(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114381
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】画像形成装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20240816BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240816BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240816BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H04N1/387 110
B41J21/00 Z
G03G21/00 574
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020118
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜田 祐丞
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 創
【テーマコード(参考)】
2C187
2H134
5C062
5C076
【Fターム(参考)】
2C187AD04
2C187BH26
2C187BH28
2C187CD07
2H134PA06
2H134PA07
2H134PB10
2H134PB24
2H134PD06
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB22
5C062AC04
5C062AC24
5C062AE03
5C062AE15
5C062AF00
5C076AA12
5C076BA06
(57)【要約】
【課題】好適に切り取り線を形成可能な技術を提供することである。
【解決手段】実施形態の画像形成装置は、線情報生成部と、画像形成部とを持つ。線情報生成部は、記録媒体に形成された主画像を切り取るための切り取り線を示す線情報を生成する。画像形成部は、前記主画像を非消色性材料で記録媒体に形成し、前記線情報に示される切り取り線を消色性材料で記録媒体に形成する。前記線情報生成部は、前記記録媒体に応じて、切り取り線に含まれる曲線の曲がり具合を変化させる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に形成された主画像を切り取るための切り取り線を示す線情報を生成する線情報生成部と、
前記主画像を非消色性材料で記録媒体に形成し、前記線情報に示される切り取り線を消色性材料で記録媒体に形成する画像形成部と、
を備え、
前記線情報生成部は、前記記録媒体に応じて、切り取り線に含まれる曲線の曲がり具合を変化させる画像形成装置。
【請求項2】
前記線情報生成部は、前記記録媒体の厚さが厚いほど、切り取り線に含まれる曲線の曲がり具合を緩くする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記線情報生成部は、前記記録媒体の硬さが硬いほど、切り取り線に含まれる曲線の曲がり具合を緩くする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記線情報生成部は、前記主画像を囲むとともに、所定の形状が形成される領域を形成する閉曲線を切り取り線として生成する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを
記録媒体に形成された主画像を切り取るための切り取り線を示す線情報を生成する線情報生成部と、
前記主画像を非消色性材料で記録媒体に形成し、前記線情報に示される切り取り線を消色性材料で記録媒体に形成する画像形成部と、
して機能させ、
前記線情報生成部は、前記記録媒体に応じて、切り取り線に含まれる曲線の曲がり具合を変化させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、切り取り可能な記録媒体に印刷する際に、主画像を切り取りしやすくするために、切り取り線を記録媒体に形成する技術がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
