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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114429
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】加熱調理機
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/16 20060101AFI20240816BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F24C15/16 U
F24C7/02 521Z
F24C15/16 C
F24C15/16 F
F24C15/16 J
F24C7/02 521M
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020191
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】森本 成則
【テーマコード(参考)】
3L086
【Fターム(参考)】
3L086AA01
3L086AA13
3L086BA08
3L086BC20
3L086CB20
3L086DA24
3L086DA30
(57)【要約】
【課題】引き出し体を調理機本体から最大量露出させることができる加熱調理機を提供することを目的とする。
【解決手段】加熱調理機100は、調理機本体1と、引き出し体2と、スライド部3と、駆動部4と、制御部5とを備える。引き出し体2は、調理機本体1に収納可能に形成される。スライド部3は、引き出し体2を調理機本体1に対してスライドさせる。駆動部4は、引き出し体2に駆動力をかける。制御部5は、スライド部3が引き出し体2を最大量露出させるまで駆動部4を駆動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理機本体と、
前記調理機本体に収納可能に形成された引き出し体と、
前記引き出し体を前記調理機本体に対してスライドさせるスライド部と、
前記引き出し体に駆動力をかける駆動部と、
前記スライド部が前記引き出し体を最大量露出させるまで前記駆動部を駆動させる制御部と
を備える加熱調理機。
【請求項2】
前記引き出し体は、
開閉扉と、
前記開閉扉に接続して形成され調理物を収容する収容部と
を有し、
前記スライド部は、
前記収容部に取り付けられた第1レールと、
ベアリングを有し、前記ベアリングが転動することによりにより前記第1レールに対して移動可能に前記第1レールに組み込まれたベアリングリテナと、
前記引き出し体に取り付けられ前記ベアリングリテナに組み込まれた前記ベアリングが転動することにより前記第1レールに対して移動可能に前記第1レールに組み込まれた第2レールと
を有する、請求項1に記載の加熱調理機。
【請求項3】
前記ベアリングリテナは、開閉扉側端部と、本体側端部とを有し、
前記第1レールは、前記開閉扉側に前記ベアリングリテナの前記開閉扉側端部の進行を抑止する第1ストッパを有し、
前記第2レールは、前記調理機本体側に前記ベアリングリテナの前記本体側端部と当接する第2ストッパを有する、請求項2に記載の加熱調理機。
【請求項4】
前記制御部は、開閉検知部を有し、
前記開閉検知部は、前記ベアリングリテナの前記開閉扉側端部が前記第1ストッパに当接し、かつ、前記ベアリングリテナの前記本体側端部が前記第2ストッパに当接していることを検知したとき、前記引き出し体が前記調理機本体に対して最大量露出していることを検知する、請求項3に記載の加熱調理機。
【請求項5】
前記制御部は、開閉検知部を有し、
前記開閉検知部は、前記ベアリングリテナの前記開閉扉側端部が前記第1ストッパに当接していないか、または、前記ベアリングリテナの前記本体側端部が前記第2ストッパに当接していないことを検知したとき、前記引き出し体が前記調理機本体に対して最大量露出していないことを検知する、請求項3に記載の加熱調理機。
【請求項6】
前記駆動部は、前記引き出し体に対して駆動力をかけるモータを有し、
前記制御部は、前記モータに所定トルクをかけて前記引き出し体を移動させた後、前記引き出し体が前記調理機本体に対して最大量露出していないことを前記開閉検知部が検知したことに基づいて、前記モータのトルクを前記所定トルクよりも上昇させ、さらに前記モータに前記引き出し体に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせる、請求項5に記載の加熱調理機。
【請求項7】
スイッチをさらに備え、
前記駆動部は、前記引き出し体に駆動力をかけるモータを有し、
前記制御部は、前記スイッチが押されたことを判定する判定部を有し、
