであってもよい。
【0022】
図1を用いて上枠10の構成について詳細に説明する。図1に示すように、上枠10は、加熱発泡材T101,T102を有している。加熱発泡材T101は、ガラス溝14を形成する金属上枠10Aの第1上枠部材11の屋外側の壁部111の屋内側を向く面に設けられている。加熱発泡材T102は、ガラス溝14を形成する樹脂上枠10Bの上側の壁部112の下面に設けられている。
【0023】
金属上枠10Aの第1上枠部材11は、中空部S101を有している。金属上枠10Aの上ブリッジ材13は、内部に中空部S102を有している。中空部S101は、ガラス溝14の屋外側の上側に配置されている。金属上枠10Aと樹脂上枠10Bとの間には、空間部S103,S104,S105,S106が形成されている。空間部S103,S104,S105,S106は、この順で屋外側から屋内側に並んで配置されている。空間部S103,S104,S105,S106は、中空部S101の屋内側に配置されている。空間部S103,S104,S105,S106は、ガラス溝14の上側に配置されている。上押縁10Cは、中空部S111を有している。樹脂上枠10Bと上押縁10Cとの間には、空間部S112,S113,S114が形成されている。空間部S112,S113,S114は、この順で屋外側から屋内側に並んで配置されている。中空部S101,S102,S111及び空間部S104,S105,S106,S112,S113,S114を備えることによって、断熱性能、遮音性能を向上させることができる。FIX窓100の屋内外の温度変化に起因した結露を抑制することができる。
【0024】
図3を用いて下枠20の構成について詳細に説明する。図3に示すように、下枠本体20Zのガラス溝24は、底部241、屋外側壁部251及び屋内側壁部256によって形成されている。
【0025】
底部241は、第1下枠部材21の第1底壁部242と、第1下枠部材21の上下壁部243と、第1下枠部材21の第2底壁部244と、樹脂下枠20Bの第3底壁部246と、樹脂下枠20Bの傾斜壁部247と、樹脂下枠20Bの第4底壁部248と、を有している。
【0026】
第1底壁部242は、第1下枠部材21の上部に位置している。第1底壁部242は、板状に形成されている。第1底壁部242の板面は、上下方向を向いている。上下壁部243は、第1底壁部242の屋内側の端部から上方に延びている。第2底壁部244は、上下壁部243の上端部から屋内側に延びている。上下壁部243は、板状に形成されている。上下壁部243の板面は、屋内外方向を向いている。
【0027】
第1底壁部242には、上下方向に貫通する排水孔242aが形成されている。第2底壁部244には、上下方向に貫通する排水孔244aが形成されている。図4に示すように、排水孔242a,244aは、幅方向に長い長孔形状である。排水孔242a,244aは、下枠本体20Zの幅方向に離れてそれぞれ4箇所に形成されている。排水孔242aと排水孔244aとは、幅方向に同じ位置に形成されている。排水孔242a,244aの個数や位置は、適宜設定可能である。
【0028】
図3に示すように、第3底壁部246は、第2下枠部材22の上部に位置する壁部221の上方に隙間を空けて配置されている。第3底壁部246は、板状に形成されている。第3底壁部246の板面は、上下方向を向いている。傾斜壁部247は、第3底壁部246の屋外側の端部から屋外側に向かうにしたがって次第に下方に向くように延びている。第4底壁部248は、傾斜壁部247の屋外側の端部から屋外側に向かって延びている。第4底壁部248は、板状に形成されている。第4底壁部248の板面は、上下方向を向いている。第4底壁部248の屋外側の端部は、第2底壁部244から上方に延びる係止壁部245に係止されている。
【0029】
屋外側壁部251は、第1底壁部242の屋外側の端部から上方に延びている。屋外側壁部251は、板状に形成されている。屋外側壁部251の板面は、屋内外方向を向いている。屋外側壁部251の上端部に形成された係止部252に、パッキン材52が係止されている。
【0030】
屋内側壁部256は、第3底壁部246の屋内側の端部から上方に延びている。屋内側壁部256は、階段状に形成されている。
【0031】
下枠20は、補強部材26と、下部パネル支持部材27と、加熱発泡材T111,T112,T113,T114,T115と、を有している。
【0032】