記録媒体を考慮せずに主画像に応じて一律に切り取り線を形成すると、記録媒体によっては切り取りにくくなることがあるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、好適に切り取り線を形成可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の画像形成装置は、線情報生成部と、画像形成部とを持つ。線情報生成部は、記録媒体に形成された主画像を切り取るための切り取り線を示す線情報を生成する。画像形成部は、前記主画像を非消色性材料で記録媒体に形成し、前記線情報に示される切り取り線を消色性材料で記録媒体に形成する。前記線情報生成部は、前記記録媒体に応じて、切り取り線に含まれる曲線の曲がり具合を変化させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】主画像に沿って生成された切り取り線を示す図。
【
図6】曲がり具合を緩く変化させた切り取り線を示す図。
【
図8】コントロールパネルに表示される設定メニューを示す図。
【
図9】コントロールパネルに表示される設定メニューを示す図。
【
図11】パターンAにより得られた切り取り線を示す図。
【
図12】パターンB1により得られた切り取り線を示す図。
【
図13】パターンB3により得られた切り取り線を示す図。
【
図14】画像形成装置の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の画像形成装置では、好適に切り取り線を形成可能となる。以下、実施形態の画像形成装置について詳細に説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る画像形成装置1の側面図である。実施形態に係る画像形成装置1は、第1色材と第2色材で画像を形成可能である。本実施形態では、第1色材の一例として黒色トナーを用いている。第2色材の一例として、消色トナーを用いている。黒色トナーは、非消色性材料である。消色トナーは、消色性材料である。消色トナーは、黒色トナーよりも発色濃度が低い。消色トナーは、所定値未満の温度で発色して可視状態となり、所定値以上の温度で消色して非可視状態となる。本実施形態では、主画像は黒色トナーにより形成される。主画像を切り取るための切り取り線は、消色トナーにより形成される。なお、本実施形態における主画像とは、切り取り線の生成対象となる画像を示す。また、切り取り線は、主画像を囲む閉曲線である。
【0010】
実施形態に係る画像形成装置1は、コピー機能を有する。このコピー機能における原稿として、黒色トナーなどの非消色性材料で画像が形成された非消色シート、及び消色トナーで画像が形成されたシートを読み取ることが可能である。なお、非消色シートは、単色で画像が形成されているシートに限らず、カラーで画像が形成されているシートも含む。
【0011】
図1に示されるように、画像形成装置1の上部には、原稿載置用の透明の原稿台(ガラス板)2が配置される。原稿台2の上にカバー3が開閉自在に配置される。原稿台2の下面側にキャリッジ4が配置される。キャリッジ4に露光ランプ5が配置される。
【0012】
キャリッジ4は、原稿台2の下面に沿って往復動する。露光ランプ5は、キャリッジ4の往動に伴い、原稿台2上の原稿を露光する。この露光により生じる反射光像を、反射ミラー6、7、8及び変倍用レンズブロック9を介してCCD(Charge Coupled Device)10が受ける。CCD10は、原稿からの反射光像に対応するレベルの画像信号をR(赤)、G(緑)、B(青)ごとに出力する。
【0013】
原稿台2の近傍には、ユーザに情報を表示したり、ユーザによる操作を受け付けるコントロールパネル11が配置される。コントロールパネル11は、タッチパネル式の液晶表示部12を有する。
【0014】
露光ユニット20は、CCD10が出力する画像信号を受ける。露光ユニット20は、消色トナーの画像信号に応じたレーザ光B1を、消色トナー用の像担持体である感光体ドラム23に向けて発する。露光ユニット20は、黒色トナーの画像信号に応じたレーザ光B2を、黒色トナー用の像担持体である感光体ドラム24に向けて発する。
【0015】
感光体ドラム23、24の上方に転写ベルト30が配置される。この転写ベルト30は、ドライブローラ31及び従動ローラ32に掛け渡される。転写ベルト30は、ドライブローラ31から動力を受けて、半時計方向に回転する。