前記制御部は、前記モータに所定トルクをかけて前記引き出し体を移動させ、前記スイッチが押されたことを前記判定部が判定したことに基づいて、前記モータのトルクを前記所定トルクよりも上昇させ、さらに前記モータに前記引き出し体に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせる、請求項1に記載の加熱調理機。
【請求項8】
前記制御部は、前記モータに前記所定トルクをかけて前記引き出し体を移動させ前記モータが停止するまでのパルス数をカウントするカウンタと、
設定パルス数を記憶する設定パルス数記憶部と
を有し、
前記制御部は、前記カウンタがカウントした前記パルス数が前記設定パルス数記憶部に記憶された前記設定パルス数以下である場合、前記モータのトルクを前記所定トルクよりも上昇させ、さらに前記モータに前記引き出し体に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせる、請求項6に記載の加熱調理機。
【請求項9】
ヒータをさらに備え、
前記制御部は、前記ヒータが駆動した後に前記引き出し体が引き出されたか否かを判定する判定部を有し、
前記制御部は、前記カウンタがカウントした前記パルス数が前記設定パルス数記憶部に記憶された前記設定パルス数以下である場合、前記引き出し体が引き出される前に前記ヒータが駆動していないことを前記判定部が判定したことに基づいて、前記モータのトルクを前記所定トルクよりも上昇させ、さらに前記モータに前記引き出し体に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせる、請求項8に記載の加熱調理機。
【請求項10】
前記制御部は、前記モータに前記所定トルクをかけて前記引き出し体を移動させ前記モータが停止するまでのパルス数をカウントするカウンタと、
設定パルス数を記憶する設定パルス数記憶部と
を有し、
前記設定パルス数記憶部は、前記カウンタがカウントした前記パルス数を更新して記憶する、請求項7に記載の加熱調理機。
【請求項11】
引き出し体が開閉された回数をカウントするステップと、
カウントした前記回数が所定回数を超えたか否かを判定するステップと、
カウントした前記回数が前記所定回数を超えたと判定された場合、モータのトルクを所定トルクよりも上昇させるステップと、
カウンタをリセットするステップと
を有する、加熱調理機の制御方法。
【請求項12】
スイッチが押されたことを判定するステップと、
モータに所定トルクをかけて引き出し体を移動させるステップと、
前記スイッチが押されたことが判定されたことに基づいて、前記モータのトルクを前記所定トルクよりも上昇させるステップと、
前記モータに前記引き出し体に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせるステップと
を有する、加熱調理機の制御方法。
【請求項13】
モータに所定トルクをかけて引き出し体を移動させ前記モータが停止するまでのパルス数をカウントするステップと、
カウントした前記パルス数が設定パルス数以下である場合、前記モータのトルクを前記所定トルクよりも上昇させるステップと、
前記モータに前記引き出し体に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせるステップと
を有する、加熱調理機の制御方法。
【請求項14】
カウントしたパルス数が設定パルス数以下であるか否かを判定するステップと、
引き出し体が引き出される前にヒータが駆動していたか否かを判定するステップと、
前記引き出し体が引き出される前に前記ヒータが駆動していないことが判定されたことに基づいて、モータのトルクを所定トルクよりも上昇させるステップと、
前記モータに前記引き出し体に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせるステップと
を有する、加熱調理機の制御方法。
【請求項15】
モータに所定トルクをかけて引き出し体を移動させ前記モータが停止するまでのパルス数をカウントするステップと、
前記パルス数が設定パルス数より減少したことを判定するステップと、
カウンタがカウントした前記パルス数を更新して記憶するステップと
を有する、加熱調理機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、一対のスライドレールで加熱庫を出し入れする加熱調理器を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-11258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、スライドレールにおいてベアリングリテナが滑る課題に対する対策について開示していない。