補強部材26は、第1下枠部材21の第1底壁部242、上下壁部243及び第2底壁部244の下側に形成された中空部S121に配置されている。補強部材26は、第2底壁部244の下面に沿って配置されている。補強部材26は、後述する下部パネル支持部材27が配置される位置の直下に配置されている。補強部材26は、ステンレス等の金属材料で形成されている。
【0033】
補強部材26は、固定板部261と、上下板部262と、折曲板部263と、を有している。固定板部261は、板状に形成されている。固定板部261の板面は、上下方向を向いている。上下板部262は、固定板部261の屋外側の端部から下方に延びている。上下板部262の板面は、屋内外方向を向いている。折曲板部263は、上下板部262の下端部から屋内側に延びている。折曲板部263の板面は、上下方向を向いている。
【0034】
下部パネル支持部材27は、下枠本体20Zのガラス溝24に配置されている。図4に示すように、下部パネル支持部材27は、下枠本体20Zに幅方向に離れて2箇所に設置されている。下部パネル支持部材27の設置箇所数は、適宜設定可能である。
【0035】
図5図6及び図7に示すように、下部パネル支持部材27は、固定板部271と、上下板部272と、支持板部273と、を有している。下部パネル支持部材27は、ステンレス等の金属材料で形成されている。下部パネル支持部材27は、特許請求の範囲のパネル支持部材に対応する。
【0036】
固定板部271は、板状に形成されている。固定板部271は、幅方向に離れて一対形成されている。固定板部271には、上下方向に貫通する取付孔271aが形成されている。図3に示すように、螺子275が固定板部271の取付孔271aに挿通されて、金属下枠20Aの第2底壁部244に形成された取付孔に挿通され、補強部材26の固定板部261に形成された取付孔に螺子止めされている。下部パネル支持部材27は、補強部材26及び下枠本体20Zに連結されている。図4に示すように、固定板部271が排水孔244aの直上に配置される場合には、螺子275は排水孔244aに挿通されている。
【0037】
図5図6及び図7に示すように、上下板部272は、一対の固定板部271のそれぞれから上方に延びている。支持板部273は、一対の上下板部272の上端部どうしを連結している。支持板部273は、板状に形成されている。支持板部273の板面は、上下方向を向いている。
【0038】
支持板部273の上面であるパネル支持面273uは、平滑な面である。パネル支持面273uには、上方に延び、ガラスパネル4の面4aと対向する壁部及び面4bと対向する壁部が設けられてない。
【0039】
図3に示すように、下部パネル支持部材27は、ガラス溝24の屋外側壁部251よりも屋内側に隙間S1を空けて配置されている。
【0040】
図4に示すように、加熱発泡材T111は、下部パネル支持部材27のパネル支持面273uに設けられている。図4では、下部パネル支持部材27及び加熱発泡材T111を二点鎖線で示している。加熱発泡材T111は、パネル支持面273uの略全面に設けられている。加熱発泡材T111は、パネル支持面273uの少なくとも一部に設けられていることが好ましい。加熱発泡材T111は、板状に形成されている。加熱発泡材T111の板面は、上下方向を向いている。図3に示すように、加熱発泡材T111には、ガラスパネル4の下端部4dが当たっている。加熱発泡材T111は、パネル支持面273uとガラスパネル4の下端部4dとの間に配置されている。支持板部273は、加熱発泡材T111を介して、ガラスパネル4を支持している。
【0041】
加熱発泡材T112は、ガラス溝24の屋外側壁部251の屋内側を向く面251aに設けられている。加熱発泡材T112は、屋外側壁部251の面251aの下部に設けられている。加熱発泡材T112は、板状に形成されている。加熱発泡材T112の板面は、屋内外方向を向いている。加熱発泡材T112の下端部は、ガラス溝24の第1底壁部242に当たっている。図4に示すように、加熱発泡材T112は、下枠本体20Zの幅方向の略全長に設けられている。加熱発泡材T112が配置される屋外側壁部251の面251aにおける上下方向の位置、及び下枠本体20Zの幅方向の位置は適宜設定可能である。加熱発泡材T112は、下枠本体20Zの幅方向に分割されて配置されていてもよい。屋外側壁部251の面251aは、特許請求の範囲の屋外側壁部における下枠パネル溝を向く面に対応する。
【0042】