【0016】
感光体ドラム23と対向する位置に、1次転写ローラ43が上下動自在に配置される。感光体ドラム24と対向する位置に、1次転写ローラ44が上下動自在に配置される。1次転写ローラ43は、転写ベルト30を感光体ドラム23の周面に押し当てながら回転することにより、感光体ドラム23上の像を転写ベルト30に転写する。1次転写ローラ44は、転写ベルト30を感光体ドラム24の周面に押し当てながら回転することにより、感光体ドラム24上の像を転写ベルト30に転写する。
【0017】
感光体ドラム23とその周辺部の構成を
図2に示す。感光体ドラム23の周囲に、クリーナ601、除電ランプ602、帯電ユニット603、及び現像ユニット604が配置される。クリーナ601は、感光体ドラム23の表面に残留する現像剤を除去する。除電ランプ602は、感光体ドラム23の表面に残留する電荷を除去する。帯電ユニット603は、感光体ドラム23の表面に静電荷を帯電させる。
【0018】
帯電ユニット603による帯電が済んだ感光体ドラム23の表面は、露光ユニット20が発するレーザ光B1を受ける。レーザ光B1は、感光体ドラム23の表面に静電潜像を形成する。現像ユニット604は、感光体ドラム23の表面に消色の現像剤Dを供給することにより、感光体ドラム23の表面の静電潜像を現像する。
【0019】
感光体ドラム24の周辺部も、同様の構成である。よって、その説明は省略する。感光体ドラム24には、黒色の現像剤Dが供給される。上述した感光体ドラム23とその周辺部をまとめて第1画像形成部と表現することがある。この第1画像形成部は、黒色トナーで単色画像を形成する。また、感光体ドラム24とその周辺部をまとめて第2画像形成部と表現することがある。この第2画像形成部は、消色トナーで単色画像を形成する。
【0020】
露光ユニット20の下方に、複数の給紙カセット50が配置される。これら給紙カセット50は、互いに異なるサイズの記録媒体Pを多数枚収容する。給紙カセット50に収容可能な記録媒体は、または後述する手差しトレイ74に載置可能な記録媒体は、画像を形成可能な媒体であればよい。本実施形態では、記録媒体として、紙、シール、マグネットシート、及びプラスチックの板(以下、「プラ板」という)を例に説明する。以下の説明では、記録媒体を「シート」と表現することがある。
【0021】
給紙カセット50と対応する位置に、ピックアップローラ51及び給紙ローラ52が配置される。各ピックアップローラ51は、各給紙カセット50内のシートPを1枚ずつ取り出す。各給紙ローラ52は、各ピックアップローラ51が取り出したシートPを搬送路53に供給する。搬送路53は、レジストローラ54、上記従動ローラ32、定着ユニット60、及び排紙ローラ55を経由して、上方の排紙口56に延びる。排紙口56は、排紙トレイ57に臨む。
【0022】
転写ベルト30及び搬送路53を挟んで上記従動ローラ32と対向する位置に、2次転写ローラ33が配置される。2次転写ローラ33は、転写ベルト30に転写されている像を、レジストローラ54から送り込まれるシートPに転写する。
【0023】
搬送路53の終端からレジストローラ54の上流側位置にかけて、搬送路70が配置される。搬送路70は、シートPの表裏を反転して搬送路53に戻す。搬送路70は、給紙ローラ71、72、73を有する。
【0024】
画像形成装置1の側壁には、手差しトレイ74が着脱自在に配置される。搬送路75は、手差しトレイ74から搬送路53におけるレジストローラ54の上流側位置にかけて配置される。ピックアップローラ76及び給紙ローラ77は、搬送路75と対応する位置に配置される。ピックアップローラ76は、手差しトレイ74のシートを1枚ずつ取り出す。給紙ローラ77は、ピックアップローラ76が取り出したシートをレジストローラ54に供給する。
【0025】
上記定着ユニット60は、ヒートローラ61及び加圧ローラ62を有する。この定着ユニット60は、搬送されるシートPをヒートローラ61により所定値(例えば120℃)未満の温度(例えば100℃)で加熱することにより、シートPに転写されている像をシートPに可視状態で定着させる。また、定着ユニット60は、搬送される非可視化対象のシートPをヒートローラ61により所定値以上の温度(例えば130℃)で加熱することにより、シートP上の画像を非可視化する。
【0026】
画像形成装置1の制御回路を
図3に示す。