【0005】
本発明は、スライド部が引き出し体を最大量露出させるまで駆動部を駆動させることにより、引き出し体を調理機本体から最大量露出させることができる加熱調理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理機は、調理機本体と、引き出し体と、スライド部と、駆動部と、制御部とを備える。前記引き出し体は、前記調理機本体に収納可能に形成される。前記スライド部は、前記引き出し体を前記調理機本体に対してスライドさせる。前記駆動部は、前記引き出し体に駆動力をかける。前記制御部は、前記スライド部が前記引き出し体を最大量露出させるまで前記駆動部を駆動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る加熱調理機によれば、スライド部が引き出し体を最大量露出させるまで駆動部を駆動させることにより、引き出し体を調理機本体から最大量露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る加熱調理機を示す外観斜視図である。
図2】本実施形態に係る加熱調理機を示す外観斜視図である。
図3】本実施形態に係る加熱調理機のスライド部を示す分解図である。
図4A】本実施形態に係る加熱調理機のスライド部を示す図である。
図4B】本実施形態に係る加熱調理機のスライド部を示す図である。
図4C】本実施形態に係る加熱調理機のスライド部を示す図である。
図5】本実施形態に係る加熱調理機の制御部を示す図である。
図6】本実施形態に係る加熱調理機の制御を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係る加熱調理機の制御を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係る加熱調理機の制御を示すフローチャートである。
図9】本実施形態に係る加熱調理機の制御を示すフローチャートである。
図10】本実施形態に係る加熱調理機の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については、同一の参照符号を付して、重複する説明を繰り返さない。
【0010】
図1および図2を参照して、本実施形態に係る加熱調理機100について説明する。
【0011】
図1および図2は、本実施形態に係る加熱調理機100を示す外観斜視図である。
【0012】
図1は、本実施形態に係る加熱調理機100の引き出し体2を調理機本体1に収納した図である。図2は、本実施形態に係る加熱調理機100の引き出し体2を調理機本体1から引き出した図である。
【0013】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る加熱調理機100は、調理機本体1と、引き出し体2と、スライド部3と、駆動部4と、制御部5と、スイッチ6とを備える。加熱調理機100の具体例は、電子レンジ、オーブンレンジである。
【0014】
引き出し体2は、調理機本体1に収納可能に形成される。
【0015】
スライド部3は、引き出し体2を調理機本体1に対してスライドさせる。
【0016】
駆動部4は、引き出し体2に駆動力をかける。
【0017】
制御部5は、スライド部3が引き出し体2を最大量露出させるまで駆動部4を駆動させる。
【0018】
制御部5は、一例として、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部5は、他の構成要素が統合されたSoC(System-on-a-Chip)等の集積回路であってもよい。制御部5は、複数の集積回路を組み合わせて構成されてもよい。制御部5は、加熱調理機100の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
【0019】
引き出し体2を調理機本体1から引き出す時、スライド部3が充分延びきることができず、引き出し体2が調理機本体1から最大量露出できない場合がある。本実施形態によれば、制御部5は、スライド部3が引き出し体2を最大量露出させるまで駆動部4を駆動させる。そのため、引き出し体2を調理機本体1から最大量露出させることができる。
【0020】
図1および図2に示すように、調理機本体1は、筐体10と、収納部11と、開口部12とを有する。
【0021】
調理機本体1は、一例として、キッチン家具のなかに一体に組み込まれて使用されることが見込まれる。
【0022】
筐体10は、収納部11を形成する箱体である。
【0023】
収納部11は、後述する引き出し体2の収容部21を収納する空洞が設けられている。
【0024】