図3に示すように、下部パネル支持部材27の下部は、加熱発泡材T112の屋内側に隙間S1を空けて対向して配置されている。加熱発泡材T112は、屋外側壁部251に両面テープや接着剤等の接着部材によって接着されている。ガラス溝24内に水が浸入してきて、接着部材の粘着力が低下して、二点鎖線U112で示すように、加熱発泡材T112が剥がれてしまい、屋内側に倒れてしまう可能性がある。この場合に、下部パネル支持部材27は、加熱発泡材T112が傾いた状態で支持して、加熱発泡材T112がガラス溝24の底部241に沿うように水平状態にまでなることを規制する規制部として機能する。加熱発泡材T112の上下方向の長さH1は、加熱発泡材T112と下部パネル支持部材27との屋内外方向に沿う長さ、つまり隙間S1の屋内外方向の長さL1よりも長い。下部パネル支持部材27は、加熱発泡材T112との間に隙間なく、加熱発泡材T112に当たるように配置されていてもよい。
【0043】
加熱発泡材T113は、ガラス溝24の第1底壁部242の上面に設けられている。加熱発泡材T113は、板状に形成されている。加熱発泡材T113の板面は、上下方向を向いている。加熱発泡材T113の屋内側の端部は、ガラス溝24の上下壁部243に当たっている。図4に示すように、加熱発泡材T113は、第1底壁部242において、排水孔242aを塞がないように、排水孔242aが形成されていない箇所に設けられている。
【0044】
図3に示すように、加熱発泡材T114は、ガラス溝24の第2底壁部244の上面に設けられている。加熱発泡材T114は、板状に形成されている。加熱発泡材T114の板面は、上下方向を向いている。加熱発泡材T114の屋内側の端部は、ガラス溝24の係止壁部245に当たっている。図4に示すように、加熱発泡材T114は、第2底壁部244において、排水孔244aを塞がないように排水孔244aが形成されていない箇所且つ下部パネル支持部材27が配置されていない箇所に設けられている。加熱発泡材T114は、排水孔244aを避けていれば、下部パネル支持部材27の下側にも設けられていてもよい。
【0045】
図3に示すように、加熱発泡材T115は、第2下枠部材22の壁部221の上面に設けられている。加熱発泡材T115は、板状に形成されている。加熱発泡材T115の板面は、上下方向を向いている。加熱発泡材T115は、第2下枠部材22の壁部221と樹脂下枠20Bの第3底壁部246との間に配置されている。図4に示すように、加熱発泡材T115は、下枠本体20Zの幅方向の両端部に設けられている。
【0046】
図3に示すように、金属下枠20Aの第1下枠部材21は、中空部S121の他に、中空部S122を有している。中空部S122は、中空部S121の下側に配置されている。樹脂下枠20Bは、中空部S123,S124,S125を有している。中空部S123,S124,S125は、この順で上方から下方に並んで配置されている。中空部S123,S124,S125は、ガラス溝24の屋内側壁部256の屋内側に配置されている。金属下枠20Aと樹脂下枠20Bとの間には、空間部S126,S127,S128,S129が形成されている。空間部S126,S127,S128は、この順で上方から下方に並んで配置されている。空間部S126は、中空部S124の屋内側に配置されている。空間部S127は、中空部S125の屋内側に配置されている。空間部S129は、空間部S128の屋外側に配置されている。中空部S121,S122,S123,S124,S125及び空間部S126,S127,S128,S129を備えることによって、断熱性能、遮音性能を向上させることができる。FIX窓100の屋内外の温度変化に起因した結露を抑制することができる。
【0047】
図8に示すように、下枠本体20Zのガラス溝24に、加熱発泡材T111が取り付けられた下部パネル支持部材27を設置する際には、二点鎖線B1で示すように、下部パネル支持部材27の上部且つ屋外側の端部27aをガラス溝24の屋外側壁部251に設けられたパッキン材52の下方に差し込む。下部パネル支持部材27の姿勢を、屋外側に向かうにしたがって次第に下方に向くように傾斜した状態にする。その後、二点鎖線B2で示すように、下部パネル支持部材27の屋内側の端部27b側を下方に移動させる。図4に示す下部パネル支持部材27の固定板部271をガラス溝24の第2底壁部244に当てて位置決めし、螺子275で螺子止めする。
【0048】
図2を用いて縦枠30の構成について詳細に説明する。図2に示すように、縦枠30は、連結部材36と、側部パネル支持部材37と、加熱発泡材T121,T122と、を有している。
【0049】