コンピュータのCPU80に、コントロールパネル11、ROM81、RAM82、ハードディスクドライブ(HDD)83、スキャナ84、画像処理部85、及び画像形成部86を接続する。
【0027】
コントロールパネル11は、タッチパネル式の液晶表示部のほかに、テンキー、スタートキーなどを有する。
【0028】
ROM81は、制御用の各種プログラムを記憶する。RAM82は、各種データを記憶する。ハードディスクドライブ83は、画像データを記憶する。スキャナ84は、上記キャリッジ4、露光ランプ5、反射ミラー6、7、8、変倍用レンズブロック9、及びCCD10を含む。スキャナ84は、原稿台2上の原稿を光学的に走査して読取り、原稿を示す画像データを取得する。画像処理部85は、スキャナ84によって取得された画像データに対し、各種処理を行う。また、本実施形態において、画像処理部85は、記録媒体に形成された主画像を切り取るための切り取り線を示す線情報を生成する。
【0029】
画像形成部86は、露光ユニット20、感光体ドラム23、24、各感光体ドラム周りの
図2の構成、転写ベルト30、ドライブローラ31、従動ローラ32、1次転写ローラ43、44、2次転写ローラ33、搬送路53、定着ユニット60、及び搬送路70などを有する。画像形成部86は、画像処理部85が処理した画像データが示す画像をシートP上に形成する。また、本実施形態において、画像形成部86は、主画像を非消色性材料で記録媒体に形成し、線情報に示される切り取り線を消色性材料でシートに形成する。
【0030】
次に、主画像と切り取り線について説明する。まず、本実施形態では、記録媒体に応じて、切り取り線に含まれる曲線の曲がり具合を変化させる。具体的に図を用いて説明する。
図4は、主画像100を示す図である。本実施形態では、一例として主画像100をハート形としている。ここで、本実施形態における「曲がり具合」とは、切り取り線上の点の曲率、または頂点などの曲率が定義できない点では、頂点のなす角を示す。
【0031】
例えば、
図4の主画像100には、頂点101があり、なす角はθである。θが小さいほど曲がり具合は大きく、θが180度に近いほど曲がり具合は小さい。
図5は、単純に主画像に沿って生成された切り取り線を示す図である。
図5に示される切り取り線110により形成される領域の形状は、主画像と相似なので、θは変化しないため、曲がり具合はそのまま保持される。
【0032】
曲がり具合が大きいと、厚いシートや、硬いシートは切り取りにくくなる。そこで、
図6に示されるように、曲がり具合を緩く変化させる(
図6の場合は直線に変化させている)ことで、曲がり具合を変化させない場合と比較して、切り取りが容易になる。よって、本実施形態によれば、好適に切り取り線を形成可能な技術を提供することができる。
【0033】
図7は、穴あけ図形を合成した切り取り線130を示す図である。例えば、プラ板などでは、キーホルダーなどに取り付けるために穴をあけることがある。穴あけ図形は、穴をあける領域を確保するための図形である。本実施形態では、
図7に示されるように、三角形の形状をした穴あけ図形140を合成する。この穴あけ図形は、予めROM81またはHDD83などに記憶されている。なお、
図7に示される穴あけ図形の底辺を示す破線は説明のための破線であって、実際の記録媒体には形成されない。このように、本実施形態では、主画像100を囲むとともに、所定の形状(例えば穴あけ図形140)が形成される領域を形成する閉曲線を切り取り線として生成する。
【0034】
本実施形態では、曲がり具合をどの程度緩くするかなどをユーザにより設定可能である。
図8、
図9は、コントロールパネル11に表示される設定メニューを示す図である。
図8は、ユーザが記録媒体を設定するための画面600を示す図である。ユーザは、記録媒体設定欄610において、「紙」、「シール」、「マグネットシート」、「プラ板」の中から、主画像と切り取り線を形成する記録媒体を設定する。なお、マグネットシートの厚みが約240μmで、プラ板の厚みは約0.3mmであるので、「紙」、「シール」、「マグネットシート」、「プラ板」の順に、記録媒体の厚さは厚くなり、硬さも硬くなるものとする。さらに、ユーザは、穴あけ図形設定欄620において、穴あけ図形を合成するか否かを設定する。「あり」は穴あけ図形を合成することを示し、「なし」は穴あけ図形を合成しないことを示す。本実施形態では、記録媒体の厚さが厚いほど、切り取り線に含まれる曲線の曲がり具合を緩くする。また、記録媒体の硬さが硬いほど、切り取り線に含まれる曲線の曲がり具合を緩くする。