引き出し体2は、開閉扉20と、収容部21とを有する。
【0025】
引き出し体2は、ユーザが開閉扉20を把持して引き出しおよび収納することが可能に形成されている。引き出し体2は、駆動部4により引き出しおよび収納が行なわれてもよい。
【0026】
スライド部3は、図3以降で詳細に説明する。
【0027】
駆動部4は、一例として、調理機本体1に内蔵されている。駆動部4は、モータ40と、ヒータ41とを有する。
【0028】
モータ40は、引き出し体2を移動させる。
【0029】
ヒータ41は、収容部21に収容された食材を加熱する。
【0030】
制御部5は、図5以降で後述する。
【0031】
スイッチ6は後述する。
【0032】
収容部21は、開閉扉20に接続して形成され、調理物を収容する。
【0033】
図3図4Cを参照して、本実施形態に係る加熱調理機100のスライド部3を説明する。
【0034】
図3は、本実施形態に係る加熱調理機100のスライド部3を示す分解図である。
【0035】
図4A図4Cは、本実施形態に係る加熱調理機100のスライド部3を示す図であり、スライド部3が変化する態様を示した図である。
【0036】
図3に示すように、スライド部3は、第1レール30と、ベアリングリテナ32と、第2レール31とを有する。
【0037】
第1レール30は、図1および図2に示すように、収納部11に取り付けられてもよい。
【0038】
図3に示すように、ベアリングリテナ32は、ベアリング320を有する。
【0039】
ベアリングリテナ32は、ベアリング320が転動することにより、第1レール30に対して移動可能に第1レール30に組み込まれている。
【0040】
すなわち、ベアリングリテナ32は、第1レール30に組込まれており、ベアリング320が第1レール30上を転がることにより、第1レール30上を移動する。
【0041】
図2に示すように、第2レール31は、引き出し体2に取り付けられている。
【0042】
第2レール31は、ベアリングリテナ32に組み込まれたベアリング320が転動することにより、第1レール30に対して移動可能に第1レール30に組み込まれている。
【0043】
すなわち、図3に示すように、ベアリングリテナ32は第1レール30に組み込まれるとともに、第2レール31にも組み込まれる。
【0044】
従って、ベアリングリテナ32に組み込まれたベアリング320が第1レール30上と第2レール31上とを転がることにより、第2レール31は、ベアリングリテナ32を介して第1レール30に対してスライドする。
【0045】
本実施形態によれば、引き出し体2は、第2レール31がベアリングリテナ32を介して第1レール30に対してスライドするスライド部3を採用することにより、容易に調理機本体1から引き出すことができ、または、収納することができる。
【0046】
図3に示すように、ベアリングリテナ32は、開閉扉側端部321と、本体側端部322とを有する。
【0047】
第1レール30は、第1ストッパ300を有する。
【0048】
第1ストッパ300は、開閉扉20側にベアリングリテナ32の開閉扉側端部321の進行を抑止する。
【0049】
第2レール31は、第2ストッパ310を有する。
【0050】
第2ストッパ310は、調理機本体1側にベアリングリテナ32の本体側端部322と当接する。
【0051】
本実施形態によれば、第2レール31の第1レール30に対する最大延び量規定することができる。
【0052】
次に、図4A図4Cを参照して、スライド部3の延びについて説明する。
【0053】
図4Aは、スライド部3に第1レール30と第2レール31とが収容されている態様を示す。
【0054】
第1レール30は引き出し体2に接続されている。そのため、引き出し体2を調理機本体1から引き出すと、図4Bに示すように、ベアリングリテナ32のベアリング320の転がりにより、第2レール31が第1レール30から引き出される。
【0055】
第1レール30の先端には第1ストッパ300が設けられており、第2レール31の後端には第2ストッパ310が設けられている。そのため、ベアリングリテナ32は、開閉扉側端部321が第1レール30の第1ストッパ300に当接する。さらに、ベアリングリテナ32は、本体側端部322が第2レール31の第2ストッパ310に当接する。そのため、ベアリングリテナ32は、第1レール30および第2レール31に挟まれて、第1レール30の進行を抑止する。
【0056】
しかし、ベアリングリテナ32のベアリング320の経年劣化により、ベアリング320が第1レール30または第2レール31との間で滑りや摩擦を起こし、図4Cに示すように、ベアリングリテナ32の開閉扉側端部321が第1レール30の第1ストッパ300に当接する前に、駆動部4により引き出し体2の引き出しが終了してしまうことがある。