連結部材36は、縦枠本体30Zのガラス溝34における幅方向の内側を向く底部341に沿って配置されている。連結部材36は、屋内側に向かって開口する水平断面C字形状を有している。螺子361によって、連結部材36は底部341に螺子止めされている。連結部材36は、ステンレス等の金属材料で形成されている。
【0050】
側部パネル支持部材37は、縦枠本体30Zのガラス溝34に配置されている。側部パネル支持部材37は、第1支持部371と、第2支持部376と、を有している。第1支持部371と第2支持部376とが組み付けられて、側部パネル支持部材37は、ガラスパネル4側に開口する水平断面C字形状を有している。側部パネル支持部材37は、火災時に前記パネルの脱落を規制する。側部パネル支持部材37は、ステンレス等の金属材料で形成されている。
【0051】
第1支持部371は、水平断面L字形状を有している。第1支持部371は、第1支持板部372と、第1立設板部373と、を有している。第1支持板部372は、板状に形成されている。第1支持板部372の板面は、幅方向を向いている。第1支持板部372は、連結部材36の幅方向の内側に配置されている。第1立設板部373は、第1支持板部372の屋外側の端部から幅方向の内側に延びている。第1立設板部373は、板状に形成されている。第1立設板部373の板面は、屋内外方向を向いている。
【0052】
第2支持部376は、水平断面L字形状を有している。第2支持部376は、第2支持板部377と、第2立設板部378と、を有している。第2支持板部377は、板状に形成されている。第2支持板部377の板面は、幅方向を向いている。第2支持板部377は、第1支持板部372の幅方向の内側に配置されている。第2立設板部378は、板状に形成されている。第2立設板部378の板面は、屋内外方向を向いている。螺子379が、第2支持板部377の取付孔に挿通され、第1支持板部372の取付孔に挿通され、連結部材36に螺子止めされている。
【0053】
加熱発泡材T121は、側部パネル支持部材37の第2支持板部377の幅方向の内側に設けられている。加熱発泡材T122は、ガラス溝34を形成する金属縦枠30Aの屋外側の壁部342の屋内側を向く面に設けられている。
【0054】
樹脂縦枠30Bは、中空部S131,S132,S133を有している。中空部S132は、中空部S131の幅方向の内側に配置されている。中空部S132は、ガラス溝34の幅方向の外側に配置されている。中空部S133は、中空部S132の屋内側に配置されている。金属縦枠30Aと樹脂縦枠30Bとの間には、空間部S134,S135が形成されている。空間部S134は、中空部S131,S132の屋外側に配置されている。空間部S134は、ガラス溝34の幅方向の外側に配置されている。空間部S135は、中空部S131の幅方向の外側から屋内側にかけて配置されている。縦押縁30Cは、中空部S136を有している。中空部S136は、ガラス溝34の屋内側に配置されている。樹脂縦枠30Bと縦押縁30Cとの間には、空間部S137が形成されている。空間部S137は、中空部S133の幅方向の内側且つ中空部S136の幅方向の外側に配置されている。中空部S131,S132,S133,S136及び空間部S134,S135,S137を備えることによって、断熱性能、遮音性能を向上させることができる。FIX窓100の屋内外の温度変化に起因した結露を抑制することができる。
【0055】
FIX窓100では、ガラス溝24の屋外側壁部251の面251aには、加熱発泡材T112が設けられている。加熱発泡材T112を貼り付けている両面テープ等の接着部材の粘着力が低下して、加熱発泡材T112が屋外側壁部251の面251aから剥がれてしまった場合に、加熱発泡材T112は下部パネル支持部材27によって傾いた状態で支持される。下部パネル支持部材27によって、加熱発泡材T112が底部241に沿うまで傾倒することを抑制することができる。加熱発泡材T112が、底部241に形成された排水孔242aを塞ぐことがない。
【0056】
加熱発泡材T112の上下方向の長さH1は、加熱発泡材T112と下部パネル支持部材27との間の隙間S1の長さL1よりも長い。加熱発泡材T112が傾倒した際に、加熱発泡材T112が下部パネル支持部材27に引っかかって、ガラス溝24の底部241に完全に倒れ込むことがなく、下部パネル支持部材27は加熱発泡材T112を傾倒した姿勢で確実に支持することができる。
【0057】