【0035】
図9は、ユーザが曲がり具合を設定するための画面700を示す図である。ユーザは、曲がり具合設定欄710において、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」、「レベル4」の中から、切り取り線の曲がり具合を設定する。なお、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」、「レベル4」の順に、曲がり具合が緩くなるものとする。さらに、ユーザは、穴あけ図形設定欄720において、穴あけ図形を合成するか否かを設定する。「あり」は穴あけ図形を合成することを示し、「なし」は穴あけ図形を合成しないことを示す。
【0036】
画面600または画面700においてユーザにより設定された設定内容は、RAM82に記憶される。
【0037】
このように、本実施形態では、曲がり具合を変化可能としているが、曲がり具合の変化方法について説明する。
図10は、主画像と、主画像のフチを、あるピクセル分だけ大きく変化させたフチ(以下、「拡大フチ」という)を示す図である。この拡大フチは、ピクセルの値をRとしたとき、中心が主画像のフチ上に存在する半径Rの円の包絡線のうち、主画像の外側の包絡線である。したがって、拡大フチは、主画像を単純に拡大したものではないが、便宜的に以下の説明においても「拡大」と表現する。また、半径Rピクセル分の円の中心を主画像のフチ上で移動させたときの包絡線のうち、主画像の外側の包絡線を求める処理をR拡大処理と表現する。
【0038】
図10において、拡大フチ200は、主画像100のフチを、20ピクセル分だけ拡大した拡大フチ(以下、「20拡大フチ」という)である。拡大フチ300は、主画像100のフチを、40ピクセル分だけ拡大した拡大フチ(以下、「40拡大フチ」という)である。拡大フチ400は、主画像100のフチを、80ピクセル分だけ拡大した拡大フチ(以下、「80拡大フチ」という)である。
図10に示されるように、ピクセルが大きいほど頂点の曲がり具合が緩くなる。
【0039】
このようにして得られた拡大フチを、今度は逆に縮小させる。具体的に、中心が拡大フチ上に存在する半径rの円の包絡線のうち、拡大フチの内側の包絡線を、縮小したフチ(以下、「縮小フチ」という)として求める。縮小フチも、拡大フチを単純に縮小したものではないが、便宜的に以下の説明においても「縮小」と表現する。また、半径rピクセル分の円の中心を拡大フチ上で移動させたときの包絡線のうち、拡大フチの内側の包絡線を求める処理をr縮小処理と表現する。
【0040】
本実施形態では、R拡大処理を行うことで得られたフチを切り取り線とする場合(「パターンA」という)と、R拡大処理を行ったのち、r縮小処理を行うことで得られたフチを切り取り線とする場合(「パターンB」という)がある。本実施形態において、パターンAは1つ用意されており、パターンBはパターンB1~B3の3つ用意されている。
【0041】
パターンAでは、画像処理部85は、20拡大処理のみを行うことで得られたフチを切り取り線とする。パターンB1では、画像処理部85は、40拡大処理を行ったのち、20縮小処理を行うことで得られたフチを切り取り線とする。パターンB2では、画像処理部85は、60拡大処理を行ったのち、40縮小処理を行うことで得られたフチを切り取り線とする。パターンB3では、画像処理部85は、80拡大処理を行ったのち、60縮小処理を行うことで得られたフチを切り取り線とする。
【0042】
このようにパターンBのいずれもR-r=20となるように処理を行う。これにより、いずれのパターンであっても、主画像100からほぼ20ピクセルだけ拡大した切り取り線が得られる。
【0043】
図11は、パターンAにより得られた切り取り線210を示す図である。
図12は、パターンB1により得られた切り取り線310を示す図である。
図13は、パターンB3により得られた切り取り線410を示す図である。切り取り線210よりも切り取り線310の方が曲がり具合が緩くなっていることがわかる。さらに、切り取り線310よりも切り取り線410の方が曲がり具合が緩くなっていることがわかる。このように、R拡大処理におけるRが大きいほど、曲がり具合が緩くなる。よって、パターンA、パターンB1、パターンB2、パターンB3の順に曲がり具合が緩くなる。これは、主画像がハート型である場合には限らず、例えば複雑な凹凸が繰り返されるような主画像においても曲がり具合を緩くすることができる。