【0057】
そのため、適宜、強制的に引き出し体2を開閉扉20側に押し出すことにより(強制開動作)、引き出し体2が調理機本体1に対して最大量露出するよう、調整が必要になる。
【0058】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る加熱調理機100の制御部5を説明する。図5は、本実施形態に係る加熱調理機100の制御部5を示す図である。
【0059】
図5に示すように、制御部5は、開閉検知部50と、判定部51と、カウンタ52と、パルス数検知部53と、設定パルス数記憶部54とを有する。
【0060】
開閉検知部50は、ベアリングリテナ32の開閉扉側端部321が第1ストッパ300に当接し、かつ、ベアリングリテナ32の本体側端部322が第2ストッパ310に当接していることを検知したとき、引き出し体2が調理機本体1に対して最大量露出していることを検知する。
【0061】
本実施形態によれば、引き出し体2が調理機本体1に対して最大量露出していることを好適に検知することができる。
【0062】
開閉検知部50は、ベアリングリテナ32の開閉扉側端部321が第1ストッパ300に当接していないか、または、ベアリングリテナ32の本体側端部322が第2ストッパ310に当接していないことを検知したとき、引き出し体2が調理機本体1に対して最大量露出していないことを検知する。
【0063】
具体的には、開閉検知部50は、ベアリングリテナ32と第1レール30または第2レール31との摩擦により、モータ40に異常なトルクがかかることを検知でき、引き出し体2が調理機本体1に対して最大量露出していないことを検知できる。
【0064】
本実施形態によれば、引き出し体2が調理機本体1に対して最大量露出していないことを好適に検知することができる。
【0065】
次に、本実施形態に係る加熱調理機100の駆動部4による、引き出し体2のいわゆる強制開動作を説明する。
【0066】
駆動部4は、前述した通り、モータ40を有する。モータ40は、引き出し体2に対して駆動力をかける。
【0067】
制御部5は、モータ40に所定トルクをかけて引き出し体2を移動させた後、引き出し体2が調理機本体1に対して最大量露出していないことを開閉検知部50が検知したことに基づいて、モータ40のトルクを所定トルクよりも上昇させ、さらにモータ40に引き出し体2に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせる。
【0068】
具体的には、引き出し体2が好適に調理機本体1から最大量露出する場合、モータ40には所定トルクしかかからない。しかし、ベアリングリテナ32に滑りや摩擦が生じるなどの理由により、引き出し体2が好適に調理機本体1から最大量露出できない場合、モータ40には所定トルクを越える異常トルクがかかる。
【0069】
そこで、制御部5は、モータ40のトルクを所定トルクよりも上昇させ、上昇させたトルクで、さらにモータ40に引き出し体2に対して駆動力をかけさせる。
【0070】
本実施形態によれば、モータ40に大きなトルクをかけることにより、引き出し体2を好適に調理機本体1から最大量露出させることができる。
【0071】
図1および図2で前述したように、本実施形態に係る加熱調理機100は、スイッチ6を備える。
【0072】
制御部5の判定部51は、スイッチ6が押されたことを判定する。
【0073】
制御部5は、モータ40に所定トルクをかけて引き出し体2を移動させ、スイッチ6が押されたことを判定部51が判定したことに基づいて、モータ40のトルクを所定トルクよりも上昇させ、さらにモータ40に引き出し体2に対して所定トルクよりも大きなトルクの駆動力をかけさせる。
【0074】
本実施形態によれば、引き出し体2が好適に調理機本体1から最大量露出していないことを認識したユーザがスイッチ6を押すことにより、引き出し体2を好適に調理機本体1から最大量露出させることができる。
【0075】
カウンタ52は、モータ40に所定トルクをかけて引き出し体2を移動させモータ40が停止するまでのパルス数をカウントする。
【0076】
設定パルス数記憶部54は、設定パルス数を記憶する。
【0077】
すなわち、引き出し体2が好適に調理機本体1から最大量露出されている場合、モータ40が引き出し体2の引き出しを開始してから、調理機本体1から最大量露出を完了したとき、モータ40には設定パルス数のパルスが印加される。
【0078】
しかし、ベアリングリテナ32に滑りや摩擦が生じるなどの理由により、引き出し体2が好適に調理機本体1から最大量露出できない場合、モータ40には設定パルス数以下のパルスが印加された時点で停止してしまうことがある。
【0079】