ガラスパネル4の下端部4dを支持する下部パネル支持部材27が、加熱発泡材T112を規制している機能を兼ねている。加熱発泡材T112の傾倒を規制する部材をガラスパネル4の支持部材とは別に設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0058】
加熱発泡材T112と下部パネル支持部材27との間には、屋内外方向に隙間S1がある。下部パネル支持部材27をガラス溝24に挿入して配置する際に、下部パネル支持部材27が加熱発泡材T112に干渉することを抑制することができる。
【0059】
ガラスパネル4はトリプルガラスであるため、断熱性を高めることができる。
【0060】
屋内外両側に配置されたガラス41,42は、金属膜がコーティングされた低放射ガラスである。両側のガラス41,42の間に配置されたガラス43は、耐熱強化ガラスである。断熱性及び日射遮蔽性を高めることができるとともに、耐火性を高めることができる。
【0061】
(第二実施形態)
第二実施形態に係る建具について、主に図9を用いて説明する。以下で説明する実施形態において、上記に示す実施形態に対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0062】
図9に示すように、本実施形態に係る下枠20Dでは、金属下枠20Aの第1底壁部242には、上方に延びる傾倒規制壁部249が設けられている。傾倒規制壁部249は、板状に形成されている。傾倒規制壁部249の板面は、屋内外方向を向いている。傾倒規制壁部249は、加熱発泡材T112の屋内側に隙間S2を空けて配置されている。傾倒規制壁部249は、下部パネル支持部材27の屋外側に配置されている。傾倒規制壁部249は、下枠本体20Zの幅方向の略全長にわたって配置されている。傾倒規制壁部249は、加熱発泡材T112との間に隙間なく、加熱発泡材T112に当たるように配置されていてもよい。傾倒規制壁部249は、下枠本体20Zの幅方向に間隔を空けて分割して配置されていてもよい。傾倒規制壁部249は、加熱発泡材T112の傾倒を規制する規制部として機能する。
【0063】
下枠20Dでは、ガラス溝24の屋外側壁部251の面251aには、加熱発泡材T112が設けられている。加熱発泡材T112を貼り付けている両面テープ等の接着部材の粘着力が低下して、加熱発泡材T112が屋外側壁部251の面251aから剥がれてしまった場合に、加熱発泡材T112は傾倒規制壁部249によって傾いた状態で支持される。傾倒規制壁部249によって、加熱発泡材T112が底部241に沿うまで傾倒することを抑制することができる。加熱発泡材T112が、底部241に形成された排水孔242aを塞ぐことがない。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0065】
加熱発泡材T112は、屋外側壁部251の面251aに設けられているが、これに限られない。規制部によって傾倒することを規制される加熱発泡材は、ガラス溝24を形成する屋内側壁部256のガラス溝24を向く面、つまり屋外側を向く面に設けられていてもよい。
【0066】
図3に示すように、金属下枠20Aの第1底壁部242に傾倒規制壁部249が設けられていない場合は、加熱発泡材T112の上下方向の長さH1が、加熱発泡材T112と下部パネル支持部材27との間の隙間S1の長さL1よりも長いことが好ましい。図9に示すように、金属下枠20Aの第1底壁部242に傾倒規制壁部249が設けられている場合は、加熱発泡材T112の上下方向の長さH1が加熱発泡材T112と傾倒規制壁部249との間の隙間S2の長さL2よりも長ければ、加熱発泡材T112の上下方向の長さH1が下部パネル支持部材27との間の隙間S1の長さL1よりも短くてもよい。
【0067】
加熱発泡材T112と下部パネル支持部材27との間には、屋内外方向に隙間S1があるが、これに限られない。下部パネル支持部材27が加熱発泡材T112に当たるように設けられていてもよい。
【0068】
FIX窓100の下枠20を例に挙げて説明したが、適用する建具はこれに限られない。滑り出し窓の下框や引違い窓の下框等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
4 ガラスパネル(パネル)、20 下枠、20Z 下枠本体、24 ガラス溝(下枠パネル溝)、27 下部パネル支持部材(規制部、パネル支持部材)、41,42,43 ガラス、241 底部、251 屋外側壁部、256 屋内側壁部、S1 隙間、T112 加熱発泡材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9