【0044】
以上説明した内容を踏まえ、画像処理部85の処理の流れについて説明する。
図14は、画像形成装置1の処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、パターンA、B1~3のいずれかを行う場合の処理を示している。なお、主画像を示すデータはRAM82に記憶されており、画像処理部85はRAM82に記憶されているデータを用いて処理を行う。さらに、ユーザにより設定された設定内容も、上述したようにRAM82に記憶されている。
【0045】
図14において、画像処理部85は、主画像が凸画像か否かを判定する(ACT101)。上述した主画像100は、凹画像であったが、凸画像の場合には、曲がり具合を緩くしなくても切り取りにくくなることはあまりない。そのため、本実施形態では、凸画像の場合には、パターンAのみで処理を行うこととしている。
【0046】
主画像が凸画像の場合には(ACT101:YES)、画像処理部85は、パターンAで線情報を生成し(ACT103)、ACT109に進む。主画像が凸画像ではない場合には(ACT101:YES)、画像処理部85は、設定内容が「紙」または「レベル1」か否かを判定する(ACT102)。設定内容が「紙」または「レベル1」の場合には(ACT102:YES)、画像処理部85は、パターンAで線情報を生成し(ACT103)、ACT109に進む。
【0047】
設定内容が「紙」でもなく、「レベル1」でもない場合には(ACT102:NO)、画像処理部85は、設定内容が「シール」または「レベル2」か否かを判定する(ACT104)。設定内容が「シール」または「レベル2」の場合には(ACT104:YES)、画像処理部85は、パターンB1で線情報を生成し(ACT105)、ACT109に進む。
【0048】
設定内容が「シール」でもなく、「レベル2」でもない場合には(ACT104:NO)、画像処理部85は、設定内容が「マグネットシート」または「レベル3」か否かを判定する(ACT106)。設定内容が「マグネットシート」または「レベル3」の場合には(ACT106:YES)、画像処理部85は、パターンB2で線情報を生成し(ACT107)、ACT109に進む。
【0049】
設定内容が「マグネットシート」でもなく、「レベル3」でもない場合には(ACT104:NO)、設定内容は、「プラ板」または「レベル4」であるので、画像処理部85は、パターンB3で線情報を生成し(ACT108)、ACT109に進む。
【0050】
ACT109において、画像処理部85は、穴あけ図形がありで設定されているか否かを判定する(ACT109)。穴あけ図形がありで設定されていない場合には(ACT109:NO)、画像処理部85は、ACT111に進む。穴あけ図形がありで設定されている場合には(ACT109:YES)、画像処理部85は、線情報に穴あけ図形を合成した線情報を生成する(ACT110)。画像形成部86は、主画像を非消色性材料で記録媒体に形成し、線情報に示される切り取り線を消色性材料でシートに形成し(ACT111)、処理を終了する。
【0051】
図14に示した処理では、凸画像はパターンAのみで処理を行ったが、凸画像であっても他のパターンで処理を行ってもよい。本実施形態では、切り取り線を消色性材料で形成するので、ユーザが切り取り線に沿って切り取ったときに、切り損ねた切り取り線に熱を加えることで切り取り線を消去することができる。また、主画像がドーナツ状のように内部が存在しない画像の場合にも、内部に形成された切り取り線に熱を加えることで切り取り線を消去することができる。また、上述した実施形態では、曲げ具合を緩くするために包絡線を用いた処理について説明したが、これに限るものではない。例えば、
図6に示したように、曲がり具合が全くない直線としてもよい。
【0052】
以上述べた実施形態の画像形成装置によれば、好適に切り取り線を形成可能な技術を提供することが可能となる。
【0053】
上述した実施形態における画像形成装置の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1…画像形成装置、11…コントロールパネル、81…ROM、82…RAM、83…HDD、84…スキャナ、85…画像処理部、86…画像形成部