制御部5は、カウンタ52がカウントしたパルス数が設定パルス数記憶部54に記憶された設定パルス数以下である場合、モータ40のトルクを所定トルクよりも上昇させ、さらにモータ40に引き出し体2に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせる。
【0080】
本実施形態によれば、モータ40にかけられたパルス数を測定することにより、引き出し体2が好適に調理機本体1から最大量露出できていないことが検知でき、モータ40に所定トルクよりも大きなトルクをかけて、引き出し体2を好適に調理機本体1から最大量露出させることができる。
【0081】
図1および図2で前述したように、駆動部4はヒータ41を有する。
【0082】
制御部5の判定部51は、ヒータ41が駆動した後に引き出し体2が引き出されたか否かを判定する。
【0083】
すなわち、ヒータ41が駆動し、調理が行なわれた後に引き出し体2が引き出された場合において、所定トルクよりも大きいトルクをモータ40にかけて駆動させると、引き出し体2の収容部21に載置されていた料理や飲み物がこぼれる恐れがある。
【0084】
そのため、引き出し体2が引き出されたタイミングが、ヒータ41により調理が行なわれた後ではなく、収容部21に何も入っていないタイミングで強制開動作を行うことが必要になる。
【0085】
制御部5は、カウンタ52がカウントしたパルス数が設定パルス数記憶部54に記憶された設定パルス数以下である場合、引き出し体2が引き出される前にヒータ41が駆動していないことを判定部51が判定したことに基づいて、モータ40のトルクを所定トルクよりも上昇させ、さらにモータ40に引き出し体2に対して所定トルクよりも大きいトルクの駆動力をかけさせる。
【0086】
本実施形態によれば、引き出し体2の収容部21に料理や飲み物が入っていない状態で、モータ40に大きなトルクをかけることができ、好適なタイミングでいわゆる強制開動作を行うことができる。
【0087】
制御部5のカウンタ52は、モータ40に所定トルクをかけて引き出し体2を移動させ、モータ40が停止するまでのパルス数をカウントする。
【0088】
制御部5の設定パルス数記憶部54は、設定パルス数を記憶する。
【0089】
設定パルス数記憶部54は、カウンタ52がカウントしたパルス数を更新して記憶する。
【0090】
すなわち、ベアリングリテナ32のベアリング320の経年劣化などにより、モータ40が停止するまでのパルス数は徐々に減少することが考えられる。その場合も、所定パルスに達しないことを理由に所定トルクよりも大きなトルクをモータ40にかけていわゆる強制開動作を実行すると、引き出し体2がバウンドなどの症状を起こすことがある。そのため、バウンドなどの症状を抑えるため、設定パルス数記憶部54は、カウンタ52がカウントしたパルス数を更新して記憶する。
【0091】
本実施形態によれば、引き出し体2のバウンドなどの症状を好適に抑制することができる。
【0092】
次に、図6図10を参照して、本実施形態に係る加熱調理機100の制御部5の制御を説明する。図6図10は、本実施形態に係る加熱調理機100の制御を示すフローチャートである。
【0093】
図6に示すフローチャートは、ステップS10~ステップS12を有する。
【0094】
ステップS10において、カウンタ52は、引き出し体2が開閉された累積回数をカウントする。
【0095】
判定部51は、カウントした累積回数が所定回数(一例として、1000回)を超えたか否かを判定する。
【0096】
カウントした累積回数が所定回数を超えていないと判定された場合(No)、処理はステップS10を繰り返す。
【0097】
カウントした累積回数が所定回数を超えたと判定された場合(Yes)、処理はステップS11に進む。
【0098】
ステップS11において、制御部5は、引き出し体2の強制開動作を実行する。具体的には、制御部5は、カウントした累積回数が所定回数を超えたと判定された場合、モータ40のトルクを所定トルクよりも上昇させる。制御部5は、モータ40に所定トルクよりも大きなトルクをかけて駆動させる。処理はステップS12に進む。
【0099】
ステップS12において、カウンタ52は、カウントをリセットする。そして処理は終了する。
【0100】
図7に示すフローチャートは、ステップS20およびステップS21を有する。
【0101】
図7に示すように、ステップS20において、判定部51は、スイッチ6が押されたことを判定する。
【0102】
スイッチ6が押されたと判定されると(Yes)、処理はステップS21に進む。
【0103】
スイッチ6が押されていないと判定されると(No)、処理はステップS20を繰り返す。
【0104】
制御部5は、モータ40に所定トルクをかけて引き出し体2を移動させる。ステップS21において、制御部5は、引き出し体2の強制開動作を実行する。
【0105】
制御部5は、スイッチ6が押されたことが判定されたことに基づいて、モータ40のトルクを所定トルクよりも上昇させる。
【0106】
制御部5は、モータ40に引き出し体2に対して所定トルクよりも大きなトルクをかけて駆動させる。そして処理は終了する。
【0107】
次に、図8に示すフローチャートは、ステップS30およびステップS31を有する。
【0108】
カウンタ52は、モータ40に所定トルクをかけて引き出し体2を移動させ、モータ40が停止するまでのパルス数をカウントする。
【0109】
ステップS30において、判定部51は、カウンタ52がカウントしたパルス数が設定パルス数以下か否かを判定する。
【0110】
パルス数が設定パルス数以下ではない場合(No)、処理はステップS30を繰り返す。
【0111】
パルス数が設定パルス数以下である場合(Yes)、処理はステップS31に進む。
【0112】
ステップS31において、制御部5は、引き出し体2の強制開動作を実行する。具体的には、制御部5は、カウントしたパルス数が設定パルス数以下である場合、モータ40のトルクを所定トルクよりも上昇させる。
【0113】
制御部5は、モータ40に引き出し体2に対して所定トルクよりも大きなトルクをかけて駆動させる。そして処理は終了する。
【0114】
次に、図9に示すフローチャートは、ステップS40からステップS42を有する。
【0115】
ステップS40において、判定部51は、カウンタ52がカウントしたパルス数が設定パルス数以下であるか否かを判定する。処理はステップS41に進む。
【0116】
パルス数が設定パルス数以下でない場合(No)、処理はステップS40を繰り返す。
【0117】
パルス数が設定パルス数以下である場合(Yes)、処理はステップS41に進む。
【0118】
判定部51は、引き出し体2が引き出されたときが、収容部21に食材が入れられるときか否かを判定する。具体的には、判定部51は、引き出し体2が引き出される前にヒータ41が駆動していたか否かを判定する。
【0119】
引き出し体2が引き出される前にヒータ41が駆動していた場合(No)、処理はステップS41を繰り返す。
【0120】
引き出し体2が引き出される前にヒータ41が駆動していなかった場合(Yes)、処理はステップS42に進む。
【0121】
ステップS42において、制御部5は、強制開動作を実行する。
【0122】
具体的には、制御部5は、引き出し体2が引き出される前にヒータ41が駆動していないことが判定されたことに基づいて、モータ40のトルクを所定トルクよりも上昇させる。
【0123】
制御部5は、モータ40に引き出し体2に対して所定トルクよりも大きなトルクをかけて駆動させる。そして処理は終了する。
【0124】
次に、図10に示すフローチャートは、ステップS50およびステップS51を有する。
【0125】
制御部5は、モータ40に所定トルクをかけて引き出し体2を移動させ、カウンタ52は、モータ40が停止するまでのパルス数をカウントする。
【0126】
ステップS50において、判定部51は、パルス数が設定パルス数より減少したか否かを判定する。
【0127】
パルス数が設定パルス数より減少していないと判定された場合(No)、処理はステップS50を繰り返す。
【0128】
パルス数が設定パルス数より減少したと判定された場合(Yes)、処理はステップS51に進む。
【0129】
ステップS51において、設定パルス数記憶部54は、カウンタ52がカウントしたパルス数を更新して記憶する。そして処理は終了する。
【0130】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示していることがある。図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なってもよい。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、加熱調理機および加熱調理機の制御方法の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0132】
100 加熱調理機
1 調理器本体
2 引き出し体
3 スライド部
30 第1レール
300 第1ストッパ
31 第2レール
310 第2ストッパ
32 ベアリングリテナ
320 ベアリング
321 開閉扉側端部
322 本体側端部
4 駆動部
40 モータ
5 制御部
50 開閉検知部
51 判定部
52 カウンタ
53 パルス数検知部
54 設定パルス数記憶部
6 スイッチ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10